JP2010116129A - バンパー構造体及びバンパー構造体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルミニウム合金押出材からなるバンパービーム2の両端部を潰し加工して前壁4と後壁5を密着させ、そこにバーリング穴13を形成し、管状のアルミニウム合金押出材からなるステイ素材を挿入し、電磁成形により拡管する。この電磁成形により、ステイ素材はバンパービーム2に接合されるとともに、バンパーステイ3が成形される。バンパーステイ3の前方部分は、バーリング穴13の内周面に密着し、前端が拡開して前壁4の前面に接触し、バーリング穴13の後方側は外径方向に張り出している。
【選択図】図6
Description
なお、本件明細書において、車両のフロント側、リア側に関わらず、衝突面側を前とし、その反対側を後とする。
しかし、バンパービームの前壁及び/又は後壁を薄肉化すると、特許文献1に記載された電磁成形による方法でステイ素材をバンパービームに接合したバンパー構造体の場合、バンパービームとバンパーステイの間で必要な接合力が確保できないという問題が生じる。これは、電磁成形によりステイ素材が瞬時に拡管してバンパービームの前壁及び外壁に形成された穴の内周面に強く打ち付けられたとき、その加圧力に対して穴周辺部の強度が不足するためである。
なお、バンパービームの両端部を潰し加工すること自体(ただし、前後壁が2枚重ねとなっているとはいえない)は、例えば特許文献3〜5に記載がある。
(1)バンパービームの両端部の潰し加工された箇所は、上下壁の内側が潰し加工されている。この場合、2枚重ねとなった前後壁の上下には主として前記上下壁からなる潰れ残りが生じる。この潰れ残りは2枚重ねとなった前後壁の両端を補強するリブとして機能する(リブ状部という)。この場合、潰し加工は例えば後壁側から前壁側に向けて行われ、潰し加工された箇所の断面が、前記リブ状部と2枚重ねとなった前後壁により、全体として後方側が開口した溝形をなしている。さらにこの場合、前記バンパービームのアルミニウム合金押出材が、前壁の中央部に前方へ突出するビード部が形成されて全体として略凸形状の閉断面を有し、前記穴がビード部を上下に超える大きさを有する。
(2)前記リブ状部が中空断面である。
(3)前後壁の少なくともバーリング穴が形成される箇所において、前壁の板厚が後壁の板厚より厚く形成されている。
なお、潰し加工した端部において前後壁が2枚重ねの状態となっていることにより、前後壁に対しあたかも1枚の板のように、前後壁の間に中子等を設置しなくても片側からプレスによる穴開け、さらにはバーリング加工が行える利点がある。
図1に示すバンパー構造体1は、図2に示す閉断面形状を有するアルミニウム合金押出材からなるバンパービーム2と、円筒状のアルミニウム合金押出材からなり前記バンパービーム2の左右両端に接合されたバンパーステイ3からなる。
バンパービーム2を構成するアルミニウム合金押出材の断面は、図2に示すように、衝突面側の前壁4と、車体側の後壁5と、前壁4及び後壁5を接続する上壁6及び下壁7からなり、断面全体として略矩形をなし、前壁4の大部分と後壁5はかなり薄肉化されている。
この潰し加工は上壁6と下壁7の内側に行われているため、図3に示すように、上壁6と下壁7は上下にやや広がった状態で潰れ残り、2枚重ねとなった前壁4と後壁5の上下に、主として上壁6により構成されるリブ状部11と、主として下壁7により構成されるリブ状部12が形成されている。2枚重ねとなった前壁4と後壁5、及び上下のリブ状部11,12により、バンパービーム2の潰し加工された箇所は、全体として後方側が開口した溝形をなす。また、各リブ状部11,12は中空断面を有している。
なお、図1に示すように、前壁4と後壁5が2枚重ねとされた箇所と潰し加工されていない箇所の間には、潰し加工の程度が変化する遷移領域が存在する。
なお、前壁4及び後壁5が薄肉の場合、テーパの付いたポンチを用いてバーリング加工を行うと、形成された穴フランジに外向きの湾曲(カーリング)が生じる場合がある。本発明でいうバーリング穴には、このようなものも含まれる。
図6,7に示すように、軸部15の前方部分(接合に関与する部分)は、バーリング穴13に挿入され電磁成形により拡管してバーリング穴13の内周面に密着する密着部17(前方側が拡開している)と、バーリング穴13の前方に突出して前壁4の前面に沿って拡開する前端部18と、バーリング穴13の後端の後方側において外径方向に張り出した張り出し部19からなる。このように、バンパーステイ3の軸部15(特に前方部分)は、バーリング穴13の内周面に密着するとともに、バーリング穴13の前後で外径方向に張り出し、バンパービーム2に強固に接合されている。
この電磁成形により、前記ステイ素材が拡管し、図6,7に示すように、バーリング穴13の内側に位置する部分がバーリング穴13の内周面に密着し、バーリング穴13の前方に突出していた前端が拡開し、バーリング穴13の後方部分が外径方向に張り出し、後端部分が拡開し前記分割金型の端面に打ち当たって取付用フランジ16が成形される。これにより前記ステイ素材がバンパービーム2に接合されるとともに、バンパーステイ3が成形される。必要に応じて、成形された取付用フランジ16をプレス加工して、所望の形状に整形(例えば背面側(サイドメンバへの取付側)を平面化するなど)することもできる。
図8に示すバンパー構造体1は、図9に示す閉断面形状を有するアルミニウム合金押出材からなるバンパービーム2と、円筒状のアルミニウム合金押出材からなり前記バンパービーム2の左右両端に接合されたバンパーステイ3からなる。
バンパービーム2を構成するアルミニウム合金押出材の断面は、図9に示すように、衝突面側の前壁4と、車体側の後壁5と、前壁4及び後壁5を接続する上壁6及び下壁7からなり、前壁4の中央部に前面側に突出するビード4aが形成され、閉断面全体として略凸形状をなし、前壁4のビード4a及びその上下の所定幅の部分と、後壁5の中央部はかなり薄肉化されている。
図11及び図12に示すように、形成されたバーリング穴13は前壁4及び後壁5を前後方向に貫通し、前記ビード4aを上下に超える径を有し、バーリング穴13の縁に前方側に向かって拡開する穴フランジ14が形成されている。穴フランジ14は前壁4と後壁5により構成され、前壁4と後壁5が密着して一体化している。
穴フランジ14の後端はほぼ同一平面内にあり、バーリング穴13の深さ(前後方向幅)は、前壁4のビード4aに掛かる部分で大きく、平坦部4bに掛かる部分(ビード4aの上下)で小さくなっている。
図13,14に示すように、軸部15の前方部分(接合に関与する部分)は、前記バーリング穴13に挿入され電磁成形により拡管してバーリング穴13の内周面に密着する密着部17(前方側が拡開している)と、バーリング穴13の前方に突出し前壁4の前面に沿って拡開する前端部18と、バーリング穴13の後端の後方側において外径方向に張り出した張り出し部19からなる。このように、バンパーステイ3の軸部15(特に前方部分)は、バーリング穴13の内周面に密着するとともに、バーリング穴13の前後で外径方向に張り出し、バンパービーム2に強固に接合されている。
図8〜14に示すバンパー構造体も、図1〜7に示すバンパー構造体と同様の方法で製造することができる。
図15のバンパー構造体は、図8〜14に示すバンパー構造体とは、バンパーステイ3の軸部15の前方部分が、バーリング穴13がバンパービーム2のビード4aに掛かっている箇所において、前記バーリング穴13から突出していない点のみで異なる。この例でも、バーリング穴13がビード4aより一段低い平坦部4b(図11,12参照)に掛かっている箇所においては、軸部15の前端は前記バーリング穴13より前方に突出し、前壁4の前面に沿って拡開している。
このバンパー構造体の場合、バンパーステイ3の前端がバンパービーム2の最も前面(前壁4のビーム4aの前面)より後方に位置することから、衝突時のバンパーカバーへの加害性が確実に改善される(図18(a)のように前端が鋭角に突出する場合と比較すれば、バンパーカバーへの加害性が改善されることは明確)。
(1)上記の例では、バンパービームの潰し加工は、後方側から前方側に向かって行われたが、これはバンパービームのレイアウトの基準が衝突面(前壁)であったためであり、これによりバンパーステイ3の圧壊長さを大きくとれる利点があるが、場合によっては前方側から後方側に向けて潰し加工したり、両方から潰し加工することもあり得る。
2 バンパービーム
3 バンパーステイ
4 バンパービームの前壁
5 同後壁
6 同上壁
7 同下壁
11,12 リブ状部
13 バーリング穴
14 穴フランジ
16 取付用フランジ
Claims (11)
- 衝突面側の前壁と車体側の後壁及びこれらを接続する上下壁を有する閉断面のアルミニウム合金押出材からなり、その両端部の前後壁に前後方向に貫通する穴が形成されたバンパービームと、管状のアルミニウム合金押出材からなり、前記穴に挿入され電磁成形により拡管して前記穴の内周面に密着し前記バンパービームに接合されたバンパーステイからなるバンパー構造体であり、前記バンパービームの両端部が前後方向に潰し加工されて前後壁が2枚重ねとなり、2枚重ねとなった前後壁に前記穴が形成され、かつその穴が前方側からバーリング加工されたバーリング穴であることを特徴とするバンパー構造体。
- 前記バンパーステイは、その前端が前記バーリング穴から前方に突出して外径方向に拡開し、かつバーリング穴の後方側で外径方向に張り出していることを特徴とする請求項1に記載されたバンパー構造体。
- 前記バンパービームの両端部の潰し加工された箇所は、前記上下壁の内側が潰し加工され、2枚重ねとなった前後壁の上下に主として前記上下壁からなるリブ状部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載されたバンパー構造体。
- 前記潰し加工は後壁側から前壁側に向けて行われ、前記潰し加工された箇所は、2枚重ねとなった前後壁と上下のリブ状部により、全体として後方側が開口した溝形をなすことを特徴とする請求項3に記載されたバンパー構造体。
- 前記バンパービームのアルミニウム合金押出材は、前壁の中央部に前方へ突出するビード部が形成されて全体として略凸形状の閉断面を有し、前記穴は前記ビード部を上下に超える大きさを有することを特徴とする請求項4に記載されたバンパー構造体。
- 前記リブ状部が中空断面を有することを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載されたバンパー構造体。
- 前後壁の少なくともバーリング穴が形成される箇所において前壁の板厚が後壁の板厚より厚いことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載されたバンパー構造体。
- 衝突面側の前壁と車体側の後壁及びこれらを接続する上下壁を有する閉断面のアルミニウム合金押出材からなるバンパービームの両端部を前後方向に潰し加工し、潰し加工して2枚重ねとした前後壁に穴開けし、かつ前方側からバーリング加工してバーリング穴を形成し、前記バーリング穴に管状のアルミニウム合金押出材からなるステイ素材を挿入して前端を前記バーリング穴から突出させ、前記ステイ素材を電磁成形により拡管して、前記バーリング穴の内周面に密着させ、前記バーリング穴から突出した前端を外径方向に拡開し、かつバーリング穴の後方側を外径方向に張り出させ、前記バンパービームに接合することを特徴とするバンパー構造体の製造方法。
- 前記潰し加工は前記上下壁の内側を潰し加工するもので、これにより2枚重ねとなった前後壁の上下に主として前記上下壁からなるリブ状部が形成されることを特徴とする請求項9に記載されたバンパー構造体の製造方法。
- 前記潰し加工は後壁側から前壁側に向けて行われ、これにより潰し加工された箇所は前記リブ状部と2枚重ねとなった前後壁により全体として後方側が開口した溝形をなすことを特徴とする請求項11に記載されたバンパー構造体の製造方法。
- 前記リブ状部が中空断面であることを特徴とする請求項11又は12に記載されたバンパー構造体の製造方法。
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