JP2010113951A - 非水系電解液及び非水系電解液電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電解質及びこれを溶解する非水溶媒を含む非水系電解液において、
該非水溶媒がエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びジエチルカーボネートを含有し、
全非水溶媒中に占める該エチレンカーボネートの含有割合が1容量%以上40容量%以下であり、
該ジメチルカーボネートの含有割合が35容量%以上85容量%以下であり、
該ジエチルカーボネートの含有割合が1容量%以上40容量%以下であり、
該エチルメチルカーボネートに対する該ジメチルカーボネートの容量比(ジメチルカーボネート/エチルメチルカーボネート)が9より大きいものとする。
【選択図】なし
Description
そこで、本願は、高容量で、高温時においても保存特性に優れた非水系電解液や、これを用いた非水系電解液二次電池を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の要旨は、下記に示すとおりである。
<非水系電解液>
本発明の非水系電解液は、一般的な非水系電解液と同じく、電解質及びこれを溶解する非水溶媒を含むものであり、通常、これらを主成分とするものである。
電解質としては、通常、リチウム塩が用いられる。リチウム塩としては、この用途に用いることが知られているものであれば特に制限がなく、任意のものを用いることができ、具体的には以下のものが挙げられる。
例えば、LiPF6及びLiBF4等の無機リチウム塩;LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2 、LiN(C2F5SO2)2、リチウム環状1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミド、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、LiC(CF3SO2)3、LiPF4(CF3)2、LiPF4(C2F5)2、LiPF4(CF3SO2)2、LiPF4(C2F5SO2)2、LiBF2(CF3)2、LiBF2(C2F5)2、LiBF2(CF3SO2)2、LiBF2(C2F5SO2)2等の含フッ素有機リチウム塩;リチウムビス(オキサレート)ボレート、及びリチウムジフルオロ(オキサレート)ボレート等が挙げられる。
これらのリチウム塩は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明において非水溶媒は、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びジエチルカーボネートを含有し、全非水溶媒中に占めるエチレンカーボネートの含有割合が1容量%以上40容量%以下であり、ジメチルカーボネートの含有割合が35容量%以上85容量%以下であり、ジエチルカーボネートの含有割合が1容量%以上40容量%以下であり、エチルメチルカーボネートに対するジメチルカーボネートの容量比(ジメチルカーボネート/エチルメチルカーボネート)が9より大きいことを特徴とする。なお、本発明でいう全非水溶媒とは、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びジエチルカーボネートに加えてその他の非水溶媒も用いられる場合には、他の非水溶媒も含めた非水溶媒全体を指すものとする。
また、上記エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとジエチルカーボネートとを主体とする組合せにおいて、他の溶媒を混合してもよい。
エチレンカーボネート以外の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びジエチルカーボネート以外の鎖状カーボネート類;環状エーテル類;鎖状エーテル類;環状カルボン酸エステル類;鎖状カルボン酸エステル類;含硫黄有機溶媒;含燐有機溶媒等が挙げられる。
エチレンカーボネート以外の環状カーボネート類としては、例えばプロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート類が挙げられ、これらの中では、プロピレンカーボネートが好ましい。
環状エーテル類としては、例えばテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等が挙げられる。
鎖状エーテル類としては、例えばジメトキシエタン、ジメトキシメタン等が挙げられる。
環状カルボン酸エステル類としては、例えばγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等が挙げられる。
含燐有機溶媒としては、例えばリン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸ジメチルエチル、リン酸メチルジエチル、リン酸エチレンメチル、リン酸エチレンエチル等が挙げられる。
これらの中で、プロピレンカーボネートが特に好ましい。これらは2種類以上を併用してもよい。
エチレンカーボネートは、負極上では比較的安定な皮膜を形成して副反応を抑制し、サイクル特性や保存特性を向上させることができる。一方、充電状態の正極上では、副反応を起こしやすく、エチレンカーボネートの含有量が多いと高温保存において電池特性が低下する傾向にある。
また、ジメチルカーボネートは、エチルメチルカーボネートやジエチルカーボネートに比べ、粘度が低く、ジメチルカーボネートの含有率が多いほど、非水系電解液の伝導度が高くなる傾向にあるが、融点が3℃と比較的高く、ジメチルカーボネートが多すぎると低温特性が低下する傾向にある。また、ジメチルカーボネートは高温保存時等に分解してメタンや二酸化炭素のガスを発生しやすい傾向にある。
また、ジエチルカーボネートは、高温で保存してもガスが発生しにくく、分解物が正極の活性な部位を保護して、他の非水系電解液成分の分解を抑制すると推定される。
本発明に係る非水系電解液は、本発明の効果を損ねない範囲で、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物、フッ素原子を有する環状カーボネート化合物、モノフルオロリン酸塩およびジフルオロリン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物や従来公知の過充電防止剤等、種々の他の化合物を助剤として含有していてもよい。
炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物としては、例えば、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、4,5−ジエチルビニレンカーボネート、フルオロビニレンカーボネート、トリフルオロメチルビニレンカーボネート等のビニレンカーボネート化合物;ビニルエチレンカーボネート、4−メチル−4−ビニルエチレンカーボネート、4−エチル−4−ビニルエチレンカーボネート、4−n−プロピル−4−ビニルエチレンカーボネート、5−メチル−4−ビニルエチレンカーボネート、4,4−ジビニルエチレンカーボネート、4,5−ジビニルエチレンカーボネート等のビニルエチレンカーボネート化合物;4,4−ジメチル−5−メチレンエチレンカーボネート、4,4−ジエチル−5−メチレンエチレンカーボネート等のメチレンエチレンカーボネート化合物等が挙げられる。これらのうち、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、4−メチル−4−ビニルエチレンカーボネートまたは4,5−ジビニルエチレンカーボネートがサイクル特性や高温保存後の容量維持特性向上の点から好ましく、中でもビニレンカーボネートまたはビニルエチレンカーボネートがより好ましく、特にビニレンカーボネートが好ましい。これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
2種類以上を併用する場合は、ビニレンカーボネートとビニルエチレンカーボネートとを併用するのが好ましい。
フッ素原子を有する環状カーボネート化合物としては、例えば、フルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、4,4,5−トリフルオロエチレンカーボネート、4,4,5,5−テトラフルオロエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、4,4,5−トリフルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート等が挙げられる。これらのうち、フルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルエチレンカーボネートがサイクル特性や高温保存後の容量維持特性向上の点から好ましい。
これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
また、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物と併用しても良く、サイクル特性や高温保存後の容量維持特性向上の点からは、ビニレンカーボネートやビニルエチレンカーボネートと併用するのが好ましい。
モノフルオロリン酸塩およびジフルオロリン酸塩のカウンターカチオンとしては特に限定はないが、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等が挙げられ、中でもリチウムが好ましい。
モノフルオロリン酸塩およびジフルオロリン酸塩の具体例としては、モノフルオロリン酸リチウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カリウム、ジフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸ナトリウム、ジフルオロリン酸カリウム等が挙げられ、モノフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウムが好ましく、ジフルオロリン酸リチウムがより好ましい。
これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
本発明の非水系電解液に用いられる過充電防止剤としては、例えばビフェニル、2−メチルビフェニル、2−エチルビフェニル等のアルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロペンチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、シス−1−プロピル−4−フェニルシクロヘキサン、トランス−1−プロピル−4−フェニルシクロヘキサン、シス−1−ブチル−4−フェニルシクロヘキサン、トランス−1−ブチル−4−フェニルシクロヘキサン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン、メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、ジフェニルカーボネート、トリフェニルホスフェート、トリス(2−t−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(3−t−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(4−t−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(2−t−アミルフェニル)ホスフェート、トリス(3−t−アミルフェニル)ホスフェート、トリス(4−t−アミルフェニル)ホスフェート、トリス(2−シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、トリス(3−シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、トリス(4−シクロヘキシルフェニル)ホスフェート等の芳香族化合物;2−フルオロビフェニル、3−フルオロビフェニル、4−フルオロビフェニル、4,4’−ジフルオロビフェニル、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼン等の前記芳香族化合物の部分フッ素化物;2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、2,6−ジフルオロアニソール、3,5−ジフルオロアニソール等の含フッ素アニソール化合物等が挙げられる。
他の助剤としては、例えばエリスリタンカーボネート、スピロ−ビス−ジメチレンカーボネート、メトキシエチル−メチルカーボネート、メトキシエチル−エチルカーボネート、エトキシエチル−メチルカーボネート、エトキシエチル−エチルカーボネート等のカーボネート化合物;無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、及びフェニルコハク酸無水物等のカルボン酸無水物;コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジアリル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジアリル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ビス(トリフルオロメチル)、マレイン酸ビス(ペンタフルオロエチル)、マレイン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)等のジカルボン酸ジエステル化合物;2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ジビニル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等のスピロ化合物;エチレンサルファイト、プロピレンサルファイト、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、1,3−プロペンスルトン、1,4−ブテンスルトン、メチルメタンスルホネート、エチルメタンスルホネート、メチル−メトキシメタンスルホネート、メチル−2−メトキシエタンスルホネート、ブスルファン、ジエチレングリコールジメタンスルホネート、1,2−エタンジオールビス(2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート)、1,4−ブタンジオールビス(2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート)、スルホラン、スルホレン、ジメチルスルホン、ジフェニルスルホン、N,N−ジメチルメタンスルホンアミド、N,N−ジエチルメタンスルホンアミド等の含硫黄化合物;1−メチル−2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピペリドン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン及びN−メチルスクシイミド等の含窒素化合物;ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、プロピルシクロヘキサン、n−ブチルシクロヘキサン、t−ブチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシル等の炭化水素化合物;フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン等のフッ化ベンゼン;アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、マロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル等のニトリル化合物;メチルジメチルホスフィネート、エチルジメチルホスフィネート、エチルジエチルホスフィネート、トリメチルホスホノフォルメート、トリエチルホスホノフォルメート、トリメチルホスホノアセテート、トリエチルホスホノアセテート、トリメチル−3−ホスホノプロピオネート、トリエチル−3−ホスホノプロピオネート等の含リン化合物等が挙げられる。
これらは1種のみを用いてもよく、2種類以上併用してもよい。
本発明に係る非水系電解液は、非水溶媒に、電解質、必要に応じて他の化合物を溶解することにより調製することができる。非水系電解液の調製に際しては、各原料は、非水系電解液とした場合の水分を低減させるため予め脱水しておくことが好ましい。水分量が通常50ppm以下、好ましくは30ppm以下、特に好ましくは10ppm以下となるまで脱水することが好ましい。また、非水系電解液調製後に、脱水、脱酸処理等を実施してもよい。
本発明の非水系電解液二次電池は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液電池であって、該非水系電解液が上記の非水系電解液であることを特徴とするものである。
本発明に係る非水系電解液二次電池は、上記本発明の非水系電解液を用いて作製される以外は従来公知の非水系電解液二次電池と同様、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液電池であり、通常、正極と負極とを、本発明の非水系電解液が含浸されている多孔膜を介して、ケースに収納することで得られる。本発明に係る二次電池の形状は特に制限されるものではなく、例えば円筒型、角型、ラミネート型、コイン型、大型等のいずれであってもよい。
負極に用いられる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば特に制限はなく、例えばリチウムを吸蔵・放出可能な炭素質材料や金属化合物、リチウム金属及びリチウム合金などを用いることができる。これらの負極活物質は、単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。中でも好ましいものは炭素質材料、またはリチウムを吸蔵及び放出可能な金属化合物である。
炭素質材料のなかでは、特に、黒鉛や黒鉛の表面を黒鉛に比べて非晶質の炭素で被覆したものが好ましい。
炭素質材料のBET法による比表面積は、通常0.3m2/g以上、好ましくは0.5m2/g以上、より好ましくは0.7m2/g以上、特に好ましくは0.8m2/g以上であり、通常25.0m2/g以下、好ましくは20.0m2/g以下、より好ましくは15.0m2/g以下、特に好ましくは10.0m2/g以下である。
リチウムを吸蔵・放出可能な金属化合物あるいはこの酸化物やリチウムとの合金の平均粒系は、本願発明の効果を発現するためには、特に制限はないが、通常50μm以下、好ましくは20μm以下、特に好ましくは10μm以下であり、通常0.1μm以上、好ましくは1μm以上、特に好ましくは2μm以上である。この上限を上回る場合、電極の膨張が大きくなり、サイクル特性が低下する可能性がある。また、この下限を下回る場合、集電が取りにくくなり、容量が十分に発現しない可能性がある。
正極に用いられる正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば特に制限はない。リチウムと少なくとも1種の遷移金属を含有する物質が好ましく、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物、リチウム含有遷移金属リン酸化合物が挙げられる。
リチウム遷移金属複合酸化物の遷移金属としては、例えばV、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu等が好ましい。具体例としては、LiCoO2等のリチウム・コバルト複合酸化物、LiNiO2等のリチウム・ニッケル複合酸化物、LiMnO2、LiMn2O4、Li2MnO3等のリチウム・マンガン複合酸化物、これらのリチウム遷移金属複合酸化物の主体となる遷移金属原子の一部を例えばAl、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Si等の他の金属で置換したもの等が挙げられる。置換されたものの具体例としては、例えば、LiNi0.5Mn0.5O2、LiNi0.85Co0.10Al0.05O2、LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2、LiMn1.8Al0.2O4、LiMn1.5Ni0.5O4等が挙げられる。
これらの正極活物質は単独で用いても、2種類以上を併用しても良い。
電極(正極及び負極)は、通常、集電体上に正極活物質層または負極活物質層を設けて構成される。なお、正極及び負極は適宜その他の層を備えていてもよい。
上述の活物質を結着する結着剤としては、電極製造時に使用する溶媒や非水系電解液に対して安定な材料であれば、任意のものを使用することができる。例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム等の不飽和結合を有するポリマー及びその共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等のアクリル酸系ポリマー及びその共重合体などが挙げられる。
増粘剤としては、例えばカルボキシルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、ガゼイン等が挙げられる。
導電材としては、例えば銅又はニッケル等の金属材料、グラファイト又はカーボンブラック等の炭素材料などが挙げられる。
また、活物質に結着剤や導電材などを加えたものをそのままロール成形してシート電極としたり、圧縮成型によりペレット電極としたり、蒸着・スパッタ・メッキ等の手法で集電体上に電極材料の薄膜を形成することもできる。
また、正極活物質層の乾燥、プレス後の密度は、通常2.0g/cm3以上であり、好ましくは2.5g/cm3以上、より好ましくは3.0g/cm3以上である。
正極と負極の間には、短絡を防止するために多孔膜(セパレータ)を介在させる。この場合、非水系電解液は多孔膜に含浸させて用いる。多孔膜の材質や形状は、非水系電解液に安定であり、かつ保液性に優れていれば、特に制限はなく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを原料とする多孔性シート又は不織布等が好ましい。
上記した本発明の非水系電解液二次電池の作動電圧は通常2V以上、6V以下の範囲である。
尚、下記実施例および比較例で得られた電池の各評価方法を以下に示す。
非水系電解液二次電池を、電極間の密着性を高めるためにガラス板で挟んだ状態で、25℃において、0.2Cに相当する定電流で4.2Vまで充電した後、0.2Cの定電流で3Vまで放電した。これを3サイクル行って電池を安定させ、4サイクル目は、0.5Cの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電を実施し、0.2Cの定電流で3Vまで放電して、初期放電容量を求めた。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
容量評価試験の終了した電池を、エタノール浴中に浸して体積を測定した後、25℃において0.5Cの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電した。その後、85℃で1日間保存した電池を十分に冷却させた後、エタノール浴中に浸して体積を測定し、保存前後の体積変化から発生したガス量を求めた。
次に、25℃において0.2Cの定電流で3Vまで放電させ、高温保存試験後の残存容量を測定し、初期放電容量に対する保存試験後の放電容量の割合を求め、これを高温保存後の残存容量(%)とした。
次に、25℃において0.5Cの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電を実施し、1Cの定電流で3Vまで放電して、高温保存試験後の1C放電容量を測定し、初期放電容量に対する保存試験後の1C放電容量の割合を求め、これを高温保存後の1C放電容量(%)とした。
次に、25℃において0.5Cの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電を実施し、−10℃において1Cの定電流で2.5Vまで放電して、高温保存試験後の−10℃での1C放電容量を測定し、初期放電容量に対する保存試験後の−10℃での1C放電容量の割合を求め、これを高温保存後の−10℃での1C放電容量(%)とした。
[負極の製造]
X線回折における格子面(002面)のd値が0.336nm、結晶子サイズ(Lc)が652nm、灰分が0.07重量%、レーザー回折・散乱法によるメジアン径が12μm、BET法による比表面積が7.5m2/g、アルゴンイオンレーザー光を用いたラマンスペクトル分析から求めたR値(=IB/IA)が0.12、1570〜1620cm−1の範囲にあるピークの半値幅が19.9cm−1である天然黒鉛粉末94重量部とポリフッ化ビニリデン6重量部とを混合し、N−メチル−2−ピロリドンを加えスラリー状にした。このスラリーを厚さ12μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、負極活物質層の密度が1.68g/cm3になるようにプレスして負極とした。
LiCoO290重量部、カーボンブラック4重量部及びポリフッ化ビニリデン(呉羽化学社製、商品名「KF−1000」)6重量部を混合し、N−メチル−2−ピロリドンを加えスラリーし、これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、正極活物質層の密度が3.2g/cm3になるようにプレスして正極とした。
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとジエチルカーボネートの混合物(容量比20:65:7:8)に、非水系電解液中の含有量としてビニレンカーボネート2重量部を混合し、次いで、十分に乾燥したLiPF6を1.0モル/リットルの含有割合となるように溶解して非水系電解液とした。
上記の正極、負極、及びポリエチレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正極負極の端子を突設させながら挿入した後、上記非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行い、シート状電池を作製し、高温保存特性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1の非水系電解液において、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとジエチルカーボネートの混合物(容量比20:65:7:8)に代えて、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとジエチルカーボネートの混合物(容量比20:70:7:3)を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、高温保存特性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1の非水系電解液において、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとジエチルカーボネートの混合物(容量比20:65:7:8)に代えて、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとジエチルカーボネートの混合物(容量比20:70:5:5)を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、高温保存特性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとジエチルカーボネートの混合物(容量比20:65:7:8)に、非水系電解液中の含有量としてビニレンカーボネート2重量部とジフルオロリン酸リチウム0.5重量%を混合した。次いで十分に乾燥したLiPF6を1.0モル/リットルの含有割合となるように溶解して調製した非水系電解液を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、高温保存特性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとジエチルカーボネートの混合物(容量比20:65:7:8)に、非水系電解液中の含有量としてビニレンカーボネート1重量部とフルオロエチレンカーボネート1重量%を混合した。次いで十分に乾燥したLiPF6を1.0モル/リットルの含有割合となるように溶解して調製した非水系電解液を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、高温保存特性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1の非水系電解液において、ビニレンカーボネートを混合しなかった以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、高温保存特性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1の非水系電解液において、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとジエチルカーボネートの混合物(容量比20:65:7:8)に代えて、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートの混合物(容量比20:25:55)を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、高温保存特性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1の非水系電解液において、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとジエチルカーボネートの混合物(容量比20:65:7:8)に代えて、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートの混合物(容量比20:40:40)を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、高温保存特性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1の非水系電解液において、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとジエチルカーボネートの混合物(容量比20:65:7:8)に代えて、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートの混合物(容量比20:70:10)を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、高温保存特性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1の非水系電解液において、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとジエチルカーボネートの混合物(容量比20:65:7:8)に代えて、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとジエチルカーボネートの混合物(容量比20:60:10:10)を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、高温保存特性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1の非水系電解液において、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとジエチルカーボネートの混合物(容量比20:65:7:8)に代えて、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとジエチルカーボネートの混合物(容量比20:50:20:10)を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、高温保存特性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
Claims (3)
- 電解質及びこれを溶解する非水溶媒を含む非水系電解液において、
該非水溶媒がエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びジエチルカーボネートを含有し、
全非水溶媒中に占める該エチレンカーボネートの含有割合が1容量%以上40容量%以下であり、
該ジメチルカーボネートの含有割合が35容量%以上85容量%以下であり、
該ジエチルカーボネートの含有割合が1容量%以上40容量%以下であり、
該エチルメチルカーボネートに対する該ジメチルカーボネートの容量比(ジメチルカーボネート/エチルメチルカーボネート)が9より大きい
ことを特徴とする非水系電解液。 - 更に、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物、フッ素原子を有する環状カーボネート化合物、モノフルオロリン酸塩、及びジフルオロリン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を含有している
ことを特徴とする請求項1に記載の非水系電解液。 - リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液電池であって、
該非水系電解液が請求項1または2に記載の非水系電解液である
ことを特徴とする非水系電解液電池。
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