JP2010111884A - スパッタリングカソード及びスパッタリング成膜装置 - Google Patents

スパッタリングカソード及びスパッタリング成膜装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ヒータなどの特別な加熱機構を必要とせず、通常の構造のスパッタリングカソード本体を使用して、液相状態に溶融したスパッタリングターゲットでスパッタリングすることが可能なスパッタリングカソードを提供する。
【解決手段】内部にマグネトロン磁気回路部2と冷媒流路4を設けたスパッタリングカソード本体1を有するスパッタリングカソードであって、スパッタリングカソード本体1のスパッタリングターゲット載置面上にスパッタリングターゲット6を収容する容器部材8を備えている。容器部材8の熱伝導率は100w/m・K以下であって、スパッタリングカソード本体1に印加される電位によりスパッタリングターゲット6を溶融させ、液相状態のスパッタリングターゲット6で成膜する。
【選択図】図2

Description

本発明は、マグネトロンスパッタリング法により、基板上に金属などの薄膜を成膜するためのスパッタリングカソード及びスパッタリング成膜装置に関する。
フレキシブル性を有する樹脂フィルムは容易に加工できるので、その表面に金属膜や酸化物膜を形成することによって、電子部品や光学部品、包装材料などとして広く産業界で用いられている。例えば、液晶ディスプレイのドライバ回路には、フレキシブル性と微細配線に対応する特性を持つフレキシブル配線基板によるCOF(Chip on Film)が採用されている。また、携帯電話などの小型電子機器にも、フレキシブル配線基板が使用されている。
ところで、COF用の基板やフレキシブル配線基板は、サブトラクティブ法等により、ポリイミドフィルム上に金属膜を積層して製造される。ポリイミドフィルム上に金属膜を積層する一般的な方法としては、スパッタリング法等によりポリイミドフィルムに銅等の金属薄膜を減圧雰囲気下で成膜した後、その銅薄膜上に銅を電気めっきする方法が知られている。
上記スパッタリング法による成膜には、例えば特許文献1に記載されるように、スパッタリングカソードを使用する。一般的なスパッタリングカソードは、図1に示すように、スパッタリングカソード本体1の内部に、ヨーク3上に設けた外側磁石2aと内側磁石2bとからなるマグネトロン磁気回路部2と、上方の開口部を熱伝導率の良い銅などの金属で作製された冷却板5又はバッキングプレートで覆って形成した冷媒流路4とを備えている。
スパッタリングターゲット6は冷却板5又はバッキングプレート上に載置され、外周部がクランプ7で固定されている。尚、従来のスパッタリングカソードにおいては、スパッタリングターゲットが固定されたバッキングプレートの裏面が冷却水に直接触れるようにバッキングプレートをスパッタリングカソード本体に固定するか、あるいは内部を流れる冷却水の冷媒流路を覆うようにスパッタリングカソード本体に設けた冷却板の上にターゲットを固定する構造になっている。
成膜の際には、スパッタリングカソード本体1に電源から電位を印加してArなどのスパッタリングガスをプラズマ化すると共に、一般的にマグネトロン磁気回路部2による磁場を利用してプラズマを局所的に高密度化し、負のバイアスの印加されたスパッタリングターゲット6から原料粒子をスパッタして、樹脂フィルムなどの基板上に成膜する。スパッタリングターゲット6はスパッタリングの熱により加熱されるため、外部から冷却水をスパッタリンカソード本体1の内部の冷媒流路4に導入して循環させることより冷却されている。
しかしながら、上記したマグネトロン磁気回路部による磁場を利用するマグネトロンスパッタリング法では、プラズマが局所的に発生することから、スパッタリングターゲット上におけるスパッタ発生領域も局在し、そのためエロージョンが発生してスパッタリングターゲットの一部が残ってしまい、利用効率が低くなることがランニングコストを大きくする原因の一つとなっていた。
エロージョンを回避する方法として、特許文献2には、スパッタリングターゲットを液相状態に加熱溶融した状態で成膜するための装置が開示されている。しかし、この成膜装置では、スパッタリングターゲットを液相状態に溶融する手段としてシースヒータのような加熱機構を備えることが必要であるため、通常のスパッタリングカソード本体が通常とは異なる特殊な構造としている。
更に、上記の成膜装置では、スパッタリングカソードの内部が、ターゲット加熱溶融用のシースヒータで加熱すると共に、成膜時の磁場強度の低下を防ぐため冷却水を循環させる構造となっている。このため、スパッタリングターゲットを加熱溶融した後、連続して若しくは直ちにスパッタリングカソードや磁石を冷却して成膜を開始することが困難であるという問題がある。
特開2003−328119号公報 特開2002−129315号公報
本発明は、上記した従来の事情に鑑み、スパッタリングターゲットを液相状態とするための特別な加熱機構を必要とせず、通常の構造のスパッタリングカソード本体を使用して、液相状態に溶融したスパッタリングターゲットでスパッタリングすることが可能なスパッタリングカソードを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者は、ヒータのような特別な加熱機構を用いることなく、通常の構造のスパッタリングカソード本体を使用して、スパッタリングターゲットを液相状態に溶融する方法について鋭意検討した結果、熱伝導率の高い容器にスパッタリングターゲットを入れてスパッタリングすれば、効率よく液相状態とし得ることを見出し、本発明を完成したものである。
即ち、本発明が提供するスパッタリングカソードは、内部にマグネトロン磁気回路部と冷媒流路を設けたスパッタリングカソード本体を有し、液相状態のスパッタリングターゲットでスパッタリング成膜を行なうスパッタリングカソードであって、該スパッタリングカソード本体のスパッタリングターゲット載置面上にスパッタリングターゲットを収容する容器部材を備え、該容器部材の熱伝導率が100w/m・K以下であり、上記スパッタリングカソード本体に印加される電位によりスパッタリングターゲットを液相状態とすることを特徴とする。
上記本発明のスパッタリングカソードにおいては、前記容器部材がタンタル、白金、マンガン、コンスタンタンから選ばれた少なくとも1種の金属ならなることが好ましく、その中でも特にタンタルが最も好ましい。
また、上記本発明のスパッタリングカソードでは、前記容器部材の外周が、前記スパッタリングカソード本体のスパッタリングカソード載置面から4〜5mmの高さにおいて、該スパッタリングカソード載置面と平行方向の磁束密度が18〜25mTである領域のうちの最も外側にあることが好ましい。
本発明は、また、上記した本発明のスパッタリングカソードを備えることを特徴とするスパッタリング成膜装置を提供するものである。
本発明によれば、基板に金属等の薄膜をスパッタリング法により成膜する際に、スパッタリングカソードを自身の発熱によって液状化させ、液相状態のスパッタリングカソードで成膜することができる。そのため、エロージョンの発生を防ぐことができ、スパッタリングターゲットの利用効率が上がり、省資源化となると共にランニングコストを下げることができる。しかも、スパッタリングターゲットを溶融するための特別な加熱機構を設ける必要がなく、通常のスパッタリングカソード本体の構造をそのまま利用することができる。
本発明のスパッタリングカソードを、図2を参照して詳しく説明する。尚、図2では、図1と同じ箇所には同じ符号を付してある。本発明のスパッタリングカソードは、スパッタリングカソード本体1の内部に、ヨーク3に固定した外側磁石2aと内側磁石2bによって構成されるマグネトロン磁気回路部2と、成膜中の磁場強度の低下を防ぐために冷却水を流す冷媒流路4を備え、マグネトロン磁気回路部2及び冷媒流路4を覆っている部分の上面がスパッタリングカソード載置面となっている。
スパッタリングカソード本体1の内部のマグネトロン磁気回路部2は、図3に示すように、ヨーク3上の外側と内側に配置されたサマリウム−コバルト磁石等によって構成され、外側磁石2aはS極及び内側磁石2bはN極となっている。尚、磁石の配置はスパッタリングターゲットの形状により適宜定めることができ、図3に示す円形に限定されるものではない。
また、スパッタリングカソード本体1の内部の冷媒流路4は、冷却水等の冷媒を供給し循環させることにより、マグネトロン磁気回路部2を冷却して磁場強度の低下を回避するためのものである。この冷媒流路4は、上方から冷却板5又はバッキングプレート等で覆われ、その覆っている部分の上面をスパッタリングカソード載置面として、その上にスパッタリングターゲット6を収容する容器部材8を載置する。
本発明のスパッタリングカソードでは、スパッタリングカソード本体1に電位を印加することにより、ヒータなどを使用しなくても、スパッタリングターゲット6が溶融して液相状態となる。即ち、スパッタリングカソード本体1に電位を印加することにより、Ar等のスパッタリングガスがイオン化され、このイオンが衝突することでスパッタリングターゲット6がスパッタリングされて発熱する。このとき、容器部材8の断熱性が高いため熱が逃げず、スパッタリングターゲット6が溶融されて液相状態となる。その後又は引き続きスパッタリングすることによって、液相状態のスパッタリングターゲット6での成膜が行なわれる。
上記容器部材は熱伝導率が100W/m・K以下であることが必要である。熱伝導率100W/m・K以下の容器部材を用いることで、ヒータ、誘導加熱、電子ビーム、レーザー照射などの特別な加熱機構を用いなくても、上記のごとくスパッタリングでの発熱のみによりスパッタリングターゲットを溶融させて液状化することが可能となる。容器部材の熱伝導率が100W/m・Kを超えると、イオンの衝突エネルギーで加熱されたスパッタリングターゲットの熱が逃げてしまうため、スパッタリングターゲットを溶融することができなくなる。尚、上記容器部材の熱伝導率はスパッタリングターゲットの溶融温度における値あるが、通常用いられる0℃ないし200℃での熱伝導率を参考に評価してもよい。
尚、通常のスパッタリングカソードにおいて、スパッタリングターゲットを載置するために一般的に使用されている冷却板やバッキングプレートは、銅などの熱伝導率が100W/m・Kを超える金属で作製されている。
また、当然のことではあるが、上記容器部材の材質は、スパッタリングターゲットを加熱溶融する際に軟化又は溶融しないように、融点がスパッタリングターゲットの融点よりも高いことが必要である。また、容器部材は、スパッタリングターゲットの電位を制御するため、導電性を有することが望ましい。更に、容器部材は、溶融したスパッタリングターゲットにより侵食されないように、ターゲット材と反応しないことが求められる。
上記した条件を考慮すると、本発明で使用する容器部材の材質としては、タンタル(Ta)、白金(Pt)、マンガン(Mn)、コンスタンタン(Cu−Niからなる合金)から選ばれた少なくとも1種の金属を好適に用いることができ、その中でも安価なタンタルが特に好ましい。
容器部材の外周は、スパッタリングターゲットの溶融を容易にするために、スパッタリングカソード載置面(具体的には冷却板又はバッキングプレートの上面)から4〜5mmの高さで、冷却板又はバッキングプレートと平行方向の磁束密度が18〜25mTである領域のうちの最も外側にあることが望ましい。
スパッタリングターゲットの中心からの位置と磁束密度の絶対値の関係を図4に示す。この図4に示すように、磁束密度は局所的に強弱があるため、容器部材の外周が磁束密度25mTを超える位置にあるとスパッタリングカソード本体や容器部材が溶融する恐れがあり、磁束密度18mT未満の位置ではスパッタリングターゲット全体が溶解するまでの時間が長くなり効率的でない。
更に、容器部材の厚みは50μm以上が望ましい。厚みが50μmよりも薄い場合には、繰り返し使用すると穴が開きやすく、溶融したスパッタリングターゲットが容器部材から漏れて冷却されているスパッタリングカソード本体に直接触れることにより、スパッタリングターゲットが固まってしまうからである。
尚、容器部材の内部に熱伝対を配置し、冷却水などの冷媒の流量を調節することによって、液相状態のスパッタリングターゲットの温度を制御してスパッタリングを安定させることが可能である。また、冷媒として水のほかエチレングリコールなどの溶媒とすることによって、より安定してスパッタリングターゲットの温度を一定に保つことが可能となる。
本発明のスパッタリングカソードでは、従来から一般に使用されているタイプのスパッタリングカソード本体をそのまま利用することが可能である。即ち、ヒータのような特別な加熱機構を設置する必要がなく、スパッタリングカソード本体のスパッタリングターゲット載置面上に容器部材を配置するだけでよい。特別な加熱機構、例えば誘導加熱、電子ビーム、レーザー照射などのスパッタリングターゲットの溶融手段を採用すると、そのために別の電源等が必要となり、スパッタリングカソードや成膜装置の大掛かりな改修が必要となる。
次に、本発明のスパッタリングカソードを用いたスパッタリング成膜装置及び成膜方法について、図5を参照して説明する。図5の装置はロールコーター式のスパッタリング成膜装置であるが、本発明のスパッタリングカソードは枚葉式(バッチ式)のスパッタリング成膜装置にも用いることができる。尚、図5では、図2と同じ箇所には同じ符号を付してある。
本発明のスパッタリング成膜装置は、公知のスパッタリング成膜装置におけるスパッタリングカソードの代わりに、上記した本発明のスパッタリングカソードに置換した構造のものである。例えば、図5のスパッタリング成膜装置は、真空チャンバー11を備え、その真空チャンバー11内に、本発明のスパッタリングカソード10と共に、構成部品のほとんどが収納されている。真空チャンバー11は直方体状でも円筒状でも良く、その形状は問わないが、10−4〜1Paの範囲の減圧状態に保てればよい。
真空チャンバー11内には、本発明のスパッタリングカソード10のほか、基板である長尺樹脂フィルム12を巻き出す巻出ロール13、スパッタリング成膜の際に長尺樹脂フィルム12を冷却するキャンロール14、成膜された長尺樹脂フィルム12を巻き取る巻取ロール15などを備えている。尚、スパッタリングカソード10に対し、基板の長尺樹脂フィルム12をアノードとすることや、真空チャンバー11の内壁をアノードとすることは適宜選択することができる。
また、真空チャンバー11には、真空ポンプにつながる真空排気管16、スパッタリングガスが導入されるガス導入管17が設けてある。スパッタリングガスは、放電の電子によりイオン化してプラズマを形成するものであり、アルゴンなど公知のガスを用いることができる。スパッタリングスカソード10と基板である長尺樹脂フィルム12との位置関係は、不活性ガスのプラズマが発生する領域内であれば適宜選択することができる。尚、真空排気管16及びガス導入管17は、公知の圧力計や流量計などの測定器を備えている。
上記スパッタリングカソード10は、スパッタリングカソード本体1と、スパッタリングターゲット載置面上に載置したスパッタリングターゲット6の容器部材8を備えている。また、スパッタリングカソード本体1は、マグネトロン磁気回路部2及び冷却水を流す冷媒流路4を備え、外部の直流電源に接続されている。
図5のスパッタリング成膜装置を用いた成膜方法の一例は次の通りである。まず、真空チャンバー11内を10−3Paまで減圧する(この減圧を到達圧力という)。次に、真空チャンバー11内に0.1〜1Paとなるように不活性ガスを導入し、スパッタリングカソード本体1にスパッタリングターゲット6の溶融に適した電位、例えば−520〜−620Vの電位を印加して、容器部材8内のスパッタリングターゲット6を全て溶融させる。
その後、成膜に適した所定の電位、例えば−520〜−620Vをスパッタリングカソード本体1に印加しながら、容器部材8内の液相状態のスパッタリングターゲット6でスパッタリングすることにより、基板である長尺樹脂フィルム12に成膜することができる。尚、真空チャンバー11の圧力が0.1Pa未満では不活性ガスのプラズマ中のイオンが少なくなり成膜が安定せず、1Paを超えるとプラズマが拡散するので膜中への不純物汚染の問題が生じる。
上記したロールコーター式のスパッタリング成膜装置の場合、基板の長尺樹脂フィルムを移動させながら、スパッタによりスパッタリングターゲットを全て溶融させ、引き続いて成膜を実施し、成膜の終了後、スパッタリングターゲットの溶融時に成膜された部分の長尺樹脂フィルムを切断廃棄すればよい。
また、枚葉式(バッチ式)のスパッタリング成膜装置の場合には、容器部材の上に開閉可能なシャッターを設け、スパッタリングターゲットを全て溶融させた後、シャッターを開いて成膜を実施すればよい。尚、ロールコーター式のスパッタリング成膜装置にも、容器部材の上に開閉可能なシャッターを設置することもできる。
一般的に、マグネトロン磁気回路部による磁場を利用するスパッタリング法においては、固体のスパッタリングターゲットで成膜すると、プラズマが局所的に発生することからスパッタリングターゲット上でのスパッタ発生領域も局在し、エロージョンが発生する。また、固体のスパッタリングターゲットでは、表面に微小な凹凸が存在し、内部には微小な空間(巣)が存在するため、その部分から成膜中に異常放電が起き、得られる膜にドロップレットが発生していた。尚、ドロップレットが発生した場合、膜表面の粒子が付着して凸状になり、概観不良やICチップとの接触不良になるなどの問題が生じる。
一方、本発明のスパッタリングカソードを使用すれば、スパッタリングターゲット全体が溶融した液相状態でスパッタリングを行なうので、上記したエロージョン及びドロップレットの発生を防ぐことができる。ただし、前述のように固体のスパッタリングカソード全体が溶融するまでの間はドロップレットが発生しやすいため、その間の成膜部分を廃棄するか、シャッターを設けてドロップレットの付着を防止し、全体が溶融して異常放電が発生しなくなった後(即ち、スパッタリング電流が安定した後)シャッターを開くことで、ドロップレットのない良好な膜を得ることができる。
本発明のスパッタリングスパッタリングカソードは、COF用基板やフレキシブル配線基板の製造におけるポリイミドフィルムなどの樹脂フィルム基板への成膜のほか、プラズマディスプレイパネルや液晶ディスプレイパネル等のディスプレイデバイス、あるいは半導体等のデバイスの製造において、ガラス基板、セラミックス基板、シリコン基板などへの成膜にも利用することができる。
[実施例]
図2のスパッタリングカソードを備えた図5のスパッタリング成膜装置を用いて、基板である巾500mm及び厚み25μmの長尺樹脂フィルム(東レ・デュポン社製、登録商標カプトン)に銅薄膜を成膜した。
即ち、スパッタリングカソード10のスパッタリングカソード本体1の冷却板上に容器部材8を載置し、この容器部材8にスパッタリングターゲット6として直径86.5mm×厚み8mmの円盤状の無酸素銅(99.99%)を収容した。その際、容器部材8として厚さ150μmのTa箔を凹状にして用い、スパッタリングターゲット6である円盤状無酸素銅のターゲット面以外の部分を被った。
スパッタリング真空成膜装置の真空チャンバー11内を、2×10−4Pa以下まで減圧して到達圧力とした。次に、真空チャンバー11内に、Arガスを0.2Paとなるまで導入した。その後、長尺樹脂フィルム12を移動させながら、スパッタリングカソード本体1に−600Vとなる電位を印加して、スパッタリングターゲット6を全て溶融させた。
スパッタリングターゲット6が全て溶融して液相状態となった後、引き続き長尺樹脂フィルム12を移動させながら、スパッタリングカソード本体1に−550Vの電圧を印加して、長尺樹脂フィルム12上に連続的に銅の成膜を行なった。成膜の終了後、スパッタリングターゲット6が全て溶融するまでに成膜された部分を切断除去して、長尺のフレキシブル銅配線基板を得た。
得られたフレキシブル銅配線基板の銅薄膜について、光学顕微鏡を用いて任意の1mm四方の領域10箇所を観察したところ、ドロップレットが1個だけ確認された。製品の外観検査では、ドロップレットは観察されなかった。また、製品の色と艶などを目視で確認したところ銅色を示し、従来方法のものと何ら変わりはなかった。
[比較例]
上記したTa箔の容器部材を使用せず、無酸素銅のスパッタリングターゲットをスパッタリングカソード本体の冷却板上にクランプで固定したこと以外は上記実施例と同様にして、同じ長尺樹脂フィルム(東レ・デュポン社製、登録商標カプトン)に銅薄膜を成膜した。
その結果、スパッタリングターゲットにはエロージョンの発生が認められた。また、ドロップレットの有無について光学顕微鏡を用いて任意の1mm四方の領域10箇所を観察したところ、ドロップレットが合計120個確認された。尚、製品の色と艶などを目視で確認したところ、銅色を示し問題はなかった。
上記の実施例と比較例から分るように、スパッタリングターゲットが溶融した液相状態でスパッタリングする実施例では、エロージョンが発生せず、また、スパッタリングターゲット内部に介在する巣の影響を受けないため、成膜中の異常放電がなくなり、ドロップレットの発生をほとんどなくすことができた。一方、固相状態のスパッタリングターゲットでスパッタリングする比較例では、エロージョンが発生するだけでなく、固相状態のスパッタリングターゲットの内部に微小な巣が存在するため、異常放電が発生し、成膜面に多くのドロップレットが観測された。
従来のスパッタリングカソードを示す概略の断面図である。 本発明のスパッタリングカソードを示す概略の断面図である。 マグネトロン磁気回路部の磁石配置の一例を示す概略の正面図である。 スパッタリングターゲットの中心からの距離と磁束密度の絶対値との関係を示すグラフである。 本発明のスパッタリングカソードを用いた成膜装置の具体例を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1 スパッタリングカソード本体
2 マグネトロン磁気回路部
2a 外側磁石
2b 内側磁石
3 ヨーク
4 冷媒流路
5 冷却板
6 スパッタリングターゲット
7 クランプ
8 容器部材
10 スパッタリングカソード
11 真空チャンバー
12 長尺樹脂フィルム
13 巻出ロール
14 キャンロール
15 巻取ロール
16 真空排気管
17 ガス導入管

Claims (5)

  1. 内部にマグネトロン磁気回路部と冷媒流路を設けたスパッタリングカソード本体を有し、液相状態のスパッタリングターゲットでスパッタリング成膜を行なうスパッタリングカソードであって、該スパッタリングカソード本体のスパッタリングターゲット載置面上にスパッタリングターゲットを収容する容器部材を備え、該容器部材の熱伝導率が100w/m・K以下であり、上記スパッタリングカソード本体に印加される電位によりスパッタリングターゲットを液相状態とすることを特徴とするスパッタリングカソード。
  2. 前記容器部材がタンタル、白金、マンガン、コンスタンタンから選ばれた少なくとも1種の金属ならなることを特徴とする、請求項1に記載のスパッタリングカソード。
  3. 前記容器部材の外周が、前記スパッタリングカソード本体のスパッタリングカソード載置面から4〜5mmの高さにおいて、該スパッタリングカソード載置面と平行方向の磁束密度が18〜25mTである領域のうちの最も外側にあることを特徴とする、請求項1又は2に記載のスパッタリングカソード。
  4. 前記容器部材の上に、開閉可能なシャッターを備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のスパッタリングカソード。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のスパッタリングカソードを備えることを特徴とするスパッタリング成膜装置。
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