JP4698055B2 - 高周波マグネトロンスパッタリング装置 - Google Patents

高周波マグネトロンスパッタリング装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高周波マグネトロンスパッタリング装置に関し、特に、半導体製造工程において基板上に薄膜形成を行う高周波マグネトロンスパッタリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体デバイスの高集積化に伴って集積回路を形成する金属配線の配線幅は配線間隔等の寸法が縮小化されつつある。この配線寸法の縮小は、三次元的な配線の結線を行う接続孔の微細化が伴う。微細な接続孔の内部への金属材料の埋め込み方法としては、高周波マグネトロンスパッタリング装置によるバリア膜や電解メッキによるCu埋め込み用のシード層が行われている。バリア膜として金属チタン、窒化チタン、金属タンタル、窒化タンタル等が用いられる。
【0003】
図4を参照して従来の高周波マグネトロンスパッタリング装置の一例を説明する。この従来装置では、外部に設けた排気機構101によって内部が所要レベルまで減圧された容器102が設けられる。この容器102は処理チャンバを構成する。容器102の上壁102aには開口部103が形成され、当該開口部103を塞ぐごとく円板状の上部電極104が気密性を保持して取り付けられている。上部電極104と上壁102aとの間にはシール性を有したリング状絶縁体105が取り付けられる。接地されゼロ電位に保持された容器102と、上部電極104との間は、絶縁体105によって電気的に隔離されている。上部電極104には高周波電力供給機構106から高周波電力が供給される。上部電極104の下面には円板状のターゲット107が固定されている。ターゲット107は比較的に広い面積を有し、かつ実質的に図中水平状態にて配置されている。ターゲット107の裏面側、さらには上部電極104の裏面側には、ヨーク板108に固定され所望の配列にて配置された複数の磁石109が設置されている。磁石109やヨーク板108を固定するための構造の図示は省略されている。
【0004】
容器102には円筒形の側壁部102bと底部102cが備えられている。容器102の内部には基板ホルダ112が配置されている。基板ホルダ112は、その支柱部112aが底部102cに固定され、上部に基板を載置するための絶縁体板113を有している。絶縁体板113は上記ターゲット107に対向するように配置されている。絶縁体板113の上に基板114が載置されている。基板ホルダ112は接地されている。基板ホルダ112の上部の外周部には段差部が形成されている。基板ホルダ112の上部の周囲には基板ホルダへの膜付着を防止する基板ホルダシールド115が取り付けられている。容器102の側壁部102a、上側縁部、下側縁部の内周面を覆うごとく略円筒形のチャンバシールド116が配置されている。チャンバシールド116には上縁と下縁に内方に延びる鍔が形成されている。チャンバシールド116は、図示しない支持構造によって固定されている。チャンバシールド116は容器102の側壁部102a等の内面の膜付着を防止する。
【0005】
上記において、容器102、基板ホルダ112、チャンバシールド116は接地電位に保持されている。また容器102の側壁部102bの下部には、ガス導入ポートが形成され、このガス導入ポートは配管118とバルブ119を介してガス供給機構120に接続されている。ガス供給機構120からはArやN2の不活性ガスが容器102内に導入される。ターゲット107には、高周波電力供給機構106から上部電極107を経由して13.56MHzから300MHzの高周波が印加される。
【0006】
上記の高周波マグネトロンスパッタリング装置において、成膜時には、図示しない基板搬送機構によって、基板114が基板ホルダ112の上に載置され、容器102が密閉された状態でガス供給機構120によってバルブ119、配管118を通して容器102の内部に一定流量のAr(アルゴン)ガスまたはArガスと窒素ガスの混合ガスが導入され、容器102の内部は一定の圧力に保持される。次にターゲット107を固定する上部電極104に一定電力の高周波電力が与えられ、容器102内にはプラズマが生成され、ターゲット107がスパッタリングされ、基板ホルダ112上に固定された基板114上に所望の膜が形成される。特に成膜圧力は数10mTorrから300mTorrの間に設定されるが、この圧力ではターゲットからスパッタされた金属原子が電子との衝突により金属イオンとなる。印加される高周波電力の周波数が高い場合には、電子密度が高くなり、金属スパッタ原子のイオン化率も高くなる。圧力が高いほど、衝突頻度が高くなるので、イオン化率は高くなる。基板114が絶縁体板113上に置かれているため、基板114には自己バイアス電圧が加わる。スパッタ金属イオンは、基板114とプラズマの間に形成されたシースに発生する自己バイアス電圧によって基板表面に垂直に加速される。その結果、金属イオンの基板への入射角度が垂直となり、微細孔の内部においても段差被覆性のよい成膜を行うことができる。
【0007】
また関連する先行技術文献として特開平11−87245号公報を挙げることができる。この公開公報に開示される発明は、品質の良いスパッタリングを行うことのできるスパッタリング装置に関する。そのため、このスパッタリング装置では、成膜中の基板の温度管理を精度良く行えるように、基板ホルダを、ヒータを含む複数の金属ブロックを有するように構成し、これらの金属ブロックを拡散接合して結合し、その熱伝導性および気密性を良好なものにしている。ターゲットの裏面側には磁石が配備され、マグネトロンスパッタリング装置として構成されており、当該ターゲットには直流のカソード電源が接続され、直流電力が供給されるようになっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来の高周波マグネトロンスパッタリング装置は、次のような問題を有する。プラズマ中で生成されるArイオンや窒素イオンまたは金属イオンは、シース電圧によって加速され、大きなエネルギで基板114に入射するため、基板が加熱され、基板温度が上昇する。高周波マグネトロンスパッタリングにおいては、絶縁された状態にある基板114にセルフバイアス電圧が生じるため、通常の直流スパッタリングよりもシースに掛かる電圧が高くなり、入射イオンのエネルギは高くなる。さらに高周波によってプラズマ密度が高くなると、入射イオン量が増大し、基板温度はよりいっそう高くなる。このように基板114の温度が上昇すると、基板上に形成される膜の質に大きな影響が与えられる。すなわち、温度に依存して結晶配向や膜組織が変化し、あるいはCu膜のように温度が上昇すると、凝集が起きるなど膜の形成が不安定になるという問題が起きる。
【0009】
上記の特許公開公報に開示される発明による構造が適用されるスパッタリング装置は、特に高周波マグネトロンスパッタリング装置であることを想定していない。従って上記した高周波マグネトロンスパッタリング装置での問題を解決するための策を提案しているものではない。
【0010】
本発明の目的は、上記問題を解決し、基板上での膜形成において高い生産性を有し、かつ安定した膜形成を行うことができ、歩留まりが高い高周波マグネトロンスパッタリング装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段および作用】
本発明に係る高周波マグネトロンスパッタリング装置は、上記の目的を達成するために、次のように構成される。
【0012】
本発明に係る高周波マグネトロンスパッタリング装置(請求項1に対応)は次の構成を有する。前提構成として、排気機構により内部が減圧された容器を有する。さらにこの容器において、裏面側に磁石が配置されたターゲットと、ターゲットに対向する位置に設けられた基板ホルダと、容器の内部にガスを供給するガス供給機構と、ターゲットに高周波を与える高周波供給機構と、基板ホルダに内蔵される静電吸着機構とを備えている。上記の高周波マグネトロンスパッタリング装置において、さらに、基板ホルダは、拡散接合により結合された2枚のプレートから成る上部部材と、この上部部材に機械的に結合された下部部材と、上部部材の上に配置された静電吸着板を備え、さらには冷却装置を内蔵して構成されることで特徴づけられる。
【0013】
上記の構成によれば、基板ホルダの上部部材を形成する上プレートと下プレートとが拡散接合に強固に結合され、かつこの結合構造および静電吸着による構造によって熱伝導が良好な状態に維持され、さらに基板ホルダ内に冷却機構を内蔵するようにしたので、基板ホルダを適切な冷却された温度に保ち、さらには基板に発生した熱を効率良く基板ホルダに逃がすようにしたため、基板の温度上昇を抑制し、基板温度を適切な温度に維持することができる。
【0014】
上記の構成において、好ましくは、上記冷却装置は、上部部材と下部部材からなる構造部の内部に温度制御用液体(冷却溶媒)を流すための流路を形成して構成されることを特徴とする(請求項2に対応)。この構成によって、基板ホルダに内蔵される冷却装置は、冷却溶媒を流すための流路を設けるだけで実現することができる。さらに上部部材は2枚のプレート部材から構成し、一方のプレート部材に上記液体を流す溝を形成し、他方のプレート部材を一方のプレート部材に拡散接合で結合することにより、上記の流路を上部部材の内部に形成することが好ましい(請求項3に対応)。この場合において、上記の流路で短絡部が生じないように溝以外の部分で2枚のプレート部材は接合される。
【0015】
上記の構成において、好ましくは、容器の外部に設けられた液体温度制御装置により液体の温度を−50℃から150℃の範囲に含まれる一定温度に制御することを特徴とする(請求項4に対応)。基板ホルダの温度を適切な温度状態(相対的に冷却状態)に保持するために、冷却用液体の温度は所望の温度範囲に含まれる温度に設定される。
【0016】
上記の構成において、好ましくは、基板ホルダの上部部材と静電吸着板は低融点金属材料によるロー材により接合されることを特徴とする(請求項5に対応)。この構成によって、上部部材と静電吸着板との間の結合を確実にすると共に、熱伝導性も良好なものに保持する。
【0017】
上記の構成において、好ましくは、静電吸着板の上に基板が搭載され、かつこの基板と静電吸着板の間に不活性ガスを導入する構造を設けたことを特徴とする(請求項6に対応)。この構成によって、基板と静電吸着板の間の隙間に伝熱ガスとして作用する不活性ガスを導入して、基板で発生する熱を基板ホルダ側に効率良く逃がすことが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。なお図面で示された内容は、当業者であれば、本発明を理解できかつ実施できる程度に概念的に示すものである。従って図示された装置の各部のサイズ、壁部の厚み等は厳密には正確なものでない。
【0019】
図1に従って本発明に係る高周波マグネトロンスパッタリング装置の実施形態を説明する。処理チャンバを構成する容器11は、上壁としてのリング状天井部11aと、円筒形の側壁部11bと、底部11cとから成る。容器11は、導電性部材で作られており、通常、接地されて接地電位に保持されている。天井部11aの開口部12には円板状上部電極14が、当該開口部を塞ぐごとくリング状絶縁体15を介して電気的絶縁状態で取り付けられている。上部電極14の下面(内側面)には板状ターゲット16が固定されている。ターゲット16は、スパッタリングされて基板の上に堆積される物質で作られている。
【0020】
上部電極14には高周波電力供給機構18から高周波電力が供給される。高周波電力の周波数は例えば13.56〜300MHzである。この高周波の電力はターゲット16に供給される。上部電極14の裏面側、すなわちターゲット16の裏面側には、望ましい配列にある複数の磁石(マグネット)19と、これらを固定し支持するヨーク板20が配置される。ヨーク板20を支持する構造の図示は省略されている。磁石19とヨーク板20は、容器11の内部であってターゲット16の前面空間に望ましい磁束分布を作るための磁気回路部を形成する。
【0021】
容器11の側壁部11bには排気ポート21が形成される。この排気ポート21を介して外部の排気機構22が接続されている。容器11の内部は、排気機構22による排気作用で、所要の減圧レベルに保持される。また側壁部11bには、ガス導入ポートが形成され、これには配管23とバルブ24を介してガス供給機構25が接続されている。ガス供給機構25によればAr(アルゴン)やN2(窒素)のガスが供給される。
【0022】
容器11の内部には略円筒形をしたチャンバシールド26が設けられる。チャンバンシールド26は、容器11の側壁部11bの内周面に沿う部分と、上端と下端の全周に沿う鍔部とから形成されている。チャンバシールド26の上端鍔部はターゲット16の外周囲に位置し、下端鍔部は後述する基板ホルダ41の外周囲に位置している。なおチャンバシールド26は、通常、接地されて接地電位に保持されている。
【0023】
容器11の内部の下側には基板ホルダ41が設けられている。基板ホルダ41の上面に基板42が搭載される。基板ホルダ41は、熱伝導度の高いAl(アルミニウム)系材料で作られている。基板ホルダ41は、拡散溶接によって接合された上プレート43aと下プレート43bから成る円板状の上部部材43と、円板状の下部部材44を備える。上プレート43aと下プレート43bは拡散接合により良好な熱伝導状態に保持されている。重ね合せて配置された上部部材43と下部部材44は例えばネジ45のごとき機械的構造で結合されている。下部部材44の支柱部44aが、容器11の底部11cに取り付けられることにより、基板ホルダ41は容器11の内部に固定される。基板ホルダ41の上面は、前述のターゲット16に対して略平行な状態で対向している。
【0024】
次に基板ホルダ41に設けられた冷却装置を説明する。この冷却装置は、プラズマからのイオン入射によって基板42が加熱され、その温度が上昇するのを防止する装置である。
【0025】
上部部材43の内部には一本状につながった状態の流路46が形成されている。この流路46の両端部は、それぞれ、下部部材44の支柱部44aを通って垂直な方向に設けられた溶媒配管47,48に接続されている。溶媒配管47,48の外端部分はさらに外部に延設され、溶媒供給機構49に接続されている。溶媒供給機構49は、上記流路46に対して溶媒を供給すると共に当該溶媒(液体)の温度制御を行う機能を有する。溶媒供給機構49から供給される溶媒の温度は−50℃から150℃の範囲に含まれる一定温度に制御されている。どの温度に制御するかは、目的に応じて決められる。溶媒供給機構49から基板ホルダ41に供給される溶媒は、溶媒配管47,48、流路46を循環して流れる。これによって基板ホルダ41の温度を所望の温度に保持する。
【0026】
上記流路46は、溶媒の流れについて淀みが生じないように作られていることが望ましい。流路46の平面形状を図3に示す。図3に示すごとく、通常、流路46は渦巻き状の形状を有している。基板ホルダ41内の流路46を形成する溝は、溶媒と基板ホルダ41の接触面積が最大限とることができるように形成される。特に、この実施形態では、基板ホルダ41における強度的に可能な範囲で、基板ホルダ41の厚さ方向に最大限とれる高さと、溶媒の流量から計算される溝を流れる溶媒の流速、すなわち、単位時間あたりの流量を溝断面積で割った値と、溶媒の動粘性係数との比であるレイノルズ数が約2000以下であり、乱流にならない程度の溝断面積になるような幅になっている。また溝断面積は、一方で、内部に供給される溶媒の流量が十分多量に流れるような広さを持つことが望ましい。本実施形態では、溶媒が水(粘性係数:1E−6m2/sec)の場合、流量が2〜4l/minであり、溝の高さが10mm、幅が4mmである。この場合、レイノルズ数は1000〜1500となる。
【0027】
基板ホルダ41の内部には熱電対50が設けられ、熱電対50によって基板ホルダ41の温度が検出される。上記のごとく溶媒の温度は溶媒供給機構49によって制御されるが、より正確に制御するために、熱電対50で基板ホルダ41の温度をモニタし、温度制御部51と帰還回路52を通して、溶媒供給機構機構49に基づく温度制御にフィードバックさせる。
【0028】
基板ホルダ41の上部部材43の上には基板42を固定するための静電吸着機構が設けられる。この静電吸着機構は、図1、および部分的に拡大して示された図2に示すごとく、上部部材43の上に固定される一定の厚みを有する静電吸着板61と、その内部に埋設された静電吸着電極62とから構成されている。静電吸着板61は、例えば窒化アルミニウムや酸化アルミニウム等の誘電体で作られている。静電吸着電極62には、絶縁管63により保護された電極棒64が電気的に接続されている。絶縁管63は、電極棒64を、周囲の部分と電気的に絶縁させる。電極棒64の外側端部は静電チャック電圧制御機構65に接続されている。かかる電極棒64によって、静電吸着電極62に静電吸着(静電チャック)のための電圧が印加される。
【0029】
静電吸着板61は、基板ホルダ41の上部部材43の上面に、低融点の金属、例えばインジウム系の合金材料を用いて溶着にて接合されている。この接合によって基板ホルダ41と静電吸着板61との間の熱伝導は極めて良好になり、容器11の内部の減圧雰囲気においても基板ホルダ41と静電吸着板61の温度は同一となる。静電吸着板61によって固定される基板42も同様に基板ホルダ41と同様な温度となる。特に静電吸着板61との間に形成される基板42の裏面空間にAr(またはHe等)の不活性ガスを流すことにより熱伝導性を高めることが望ましい。図示例では、静電吸着板61の表面に溝66やエンボス加工が施され、基板41と静電吸着板61の間に上記裏面空間が形成される。溝66にはバルブ67を備えたガス供給配管68が接続されている。このガス供給配管68を通してガス供給機構69から溝66に上記のArガスが導入される。
【0030】
上記の構成に基づけば、成膜中に基板42がイオン衝撃を受けて加熱されたとしても、基板42から静電吸着板61や基板ホルダ41に熱が良好に伝導し、基板42に与えられる熱が速やかに基板ホルダ41に逃げるので、基板の温度は上昇しないか、または或る一定以上の温度上昇が生じない。さらに基板ホルダ41における上記冷却装置の構造に基づいて冷却効率が良好であるので、基板ホルダ41と電着吸着板61の温度が成膜後非常に急速に溶媒による設定温度に回復する。また基板ホルダ41の下部部材44は接地されているので、下部部材44と上部部材43は接地電位に保持されており、基板ホルダ41は電気的に安定な状態に保持されている。
【0031】
基板ホルダ41において、基板42および静電吸着板61の周囲に配置されるリング形状の外周シールド71と、この外周シールド71の下側に位置し径方向の外方に延びる鍔72aを有する下部シールド72とが設けられる。外周シールド71と下部シールド72は、段付きリング形状を有し、基板ホルダ41への膜の付着を防止している。外周シールド71と下部シールド72との間にはシールド絶縁体73が設けられており、外周シールド71は電気的にフローティング(浮遊)状態に維持されている。外周シールド71をフローティング状態に維持することにより、基板42の端部で膜剥がれが生じたとしても、異常放電が起こるのを防止することができる。
【0032】
なお容器11の天井部、側壁部、底部等の外面には容器11を冷却するための冷却ジャケットを付設することもできる。
【0033】
基板ホルダ41の下部部材44の支柱部44aの下端にはボックス75が取り付けられている。ボックス75の内部には、下部部材44の支柱部44Aの下端から引き出される前述の溶媒配管47,48、熱電対50に接続される電気配線、電極棒64に接続される配線、ガス供給配管68等が収容されている。ボックス75には、溶媒配管47,48を取り付けるための接続管76が取り付けられる。接続管76には結露防止材77が付設されている。なおボックス75には乾燥窒素(N2)供給機構78が付設され、これによりボックス75の内部には乾燥窒素が充填された状態に保持されている。
【0034】
上記の構成において、基板成膜前に、図示されない基板搬送機構によって基板42が容器11内に搬入され、基板ホルダ41の静電吸着板61の上に搭載される。静電吸着電極62に所要の電圧が印加されると、静電吸着力が作用し、基板42は基板ホルダ41の上に固定される。次にガス供給機構25によって、配管23とバルブ24を通して一定流量のArガス、またはArガスと窒素ガスの混合ガスが導入され、容器11内は一定の圧力に保持される。次にターゲット16に結合された上部電極14に一定電力の高周波電力が印加され、高周波マグネトロンの作用に基づき容器11内のターゲット16と基板ホルダ41の間にプラズマが生成され、プラズマによってターゲット16がスパッタリングされ、基板42の上に所望の薄膜が形成される。特に成膜圧力は数10mTorrから300mTorrの間に設定されるが、この圧力ではターゲット16からスパッタされた金属原子が電子や励起されたAr原子との衝突により、金属イオンとなる。印加される高周波電力の周波数が高い場合には、電子密度が高くなり、金属スパッタ原子のイオン化率は高くなる。成膜圧力が高いほど衝突頻度が高くなるので、イオン化率も高くなる。スパッタ金属イオンは、基板42とプラズマの間に形成されるシースにおいて、シースに掛かる電圧によって基板42の表面に垂直になるように加速される。その結果、金属イオンの基板42への入射角度が垂直になり、基板表面上の微細孔の内部にも段差被覆性が良好な状態で成膜を行うことが可能となる。
【0035】
プラズマによるターゲット16のスパッタリングに基づく基板42への成膜において、上記のごとく金属イオンは、基板42の近傍に生じるシース電圧によって加速され、基板42に対して垂直に入射する。しかし、高周波スパッタリングの場合には、特に、基板42が絶縁性の静電吸着板61上にあるため、基板表面のシースにはセルフバイアス電圧が生じ、通常の直流スパッタリングよりも高い電圧のシースが掛かり、イオンの入射エネルギが高くなる。その結果、高周波マグネトロンスパッタリングの場合には、直流スパッタリングよりもイオン入射による基板42の加熱が激しく、基板42上の膜形成により大きな影響を与える。そこで、基板42の温度を一定以下の温度に保持するため、基板ホルダ41の内部に上記のごとく冷却装置が設けられる。
【0036】
以上のごとく本実施形態による高周波マグネトロンスパッタリング装置では、前述の構成に基づきプラズマからのイオン入射による基板42の温度上昇を防止するようにしている。すなわち、成膜中にイオン衝撃による加熱があったとしても、基板42から静電吸着板61、静電吸着板61から基板ホルダ41への熱伝導が良好であるため、基板42に入射する熱が速やかに基板ホルダ41に逃げ、基板温度の上昇を防止し、或る一定以上の温度上昇を生じさせない。また冷却の効率が良好なため、基板ホルダ41および静電吸着板61の温度が成膜後に非常に急速に溶媒の設定温度に回復する。基板ホルダ41の下部部材44は接地されているので、下部部材44および上部部材43は接地電位に保持され、容器11やシールド部材と同様に電気的に安定な状態にある。
【0037】
また本実施形態では、溶媒供給機構49から流路46に供給される溶媒が露点以下の温度で供給される場合にはその近傍に配置される電気配線等が露結するおそれがあるので、前述のごとく乾燥窒素が充満されたボックス75を取り付けている。これにより、例えば−50℃まで安定した装置の稼動を補償することができる。
【0038】
本実施形態で説明された上記の高周波マグネトロンスパッタリング装置において典型的な成膜条件は、次の通りである。
【0039】
ターゲット16は銅(Cu)であり、基板42の上にCu膜を形成する場合において、基板ホルダ41の温度は−50℃、Arガスを導入し、成膜圧力が10〜300mToor、60MHzの高周波電力は2〜10kW、基板42とターゲット16の間の距離は50〜150mmである。なお高周波電力の周波数は、13.56〜300MHzの範囲に含まれる周波数に変更することができる。
【0040】
上記の成膜条件の下で高周波マグネトロンスパッタリングによる成膜を行ったところ、基板は成膜中においても50℃以下に保たれ、基板上に形成されたCu膜は凝集もなく、微細孔の内部に良好な被覆段差性(ステップカバレッジ)で成膜が行われ、底部の被覆段差性は40%で微細孔側壁の極薄い薄膜においても凝集は見られなかった。さらに複数枚連続に成膜をおこなっても、同様な結果が、基板枚数に関係なく、得ることができた。
【0041】
前述の実施形態の説明は本発明の好ましい具体例を明らかにしたものであり、本発明は前述の実施形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲から逸脱しない限りにおいて任意に変更することができるものである。
【0042】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように本発明によれば、ターゲットをスパッタリングして基板上に膜を堆積させる高周波マグネトロンスパッタリング装置において、静電吸着機構で基板を固定する基板ホルダ内であって、基板ホルダに含まれる上部電極を拡散接合で結合された2枚のプレートで結合し、かつ基板ホルダ内に冷却装置を設けるようにしたため、基板で生じた熱が効率良く基板ホルダへ伝達され、基板温度の上昇を防止し、一定温度以下に保持し、安定した膜質の薄膜が形成することができ、生産性と歩留まりを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高周波マグネトロンスパッタリング装置の代表的な実施形態を示す縦断面図である。
【図2】図1中の要部拡大縦断面図である。
【図3】流路の平面形状の一例を示す平面図である。
【図4】従来の高周波マグネトロンスパッタリング装置の一例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
11 容器
14 上部電極
16 ターゲット
17 ターゲットシールド
26 チャンバシールド
41 基板ホルダ
42 基板
61 静電吸着板
62 静電吸着電極
66 溝
71 外周シールド
72 下部シールド

Claims (6)

  1. 排気機構により内部が減圧された容器を有し、この容器に、裏面側に磁石が配置されたターゲットと、前記ターゲットに対向する位置に設けられた基板ホルダと、前記容器の内部にガスを供給するガス供給機構と、前記ターゲットに高周波を与える高周波供給機構と、前記基板ホルダに内蔵される静電吸着機構とを備える高周波マグネトロンスパッタリング装置において、
    前記基板ホルダは、拡散接合により結合された2枚のプレートから成る上部部材と、この上部部材に機械的に結合された下部部材と、前記上部部材の上に配置された静電吸着板を備え、さらに冷却装置を内蔵して構成されることを特徴とする高周波マグネトロンスパッタリング装置。
  2. 前記冷却装置は、前記上部部材と前記下部部材からなる構造部の内部に温度制御用液体を流すための流路を形成して成ることを特徴とする請求項1記載の高周波マグネトロンスパッタリング装置。
  3. 前記上部部材は2枚のプレート部材から成り、一方の前記プレート部材に前記液体を流す溝を形成し、他方の前記プレート部材を前記一方のプレート部材に拡散接合で結合することにより、前記流路を前記上部部材の内部に形成したことを特徴とする請求項2記載の高周波マグネトロンスパッタリング装置。
  4. 前記容器の外部に設けられた液体温度制御装置により前記液体の温度を−50℃から150℃の範囲に含まれる一定温度に制御することを特徴とする請求項2または3記載の高周波マグネトロンスパッタリング装置。
  5. 前記基板ホルダの前記上部部材と前記静電吸着板は低融点金属材料によるロー材により接合されることを特徴とする請求項1記載の高周波マグネトロンスパッタリング装置。
  6. 前記静電吸着板の上に基板が搭載され、かつこの基板と前記静電吸着板の間に不活性ガスを導入する構造を設けたことを特徴とする請求項1記載の高周波マグネトロンスパッタリング装置。
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