JP2010111786A - タイヤトレッド用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】耐摩耗性を損なうことなくウェットグリップ性と低燃費性を向上し、これらの物性バランスを向上する。
【解決手段】ジエン系ゴムからなるゴム成分に、カーボンブラック及び/又はシリカからなるフィラーと、ヒドロキシル基を有する化合物で変性されかつガラス転移点が−30〜0℃の架橋されたジエン系ポリマー粒子であるポリマーゲルと、下記一般式(1)で表される有機シラン化合物とを配合してなるタイヤトレッド用ゴム組成物である。
SiR (OR4−n ……(1)
(Rは炭素数5〜20のアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、芳香族炭化水素のいずれかであり、Rは炭素数1〜3のアルキル基、nは1〜3の整数である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤトレッド用ゴム組成物、及び、該ゴム組成物を用いたトレッドを有する空気入りタイヤに関するものである。
従来、空気入りタイヤ、特にモータースポーツ用タイヤにおいて、湿潤路面でのグリップ性、すなわちウェットグリップ性を向上するために種々の手法が採られている。例えば、トレッドゴムにスチレン含量の多いスチレン−ブタジエンゴムなどのガラス転移点の高いポリマーを使用したり、補強性フィラーとオイルの充填量を増加したり、粘着付与性の樹脂類を増量したりといった手法がある。
しかしながら、ゴムポリマーのガラス転移点を高くするという手法では、ガラス転移点を高く設定しすぎると、常温においてゴム硬度が高くなり、グリップ性が低下してしまう。そのため、ガラス転移点の上昇によるグリップ性の向上策には限界がある。補強性フィラーとオイルの充填量を増加する手法では、ゴム組成物の混合性が悪化し、またゴムの機械的特性の低下により耐摩耗性も悪化する。粘着性樹脂を増量する手法では、工程作業性が悪化し、耐摩耗性も悪化する。このように、上記のウェットグリップ性の向上手法では、他の性能を低下させる結果をもたらす。
下記特許文献1には、ウェットグリップ性と低燃費性を向上させるために、ヒドロキシル基を有する化合物で変性されかつガラス転移点が−100〜−65℃、トルエン膨潤指数Qiが1〜15及び平均粒子径が5〜2000nmである架橋されたゴム粒子(ポリマーゲル)を配合することが提案されている。しかしながら、該ポリマーゲルはゴム成分中で凝集しやすく、凝集により耐摩耗性が損なわれる。そのため、上記文献では、末端が官能基で変性された変性ジエン系ゴムと組み合わせており、ゴム成分の選択が制限される。
一方、下記特許文献2には、タイヤトレッドを構成するゴム組成物に、n−オクタデシルトリメトキシシラン等の有機シラン化合物を配合することが提案されている。しかしながら、この文献において有機シラン化合物はシリカと反応することで、シリカを疎水化させるために用いられている。下記特許文献3にも有機シラン化合物をシリカとともに配合することが開示されているが、有機シラン化合物とシリカとの相互作用により、シリカの分散性を向上することを開示したにすぎない。
特開2008−169314号公報 特開平10−1565号公報 特開2007−277437号公報
本発明は、特定のポリマーゲルと有機シラン化合物とを併用することにより、耐摩耗性を損なうことなくウェットグリップ性と低燃費性を向上し、これらの物性バランスを向上することができるタイヤトレッド用ゴム組成物、及び、該ゴム組成物を用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明に係るタイヤトレッド用ゴム組成物は、ジエン系ゴムからなるゴム成分に、カーボンブラック及び/又はシリカからなるフィラーと、ヒドロキシル基を有する化合物で変性されかつガラス転移点が−30〜0℃の架橋されたジエン系ポリマー粒子であるポリマーゲルと、下記一般式(1)で表される有機シラン化合物とを配合してなるものである。
SiR (OR4−n ……(1)
式(1)中、Rは炭素数5〜20のアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、芳香族炭化水素のいずれかであり、Rは炭素数1〜3のアルキル基、nは1〜3の整数である。
本発明に係る空気入りタイヤは、該ゴム組成物で形成されたトレッドを有するものである。
本発明によれば、ヒドロキシル基を持つ特定のガラス転移点のポリマーゲルと有機シラン化合物とを併用することで、ポリマーゲルの分散性を向上することができ、ウェットグリップ性、低燃費性及び耐摩耗性をバランス良く向上することができる。
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
本発明に係るゴム組成物は、(A)ジエン系ゴムからなるゴム成分と、(B)ポリマーゲルと、(C)有機シラン化合物と、(D)フィラーを含有するものである。
上記(A)成分のジエン系ゴムとしては、特に限定はなく、例えば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−イソプレンゴム、ブタジエン−イソプレンゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、ニトリルゴムなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独で用いても2種以上併用してもよい。上記の中でも、スチレン−ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、天然ゴムが好ましく、特には、スチレン−ブタジエンゴムを主成分とするもの、すなわち、スチレン−ブタジエンゴム単独、又はスチレン−ブタジエンゴム50重量%以上と他のジエン系ゴム50重量%以下のブレンドが好ましい。
上記(B)成分のポリマーゲルとしては、ヒドロキシル基を有する化合物で変性され、かつガラス転移点(Tg)が−30〜0℃である架橋されたジエン系ポリマー粒子(ゴム粒子)を用いることができる。このような特定のガラス転移点を持つポリマーゲルを用いることにより、0℃の損失係数(tanδ)を大きくしてウェットグリップ性を向上しつつ、60℃のtanδを小さくして低燃費性を向上することができる。また、粒子表面に存在するヒドロキシル基が有機シラン化合物と反応することで、ポリマーゲルの分散性が向上し、これにより耐摩耗性を維持しつつ、ウェットグリップ性と低発熱性を一層向上することができる。
かかるポリマーゲルは、ゴム分散液を架橋することにより製造することができる。該ゴム分散液としては、乳化重合により製造されるゴムラテックス、溶液重合されたゴムを水中に乳化させて得られるゴム分散液などが挙げられ、また、架橋剤としては、有機ペルオキシド、有機アゾ化合物、硫黄系架橋剤など挙げられる。また、ゴム粒子の架橋は、ゴムの乳化重合中に、架橋作用を持つ多官能化合物との共重合によっても行うことができる。具体的には、特開平10−204225号公報、特表2004−504465号公報、特表2004−506058号公報、特表2004−530760号公報などに開示の方法を用いることができる。
ポリマーゲルを構成するジエン系ポリマーとしては、上記した各種ジエン系ゴムが挙げられ、これらはいずれか単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。好ましくは、ポリブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴムを主成分とするものであり、より好ましくはスチレン−ブタジエンゴムを主成分とするものである。
該ポリマーゲルとして、ガラス転移点(Tg)が−30〜0℃のものが用いられる。ガラス転移点が−30℃よりも低いと、ウェットグリップ性が低下し、0℃よりも高いと低燃費性が悪化する。より好ましくは、ガラス転移点は−20〜−10℃である。なお、ポリマーゲルのガラス転移点は、ベースとなるジエン系ポリマーの種類と、その架橋度により調整することができる。ガラス転移点は、JIS K7121に準拠して示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定される値(昇温速度20℃/分)である。
該ポリマーゲルとして、OH(ヒドロキシル)基を有する化合物で変性されたものが用いられる。ポリマーゲルは、ジエン系ポリマーからなるものであり、粒子表面にC=C二重結合を有するため、OH基を有するとともにC=C二重結合に対する反応性を有する化合物を用いることで、粒子表面にOH基を組み込むことができる。
このような化合物(変性剤)としては、例えば、特表2004−506058号公報に記載されているように、ヒドロキシブチルアクリレート又はメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート又はメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート又はメタクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記ポリマーゲルは、ジエン系ポリマーからなるため、表面に二重結合を有する。そのため、フィラーとしてシリカを用い、かつシランカップリング剤を配合した場合、該二重結合にシランカップリング剤が反応することで、シランカップリング剤を介してポリマーゲルとシリカを結合することができる。また、ポリマーゲルは、表面のOH基がシランカップリング剤と反応し、シランカップリング剤を介してポリマーゲルと上記ゴム成分とを結合することができる。あるいはまた、シランカップリング剤がポリマーゲルの二重結合とOH基との間で反応することで、ポリマーゲルを架橋することもできる。これらにより、更に性能を向上することができる。
該ポリマーゲルは、平均粒子径(DIN 53 206によるDVN値)が40〜200nmであることが好ましい。このような平均粒子径のポリマーゲルを用いることで、ゴム組成物の加工性や補強効果を維持して、低発熱性を更に向上することができる。
該ポリマーゲルは、トルエン膨潤指数Qiが16未満であることが好ましい。トルエン膨潤指数は、より好ましくは1〜15であり、更に好ましくは3〜8である。トルエン膨潤指数Qiが大きすぎると、粒子が柔らかくなり、補強効果が失われ、強度や耐摩耗性が損なわれる。また、ポリマーゲルは、ゲル含量が94重量%以上であることが好ましい。ゲル含量がこれよりも小さいと、ゴム粒子の弾性率が低下する傾向にあり、これを配合するゴム組成物にも影響する。
ここで、トルエン膨潤指数及びゲル含量は、ポリマーゲルをトルエンに膨潤させた後、乾燥させることにより測定される。すなわち、ポリマーゲル250mgを、トルエン25mL中で、24時間、振とう下に膨潤させ、20000rpmで遠心分離してから、濡れ質量を秤量し、次いで70℃で質量一定まで乾燥させてから、乾燥質量を秤量する。ゲル含量は、使用されたポリマーゲルに対する乾燥後のポリマーゲルの重量比率(%)である。また、トルエン膨潤指数は、Qi=(ゲルの濡れ質量)/(ゲルの乾燥質量)により求められる。
該ポリマーゲルの配合量は、上記ゴム成分100重量部に対して、3〜70重量部であることが好ましく、より好ましくは5〜50重量部、更に好ましくは5〜30重量部である。ポリマーゲルの配合量が少なすぎると、ウェットグリップ性及び低発熱性の改良効果を得にくくなり、逆に配合量が多すぎると、ゴム粒子が異物化し、ゴム強度が低下する傾向にある。
上記(C)成分の有機シラン化合物としては、下記一般式(1)で表される長鎖有機シランを用いることができる。
SiR (OR4−n ……(1)
式(1)中、Rは炭素数5〜20のアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、芳香族炭化水素のいずれかであり、Rは炭素数1〜3のアルキル基、nは1〜3の整数である。かかる有機シラン化合物は、そのアルコキシシラン部分がポリマーゲル表面のヒドロキシル基と反応するとともに、Rで表される長鎖の炭化水素基部分の存在により、ゴム成分中でのポリマーゲルの分散性を向上させることができる。
における炭素数が5〜20のアルキル基としては、ペンチル、イソペンチル、2級ペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、ヘキシル、2級ヘキシル、ヘプチル、2級ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2級オクチル、ノニル、2級ノニル、デシル、2級デシル、ウンデシル、2級ウンデシル、ドデシル、2級ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、2級トリデシル、テトラデシル、2級テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、2級ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ステアリル、イコシル、ドコシル、テトラコシル、トリアコンチル、2−ブチルオクチル、2−ブチルデシル、2−ヘキシルオクチル、2−ヘキシルデシル、2−オクチルデシル、2−ヘキシルドデシル、2−オクチルドデシル、2−デシルテトラデシル、2−ドデシルヘキサデシル、2−ヘキサデシルオクタデシル、2−テトラデシルオクタデシル基等が挙げられる。
また、Rにおけるアルケニル基としては、例えば、ペンテニル、イソペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、テトラデセニル、オレイル等が挙げられる。シクロアルケニル基としては、例えば、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル等が挙げられる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン、エチルベンゼン等が挙げられる。
上記の中でも、Rとしては、炭素数5〜20のアルキル基が好ましく、より好ましくは、炭素数が6以上、更には8以上の直鎖構造であるものが長鎖アルキル基を形成し好ましい。なお、Rは上記の各基を2種類以上含んでいても良い。炭素数が5未満ではRとゴム成分との相互作用が不十分となり、ポリマーゲルの分散性が向上しない。また、炭素数が20を超えるとゴム物性への影響、特にゴム硬度が低下する傾向にある。
は、炭素数1〜3のアルキル基であり、すなわちメチル、エチル、プロピル基である。このRは式中の酸素原子と結合してアルコキシル基を形成し、すなわちROはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基のいずれかである。
好ましい有機シラン化合物の具体例としては、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルメトキシシラン、ヘキサデシルエトキシシラン、ジオクチルジメトキシシラン、ジオクチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等が挙げられる。
上記(D)成分のフィラーとしては、カーボンブラック及び/又はシリカを用いることができる。
カーボンブラックとしては、特に限定するものではないが、NSA(窒素吸着比表面積)が70m/g以上、DBP吸油量が105ml/100g以上であるものが好ましく、更にNSAが80〜150m/g、DBP吸油量が110〜150ml/100gであるものがより好ましい。この値が低過ぎると十分なグリップ性能が得られず、また引張強さ、モジュラスなどが低くなり耐摩耗性を確保することが難しくなる。このようなカーボンブラックの具体例としては、SAF、ISAF級のカーボンブラックが挙げられる。NSA及びDBP吸油量はJIS K6217に準拠して測定される。
シリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸),乾式シリカ(無水ケイ酸),ケイ酸カルシウム,ケイ酸アルミニウム等が挙げられるが、中でも低転がり抵抗特性とウェット性能の両立効果が良好である湿式シリカが好ましく、また生産性に優れる点からも好ましい。
上記シリカは、CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)吸着比表面積が100〜300m/g、DBP吸油量が150〜300ml/100gにあるものが好ましく、ウェットグリップ性能を改善しやすくする。CTAB吸着比表面積が100m/g未満であるとシリカの補強効果が得られにくくなり、300m/gを超えるとシリカの分散性が著しく低下し、加工性(混合、押出性)が悪化する傾向にある。また、DBP吸油量を150〜300ml/100gとすることで分散性を良好に維持することができる。このようなシリカとしては、東ソー・シリカ(株)製のニップシールAQ、トクヤマ(株)製のトクシールUR、U−13、デグサ社製のウルトラジルVN3などの市販品が使用できる。なお、シリカのCTAB吸着比表面積はJIS K6217−3に記載の方法に、DBP吸油量はJIS K6221に記載の方法に準拠し測定される。
カーボンブラック及びシリカの配合量は合計で、前記ゴム成分100重量部に対して50〜200重量部であることが好ましい。両者の比率は特に限定されず、カーボンブラック単独、又はシリカ単独でもよい。好ましくは、カーボンブラックが10〜100重量部、好ましくは20〜60重量部、シリカが10〜100重量部、好ましくは20〜80重量部である。
シリカを配合する場合、シランカップリング剤を更に配合することが好ましい。シランカップリング剤は、例えば、スルフィド、アミノ基、メルカプト基、ビニル基、メタクリル基、エポキシ基などのポリマーと反応し得る有機部と、ハロゲンやアルコキシ基などを有する有機シラン化合物であり、公知の種々のシランカップリング剤を用いることができる。好ましくは、下記一般式(2)で表されるスルフィドシランや、下記一般式(3)で表される保護化メルカプトシランを用いることである。
(CO)Si−C2y−S−C2y−Si(OC…(2)
(C2n+1O)Si−C2m−S−CO−C2k+1…(3)
上記式(2)中、yは1〜9の整数、好ましくは2〜5であり、xは1〜4、好ましくは2〜4である。詳細には、xは通常分布を有しており、即ち、硫黄連鎖結合の数が異なるものの混合物として一般に市販されており、xはその平均値を表す。式(2)で表される好ましいスルフィドシランの具体例としては、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィドなどが挙げられる。
上記式(3)中、nは1〜3の整数、mは1〜5の整数、kは5〜9の整数である。式(3)で表される保護化メルカプトシランとしては、例えば、n=2,m=3,k=7である3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、n=1,m=3,k=2である3−プロピオニルチオプロピルトリメトキシシランなどが好ましいものとして挙げられる。
シランカップリング剤の配合量は、シリカ100重量部に対して2〜25重量部配合されることが好ましく、より好ましくは5〜15重量部である。この配合量が2重量部未満ではカップリング効果が充分でなく、逆に25重量部を超えると、体積効果によりゴム組成物自体が軟化し、ウェット性能、補強性、耐摩耗性を低下させるおそれがある。
上記有機シラン化合物の配合量は、シリカを配合する場合、シランカップリング剤100重量部に対して、10〜70重量部であることが好ましい。この配合量が10重量部未満では、ポリマーゲルの分酸性向上効果が不十分となり、逆に70重量部を超えると、シランカップリング剤によるシリカに対するカップリング効果が不十分となる。有機シラン化合物は、シリカを配合しない場合、ポリマーゲル100重量部に対して10〜80重量部であることが好ましく、より好ましくは30〜60重量部である。
本発明に係るゴム組成物には、上記した成分の他に、軟化剤、可塑剤、老化防止剤、亜鉛華、ステアリン酸、加硫剤、加硫促進剤など、タイヤトレッド用ゴム組成物において一般に使用される各種添加剤を配合することができる。該ゴム組成物は、通常に用いられるバンバリーミキサーやロール、ニーダー等の混合機を用いて混練し作成することができる。該ゴム組成物は、常法に従い、例えば140〜200℃で加硫成形することにより、各種空気入りタイヤ、特にはモータースポーツ用タイヤのトレッドゴムを構成することができるが、もちろん一般用途のタイヤにも使用することができる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
バンバリーミキサーを使用し、下記表1に示す配合に従い、タイヤトレッド用ゴム組成物を調製した。表1中の各成分は以下の通りである。
・SBR:スチレンブタジエンゴム、JSR株式会社製「SBR1723」(Tg=−53℃、スチレン量=24%、ビニル含量=19%、37.5重量部油展)
・ポリマーゲル1:ラインケミー社製「マイクロモフ1P」(SBRをベースとするポリマーゲル、Tg=65℃、トルエン膨潤指数Qi=7、ゲル含量=96重量%、平均粒子径=60nm、ヒドロキシル基変性品)、
・ポリマーゲル2:ラインケミー社製「マイクロモフ4B」(SBRをベースとするポリマーゲル、Tg=−15℃、トルエン膨潤指数Qi=6、ゲル含量=96重量%、平均粒子径=60nm、ヒドロキシル基変性品)、
・ポリマーゲル3:ラインケミー社製「マイクロモフ30B」(BRをベースとするポリマーゲル、Tg=−80℃、トルエン膨潤指数Qi=5.9、ゲル含量=97重量%、平均粒子径=130nm、ヒドロキシル基変性品)、
・カーボンブラック:N339、東海カーボン株式会社製「シーストKH」(窒素吸着比表面積=93m/g、DBP吸油量=119ml/100g)、
・シリカ:東ソー・シリカ株式会社製「ニップシールAQ」(CTAB吸着比表面積=170m/g、DBP吸油量=150ml/100g)、
・シランカップリング剤:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、デグサ社製「Si69」、
・有機シラン化合物1:n−デシルトリメトキシシラン、信越化学株式会社製「KBM−3103C」、
・有機シラン化合物2:n−ヘキシルトリエトキシシラン、信越化学株式会社製「KBM−3063」、
・オイル:株式会社ジャパンエナジー製「プロセスNC140」、
・クロマン系樹脂:新日鐵化学株式会社製「エスクロンV120」。
各ゴム組成物には、共通配合として、ゴム成分100重量部に対して、ステアリン酸(花王株式会社製「ルナックS−20」)2重量部、亜鉛華(三井金属鉱業株式会社製「亜鉛華1種」)3重量部、老化防止剤(住友化学株式会社製「アンチゲン6C」)2重量部、ワックス(大内新興化学工業株式会社製「サンノックN」)2重量部、加硫促進剤(ジベンゾチアジルジサルファイド、三新化学工業株式会社製「サンセラーDM−G」)1.5重量部、加硫促進剤(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、住友化学株式会社製「ソクシノールCZ」)2.5重量部、及び、硫黄(鶴見化学工業株式会社製「粉末硫黄」)1.5重量部を配合した。
得られた各ゴム組成物について、160℃×30分で加硫して所定形状の試験片を作製し、得られた試験片を用いて、ウエットグリップ性の指標として0℃のtanδと、低燃費性の指標として60℃のtanδと、耐摩耗性を測定した。各測定方法は次の通りである。
・ウェットグリップ性:東洋精機製の粘弾性試験機を使用し、周波数10Hz、静歪み10%、動歪み1%、温度0℃の条件で損失係数tanδを測定し、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が大きいほどtanδが大きく、ウェットグリップ性に優れることを示す。
・低燃費性:上記ウェットグリップ性の測定方法において、測定温度を60℃とし、その他は同様にして損失係数tanδを測定し、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が大きいほどtanδが小さく、発熱しにくい(即ち、低燃費性に優れる)ことを示す。
・耐摩耗性:JIS K6264に準拠し、岩本製作所(株)製のランボーン摩耗試験機を用いて、荷重40N、スリップ率30%の条件にて摩耗減量を測定した。比較例1を100とする指数で示した。数値が大きいほど耐摩耗性に優れる。
Figure 2010111786
結果は表1に示すとおりであり、コントロールである比較例1に対し、シリカ及びオイルを増量した比較例2や粘着樹脂を配合した比較例3では、ウェットグリップ性は向上したものの低燃費性と耐摩耗性は損なわれていた。また、ポリマーゲルを配合した比較例4でも、ウェットグリップ性は向上したものの低燃費性と耐摩耗性が悪化した。比較例5では、ポリマーゲルと有機シラン化合物を併用するもポリマーゲルのガラス転移点が高いために、ウェットグリップ性は向上するも、低燃費性と耐摩耗性に劣っていた。比較例6では、ガラス転移点の低いポリマーゲルと有機シラン化合物を併用したため、低燃費性は向上したものの、ウェットグリップ性は悪化し、耐摩耗性の向上効果も得られなかった。有機シラン化合物のみを配合した比較例7,8では、ウェットグリップ性の向上効果は小さく、耐摩耗性が悪化していた。
これに対し、特定のガラス転移点のポリマーゲルと有機シラン化合物を併用した実施例であると、耐摩耗性を維持ないし向上しながら、ウェットグリップ性を大幅に向上することができ、低燃費性にも優れていた。

Claims (5)

  1. ジエン系ゴムからなるゴム成分に、
    カーボンブラック及び/又はシリカからなるフィラーと、
    ヒドロキシル基を有する化合物で変性されかつガラス転移点が−30〜0℃の架橋されたジエン系ポリマー粒子であるポリマーゲルと、
    下記一般式(1)で表される有機シラン化合物とを配合してなる
    ことを特徴とするタイヤトレッド用ゴム組成物。
    SiR (OR4−n ……(1)
    (式(1)中、Rは炭素数5〜20のアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、芳香族炭化水素のいずれかであり、Rは炭素数1〜3のアルキル基、nは1〜3の整数である。)
  2. 前記ポリマーゲルは、トルエン膨潤指数Qiが16未満である請求項1に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  3. 前記ポリマーゲルは、平均粒子径が40〜200nmである請求項1又は2に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  4. 前記ゴム成分100重量部に対して、前記ポリマーゲルを3〜70重量部と、前記カーボンブラック及びシリカを合計で50〜200重量部含有し、
    前記シリカ100重量部に対してシランカップリング剤を2〜25重量部含有し、前記シランカップリング剤100重量部に対して前記有機シラン化合物を10〜70重量部含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物で形成されたトレッドを有する空気入りタイヤ。
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JP2012092271A (ja) * 2010-10-28 2012-05-17 Sumitomo Rubber Ind Ltd タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ

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