JP2010111130A - スパイクタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スパイクタイヤのショルダーブロック22に形成される、スパイクピンを打ち込むためのピン孔23の周りに、トレッド表面側からみると環状で断面形状が台形状であるような、トレッドゴムがショルダーブロック22の表面22kよりも隆起している隆起部24を設けて、走行中にスパイクピンがゴム中に沈み込んだ状態になった場合でも、スパイクピン周辺のゴムの沈み込み量が少なくなるようにした。
【選択図】図2
Description
このように、スパイクピン20の周囲に未接地部分が生じると、トレッドの接地面積が減少するため氷路でのグリップ力が低下してしまうといった問題点があった。ちなみに、接地面積の減少は、接地面内にあるスパイクピンの本数にもよるが、おおよそ1〜3%程度である。また、上記のように、スパイクピン20の周囲に未接地部分ができると、路面50からの衝撃力によるスパイクピン20の倒れこみが大きくなり、スパイクピン20が脱落し易くなるといった問題点があった。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスパイクタイヤにおいて、上記隆起部を、隆起の高さが当該隆起部の立ち上り側では低く上記ピン孔に近づくにつれて高くなっているようにしたもので、これにより、スパイクピン側近くのゴムを沈み込むことなく接地させることができるので、氷路や雪路でのグリップ力を更に向上させることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のスパイクタイヤにおいて、上記隆起部の形状を、上記ピン孔の中心線の延長方向からみると環状で、上記ピン孔の中心線を含み上記中心線に平行な面で切ったときの断面が、当該陸部表面から直線状または円弧状または階段状に立ち上がる傾斜部と、この傾斜部の上記ピン孔の開口部側の端部と同じ高さの当該ピン孔が形成される陸部表面に平行な平面部とを備えた形状としたものである。
また、請求項4に記載の発明は、請求項2に記載のスパイクタイヤにおいて、上記隆起部の形状を、上記ピン孔の中心線の延長方向からみると環状で、上記ピン孔の中心線を含み上記中心線に平行な面で切ったときの断面が、当該陸部表面から立ち上がる円弧状の斜面部を有し、上記斜面部の円弧は上記ピン孔の開口部側の接線の傾きが当該ピン孔が形成される陸部表面に平行であるような形状としたものである。
隆起部の形状を上記のようにすることで、スパイクピンを確実に保持できるので、スパイクピンの倒れ込みを更に抑制することができる。
図1は、本最良の形態に係るスパイクタイヤ10の構成を示す断面図で、同図において、11はビード部、11Cはビードコア、12はカーカス層、13a,13bはベルト層、14はトレッド、15はサイドトレッドである。
カーカス層12は、ビード部11に配置された1対のビードコア11Cにトロイド状をなして跨るように設けられた、当該スパイクタイヤ10の骨格を成す部材で、このカーカス層12のクラウン部のタイヤ径方向外側に2枚のベルト層13a,13bが配置されている。上記ベルト層13a,13bは、それぞれ、スチールコードもしくは有機繊維を撚ったコードを、赤道方向に対して20°〜70°の角度で交錯するように配置したもので、タイヤ径方向内側に配置されるベルト層13aのコードの延長方向とタイヤ径方向外側に配置されるベルト層13bのコードの延長方向とは互いに交錯している。
トレッド14は上記ベルト層13a,13bのタイヤ径方向外側に配置されたゴム部材(トレッドゴム)で、このトレッド14の表面には、タイヤ周方向に沿って延長するように設けられた複数本の主溝16が形成されており、これらの主溝16により複数の陸部17A,17B,18が区画される。陸部17Aはタイヤセンター部に位置する中央陸部で、陸部17Bは上記中央陸部17Aのタイヤ幅方向の両外側に位置する外側陸部、陸部18は上記外側陸部17Bのタイヤ幅方向の両外側に位置するショルダー側陸部である。上記各陸部17A,17B,18の表面には、複数のサイプ19が形成されており、上記ショルダー側陸部18と上記外側陸部17Bとには複数のスパイクピン20が打ち込まれている。なお、本例では、スパイクピン20として、図6に示した、スパイクピン20と同じものを用いている。
サイドトレッド15は上記トレッド14の端部からタイヤのサイド部に延長して上記カーカス層12を覆うゴム部材である。
なお、同図において、符号13cは、上記スパイクピン20によるピン下(タイヤ径方向内側)のゴムのへたりにより、スパイクピン20が陥没してタイヤ径方向外側のベルト層13bに突き刺さるのを防止するために設けられた、有機繊維等から成るコードを備えたベルト保護層である。
本例のショルダーブロック22の上記ピン孔23の周りのトレッドゴムは、当該ピン孔23が形成される陸部であるショルダーブロック22の表面22kよりも隆起している。このピン孔23の周りのトレッドゴムが隆起している部分を、以下、隆起部24という。なお、ショルダーブロックの表面22kは、詳細には、上記ピン孔23とその周辺及びサイプ19が形成されている部分を除く、ショルダーブロック22を構成するトレッドゴムの表面を指す。
上記隆起部24の形状は、図2(a),(b)に示すように、上記ピン孔23の中心線の延長方向であるトレッド表面側からみると環状であり、上記ピン孔23の中心線を含み上記中心線に平行な面で切ったときの断面形状が台形状である。すなわち、上記隆起部24は、ショルダーブロックの表面22kから直線的に立ち上がる斜面部24aと、この斜面部24aと上記ピン孔23の開口部23sとの間に設けられた平面部24bとを備えている。上記平面部24bは、当該ピン孔が形成される陸部であるショルダーブロック22の表面22kに平行であり、かつ、隆起の高さは、上記斜面部24aの最大高さである斜面部24aのピン孔23の端部側の高さに等しい。なお、上記外側陸部17Bに形成されるピン孔の周りのトレッドゴムも、上記隆起部24と同様の隆起部を有している。
本例のスパイクタイヤ10では、上記スパイクピン20の周囲のゴムが、ショルダーブロック22の表面22kよりも隆起しているため、図4に示すように、スパイクピン20が走行中の接地面内において路面50から押されて、ゴム中に沈み込んだ状態になった場合でも、上記スパイクピン20周辺のゴム22p,22qの沈み込み量は、従来に比べてはるかに少なくなる。したがって、同図の幅wで示す、スパイクピン20が接地面にあるときの環状の未接地部分の幅を、同図の幅Wで示す従来の環状の未接地部分の幅よりも大幅に低減することができる。これにより、トレッドの接地面積の減少を最小限に抑えることができるので、氷路でのグリップ力を向上させることができるとともに、スパイクピン20の倒れこみを抑制して、スパイクピン20の脱落を少なくすることができる。
また、スパイクタイヤのトレッドパターンについても何ら制限されることはないことはいうまでもない。また、上記ピン孔23に打ち込むスパイクピンの形態についても、上記図3に示したスパイクピン20に限らず、チップがなく、ボディーが円筒状であるような、他の形態のスパイクピンを用いてもよい。
また、上記例では、隆起部24の断面形状を台形状としたが、本発明はこれに限るものではなく、例えば、図5(a)に示すように、隆起部24の斜面部24aを、平面部24bに近づくにつれて傾きが大きくなるような円弧状としたり、図5(b)に示すように、平面部24bに近づくにつれて傾きが小さくなるような円弧状としてもよい。あるいは、図5(c)に示すように、隆起部24の斜面部24aを階段状にしても、同様の効果を得ることができる。
また、図5(d)に示すように、断面形状を中心がトレッドの内側方向にあるような円弧状としてもよい。この場合、上記円弧のピン孔23の開口部23s側の接線の傾きがショルダーブロックの表面22kとほぼ平行になるようにすれば、ピン孔23周りはほぼ平面状になるので、別途平面部24bを設ける必要はない。
ピン抜け試験条件は、ピン打ち込み本数を110本/タイヤとし、15000km走行後のピン残存本数から、ピン抜け率(%)を算出し、従来例を100とした指数で評価した。なお、ピン抜け率(%)=(ピン残存本数/ピン打ち込み本数)×100である。数字が高い程ピン残存本数が多い。
表1から明らかなように、ピン孔周りに隆起部を有する本発明のスパイクタイヤの方が、従来のスパイクタイヤに比べて、初期氷上性能が高く、ピン抜け率についても同等以上であることが確認された。
13a,13b ベルト層、14 トレッド、15 サイドトレッド、16 主溝、
17A 中央陸部、17B 外側陸部、18 ショルダー側陸部、19 サイプ、
20 スパイクピン、20a ボディー、20b チップ、20c フランジ、
21 ラグ溝、22 ショルダーブロック、22k ショルダーブロックの表面、
22p,22q スパイクピン周辺のゴム、23 ピン孔、23a 導入部、
23b ピン保持部、23s 開口部、24 隆起部、24a 斜面部、
24b 平面部、50 路面。
Claims (4)
- タイヤのトレッド表面に形成された複数本の溝と、上記溝により区画された陸部と、上記陸部に形成されたピン孔と、このピン孔に打ち込まれたスパイクピンとを備えたスパイクタイヤであって、上記ピン孔の周りに、トレッドゴムが当該ピン孔が形成される陸部の表面よりも隆起している隆起部が設けられていることを特徴とするスパイクタイヤ。
- 上記隆起部は、隆起の高さが当該隆起部の立ち上り側では低く上記ピン孔に近づくにつれて高くなっていることを特徴とする請求項1に記載のスパイクタイヤ。
- 上記隆起部の形状は、上記ピン孔の中心線の延長方向からみると環状であり、上記ピン孔の中心線を含み上記中心線に平行な面で切ったときの断面は、当該陸部表面から直線状または円弧状または階段状に立ち上がる傾斜部と、この傾斜部の上記ピン孔の開口部側の端部と同じ高さの当該ピン孔が形成される陸部表面に平行な平面部とを備えていることを特徴とする請求項2に記載のスパイクタイヤ。
- 上記隆起部の形状は、上記ピン孔の中心線の延長方向からみると環状であり、上記ピン孔の中心線を含み上記中心線に平行な面で切ったときの断面は、当該陸部表面から立ち上がる円弧状の斜面部を有し、上記斜面部の円弧は上記ピン孔の開口部側の接線の傾きが当該ピン孔が形成される陸部表面に平行であることを特徴とする請求項2に記載のスパイクタイヤ。
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