JP2010110936A - 電動射出成形機の電力表示方法および電力表示装置 - Google Patents

電動射出成形機の電力表示方法および電力表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】コンバータやインバータにおける損失電力も含んだ、電動射出成形機全体の消費電力や回生電力を演算して表示することができる表示方法を提供する。
【解決手段】三相交流電源側(3)から供給される三相交流電圧を直流電圧に変換してサーボアンプ(SA1、SA2、…)に供給するPWMコンバータ(2)を備え、前記サーボアンプによりスクリュ、型開閉装置、エジェクタ装置等を駆動するサーボモータ(AM1、SM2、…)が駆動されるようになっていると共に、前記PWMコンバータにより前記サーボアンプから回生される回生電力が前記三相交流電源側に戻されるようになっている電動射出成形機において、三相交流電源側(3)とPWMコンバータ(2)間における電圧値と電流値とから電動射出成形機の消費電力と回生電力とからなる電力データを演算して表示する。無効電力、力率を含み、電力データを積算して得られる電力量も含む。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電動射出成形機で消費される電力を演算して表示する表示方法および電力表示装置に関するもので、さらに詳しくはPWMコンバータが設けられ、それによってサーボモータを駆動するサーボアンプに直流電圧が供給されると共に、該サーボアンプから回生される回生電力を3相交流電源側に戻すことができる、電動射出成形機の電力表示方法および電力表示装置に関するものである。
電動射出成形機は、一般に複数台のサーボモータを備えている。そして、これらのサーボモータにより型締装置、射出装置等の各装置が駆動されるようになっている。電動射出成形機には、給電線の3相交流電源から得られる3相交流電圧を直流電圧に変換するコンバータが設けられている。コンバータによって変換された直流電圧は、各サーボモータに対応して設けられているサーボアンプに供給される。サーボアンプは、供給された直流電圧を所定の周波数の3相交流電圧に変換してサーボモータを駆動する。このような電動射出成形機に設けられているコンバータは従来周知であり、例えば、3相交流電圧を直流電圧に変換するダイオード整流回路からなるコンバータや、3相交流電圧を直流電圧に変換できるだけでなく、射出成形機の各部材が有する運動エネルギを電気エネルギに変換して給電線に回生電力として戻すことができるPWMコンバータが知られている。
このような電動射出成形機において消費される電力、すなわち消費電力や回生される電力、すなわち回生電力を演算して、LCDやプリンタに出力したり、ネットワークを介して外部に提供することができれば有益である。例えば、電動射出成形機の消費電力や回生電力が把握できれば、電動射出成形機が設置される工場の電気設備に必要な電気容量を決定することができる。そうすると、過大な電気設備を設ける必要もなく、電力会社と契約する最大電力を低く抑えて必要な電気料金を下げることができる。さらに、消費電力と回生電力を成形サイクル毎に把握することができれば、1回の成形に要する電気料金を算出することができるので、製品の生産コストを正確に計算することもできる。
特許第3088403号公報 特許第4071437号公報
特許文献1および特許文献2には、電動射出成形機の1成形サイクルあたりの消費電力を所定の方法で演算して、演算された消費電力を表示する電力表示方法が記載されている。特許文献1に記載の電力の演算方法によると、最初に各サーボモータに供給される電流を検出する。次いで、検出された電流値と各サーボモータのコイルの既知の抵抗値とから、各サーボモータの消費電力を計算する。そして、各サーボモータの消費電力を合計して、1成形サイクルあたりの消費電力を計算している。特許文献2に記載の電力の演算方法においては、電流と電圧の検出は、コンバータの出力側、すなわちサーボアンプに供給される直流電圧の電圧線において実施される。そして検出された電流値と電圧値とから1成形サイクルあたりの消費電力を演算している。
特許文献1または特許文献2に記載の電力表示方法によっても、電動式射出成形機の消費電力を表示することはできる。しかしながら、解決すべき問題点も見受けられる。すなわち、電力の演算方法に問題がある。例えば、特許文献1に記載の電力の演算方法においては、サーボモータにおいて消費される電力は比較的正確に得ることはできるが、サーボアンプやコンバータにおいて電圧の変換時に失われる電力、すなわち損失電力については全く考慮されていない。従って、実際に射出成形機全体で消費される消費電力を正確に演算することはできない。換言すると、コンバータに給電される3相交流電流の消費電力を正確に表示することはできない。従って、工場の電気設備の電力容量を決定したり、製品の生産コストを正確に計算することができない。さらには、回生電力も演算できない。すなわち、回生電力の演算には電流値と電圧値とが必要になるが、特許文献1に記載の電力の演算方法においては測定されているのは電流値のみである。電圧値の推定値を用いて演算することもできるが、推定値には誤差が含まれているので正確には計算できない。さらには、サーボアンプやコンバータにおいて損失電力が発生することを考慮すると給電線に戻される回生電力の値を演算することは実質的に不可能である。特許文献2に記載の電力の演算方法にも問題点が見受けられる。すなわち、特許文献2に記載の演算方法においては、サーボアンプに供給する電力については正確に演算することはできるが、コンバータにおける損失電力については全く考慮されていない。従って、実際に射出成形機全体で消費される消費電力を正確に得ることはできない。また、回生電力の演算についても考慮されておらず、仮に演算できたとしてもコンバータにおける損失電力が考慮されていないので正確な回生電力は求めることはできない。さらには、特許文献2に記載の電力演算方法においては、直流電圧の電圧と電流によって消費電力を演算しているので、有効電力しか計算することができず、無効電力や力率等を計算することができない。従って、電動射出成形機の電力効率を評価することはできない。
本発明は、上記したような従来の問題点あるいは課題を解決した、電動射出成形機の電力表示方法および電力表示装置を提供することを目的としており、具体的には、コンバータやインバータにおける損失電力も含んだ電動射出成形機全体の消費電力や回生電力を演算でき、消費電力や回生電力を成形サイクル毎に計算でき、さらには、電力効率を評価する上で有用な無効電力や力率等の演算も可能な電力の演算方法を実施して、このようにして得られる消費電力や回生電力等の電力データを表示することができる電動射出成形機の電力表示方法および電力表示装置を提供することを目的としている。
本発明は、上記目的を達成するために、回生電力を三相交流電源側に戻すことができるPWMコンバータを備えた電動射出成形機において、三相交流電源側とPWMコンバータ間における電圧値と電流値とを計測して、消費電力や回生電力等の電力データを演算して、画面表示し、印字し、または通信回線を介して外部に出力するように構成される。さらには、電力データを時間積算して電力量を得るとき、電動射出成形機の成形工程を制御するコントローラからの信号に同期して積算するように構成される。また、回生電力を三相交流電源側に戻すことができるPWMコンバータを備えた電動射出成形機の電力表示装置は、三相交流電源側からPWMコンバータに供給される電流値を計測する電流計測手段と、電圧を計測する電圧計測手段と、画面表示装置、印字装置、または通信装置からなるデータ表示手段とを備え、電力データが計測された電流と電圧とから演算されて、データ表示手段に出力されるように構成される。
すなわち、請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するために、三相交流電源側から供給される三相交流電圧を変換してサーボアンプに直流電圧を供給すると共に、前記サーボアンプから回生される回生電力を前記三相交流電源側に戻すPWMコンバータを備えた電動射出成形機において、前記三相交流電源側と前記PWMコンバータ間における電圧値と電流値とを計測し、計測した前記電圧値と前記電流値とから前記電動射出成形機の消費電力と前記回生電力とからなる電力データを演算して、前記電力データを画面表示し、印字し、または通信回線を介して外部に出力するように構成される。請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電力表示方法において、前記電力データには無効電力と力率も含まれているように構成され、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の電力表示方法において、前記電力データには前記電力データを積算して得られる電力量も含み、前記電力データの積算は、前記電動射出成形機の成形工程を制御するコントローラからの信号に同期して演算されるように構成される。
請求項4に記載の発明は、三相交流電源側から供給される三相交流電圧を変換してサーボアンプに直流電圧を供給すると共に、前記サーボアンプから回生される回生電力を前記三相交流電源側に戻すPWMコンバータを備えた電動射出成形機の電力表示装置であって、前記三相交流電源側と前記PWMコンバータ間における電流値を計測する電流計測手段と、電圧値を計測する電圧計測手段と、画面表示装置、印字装置、または通信装置からなるデータ表示手段とを備え、前記電動射出成形機の消費電力と前記回生電力とからなる電力データが、前記電流計測手段によって計測される電流値と、前記電圧計測手段によって計測される電圧値とから演算されて、前記データ表示手段に出力されるように構成される。請求項5に記載のは発明は、請求項4に記載の電力表示装置において、前記電力データには無効電力と力率も含まれるように、そして請求項6に記載の発明は、請求項4または請求項5に記載の電力表示装置において、前記電力データには前記電力データを積算して得られる電力量も含まれ、前記電力量は、前記電動射出成形機の成形工程を制御するコントローラから入力される信号に同期して積算されるように構成される。
以上のように、本発明によると、三相交流電源側の三相交流電圧を変換してサーボアンプに直流電圧を供給すると共に、前記サーボアンプから回生される回生電力を前記三相交流電源側に戻すPWMコンバータを備えた電動射出成形機において、三相交流電源側とPWMコンバータとの間の電圧値と電流値とを計測して、計測した電圧値と電流値とから電動射出成形機の消費電力と回生電力とからなる電力データを演算するので、コンバータやインバータにおける損失電力も含んだ電動射出成形機全体の消費電力や回生電力を演算することができ、正確な電力データが得られる。また、電力データを画面に表示し、印字し、または通信回線を介して外部に出力するように構成されているので、電動射出成形機が設置される工場の電気設備に必要な電気容量を決定することができるし、過大な電気設備を設ける必要もなく、電力会社と契約する最大電力を低く抑えて必要な電気料金を下げることも可能になる。また、他の発明によると、電力データには無効電力と力率も含まれるように構成されているので、電動射出成形機の電力効率を正確に評価することが可能である。さらには、他の発明によると電力データには電力データを積算して得られる電力量も含まれており、電力データの積算は、前記電動射出成形機の成形工程を制御するコントローラからの信号に同期して演算されるように構成されているので、電動射出成形機の成形工程に関連して電力データを演算することができ、1回の成形に要する電気料金を算出することができるだけでなく、射出、可塑化、型開閉等のどの工程に多く電気料金が必要となっているか等も把握することができるので、製品の生産コストを正確に計算することが可能である。
他の発明によると、三相交流電源側の三相交流電圧を変換してサーボアンプに直流電圧を供給すると共にサーボアンプから回生された回生電力を三相交流電源側に戻すことができるPWMコンバータを備えた電動射出成形機の電力表示装置は、三相交流電源側とPWMコンバータとの間の電流値を計測する電流検出手段と、電圧値を計測する電圧検出手段と、画面表示装置、印字装置、または通信装置からなるデータ表示手段とを備えるように構成されているので、安価に電力表示装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。電動射出成形機は、従来周知のように、スクリュシリンダ、このスクリュシリンダ内に可塑化方向と射出方向とに駆動可能に設けられているスクリュ、金型を開閉する型締装置、成形品を突き出すエジェクタ装置等から構成されている。そして、これらのスクリュあるいは装置はサーボモータにより駆動されるようになっている。本実施の形態に係る電動射出成形機の電力表示装置1は、上記のような電動射出成形機の消費電力や回生電力を演算して画面に表示する装置であり、後で詳しく説明するように、PWMコンバータ2に組み込まれている。電動射出成形機に設けられている従来周知のPWMコンバータ2は、図1に概略的に示されているように、入力側には工場の3相交流電源3に接続されている給電線Qが接続され、出力側には正の直流電圧線Pと負の直流電圧線Nとが接続されている。直流電圧線P、N間には、複数個のサーボアンプSA1、SA2、…が並列に接続され、それぞれのサーボアンプSA1、SA2、…には電動射出成形機の各装置を駆動するサーボモータSM1、SM2、…が接続されている。従って、従来周知のように、3相交流電圧はPWMコンバータ2によって直流電圧に変換されて各サーボアンプSA1、SA2、…に供給される。各サーボアンプSA1、SA2、…は、供給される直流電圧を所定の周波数の3相交流電圧に変換して、対応するサーボモータSM1、SM2、…、を駆動することができる。すなわち、射出装置のスクリュを軸方向に駆動するサーボモータSM1、スクリュを回転駆動するサーボモータSM2、型締装置を駆動するサーボモータSM3、エジェクタ装置を駆動するサーボモータSM4等を駆動することができる。PWMコンバータ2は、従来周知のように、電動射出成形機の各装置が有する運動エネルギから回生された回生電力を給電線に戻すこともできる。例えば、軸方向に駆動され運動エネルギを有するスクリュを減速するとき、サーボモータSM1は、回転による運動エネルギを、サーボモータ自身の電磁回路を介して電気エネルギーに変換するモード、すなわち発電動作となり、サーボモータSM1のコイルに誘起される誘起起電力は、サーボアンプSA1によって直流電圧に変換される。すなわち回生電力が得られる。得られた回生電力は、直流電圧を介してPWMコンバータ2によって3相交流電圧に変換されて給電線Qに戻される。
図2の(ア)には、電力表示装置1が組み込まれたPWMコンバータ2が模式的に示されている。本実施の形態に係るPWMコンバータ2は、整流回路4と、この整流回路4を制御する整流回路コントローラ5と、電力表示装置1とから構成されている。整流回路4は、6個のダイオードD1、D2、…と、6個のIGBTからなるトランジスタT1、T2、…と、1個のコンデンサCと、3個のリアクトルL1、L2、…とからなる。ダイオードD1、D2、…は、図2の(ア)に示されているように、負の直流電圧線Nから正の直流電圧線Pの方向を順方向とするように2個ずつ直列に接続され、このような列が3列設けられて正負の直流電圧線P、Nに並列に接続されている。このようなダイオードD1、D2、…のそれぞれには、トランジスタT1、T2、…が並列に接続されて、トランジスタT1、T2、…が作動すると、ダイオードD1、D2、…とは逆方向に電流を流すことができるようになっている。ダイオードD1とダイオードD2の中間、ダイオードD3とダイオードD4の中間、ダイオードD5とダイオードD6の中間には、それぞれ給電線Qを構成するR相、S相、T相の各電圧線が、接続されている。従って、R、S、T相から給電される3相交流電圧は、ダイオードD1、D2、…によって整流されて直流電圧線P、Nに直流電圧として供給されることになる。また、トランジスタT1、T2、…のスイッチングを適切に制御すれば、直流電圧線P、Nから回生電力を給電線Qに戻すことができるようになっている。このようなR、S、T相の電圧線は、実際にはリアクトルL1、リアクトルL2、リアクトルL3を介して接続されていので、直流電圧は3相交流電圧の波高値よりも高い電圧に昇圧されて直流電圧線P、Nに供給でき、さらにトランジスタT1、T2、…のスイッチングを適切に制御すると、給電線Qから供給される3相交流電流を正弦波にして力率を実質的に1.0にすることができる。正負の直流電圧線P、N間に接続されているコンデンサCは、直流電圧に生じる脈流を平滑化する。
整流回路コントローラ5は、整流回路4のトランジスタT1、T2、…のスイッチングを制御するコントローラであり、CPU、メモリ等のハードウエアとソフトウエアとから構成されているが、図2の(ア)には機能ブロックとして示されている。整流回路コントローラ5は、制御演算機能ブロック8、PWM制御機能ブロック9等から構成されている。このような整流回路コントローラ5には、給電線QのR相とS相に設けられている電流計A、Aによって検出されるR相、S相の線電流i、iと、給電線QのR相、S相、T相の各相間で検出される線間電圧と、直流電圧の電圧、すなわちコンバータ電圧Vとが入力されている。この整流回路コントローラ5は、整流回路4を制御して、整流回路4と共に2種類の作用を奏する。第1の作用は、3相交流電圧を直流電圧に変換するときに、設定された電圧の直流電圧になるように制御すると共に、3相交流電流に高周波成分が発生しないように3相交流電流を正弦波にして、かつ力率が実質的に1.0になるように制御する作用である。第2の作用は、直流電圧線P、Nから回生電力を給電線Qに戻す作用である。第2の作用についてはPWMコンバータに備えられている本来の作用であって周知である。第1の作用を奏する整流回路コントローラ5を備えたPWMコンバータについても周知であり、例えば、公開技報97−6523号公報においてこのような作用を奏するPWMコンバータが詳細に説明されている。以下、簡単に説明する。第1の作用を奏する整流回路コントローラ5を備えたPWMコンバータにおいて、制御演算機能ブロック8は、コンバータ電圧Vと予め設定されている電圧設定値Vとを比較して電圧の偏差を得る。得られた電圧の偏差が小さくなるような給電線Qの3相交流電流の振幅、すなわちコンバータ電流の振幅を演算して、入力されている線間電圧に同期する正弦波電流指令を決定する。すなわち、理想的な3相交流電流を決定して目標値とする。次いで、R、S、T相の各線電流i、i、iと正弦波電流指令との偏差が零になるようにフィードバック制御して、PWM制御機能ブロック9を介してトランジスタT1、T2、…をパルス幅変調によって制御する。なお、T相の線電流iは、下記式によって得られる。
=−i−i
電力表示装置1は、所定の回路からなりR相、S相、T相の各相の線間電圧が入力されている相電圧変換器16と、LCD、プリンタ等からなる表示装置17と、所定の演算処理手段とから構成されている。演算処理手段は、整流回路コントローラ5上で動作するソフトウエアからなり、図2の(ア)において、電力演算機能ブロック21と、電力を積算して電力量を計算する電力量演算機能ブロック22の2個の機能ブロックとして示されている。電力演算機能ブロック21には、PWMコンバータ2に設けられている電流計A、Aで計測される線電流i、iが入力されると共に、相電圧変換器16からR相、S相、T相の各相電圧v、v、vが入力される。電力量演算機能ブロック22には、電力演算機能ブロック21で演算される電力データと電動射出成形機の各成形工程を制御するコントローラ18から所定の信号が入力される。相電圧変換器16は、図2の(イ)に示されているように、R相、S相、T相の各相の電圧線が、それぞれに設けられている抵抗R1、R2、R3を介して、Y結線された回路になっている。抵抗R1、R2、R3の抵抗値は十分に大きく、かつ値が等しい。このようなR相、S相、T相の各相には給電線Qの線間電圧が印加されている。
本実施の形態に係る電力表示装置1の作用について説明する。R相、S相、T相の各相電圧v、v、vの測定方法について説明する。一般的に、3相三線式の交流電圧においては電位の中性点を直接測定することができないので、各相電圧v、v、vを測定することはできない。ところで、図2の(イ)に示されている相電圧変換器16の各抵抗R1、R2、R3の抵抗値は等しく、かつ十分に大きいので、回路を流れる電流は実質的に零と見なすことができる。そこで、Y結線の中点23の電位を中性点と見なす。そうすると、相電圧v、v、vは、抵抗R1、R2、R3における電位差として擬似的に測定することができる。電位差を測定して各相の相電圧v、v、vTcを得る。
電力演算機能ブロック21は、入力されるR相とS相の線電流i、iからT相の線電流i求める。次いで、線電流i、i、iと、相電圧変換器16で得られた相電圧v、v、vとから、消費電力、回生電力等の各種の電力データを演算する。例えば、有効電力については下記式によって計算することができる。
P(t)=v・i+v・i+v・i
ここで、P(t)は瞬時電力である。
瞬時電力P(t)の符号が正のときは、電力は電動射出成形機で消費されていることを示している。すなわち、給電線Qから供給される3相交流電圧は、PWMコンバータ2によって直流電圧に変換されて電力が消費されている。一方、瞬時電力P(t)の符号が負のときは、回生電力が給電線Qに戻されていることを示している。従って、符号が正のときの瞬時電力P(t)を時間積分すれば、電動射出成形機に供給された有効電力量を求めることができ、符号が負のときの瞬時電力P(t)を時間積分すれば、回生電力の電力量を求めることができる。符号の正負を判定せずに瞬時電力P(t)を単純に時間積分すると、実際に電動射出成形機において消費された有効電力量、すなわち消費電力を求めることができる。
電力演算機能ブロック21において、他の電力データも演算することができ、例えば皮相電力Sや力率P.F.も容易に演算することができる。具体的には、従来周知のように線電流i、i、iから電流の実効値Iを、相電圧v、v、vから電圧の実効値Vをそれぞれ計算して、下記式によって演算する。
S=3V・I
P.F.=P/S
ここで、Pは有効電力である。
電力の演算方法には色々な方法がある。本実施の形態に係る電力表示装置1においては給電線の電流値と電圧値とが測定されているので、色々な電力データを演算することが可能であり、例えば、高調波成分を考慮して高調波電力やひずみ率を計算することも可能である。さらには、文献「瞬時無効電力の一般化理論とその応用」(電気学会論文誌B,pp483−490,103巻7号,昭和58年)に記載の方法を用いれば、瞬時無効電力を演算することも可能である。このように色々な電力データを演算できるので、後で説明するようにこれらの電力データを表示装置17に出力すれば、工場の電気設備に影響を与える電力データを詳細に把握することが可能となり、電気設備を最適化するために必要な情報を提供でき、省エネルギーや節電効果に寄与することができる。
電力量演算機能ブロック22は、電力演算機能ブロック21において演算された有効電力等の電力データを入力して、時間積算して電力データの電力量を計算する。例えば有効電力の電力量Wは下記式によって計算できる。
Figure 2010110936
ただし、P(t)は瞬時有効電力、Tは積算時間である。
本実施の形態によると、コントローラ18から信号の入力を受けることができるので、成形サイクルに同期して時間積分して、成形サイクル毎の電力量を計算することもできる。または特定の事象が生じている期間の電力量を積算することもできる。例えば、コントローラ18は、0と1からなるデジタル信号を出力するようにして、対象とする事象が発生したら1を出力して、対象の事象が終了したら0を出力する。電力量演算機能ブロック22において、デジタル信号が1になったときから0に戻る間の電力データを積算すれば、特定の事象が生じている期間の所定の電力データの電力量を積算することができる。
電力演算機能ブロック21において演算された電力データや、電力量演算機能ブロック22において積算された電力量は、表示装置17に送られる。表示装置17において、電力データや電力量がLCDに表示される。またはプリンタに印字される。
本発明の実施の形態に係る電力表示装置は、上記実施の形態に限定されることなく色々な形で実施できる。例えば、演算された電力データや電力量はLCDに表示されたりプリンタに印字されるように説明されているが、電力表示装置に通信回線を接続して外部の機器に電子データとして電力データや電力量を送信するようにしてもよい。このようにすると、例えば工場の生産管理用コンピュータに電力データや電力量を送信することができ、製品の製造コスト等を計算することもできる。また、相電圧変換器は、各相に抵抗が設けられてY結線された回路からなるように説明されているが、抵抗に代えてコイルやコンデンサ等が接続されていても同様に実施できる。変換された相電圧信号は、複数の抵抗、コンデンサ
またはコイルを用いて制御装置に入力しやすいように分圧した低い電圧に変換して、A/D変換によって検出してもよい。
図3のブロック線図に示されているように演算しても、線間電圧から相電圧を生成することが可能である。図3のブロック線図に示されている演算方法は、線間電圧と相電圧の位相差が30°であることを利用するものであり、位相同期回路、すなわちPLL回路に検出可能な線間電圧位相を入力して電源周波数との同期信号を生成して、ソフトウェア的に相電圧の瞬時値を得る方法であり、相電圧検出回路を簡素化し、かつ安定な相電圧瞬時値を検出する手法として有用な方法である。線間電圧Vuvは、位相検出トランスTr1によって絶縁された低い電圧、いわゆる線間電圧信号に変換される。得られた線間電圧信号はゼロクロスコンパレータCMP1によって、矩形波信号に変換され、PLL回路31の位相比較器32に入力される。位相比較器32は、入力された矩形波信号と、PLL回路31の分周器33によって生成されたクロック信号の1/N分周されたクロック信号との位相差に応じた直流電圧信号を生成する。直流電圧信号は、電圧制御発振器、すなわちVCO34への入力となり、VCO34は直流電圧の大きさに応じてクロック周波数を増加または減少する。これにより、VCO34は、線間電圧Vuvの周波数のN倍に同期したクロック信号を生成する。VCO34によって生成されたクロック信号すなわち、PLL回路31のクロック信号は、アップカウンタ36のクロック信号となり、アップカウンタの値を増加させる。一方、アップカウンタの値は、あらかじめ設定された最大値TBLMAXの値を越えると、コンパレータCMP2によって、アップカウンタへのリセット信号が生成されるように構成されているので、アップカウンタの値は、0〜TBLMAXの範囲でアップカウントを繰り返す。ここで、PLL回路31のクロック信号の周波数と、TBLMAXの関係を線間電圧の周波数に関係づけることによって、アップカウンタの値(0〜TBLMAX)は、線間電圧Vuvの位相(0〜360°)に一致した周期でアップカウントを繰り返す。さらに、u相の相電圧位相は、線間電圧Vuvの位相に対して30°遅れであり、デジタル量に換算すれば
TBLMAX×30/360
だけ差し引いた位相に対応した信号として検知することができる。このようにデジタル量として生成された相電圧位相を、メモリアドレスとし、正弦波データが書き込まれたメモリ、すなわちサインテーブル38をあらかじめ用意しておき、生成されたアドレスに対応した正弦波データをメモリから逐次読み出すことによって、相電圧の瞬時値に対応した相電圧基準信号(振幅が1)を生成することができる。生成された相電圧基準信号とあらかじめ設定されているかまたは、外部から任意に設定された相電圧振幅Vの値を乗算することによって、相電圧信号瞬時値の絶対値を演算生成することが可能である。v相およびw相の位相については、それぞれu相の120°遅れ、および240°遅れであるから、差し引くべきデジタル量すなわち参照アドレスは、それぞれ、
TBLMAX×(30−120)/360 および
TBLMAX×(30−240)/360となる。
なお、演算された負の位相については、0〜360°データの繰り返しであるから、360°を加算して正の位相すなわち正のアドレスに換算して参照すればよい。
本実施の形態に係る電力表示装置は、PWMコンバータを備えた電動射出成形機だけでなく、ブリッジ整流器を備えた電動射出成形機にも適用可能である。
本発明の実施の形態に係るPWMコンバータが設けられている電動射出成形機の電力の供給系統を模式的に示す、電気系統図である。 本実施の形態に係る電力表示装置が設けられているPWMコンバータを模式的に示す図で、その(ア)は電力表示装置を構成する機能ブロックとPWMコンバータを構成する整流回路と機能ブロックとを模式的に示す回路図で、その(イ)は電力表示装置を構成する相電圧変換器を示す回路図である。 本実施の形態に係る相電圧検出方法を示すブロック図である。
符号の説明
1 電力表示装置 2 PWMコンバータ
4 整流回路 5 整流回路コントローラ
8 制御演算機能ブロック 9 PWM制御機能ブロック
、A 電流計
16 相電圧変換器 17 表示装置
18 コントローラ
21 電力演算機能ブロック 22 電力量演算機能ブロック
31 PLL回路 32 位相比較器
33 分周器 34 VCO

Claims (6)

  1. 三相交流電源側から供給される三相交流電圧を変換してサーボアンプに直流電圧を供給すると共に、前記サーボアンプから回生される回生電力を前記三相交流電源側に戻すPWMコンバータを備えた電動射出成形機において、
    前記三相交流電源側と前記PWMコンバータ間における電圧値と電流値とを計測し、計測した前記電圧値と前記電流値とから前記電動射出成形機の消費電力と前記回生電力とからなる電力データを演算して、前記電力データを画面表示し、印字し、または通信回線を介して外部に出力することを特徴とする、電動射出成形機の電力表示方法。
  2. 請求項1に記載の電力表示方法において、前記電力データには無効電力と力率も含まれていることを特徴とする電動射出成形機の電力表示方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の電力表示方法において、前記電力データには前記電力データを積算して得られる電力量も含み、前記電力データの積算は、前記電動射出成形機の成形工程を制御するコントローラからの信号に同期して演算されることを特徴とする、電動射出成形機の電力表示方法。
  4. 三相交流電源側から供給される三相交流電圧を変換してサーボアンプに直流電圧を供給すると共に、前記サーボアンプから回生される回生電力を前記三相交流電源側に戻すPWMコンバータを備えた電動射出成形機の電力表示装置であって、
    前記三相交流電源側と前記PWMコンバータ間における電流値を計測する電流計測手段と、電圧値を計測する電圧計測手段と、画面表示装置、印字装置、または通信装置からなるデータ表示手段とを備え、
    前記電動射出成形機の消費電力と前記回生電力とからなる電力データが、前記電流計測手段によって計測される電流値と、前記電圧計測手段によって計測される電圧値とから演算されて、前記データ表示手段に出力されることを特徴とする、電動射出成形機の電力表示装置。
  5. 請求項4に記載の電力表示装置において、前記電力データには無効電力と力率も含まれることを特徴とする電動射出成形機の電力表示装置。
  6. 請求項4または請求項5に記載の電力表示装置において、前記電力データには前記電力データを積算して得られる電力量も含まれ、前記電力量は、前記電動射出成形機の成形工程を制御するコントローラから入力される信号に同期して演算されることを特徴とする電動射出成形機の電力表示装置。
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