JP2010110321A - 有芽胞菌の芽胞発芽増殖阻害剤及び有芽胞菌の芽胞発芽増殖阻害方法 - Google Patents

有芽胞菌の芽胞発芽増殖阻害剤及び有芽胞菌の芽胞発芽増殖阻害方法 Download PDF

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Abstract

【課題】有芽胞菌の芽胞発芽増殖を阻害することにより、飲食物の安全性および品質を向上させる。また、従来品よりpH値が高くても微生物的な安全性が確保された飲食物を提供する。
【解決手段】本発明の有芽胞菌の芽胞発芽増殖阻害剤は、有機酸またはその塩を有効成分とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、有機酸を有効成分とする有芽胞菌の芽胞発芽増殖阻害剤、該阻害剤を添加した飲食物、及び有芽胞菌の芽胞発芽増殖阻害方法に関する。
加熱殺菌を要する酸性飲料は、食品衛生法において、pH4.0未満の製品では65℃で10分間あるいは同等の加熱によって微生物的な安全性を確保することが定められている。また、pH4.0以上4.6未満の製品では、85℃で30分間の加熱または同等の加熱を行うことが定められている。しかし、耐熱性芽胞菌は、この条件でも滅菌されない場合がある。また、pH4.6未満でも発育可能な株が存在することから、飲料充填時に
耐熱性芽胞菌が混入し、変敗事故が起こる危険性がある。
この危険性を回避するために、市販の酸性飲料では、pHを上記範囲内(4.0≦pH<4.6)であっても低めに設定することが多い。しかし、低めのpH値設定は、飲料全体の呈味性に好ましくない影響を与える。
例えば、野菜・果実飲料では、レモン果汁を添加してpH4.2程度に設定していることが多い。また、多くの酢含有飲料では、充填温度においても殺菌効果の期待できるpH4.0未満に商品規格を設定している。
このようにpHを低めに設定することにより、酸味が強くなりすぎてしまうという問題が生じる。特に酢含有飲料においては、pHが低いと刺激が強くなり、飲みにくくなる。一方、pHを高めに設定すると、菌の発育の恐れがあり、市販飲料としての安全性を欠くものとなる。よって、pHが高めであるものの安全性が高い酸性飲料の開発が望まれていた。
特許文献1には、アロエ搾汁液および/またはアマチャヅルエキス、ならびに有機酸塩または炭酸塩を用いて酢含有飲料のpHを調整し、酢酸の刺激を緩和する方法について記載されている。しかし、この方法によっても、酢含有飲料のpHを4.0以上とすると微生物汚染が問題となるため、製品化はできないとされている。
これまでに、酢酸やクエン酸をはじめとする有機酸には微生物増殖の抑制効果があると報告がなされている(非特許文献1および2)。しかしながら、これら文献には、芽胞が発芽し、栄養型細胞へ成長することを阻害する旨の記載はない。微生物自体が死滅する環境であっても芽胞は生き残ることができ、再度微生物が発育できる環境になると、芽胞が発芽し、微生物へと成長する。従って、微生物を死滅させても、芽胞が残存していれば再び食品の微生物汚染が生じる可能性がある。
また、特許文献2には、耐熱性好酸菌に対して静菌作用を有する乳酸およびその塩について記載されている。しかしながらこれも、芽胞から栄養型細胞への成長を抑制するものではない。
このように、耐熱性芽胞に対しての発芽阻害効果を目的とした有機酸の種類、添加濃度等について明確に示した例はない。商品の安全性を向上させるため、耐熱性芽胞菌の増殖抑制効果を有する物質およびその添加条件を明らかにすることが求められている。
特開昭62−107781号公報 特開2007−159454号公報
松田敏生、「食衛誌」、2004年6月、第45巻、第3号、p.189−196 松田敏生、他3名、「日本食品工業学会誌」、1994年、第41巻、第10号、p.687−702
本発明は、有芽胞菌の芽胞発芽増殖を阻害することにより、飲食物の安全性および品質を向上させることを目的とする。また、従来品よりpH値が高くても微生物的な安全性が確保された飲食物を提供することも目的とする。
本発明の第1側面によると、有機酸またはその塩を有効成分とする有芽胞菌の芽胞発芽増殖阻害剤が提供される。
本発明の第2側面によると、前記芽胞発芽増殖阻害剤を添加した飲食物が提供される。
本発明の第3側面によると、有機酸またはその塩を有効成分とする有芽胞菌の芽胞発芽増殖阻害剤を含み、pHが4.0以上4.6未満であることを特徴とする酢含有飲料が提供される。
本発明の第4側面によると、酢酸5mM以上を含み、且つpHが4.0以上4.6未満、好ましくはpH4.2以上4.6未満である酢含有飲料が提供される。
本発明の第5側面によると、有機酸またはその塩を添加することを特徴とする有芽胞菌の芽胞発芽増殖阻害方法が提供される。
本発明によると、有芽胞菌の芽胞発芽増殖を阻害することにより、飲食物の安全性および品質を向上させることが可能になる。またその結果として、従来品よりpH値が高くても微生物的な安全性が確保された飲食物を提供することが可能となる。
本発明は、有機酸が有芽胞菌において芽胞の発芽増殖を阻害し、その結果として有芽胞菌の増殖を抑制することができるという発見に基づく。
芽胞は、一部の細菌において形成され、極めて耐久性の高い細胞構造を有する。芽胞を作る能力を持った細菌が、栄養や温度などの環境が悪い状態に置かれたり、その細菌に対して毒性を示す化合物と接触したりすると、細菌細胞内部に芽胞が形成される。芽胞は極めて高い耐久性を持っており、環境が悪化して通常の細菌が死滅する状況に陥っても生き残ることが可能である。芽胞の状態では、細菌は増殖することはできず、その代謝も限られている。しかし、生き残った芽胞が再びその細菌の増殖に適した環境に置かれると、芽胞は発芽して、通常の増殖および代謝能を有する菌体が作られる。
従って、微生物自体を殺菌した場合であっても、芽胞が存在する限り、再び微生物として増殖する危険性がある。本発明の有芽胞菌の芽胞発芽阻害剤は、このような芽胞から微生物への成長を阻害することができる点に特徴を有する。
本発明において芽胞発芽増殖阻害剤とは、有芽胞菌の芽胞から新たな菌が増殖することを抑制するものをいい、有芽胞菌自体が細胞分裂等による増殖であって、芽胞発芽が関与しないものは含まない。
本発明の芽胞発芽増殖阻害剤が作用する微生物は、有芽胞菌であれば特に限定されない。例えば、バチルス属またはクロストリジウム属の微生物が挙げられる。
前記芽胞発芽増殖阻害剤は、有機酸を有効成分として含むことを特徴とする。前記有機酸には、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酢酸、乳酸またはこれらの塩が含まれる。特に、酢酸、乳酸およびクエン酸が優れた芽胞発芽増殖阻害効果を示す。これらは、単独で、または複数の有機酸を組み合わせて使用することができる。
本発明の芽胞発芽増殖阻害剤の剤形は特に限定されないが、当該分野で通常使用される賦形剤と混合して製剤化することができる。また製剤とする場合には、エタノール、グリセリン脂肪酸エステル、各種糖類、糖アルコール、レシチン等を使用することができる。
本発明の芽胞発芽増殖阻害剤は、有芽胞菌汚染の可能性があるあらゆる飲食物やその原材料に適用することができる。本発明の1つの実施形態によると、有機酸またはその塩を有効成分とする有芽胞菌の芽胞発芽増殖阻害剤を添加した飲食物が提供される。該飲食物としては、例えば、果汁飲料、野菜飲料、乳飲料、乳酸菌飲料、乳類入り清涼飲料などの乳性飲料、コーヒー、ココア、お汁粉、スープ類、チョコレート、キャラメル飲料などの嗜好性飲料、紅茶、緑茶、麦茶、ウーロン茶、ジャスミン茶、玄米茶などの茶類、機能性飲料、栄養ドリンク、ゼリー状の栄養補助食品、スポーツ飲料などが挙げられる。
本発明の芽胞発芽増殖阻害剤が適用される飲食物は、好ましくは酸性飲食物である。ここで、酸性飲食物とは、pH4.6未満の食品および飲料を意味し、例えば、トマトジュースや人参ジュースなどの各種野菜ジュース、果汁飲料、炭酸飲料、酸性紅茶飲料、スポーツ飲料、栄養ドリンク、乳性飲料、ヨーグルト、果肉入りゼリー、リキュール、ジャム、マーマレード、ドレッシング、および酢含有飲料などが含まれる。
このような酸性飲食物の場合、上述したように、pHを低めに設定していることが多い。すなわち、微生物汚染を防ぐために、最も好ましい味を呈するpHよりも製品のpHを低くする傾向があった。しかし、本発明による芽胞発芽増殖阻害剤を添加することにより、従来と比較してpHを高く設定しても、微生物的な安全性が確保された飲食物を提供することが可能になる。その結果として、味のよい飲食物を提供することが可能になる。
pHの調整は、芽胞発芽増殖阻害効果を有する有機酸のみにより行ってもよく、一定量の前記有機酸およびpH調整剤を加えることにより行ってもよい。前記有機酸は、対象となる飲食物に対して5mM以上の濃度で添加されることが好ましい。前記pH調整剤としては、当該分野で通常使用されるいずれのpH調整剤も使用することができるが、例えば、塩酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸等が挙げられる。
前記酸性飲食物の中でも、酢含有飲料は、上述したように、充填温度においても殺菌効果の期待できるpH4.0未満に商品規格を設定している場合が多い。しかし、本発明者らは、酢に含まれる酢酸、および他の有機酸が芽胞発芽増殖阻害剤としての効果を有することを見出し、pH4.0以上であっても微生物的な安全性が確保された酢含有飲料を提供できることを確認した。
従って、本発明の1つの実施形態によると、有機酸またはその塩を有効成分とする有芽胞菌の芽胞発芽増殖阻害剤を含み、pHが4.0以上4.6未満であることを特徴とする酢含有飲料が提供される。前記有機酸としては、上述したように、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酢酸、または乳酸を使用することができる。酢には、有機酸である酢酸が含まれているが、さらに他の有機酸を添加してもよい。pHを4.0以上4.6未満に調整するためのpH調整剤としては、上述したように、当該分野で通常使用されるいずれのpH調整剤も使用することができるが、好ましくは炭酸水素ナトリウムが使用される。本発明による酢含有飲料に含まれる酢酸の濃度は、5mM以上であり、好ましくはpH4.2未満において5mM以上、pH4.4未満において20mM以上、pH4.6未満において40mM以上である。
本発明の酢含有飲料に含まれる酢は、醸造酢(穀物酢、果実酢、野菜酢)、または合成酢のいずれであってもよい。穀物酢の例としては、米酢、米黒酢、大麦黒酢等が挙げられる。果実酢の例としては、りんご酢、ぶどう酢、柿酢等が挙げられる。野菜酢の例としては、ニンジン酢、タマネギ酢等が挙げられる。また、複数種類の酢を任意の割合で混合して使用することも可能である。さらに、他の成分を含んでもよく、例えば、果汁、野菜汁、糖類等が挙げられる。ビタミン、ミネラル、食物繊維等を含有させ、機能的にさらに優れた酢含有飲料としてもよい。
酢には独特の刺激臭があり、また、飲むときにむせてしまう等の飲みにくさがある。上述したように、本発明による酢含有飲料は、芽胞発芽増殖阻害剤を添加することによりpHを高く設定することが可能である。pHを高くすることにより、この酢独特の飲みにくさを改善することができ、飲みやすい酢含有飲料を提供することが可能になる。酢には、血圧降下、食欲増進、疲労回復、夏バテ解消等の効能があることが知られており、飲みやすい酢を提供することで、健康増進に寄与することが期待される。
酢酸の吸収が行われる胃や小腸以降の腸管のpHは、組成物の組成により影響を受けず、各部位毎に一定に保たれている。そのため、口に入れる段階での組成物中の酢酸の存在状態は、体内での酢酸の吸収に影響しない。従って、本発明の酢含有飲料においてpHを4.0以上にしても、酢含有飲料の機能的な効果については、従来のpH4.0未満の酢含有飲料と何ら変わりはないと言える。
さらに、本発明者らは、野菜飲料においても酢含有飲料と同様の効果が得られることを確認した。
上述したように、野菜飲料は、レモン果汁を添加してpHが4.2程度に調節されていることが多い。しかし、本発明者らは、芽胞発芽増殖阻害剤としての効果を有する有機酸を添加することにより、pH4.2以上であっても微生物的な安全性が確保された野菜飲料を提供できることを確認した。
従って、本発明の1つの実施形態によると、有機酸またはその塩を有効成分とする有芽胞菌の芽胞発芽増殖阻害剤を含み、pHが4.2以上4.6未満であることを特徴とする野菜飲料が提供される。前記有機酸としては、上述したように、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酢酸、または乳酸を使用することができる。これらの有機酸を組み合わせて使用してもよい。pHを4.2以上4.6未満に調整するためのpH調整剤としては、上述したように、当該分野で通常使用されるいずれのpH調整剤も使用することができるが、好ましくは炭酸水素ナトリウムが使用される。本発明による野菜飲料に含まれる有機酸の濃度は、5mM以上であり、好ましくはpH4.2未満において各有機酸5mM 以上、pH4.4未満において酢酸20mM以上、乳酸10mM以上、クエン酸40mM以上、pH4.6未満では酢酸、乳酸40mM以上、クエン酸80mM以上である。
野菜飲料にレモン果汁等を加えてpHを低くすると、酸味が強くなる等の問題が生じる。上述したように、本発明による野菜飲料は、pHを高く設定することが可能である。pHを高くすることにより、酸味を低下させることができ、飲みにくさを改善すると共に飲料の味を向上させることが可能である。
本発明の芽胞発芽増殖阻害剤が適用される飲食物は、容器詰して上市することもできるが、容器の種類は特に限定されない。例えば、PETボトル、アルミニウムやスチール等の缶、紙、レトルトパウチ、ガラス等の瓶が挙げられる。
上述したように、現在市販されている酸性飲料は、耐熱性芽胞菌による変敗を防ぐことを目的としてpHが低めに設定されることが多い。しかし、pHを低めにすると酸味が強くなりすぎ、飲食物の味に好ましくない影響を与える傾向がある。有芽胞菌の芽胞発芽増殖阻害効果を有する有機酸を添加した飲食物は、有芽胞菌による変敗の恐れがなくなるため、pHを低めに設定する必要がなくなる。結果として、味に対する影響がなくなり、飲食物の品質を向上させることができる。
供試菌株は、以下の手順により取得した。
数箇所から採取した土壌に滅菌生理食塩水を加えて均質化し、試験液とした。塩酸でpH4.4以下に調整したSCD寒天培地に加熱処理(沸騰水中、10分間)した試験液を接種し、増殖した菌株を分離した。分離菌のうち、pH4.2でもよく生育し、耐熱性芽胞を形成する菌株7株と変敗品から分離した菌株1株の合計8株を供試した。有機酸は、クエン酸、リンゴ酸、酢酸および乳酸を用い、pH調整用に塩酸または水酸化ナトリウムを使用した。基礎培地はSCD液体培地とした。
SCD液体培地に有機酸を添加し、pHを調整した各培地を作成した。各菌株の芽胞液を接種し、35℃で4週間静置培養した。発育の有無から有機酸による増殖阻害効果を検討した。使用した菌株の種類は、以下の通りである(菌株3:Bacillus amyloliquefaciens、菌株5:Bacillus amyloliquefaciens、菌株11:Bacillus shackletonii、菌株12:Bacillus shackletonii、菌株17:Bacillus shackletonii、菌株20:Bacillus shackletonii、菌株24:Bacillus sp.(Bacillus cereusに近縁)、菌株91004:Bacillus coagulans)。
実施例1
有機酸添加量を5〜100mM(クエン酸は5〜100mM、酢酸は5〜60mM、乳酸は5〜40mM、リンゴ酸は、5〜100mM)とし、HClまたはNaOHを用いてpHを4.2〜4.6に調整した。各試験区3本の試験を実施し、結果は、菌増殖本数/試験本数で表した。1本でも菌の増殖が確認された場合はその試験区を陽性とし、有機酸による抑制効果なしとした。
Figure 2010110321
Figure 2010110321
Figure 2010110321
クエン酸については、pH4.2において5mMを添加した場合に8株中8株に対して増殖阻害効果が見られた。pH4.4において40mMを添加した場合に8株中8株に対して増殖阻害効果が見られた。pH4.6において80mMを添加した場合に8株中8株に対して増殖阻害効果が見られた。
Figure 2010110321
Figure 2010110321
Figure 2010110321
酢酸においては、pH4.2において5mMを添加した場合に8株中8株に対して増殖阻害効果が見られた。pH4.4において20mMを添加した場合に8株中8株に対して増殖阻害効果が見られた。pH4.6において40mMを添加した場合に8株中8株に対して増殖阻害効果が見られた。
Figure 2010110321
Figure 2010110321
Figure 2010110321
乳酸においては、pH4.2において5mMを添加した場合に8株中8株に対して増殖阻害効果が見られた。pH4.4において5mMを添加した場合に8株中8株に対して増殖阻害効果が見られた。pH4.6において40mMを添加した場合に8株中8株に対して増殖阻害効果が見られた。
Figure 2010110321
Figure 2010110321
Figure 2010110321
リンゴ酸においては、pH4.2において5mMを添加した場合に8株中8株に対して増殖阻害効果が見られた。pH4.4以上のpHにおいては100mMを添加しても増殖阻害効果が見られなかった。
実施例2
酢含有飲料について、実施例1と同様に、有芽胞菌の増殖の有無を確認した。試験に使用する酢含有飲料は、以下のように調製した。
果糖ぶどう糖液糖:玄米黒酢:りんご果汁:香料の重量比を11:8.2:2.86:0.03として、水を加えて100とした。この時のpHは3.3であった。これに炭酸水素ナトリウム(重曹)を加えて、pHを4.2(サンプル2)、4.4(サンプル3)、4.6(サンプル4)に調整した。各原料を混合溶解後、加熱殺菌した。次いで、これをペットボトルに充填し、キャップをした後、20℃まで冷却した。
SCD液体培地にサンプルを添加し、その後各菌株の芽胞液を接種して、35℃で4週間静置培養した。使用した菌株の種類は、実施例1と同様である。各試験区3本の試験を実施し、結果は、菌増殖本数/試験本数で表した。1本でも菌の増殖が確認された場合はその試験区を陽性とし、増殖阻害効果なしとした。
Figure 2010110321
いずれのサンプルにおいても芽胞菌の増殖は全く見られなかった。また、加熱殺菌をせずとも、腐敗することなく保存することが可能であった。
実施例3
酢含有飲料の「むせやすさ」や「飲みやすさ」を試験するために、実施例2で使用したサンプル2〜3および重曹を添加する前のサンプル1(pH3.3)について、官能試験を行った。
これらの各サンプルを17名に試飲させた。評価指標は、「むせやすさ」および「飲みやすさ」とした。評価基準は、以下の通りである。
むせやすさ 酢がツンときてむせた −2点
酢がツンときてむせかけた −1点
ツンとこなくて、飲みやすかった −0点
飲みやすさ 飲みやすい 2点
やや飲みやすい 1点
飲みにくい 0点
官能試験の結果を以下の表6に示す。
Figure 2010110321
官能試験の結果、pHの低いサンプルは「むせやすさ」が強かった。「飲みやすさ」に関しては、サンプル2〜4において良い評価が得られた。両評価を合計した数値を総合評価とした。サンプル2〜4はほぼ同じ評価であったが、特に、サンプル3で良い総合評価が得られた。
実施例2および3で使用したサンプル2〜4に含まれる有機酸およびナトリウムの量を、以下の表7に示す。
Figure 2010110321

Claims (10)

  1. 有機酸またはその塩を有効成分とする有芽胞菌の芽胞発芽増殖阻害剤。
  2. 前記有芽胞菌がバチルス属またはクロストリジウム属であることを特徴とする、請求項1に記載の芽胞発芽増殖阻害剤。
  3. 前記有機酸が酢酸、クエン酸、リンゴ酸、または乳酸であることを特徴とする、請求項1または2に記載の芽胞発芽増殖阻害剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の芽胞発芽増殖阻害剤を添加した飲食物。
  5. pHが4.2以上4.6未満であることを特徴とする請求項4に記載の飲食物。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の芽胞発芽増殖阻害剤を含み、pHが4.0以上4.6未満であることを特徴とする容器詰め酢含有飲料。
  7. 酢酸5mM以上を含み、且つpHが4.0以上4.6未満である容器詰め酢含有飲料。
  8. 有機酸またはその塩を添加することを特徴とする有芽胞菌の芽胞発芽増殖阻害方法。
  9. 有機酸またはその塩を添加することにより飲食物のpHを4.2以上4.6未満に調整することを特徴とする有芽胞菌の芽胞発芽増殖阻害方法。
  10. 前記有機酸が酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸またはこれらの塩であることを特徴とする、請求項8または9に記載の有芽胞菌の芽胞発芽増殖阻害方法。
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