JP2010110300A - ペクチネイタス・ハイカラエの検出用プローブおよびプライマー - Google Patents

ペクチネイタス・ハイカラエの検出用プローブおよびプライマー Download PDF

Info

Publication number
JP2010110300A
JP2010110300A JP2008287876A JP2008287876A JP2010110300A JP 2010110300 A JP2010110300 A JP 2010110300A JP 2008287876 A JP2008287876 A JP 2008287876A JP 2008287876 A JP2008287876 A JP 2008287876A JP 2010110300 A JP2010110300 A JP 2010110300A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polynucleotide
seq
primer
bases
sequence
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2008287876A
Other languages
English (en)
Inventor
Setsuzo Tada
田 節 三 多
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kirin Brewery Co Ltd
Original Assignee
Kirin Brewery Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kirin Brewery Co Ltd filed Critical Kirin Brewery Co Ltd
Priority to JP2008287876A priority Critical patent/JP2010110300A/ja
Publication of JP2010110300A publication Critical patent/JP2010110300A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

【課題】ペクチネイタス・ハイカラエを、正確、迅速、かつ簡便に識別できるプローブおよびプライマーの提供。
【解決手段】特定な配列からなる塩基配列またはその相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドからなる、ペクチネイタス・ハイカラエ検出用プローブまたはプライマー。
【選択図】なし

Description

発明の分野
本発明は、ペクチネイタス・ハイカラエの検出用プローブおよびプライマーに関し、詳細には、ペクチネイタス・ハイカラエの検出用のPCR法プライマーセットに関する。
ビール業界においては、微生物によるビールの汚染は深刻な問題をもたらす。製品となったビール中で増殖する菌種としてはラクトバチラス属(Lactobacillus)、ペディオコッカス属(Pediococcus)の乳酸菌の報告例が多いが、1970年代以降から、グラム陰性の偏性嫌気性細菌が混濁したビールから分離されている。ペクチネイタス属細菌(Pectinatus)は、ビール混濁能を持つ胞子非形成の偏性嫌気性グラム陰性桿菌であり、ペクチネイタス・セレビシフィラス(Pectinatus cerevisiiphilus)、ペクチネイタス・フリシンゲンシス(Pectinatus frisingensis)、ペクチネイタス・ハイカラエ(Pectinatus haikarae)という菌種が提唱されている(Lee, S. Y. et al. 1978 International Journal of Systematic Bacteriology 28, 582-594、Haikara, A. et al. 1981 Applied and Environmental Microbiology 41, 511-517、Schleifer , K. H. et al. 1990 International Journal of Systematic Bacteriology 40, 19-27、Juvonen, R and Shihko, M. L. 2006 Int J Syst Evol Microbiol. 56(Pt 4), 695-702)。グラム陰性球菌の偏性嫌気性ビール混濁菌としては、メガスフェラ・セレビシェ(Megasphaera cerevisiae)(Weiss, N. et al. 1979 Brauwissenschaft 32, 189-194)、メガスフェラ・スーシエンシス(Megasphaera sueciensis)、メガスフェラ・パウシボランス(Megasphaera paucivorans)Juvonen, R and Shihko, M. L. 2006 Int J Syst Evol Microbiol. 56(Pt 4), 695-702)が報告されている。ザイモフィラス・パウシボランス(Zymophilus paucivorans)は、胞子非形成の偏性嫌気性グラム陰性桿菌であり、遺伝学的背景がペクチネイタス属と近く、ビール製造に用いられる添加酵母から分離されている(Schleifer , K. H. et al. 1990 International Journal of Systematic Bacteriology 40, 19-27)。これらの細菌がビール中で増殖すると、混濁を起こすのみならず硫化水素や脂肪酸などの不快な香気成分を生産し、ビールの品質を著しく低下させる(Haikara, A. 1985 Monatsschr. fuer Brauwissenschaft 38, 239-243)。従って、これらの細菌を検出し、同定する技術はビール製造における品質管理に非常に重要である。
これまでに、ペクチネイタス・セレビシフィラスとペクチネイタス・フリシンゲンシスについてリボタイピングでハイブリダイズするDNA断片を比較してこれらの細菌の存在を同定する技術(特開平10−243799号公報)が報告されている。また、ペクチネイタス・セレビシフィラス、ペクチネイタス・フリシンゲンシス、ペクチネイタス種DSM20764株の16S rRNA遺伝子の塩基配列を用いた検出用プライマー(特開2004−121259号公報(特許文献1))、ペクチネイタス・フリシンゲンシス、ペクチネイタス・セレビシフィラスのそれぞれに優先的にハイブリダイズするプローブ、及びペクチネイタス属、メガスフェラ属、ザイモフィラス属、セレノモナス属菌に優先的にハイブリダイズするプローブ(特開2001−145492号公報)、ペクチネイタス・フリシンゲンシス、ペクチネイタス・セレビシフィラスの16S rRNA遺伝子と23S rRNA遺伝子の間のスペーサー領域の塩基配列を用いた検出用プライマー(特開2001−218598号公報)、ペクチネイタス・セレビシフィラス、ペクチネイタス・フリシンゲンシスの23S rRNA遺伝子の塩基配列を用いた検出用プローブ(特開2002−17356号公報)、ペクチネイタス属の16S rRNA遺伝子の塩基配列を用いた検出用プライマー(WO2005/093059号公報)、ペクチネイタス・セレビシフィラス、ペクチネイタス・フリシンゲンシス、ペクチネイタス属DSM20764菌の16S rRNA遺伝子の塩基配列を用いた検出用プライマー(WO97/20071号公報)、ペクチネイタス・セレビシフィラス、ペクチネイタス・フリシンゲンシス、ペクチネイタス属の16S rRNA遺伝子の塩基配列を用いた検出用プライマー(特開2001−145492号公報)、ペクチネイタス・セレビシフィラス、ペクチネイタス・フリシンゲンシスの16S rRNA遺伝子および23S rRNA遺伝子の塩基配列を用いた検出用プライマー(WO00/09683号公報)、が報告されている。さらに、ペクチネイタス・セレビシフィラス、ペクチネイタス・フリシンゲンシス、ペクチネイタス種DSM20764株、メガスフェラ・セレビシェ、ザイモフィラス・パウシボランスの23S rRNA遺伝子及び5S rRNA遺伝子のスペーサー領域の塩基配列から開発されたPCR−ELISA用のプローブ(特表2003−510091号公報)、ペクチネイタス・フリシンゲンシス、ペクチネイタス・セレビシフィラスの16S rRNA遺伝子配列を使ったネスティッドPCR法用のプライマー(特開2005−6556号公報)が報告されている。
しかし、ペクチネイタス・ハイカラエを特異的に検出する手段は、まだ報告されていない。
特開2004−121259号公報
発明の概要
本発明者は、ペクチネイタス・ハイカラエの16SリボソームRNA(16SrRNA)遺伝子において、種のレベルで保存され、かつペクチネイタス・ハイカラエに特異的な塩基配列を見出した。具体的には、ペクチネイタス・ハイカラエの16SrRNA遺伝子の塩基配列(配列番号3)において、配列番号1の塩基配列がペクチネイタス・ハイカラエに特異的であることを見出した。本発明者はまた、この特異的な配列に基づいて設計したペクチネイタス・ハイカラエ検出用PCR法プライマーセットによってペクチネイタス・ハイカラエを正確に検出できることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づくものである。
本発明は、ペクチネイタス・ハイカラエを正確に検出できるプライマーおよびプローブ並びにプライマーセットを提供することを目的とする。本発明は、また、ペクチネイタス・ハイカラエの検出方法および飲料の混濁可能性の判定方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)配列番号1の塩基配列またはその相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドからなる、ペクチネイタス・ハイカラエ(Pectinatus haikarae)検出用プローブまたはプライマー。
(2)配列番号1の塩基配列またはその相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドが、配列番号1の塩基配列の相補配列の連続する少なくとも10個のヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)、または配列番号1の塩基配列の連続する少なくとも10個のヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)である、前記(1)に記載のプローブまたはプライマー。
(3)配列番号1の塩基配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドが、配列番号2の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチド、または配列番号2の塩基配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドであり、配列番号1の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドが、配列番号2の塩基配列で表されるポリヌクレオチド、または配列番号2の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドである、前記(1)に記載のプローブまたはプライマー。
(4)配列番号1の塩基配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドが、配列番号2の塩基配列の相補配列(1または数個の変異が導入されていてもよい)からなるポリヌクレオチドであり、配列番号1の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドが、配列番号2の塩基配列(1または数個の変異が導入されていてもよい)からなるポリヌクレオチドである、前記(1)に記載のプローブまたはプライマー。
(5)前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載のプライマーを少なくとも1種含んでなる、ペクチネイタス・ハイカラエ検出用PCR法プライマーセット。
(6)前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載のプライマーと、配列番号3の塩基配列またはその相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドからなるペクチネイタス・ハイカラエ検出用プライマーとからなる、ペクチネイタス・ハイカラエ検出用PCR法プライマーセット。
(7)配列番号3の塩基配列またはその相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドが、配列番号3の塩基配列の相補配列の連続する少なくとも10個のヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)、または配列番号3の塩基配列の連続する少なくとも10個のヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)である、前記(6)に記載のプライマーセット。
(7’)配列番号3の塩基配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドが、配列番号4〜7の塩基配列で表されるポリヌクレオチド、または配列番号4〜7の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドであり、配列番号3の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドが、配列番号4〜7の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチド、または配列番号4〜7の塩基配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドである、前記(6)に記載のプローブまたはプライマー。
(7”)配列番号3の塩基配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドが、配列番号4〜7の塩基配列(1または数個の変異が導入されていてもよい)からなるポリヌクレオチドであり、配列番号3の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドが、配列番号4〜7の塩基配列の相補配列(1または数個の変異が導入されていてもよい)からなるポリヌクレオチドである、前記(6)に記載のプローブまたはプライマー。
(8)前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載のプローブもしくはプライマー、または前記(5)〜(7)のいずれか一項に記載のプライマーセットを用いて試料中の標的核酸を検出する工程を含んでなる、ペクチネイタス・ハイカラエの検出方法および飲料の混濁可能性の判定方法。
本発明によるプライマーおよびプローブ並びにプライマーセットによれば、ペクチネイタス・ハイカラエを正確に検出することができる。特に、本発明によるプライマーセットは、PCR法による核酸増幅反応に使用することができ、増幅産物の有無により対象菌種を検出することができる。従って、本発明によるプライマーおよびプローブ並びにプライマーセットによれば、ペクチネイタス・ハイカラエを、正確、迅速、かつ簡便に識別することができる。
ペクチネイタス・ハイカラエは、ビール、発泡酒、およびワインなどの各種飲料を混濁させる原因菌であり、これらの菌の存在・不存在は各種飲料の品質管理の指標となりうる。従って、本発明によるプライマーセットは、各種飲料(特に、ビール、発泡酒、およびワイン)の品質管理や環境試料の検査に有用である。
発明の具体的説明
プライマー、プローブ、およびプライマーセット
本発明では、配列番号1の塩基配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基(好ましくは、少なくとも15塩基、より好ましくは少なくとも18塩基、特に好ましくは少なくとも20塩基)のポリヌクレオチド、並びに配列番号1の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基(好ましくは、少なくとも15塩基、より好ましくは少なくとも18塩基、特に好ましくは少なくとも20塩基)のポリヌクレオチドを、ペクチネイタス・ハイカラエ検出用のプライマーやプローブとして用いることができる(以下、「本発明による第一の態様のプライマーまたはプローブ」ということがある)。
本発明では、また、配列番号3の塩基配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基(好ましくは、少なくとも15塩基、より好ましくは少なくとも18塩基、特に好ましくは少なくとも20塩基)のポリヌクレオチド、並びに配列番号3の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基(好ましくは、少なくとも15塩基、より好ましくは少なくとも18塩基、特に好ましくは少なくとも20塩基)のポリヌクレオチドを、ペクチネイタス・ハイカラエ検出用のプライマーとして用いることができる(以下、「本発明による第二の態様のプライマー」ということがある)。
本発明による第二の態様のプライマーを、本発明による第一の態様のプライマーと組み合わせてPCRプライマーとして使用する場合には、本発明による第二の態様のプライマーは、配列番号3の1〜177番目もしくは234〜1535番目の塩基配列またはその相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基(好ましくは、少なくとも15塩基、より好ましくは少なくとも18塩基、特に好ましくは少なくとも20塩基)のポリヌクレオチドであることができ、好ましくは、配列番号3の253〜458番目、513〜596番目、671〜829番目、または873〜935番目の塩基配列またはその相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基(好ましくは、少なくとも15塩基、より好ましくは少なくとも18塩基、特に好ましくは少なくとも20塩基)のポリヌクレオチドである。
本明細書において「ハイブリダイズする」とは、標的ポリヌクレオチドにハイブリダイズし、標的ポリヌクレオチド以外のポリヌクレオチドには、実質的にはハイブリダイズしないことを意味する。ハイブリダイゼーションは、ストリンジェントな条件下で実施することができる。ここで「ストリンジェントな条件」は、プライマー配列とその相補鎖との二重鎖のTm(℃)および必要な塩濃度などに依存して決定でき、プライマーとなる配列を選択した後にそれに応じたストリンジェントな条件を設定することは当業者に周知の技術である(例えば、J. Sambrook, E. F. Frisch, T. Maniatis; Molecular Cloning 2nd edition,Cold Spring Harbor Laboratory(1989)等参照)。ストリンジェントな条件としては、ハイブリダイゼーションに通常用いられる適切な緩衝液中で、ヌクレオチド配列によって決定されるTmよりわずかに低い温度(例えば、Tmよりも0〜約5℃低い温度)においてハイブリダイゼーション反応を実施することが挙げられる。ストリンジェントな条件としてはまた、ハイブリダイゼーション反応後の洗浄を高濃度低塩濃度溶液で実施することが挙げられる。ストリンジェントな条件の例としては、6×SSC/0.05%ピロリン酸ナトリウム溶液中で、37℃(約14塩基のオリゴヌクレオチドについて)、48℃(約17塩基のオリゴヌクレオチドについて)、55℃(約20塩基のオリゴヌクレオチドについて)、60℃(約23塩基のオリゴヌクレオチドについて)の洗浄条件が挙げられる。
配列番号1の塩基配列に基づいて作製されたポリヌクレオチドをPCR法プライマーとして用いる場合には、そのヌクレオチド長は、好ましくは、少なくとも15塩基、より好ましくは、少なくとも18塩基、特に好ましくは、少なくとも20塩基とすることができ、また、好ましくは、最大で30塩基、より好ましくは最大で25塩基、特に好ましくは最大で20塩基とすることができる。そのヌクレオチド長は、例えば、15〜25塩基、15〜30塩基、18〜25塩基、18〜30塩基、20〜25塩基、または20〜30塩基とすることができる。
配列番号3の塩基配列に基づいて作製されたポリヌクレオチドをPCR法プライマーとして用いる場合には、そのヌクレオチド長は、好ましくは、少なくとも15塩基、より好ましくは、少なくとも18塩基、特に好ましくは、少なくとも20塩基とすることができ、また、好ましくは、最大で30塩基、より好ましくは最大で25塩基、特に好ましくは最大で20塩基とすることができる。そのヌクレオチド長は、例えば、15〜25塩基、15〜30塩基、18〜25塩基、18〜30塩基、20〜25塩基、または20〜30塩基とすることができる。
配列番号1の塩基配列に基づいて作製されたポリヌクレオチドをプローブとして用いる場合には、そのヌクレオチド長は、少なくとも12塩基、好ましくは、少なくとも15塩基、より好ましくは、少なくとも18塩基、特に好ましくは、少なくとも20塩基とすることができ、また、好ましくは、最大で30塩基、より好ましくは最大で25塩基、特に好ましくは最大で20塩基とすることができる。そのヌクレオチド長は、例えば、12〜30塩基、15〜30塩基、18〜25塩基、18〜30塩基、20〜25塩基、または20〜30塩基とすることができる。
本発明では、配列番号1の塩基配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド、および配列番号1の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドは、それぞれ、配列番号1の塩基配列の相補配列の連続する少なくとも10個のヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)、および配列番号1の塩基配列の連続する少なくとも10個のヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)とすることができる。
本発明による第一の態様のプライマーおよびプローブの具体例としては、配列番号2の塩基配列で表されるポリヌクレオチド、更にはこれらのポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドが挙げられる。
本発明では、配列番号2の塩基配列で表されるポリヌクレオチドのみならず、配列番号2の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチド(以下、「相同ポリヌクレオチド」と言うことがある)も、第一の態様のプライマーやプローブとして用いることができる。なお、これらのポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドもプライマーやプローブとして用いることができることはいうまでもない。
本発明では、配列番号3の塩基配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド、および配列番号3の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドは、それぞれ、配列番号3の塩基配列の相補配列の連続する少なくとも10個のヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)、および配列番号3の塩基配列の連続する少なくとも10個のヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)とすることができるが、好ましくは、配列番号3の1〜177番目または234〜1535番目の塩基配列の相補配列の連続する少なくとも10個のヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)、および配列番号3の1〜177番目または234〜1535番目の塩基配列の連続する少なくとも10個のヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)であり、より好ましくは、配列番号3の253〜458番目、513〜596番目、671〜829番目、または873〜935番目の塩基配列の相補配列の連続する少なくとも10個のヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)、および配列番号3の253〜458番目、513〜596番目、671〜829番目、または873〜935番目の塩基配列の連続する少なくとも10個のヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)である。
本発明による第二の態様のプライマーの具体例としては、配列番号4〜7のいずれかの塩基配列で表されるポリヌクレオチド、更にはこれらのポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドが挙げられる。
本発明では、配列番号4〜7の塩基配列で表されるポリヌクレオチドのみならず、配列番号4〜7の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチド(以下、「相同ポリヌクレオチド」と言うことがある)も、第二の態様のプライマーとして用いることができる。なお、これらのポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドもプライマーとして用いることができることはいうまでもない。
相同ポリヌクレオチドのヌクレオチド長は、少なくとも10塩基である。
配列番号2の塩基配列で表されるポリヌクレオチドの相同ポリヌクレオチドは、例えば、配列番号2の連続する少なくとも15個(15〜20個)、より好ましくは、少なくとも18個(18〜20個)のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド(ヌクレオチド長は最大で25塩基、好ましくは最大で30塩基とすることができる)であり、好ましくは、1または数個の変異が導入されていてもよい配列番号2の塩基配列からなるポリヌクレオチドである。
配列番号4〜7の塩基配列で表されるポリヌクレオチドの相同ポリヌクレオチドは、例えば、配列番号4〜7の連続する少なくとも15個(15〜20個)、より好ましくは、少なくとも18個(18〜20個)のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド(ヌクレオチド長は最大で25塩基、好ましくは最大で30塩基とすることができる)であり、好ましくは、1または数個の変異が導入されていてもよい配列番号4〜7の塩基配列からなるポリヌクレオチドである。
本発明においては、配列番号1の塩基配列で表されるポリヌクレオチドに基づいて、ペクチネイタス・ハイカラエを検出するためのPCR法プライマーペアを選択することができる。具体的には、PCR法においては、二つのプライマーの一方が配列番号1の塩基配列に対合し、他方のプライマーが配列番号3の塩基配列(好ましくは、配列番号3の1〜177番目または234〜1535番目の塩基配列、より好ましくは、配列番号3の253〜458番目、513〜596番目、671〜829番目、または873〜935番目の塩基配列)の相補配列に対合し、かつ一方のプライマーにより伸長された伸長鎖にもう一方のプライマーが対合するようにプライマーを選択できる。また、PCR法においては、二つのプライマーの一方が配列番号1の塩基配列に対合し、他方のプライマーが配列番号3の塩基配列の相補配列以外の配列(配列番号3の配列の外側の領域)に対合し、かつ一方のプライマーにより伸長された伸長鎖にもう一方のプライマーが対合するようにプライマーを選択してもよい。
配列番号1の塩基配列に基づいて作製されたポリヌクレオチドをPCR法プライマーとして用いる場合には、配列番号1の塩基配列またはその相補配列の連続する少なくとも15個(例えば、15〜30個)、より好ましくは、少なくとも18個(例えば、18〜24個および18〜30個)、特に好ましくは、少なくとも20個(例えば、20〜25個および20〜30個)のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド(ヌクレオチド長は最大で30塩基、好ましくは最大で25塩基とすることができる)をプライマーとして使用できる
配列番号3の塩基配列に基づいて作製されたポリヌクレオチドをPCR法プライマーとして用いる場合には、配列番号3の塩基配列(好ましくは、配列番号3の1〜177番目または234〜1535番目の塩基配列、より好ましくは、配列番号3の253〜458番目、513〜596番目、671〜829番目、または873〜935番目の塩基配列)またはその相補配列の連続する少なくとも15個(例えば、15〜30個)、より好ましくは、少なくとも18個(例えば、18〜24個および18〜30個)、特に好ましくは、少なくとも20個(例えば、20〜25個および20〜30個)のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド(ヌクレオチド長は最大で30塩基、好ましくは最大で25塩基とすることができる)をプライマーとして使用できる
本発明においては、また、配列番号1の塩基配列で表されるポリヌクレオチドに基づいて、ペクチネイタス・ハイカラエを検出するためのプローブを選択することができる。
配列番号1の塩基配列に基づいて作製されたポリヌクレオチドをプローブとして用いる場合には、配列番号1の塩基配列またはその相補配列の連続する少なくとも12個(例えば、12〜30個)、好ましくは、少なくとも15個(例えば、15〜30個)、より好ましくは、少なくとも18個(例えば、18〜24個および18〜30個)、特に好ましくは、少なくとも20個(例えば、20〜25個および20〜30個)のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド(ヌクレオチド長は最大で30塩基、好ましくは最大で25塩基、より好ましくは最大で24塩基とすることができる)をプローブとして使用できる。
相同ポリヌクレオチド、並びに配列番号1および配列番号3の塩基配列やその相補配列にハイブリダイズするポリヌクレオチドは、それぞれ、対応する塩基配列と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の同一性を有するポリヌクレオチドであることができる。同一性の数値は、当業界において周知のアルゴリズムに従って算出することができ、例えば、BLAST(http://www.ddbj.nig.ac.jp/search/blast-j.html)を使用して同一性の数値を算出することができる。
相同ポリヌクレオチド、並びに配列番号1および配列番号3の塩基配列やその相補配列にハイブリダイズするポリヌクレオチドは、また、それぞれ、対応する塩基配列に1または数個の変異が導入された改変塩基配列からなり、かつ対応する塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドであることができる。
本願明細書において、「変異」は、同一または異なっていてもよく、置換、欠失、挿入、および付加から選択でき、好ましくは、ある1個の塩基を他の1個の塩基に置換する「一塩基置換」、ある1個の塩基を欠失させる「一塩基欠失」、ある1個の塩基を挿入する「一塩基挿入」、およびある1個の塩基を付加する「一塩基付加」から選択できる。また、変異の個数は、1〜6個、1、2、3、または4個、1または2個、あるいは1個とすることができる。
本発明による第一の態様のプローブまたはプライマーの好ましい態様としては、1または数個の変異が導入されていてもよい配列番号2の塩基配列からなり、かつ配列番号1の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチド、またはこのポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドが挙げられる。
本発明による第二の態様のプライマーの好ましい態様としては、1または数個の変異が導入されていてもよい配列番号7の塩基配列からなり、かつ配列番号3の塩基配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチド、またはこのポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドが挙げられる。
本発明によるPCR法プライマーセットの好ましい態様としては、本発明による好ましい第一の態様のプライマーと、本発明による好ましい第二の態様のプライマーとからなる、PCR法プライマーセットが挙げられる。
本発明において「ポリヌクレオチド」とはDNA、RNA、およびPNA(peptide nucleic acid)を含む意味で用いられる。
本発明によるプライマーおよびプライマーセット等を構成するポリヌクレオチドは、例えばホスファイト・トリエステル法(Hunkapiller, M. et al., Nature, 310,105, 1984)等の通常の方法に準じて、核酸の化学合成を行うことにより調製してもよいし、検出対象の菌株の全DNAを取得し、本明細書に開示されるヌクレオチド配列に基づいて目的のヌクレオチド配列を含むDNA断片をPCR法等で適宜取得してもよい。
本発明によるプライマーセットは、単独で使用しても、他のプライマーセットと適宜組み合わせて使用してもよい。本発明によるプライマーセットを組み合わせて実施することにより、ペクチネイタス・ハイカラエをより正確に区別して検出することが可能となる。
本発明によるプライマーセットは、キットの形態で提供することができる。従って、本発明によれば、本発明によるプライマーセットを含んでなる、ペクチネイタス・ハイカラエの検出キットが提供される。
本発明によるプライマーセットを含む本発明によるキットは、PCR法等による核酸増幅反応の実施に必要な試薬(例えば、DNAポリメラーゼ、精製水)や器具(例えば、反応用チューブ)を含んでいてもよい。
本発明によるプライマーセットを用いて核酸増幅反応を実施すると、各種飲料(例えば、酒類)の品質低下の原因となる偏性嫌気性細菌を正確に識別することができる。ペクチネイタス・ハイカラエは、ビール、発泡酒、およびワインの製造工程あるいは最終製品の品質に影響する能力を持つ細菌種である。従って、本発明によるプライマーセットおよびキットは、各種飲料(例えば、酒類、特に、ビール、発泡酒、およびワイン)の品質管理や、環境試料(例えば、原料用水)の検査に用いることができる。
検出方法および判定方法
本発明によるプライマーおよびプローブ並びにプライマーセットは、ペクチネイタス・ハイカラエの検出に用いることができる。すなわち、本発明によれば、本発明によるプローブもしくはプライマーまたはプライマーセットと試料とを接触させ、試料中の標的核酸を検出する工程を含んでなる、ペクチネイタス・ハイカラエの検出方法が提供される。より具体的には、本発明によるプローブもしくはプライマーまたはプライマーセットと試料とを接触させ、本発明によるプローブもしくはプライマーまたはプライマーセットと試料中との標的核酸とのハイブリダイゼーションを検出する工程を含む、ペクチネイタス・ハイカラエの検出方法が提供される。
ペクチネイタス・ハイカラエは各種飲料(例えば、酒類、特に、ビール、発泡酒、およびワイン)を混濁させる原因菌である。従って、本発明によるプローブおよびプライマー並びにプライマーセットは、ペクチネイタス・ハイカラエの検出のみならず、各種飲料(例えば、酒類、特に、ビール、発泡酒、およびワイン)の混濁可能性の判定に用いることができる。すなわち、本発明によるプローブおよびプライマー並びにプライマーセットによりペクチネイタス・ハイカラエが検出された場合には、混濁菌が試料中に存在していると、あるいは試料が混濁する見込みがあると判定することができる。
従って、本発明によれば、本発明によるプローブもしくはプライマーまたはプライマーセットと試料とを接触させ、試料中の標的核酸を検出する工程を含んでなる、飲料の混濁可能性の判定方法が提供される。より具体的には、本発明によるプローブもしくはプライマーまたはプライマーセットと試料とを接触させ、本発明によるプローブもしくはプライマーまたはプライマーセットと試料中との標的核酸とのハイブリダイゼーションを検出する工程を含む、飲料の混濁可能性の判定方法が提供される。
ここで、ハイブリダイゼーションの検出方法は周知であり、その検出のための装置、器具は市販のものを用いることができる。ハイブリダイゼーションの検出は、例えば、PCR法など周知の核酸増幅法を使用して増幅産物の有無等を検出することにより、あるいはサザンブロット法など周知の核酸検出法を使用してハイブリダイゼーション複合体の有無等を検出することにより、実施することができる。
本発明による検出方法の具体的な態様としては、核酸試料に対してPCR法による核酸増幅反応を実施した後、核酸増幅産物の有無を検出する工程を含む検出方法が挙げられる。
すなわち、本発明によれば、
(a)本発明によるPCR法プライマーセットを用いて、試料中の核酸についてPCR法により核酸増幅反応を実施する工程;および
(b)増幅産物の有無を検出する工程
を含んでなり、増幅産物の生成がペクチネイタス・ハイカラエの存在を示す、ペクチネイタス・ハイカラエの検出方法が提供される。
本発明によれば、また、
(a)本発明によるPCR法プライマーセットを用いて、試料中の核酸についてPCR法により核酸増幅反応を実施する工程;および
(b)増幅産物の有無を検出する工程
を含んでなり、増幅産物の生成が混濁可能性を示す、飲料の混濁可能性の判定方法が提供される。
PCR法による核酸増幅工程に供される試料は、試料中の菌体を培養してから核酸を抽出しても、培養せずに核酸を抽出してもよい。菌体の培養や核酸の抽出など核酸試料の調製については後述する。
PCR法による核酸増幅工程では、試料中の核酸に対して増幅反応が実施される。PCR法による核酸増幅反応は周知であり、当業者であればPCR法およびその改変方法の実施条件等を適宜設定し、PCR法を実施することができる。
本発明による検出方法のうちプローブによる検出方法の具体的な態様としては、核酸試料に対する本発明によるプローブのハイブリダイゼーションを実施した後、核酸複合体の有無を検出する工程を含む検出方法が挙げられる。
すなわち、本発明によれば、
(a’)本発明のプローブと、試料中の核酸とを接触させる工程;および
(b’)ハイブリダイゼーション複合体の有無を検出する工程
を含んでなり、ハイブリダイゼーション複合体の生成がペクチネイタス・ハイカラエの存在を示す、ペクチネイタス・ハイカラエの検出方法が提供される。
本発明によれば、また、
(a’)本発明のプローブと、試料中の核酸とを接触させる工程;および
(b’)ハイブリダイゼーション複合体の有無を検出する工程
を含んでなり、ハイブリダイゼーション複合体の生成が混濁可能性を示す、飲料の混濁可能性の判定方法が提供される。
プローブを用いた検出法においては、プローブを標識して用いることができる。標識としては、例えば、放射性元素(例えば、32Pおよび14C)、蛍光化合物(例えば、FITC)、酵素反応に関与する分子(例えば、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ)が挙げられる。
ハイブリダイゼーション複合体の検出は、ノーザンハイブリダイゼーション、サザンハイブリダイゼーション、コロニーハイブリダイゼーション等の周知の方法を用いて実施できる。ハイブリダイゼーション複合体の検出に先立って、未結合プローブやハイブリダイズしないその他の成分を除去してもよい。
PCR法による核酸増幅反応
本発明によるPCR法プライマーセットは、PCR法、RT−PCR法、リアルタイムPCR法、in situ PCR等の核酸増幅法を利用して、ペクチネイタス・ハイカラエの識別に用いることができる。
核酸増幅物が観察されるならば、標的塩基配列が存在することを意味し、プライマーセットの検出対象である菌種陽性(+)を表す。逆に、核酸増幅が観察されない場合には、標的塩基配列が不存在であることを意味し、プライマーセットの検出対象である菌種陰性(−)を表す。
PCR法では、アガロースゲル電気泳動など周知の方法に従って核酸増幅物を検出することができる。また、リアルタイムPCR法では、インターカレーターや蛍光標識プローブを使用し、サーマルサイクラーと分光蛍光光度計とが一体化された装置において、核酸増幅物を経時的に検出することができる。
検出対象試料とその調製
本発明によるプライマーセットおよびキットの検出の対象となる試料としては、ビール、発泡酒、ワインなどの酒類;ラムネ、炭酸水などの清涼飲料;原料用に採取された水等の環境試料;酒類や清涼飲料等の製造工程から採取された半製品などが挙げられる。
これらをPCR法の試料として用いる場合には、試料中に存在する菌の濃縮、分離、および培養、菌体からの核酸分離、核酸の濃縮などの操作を前処理として実施してもよい。試料中に存在する菌の濃縮や分離の方法としては、ろ過、遠心分離などが挙げられ、適宜選択できる。また試料から濃縮、分離した菌を、さらに培養して菌数を増やしてもよい。培養には、対象とする細菌株の増殖に適切な寒天固体培地や液体培地を用いることができ、また対象とする細菌株を選択するためにシクロヘキシミドなどの薬剤を添加してもよい。飲料試料や環境試料などに存在する菌体、あるいは培養した菌体から核酸を遊離させるためには、例えば、市販のキットを使用する方法や、アルカリ溶液などによって菌体を処理し、100℃での加熱により菌体から核酸を遊離させる方法を選択することができる。また、核酸を更に精製する必要があれば、フェノール/クロロホルム処理、エタノール沈殿や遠心等により核酸の精製を行い、最終的にTE緩衝液などに再溶解させ鋳型DNAとして試験に供してもよい(European Brewery Convention:ANALYTICA - MICROBIOLOGICA - EBC, 2nd ed. 2005 Fachverlag Hans Carl, Nuernberg、Rolfsら:PCR - Clinical diagnostics and research, Springer-Verlag, Berlin, 1992、大嶋泰治ら:蛋白 核酸 酵素, vol. 35, 2523-2541, 1990)。
本発明によるペクチネイタス・ハイカラエの検出は、例えば、以下のように実施することができる。
まず、試料中に存在すると考えられるペクチネイタス・ハイカラエを適切な培地で増菌培養する。次いで、寒天培地上に形成されたコロニーからDNAを分離し、このDNAに対して本発明によるプライマーセットを用いたPCR法を実施し、ペクチネイタス・ハイカラエの特定遺伝子領域を増幅する。遺伝子増幅産物の存在は検出対象菌種の存在を示す。また、検出対象菌種の存在は、混濁菌が試料中に存在していること、あるいは試料が混濁する見込みを示す。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例:ペクチネイタス・ハイカラエの検出
(a)ゲノムDNA抽出法
寒天平板培地上で培養した菌体をかき取り、0.1M水酸化ナトリウム溶液に懸濁し、沸騰水中で10分間加熱することによりDNAを抽出した。1Mのトリス塩酸緩衝液(pH7.0)27μlを加えて混和することで中和した後、遠心分離した上澄みをゲノムDNA溶液として使用した。なお、この懸濁液中の菌濃度は10cfu/ml程度であった。
(b)PCR用プライマーの合成
ペクチネイタス・ハイカラエ用プライマーを、ホスホアミダイド法で化学合成した(化学合成はシグマアルドリッチジャパン株式会社に委託)。
[プライマーセット1]
正規鎖側プライマー: GTAAGAGTAC TGCATGGTAC (配列番号2)
逆鎖側プライマー : CCGTCAATTC CTTTGAGTTT (配列番号7)
(c)PCR反応溶液の調製およびPCR反応
ゲノムDNA溶液1μlに、10倍に濃縮されている反応用バッファー5μl(宝酒造株式会社製、TaKaRa exTaqに付属のBuffer)、4種類のデオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP)混合液4μl(宝酒造株式会社製、TaKaRa exTaqに付属のdNTP混合液)、正規鎖側プライマー20pmol、逆鎖側プライマー20pmol、DNAポリメラーゼ(宝酒造株式会社製、TaKaRa exTaq)0.25μlを加え、水で50μlとし、これをPCR反応溶液とした。
(d)PCR反応
熱変性(94℃、30秒)、アニーリング(50℃、30秒)、重合反応(72℃、1分)からなる過程を1サイクルとし、これを25サイクル繰り返し反応させた。
反応溶液中にヌクレオチド配列が増幅されたか否かを見るために、アガロースゲル電気泳動および臭化エチジウムによる染色を行った。電気泳動は2%のアガロースゲルを使用し、TAEバッファーの中、100ボルトで30分間行った。次いでゲルを取り出し、0.5μg/mlの臭化エチジウム水溶液中に30分間浸漬して染色後、トランスイルミネーターで発色させ、ポラロイドカメラで撮影した。この時、電気泳動時に塩基対数が既知のDNA断片を一緒に流して相対比較することにより、検出されたヌクレオチド配列断片の長さを算出した。
(e)ペクチネイタス・ハイカラエ用プライマーの特異性評価
ペクチネイタス・ハイカラエ用プライマーとして開発したプライマーセット1について、各種偏性嫌気性菌標準株を用いてPCR法で特異性を評価した。その結果、プライマーセット1は、ペクチネイタス・ハイカラエの菌株と反応させた場合にのみDNA増幅が観察された(表1)。
Figure 2010110300
なお、表中の+は、約750塩基対に相当する大きさの増幅物(すなわち、配列番号3の180〜935番目の塩基配列に相当)が観察されたことを示している。
以上により、ペクチネイタス・ハイカラエに対して作成した本発明によるプライマーセットは、検査対象とするペクチネイタス・ハイカラエを菌種レベルで正確に検出できることが示された。本発明によるプライマーを用いれば、遺伝子増幅の有無を確認するだけで、ペクチネイタス・ハイカラエを同定・検出することができる。

Claims (8)

  1. 配列番号1の塩基配列またはその相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドからなる、ペクチネイタス・ハイカラエ(Pectinatus haikarae)検出用プローブまたはプライマー。
  2. 配列番号1の塩基配列またはその相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドが、配列番号1の塩基配列の相補配列の連続する少なくとも10個のヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)、または配列番号1の塩基配列の連続する少なくとも10個のヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)である、請求項1に記載のプローブまたはプライマー。
  3. 配列番号1の塩基配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドが、配列番号2の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチド、または配列番号2の塩基配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドであり、
    配列番号1の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドが、配列番号2の塩基配列で表されるポリヌクレオチド、または配列番号2の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドである、請求項1に記載のプローブまたはプライマー。
  4. 配列番号1の塩基配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドが、配列番号2の塩基配列の相補配列(1または数個の変異が導入されていてもよい)からなるポリヌクレオチドであり、
    配列番号1の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドが、配列番号2の塩基配列(1または数個の変異が導入されていてもよい)からなるポリヌクレオチドである、
    請求項1に記載のプローブまたはプライマー。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のプライマーを少なくとも1種含んでなる、ペクチネイタス・ハイカラエ検出用PCR法プライマーセット。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のプライマーと、配列番号3の塩基配列またはその相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドからなるペクチネイタス・ハイカラエ検出用プライマーとからなる、ペクチネイタス・ハイカラエ検出用PCR法プライマーセット。
  7. 配列番号3の塩基配列またはその相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドが、配列番号3の塩基配列の相補配列の連続する少なくとも10個のヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)、または配列番号3の塩基配列の連続する少なくとも10個のヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)である、請求項6に記載のプライマーセット。
  8. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のプローブもしくはプライマー、または請求項5〜7のいずれか一項に記載のプライマーセットを用いて試料中の標的核酸を検出する工程を含んでなる、ペクチネイタス・ハイカラエの検出方法および飲料の混濁可能性の判定方法。
JP2008287876A 2008-11-10 2008-11-10 ペクチネイタス・ハイカラエの検出用プローブおよびプライマー Withdrawn JP2010110300A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008287876A JP2010110300A (ja) 2008-11-10 2008-11-10 ペクチネイタス・ハイカラエの検出用プローブおよびプライマー

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008287876A JP2010110300A (ja) 2008-11-10 2008-11-10 ペクチネイタス・ハイカラエの検出用プローブおよびプライマー

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010110300A true JP2010110300A (ja) 2010-05-20

Family

ID=42299375

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008287876A Withdrawn JP2010110300A (ja) 2008-11-10 2008-11-10 ペクチネイタス・ハイカラエの検出用プローブおよびプライマー

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010110300A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7718402B2 (en) Biological reagents and methods to verify the efficiency of sample preparation and nucleic acid amplification and/or detection
JP2003534770A (ja) バクテリア検出とバクテリア系統発生学的単位の検出のための核酸分子
WO2018015572A1 (en) Highly polymorphic and modular extragenic (h.p.m.e.) markers within specific taxa of microorganisms and use thereof for their differentiation, identification and quantification
JP2000511767A (ja) 遺伝標識および大腸菌血清型―0157:h7の検出方法
WO2005078086A1 (ja) 乳酸菌の検出・識別方法
JP2003510091A (ja) 醸造関連微生物を検出する方法および核酸
JPWO2007132589A1 (ja) デッケラ属酵母およびブレタノミセス属酵母の検出用プライマーセット
JP4022045B2 (ja) 細菌検出のための遺伝子及びそれを用いた検出法
JP2004529662A (ja) ビールに対し有害な細菌の特異的迅速検出方法
US7439022B2 (en) Nucleic acids for detection of Listeria
JP2010110300A (ja) ペクチネイタス・ハイカラエの検出用プローブおよびプライマー
JP2010110301A (ja) メガスフェラ・スーシエンシスおよび/またはメガスフェラ・パウシボランスの検出用プローブおよびプライマー
JP2008263971A (ja) ラクトバチラス属乳酸菌の検出用プライマーおよびプローブ
JP2011152081A (ja) クロストリジウム・ベイジェリンキおよびその近縁種の検出用プローブおよびプライマー
JP2010081935A (ja) ペディオコッカス・ダムノサスの検出用プライマーおよびプローブ
JPWO2009028644A1 (ja) 偏性嫌気性細菌の検出用プローブおよびプライマー
KR101374045B1 (ko) 중합효소연쇄반응을 이용한 생물학적 시료내에서 퀴놀론 내성 캠필로박터균을 검출하는 방법 및 이에 사용되는 키트
JP7252606B2 (ja) 乳酸菌検出プライマーセットおよび該プライマーセットを用いた検出方法
WO2023214588A1 (ja) 芽胞形成細菌の検出方法
JP2008005779A (ja) ラクトバチルス・ブレビス検出のためのプライマーおよびそれを用いた検出法
JP4037926B2 (ja) S.diastaticusの検出に用いるプライマー
KR101372175B1 (ko) 할로모나스 속 세균 검출용 프라이머, 프로브 및 이를 이용한 할로모나스 속 세균의 검출방법
JP2005160333A (ja) オリゴヌクレオチド及びこれをプライマーとして用いたラクトバチルス属細菌の検出方法
WO2024053642A1 (ja) フソバクテリウム・ヌクレアタムの検出方法及びフソバクテリウム・ヌクレアタム亜種ヌクレアタムの検出方法
JPWO2008044358A1 (ja) サッカロミセス属酵母の検出用プライマーセット

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20110329

A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20120110