JP2010110159A - 超音波モータのスライダおよび超音波モータ - Google Patents

超音波モータのスライダおよび超音波モータ Download PDF

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Abstract

【課題】耐摩耗性を向上させることで耐久性を高めた導電性を有する超音波モータのスライダおよび超音波モータを提供する。
【解決手段】圧電素子2により生じたステータ3の進行波により、ロータ5に連結された出力軸6を駆動する超音波モータ1において、上記ロータ5の下面に接着され、かつ上記ステータ3に圧接し、このステータ3の進行波により、上記ロータ5を回転させるスライダ4であって、上記スライダ4は非射出成形性UHMWPE樹脂100重量部と、導電性カーボン2〜15重量部と、PTFE樹脂粉末、黒鉛粉末およびシリコーン樹脂粉末から選ばれた少なくとも1つの粉末0.5〜5重量部とを配合された樹脂組成物からなるシート材である。
【選択図】図1

Description

本発明は超音波モータのスライダおよび該スライダを用いた超音波モータに関する。
従来、進行波を回転力に変換して駆動する超音波モータは、基板上に円盤状のステータが取り付けられ、ステータの上に、高分子樹脂からなるスライダ材を介して円盤状のロータが重ねられ、ロータが出力軸の基端側の鍔状の押圧部に連結された皿ばねによりステータ側に圧接されている。このステータの周縁部の下面に設けた複数の圧電素子に、位相差のある高周波電圧を印加することにより、ステータに進行波を発生させる。この進行波により、ステータにスライダ材を介して圧接されているロータが回転するようになっている。ロータが回転すると、ロータと皿ばねとの摩擦力によって皿ばねが回転し、皿ばねに連結された出力軸がロータと一体に回転する。このような超音波モータは、低回転で高トルクを得られるため駆動用モータ等として利用されている(特許文献1等参照)。
このような従来の超音波モータは、真空中または乾燥雰囲気中での作動時にステータにおいて、接触しているスライダに静電気が帯電し、静電気によってスライダに埃などが吸着する、スライダが摩耗しやすくなる等の問題があった。スライダの摩耗や埃の吸着により、ロータの回転が阻害されたり、寿命が短くなる。特に真空中では、放電が十分に行なわれないため、静電気の蓄積が早まって超音波モータの寿命が極端に短くなっていた。また、真空中では、熱の伝達も悪く、ロータとステータとの摩擦により発生する熱が十分に放熱されず、ロータおよびステータが加熱してステータに接着されている圧電素子が外れたり、ステータの共振周波数がずれてステータの進行波の発生が阻害され、モータ効率が低下する、寿命が短くなるなどの問題があった。また、真空室内で使用される装置の駆動モータとしてこのような超音波モータを用いると、その寿命が短いためにメンテナンスが頻繁に必要となり作業効率が低下するという問題もあった。
これらの問題に対して、スライダに導電性物質を付加させるかもしくはスライダを導電性有機材料で形成して、スライダへの静電気の蓄積を防止して乾燥雰囲気中もしくは真空中で超音波モータを長時間使用できるようにした超音波モータが知られている(特許文献2参照)。このスライダは、例えばポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと記す)樹脂などの高分子樹脂で形成されており、そのステータに接する側の表面に粉末状の導電性物質が塗布された構造となっている。
特開平1−206880号公報 特開平9−98587号公報
しかしながら、特許文献2のようにPTFE樹脂からなるスライダでは、摩擦に対して耐摩耗性に乏しく耐久性が満足しないという問題がある。特にスライダが圧接されながら摩擦摺動する相手材のステータ表面は櫛歯状のため、PTFE樹脂からなるスライダの耐久性は非常に乏しいという問題がある。
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、耐摩耗性を向上させることで耐久性を高めた導電性を有する超音波モータのスライダおよび超音波モータを提供することを目的とする。
本発明の超音波モータのスライダは、圧電素子により生じたステータの進行波により、ロータに連結された出力軸を駆動する超音波モータにおいて、上記ロータの下面に接着され、かつ上記ステータに圧接し、このステータの進行波により、上記ロータを回転させるスライダであって、上記スライダは非射出成形性超高分子量ポリエチレン(以下、超高分子量ポリエチレンをUHMWPEと記す)樹脂100重量部と、導電性カーボン2〜15重量部と、PTFE樹脂粉末、黒鉛粉末およびシリコーン樹脂粉末から選ばれた少なくとも1つの粉末0.5〜5重量部とを配合された樹脂組成物からなるシート材であることを特徴とする。
上記非射出成形性UHMWPE樹脂が、重量平均分子量100万〜400万のUHMWPE樹脂であることを特徴とする。
上記導電性カーボンが、ケッチェンブラックであることを特徴とする。また、このケッチェンブラックは、一次粒子径が30nm〜38nmであることを特徴とする。また、このケッチェンブラックは、BET比表面積が1000〜1500m/gであることを特徴とする。
上記粉末が、平均粒子径5〜30μmの粉末であることを特徴とする。また、上記PTFE樹脂粉末が、アルキルビニルエーテルで変性された変性PTFE樹脂粉末であることを特徴とする。また、上記黒鉛粉末が、固定炭素98.5重量%以上の人造黒鉛であることを特徴とする。また、上記シリコーン樹脂粉末が、球状のシリコーン樹脂粉末であることを特徴とする。
上記スライダの表面抵抗値(JIS K7194)が、1.0×10〜1.0×1012Ω/□(Ω/sq)であることを特徴とする。また、上記スライダのシート厚さが、0.04〜1.0mmであることを特徴とする。
上記スライダの表面が、上記非射出成形性UHMWPE樹脂の粒子同士の粒界に上記導電性カーボンと上記粉末とが配されていることを特徴とする。
本発明の超音波モータは、出力軸に連結されたロータと、このロータの下面に接着されたスライダと、このスライダを介して上記ロータが圧接するステータと、このステータの下面に接着し、このステータに進行波を生じさせる圧電素子とを備えてなり、上記ステータに生じた進行波により、上記ロータを回転させ、出力する超音波モータであって、上記本発明のスライダを用いることを特徴とする。
本発明の超音波モータのスライダ(請求項1)は、非射出成形性UHMWPE樹脂100重量部と、導電性カーボン2〜15重量部と、PTFE樹脂粉末、黒鉛粉末およびシリコーン樹脂粉末から選ばれた少なくとも1つの粉末0.5〜5重量部とを配合した樹脂組成物からなるシート材であるので、乾燥雰囲気中または真空中で作動させてもスライダに静電気が帯電しない。また、摩擦特性に変動が無く、櫛歯状のステータに対しても耐摩耗性が優れる。
請求項2に記載のスライダは、非射出成形性UHMWPE樹脂が、分子量100万〜400万のUHMWPE樹脂であるので、低摩擦特性、耐摩耗特性を併せ持つスライダとなる。
請求項3に記載のスライダは、導電性カーボンが、ケッチェンブラックであるので、表面抵抗値の安定性が優れるスライダとなる。また、請求項4に記載のスライダは、上記ケッチェンブラックの一次粒子径が30〜38nmであるので少量の配合量であっても所望の表面抵抗値が得られるスライダとなる。また、請求項5に記載のスライダは、上記ケッチェンブラックのBET比表面積が1000〜1500m/gであるので、少量の配合量であっても表面抵抗値の安定性がより優れるスライダとなる。
請求項6に記載のスライダは、PTFE樹脂粉末、黒鉛粉末、シリコーン樹脂粉末から選ばれた少なくとも1つの粉末が、平均粒子径5〜30μmの粉末であるので、低摩擦特性の安定性に優れるスライダとなる。
請求項7〜請求項9に記載のスライダは、PTFE樹脂粉末がアルキルビニルエーテルで変性された変性PTFE樹脂粉末であるので、また、黒鉛粉末が固定炭素98.5重量%以上の人造黒鉛であるので、また、シリコーン樹脂粉末が球状のシリコーン樹脂粉末であるので、耐摩耗性を犠牲にすることなく低摩擦特性に優れるスライダとなる。
請求項10に記載のスライダは、表面抵抗値(JIS K7194)が1.0×10〜1.0×1012Ω/□であるので、静電気の帯電が確実に防止できる。
請求項11に記載のスライダは、シート厚さが0.04〜1.0mmであるので、ステータとの面接触が容易になる。
請求項12に記載のスライダの表面は、上記非射出成形性UHMWPE樹脂の粒子同士の粒界に上記導電性カーボンと上記粉末とが配されている構造であるので、少量のカーボン配合量であっても表面抵抗値の安定性が優れる。
本発明の超音波モータ(請求項13)は、ステータの下面に接着された圧電素子によりステータに進行波を生じさせ、ステータに、スライダを介してロータを圧接し、ロータをステータの進行波により回転させて、ロータに連結された出力軸を駆動するようにした超音波モータであり、上記スライダとして本発明のスライダを用いたことを特徴とするので、乾燥雰囲気中または真空中で作動させてもスライダに静電気が帯電せず、また、摩擦特性に変動が無く、櫛歯状のステータに対しても耐摩耗性が優れる、耐久性に優れた長寿命の超音波モータを得ることができる。
本発明の超音波モータのスライダおよび本発明の超音波モータを図面により説明する。図1は本発明の超音波モータの一実施例を示す一部切欠き断面図である。図1に示すように、本発明の超音波モータ1は、出力軸6に連結されたロータ5と、このロータ5の下面に接着されたスライダ4と、このスライダ4を介してロータ5が圧接するステータ3と、このステータ3の下面に接着し、このステータ3に進行波を生じさせる圧電素子2とを備え、ステータ3に生じた進行波により、ロータ5を回転させ、このロータ5に連結された出力軸6を駆動する超音波モータ1である。ステータ3は金属製の基盤11上に取り付けられており、例えばリン青銅で形成されている。また、ロータ5は、例えばアルミニウム合金で形成されている。また、基盤11の上には、ロータ5やステータ3を覆うようにして、例えばアルミニウム合金で形成されたケーシング12が取り付けられている。
超音波モータ1の出力軸6は、基盤11、ステータ3、ロータ5のそれぞれの中心孔を貫通し、出力軸6の中程に設けられている鍔状の押圧部6aに連結された皿ばね7によりロータ5がステータ3側にスライダ4を介して圧接されるとともに、ロータ5と出力軸6とが連結されている。出力軸6の基端側は、ケーシング12の中央孔から超音波モータ1の外部に突出している。また、出力軸6の基端側の端部には、出力軸の回転速度を検出するロータリーエンコーダ15が設けられている。なお、出力軸6は、出力軸6の中程に圧入されたベアリング8を介して基盤11の中央孔に保持されているとともに、ケーシング12内部の中央孔付近の凹部に設けられたベアリング9に保持されている。
ベアリング8および9は、例えば、マルテンサイト系ステンレス(SUS440Cなど)や、アルミニウム合金、セラミック、合成樹脂などの非磁性材料で形成すれば、磁場が発生する場所で超音波モータを使用した場合に、周囲の磁場に与える影響を少なくできる。また、例えばセラミック、合成樹脂などの非磁性材料のみで形成したものを用いることで、周囲の磁場に与える影響をより少なくできる。さらに、出力軸6の中程に圧入されたベアリング8の代わりに、例えばアルミニウム合金、合成樹脂などの非磁性材料で形成されたブッシュを用いることもできる。
ステータ3の基盤11側の面には、分極された多数の圧電素子2が接着され、それらは駆動用高周波の1/4波長の間隔を開けて2組に分けられており、それぞれの組の圧電素子2がケーブル14を介して、超音波モータ1の外部に設けられた高周波電圧を印加する駆動回路13に接続されている。超音波モータ1は、それぞれの組の圧電素子2に駆動回路13から90°位相差のある高周波電圧を印加することよりステータ3に進行波が発生し、ステータ3に発生した進行波によって、ステータ3にスライダ4を介して圧接されているロータ5が回転する。駆動回路13は、その内部に、高周波電圧を発生させて印加する駆動装置や、ロータリーエンコーダ15に接続された回転速度制御装置を有する。
ステータ3の周縁部のスライダ4側には、多数の溝が放射状に設けられて、ステータ3の周縁部に複数の櫛歯3aが形成されている。また、ロータ5と皿ばね7との接触部分に摩擦材10が設けられて、ロータ5のトルクを皿ばね7に効率よく伝達できる。
スライダ4は、非射出成形性UHMWPE樹脂100重量部と、導電性カーボン2〜15重量部と、PTFE樹脂粉末、黒鉛粉末およびシリコーン樹脂粉末から選ばれた少なくとも1つの粉末0.5〜5重量部とを配合された樹脂組成物からなるシート材である。導電性カーボンは、スライダ4に導電性を付与するための導電性付与材であり、各粉末は、スライダ4に潤滑性を付与するための潤滑性付与材である。スライダ4を上記の樹脂組成物からなるシート材とすることで、スライダ4の表面に発生する静電気をステータ3を介して基盤11の任意位置に接続されたアース(図示せず)へ逃がし、静電気の帯電を防止してスライダ4の摩耗量の増大や埃などの静電吸着を防止できる。
本発明に用いる樹脂組成物のベース樹脂は、非射出成形性のUHMWPE樹脂である。UHMWPE樹脂は、エチレンを重合して得られる結晶性の熱可塑性樹脂であるポリエチレン(以下、ポリエチレンをPEと記す)樹脂の、通常2万〜30万の分子量を、50万〜700万までに高めたPE樹脂であり、このものは非粘着性、低摩擦特性を有し、絶縁性が高く静電気を帯びやすい。UHMWPE樹脂の中でも特に分子量が100万をこえるものは、溶融時の粘度が極めて高く、ほとんど流動しないため、通常の射出成形法によって成形することは非常に困難であり、圧縮成形またはラム押し出し成形によって成形される。このような非射出成形性のUHMWPE樹脂は、射出成形可能なUHMWPE樹脂より低摩擦特性であり、また、耐摩耗性にも優れているため、相手材となる櫛歯状のステータに対しても耐摩耗性が優れる。よって、低摩擦特性の経時的安定性が優れるようになる。非射出成形性UHMWPE樹脂からシート材を形成するには、圧縮成形によって円筒形に成形した後、かつら剥きのように切削加工することにより製造する。
本発明に用いる非射出成形性UHMWPE樹脂の重量平均分子量は、100万〜400万であることが好ましい。分子量をこの範囲とすることで、低摩擦特性がさらに優れ、耐摩耗特性が向上する。このような非射出成形性UHMWPE樹脂としては、三井化学社製、商品名ハイゼックスミリオン(重量平均分子量50万〜600万)、ミペロン(重量平均分子量200万)が挙げられる。
導電性付与材となる導電性カーボンとしては、カーボンファイバーやカーボンナノチューブ、フラーレン、またはカーボンパウダーがあり、いずれも使用できる。これらの中で、カーボンパウダーは形状異方性が無くコストパフォーマンスに優れるため好ましい。カーボンパウダーとしてはカーボンブラックがある。導電性カーボンに、カーボンブラックを採用することで、少量の配合であってもシート材の表面抵抗値が所望の範囲とすることができる。カーボンを少量配合することによるメリットは、シート材を製造する上での均一分散性であり、これにより低摩擦特性の不安定化を抑えることができる。
カーボンブラックとしては、サーマルブラック法、アセチレンブラック法等の分解法、チャンネルブラック法、ガスファーネスブラック法、オイルファーネスブラック法、松煙法、ランプブラック法等の不完全燃焼法のいずれの製法で製造されたものも使用できるが、導電性の観点からファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)が好ましく用いられ、このうちケッチェンブラックが導電性に優れるためより好ましい。
特に、一次粒子径が30〜38nmのケッチェンブラックを採用すると少量の配合量であっても所望の表面抵抗値が得られるシート材となるので好ましい。また、BET比表面積1000〜1500m/gのケッチェンブラックを採用すると少量の配合量であっても表面抵抗値の安定性が優れるシート材となるので好ましい。このようなケッチェンブラックとしては、ケッチェンブラックインターナショナル社製ケッチェンブラックEC−600JDが挙げられる。
導電性カーボンの配合量は、非射出成形性UHMWPE樹脂100重量部に対して、2〜15重量部であることが以下の理由から好ましい。導電性カーボンの配合量が2重量部より少量であれば、スライダの表面抵抗値が1.0×1012Ω/□より大きくなり静電気の帯電を防止できなくなり、15重量部より多量になればスライダの成形性に劣る。また、低摩擦特性および耐摩耗特性にも悪影響を及ぼす。
潤滑性付与材となるPTFE樹脂粉末、黒鉛粉末、シリコーン樹脂粉末のいずれか一以上の粉末を配合することにより、シート材の低摩擦特性が安定する。また、これらの潤滑性付与材を配合することにより、UHMWPE樹脂の粒子同士の界面に導電性カーボンが均一に分散しやすくなり、少量のカーボン配合量であっても表面抵抗値の安定性が優れるようになると考えられる。
PTFE樹脂粉末は、成形用の粉末であってもよく、固体潤滑剤用の粉末であってもよい。また、アルキルビニルエーテルで変性されたPTFE樹脂の粉末であれば、低摩擦特性を維持したままスライダの耐摩耗性が高められるので好ましい。
黒鉛粉末は、天然黒鉛と人造黒鉛に大別され、人造黒鉛は製造工程中にできるカーボランダムのため潤滑性能を阻害されることと、黒鉛化の十分に進んだ黒鉛を造ることが難しいため一般的には潤滑剤には適していないとされている。天然黒鉛は完全に黒鉛化されたものが産出されるため、非常に高い潤滑特性を有しており固体潤滑剤として適している。しかし、不純物を多く含み、この不純物が潤滑性を低下させるため、不純物を除去しなければならないが、完全に除去することは困難である。
本発明に好ましい黒鉛粉末としては、安定した摩擦特性が得やすいため、固定炭素98.5重量%以上の人造黒鉛である。
シリコーン樹脂粉末は、球状のシリコーン樹脂が低摩擦特性の安定性に優れ好適に使用できる。本発明におけるシリコーン樹脂粉末は、メチルシルセスキオキサン単位およびフェニルシルセスキオキサン単位からなるか、又はフェニルシルセスキオキサン単位からなり、メチルシルセスキオキサン単位は(CH3)SiO3/2、フェニルシルセスキオキサン単位は(C65)SiO3/2で示され、また、(CH32(C65)SiO1/2、(CH33SiO1/2、(C653SiO1/2、(CH3)(C652SiO1/2、(CH32SiO2/2、(C652SiO2/2、(CH3)(C65)SiO2/2およびSiO4/2を少量含んでいてもよい。上記球状のシリコーン樹脂は、耐摩耗性の低下を防止する特性を有する。シリコーン樹脂粉末として、球状のシリコーン樹脂粉末を採用することにより、低摩擦特性を維持したままシート材の耐摩耗性を向上することができるので好ましい。
潤滑性付与材としての上記粉末の配合量は、非射出成形性UHMWPE樹脂100重量部に対して、0.5〜5重量部であることが以下の理由から好ましい。上記粉末の配合量が0.5重量部より少量であれば、シート材に所望の低摩擦特性が付与されず、5重量部より多量になればシート材の耐摩耗特性が低下するおそれがある。
各粉末を、平均粒子径が5〜30μmの範囲のものを使用することによって、シート材の低摩擦特性の安定性が優れるようになる。粉末の平均粒子径が5μmより小径であれば、シート材を製造する上での均一分散性が低下するおそれがあり、低摩擦特性の安定性への影響が考えられる。30μmより大径であればシート材の強度が低下するおそれがある。なお、平均粒子径はマイクロトラック法により測定される。
本発明の超音波モータのスライダの表面は、非射出成形性UHMWPE樹脂の粒子同士の粒界に導電性カーボンと潤滑性付与材となる粉末とが配されている。導電性カーボンは、上述の潤滑性付与材の働きなどにより粒界に均一に分散するようになり、スライダの表面抵抗値を1.0×10〜1.0×1012Ω/□にすることができる。表面抵抗値をこの範囲とすることで、静電気の帯電が確実に防止できる。
シート材である本発明の超音波モータのスライダ4の厚さは、0.04〜1.0mmであり、この範囲の厚みにすることでステータ3の上表面への面接触が容易になる。シート材の厚さが0.04mmより薄いとシート材の取り扱い性が悪くなり、ロータ5との接着作業で不良率が高くなる。1.0mmより厚くなると柔軟性が悪くなるためステータ3の上表面への面接触性が低下する。
本発明の超音波モータのスライダは以下の製造方法で製造することができる。ベース樹脂の非射出成形性UHMWPE樹脂と、導電性カーボンと、潤滑性付与材のPTFE樹脂粉末、黒鉛粉末、シリコーン樹脂粉末のいずれか一以上の粉末の各原料を秤量し、均一混合物とする。この均一混合物を成形金型内に投入し、予備成形、焼成、本成形からなる圧縮成形によって成形素材であるビレットを成形する。このビレットを旋盤に取り付け、かつら剥きのごとくスカイブ加工することによりシート材として製造する。
実施例に用いる原材料を一括して以下に示す。
(1)非射出成形性UHMWPE樹脂:三井化学社製;ハイゼックスミリオン240S、重量平均分子量は200万である。
(2)カーボンブラック:ケッチェンブラックインターナショナル社製;ケッチェンブラックEC−600JD、1次粒子径は34nmであり、BET比表面積は、1270m/gである。
(3)PTFE樹脂粉末:喜多村社製;KTL−610、平均粒子径12μmである。
(4)黒鉛粉末:Timcal Graphite and Carbon社製;TIMREX KS−25、固定炭素99.9重量%、平均粒子径25μmである。
(5)シリコーン樹脂粉末:信越化学工業社製;KMP−590、平均粒子径2μmである。
(6)射出成形可能UHMWPE樹脂:三井化学社製;リュブマー、重量平均分子量は50万である。
(7)ポリエーテルエーテルケトン樹脂:ビクトレックス・エムシー社製;PEEK−450P
実施例1〜実施例3および比較例1
表1に示した配合割合で原材料をヘンシェルミキサー乾式混合機にてドライブレンドし、プレス機を用いて0.5MPaの圧力を加え、外径φ122mm、内径φ64mm、高さ100mmの円筒素形材を予備成形し、370℃で5時間焼成した。焼成された円筒素形材を用いて、スカイブ加工にて厚さ0.2mmのシート材を得た。このシート材をカットして縦10mm、横25mmの試験片を作製した。得られた試験片を用いて以下に示す摩擦摩耗試験および導電性試験を行ない、動摩擦係数、摩耗深さおよび表面抵抗値を測定した。結果を表1に併記する。また、実施例2の試験片の表面の顕微鏡(×500)写真を図2に示す。
比較例2および比較例3
表1に示した配合割合で原材料をヘンシェルミキサー乾式混合機にてドライブレンドし、2軸溶融押出機によってペレットを製造した。このペレットを射出成形機で、直径40mm、長さ10mmの円柱素形材に成形した後、この円柱素形材を切削加工して、厚さ1mm、縦30mm、横10mmの試験片に仕上げた。得られた試験片を実施例1と同様の試験に供し、同様の測定を実施した。結果を表1に併記する。
<摩擦摩耗試験>
摩擦摩耗試験は、ピンオンディスク型試験機を使用した。試験条件は、相手材に炭素鋼S45Cを用い、試験片をゴム製基材の表面に貼り付けた状態(相手材との接触面:先端φ5mm×幅10mm)で、滑り速度30m/min、面圧0.5MPa、相手材の表面温度50℃にて30時間供試し、試験開始直後と10時間毎の動摩擦係数および試験終了直後の摩耗深さを測定した。
<導電性試験>
導電性試験は、JIS K7194に準拠し、電圧電流法で、試験片の表面抵抗値(Ω/□)を測定した。
表1に示したとおり、本発明の樹脂組成物からなるシート材である各実施例は、表面抵抗値(JIS K7194)が、1.0×10〜1.0×1012Ω/□の範囲にあり、初期の摩擦係数が低く、30時間の試験運転において摩擦係数の変化が小さく、耐摩耗性も満足していた。また、本発明の樹脂組成物の必須成分である潤滑性付与材を含まない比較例1は、各実施例と比較して経時的に摩擦係数が高くなっており、摩擦特性が不安定である。また、本発明の樹脂組成物のベース樹脂と異なる樹脂を用いた比較例2および比較例3は、試験片自体あるいは相手材の摩耗深さが実施例と比較し、大きくなっていた。
本発明の超音波モータのスライダは、所定の樹脂組成物からなるシート材から形成されているので、耐摩耗性に優れるとともに導電性を有し、真空中等で使用される超音波モータに好適に利用できる。
本発明の超音波モータおよびそのスライダの一実施例を示す一部切欠き断面図である。 実施例2のシート材表面の拡大写真およびその模式図である。
符号の説明
1 超音波モータ
2 圧電素子
3 ステータ
4 スライダ
5 ロータ
6 出力軸
7 皿ばね
8 軸受
9 軸受
10 摩擦材
11 基盤
12 ケーシング
13 制御装置
14 ケーブル
15 エンコーダ

Claims (13)

  1. 圧電素子により生じたステータの進行波により、ロータに連結された出力軸を駆動する超音波モータにおいて、前記ロータの下面に接着され、かつ前記ステータに圧接し、このステータの進行波により、前記ロータを回転させるスライダであって、
    前記スライダは、非射出成形性超高分子量ポリエチレン樹脂100重量部と、導電性カーボン2〜15重量部と、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末、黒鉛粉末およびシリコーン樹脂粉末から選ばれた少なくとも1つの粉末0.5〜5重量部とを配合された樹脂組成物からなるシート材であることを特徴とする超音波モータのスライダ。
  2. 前記非射出成形性ポリエチレン樹脂が、重量平均分子量100万〜400万の超高分子量ポリエチレン樹脂であることを特徴とする請求項1記載の超音波モータのスライダ。
  3. 前記導電性カーボンが、ケッチェンブラックであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の超音波モータのスライダ。
  4. 前記ケッチェンブラックは、一次粒子径が30〜38nmであることを特徴とする請求項3記載の超音波モータのスライダ。
  5. 前記ケッチェンブラックは、BET比表面積が1000〜1500m/gであることを特徴とする請求項3または請求項4記載の超音波モータのスライダ。
  6. 前記粉末が、平均粒子径5〜30μmの粉末であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項記載の超音波モータのスライダ。
  7. 前記ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末が、アルキルビニルエーテルで変性された変性ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項記載の超音波モータのスライダ。
  8. 前記黒鉛粉末が、固定炭素98.5重量%以上の人造黒鉛であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項記載の超音波モータのスライダ。
  9. 前記シリコーン樹脂粉末が、球状のシリコーン樹脂粉末であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項記載の超音波モータのスライダ。
  10. 前記スライダの表面抵抗値(JIS K7194)が、1.0×10〜1.0×1012Ω/□であることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか一項記載の超音波モータのスライダ。
  11. 前記スライダのシート厚さが、0.04〜1.0mmであることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか一項記載の超音波モータのスライダ。
  12. 前記スライダの表面は、前記非射出成形性超高分子量ポリエチレン樹脂の粒子同士の粒界に前記導電性カーボンと前記粉末とが配されていることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか一項記載の超音波モータのスライダ。
  13. 出力軸に連結されたロータと、このロータの下面に接着されたスライダと、このスライダを介して前記ロータが圧接するステータと、このステータの下面に接着し、このステータに進行波を生じさせる圧電素子とを備えてなり、前記ステータに生じた進行波により、前記ロータを回転させ、出力する超音波モータであって、
    前記スライダが請求項1ないし請求項12のいずれか一項記載のスライダであることを特徴とする超音波モータ。
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