JP2010109128A - パッケージの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
フリットにより封止されたパッケージのレーザによる封止工程で多発していたクラックの発生を抑制した、信頼性の高いパッケージの製造方法を提供する。
【解決手段】
2枚の基体間にリング状に配置されたフリットをレーザ照射により加熱して前記2枚の基体を接合することで、両者の間に封止された空間を有するパッケージを製造する方法であって、前記レーザ照射は、2本以上のレーザが、それらの軌跡を合わせるとリング状の前記フリットのパターンとなるように走査され、個々のレーザは、その軌跡の始点および終点において、前記フリットが溶融してから固化するまでの間に他のレーザが存在するように走査される、パッケージの製造方法である。
【選択図】 図2

Description

本発明は周囲の環境に敏感な電子部品等を保護するための封止された空間を有するパッケージの製造方法に関するものである。
従来から、色素増感型太陽電池素子や、有機EL素子など、周囲の環境に敏感な電子部品を保護するパッケージの製造方法として、上下2枚のガラス間にフリットをリング状に設置し、このフリットで溶着する方法が知られている。
例えば、電子部品として、有機EL素子や色素増感型太陽電池素子がある。これらは有機物質であるため、熱に弱く、一般的には、有機物質は130℃程度の温度にしか耐えられない。これに対して、フリットの融点は低融点のものであっても400℃程度であり、全体を均一に加熱する方法では素子を破壊してしまうため、局所的な加熱が求められる。この局所的な加熱の方法としてフリット部分にのみレーザを短時間照射し、局所的に温度を上昇させることで、素子部を高温とならないようにしながら封止するレーザ溶着の方法が提案されている。
従来のパッケージの製造方法を図3を用いて説明する。図3はパッケージの要部平面図である、なお、封止すべき電子部品の図示を省略している。
上ガラス101、下ガラス102をリング上のフリット103を介して積層し、a部からb部,c部,d部を経てa部に戻るように上ガラス101上からレーザを照射しながら移動させ、フリットを溶融させることで上ガラス101と下ガラス102とを溶着させ、フリット103が固化することでフリット103に囲まれた領域に封止された空間を有するパッケージを製造することができる。
ここで、レーザをa点に戻し溶着が完了する直前にガラス基板101,102やフリット103にクラックが多発するため、その対策として、レーザの出力を弱めたり、フォーカスをぼかしたり、移動速度を遅くする方法等が提案されていた。
特開2008−527655号公報
しかしながら、従来の方法では、クラックを回避しようとして、レーザの出力を弱めるとフリットをその融点まで高めるのに時間がかかり、その間に熱が電子部品にまで伝わり、電子部品を熱損傷させてしまうという問題がある。また、レーザのフォーカスをぼかしたり、レーザの移動速度を遅くしたりすると、フリット103やガラス基板101,102のクラックは防止できるが、電子部品の温度も上昇してしまい、電子部品を熱損傷させてしまうという問題がある。つまり、電子部品の熱損傷を防ぐ方法と、フリット103やガラス基板101,102のクラックを防ぐ方法とは、同時に満たされないという問題を有していた。このように、従来の方法では、内部に収容する電子部品によっては適用できない場合があるという問題点があった。
本発明は上記事情に鑑みて案出されたものであり、その目的は、クラックの発生を抑制した、信頼性の高く汎用性の高いパッケージの製造方法を提供することにある。
本発明のパッケージの製造方法は、(1)2枚の基体間にリング状に配置されたフリットをレーザ照射により加熱して前記2枚の基体を接合することで、両者の間に封止された空間を有するパッケージを製造する方法であって、前記レーザ照射は、2本以上のレーザが、それらの軌跡を合わせるとリング状の前記フリットのパターンと重なるように走査され、個々のレーザは、その軌跡の始点および終点において、前記フリットが溶融してから固化するまでの間に他のレーザが存在するように走査される、ものである。
また、本発明のパッケージの製造方法は、(2)上記(1)の方法において、前記レーザ照射は、2本のレーザで行ない、同一の前記始点から互いに離れるように前記フリットのパターンをトレースし、同一の前記終点に、一方のレーザが前記終点の前記フリットを溶融させてから固化するまでの間に他方のレーザが到達するように走査される、ものである。
また、本発明のパッケージの製造方法は、(3)上記(2)の方法において、前記レーザ照射は、前記2本のレーザが、前記終点に同時に到達するように走査される、ものである。
また、本発明のパッケージの製造方法は、(4)上記(1)の方法において、前記レーザ照射は、前記フリットのパターンの一定区間をトレースするように走査されるレーザと、他のレーザの軌跡の始点または終点のみに照射されるレーザと、を用いる、ものである。
本発明の(1)のパッケージの製造方法によれば、2本以上のレーザにより、リング状のフリットの全パターンをレーザ照射することができるので、フリットにより2枚の基体を接合するとともに、フリットと2枚の基体で囲まれた領域に封止された空間(以後、単に封止空間という)を形成することができる。
ここで、従来のパッケージの製造方法においてクラックが発生するメカニズムについて、鋭意検討を重ねた結果、クラックの発生は、レーザを走査させて図3のa部に戻る直前の、レーザを中心としたフリット103における温度分布が原因であることを突き止めた。つまり、レーザ照射部のフリット103は高温で、その周囲は同心円上に温度分布を有し、照射部に比べ低温となる。この温度の高いレーザ照射部ではフリット103が膨張し、温度が低くなる周囲ではフリット103が収縮しようとする。すなわち、レーザ照射部の周囲のフリット103には、同心円状に引っ張り応力が高く働く。ここで、レーザ照射部の後方(レーザ走査方向に対して後方)では、フリット103が溶融した状態でまだ完全に固化していないのでクラックは生じないが、すでに溶着されたレーザ照射のスタート地点であるa部ではフリット103は温度が低下し完全に固化されているので変形することができず、引っ張り応力によりクラックが発生してしまっていることが分かった。つまり、レーザ照射において、一度固化したフリットに再度レーザによる温度分布が生じて引っ張り応力が生じることが原因であり、それはレーザ照射の始点及び終点で発生することが分かった。そして、このような現象は、レーザにより局所的な温度分布が発生する場合に特有なものであることが分かった。
上述のようなメカニズムの判明を受けて、本発明においては、個々のレーザは、その軌跡の始点および終点において、フリットが溶融してから固化するまでの間に他のレーザが存在するように走査されるので、既に2枚の基体を接合して固化しているフリットに再度レーザが照射されることがない。したがって、個々のレーザ照射の終点においてもレーザ照射により引っ張り応力が生じてもフリットが変形して応力を緩和することができ、その結果、フリットおよび2枚の基体におけるクラックの発生を抑制することができ、信頼性の高いパッケージの製造方法を提供することができる。
また、従来のようにレーザの出力を弱めたり、焦点をぼかしたり、走査速度を遅くしたりするなど、レーザの照射時間や照射面積を必要以上に設ける必要がなくなるので、レーザによる熱がフリットを中心とした局所的な部分のみに伝達され、中に収容すべき電子部品が熱損傷を受けることを抑制することができる。このため、中に収容する電子部品によらず、クラックの発生を抑制したパッケージを製造することができるので、汎用性の高いパッケージの製造方法を提供することができる。
また、本発明の(2)のパッケージの製造方法によれば、2本のレーザにより、フリットおよび2枚の基体におけるクラックの発生を抑制して信頼性の高いパッケージの製造方法を提供することができるので、生産性の高いパッケージの製造方法を提供することができる。
また、本発明の(3)のパッケージの製造方法によれば、2本のレーザの走査の制御が更に容易となり、生産性の高いパッケージの製造方法を提供することができる。
また、本発明の(4)のパッケージの製造方法によれば、他のレーザの軌跡の始点または終点に照射位置が固定されたレーザにより、他のレーザが軌跡の始点を出発するタイミングまたは終点に到達するタイミングに制限がなくなるので、レーザの走査の制御が更に容易となり、生産性の高いパッケージの製造方法を提供することができる。
以下、本発明のパッケージの製造方法について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明のパッケージの製造方法により製造したパッケージの(a)は上方透視図,(b)は(a)のI−I線における断面図である。図1において、1、2は、2枚の基体である第1基体,第2基体、3は2枚の基体1,2間にリング状に配置されたフリットである。フリット3と第1および第2の基体1,2の間の封止空間には、色素増感型太陽電池素子や、有機EL素子等の電子部品が配設されているが、図示を省略している。なお、理解を容易にするために、フリット3に斜線を付している。また、以下の図面についても同様であるが、同様の箇所には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
第1基体1は、封止空間を保つ強度を有していれば特に限定されず、セラミック基板,ガラス基板,有機樹脂基板等を用いることができる。
第2基体2は、封止空間を保つ強度を有しているとともに、レーザ照射による熱を後述するフリット3に伝達することができれば特に限定されず、例えば、ガラス基板等を用いることができる。第2基体2は、第1基体1と同じ材料でもよいし、異なる材料でもよいが、両者の熱膨張係数が近いことが好ましい。また、図では、第2基体2は、第1基体1と同一形状であるが、両者の間に封止空間を形成できれば異なる形状であってもよい。
また、第1および第2基体1,2は、内部に収容する電子部品に応じて選択すればよい。例えば、電子部品として色素増感型太陽電池素子や、有機EL素子を用いる場合には、透光性を有するものを選択し、第1または第2基体1,2を電子部品を形成する基板として用いる場合には、電子部品の製造に適したものを選択する。
フリット3は、ガラス技術分野では、添加剤が含まれたパウダー状のガラス原料を指すが、ガラス技術分以外では、一般的にフリットが溶融されて形成されたガラスを指すので、本明細書では、この両方を示すものとする。フリット3は、レーザを効率よく吸収して、溶融、あるいは軟化するために、光吸収材が含まれることが望ましい。また、低融点であることが望ましく、第1及び第2基体1,2との熱膨張差を小さくするよう組成を調整してもよい。とくにフリット3の材料や、その組成は、レーザ照射により加熱され溶融し、その後固化することで第1および第2基体1、2を接合できれば特に限定はされず、例えば低融点のはんだガラスなどを用いることができる。
フリット3は第1基体1,第2基体2の間にリング状に配置されればよく、第1基体1上に配置しても、第2基体2上に配置してもよい。また、図面では略直方形状であるが、楕円状でも多角形状でもよい。
また、フリットの幅は、0.3mmから3.0mmであることが望ましい。フリットの幅が0.3mmより細い場合には、封止が不完全となり密閉不良が増加し、接着力の観点からも問題を起こすことがあるからである。また、フリットの幅が3.0mmより太い場合には、溶融に多くの熱を要するため好ましくない。特に、熱に弱い電子部品を用いる場合には、フリット3の周辺部分まで高温になってしまい、その熱が電子部品に伝達してしまう可能性があるため好ましくない。よって、フリット3の幅は、0.3mmから3.0mmの範囲が望ましい。また、フリット3の高さは、3μmから500μmの間が望ましい。フリット3の高さが3μm以下であれば、封止が不完全となり密閉不良が増加し、500μmより大きいと溶融に多くの熱を要するからである。また、500μmより大きいと熱に弱い電子部品を用いる場合には、フリット3の周辺部分まで高温になってしまい、その熱が電子部品に伝達してしまう可能性があるため好ましくない。従って、フリット3の高さは3μmから500μmの間が望ましい。
レーザの径は、フリット3の幅全体を十分に発熱させ、幅全体において溶融させるために、フリット3の幅をD1、レーザの径をD2とすれば、1.01D1<D2<3.0D1の範囲が望ましい。D2が1.01D1より小さければ、レーザ照射の位置ずれや、フリット3の寸法誤差により、レーザがフリット3幅全体に当たらない場合が生じ、部分的に未溶着となり密閉不良を誘発してしまう。また、D2が、3.0D1より大きいと、照射したエネルギーが効率的に利用できないばかりか、フリット3の外側に漏洩したレーザが周囲の部材を発熱させ、熱的な不安定を生じる。よって、レーザ径D2は1.01D1<D2<3.0D1の範囲が望ましい。
このように第1基体1,第2基体2を、フリット3を介して積層した状態で、第2基体2を介してフリット3にレーザが照射されるようにレーザを走査する。以下に具体的なレーザの走査方法について説明する。図2(a)〜(e)は、本発明のパッケージの製造方法における、レーザの軌跡を示す図である。
図2(a)は、フリット3のパターンを4区間に分割し、4本のレーザを用いた場合のレーザ照射の方法を示している。フリット3のパターンは4つの分割点A,B,C,Dで4つの区間に分割されており、第1のレーザはA点からB点まで,第2のレーザはA点からD点まで、第3のレーザはC点からB点まで、第4のレーザはC点からD点まで、それぞれ軌跡11,12,13,14を描くように走査される。これらの軌跡11,12,13,14を合わせるとリング状のフリット3のパターンとなっており、個々の軌跡11,12,13,14はそれぞれの始点及び終点以外では重複していない。
ここで、第1のレーザと第2のレーザは、一方が両レーザの始点であるA点のフリット3を溶融させてから固化するまでの間に他方もA点を出発するように走査される。同様に、第3のレーザと第4のレーザは、一方が両レーザの始点であるC点のフリット3を溶融させてから固化するまでの間に他方もC点を出発するように走査される。このように走査させることで、レーザ照射の始点であるA点,C点において、レーザ照射による温度分布が生じても、第1基体1,第2基体2が固化したフリット3で接合されている部分はないので、発生する応力に対応することができる。したがって、始点においてクラックの発生を抑制することができる。
そして、第1のレーザと第3のレーザは、一方が両レーザの終点であるB点のフリット3を溶融させてから固化するまでの間に他方もB点に到達するように走査される。同様に、第2のレーザと第4のレーザは、一方が両レーザの終点であるD点のフリット3を溶融させてから固化するまでの間に他方もD点に到達するように走査される。このように走査させることで、レーザ照射の終点であるB点,D点において、レーザ照射による温度分布が生じても、第1基体1,第2基体2が固化したフリット3で接合されている部分はないので、発生する応力に対応することができる。すなわち、レーザ照射の終点であるB点,D点において、レーザ照射による引っ張り応力が生じても、フリット3はまだ固化していないので変形するなどして応力を緩和することができ、クラックの発生を抑制することができる。
これらの第1〜第4のレーザは、上述のように個々のレーザが、その軌跡の始点(A点,C点)および終点(B点,D点)において、フリット3が溶融してから固化するまでの間に他のレーザが存在するように走査されればよく、その他の走査方法は自由に設定することができる。例えば、第1および第2のレーザの始点を出発する時間と、第3および第4のレーザの始点を出発する時間とは異なっていてもよい。終点についても同様である。また、第1および第2のレーザは同時に始点(A点)を照射し始め、一方のレーザが出発した後、時間をずらして他方のレーザが出発するなど、両者の出発する時間が異なっていてもよい。第3および第4のレーザについても同様である。さらに、レーザ照射の終点(B点,D点)において、先に到達した一方のレーザは、他方のレーザが到達するまでフリット3を溶融した状態を保持するように照射し続けてもよい。そのときに、一方のレーザの出力をフリット3が固化しない程度に下げることが好ましい。
このように、レーザを走査することで、信頼性の高いパッケージの製造方法を提供することができる。
特に、従来のようにレーザの出力を弱めたり、焦点をぼかしたり、走査速度を遅くしたりするなど、レーザの照射時間や照射面積を必要以上に長くしたり、広範囲にしたりするなどする必要がなくなるので、必要最小限のレーザ照射によりパッケージを製造することができる。すなわち、レーザによる熱がフリット3を中心とした局所的な部分のみに伝達され、中に収容すべき電子部品が熱損傷を受けることを抑制することができる。このため、例え、熱に弱い有機物を用いた電子部品、例えば、有機EL素子や色素増感型胎動電池素子などを封止空間の内部に収容した場合においても、レーザ照射の熱が電子部品に伝達することなく、パッケージを製造することができる。つまり、熱に対する耐性の低い電子部品に対しても、電子部品が熱損傷を受けることなくパッケージを製造することができるので、このような電子部品の封止に適している。このように、内部に収容する電子部品によらずクラックの発生を抑制した、汎用性の高いパッケージの製造方法を提供できる。
次に、図2(b)に示すレーザ照射方法について説明する。図2(b)は、図2(a)に示す方法とフリット3のパターンの分割数と使用レーザ数が異なり、フリット3のパターンを2区間に分割し、2本のレーザを用いた場合のレーザ照射の方法を示している。
レーザ照射は、第1のレーザと第2のレーザとを走査して行なう。第1のレーザは、始点であるフリット3のパターンのA点から、B点を介してC点までの軌跡21を描くように走査させる。第2のレーザは、フリット3のパターンのA点から、第1のレーザの走査方向から互いに離れるように、D点を介して同一の終点であるC点までの軌跡22を描くように走査させる。
ここで、第1のレーザと第2のレーザは、一方が両レーザの始点であるA点のフリット3を溶融させてから固化するまでの間に他方もA点を出発するように走査される。従って、始点におけるクラックの発生を抑制できる。また、第2のレーザを、第1のレーザがC点におけるフリット3を溶融してから固化するまでの間に、C点に到達するように走査する。このように走査することで、終点におけるクラックの発生も抑制できる。より具体的に説明すると、後から来る第2のレーザがC点に達する際、C点はすでに第1のレーザで溶融しており、まだ、固化していないので、第2のレーザがC点に達する直前に、第2のレーザ照射部で生じた同心円上に働く引張り応力が、C点の端部に働くが、C点は第1のレーザにより加熱溶融されているため、クラックが生じることはない。
なお、C点において、先に到着した第1のレーザの出力を下げてそのまま照射させることで、第1のレーザが軌跡21を走査する時間と第2のレーザが軌跡22を走査する時間とが異なっても終点(C点)においてフリット3が固化することを抑制できるので、レーザ走査の制御が容易となり、生産性の高いパッケージの製造方法を提供することができる。
また、第1のレーザと第2のレーザとが同時に終点であるC点に到達するように走査すれば、レーザ走査の制御が容易となり、生産性の高いパッケージの製造方法を提供することができる。
次に、図2(c)に示すレーザ照射方法について説明する。図2(c)は、フリット3のパターンを1区間に分割し、2本のレーザを用いた場合のレーザ照射の方法を示している。
レーザ照射は、フリット3のA点からB点,C点,D点を経由してA点に戻るような軌跡31を描く第1のレーザと、第1のレーザの始点であり終点であるA点を照射し続ける第2のレーザとを用いる。第2のレーザは、第1のレーザがA点を出発してから戻ってくるまでの間、A点におけるフリット3を固化しないようにA点に照射されるように走査される。なお、第2のレーザは、第1のレーザに比べ出力を落とした状態で照射し続けてもよいし、一定期間照射し、一定期間照射しない状態にするなど、照射・非照射を繰り返してもよい。なお、本明細書では、「レーザの走査」として、第2のレーザのように、移動はしないが、A点において照射され、かつA点におけるフリット3が固化しないように出力を制御することも含めることとする。
このように走査することで、始点および終点におけるクラックの発生を抑制することのできる、信頼性の高いパッケージの製造方法を提供することができる。
次に、図2(d)に示すレーザ照射方法について説明する。図2(d)は、図2(c)とフリット3の分割区間数および使用レーザ数が異なり、フリット3のパターンを4区間に分け、8本のレーザを用いた例を示している。
レーザ照射は、フリット3のA点からB点まで軌跡41を描くように走査される第1のレーザ,B点からC点まで軌跡42を描くように走査される第2のレーザ,C点からD点まで軌跡43を描くように走査される第3のレーザ,D点からA点まで軌跡44を描くように走査される第4のレーザ,A点・B点・C点・D点を照射する第5〜第8のレーザを用いて行われる。第5〜第8のレーザは、A点・B点・C点・D点におけるフリット3が固化しないように照射されるように走査される。第5〜第8のレーザの出力は、第1〜第4のレーザの出力に比べて低く設定した状態で照射し続けてもよいし、一定期間照射し、一定期間照射しない状態にするなど、照射・非照射を繰り返してもよい。
このように各レーザを照射することで、第1〜第4のレーザを、それぞれの始点および終点において、フリット3が溶融してから固化するまでの間に始点を出発し、終点に到達するように走査することができるので、クラックの発生を抑制した、信頼性の高いパッケージの製造方法を提供することができる。
なお、本発明のパッケージの製造方法は、以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更や改良を加えることは何ら差し支えない。
本発明のパッケージの製造方法は、複数のレーザを用い、そのレーザの軌跡の始点および終点において、他のレーザでフリット3を溶融した状態とすることで、既に固化したフリット3を再溶融させることを防ぐことが重要であり、各レーザの軌跡が始点および終点以外で重複することがなければ、用いるレーザの本数や、各レーザの軌跡の始点および終点は自由に設定できる。
例えば、図2(a)では、フリット3のパターンを4区間に分け、4本のレーザを用いたが、この分割区間は偶数であれば分割区間と同数のレーザを用いることで同様の効果を得ることができる。
図2(d)では、フリット3のパターンを4区間に分けたが、この分割区間数は自由に設定することができる。
また、図2(a),(b),(d)では、分割区間の長さを等しくしているが、異なるようにしてもよい。
さらに、また、図2では、各レーザの軌跡の始点および終点をフリット3のパターンの角部に設けたが、直線部分(例えばA点とB点を結ぶ辺上)に設けてもよい。各レーザの始点、および、終点をフリット3の直線部分に設けた場合には、始点、終点で発生する熱応力が、フリット3の角部の形状的な要因による応力の集中が付加される影響を回避でき、より安定に封止を行う事ができる。
外形寸法60×60×厚み1.1mmのガラス基板2枚を第1及び第2基体1,2として、フリット3を介して積層し、このガラスフリット3をレーザで溶着することで、パッケージを製造した。フリット3は上下ガラス間の30×30mmの領域に幅1mmでほぼリング状に形成した。この基本条件のもと、図2(b)に示すようにレーザ照射を行ない、パッケージを100個製造した。その結果、100個すべてのパッケージにクラックが発生することはなかった。
比較のため、従来と同一の製造方法で100個のパッケージを製造した。その結果、100個すべてのパッケージにクラックの発生が見られた。
(a),(b)はそれぞれ、フリットにより封止されたパッケージを示す平面図および断面図である。 (a)〜(d)は、それぞれ本発明のパッケージの製造方法におけるレーザ照射方法を示す平面図である。 従来のパッケージの製造方法を示す平面図である。
符号の説明
1 第1基体
2 第2基体
3 フリット
11〜14,21,22,31,32,41〜48 レーザの軌跡

Claims (4)

  1. 2枚の基体間にリング状に配置されたフリットをレーザ照射により加熱して前記2枚の基体を接合することで、両者の間に封止された空間を有するパッケージを製造する方法であって、
    前記レーザ照射は、2本以上のレーザが、それらの軌跡を合わせるとリング状の前記フリットのパターンと重なるように走査され、
    個々のレーザは、その軌跡の始点および終点において、前記フリットが溶融してから固化するまでの間に他のレーザが存在するように走査される、パッケージの製造方法。
  2. 前記レーザ照射は、2本のレーザで行ない、同一の前記始点から互いに離れるように前記フリットのパターンをトレースし、同一の前記終点に、一方のレーザが前記終点の前記フリットを溶融させてから固化するまでの間に他方のレーザが到達するように走査される、請求項1に記載のパッケージの製造方法。
  3. 前記レーザ照射は、前記2本のレーザが、前記終点に同時に到達するように走査される、請求項2に記載のパッケージの製造方法。
  4. 前記レーザ照射は、前記フリットのパターンの一定区間をトレースするように走査されるレーザと、他のレーザの軌跡の始点または終点のみに照射されるレーザと、を用いる、請求項1記載のパッケージの製造方法。
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