JP2010108990A - バルントランス - Google Patents

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Abstract

【課題】1次巻線と2次巻線の巻回数が異なる場合であっても、良好な高周波特性を得ることが可能なドラム型コアを用いたバルントランスを提供する。
【解決手段】ドラム型コアの巻芯部111に巻回された1次巻線及び2次巻線を備える。1次巻線はワイヤ131によって構成され、2次巻線は一端からセンタータップまでのワイヤ132と、他端からセンタータップまでのワイヤ133を含む。ワイヤ132,133は巻芯部111にバイファイラ巻きされており、ワイヤ131は内周側、ワイヤ132,133は外周側に巻回されている。2次巻線は1次巻線よりも巻回数が多く、1次巻線であるワイヤ131よりも2次巻線であるワイヤ132,133の方がワイヤ径が小さい。これにより、1次巻線の巻幅と2次巻線の巻幅の差が軽減されることから、磁気結合の低下や不均一を緩和することができる。
【選択図】図1

Description

本発明はバルントランスに関し、特に、ドラム型コアを用いたバルントランスに関する。
通常、アンテナなどに接続される伝送線路は不平衡伝送線路である一方、半導体ICなどの高周波回路に接続される伝送線路は平衡伝送線路である。このため、不平衡伝送線路と平衡伝送線路とを接続する場合、これらの間には不平衡信号及び平衡信号を相互に変換するバルントランスが挿入される。ここで、不平衡信号とは固定電位(例えば接地電位)を基準としたシングルエンド型の信号を指し、平衡信号とは差動型の信号を指す。
バルントランスの機能は、コモンモードフィルタを用いて実現することが可能である。
図15は、1個のコモンモードフィルタを用いてバルントランスを構成した例を示す回路図である。図15に示す例では、一対の端子電極51,52と、一対の端子電極53,54を有するコモンモードフィルタ50を用い、不平衡伝送線路PLを端子電極51に接続し、一対の平衡伝送線路STL,SBLを端子電極53,54にそれぞれ接続することによってバルントランスを構成している。端子電極52は接地電位に接続される。しかしながら、この方法では、平衡伝送線路STL,SBLからセンタータップを取り出すことができない。また、1次側と2次側の巻数比が1:1に固定されるため、任意の巻数比に設定することができないという問題もあった。
図16は、2個のコモンモードフィルタを用いてバルントランスを構成した例を示す回路図である。図16に示す例では、端子電極51a〜54aを有するコモンモードフィルタ50aと、端子電極51b〜54bを有するコモンモードフィルタ50bを用い、不平衡伝送線路PLを端子電極51a,51bに共通接続し、一対の平衡伝送線路STL,SBLを端子電極53a,54bにそれぞれ接続することによってバルントランスを構成している。端子電極52a,54a,52b,53bはいずれも接地電位に接続される。この方法によれば、センタータップを接地電位に固定することが可能となるが、素子数が2個に増加するという問題が生じる。
一方、バルントランス専用の素子としては、特許文献1に記載されているようにメガネ型コアを用いたタイプや、特許文献2に記載されているようにトロイダルコアを用いたタイプが一般的である。しかしながら、メガネ型コアやトロイダルコアを用いたバルントランスは、全体のサイズが比較的大型であるとともに、巻線の巻回作業の自動化や表面実装が困難であるという問題があった。
これに対し、特許文献3に記載されたドラム型コアを用いたバルントランスは、小型化が容易であるとともに、巻線の巻回作業の自動化や表面実装に適しているというメリットを有している。
特開平11−135330号公報 特開平8−115820号公報 特開2005−39446号公報
しかしながら、ドラム型コアを用いたバルントランスは、特に2次巻線の巻回方法によって特性が大きく変化するため、良好な高周波特性を得ることが困難であった。特に、高域において良好なアンプリチュードバランス(平衡信号における振幅のバランス)やフェーズバランス(平衡信号における位相のバランス)を得ることが困難であった。
しかも、1次巻線及び2次巻線の一方を内周側に巻回し、他方を外周側に巻回する場合、1次側と2次側の巻数比が1:1以外であると、1次巻線の巻幅と2次巻線の巻幅に差が生じてしまう。図17はこの問題を説明するための模式的な部分断面図であり、1次巻線21の巻回数が8ターン、2次巻線22の巻回数が16ターンである例を示している(巻数比=1:2)。図17においては、断面にハッチングが施されていないワイヤが1次巻線21、断面にハッチングが施されているワイヤが2次巻線22であり、これらがドラム型コア20に巻回されている。このような巻数比である場合、16ターンの2次巻線22のうち、1次巻線21と正しく積層されるのは半分の8ターンのみとなり、残り半分の8ターンについては、1次巻線21と積層されなくなってしまう。このような場合、1次巻線21と2次巻線との磁気結合が低下するとともに不均一となることから、良好な高周波特性が得られないという問題が生じてしまう。
したがって、本発明の目的は、1次巻線と2次巻線の巻回数が異なる場合であっても、良好な高周波特性を得ることが可能なドラム型コアを用いたバルントランスを提供することである。
本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、ドラム型コアを用いたバルントランスにおいて高域のアンプリチュードバランスやフェーズバランスが劣化するのは、2次巻線を構成する2本のワイヤの対称性の乱れが原因であることが判明した。本発明は、このような技術的知見に基づき完成されたものである。
すなわち、本発明によるバルントランスは、巻芯部及び巻芯部の両端に設けられた一対の鍔部を有するドラム型コアと、鍔部に設けられた複数の端子電極と、巻芯部に巻回され両端が端子電極に接続された1次巻線と、巻芯部に巻回され両端及びセンタータップが端子電極に接続された2次巻線とを備え、2次巻線は、一端からセンタータップまでの第1のワイヤと、他端からセンタータップまでの第2のワイヤとを含み、第1のワイヤと第2のワイヤは、互いに沿った状態で巻芯部に巻回されており、1次巻線及び2次巻線の一方が内周側に巻回され、他方が外周側に巻回されており、1次巻線と2次巻線の巻回数が異なり、1次巻線及び2次巻線のうち、巻回数の多い側のワイヤ径が巻回数の少ない側のワイヤ径よりも小さいことを特徴とする。
本発明によれば、2次巻線を構成する第1のワイヤと第2のワイヤが互いに沿った状態で巻回されていることから、これら2本のワイヤの対称性が非常に高く保たれる。しかも、巻回数の多い側のワイヤ径が巻回数の少ない側のワイヤ径よりも小さいことから、1次巻線の巻幅と2次巻線の巻幅の差が軽減される。これにより、1次巻線と2次巻線の巻回数が異なるにもかかわらず、磁気結合の低下や不均一を緩和することができる。その結果、特に高域におけるアンプリチュードバランスやフェーズバランスを良好な値とすることが可能となる。尚、本発明における「1次巻線」及び「2次巻線」とは、入力側及び出力側を定めるものではない。すなわち、便宜上、不平衡伝送線路に接続される側を「1次巻線」、平衡伝送線路に接続される側を「2次巻線」と定義しているに過ぎず、入力側及び出力側がいずれであっても構わない。
2つのワイヤを互いに沿った状態で巻芯部に巻回する方法としては、いわゆるバイファイラ巻きが好適である。バイファイラ巻きは、コモンモードフィルタなどにおいてしばしば採用される巻回方法であるが、コモンモードフィルタにおいては1次巻線と2次巻線がバイファイラ巻きされるに過ぎない。これに対し、本発明では、2次巻線を構成する2つのワイヤの対称性に着目し、これら2つのワイヤをバイファイラ巻きのように互いに沿った状態で巻回しているのである。これにより、これまで着目されていなかった2次巻線間における対称性を大幅に高めることが可能となる。尚、「互いに沿った状態」とは、2つのワイヤが互いに接触しながら巻回されている状態に限定されるものではなく、一定のスペースを保ちながら巻回されている状態を含む。
本発明においては、1次巻線の巻幅と2次巻線の巻幅をほぼ等しくすることが好ましい。これは、1次巻線及び2次巻線の巻回数をそれぞれN1、N2とし、1次巻線及び2次巻線のワイヤ径をそれぞれW1、W2とした場合、W1/W2≒N2/N1に設定することにより実現できる。これによれば、巻回数の相違による磁気結合の低下や不均一がほぼ解消されることから、より良好な高周波特性を得ることが可能となる。
本発明においては、内周側に巻回された1次巻線又は2次巻線によって形成される谷線部分に平坦化部材が充填されていることが好ましい。巻数比が1:1である場合には、内周側の巻線によって形成される谷線部分が外周側の巻線を巻回する際のガイドとして機能するが、巻数比が1:1以外である場合には、内周側の谷線部分が外周側の巻線の均一な巻回を阻害することがある。しかしながら、谷線部分に平坦化部材を充填することによって下地を平坦化すれば、外周側の巻線を均一に巻回することが容易となる。平坦化部材としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの樹脂を用いることが好ましい。
本発明においては、1次巻線と2次巻線との間に平坦化フィルムを介在させることもまた好ましい。この方法によれば、下地がほぼ完全に平坦化されることから、外周側の巻線を均一に巻回することがいっそう容易となる。
本発明においては、1次巻線及び2次巻線のうち、巻回数の多い側を内周側に巻回することもまた好ましい。巻回数の多い側の巻線はワイヤ径が小さく設定されていることから、谷線部分の深さが浅く且つ幅が狭くなる。これにより谷線部分の影響が少なくなることから、外周側の巻線を巻回する際の影響が少なくなる。
このように、本発明によれば、2次巻線を構成する2本のワイヤの対称性が高く、しかも、1次巻線と2次巻線の巻回数が異なるにもかかわらずこれらの巻幅の差が小さいことから、高周波特性、特に高域におけるアンプリチュードバランスやフェーズバランスに優れたバルントランスを提供することが可能となる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態によるバルントランスの外観を示す略斜視図である。また、図2は本実施形態によるバルントランスの略断面図であり、図3は本実施形態によるバルントランスを実装面側から見た略底面図である。
図1〜図3に示すように、本実施形態によるバルントランス100は、ドラム型コア110と、板状コア120と、3本のワイヤ131〜133によって構成されている。ドラム型コア110は、巻芯部111と、巻芯部111の両端に設けられた一対の鍔部112,113とを有している。一方の鍔部112には、一方向から(図3に示す矢印Aから)見てこの順に配置された3つの端子電極141〜143が設けられている。他方の鍔部113には、同じ方向から(図3に示す矢印Aから)見てこの順に配置された3つの端子電極144〜146が設けられている。
板状コア120は、ドラム型コア110の鍔部112,113の上部を連結するように配置されている。本発明において板状コア120を用いることは必須でないが、板状コア120を用いることによって閉磁路を形成すれば、高い磁気結合を得ることが可能となる。ドラム型コア110及び板状コア120は磁性材料からなり、特に限定されないが、NiZn系フェライト材料を用いることが好ましい。NiZn系フェライトは透磁率が比較的高いだけでなく、導電性が低いことから端子電極を直接形成することができるからである。但し、端子電極が形成されない板状コア120については、より透磁率の高いMgZn系フェライト材料を用いることも可能である。
本実施形態において、巻芯部111に巻回された3本のワイヤ131〜133の巻回数は、いずれも8ターンである。図2に示すように、ワイヤ131とワイヤ132,133は積層されており、本実施形態ではワイヤ131が内周側、ワイヤ132,133が外周側に巻回されている。外周側に巻回されたワイヤ132,133は、巻芯部111にバイファイラ巻きされている。図2においては、断面にハッチングが施されているのがワイヤ132であり、断面に×印が付されているのがワイヤ133である。これにより、内周側に巻回されたワイヤ(ワイヤ131)の巻回数は8ターンとなる一方、外周側に巻回されたワイヤ(ワイヤ132,133)の巻回数は16ターンとなる。つまり、内周側と外周側とで巻回数が異なっている。
図2に示すように、ワイヤ131〜133のうち、ワイヤ131のワイヤ径をW1とし、ワイヤ132のワイヤ径をW2とした場合、W1>W2に設定されており、より具体的にはW1=2×W2に設定されている。これにより、内周側に巻回された8ターンのワイヤ131の巻幅D1(=8×W1)と、外周側に巻回された16ターンのワイヤ132,133の巻幅D2(=16×W2)とがほぼ一致する。つまり、巻回数の多い外周側のワイヤ132,133のワイヤ径を、巻回数の少ない内周側のワイヤ131のワイヤ径よりも小さくすることによって、内周側と外周側の巻回数が相違しているにもかかわらず、これらの巻幅をほぼ一致させている。
図3に示すように、3本のワイヤ131〜133はいずれも矢印Bに向かって時計回り(右回り)に巻回されている。図4は、ワイヤ131〜133と端子電極141〜146との接続関係を説明するための模式図である。図4に示すように、ワイヤ131の一端131aは端子電極141に接続され、他端131bは端子電極144に接続されている。また、ワイヤ132の一端132aは端子電極143に接続され、他端132bは端子電極145に接続されている。さらに、ワイヤ133の一端133aは端子電極142に接続され、他端133bは端子電極146に接続されている。
図5は、本実施形態によるバルントランス100の等価回路図である。
図5に示すように、本実施形態によるバルントランス100は、1次側端子Pとグランド端子GNDとの間に接続された1次巻線L1と、2次側正極端子STと2次側負極端子SBとの間に接続された2次巻線L21,L22によって構成される。2次巻線L21とL22との接続点はセンタータップCTとして用いられる。
本実施形態においては、ワイヤ131が1次巻線L1を構成し、ワイヤ132が2次巻線L21を構成し、ワイヤ133が2次巻線L22を構成している。したがって、端子電極141が1次側端子Pとして用いられ、端子電極143,146がそれぞれ2次側正極端子ST及び2次側負極端子SBとして用いられ、端子電極144がグランド端子GNDとして用いられ、端子電極142,145がセンタータップCTとして用いられることになる。上述の通り、ワイヤ131〜133の巻回数はいずれも8ターンであることから、1次側と2次側の巻数比は1:2である。
上述の通り、2次巻線を構成するワイヤ132,133は、巻芯部111にバイファイラ巻きされている。つまり、一方の鍔部112から他方の鍔部113に向かって(又はその逆方向に向かって)、ワイヤ132,133が交互に巻回されている。このため、ワイヤ132,133のnターン目(n=1〜8)となる部分は、互いに隣接することになる。
このような巻回方式により、比較例である図6に示すように、巻芯部111のうち鍔部112側のエリア111aにワイヤ132をまとめて巻回し、巻芯部111のうち鍔部113側のエリア111bにワイヤ133をまとめて巻回するといった、いわゆるセクタ巻きを行った場合と比べて、これら2本のワイヤ132,133の対称性を非常に高く保つことが可能となる。これは、バイファイラ巻きにおいては2本のワイヤがほぼ均等に巻回されるのに対し、セクタ巻きではセンタータップCTとなる部分が巻芯部111の中央部に位置するため、センタータップCTを端子電極に接続するための配線部分において対称性の乱れが生じてしまうからである。
図7は、本実施形態によるバルントランス100を搭載するためのプリント基板上における配線パターンを示す図である。
図7に示すプリント基板上の搭載領域150は、バルントランス100を搭載するための領域であり、4つのランドパターン151〜154が設けられている。ランドパターン151は不平衡伝送線路PLに接続されるパターンであり、バルントランス100の端子電極141(1次側端子P)に接続される。ランドパターン152はグランド配線GNDLに接続されるパターンであり、バルントランス100の端子電極144(グランド端子GND)及び端子電極142,145(センタータップCT)に共通接続される。ランドパターン153,154は一対の平衡伝送線路STL,SBLに接続されるパターンであり、それぞれバルントランス100の端子電極143(2次側正極端子ST)及び端子電極146(2次側負極端子SB)に接続される。
このようなレイアウトにより、不平衡伝送線路PLを搭載領域150から見て矢印Cの方向へ直線的に形成することができるとともに、一対の平衡伝送線路STL,SBLを搭載領域150から見て矢印Dの方向へ平行且つ直線的に形成することができる。これにより、プリント基板上における配線パターンの迂回などが不要となることから、配線パターンの占有面積が必要以上に増大することがなく、しかも、配線パターンの対称性を確保することが可能となる。これにより、装置全体の小型化と信号品質の向上を両立させることが可能となる。
このように、本実施形態によるバルントランス100は、2次巻線を構成する2本のワイヤ132,133がバイファイラ巻きされていることから、これらをセクタ巻きした場合と比べて、2次巻線を構成する2つのワイヤの対称性を非常に高く保つことが可能となる。その結果、特に高域において良好なアンプリチュードバランスやフェーズバランスを得ることが可能となる。
しかも、1次巻線を構成するワイヤ131と2次巻線を構成するワイヤ132,133とを積層し、巻回数の多い2次巻線のワイヤ径(W2)を、巻回数の少ない1次巻線のワイヤ径(W1)よりも小さくしていることから、1次巻線と2次巻線の巻回数が相違しているにもかかわらず、これらの巻幅をほぼ一致させることが可能となる。これにより、図17を用いて説明したように、2次巻線の一部が1次巻線と正しく積層されないという問題が解消されることから、磁気結合の低下やばらつきを緩和することが可能となる。
しかも、全てのワイヤ131〜133が同一方向に巻回されているため、巻芯部111においてワイヤを交差させながら巻回する必要などが生じない。このため、ショート不良などが発生し難く、製品の信頼性を高めることも可能となる。さらに、ワイヤ131〜133の巻回数が互いに同一であることから、これらワイヤ131〜133を三本同時に巻回することも可能である。
次に、本発明の好ましい第2の実施形態について説明する。
図8は、本発明の第2の実施形態によるバルントランス200の主要部を示す模式的な部分断面図である。
図8に示すように、本実施形態によるバルントランス200は、内周側に巻回されたワイヤ131によって形成される谷線部分Vに平坦化部材201が充填されている。その他の点については、上記実施形態によるバルントランス100と同一であることから、同一部分の図示及び重複する説明は省略する。
上述の通り、内周側に巻回されるワイヤ131は8ターンであるのに対し、外周側に巻回されるワイヤ132,133は合計で16ターンである。このため、ワイヤ132,133を巻回する際、ワイヤ131によって形成される谷線部分Vにワイヤ132,133が引き込まれると、ワイヤ132,133を均一に巻回することが困難となるおそれがある。しかしながら、本実施形態によるバルントランス200では、谷線部分Vに平坦化部材201が充填され、これによってワイヤ132,133を巻回する際の下地が平坦化されていることから、外周側のワイヤ132,133が谷線部分Vに引き込まれることがなくなり、均一に巻回することが可能となる。
特に限定されるものではないが、平坦化部材201としてはウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの樹脂を用いることが好ましい。
平坦化部材201は、巻芯部111の全周に亘って設けることが最も効果的であるが、平坦化部材201を巻芯部111の全周に亘って設けることは必須でない。例えば、巻芯部111の断面が多角形(四角形など)である場合、一辺にのみ平坦化部材201を設けても構わない。これによれば、平坦化部材201の塗布作業が簡素化されることから、製造コストの上昇を最小限に抑えることが可能となる。さらに、巻芯部111の断面が多角形(四角形など)である場合、コーナー部にのみ平坦化部材201を設けても構わない。コーナー部はワイヤ132,133が谷線部分Vに最も引き込まれやすい箇所であることから、この箇所に平坦化部材201を形成すれば、谷線部分Vへの引き込みを十分に防止することが可能となる。
但し、巻数比が1:2である場合は、谷線部分Vによる引き込みは必ずしも不利に作用しない。つまり、第1の実施形態によるバルントランス100において、2次巻線であるワイヤ132,133をバイファイラ巻きする際、図9に示すように、一方のワイヤ133を谷線部分Vに沿って巻回すれば、谷線部分Vがガイドとして機能することになる。このような方法で巻回する場合には、平坦化部材201の形成は不要である。したがって、本実施形態は、例えば巻数比が1:√2のように、巻数比が2のべき乗で表現できないケースにおいて特に有効である。
次に、本発明の好ましい第3の実施形態について説明する。
図10は、本発明の第3の実施形態によるバルントランス300の主要部を示す模式的な部分断面図である。
図10に示すように、本実施形態によるバルントランス300は、内周側に巻回されたワイヤ131と外周側に巻回されたワイヤ132,133との間に平坦化フィルム301が設けられている。その他の点については、上記実施形態によるバルントランス100と同一であることから、同一部分の図示及び重複する説明は省略する。
本実施形態によれば、ワイヤ132,133を巻回する際の下地がほぼ完全に平坦化されることから、外周側のワイヤ132,133を均一に巻回することがいっそう容易となる。平坦化フィルム301は、巻芯部111の全周に亘って設けることが最も効果的であるが、これは必須でない。この点は、上記第2の実施形態と同様である。
次に、本発明の好ましい第4の実施形態について説明する。
図11は、本発明の第4の実施形態によるバルントランス400の略断面図である。
図11に示すように、本実施形態によるバルントランス400は、1次巻線と2次巻線の位置が第1の実施形態によるバルントランス100とは逆である。つまり、1次巻線を構成するワイヤ131が外周側に巻回され、2次巻線を構成するワイヤ132,133が内周側に巻回されている。その他の点については、上記実施形態によるバルントランス100と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態によれば、巻回数の多いワイヤ132,133が内周側に位置していることから、谷線部分Vの深さが浅く且つ幅が狭くなる。つまり、ワイヤ131を巻回する際の下地が、第1の実施形態と比べてそもそも平坦性が高くなる。これにより谷線部分Vの影響が小さくなることから、外周側に位置するワイヤ131の均一な巻回が容易となる。
尚、本実施形態においても、第2の実施形態のように平坦化部材201を用いて下地をより平坦化しても構わないし、第3の実施形態のように平坦化フィルム301を用いて下地をほぼ完全に平坦化しても構わない。
次に、本発明の好ましい第5の実施形態について説明する。
図12は、本発明の第5の実施形態によるバルントランス500におけるワイヤと端子電極との接続関係を説明するための模式図である。本実施形態によるバルントランス500の外観及び断面は、図1及び図2に示した第1の実施形態によるバルントランス100とほぼ同様である。
図12に示すように、本実施形態においては3本のワイヤ531〜533が端子電極541〜546に接続されている。このうち、ワイヤ531は1次巻線を構成し、ワイヤ532,533は2次巻線を構成する。ワイヤ531の一端531aは端子電極541に接続され、他端531bは端子電極546に接続されている。また、ワイヤ532の一端532aは端子電極542に接続され、他端532bは端子電極544に接続されている。また、ワイヤ533の一端533aは端子電極543に接続され、他端533bは端子電極545に接続されている。本実施形態においても、ワイヤ531〜533の巻回数はいずれも8ターンである。また、本実施形態によるバルントランス500の等価回路は、図5に示した等価回路と同じである。
図13は、本実施形態によるバルントランス500を搭載するためのプリント基板上における配線パターンを示す図である。
図13に示すプリント基板上の搭載領域550は、バルントランス500を搭載するための領域であり、4つのランドパターン551〜554が設けられている。ランドパターン551は不平衡伝送線路PLに接続されるパターンであり、バルントランス500の端子電極541に接続される。ランドパターン552はグランド配線GNDLに接続されるパターンであり、バルントランス500の端子電極542,545,546に接続される。これにより、端子電極542,545は2次巻線のセンタータップを構成する。ランドパターン553,554は一対の平衡伝送線路STL,SBLに接続されるパターンであり、それぞれバルントランス500の端子電極543及び端子電極544に接続される。
本実施形態によるバルントランス500は方向性が無く、このため、巻芯部511の両端に設けられた一対の鍔部512,513の位置を入れ替えても同じ結線状態が得られる。すなわち、実装時においてバルントランス500を180°回転させても正しく動作する。180°回転させた場合においてランドパターン551〜554に接続される端子電極の符号は、図13においてカッコ書きで示されている。このように、本実施形態によるバルントランス500は方向性を持たないことから、実装方向を制御する必要がなく、実装コストを低減することが可能となる。
しかも、本実施形態によるバルントランス500は、バイファイラ巻きされたワイヤ532,533が互いに交差する箇所(ワイヤ532と533の位置を入れ替える箇所)を持たない。このため、ワイヤの巻回作業においてワイヤ532,533を交差させる動作が不要となることから、複雑な巻回機を用いることなく作製することが可能となる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
例えば、上記各実施形態においては、2次巻線を構成する2つのワイヤがバイファイラ巻きされているが、互いに沿った状態で巻回されている限り、バイファイラ巻きに限定されるものではない。したがって、図14に示すように、2つのワイヤ11,12がツイストされてなるツイストワイヤ10を用い、このようなツイストワイヤ10を巻芯部に巻回することにより2次巻線として利用しても構わない。
また、上記各実施形態では、1次巻線と2次巻線の巻数比が1:2である場合を例に説明したが、巻数比が1:1以外ある限り、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、2:1のように1次巻線が2次巻線よりも巻回数が多くても構わないし、1:3のように奇数倍であっても構わないし、1:√2のように整数比でなくても構わない。
さらに、上記各実施形態では、1次巻線及び2次巻線の巻回数をそれぞれN1(=8)、N2(=16)とし、1次巻線及び2次巻線のワイヤ径をそれぞれW1、W2とした場合、W1/W2=N2/N1(=2)に設定することによって、1次巻線の巻幅D1と2次巻線の巻幅D2をほぼ等しくしているが、本発明において巻幅D1,D2を完全に一致させることは必須でない。したがって、例えばW1/W2=1.5に設定することによって、正しく積層されない1次巻線又は2次巻線が一部発生するケースも許容される。この場合であっても、図17に示したようにW1/W2=1に設定した場合と比べれば、正しく積層されない1次巻線又は2次巻線の数を減らすことが可能となる。
本発明の第1の実施形態によるバルントランス100の外観を示す略斜視図である。 バルントランス100の略断面図である。 バルントランス100を実装面側から見た略底面図である。 ワイヤ131〜133と端子電極141〜146との接続関係を説明するための模式図である。 バルントランス100の等価回路図である。 比較例のバルントランスの略断面図である。 バルントランス100を搭載するためのプリント基板上における配線パターンを示す図である。 本発明の第2の実施形態によるバルントランス200の主要部を示す模式的な部分断面図である。 ワイヤ132,133を谷線部分Vに沿って巻回した例を示す模式的な部分断面図である。 本発明の第3の実施形態によるバルントランス300の主要部を示す模式的な部分断面図である。 本発明の第4の実施形態によるバルントランス400の略断面図である。 本発明の第5の実施形態によるバルントランス500におけるワイヤと端子電極との接続関係を説明するための模式図である。 バルントランス500を搭載するためのプリント基板上における配線パターンを示す図である。 2次巻線として利用可能なツイストワイヤ10を示す図である。 1個のコモンモードフィルタを用いてバルントランスを構成した例を示す回路図である。 2個のコモンモードフィルタを用いてバルントランスを構成した例を示す回路図である。 巻数比が1:2である従来のバルントランスにおける問題を説明するための模式的な部分断面図である。
符号の説明
100,200,300,400,500 バルントランス
110 ドラム型コア
111,511 巻芯部
112,512 一方の鍔部
113,513 他方の鍔部
120 板状コア
131〜133,531〜533 ワイヤ
131a〜133a,531a〜533a ワイヤの一端
131b〜133b,531b〜533b ワイヤの他端
141〜146,541〜546 端子電極
150,550 搭載領域
151〜154,551〜554 ランドパターン
201 平坦化部材
301 平坦化フィルム
L1,L11,L12 1次巻線
L21,L22 2次巻線
CT センタータップ
D1,D2 巻幅
GND グランド端子
GNDL グランド配線
P 1次側端子
PL 不平衡伝送線路
SB 2次側負極端子
ST 2次側正極端子
STL,SBL 平衡伝送線路
V 谷線部分

Claims (5)

  1. 巻芯部及び前記巻芯部の両端に設けられた一対の鍔部を有するドラム型コアと、前記鍔部に設けられた複数の端子電極と、前記巻芯部に巻回され両端が前記端子電極に接続された1次巻線と、前記巻芯部に巻回され両端及びセンタータップが前記端子電極に接続された2次巻線とを備え、
    前記2次巻線は、一端から前記センタータップまでの第1のワイヤと、他端から前記センタータップまでの第2のワイヤとを含み、
    前記第1のワイヤと前記第2のワイヤは、互いに沿った状態で前記巻芯部に巻回されており、
    前記1次巻線及び前記2次巻線の一方が内周側に巻回され、他方が外周側に巻回されており、
    前記1次巻線と前記2次巻線の巻回数が異なり、
    前記1次巻線及び前記2次巻線のうち、巻回数の多い側のワイヤ径が巻回数の少ない側のワイヤ径よりも小さいことを特徴とするバルントランス。
  2. 前記1次巻線の巻幅と前記2次巻線の巻幅がほぼ等しいことを特徴とする請求項1に記載のバルントランス。
  3. 前記内周側に巻回された前記1次巻線又は前記2次巻線によって形成される谷線部分に平坦化部材が充填されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のバルントランス。
  4. 前記1次巻線と前記2次巻線との間に平坦化フィルムが介在していることを特徴とする請求項1又は2に記載のバルントランス。
  5. 前記1次巻線及び前記2次巻線のうち、巻回数の多い側が前記内周側に巻回されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のバルントランス。
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