以下、本発明の画像形成装置に係る好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本発明の画像形成装置は、以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、適宜変更可能である。
[第1の実施形態]
まず、本実施形態の画像形成装置1について、図1及び図2を参照しながら具体的に説明する。図1に画像形成装置1の構成図を示し、図2に画像形成装置1内に設けられた濃度センサユニット60の模式図を示す。また、画像形成装置1はカラーのタンデム方式によるプリンタである。なお、画像形成装置1は、ブラック色、イエロー色、マゼンタ色、及びシアン色の各色に対応する画像情報に基づき記録媒体5に画像を印刷する。
画像形成装置1は、用紙カセット11から記録媒体5を取り出し転写部30内に設けられた転写ベルト31に記録媒体5を静電吸着させる給紙部10、図示せぬ上位装置からの画像情報に基づきトナー画像を形成する現像器20、現像器20で形成されたトナー画像を記録媒体5又は転写ベルト31に転写する転写部30、転写部30で記録媒体5に転写されたトナー画像を溶解及び加圧して定着させる定着部40、定着部40から排出された記録媒体5を印刷面が裏面になるように排紙トレイ56に排出する排出部50、及び転写部30の転写ベルト31に転写されたトナー画像の濃度を計測する濃度センサユニット60から構成される。また、用紙搬送経路3は、給紙部10、現像器20、転写部30、定着部40、及び排出部50内において記録媒体5が搬送される略S字状の経路である。以下、用紙搬送経路3に配設された各構成部材、及び濃度センサユニット60について図1を参照しながら具体的に説明する。
給紙部10は、用紙カセット11から記録媒体5を取り出し転写部30内に設けられた転写ベルト31に記録媒体5を静電吸着させる。また、給紙部10は、用紙カセット11、ホッピングローラ12、プレッシャローラ13、及びレジストローラ14から構成される。以下、給紙部10を構成する各構成部材について具体的に説明する。用紙カセット11は、複数枚の記録媒体5を積層して収納しておき、印刷動作が開始されると記録媒体5を画像形成装置1内に供給する。なお、用紙カセット11は、画像形成装置1から脱着可能なように構成されている。なお、記録媒体5は、モノクロ又はカラーの画像情報を印刷させるための所定寸法の記録用紙であり、一般的には、普通紙、再生紙、光沢紙、上質紙、プラスチックシート、及びOHPフィルム等からなる。また、ホッピングローラ12は、用紙カセット11に収納した記録媒体5に対して圧接した状態で回転することにより、記録媒体5を用紙カセット11から1枚ずつ分離して取り出して、プレッシャローラ13及びレジストローラ14に搬送する。また、プレッシャローラ13及びレジストローラ14は、ホッピングローラ12から搬送されてきた記録媒体5を挟むように対向して配設され、レジストローラ14で加圧したプレッシャローラ13を回転させることで、記録媒体5の波打ち及び斜行に係る補正を行いながら、転写部30内に設けられた転写ベルト31に記録媒体5を搬送して静電吸着させる。
現像器20は、現像部であり、図示せぬ上位装置からのブラック色、イエロー色、マゼンタ色、及びシアン色の各色に対応する画像情報に基づいてトナー画像を形成する。また、ブラック色、イエロー色、マゼンタ色、及びシアン色の各色にそれぞれ対応する現像器20K、現像器20Y、現像器20M、及び現像器20Cは、画像形成装置1内において記録媒体5の搬送方向の順にそれぞれ配設されている。ここで、現像器20K、現像器20Y、現像器20M、及び現像器20Cは、互いに略同一の構成であるため、現像器20と称す。なお、この様な現像器20の説明は、一例としてブラック色に対応する現像器20Kを用いて行う。現像器20Kは、画像情報に基づく静電潜像を担持する感光体ドラム21Kと、感光体ドラム21Kの表面に電荷を蓄えさせる帯電ローラ22Kと、画像情報に対応した光を感光体ドラム21Kの表面に照射する画像形成装置1本体に設けられたLEDヘッド23Kと、現像剤であるトナー24Kを貯蔵するトナーカートリッジ25Kと、トナー24Kを現像ローラ27Kに供給するトナー供給ローラ26Kと、感光体ドラム21Kの表面に形成された静電潜像をトナー24Kにより現像する現像ローラ27Kと、現像ローラ27Kに担持されたトナー24Kの厚みが均一となるように規制する現像ブレード28Kと、感光体ドラム21Kに残留したトナー24Kを掻き落とすクリーニングブレード29Kから構成される。また、現像器20Kは画像形成装置1に対して着脱可能に配設されている。以下、現像器20Kを構成する各構成部材について具体的に説明する。
現像器20K内の感光体ドラム21Kは、現像剤像が形成される像担持体であり、画像情報に基づく静電潜像を担持するために表面に電荷を蓄えることが可能なように構成されている。なお、感光体ドラム21Kは、円筒形状部から成り、回転可能なように設けられている。この様な感光体ドラム21Kは、アルミニウム等から成る導電性基層に光導電層と電荷輸送層からなる感光層を形成している。また、帯電ローラ22Kは、図示せぬ電源を用いて感光体ドラム21Kの表面に所定の正電圧又は負電圧を印加することにより、感光体ドラム21Kの表面に対して一様に電荷を蓄えさせるためのものである。帯電ローラ22Kは、一定の圧力で感光体ドラム21Kの表面に接触しながら回転可能なように設けられている。この様な帯電ローラ22Kは、導電性の金属シャフトにシリコーン等の半導電性ゴムを被覆することで構成されている。また、LEDヘッド23Kは、画像情報に対応した光を感光体ドラム21Kの表面に照射して感光ドラム11の表面に静電潜像を形成することが可能なように構成されており、感光体ドラム21Kの上方に位置するように画像形成装置1本体に設けられる。この様なLEDヘッド23Kは、複数のLED素子、レンズアレイ、及びLED駆動素子を組み合わせたものから構成されている。また、トナー24Kは、ポリエステル樹脂、着色剤、帯電制御剤、及び離型剤から成る。なお、トナー24Kの帯電特性を上げるために、疎水性シリカである外添剤を添付している。また、トナーカートリッジ25Kは、トナー24Kを貯蔵する収容器であり、トナー供給ローラ26Kの上方に装着される。なお、トナーカートリッジ25Kは、例えば側面部が略円形状で記録媒体5の搬送方向と垂直方向に長い矩形状部から形成される。また、トナーカートリッジ25Kは、印刷動作によりトナー24Kが消耗した時に交換するために着脱自在に構成されている。
現像器20K内のトナー供給ローラ26Kは、回転しながら現像ローラ27Kに当接することで、現像ローラ27Kにトナー24Kを供給できるように設けられている。この様なトナー供給ローラ26Kは、例えば導電性を有する金属シャフトに発泡剤が添加されたゴムを被覆することで構成されている。また、現像ローラ27Kは、一定の圧力で感光体ドラム21Kの表面に接触しながら回転可能なように構成されている。現像ローラ27Kは、回転しながらトナー24Kを感光体ドラム21Kに搬送し、感光体ドラム21Kの表面に形成された静電潜像をトナー24Kによって現像する。この様な現像ローラ27Kは、円筒形状部から成り、導電性を有する金属シャフトに半導電ウレタンゴム材等を被覆することで構成されている。また、現像ブレード28Kは、その先端部が現像ローラ27Kの表面に当接するように設けられ、トナー供給ローラ26Kから現像ローラ27Kの表面に供給された内、一定量を越えたトナー24Kを掻き取ることで、現像ローラ27Kの表面に形成されるトナー24Kの厚みを常に均一となるように規制する。この様な現像ブレード28Kは、ステンレス等の板状弾性部材で形成されている。また、クリーニングブレード29Kは、ゴム材等から成る板状部から形成され、感光体ドラム21K上に形成されたトナー画像を記録媒体5に転写した後に感光体ドラム21Kに残留したトナー24Kを掻き落とすために、クリーニングブレード29Kの先端部を感光体ドラム21Kの表面に当接させるように配設する。
転写部30は、現像器20で形成されたトナー画像を記録媒体5又は転写部材である転写ベルト31に転写する。また、転写部30は、転写ベルト31、転写ベルト駆動ローラ32、転写ベルト従動ローラ33、転写ローラ34、転写ベルトクリーニングブレード35、及び廃トナーボックス36から構成される。以下、転写部30を構成する各構成部材について具体的に説明する。転写ベルト駆動ローラ32及び転写ベルト従動ローラ33は、無端状に形成された転写ベルト31の両端に設けられ、転写ベルト31に一定の張力を与えている。なお、転写ベルト駆動ローラ32及び転写ベルト従動ローラ33は、高摩擦抵抗から成る部材で形成され、転写ベルト駆動ローラ32及び転写ベルト従動ローラ33を図示せぬ駆動系によって回転させると、転写ベルト31が従動して駆動する。また、転写ベルト31は、転写部材であり、記録媒体5を現像器20に搬送して画像情報を転写するための搬送手段であり、転写ベルト31の周面上に記録媒体5を静電吸着できるようにした無端状のベルトである。
転写部30内の転写ローラ34Kは、感光体ドラム21Kの下方に位置し、転写ローラ34Kと感光体ドラム21Kにより記録媒体5を挟むように当接した状態で回転可能に設けられている。この様な転写ローラ34Kには、トナー24Kの帯電とは逆極性のバイアス電圧が供給され、感光体ドラム21Kの表面に形成されたトナー画像を記録媒体5又は転写ベルト31に転写する。また、転写ベルトクリーニングブレード35は、弾性部材から成る板状部から形成され、転写ベルト31に転写された後述するパッチパターン、転写ベルト31の表面に付着したトナー24K、及び紙粉などの付着物を掻き落とすために、転写ベルトクリーニングブレード35の先端部を転写ベルト31の表面に対して一定の圧力を付加した状態で当接させている。また、廃トナーボックス36は、転写ベルトクリーニングブレード35で払い落としたトナー24Kや紙粉などの付着物を回収するための容器であり、転写ベルトクリーニングブレード35に近接し、且つ、転写ベルト31の下部に設けられる。
定着部40は、転写部30で記録媒体5に転写されたトナー画像を溶解及び加圧して定着させる。また、定着部40は、定着ローラ41及び加圧ローラ42から構成される。以下、定着部40を構成する各構成部材について具体的に説明する。定着ローラ41と加圧ローラ42は、転写ベルト31により搬送されてきた記録媒体5を挟むように対向して配設され、記録媒体5に転写されたトナー画像を定着させる。具体的には、定着ローラ41及び加圧ローラ42は表面が弾性体で円筒形状部から形成され、円筒形状部の内部にそれぞれハロゲンランプ等のヒータが配設されている。このような定着ローラ41及び加圧ローラ42は記録媒体5上に弱い静電気力だけで付着しているトナー画像を溶解した上で、加圧ローラ42の加圧力によりトナー画像を記録媒体5に定着させる。なお、加圧ローラ42は、定着ローラ41の回転に付勢されることで従動する。
排出部50は、定着部40から排出された記録媒体5を印刷面が裏面になるように排紙トレイ56に排出する。また、排出部50は、搬送ローラ51、搬送コロ52、用紙ガイド53、排出ローラ54、排出コロ55、及び排紙トレイ56から構成される。以下、排出部50を構成する各構成部材について具体的に説明する。搬送ローラ51及び搬送コロ52は、定着ユニット40から搬送されてきた記録媒体5を挟むように対向して配設され、搬送ローラ51の回転に付勢させて搬送コロ52を従動させることで、記録媒体5を排出ローラ54及び排出コロ55に搬送する。また、排出ローラ54及び排出コロ55は、搬送ローラ51及び搬送コロ52から用紙ガイド53を経て搬送されてきた記録媒体5を挟むように対向して配設され、排出ローラ54の回転に付勢させて排出コロ55を従動させることで、記録媒体5を排紙トレイ56に排出する。なお、用紙ガイド53は、記録媒体5が搬送ローラ51及び搬送コロ52から排出ローラ54及び排出コロ55に導入されるように設けられたガイド板であり、例えば弓状に湾曲させたアルミ板から形成される。また、排紙トレイ56は、画像情報を印刷して排出された記録媒体5を印刷面が裏面になるように積載して収容する収納スペースである。
濃度センサユニット60は、検出部であり、転写部30の転写ベルト31に転写されたトナー画像の濃度を計測し、当該濃度値に基づいて現像器20で形成されるトナー画像に係るトナー量が補正される。この様な濃度センサユニット60は、廃トナーボックス36と隣接し、且つ、転写ベルト31の下方に配設される。具体的には、転写ベルト31表面から濃度センサユニット60上面までの距離は、例えば距離L1=6.0mmである。また、濃度センサユニット60は、発光素子70、受光素子71、及び受光素子72から構成される。以下、濃度センサユニット60を構成する各構成部材について具体的に説明する。発光素子70は、例えば発光ダイオードである赤外線LEDであり、転写ベルト31に対して測定光である赤外線を照射する。なお、発光素子70は、図2中に示すように、転写ベルト31の法線方向に対して時計回りに角度θをなすように配設される。
濃度センサユニット60内に設けられた受光素子71は、例えばフォトトランジスタであり、発光素子70から転写ベルト31に照射された赤外線の正反射光を受光する。なお、受光素子71は、図2中に示すように、転写ベルト31の法線方向に対して反時計回りに角度θをなすように配設される。具体的には、受光素子71は、転写ベルト31上に転写されたブラック色のトナー24Kからの正反射光を受光する。また、受光素子72は、例えばフォトトランジスタであり、発光素子70から転写ベルト31上のトナー24に照射された赤外線により全方位に発生した拡散反射光の一部を受光する。なお、受光素子72は、図2中に示すように、発光素子70の左側に配設される。具体的には、受光素子72は、転写ベルト31上に転写されたイエロー色、マゼンタ色、又はシアン色のトナー24からの拡散反射光を受光する。
次に、画像形成装置1内に設けられた濃度センサユニット60の電気回路に係る構成について、図3及び図4を参照しながら具体的に説明する。図3に濃度センサユニット60及び濃度センサユニット60に接続した部分の制御部100に係る電気回路を示す。また、図4に4色のパッチパターンの検出電圧値に対する画像濃度値の模式図を示す。
濃度センサユニット60内に設けられた発光素子70のアノード側は、電源である5Vに接続される。受光素子71にて、発光素子70から転写ベルト31に照射された赤外線の正反射光を受光すると、コレクターエミッタ間に電流が流れる。また、接地された抵抗81に流れる電流により受光素子71のエミッタ電位を上昇させる。当該上昇したエミッタ電位は、抵抗89を経て、オペアンプ92、抵抗91、及び可変抵抗90から成る非反転増幅回路により増幅される。なお、オペアンプ(Operational amplifier)は、演算回路である。また、当該増幅された電位は、マイクロコントローラ93内に設けられたADCII95に入力される。なお、ADC(Analog to Digital Converter)は、アナログ-デジタル変換回路である。当該ADCの仕様は、10bit/5Vである。
濃度センサユニット60内に設けられた受光素子72にて、発光素子70から転写ベルト31上のトナー画像に照射された赤外線により全方位に発生した拡散反射光の一部を受光すると、コレクターエミッタ間に電流が流れる。また、接地された抵抗80に流れる電流により受光素子72のエミッタ電位を上昇させる。当該上昇したエミッタ電位は、抵抗85を経て、オペアンプ88、抵抗87、及び可変抵抗86から成る非反転増幅回路により増幅される。また、当該増幅された電位は、マイクロコントローラ93内に設けられたADCI94に入力される。また、DAC96は所定の電圧をパルス状に出力する。なお、DAC(Digital to Analog Converter)は、デジタル-アナログ変換回路である。当該出力値により、オペアンプ82、抵抗84、及び電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor)であるFET83から成る定電流回路を駆動制御し、発光素子70を任意の照射光量によりパルス点灯する。なお、DAC96の出力が2.0Vの時に、発光素子70に対して20mAの駆動電流が印加されるように、抵抗84には100Ωが選択される。当該DAC96の仕様は、10bit/5Vである。
この様な濃度センサユニット60においては、発光素子70が、駆動電流20mA、発光周期20msec(50Hzに相当)、及びデューティ20%(4msecに相当)の条件で点灯した場合における、受光素子71及び受光素子72に係るセンサ出力が予め調整されている。具体的には、受光素子71については、図示せぬガラス板を、転写ベルト31と同一の位置になるように設置した後に、可変抵抗90を調整してセンサ出力が4.20Vとなるように調整する。なお、当該ガラス板の表面反射率は、転写ベルト31の表面反射率と同等である。同様に、受光素子72については、図示せぬ拡散反射板を、転写ベルト31と同一の位置になるように設置した後に、可変抵抗86を調整してセンサ出力が2.30Vとなるように調整する。なお、当該拡散反射板の表面反射率は、赤外線領域で30%であり、転写ベルト31に転写されたカラー色のトナーに係る拡散反射率と同等である。上述した調整により、センサ出力は、図4で示す電圧特性となるように調整される。なお、調整作業は、濃度センサユニット60を画像形成装置1から取り外した状態で、調整治具等を用いて行う。
次に、画像形成装置1内に設けられた濃度センサユニット60に係る制御について、図5を参照しながら具体的に説明する。図5に濃度センサユニット60に関連した画像形成装置1の構成を示すブロック図を示す。
制御部100は、図示せぬマイクロプロセッサ、メモリ、入出力ポート、及びタイマ等から構成される。当該制御部100は、画像形成装置1の各構成部材に対して指令を出すことにより、画像情報を記録媒体5に印刷する一連のプロセスを制御する。この様な制御部100は、濃度センサユニット60に関連するものとして、シアン色に対応したLEDヘッド23C、シアン現像バイアス設定部101、マゼンタ色に対応したLEDヘッド23M、マゼンタ現像バイアス設定部102、イエロー色に対応したLEDヘッド23Y、イエロー現像バイアス設定部103、ブラック色に対応したLEDヘッド23K、ブラック現像バイアス設定部104、図1を参照しながら前述した転写ベルト31、及び図1及び図2を参照しながら前述した濃度センサユニット60と接続している。
制御部100内のシアン現像バイアス設定部101は、シアン色の画像情報に対応した現像器20Cを構成する各構成部材に対して印加するデバイス値を設定する。同様に、マゼンタ現像バイアス設定部102、イエロー現像バイアス設定部103、及びブラック現像バイアス設定部104は、それぞれマゼンタ色、イエロー色、及びブラック色の画像情報に対応した現像器20M、現像器20Y、及び現像器20Kを構成する各構成部材に対して印加するデバイス値を設定する。また、制御部100は、各色に対応した現像バイアス設定部に対して所定のタイミングで指令を出すことにより、各色に対応した現像器により各色のトナー画像を形成して、転写ベルト31上に濃度検出用のパッチパターンを形成する。濃度センサユニット60は、当該パッチパターンの濃度を検出する。制御部100は、当該検出された濃度値に基づいて、各現像バイアス設定部に指令を出すことにより、各バイアス値を変更して、記録媒体5に転写する画像形成条件を更新する。
次に、転写ベルト31上に形成される濃度検出用のパッチパターンについて、図6を参照しながら具体的に説明する。図6に転写ベルト31上に形成された各色のトナー濃度検出用のパッチパターンに係る模式図を示す。
濃度検出用のパッチパターンは、トナー濃度が例えば100%になるような高濃度の特定形状から形成されるテスト画像である。また、ブラック色、イエロー色、マゼンタ色、及びシアン色の各色にそれぞれ対応する現像器20K、現像器20Y、現像器20M、及び現像器20Cは、画像形成装置1内において記録媒体5の搬送方向の順にそれぞれ配設されている。したがって、パッチパターンは、ブラック色に対応したブラック色パッチパターン113、イエロー色に対応したイエロー色パッチパターン112、マゼンタ色に対応したマゼンタ色パッチパターン111、及びシアン色に対応したシアン色パッチパターン110の順に、転写ベルト31上に連続して転写される。また、各色に対応したパッチパターンの形状は、主走査方向に対する幅が例えばL2=10mm、及び副走査方向に対する長さが例えばL3=12mmから成る長方形状である。なお、パッチパターン形成時の転写ベルト31の駆動スピードは、例えば150mm/secである。
次に、画像形成装置1に係る画像濃度補正の動作について、図7及び図4を参照しながら具体的に説明する。図7に画像形成装置1の画像濃度補正に係る動作のフローチャートを示す。また、図4に4色のパッチパターンの検出電圧値に対する画像濃度値の模式図を示す。
ユーザが画像形成装置1の電源を投入すると、画像形成装置1の初期化が行われることにより、画像濃度補正に係るシーケンスが開始される(S1)。次に手順2に進むと、制御部100の指令に基づいて、シアン現像バイアス設定部101、マゼンタ現像バイアス設定部102、イエロー現像バイアス設定部103、及びブラック現像バイアス設定部104の現像バイアス値を初期値に設定する(S2)。次に手順3に進むと、制御部100の指令に基づいて、制御部100内に設けられた図示せぬパッチパターン生成回数のカウンタを0に初期化する(S3)。次に手順4に進むと、制御部100の指令に基づいて、転写ベルト31にパッチパターンを印刷する。具体的には、ブラック色に対応したLEDヘッド23K、イエロー色に対応したLEDヘッド23Y、マゼンタに対応したLEDヘッド23M、及びシアン色に対応したLEDヘッド23Cを所定のタイミングで順に駆動することにより、現像器20K、現像器20Y、現像器20M、及び現像器20Cにそれぞれ配設された感光体ドラム21K、感光体ドラム21Y、感光体ドラム21M、及び感光体ドラム21C上に静電潜像が形成された後、転写ベルト31上にそれぞれパッチパターン像が現像される。感光体ドラム21K、感光体ドラム21Y、感光体ドラム21M、及び感光体ドラム21C上にそれぞれ現像されたパッチパターン像は、転写ローラ34K、転写ローラ34Y、転写ローラ34M、及び転写ローラ34Cに印加されたバイアスにより、図6に示すように、転写ベルト31上へ順に転写される。(S4)
手順5に進むと、制御部100の指令に基づいて、制御部100内に設けられた図示せぬパッチパターン生成回数のカウンタをインクリメントして1に設定する(S5)。次に手順6に進むと、制御部100の指令に基づいて、濃度センサユニット60により転写ベルト31上のパッチパターンの画像濃度を検出する。具体的には転写ベルト31が駆動することにより、転写ベルト31上に転写されたブラック色パッチパターン113、イエロー色パッチパターン112、マゼンタ色パッチパターン111、及びシアン色パッチパターン110は、濃度センサユニット60と対向する位置に順に走査される。発光素子70から転写ベルト31に対して照射された赤外線により、ブラック色パッチパターン113からの正反射光が受光素子71で検出される。また、イエロー色パッチパターン112、マゼンタ色パッチパターン111、及びシアン色パッチパターン110からの拡散反射光が受光素子72で検出される。なお、濃度センサユニット60における画像濃度の検出に係る詳細は後述する。また、受光素子71により検出されたブラック色パッチパターン113の正反射光に係る検出電圧値は、ADCII95を経て制御部100内に設けられた図示せぬメモリに記憶される。同様に、受光素子72により検出されたイエロー色パッチパターン112、マゼンタ色パッチパターン111、及びシアン色パッチパターン110の拡散反射光に係る検出電圧値は、それぞれADCI94を経て制御部100内に設けられた図示せぬメモリに記憶される(S6)。
手順7に進むと、制御部100の指令に基づいて、ブラック色、イエロー色、マゼンタ色、及びシアン色の4色のパッチパターンに対応する各検出電圧値と、制御部100内に設けられた図示せぬ例えば不揮発性メモリに格納されたブラック色、イエロー色、マゼンタ色、及びシアン色の4色に係る基準電圧値が比較される。当該基準電圧値は、転写ベルト31に転写されたブラック色、イエロー色、マゼンタ色、及びシアン色の4色のパッチパターンの画像濃度がそれぞれ予め決められた画像濃度である場合に、濃度センサユニット60により検出される基準の電圧値である。また、図4に濃度センサユニット60におけるブラック色、イエロー色、マゼンタ色、及びシアン色の4色のパッチパターンの検出電圧値に対する画像濃度値の模式図を示す。基準となる濃度値は4色ともに1.4であり、当該基準濃度値における濃度センサユニット60での検出基準電圧値は、ブラック色が0.30V、イエロー色が3.00V、マゼンタ色が3.40V、及びシアン色が3.00Vである。次に手順8に進むと、制御部100の指令に基づいて、基準電圧値と検出電圧値との差分が、ブラック色については±0.025V以内、且つ、イエロー色、マゼンタ色、及びシアン色については±0.05V以内であるかを判定し、差分が上記の範囲内である場合(Yes)には手順11に進み、差分が上記の範囲を超えている場合(No)には手順9に進む(S8)。
手順9に進むと、制御部100の指令に基づいて、基準濃度値におけるブラック色0.30V、イエロー色3.00V、マゼンタ色3.40V、及びシアン色3.00Vの基準電圧値と、手順6で検出された検出電圧値との差分を求める。当該差分に基づき、予め実験等により求められている現像バイアス値に対する検出電圧値の関係式により、現像バイアス設定値を変更する。具体的に、シアン色を一例として説明する。シアン色のパッチパターンに係る検出電圧値が3.20Vである場合、シアン色のパッチパターンに係る基準電圧値である3.00Vに補正する。なお、シアン色のパッチパターンに係る検出電圧値0.10V当たりの現像バイアス設定値の変化量は−25Vである。したがって、検出電圧値3.20Vを基準電圧値3.00Vで引くと0.20Vであり、当該0.20Vの差分値を0.10Vで除した後に、変化量である−25Vを掛けると50Vとなる。当該50Vが現像バイアス補正値となる。すなわち、制御部100は、シアン現像バイアス設定部101の設定において現在の設定バイアス値に50V加算する。なお、現像バイアス値は負の値であることから、50V加算することにより現像バイアス値の絶対値が小さくなることで、画像濃度が低下し、当該画像濃度の値は基準濃度値である1.4に近似する。(S9)。
手順10に進むと、制御部100の指令に基づいて、制御部100内に設けられた図示せぬパッチパターン生成回数のカウンタ値が4以上か否かを判定し、カウンタ値が4以上の場合(Yes)には手順11に進み、カウンタ値が4未満の場合(No)には手順4に戻る。したがって、手順8から手順9に進んだ場合、手順4から手順9のプロセスを最大3回繰り返す(S10)。手順11に進むと、制御部100の指令に基づいて、画像濃度補正に係るシーケンスが終了する(S11)。上述した様に、制御部100の制御に基づいて、濃度センサユニット60で検出されたパッチパターンの濃度値に応じて各現像バイアス値を補正することにより、画像形成装置1で印刷される画像の濃度が常に一定値になるように現像バイアス値が制御される。なお、濃度補正等の初期化処理が終了した後、図示せぬ上位装置からのブラック色、イエロー色、マゼンタ色、及びシアン色の各色に対応する画像情報に基づき、画像形成装置1での印刷が開始される。
次に、濃度センサユニット60内に設けられた受光素子71に係る駆動電流の調整について、図8を参照しながら具体的に説明する。図8に濃度センサユニット60内に設けられた受光素子71の駆動電流の調整に係る動作のフローチャートを示す。
画像形成装置1において、発光素子70から転写ベルト31に照射された赤外線の正反射光を受光する受光素子71は、前述したように、駆動電流が最適になるように予め調整されている。しかし、画像形成装置1を動作させることにより、転写ベルト31表面の反射率は変化する。また、転写ベルト31の個体差に起因して転写ベルト31の表面反射率には差異が有る。さらに、転写ベルト31に転写されたパッチパターンに係るトナー画像を、転写ベルトクリーニングブレード35で繰り返し掻き落とすことにより、転写ベルト31の表面反射率が変化する。また、連続印字時における記録媒体5間の隙間においては、感光体ドラム21と転写ベルト31が当接することにより転写ベルト31にトナー画像が転写されることがあり、転写ベルトクリーニングブレード35で繰り返し掻き落とすことにより、転写ベルト31の表面反射率が変化する。ここで、転写ベルト31の表面反射率が変化すると、転写ベルト31からの正反射光に基づいて検出するブラック色のパッチパターン像の検出精度が下がる。また、転写ベルト31の表面反射率が上昇するような場合には、発光素子70の駆動電流が20mAであることから、ADCII95で検出される電圧値がオペアンプ92の最大出力電圧である電圧値VOHに達してしまい、トナー無しのベルト検出電圧比では正確な濃度を検出できなくなる。このため、以下に述べるように、受光素子71の駆動電流の調整を行う。
画像形成装置1に配設された転写ベルト31の駆動が停止した状態において、受光素子71の駆動電流の調整に係るシーケンスが開始される(S21)。次に手順22に進むと、制御部100の指令に基づき、DAC96の出力設定が2.0V、10bit/5.0Vであるため、DAC96の設定値を0x199(409)とする(S22)。なお、0xはC及びC++等のプログラミング言語において16進数を表す。次に手順23に進むと、制御部100の指令に基づき、手順22で設定されたDAC96の設定値にて、駆動電流20mA、発光周期20msec、及びオン時間4msecの条件で発光素子70を点灯する。なお、当該点灯はダミー点灯であり、パルス点灯時の1パルス目のフォトトランジスタの出力が安定しないことから点灯させる(S23)。次に手順24に進むと、制御部100の指令に基づき、手順22で設定されたDAC96の設定値にて、発光素子70が点灯する(S24)。次に手順25に進むと、制御部100の指令に基づき、1636をDAC96の設定値で除した時間をオン時間に設定する。具体的には、手順22においてDAC96の設定値を0x199(409)と設定しているため、1636を409で除した時間である4.00msecをオン時間に設定する(S25)。
手順26に進むと、制御部100の指令に基づき、手順25で設定されたオン時間4.00msecから100μsecを引いた3.90msecのタイミングにおいて、正反射光を受光した受光素子71に係る出力電圧をADCII95で検出する(S26)。次に手順27に進むと、制御部100の指令に基づき、手順24にて点灯した発光素子70が、手順25で設定された4.00msec経過後に消灯する(S27)。次に手順28に進むと、制御部100の指令に基づき、手順26において検出したADCII95に係る検出値が基準電圧値である4.20に対して±0.02V以内であるか否かを判定し、±0.02V以内である場合(Yes)には手順35に進み、±0.02Vを超えている場合(No)には手順29に進む(S28)。次に手順28から手順29に進むと、制御部100の指令に基づき、ADCII95に係る検出値が4.22Vより高いか否かを判定し、4.22Vより高い場合(Yes)には手順30に進み、4.22V以下である場合(No)には手順31に進む(S29)。次に手順29から手順30に進むと、制御部100の指令に基づき、DAC96に係る設定値を0x001(4.88mVに相当)減算する。なお、初期値が0x199であるため0x198とする(S30)。
手順29から手順31に進むと、制御部100の指令に基づき、DAC96に係る設定値を0x001(4.88mVに相当)加算する。なお、初期値が0x199であるため0x19Aとする(S31)。次に手順30又は手順31から手順32に進むと、制御部100の指令に基づき、DAC96の設定値が0x0CDから0x226(1.0から3.0Vに相当)の範囲内であるか否かを判定し、範囲内である場合(Yes)には手順33に進み、範囲内でない場合(No)には手順34に進む(S32)。次に手順32から手順33に進むと、制御部100の指令に基づき、手順24にて点灯した発光素子70の点灯開始時間から20msec待機する(S33)。次に手順32から手順34に進むと、制御部100の指令に基づき、電流調整幅が予め定めた所定の範囲を逸脱するエラーが発生したとして、受光素子71の駆動電流の調整に係るシーケンスが終了される(S34)。なお、手順28から手順35に進むと、制御部100の指令に基づき、DAC96に係る設定値が制御部100内の図示せぬメモリに記憶され、以後の受光素子71の駆動電流の調整に係るシーケンスに使用される(S35)。次に手順34又は手順35から手順36に進むと、制御部100の指令に基づき、受光素子71の駆動電流の調整に係るシーケンスが終了される(S36)。
次に、画像形成装置1に係る画像濃度検出の動作について、図9及び図10を参照しながら具体的に説明する。図9及び図10に画像形成装置1の画像濃度検出に係る動作のフローチャートを分割して示す。
転写ベルト31が駆動することにより、転写ベルト31上に転写されたブラック色パッチパターン113、イエロー色パッチパターン112、マゼンタ色パッチパターン111、及びシアン色パッチパターン110が、濃度センサユニット60と対向する位置に順に走査され、画像形成装置1の画像濃度検出に係るシーケンスが開始される(S41)。次に手順42に進むと、制御部100の指令に基づいて、DAC96の出力設定値を0x199(2.0Vに相当)に設定する。なお、この時点ではDAC96に係る出力は0Vである(S42)。次に手順43に進むと、制御部100の指令に基づいて、制御部100内に設けられた図示せぬLED発光回数のカウンタを0に初期化する(S43)。次に手順44に進むと、制御部100の指令に基づき、1636をDAC96の設定値で除した時間をオン時間に設定する。具体的には、DAC96の設定値を0x199(409)と設定しているため、1636を409で除した時間である4.00msecを、発光素子70の点灯時間であるオン時間に設定する(S44)。次に手順45に進むと、制御部100の指令に基づき、手順44で設定されたオン時間4.00msecから100μsecを引いた3.90msecの値を、ADCI94又はADCII95における検出タイミングとする(S45)。
手順46に進むと、制御部100の指令に基づき、手順44で設定されたDAC96の設定値にて、発光素子70が点灯する(S46)。次に手順47に進むと、制御部100の指令に基づいて、手順43で設定した発光回数のカウンタが11以下か否かを判定し、カウンタ値が11以下の場合(Yes)には手順48に進み、カウンタ値が11を超えている場合(No)には手順49に進む(S47)。次に手順47から手順48に進むと、制御部100の指令に基づいて、手順45で設定したタイミングによりADCI94において拡散反射光に係るセンサ出力電圧値を検出する(S48)。次に手順47から手順49に進むと、制御部100の指令に基づいて、手順45で設定したタイミングによりADCII95で正反射光に係るセンサ出力電圧を検出する(S49)。次に手順50に進むと、制御部100の指令に基づき、手順46にて点灯した発光素子70が、手順44で設定されたオン時間が経過した後に、DAC96に係る出力値を0Vにして消灯する(S50)。次に手順51に進むと、制御部100の指令に基づき、手順43で設定した発光回数に係るカウンタの値を4で割り、商を変数αに代入し、且つ、剰余を変数βに代入する(S51)。
手順52に進むと、制御部100の指令に基づいて、変数βが0であるか否かを判定し、変数βが0の場合(Yes)には手順58に進み、変数βが0でない場合(No)には手順53に進む(S52)。次に手順52から手順53に進むと、制御部100の指令に基づいて、発光回数のカウンタが11以下か否かを判定し、カウンタ値が11以下の場合(Yes)には手順54に進み、カウンタ値が11を超えている場合(No)には手順55に進む(S53)。次に手順53から手順54に進むと、制御部100の指令に基づいて、制御部100内のメモリに設けられた配列変数AD(β)にADCI94での検出値を記憶する(S54)。次に手順53から手順55に進むと、制御部100の指令に基づいて、制御部100内のメモリに設けられた配列変数AD(β)にADCII95の検出値を記憶する(S55)。次に手順54又は手順55から手順56に進むと、制御部100の指令に基づいて、変数βが3であるか否かを判定し、変数βが3の場合(Yes)には手順57に進み、変数βが3でない場合(No)には手順58に進む(S56)。次に手順56から手順57に進むと、制御部100の指令に基づいて、制御部100内のメモリに設けられた配列変数DEN(α)に{AD(1)+AD(2)+AD(3)}/3で算出された値を記憶する。具体的には、手順54又は手順55において、配列変数ADに3回分のADCに係る検出値を記憶していることから、当該3回の平均値を各色のADCに係る検出結果として記憶する(S57)。
手順52、手順56、又は手順57から手順58に進むと、制御部100の指令に基づいて、発光回数のカウンタが11か否かを判定し、カウンタ値が11の場合(Yes)には手順59に進み、カウンタ値が11ではない場合(No)には手順60に進む(S58)。次に手順58から手順59に進むと、制御部100の指令に基づいて、DAC96に係る出力設定を正反射光の検出用に変更する。なお、これは図8を参照しながら前述した手順21乃至手順31で導出された結果を用いる。また、オン時間を設定されたDAC96の値に基づいて1636/(DAC設定値)msecで算出される値に設定する。さらに、ADCI94及びADCII95の検出タイミングとして、オン時間から100μsecを引いた値を設定する(S59)。次に手順58又は手順59から手順60に進むと、制御部100の指令に基づいて、発光回数のカウンタが15か否かを判定し、カウンタ値が15の場合(Yes)には手順63に進み、カウンタ値が15ではない場合(No)には手順61に進む(S60)。次に手順61に進むと、制御部100の指令に基づいて、発光回数のカウンタをインクリメントして1加算する(S61)。次に手順62に進むと、制御部100の指令に基づき、手順46にて点灯した発光素子70の点灯開始時間から20msec待機した後に、手順46に戻る(S62)。次に手順60から手順63に進むと、制御部100の指令に基づき、画像形成装置1に係る画像濃度検出に係るシーケンスが終了される(S63)。
次に、画像濃度検出に係る出力及び検出信号について、図11を参照しながら具体的に説明する。図11に画像濃度検出に係る出力及び検出信号のタイミングチャートを示す。
転写ベルト31が150mm/secの速度で駆動されることにより、転写ベルト31上に転写されたブラック色パッチパターン113、イエロー色パッチパターン112、マゼンタ色パッチパターン111、及びシアン色パッチパターン110が、濃度センサユニット60と対向する位置に順に走査される。ここで、濃度センサユニット60内に配設された発光素子70から、ブラック色、イエロー色、マゼンタ色、及びシアン色に対応した各パッチパターンに対して、LED光が照射される。具体的には、各パッチパターンの先端から後端に至る長さL3=12mmの領域にかけて、例えば、駆動電流20mA、発光周期T1=20msec、点灯回数4回の条件で、発光素子70からLED光が照射される。なお、発光素子70の発光周期を一例としてT1=20msecとしたが、当該20msecに限定されるものではない。また、各パッチパターンにおける、発光素子70の2回目から4回目のLED光の照射に同期して、受光素子71で正反射光に係るADCII95の検出が行われ、受光素子72で拡散反射光に係るADCI94の検出が行われる。なお、DAC96の出力は、発光素子70に係る電圧V1=2.0V、駆動電流20mA、発光時間T2=4msec、受光素子72に係るADCI94での検出タイミング3.9msecに依存する。なお、ブラック色のパッチパターン113に係るDAC96の出力は、図8を参照しながら前述したDAC96の設定が、例えば、電圧V2=1.5V、及び0x134の場合、発光素子70に係る駆動電流15mA、発光時間T3=5.3msec、受光素子71に係るADCI94での検出タイミング5.2msecに依存する。
次に、転写ベルト31の表面反射率の差異におけるブラック色のトナー24Kに係るセンサ検出電圧特性について、図12を参照しながら具体的に説明する。図12に転写ベルト31の表面反射率の差異におけるトナー24Kのトナー濃度に係るセンサ検出電圧特性を示す。
転写ベルト31にブラック色パッチパターン113として転写されたトナー24、転写ベルト31に付着したトナー24、及び紙粉などを転写ベルトクリーニングブレード35で掻き落とすために、転写ベルトクリーニングブレード35の先端部が、転写ベルト31の表面に対して一定の圧力を付加された状態で常に当接されている。ここで、転写ベルト31が駆動すると、転写ベルトクリーニングブレード35の先端部により転写ベルト31の表面がクリーニングされるとともに、表面反射率が上昇していく。図12中に実線で示した放物線は、発光素子70の駆動電流を20mAに設定した場合において、発光素子70から転写ベルト31にLED光が照射され、正反射した光を受光素子71により受光してトナー24Kの濃度を算出した濃度値である。同様に、図12中に破線で示した放物線は、発光素子70の駆動電流を12.5mAに設定し、且つ、転写ベルト31の表面反射率が標準値の1.6倍である場合において、発光素子70から転写ベルト31にLED光が照射され、正反射した光を受光素子71で受光してトナー24Kの濃度を算出した濃度値である。また、転写ベルト31上に転写されたトナー24の濃度が高いと、転写ベルト31における表面反射率が低下することにより、発光素子70から転写ベルト31に照射された光は大きく減衰して正反射し、当該正反射光が受光素子71により受光される。従って、転写ベルト31上に転写されたトナー24Kを検出する場合、トナー24Kがより高い密度で転写された高濃度領域においては、ADCII95における検出電圧が低くなる。
転写ベルト31における表面反射率が極めて小さい場合、転写ベルト31からの正反射光の光量は、発光素子70の照射光量に比例する。したがって、転写ベルト31の表面反射率が1.6倍になると、転写ベルト31に転写されたトナー24Kからの反射光量は相対的に1/1.6倍になる。例えば、図12中に示した濃度1.4の領域においては、転写ベルト31とトナー24Kからの正反射光が混在している状態であることから、駆動電流が20mA時に検出電圧値が0.30Vであるのに対し、駆動電流を12.5mAに下げると検出電圧値が0.25Vに下がる。なお、トナー24Kに係るトナー濃度の検出精度をより向上させるためには、例えば、表1に基づいて補正テーブル等を作成し、DAC96の設定値に応じて、受光素子71の出力をADCII95で検出した値に基づき補正する方法が有る。具体的には、例えば、駆動電流が12.5mAの場合には、DAC96の設定値は0.25Vとなり、且つ、ADCII95に係る補正値は0x0Aとなる。したがって、0.25Vを検出した場合には、0x0A=10であることから10×5×1023より補正値0.05Vを導出して当該0.05Vの補正値を0.25Vに加算して0.30Vとすることにより、検出電圧値を標準値に補正する。
次に、転写ベルト31での表面反射率に依存する受光素子71の立ち上がり応答特性について、図13を参照しながら具体的に説明する。図13に転写ベルト31での表面反射率に依存する受光素子71の立ち上がり応答特性を示す。
一定の駆動電流により発光する発光素子70から転写ベルト31に対してLED光が照射されることにより正反射した光を受光素子71で受光し、当該受光素子71を流れる電流はI-V変換される。ここで、オペアンプ92から出力される波形は、受光素子71における反射率に依存し、反射率が低く受光光量が少ない程、例えば立ち上がり時間T4と比較した場合、立ち上がり時間T5のように立ち上がりに要する時間が長くなる。また、転写ベルト31に転写されたトナー24Kが高濃度である場合には、転写ベルト31からの表面反射率が極めて小さくなるため、転写ベルト31からの正反射光の光量は、発光素子70の照射光量にほぼ比例する。さらに、発光素子70に係る照射光量は、発光素子70の駆動電流に比例し、且つ、低照度域における受光素子71の立ち上がり時間は、ほぼ発光素子70の照射光量に比例して遅くなる。しかし、本発明の実施形態に係る濃度センサユニット60においては、発光素子70の点灯時間を駆動電流比に基づいて変化させ、発光素子70の駆動電流が低くなる場合には、ADCII95の検出タイミングを遅らせるように補正する。従って、受光素子71での受光光量が少なく応答特性が十分ではないトナー濃度領域においても、精度良くトナー濃度を検出することが可能である。なお、従来の濃度検出においては、発光素子70の駆動電流に応じて受光素子71での検出タイミングを補正しないことから、受光素子71の出力が立ち上がる途中でADCII95に係る検出を行うことになるため、実際の受光量に比べて低く検出され、補正を過剰に繰り返していた。また、受光素子71の応答特性は、受光素子71間の個体差に起因してばらつきが有ることから、表1に示すような予め作成したテーブルに基づいて補正する場合には、個々の受光素子71毎に、それぞれ補正値を算出する必要がある。したがって、本発明の実施形態に係る濃度センサユニット60のように、照射光量と相関のある駆動電流値に基づき、発光素子70の点灯時間を可変させることが好ましい。
以上、第1の実施形態に係る画像形成装置1によれば、例えば赤外線LEDである発光素子70において、駆動電流と点灯時間の積が常に一定値になるように発光素子70の制御を行うことにより、例えばフォトトランジスタである受光素子71及び受光素子72において、応答特性に応じた検出制御が行える。したがって、特に、受光素子71での受光光量が少なく応答特性が十分ではないトナー濃度領域でも精度良くトナー濃度を検出することが可能である。さらに、発光素子70をパルス点灯することにより、従来は点灯後に必要であった光源を熱的に安定化させるまでの待機時間が不要となることから、画像形成装置1の電源投入時における装置の初期化時間を短縮できる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置2について説明する。なお、第2の実施形態においては、現像器130で形成されたトナー画像を中間転写ベルト141に転写した後に記録媒体5に2次転写する構成であることや、発光素子の点灯方法の制御が異なることに特徴を有し、それ以外の画像形成装置2に係る構成は、第1の実施形態で述べた画像形成装置1の構成と同様である。このため、第2の実施形態においては、第1の実施形態と異なる構成を中心にして具体的に説明する。
まず、本実施形態の画像形成装置2について、図14を参照しながら具体的に説明する。図14に画像形成装置2の構成図を示す。また、画像形成装置2はカラーのタンデム中間転写方式によるプリンタである。なお、画像形成装置2は、ブラック色、イエロー色、マゼンタ色、及びシアン色の各色に対応する画像情報に基づき記録媒体5に画像を印刷する。
画像形成装置2は、用紙カセット121から記録媒体5を取り出し中間転写部140内に設けられた中間転写ベルト141に記録媒体5を当接させる給紙部120、図示せぬ上位装置からの画像情報に基づきトナー画像を形成する現像器130、現像器130で形成されたトナー画像を中間転写ベルト141に転写した後に記録媒体5に2次転写する中間転写部140、中間転写部140で記録媒体5に転写されたトナー画像を溶解及び加圧して定着させる定着部150、定着部150から排出された記録媒体5を印刷面が裏面になるように排紙トレイ164に排出する排出部160、及び中間転写部140の中間転写ベルト141に転写された画像の濃度を計測する濃度センサユニット170から構成される。また、用紙搬送経路4は、給紙部120、中間転写部140、定着部150、及び排出部160内において記録媒体5が搬送される略弓状の経路である。ここで、第2の実施形態の画像形成装置2に係る現像器130、定着部150、及び排出部160は、第1の実施形態の画像形成装置1に係る現像器20、定着部40、及び排出部50と、それぞれ同様の構成である。また、第2の実施形態の画像形成装置2に係る給紙部120、及び中間転写部140は、第2の実施形態に特有の構成を有する。このため、以下、第2の実施形態に特有の構成を有する給紙部120、及び中間転写部140について図14を参照しながら具体的に説明する。
給紙部120は、用紙カセット121から記録媒体5を取り出し中間転写部140内に設けられた中間転写ベルト141に記録媒体5を当接させる。また、給紙部120は、用紙カセット121、ホッピングローラ122、プレッシャローラ123、レジストローラ124、及び2次転写ローラ125から構成される。ここで、用紙カセット121、ホッピングローラ122、プレッシャローラ123、及びレジストローラ124は、第1の実施形態の画像形成装置1に係る用紙カセット11、ホッピングローラ12、プレッシャローラ13、及びレジストローラ14とそれぞれ同様の構成である。このため、以下、第2の実施形態に特有の構成を有する2次転写ローラ125について具体的に説明する。2次転写ローラ125及び中間転写ベルト駆動ローラ142に付勢された中間転写ベルト141は、プレッシャローラ123及びレジストローラ124から搬送されてきた記録媒体5を挟むように対向して配設され、2次転写ローラ125と中間転写ベルト141のニップ部に記録媒体5を搬送することにより、中間転写ベルト141上に転写されたトナー画像を記録媒体5に2次転写する。
中間転写部140は、現像器130で形成されたトナー画像を中間転写ベルト141に転写した後に記録媒体5に2次転写する。また、中間転写部140は、中間転写ベルト141、中間転写ベルト駆動ローラ142、中間転写ベルト従動ローラ143、中間転写ローラ144、及びコロナ帯電器145から構成される。ここで、中間転写ベルト141、中間転写ベルト駆動ローラ142、中間転写ベルト従動ローラ143、中間転写ローラ144は、第1の実施形態の画像形成装置1に係る転写ベルト31、転写ベルト駆動ローラ32、転写ベルト従動ローラ33、及び転写ローラ34とそれぞれ同様の構成である。このため、以下、第2の実施形態に特有の構成を有するコロナ帯電器145について具体的に説明する。コロナ帯電器145は、例えば、定着部150及び現像器130Kの中間で、中間転写ベルト141の上方に配設される。コロナ帯電器145は、中間転写ベルト141上に転写されたブラック色、イエロー色、マゼンタ色、及びシアン色の各パッチパターン、又は2次転写後に中間転写ベルト141上の残留したトナー134を、現像時に付与された電荷と逆極性のバイアスを印加されることにより帯電させる。中間転写ベルト141上の逆極性に帯電されたトナー134は、現像器130内に配設された感光体ドラム131での転写時に逆転写されることにより、クリーニングブレード139で掻き落とされる。なお、この様な逆転写によるクリーニングは、次のパッチパターン生成の1次転写と同時に行っても良い。
次に、画像形成装置2内に設けられた濃度センサユニット170の電気回路に係る構成について、図15を参照しながら具体的に説明する。図15に濃度センサユニット170及び濃度センサユニット170に接続した部分の制御部100に係る電気回路を示す。
濃度センサユニット170内に設けられた発光素子70のアノード側は、電源である5Vに接続される。受光素子71にて、発光素子70から中間転写ベルト141に照射された赤外線の正反射光を受光すると、コレクターエミッタ間に電流が流れる。また、接地された可変抵抗181に流れる電流により受光素子71のエミッタ電位を上昇させる。当該上昇したエミッタ電位は、抵抗89を経て、オペアンプ92、抵抗91、及び抵抗183から成る非反転増幅回路により増幅される。また、当該増幅された電位は、マイクロコントローラ93内に設けられたADCII95に入力される。また、濃度センサユニット170内に設けられた受光素子72にて、発光素子70から中間転写ベルト141上のトナー画像に照射された赤外線により全方位に発生した拡散反射光の一部を受光すると、コレクターエミッタ間に電流が流れる。また、接地された可変抵抗180に流れる電流により受光素子72のエミッタ電位を上昇させる。当該上昇したエミッタ電位は、抵抗85を経て、オペアンプ88、抵抗87、及び抵抗182から成る非反転増幅回路により増幅される。また、当該増幅された電位は、マイクロコントローラ93内に設けられたADCI94に入力される。また、DAC96は所定の電圧をパルス状に出力する。当該出力値により、オペアンプ82、抵抗184、及びFET83から成る定電流回路を駆動制御し、発光素子70を任意の照射光量によりパルス点灯する。なお、DAC96の出力が1.0Vの時に、発光素子70に対して20mAの駆動電流が印加されるように、抵抗184には50Ωが選択される。
この様な濃度センサユニット170では、発光素子70が、駆動電流20mA、発光周期20msec(50Hzに相当)、及びデューティ20%(4msecに相当)の条件で点灯した場合における、受光素子71及び受光素子72に係るセンサ出力が予め調整されている。具体的には、受光素子71に係る調整については、図示せぬガラス板を中間転写ベルト141と同一の位置になるように設置した後に、可変抵抗181を調整してセンサ出力が4.20Vとなるように調整する。なお、当該ガラス板の表面反射率は、中間転写ベルト141の表面反射率と同等である。同様に、受光素子72に係る調整ついては、図示せぬ拡散反射板を、中間転写ベルト141と同一の位置になるように設置した後に、可変抵抗180を調整してセンサ出力が2.30Vとなるように調整する。なお、当該拡散反射板の表面反射率は、赤外線領域で30%であり、中間転写ベルト141に転写されたカラー色のトナーに係る拡散反射率と同等である。上述した調整により、センサ出力は、図4で示す電圧特性となるように調整される。なお、調整作業は、濃度センサユニット170を画像形成装置2から取り外した状態で、調整治具等を用いて行う。
次に、中間転写ベルト141の表面反射率の差異におけるブラック色のトナー134Kに係るセンサ検出電圧特性について、具体的に説明する。
画像形成装置2においては、濃度検出動作の前に正反射光検出に係るセンサ出力の調整を行う必要がある。すなわち、濃度センサユニット170は予め調整されているものの、中間転写ベルト141は製造時の個体差により反射率のばらつきが有り、さらに、中間転写ベルト141上にトナー画像が繰り返し転写されることから、トナー134が中間転写ベルトに融着するなどにより、中間転写ベルト141の表面反射率が変化する。中間転写ベルト141の表面反射率が変化すると、ブラック色のトナー画像に係る濃度検出値に誤差が生じる。例えば、中間転写ベルト141の表面反射率が低下していく場合には、受光素子71の駆動電流が20mAであるとADCII95で検出する電圧値が低下し、低濃度から高濃度までのダイナミックレンジが狭まることにより、ブラック色のトナー画像の濃度検出精度が低下する。このため、後述するように受光素子71に係る駆動電流の調整を行う。
次に、濃度センサユニット170内に設けられた受光素子71に係る駆動電流の調整について、図16を参照しながら具体的に説明する。図16に濃度センサユニット170内に設けられた受光素子71の駆動電流の調整に係る動作のフローチャートを示す。
画像形成装置2に配設された中間転写ベルト141の駆動が停止した状態において、受光素子71の駆動電流の調整に係るシーケンスが開始される(S71)。次に手順72に進むと、制御部100の指令に基づき、DAC96の出力設定が1.0V、10bit/5.0Vであるため、DAC96の設定値を0x0CD(205)とする(S72)。なお、手順73及び手順74は、図8を参照しながら前述した第1の実施形態に係るフローチャートの手順23及び手順24と同様であるため、説明を省略する。次に手順75に進むと、制御部100の指令に基づき、20×52/{(DAC設定値)+52}msecをオン時間に設定する。具体的には、手順72においてDAC96の設定値を0x0CD(205)と設定しているため、4.04msecをオン時間に設定する(S75)。なお、手順76乃至手順81は、図8を参照しながら前述した第1の実施形態に係るフローチャートの手順26乃至手順31と同様であるため、説明を省略する。次に手順80又は手順81から手順82に進むと、制御部100の指令に基づき、DAC96の設定値が0x066から0x226(0.5から3.0Vに相当)の範囲内であるか否かを判定し、範囲内である場合(Yes)には手順83に進み、範囲内でない場合(No)には手順84に進む(S82)。なお、手順83乃至手順86は、図8を参照しながら前述した第1の実施形態に係るフローチャートの手順33乃至手順36と同様であるため、説明を省略する。上述した通り、本発明の第2の実施形態においては、オン時間×電流値をオフ時間で除した値が一定になるように制御することで、受光素子71に電流が流れることによる受光素子71の発熱を消灯による放熱時間比により算出している。
次に、画像形成装置2に係る画像濃度検出の動作について、図17及び図18を参照しながら具体的に説明する。図17及び図18に画像形成装置2の画像濃度検出に係る動作のフローチャートを分割して示す。
中間転写ベルト141が駆動することにより、中間転写ベルト141上に転写されたブラック色パッチパターン113、イエロー色パッチパターン112、マゼンタ色パッチパターン111、及びシアン色パッチパターン110が、濃度センサユニット170と対向する位置に順に走査され、画像形成装置2の画像濃度検出に係るシーケンスが開始される(S91)。次に手順92に進むと、制御部100の指令に基づいて、DAC96の出力設定値を0x0CD(1.0Vに相当)に設定する。なお、この時点ではDAC96に係る出力は0Vである(S92)。次に手順93に進むと、制御部100の指令に基づいて、制御部100内に設けられた図示せぬLED発光回数のカウンタを0に初期化する(S93)。次に手順94に進むと、制御部100の指令に基づき、20×52/{(DAC設定値)+52}msecをオン時間に設定する。具体的には、DAC96の設定値を0x0CD(205)と設定しているため、4.04msecをオン時間に設定する(S94)。なお、手順95乃至手順108は、図9及び図10を参照しながら前述した第1の実施形態に係るフローチャートの手順45乃至手順58と同様であるため、説明を省略する。次に手順108から手順109に進むと、制御部100の指令に基づいて、DAC96に係る出力設定を正反射光の検出用に変更する。なお、これは図16を参照しながら前述した手順71乃至手順81で導出された結果を用いる。また、オン時間を設定されたDAC96の値に基づいて20×52/{(DAC設定値)+52}msecで算出される値に設定する。さらに、ADCI94及びADCII95の検出タイミングとして、オン時間から100μsecを引いた値を設定する(S109)。なお、手順110乃至手順113は、図9及び図10を参照しながら前述した第1の実施形態に係るフローチャートの手順60乃至手順63と同様であるため、説明を省略する。
次に、画像濃度検出に係る出力及び検出信号について、図19を参照しながら具体的に説明する。図19に画像濃度検出に係る出力及び検出信号のタイミングチャートを示す。
中間転写ベルト141が150mm/secの速度で駆動されることにより、中間転写ベルト141上に転写されたブラック色パッチパターン113、イエロー色パッチパターン112、マゼンタ色パッチパターン111、及びシアン色パッチパターン110が、濃度センサユニット170と対向する位置に順に走査される。ここで、濃度センサユニット170内に配設された発光素子70から、ブラック色、イエロー色、マゼンタ色、及びシアン色に対応する各パッチパターンに対して、LED光が照射される。具体的には、各パッチパターンの先端から後端に至る長さL3=12mmの領域にかけて、例えば、駆動電流20mA、発光周期T6=20msec、点灯回数4回の条件で、発光素子70からLED光が照射される。なお、発光素子70の発光周期を一例としてT6=20msecとしたが、当該20msecに限定されるものではない。また、各パッチパターンにおける、発光素子70の2回目から4回目のLED光の照射に同期して、受光素子71で正反射光に係るADCII95の検出が行われ、受光素子72で拡散反射光に係るADCI94の検出が行われる。なお、DAC96の出力は、発光素子70に係る電圧V3=1.0V、駆動電流20mA、発光時間T7=4.04msec、受光素子72に係るADCI94での検出タイミング3.94msecに依存する。なお、ブラック色のパッチパターン113に係るDAC96の出力は、図17を参照しながら前述したDAC96の設定が、例えば、電圧V4=1.5V、及び0x134の場合、発光素子70に係る駆動電流30mA、発光時間T8=2.90msec、受光素子71に係るADCI94での検出タイミング2.80msecに依存する。
次に、画像濃度検出に係る受光素子71に係る出力特性について、図20乃至図23を参照しながら具体的に説明する。図20乃至図23に発光素子70を発光させた時の受光素子71に流れる電流を増幅回路で増幅した信号に係る模式図を示す。
図20に示すように、発光素子70の駆動電流を所定の値であるI[A]とし、30%デューティでパルス発光させた場合には、図中の受光素子71での受光光量に係る3つのシグナル波形のトップの高さは同一になり、センサ出力は一定である。なお、デューティが30%であることから、図中の時間T10は時間T9の30%に相当する。しかし、図21に示すように、発光素子70の駆動電流を所定の値の2倍である2×I[A]とし、30%デューティでパルス発光させた場合には、発光素子70が高い駆動電流により発熱するため、図中の受光素子71での受光光量に係る3つのシグナル波形のトップの高さが同一にはならず、センサ出力は減衰している。なお、デューティが30%であることから、図中の時間T10は時間T9の30%に相当する。
図22に示すように、発光素子70の駆動電流を所定の値であるI[A]とし、20%デューティでパルス発光させた場合には、点灯時の発光素子70の発熱量と消灯時の発光素子70の放熱量がバランスするため、図中の受光素子71での受光光量に係る3つのシグナル波形のトップの高さは同一になり、センサ出力は一定である。なお、デューティが20%であることから、図中の時間T11は時間T9の20%に相当する。しかし、図23に示すように、発光素子70の駆動電流を所定の値であるI[A]とし、30%デューティでパルス発光させた場合には、点灯時の発光素子70の発熱量が消灯時の発光素子70の放熱量を上回り発光光量が徐々に減衰するため、図中の受光素子71での受光光量に係る3つのシグナル波形のトップの高さが同一にはならず、センサ出力は減衰している。なお、デューティが30%であることから、図中の時間T10は時間T9の30%に相当する。なお、発光素子70の発熟量と放熱量に起因した発光光量減衰の関係は、発光素子70の熱抵抗、及び発光時の周囲温度特性等によって異なることから、個々の発光素子70の選択に応じて適宜最適値を決定する。
以上、第2の実施形態に係る画像形成装置2によれば、現像器130で形成されたトナー画像を中間転写ベルト141に転写した後に記録媒体5に2次転写する構成とし、且つ、濃度センサユニット170の調整方法を異なる構成としても、例えば赤外線LEDである発光素子70において、駆動電流と点灯時間の積を非点灯時間で割った値が常に一定値になるように発光素子70の制御を行うことにより、例えばフォトトランジスタである受光素子71及び受光素子72において、応答特性に応じた検出制御が行える。したがって、特に、受光素子71での受光光量が少なく応答特性が十分ではないトナー濃度領域でも精度良くトナー濃度を検出することが可能である。さらに、発光素子70をパルス点灯することにより、従来は点灯後に必要であった光源を熱的に安定化させるまでの待機時間が不要となることから、画像形成装置1の電源投入時における装置の初期化時間を短縮できる。
なお、上述した第1の実施形態及び第2の実施形態においては、画像形成装置1をカラーのタンデム方式によるプリンタ、及び画像形成装置2をカラーのタンデム中間転写方式によるプリンタとして説明したが、本実施形態の画像形成装置1及び画像形成装置2を、複写機、インクジェットプリンタ、モノクロプリンタ、ファクシミリ装置、及び複合装置などに設けても良い。また、転写ベルト31又は中間転写ベルト141をパッチパターンの像担持体として用いる構成として説明したが、感光体ドラム21又は感光体ドラム131上のトナー画像を直接検出することにより、各色のトナー24に係る濃度を検出する構成に適用しても良い。また、タンデム方式の構成に限定されるものではなく、例えば4サイクル方式による構成としても良い。また、定電流回路はオペアンプを用いた回路による構成として説明したが、複数の抵抗を切り替えて段階的に電流値を変更する構成としても良い。また、濃度センサユニット60及び濃度センサユニット170においては、正反射光を受光することよりブラック色のトナー24Kを検出し、且つ、拡散反射光を受光することによりカラー色のトナー24を検出する構成として説明したが、偏光フィルタを用いてブラック色及びカラー色のトナー24に係る検出値の差分に基づき、カラー色及びブラック色のトナー濃度をそれぞれ計測する構成としても良い。
同様に、上述した第1の実施形態及び第2の実施形態においては、発光素子70を赤外線LEDとして説明したが、可視光領域又は紫外線領域のLED等を適用しても良い。また、画像形成装置1及び画像形成装置2に係る現像器20及び現像器130は、ブラック色、イエロー色、マゼンタ色、及びシアン色の4色に対応する画像情報を現像する4つの現像器から構成されるが、ブラック色を除いた3つのカラー色に対応する現像器のみで構成しても良い。同様に、それぞれブラック色に対応する画像情報を現像する2つの現像器20K又は2つの現像器130Kのみ構成しても良い。このように、現像器20又は現像器130に係る個数、色の組み合わせ、及び配設位置等の構成は限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。