JP2010107549A - 眼鏡レンズの設計方法、眼鏡レンズ及び眼鏡 - Google Patents

眼鏡レンズの設計方法、眼鏡レンズ及び眼鏡 Download PDF

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Abstract

【課題】そり角や傾き角の影響を補正する眼鏡レンズの設計方法の提供。
【解決手段】眼鏡レンズ1の屈折面に眼鏡フレーム2のそり角によって生じる収差及び度数誤差を相殺する乱視の屈折力を付加する乱視屈折力付加工程を備え、乱視屈折力付加工程は眼鏡レンズ1を傾けない状態での球面屈折力S、乱視屈折力C及び乱視軸Axをマーチンの式を逆算した数式(1)(2)
Dv=Ds*2n/(2n+sinα) …数式(1)
Dh=Dt*2n/(2n+(2n+1)*sinα) …数式(2)
(nはレンズ素材の屈折率、Dsは処方で求めた垂直方向屈折力、Dtは処方で求めた水平方向屈折力、Dvは眼鏡レンズを傾けない状態での垂直方向屈折力、Dhは眼鏡レンズを傾けない状態での水平方向屈折力)から演算する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ラップアラウンド型フレーム等のそり角が大きい眼鏡フレームに組み込まれる眼鏡レンズの設計方法、この設計方法で設計された眼鏡レンズ及びこの眼鏡レンズを取り付けた眼鏡に関する。
近年、主にスポーツ用のサングラスとして、ラップアラウンド型の眼鏡フレームが用いられるようになってきている。このラップアラウンド型の眼鏡フレームは、そり角が大きく顔に沿うように曲がっているため、顔の側面までレンズがあり、視野が広いという特長がある。そのため、スポーツ時の保護眼鏡、眼球保護などの眼鏡としてスポーツ選手に愛用されている。
ラップアラウンド型の眼鏡レンズは、物体側に光学凸面が形成され、眼球側に近光学凹面が配置されるものであり、フレーム正面に対して傾いた状態で眼鏡フレームに取り付けられている。
一般に、眼鏡レンズを傾けて眼鏡フレームに取り付ける際に、その傾き角が一定値以上超えると、日本工業規格(JIST7313)に規定する条件を満たさなくなり、乱視が生じる。例えば、屈折率nが1.662の眼鏡レンズを所定の傾き角をもって眼鏡フレームに取り付ける場合、眼鏡レンズの処方のうち球面屈折力Sが−2.00、乱視屈折力Cが0の場合では、傾き角が15°以上であると、日本工業規格に適合しなくなる。
このような眼鏡レンズでは、そり角や傾き角の影響を補正することが望まれている。
そのため、従来例として、眼鏡フレームのそり角によって生じる収差を眼鏡レンズの設計基準点において相殺する乱視の屈折力を付加し、屈折面にそり角と傾斜角によって生じるプリズム屈折力を設計基準点において相殺するようにプリズム屈折力を付加し、乱視を矯正する乱視屈折力を屈折面に付加し、屈折面全体に基準経線の概念を用いて、そり角、度数、乱視度数による影響を同時に補正する非球面量を付加する眼鏡レンズの設計方法がある(特許文献1)。
特許文献1で示される従来例では、乱視の屈折力付加は、物体側の屈折面又は眼球側の屈折面にそり角によって生じる乱視の屈折力を設計基準点において相殺するように屈折面全体に乱視の屈折力を付加する。そして、乱視を矯正する乱視屈折力を屈折面に付加し、そり角、度数、乱視度数による影響を同時に補正する非球面量を付加する。非球面量の付加にあたり、眼鏡フレームのそり角を眼鏡レンズに与えたときの眼鏡レンズの設計基準点における法線を視軸と直行する平面へ投影したときの設計基準点から眼鏡レンズの外縁まで延長した線を第1基準経線とし、この第1基準経線を設計基準点から眼鏡レンズの外縁に対し反対側の外縁まで延長した線を第2基準経線とし、第1基準経線と設計基準点で直交し眼鏡レンズの外縁まで延長した線を第3基準経線とし、この第3基準経線を設計基準点から眼鏡レンズの外縁に対し反対側の外縁まで延長した線を第4基準経線とするとき、これらの第1〜第4基準経線を含む複数の基準経線を設定し、それぞれの基準経線における光学性能が最適になるように非球面量を求め、基準経線間の非球面量を補間する。
特開2008−26776公報
特許文献1で示される従来例では、そり角や傾き角による影響を補正するという課題を解決することができるものの、ラップアラウンド型の眼鏡レンズにおいて、そり角や傾き角によって生じる目視の非点収差及び目視の度数誤差の補正を具体的に達成するという点で必ずしも十分とは言えない。
例えば、特許文献1で示される従来例では、そり角によって生じる乱視の屈折力を相殺するために屈折面全体に乱視の屈折力を付加するが、それを達成するための具体的な手段が開示されていない。さらに、そり角、度数、乱視度数による影響を同時に補正する非球面量を付加するために屈折面全体に第1から第4の基準経線の概念を用いているが、これらの基準経線上でどのように傾き角を考慮して相殺するかが必ずしも明確とは言えない。
本発明の目的は、そり角が大きい眼鏡フレームに組み込まれる眼鏡レンズにおいて、そり角や傾き角の影響を補正する眼鏡レンズの設計方法を提供することにある。
本発明の眼鏡レンズの設計方法は、そり角が200°以上とされるとともにフレーム正面に対して傾き角αだけ傾けて眼鏡フレームに組み込まれる眼鏡レンズの設計方法であって、前記眼鏡レンズの物体側の屈折面又は眼球側の屈折面に前記眼鏡フレームのそり角によって生じる目視の非点収差及び目視の度数誤差を前記眼鏡レンズの設計基準点において相殺する乱視の屈折力を付加する乱視屈折力付加工程を備え、この乱視屈折力付加工程は、前記眼鏡レンズを傾けない状態での球面屈折力S、乱視屈折力C及び乱視軸Axを数式(1)(2)
Dv=Ds*2n/(2n+sinα) …数式(1)
Dh=Dt*2n/(2n+(2n+1)*sinα) …数式(2)
(nはレンズ素材の屈折率、Dsは処方で求めた垂直方向屈折力、Dtは処方で求めた水平方向屈折力、Dvは眼鏡レンズを傾けない状態での垂直方向屈折力、Dhは眼鏡レンズを傾けない状態での水平方向屈折力)から演算し、この演算値に基づいてレンズ設計することを特徴とする。ここで、眼鏡レンズを傾けない状態とは傾き角αが0°の場合である。
通常の眼鏡レンズを、ラップアラウンド型フレーム等のそり角が大きな眼鏡フレームに組み込んだ際に、眼鏡レンズの光軸が視軸に対して傾き、屈折力が変化する。変化した屈折力はマーチンの式により求められるので、眼鏡レンズの設計にあたり、マーチンの式を逆算した数式に基づいて傾けない状態の眼鏡レンズを設計する。
これにより、フレーム正面に眼鏡レンズが傾き角αだけ傾いて眼鏡フレームに取り付けられた場合に、眼鏡レンズに所望の光学特性を満たすことができる。
本発明では、前記乱視屈折力付加工程は、前記眼鏡レンズを傾けた状態での乱視の処方を得る第1ステップと、前記眼鏡レンズを傾けた状態での経線の全ての角度において同じ屈折力をもつ新たな眼鏡レンズを仮定する第2ステップと、第2ステップで仮定した眼鏡レンズの屈折力を前記数式(1)(2)から経線の角度毎に求める第3ステップと、この第3ステップで求められた経線の角度毎の数値を近似し傾ける前の眼鏡レンズの球面屈折力S、乱視屈折力C及び乱視軸Axを求める第4ステップとを備えた構成が好ましい。
この構成の発明では、まず、第1ステップにおいて、眼鏡レンズを傾けた状態での乱視の処方を通常の方法によって得ておき、第2ステップにおいて、経線の全角度毎に同じ屈折力を持つ眼鏡レンズを仮定する。第2ステップで仮定された眼鏡レンズは球面であり、マーチンの式を逆算した式の適用が可能となる。そして、第3ステップにおいて、角度毎の屈折力をマーチンの式を逆算した数式から求め、第4ステップにおいて、マーチンの式を逆算した数式で求められた経線の全角度の屈折力を、例えば、離散フーリエ変換の手法を用いてサインカーブに近似し、眼鏡レンズを傾けない状態(傾き角=0°)での球面屈折力S、乱視屈折力C及び乱視軸Axを求める。
従って、本発明では、より効率的に乱視矯正を行える眼鏡レンズを提供することができる。
さらに、本発明は、前記乱視屈折力付加工程の後で、前記眼鏡レンズの物体側の屈折面又は眼球側の屈折面に前記眼鏡フレームのそり角によって生じるプリズム屈折力を付加するプリズム屈折力付加工程を備える構成が好ましい。
この構成の発明では、乱視屈折力付加工程を実施した後、既知の方法でプリズム屈折力付加工程を実施する。
そのため、本発明では、眼鏡フレームのそり角によって生じるプリズム屈折力に伴う収差を補正することができる。
本発明の眼鏡レンズは、前述の眼鏡レンズの設計方法を用いて製造されることを特徴とする。
本発明の眼鏡は,前述の眼鏡レンズを前記眼鏡フレームに取り付けることを特徴とする。
これらの構成の発明では、前述の効果を奏することができる眼鏡レンズや眼鏡を提供することができる。
以下に、本発明の一実施形態にかかる眼鏡レンズの設計方法について図面を用いて説明する。
図1は本実施形態の眼鏡の概略水平断面図である。
図1において、眼鏡は、2個の眼鏡レンズ1がそれぞれ視軸Pに対して傾いて眼鏡フレーム2に取り付けられている。
眼鏡レンズ1は、物体側に配置された光学凸面11と、眼球側に配置された光学凹面12とを有するメニスカスレンズである。光学凸面11の曲率半径が所定寸法の球面状に形成されている。
眼鏡フレーム2は、そり角βが200°以上のラップアラウンド型等の眼鏡フレームである。この眼鏡フレーム2は、その正面側が略球面状に湾曲形成され鼻をかけるためのブリッジ21と、耳をかけるためのテンプル22と、眼鏡レンズ1を装着するための縁部23とが一体に形成されている。
そり角βが200°以上の眼鏡フレーム2は、顔に沿うように曲がっているため、眼鏡レンズ1がフレーム正面に対して傾き角αだけ傾斜した状態で固定されている。
ここで、傾き角αとそり角βとは、2α+180°=βの関係を有するものであり、そり角βが200°以上の場合には、傾き角αは10°以上である。
そり角βが200°以上の眼鏡フレーム2に組み込まれる眼鏡レンズ1は、通常の眼鏡レンズよりも曲率の大きいものが必要で、物体側の屈折面の曲率は、屈折力で表すと、通常5ディオプトリ以上であり、6〜12ディオプトリの範囲が一般的である。なお、通常の眼鏡レンズはそり角βが180°の眼鏡フレームに組み込まれることを想定して物体側の屈折面と眼球側の屈折面が設計されている。
眼鏡レンズ1を大きなそり角βを有する眼鏡フレーム2に組み込み、眼鏡レンズ1をフレーム正面に対して傾き角αだけ傾斜させると、上下方向の屈折力はほぼそのままで、左右方向の屈折力を変えたことになり、収差が生じ、球面レンズに乱視の効果を与える。また、眼鏡レンズ1を視軸Pに対して傾斜させると、プリズム屈折力が生じる。
次に、本実施形態にかかる眼鏡レンズの設計方法について説明する。
[乱視屈折力付加工程]
図1で示されるように、眼鏡レンズ1を傾き角αだけ傾ける。図2(B)に示される垂直方向(傾く方向と垂直な方向)の屈折力Dsと水平方向(傾く方向)の屈折力Dtは、マーチンの数式(3)(4)で求めることができる。ここで、Dvは眼鏡レンズを傾けない状態での垂直方向屈折力、Dhは眼鏡レンズを傾けない状態での水平方向屈折力、nはレンズ素材の屈折率である。
Ds=(1+sin2α/2n)Dv … 数式(3)
Dt=(1+(2n+1)sin2α/2n)Dh … 数式(4)
処方どおりに作成した眼鏡レンズ1を傾き角αのある状態で眼鏡フレーム2に装着すると、マーチンの式(3)(4)が示すように度数が変化し、最適な屈折力(第1ステップで取得した処方のS,C、Ax)を得ることができない。そこで、傾けた状態で最適な屈折力を得るために、マーチンの式の逆算を行い、傾けない状態でどのような屈折力のレンズを作製すればよいのかを計算する。
第1ステップ:
従来と同様の手段によって、眼鏡レンズ1を傾けた状態での乱視の処方S、C、Axを得る。ここで、Sは球面屈折力、Cは乱視屈折力、Axは乱視軸である。
第2ステップ:
一般に、乱視の眼鏡レンズ1では、最大屈折力の方向と最小屈折力の方向との2つの主経線があり、これらの主経線は互いに直交している。本実施形態では、図2(A)に示される通り、最大屈折力をD1とし、最小屈折力をD2とすると、これらの屈折力D1とD2との方向を示す主経線は互いに直交している。
球面屈折力Sが最大屈折力D1と等しい(S=D1)とすると、乱視屈折力Cは最大屈折力D1と最小屈折力D2との差と等しい(C=D2−D1)関係が成り立つ。
経線の角度をθとして表すと、各方向(0°≦θ≦180°)の屈折力D(θ)は次の数式(5)で表すことができる。θ1は乱視軸を表す。
D(θ)=D1*cos2(θ-θ1)+D2*sin2(θ-θ1)
=S*cos2(θ−Ax)+(S+C)sin2(θ−Ax) … 数式(5)
数式(5)を用いて、眼鏡レンズ1の経線の角度θ方向の屈折力を求め、傾けた状態で経線の全ての角度において同じ前記屈折力をもつ新たな眼鏡レンズを仮定する。
第3ステップ:
(1)処方が球面(C 0.00)の場合(乱視ではない)
第2ステップを省略することができ、前述の通り、傾けない状態での垂直方向屈折力をDv、水平方向屈折力をDhとする。マーチンの式を逆算した数式は、
Dv=Ds*2n/(2n+sinα) …数式(1)
Dh=Dt*2n/(2n+(2n+1)*sinα) …数式(2)
このDs、Dtに処方の球面屈折力Sを代入することで計算することができる。また、Axが0°、90°、180°の場合は主経線の方向がDs、Dtの方向と一致するため、同様に計算することができる。
(2)処方が乱視の場合
主経線が傾ける方向と一致しない乱視の眼鏡レンズ1では、直接マーチンの逆算の式に代入して計算することができない。そのため、第2ステップにより、経線の角度毎に新たな眼鏡レンズを仮定し、仮定した眼鏡レンズにマーチンの式を逆算した数式(1)(2)を適用する。
まず、第1ステップとして傾き角αに傾けた状態での最大屈折力をDb1とし、最小屈折力をDb2とし、さらに、経線の角度0°方向とDb1の方向のなす角度をθbとする。傾けた状態で最適な屈折力(処方のS、C、Ax)を得たいので、Db1にS、Db2に(S+C)、θbにAxを代入する。
続いて、加工対象である眼鏡レンズ1、つまり、傾けない状態での眼鏡レンズ1の屈折力を求める。
第2ステップとして図3(A)のようなθ1(0°≦θ1≦180°)方向の屈折力を計算する。傾けた状態のθ1方向の屈折力Db(θ1)は数式(5)より、
Db(θ1)= Db1cos(θ-θb)+Db2sin(θ-θb) …数式(5A)
となる。ここで、図3(B)に示される通り、傾けた状態で経線の全ての角度においてDb(θ1)の屈折力をもつ新たな眼鏡レンズを仮定し、マーチンの逆算の数式(1)(2)に代入する。
Dv=Db(θ1)*2n/(2n+sin2α) …数式(1A)
Dh=Db(θ1)*2n/(2n+(2n+1)*sin2α) …数式(2A)
ここで、求まるDvは、仮定した眼鏡レンズの傾きを戻した状態での経線の角度が90°方向の屈折力であり、Dhは経線の角度が0°方向の屈折力である。また、仮定した眼鏡レンズは0°と90°を主経線とする乱視レンズである。そして、数式(5)より、
D(θ1)=Dsh*cos2θ1+Dsv*sin2θ1 …数式(5B)
の式が展開され、傾けない状態のθ1方向の屈折力が求まる。実際の計算では角度θ1を所定の範囲、例えば、0〜179°の範囲で1°ピッチずつ計算し、それぞれの方向の乱視屈折力を求める。
第4ステップ:
第3ステップで求められた経線の角度毎の数値を近似し傾ける前の眼鏡レンズの屈折力を求める。
そのため、第3ステップで求めた経線の角度毎(1°ピッチ毎)の屈折力は、プロットしても、数式(5)の形にはならず、屈折力を単純にS、C、Axで表現できない。そのため、第3ステップで求めた数値の近似を行う。
本実施形態では、近似の手法として様々な方法が考えられるが、例えば、離散フーリエ変換を用いる方法を採用できる。つまり、180個の経線の角度毎の屈折力を離散フーリエ変換し、2次までの係数a0、a1、a2を用いる。
乱視屈折力C、球面屈折力Sは、
C=−2(a12 +a221/2
S=a0−(C/2)
である。また、乱視軸Axは
Ax=arctan(a1/a2)/2*(180/π)
ただし、a1とa2の符号が異なる場合、Ax+180する必要がある。
以上のステップを図4に基づいて具体的に説明する。
図4は、数式(5)に基づいて得られた角度θと度数Dとの関係を示すグラフであり、図4(A)には眼鏡レンズ1を傾けない状態のデータ、つまり、第1ステップで得た処方のデータが示されている。処方データはS+4.00、C−2.00、Ax=45°である。
図4(A)において、実線で示されるP1は処方のままのデータであり、点線で示されるP2はそり角β、つまり、傾き角αを考慮したものであり、乱視屈折力付加工程を実施し、前述の近似法を用いてサインカーブフィッテイングしたデータである。P2のデータでは、S+3.804、C−1.908、Ax=47.725°となる。
図4(B)はC+4.00、C−2.00、Ax=45°の処方データの眼鏡レンズ1を傾き角αを15°として傾かせた状態を示すものであり、実線で示されるQ1はP2をマーチンの式(4)(5)で変換したデータである。Q1のデータでは、S+4.219、C−2.116、Ax=42.275°となる。点線で示されるQ2はそり角βを考慮したものであり、Q1をマーチンの式(3)(4)で変換したデータである。本実施形態では、P1とQ2とが一致するようにP2を求める。このP2のデータが本実施形態で得ようとするデータである。
つまり、本実施形態では、第2ステップにより、眼鏡レンズ1を傾けた状態での経線の全ての角度において同じ屈折力をもつ新たな眼鏡レンズを仮定し、第3ステップによって、Q1で示される処方データから数式(1)(2)に基づいて経線の全角度におけるデータを算出し、これらのデータを第4ステップによって近似させて目的となるP2のデータを取得する。
[プリズム屈折力付加工程]
まず、屈折面に任意の設計基準点を設定する。設計基準点は任意の位置を設定できるが、通常は、遠用ビジュアルポイントが選定される。遠用ビジュアルポイントは、視軸Pと眼鏡レンズ1との交点である。視軸Pは、目の高さにある真っ直ぐ前方の物体を注視しているときの、頭部に対する眼の相対位置である第1眼位に眼がある状態での視線である。
そして、物体側の屈折面又は眼球側の屈折面にそり角βによって生じるプリズム屈折力を設計基準点において相殺するプリズム屈折力を付加する。プリズム
屈折力で付与する屈折力は通常の手法、例えば、光線追跡法で求めることができる。
なお、設計基準点を有する物体側の屈折面全体又は眼球側の屈折面全体に、そり角、度数、乱視度数による影響を同時に補正する非球面量を付加し、眼鏡レンズ全体の収差を補正する工程を必要に応じて設けてもよい。この球面量を求める工程は、具体的には、特開2008−26776公報に記載されている方法を採用する。
本実施形態の効果を確認するための実施例を図5から図8に基づいて説明する。
本実施例では、処方S+4.00、C−2.00、Ax45°の眼鏡レンズ1を用いた。この眼鏡レンズ1の詳細なデータを表1に示す。
Figure 2010107549
本実施例では、表1で示される眼鏡レンズ1を処方通りに設計したものと、マーチンの式で補正をしたものとの2つのパターンについて、光線追跡で解析した結果(表示径60mm)を示したもので、各図において、(A)は目視の非点収差図であり、(B)は目視の平均度数分布図であり、(C)は目視の収差図から乱視処方度数を差し引いた乱視処方抜き目視の非点収差図である。これらの図は全て眼鏡レンズ後面側から見たときのものであり、図の幾何学中心が設計基準点(視軸Pと眼鏡レンズ1との交点)である。等高線は0.25ディオプトリ毎に示した。
図5は処方通りに設計した眼鏡レンズを傾けない状態(傾き角α=0°)で眼鏡フレームに装着した例である。図5(A)で示される目視の非点収差図において、の設計基準点において、処方の度数である2をほぼ実現できていることがわかる。
この眼鏡レンズを15°(傾き角α=15°)傾けると、図6に示されるものとなる。図6に示される通り、(B)の設計基準点において度数が変化し、目視の平均度数である3からズレていることがわかる。さらに、(C)の設計基準点において、0.25から0.5の範囲内の値である、目視の収差が生じていることがわかる。
図7はマーチンの式で補正した眼鏡レンズを傾けない状態(傾き角α=0°)で眼鏡フレームに装着した例である。
この眼鏡レンズを15°(傾き角α=15°)傾けると、図8に示されるものとなる。図8に示される通り、(B)は図6(B)と比較して設計基準点における度数が処方値である2に近くなり、(C)は図6(C)と比較して設計基準点における収差が0.25より小さく抑えられていることがわかる。
以上の通り、図8に示される眼鏡レンズ、つまり、マーチンの式で補正し傾き角αが15°として取り付けられる眼鏡レンズのレンズ設計を行えば、図6と比較して設計基準点での度数と収差がより処方値に近くなることから、そり角βや傾き角αの影響が補正されることがわかる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、本発明の眼鏡レンズ1の光学凸面11や光学凹面12の形状、レンズ素材の屈折率n、並びに、眼鏡フレーム2の形状は前記実施形態で限定されたものに限定されるものではない。
さらに、前記実施形態では、眼鏡レンズの設計方法において、乱視屈折力付加工程の後にプリズム屈折力付加工程を加えたが、本発明では、プリズム屈折力付加工程を省略してもよい。
本発明の眼鏡レンズの設計方法は、ラップアラウンド型のそり角が大きい眼鏡フレームに組み込まれたときに装用者の視力を良好に補正する眼鏡レンズを製造する際に利用することができる。
本発明の一実施形態にかかる眼鏡の概略水平断面図。 (A)は最大屈折力D1と最小屈折力D2との関係を示す概略図、(B)は垂直方向屈折力Dsと水平方向屈折力Dtとの関係を示す概略図。 (A)は経線の角度θ1と屈折力Db(θ1)との関係を示す概略図、(B)は傾けた状態で経線の全ての角度においてDb(θ1)の屈折力をもつ眼鏡レンズを仮定することを説明する概略図。 経線の角度θと度数Dとの関係を示すグラフであり、(A)は眼鏡レンズを傾けない状態のデータを示し、(B)は眼鏡レンズを傾かせた状態のデータを示す。 処方通りに設計した眼鏡レンズであって傾けない状態で眼鏡フレームに装着する場合を示すもので、(A)は目視の非点収差図、(B)は目視の平均度数分布図、(C)は乱視処方抜き目視の非点収差図。 処方通りに設計した眼鏡レンズを傾き角15°で傾かせる場合を示すもので、(A)は目視の非点収差図、(B)は目視の平均度数分布図、(C)は乱視処方抜き目視の非点収差図。 マーチンの式で補正した眼鏡レンズを傾けない状態で眼鏡フレームに装着する場合を示すもので、(A)は目視の非点収差図、(B)は目視の平均度数分布図、(C)は乱視処方抜き目視の非点収差図。 マーチンの式で補正した眼鏡レンズを傾き角15°で傾かせる場合を示すもので、(A)は目視の非点収差図、(B)は目視の平均度数分布図、(C)は乱視処方抜き目視の非点収差図。
符号の説明
1…眼鏡レンズ、2…眼鏡フレーム、α…傾き角、β…そり角、P…視軸

Claims (5)

  1. そり角が200°以上とされるとともにフレーム正面に対して傾き角αだけ傾けて眼鏡フレームに組み込まれる眼鏡レンズの設計方法であって、
    前記眼鏡レンズの物体側の屈折面又は眼球側の屈折面に前記そり角によって生じる目視の非点収差及び目視の度数誤差を前記眼鏡レンズの設計基準点において相殺する乱視の屈折力を付加する乱視屈折力付加工程を備え、
    この乱視屈折力付加工程は、前記眼鏡レンズを傾けない状態での球面屈折力S、乱視屈折力C及び乱視軸Axを数式(1)(2)
    Dv=Ds*2n/(2n+sinα) …数式(1)
    Dh=Dt*2n/(2n+(2n+1)*sinα) …数式(2)
    (nはレンズ素材の屈折率、Dsは処方で求めた垂直方向屈折力、Dtは処方で求めた水平方向屈折力、Dvは眼鏡レンズを傾けない状態での垂直方向屈折力、Dhは眼鏡レンズを傾けない状態での水平方向屈折力)
    から演算し、この演算値に基づいてレンズ設計することを特徴とする眼鏡レンズの設計方法。
  2. 請求項1に記載された眼鏡レンズの設計方法において、
    前記乱視屈折力付加工程は、前記眼鏡レンズを傾けた状態での乱視の処方を得る第1ステップと、前記眼鏡レンズを傾けた状態での経線の全ての角度において同じ屈折力をもつ新たな眼鏡レンズを仮定する第2ステップと、第2ステップで仮定した眼鏡レンズの屈折力を前記数式(1)(2)から経線の角度毎に求める第3ステップと、この第3ステップで求められた経線の角度毎の数値を近似し傾ける前の眼鏡レンズの球面屈折力S、乱視屈折力C及び乱視軸Axを求める第4ステップとを備えたことを特徴とする眼鏡レンズの設計方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載された眼鏡レンズの設計方法において、
    前記乱視屈折力付加工程の後で、前記眼鏡レンズの物体側の屈折面又は眼球側の屈折面に前記眼鏡フレームのそり角によって生じるプリズム屈折力を付加するプリズム屈折力付加工程を備えたことを特徴とする眼鏡レンズの設計方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載された眼鏡レンズの設計方法を用いて製造されたことを特徴とする眼鏡レンズ。
  5. 請求項4に記載された眼鏡レンズを前記眼鏡フレームに取り付けることを特徴とする眼鏡。
JP2008276425A 2008-10-28 2008-10-28 眼鏡レンズの設計方法 Expired - Fee Related JP5040889B2 (ja)

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