JP2006267163A - 眼鏡レンズ - Google Patents

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薫 神下
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Abstract

【課題】方向性を有していてもそり角が大きい眼鏡フレームに正確に位置決めして組み込むことができる眼鏡レンズを提供する。
【解決手段】そり角が200°以上の眼鏡フレームに組み込まれる眼鏡レンズにおいて、物体側の屈折面に、眼鏡フレームに組み込まれるための玉型加工の加工基準点と方向を示すマークを、加工基準点dが眼球側の屈折面のアイポイントaに対応する外面中心点cより鼻側へ変位した位置となるように設ける。
【選択図】 図4

Description

本発明は、ラップアラウンド型フレーム等のそり角が大きい眼鏡フレームに組み込まれる眼鏡レンズに関する。
近年、主にスポーツ用のサングラスとして、ラップアラウンド型の眼鏡フレームが用いられるようになってきている。図1(a)の斜め方向からの斜視図、図1(b)の上側から見た斜視図にラップアラウンド型の眼鏡フレームの一例を示す。図1に示すように、ラップアラウンド型の眼鏡フレームは、そり角が大きく顔に沿うように曲がっているため、顔の側面までレンズがあり、視野が広いという特長がある。そのため、スポーツ時の保護眼鏡、眼球保護などの眼鏡としてスポーツ選手に愛用されている。
ラップアラウンド型の眼鏡フレームを掛けているスポーツ選手が多くなった影響で一般の人も使用することが多くなってきた。そのため、矯正用の眼鏡が必要な人もラップアラウンド型の眼鏡フレームを使用したい要望が多くなってきている。
ところが、従来、ラップアラウンド型の眼鏡フレームに組み込む矯正用の眼鏡レンズは、ラップアラウンド型の深いカーブに対応する曲率が大きい眼鏡レンズが提供されているだけであり、光学的にラップアラウンド型の眼鏡フレームに対応したものは未だ無いのが現状である。
そのため、本発明者は、下記特許出願でそり角が200°以上の眼鏡フレームに組み込まれる眼鏡レンズであって、そり角によって生じる収差を良好に補正できる眼鏡レンズを提案している。
特願2004−99224号
しかしながら、本発明者が提案したラップアラウンド型用の眼鏡レンズでは、設計基準点を設け、設計基準点を通る垂直線を境にして左右の屈折力が非対称となっているため、単焦点レンズであっても眼鏡フレームに正確に位置決めして組み込む必要が生じる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、そり角が大きい眼鏡フレームに正確に位置決めして組み込むことができる単焦点屈折力を有する眼鏡レンズを提供することを第1の目的とする。
また、累進屈折力レンズのようにフィッティングポイントがあり、左右と上下を正確に位置決めして眼鏡フレームに組み込む必要がある方向性を有する眼鏡レンズにおいては、大きなそり角によって正確に位置決めして眼鏡フレームに組み込むことができなくなるおそれがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、方向性を有してもそり角が大きい眼鏡フレームに正確に位置決めして組み込むことができる眼鏡レンズを提供することを第2の目的とする。
上記第1の目的を達成するため、本発明は、第1に、そり角が200°以上の眼鏡フレームに組み込まれる単焦点屈折力を有する眼鏡レンズにおいて、前記眼鏡フレームのそり角あるいは、そり角及び傾斜角に基づき求められた、前記眼鏡フレームに組み込まれるための玉型加工時に用いる加工基準点と、前記眼鏡レンズの上下左右の方向を示すマークとが、前記眼鏡レンズの物体側の屈折面に設けられていることを特徴とする眼鏡レンズを提供する。
眼鏡フレームに組み込むための玉型加工のときに基準面となる眼鏡レンズの物体側の屈折面に玉型加工の加工基準点と方向性を示すマークを設けることにより、方向性が生じた単焦点レンズの玉型加工時における位置精度を確保し、そり角が大きい眼鏡フレームに正確に位置決めして組み込むことができる。
本発明は、第2に、上記第1の眼鏡レンズにおいて、設計基準点を通る垂直線を境にして左右が非対称の屈折力を有することを特徴とする眼鏡レンズを提供する。
大きなそり角によって発生する収差を補正すると単焦点レンズでも設計基準点を境にして左右非対称の屈折力を有するようになり、玉型加工基準点と方向を示すマークが必要となる。
本発明は、第3に、上記第2の眼鏡レンズにおいて、更に、設計基準点を通る水平線を境にして上下が非対称の屈折力を有することを特徴とする眼鏡レンズを提供する。
眼鏡レンズの前後方向の傾斜角度によって発生する収差を補正すると単焦点レンズでも設計基準点を境にして上下非対称の屈折力を有するようになり、玉型加工基準点と方向を示すマークが必要となる。
上記第2の目的を達成するため、本発明は、第4に、そり角が200°以上の眼鏡フレームに組み込まれる眼鏡レンズにおいて、物体側の屈折面に、眼鏡フレームに組み込まれるための玉型加工の加工基準点と方向を示すマークが設けられ、前記加工基準点が、眼球側の屈折面に設けられたアイポイントに対応する前記眼鏡レンズの物体側の屈折面上の点より鼻側へ変位した位置であることを特徴とする眼鏡レンズを提供する。
そり角が大きい眼鏡フレームに眼鏡レンズを組み込むと、視線に対してレンズが傾斜する。大きなそり角によって斜めになっている眼鏡レンズにおいては眼球側の屈折面のアイポイントに対応する眼鏡レンズの物体側の屈折面上の点(外面中心点)が耳側へ変位するため、外面中心点を基準とする瞳孔間距離に誤差が生じる。そのため、マークで示す玉型加工の加工基準点をこの誤差を修正して鼻側へ変位した位置を示すように設けるようにすることにより、眼鏡フレームに正確に位置決めして組み込むことができる。
本発明は、第5に、上記第4の眼鏡レンズにおいて、前記加工基準点の位置の鼻側への変位量が、前記アイポイントにおけるレンズの厚みと前記眼鏡フレームのそり角とに基づいていることを特徴とする眼鏡レンズを提供する。
外面中心点の位置は、そり角とレンズの厚みに比例して変動するため、これらに基づいて修正することができる。
本発明は、第6に、そり角が200°以上の眼鏡フレームに組み込まれる単焦点屈折力を有する眼鏡レンズにおいて、前記眼鏡フレームのそり角あるいはそり角及び傾斜角に基づき求められた、前記眼鏡フレームに組み込まれるための玉型加工時に用いる加工基準点と、前記眼鏡レンズの上下左右の方向を示すマークとが、前記眼鏡レンズの眼球側の屈折面に設けられていることを特徴とする眼鏡レンズを提供する。
加工基準点でのレンズの厚みが例えば2mm以下と薄い場合にはそのマークを眼球側(内面側)の屈折面に設けても、実用上で問題にならない精度での玉型加工時の位置決めしての組み込みが可能である。
以下、本発明の眼鏡レンズの実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
本発明の眼鏡レンズは、図1に示したようなそり角が大きいラップアラウンド型の眼鏡フレームに組み込まれるものである。眼鏡フレームのそり角とは、図2(a)に示すように、左右リム面のなす角度を示し、180°未満の場合を内ぞりの状態、180°より大の場合を外ぞりの状態と呼ぶ。ラップアラウンド型の眼鏡フレームは、そり角が200°以上の外ぞりの状態であり、市販されているラップアラウンド型の眼鏡フレームのそり角は、概ね200〜250°の範囲である。そり角が200°以上の眼鏡フレームには、図1に示したラップアラウンド型の眼鏡フレームの他、水中眼鏡、保護用眼鏡等がある。
そり角が200°以上の眼鏡フレームは、顔に沿うように曲がっているため、眼鏡レンズが視線に対して傾斜した状態で固定されている。そり角が200°以上の眼鏡フレームに組み込まれる眼鏡レンズは、通常の眼鏡レンズよりも曲率が大きいものが必要で、物体側の屈折面の曲率は、屈折力で表すと、通常5ディオプトリー以上であり、6〜12ディオプトリーの範囲が一般的である。
通常の眼鏡レンズはそり角が180°、即ち、そりが無い眼鏡フレームに組み込まれることを想定して物体側の屈折面と眼球側の屈折面が設計されている。検眼の際にもそりが無い検眼用の眼鏡フレームが用いられている。このように、そりが無い眼鏡フレームに組み込まれることを想定した光学性能を有する眼鏡レンズが視線に対して傾斜した状態で固定されると、光学性能上不都合が生じる。
通常の眼鏡レンズがそり角が無い状態で使用されると、所定の光学性能が発揮される。しかし、大きなそり角を有する眼鏡フレームに組み込み、眼鏡レンズを視線に対して傾斜させると、上下方向の屈折力はほぼそのままで左右方向の屈折力を変えたことになり、収差が生じ、球面レンズに乱視の効果を与える。また、眼鏡レンズを視線に対して傾斜させるとプリズム屈折力が生じる。
また、図2(b)に示すように、眼鏡レンズの光軸が水平方向から傾斜して眼鏡レンズの下方が顔に近づくように傾斜角をもって眼鏡フレームに組み込まれる場合には、この傾斜角によってもそり角と同様に収差とプリズム屈折力とが生じる。
そのため、そり角が180°を想定していた眼鏡レンズをそり角が200°以上の眼鏡フレームに組み込んでいた場合には、少なくともそり角による乱視の屈折力を生じさせる収差とプリズム屈折力とが存在していたことになり、眼鏡レンズを通してぼけた像が見えるという不都合があった。
前述した特許出願で本発明者が提案した眼鏡レンズの設計方法の概略について説明する。そり角が大きい眼鏡フレームに組み込まれる眼鏡レンズの上記収差を補正して明瞭に見える光学性能に優れた眼鏡レンズを得るため、第1ステップで、屈折面に任意の設計基準点を設定し、第2ステップで、物体側の屈折面又は眼球側の屈折面にそり角によって生じるプリズム屈折力を設計基準点において相殺するようにプリズム屈折力を付加する。第3ステップで、物体側の屈折面又は眼球側の屈折面にそり角によって生じる乱視の屈折力を設計基準点において相殺するように乱視の屈折力を付加する。第4ステップで、設計基準点以外の屈折面においては設計基準点の収差とプリズム屈折力とを補正しただけでは屈折面全体の収差を補正できないため、設計基準点を境にして少なくとも設計基準点を通る垂直線の左右で異なる非球面を与えることにより眼鏡レンズ全体の収差を良好に補正する。第2ステップと第3ステップは逆にすることも可能であり、また、どちらか一方のみを行うことも可能である。
また、眼鏡フレームが眼鏡レンズに傾斜角を与える場合には、そり角によって生じる収差の補正に加えて、傾斜角によって生じる乱視の屈折力を設計基準点において相殺するように乱視の屈折力を付加し、更に、傾斜角によって生じるプリズム屈折力を設計基準点において相殺するようにプリズム屈折力を付加すると共に、設計基準点を境にして少なくとも設計基準点を通る水平線の上下で異なる非球面を与えることにより眼鏡レンズ全体の収差を良好に補正することができる。
なお、傾斜角は一般に小さいため、設計基準点における収差補正を省略し、設計基準点を境にして少なくとも設計基準点を通る水平線の上下で異なる非球面を与えるだけで眼鏡レンズ全体の収差を良好に補正することが可能である。
設計基準点は任意の位置を設定できるが、通常は、眼鏡装用者が自然な姿勢で遠方を見ているときの視線のレンズ上での通過地点であるアイポイントを選定する。設計基準点は眼球側の屈折面と物体側の屈折面のどちらにあってもよい。収差とプリズム屈折力は、眼鏡レンズが眼鏡フレームで固定されるそり角及び傾斜角並びに眼鏡レンズの度数によって変動する。そのため、設計基準点でこれらのそり角、傾斜角、度数による収差を補正する必要がある。
そり角と傾斜角によって生じる乱視の屈折力を相殺するように乱視の屈折力を付加する屈折面は、物体側の屈折面と眼球側の屈折面のいずれでもよい。その場合の付加するトーリック面の最大の屈折力を有する面の軸は、眼鏡レンズを傾ける時に軸とした方向であり、そり角の場合は設計基準点を通る垂直線であり、傾斜角の場合は設計基準点を通る水平線である。
また、そり角と傾斜角によって生じるプリズム屈折力を相殺するようにプリズム屈折力を付加する屈折面は物体側の屈折面と眼球側の屈折面のいずれでもよい。付加するプリズム屈折力は、そり角の場合は鼻側が基底方向になるように、傾斜角の場合は上側が基底方向となるように屈折面を設計基準点を中心にして傾斜させる。
物体側の屈折面に乱視の屈折力を付加し、眼球側の屈折面にプリズム屈折力を付加するようにしてもよく、あるいはこれらを逆にしてもよい。更に、眼球側の屈折面に乱視の屈折力とプリズム屈折力の両方を付加し、これらの屈折力を合成した屈折面とするようにしてもよい。
設計基準点におけるそり角と傾斜角によって生じる乱視とプリズムの収差を補正しても、眼鏡レンズ全体では、視線に対して左右方向及び上下方向で傾斜している眼鏡レンズでは、設計基準点の左右方向と上下方向で視線に対する傾斜角度が非対称となるため、完全に補正することはできない。
そのため、眼鏡フレームがそり角だけを有する場合には、設計基準点を通る垂直線を境にして少なくとも鼻側と耳側とで異なる相互に異なる非球面を物体側の屈折面又は眼球側の屈折面に与えることによって補正を行う。また、眼鏡フレームが傾斜角も有する場合には、鼻側と耳側の非対称に加えて設計基準点を通る水平線を境にして上側と下側とで相互に異なる非球面を物体側の屈折面又は眼球側の屈折面に与えることが好ましい。相互に異なる非球面とは、曲率の変化のし方が異なる非球面であり、鼻側と耳側、或いは上側と下側で与えられる各非球面はおのおの、少なくとも1つの非球面式で表される曲面である。
次式は非球面式の一例である。
Figure 2006267163
但し、zは曲面の座標値、rは光軸と直交する方向における光軸からの距離、cはレンズ頂点における曲率、k、Aはそれぞれ非球面係数である。鼻側と耳側、或いは上側と下側で与えられる各非球面が各々1つの非球面式によって表される場合、曲率の変化のしかたが異なる非球面とは、異なる非球面係数を有する同一の非球面式で表される非球面や、異なる定義式で表される非球面から選ばれる非球面のことである。また、鼻側と耳側、或いは上側と下側で与えられる各非球面が各々2つ以上の非球面式によって表される場合、曲率の変化のし方が異なる非球面とは設計基準点を通る垂直線或いは水平線に対し軸対称な位置において、非球面を表す非球面式が同一の定義式で表され且つ異なる非球面係数を有する非球面や、異なる定義式で表される非球面である部分を持つ非球面であっても良い。
図2(c)に、右目用の眼鏡レンズにおける非球面を与える区分を示す。説明の便宜上眼鏡レンズの中心にアイポイントの設計基準点Sが設定されている。そり角のみを考慮する場合は、この設計基準点Sを通る垂直線(Y軸)を境にして鼻側と耳側の2分割された領域で相互に異なる非球面式で非対称に非球面を与える。上下方向に対しては同じ非球面式を用いて対称的に非球面を与える。また、傾斜角も考慮するときには、この2分割に加えて、設計基準点Sを通る水平線(X軸)を境にして上側と下側の2分割された領域を加えて4分割された領域にそれぞれ異なる非球面係数を有する非球面式で非球面を与えるようにする。勿論、これらの左右非対称と上下非対称の4つの非対称区分をそれ以上の区分に分割し、それぞれに異なる非球面式で表される非球面を与えるようにしてもよい。
このような設計方法は、単焦点屈折力を有する眼鏡レンズ及び累進屈折力を有する眼鏡レンズの両方に適用することができる。図1に示したようなそり角が大きいラップアラウンド型の眼鏡フレームに組み込まれたときに、最適な光学性能を発揮するように設計された眼鏡レンズは、設計基準点を通る垂直線を境にして左右が非対称の屈折力を有し、更に、設計基準点を通る水平線を境にして上下が非対称の屈折力を有する。そのため、単焦点レンズであっても、累進屈折力レンズのように方向性が生じる。
このような眼鏡レンズを実際にラップアラウンド型の眼鏡フレームに組み込むときには、眼鏡フレームに嵌め込む形状に玉型加工を行う必要がある。ところが、そり角が大きい眼鏡フレームに組み込むときに眼鏡レンズが視線に対して斜めになっていることから、眼鏡フレームに正確に位置決めして組み込むために、玉型加工の位置精度を確保する必要がある。玉型加工の位置精度を確保するための方法について図3〜図5を参照して説明する。図3は眼球とレンズの位置関係を示す概念図であり、図4は斜めになっている眼鏡レンズの拡大図であり、図5はマークを設けた左右の眼鏡レンズを正面側から見た正面図である。
図3に示すように、眼鏡レンズを眼鏡フレームに組み込むときには、装用者の瞳孔間距離PDの値が必要である。視線に対して眼鏡レンズが斜めになっていると、瞳孔に入る光線は眼鏡レンズで耳側から鼻側へ屈折される結果、瞳孔間距離PDに誤差が生じる。そのため、瞳孔間距離PDの誤差を修正した玉型加工のための加工基準点と方向を示す必要がある。
図4を参照すると、眼鏡装用者が自然な姿勢で遠方を見ているときの視線が、瞳孔pと眼鏡レンズ1の眼球側(内面側)屈折面との交点aを結ぶ光線で示されている。この光線は眼鏡レンズ1で耳側へ屈折されて眼鏡レンズの物体側(外面側)の屈折面のb点からpaを結ぶ線と平行光線となって眼鏡レンズ1から出射する。a点が眼球側の屈折面におけるアイポイントである。c点はa点における屈折面に垂直な直線と交差する物体側の屈折面上の点であり、通常の外面中心点である。ac間はアイポイントにおける眼鏡レンズ1の厚みtである。c点での接線Bは角度θでそり角180°を示す一点鎖線Aと交差する。この角θは(そり角−180)/2で定義される片側そり角に対し多少小さいがほぼ一致する。以下、角θは片側そり角として扱う。
設計基準点を眼球側の屈折面のアイポイントであるa点とした場合の瞳孔間距離PDは左右の眼鏡レンズ1のa点間の距離である。玉型加工では、物体側の屈折面が眼鏡フレームに見かけよく組み込まれる必要があるため、通常物体側の屈折面が基準面となり、物体側の屈折面上に加工基準点が設けられる。通常の眼鏡レンズにおいては眼球側屈折面のアイポイントと対応する物体側の屈折面における外面中心点のc点がフィッティングポイント(加工基準点)となり、瞳孔間距離PDの基準点となるが、片側そり角θの眼鏡フレームに組み込まれた眼鏡レンズ1では、c点はa点を中心として角度θだけ回転したと同じ状態となり、水平方向でa点から距離αの分だけ外側(耳側)へ変位している。従って、左右のレンズのc点間の距離を瞳孔間距離PDとして眼鏡フレームに組み込んでしまうと、実際の瞳孔間距離はPD−2αとなり、誤差が生じる。物体側の屈折面において水平方向へ距離αの分だけc点より内側(鼻側)へ変位させたd点間の距離を瞳孔間距離PDとして眼鏡フレームに組み込む(d点を加工基準点として設定する)必要がある。距離α=t×sinθで表される。例えば、片側そり角θが15°でレンズ厚tが4mmの場合、距離αは、1.0mmである。
また、傾斜角があるときには、そり角と同様に、図4の左右方向を左側が上側となる上下方向と置き換えることができる。傾斜角φとすると、図4のθをφに置き換えることができるので、物体側の屈折面のc点はt×sinφの距離の分だけ下側へ変位した位置になるため、下側へ変位している分の距離だけ上側へ変位させた修正点を加工基準点として設定する必要がある。
単焦点レンズの場合、通常は方向性がなく、位置決めのためのマークは不要であるが、そり角が大きい眼鏡フレームに組み込んだときの収差を補正した眼鏡レンズには上述したように方向性が生じる。方向性がある単焦点レンズの玉型加工の加工基準点と方向を示すマークを物体側の屈折面に設ける。その加工基準点は図4に示したd点である。
単焦点レンズに設けるマークとして、図5に示すようなマークを例示することができる。玉型加工の加工基準点と方向を示すマークは任意の記号とすることができるが、図5に示すマークは、2つのS字のロゴを水平方向に沿って並べられ、鼻側のS字の下方には例えば物体側の屈折面の曲率を屈折力で表した数字のマークが設けられている。これらの3つのマークは隠しマークになっている。2つのロゴSの中間が玉型加工の加工基準点であり、図面ではそれぞれ一点鎖線の水平線と垂直線の交点で示されている。2つのロゴSの方向が水平方向を示し、数字と2つのロゴSの3つのマークの位置関係から、レンズの上下方向とレンズの右目用と左目用を区別することができる。2つのロゴSの間の距離は任意である。
累進屈折力レンズの場合、ISOやJISの規定によりアライメント基準マークを設けることが義務づけられている。そのアライメント基準マークはレンズ上に水平距離で34mm離れて2箇所と決められている。アライメント基準マークは視野に入る部分に設けられるため、目立たないように隠しマークとして形成される。そのため、物体側の屈折面にアライメント基準マークをそのまま玉型加工の加工基準点と方向を示すマークとして利用できる。但し、その位置は、水平方向では、図4に示した従来のc点ではなく、内側(鼻側)へ距離αだけ変位した点dを示すように配置する。また、垂直方向では、傾斜角φとすると、t×sinφの距離だけ上側へ変位させた点を示すように配置する。
図5は、累進屈折力レンズの物体側の屈折面に設けたマークの例も示している。単焦点レンズと同様に、2つのS字のロゴのマークを水平方向に沿って並べられ、鼻側のS字の下方には例えば物体側の屈折面の曲率を屈折力で表した数字のマークが設けられている。2つのロゴの中間が玉型加工の加工基準点である。2つのロゴの方向が水平方向を示し、数字と2つのロゴSの3つのマークの位置関係から、レンズの上下方向とレンズの右目用と左目用を区別することができる。2つのロゴSのマークの中心間の距離は34mmである。そり角が180°の眼鏡フレームに組み込むときの通常の元のフィッティングポイントを十字の破線で示す。図5に示す元のフィッティングポイントは加工基準点からやや極端に離れているように示されている。そり角と傾斜角を考慮して補正された加工基準点は元のフィッティングポイントから水平方向においては鼻側へ、垂直方向においては上側へ変位された位置にそれぞれ修正されている。
玉型加工の加工基準点と方向を示すマークは公知のマーキング方法で設けることができる。例えば、プラスチックレンズを注型重合する際に型からの転写で設ける方法、ダイヤモンドペンなどで描く罫書き方法、レーザー光線で描く方法などいずれの方法でもよい。いずれの方法でも目立たないように隠しマークとして設けることが好ましい。隠しマークは、通常は見えないが、光源にかざすようにすると見えるようになる、視野を妨げない薄いマークである。
物体側の屈折面にマークで玉型加工の加工基準点と方向が示された眼鏡レンズは、玉型加工の際に検出され、正確に位置決めされて玉型加工されることにより、そり角の大きな眼鏡フレームに組み込まれたときに、そり角によって生じる収差の補正が確実に発揮される。
以上の本発明の説明ではフレームのそり角あるいはそり角および傾斜角から求められた玉型加工時の加工基準点と方向を示すマークを物体側(外面側)の屈折面に設けたものについて説明してきたが、加工基準点でのレンズの厚みが例えば2mm以下と薄い場合にはそのマークを眼球側(内面側)の屈折面に設けても、実用上で問題にならない精度での玉型加工時の位置決めしての組み込みが可能である。なお、その場合のマークは図4のa点を加工基準点として示すことになる。
本発明の眼鏡レンズは、ラップアラウンド型フレーム等のそり角が大きい眼鏡フレームに組み込まれて眼の保護と矯正をする分野に利用可能である。
ラップアラウンド型の眼鏡フレームを示す斜視図。 (a)はそり角、(b)は傾斜角、(c)は座標系を示す概念図。 眼球とレンズの位置関係を示す概念図。 そり角によって生じる位置の誤差を説明する概念図。 眼鏡レンズに設けるマークの一例を示す正面図。
符号の説明
1:眼鏡レンズ、PD:瞳孔間距離

Claims (6)

  1. そり角が200°以上の眼鏡フレームに組み込まれる単焦点屈折力を有する眼鏡レンズにおいて、
    前記眼鏡フレームのそり角あるいは、そり角及び傾斜角に基づき求められた、前記眼鏡フレームに組み込まれるための玉型加工時に用いる加工基準点と、前記眼鏡レンズの上下左右の方向を示すマークとが、前記眼鏡レンズの物体側の屈折面に設けられていることを特徴とする眼鏡レンズ。
  2. 請求項1記載の眼鏡レンズにおいて、
    設計基準点を通る垂直線を境にして左右が非対称の屈折力を有することを特徴とする眼鏡レンズ。
  3. 請求項2記載の眼鏡レンズにおいて、
    更に、設計基準点を通る水平線を境にして上下が非対称の屈折力を有することを特徴とする眼鏡レンズ。
  4. そり角が200°以上の眼鏡フレームに組み込まれる眼鏡レンズにおいて、
    物体側の屈折面に、眼鏡フレームに組み込まれるための玉型加工の加工基準点と方向を示すマークが設けられ、前記加工基準点が、眼球側の屈折面に設けられたアイポイントに対応する前記眼鏡レンズの物体側の屈折面上の点より鼻側へ変位した位置であることを特徴とする眼鏡レンズ。
  5. 請求項4記載の眼鏡レンズにおいて、
    前記加工基準点の位置の鼻側への変位量が、前記アイポイントにおけるレンズの厚みと前記眼鏡フレームのそり角とに基づいていることを特徴とする眼鏡レンズ。
  6. そり角が200°以上の眼鏡フレームに組み込まれる単焦点屈折力を有する眼鏡レンズにおいて、
    前記眼鏡フレームのそり角あるいはそり角及び傾斜角に基づき求められた、前記眼鏡フレームに組み込まれるための玉型加工時に用いる加工基準点と、前記眼鏡レンズの上下左右の方向を示すマークとが、前記眼鏡レンズの眼球側の屈折面に設けられていることを特徴とする眼鏡レンズ。
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