JP2010106394A - 塗工紙用原紙およびそれを用いた塗工紙 - Google Patents

塗工紙用原紙およびそれを用いた塗工紙 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、高収率パルプが配合された紙を塗工紙用原紙として使用する際に、嵩高感に優れると共に、耐刷性に優れ、印刷後の印刷物表面のラフニングが少ない塗工紙を提供することができる。
【解決手段】(1)アルカリ物質を添加してpH9〜12に調整したカルボキシメチルセルロース分散液をカルボキシメチルセルロース固形分換算で対パルプ0.1〜0.7質量%添加した後、叩解処理した高収率パルプを全パルプの3〜20質量%含有する塗工紙用原紙、(2)カルボキシメチルセルロースのエーテル化度が、0.70以下であることを特徴とする上記(1)記載の塗工紙用原紙、(3)上記(1)または(2)記載の塗工紙用原紙を用いた塗工紙である。
【選択図】なし

Description

本発明は、嵩高感に優れると共に、耐刷性に優れ、印刷時における印刷面の繊維にそった粗面化(以下、ラフニングという)が発生しない塗工紙が得られる塗工紙用原紙、およびこの塗工紙用原紙を用いた塗工紙に関するものである。
近年の商業用印刷においては、作業性の観点から、オフセット輪転印刷が占める割合が高まっている。同時に、印刷物の軽量化が、コスト削減、廃棄物減の観点から望まれている。一般に、嵩高感のある塗工紙を提供するためには、塗工紙の密度を1.00g/cm以下にするのが望ましい。密度を1.00g/cm以下の塗工紙を提供するためには、塗工紙に使用される原紙を低密度に仕上げることが有効である。
低密度の原紙を提供する方法としては、疎水性基を有した化合物を添加し、繊維間の結合を阻害して嵩高さを発現させる方法や抄造の際に低密度な嵩高填料を含有し抄紙することが開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、これらの手段は、紙表面の強度を下げやすく、耐刷性に劣る。また、機械パルプなどの高収率パルプを配合し、嵩高さを発現させることも可能である。しかしながら、高収率パルプを配合した紙を原紙にした塗工紙においても、紙表面の表面強度が弱く、耐刷性に劣る傾向にあると共に、印刷時における印刷機で使用する湿し水や乾燥熱の影響によって、繊維の形にそった粗面化が発生し、印刷物の外観を損なう「ラフニング」と称する現象が発生しやすい。
高収率パルプを配合した紙において、耐刷性が劣り、「ラフニング」が発生しやすい原因としては、高収率パルプの繊維間同士の結合力が、BKP(漂白されたクラフトパルプ)に比較して低いことが原因と考えられる。
パルプの繊維間の結合力を高めるためには、一般に叩解機での叩解強度を上げる手段がとられるが、高収率パルプは、BKP(漂白されたクラフトパルプ)のように、叩解強度を強めても繊維間結合強度は改善されない。この理由としては、高収率パルプの繊維に残るリグニン成分のような疎水性成分が、繊維間での水素結合を阻害するためと考えられる。また、カチオン化澱粉やポリアクリルアミドに代表されるような薬品をパルプに添加し、繊維間の結合力を上げる方法があるが、耐刷性や「ラフニング」の改良において充分な改良効果が得られなかった。
以上述べたように、嵩高感に優れると共に、耐刷性に優れ、印刷後の印刷物表面のラフニングの少ない塗工紙が得られる塗工紙用原紙はなかった。
特公昭52−39924号公報
本発明の目的は、嵩高感に優れると共に、耐刷性に優れ、印刷後の印刷物表面のラフニングが少ない塗工紙が得られる塗工紙用原紙およびそれを用いた塗工紙を提供することである。
本発明者らは、かかる問題点について鋭意研究した結果、以下の発明を見出した。
即ち、(1)アルカリ物質を添加してpH9〜12に調整したカルボキシメチルセルロース水溶液をカルボキシメチルセルロース固形分換算で対パルプ0.1〜0.7質量%添加した後、叩解処理した高収率パルプを全パルプの3〜20質量%含有する塗工紙用原紙、
(2)カルボキシメチルセルロースのエーテル化度が、0.70以下であることを特徴とする上記(1)記載の塗工紙用原紙、
(3)上記(1)または(2)記載の塗工紙用原紙を用いた塗工紙、である。
本発明により、嵩高感に優れると共に、耐刷性に優れ、印刷後の印刷物表面のラフニングが少ない塗工紙を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明者らは、高収率パルプの繊維間結合を形成する能力を改善させる手段について検討し、高収率パルプ繊維の表面をカルボキシメチルセルロース(以下、CMCと表記する)で被覆させることで、高収率パルプ繊維同士、高収率パルプと他の繊維との繊維間結合を改善させることができることを見出し、さらに、高収率パルプとCMC処理する条件について検討を行った。
CMC水溶液のpHをアルカリ条件にもっていくことで、CMCの溶解性は向上し、パルプ繊維との接触確率が向上すると考えられる。そして、pHを9〜12に調整することで、パルプ繊維との混合性がよくなる。CMC水溶液のpHが9未満の場合には、CMCのミクロなレベルでの溶解性が悪化し、繊維間結合の改善効果が充分ではない。CMC水溶液のpHを12よりも高くした場合には、CMCの溶解性は充分であるが、高収率パルプの変色を引き起こす。
高収率パルプにアルカリ性のCMC水溶液を添加し、次いで叩解処理を施すことで、パルプ繊維とCMCとの接触回数を上げ、また、高収率パルプ繊維のルーメン内にも効率良くCMCを付着させることができ、その結果、白色度の低下を抑えながら高収率パルプ繊維の表面改質を行うことができる。
本発明における高収率パルプに添加するCMCの量は、対高収率パルプ0.1〜0.7質量%である。CMCの添加量が対高収率パルプ0.1質量%未満では、高収率パルプの繊維表面の改質が充分でなく、耐刷性やラフニングの改良効果が充分ではない。CMCの添加量が対高収率パルプ0.7質量%を超えると、高収率パルプの繊維間の結合力が強すぎてしまい、その結果、嵩高さが失われてしまう。
高収率パルプにアルカリ性のCMC水溶液を添加し、次いで叩解処理を施す場合、叩解を進めると高収率パルプの繊維間の結合力が高まっていく。しかし、叩解を進めすぎると、嵩高感が失われていく。本発明の高収率パルプの叩解処理の程度としては、カナデイアン濾水度で400〜460mlCSFが好ましい。
次いで、本発明の塗工紙の嵩高感・白色度・ラフニングの各項目を向上させることができるCMC処理高収率パルプ繊維の配合率に関して検討を行った。そして、本発明において、CMC処理高収率パルプの配合率は、全パルプに対して3〜20質量%である。CMC処理高収率パルプの配合率が、全パルプに対して3質量%未満の場合には、嵩高感がでない。また、CMC処理高収率パルプの配合率が、全パルプに対して20質量%を超える場合には、嵩高効果が飽和すると共に、白色度を低下させ、製品価値が低下する。
さらに、本発明者らは、CMCのエーテル化度と塗工紙の耐刷性、ラフニングの改良効果に関して検討した結果、エーテル化度0.70以下のCMCを使って表面処理された高収率パルプを配合することで、CMCとパルプ繊維との親和性がよくなり、塗工紙表面の耐刷強度に優れ、ラフニングの程度の良好な塗工紙を提供することが可能であることを見出した。
本発明における高収率パルプとは、TMP、CTMP、BCTMP、GP、RGP、CGP等のパルプが挙げられ、必要に応じて1種類以上を併用して用いられる。
高収率パルプの他の抄紙用パルプとしてはLBKP、NBKP、LBSP、NBSP、各種の古紙やケナフ等の非木材繊維が挙げられ、必要に応じて1種類以上を併用して用いられる。
本発明に用いられる原紙に内添する填料は特に限定されるものではなく、公知の填料の中から適宜選択して使用することができる。このような填料としては、例えばタルク、カオリン、イライト、クレー、炭酸カルシウム、二酸化チタンなどの無機填料、およびプラスチックピグメントのような有機填料等を挙げることができる。本発明においてはカオリン、イライト、炭酸カルシウムを単独または2種類以上を併用して用いることが特に好ましい。紙中の灰分に特別制限はないが、不透明度、白色度、印刷適性を考慮すると、5〜20質量%の範囲が好ましい。
また、本発明に用いられる内添サイズ剤は特に限定されるものではなく、公知の内添サイズ剤の中から適宜選択して使用することができる。好ましい内添サイズ剤としては、例えば、アルキルケテンダイマー系、アルケニル無水コハク酸系、強化ロジン系、ロジンエマルジョン系サイズ剤等を挙げることができる。内添サイズ剤の使用量は、特に限定されないが、パルプ当たり0.05〜0.6質量%の範囲が好ましい。
本発明の原紙の表面には、表面強度を改善する目的で、結着剤を塗布することができる。結着剤の種類としては、原紙との接着力が強くしかも原紙間のブロッキングを起こさなければ特に限定されるものではない。このような結着剤としては、酸化デンプン、エステル化デンプン、酵素変性デンプン、カチオン化デンプンなどのデンプン類、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、カゼイン、大豆タンパク質類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体等が挙げられる。また必要に応じて、例えばスチレン−アクリル樹脂、イソブチレン−無水マレイン酸樹脂、アクリルエマルジョン、酢酸ビニルエマルジョン、ポリエステルエマルジョン、スチレン−ブタジエンラテックス、アクリルニトリルブタジエンラテックス等の水分散性樹脂や、さらに消泡剤、表面サイズ剤、水溶性高分子の耐水化剤、pH調整剤、色相を調整するための染料や有色顔料、蛍光染料等を本発明の効果を損なわない範囲内で適宜併用することが可能である。
本発明の原紙の表面には、塗工液が塗工される。塗工液に用いられる顔料としては、例えば、カオリン、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、湿式粉砕重質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウムとタルクまたは軽質炭酸カルシウムとタルク、または軽質炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、カオリン、サチンホワイトなどの混合粉砕物、クレー、サチンホワイト、タルク、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、シリカ、焼成カオリン、酸化亜鉛、活性白土、珪素土、レーキ、プラスチックピグメントなどが挙げられる。
本発明において、塗工液に用いられる接着剤としては、特に制限されるものでなく、公知の接着剤を用いることができる。例えば、スチレン−ブタジエン系、スチレン−アクリル系、酢酸ビニル−アクリル系、ブタジエン−メチルメタクリル系などの各種共重合体ラテックス、およびポリビニルアルコール、酸化澱粉、エステル化澱粉、熱化学変性澱粉、酵素変性澱粉やそれらをフラッシュドライして得られる冷水可溶性澱粉、カゼイン、デキストリンなどから選択して単独または2種類以上を混合して使用することができる。
本発明において、塗工液を本発明による原紙に塗工する方法には特に制限はなく、ブレードコーター、エアナイフコーター、フィルムプレスコーター、カーテンコーターなどが選択できる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部および%は、特に指定のない限り、すべて質量部および質量%を示す。
実施例1
<CGPの調成>
チップであるユーカリグロビュラスを亜硫酸ナトリウム(NaSO)が主である蒸解液を用い、蒸解温度160℃、蒸解時間25分の条件により蒸解後、加圧リファイナーによって解繊した。さらに、常圧リファイナーにより解繊を進め、最終的に濾水度500mlCSFのCGPスラリーを作製した。
<CGPのCMC処理>
第一工業社製CMC「SGセロゲンWS−A」(エーテル化度0.75)の濃度3%の水溶液を70℃に加温した後、水酸化ナトリウムを添加してpHを10.5に調整した。このCMC水溶液を上記の濃度2%に調整したCGPスラリーに、CMC固形分の量が対パルプ0.10%になるように添加した後、ナイアガラビーターで濾水度が420mlCSFになるように叩解した。
上述により得られたCMC処理高収率パルプ10%、濾水度450mlCSFのLBKP80%、濾水度420mlCSFのNBKP10%を配合し、濃度0.5%に調整したパルプに、全パルプ100%に対して、下記の薬品を配合し調製したパルプスラリーを用いて坪量44g/mの原紙を抄紙した。
<内添薬品配合>
硫酸バンド 1.0%
軽質炭酸カルシウム(商品名:TP121、奥多摩工業社製) 10.0%
カチオン化澱粉(商品名:ネオタック40T、日本食品加工社製) 0.8%
AKDサイズ剤(商品名:サイズパインK−903−20、荒川化学社製) 0.1%
歩留まり剤(商品名:ハイモロックNR11LS、ハイモ社製) 0.01%
続いて、上記原紙に下記配合による固形分濃度64%の塗工液を片面当たり乾燥固形分で5g/mをワイヤーバーで両面塗工し、乾燥して塗工紙を得た。
<塗工液配合>
重質炭酸カルシウム(商品名:カービタル90、イメリス社製) 40部
カオリン(商品名:ウルトラホワイト90、エンゲルハルト社製) 60部
リン酸エステル化澱粉(商品名:MS4600、日本食品化工社製) 3部
スチレン・ブタジエン系ラテックス
(商品名:ペーパーコーティング用ラテックス0695、JSR社製) 12部
ステアリン酸カルシウム 0.6部
次いで、金属ロールの温度を90℃、弾性ロールのショアー硬度が90のラボソフトカレンダーで表裏1回ずつ金属ロール面が当たるようにしてソフトカレンダー処理を行い、実施例1の塗工紙を得た。
実施例2
CGPに対する添加するCMCの固形分量を、対パルプ0.30%に変更した以外は、実施例1の条件にしたがって、実施例2の塗工紙を得た。
実施例3
CGPに対する添加するCMCの固形分量を、対パルプ0.50%に変更した以外は、実施例1の条件にしたがって、実施例3の塗工紙を得た。
実施例4
CGPに対する添加するCMCの固形分量を、対パルプ0.70%に変更した以外は、実施例1の条件にしたがって、実施例4の塗工紙を得た。
実施例5
CMC水溶液のpHを9に調整した以外は、実施例3の条件にしたがって、実施例5の塗工紙を得た。
実施例6
CMC水溶液のpHを12に調整した以外は、実施例3の条件にしたがって、実施例6の塗工紙を得た。
実施例7
パルプ配合をCMC処理高収率パルプ3%、LBKP87%、NBKP10%に変更した以外は、実施例3の条件にしたがって、実施例7の塗工紙を得た。
実施例8
パルプ配合をCMC処理高収率パルプ15%、LBKP75%、NBKP10%に変更した以外は、実施例3の条件にしたがって、実施例8の塗工紙を得た。
実施例9
パルプ配合をCMC処理高収率パルプ20%、LBKP70%、NBKP10%に変更した以外は、実施例3の条件にしたがって、実施例9の塗工紙を得た。
実施例10
CGPのCMC処理後の濾水度を480mlCSFとした以外は、実施例3の条件にしたがって、実施例10の塗工紙を得た。
実施例11
CGPのCMC処理後の濾水度を460mlCSFとした以外は、実施例3の条件にしたがって、実施例11の塗工紙を得た。
実施例12
CGPのCMC処理後の濾水度を400mlCSFとした以外は、実施例3の条件にしたがって、実施例12の塗工紙を得た。
実施例13
CGPのCMC処理後の濾水度を380mlCSFとした以外は、実施例3の条件にしたがって、実施例13の塗工紙を得た。
実施例14
CMCを第一工業社製「SGセロゲンWS−C」(エーテル化度0.65)に変更した以外は、実施例2の条件にしたがって、実施例14の塗工紙を得た。
実施例15
CMCを第一工業社製「SGセロゲンWS−C」(エーテル化度0.65)に変更した以外は、実施例3の条件にしたがって、実施例15の塗工紙を得た。
実施例16
CMCを第一工業社製「SGセロゲンWS−C」(エーテル化度0.65)に変更した以外は、実施例4の条件にしたがって、実施例16の塗工紙を得た。
実施例17
CMCを第一工業社製「SGセロゲン3H」(エーテル化度0.50)に変更した以外は、実施例3の条件にしたがって、実施例17の塗工紙を得た。
比較例1
CGPにCMCを添加せずに叩解処理して、濾水度を420mlCSFにした以外は、実施例3の条件にしたがって、比較例1の塗工紙を得た。
比較例2
CMC水溶液のpHを8.0に調整した以外は、実施例3の条件にしたがって、比較例2の塗工紙を得た。
比較例3
CMC水溶液のpHを12.5に調整した以外は、実施例3の条件にしたがって、比較例3の塗工紙を得た。
比較例4
CGPのCMC処理において、添加するCMCの固形分量を対パルプ0.04%に変更した以外は実施例3の条件にしたがって、比較例4の塗工紙を得た。
比較例5
CGPのCMC処理において、添加するCMCの固形分量を対パルプ1.00%に変更した以外は実施例3の条件にしたがって、比較例5の塗工紙を得た。
比較例6
CGPのCMC処理において、CMC水溶液の添加をCGPの叩解前から叩解後に変更した以外は実施例3の条件にしたがって、比較例6の塗工紙を得た。
比較例7
パルプ配合をCMC処理高収率パルプ2%、LBKP88%、NBKP10%に変更した以外は実施例3の条件にしたがって、比較例7の塗工紙を得た。
比較例8
パルプ配合をCMC処理高収率パルプ22%、LBKP68%、NBKP10%に変更した以外は、実施例3の条件にしたがって、比較例8の塗工紙を得た。
以上、実施例1〜17の塗工紙と比較例1〜8の塗工紙について、密度、白色度、耐刷性、ラフニングを評価した。各特性については、以下の方法で評価を行った。
<密度>
密度は、嵩高の指標として採用し、JIS P8118に準拠して測定した。密度1.00g/cm以下を発明の対象とした。
<白色度>
白色度は、JIS P8148に準拠して測定した。白色度としては、85.0%以上を発明の対象とした。
<耐刷性>
印刷時のブランケットへの紙粉付着の指標として、「RI−1型印刷試験器」にてドライピックを下記の条件にて評価した。評価用インキとして、大日本インキ社製「IGT測定用インキTV.20」1.0cc、ドラム回転数は60rpmで紙面の面のムケ具合を評価した。印刷後の見本を目視評価し、面ムケが全くないものを「5」、面ムケが極少のものを「4」、若干の面ムケ等があるが、問題なく使用できると思われるものを「3」、面ムケが見られる箇所が印刷面にわたって点在し、印刷物の品質を落とすものを「2」、面ムケが多く生じ、使用するには問題が生じると思われるものを「1」とした。実使用上問題なく使用できるものは「3」以上である。
<ラフニング>
台紙となる塗工紙の表面に評価用のサンプルを貼り付け、実際のオフセット印刷機にて印刷を行い、印刷から24時間後の印刷面の凹凸の様子を観察し、評価を行った。ラフニングの程度については、印刷面に繊維にそった浮き上がり、凹凸がないものを「5」、僅かながら繊維にそった浮き上がり、凹凸がみられるものを「4」、印刷面に繊維にそった浮き上がり、凹凸がみられるものの、がさつき感を感じない程度のものを「3」、印刷物をみた際にがさつき感を感じるものを「2」、繊維の浮き上がり、凹凸がはっきりとみられ、がさつき感を強く感じるものを「1」とした。実使用上問題なく使用できるものは、「3」以上である。
以上の評価方法によって評価した結果を表1に示す。
Figure 2010106394
<総合評価>
実施例1〜4と比較例1、4、5を比較すると、CMCを対CGP0.1〜0.7質量%添加し、叩解処理して得られたCMC処理高収率パルプが配合された原紙を使うことで、耐刷性・ラフニングに優れた塗工紙を提供することができることがわかる。
実施例3、5、6と比較例2、3を比較すると、CMC水溶液のpHを9〜12に調整することで、白色度の低下を抑えつつ、耐刷性・ラフニングを改良することができることがわかる。
実施例3、7〜9と比較例7、8を比較すると、塗工紙用原紙を抄造する際に、CMC処理高収率パルプを全パルプ量に対して3〜20質量%配合することで、嵩高感があり、白色度、耐刷性、ラフニングに優れた塗工紙を提供することができることがわかる。
実施例3と比較例6を比較すると、CGPのCMC処理の際、叩解処理前にCMCを添加することが、耐刷性・ラフニングを改良する効果に有効であることがわかる。
実施例3、10〜13を比較すると、CMCを高収率パルプに配合した後に、叩解処理する程度によって、耐刷性・ラフニングの程度が異なり、叩解処理程度を進めるほど、耐刷性・ラフニングが改良される。しかし、叩解程度は、紙の密度をみながら適宜調整する必要がある。
実施例3、15、17を比較すると、エーテル化度が0.70以下のCMCを使用することで耐刷性・ラフニングの程度が改良されることがわかる。
本発明の塗工紙用原紙を塗工紙に使用することにより、嵩高感に優れると共に、耐刷性に優れ、印刷後の印刷物表面のラフニングが少ない塗工紙を提供することができる。

Claims (3)

  1. アルカリ物質を添加してpH9〜12に調整したカルボキシメチルセルロース水溶液をカルボキシメチルセルロース固形分換算で対パルプ0.1〜0.7質量%添加した後、叩解処理した高収率パルプを全パルプの3〜20質量%含有する塗工紙用原紙。
  2. カルボキシメチルセルロースのエーテル化度が、0.70以下であることを特徴とする請求項1記載の塗工紙用原紙。
  3. 請求項1または2記載の塗工紙用原紙を用いた塗工紙。
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