JP2010106335A - 鍛造用マグネシウム合金 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた機械的特性と鍛造性とを備える鍛造用マグネシウム合金及びその製造方法を提供する。
【解決手段】鍛造用マグネシウム合金は、全量に対し、6〜10重量%のAlと、0.4〜2重量%のZnと、0.05〜0.3重量%のMnと、0.4〜1.5重量%のCaと不可避的不純物とを含む鋳造体であって、デンドライトアーム間隔が0.5〜15μmであり、晶出物の粒子径が1〜10μmである。鍛造用マグネシウム合金は、全量に対し、0.01〜0.3重量%のSbまたは0.006〜0.2重量%のBeを含んでもよく、全量に対し、1.2重量%以下のCeを含んでもよい。鍛造用マグネシウム合金の製造方法は、全量に対し、6〜10重量%のAlと、0.4〜2重量%のZnと、0.05〜0.3重量%のMnと、0.4〜1.5重量%のCaと不可避的不純物とを含むマグネシウム合金を鋳造し、得られた鋳造体を12〜40℃/秒の速度で冷却する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば自動車、鉄道車両等の部品等の製造に用いられる鍛造用マグネシウム合金に関する。
自動車を軽量化して、燃費削減、排ガス量低減等を図るために、ホイール、サスペンションアーム等の部品にアルミニウム合金が用いられている。また、さらに自動車を軽量化するために、前記自動車の部品にマグネシウム合金を用いることが検討されている。マグネシウムの比重は1.8であり、アルミニウムの比重が2.7であるのに比較してさらに小さく、現在実用化されている金属材料の中では最も小さいことが知られている。
前記自動車の部品等に用いられるマグネシウム合金は、ほとんどが鋳造材として用いられている。これは、鍛造用マグネシウム合金の素材が入手困難であり、高価であるためであると考えられる。
ところが、マグネシウム合金の鋳造材は、前記自動車の部品等に用いるには、十分な強度が得られないことがある。そこで、鋳造したマグネシウム合金素材を鍛造に用いることが試みられており、例えば、6〜12重量%のアルミニウムを含むマグネシウム合金の鋳造体を鍛造用マグネシウム合金として用いる技術が知られている(特許文献1参照)。
前記技術において、6〜12重量%のアルミニウムを含む前記マグネシウム合金としては、例えば、JISに規定されるAZ80合金を挙げることができるとされている。前記AZ80合金は、例えば、アルミニウム8.0重量%、亜鉛0.67重量%、マンガン0.21重量%、ケイ素0.042重量%、鉄0.002重量%、銅0.005重量%、ニッケル0.001重量%を含み、残部がマグネシウムと不可避的不純物とからなるものである。
前記技術では、前記鋳造体を鍛造成形することにより、前記マグネシウム合金の平均結晶粒径を100μm以下とし、結晶粒が微細化した部材を得ることができるとされている。前記部材は、前記鍛造成形の後、さらにT6処理を施すことにより結晶粒界に形成されるパーライト組織が微細となり、かつ析出量も多くなるため、前記結晶粒の微細化との相乗効果として、引張強度や伸び等の機械的特性の大幅な向上を図ることができるとされている。
しかしながら、前記鍛造用マグネシウム合金は、酸化物の混入による機械的特性のバラツキが大きく十分な機械的特性を得ることができない上、鍛造性も十分ではないとの不都合がある。
特開平6−172949号公報
本発明は、かかる不都合を解消して、マグネシウム合金の鋳造体からなり、優れた機械的特性と優れた鍛造性とを備える鍛造用マグネシウム合金及びその製造方法を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明の鍛造用マグネシウム合金は、全量に対し、6〜10重量%の範囲のアルミニウムと、0.4〜2重量%の範囲の亜鉛と、0.05〜0.3重量%の範囲のマンガンと、0.4〜1.5重量%の範囲のカルシウムと不可避的不純物とを含むマグネシウム合金の鋳造体であって、樹枝状晶のデンドライトアーム間隔が0.5〜15μmの範囲であり、Mg−Al金属間化合物からなる晶出物の粒子径が1〜10μmの範囲であることを特徴とする。
本発明の鍛造用マグネシウム合金は、全量に対し、6〜10重量%の範囲の量のアルミニウムを含有することにより、鋳造組織を微細化して結晶粒の粗大化を防止し、さらに柱状晶の発達を抑制する効果を得ることができる。本発明の鍛造用マグネシウム合金は、前記効果を得るために全量に対し、7〜9重量%の範囲のアルミニウムを含むことが好ましい。アルミニウムの含有量が6重量%未満では、鋳造組織を微細化し、柱状晶の発達を抑制する効果が得られないので好ましくない。また、アルミニウムの含有量が10重量%を超えると、それ以上に鋳造組織を微細化し、柱状晶の発達を抑制する効果が得られないばかりか、鍛造性を阻害するので好ましくない。
本発明の鍛造用マグネシウム合金は、全量に対し、0.4〜2重量%の範囲の量の亜鉛を含有することにより、機械的強度、特に耐力を向上させる効果を得ることができる。本発明の鍛造用マグネシウム合金は、前記効果を得るために、全量に対し、0.8〜1.5重量%の範囲の亜鉛を含むことが好ましい。亜鉛の含有量が0.4重量%未満では機械的強度を向上する効果が得られず、2重量%を超えると、伸びが不十分になり鍛造性を阻害するので好ましくない。
本発明の鍛造用マグネシウム合金は、全量に対し、0.05〜0.3重量%の範囲の量のマンガンを含有することにより、粒界にMg−Mn金属間化合物が析出して、機械的強度を向上する効果を得ることができる。また、本発明の鍛造用マグネシウム合金は、粒界にMg−Mn金属間化合物が析出することにより、高温における機械的強度を向上する効果を得ることもできる。本発明の鍛造用マグネシウム合金は、前記効果を得るために、全量に対し、0.1〜0.25重量%の範囲のマンガンを含むことが好ましい。マンガンの含有量が0.05重量%未満では、機械的強度を向上する効果が得られず、0.3重量%を超えると晶出物が多くなり鍛造性を阻害するので好ましくない。
本発明の鍛造用マグネシウム合金は、全量に対し、0.4〜1.5重量%の範囲の量のカルシウムを含有することにより、粒界にMg−Ca金属間化合物が析出して、機械的強度を向上すると共に、耐クリープ性を向上する効果を得ることができる。また、本発明の鍛造用マグネシウム合金は、粒界にMg−Ca金属間化合物が析出することにより、高温における機械的強度及び耐クリープ性を向上する効果を得ることもできる。本発明の鍛造用マグネシウム合金は、前記効果を得るために、全量に対し、0.4〜1.5重量%の範囲のカルシウムを含むことが好ましい。カルシウムの含有量が0.4重量%未満では機械的強度及び耐クリープ性を向上する効果が得られず、1.5重量%を超えるとマグネシウム合金溶湯の粘度が増大して鋳造体を得ることが困難になったり、得られた鋳造体に高温割れが発生するので好ましくない。
本発明の鍛造用マグネシウム合金は、前記範囲の組成を備えると共に、前記樹枝状晶のデンドライトアーム間隔が0.5〜15μmの範囲であり、前記晶出物の粒子径が1〜10μmの範囲であることにより、優れた鍛造性を得ることができ、しかも鍛造したときに優れた機械的強度を備える部材を得ることができる。
本発明の鍛造用マグネシウム合金は、前記樹枝状晶のデンドライトアーム間隔が15μmを超えるか、前記晶出物の粒子径が10μmを超えると、鍛造性が阻害される上、鍛造により得られた部材の機械的強度を向上することができない。また、本発明の鍛造用マグネシウム合金において、前記樹枝状晶のデンドライトアーム間隔を0.5μm未満とし、前記晶出物の粒子径を1μm未満とすることは、技術的に困難である。
また、本発明の鍛造用マグネシウム合金は、全量に対し、0.01〜0.3重量%の範囲のアンチモンまたは0.006〜0.2重量%の範囲のベリリウムを含むことが好ましい。本発明の鍛造用マグネシウム合金は、前記範囲のアンチモンと、前記範囲のベリリウムとを両方とも含んでいてもよく、どちらか一方のみを含んでいてもよい。
本発明の鍛造用マグネシウム合金は、前記範囲のアンチモンまたは前記範囲のベリリウムを含むことにより、鋳造体の組織をさらに微細化して、鍛造性及び鍛造により得られた部材の機械的強度を向上することができると共に、マグネシウム合金溶湯の表面酸化を防止して、鋳造体の表面肌を美麗にすることができる。
前記アンチモンの含有量が0.01重量%未満では、鋳造体の組織をさらに微細化する効果が十分に得られないことがあり、0.3重量%を超えるとMg−Sb金属間化合物が析出して、鍛造性及び鍛造により得られた部材の機械的強度を十分に向上することができないことがある。また、前記ベリリウムの含有量が0.006重量%未満では、マグネシウム合金溶湯の表面酸化を十分に防止できないことがあり、0.2重量%を超えるとマグネシウム合金溶湯の粘度が増大して鋳造欠陥が発生しやすくなる。
さらに、本発明の鍛造用マグネシウム合金は、全量に対し、1.2重量%以下の範囲のセリウムを含むことが好ましい。
本発明の鍛造用マグネシウム合金は、前記範囲のセリウムを含むことにより、結晶粒界に金属間化合物であるMgCeが晶出することにより、高温における機械的強度を向上することができ、特に250℃以下の範囲で耐熱性が向上する。前記セリウムは、僅かでも含まれることにより、高温における機械的強度を向上する効果を得ることができるが、含有量が1.2重量%を超えると、それ以上耐熱性を向上する効果が得られないばかりか、前記金属間化合物の晶出が増大して十分な鍛造性が得られなくなることがある。前記セリウムは、希土類金属の混合物であるミッシュメタルとして、本発明の鍛造用マグネシウム合金に添加することができる。
本発明の鍛造用マグネシウム合金は、全量に対し、6〜10重量%の範囲のアルミニウムと、0.4〜2重量%の範囲の亜鉛と、0.05〜0.3重量%の範囲のマンガンと、0.4〜1.5重量%の範囲のカルシウムと不可避的不純物とを含むマグネシウム合金を鋳造する工程と、前記鋳造により得られた鋳造体を12〜40℃/秒の範囲の速度で冷却する工程とを備える製造方法により、有利に製造することができる。
前記製造方法において、前記鋳造体を冷却する速度が12℃/秒未満であると、前記樹枝状晶のデンドライトアーム間隔が15μmを超えるか、前記晶出物の粒子径が10μmを超えることとなる。また、前記鋳造体を冷却する速度を40℃/秒とすることは、技術的に困難である。
上述のとおり、本発明の製造方法によれば、特定の合金組成と特定の金属組織とを組み合わせることにより、高強度かつ優れた鍛造性を備え、複雑な形状を備える製品を高精度に鍛造することができる鍛造用マグネシウム合金を得ることができる。すなわち、本発明の製造方法によれば、特定の合金組成を備える鋳造体を特定の冷却速度で急冷凝固することにより、得られる鍛造用マグネシウム合金の前記デンドライトアーム間隔や、晶出物の大きさが規制され、微細な金属組織とすることができる。また、前記鍛造用マグネシウム合金は、300MPa以上の高強度を有すると共に、自動車部品、OA機器部品、電子部品等の複雑な形状を備える製品を高精度に鍛造することができる。
さらに、本発明の製造方法では、前記合金組成にカルシウムを含むので、従来の製造方法においてマグネシウム溶湯の酸化防止或いは燃焼防止のために使用が不可避であった温暖化有害ガスのSFガスを不要とすることができる。
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
本実施形態の鍛造用マグネシウム合金は、全量に対し、6〜10重量%の範囲のアルミニウムと、0.4〜2重量%の範囲の亜鉛と、0.05〜0.3重量%の範囲のマンガンと、0.4〜1.5重量%の範囲のカルシウムと不可避的不純物とを含むマグネシウム合金の鋳造体であって、樹枝状晶のデンドライトアーム間隔が0.5〜15μmの範囲であり、Mg−Al金属間化合物からなる晶出物の粒子径が1〜10μmの範囲である。
本実施形態の鍛造用マグネシウム合金において、前記アルミニウムは、例えば、全量に対し6.2〜9.9重量%の範囲とすることができ、前記亜鉛は、例えば、全量に対し0.8〜1.5重量%の範囲とすることができ、前記マンガンは、例えば、全量に対し0.08〜0.28重量%の範囲とすることができ、前記カルシウムは、例えば、全量に対し0.5〜1.2重量%の範囲のとすることができる。また、前記樹枝状晶のデンドライトアーム間隔は、例えば、8〜15μmの範囲とすることができ、前記晶出物の粒子径は3〜10μmの範囲とすることができる。
また、本実施形態の鍛造用マグネシウム合金は、全量に対し、0.01〜0.3重量%の範囲のアンチモンまたは0.006〜0.2重量%の範囲のベリリウムを含んでいてもよく、さらに全量に対し、1.2重量%以下の範囲のセリウムを含んでいてもよい。本実施形態の鍛造用マグネシウム合金は、前記範囲のアンチモンと、前記範囲のベリリウムとを両方とも含んでいてもよく、どちらか一方のみを含んでいてもよい。また、前記セリウムは、希土類金属の混合物であるミッシュメタルとして、本実施形態の鍛造用マグネシウム合金に添加することができる。
本実施形態の鍛造用マグネシウム合金において、前記ベリリウムは、例えば、全量に対し0.006〜0.1重量%の範囲とすることができる。また、本実施形態の鍛造用マグネシウム合金において、前記セリウムは前記ミッシュメタルとして、例えば、全量に対し0.8〜1.0重量%の範囲とすることができる。
本実施形態の鍛造用マグネシウム合金は、全量に対し、6〜10重量%の範囲のアルミニウムと、0.4〜2重量%の範囲の亜鉛と、0.05〜0.3重量%の範囲のマンガンと、0.4〜1.5重量%の範囲のカルシウムと不可避的不純物とを含み、さらに全量に対し、0.01〜0.3重量%の範囲のアンチモンまたは0.006〜0.2重量%の範囲のベリリウムと、1.2重量%以下の範囲のセリウムとを含んでいてもよいマグネシウム合金を鋳造し、得られた鋳造体を12〜40℃/秒の範囲の速度で冷却する方法により、製造することができる。前記鋳造体の冷却は、例えば、一方向凝固により行うことができる。
次に、前記方法により製造された鍛造用マグネシウム合金における前記鋳造体の冷却速度と、前記樹枝状晶のデンドライトアーム間隔(DAS)及び前記晶出物の粒子径との関係を図1に示す。図1から、前記鋳造体の冷却速度を12℃/秒以上とすることにより、前記樹枝状晶のデンドライトアーム間隔を15μm以下にすることができると共に、前記晶出物の粒子径を10μm以下とすることができることが明らかである。また、前記樹枝状晶のデンドライトアーム間隔と、前記晶出物の粒子径との間には、相関関係があることが明らかである。
ここで、前記樹枝状晶のデンドライトアーム間隔は、試料をミクロ研磨した後、金属顕微鏡で100〜200倍に拡大して写真撮影し、撮影された画像から樹枝状晶の二次枝の間隔を測定し、その実測値に顕微鏡の倍率を乗じることにより算出した。また、前記晶出物の粒子径は、例えば200〜400倍のミクロ写真の画像に任意の直線を引き、該直線にかかった晶出物の粒子径をスケールで測定し、その実測値に該画像の倍率を乗じることにより算出した。
次に、本実施形態の鍛造用マグネシウム合金の一例における前記樹枝状晶のデンドライトアーム間隔と引張強度との関係を図2に示す。前記鍛造用マグネシウム合金は、全量に対し、6.2重量%のアルミニウムと、0.8重量%の亜鉛と、0.08重量%のマンガンと、0.5重量%のカルシウムとを含み、残部がマグネシウムと不可避的不純物とからなる。
図2から、本実施形態の鍛造用マグネシウム合金は、前記樹枝状晶のデンドライトアーム間隔が15μm以下の範囲で、優れた引張強度を得ることができることが明らかである。尚、前述のように、前記樹枝状晶のデンドライトアーム間隔と、前記晶出物の粒子径との間には、相関関係があるので、本実施形態の鍛造用マグネシウム合金は、前記晶出物の粒子径が10μm以下の範囲で、優れた引張強度を得ることができることが明らかである。
次に、本実施形態の鍛造用マグネシウム合金の一例における前記樹枝状晶のデンドライトアーム間隔と鍛造性との関係を図3に示す。尚、図3における鍛造性は、割れが発生する限界の据込加工率で示す。前記鍛造用マグネシウム合金は、全量に対し、8.4重量%のアルミニウムと、1.0重量%の亜鉛と、0.2重量%のマンガンと、0.6重量%のカルシウムとを含み、残部がマグネシウムと不可避的不純物とからなる。
図3から、本実施形態の鍛造用マグネシウム合金は、前記樹枝状晶のデンドライトアーム間隔が15μm以下の範囲で、優れた鍛造性を得ることができることが明らかである。尚、前述のように、前記樹枝状晶のデンドライトアーム間隔と、前記晶出物の粒子径との間には、相関関係があるので、本実施形態の鍛造用マグネシウム合金は、前記晶出物の粒子径が10μm以下の範囲で、優れた鍛造性を得ることができることが明らかである。
前記方法により製造された本実施形態の鍛造用マグネシウム合金は、鍛造により、例えば、自動車エンジン用のピストンに成形することができる。また、本実施形態の鍛造用マグネシウム合金は、前記鍛造後、さらに加熱処理することが好ましい。
前記加熱処理としては、例えば、420℃の温度で6時間加熱して溶体化処理した後、40℃の温度の温水にて焼き入れし、さらに210℃の温度で24時間時効処理するT6熱処理を挙げることができる。本実施形態の鍛造用マグネシウム合金では、前記溶体化処理により含有するアルミニウムがマグネシウム金属中に固溶する。そして、前記マグネシウム金属中に固溶したアルミニウムは、前記時効処理によりMgAl、MgAl等の金属間化合物として晶出する。この結果、前記のように晶出した金属間化合物が、マグネシウム金属の結晶格子を歪め、転位を発生しにくくする楔のような作用をなすため、強度特性を向上させ、硬度を高めることができる。
次に、本発明の実施例、比較例及び参考例を示す。
まず、それぞれ表1に示す組成を備えるマグネシウム合金を鋳造し、得られた鋳造体を15℃/秒以上の冷却速度で一方向凝固させることにより、試料1〜16の鍛造用マグネシウム合金を製造した。次に、各鍛造用マグネシウム合金の樹枝状晶のデンドライトアーム間隔(DAS)及び晶出物の粒子径を、図1の場合と同一の方法で測定した。結果を表1に示す。
Figure 2010106335
表1において、試料1〜8は本発明の実施例であり、鍛造用マグネシウム合金に含まれる成分のうち、アルミニウムは全量に対し6.2〜9.9重量%の範囲、亜鉛は全量に対し0.8〜1.5重量%の範囲、マンガンは全量に対し0.08〜0.28重量%の範囲、カルシウムは全量に対し0.5〜1.2重量%の範囲である。また、試料1〜8はアンチモン、ベリリウム、ミッシュメタルを含む場合には、アンチモンは全量に対し0.01〜0.3重量%の範囲、ベリリウムは全量に対し0.006〜0.01重量%の範囲、セリウムはミッシュメタルとして、全量に対し0.8〜1.0重量%の範囲である。さらに、試料1〜8は樹枝状晶のデンドライトアーム間隔が8〜15μmの範囲であり、晶出物の粒子径が3〜10μmの範囲である。
表1において、試料9〜14は本発明の比較例であり、マンガン、亜鉛またはカルシウムを全く含まないか、または、全量に対し0.05重量%未満のマンガンと全量に対し0.4重量%未満のカルシウムとを含んでいる。また、試料9〜14は樹枝状晶のデンドライトアーム間隔が15μmより大きく、晶出物の粒子径が10μmよりも大きい。
表1において、試料15、16は参考例である。試料15はJISのAZ80合金であり、全量に対し10重量%を超えるアルミニウムを含むと共に、亜鉛及びカルシウムを全く含まない。試料16はJISのAZX911A合金であり、全量に対し10重量%を超えるアルミニウムを含むと共に、亜鉛を全く含まない。また、試料21、22は樹枝状晶のデンドライトアーム間隔が15μmより大きく、晶出物の粒子径が10μmよりも大きい。
次に、試料1〜16の鍛造用マグネシウム合金をそれぞれ350℃に加熱し、ピストンの形状に鍛造して、機械的特性及び鍛造性を評価した。
前記機械的特性は、試料1〜14の鍛造用マグネシウム合金から鍛造された各ピストンについては、各ピストンから試験片を切り出し、各試験片に前記T6熱処理を施した後、常温で引張試験を行い、引張張力及び伸びを測定した。また、試料15、16の鍛造用マグネシウム合金については、素材から試験片を切り出し、該試験片を用いた以外は、試料1〜14の鍛造用マグネシウム合金と全く同一にして、引張張力及び伸びを測定した。
また、前記鍛造性は、試料1〜16の鍛造用マグネシウム合金を60%の加工率で据え込み鍛造したときの割れの有無と、ピストンの形状に鍛造したときの評価を総合して、%で示した。
結果を表2に示す。表2における鍛造性の評価について、60%未満では良好な鍛造ができず、50%以下では巻き込み、欠肉欠陥が発生し、40%以下では鍛造割れが発生する。
Figure 2010106335
表2から、試料1〜8の各鍛造用マグネシウム合金(実施例)は、試料9〜14の各鍛造用マグネシウム合金(比較例)及び試料15、16の各鍛造用マグネシウム合金(参考例)に比較して、格段に優れた機械的特性(引張強度及び伸び)と鍛造性とを備えていることが明らかである。
次に、試料1〜16の鍛造用マグネシウム合金の前記機械的特性の評価に用いたものと同一にして得られた各試験片を用いて、高温強度を評価した。前記高温強度の評価は、前記各試験片を引張試験機に装着した状態で150℃の温度に30分間保持した後、引張試験を行い、引張張力及び伸びを測定した。結果を表3に示す。
Figure 2010106335
表3から、試料1〜8の各鍛造用マグネシウム合金(実施例)は、試料9〜14の各鍛造用マグネシウム合金(比較例)及び試料15、16の各鍛造用マグネシウム合金(参考例)に比較して、格段に優れた高温強度を備えていることが明らかである。
鍛造用マグネシウム合金における鋳造体の冷却速度と、樹枝状晶のデンドライトアーム間隔(DAS)及び晶出物の粒子径との関係を示すグラフ。 鍛造用マグネシウム合金における樹枝状晶のデンドライトアーム間隔(DAS)と引張強度との関係を示すグラフ。 鍛造用マグネシウム合金における樹枝状晶のデンドライトアーム間隔(DAS)と割れが発生する限界の据込み加工率との関係を示すグラフ。
符号の説明
なし。

Claims (4)

  1. 全量に対し、6〜10重量%の範囲のアルミニウムと、0.4〜2重量%の範囲の亜鉛と、0.05〜0.3重量%の範囲のマンガンと、0.4〜1.5重量%の範囲のカルシウムと不可避的不純物とを含むマグネシウム合金の鋳造体であって、
    樹枝状晶のデンドライトアーム間隔が0.5〜15μmの範囲であり、Mg−Al金属間化合物からなる晶出物の粒子径が1〜10μmの範囲であることを特徴とする鍛造用マグネシウム合金。
  2. 請求項1記載の鍛造用マグネシウム合金において、全量に対し、0.01〜0.3重量%の範囲のアンチモンまたは0.006〜0.2重量%の範囲のベリリウムを含むことを特徴とする鍛造用マグネシウム合金。
  3. 請求項1または請求項2記載の鍛造用マグネシウム合金において、全量に対し、0重量%を超え1.2重量%以下の範囲のセリウムを含むことを特徴とする鍛造用マグネシウム合金。
  4. 全量に対し、6〜10重量%の範囲のアルミニウムと、0.4〜2重量%の範囲の亜鉛と、0.05〜0.3重量%の範囲のマンガンと、0.4〜1.5重量%の範囲のカルシウムと不可避的不純物とを含むマグネシウム合金を鋳造する工程と、
    前記鋳造により得られた鋳造体を12〜40℃/秒の範囲の速度で冷却する工程とを備えることを特徴とする鍛造用マグネシウム合金の製造方法。
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