JP2010105043A - 金属の低温接合方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱変形や機械的変形などの不都合を生じることなく、比較的低温で確実に接合することができる金属の低温接合方法と、このような低温接合に好適に用いることができる接合装置を提供する。
【解決手段】被接合材における接合面の少なくとも一方に、図に示すように、凸部間又は凹部間の距離が200〜1000nmの間の任意の値であると共に、隣接する凹凸部間の高低差が40〜300nmの間の任意の値である微細凹凸を形成した状態で接合面同士を突き合わせ、被接合材の融点よりも低い温度に加熱して接合する。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば、半導体素子、モーター、センサー等の各種電子部品や機械部品、構造部品等の接合に用いられる接合方法に係り、さらに詳しくは、被接合材を構成する金属材料の融点よりも低い温度で接合することができる低温接合方法と、当該方法に用いる接合装置に関するものである。
従来、例えば自動車用電動部品などのパワーエレクトロニクス用の実装基板の構造、特に半導体チップと基板配線層の接合を行う際には、限られたスペースに半導体チップを収めるためには、内部に発生する熱に起因する諸問題を解決する必要がある。その課題の1つとして、半導体チップと基板との接合時の熱衝撃性がある。
また、チップの密度や電流が増し、温度環境が苛酷になると、Pb−Sn合金のような低融点ろう材を使ったろう付けによる接合については、耐熱性の観点から採用することができない。一方、より高融点のろう材、例えばアルミニウム系ろう材を用いた場合には、融点が高過ぎて、ろう付け接合時のヒートショックが大きく、接合時に割れや剥離といった不具合が生じる虞れがある。
そもそも、これらのろう付け部は一般に延性に乏しく、接合できたとしても使用時の温度サイクルや部位間の温度差による熱応力に対し耐久性が不足する。また、接合時に配線層であるCuやAlと反応して、脆弱な金属間化合物を生成する虞れもある。
このような低温度での接合方法として、例えば特許文献1には、被接合物の接合面にアルゴンイオンビームを照射して、清浄化処理した後、接合を行う方法が提案されている。
特開平08−118043号公報
しかし、上記特許文献1に記載の方法においては、試料表面の清浄化処置後、常温で加圧、接合するに際して、接触面積を確保するために大きな加圧力が必要であり、加圧によって試料全体に塑性変形を生ずる結果、望ましい接合強度が得られない場合がある。
本発明は、ろう付けを始めとする低温度域での接合における上記のような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、比較的低温で良好な接合強度が得られ低温接合方法を提供することにある。また、このような低温接合に好適に用いることができる接合装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため、鋭意検討を重ねた結果、接合しようとする被接合材の接合面に予め微細な凹凸を形成しておくことによって上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は上記知見に基づくものであって、本発明の金属の低温接合方法は、被接合材における接合面の少なくとも一方に、隣接する凸部間又は凹部間の距離が200〜1000nmの間の任意の値であると共に、隣接する凹凸部間の高低差が40〜300nmの間の任意の値の微細凹凸を形成した状態で接合面同士を突き合わせ、被接合材の融点よりも低い温度に加熱することによって上記被接合材を接合することを特徴とする。
また、本発明の接合装置は、上記低温接合方法に好適に用いられるものであって、被接合材を収納する雰囲気制御可能な密閉炉と、密閉炉内の温度を調整する熱制御手段と、被接合材の接合面に微細凹凸形状加工を施すレーザ加工手段と、被接合材の接合面同士を突き合わせる加圧手段を備えたことを特徴としている。
本発明によれば、接合面の少なくとも一方に、ナノオーダーの微細な凹凸を形成するようにしたため、被接合材の融点よりも低い温度で、被接合材同士を良好な接合強度で接合することができるようになる。
本発明の実施例において微細凹凸加工に用いたフェムト秒レーザ加工装置のセッティング状態を示す説明図である。 本発明において被接合材の接合面に形成される微細凹凸形状の一例を示すSEM(走査型電子顕微鏡)画像である。 微細凹凸を備えた純銅材を600℃(b)、500℃(c)及び400℃(d)に加熱した時の表面状態を加熱前(a)と比較して示すSEM画像である。 本発明の接合装置の一例を示す概略図である。 本発明の実施例1,2における被接合材の配置状況を示す説明図である。 本発明の実施例1により得られた引張試験片の破断面のSEM画像である。 本発明の実施例3における被接合材の配置状況を示す説明図である。 本発明の実施例4による接合面における中心部(a)、高倍率による中心部(b)、同じく周辺部(c)の微細凹凸形状を示すSEM画像である。 本発明の実施例4において400℃(a)及び700℃(b)で接合された引張試験片における破断面のSEM画像である。 比較例2における被接合材の配置状況を示す説明図である。
以下に、本発明の低温接合方法について、さらに詳細、かつ具体的に説明する。
金属粒子の溶融開始温度は、粒径が小さくなると低下することが知られているが、このような効果が現れ始める粒径は100nm以下であり、20nm以下の粒径になるとその効果が顕著となる。特に、金属によっては、その粒径が10nm以下になると、バルク状態の金属が持つ融点よりもかなり低い温度で溶融し、互いに結合する。
このことは、熱力学的には次のように説明される。ここでは、仮に半径r、密度ρ、表面エネルギーEsを持つ球状微粒子の一部が溶ける場合を考えてみる。
この粒子の構成物質の融解熱をΔHm、融解エントロピーをΔSmとし、dWの重量が溶解したことによってdAの表面積減少があったとすると、次式(1)が成立する。
ΔHmdW−ΔSmTsdW−EsdA=0 ・・・(1)
式(1)において、Tsが相変化の温度(融点)である。
一方、融解に伴う表面積の減少が無視しうる程度に大きなバルク固体では、融解時のエネルギーバランスは次式(2)で表される。
ΔHmdW−ΔSmTsdW=0 ・・・(2)
このように表面エネルギーの減少の寄与により融点降下現象が生じるとされている(日本化学会編「化学総説48 超微粒子−科学と応用」学会出版センター、p.47−56参照)。
さらに、溶融に先立って、粒子の焼結現象が起きるが、この焼結開始温度もバルクの場合よりも著しく低下し、低温焼結によって結合が生じる。
例えば、平均粒径が20nmのAg超微粒子の場合、60〜80℃の低温で焼結が開始するという公表データ(佐藤稔雄「日本金属学会シンポジウム予稿 金属超微粒子の製作から応用まで」、1975年、p.26参照)がある。
このような現象は、次のように説明されている。
固体の粒子同士が接触すると、高温下や圧力下では、時間と共に次第に接触面積が増大する。この現象は、複数の粒子とそれらを取り囲む環境からなる系が、全体としてより安定な系へと移行するために、その自由エネルギー(または化学ポテンシャル)を減少させようとする駆動力(Driving force)に基づいている。最初の粒子系の表面エネルギーは,粒子の大きさが小さいほど大きいので、微粒の原料粉体を用いるほど焼結の駆動力が大きいとされている(社団法人日本セラミックス協会編「セラミック工学ハンドブック第2版」技報堂出版、p.109−121参照)。
被接合材の表面に微細な凹凸が存在すると、表面が低弾性化され、被接合材同士の接触が促進され、互いの密着度が向上する。さらに接触部が増加することにより金属原子の拡散パスも増加することから拡散反応が促進され、その結果、低温、短時間での接合が可能となる。
また、微細凹凸を設けることで凸先端には大きな荷重が発生し、これによって表面酸化皮膜が破壊される。表面酸化皮膜は、接合を阻害する要因であるため、その破壊によって相互の被接合材の新生面同士が直接接触し、良好な接合部が形成される。さらに、副次的効果として微細凹凸同士がかしまることによるアンカー効果も引き出せる。
微細形状がさらに細かくなると、上記の低弾性化による密着度の向上や、拡散パスの増大以外の効果による、融点降下現象を誘発することが可能となる。
本発明の低温接合方法においては、上記したように、少なくとも一方の被接合材の接合面に、頂部間又は谷底間距離が200〜1000nmであって、40〜300nmの高低差を有する微細凹凸を形成し、被接合材の融点よりも低い温度に加熱して接合するようにしている。
すなわち、本発明の低温接合方法の特徴は、接合面を形成する被接合材の相対する少なくとも一方の表面に微細凹凸形状を形成することによる表面エネルギーの減少を積極的に利用し、微粒子に見られるような融点降下現象、凝集現象を発現させ、融点よりも低温にて接合を実現するところにある。したがって、熱変形や接合時の加圧などに起因する変形を伴うことなく、被接合材同士を接合することができる。また、溶融溶接のような母材の変質層(熱影響部)もほとんど存在しない。
ここで、微細凹凸における凸部間や凹部間の距離(隣接する頂部間又は谷底間距離)が1000nmを超えたり、隣接する凹凸部間の高低差が300nmを超えたりした場合には、上記のような融点降下現象や凝集現象が生じ難くなる。
なお、上記した距離及び高低差としては、それぞれ200〜800nm、40〜150nmの範囲内であることがより好ましい。
本発明の低温接合方法において、被接合材の接合面上記のような微細凹凸を加工するには、例えば、フェムト秒レーザ加工や、陽極酸化法、FIB(focused ion beam)加工、ナノインプリント加工、機械加工(切削、研削)などを用いることができると共に、これらの加工方法を2種以上組合せることもできる。但し、上記したような微細な凹凸形状が加工できる方法でありさえすれば、これらに限定されるものではない。
図1は、このような微細凹凸加工に用いるフェムト秒レーザ加工装置のセッティング状態を示すものであって、発振レーザをシャッター5、アパーチャー6、λ/2板7、グランレーザプリズム8及び対物レンズ9(開口率:0.13)を順次通過させるようになっている。
図2は、上記装置を用いたフェムト秒レーザ加工によって、純銅の表面に形成された微細凹凸形状の一例を示すものであって、ここでは、当該装置によって、パルス幅:120fs、波長:800nm、パルスエネルギ密度:1mJ/pulse、繰り返し周波数:1kHzの特性としたフェムト秒レーザを加工面に照射した。なお、波長はBBO(ベータバリウムボライト)結晶により変更している。
この結果、純銅の加工表面には、隣接する凸部間の距離が240〜720nmの範囲に、隣接する凹凸部間の高低差が48〜144nmの範囲の微細凹凸が形成されていることが確認された。
図3(a)〜(d)は、上記フェムト秒レーザ加工による微細凹凸を備えた純銅材を真空炉内で、それぞれ600℃(b)、500℃(c)及び400℃(d)に加熱した時の表面状態を加熱前(a)と比較して示したものである。
これらの図から明らかなように、銅の融点が1083℃であるのに対して、銅表面の微細凹凸形状が上記温度域、特に400℃でも崩れる現象が認められ、表面に上記のような微細凹凸を形成することによって、焼結の際に微粒子に観察されるような融点降下現象、凝集現象が発現することが確認された。
本発明の低温接合方法が適用可能な被接合材の種類としては、上記した銅のみに限定される訳ではない。また、当該接合方法は、同種材料のみならず、異種材の接合にも適用することができる。
本発明の低温接合方法を実現するための具体的な工程としては、少なくとも一方の接合面に上記のような微細凹凸形状を形成する工程と、被接合材の接合面同士を突き合わせる工程と、被接合材の接合面を加熱する工程を必要とする。
このとき、上記微細凹凸形状の形成工程と接合面加熱工程の一方、又は両工程を真空中、又は低酸素濃度雰囲気、又は非酸化性雰囲気で行うことが望ましく、これによって接合面の酸化が抑制され、より健全な接合部を得ることができる。なお、両工程を同一雰囲気内で連続して行うことがより望ましい。
本発明の低温接合方法において、上記した低酸素濃度雰囲気とは、酸素濃度が500ppm以下程度の場合を意味する。
また、非酸化性雰囲気とするための非酸化性ガスとしては、窒素やアルゴンが代表例として挙げられるが、大気に較べて被接合材の接合面の酸化を抑制する作用を有するガスであればよい。
本発明の低温接合方法においては、微細凹凸形状の加工と同時に、あるいは加工工程と接合面を突き合わせる工程との間に、酸化防止のためのコーティングを加工面に施す工程を加えることが望ましい。
これによって、微細凹凸加工時の雰囲気制御や真空引きを省略することも可能となり、装置を簡素化することができる。また、微細凹凸加工工程から接合工程までの間で被接合材に形成された微細凹凸表面の酸化を抑制することが可能となり、加工から接合までの工程間の工法上の自由度が増すことになる。
上記のような酸化防止を目的とするコーティング剤としては、例えばポリエチレン(ワックス)、ポリアクリレート、ポリアミン、ポリアミド、ウレタン、ポリエーテル、ポリエステル及び多ケイ酸塩から成る群から選択された少なくとも一つの樹脂、又はこれら樹脂の混合物などを用いることができる。なお、これらコーティング剤は、接合時の加熱によって分解することから、塗布したままで接合に供することができる。
本発明の接合装置は、被接合材を収納し、真空やArなどの非酸化性ガスに雰囲気制御することができる密閉炉と、この密閉炉内の温度を調整する熱制御手段と、被接合材の接合面に微細凹凸加工を施すレーザ加工手段と、被接合材の接合面同士を突き合わせる加圧手段を備えており、本発明の低温接合に好適に用いることができる。
また、当該接合装置には、必要に応じて、微細凹凸加工を施した接合面にコーティングを施すためのコーティング剤噴射手段を設けることも可能である。
図4は、本発明の接合装置の一例を示すものであって、図に示す接合装置10は、炉内を真空にしたり、Arの様な不活性ガスに置換したりして雰囲気制御ができる拡散接合装置に、フェムト秒レーザ加工装置がセッティングされたものである。
すなわち、この接合装置10は、雰囲気制御可能な密閉炉11と、この密閉炉内の温度を調整する熱制御装置12と、密閉炉11内に収納された被接合材1,2の接合面に微細凹凸加工を施すレーザ加工手段としてのフェムト秒レーザ加工装置13と、被接合材1,2の接合面同士を突き合わせる加圧手段としてのエアシリンダ14を備えている。
なお、当該接合装置10には、さらに微細凹凸加工と同時、あるいはその直後の接合面にコーティングを施すためのコーティング剤噴射手段(図示せず)を上記レーザ加工装置13と同様の位置に配置してもよい。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、本発明がこれら実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
(実施例1)
図5に示すように、純銅材から成り、径5mm、長さ15mmの円柱状をなす被接合材1と、同じく純銅材から成り、径10mm、長さ25mmの円柱状をなす被接合材2とを突き合わせ接合するに際して、10mm径の円柱状被接合材2の接合面にフェムト秒レーザによる微細凹凸加工を施した。
すなわち、図1に示したように構成したレーザ加工装置を用い、パルス幅:120fs、波長:800nm、パルスエネルギ密度:1mJ/pulse、繰り返し周波数:1kHzのフェムト秒レーザを照射することにより、凸部間距離240〜720nmの範囲、高低差48〜144nmの範囲の微細凹凸を形成した。
そして、400℃、700℃に加熱すると共に、5MPaの加圧力を30分付加することによって両被接合材1,2を突き合わせ接合した。なお、このときの微細凹凸加工、接合工程は、共にAr雰囲気中において連続的に行った。
接合後、引張試験片を切り出し、引張試験に供した。
図6は、引張試験試験後の破断面の走査型電子顕微鏡による観察結果を示すものであって、接合部の破断面は延性破断を示すディンプル形状を示し、良好な接合部を形成していることが判明した。
このように、本発明によれば、バルク固体融点の約1/3である400℃という低温でも、良好な接合を実現できることが確認された。
(実施例2)
被接合材1,2の接合面の両方に、同様の微細凹凸加工を施すと共に、当該加工の直後に、加工面の酸化防止のためにウレタン樹脂を主成分とする酸化防止剤(熱分解温度:200℃)をコーティングしたこと以外は、上記実施例1と同じ操作を繰り返すことによって、被接合材1,2を接合したのち、引張試験を同様に実施した。
その結果、400℃という低温でも、良好な接合を実現できると共に、試験後の破断面は、図6と同様のディンプル破面を示し、良好な接合部が得られることが確認できた。
(実施例3)
図7に示すように、純銅材から成る5mm径の被接合材1と、同じく純銅材から成り、10mm径の被接合材2との間に、その両面に同様の微細凹凸加工を施した厚さ50μmの純ニッケル箔3を中間材として挟持したこと以外は、上記実施例1と同じ操作を繰り返し、中間材3を介して被接合材1,2を接合した。
その結果、400℃という低温でも、良好な接合を実現できることが確認された。そして、接合部から引張試験片を切り出し、引張試験を同様に実施した結果、試験片の破断面は、同様のディンプル破面を示し、ニッケル中間材を挟んだ場合にも、良好な接合部が得られることが確認された。
(実施例4)
10mm径の円柱状被接合材2の接合面に、ダイヤモンド工具を用いた切削加工によって、凸部間距離800〜1000nmの範囲、高低差150〜300nmの範囲の微細凹凸を形成した。なお、このときの微細形状加工工程は、大気雰囲気とし、加工後、酸化皮膜除去のために酸洗を実施した。
これによって、円柱状被接合材2の接合面に形成された微細形状を図8(a)〜(c)に示す。
上記以外は、上記実施例1と同じ操作を繰り返すことによって、被接合材1,2を接合したのち、引張試験を同様に実施した。
その結果、上記実施例1と同様に、バルク固体融点の約1/3である400℃という低温でも、良好な接合を実現することが確認された。
また、引張試験の破断面は、図9(a)及び(b)に示すように、ディンプル破面を示し、良好な接合部を形成していることが判明した。
(実施例5)
接合雰囲気を酸素濃度が400ppm程度の窒素雰囲気としたこと以外は、上記実施例4と同じ操作を繰り返すことによって、被接合材1,2を接合したのち、引張試験を同様に実施した。
その結果、上記実施例1と同様に、400℃という低温でも良好な接合を実現することが確認された。また、引張試験の破断面はディンプル破面を示し、良好な接合部を形成していることが判明した。
(比較例1)
上記実施例1と同様の突き合わせ接合(図5参照)を行うに際して、接合面に微細凹凸加工を施すことなく、#80の研磨紙によって周期100μmの凹凸を有する研磨痕を付けた状態で、同様の接合を試みた。
その結果、400℃ではもとより、700℃でも、極めて低い強度の接合部しか得られなかった。破断面を観察しても機械加工を施した凹凸の凸の部分で一部接合がなされているのみで、破断面の大半が未接合であった。
(比較例2)
上記実施例3と同様の接合を行うに際して、純銅材から成る5mm径の被接合材1と純銅材から成る10mm径の被接合材2の接合面に、微細凹凸加工を施すことなく、上記比較例1と同様に、#80の研磨紙によって周期100μmの凹凸を有する研磨痕をそれぞれ形成した。そして、図10に示すように、被接合材1及び2の間に、微細凹凸加工のない厚さ50μmの純ニッケル箔3を中間材として挟持した後、上記実施例3と同じ操作によって、中間材3を介して被接合材1,2を接合した。
しかし、400℃では、微細凹凸加工を施した実施例3の場合に較べて、強度の値が十分の1以下であり、僅かに強度が向上するものの、700℃でも満足のいく接合強度を有する良好な接合部を得ることができなかった。また、破断面を観察しても未接合の領域が多く見られた。
(比較例3)
10mm径の円柱状被接合材2の接合面に、ダイヤモンド工具を用いた切削加工によって、鏡面加工を施した。加工後、酸化皮膜除去のために酸洗を実施した。これ以外は、上記実施例1と同じ操作を繰り返すことによって、被接合材1,2を接合したのち、引張試験を同様に実施した。なお、得られた鏡面の平面度は1μm以下、10点平均粗さ(Ra)は0.01μm以下、凸部間距離は0.1mmであった。
その結果、接合強度は、上記実施例3の1/2程度の値に留まり、良好な接合ができないことが判明した。
上記実施例及び比較例による接合結果を表1にまとめて示す。
Figure 2010105043
1、2 被接合材
10 接合装置
11 密閉炉
12 熱制御装置(熱制御手段)
13 フェムト秒レーザ加工装置(レーザ加工手段)
14 エアシリンダ(加圧手段)

Claims (6)

  1. 被接合材における接合面の少なくとも一方に、隣接する凸部間又は凹部間の距離が200〜1000nmの間の任意の値であって、隣接する凹凸部間の高低差が40〜300nmの間の任意の値である微細凹凸を形成した状態で接合面同士を突き合わせ、被接合材の融点よりも低い温度に加熱して接合することを特徴とする金属の低温接合方法。
  2. 微細凹凸における隣接する凸部間又は凹部間の距離が200〜800nmの間の任意の値であり、隣接する凹凸部間の高低差が40〜150nmの間の任意の値であることを特徴とする請求項1に記載の低温接合方法。
  3. 少なくとも一方の被接合材の接合面に微細凹凸形状を形成する工程と、被接合材の接合面同士を突き合わせる工程と、被接合材の接合面を加熱する工程から成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の低温接合方法。
  4. 微細凹凸形状を形成する工程と被接合材の接合面を加熱する工程の少なくとも一方を真空中又は低酸素濃度雰囲気又は非酸化性雰囲気で行うことを特徴とする請求項3に記載の低温接合方法。
  5. 微細凹凸形状の加工と同時又は加工直後に、加工面にコーティングを施すことを特徴とする請求項3又は4に記載の低温接合方法。
  6. 被接合材を収納する雰囲気制御可能な密閉炉と、密閉炉内の温度を調整する熱制御手段と、被接合材の接合面に微細凹凸形状加工を施すレーザ加工手段と、被接合材の接合面同士を突き合わせる加圧手段を備えたことを特徴とする接合装置。
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