JP2010104958A - 水素吸蔵ナノワイヤ、及び水素吸蔵ナノワイヤの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】特に室温において高い水素吸蔵能を呈する新規な構造体を提供する。
【解決手段】CuClを原料とし、この原料に対してアセチレンガスを接触させて結晶性のナノワイヤを自己組織的に形成し、前記ナノワイヤを非酸化性雰囲気下、120℃以上の温度で熱処理して、水素吸蔵用ナノワイヤを製造する。
【選択図】図1
【解決手段】CuClを原料とし、この原料に対してアセチレンガスを接触させて結晶性のナノワイヤを自己組織的に形成し、前記ナノワイヤを非酸化性雰囲気下、120℃以上の温度で熱処理して、水素吸蔵用ナノワイヤを製造する。
【選択図】図1
Description
本発明は、特に室温において高濃度に水素を吸蔵することが可能な水素吸蔵ナノワイヤ、及びその製造方法に関するものである。
近年、大気汚染の虞のないクリーンなエネルギー源として水素を用いた燃料電池が注目されており、例えば、定置型分散電源、自動車搭載用電源等としては、水素の吸着・脱離を利用した固体高分子燃料電池が提案されている。これらの燃料電池では、水素を吸蔵して貯蔵・輸送するための材料として、水素吸蔵材料が用いられている。
このような水素吸蔵材料としては、LaNi合金等の水素吸蔵合金、アルミナ、マグネシア、ジルコニア等のセラミックス多孔質体の内部に、カーボンナノチューブ、フラーレン等の炭素系材料を高密度に充填した水素吸蔵材等が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような水素吸蔵材においては、水素吸蔵を0℃以下、特に液体窒素の沸点(−195.8℃)以上の温度、例えば−170℃で行うものであり、冷却用のエネルギーが余分に必要となるとともに、室温付近では急激に性能が低下するため実用的ではない。また、従来の水素吸蔵合金では、材料が高密度で、容器重量が増す、水素の吸脱着サイクルを繰り返すことで劣化する、吸脱着に数百度の加熱を要する等、実用化には課題がある。
かかる問題に鑑みて、特許文献2においては、カーボンナノチューブ又はフラーレン等の表面に、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、銅、銀、金、亜鉛、及びクロム等の金属を担持させてなる水素吸蔵材が開示されている。また、非特許文献1には、炭素繊維の表面に銅メッキ等を施してなる水素吸蔵材が開示されている。これらの技術では、いずれも上述した金属が触媒として水素を吸着するとともに、前記カーボンナノチューブの、前記金属近傍の領域に水素親和性のサイトが形成されることによって、水素吸蔵特性を呈するものである。
しかしながら、特許文献2及び非特許文献1に記載の技術は、いずれも以前より知られている金属の触媒作用を利用したものであって、上述したカーボンナノチューブの表面に担持できる金属量には限界があることから、上述した水素吸蔵能についても自ずと限界があり、十分に高い水素吸蔵能を実現させることができないでいた。
本発明は、特に室温において高い水素吸蔵能を呈する新規な構造体を提供することを目的とする。
上記目的を達成すべく、本発明は、銅アセチリド構造を有するナノワイヤを熱処理したものを用いることを特徴とする、水素吸蔵用ナノワイヤに関する。
また、本発明は、
CuClを原料とし、この原料に対してアセチレンガスを接触させて銅アセチリドを得、前記銅アセチリドから結晶性のナノワイヤに自己組織的に形成する工程と、
前記ナノワイヤを非酸化性雰囲気下、120℃以上の温度で熱処理する工程と、
を具えることを特徴とする、水素吸蔵用ナノワイヤの製造方法に関する。
CuClを原料とし、この原料に対してアセチレンガスを接触させて銅アセチリドを得、前記銅アセチリドから結晶性のナノワイヤに自己組織的に形成する工程と、
前記ナノワイヤを非酸化性雰囲気下、120℃以上の温度で熱処理する工程と、
を具えることを特徴とする、水素吸蔵用ナノワイヤの製造方法に関する。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を実施した。これまで、銅アセチリド分子を自己組織化によりナノワイヤへと結晶成長させる方法を見出し、この銅アセチリドナノワイヤを出発物質として70〜80℃の熱処理により炭素層被覆銅ナノワイヤ(ナノワイヤ)に変換することに成功した。そして、熱処理後のナノワイヤを所定の圧力下の酸素ガス雰囲気中に所定時間配置したこところ酸素ガスを吸着し、センサーとして機能することを発見した。
"Increased Electric Conductance through Physisorbed Oxygen on Copper Nanocables Sheathed in Carbon" J.Am.Chem.Soc., vol.130,p1142(2008)"
"Increased Electric Conductance through Physisorbed Oxygen on Copper Nanocables Sheathed in Carbon" J.Am.Chem.Soc., vol.130,p1142(2008)"
更に、検討を重ねた結果、特定の熱処理と化学処理を組み合わせることで、上記ナノワイヤが水素吸蔵材料として使用可能であることを見出し、本発明をするに至ったものである。
なお、上記ナノワイヤが水素吸蔵能を呈する原因については明確でなく、現在も原因の解明を積極的に実施している。但し、繰り返しの実験から、上記ナノワイヤが確実に水素吸蔵能を有していることは確認している。
一方、上述したナノワイヤからなる水素吸蔵材は、その構成上も上述した特許文献2等に開示された金属担持のカーボンナノチューブ等からなる水素吸蔵材と異なって特異な性質を示す。具体的には、上述した水素吸蔵材をレーザラマン分光法によって分析した場合に、特許文献2等に記載された水素吸蔵材は前記カーボンナノチューブ等に起因した炭素のピークが確認されるのに対し、本願発明のナノワイヤからなる水素吸蔵材は炭素に起因したピークが全く確認されない。
したがって、上記水素吸蔵ナノワイヤは特異なアモルファス構造を呈し、このアモルファス構造が水素吸蔵能に対して多少なりとも影響を与えていると考えることができる。
なお、本発明における「室温」とは、特に従来のような冷却又は加熱操作を行わないことを意味し、特には上記水素吸蔵材の使用環境におけるその環境温度を意味するものである。
以上、説明したように、本発明によれば、特に室温において高い水素吸蔵能を呈する新規な構造体を提供することができる。
以下、本発明のその他の特徴及び利点について、発明を実施するための最良の形態について説明する。
(水素吸蔵用ナノワイヤ)
本発明の水素吸蔵用ナノワイヤは、銅アセチリドから成るナノワイヤを基本的な構成要素として含む。このナノワイヤは、その直径が5nm〜10nmであることが好ましい。前記ナノワイヤがこのような微細な大きさを有することによって、前記ナノワイヤが室温において高い水素吸蔵能を呈することができるようになる。したがって、前記ナノワイヤは水素吸蔵材としてより効果的に機能するようになる。
本発明の水素吸蔵用ナノワイヤは、銅アセチリドから成るナノワイヤを基本的な構成要素として含む。このナノワイヤは、その直径が5nm〜10nmであることが好ましい。前記ナノワイヤがこのような微細な大きさを有することによって、前記ナノワイヤが室温において高い水素吸蔵能を呈することができるようになる。したがって、前記ナノワイヤは水素吸蔵材としてより効果的に機能するようになる。
また、同様の観点から、前記ナノワイヤの長さは0.1μm〜1μmであることが好ましい。
なお、上記構成及び大きさのナノワイヤは、以下に詳述するような製造方法に起因して必然的に得ることができる。
(水素吸蔵用ナノワイヤの製造)
次に、上記ナノワイヤの製造方法について説明する。最初に塩化銅(I)(CuCl)を準備し、反応容器中に入れたアンモニア水中に溶解させる。加えるアンモニアは、銅がアンモニアを配位して錯イオンを形成するのに必要な量以上の量を加えるのが良い。その後、必要に応じて前記アンモニア水中に溶解している酸素分子及び前記反応容器中の空気を追い出すために、希ガス、例えばアルゴンガスなどを用いてバブリングする。このバブリングに要する時間は前記容器の体積などに依存するが、通常は数十分のオーダである。
次に、上記ナノワイヤの製造方法について説明する。最初に塩化銅(I)(CuCl)を準備し、反応容器中に入れたアンモニア水中に溶解させる。加えるアンモニアは、銅がアンモニアを配位して錯イオンを形成するのに必要な量以上の量を加えるのが良い。その後、必要に応じて前記アンモニア水中に溶解している酸素分子及び前記反応容器中の空気を追い出すために、希ガス、例えばアルゴンガスなどを用いてバブリングする。このバブリングに要する時間は前記容器の体積などに依存するが、通常は数十分のオーダである。
また、この工程で銅の錯イオンが形成され、反応液は青色を呈するようになる。
次いで、前記アンモニア水に対して希ガス、例えばアルゴンガスなどで所定濃度に希釈したアセチレンガスを接触させ、前記塩化銅(I)と反応させる。このような反応を通じて、以下の反応式で示すようなC2Cu2なる組成を有する銅アセチリドが生成する。この銅アセチリドから、その全体に亘って均一な組成を有するナノワイヤが自己組織的に形成される。この際、概略、以下の反応が起こると推定される。
2Cu++C2H2→C2Cu2(銅アセチリド)+2H+
C2Cu2(銅アセチリド)→(C2Cu2)n=∞ ナノワイヤ
2Cu++C2H2→C2Cu2(銅アセチリド)+2H+
C2Cu2(銅アセチリド)→(C2Cu2)n=∞ ナノワイヤ
なお、アセチレンガスの希釈度合いは、例えばアセチレンガスが数%のオーダとなるようにする。また、アセチレンガスの接触時間(反応時間)は、通常数時間のオーダである。
この濃度よりもアセチレンガスの濃度が高いと、銅アセチリドは不定形塊になり、ナノワイヤが得られなくなる場合がある。したがって、5%以下、好ましくは1容量%以下を選定するのが良い。また、アセチレンガス供給量は、1gの塩化銅を100mLの水に溶解した水溶液に対し、0.05mL/分を目安に供給するが良い。
次いで、上述のようのようにして得たナノワイヤを非酸化性雰囲気下に配置し、120℃以上の温度、好ましくは150℃〜300℃の温度に加熱して熱処理を施す。この際、均一な組成のナノワイヤは、それを構成するC2Cu2がC(炭素)とCu(銅)とに分解し、本発明の構成のナノワイヤが得られる。熱処理の時間は例えば数時間のオーダである。
なお、上記熱処理を120℃未満、例えば50℃〜70℃の温度で実施すると前述のナノワイヤを得ることができる。しかしながら、このような低温度での熱処理では、水素吸蔵能を呈することがない。したがって、本発明において、120℃以上での熱処理は必須の要件である。
なお、上記非酸化性雰囲気としては、希ガス雰囲気や減圧雰囲気などの酸素成分が前記ナノワイヤの作製に影響を与えないような条件が選ばれる。特に、減圧雰囲気の場合、その圧力は1mTorr以下とすることが好ましい。
また、本発明の製造方法においては、上述した熱処理の後に、前記ナノワイヤを溶剤中に浸漬させて、前記ナノワイヤを構成する銅成分を部分的に溶解除去することが好ましい。これによって、特に理由は明確でないが、前記ナノワイヤの水素吸蔵能が増大する。
但し、上記銅成分の溶解除去の度合いが小さいと前記ナノワイヤの水素吸蔵能を十分に増大させることができない。また、上記銅成分の溶解除去の度合いが大きすぎても前記ナノワイヤの水素吸蔵能を十分に増大させることができない。したがって、前記ナノワイヤの水素吸蔵能を十分に増大させるに適した銅成分の溶解除去範囲があり、現在では、ナノワイヤ中に占める銅成分の割合が約50重量%〜80重量%となるように銅成分の溶解除去を行えば、高い水素吸蔵能が得られるものと考えている。
また、上記溶剤としては、例えばアンモニア、水や無機酸を使うことができる。更に、アンモニア水に四塩化炭素を添加すると、銅の溶出速度が速くなる。さらに、溶剤中への浸漬時間は溶出液の組成で異なるが、例えば常温アンモニア水の場合は数時間のオーダである。無機酸は、公知の酸が使用できる。例えば硫酸、塩酸、硝酸等が使用できる。
このようにして得られた銅ナノワイヤのラマンスペクトルは、黒鉛構造由来のいわゆるGバンド、欠陥構造由来のいわゆるDバンドのいずれも弱いシグナルしか得られない特徴がある。本構造と、水素吸蔵能との関係は定かではないが、通常の黒鉛、活性炭とは明らかに異なる構造である。
<ナノワイヤの合成>
(実施例1〜3)
(i)合成:塩化銅(I価)無水換算1.0g、純水80cc、及び28モル%アンモニア水20ccを容積200ccの三つ口セパラブルフラスコに装入する。塩化銅は、アンモニア水を添加することで錯イオンとなり、水溶液は青く呈色した。内部を不活性ガスで十分に置換した後、不活性ガスで1容量%に希釈したアセチレンガスを5cc/分の速度で気相に流通させた。反応温度は室温で行った。反応液は攪拌子とスターラーで攪拌した。 アセチレンガスと接触することで、反応液中に徐々にナノワイヤが生成した。5時間反応させたあと、反応液をろ過し、ナノワイヤを回収した。このものを純水、次いでメタノールで十分に洗浄したあと、室温で一晩真空乾燥した。得られたナノワイヤは約0.1gであった。
(i)合成:塩化銅(I価)無水換算1.0g、純水80cc、及び28モル%アンモニア水20ccを容積200ccの三つ口セパラブルフラスコに装入する。塩化銅は、アンモニア水を添加することで錯イオンとなり、水溶液は青く呈色した。内部を不活性ガスで十分に置換した後、不活性ガスで1容量%に希釈したアセチレンガスを5cc/分の速度で気相に流通させた。反応温度は室温で行った。反応液は攪拌子とスターラーで攪拌した。 アセチレンガスと接触することで、反応液中に徐々にナノワイヤが生成した。5時間反応させたあと、反応液をろ過し、ナノワイヤを回収した。このものを純水、次いでメタノールで十分に洗浄したあと、室温で一晩真空乾燥した。得られたナノワイヤは約0.1gであった。
(ii)熱処理:得られたナノワイヤは、真空雰囲気下、昇温速度10度/分で、120℃、150℃及び200℃まで加熱し、その温度で1時間保持した。室温まで放冷した後、取り出し、真空デシケータ内で保管した。
(実施例4)
実施例1〜3と同様にしてナノワイヤを得た後、真空下電気炉あるいは所定の容器中に溶媒分散した浴を準備し、前記電気炉あるいは前記浴中において、150℃で3時間熱処理を実施した。次いで、28モル%濃度のアンモニア水を上記ナノワイヤに対し重量で200倍加え、1時間静置して、銅成分を部分的に溶解させた。青色の銅錯イオン溶出が認められた。所定時間反応後、ろ過、純水洗浄をくり返し行った後、室温で真空乾燥させた。
実施例1〜3と同様にしてナノワイヤを得た後、真空下電気炉あるいは所定の容器中に溶媒分散した浴を準備し、前記電気炉あるいは前記浴中において、150℃で3時間熱処理を実施した。次いで、28モル%濃度のアンモニア水を上記ナノワイヤに対し重量で200倍加え、1時間静置して、銅成分を部分的に溶解させた。青色の銅錯イオン溶出が認められた。所定時間反応後、ろ過、純水洗浄をくり返し行った後、室温で真空乾燥させた。
(実施例5)
静置時間を6時間とした以外は実施例4と同様にしてナノワイヤを得た。
静置時間を6時間とした以外は実施例4と同様にしてナノワイヤを得た。
(実施例6)
28モル%濃度のアンモニア水の代わりに、28モル%濃度のアンモニア水:四塩化炭素を体積比10:1で混合した溶解液を用い、6時間攪拌して銅成分を溶解させた以外は実施例4と同様にして処理を行った。
28モル%濃度のアンモニア水の代わりに、28モル%濃度のアンモニア水:四塩化炭素を体積比10:1で混合した溶解液を用い、6時間攪拌して銅成分を溶解させた以外は実施例4と同様にして処理を行った。
(比較例)
実施例1で、熱処理温度を70℃とした以外は同様にして処理を行い、ナノワイヤを得た。
実施例1で、熱処理温度を70℃とした以外は同様にして処理を行い、ナノワイヤを得た。
<分析>
(1)ラマンスペクトル:日本分光社製 NR-1800型装置を用いた。
図1は、実施例1の測定値を示す。比較材料として、市販の椰子柄活性炭(activated Carbon)、天然グラファイト(Graphite)のラマンスペクトルを測定した。一般に1580(cm-1)付近のピークは黒鉛結晶構造由来、1340(cm-1)付近のピークは乱層構造の炭素由来と帰属されている。
(2)熱重量測定による元素分析:熱重量測定は、TAインスツルメント社製 TGA2950型装置を用いた。空気中で加熱し、試料を燃焼させた。試料が銅・炭素の複合材であることから、燃焼後の重量残分を全て酸化銅によるものと仮定し、組成を求めた。試料は、大気放置中に、銅の酸化が進むため、組成決定に当たっては、燃焼前の、試料中の酸化銅量を補正した。図2に、実施例4及び6の測定例を示す。
(3)水素吸蔵特性の評価:水素吸蔵合金の圧力−組成等温線(PCT線)の測定方法(JIS H 7201)、ジーベルツ法(容量法)を参考に自作したジーベルツ装置を用いた。圧力容器は恒温槽に設置した。圧力容器の容積11.6cm3、試料充填量20mg、水素充填圧力3MPa、30℃で行った。予めブランク実験を行い、リークによる内圧低下量を求めた。次いで、圧力容器に水素ガスを3MPaで充填し、容器を密閉した後の内圧の低下(ブランク実験との差分)が全て、試料の水素吸蔵によるものと仮定し、次式で水素吸蔵量を算出した。
水素吸蔵能(wt%)=水素吸蔵量(mg)/試料量(20mg)×100
水素吸蔵反応は、数十時間にわたり継続する傾向があるため、40-50時間経過後の内圧を元に水素吸蔵量を求めた。図3に、ブランクの内圧変化を差し引いた、ナノワイヤによる水素吸蔵に伴う内圧変化を示した。また、実施例1〜6及び比較例における水素吸蔵量を表1にまとめた。
表1から明らかなように、CuClにアセチレンガスを接触させて得たナノワイヤを70℃の温度で熱処理した場合は、得られたナノワイヤの水素吸蔵量が0重量%であって、前記ナノワイヤは水素吸蔵能を呈しないことが判明した。
(1)ラマンスペクトル:日本分光社製 NR-1800型装置を用いた。
図1は、実施例1の測定値を示す。比較材料として、市販の椰子柄活性炭(activated Carbon)、天然グラファイト(Graphite)のラマンスペクトルを測定した。一般に1580(cm-1)付近のピークは黒鉛結晶構造由来、1340(cm-1)付近のピークは乱層構造の炭素由来と帰属されている。
(2)熱重量測定による元素分析:熱重量測定は、TAインスツルメント社製 TGA2950型装置を用いた。空気中で加熱し、試料を燃焼させた。試料が銅・炭素の複合材であることから、燃焼後の重量残分を全て酸化銅によるものと仮定し、組成を求めた。試料は、大気放置中に、銅の酸化が進むため、組成決定に当たっては、燃焼前の、試料中の酸化銅量を補正した。図2に、実施例4及び6の測定例を示す。
(3)水素吸蔵特性の評価:水素吸蔵合金の圧力−組成等温線(PCT線)の測定方法(JIS H 7201)、ジーベルツ法(容量法)を参考に自作したジーベルツ装置を用いた。圧力容器は恒温槽に設置した。圧力容器の容積11.6cm3、試料充填量20mg、水素充填圧力3MPa、30℃で行った。予めブランク実験を行い、リークによる内圧低下量を求めた。次いで、圧力容器に水素ガスを3MPaで充填し、容器を密閉した後の内圧の低下(ブランク実験との差分)が全て、試料の水素吸蔵によるものと仮定し、次式で水素吸蔵量を算出した。
水素吸蔵能(wt%)=水素吸蔵量(mg)/試料量(20mg)×100
水素吸蔵反応は、数十時間にわたり継続する傾向があるため、40-50時間経過後の内圧を元に水素吸蔵量を求めた。図3に、ブランクの内圧変化を差し引いた、ナノワイヤによる水素吸蔵に伴う内圧変化を示した。また、実施例1〜6及び比較例における水素吸蔵量を表1にまとめた。
一方、上記ナノワイヤを120℃〜150℃の温度で熱処理した場合は、0.08重量%〜0.47重量%の水素吸蔵量を呈し、水素吸蔵能を呈することが判明した。また、実施例2と実施例4〜6との比較から、上記ナノワイヤを構成する銅成分の残量が78重量&及び66重量%程度となるように前記銅成分を溶解した場合は水素吸蔵能が上昇するが、前記銅成分の残量が10重量%程度となるまで前記銅成分を溶解除去した場合は水素吸蔵能が低下することが判明した。
したがって、上記ナノワイヤを構成する銅成分の溶解除去において、その割合の最適値が存在することが推定され、例えば残留銅成分が約50重量%〜80重量%程度となるようにすれば、高い水素吸蔵能を呈することが推察される。
以上、具体例を挙げながら発明の実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
Claims (12)
- 銅アセチリドから構成されるナノワイヤの熱処理物を用いることを特徴とする、水素吸蔵ナノワイヤ。
- 前記ナノワイヤの直径が5nm〜10nmであることを特徴とする、請求項1に記載の水素吸蔵用ナノワイヤ。
- 前記ナノワイヤの長さが0.1μm〜1μmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の水素吸蔵用ナノワイヤ。
- ラマンスペクトルで、D及びGバンドに明瞭なピークを有しないことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載の水素吸蔵用ナノワイヤ。
- CuClを原料とし、この原料に対してアセチレンガスを接触させて銅アセチリドを得、前記銅アセチリドから結晶性のナノワイヤを自己組織的に形成する工程と、
前記ナノワイヤを非酸化性雰囲気下、120℃以上の温度で熱処理する工程と、
を具えることを特徴とする、水素吸蔵用ナノワイヤの製造方法。 - 前記熱処理は、150℃〜300℃の温度で行うことを特徴とする、請求項4に記載の水素吸蔵用ナノワイヤの製造方法。
- 前記熱処理の後に、前記ナノワイヤを溶剤中に浸漬させて、前記ナノワイヤ中間体を構成する銅成分を部分的に溶解除去する工程を具えることを特徴とする、請求項5又は6に記載の水素吸蔵ナノワイヤの製造方法。
- 前記溶剤はアンモニア、硝酸及び四塩化炭素の少なくとも一方を含むことを特徴とする、請求項6に記載の水素吸蔵ナノワイヤの製造方法。
- 前記CuClは、アンモニア水溶液に溶解した形態とし、前記アセチレンガスは、前記原料の溶液界面で、5容量%以下の濃度のガス状で接触させることを特徴とする、請求項5〜8のいずれか一に記載の水素吸蔵ナノワイヤの製造方法。
- 前記ナノワイヤの直径が5nm〜10nmであることを特徴とする、請求項5〜9のいずれか一に記載の水素吸蔵用ナノワイヤの製造方法。
- 前記ナノワイヤの長さが0.1μm〜1μmであることを特徴とする、請求項5〜10のいずれか一に記載の水素吸蔵用ナノワイヤの製造方法。
- ラマンスペクトルで、D及びGバンドに明瞭なピークを有しないことを特徴とする、請求項5〜11のいずれか一に記載の水素吸蔵用ナノワイヤの製造方法。
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CN106928257A (zh) * | 2015-12-30 | 2017-07-07 | 中国科学院上海硅酸盐研究所 | 一种d10过渡金属炔化物二维纳米片及其制备方法 |
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