JP2010104084A - 列車制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両特性モデルのパラメータをとして短期用と長期用の二種類を備え、列車の走行制御中に車両特性推定手段により推定された実際の減速度に基づいて短期用パラメータを調整し、停止時に次駅間の長期用パラメータを前駅間の短期用パラメータの調整結果に基づいて調整する。これら短期用及び長期用パラメータの双方に基づいて制御に供する車両特性モデルを調整し、これにより車両特性モデルが実際の車両特性に収束する方向に調整される。これを通じて、車両特性の短期的変動及び長期的変化の両方を考慮したモデルの調整がなされる。また、長期用パラメータを更に経過用と駅間用と分けた構成では、乗車率などその駅間特有の車両特性が車両特性モデルの調整に顕著に反映される。
【選択図】図1
Description
第2の目的は、制御に供される車両特性モデルと実際の車両特性との間のずれを、車両特性の短期的変動と経年変化などの長期的変化を同時に考慮して縮小できる列車制御装置を提供することにある。
この実施例の列車制御装置は、列車1に搭載されている。この列車制御装置において、路線条件データ記憶手段2には、軌道の曲線半径や勾配などのデータが記憶され、また、運行条件データ記憶手段3には、運行ダイヤ、駅情報などの運行条件のデータが記憶されている。ベース車両特性モデル保持手段4には、手動による試験走行及び設計仕様などに基づき当該列車の車両特性モデル(以下、これを制御指令算出に直接供される制御用車両特性モデルと識別するために便宜上、ベース車両特性モデルという。)が保持されており、また、制御用車両特性モデル保持手段5には、制御指令の算出に供される制御用車両特性モデルが保持される。その保持された制御用車両特性モデルは、ベース車両特性モデルに車両特性パラメータを乗ずることにより調整される(書き換えられる)ことを繰り返す。この制御用車両特性モデル保持手段5の初期値はベース車両特性モデルである。
駅間走行開始時、パラメータ保持手段13の短期用保持部13aに保持された車両特性パラメータは初期値として100%となっており、制御用車両特性モデル保持手段5にはベース車両特性モデル保持手段4に保持されたベース車両特性モデルに車両特性パラメータ100%を乗じた制御用車両特性モデルが保持されている。この時点の制御用車両特性モデルは、車両特性パラメータが100%であることからベース車両特性モデル特性モデルと同一である。
特に、この実施例では、走行中に減速度の推定とその推定結果に基づく制御用車両特性モデルの調整を進め、その調整結果を制御用車両特性モデルをして停止位置誤差の予測に直ちに反映させるので、特許文献4に開示された車両特性モデルの学習方式による制御とは異なり、乗車率の変動や電気制動の失効など、短期的な車両特性変動による走行乱れがその減速中に速やかに改善される。
上記第1実施例では、図1を第2実施例以降の説明に共用するために車両特性推定手段6に短期用保持部13aと長期用保持部13bを備える構成としたが、第1実施例では短期や長期の識別は不要であるから単なる保持部であってよい。
この第2実施例は、前駅間での特性パラメータの調整結果を、初期値として使用するようにしたものである。すなわち、前駅間の走行後、短期用保持部13aに保持された最終調整後の車両特性パラメータをベース車両特性モデルに乗じて、その結果を、次駅間の制御用車両特性モデルの初期値とする構成である。なお、次駅間の初期値は前駅間での最終の調整値ではなく、前駅間での複数回の調整値の平均値であってもよい。
この実施例は、車両特性推定手段6により推定された車両特性に基づいて予測される車両特性中に経年変化分と一時的な変動分(短期的変動分)の両方が含まれていると考えられるので、それに対する対応である。すなわち、車両特性の短期的な変動への対応を目的とした第1実施例に示すようなパラメータ(短期用パラメータという)と、車両特性の経時的変化への対応のための長期用パラメータとを作成し、これら両パラメータを使用して車両特性の短期的な変動に起因する制御性能の悪化を速やかに除去し、長期的変化に起因する制御性能の悪化の除去効果を緩やかに進行させるようにしたものである。すなわち、車両特性の推定値に基づく車両特性モデルの調整動作が、一時的な短期的変動に対しては速やかに反応し、長期的変化に対しては緩やかに反応する構成としたものである。
この第4実施例は、第3実施例とは長期用パラメータの調整方法が異なる。長期用パラメータは、第3実施例のように減速走行中に減速度推定値を反映しながら調整していくのではなく、駅間走行後に短期用パラメータの調整結果を反映することで調整する。このため、長期用パラメータの値を、駅到着のたびに前駅間での短期用パラメータの調整結果(図4のP1)に基づいて調整し、その値を次駅まで維持する。その調整のしかたとしては、前駅間の短期用パラメータ(P1)の平均値(P2)、或いは短期用パラメータの最終調整値と長期パラメータの値との差にある採用率を乗じた分だけ長期パラメータ値を動かせば良い。
前記第3実施例以下で述べた実施例では、車両特性の長期的変化を制御用車両特性モデルに反映させるために、長期用パラメータによって短期用パラメータの次駅間での調整の初期値が設定されることから短期用特性パラメータの調整可能範囲を予め広く取っておく必要がある。しかしながら調整可能範囲が広すぎると、車両特性推定手段6による減速度の推定結果が、外乱などにより減速度の通常の変動範囲を大きく逸脱する場合でもこれがパラメータに反映されてしまい、制御性能が悪化することが考えられる。この第5実施例はこの問題に対処したもので、第4実施例に対して構成が次のように相違する。
なお、第4実施例のように短期用パラメータの調整結果に基づき長期用パラメータの初期値を調整する場合は、その長期用パラメータの初期値の調整後に短期用パラメータをディフォルト値に戻すようにする。
この第6実施例は、第5実施例に対して次のように相違している。すなわち、長期用パラメータとして経過用パラメータと駅間用パラメータの2種類を備える。経過用パラメータ及び駅間用パラメータは、駅間走行後毎回調整し、その調整方法は第5実施例の長期用パラメータの調整と同様である。
なお、駅間用パラメータは、走行した駅間について駅間用パラメータを追加していくようにすれば、各駅停車路線の一部区間しか走行しない車両なら走行しない駅間の分を用意する必要がない。従って、列車の搭載するデータベースの容量を路線の全ての駅間分に相応させる必要がなく、走行しない駅間分だけデータベースを無駄に占有しないで済む。
この第7実施例は、部品交換や機器の調整などにより車両特性モデルの初期設定そのものを改変する必要を生じた場合の対応例である。例えば、編成車両の全てのブレーキシューを一斉に交換する場合が考えられ、このような一斉交換がなされると、車両の実際の減速度と車両特性モデルとの間の誤差が著しく拡大し、上記実施例のような実際の運転にともない車両特性モデルのパラメータを徐々に修正する方法では長時間かかり、低い制御性能下での走行が余儀なくされる可能性がある。
この第8実施例は、前記第1〜第6実施例への追加変形態様のものである。上記各実施例は、車両特性モデルによる自動運転状態で車両特性モデルのパラメータを調整している。ところで、制御指令算出手段14が制御指令を算出しない状態、或いは、その制御指令の出力が後段装置に伝達されない状態のまま列車が走行される場合がある。このような場合の典型例が、列車を車庫から駅ホームに移動させる手動運転、或いは手動運転区間の手動運転であり、このような運転状態でも車両特性推定手段6及び車両特性モデル調整手段12に基づき、前述同様の方法で車両特性モデルのパラメータを調整する。その結果、自動運転の開始前に車両特性モデルを実際の列車特性に近づけておくことができ、自動運転を比較的高い制御性能の下で開始することができるようになる。
上記実施例では、ベース車両特性モデルに車両特性パラメータを乗じて獲得した制御用の車両特性モデルを、一旦制御用車両特性モデル保持手段5に保持させる構成としているが、制御用車両特性モデル保持手段5を省いて直接制御指令算出手段に供する構成としてもよい。また、上記実施例では、短期用及び長期用パラメータの初期値の調整時点を駅停止時としているが、これに限定されるものではなく、調整後のパラメータを制御に反映させる時点前であれば、駅停止時以降の所定時点でよい。さらに、長期的変化を短期用パラメータに反映させるために、短期用パラメータを長期用パラメータにより調整して初期値としているが、ここでいう「初期値」の用語は、調整値の時間的前後を限定する趣旨ではなく、長期的変化を短期用パラメータに反映させる目的の調整値いう。
Claims (9)
- 列車の速度と位置を検出する速度・位置検出手段と、少なくとも列車の力行時の加速度及び制動時の減速度の両方あるいはいずれか一方を車両特性として含む車両特性モデルを保持する車両特性モデル保持手段と、前記速度・位置検出手段で検出された速度と位置、現在の制御指令値、路線条件、及び車両条件に基づいて車両特性を推定する車両特性推定手段と、この車両特性推定手段による推定結果に基づいて車両特性モデルに関する車両特性パラメータを調整する車両特性モデル調整手段と、前記車両特性モデルとその調整後の車両特性パラメータ、並びに、前記速度・位置検出手段で検出された速度と位置、現在の制御指令値、路線条件、車両条件に基づいて駆動・制動制御装置への制御指令を算出する制御指令算出手段とからなる列車制御装置。
- 車両特性モデル調整手段は、駅到着時以降の所定時点で車両特性パラメータの値を前駅間での車両特性パラメータの調整結果に基づいて調整し、その調整後の値を初期値として次駅間での車両特性パラメータの調整を開始することを特徴とする請求項1に記載の列車制御装置。
- 車両特性モデル保持手段は車両特性パラメータを短期用と長期用の二種類を持ち、車両特性モデル調整手段は、車両特性推定手段による推定結果を前記短期用パラメータと長期用パラメータに夫々異なる比率で反映させてこれらパラメータを調整し、その反映比率を長期用パラメータの方が短期用パラメータよりも小さい値とし、制御指令算出手段は前記短期用及び長期用パラメータの双方に基づいて制御指令を算出することを特徴とする請求項1に記載の列車制御装置。
- 車両特性モデル保持手段は車両特性パラメータを短期用と長期用の二種類を持ち、車両特性モデル調整手段は、車両特性推定手段による推定結果に基づいて短期用パラメータを調整しこの短期用パラメータの調整結果に基づいて長期用パラメータを駅到着時以降の所定時点で調整し、制御指令算出手段は短期用及び長期用パラメータの双方を用いて制御指令を算出することを特徴とする請求項1に記載の列車制御装置。
- 制御指令算出手段が短期用パラメータにより調整された車両特性モデルに基いて制御指令を算出する構成とし、車両特性モデル調整手段は、駅到着時以降の所定時点で長期用パラメータの調整結果に基づいて短期用および長期用パラメータを調整し、その調整後の値を初期値として次駅間での短期用および長期用パラメータの調整を開始することを特徴とする請求項3または4のいずれかに記載の列車制御装置。
- 制御指令算出手段は長期用パラメータと短期用パラメータにより調整された車両特性モデルに基づいて制御指令を算出する構成とし、車両特性モデル調整手段は駅到着時以降の所定時点で短期用パラメータの調整値をディフォルト値に戻すことを特徴とする請求項4に記載の列車制御装置。
- 車両特性モデル保持手段は長期用パラメータを経過用と駅間用の二種類を持ち、車両特性モデル調整手段は、経過用パラメータと走行駅間に対応する駅間用パラメータとを調整し、これら経過用パラメータと駅間用パラメータの双方を長期用パラメータとして用いることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の列車制御装置。
- 車両特性モデル保持手段は、車両特性パラメータを、自列車での過去の調整結果、または、同種の他列車での調整結果に基づき事前に調整する構成であることを特徴とする請求項2〜7いずれかに記載の列車制御装置。
- 制御指令算出手段が動作しない場合、或いはその制御指令が駆動・制動制御装置へ伝達されない場合に、車両特性推定手段は前記速度・位置検出手段で検出された速度と位置、現在の制御指令、路線条件、及び車両条件に基づいて車両特性を推定し、車両特性モデル調整手段は車両特性推定手段による推定結果に基づいて車両特性パラメータを調整することを特徴とする請求項2〜8のいずれかに記載の列車制御装置。
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