JP2010102228A - 光共振器、その製造方法及び流体用光学センサ - Google Patents
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Abstract
【課題】透過光を利用可能とするとともに、光共振器内部への物質の出し入れを容易にすること。
【解決手段】複数の波長を含む入射光INから選択波長の光を共振させて出射光OUTを生じる光共振器10において、第1主面12aと、第1主面に対向する第2主面12bとを備えていて、厚みDが出射光の波長の整数倍である基板12と、第1及び第2主面にそれぞれ形成された第1及び第2高反射膜14a及び14bと、第1及び第2高反射膜を貫通して設けられた貫通孔16,16A,16B,・・・とを備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】複数の波長を含む入射光INから選択波長の光を共振させて出射光OUTを生じる光共振器10において、第1主面12aと、第1主面に対向する第2主面12bとを備えていて、厚みDが出射光の波長の整数倍である基板12と、第1及び第2主面にそれぞれ形成された第1及び第2高反射膜14a及び14bと、第1及び第2高反射膜を貫通して設けられた貫通孔16,16A,16B,・・・とを備えることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
この発明は、流体の光学測定に好適な光共振器及びその製造方法、並びに流体用光学センサに関する。
リング型の光共振器は、非常に波長選択性が鋭いフィルタを実現するための手段として、盛んに研究されている(例えば、特許文献1参照)。リング共振器を構成する光導波路に光を入力するためには光ファイバ又は光導波路を近接配置し、リング共振器に光を結合する構成が一般的に採用されている。また、フォトニック結晶を用いた光共振器も盛んに研究されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、リング型の光共振器もフォトニック結晶を用いた光共振器も、光導波路への光の結合が必要であるために、厳密な位置合わせが必要とされ、使い勝手に劣っていた。
これに対して、ファブリペロ共振器は、空間光を直接、光共振器に入射することができる点で使い勝手に優れている。近年、ファブリペロ共振器の応用として、ウエハに細孔を作成して構成された光共振器が開示されている(例えば、特許文献3〜5)。
特許文献3〜5に開示された技術では、Si製又はAl製の基板に、陽極酸化法を用いて細孔を形成している。これらの技術では、(1)細孔を介して光共振器中に物質を導入できること、及び(2)細孔の体積比率を調整することにより細孔の等価屈折率を調整可能であること、を利用して、センサ及び可変波長フィルタへの応用が図られている。
また、細孔が形成された膜の表面にミラーを設けることで、基板主面とミラーとの間の光の反射を利用して波長特性をシャープにすることも行われている(例えば、非特許文献1参照)。
特開2007−183644号公報
米国特許明細書第7391945号明細書
米国特許明細書第7335514号明細書
米国特許明細書第7267859号明細書
米国特許明細書第7074480号明細書
2006年春第53回応用物理学関係連合講演会講演予稿集26a−I−11
しかし、これらの文献に開示されている光共振器は、いずれも反射光のみを利用するものであった。つまり、透過光を利用することができなかった。また、これらの光共振器は、物質の光共振器に対する導入方向も制限されており、表面側から裏面側へと限られていた。これらの結果、光学測定の自由度が制限されていた。
この発明は、上述したような問題点に鑑みなされたものである。従って、この発明の目的は、透過光を利用可能とするとともに、光共振器内部への物質の出し入れを容易にすることができる光共振器及びその製造方法並びに流体用光学センサを提供することにある。
この発明の発明者は、上述した目的の達成を図るために、基板を貫通する微細な多数の貫通孔を有する基板の表裏に高反射膜を形成することにより、両高反射膜の間でファブリペロ光共振器を構成することに想到した。
従って、この発明の光共振器は、複数の波長を含む入射光から選択波長の光を共振させて出射光を生じる。
この光共振器は、第1主面と、第1主面に対向する第2主面とを備えていて、厚みが出射光の波長の整数倍である基板と、第1及び第2主面にそれぞれ形成された第1及び第2高反射膜と、第1及び第2高反射膜を貫通して設けられた貫通孔とを備える。
この光共振器の好適な一実施態様として、貫通孔が、第1及び第2主面に対して垂直に形成されていることが好ましい。
この光共振器の好適な一実施態様として、貫通孔の第1及び第2高反射膜における開口部の最大寸法が、入射光の波長以下の長さであることが好ましい。
この光共振器の好適な一実施態様として、基板を開口から露出させて該基板を支持する支持体と、貫通孔が設けられた領域のうち開口から露出した領域としての素子領域とを備えることが好ましい。
この発明の流体用光学センサは、上述の光共振器を用いている。この流体用光学センサは、流路中を流れる光共振器が分散した被測定流体に光を照射する照射部と、被測定流体中の前記光共振器から出射する出射光を検出する検出部とを備える。
この発明の光共振器の製造方法は、基板の前記素子領域に細孔を形成する工程と、開口から素子領域が露出するように、基板を支持体に貼着する工程と、細孔を、基板を貫通する前駆貫通孔とする工程と、基板の第1及び第2主面に高反射膜を形成することにより、貫通孔を形成する工程とを備える。
また、この発明の別の光共振器の製造方法は、基板の素子領域に、基板を貫通する前駆貫通孔を形成する工程と、基板の第1及び第2主面に高反射膜を形成することにより、貫通孔を形成する工程と、開口から素子領域が露出するように、基板を支持体に貼着する工程とを備える。
この発明は上述のように構成しているので、透過光を利用可能とするとともに、光共振器内部への物質の出し入れを容易にすることができる光共振器及びその製造方法並びに流体用光学センサが得られる。
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。なお、各図は、各構成要素の形状、大きさ及び配置関係について、この発明が理解できる程度に概略的に示してある。また、以下、この発明の好適な構成例について説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は、以下の実施の形態に何ら限定されない。また、各図において、共通する構成要素には同符号を付し、その説明を省略することもある。
(実施の形態1)
図1〜図8を参照して、実施の形態1の光共振器について説明する。
図1〜図8を参照して、実施の形態1の光共振器について説明する。
(構造)
図1(A)は、実施の形態1の光共振器10の一部切欠斜視図である。図1(B)は、図1(A)のA−A線に沿って切断した断面図である。
図1(A)は、実施の形態1の光共振器10の一部切欠斜視図である。図1(B)は、図1(A)のA−A線に沿って切断した断面図である。
この光共振器10は、第1主面12aと、第1主面12aに対向する第2主面12bとを備えていて、厚みDが出射光の波長の整数倍である基板12と、第1及び第2主面12a及び12bにそれぞれ形成された第1及び第2高反射膜14a及び14bと、第1及び第2高反射膜14a及び14bを貫通して設けられた貫通孔16,16A,16B,・・・とを備えている。
以下、それぞれの構成要素について詳細に説明する。
基板12は、好ましくは例えば、円盤状の平行平板とする。基板12を構成する材料は、好ましくは例えばAlとする。基板12は、第1主面12aと第2主面12bとを備えている。第1及び第2主面12a及び12bは、厚みDの間隔を隔てて互いに対向して延在している。ここで、基板12の厚みDとは、第1主面12aと第2主面12bとの間の距離である。
第1及び第2高反射膜14a及び14bは、それぞれ基板12の第1及び第2主面12a及び12b上の全面に設けられている。第1及び第2高反射膜14a及び14bは、好ましくは、例えば従来公知の誘電体多層膜とする。この実施の形態に示す例では、第1及び第2高反射膜14a及び14bの反射率は等しく設定されている。なお、ここで、「高反射膜」とは、光共振器10で選択された波長の出射光OUTに対して90%以上の反射率を有する膜のことを言う。
貫通孔16,16A,16B,・・・は、第1高反射膜14aと第2高反射膜14bとの間、つまり基板12を厚み方向に貫通して設けられた複数の孔である。この実施の形態に示す例では、貫通孔16,16A,16B,・・・は、それぞれ形状が等しく、略円筒状である。また、貫通孔16,16A,16B,・・・は、基板12の第1及び第2主面12a及び12bに対して垂直に延在している。
図1(B)を参照すると、貫通孔16,16A,16B,・・・は、第1反射膜14aに設けられた第1開口部16aと、第2反射膜14bに設けられた第2開口部16bと、第1及び第2開口部16a及び16bとを接続する孔部16cとに区画される。
第1及び第2開口部16a及び16bの最大寸法M、すなわち直径は、光共振器10に入射する入射光の波長以下の長さに形成されている。これは、後述するようにファブリペロ光共振器として作用する第1及び第2反射膜14a及び14bが形成されている領域を広く確保し、光共振器10からの出射光の強度を強めるためである。
ここで、図2を参照して、「最大寸法M」について説明する。図2(A)及び(B)は、最大寸法の説明に供する貫通孔の平面図である。
図2(A)及び(B)に示すように、貫通孔16の開口部Hは、円形には限定されない。例えば、図2(A)のように楕円形状であってもよいし、図2(B)のように正方形状であってもよい。
開口部Hの最大寸法Mとは、開口部Hが存在する面内で測った開口部の最大開口径のことを示す。つまり、図2(A)の楕円状の開口部Hの場合には、楕円の長軸の長さが最大寸法Mとなり、図2(B)の正方形状の開口部Hの場合には、対角線が最大寸法Mとなる。
再び、図1を参照して、貫通孔16,16A,16B,・・・の説明を行う。貫通孔16,16A,16B,・・・は、互いに離間して設けられている。ここで、任意の1個の貫通孔16Aと貫通孔16Aに隣接する別の貫通孔16Bとの間の間隔Kについて考える。
この場合に、間隔Kは、0(ゼロ)より大きい間隔Kが設けられている。より詳細には、貫通孔16Aと16Bとは0(ゼロ)より大きな間隔Kを有しているとは、貫通孔16A及び16Bが結合していない、つまり、離間していることを示している。
また、基板12の第1主面12a(第2主面12b)の面積に対して、貫通孔16,16A,16B,・・・の第1開口部16a(第2開口部16b)の面積の総和は約1/3〜約2/3の比率とすることが好ましい。貫通孔16,16A,16B,・・・の開口部の占める基板の主面に対して占める割合をこの範囲とすることにより、実用上十分な強度の出射光OUTを得ることができる。
(動作)
続いて、図1(B)を参照して、光共振器10の動作について説明する。第1開口部16aから孔部16cに入射した入射光INは、回折により広がる。その結果、入射光INの一部は、基板12の内部を、第1及び第2主面12a及び12bに対して垂直に伝播する光Lへと変化する。
続いて、図1(B)を参照して、光共振器10の動作について説明する。第1開口部16aから孔部16cに入射した入射光INは、回折により広がる。その結果、入射光INの一部は、基板12の内部を、第1及び第2主面12a及び12bに対して垂直に伝播する光Lへと変化する。
光Lは、基板12の内部を伝播して、第2高反射膜14bで反射され、伝播方向が逆転し、第1高反射膜14aに向かって伝播する。このようにして、光Lは、第1及び第2高反射膜14a及び14bの間の基板12を往復する。
つまり、第1及び第2高反射膜14a及び14bと基板12とからなるファブリペロ光共振器が形成される。その結果、光共振器10での共振により、基板12の厚みDの(整数分の1)の波長を有する光Lのみが波長選択される。
このように、往復により波長選択された光Lは、徐々に強度を大きくしていき、ある程度以上の強度となると、貫通孔16,16A,16B,・・・の第1及び第2開口部16a及び16bから外部に漏れ出す。これが、外部への出射光OUTとなる。
次に、図3に示したシミュレーション結果から、より具体的に光共振器10の動作について説明する。図3は、光共振器10から出射される出射光OUTの波長と光強度との関係を示す図である。横軸は、出射光OUTの波長(μm)を表わし、縦軸は光強度(任意単位)を表わす。
シミュレーションは、従来公知のFDTD(Finite difference time domain)法を用いて行った。より詳細には、0.8〜1.2μmの波長範囲で等しい光強度を有する入射光INを、基板12の第1高反射膜14a側から光共振器10に入射させ、第2高反射膜14b側からの出射光OUTについて、波長と光強度とを計算した。
シミュレーションに当たり、基板12は、屈折率1.73の酸化アルミニウム(Al2O3)と仮定した。また、貫通孔16,16A,16B,・・・は、円筒状とし、第1及び第2開口部16a及び16bの最大寸法Mすなわち直径を0.5μmとした。また、貫通孔16,16A,16B,・・・の間隔は0.5μmとした。また、基板12の厚みDは5μmとした。さらに、第1及び第2高反射膜14a及び14bの材料としては銀(Ag)を仮定し、第1及び第2高反射膜14a及び14bの厚みは20nmとした。
図3によると、0.8〜1.2μmの範囲で、略等波長間隔に、鋭い波長ピークが得られており、光共振器10が、ファブリペロ光共振器として動作することが確認できる。
なお、このシミュレーションにおいては、出射光OUTとして、第2高反射膜14b側から出射されるものを計算した。しかし、第1高反射膜14a側からの出射光は、第2高反射膜14b側の出射光のピーク波長で低出力となるファブリペロ共振器型の出力をする。
(センサ応用の一例)
続いて、図4〜図6を参照して、光共振器10のセンサ応用の一例について説明する。この例では、光共振器10を流体用光学センサ、具体的には屈折率センサとして用いる場合について説明する。
続いて、図4〜図6を参照して、光共振器10のセンサ応用の一例について説明する。この例では、光共振器10を流体用光学センサ、具体的には屈折率センサとして用いる場合について説明する。
まず、図4を参照して、この屈折率センサの測定原理について説明する。
図4に示すように、光共振器10において、第1及び第2高反射膜14a及び14b間を往復する光Lのエバネッセント光Eは、僅かに、基板12から貫通孔16,16A,16B,・・・へと染み出している。
従って、貫通孔16,16A,16B,・・・に存在する物質の屈折率が変化すると、光Lが感じる等価屈折率が変化する。これに対応して、光共振器10の共振条件が僅かに変化し、出射光OUTの波長が僅かにずれる。よって、出射光OUTの波長の変化Δλをモニタすることにより、貫通孔16,16A,16B,・・・に存在する物質の屈折率変化を評価することが可能となる。
以下、この点について、図5(A)及び(B)に示したシミュレーション結果を参照して、さらに詳細に説明する。
図5(A)は、貫通孔16,16A,16B,・・・に、流体としての純水が満たされている場合の出射光OUTの波長と光強度とを示す図である。図5(B)は、貫通孔16,16A,16B,・・・に、不純物を添加することによって屈折率が変化した水が満たされている場合の出射光OUTの波長と光強度とを示す図である。図5(A)及び(B)とも、横軸は、出射光OUTの波長(μm)を表わし、縦軸は、出射光OUTの光強度(任意単位)を示す。
このシミュレーションは、図3に示したシミュレーションと同様の寸法及び材質の光共振器10を用いて実施されている。また、シミュレーションの手法も、図3と同様にFDTD法を採用している。
また、図5(A)の計算では、純水の屈折率を1.33とし、及び図5(B)の計算では、不純物が添加されることにより、水の屈折率が1.34に変化したとしている。
図5(A)を参照すると、貫通孔16,16A,16B,・・・に純水が満たされている場合、出射光OUTのピーク波長は、約1.084μmであることが分かる。
それに対し、不純物を含む水が貫通孔16,16A,16B,・・・に満たされている場合には、上述したように、光Lが感じる等価屈折率が変化することで、共振波長が変化することにより、ピーク波長が1.086μmへと変化していることが分かる。すなわち、出射光の波長変化Δλは2nmである。
このシミュレーション結果から、光共振器10を流体の屈折率センサとして応用できることが分かる。
続いて、図6を参照して、この屈折率センサの使用態様の具体例について説明する。
図6は、基板20に形成されたマイクロ流路22を被測定流体Liqとともに矢印A方向に流下する屈折率センサ24を示したものである。マイクロ流路22の下方には、屈折率センサ24に入射光INを照射する照射部としての光源26が設けられている。また、マイクロ流路22の上方において、この光源26に対向する位置には、屈折率センサ24を透過して出射される出射光OUTを受光する検出部としての検出器28が設けられている。
このように構成することにより、マイクロ流路22を流れる被測定流体Liqの屈折率の変化を上述した原理に基づいて測定することができる。
(効果)
以下、この実施の形態の光共振器10の効果について説明する。
以下、この実施の形態の光共振器10の効果について説明する。
(1)この光共振器10は、貫通孔16,16A,16B,・・・が、基板12を貫通して設けられているので、基板12の第1主面12a側からも、第2主面12b側からも、物質を光共振器10内部に導入することができる。これにより、従来の技術に比較して、より光共振器10内部への物質の出し入れが容易に行える。
(2)この光共振器10は、平行平板状の基板12の第1及び第2主面12a及び12bの双方に、それぞれ第1及び第2高反射膜14a及び14bを備えている。これにより、第1及び第2高反射膜間でファブリペロ光共振器を構成している。その結果、光共振器10で選択された選択波長の出射光OUTは、反射側、すなわち基板12の第1主面12a方向及び透過側、すなわち基板12の第2主面12b方向の両方向から出射される。つまり、この光共振器10では、反射光のみでなく、透過光も利用することができる。
ここで、反射光とは、ファブリペロ共振器としての光共振器10において、入射光INが入射した主面側から出射される波長選択光を示す。同様に、透過光とは、ファブリペロ共振器としての光共振器10において、入射光INが入射した主面とは反対側の主面側から出射される波長選択光を示す。
(設計条件)
以下、この光共振器10の設計条件について説明する。
以下、この光共振器10の設計条件について説明する。
(1)この実施の形態では、基板12として酸化アルミニウムを用いた場合について説明した。しかし、基板12の材料は、酸化アルミニウムには限定されない。例えば、Al、Si、ガラス、石英及び樹脂等を、設計に応じて選択して用いることができる。
(2)この実施の形態では、貫通孔16,16A,16B,・・・は基板12の第1及び第2主面12a及び12bに対して垂直に延在している場合について説明した。しかし、貫通孔16,16A,16B,・・・は、第1及び第2主面12a及び12bに対して傾斜して延在していてもよい。
以下、この点について、図7(A)及び(B)を参照してより詳細に説明する。図7(A)は、貫通孔16,16A,16B,・・・が第1及び第2主面12a及び12bに対して傾斜して延在している場合における、基板12の切断端面図である。
図7(B)は、図7(A)における、貫通孔16,16A,16B,・・・の第1主面12aに対する正射影を示す平面図である。なお、図7(B)において、貫通孔の正射影に対応する領域には斜線を施して示してある。
ここで、図7(A)及び(B)において、貫通孔の正射影に対応する領域(図7(B)において斜線を施した領域)を「貫通孔領域Ho」と称し、貫通孔領域Ho以外の基板12の第1主面12aの領域、すなわち図7(B)において斜線が施されていない白地の領域を「共振器領域Su」とする。
この場合、基板12がファブリペロ共振器として機能するためには、共振器領域Suが存在する必要がある。つまり、貫通孔領域Hoは、貫通孔16,16A,16B,・・・が存在する領域であるために、たとえ基板12の第1及び第2主面12a及び12b上に第1及び第2高反射膜14a及び14bが存在していてもファブリペロ共振器として機能することはない。
つまり、ファブリペロ共振器として機能するのは、第1高反射膜14aの第2主面12bへの正射影と第2高反射膜14bの第1主面12aへの正射影とが重複する領域、すなわち共振器領域Suのみである。
このように、共振器領域Suが存在するように光共振器10を構成することにより、第1及び第2高反射膜14a及び14bと、この第1及び第2高反射膜14a及び14bの間に介在する基板12とで、ファブリペロ光共振器が形成される。つまり、光共振器10をファブリペロ光共振器として機能させることができる。
(3)この実施の形態では、貫通孔16,16A,16B,・・・は、円筒形の場合について説明した。しかし、貫通孔の形状は円筒形には限定されない。第1主面12a側から第2主面12b側に物質を流通することが可能であれば、上述したような四角柱状でもよいし、楕円柱状でもよい。
また、図8(A)に示すように、貫通孔16の断面寸法がテーパ状に拡径するような形状であってもよい。また、図8(B)に示すように、貫通孔16の内部が紡錘状に広がっていてもよいし、逆に、図8(C)に示すように、貫通孔16の内部が鼓状に狭まっていてもよい。
(4)この実施の形態では、基板12が、平行平板である場合について説明した。しかし、基板12は、必ずしも平行平板である必要はなく、第1主面12aに対して第2主面12bが僅かに傾いていてもよい。
(5)この実施の形態では、貫通孔16,16A,16B,・・・の第1及び第2開口部16a及び16bの最大寸法を、入射光INの波長以下の寸法とする場合について説明した。しかし、第1及び第2開口部16a及び16bの最大寸法は、出射光OUTの強度が減少することを許容できるのであれば、入射光INの波長より大きな寸法としてもよい。このように構成することによっても、光共振器10は、上述した効果を奏する。
(6)この実施の形態では、第1及び第2高反射膜14a及び14bの反射率が等しい場合について説明した。しかし、第1及び第2高反射膜14a及び14bの反射率は、等しくする必要はない。
この場合、第1主面12aから出射される出射光OUTの強度と、第2主面12bから出射される出射光OUTの強度とに差が生じることとなる。この出射光OUTの強度差を許容できるのであれば、第1及び第2高反射膜14a及び14bの反射率は、異なっていてもよい。
(7)この実施の形態では、第1主面12a(第2主面12b)の面積に対して、貫通孔16,16A,16B,・・・の第1開口部16a(第2開口部16b)の面積の総和は約1/3〜約2/3の比率とした場合について説明した。しかし、第1開口部16a(第2開口部16b)の面積の総和の比率は、約1/3〜約2/3の範囲には限定されない。
出射光OUTの強度低下が許容できるならば、約1/3〜約2/3以外の比率であっても構わない。このようにすることによっても、光共振器10は上述した効果を奏する。
(実施の形態2)
続いて、図9及び図10を参照して、実施の形態2の光共振器について説明する。
続いて、図9及び図10を参照して、実施の形態2の光共振器について説明する。
(構造及び動作)
図9(A)は、この実施の形態の光共振器の概略構成を示す斜視図である。図9(B)は、図9(A)のA−A線に沿って取った断面図である。
図9(A)は、この実施の形態の光共振器の概略構成を示す斜視図である。図9(B)は、図9(A)のA−A線に沿って取った断面図である。
この実施の形態の光共振器30は、基板12を支持する支持体36が設けられている点が実施の形態1の光共振器10と異なっている。従って、図9において、図1と同様の構成要素には同符号を付して、その説明を省略することもある。
図9(A)及び(B)を参照すると、光共振器30は、基板12を開口34から露出させて基板12を支持する支持体36と、貫通孔16,16A,16B,・・・が設けられた領域のうち開口34から露出した領域としての素子領域38とを備えている。
以下、光共振器30を構成する各構成要素について説明する。
支持体36は、基板12よりも厚みが厚い平行平板であり、第3主面36aと第4主面36bとを備えている。支持体36としては、好ましくは例えば、Si基板を用いることができる。支持体36には、第3主面36aから第4主面36bを貫通して、開口34が形成されている。
この開口34は、この実施の形態に示す例では、円筒形とする。そして、開口34の径は、少なくとも貫通孔16,16A,16B,・・・の最大寸法Mよりも大きい長さとする。貫通孔の径をこの長さとすることにより、光共振器30の外部と、開口34の内部との間の流体の出入りを円滑にすることができる。
支持体36の第3主面36aには、基板12が貼着されている。これにより、支持体36は、基板12を開口34から露出させながら、基板12を支持している。基板12は、支持体36に貼着されて支持されることにより、機械的に補強されている。
ここで、貫通孔16,16A,16B,・・・が形成されている基板12の領域の中で、特に、開口34から外部に露出している領域を素子領域38と称する。より詳細には、基板12の領域の中で、第1及び第2主面12a及び12bの双方ともが、光共振器30の外部に露出している領域を素子領域38とする。つまり、素子領域38とは、流体が、貫通孔16,16A,16B,・・・を介して、第1及び第2主面12a及び12bの間を通り抜け可能な、基板12の領域を示す。
実施の形態2の光共振器30の動作は、実施の形態1の光共振器10と同様であるので、説明を省略する。
(製造方法)
続いて、図10(A)〜図10(C)を参照して光共振器30の製造方法について説明する。
続いて、図10(A)〜図10(C)を参照して光共振器30の製造方法について説明する。
まず、図10(A)に示すように、基板12に細孔42,42,・・・を形成する。
すなわち、前駆基板として、アルミニウム基板を準備し、従来公知の陽極酸化法により前駆基板を酸化するとともに、前駆基板に、細孔42,42,・・・を作成する。
より具体的には、希硫酸等の強酸溶液中において、前駆基板を陽極として電気分解を行うことにより、前駆基板を構成するアルミニウムを電気化学的に酸化させる。これにより、アルミニウムからなる前駆基板は酸化され、酸化アルミニウムからなる基板12が形成される。
それと同時に、基板12には、第2主面12bに開口を有し、第1主面12a側に向かって延在する微細な孔としての細孔42,42,・・・が形成される。なお、図10(A)より明らかなように、細孔42,42,・・・は、第1及び第2主面12a及び12bの間を貫通していない。
続いて、図10(B)に示すように、細孔42,42,・・・が形成された基板12を支持体36の第3主面36aに貼着する。
すなわち、従来公知の接着剤を用いる方法により、基板12の第2主面12bと支持体36の第3主面36aとを貼り合わせる。これにより、図10(B)に示した構造体44が形成される。
続いて、図10(C)に示すように、基板12の第1主面12aを、半導体製造プロセスで周知のCMP(Chemical Mechanical Etching)法により研磨する。これにより、細孔42,42,・・・は、基板12の第1及び第2主面12a及び12bの間を貫通して、前駆貫通孔46,46,・・・が形成される。
最後に、基板12の第1及び第2主面12a及び12bの双方に、従来公知の蒸着法により、第1及び第2高反射膜14a及び14bとしてのAg膜を形成する。すなわち、基板12の第1主面12aについては、通常の蒸着法で、第1主面12aの全面にAg膜を成膜する。
基板12の第2主面12bについては、支持体36の開口34を利用して、素子領域38のみにAg膜を成膜する。
これにより、図9に示したような光共振器30が完成する。
(効果)
この光共振器30は、実施の形態1の光共振器10と同様の効果を奏する。さらに光共振器30は、支持体36により、基板12が機械的に補強されていることから、光共振器10よりも機械的応力に対する耐性が高い。
この光共振器30は、実施の形態1の光共振器10と同様の効果を奏する。さらに光共振器30は、支持体36により、基板12が機械的に補強されていることから、光共振器10よりも機械的応力に対する耐性が高い。
(設計条件)
(1)この実施の形態においては、図10(C)に示すように、CMP法を用いて、基板12の第1主面12aを研磨して、前駆貫通孔46,46,・・・を作成する場合について説明した。しかし、前駆貫通孔46,46,・・・の作成法は、CMP法には限定されない。
(1)この実施の形態においては、図10(C)に示すように、CMP法を用いて、基板12の第1主面12aを研磨して、前駆貫通孔46,46,・・・を作成する場合について説明した。しかし、前駆貫通孔46,46,・・・の作成法は、CMP法には限定されない。
例えば、半導体製造プロセスで周知のドライエッチング法により、基板12の第1主面12aをエッチングすることによっても前駆貫通孔46,46,・・・を形成することができる。
また、基板12の第1主面12a側から、注入エネルギーを調整した水素イオンを高ドーズ量でイオン注入することにより、所定の深さに高濃度水素層を作成し、この高濃度水素層よりも浅い基板12の第1主面12a側の領域をはぎ取るイオンスライシング法によっても前駆貫通孔46,46,・・・を形成することができる。
(2)この実施の形態では、細孔42,42・・・を前駆基板に形成した後の基板12を、支持体36に貼着する場合について説明した。しかし、前駆基板を支持体36に貼着した後に、細孔42,42・・・を形成してもよい。
(3)この実施の形態では、細孔42,42・・・が形成された基板12を支持体36に貼着した後に、基板12の第1及び第2主面12a及び12bにAg膜を成膜する場合について説明した。しかし、Ag膜の成膜は、基板12を支持体36に貼着する前に行ってもよい。
(4)この実施の形態では、支持体36と基板12との貼着に接着剤を用いた場合について説明した。しかし、支持体36と基板12との貼着は、接着剤を用いる場合に限定されない。特に、(1)基板12及び支持体36の両者がともにSiを材料として形成されている場合や、(2)基板12がSiを材料とし、及び支持体36が石英を材料としている場合や、(3)基板12が石英を材料とし、及び支持体36がSiを材料としている場合には、半導体製造プロセスで周知のウエハ接合技術を用いて、基板12と支持体36とを貼着してもよい。
(5)この実施の形態では、支持体36の材料としてSiを用いた場合について説明した。しかし、支持体36の材料はSiには限定されない。支持体36の材料としては、ガラス、石英、プラスチック等を使用することができる。
(6)この実施の形態では、基板12と支持体36とが別体である場合について説明した。しかし、基板12と支持体36とは同一材料から一体的に形成されていてもよい。
10,30 光共振器
12,20 基板
12a 第1主面
12b 第2主面
14a 第1高反射膜
14b 第2高反射膜
16 貫通孔
16a 第1開口部
16b 第2開口部
16c 孔部
22 マイクロ流路
24 屈折率センサ
26 光源
28 検出器
34 開口
36 支持体
36a 第3主面
36b 第4主面
38 素子領域
42 細孔
46 前駆貫通孔
12,20 基板
12a 第1主面
12b 第2主面
14a 第1高反射膜
14b 第2高反射膜
16 貫通孔
16a 第1開口部
16b 第2開口部
16c 孔部
22 マイクロ流路
24 屈折率センサ
26 光源
28 検出器
34 開口
36 支持体
36a 第3主面
36b 第4主面
38 素子領域
42 細孔
46 前駆貫通孔
Claims (7)
- 複数の波長を含む入射光から選択波長の光を共振させて出射光を生じる光共振器において、
第1主面と、該第1主面に対向する第2主面とを備えていて、厚みが出射光の波長の整数倍である基板と、
前記第1及び第2主面にそれぞれ形成された第1及び第2高反射膜と、
前記第1及び第2高反射膜を貫通して設けられた貫通孔とを備えることを特徴とする光共振器。 - 前記貫通孔が、前記第1及び第2主面に対して垂直に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光共振器。
- 前記貫通孔の前記第1及び第2高反射膜における開口部の最大寸法が、前記入射光の波長以下の長さであることを特徴とする請求項1又は2に記載の光共振器。
- 前記基板を開口から露出させて該基板を支持する支持体と、
前記貫通孔が設けられた領域のうち前記開口から露出した領域としての素子領域とを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光共振器。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の光共振器を用いた流体用光学センサであって、
流路中を流れる前記光共振器が分散した被測定流体に光を照射する照射部と、
前記被測定流体中の前記光共振器から出射する出射光を検出する検出部とを備えることを特徴とする流体用光学センサ。 - 請求項4に記載の光共振器の製造方法であって、
前記基板の前記素子領域に細孔を形成する工程と、
前記開口から前記素子領域が露出するように、前記基板を前記支持体に貼着する工程と、
前記細孔を、前記基板を貫通する前駆貫通孔とする工程と、
前記基板の第1及び第2主面に前記高反射膜を形成することにより、前記貫通孔を形成する工程とを備える光共振器の製造方法。 - 請求項4に記載の光共振器の製造方法であって、
前記基板の前記素子領域に、前記基板を貫通する前駆貫通孔を形成する工程と、
前記基板の第1及び第2主面に前記高反射膜を形成することにより、前記貫通孔を形成する工程と、
前記開口から前記素子領域が露出するように、前記基板を前記支持体に貼着する工程とを備える光共振器の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008275312A JP2010102228A (ja) | 2008-10-27 | 2008-10-27 | 光共振器、その製造方法及び流体用光学センサ |
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ID=42292909
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JP2008275312A Withdrawn JP2010102228A (ja) | 2008-10-27 | 2008-10-27 | 光共振器、その製造方法及び流体用光学センサ |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2010102228A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019232858A1 (zh) * | 2018-06-08 | 2019-12-12 | 清华大学 | 具有纳米孔阵的法布里-珀罗结构、制备方法和操作方法 |
-
2008
- 2008-10-27 JP JP2008275312A patent/JP2010102228A/ja not_active Withdrawn
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WO2019232858A1 (zh) * | 2018-06-08 | 2019-12-12 | 清华大学 | 具有纳米孔阵的法布里-珀罗结构、制备方法和操作方法 |
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