JP2010101997A - カラーフィルター用インクセット、カラーフィルター、画像表示装置、および、電子機器 - Google Patents

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英和 森山
Hiroshi Kiguchi
浩史 木口
Masaya Shibatani
正也 柴谷
Mitsuhiro Isobe
光宏 磯部
Homare Kuribayashi
誉 栗林
Hiroshi Takiguchi
宏志 瀧口
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Abstract

【課題】コントラスト比に優れた画像表示ができ、均一性に優れたカラーフィルター用インクを提供する。
【解決手段】インクジェット方式のカラーフィルター用インクセットであって、樹脂材料は、式(17)及び(18)で表わされる重合体のうちの少なくとも一方を含む。
Figure 2010101997

Figure 2010101997

【選択図】なし

Description

本発明は、カラーフィルター用インクセット、カラーフィルター、画像表示装置、および、電子機器に関する。
カラー表示を行う液晶表示装置(LCD)等には、一般に、カラーフィルターが用いられている。カラーフィルターには、一般に、光の三原色である赤、緑、青に対応する3色の着色部が設けられており、カラーフィルターを備えた液晶表示装置では、これら各色の着色部の光の透過量を調整することにより、カラー表示を行っている。
カラーフィルターは、従来、着色剤、感光性樹脂、官能性モノマー、重合開始剤等を含む材料(着色層形成用組成物)で構成された塗膜を基板上に形成し、その後、フォトマスクを介して光を照射する感光処理、現像処理等を行う、いわゆるフォトリソグラフィー法を用いて製造されてきた。このような方法では、通常、基板のほぼ全面に、各色に対応する塗膜を形成し、その一部のみを硬化させ、それ以外の大部分を除去するという操作を繰り返すことにより、各色が重なり合わないようにカラーフィルターを製造する。このため、カラーフィルターの製造において形成される塗膜は、最終的に得られるカラーフィルターには、その一部のみが着色層として残存するのみで、その大部分が製造工程において除去されることとなる。このため、カラーフィルターの製造コストが上昇するばかりでなく、省資源の観点からも好ましくない。
一方、近年、インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)を用いて、カラーフィルターの着色部を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような方法は、着色部形成用の材料(着色部形成用組成物)の液滴の吐出位置等の制御が容易で、着色部形成用組成物の無駄を少なくすることができるため、環境への負荷を低減することができ、また、製造コストも抑制することができる。
また、このようなインクジェットヘッドを用いて製造されるカラーフィルターは、特許文献1に記載されているように、透明基板上に複数色の着色部、および隣接する着色部と着色部との間に、一定の高さを有する隔壁(バンク)が設けられている。このようなバンクは、カラーフィルター製造時において、透明基板上に吐出した異色のインク同士が混色するのを防止するために設けられたものであり、バンクに囲まれた透明基板上の各部位に各色のインクを吐出、乾燥することにより、着色部が形成される。
ところが、このようなカラーフィルター製造用のインクを用いて形成されるカラーフィルターは、以下のような問題を有していた。すなわち、このようなインクは、着色剤の種類によって発色濃度が異なるものである。したがって、各色の着色部の光透過性、色あいを調整するため、一般に、各色のインク中に含まれる着色剤の含有量が互いに異なるものである。そのため、形成される各色の着色部は、各色のインク中に含まれる着色剤の含有量に応じて、その厚さが各色間で互いに異なるものとなってしまう。このようにして形成された各色の着色部のうち、厚さが薄い着色部では、着色部の各部位において、色むら、濃度むらが発生し、結果として、カラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等が発生するといった問題があった。
特開2002−372613号公報
本発明の目的は、複数種のインクを備え、各インクのいずれもが吐出安定性に優れるとともに、コントラスト比に優れた画像表示を行うことができ、各部位での色むら、濃度むらが抑制され、個体間での特性の均一性に優れたカラーフィルターの製造に好適に用いることのできるインクジェット方式のカラーフィルター用インクセットを提供すること、コントラスト比に優れた画像表示を行うことができるとともに、各部位での色むら、濃度むらが抑制され、個体間での特性の均一性に優れたカラーフィルターを提供すること、また、該カラーフィルターを備えた画像表示装置、電子機器を提供することにある。
このような目的は下記の本発明により達成される。
本発明のカラーフィルター用インクセットは、着色剤と、当該着色剤が分散および/または溶解する液性媒体と、樹脂材料とを含むインクを複数種備え、インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるカラーフィルター用インクセットであって、
前記樹脂材料は、下記式(1)で表される単量体成分w1と下記式(2)で表される単量体成分w2と下記式(3)で表される単量体成分w3と下記式(4)で表される単量体成分w4とを含む重合体W、下記式(5)で表される単量体成分z1と下記式(6)で表される単量体成分z2と下記式(7)で表される単量体成分z3とを含む重合体Zのうちの少なくとも一方を含むものであり、
カラーフィルター用インクセットは、複数種の前記インクとして、着色剤の含有率が互いに異なるインクを備えており、
カラーフィルター用インクセットを構成する複数種の前記インクは、含まれる前記着色剤の含有率が少ないほど、含まれる前記樹脂材料の含有率が多く、かつ、含まれる前記樹脂材料の重量平均分子量Mwが小さいものであることを特徴とする。
Figure 2010101997
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これにより、複数種のインクを備え、各インクのいずれもが吐出安定性に優れるとともに、コントラスト比に優れた画像表示を行うことができ、各部位での色むら、濃度むらが抑制され、個体間での特性の均一性に優れたカラーフィルターの製造に好適に用いることのできるインクジェット方式のカラーフィルター用インクセットを提供することができる。
本発明のカラーフィルター用インクセットでは、前記樹脂材料は前記重合体Wを含むものであり、
前記重合体Wを構成する全成分に占める前記単量体成分w1の含有率が、25〜75wt%であり、
前記重合体Wを構成する全成分に占める前記単量体成分w2の含有率が、2〜25wt%であり、
前記重合体Wを構成する全成分に占める前記単量体成分w3の含有率が、5〜50wt%であり、
前記重合体Wを構成する全成分に占める前記単量体成分w4の含有率が、3〜40wt%であることが好ましい。
このような樹脂材料が含まれることにより、カラーフィルター用インクセットを構成する各色のインクの吐出安定性が特に優れたものとなる。また、これらのインクを用いて形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じてしまうのが抑制され、着色部の表面は特に高い平坦性を有するものとなる。結果として、コントラスト比に特に優れた画像表示を行うことができ、各部位での色むら、濃度むら等をより効果的に防止し、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができる。また、形成される着色部の硬度、基板に対する密着性を特に優れたものとし、製造されるカラーフィルターの耐久性(耐光性、耐熱性等)を特に優れたものとすることができる。
本発明のカラーフィルター用インクセットでは、前記樹脂材料は前記重合体Zを含むものであり、
前記重合体Zを構成する全成分に占める前記単量体成分z1の含有率が、50〜95wt%であり、
前記重合体Zを構成する全成分に占める前記単量体成分z2の含有率が、3〜35wt%であり、
前記重合体Zを構成する全成分に占める前記単量体成分z3の含有率が、3〜35wt%であることが好ましい。
このような樹脂材料が含まれることにより、カラーフィルター用インクセットを構成する各色のインクの吐出安定性が特に優れたものとなる。また、これらのインクを用いて形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じてしまうのが抑制され、着色部の表面は特に高い平坦性を有するものとなる。結果として、コントラスト比に特に優れた画像表示を行うことができ、各部位での色むら、濃度むら等をより効果的に防止し、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができる。また、形成される着色部の硬度、基板に対する密着性を特に優れたものとし、製造されるカラーフィルターの耐久性(耐光性、耐熱性等)を特に優れたものとすることができる。
本発明のカラーフィルター用インクセットでは、カラーフィルター用インクセットを構成する前記インク中における前記樹脂材料の含有率をCResin[wt%]、前記樹脂材料の重量平均分子量をMwResinとしたとき、各種前記インクは、それぞれ100≦CResin・MwResin/10≦500の関係を満足することが好ましい。
これにより、カラーフィルター用インクセットを構成する各色のインクの吐出性は特に均一化されたものとなり、製造されるカラーフィルターは、各部位での色むら、濃度むらがより好適に抑制されたものとなるとともに、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができる。
本発明のカラーフィルター用インクセットでは、カラーフィルター用インクセットを構成する複数種の前記インクのうち、含まれる固形分の含有率が最大であるものの含有率をCmax[wt%]、含まれる固形分の含有率が最小であるものの含有率をCmin[wt%]としたとき、0.6≦Cmin/Cmax≦0.99の関係を満足することが好ましい。
これにより、各色の着色部の厚さはより均一なものとなり、製造されるカラーフィルターの各部位での色むら、濃度むらをより効果的に抑制することができる。
本発明のカラーフィルター用インクセットは、複数種の前記インクとして、前記着色剤の含有率が少ない順に、ブルーインク、レッドインク、グリーンインクを有し、
前記ブルーインクが含む前記樹脂材料の重量平均分子量をMw(B)、前記レッドインクが含む前記樹脂材料の重量平均分子量をMw(R)、前記グリーンインクが含む前記樹脂材料の重量平均分子量をMw(G)としたとき、0.3≦Mw(B)/Mw(R)≦0.9であるとともに、0.1≦Mw(B)/Mw(G)≦0.7であることが好ましい。
これにより、カラーフィルター用インクセットを構成する各色のインクの吐出性が均一化され、製造されるカラーフィルターにおいて、各部位での色むら、濃度むらがより好適に抑制されるとともに、異なる色の着色部間における着色濃度の均一性を特に優れたものとすることができる。
本発明のカラーフィルター用インクセットでは、前記Mw(B)は、1000〜6000であり、前記Mw(R)は、1500〜10000であり、前記Mw(G)は、2000〜20000であることが好ましい。
これにより、カラーフィルター用インクセットを構成する各色のインクの吐出性が均一化され、製造されるカラーフィルターにおいて、各部位での色むら、濃度むらがより好適に抑制されるとともに、異なる色の着色部間における着色濃度の均一性を特に優れたものとすることができる。
本発明のカラーフィルター用インクセットでは、前記樹脂材料は、さらに、下記式(8)で表される単量体成分x1と下記式(9)で表される単量体成分x2と下記式(10)で表される単量体成分x3と下記式(11)で表される単量体成分x4とを含む重合体Xを含むものであることが好ましい。
Figure 2010101997
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これにより、インクの吐出安定性はさらに優れたものとなるとともに、形成される着色部は、その表面が確実に平坦化されるとともに、耐久性に優れたものとなる。
本発明のカラーフィルター用インクセットでは、前記樹脂材料は、さらに、下記式(12)で表される単量体成分y1と下記式(13)で表される単量体成分y2とを含む重合体Yを含むものであることが好ましい。
Figure 2010101997
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これにより、インクの吐出安定性はさらに優れたものとなるとともに、形成される着色部は、その表面が確実に平坦化されるとともに、耐久性に優れたものとなる。
本発明のカラーフィルター用インクセットでは、複数種の前記インク中に含まれる前記液性媒体は、いずれも、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、1,3−ブチレングリコールジアセテートから選択される1種または2種以上含むものであることが好ましい。
これにより、製造されるカラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等をより効果的に抑制することができるとともに、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができる。
本発明のカラーフィルター用インクセットでは、カラーフィルター用インクセットを構成する複数種の前記インクは、多価アルコールを含むものであることが好ましい。
これにより、形成される着色部の表面がより確実に平坦化されたものとなる。その結果、製造されるカラーフィルターは、コントラスト比に特に優れた画像表示を行うことができるとともに、各部位での色むら、濃度むら等をより効果的に抑制することができ、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができる。
本発明のカラーフィルター用インクセットでは、前記多価アルコールは、グリコール類のオリゴマーを含むものであることが好ましい。
これにより、形成される着色部の表面がより確実に平坦化されたものとなる。その結果、製造されるカラーフィルターは、コントラスト比に特に優れた画像表示を行うことができるとともに、各部位での色むら、濃度むら等をより効果的に抑制することができ、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができる。
本発明のカラーフィルターは、本発明のカラーフィルター用インクセットを用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、コントラスト比に優れた画像表示を行うことができ、各部位での色むら、濃度むらが抑制され、個体間での特性の均一性に優れたカラーフィルターを提供することができる。
本発明の画像表示装置は、本発明のカラーフィルターを備えたことを特徴とする。
これにより、コントラスト比に優れた画像表示を行うことができるとともに、表示部の各部位での色むら、濃度むらが抑制され、個体間での特性の均一性に優れた画像表示装置を提供することができる。また、このような画像表示装置は、耐久性に優れ、長期間にわたって安定した画像表示を行うことができるものとなる。
本発明の電子機器は、本発明の画像表示装置を備えたことを特徴とする。
これにより、コントラスト比に優れた画像表示を行うことができるとともに、表示部の各部位での色むら、濃度むらが抑制され、個体間での特性の均一性に優れた電子機器を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
《インクセット》
本発明のカラーフィルター用インクセットは、カラーフィルターの製造(カラーフィルターの着色部の形成)に用いられるインクセットであり、特に、インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるものである。
また、このようなカラーフィルター用インクセットは、複数種のインク(カラーフィルター用インク)を備えるものであり、光の三原色を構成する3色である緑色のインク(グリーンインク)と、赤色のインク(レッドインク)と、青色のインク(ブルーインク)とを備えるものであるのが好ましい。以下の説明では、代表的に、カラーフィルター用インクセットが、「グリーンインク(Gインク)」、「レッドインク(Rインク)」、「ブルーインク(Bインク)」の3種のインクを備えるものとして説明する。
[インク(カラーフィルター用インク)]
カラーフィルター用インクセットを構成する各インク(カラーフィルター用インク)は、着色剤、当該着色剤が分散および/または溶解する液性媒体、樹脂材料を含むものである。
ところで、近年検討されているインクジェット方式により着色部を形成するカラーフィルターにおいては、異なる色のインク同士が混色するのを防止するため、隣接する着色部と着色部との間に、一定の高さを有する隔壁(バンク)が設けられている。このようなバンクを設けることにより、各色のインクを吐出、乾燥させて形成される各着色部が鮮明で明るいものとなり、その結果、このようなカラーフィルターを備えた画像表示装置は、表示される画像が鮮明なものとなる。ところが、このようなカラーフィルター製造用のインクを用いて形成されるカラーフィルターでは、以下のような問題を有していた。
すなわち、このようなインク中に含まれる着色剤は、種類によって、発色の程度が異なるものである。したがって、各色のインクの着色濃度を合わせるために、インク中に含まれる着色剤の含有率(含有量)は、一般的に、各色のインク間で異なるものである。より具体的には、RGB3色の着色部を有するようなカラーフィルターを製造する場合、形成しようとする着色部の色合い、また使用する着色剤の種類により異なるが、各色のインク中に含まれる着色剤の含有量は、一般的に、ブルーインクが最も少なく、次に、グリーンインク、もしくはレッドインクの順で少なくなる。このような各色のインクを、それぞれ一定量吐出して着色部を形成した場合、形成される着色部の厚さ(高さ)が各色間で異なるものとなってしまう。また、このようにして形成される各着色部の表面は、完全に平坦なものではなく、特に、厚さが薄い着色部ほど、その表面は平坦性に乏しいものとなってしまう。
このような着色部を備えたカラーフィルターでは、着色部の各部位において、着色濃度にむらを有するものとなる。また、パネル化すると、スジ状のむらが見えることがある。結果として、このようなカラーフィルター製造用のインクを用いて形成されるカラーフィルターは、各部位での色むら、濃度むらが発生するといった問題があった。また、画像形成装置に用いられるこのようなカラーフィルターは、透明基板上に上述したような複数色の着色部およびバンクが設けられ、着色部およびバンクの透明基板に対向する面とは反対の面側に、共通電極(一般的には、ITO電極膜)が配されている。このような共通電極には、各着色部とバンクとの高さの差が影響し、熱や外部からの衝撃により、共通電極が断線し易く、適正に画像表示を行うことが出来なくなるという問題があった。
これらの問題を解決する手段として、各色のインク中に含まれる着色剤の含有率が少ないものほど、インク中に含まれる樹脂材料の含有率を高くして、形成する着色部の固形分濃度を均一化する方法が考えられる。これにより、各色の着色部間での厚さのばらつきは抑制されることが期待されるが、樹脂材料の含有率を高くするほど、インクの粘度が高くなり、各色のインク間での吐出性(ヘッドからのインクの吐出のされやすさ、吐出量等)のばらつきが大きくなる。結果として、各色の着色部の厚さを十分に均一なものとすることができない。また、仮に、各色の着色部間での厚さのばらつきが抑えられたとしても、一般的な樹脂材料を用いた場合、個々の着色部表面の平坦性を十分なものとすることができず、得られるカラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等の発生を十分に抑制することができなかった。
そこで、本発明では、カラーフィルター用インクセットを構成する複数種のインクとして、後述するような樹脂材料を含むものとするとともに、各色のインク中に含まれる着色剤の含有率が少ないものほど、インク中に含まれる樹脂材料の含有率を高くするとともに、含まれる樹脂材料の重量平均分子量Mwを小さくするようにした。
このような条件を満足することにより、各色のインクを吐出、乾燥させることにより形成される各色の着色部間での厚さのばらつきが抑えられるとともに、着色部表面を確実に平坦化させることができる。その結果、製造されるカラーフィルターは、各部位での色むら、濃度むらの発生が確実に防止されたものとなる。また、このようなカラーフィルターを備えた画像表示装置では、コントラスト比に優れた画像表示を行うことができる。
また、上述したように、本発明のカラーフィルター用インクセットは、各色のインクの吐出性が均一化される。その結果、カラーフィルターの製造に安定的に好適に用いることができるとともに、製造されるカラーフィルターの個体間での特性の均一性は優れたものとなる。また、このようなカラーフィルター用インクセットを構成する各色のインクは、各色のインク中に含まれる着色剤の含有率に応じて、含まれる樹脂材料の含有率、Mwが調整されることによって、均一な粘度となり、吐出性が均一化されている。したがって、各色のインク間での吐出性を均一なものとしながら、各色のインク中に含まれる着色剤の含有率を任意に変更することができ、多くのカラーバリエーションを有するカラーフィルターを、安定的に好適に製造することができる。すなわち、上述したように、本発明のカラーフィルター用インクセットを構成する各色のインクは、含まれる樹脂材料のMwが小さいものほど、インク中の樹脂材料の含有率が多いものである。これにより、含まれる樹脂材料のMwが小さいインクを吐出、乾燥して形成される着色部でも、耐溶剤性を優れたものとすることができる。
これに対し、上記条件を満足しないカラーフィルター用インクセットでは、上述したような優れた効果を得ることができない。すなわち、カラーフィルター用インクセットを構成する各色のインクが、含まれる着色剤の含有率が少ないほど、含まれる樹脂材料の重量平均分子量Mwが小さくなるが、含まれる樹脂材料の含有率が各色のインク間で同じである場合には、以下のような問題が生じる。すなわち、このようなインクセットを用いて形成される各色の着色部は、各色の着色部間での厚さのばらつきを抑えることができず、製造されるカラーフィルターにおいて、色むら、濃度むらの発生を抑制することができない。また、このようなインクセットを構成する各色のインク間で、粘度のばらつき、および経時的な吐出性のばらつきが大きく、ヘッドからの安定した液滴吐出が困難である。さらに、含まれる樹脂材料の重量平均分子量Mwが小さいインクでは、耐溶剤性が悪化してしまう。
また、カラーフィルター用インクセットを構成する各色のインクが、含まれる着色剤の含有率が少ないほど、含まれる樹脂材料の含有率が高くなるが、各色のインク間で全て同じ重量平均分子量Mwを有する樹脂材料を用いた場合には、各色のインク間での粘度差および吐出性の差が大きく、一部のインクにおいて安定した液滴吐出を行うことができなくなってしまう。このようなカラーフィルター用インクセットを用いて製造されるカラーフィルターは、形成される各色の着色部の厚さが不均一となってしまい、結果として、製造されるカラーフィルターは、各部位での色むら、濃度むらが発生するものとなってしまう。
以下、本発明のカラーフィルター用インクセットが備える各色(RGB)のインクの構成成分について詳細に説明するが、本実施形態では、カラーフィルター用インクセットが、Bインク、Rインク、Gインクの順に、含まれる着色剤の含有量が少ないものとして説明する。
<着色剤>
カラーフィルターは、異なる複数色の着色部(一般に、RGBに対応する3色の着色部)を有している。そして、カラーフィルター用インクセットを構成する各インク(カラーフィルター用インク)は、それぞれ、形成すべき着色部の色調に応じた着色剤を含むものである。カラーフィルター用インクを構成する着色剤としては、例えば、各種顔料、各種染料を用いることができる。
カラーフィルター用インクセットを構成する各色のインク(カラーフィルター用インク)中に含まれる着色剤としては、上述したように、各種顔料、各種染料を用いることができるが、このような着色剤として顔料を含むものであると、形成されるカラーフィルター(着色部)の耐光性、耐熱性を向上させる上で有利である。また、カラーフィルター用インクが、着色剤として顔料を含むものである場合、従来においては、カラーフィルター用インクを長期間使用すると、カラーフィルター用インク中における着色剤の分散性が低下し易く、着色剤として染料のみを用いた場合に比べて、液滴の吐出安定性が低下しやすいという問題があった。これに対して、本発明では、着色剤として顔料を含む場合であっても、このような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、カラーフィルター用インクが、着色剤として顔料を含む場合、本発明の効果がより顕著に発揮される。
なお、上述したように、従来のカラーフィルター用インクにおいては、着色剤として顔料を含む場合、着色剤の分散状態を、長期間にわたって優れたものとするのが困難であり、コントラストに優れたカラーフィルターを長期間にわたって、安定的に製造するのが困難であった。これに対し、本発明においては、後に詳述するような樹脂材料を用いるため、樹脂材料と着色剤(顔料)との混合安定性を長期間にわたって優れたものとすることができ、長期間にわたって安定的に、コントラストに優れたカラーフィルターを製造することができる。また、一旦調製したカラーフィルター用インクを長期間にわたって好適に使用することができるため、カラーフィルター用インクの交換、液滴吐出装置内におけるカラーフィルター用インクの置換の頻度を少なくすることができるため、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができるとともに、製造されるカラーフィルターの品質の安定性も向上する。
各色のカラーフィルター用インク中において、着色剤は、後述する液性媒体に溶解しているものであってもよいし、分散しているものであってもよいが、着色剤が液性媒体中に分散している顔料である場合、着色剤(顔料粒子)の平均粒径は、20〜200nmであるのが好ましく、30〜180nmであるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターの耐光性を十分に優れたものとしつつ、カラーフィルター用インク中における着色剤の分散安定性や、カラーフィルターにおける発色性等を特に優れたものとすることができる。
(グリーンインク(Gインク))
グリーンインク(Gインク)は、通常、緑色の着色剤を含むものである。
グリーンインク中に含まれる着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン7,36,15,17,18,19,26,50,58、これらの誘導体、フタロシアニン化合物等の顔料や、C.I.アシッドグリーン16等の染料が挙げられる。
グリーンインクを構成する着色剤としては、上記のようなものが挙げられるが、グリーンインク中に含まれる着色剤として、C.I.ピグメントグリーン58(臭素化亜鉛フタロシアニン顔料)を含むものであると、当該カラーフィルター用インク(緑色のカラーフィルター用インク)の発色性を特に優れたものとすることができる。また、C.I.ピグメントグリーン58は、明度に優れるという特徴を有しているものの、従来においては、安定的に分散させるのが極めて困難な材料であった。しかしながら、本発明者は、C.I.ピグメントグリーン58を含む場合であっても、スルホン化された顔料誘導体を副顔料として同時に含むことにより、カラーフィルター用インク中における分散安定性を優れたものとすることができることを見出した。これにより、カラーフィルター用インクの発色性をさらに優れたものとすることができるとともに、着色部形成時において、インク中の顔料濃度が高くなることによるカラーフィルター用インクのチキソトロピック性の上昇を抑制することができる。また、カラーフィルター用インク中における顔料の長期保存性、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
顔料として、C.I.ピグメントグリーン58とスルホン化された顔料誘導体とを含む場合、スルホン化された顔料誘導体として、下記式(14)で示される化合物(誘導体)を含有するのが好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができるとともに、製造されるカラーフィルターにおいて、より優れたコントラストの画像を表示することができる。
Figure 2010101997
このように、特定の化学構造を有する顔料誘導体(副顔料)を、C.I.ピグメントグリーン58(主顔料)とともに用いることにより、上記のような優れた効果が得られることは、本発明者が鋭意研究を行った結果、見出したことであり、そのメカニズムの詳細は不明であるが、以下のような理由によるものであると考えられる。
C.I.ピグメントグリーン58を構成する臭素化フタロシアニンは、分子全体として、高度な共役系が形成されており、平面的な構造となるのが、エネルギー的に安定している。そして、臭素化フタロシアニンは、平面状の各分子が積層されるように(平行に)配置することにより、各分子間が有する共役系のπ電子が重なり合った、安定した状態になる。このため、C.I.ピグメントグリーン58は、本来、凝集し易く、分散媒中に安定的に分散させるのが困難である。
一方、上記のような顔料誘導体では、式(14)中において窒素原子に結合している水素原子は、フタルイミド構造を構成する酸素原子との間で、水素結合を形成する。このようなことから、式(14)中において窒素原子に結合している水素原子は、実体的には、キノリン構造を構成する窒素原子とともに、フタルイミド構造を構成する酸素原子とも強固に結合しており、上記のような顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)では、式(14)中において1〜7の番号を付した7原子による安定的な環構造(7員環構造)が形成されている。このような7員環構造を形成することにより、キノリン構造による平面と、フタルイミド構造による平面とは、非平行状態をとることになる。
このように、キノリン構造による平面と、フタルイミド構造による平面とが、非平行となることにより、C.I.ピグメントグリーン58(臭素化フタロシアニン)に対して適度な親和性を有する顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)が、C.I.ピグメントグリーン58の分子間に入り込み、上記のように、本来、凝集し易いC.I.ピグメントグリーン58を凝集しにくいものとすることができる。さらに、上記のような顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)は、分子内にスルホ基を有しているため、後述する液性媒体に対する分散性に優れている。以上のようなことが、相乗的に作用し合い、上記のような非常に優れた効果が得られるものと考えられる。
C.I.ピグメントグリーン58と上記のような顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)とを含む場合、カラーフィルター用インク中における顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)の含有率は、特に限定されないが、C.I.ピグメントグリーン58(主顔料):100重量部に対して、2〜32重量部であるのが好ましく、7〜28重量部であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターのコントラスト比、明度を特に優れたものとすることができる。
また、Gインク中における着色剤の含有率は、5.0〜12.0wt%であるのが好ましく、6.0〜11.0wt%であるのがより好ましい。Gインク中における着色剤の含有率が前記範囲内の値であると、Gインクを用いて製造されるカラーフィルターにおいて、より高い色濃度を確保することができ、より鮮明な画像表示に用いることができる。また、従来においては、このように比較的高濃度で着色剤(特に、顔料)を含む場合には、吐出安定性が特に低いものとなり、カラーフィルター用インクの液滴を吐出する際に、飛行曲がりや液滴吐出量の不安定化等の問題が特に発生し易かった。また、従来においては、特に、大型基板(例えば、G5以上)上に液滴吐出をして着色部を形成する場合に、面内の各部位での吐出量ばらつきによる不良品の発生が顕著となり、カラーフィルターの生産性が著しく低下するという問題があった。これに対し、本発明では、比較的高濃度で着色剤を含む場合であっても、カラーフィルター用インクが、後述するような液性媒体および樹脂材料を含むものであるため、上記のような問題の発生を確実に防止することができ、製造されるカラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等や、個体間での特性のばらつきの発生を確実に防止することができ、優れた生産性で、カラーフィルターを製造することができる。また、製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
(レッドインク(Rインク))
レッドインクは、通常、赤色の着色剤を含むものである。
レッドインク中に含まれる着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,6,10,11,12,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,40,41,42,48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,50:1,52:1,53:1,57,57:1,57:2,58:2,58:4,60:1,63:1,63:2,64:1,81,81:1,83,88,90:1,97,101,102,104,105,106,108,108:1、112,113,114,122,123,144,146,149,150,151,166,168,170,171,172,174,175,176,177,178,179,180,185,187,188,190,193,194,202,206,207,208,209,215,216,220,224,226,242,243,245,254,255,264,265、これらの誘導体等の顔料や、C.I.ダイレクトレッド2,4,9,23,26,28,31,39,62,63,72,75,76,79,80,81,83,84,89,92,95,111,173,184,207,211,212,214,218,221,223,224,225,226,227,232,233,240,241,242,243,247、C.I.アシッドレッド35,42,51,52,57,62,80,82,111,114,118,119,127,128,131,143,145,151,154,157,158,211,249,254,257,261,263,266,289,299,301,305,319,336,337,361,396,397、C.I.リアクティブレッド3,13,17,19,21,22,23,24,29,35,37,40,41,43,45,49,55、C.I.ベーシックレッド12,13,14,15,18,22,23,24,25,27,29,35,36,38,39,45,46等の染料が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
レッドインク(Rインク)を構成する着色剤としては、上記のようなものが挙げられるが、中でも、C.I.ピグメントレッド177とその誘導体、および/または、C.I.ピグメントレッド254とその誘導体を含むものであるのが好ましい。これにより、Rインクの発色性を特に優れたものとすることができる。また、後に詳述するような分散剤、樹脂材料と併用することによる効果がより顕著に発揮され、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を優れたものとすることができる。この結果、着色部形成時におけるカラーフィルター用インクのチキソトロピック性の上昇を抑制することができるとともに、セルへのインク付与時においては、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
さらに、C.I.ピグメントレッド177の誘導体、C.I.ピグメントレッド254の誘導体として、下記式(15)または下記式(16)で示される化合物(誘導体)を含有するものである場合、上述したような効果がさらに顕著に発揮される。
Figure 2010101997
Figure 2010101997
Rインク中における着色剤の含有率は、4.0〜11.0wt%であるのが好ましく、5.5〜9.5wt%であるのがより好ましい。Rインク中における着色剤の含有率が前記範囲内の値であると、Rインクを用いて製造されるカラーフィルターにおいて、より高い色濃度を確保することができ、より鮮明な画像表示に用いることができる。また、従来においては、このように比較的高濃度で着色剤(特に、顔料)を含む場合には、吐出安定性が特に低いものとなり、カラーフィルター用インクの液滴を吐出する際に、飛行曲がりや液滴吐出量の不安定化等の問題が特に発生し易かった。また、従来においては、特に、大型基板(例えば、G5以上)上に液滴吐出をして着色部を形成する場合に、面内の各部位での吐出量ばらつきによる不良品の発生が顕著となり、カラーフィルターの生産性が著しく低下するという問題があった。これに対し、本発明では、比較的高濃度で着色剤を含む場合であっても、カラーフィルター用インクが、後述するような液性媒体および樹脂材料を含むものであるため、上記のような問題の発生を確実に防止することができ、製造されるカラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等や、個体間での特性のばらつきの発生を確実に防止することができ、優れた生産性で、カラーフィルターを製造することができる。また、製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
(ブルーインク(Bインク))
ブルーインクは、通常、青色の着色剤を含むものである。
ブルーインク中に含まれる着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントブルー1,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,17:1,18,60,27,28,29,35,36,80、これらの誘導体等の顔料や、C.I.アシッドブルー9,45,80,83,90,185等の染料が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ブルーインク(Bインク)を構成する着色剤としては、上記のようなものが挙げられるが、中でも、C.I.ピグメントブルー15:6を含むものであるのが好ましい。これにより、Bインクの発色性を特に優れたものとすることができ、形成される青色の着色部のコントラスト、明度、着色濃度を特に高いものとすることができる。また、カラーフィルターの色再現範囲を特に広いものとすることができる。
Bインク中における着色剤の含有率は、3.0〜10.0wt%であるのが好ましく、4.0〜9.0wt%であるのがより好ましい。Bインク中における着色剤の含有率が前記範囲内の値であると、Bインクを用いて製造されるカラーフィルターにおいて、より高い色濃度を確保することができ、より鮮明な画像表示に用いることができる。また、従来においては、このように比較的高濃度で着色剤(特に、顔料)を含む場合には、吐出安定性が特に低いものとなり、カラーフィルター用インクの液滴を吐出する際に、飛行曲がりや液滴吐出量の不安定化等の問題が特に発生し易かった。また、従来においては、特に、大型基板(例えば、G5以上)上に液滴吐出をして着色部を形成する場合に、面内の各部位での吐出量ばらつきによる不良品の発生が顕著となり、カラーフィルターの生産性が著しく低下するという問題があった。これに対し、本発明では、比較的高濃度で着色剤を含む場合であっても、カラーフィルター用インクが、後述するような液性媒体および樹脂材料を含むものであるため、上記のような問題の発生を確実に防止することができ、製造されるカラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等や、個体間での特性のばらつきの発生を確実に防止することができ、優れた生産性で、カラーフィルターを製造することができる。また、製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
また、Bインク中に含まれる着色剤としては、例えば、上記から選択される2種以上の成分を組み合わせて用いてもよい。
また、各インク(カラーフィルター用インク)には、それぞれの色に対応する色以外の着色剤を含むものであってもよい。例えば、グリーンインク中には、緑色以外の着色剤が含まれていてもよいし、レッドインク中には、赤色以外の着色剤が含まれていてもよいし、ブルーインク中には、青色以外の着色剤が含まれていてもよい。これにより、例えば、カラーフィルター用インクにより形成される着色部の色調の調整(調色)を行うことができ、カラーフィルター用インクセットを用いて製造されるカラーフィルターの色再現域をより広いものとすることができる。このような着色剤としては、例えば、すでに例示した材料に加え、C.I.ピグメントイエロー1,3,12,13,14,15,16,17,20,24,31,34,35,35:1,37,37:1,42,43,53,55,60,61,65,71,73,74,81,83,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,116,117,119,120,126,127,128,129,138,139,151,152,153,154,155,156,157,166,168,175,184,185、C.I.ピグメントバイオレット1,3,14,16,19,23,29,32,36,38,50、C.I.ピグメントオレンジ1,5,13,14,16,17,20,20:1,24,34,36,38,40,43,46,49,51,61,63,64,71,73,104、C.I.ピグメントブラウン7,11,23,25,33や、これらの誘導体等の顔料や、C.I.ダイレクトバイオレット7,9,47,48,51,66,90,93,94,95,98,100,101、C.I.アシッドバイオレット5,9,11,34,43,47,48,51,75,90,103,126、C.I.リアクティブバイオレット1,3,4,5,6,7,8,9,16,17,22,23,24,26,27,33,34、C.I.ベーシックバイオレット1,2,3,7,10,15,16,20,21,25,27,28,35,37,39,40,48、C.I.ダイレクトイエロー8,9,11,12,27,28,29,33,35,39,41,44,50,53,58,59,68,87,93,95,96,98,100,106,108,109,110,130,142,144,161,163、C.I.アシッドイエロー17,19,23,25,39,40,42,44,49,50,61,64,76,79,110,127,135,143,151,159,169,174,190,195,196,197,199,218,219,222,227、C.I.リアクティブイエロー2,3,13,14,15,17,18,23,24,25,26,27,29,35,37,41,42、C.I.ベーシックイエロー1,2,4,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,39,40、C.I.ベーシックオレンジ21,23等の染料等が挙げられる。
また、着色剤(顔料)は、上記のような材料で構成された粉末に、例えば、親液化処理(後述する液性媒体に対する親和性を向上させる処理)等の表面処理が施されたものであってもよい。これにより、例えば、カラーフィルター用インク中における着色剤粒子(顔料粒子)の分散性、分散安定性を特に優れたものとすることができる。着色剤に対する表面処理としては、例えば、着色剤粒子表面をポリマーで改質する処理等が挙げられる。着色剤の粒子表面を改質するポリマーとしては、例えば、特開平8−259876号公報等に記載されたポリマーや、市販の各種の顔料分散用のポリマーまたはオリゴマー等が挙げられる。
<樹脂材料>
本発明のカラーフィルター用インクセットを構成する各色のインクは、樹脂材料を含むものである。
このような樹脂材料は、形成される着色部の基板に対する密着性を向上させる等のバインダーとしての機能を有するものである。また、上述したように、各色のインクは、各色のインク中に含まれる着色剤の含有率が少ないほど、各色のインク中に含まれる樹脂材料の含有率は高く、かつ、含まれる樹脂材料の重量平均分子量Mwは小さいものである。すなわち、本実施形態において、カラーフィルター用インクセットを構成する各色のインク中に含まれる着色剤の含有率は、Bインク、Rインク、Gインクの順に少ないものであるから、各色のインク中に含まれる樹脂材料の含有率は、Bインク、Rインク、Gインクの順に多くなるとともに、含まれる樹脂材料のMwは、Bインク、Rインク、Gインクの順に小さくなる。
また、本発明において、このような樹脂材料は、下記式(1)で表される単量体成分w1と下記式(2)で表される単量体成分w2と下記式(3)で表される単量体成分w3と下記式(4)で表される単量体成分w4とを含む重合体W、下記式(5)で表される単量体成分z1と下記式(6)で表される単量体成分z2と下記式(7)で表わされる単量体成分z3とを含む重合体Zのうちの少なくとも一方を含むものである。
Figure 2010101997
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Figure 2010101997
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Figure 2010101997
Figure 2010101997
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これにより、製造されるカラーフィルターの各色の着色部間での厚さのばらつきが抑えられるとともに、個々の着色部の表面が確実に平坦化される。その結果、コントラスト比に優れた画像表示を可能としつつ、各部位での色むら、濃度むらが抑制され、個体間での特性の均一性に優れたカラーフィルターの製造に好適に用いることができるカラーフィルター用インクセットとなる。また、各色のインクの吐出性は均一化され、カラーフィルターの製造に安定的に好適に用いることができる。
より詳細に説明すると、本発明のカラーフィルター用インクセットが備える各色のインクは、長期間液滴吐出を行ったり、連続して液滴吐出を行った際にも、インクジェットヘッドからの液滴の吐出量にばらつきが生じたり、吐出されるインク組成、重量等が不均一になるのを確実に防止することができ、各セルへのインクの吐出量を確実に均一なものとすることができる。特に、従来のインクジェット法を用いたカラーフィルター用インクの吐出では、着色剤が顔料を含むものである場合、各セルへの安定したインク吐出が困難であった。これに対して、本発明のカラーフィルター用インクセットが備える各色のインクでは、インク中における顔料粒子の凝集が抑制され、インクの吐出安定性を優れたものとすることができる。すなわち、本発明のカラーフィルター用インクの着色剤としては、高精細な画像形成に有利な各種顔料を好適に用いることができる。
また、上述したように、本発明のカラーフィルター用インクセットは、含まれる着色剤の含有率が低いインクほど、含まれる樹脂材料のMwが大きいという特徴を有している。一般的に、Mwが大きい樹脂材料は、インク中において凝集し易く、インクの吐出安定性を低下させたり、インク乾燥過程において液性媒体を除去する際に、樹脂材料およびその他の固形分(着色剤等)を析出させ、形成される着色部表面に凹凸を生じさせたりする。しかしながら、上述したような樹脂材料を含むインクでは、含まれる樹脂材料のMwが比較的大きい場合であっても、インク中での樹脂材料の凝集を抑制、防止することができ、インクの吐出安定性を優れたものとすることができるとともに、形成される着色部の表面を確実に平坦なものとすることができる。結果として、本発明のカラーフィルター用インクセットを用いて製造されるカラーフィルターは、コントラスト比に優れた画像表示を行うことができるとともに、色むら、濃度むらの発生が確実に抑えられたものとなる。さらに、上述したようなカラーフィルター用インクセットでは、インクセットを構成する各色のインクのいずれもが、吐出安定性に優れているため、吐出された液滴の軌道変化(いわゆる、飛行曲がり)が起こるのを確実に防止することができる。これにより、確実に目的の部位に液滴を着弾させることができ、異なる色の着色部を形成するのに用いられる複数種のインクが混ざり合って(混色して)しまったり、本来同一の着色濃度であることが求められる複数個の着色部の間での着色濃度のばらつきが発生してしまうのを確実に防止することができる。結果として、製造されるカラーフィルター間での特性(コントラスト比、色再現域等の色特性等)のばらつきの発生が抑制され、信頼性の高いカラーフィルターを得ることができる。
さらに、本発明のカラーフィルター用インクセットを用いることにより、以下のような効果を得ることができる。
すなわち、本発明のカラーフィルター用インクセットは、薄型のカラーフィルターを製造する(厚さの薄い着色部を形成する)際にも好適に用いることができる。これは、以下のように説明することができる。すなわち、薄型のカラーフィルターを製造するには、各色の着色部の厚さが薄くても、十分な発色性を有するように、インク中の着色剤の濃度を高くする必要がある。本発明のカラーフィルター用インクセットでは、各色のインク中に含まれる樹脂材料が、上述したような所定の関係(含有率、Mw)を満足し、重合体W、重合体Zのうちの少なくとも一方を含むことにより、インク全色における着色剤の濃度を比較的高くした場合であっても、各色のインクの吐出安定性を十分に優れたものとすることができる。したがって、このように高濃度の着色剤を含むインクセットを用いた場合でも、各セルへのインクの吐出量を均一なものとすることができ、着色部の厚さを薄くしながら、その厚さのばらつきを十分に抑えることができる。さらに、樹脂材料として、上述したような重合体を含むインクは、インク乾燥過程においても、固形分の凝集、析出が抑えられるため、その表面を十分に平坦なものとすることができる。結果として、本発明のカラーフィルター用インクセットにおいて、全インク中に含まれる着色剤の濃度を高くしたものを用いることにより、コントラスト比に優れた画像表示が可能であるとともに、色むら、濃度むらの発生が抑制された薄型のカラーフィルターを効率良く製造することができる。
また、重合体Wおよび重合体Zは、それぞれ加熱や紫外線照射等のエネルギーの付与により、硬化反応を起こす成分である。このような重合体Wおよび重合体Zは、インク保存時やインク吐出時では、反応が抑制されるのに対して、セルに吐出したインクを加熱、乾燥させる際には、効率良く反応(硬化反応)する。すなわち、このような重合体Wおよび重合体Zは、所定温度以下では実質的に硬化反応を進行させず、それ以上の温度で効率よく硬化反応を進行させることができる特性(以下、「硬化反応のスイッチング特性」ともいう。)に優れている。このような重合体を含む各色のインクは、インクを保存する環境(温度、湿度等)が変化した際にも、樹脂材料の不本意な反応(硬化反応)が抑えられ、安定した液滴吐出を行うことができるものとなる。その結果、カラーフィルターを一度に大量生産する場合等、ヘッドから長期間にわたってインクを連続吐出する際に、ヘッド内の温度が上昇しても、各色のインク間での吐出性のばらつきが確実に抑えられ、得られる各色の着色部間での厚さのばらつきの発生を確実に抑制することができる。また、このようなカラーフィルター用インクセットを用いることにより、各セルへの吐出量を均一にするために、ヘッドからの各色のインクの吐出条件(例えば、後述するようなインクジェットヘッドにおける圧電素子の振動条件等)の再設定を行う必要がないというメリットがある。結果として、個体間で特性のばらつきが抑えられたカラーフィルターを生産性高く製造することができる。
さらに、上述したような樹脂材料を含むことにより、保存時のカラーフィルター用インクセットで、各色のインク中に含まれる樹脂材料のMwがインク間で異なっていても、形成される各色の着色部間において、含まれる樹脂材料(樹脂組成物)の分子量を十分に高いものとしながら、均一なものとすることできる。これにより、形成される着色部の耐久性(耐熱性、耐光性、耐溶剤性等)を優れたものとすることができるとともに、各色の着色部間での耐久性のばらつきが十分に抑えられたものとなる。このようにして得られるカラーフィルターは、パネル製造時に、着色部表面への薬品塗布や洗浄を行った際にも、悪影響が確実に抑えられたものとなる。
このように、本発明のカラーフィルター用インクセットは、各色(各種)のインクが、含まれる着色剤の含有率が少ないものほど、含まれる樹脂材料の含有率が多くなるとともに、含まれる樹脂材料のMwが小さくなる関係を満足し、さらに、樹脂材料として、上述したような重合体W、重合体Zのうち少なくとも一方を含むものである。本発明では、上記条件を満足するカラーフィルター用インクセットを用いることにより、上述したような優れた効果を得られるものであり、これらの構成のいずれかを満足しない場合には、本発明の効果を得ることができない。
すなわち、各色のインクが、樹脂材料として、上述したような重合体を含み、インク中に含まれる着色剤の含有率が少ないものほど、樹脂材料の含有率が多くなるが、各色のインク間で樹脂材料のMwが一定である場合には、樹脂材料の含有率が高いインクにおいて、十分に粘度上昇を抑えることができず、各色のインク間での吐出性のばらつきを抑えることができなくなってしまう。結果として、形成される各色の着色部間での厚さのばらつきを抑制することができなくなってしまう。
また、各色のインクが、樹脂材料として、上述したような重合体を含み、インク中に含まれる着色剤の含有率が少ないものほど、各色のインク間で樹脂材料のMwが小さくなるが、含まれる樹脂材料の含有率が各色のインク間で同じである場合には、含まれる樹脂材料のMwが大きいインクと、含まれる樹脂材料のMwが小さいインクとで吐出性のばらつきが大きくなってしまう。したがって、形成される各色の着色部間で、厚さにばらつきが生じてしまう。
さらに、各色のインクが、インク中に含まれる着色剤の含有率が少ないものほど、含まれる樹脂材料の含有率が多くなるとともに、含まれる樹脂材料のMwが小さくなるものの、上述したような重合体を含まない場合には、長期間液滴吐出を行ったり、連続して液滴吐出を行ったりすると、保存時におけるカラーフィルター用インクの不本意な粘度増加が発生したり、ヘッドのノズル部等で目詰まりが発生してしまい、液滴吐出量が不安定化する。したがって、インク中に含まれる着色剤の含有率に応じて、樹脂材料のMw、含有率を調整した場合であっても、このようなカラーフィルター用インクセットを用いて製造されるカラーフィルターは、着色部間での厚さのばらつきを十分に抑えることができず、その表面の形状を十分に平坦化させることができなくなってしまう。
以下、樹脂材料(樹脂組成物)について詳細に説明する。
[重合体W]
カラーフィルター用インク中の樹脂材料が、上述した重合体W、重合体Zのうち、重合体Wを含むものであると、上述したような優れた効果に加え、形成される着色部の耐薬品性、耐溶剤性等を特に優れたものとすることができる。また、このようなインクは、基板(および隔壁)に対して高い親和性を有し、着色部と基板(および隔壁)との密着性が特に優れたものとなる。さらに、重合体Wは、重合体W自身が、重合体Zに比べて、乾燥過程のインクの表面形状をより平坦化させる効果を有する。したがって、インク中の樹脂材料が、重合体Wを構成成分として含むものであると、形成される着色部の表面の平坦度を特に高いものとすることができる。特に、形成する着色部の厚さを十分に薄くする場合でも、着色部表面に微小な凹凸が生じるのを確実に防止し、十分に平坦な表面を有する着色部を形成することができる。
このような重合体Wは、上記式(1)で表される単量体成分w1と上記式(2)で表される単量体成分w2と上記式(3)で表される単量体成分w3と上記式(4)で表される単量体成分w4とを含むものであり、下記式(17)で表されるものである。
Figure 2010101997
このような重合体Wを含むことにより、インクの吐出安定性は優れたものとなる。また、成分bの蒸発速度が抑制され、形成される着色部と基板との密着性が優れたものとなるとともに、着色部の表面を確実に平坦化させることができ、耐久性および表示される画像のコントラスト比に優れたカラーフィルターを得ることができる。さらに、樹脂材料としての硬化反応のスイッチング特性、カラーフィルター用インクの吐出安定性、形成される着色部の硬度等を優れたものとすることができるとともに、着色剤として顔料を含む場合において、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、重合体Wを含むことにより、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じてしまうのを効果的に防止することができ、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら、濃度むらの発生やコントラスト比の低下をより効果的に防止することができる。これは、基板上に付与されたカラーフィルター用インクから液性媒体を除去して着色部を形成する際に、インク中の固形分の凝集を効果的に防止することができるためであると考えられる。また、重合体Wを含むことにより、後述するような製造方法を用いてカラーフィルター用インクを製造する際に(後述する微分散工程で)、原料として用いる顔料粒子の凝集体を容易に微粒子化(解砕)することができ、カラーフィルター用インクの生産性を向上させることができる。また、重合体Wは、機械的な力に対して極めて優れた安定性を有しているため、顔料とともに後述する微分散工程に供された場合であっても、当該工程における変性、劣化が防止される。したがって、重合体Wを用いることにより、樹脂材料の劣化等を確実に防止しつつ、顔料の分散性に優れたカラーフィルター用インクを効率よく調製することができる。
なお、重合体Wは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Wが複数種の化合物の混合物である場合、各化合物が、単量体成分w1、w2、w3およびw4を含有するものである。
(単量体成分w1)
重合体Wは、上記式(1)で表される単量体成分w1を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分w1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。すなわち、樹脂材料についての硬化反応のスイッチング特性を優れたものとすることができる。また、単量体成分w1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、単量体成分w1は、重合体Wにおいて、高温環境下での反応性に優れる一方で、機械的な力に対しては極めて優れた安定性を有している。このため、顔料とともに後述する微分散工程に供された場合であっても、本工程における重合体Wの変性、劣化が防止され、カラーフィルター用インクにおいて、重合体Wの機能を確実に発揮することができる。また、単量体成分w1を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の硬度等を優れたものとすることができる。
また、重合体Wが単量体成分w1を含有することにより、インク中に含まれる樹脂材料が重合体Wに加え、重合体Zを含む場合、重合体Wと重合体Zとの親和性、相溶性を十分に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルター用インクの吐出安定性を優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部は、透明性に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下が防止され)、基板に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。
重合体W中における単量体成分w1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、25〜75wt%であるのが好ましく、40〜60wt%であるのがより好ましい。重合体W中における単量体成分w1の含有率が前記範囲内の値であると、後に詳述する単量体成分w2、w3、w4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。なお、重合体Wが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分w1の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Wが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分w1を含有しているのが好ましい。
(単量体成分w2)
重合体Wは、上記式(2)で表される単量体成分w2を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分w2を単量体成分として含有することにより、基板上へのカラーフィルター用インクの濡れ広がりを良好なものとすることができ、気泡の混入等が確実に防止され、基板との密着性に優れた着色部を好適に形成することができる。また、カラーフィルター用インクが顔料および分散剤を含むものである場合においては、単量体成分w2を単量体成分として含有することにより、分散剤の分散安定性を特に優れたものとすることができ、結果として、顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの長期保存性を特に優れたものとすることができる。
重合体W中における単量体成分w2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、2〜25wt%であるのが好ましく、5〜15wt%であるのがより好ましい。重合体W中における単量体成分w2の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分w1および後に詳述する単量体成分w3、w4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。なお、重合体Wが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分w2の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Wが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分w2を含有しているのが好ましい。
(単量体成分w3)
重合体Wは、上記式(3)で表される単量体成分w3を単量体成分として含有してなるものである。
単量体成分w3を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の耐薬品性、耐溶剤性等を優れたものとすることができる。これにより、着色部形成工程(硬化工程)の後に、薬品塗布や洗浄(特に、N−メチル−2−ピロリドンやγ−ブチルラクトンを用いた洗浄)等の後処理を行った場合であっても、これらによる悪影響の発生をより確実に防止することができる。
また、単量体成分w3は、重合体(重合体W)中において、比較的低い温度(例えば、100℃以下)では反応性が十分に低いのに対し、着色部形成工程(硬化工程)で施す熱処理のような加熱環境下では、十分な反応性を有するものである。このため、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。
また、単量体成分w3を単量体成分として含有することにより、例えば、カラーフィルター用インクが着色剤として顔料を含む場合において、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を優れたものとすることができる。
重合体W中における単量体成分w3の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、5〜50wt%であるのが好ましく、10〜40wt%であるのがより好ましい。重合体W中における単量体成分w3の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分w1、w2および後に詳述する単量体成分w4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。なお、重合体Wが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分w3の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Wが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分w3を含有しているのが好ましい。
(単量体成分w4)
重合体Wは、上記式(4)で表される単量体成分w4を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分w4を単量体成分として含有することにより、着色部の形成時、基板上に付与されたカラーフィルター用インクから液性媒体を除去する際に、固形分濃度の上昇に伴ってカラーフィルター用インクのチキソトロピック性および粘度が上昇し、形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じることを確実に防止することができる。
また、単量体成分w4を単量体成分として含有することにより、樹脂材料全体としての疎水性を好適に調整することができ、樹脂材料を構成する各重合体の親和性、相溶性を特に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部は、透明性に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下が防止され)、基板に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。
重合体W中における単量体成分w4の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、3〜40wt%であるのが好ましく、5〜30wt%であるのがより好ましい。重合体W中における単量体成分w4の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分w1、w2、w3の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。なお、重合体Wが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分w4の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Wが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分w4を含有しているのが好ましい。
重合体Wの重量平均分子量は、5000〜50000であるのが好ましく、6000〜15000であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの経時的安定性(長期保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、このようなインクを吐出して形成される着色部と基板との密着性が特に優れたものとなる。さらに、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性をより確実に高いものとすることができ、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。また、カラーフィルターの生産性を十分に優れたものとすることができる。
また、重合体Wの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1〜3であるのが好ましい。
[重合体Z]
カラーフィルター用インク中の樹脂材料が、上述した重合体W、重合体Zのうち、重合体Zを含むものであると、上述したような優れた効果に加え、形成される着色部は十分な硬度を有しながらも、適度な柔軟性を有するものとなる。これにより、着色部と基板との密着性が特に優れたものとなるとともに、クラック等の不具合が発生するのが確実に防止される。
重合体Zは、上記式(5)で表される単量体成分z1と上記式(6)で表される単量体成分z2と上記式(7)で表される単量体成分z3とを含むものであり、下記式(18)で表されるものである。
Figure 2010101997
このような重合体Zを含むことにより、樹脂材料としての硬化反応のスイッチング特性、カラーフィルター用インクの吐出安定性、形成される着色部の硬度等を優れたものとすることができるとともに、着色剤として顔料を含む場合において、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、重合体Zを含むことにより、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じてしまうのを効果的に防止することができ、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら、濃度むらの発生やコントラスト比の低下をより効果的に防止することができる。これは、基板上に付与されたカラーフィルター用インクから液性媒体を除去して着色部を形成する際に、顔料粒子の凝集を効果的に防止することができるためであると考えられる。また、重合体Zを含むことにより、後述するような製造方法を用いてカラーフィルター用インクを製造する際に(後述する微分散工程で)、原料として用いる顔料粒子の凝集体を容易に微粒子化(解砕)することができ、カラーフィルター用インクの生産性を向上させることができる。また、重合体Zは、機械的な力に対して極めて優れた安定性を有しているため、顔料とともに後述する微分散工程に供された場合であっても、当該工程における変性、劣化が防止される。したがって、重合体Zを用いることにより、樹脂材料の劣化等を確実に防止しつつ、顔料の分散性に優れたカラーフィルター用インクを効率よく調製することができる。
なお、重合体Zは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Zが複数種の化合物の混合物である場合、各化合物が、単量体成分z1、z2およびz3を含有するものである。
(単量体成分z1)
重合体Zは、上記式(5)で表される単量体成分z1を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分z1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。すなわち、樹脂材料についての硬化反応のスイッチング特性を優れたものとすることができる。また、単量体成分z1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、単量体成分z1は、重合体Zにおいて、高温環境下での反応性に優れる一方で、機械的な力に対しては極めて優れた安定性を有している。このため、顔料とともに後述する微分散工程に供された場合であっても、本工程における重合体Zの変性、劣化が防止され、カラーフィルター用インクにおいて、重合体Zの機能を確実に発揮することができる。また、単量体成分z1を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の硬度等を優れたものとすることができる。
また、重合体Zが単量体成分z1を含有することにより、インク中に含まれる樹脂材料が重合体Zに加え、重合体Wを含む場合、重合体Zと重合体Wとの親和性、相溶性を十分に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルター用インクの吐出安定性を優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部は、透明性に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下が防止され)、基板に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。
重合体Z中における単量体成分z1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、50〜95wt%であるのが好ましく、60〜85wt%であるのがより好ましい。重合体Z中における単量体成分z1の含有率が前記範囲内の値であると、後に詳述する単量体成分z2、z3の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。なお、重合体Zが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分z1の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Zが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分z1を含有しているのが好ましい。
(単量体成分z2)
重合体Zは、上記式(6)で表される単量体成分z2を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分z2を単量体成分として含有することにより、基板上へのカラーフィルター用インクの濡れ広がりを良好なものとすることができ、気泡の混入等が確実に防止され、基板との密着性に優れた着色部を好適に形成することができる。また、カラーフィルター用インクが顔料および分散剤を含むものである場合においては、単量体成分z2を単量体成分として含有することにより、分散剤の分散安定性を特に優れたものとすることができ、結果として、顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの長期保存性を特に優れたものとすることができる。
重合体Z中における単量体成分z2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、3〜35wt%であるのが好ましく、10〜25wt%であるのがより好ましい。重合体Z中における単量体成分z2の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分z1および後に詳述する単量体成分z3の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。なお、重合体Zが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分z2の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Zが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分z2を含有しているのが好ましい。
(単量体成分z3)
重合体Zは、上記式(7)で表される単量体成分z3を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分z3は、z1と同様に、後述する着色部形成工程(硬化工程)において、樹脂材料の硬化に寄与する成分であるが、単量体成分z1が、形成される着色部の硬度を高いものとする機能を有しているのに対し、単量体成分z3は、形成される着色部に適度な柔軟性を与え、着色部が設けられる基板等に変形(例えば、熱膨張、熱収縮等)が生じた場合であっても、その変形に追従し、基板等に対する着色部の密着性を保持させる機能を有している。これにより、例えば、製造されるカラーフィルターが画像表示に伴う急激な温度変化に繰り返しさらされた場合においても良好な密着性を保持することができ、光漏れ(白抜け、輝点)等の問題が発生するのをより確実に防止することができる。すなわち、カラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
また、単量体成分z3は、重合体Zにおいて、上述した単量体成分w3、z1と同様に、比較的低い温度(例えば、100℃以下)では反応性が十分に低いのに対し、着色部形成工程(硬化工程)で施す熱処理のような加熱環境下においては、十分な反応性を有するものである。このため、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。
また、単量体成分z3を単量体成分として含有することにより、着色部の形成時、基板上に付与されたカラーフィルター用インクから液性媒体を除去する際に、固形分濃度の上昇に伴ってカラーフィルター用インクのチキソトロピック性および粘度が上昇し、形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じることを確実に防止することができる。
重合体Z中における単量体成分z3の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、2〜30wt%であるのが好ましく、5〜20wt%であるのがより好ましい。重合体Z中における単量体成分z3の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分z1、z2の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。なお、重合体Zが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分z3の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Zが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分z3を含有しているのが好ましい。
重合体Zの重量平均分子量は、5000〜50000であるのが好ましく、6000〜15000であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの経時的安定性(長期保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルターの生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性をより確実に高いものとすることができ、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
また、重合体Zの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1〜3であるのが好ましい。
また、カラーフィルター用インク中に含まれる樹脂材料として、重合体Wおよび重合体Zの両方を用いる場合には、インク中における重合体Wの含有率をC[wt%]、インク中における重合体Zの含有率をC[wt%]としたとき、0.9≦C/C≦6.0の関係を満足するのが好ましく、1.0≦C/C≦5.0の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、カラーフィルター用インクの経時的安定性(長期保存性)、高温での反応性、および、製造されるカラーフィルターの耐久性(着色部と基板との密着性、着色部の硬度等)、信頼性を、いずれをも、特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターにおける色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
また、樹脂材料として重合体Wおよび重合体Zの両方を用いる場合、カラーフィルター用インク中における重合体Wの含有率(C[wt%])と重合体Zの含有率(C[wt%])との和は、0.3〜12wt%であるのが好ましく、0.9〜8.5wt%であるのがより好ましい。
上述したように本発明において、樹脂材料は、重合体W、重合体Zのうちの少なくとも一方を含むものであるが、さらに、他の樹脂成分(重合体)を含むものであってもよい。
このような樹脂成分(重合体)としては、以下に述べるような重合体X、重合体Yが挙げられる。
[重合体X]
重合体Xは、下記式(8)で表される単量体成分x1と下記式(9)で表される単量体成分x2と下記式(10)で表される単量体成分x3と下記式(11)で表される単量体成分x4とを含むものであり、下記式(19)で表されるものである。
Figure 2010101997
Figure 2010101997
Figure 2010101997
Figure 2010101997
Figure 2010101997
このような重合体Xを含むことにより、樹脂材料全体としての硬化反応のスイッチング特性や、カラーフィルター用インク中における各重合体成分の親和性、相溶性を十分に優れたものとしつつ、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の耐溶剤性等を特に優れたものとすることができ、また、形成される着色部の表面の平坦性を特に高いものとすることができる。その結果、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターの各部位での色むら、濃度むらの発生やコントラストの低下等をより確実に防止することができ、カラーフィルターの耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。
なお、重合体Xは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Xが複数種の化合物の混合物である場合、各化合物が、単量体成分x1、x2、x3およびx4を含有するものである。
(単量体成分x1)
重合体Xは、上記式(8)で表される単量体成分x1を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分x1を単量体成分として含有することにより、樹脂材料としての硬化反応のスイッチング特性、カラーフィルター用インクの吐出安定性、形成される着色部の硬度等を優れたものとすることができるとともに、着色剤として顔料を含む場合において、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を優れたものとすることができる。また、単量体成分x1を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の硬度等を優れたものとすることができる。
重合体X中における単量体成分x1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、30〜90wt%であるのが好ましく、40〜80wt%であるのがより好ましい。重合体X中における単量体成分x1の含有率が前記範囲内の値であると、後に詳述する単量体成分x2、x3、x4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体X中における単量体成分x1の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x1を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体成分x1の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分x2、x3、x4の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。また、重合体Xの高温での反応速度が低下し、十分に優れた生産性でカラーフィルターを製造するのが困難となる。なお、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分x1の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x1を含有しているのが好ましい。
(単量体成分x2)
重合体Xは、上記式(9)で表される単量体成分x2を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分x2を単量体成分として含有すること(特に、上述した単量体成分x1や後に詳述する単量体成分x3とともに含有すること)により、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。特に、加熱環境下での着色部形成工程(硬化工程)において、樹脂材料の重合反応の立ち上がりを良好なものとすることができるとともに、継続的に重合反応の進行させることができる。また、単量体成分x2を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の硬度等を優れたものとすることができる。これに対し、単量体成分x2を単量体成分として含有しない場合には、上記のような効果が得られない。より具体的には、例えば、単量体成分x1、x3を含有していたとしても、単量体成分x2を含有していない場合には、加熱環境下においても、継続的な重合反応を保持するのが困難であり、カラーフィルターの生産性が著しく低下する。また、樹脂材料の硬化反応を十分に進行させるのが困難となり、カラーフィルターの耐久性が低下する。また、樹脂材料の硬化反応に要する時間が長くなるため、形成すべき着色部の構成材料の劣化を招く可能性がある。
重合体X中における単量体成分x2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、5〜60wt%であるのが好ましく、10〜50wt%であるのがより好ましい。重合体X中における単量体成分x2の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分x1および後に詳述する単量体成分x3、x4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体X中における単量体成分x2の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x2を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体成分x2の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分x1、x3、x4の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。また、重合体Xの比較的低温での反応性が増し、カラーフィルター用インクの保存安定性が低下する傾向が現れる。なお、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分x2の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x2を含有しているのが好ましい。
(単量体成分x3)
重合体Xは、上記式(10)で表される単量体成分x3を単量体成分として含有してなるものである。
単量体成分x3を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の耐薬品性、耐溶剤性等を優れたものとすることができる。これにより、着色部形成工程(硬化工程)の後に、薬品塗布や洗浄(特に、N−メチル−2−ピロリドンやγ−ブチルラクトンを用いた洗浄)等の後処理を行った場合であっても、これらによる悪影響の発生を確実に防止することができる。
また、単量体成分x3は、重合体Xにおいて、上述した単量体成分x1と同様に、比較的低い温度(例えば、100℃以下)での反応性が十分に低いのに対し、着色部形成工程(硬化工程)で施す熱処理のような加熱環境下では、十分な反応性を示すものである。このため、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。
また、単量体成分x3を単量体成分として含有することにより、例えば、カラーフィルター用インクが着色剤として顔料を含む場合において、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を優れたものとすることができる。
重合体X中における単量体成分x3の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、2〜20wt%であるのが好ましく、3〜15wt%であるのがより好ましい。重合体X中における単量体成分x3の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分x1、x2および後に詳述する単量体成分x4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体X中における単量体成分x3の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x3を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体成分x3の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分x1、x2、x4の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部が硬くなりすぎ、温度変化に伴う基板等の変形に対する追従性が低下する傾向が現れる。なお、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分x3の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x3を含有しているのが好ましい。
(単量体成分x4)
重合体Xは、上記式(11)で表される単量体成分x4を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分x4を単量体成分として含有することにより、着色部の形成時、基板上に付与されたカラーフィルター用インクから液性媒体を除去する際に、固形分濃度の上昇に伴ってカラーフィルター用インクのチキソトロピック性および粘度が上昇し、形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じることを確実に防止することができる。特に、従来においては、着色剤として顔料を含む場合に、形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じるという問題が顕著に発生していたが、本発明によれば、着色剤として顔料を含む場合においても、このような問題の発生を確実に防止することができる。
また、単量体成分x4は、その末端に水酸基を有している。このような構造を有することにより、比較的低い温度(例えば、100℃以下)における反応性を十分に低いものとしつつ、着色部形成工程(硬化工程)で施す熱処理のような加熱環境下における反応性を高めることができる。これにより、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。
また、単量体成分x4を単量体成分として含有することにより、例えば、カラーフィルター用インクが着色剤として顔料を含む場合において、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を優れたものとすることができる。
重合体X中における単量体成分x4の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、2〜20wt%であるのが好ましく、3〜15wt%であるのがより好ましい。重合体X中における単量体成分x4の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分x1、x2、x3の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体X中における単量体成分x4の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x4を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体成分x4の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分x1、x2、x3の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部がの硬度が低下する傾向が現れる。なお、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分x4の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x4を含有しているのが好ましい。
重合体Xの重量平均分子量は、1000〜50000であるのが好ましく、1200〜10000であるのがより好ましく、1500〜5000であるのがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの経時的安定性(長期保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルターの生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性をより確実に高いものとすることができ、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
また、重合体Xの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1〜3であるのが好ましい。
[重合体Y]
重合体Yは、下記式(12)で表される単量体成分y1と下記式(13)で表される単量体成分y2とを含むものであり、下記式(20)で表されるものである。
Figure 2010101997
Figure 2010101997
Figure 2010101997
このような重合体Yを含むことにより、カラーフィルター用インクの吐出安定性や、カラーフィルター用インクが顔料を含む場合における顔料の分散安定性等を優れたものとしつつ、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の基板に対する密着性を特に優れたものとすることができ、製造されるカラーフィルターの耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。
なお、重合体Yは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Yが複数種の化合物の混合物である場合、各化合物が、単量体成分y1およびy2を含有するものである。
(単量体成分y1)
重合体Yは、上記式(12)で表される単量体成分y1を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分y1を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の基板に対する密着性を特に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
重合体Y中における単量体成分y1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、30〜90wt%であるのが好ましく、40〜80wt%であるのがより好ましい。重合体Y中における単量体成分y1の含有率が前記範囲内の値であると、後に詳述する単量体成分y2の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体Y中における単量体成分y1の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分y1を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体Y中における単量体成分y1の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分y2の含有率が低下し、単量体成分y2の機能が十分に発揮されない可能性がある。また、着色部の形成時、基板上に付与されたカラーフィルター用インクから液性媒体を除去する際に、固形分濃度の上昇に伴ってカラーフィルター用インク粘度が上昇する傾向が現れ、形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じ易くなる。なお、重合体Yが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分y1の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Yが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分y1を含有しているのが好ましい。
(単量体成分y2)
重合体Yは、上記式(13)で表される単量体成分y2を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分y2を単量体成分として含有すること(特に、上述した単量体成分y1とともに含有すること)により、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。特に、加熱環境下での着色部形成工程(硬化工程)において、樹脂材料の重合反応の立ち上がりを良好なものとすることができるとともに、継続的に重合反応の進行させることができる。また、単量体成分y2を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の硬度等を優れたものとすることができる。
また、重合体Yが単量体成分y2を含有することにより、重合体Xと重合体Yとの親和性、相溶性を十分に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルター用インクの吐出安定性を優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部は、透明性に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下が防止され)、基板に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。これに対し、単量体成分y2を単量体成分として含有しない場合、重合体Xと重合体Yとの親和性、相溶性を十分に優れたものとすることができず、カラーフィルター用インクは、吐出安定性に劣ったものとなり、また、製造されるカラーフィルターは、色むらや濃度むらが発生し易く、コントラストや耐久性、信頼性等に劣ったものとなる。
重合体Y中における単量体成分y2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、10〜70wt%であるのが好ましく、20〜60wt%であるのがより好ましい。重合体Y中における単量体成分y2の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分y1の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体Y中における単量体成分y2の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分y2を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体Y中における単量体成分y2の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分y1の含有率が低下し、単量体成分y1の機能が十分に発揮されない可能性がある。また、重合体Yの比較的低温での反応性が増し、カラーフィルター用インクの保存安定性が低下する傾向が現れる。なお、重合体Yが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分y2の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Yが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分y2を含有しているのが好ましい。
重合体Yの重量平均分子量は、1000〜50000であるのが好ましく、1200〜10000であるのがより好ましく、1500〜5000であるのがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの経時的安定性(長期保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルターの生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性をより確実に高いものとすることができ、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
また、重合体Yの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1〜3であるのが好ましい。
なお、上述した各重合体は、最終的に上述したような構造(各単量体成分に対応する各部分構造)を有していればよく、上述した各単量体成分そのものを用いて合成されたものであってもよいし、上述した単量体成分とは異なる成分(前駆体、誘導体等)を用いて合成されたものであってもよい。
また、カラーフィルター用インクを構成する樹脂材料は、上述した以外の重合体(例えば、熱可塑性の重合体や上述した重合体X、Y、Z、W以外の硬化性の重合体)を含むものであってもよい。
カラーフィルター用インクを構成する樹脂材料が、上述した重合体(重合体W、Z、X、Y)以外のその他の成分を含む場合、インクに含まれる全樹脂材料中におけるその他の成分の含有率は、20wt%以下であるのが好ましく、10wt%以下であるのがより好ましく、5wt%以下であるのがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インクが、上述したような重合体を含むことにより得られる効果を確実に得ることができる。
また、カラーフィルター用インクセットを構成する各色のインク中に含まれる樹脂材料の含有率をCResin[wt%]、樹脂材料の重量平均分子量をMwResinとしたとき、各色のインクは、それぞれ100≦CResin・MwResin/10≦500の関係を満足するのが好ましく、200≦CResin・MwResin/10≦450の関係を満足するのがより好ましい。上記条件を満足する各色のインクの吐出性は特に均一化されたものとなり、製造されるカラーフィルターは、各部位での色むら、濃度むらがより好適に抑制されたものとなるとともに、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができる。また、上記条件を満足する各色のインクは、それぞれ吐出安定性が長期間にわたって優れたものとなる。これは、各色のインク中に含まれる樹脂材料が、均一に、かつ安定した状態で、それぞれのインク中に好適に溶解し、各色のインクの経時変化(増粘など)が起こるのをより確実に防止するためと考えられる。これにより、カラーフィルターの製造に安定的に用いることができるカラーフィルター用インクセットとなる。
また、本実施形態において、各色のインク(Gインク、Rインク、Bインク)は以下の条件を満足するのが好ましい。
(グリーンインク)
Gインクを構成する樹脂材料の重量平均分子量Mw(G)は、2000〜20000であるのが好ましく、2200〜8000であるのがより好ましい。これにより、Gインクの吐出安定性は特に優れたものとなり、形成される緑色の着色部での色むら、濃度むらなどをより効果的に抑制することができる。
また、Gインク中における樹脂材料の含有率は、2.5〜7.5wt%であるのが好ましく、3.0〜6.5wt%であるのがより好ましい。これによりGインクの粘度上昇を抑制しつつ塗膜強度(着色部の物理的強度)を優れたものとすることができるとともに、カラーフィルター用の液滴吐出ヘッドからのGインクの吐出性を特に優れたものとすることができる。
(レッドインク)
Rインクを構成する樹脂材料の重量平均分子量Mw(R)は、1500〜10000であるのが好ましく、1700〜6000であるのがより好ましい。これにより、Rインクの吐出安定性は特に優れたものとなり、形成される赤色の着色部での色むら、濃度むらなどをより効果的に抑制することができる。
また、Rインク中における樹脂材料の含有率は、3.0〜11.0wt%であるのが好ましく、4.0〜9.5wt%であるのがより好ましい。これによりRインクの粘度上昇を抑制しつつ塗膜強度(着色部の物理的強度)を優れたものとすることができるとともに、カラーフィルター用の液滴吐出ヘッドからのRインクの吐出性を特に優れたものとすることができる。
(ブルーインク)
Bインクを構成する樹脂材料の重量平均分子量Mw(B)は、1000〜6000であるのが好ましく、1200〜4500であるのがより好ましい。これにより、Bインクの吐出安定性は特に優れたものとなり、形成される青色の着色部での色むら、濃度むらなどをより効果的に抑制することができる。
また、Bインク中における樹脂材料の含有率は、4.0〜15.0wt%であるのが好ましく、5.0〜12.0wt%であるのがより好ましい。これによりBインクの粘度上昇を抑制しつつ塗膜強度(着色部の物理的強度)を優れたものとすることができるとともに、カラーフィルター用の液滴吐出ヘッドからのBインクの吐出性を特に優れたものとすることができる。
また、カラーフィルター用インクセットを構成する各色のインク中に含まれる樹脂材料の重量平均分子量Mwが上記条件を満足することにより、各色のインクの吐出性はさらに均一化されたものとなり、カラーフィルターの製造に安定的にさらに好適に用いることができるとともに、異なる色の着色部間における着色濃度の均一性を特に優れたものとすることができる。
また、カラーフィルター用インクセットを構成する各色のカラーフィルター用インクセット中における樹脂材料の含有率が上記条件を満足することにより、各色のカラーフィルター用インクセットの吐出性はさらに均一化されるとともに、カラーフィルターの耐久性は特に優れたものとなる。
また、各色のインク中に含まれる樹脂材料の重量平均分子量Mwは、以下の関係も満足するのが好ましい。すなわち、0.3≦Mw(B)/Mw(R)≦0.9であるとともに、0.1≦Mw(B)/Mw(G)≦0.7であるのが好ましく、0.4≦Mw(B)/Mw(R)≦0.8であるとともに、0.2≦Mw(B)/Mw(G)≦0.6であるのがより好ましい。上記条件を満足することにより、各色のインクの吐出性はさらに均一化されたものとなり、カラーフィルターの製造にさらに安定的に用いることができるとともに、異なる色の着色部間における着色濃度の均一性を特に優れたものとすることができる。
<液性媒体>
液性媒体(液状媒質)は、上述したような着色剤を、分散および/または溶解する機能を有するものである。すなわち、液性媒体は、分散媒および/または溶媒として機能するものである。そして、通常、液性媒体は、カラーフィルターを製造する過程において、その大部分が除去されるものである。
液性媒体を構成する液体としては、例えば、エステル化合物、エーテル化合物、ヒドロキシケトン、炭酸ジエステル、環状アミド化合物等を用いることができ、中でも、(1)多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等)の縮合物としてのエーテル(多価アルコールエーテル)や、多価アルコールまたは多価アルコールエーテルのアルキルエーテル(例えば、メチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル等)、エステル(例えば、ホルメート、アセテート、プロピオネート等)、(2)多価カルボン酸(例えば、こはく酸、グルタル酸等)のエステル(例えば、メチルエステル等)、(3)分子内に少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つのカルボキシル基とを有する化合物(ヒドロキシ酸)のエーテル、エステル等、(4)多価アルコールとホスゲンとの反応で得られるような化学構造を有する炭酸ジエステルが好ましい。液性媒体を構成する液体として用いることのできる化合物としては、例えば、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、ビス(2−ブトキシエチル)エーテル、グルタル酸ジメチル、エチレングリコールジn−ブチレート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、1,6−ジアセトキシヘキサン、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ブトキシプロパノール、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、オクタン酸エチル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸シクロヘキシル、こはく酸ジエチル、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、こはく酸ジメチル、1−ブトキシ−2−プロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−n−ブチルアセテート、ジアセチン、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ブチルグリコレート、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドン、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ビス(2−プロポキシエチル)エーテル、ジエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールエチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールブチルエチルエーテル、トリエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルプロピルエーテル、トリエチレングリコールメチルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、n−ノニルアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル等が挙げられる。
上述した中でも、液性媒体は、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、1,3−ブチレングリコールジアセテートから選択される1種または2種以上を含むものであることがより好ましい。これにより、インクの吐出を特に長期にわたって安定させることができ、製造されるカラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等をより確実に防止することができる。また、これらの化合物を用いた場合、液滴吐出装置の部材が膨潤等の劣化を起こすのを極めて長期間にわたって、確実に防ぐことができる。
また、カラーフィルター用インクセットを構成する各色のインクが、液性媒体として、上述したような化合物を含むとともに、着色剤として、顔料を含むものを用いた場合、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の長期分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インク中における顔料の含有率を高くした場合であっても、顔料の長期分散安定性を十分に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクの液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができ、製造されるカラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等をより効果的に抑制することができるとともに、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができる。また、このようなカラーフィルター用インクでは、液性媒体としての上述したような化合物と、前述した顔料と、後に詳述するような樹脂材料との化学構造的な相関から、樹脂材料の溶解性を十分に優れたものとしつつ、カラーフィルター用インク中において顔料粒子の表面に樹脂材料を偏在させることができ、液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの長期保存性を特に優れたものとすることができる。また、このようなインクを用いることにより、後述するようなカラーフィルターの製造方法において、セル内全体に、カラーフィルター用インクを確実に濡れ広がるようにすることができ、液性媒体の除去条件を厳密に規定しなくても、平坦化された着色部を容易に形成することができる。言い換えると、ベーク時の画素内形状のコントロールが容易である。
また、上述したような化合物を複数種用いて液性媒体としてもよい。
例えば、液性媒体は、主成分としての液性媒体としての第1の液性媒体と、副成分としての第2の液性媒体とを含んでいてもよい。
このような場合、第2の液性媒体は、平均重合度が4〜10のグリコール縮合物モノアルキルエーテルであることが好ましい。グリコール縮合物モノアルキルエーテルは、グリコールの縮合物の末端の水酸基がアルキル基で置換された化合物である。
上述したような平均重合度を有するグリコール縮合物モノアルキルエーテルは、沸点が比較的高く、また、インクのチキソトロピック性を低下させることのできる化合物である。グリコール縮合物モノアルキルエーテルを含むことにより、カラーフィルター用インクから液性媒体が一定量揮発した状態において、インク中に残存するグリコール縮合物モノアルキルエーテルによってカラーフィルター用インクはチキソトロピック性の上昇が抑制され、比較的長い時間高い流動性を維持することができる。このため、着色部形成時において、特定の部分から液性媒体が揮発した場合であっても、カラーフィルター用インクは、該部分にインクの固形分が集中することが防止される。この結果、セル中のカラーフィルター用インクは、各部分において固形分濃度が均一となり、その表面が平坦な状態で流動性を失い、固化することができる。以上より、製造されるカラーフィルターの明度、コントラスト比は特に優れたものとなる。また、このようにして形成される着色部は、その表面形状を確実に平坦なものとすることができるとともに、各色の着色部間での厚さのばらつきが抑えられたものである。その結果、得られるカラーフィルターの着色部上にITO膜を形成した際に、カラーフィルター(着色部)とITO膜との密着性が特に優れたものとなる。また、以上のようなグリコール縮合物モノアルキルエーテルの効果は、特に、液性媒体の除去を行う際の初期において顕著に発揮させるものである。
グリコール縮合物モノアルキルエーテルを構成するグリコール類は、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール等のプロパンジオール、各種ブタンジオール、各種ペンタンジオール、各種ヘキサンジオール等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオールを用いることが好ましい。これにより、カラーフィルター用インク粘度を十分に低いものしつつ、着色部形成時におけるインクのチキソトロピック性の上昇を十分に抑制することができる。
また、グリコール縮合物モノアルキルエーテルの平均重合度は、上述した範囲内であればよいが、4〜8であることが好ましい。これにより、カラーフィルター用インク粘度を十分に低いものしつつ、着色部形成時におけるインクのチキソトロピック性の上昇を十分に抑制することができ、インクは高い流動性を維持することができる。
また、グリコール縮合物モノアルキルエーテルの重量平均分子量は、210〜500であるのが好ましく、210〜400であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インク粘度を十分に低いものしつつ、着色部形成時におけるインクのチキソトロピック性の上昇を十分に抑制することができる。
また、グリコール縮合物モノアルキルエーテルの末端のアルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖を有するものであってもよい。
また、グリコール縮合物モノアルキルエーテルの末端のアルキル基の炭素数は、1〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インク粘度を十分に低いものしつつ、着色部形成時におけるインクのチキソトロピック性の上昇を十分に抑制することができる。
また、グリコール縮合物モノアルキルエーテルが異なる重合度、分子量の成分の混合物(例えば、重合度が4〜8のグリコール縮合物モノアルキルエーテルの混合物)である場合、これらの複数の成分が段階的に揮発する。このため、着色部形成時において、より長期間にわたって、インクは流動性を高いものとすることができる。
また、例えば、第1の液性媒体を比較的沸点の低いものとし、第2の液性媒体を第1の液性媒体よりも沸点の高いものとすることができる。これにより、後述するような液性媒体の除去時においては、第1の液性媒体が最初に優先的に揮発する。第2の液性媒体は、比較的長期間カラーフィルター用インクに保持される。このため、セル中のカラーフィルター用インクは、比較的長い間、流動性を保持することができる。
このような場合、第2の液性媒体の沸点は、第1の液性媒体の沸点よりも5〜100℃高いことが好ましく、10〜90℃高いことがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクは、着色部形成時において、より長期間流動性を保持することができる。
また、カラーフィルター用インクが液性媒体として第1の液性媒体と第2の液性媒体とを含む場合、カラーフィルター用インク中における第1の液性媒体の含有量は、第2の液性媒体の含有量を100重量部としたとき、100〜3000重量部であることが好ましく、150〜2000重量部であることがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクは、着色部形成時においてより長期間流動性を保持することができる。また、カラーフィルターを製造する際の生産性が向上する。
液性媒体の大気圧(1気圧)下における沸点は、160〜300℃であるのが好ましく、180〜290℃であるのがより好ましく、200〜280℃であるのがさらに好ましい。液性媒体の大気圧下における沸点が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用インクを吐出する液滴吐出ヘッドにおける目詰まり等をより効果的に防止することができ、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。
また、液性媒体の25℃における蒸気圧は、0.7mmHg以下であるのが好ましく、0.1mmHg以下であるのがより好ましい。液性媒体の蒸気圧が前記範囲内と値であると、カラーフィルター用インクを吐出する液滴吐出ヘッドにおける目詰まり等をより効果的に防止することができ、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。
カラーフィルター用インク中における液性媒体の含有率は、70〜98wt%であるのが好ましく、80〜95wt%であるのがより好ましい。液性媒体の含有率が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用の液滴吐出ヘッドからの吐出性を特に優れたものとしつつ、製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等をより効果的に抑制することができるとともに、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターにおいて、十分な色濃度を確保することができる。
カラーフィルター用インク中における液性媒体の25℃における粘度は、特に限定されないが、1.0〜5.0mPa・sであるのが好ましく、1.5〜4.0mPa・sであるのがより好ましい。液性媒体の25℃における粘度が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用の液滴吐出ヘッドからの吐出性を特に優れたものとし、製造されるカラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等をより効果的に抑制することができるとともに、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。
また、カラーフィルター用インクセットを構成する各色のカラーフィルター用インクは、上記以外の成分を含むものであってもよい。カラーフィルター用インクを構成する着色剤、液性媒体、樹脂材料以外の成分としては、例えば、分散剤等が挙げられる。
<分散剤>
分散剤は、カラーフィルター用インク中における着色剤の分散性を向上させるのに寄与する成分である。
カラーフィルター用インクが分散剤を含むものであると、例えば、インクの液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インク中に顔料が含まれる場合、分散剤は、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散性を向上させるのに寄与することができる。
分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の分散剤が挙げられる。
分散剤のより具体的な例としては、例えば、ディスパービック101、ディスパービック102、ディスパービック103、ディスパービックP104、ディスパービックP104S、ディスパービック220S、ディスパービック106、ディスパービック108、ディスパービック109、ディスパービック110、ディスパービック111、ディスパービック112、ディスパービック116、ディスパービック140、ディスパービック142、ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック164、ディスパービック166、ディスパービック167、ディスパービック168、ディスパービック170、ディスパービック171、ディスパービック174、ディスパービック180、ディスパービック182、ディスパービック183、ディスパービック184、ディスパービック185、ディスパービック2000、ディスパービック2001、ディスパービック2050、ディスパービック2070、ディスパービック2095、ディスパービック2150、ディスパービックLPN6919、ディスパービック9075、ディスパービック9077(以上、ビックケミー社製);EFKA 4008、EFKA 4009、EFKA 4010、EFKA 4015、EFKA 4020、EFKA 4046、EFKA 4047、EFKA 4050、EFKA 4055、EFKA 4060、EFKA 4080、EFKA 4400、EFKA 4401、EFKA 4402、EFKA 4403、EFKA 4406、EFKA 4408、EFKA 4300、EFKA 4330、EFKA 4340、EFKA 4015、EFKA 4800、EFKA 5010、EFKA 5065、EFKA 5066、EFKA 5070、EFKA 7500、EFKA 7554(以上、チバスペシャリティ−社製);ソルスパース3000、ソルスパース9000、ソルスパース13000、ソルスパース16000、ソルスパース17000、ソルスパース18000、ソルスパース20000、ソルスパース21000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000、ソルスパース32000、ソルスパース32500、ソルスパース32550、ソルスパース33500、ソルスパース35100、ソルスパース35200、ソルスパース36000、ソルスパース36600、ソルスパース38500、ソルスパース41000、ソルスパース41090、ソルスパース20000(以上、ルーブリゾール社製);アジスパーPA111、アジスパーPB711、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB824(以上、味の素ファインテクノ社製);ディスパロン1850、ディスパロン1860、ディスパロン2150、ディスパロン7004、ディスパロンDA−100、ディスパロンDA−234、ディスパロンDA−325、ディスパロンDA−375、ディスパロンDA−705、ディスパロンDA−725、ディスパロンPW−36(以上、楠本化成社製);および、フローレン DOPA−14、フローレン DOPA−15B、フローレン DOPA−17、フローレン DOPA−22、フローレン DOPA−44、フローレン TG−710、フローレン D−90(以上、共栄化学社製)、Anti−Terra−205(ビックケミー社製)、ヒノアクトKF−1000、KF−1525、ヒノアクト1300M、ヒノアクトT9050、ヒノアクトT6000、ヒノアクトT7000、ヒノアクトT8000、ヒノアクトT8000E(以上、川研ファインケミカル社製)等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
特に、カラーフィルターインクは、分散剤として、所定の酸価を有する分散剤(以下、酸価分散剤とも言う)と、所定のアミン価を有する分散剤(以下、アミン価分散剤とも言う)とを含むものであるのが好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの粘度を低下させる粘度低減効果を発揮する酸価分散剤による効果と、カラーフィルター用インクの粘度を安定化させるアミン価分散剤による効果とが両立される。その結果、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
酸価分散剤の具体例としては、ディスパービックP104、ディスパービックP104S、ディスパービック220S、ディスパービック110、ディスパービック111、ディスパービック170、ディスパービック171、ディスパービック174、ディスパービック2095(以上、ビックケミー社製);EFKA 5010、EFKA 5065、EFKA 5066、EFKA 5070、EFKA 7500、EFKA 7554(以上、チバスペシャリティ−社製);ソルスパース3000、ソルスパース16000、ソルスパース17000、ソルスパース18000、ソルスパース36000、ソルスパース36600、ソルスパース41000(以上、ルーブリゾール社製)、ヒノアクトKF−1000(川研ファインケミカル社製)等が挙げられる。
また、アミン価分散剤の具体例としては、ディスパービック102、ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック164、ディスパービック166、ディスパービック167、ディスパービック168、ディスパービック2150、ディスパービックLPN6919、ディスパービック9075、ディスパービック9077(以上、ビックケミー社製);EFKA 4015、EFKA 4020、EFKA 4046、EFKA 4047、EFKA 4050、EFKA 4055、EFKA 4060、EFKA 4080、EFKA 4300、EFKA 4330、EFKA 4340、EFKA 4400、EFKA 4401、EFKA 4402、EFKA 4403、EFKA 4800(以上、チバスペシャリティ−社製);アジスパーPB711(以上、味の素ファインテクノ社製);Anti−Terra−205(ビックケミー社製)、KF−1525、ヒノアクト1300M、ヒノアクトT9050、ヒノアクトT6000、ヒノアクトT7000、ヒノアクトT8000、ヒノアクトT8000E(以上、川研ファインケミカル社製)等が挙げられる。
上記のような分散剤(酸価分散剤およびアミン価分散剤)を用いることにより、形成される着色部の色味に悪影響を与えることなく、インク中における顔料の分散安定性を優れたものとすることができる。
酸価分散剤とアミン価分散剤とを併用する場合、酸価分散剤の酸価(固形分換算したときの酸価)は、特に限定されないが、5〜370KOHmg/gであるのが好ましく、20〜270KOHmg/gであるのがより好ましく、30〜135KOHmg/gであるのがさらに好ましい。酸価分散剤の酸価が前記範囲内の値であると、アミン価分散剤と併用した場合における顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができ、また、アミン価分散剤と併用した場合におけるカラーフィルター用インクの粘度の低減、安定化効果をより顕著に得ることができる。また、カラーフィルター用インクの中に顔料が含まれる場合、顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができる。分散剤についての酸価は、例えば、DIN EN ISO 2114に準拠する方法により求めることができる。
また、酸価分散剤は、所定のアミン価を有していないもの、すなわち、アミン価が零であるのが好ましい。
アミン価分散剤と酸価分散剤とを併用する場合、アミン価分散剤のアミン価(固形分換算したときのアミン価)は、特に限定されないが、5〜200KOHmg/gであるのが好ましく、25〜170KOHmg/gであるのがより好ましく、30〜130KOHmg/gであるのがさらに好ましい。アミン価分散剤のアミン価が前記範囲内の値であると、酸価分散剤と併用した場合における顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができ、また、酸価分散剤と併用した場合におけるカラーフィルター用インクの粘度の低減、安定化効果をより顕著に得ることができる。なお、分散剤についてのアミン価は、例えば、DIN 16945に準拠する方法により求めることができる。
また、アミン価分散剤は、所定の酸価を有していないもの、すなわち、酸価が零であるのが好ましい。
また、酸価分散剤とアミン価分散剤とを併用する場合、カラーフィルター用インク中における酸価分散剤の含有率をX[wt%]、当該カラーフィルター用インク中におけるアミン価分散剤の含有率をX[wt%]としたとき、0.1≦X/X≦1の関係を満足するのが好ましく、0.15≦X/X≦0.5の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、酸価分散剤とアミン価分散剤とを併用することによる相乗効果がより顕著に発揮され、液滴の吐出安定性等を特に優れたものとすることができる。
また、酸価分散剤の酸価をAV[KOHmg/g]、アミン価分散剤のアミン価をBV[KOHmg/g]、前記酸価分散剤の含有率をX[wt%]、前記アミン価分散剤の含有率をX[wt%]としたとき、0.01≦(AV×X)/(BV×X)≦1.9の関係を満足するのが好ましく、0.10≦(AV×X)/(BV×X)≦1.5の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、酸価分散剤とアミン価分散剤とを併用することによる相乗効果がより顕著に発揮され、液滴の吐出安定性等を特に優れたものとすることができる。
また、分散剤としては、上記以外の分散剤を用いてもよい。例えば、分散剤としては、シアメリド骨格を備えた化合物を用いることができる。このような化合物を分散剤として用いることにより、上述したような樹脂材料が溶解した分散媒(液性媒体)中における顔料の分散性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。このような優れた効果は、単に、分散剤としてシアメリド骨格を備えた化合物を用いただけで得られるものではなく、上述したような樹脂材料と、シアメリド骨格を備えた化合物とを併用することにより、これらが相乗的に作用し合い、得られるものである。
また、分散剤としては、例えば、下記式(21)および下記式(22)で表される部分構造を有する化合物を用いることができる。このような化合物を分散剤として用いることにより、カラーフィルター用インク中における着色剤(顔料)の分散性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
Figure 2010101997
Figure 2010101997
カラーフィルター用インク中における分散剤の含有率は、0.5〜15wt%であるのが好ましく、0.5〜8wt%であるのがより好ましい。
<多価アルコール>
カラーフィルター用インクは、多価アルコールを含んでいてもよい。多価アルコールは、置換されていない水酸基を複数個含む化合物である。
多価アルコールは、着色部の形成時において、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性を低下させることにより、着色部を平坦化させる機能を有するものである。
カラーフィルター用インクが多価アルコールを含むことにより、カラーフィルター用インクからから液性媒体の大部分が除去された場合であっても、多価アルコールは残存し、カラーフィルター用インクはチキソトロピック性の上昇を抑えることができ、比較的長い時間、流動性を維持することができる。また、カラーフィルター用インクは、液性媒体が一定量除去された時点では、粘度が比較的高くなっており、対流が抑制されたものとなっている。このように、着色部形成時の後期において、比較的長い間、カラーフィルター用インクの対流が抑制されつつ、カラーフィルター用インクが流動性を有することにより、セル中のカラーフィルター用インクは、その表面が平坦な状態で流動性を失い、固化することができる。したがって、各色のインクが上述したような多価アルコールを含むものである場合、上述したような重合体W、重合体Zが含まれることにより得られる着色部表面を平坦化させる効果と、多価アルコールが含まれることにより得られる着色部表面を平坦化させる効果とが相乗的に作用し、形成される着色部表面の平坦性が特に優れたものとなる。その結果、製造されるカラーフィルターは、明度およびコントラスト比が特に高いものとなる。
また、このような多価アルコールは、着色部を形成する際に加熱することにより、分解または揮発してカラーフィルター用インクから除去される。このため、形成された着色部には多価アルコールが残存しにくく、インクに含まれる多価アルコールによる着色部の色度、明度等の変化が極めて少ないものである。
また、上述したようなグリコール縮合物モノアルキルエーテルと、多価アルコールとを組み合わせてインクに用いることにより、着色部形成時の液性媒体の揮発時においては、グリコール縮合物モノアルキルエーテルがインクの高い流動性を保ち、セル内でのインクの固形分濃度を均一なものとすることができる。また、液性媒体の大部分が除去された後には、多価アルコールが、セル内のインクの対流を防止しつつ、流動性を保つことにより、厚さが特に均一で表面が特に平滑な着色部が形成される。
カラーフィルター用インクに用いることのできる多価アルコールとしては、上述したようにカラーフィルター用インクのチキソトロピック性を低下させるものであればよいが、例えば、ジオール化合物のオリゴマーが使用でき、具体的には、グリコール類のオリゴマー等を用いることができる。このような化合物は、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性を容易に下げることができるとともに、着色部形成時においては、カラーフィルター用インクのセル内での対流を抑制することができる。特に、多価アルコールがグリコール類のオリゴマーである場合、上述したような効果はより顕著なものとなる。
グリコール類のオリゴマーを構成するグリコール類としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール等のプロパンジオール、各種ブタンジオール、各種ペンタンジオール、各種ヘキサンジオール等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組みあわせて用いることができる。これらのうち、エチレングリコールまたは、1,3−プロパンジオールをグリコール類として用いることが好ましい。
また、多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコールと1,2−プロピレングリコールとが混合して縮合したグリコール類のオリゴマーを用いてもよいし、エチレングリコールのオリゴマーと1,2−プロピレングリコールのオリゴマーとを混合して用いてもよい。
また、多価アルコールとして、グリコール類のオリゴマーを用いる場合、末端の水酸基は、置換されていないことが好ましい。このように、多価アルコールが水酸基を有することで、多価アルコールの極性が比較的高いものとなり、多価アルコールの粘度は、容易に後述するような範囲となる。また、カラーフィルター用インクの後述するような基板(特にガラス基板)への親和性が優れたものとなり、カラーフィルター用インクは、セル中により好適に濡れ広がることができる。
多価アルコールがオリゴマーである場合、多価アルコールの重合度は、3〜40であることが好ましく、3〜20であることがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性を十分に低下させることができると共に、着色部形成時においては、セル中でのカラーフィルター用インクの対流を抑制することができる。
また、多価アルコールの分子量は150〜2000であることが好ましく、180〜1000であることがより好ましく、180〜500であることがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性を十分に低下させることができると共に、着色部形成時においては、セル中でのカラーフィルター用インクの対流を抑制することができる。なお、多価アルコールがオリゴマーである場合、分子量は、重量平均分子量とすることができる。
また、多価アルコールは、25℃、1atmの雰囲気下において、液体であることが好ましい。このように、多価アルコールが液体であることにより、カラーフィルター用インク中に均一に混合することができるとともに、着色部形成時におけるカラーフィルター用インクの固形分を相対的に少ないものとすることができる。このため、着色部形成時におけるインクのチキソトロピック性の上昇をより確実に抑制することができる。
また、多価アルコールは、上述したような雰囲気下で液体である場合、回転式粘度計を用いて25℃、60rpmの条件で測定した粘度η60[mPa・s]は、40〜400mPa・sであることが好ましく、50〜300mPa・sであることがより好ましい。このように比較的粘度の高い液体を用いることにより、着色部の形成時において、セル中のカラーフィルター用インクは、粘度が比較的高いものとなり、セル内での対流が抑制される。
また、カラーフィルター用インク中における多価アルコールの含有量は、0.3〜15.0wt%であることが好ましく、0.4〜13.0wt%であることがより好ましく、0.5〜6.0wt%であることがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性を十分に低下させつつ、カラーフィルター用インクの液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
なお、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性の指標としては、例えば、回転式のE型粘度計を用いて2つの異なる回転数での粘度を測定した場合の、得られた粘度の比(チキソ指数)で表わすことができる。具体的には、25℃のカラーフィルター用インクを回転数6rpmの条件で測定した粘度をη[mPa・s]、25℃のカラーフィルター用インクを回転数60rpmの条件で測定した粘度をη60[mPa・s]としたとき、カラーフィルター用インクのチキソ指数は、η/η60とすることができる。なお、η/η60が大きいほど、チキソトロピック性が高いものである。
また、カラーフィルター用インクのチキソ指数(η/η60)は、具体的には、1.06以下であることが好ましく、1.05以下であることがより好ましく、1.03以下であることがさらに好ましく上述したような効果をより顕著に得ることができる。
<その他の成分>
カラーフィルター用インクは、上記以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、各種架橋剤;ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩、オキソニウム塩、アンモニウム塩、ベンゾチアゾリウム塩等のオニウム塩等の熱酸発生剤;ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩、オキソニウム塩、アンモニウム塩等の光酸発生剤;各種重合開始剤;酸架橋剤;界面活性剤;増感剤;光安定剤;各種染料;発光材料;レベリング剤;接着性改良剤;各種重合促進剤;各種光安定化剤;ガラス、アルミナ等の充填剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤等が挙げられる。
架橋剤としては、例えば、多価カルボン酸無水物、多価カルボン酸、多官能エポキシモノマー、多官能アクリルモノマー、多官能ビニルエーテルモノマー、多官能オキセタンモノマー等を用いることができる。多価カルボン酸無水物の具体例としては、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ジメチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、無水ナジン酸等の脂肪族または脂環族ジカルボン酸無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族多価カルボン酸二無水物;無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸無水物;エチレングリコールビストリメリテイト、グリセリントリストリメリテイト等のエステル基含有酸無水物が挙げられるが、中でも、芳香族多価カルボン酸無水物が好ましい。また、市販のカルボン酸無水物からなるエポキシ樹脂硬化剤も好適に用いることができる。また、多価カルボン酸の具体例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸等の脂肪族多価カルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸、およびフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸が挙げられるが、中でも、芳香族多価カルボン酸が好ましい。また、多官能エポキシモノマーの具体例としては、ダイセル化学工業株式会社製、商品名セロキサイド2021、ダイセル化学工業株式会社製、商品名エポリードGT401、ダイセル化学工業株式会社製、商品名エポリードPB3600、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、イソシアヌル酸トリグリシジル等が挙げられる。また、多官能アクリルモノマーの具体例としては、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートトリメタリルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。また、多官能ビニルエーテルモノマーの具体例としては、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、ノナンジオールジビニルエーテル、シキロヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル等が挙げられる。また、多官能オキセタンモノマーの具体例としては、キシリレンジオキセタン、ビフェニル型オキセタン、ノボラック型オキセタン等が挙げられる。
界面活性剤は、インクの表面張力を低下させることにより、着色部を平坦化させるものである。このような界面活性剤としては、例えば、アクリル系界面活性剤、ビニルエーテル系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等を用いることができ、この中でも、アクリル系界面活性剤を用いることが好ましい。アクリル系界面活性剤は、着色部の平坦化に寄与できるとともに、上述したような重合体Wとの親和性に優れており、形成される着色部の明度を高いものとすることができる。
光酸発生剤は、光により酸を発生する成分であり、より具体的な例としては、商品名として、サイラキュアUVI−6970、サイラキュアUVI−6974、サイラキュアUVI−6990、サイラキュアUVI−950(以上、米国ユニオンカーバイド社製、商品名)、イルガキュア261(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)、SP−150、SP−151、SP−170、オプトマーSP−171(以上、旭電化工業株式会社製、商品名)、CG−24−61(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)、DAICATII(ダイセル化学工業社製、商品名)、UVAC1591(ダイセル・ユーシービー(株)社製、商品名)、CI−2064、CI−2639、CI−2624、CI−2481、CI−2734、CI−2855、CI−2823、CI−2758(以上、日本曹達社製品、商品名)、PI−2074(ローヌプーラン社製、商品名、ペンタフルオロフェニルボレートトルイルクミルヨードニウム塩)、FFC509(3M社製品、商品名)、BBI−102、BBI−101、BBI−103、MPI−103、TPS−103、MDS−103、DTS−103、NAT−103、NDS−103(ミドリ化学社製、商品名)、CD−1012(米国、Sartomer社製、商品名)等が挙げられる。
レベリング剤としては、例えば、アニオン系、カチオン系、ノニオン系の各種界面活性剤を用いることができる。レベリング剤の具体例としては、メガファックF−443,F−444,F−445,F−446,F−470,F−471,F−472SF,F−474,F−475,F−477,F−478,F−479,F−480SF,F−482,F−483,F−484,F−486,F−487,F−489,R−30(以上、大日本インキ化学工業(株)社製);ノベックFC−4430、ノベックFC−4432(以上、住友スリーエム(株)製);サーフィノール104、サーフィノール82、サーフィノール2502、サーフィノール420、サーフィノール440、サーフィノール465、サーフィノール485、サーフィノール104E、サーフィノール104H、サーフィノール104A、サーフィノール104BC、サーフィノール104DPM、サーフィノール104PA、サーフィノール104PG−50、サーフィノール104S、サーフィノールSE、サーフィノールSE−F、サーフィノール504、サーフィノール61、サーフィノール2502、サーフィノール82、サーフィノールDF110D、サーフィノールDF37、サーフィノールDF58、サーフィノールDF75、サーフィノールDF210、サーフィノールCT111、サーフィノールCT121、サーフィノールCT131、サーフィノールCT136、サーフィノールCT151、サーフィノールTG、サーフィノールGA、サーフィノールPSA−336、ダイノール604、エンバイロジェムAD−01、オレフィンE1004、オレフィンE1010、オレフィンPD−001、オレフィンPD−002W、オレフィンPD−004、オレフィンEXP.4001、オレフィンEXP.4036、オレフィンEXP.4051F、オレフィンSPC、オレフィンAF−103、オレフィンAF−104、オレフィンAK−02、オレフィンSK−14、オレフィンAE−3、オレフィンPD−003、オレフィンPD−201、オレフィンPD−202、オレフィンPD−301、オレフィンB、オレフィンP、オレフィンY、オレフィンA、オレフィンSTG、オレフィンSPC(以上、日信化学工業(株)社製);フォスファノールML−200、フォスファノールML−220、フォスファノールRD−510Y、フォスファノールRS−410、フォスファノールRS−610、フォスファノールRS−710、フォスファノールRL−210、フォスファノールRL−310、フォスファノールRB−410、フォスファノールRD−720N(以上、東邦化学工業(株)社製);Lanco Flow L、Lanco Flow U、SOLSPERSE20000(以上、Lubrizol Deutschland GmbH社製);フタージェント100、フタージェント100C、フタージェント110、フタージェント140A、フタージェント150、フタージェント150CH、フタージェントA−K、フタージェント501、フタージェント250、フタージェント251、フタージェント222F、FTX−218、フタージェント300、フタージェント310、フタージェント400SW、フタージェント251、FTX−212M、フタージェント250、FTX−245M、FTX−290M、FTX−207S、FTX−211S、FTX−220S、FTS−230S、FTX−209F、FTX−213F、フタージェント222F、FTX−233F、FTX−245F、FTX−208G、FTX−218G、FTX−230G、FTS−240G、FTX−204D、FTX−208D、FTX−212D、FTX−216D、FTX−218D、FTX−220D、FTX−222D、FTX−720C、FTX−740C(以上、(株)ネオス社製);サーフロンS−111n、サーフロンS−113、サーフロンS−121、サーフロンS−131、サーフロンS−132、サーフロンS−141、サーフロンS−145、サーフロンS−381、サーフロンS−383、サーフロンS−393、サーフロンSC−101、サーフロンKH−40、サーフロンSA−100(以上、AGCセイミケミカル(株)社製);ユニダインDS−401、ユニダインDS−403、ユニダインNS−1602、ユニダインNS−1603、ユニダインNS−1605(以上、日進化成(株)社製)等が挙げられる。このような界面活性剤の中でも、ノニオン系の界面活性剤を用いるのが好ましい。これにより、形成される着色部の表面がより平坦化され、得られるカラーフィルターは、各部位での色むら、濃度むらが特に小さいものとなる。
このようなノニオン系の界面活性剤の具体的な例としては、商品名として、メガファックF−443,F−444,F−445,F−446,F−470,F−471,F−472SF,F−474,F−475,F−477,F−478,F−479,F−480SF,F−482,F−483,F−484,F−486,F−487,F−489,R−30(以上、大日本インキ化学工業(株)社製);サーフィノール104、同左82、同左2502、同左420、同左440、同左465、同左485(以上、日信化学工業(株)社製);ノベックFC−4430、ノベックFC−4432(以上、住友スリーエム(株)社製);フタージェント250、フタージェント25、フタージェント222F、FTX−218、フタージェント251、FTX−212M、フタージェント250、FTX−245M、FTX−290M、FTX−207S、FTX−211S、FTX−220S、FTS−230S、FTX−209F、FTX−213F、フタージェント222F、FTX−233F、FTX−245F、FTX−208G、FTX−218G、FTX−230G、FTS−240G、FTX−204D、FTX−208D、FTX−212D、FTX−216D、FTX−218D、FTX−220D、FTX−222D、FTX−720C、FTX−740C(以上、(株)ネオス社製)等が挙げられる。この中でも、大日本インキ化学工業(株)社製のメガファックF−444,F−484,F−479,F−477,F−489,F−487が特に好ましい。これにより、形成される着色部の表面はより確実に平坦化され、結果として、各部位での色むら、濃度むらがより確実に押さえられたカラーフィルターを得ることができる。また、このようなカラーフィルターを備えた画像表示装置では、表示部を見る角度によって、例えば、表示画像が暗くなるといった不具合をより確実に防止することができる。
また、カラーフィルター用インクセットを構成する複数種のインクのうち、含まれる固形分の含有率が最大であるものの含有率をCmax[wt%]、含まれる固形分の含有率が最小であるものの含有率をCmin[wt%]としたとき、0.75≦Cmin/Cmax≦0.99の関係を満足するのが好ましく、0.8≦Cmin/Cmax≦0.99の関係を満足するのがより好ましい。上記条件を満足するカラーフィルター用インクセットを用いることにより、形成される各色の着色部の厚さはより均一なものとなり、製造されるカラーフィルターは、色むら、濃度むらが特に抑制されたものとなる。
カラーフィルター用インクセットを構成する各カラーフィルター用インクの25℃における粘度(振動式粘度計を用いて測定される粘度)は、13mPa・s以下であるのが好ましく、4〜10mPa・sであるのがより好ましく、5〜9.5mPa・sであるのがさらに好ましい。カラーフィルター用インクの粘度が前記範囲内の値であると、後述するようなインクジェット方式による液滴吐出において、吐出されるカラーフィルター用インクの液適量のばらつきを特に小さいものとしつつ、液滴吐出ヘッドにおける目詰まりの発生等をより確実に防止することができる。その結果、各色の着色部間での厚さのばらつきの発生をより確実に抑制、防止することができる。なお、カラーフィルター用インクの粘度の測定は、例えば、振動式粘度計を用いて行うことができ、特に、JIS Z8809に準拠して行うことができる。
また、カラーフィルター用インクセットを構成する複数種のインクのうち25℃での粘度が最大であるものの25℃での粘度(ηmax[mPa・s])と、カラーフィルター用インクセットを構成する複数のインクのうち25℃での粘度が最小であるものの25℃での粘度(ηmin[mPa・s])との差(ηmax−ηmin)は、3.0mPa・s以下であるのが好ましく、0.8mPa・s以下であるのがより好ましく、0.6mPa・s以下であるのがさらに好ましい。
これにより、カラーフィルター用インクセットを構成する各色のインクの吐出性は特に均一化されたものとなり、各部位での色むら、濃度むらがより好適に抑制されたものとなるとともに、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができる。また、上述したような本発明のカラーフィルター用インクセットを構成する各色のインクは、各色のインク中に含まれる着色剤の含有量に応じて、各色のインク中に含まれる硬化樹脂材料の含有量および重量平均分子量Mwを調整することにより、上記条件を容易に満たすことができる。
また、カラーフィルター用インクは、60℃の環境下に、10日間放置した後の、25℃における粘度の変化量が0.5mPa・s以下であるのが好ましく、0.3mPa・s以下であるのがより好ましく、0.2mPa・s以下であるのがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、色むら、濃度むら等の発生が確実に防止されたカラーフィルターの製造に、より長期間にわたって好適に用いることができる。
≪カラーフィルター用インクの製造方法≫
次に、上述したようなカラーフィルター用インクセットを構成する各色のインクの製造方法、特に着色剤として顔料を含むカラーフィルター用インクの製造方法の好適な実施形態について説明する。
本実施形態の製造方法は、重合体W、重合体Zのうちの少なくとも一方が溶剤に溶解した重合体溶液を調製する重合体溶液調製工程と、重合体溶液に顔料を添加し、ビーズミルを用いて微分散処理を行い、顔料分散体を得る微分散工程と、顔料分散体に希釈用の樹脂材料を追加混合する樹脂材料追加工程とを有する。
以下、本実施形態の各工程について詳細に説明する。
<重合体溶液調製工程>
重合体溶液調製工程においては、重合体W、重合体Zのうちの少なくとも一方の重合体が溶剤に溶解した重合体溶液を調製する。このように、後述する顔料を微分散させる工程(微分散工程)に先立って、顔料と混合する液体(重合体溶液)を、重合体Wおよび/または重合体Zを含むものとすることにより、原料として用いる顔料粒子の凝集体を効率よく、容易かつ確実に微粒子化(解砕)することができ、カラーフィルター用インクの生産性を向上させることができるとともに、最終的に得られるカラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性、液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、重合体溶液を用いることにより、後述する微分散工程を、比較的温和な条件で行うことができるため、カラーフィルター用インクの構成材料の不本意な変性、劣化等を確実に防止することができる。
また、本工程においては、分散剤を用いるのが好ましい。これにより、重合体Wおよび/または重合体Zと分散剤とを併用することによる相乗効果がより顕著に発揮される。また、本工程において分散剤を用いる場合、(重合体Wおよび/または重合体Zと溶剤との混合に先立って、または、重合体Wおよび/または重合体Zと溶剤との混合時に、)分散剤と溶剤とを含む混合物を攪拌する(分散剤を予備分散する)のが好ましい。これにより、得られる重合体溶液中において、分散剤の会合状態を解いた(ほぐした)状態とすることができ、分散剤の機能をより効果的に発揮させることができる。ところで、上述した酸価分散剤およびアミン価分散剤は、本来、互いに電気的に引き付け合い易いという性質を有しているが、本実施形態のように、顔料の微分散(微分散工程)に先立って、分散剤を予備分散することにより、分散剤として酸価分散剤およびアミン価分散剤を用いた場合であっても、酸価分散剤およびアミン価分散剤を、会合状態を十分に解いた状態で、顔料粒子の表面に均一かつ安定的に付着させることができ、分散剤同士の凝集、顔料粒子同士の凝集等をより確実に防止することができ、顔料の分散安定性、液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
なお、カラーフィルター用インクを、重合体W、重合体Zのいずれもを含むものとして調製する場合、本行程において、重合体Wおよび重合体Zを用いるのが好ましい。これにより、樹脂材料を構成する重合体Wおよび/または重合体Z、分散剤の会合状態を解いた(ほぐした)状態とすることができる。
重合体溶液が分散剤を含むものである場合、本工程で調製する重合体溶液中における分散剤の含有率(複数種の分散剤を含む場合は、その含有率の総和)は、特に限定されないが、5〜30wt%であるのが好ましく、6〜25wt%であるのがより好ましい。分散剤の含有率が前記範囲内の値であると、前述したような効果がより顕著に発揮される。
また、本工程で調製する重合体溶液中における重合体の含有率(重合体W、重合体Zのいずれも用いる場合には、その含有率の総和)は、特に限定されないが、10〜40wt%であるのが好ましく、20〜35wt%であるのがより好ましい。樹脂材料の含有率が前記範囲内の値であると、前述したような効果がより顕著に発揮される。
また、本工程で調製する重合体溶液中における溶剤の含有率は、特に限定されないが、40〜80wt%であるのが好ましく、53〜75wt%であるのがより好ましい。溶剤の含有率が前記範囲内の値であると、前述したような効果がより顕著に発揮される。なお、溶剤としては、目的とするカラーフィルター用インクを構成する液性媒体と同一の組成を有するものを用いてもよいし、異なる組成のものを用いてもよい。本工程で、溶剤として、目的とするカラーフィルター用インクを構成する液性媒体とは異なる組成を有するものを用いた場合、例えば、後の工程で、所定の液体で希釈したり、減圧処理、加熱処理等を伴う液体の置換を行ったりすることにより、最終的に得られるカラーフィルター用インクにおいて、所望の組成を有する液性媒体とすることができる。
本工程では、各種攪拌機を用いて上記各成分の混合物を攪拌することにより、重合体溶液を得ることができる。
本工程で用いることのできる攪拌機としては、例えば、ディスパーミル等の一軸または二軸ミキサー等が挙げられる。
攪拌機を用いた攪拌処理時間は、特に限定されないが、1〜30分間であるのが好ましく、3〜20分間であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの生産性を十分に優れたものとしつつ、使用する重合体(重合体W、重合体Z)、分散剤の会合状態をより効果的に解くことができ、最終的に得られるカラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
また、本工程での攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、特に限定されないが、500〜4000rpmであるのが好ましく、800〜3000rpmであるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの生産性を十分に優れたものとしつつ、使用する重合体(重合体W、重合体Z)、分散剤の会合状態をより効果的に解くことができ、最終的に得られるカラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、使用する重合体(重合体W、重合体Z)、分散剤等の熱等による劣化、変性等をより確実に防止することができる。
<微分散工程>
次に、上記工程で得られた重合体溶液に顔料を添加し、ビーズミルを用いて微分散処理を行う(微分散工程)。
このように、上記工程で得られた重合体溶液中では、顔料を効率良く微粒化(解砕)することができ、カラーフィルター用インクの生産性を特に優れたものとすることができる。これは、本工程において、顔料の周りを重合体Wおよび/または重合体Zが取り囲むような状態となり、顔料の微粒子化(解砕)を促進するとともに、微粒子化した顔料粒子同士が接近し、凝集してしまうのを防止するためであると考えられる。
また、一般的に、顔料の含有率が高いインクを製造する場合、顔料の微粒化(解砕)に要する時間が、顔料の含有率が低いインクを製造する場合に比べて長くなるという問題がある。これに対して、上記工程で得られた重合体溶液中で顔料を微粒化することにより、顔料の含有率が比較的高いインクを製造する際にも、顔料の微粒化を効率良く行うことができる。また、本工程では、顔料として、微粒化しにくい顔料(例えば、上述したC.I.ピグメントグリーン58等)を用いた場合でも、効率良く微粒化を行うことができる。
また、重合体Wおよび重合体Zは、上述したように、所定温度以下では硬化反応を進行させない特性(スイッチング特性)に優れたものある。本工程において、顔料の微粒化の際に、顔料と重合体溶液との混合溶液に機械的エネルギーが付与されるが、かかるエネルギーが付与されても、上記の特性を有する混合溶液中の重合体は、反応することなく安定した状態を維持する。その結果、本工程において、混合溶液中の重合体が反応し、混合溶液の粘度が上昇したり、顔料の微粒化が妨げられたりするといった不具合の発生を確実に防止することができる。さらに、本工程において、混合溶液の発熱量が大きくなる程、大きな機械的エネルギーを混合溶液に付与した場合でも、重合体の反応は確実に抑制される。したがって、本工程を過酷な条件下で行った場合でも、所望の特性を有するカラーフィルター用インクを生産性高く得ることができる。
このように、本行程では、ビーズミルを用いて上記工程で得られた重合体溶液に顔料を添加し、微分散処理を行うが、このようなビーズミルでの微分散処理は、無機ビーズを多段で添加して行うのが好ましい。これにより、顔料の微粒化の効率を特に優れたものとすることができ、最終的に得られるカラーフィルター用インク中における顔料粒子を十分に小さいものとすることができる。特に、酸価分散剤およびアミン価分散剤を併用する場合においては、このような材料を用いることによる効果と、重合体溶液調製工程および多段での微分散工程を有する方法を用いることによる効果とが、相乗的に作用し合い、最終的に得られるカラーフィルター用インクは、顔料の分散安定性、および、液滴の吐出安定性が、非常に優れたものとなり、非常に優れたコントラストのカラーフィルターの製造に用いることができるものとなる。
以下の本行程の説明では、ビーズミル内に無機ビーズを多段で添加するものとして説明する。
本工程は、3段以上に分けて無機ビーズを添加するものであってもよいが、無機ビーズを2段で添加するのが好ましい。これにより、最終的に得られるカラーフィルター用インク中における顔料粒子の長期分散安定性を十分に優れたものとしつつ、カラーフィルター用インクの生産性を特に優れたものとすることができる。
以下の説明では、無機ビーズを2段で添加する方法、すなわち、微分散工程において、第1の無機ビーズを用いた第1の処理と、第2の無機ビーズを用いた第2の処理とを行う方法について、代表的に説明する。
本工程で用いる無機ビーズ(第1の無機ビーズ、第2の無機ビーズ)は、無機材料で構成されたものであればいかなる材料で構成されたものであってもよいが、無機ビーズの好適な例としては、ジルコニア製のビーズ(例えば、Toray ceram 粉砕ボール(商品名)、株式会社東レ製)等が挙げられる。
[第1の処理]
本工程では、まず、前述した重合体溶液調製工程で調製した重合体溶液に顔料を添加し、所定の粒径の第1の無機ビーズを用いて一次微分散する第1の処理を行う。
第1の処理で用いる第1の無機ビーズは、第2の処理で用いる第2の無機ビーズよりも粒径の大きいものであるのが好ましい。これにより、微分散工程全体としての、顔料の微粒化(微分散)の効率を、特に優れたものとすることができる。
第1の無機ビーズの平均粒径は、特に限定されないが、0.5〜3.0mmであるのが好ましく、0.5〜2.0mmであるのがより好ましく、0.5〜1.2mmであるのがさらに好ましい。第1の無機ビーズの平均粒径が前記範囲内の値であると、微分散工程全体としての、顔料の微粒化(微分散)の効率を、特に優れたものとすることができる。これに対し、第1の無機ビーズの平均粒径が前記下限値未満であると、顔料の種類等によっては、第1の処理での顔料粒子の微粒化(小粒径化)の効率が著しく低下する傾向が現れる。また、第1の無機ビーズの平均粒径が前記上限値を超えると、第1の処理での顔料粒子の微粒化(小粒径化)の効率は、比較的優れたものとすることができるものの、第2の処理での顔料粒子の微粒化(小粒径化)の効率が低下し、微分散工程全体としての顔料の微粒化(微分散)の効率が低下する。
第1の無機ビーズの使用量は、特に限定されないが、重合体溶液100重量部に対し、100〜600重量部であるのが好ましく、200〜500重量部であるのがより好ましい。
重合体溶液に添加する顔料の使用量は、特に限定されないが、重合体溶液100重量部に対し、12重量部以上であるのが好ましく、18〜35重量部であるのがより好ましい。
第1の処理は、顔料、第1の無機ビーズを重合体溶液に添加した状態で、各種ビーズミルを用いて攪拌、微粒化することにより行うことができる。
このような各種ビーズミルとしては、例えば、パールミル等のメディア型分散機や、ディスパーミル等の一軸または二軸ミキサー等が挙げられる。
ビーズミルを用いた攪拌処理時間(第1の処理の処理時間)は、特に限定されないが、10〜120分間であるのが好ましく、15〜40分間であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの生産性を低下させることなく、顔料の微粒化(微分散)を効率よく進行させることができる。
また、第1の処理でのビーズミルが有する攪拌翼の回転数は、特に限定されないが、1000〜5000rpmであるのが好ましく、1200〜3800rpmであるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの生産性を低下させることなく、顔料の微粒化(微分散)をより効率よく進行させることができる。また、重合体溶液中の重合体、分散剤等の熱等による劣化、変性等を確実に防止することができる。
[第2の処理]
第1の処理を行った後、第2の無機ビーズを用いた第2の処理を行う。これにより、顔料粒子が十分に微分散した顔料分散体が得られる。
第2の処理は第1の無機ビーズを含む状態で行うものであってもよいが、第2の処理に先立ち、第1の無機ビーズを除去するのが好ましい。これにより、第2の処理における顔料の微粒化(微分散)の効率を特に優れたものとすることができる。第1の無機ビーズの除去は、例えば、ろ過等の方法により、容易かつ確実に行うことができる。
第2の処理で用いる第2の無機ビーズは、第1の処理で用いる第1の無機ビーズよりも粒径の小さいものであるのが好ましい。これにより、最終的に得られるカラーフィルター用インク中における顔料を、十分に微粒化(微分散)させたものとすることができ、カラーフィルター用インクにおける顔料粒子の長期間にわたる分散安定性(長期分散安定性)に特に優れたものとすることができるとともに、液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
第2の無機ビーズの平均粒径は、特に限定されないが、0.03〜0.3mmであるのが好ましく、0.05〜0.2mmであるのがより好ましい。第2の無機ビーズの平均粒径が前記範囲内の値であると、微分散工程全体としての、顔料の微粒化(微分散)の効率を、特に優れたものとすることができる。これに対し、第2の無機ビーズの平均粒径が前記下限値未満であると、顔料の種類等によっては、第2の処理での顔料粒子の微粒化(小粒径化)の効率が著しく低下する傾向が現れる。また、第2の無機ビーズの平均粒径が前記上限値を超えると、顔料粒子の微粒化(微分散)を十分に進行させるのが困難になる可能性がある。
第2の無機ビーズの使用量は、特に限定されないが、重合体溶液100重量部に対し、100〜600重量部であるのが好ましく、200〜500重量部であるのがより好ましい。
第2の処理は、各種ビーズミルを用いて行うことができる。
第2の処理で用いることのできるビーズミルとしては、例えば、パールミル等のメディア型分散機や、ディスパーミル等の一軸または二軸ミキサー等が挙げられる。
攪拌機を用いた攪拌処理時間(第2の処理の処理時間)は、特に限定されないが、10〜120分間であるのが好ましく、15〜40分間であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの生産性を低下させることなく、顔料の微粒化(微分散)を十分に進行させることができる。
また、第2の処理での攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、特に限定されないが、1000〜5000rpmであるのが好ましく、1200〜3800rpmであるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの生産性を低下させることなく、顔料の微粒化(微分散)をより効率よく進行させることができる。また、分散剤等の熱等による劣化、変性等を確実に防止することができる。
上記の説明では、微分散処理を2段で行う場合について中心的に説明したが、3段以上の処理を行ってもよい。このような場合、後の処理で用いる無機ビーズの方が、先の処理で用いる無機ビーズよりも小粒径であるのが好ましい。言い換えると、n段目の処理で用いる無機ビーズ(第nの無機ビーズ)の平均粒径は、(n−1)段目の処理で用いる無機ビーズ(第(n−1)の無機ビーズ)の平均粒径よりも小さいものであるのが好ましい。このような関係を満足することにより、顔料粒子の微粒化(微分散)の効率を特に優れたものとすることができるとともに、最終的に得られるカラーフィルター用インク中の顔料粒子の粒径をより小さいものとすることができる。
なお、微分散工程(例えば、第1の処理、第2の処理)においては、必要に応じて、例えば、溶剤による希釈等の処理を行ってもよい。
<樹脂材料追加工程>
上記のような微分散工程で得られた顔料分散体を、追加の樹脂材料と混合する(樹脂材料追加工程)。これにより、カラーフィルター用インクが得られる。
このように、本実施形態では、樹脂材料を構成する重合体Wおよび/または重合体Zを微分散工程に際して用いるとともに、微分散工程後に、追加の樹脂材料を用いる。これにより、微分散工程の効率を優れたものとしつつ、最終的に得られるカラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性を優れたものとし、液滴の吐出安定性を優れたものとし、さらに、カラーフィルター用インク中に含まれる樹脂材料の含有率を好適なものとすることができる。また、重合体W、重合体Z以外の重合体を用いる場合においては、カラーフィルター用インクの調製時における当該重合体の不本意な変性、劣化を防止しつつ、最終的に得られるカラーフィルター用インクに当該重合体を所望の割合で含ませることができる。
本工程に追加する樹脂材料としては、例えば、上述したような重合体X、Y等の重合体W、重合体Zとは異なる重合体を用いることができる。また、重合体W、重合体Zは、前述した重合体溶液調製工程に加え、本工程でも用いられるものであってもよい。
本工程は、第2の処理で用いた第2の無機ビーズを除去した状態で行うのが好ましい。第2の無機ビーズの除去は、例えば、ろ過等の方法により、容易かつ確実に行うことができる。
本工程は、各種攪拌機を用いて行うことができる。
本工程で用いることのできる攪拌機としては、例えば、ディスパーミル等の一軸または二軸ミキサー等が挙げられる。
攪拌機を用いた攪拌処理時間(本工程の処理時間)は、特に限定されないが、1〜60分間であるのが好ましく、15〜40分間であるのがより好ましい。
また、本工程での攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、特に限定されないが、1000〜5000rpmであるのが好ましく、1200〜3800rpmであるのがより好ましい。
なお、本工程では、前記工程で用いた溶剤とは異なる組成の液体を添加してもよい。これにより、前述した重合体溶液調製工程での重合体Wおよび/または重合体Zの溶解、分散剤の分散、および、微分散工程での顔料粒子の微分散を好適に行いつつ、所望の特性を有するカラーフィルター用インクを確実に得ることができる。
また、本工程においては、顔料分散体と追加の樹脂材料との混合に先立って、または、顔料分散体と追加の樹脂材料との混合の後に、前記工程で用いた溶剤の少なくとも一部を除去してもよい。これにより、重合体溶液調製工程、微分散工程での溶剤の組成と、最終的に得られるカラーフィルター用インクでの液性媒体の組成とを異なるものとすることができる。その結果、前述した重合体溶液調製工程での重合体Wおよび/または重合体Zの溶解、分散剤の分散、および、微分散工程での顔料粒子の微分散を好適に行いつつ、所望の特性を有するカラーフィルター用インクを確実に得ることができる。溶剤の除去は、例えば、対象とする液体を、減圧雰囲気下に置いたり、加熱したりすることにより行うことができる。
《カラーフィルター》
次に、上述したようなカラーフィルター用インクセットを用いて製造されるカラーフィルターの一例について説明する。
図1は、本発明のカラーフィルターの好適な実施形態を示す断面図である。
図1に示すように、カラーフィルター1は、基板11と、上述したカラーフィルター用インクセットを用いて成形された着色部12とを備えている。着色部12としては、互いに異なる種類のインクを用いて形成された第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12Cが設けられている。そして、隣接する着色部12の間には、隔壁13が設けられている。なお、第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12Cは、互いに異なる種類のインクを用いて形成されたものであればよいが、以下の説明では、第1の着色部12Aがレッドインクを用いて形成され、第2の着色部12Bがグリーンインクを用いて形成され、第3の着色部12Cがブルーインクを用いて形成された場合について、中心的に説明する。
<基板>
基板11は、光透過性を有する板状の部材で、着色部12、隔壁13を保持する機能を有している。
基板11は、実質的に透明な材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、カラーフィルター1を透過する光により、より鮮明な画像を形成することができる。
また、基板11は、耐熱性、機械的強度に優れたものであるのが好ましい。これにより、例えば、カラーフィルター1の製造時に加わる熱による変形等を確実に防止することができる。このような条件を満足する基板11の構成材料としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ノルボルネン系開環重合体やその水素添加物等が挙げられる。
<着色部>
着色部12は、上述したようなカラーフィルター用インクセットを用いて形成されたものである。
各着色部12(第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12C)は、上述したようなカラーフィルター用インクセットを用いて形成されたものである。そのため、形成される各色の着色部(12A、12B、12C)の厚さが均一なものとなる。また、各着色部12の表面は確実に平坦化されたものとなる。結果として、カラーフィルター1は、コントラスト比に優れた画像表示を行うことができるとともに、色むら、濃度むらの発生が抑えられ、個体間での特性の均一性に優れた信頼性の高いものとなっている。特に、着色剤として、顔料を含む場合には、形成される各着色部12中での顔料の凝集が抑えられ、着色部12内に顔料が均一に分散したものとなる。このようなカラーフィルター1は、色むら、濃度むらが抑えられるとともに、より鮮明な画像表示を行うことができる。さらに、このような着色部12は、基板11との密着性に優れている。これによりカラーフィルター1は、特に耐久性に優れたものとなる。
各着色部12は、後述する隔壁13により囲まれた領域であるセル14内に設けられている。
各着色部12の高さは、特に限定されないが、0.1〜10μmであるのが好ましく、0.5〜3.5μmであるのがより好ましい。かかる範囲の薄い着色部12を備えたカラーフィルター1も、本発明によれば、着色部12表面の形状を十分に平坦なものとして得ることができる。また、カラーフィルター1を備えた画像表示装置、電子機器における視野角特性を優れたものとすることができる。
第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12Cは、互いに異なる色のものである。例えば、第1の着色部12Aを赤色フィルター領域(R)、第2の着色部12Bを緑色フィルター領域(G)、第3の着色部12Cを青色フィルター領域(B)とすることができる。そして、一組の異なる色の着色部12A、12B、12Cで1画素を構成している。そして、カラーフィルター1においては、その横方向および縦方向に、着色部12が所定数配置されている。例えば、カラーフィルター1が、ハイビジョン用のカラーフィルターである場合には1366×768個の画素が配置されており、フルハイビジョン用のカラーフィルターである場合には1920×1080個の画素が配置されており、スーパーハイビジョン用のカラーフィルターである場合には7680×4320個の画素が配置されている。なお、カラーフィルター1は、例えば、有効領域外に予備の画素を備えたものであってもよい。
各着色部12の厚さ(高さ)は、特に限定されないが、各着色部12の厚さをT[μm]、後述する隔壁の高さをH[μm]としたとき、0.6≦T/H≦1.5の関係を満足しているのが好ましく、0.8≦T/H≦1.2の関係を満足しているのがより好ましい。上記条件を満足するカラーフィルター1では、後述するような画像表示装置にこのようなカラーフィルター1を用いた際に、着色部12および隔壁13の基板11に対向する面とは反対の面側に設けられる共通電極が、各着色部12と隔壁13との段差によって、断線するなどの不具合が発生するのをより確実に防止することができる。したがって、このようなカラーフィルター1を備えた画像表示装置は、耐久性に優れたものとなり、長期間にわたって、好適に適正な画像表示を行うことができる。
<隔壁>
隣接する着色部12の間には、隔壁(バンク)13が設けられている。これにより、隣接する着色部12同士が混色してしまうのを確実に防止することができ、その結果、鮮明な画像を確実に表示することができる。
隔壁13は、透明な材料で構成されたものであってもよいが、遮光性を有する材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、コントラストに優れた画像を表示することができる。隔壁(遮光部)13の色は、特に限定されないが、黒色であるのが好ましい。これにより、表示される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
隔壁13の高さは、特に限定されないが、着色部12の膜厚と同じ厚さであるのが好ましい。これにより、得られるカラーフィルターは、明度およびコントラスト比が特に優れたものとなる。隔壁13の具体的な厚さは、0.1〜10μmであるのが好ましく、0.5〜3.5μmであるのがより好ましい。かかる範囲の薄い隔壁を備えたカラーフィルター1も、本発明によれば、着色部12表面の形状を十分に平坦なものとして得ることができる。また、カラーフィルター1を備えた画像表示装置、電子機器における視野角特性を優れたものとすることができる。
隔壁13は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、例えば、主として樹脂材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、後述するような方法で、隔壁13を容易に所望の形状を有するものとして形成することができる。また、隔壁13が遮光部としての機能を有するものである場合、その構成材料として、カーボンブラック等の光吸収性の材料を含むものであってもよい。
《カラーフィルターの製造方法》
次に、上述したようなカラーフィルター1の製造方法の一例について説明する。
図2は、カラーフィルターの製造方法を示す断面図、図3は、カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置を示す斜視図、図4は、図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出手段をステージ側から観察した図、図5は、図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドの底面を示す図、図6は、図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドを示す図であり、(a)は断面斜視図、(b)は断面図である。
図2に示すように、本実施形態では、基板11を準備する基板準備工程(1a)と、基板11上に隔壁13を形成する隔壁形成工程(1b、1c)と、インクジェット方式によりカラーフィルター用インク2を隔壁13で囲まれた領域に付与するインク付与工程(1d)と、カラーフィルター用インク2から液性媒体を除去し、樹脂材料を硬化させることにより固形状の着色部12とする着色部形成工程(1e)とを有している。
<基板準備工程>
まず、基板11を準備する(1a)。本工程で準備する基板11は、洗浄処理が施されたものであるのが好ましい。また、本工程で準備する基板11は、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理が施されたものであってもよい。
<隔壁形成工程>
次に、基板11の隔壁形成用の感放射線性組成物を基板11の一方の面のほぼ全体に付与し、塗膜3を形成する(1b)。なお、基板11上に感放射線性組成物を付与した後、必要に応じて、プリベーク処理を行ってもよい。プリベーク処理は、例えば、加熱温度:50〜150℃、加熱時間:30〜600秒という条件で行うことができる。
その後、フォトマスクを介して、放射線を照射して、ポストエキスポジャーベーク処理(PEB)を行い、さらに、アルカリ現像液を用いた現像処理を行うことにより、隔壁13が形成される(1c)。PEBは、例えば、加熱温度:50〜150℃、加熱時間:30〜600秒、放射線照射強度:1〜500mJ/cmという条件で行うことができる。また、現像処理は、例えば、液盛り法、ディッピング法、振動浸漬法等により行うことができ、現像処理時間は、例えば、10〜300秒とすることができる。また、現像処理の後、必要に応じて、ポストベーク処理を行ってもよい。ポストベーク処理は、例えば、加熱温度:150〜280℃、加熱時間:3〜120分という条件で行うことができる。
<インク付与工程>
次に、インクジェット方式により、カラーフィルター用インク2を、隔壁13で囲まれたセル14内に付与する(1d)。
本工程は、形成すべき複数色の着色部12に対応する複数種のカラーフィルター用インク2を用いて行う。この際、隔壁13が設けられているため、2種以上のカラーフィルター用インク2が混ざり合うことが確実に防止される。
また、上述したようにカラーフィルター用インク2は、前記樹脂材料(重合体X、重合体W)を含むものであり、液滴の吐出安定性に優れている。このため、製造すべきカラーフィルター1が大型のものである場合や、多数枚のカラーフィルター1を連続的に製造する場合であっても、飛行曲がり等の問題の発生を確実に防止ししつつ、液滴の吐出量を容易かつ確実に制御することができる。その結果、製造されるカラーフィルター1における混色、色むら・濃度むら、コントラスト比の低下等の問題の発生を確実に防止することができる。
カラーフィルター用インク2の吐出は、図3〜図6に示すような液滴吐出装置を用いて行う。
図3に示すように、本工程で用いる液滴吐出装置100は、カラーフィルター用インク2を保持するタンク101と、チューブ110と、チューブ110を介してタンク101からカラーフィルター用インク2が供給される吐出走査部102とを備える。吐出走査部102は、複数の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)114をキャリッジ105に搭載してなる液滴吐出手段103と、液滴吐出手段103の位置を制御する第1位置制御装置104(移動手段)と、前記工程で隔壁13が形成された基板11(以下、単に「基板11」とも言う。)を保持するステージ106と、ステージ106の位置を制御する第2位置制御装置108(移動手段)と、制御手段112とを備えている。タンク101と、液滴吐出手段103における複数の液滴吐出ヘッド114とは、チューブ110で連結されており、タンク101から複数の液滴吐出ヘッド114のそれぞれにカラーフィルター用インク2が圧縮空気によって供給される。
第1位置制御装置104は、制御手段112からの信号に応じて、液滴吐出手段103をX軸方向、およびX軸方向に直交するZ軸方向に沿って移動させる。さらに、第1位置制御装置104は、Z軸に平行な軸の回りで液滴吐出手段103を回転させる機能も有する。本実施形態では、Z軸方向は、鉛直方向(つまり重力加速度の方向)に平行な方向である。第2位置制御装置108は、制御手段112からの信号に応じて、X軸方向およびZ軸方向の双方に直交するY軸方向に沿ってステージ106を移動させる。さらに、第2位置制御装置108は、Z軸に平行な軸の回りでステージ106を回転させる機能も有する。
ステージ106は、X軸方向とY軸方向との双方に平行な平面を有する。また、ステージ106は、カラーフィルター用インク2を付与すべきセル14を有する基板11をその平面上に固定、または保持できるように構成されている。
上述のように、液滴吐出手段103は、第1位置制御装置104によってX軸方向に移動させられる。一方、ステージ106は、第2位置制御装置108によってY軸方向に移動させられる。つまり、第1位置制御装置104および第2位置制御装置108によって、ステージ106に対する液滴吐出ヘッド114の相対位置が変わる(ステージ106に保持された基板11と、液滴吐出手段103とが相対的に移動する)。
制御手段112は、カラーフィルター用インク2を吐出すべき相対位置を表す吐出データを外部情報処理装置から受け取るように構成されている。
図4に示すように、液滴吐出手段103は、それぞれほぼ同じ構造を有する複数の液滴吐出ヘッド114と、これらの液滴吐出ヘッド114を保持するキャリッジ105とを有している。本実施形態では、液滴吐出手段103に保持される液滴吐出ヘッド114の数は8個である。それぞれの液滴吐出ヘッド114は、後述する複数のノズル118が設けられた底面を有している。それぞれの液滴吐出ヘッド114のこの底面の形状は、2つの長辺と2つの短辺とを有する多角形である。液滴吐出手段103に保持された液滴吐出ヘッド114の底面はステージ106側を向いており、さらに、液滴吐出ヘッド114の長辺方向と短辺方向とは、それぞれX軸方向とY軸方向とに平行である。
図5に示すように、液滴吐出ヘッド114は、X軸方向に並んだ複数のノズル118を有する。これら複数のノズル118は、液滴吐出ヘッド114におけるX軸方向のノズルピッチHXPが所定の値となるように配置されている。ノズルピッチHXPの具体的な値は、特に限定されないが、例えば、50〜90μmとすることができる。ここで、「液滴吐出ヘッド114におけるX軸方向のノズルピッチHXP」は、液滴吐出ヘッド114におけるノズル118のすべてをY軸方向に沿ってX軸上に射像して得られた複数のノズル像間のピッチに相当する。
本実施形態では、液滴吐出ヘッド114における複数のノズル118は、ともにX軸方向に延びるノズル列116Aと、ノズル列116Bとをなす。ノズル列116Aと、ノズル列116Bとは、間隔を空けて並行に配置されている。そして、本実施形態においては、ノズル列116Aおよびノズル列116Bのそれぞれにおいて、90個のノズル118が一定間隔LNPでX軸方向に一列に並んでいる。LNPの具体的な値は、特に限定されないが、100〜180μmとすることができる。
ノズル列116Bの位置は、ノズル列116Aの位置に対して、ノズルピッチLNPの半分の長さだけX軸方向の正の方向(図5の右方向)にずれている。このため、液滴吐出ヘッド114のX軸方向のノズルピッチHXPは、ノズル列116A(またはノズル列116B)のノズルピッチLNPの半分の長さである。
したがって、液滴吐出ヘッド114のX軸方向のノズル線密度は、ノズル列116A(またはノズル列116B)のノズル線密度の2倍である。なお、本明細書において「X軸方向のノズル線密度」とは、複数のノズルをY軸方向に沿ってX軸上に射像して得られた複数のノズル像の単位長さ当たりの数に相当する。もちろん、液滴吐出ヘッド114が含むノズル列の数は、2つだけに限定されない。液滴吐出ヘッド114はM個のノズル列を含んでもよい。ここで、Mは1以上の自然数である。この場合には、M個のノズル列のそれぞれにおいて複数のノズル118は、ノズルピッチHXPのM倍の長さのピッチで並ぶ。さらに、Mが2以上の自然数の場合には、M個のノズル列のうちの一つに対して、他の(M−1)個のノズル列は、ノズルピッチHXPのi倍の長さだけ重複無くX軸方向にずれている。ここで、iは1から(M−1)までの自然数である。
さて、本実施形態では、ノズル列116Aおよびノズル列116Bのそれぞれが90個のノズル118からなるため、1つの液滴吐出ヘッド114は180個のノズル118を有する。ただし、ノズル列116Aの両端のそれぞれ5ノズルは「休止ノズル」として設定されている。同様に、ノズル列116Bの両端のそれぞれ5ノズルも「休止ノズル」として設定されている。そして、これら20個の「休止ノズル」からはカラーフィルター用インク2が吐出されない。このため、液滴吐出ヘッド114における180個のノズル118のうち、160個のノズル118がカラーフィルター用インク2を吐出するノズルとして機能する。
図4に示すように、液滴吐出手段103においては、複数個の上記液滴吐出ヘッド114がX軸方向に沿って2列に配置されている。一方の列の液滴吐出ヘッド114と他方の列の液滴吐出ヘッド114とは、休止ノズル分を考慮して、Y軸方向から見て一部重なるように配置されている。これにより、液滴吐出手段103においては、基板11のX軸方向の寸法分の長さに渡り、カラーフィルター用インク2を吐出するノズル118が前記ノズルピッチHXPでX軸方向に連続するように構成されている。
本実施形態の液滴吐出手段103では、基板11のX軸方向の寸法分の長さ全体をカバーするように液滴吐出ヘッド114を配置しているが、本発明における液滴吐出手段は、基板11のX軸方向の寸法分の長さの一部をカバーするようにものでもよい。
図に示すように、それぞれの液滴吐出ヘッド114は、インクジェットヘッドである。より具体的には、それぞれの液滴吐出ヘッド114は、振動板126と、ノズルプレート128とを備えている。振動板126と、ノズルプレート128との間には、タンク101から孔131を介して供給されるカラーフィルター用インク2が常に充填される液たまり129が位置している。
また、振動板126と、ノズルプレート128との間には、複数の隔壁122が位置している。そして、振動板126と、ノズルプレート128と、1対の隔壁122とによって囲まれた部分がキャビティ120である。キャビティ120はノズル118に対応して設けられているため、キャビティ120の数とノズル118の数とは同じである。キャビティ120には、1対の隔壁122間に位置する供給口130を介して、液たまり129からカラーフィルター用インク2が供給される。
振動板126上には、それぞれのキャビティ120に対応して、振動子124が位置する。振動子124は、ピエゾ素子124Cと、ピエゾ素子124Cを挟む1対の電極124A、124Bとを含む。この1対の電極124A、124Bとの間に駆動電圧を与えることで、対応するノズル118からカラーフィルター用インク2が吐出される。なお、ノズル118からZ軸方向にカラーフィルター用インク2が吐出されるように、ノズル118の形状が調整されている。
また、ノズルプレート128は、ステンレスで構成された基材と、基材を覆うようにして設けられ主としてシリカ化合物で構成されたシリカ膜と、シリカ膜を覆うようにして設けられ、フルオロアルキル化合物を含む撥液膜とによって構成されている。
また、シリカ膜は、撥液膜とステンレスの基材とを密着させる機能を有するとともに、ステンレスの基材を保護する機能を有する。
制御手段112(図3参照)は、複数の振動子124のそれぞれに互いに独立に信号を与えるように構成されていてもよい。つまり、ノズル118から吐出されるカラーフィルター用インク2の体積が、制御手段112からの信号に応じてノズル118毎に制御されてもよい。また、制御手段112は、塗布走査の間に吐出動作を行うノズル118と、吐出動作を行わないノズル118とを設定することでもできる。
本明細書では、1つのノズル118と、ノズル118に対応するキャビティ120と、キャビティ120に対応する振動子124とを含んだ部分を「吐出部127」と表記することもある。この表記によれば、1つの液滴吐出ヘッド114は、ノズル118の数と同じ数の吐出部127を有する。
上記のような液滴吐出装置100を用いて、カラーフィルター1が有する複数色の着色部12に対応するカラーフィルター用インク2を、セル14内に付与する。上記のような装置を用いることにより、セル14内に、効率よくかつ選択的にカラーフィルター用インク2を付与することができる。また、上述したように、カラーフィルター用インク2は、優れた吐出安定性を有しており、長期間、液滴吐出を行った場合であっても、飛行曲がりや、液滴の吐出量が不安定化する等の問題が極めて発生しにくいものである。したがって、異なる色の着色部を形成するのに用いられる複数種のインクが混ざり合って(混色して)しまったり、本来同一の着色濃度であることが求められる複数個の着色部の間での着色濃度のばらつきが発生する等の問題を確実に防止することができる。なお、図示の構成では、液滴吐出装置100は、カラーフィルター用インク2を保持するタンク101、チューブ110等を1色分しか有していないが、これらの部材を、カラーフィルター1が有する複数色の着色部12に対応する複数色分有するものであってもよい。また、カラーフィルター1の製造においては、複数色のカラーフィルター用インク2に対応する複数の液滴吐出装置100を用いてもよい。
なお、本発明では、液滴吐出ヘッド114は、駆動素子として、ピエゾ素子の代わりに静電アクチュエータを用いるものでもよい。また、液滴吐出ヘッド114は、駆動素子として電気熱変換素子を用い、この電気熱変換素子による材料の熱膨張を利用してカラーフィルター用インクを吐出する構成であってもよい。
<着色部形成工程(硬化工程)>
次に、セル14内のカラーフィルター用インク2から液性媒体を除去し、樹脂材料を硬化させることにより固形状の着色部12とする(1e)。これにより、カラーフィルター1が得られる。
本工程は、通常、加熱により行う。本工程を加熱により行うことにより、形成される着色部12の基板11に対する密着性を特に優れたものとすることができる。また、形成される着色部12内に液性媒体が残存することを確実に防止することができる。その結果、カラーフィルター1の耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター1の生産性も向上する。
本工程での加熱温度(加熱された基板11の温度)は、特に限定されないが、100〜280℃であるのが好ましく、110〜250℃であるのがより好ましい。これにより、着色部12の構成材料の不本意な劣化・分解等を防止しつつ、樹脂材料の硬化反応を効率よく進行させ、さらに、カラーフィルター用インク2から好適に液性媒体を除去できる。
また、本工程での加熱時間は、特に限定されないが、30〜190分であることが好ましく、40〜130分であることがより好ましい。
また、本工程は、温度の異なる複数の加熱処理を行ってもよい。具体的には、本工程において、比較的低温で基板11の加熱を行う第1の加熱処理と、第1の加熱処理よりも高い温度で基板11の加熱を行う第2の加熱処理とを施してもよい。
これにより、着色部12の構成材料の不本意な劣化・分解等を防止し、カラーフィルター1の生産性を向上させ、さらに、形成される着色部12に液性媒体が残存すること等を効果的に防止することができる。
また、本工程において、比較的低温で基板11の加熱を行う第1の加熱処理と、第1の加熱処理よりも高い温度で基板11の加熱を行う第2の加熱処理とを施すことにより、着色部12の表面の平坦性をより高いものとすることができる。
このような場合、第1の加熱処理にて比較的低温で基板11を加熱することにより、カラーフィルター用インク2の対流を防止しつつ、穏やかに液性媒体を除去し、カラーフィルター用インク2の表面を平坦なものとした状態で、流動性を消失または低減させることができる。また、比較的低温で加熱することにより、不本意な樹脂材料の硬化反応を防止することができる。
また、第2の加熱処理では、第1の加熱処理では除去できなかった液性媒体を完全に除去することができる。また、本工程で、樹脂材料を反応させてカラーフィルター用インク2を硬化させる場合、第1の加熱処理において表面が平坦な状態で固定されたカラーフィルター用インク2を、効率よくその形状で硬化させることができる。
上記のように、本工程において第1の加熱処理および第2の加熱処理を施す場合、第1の加熱処理での処理温度(加熱された基板11の温度)は、特に限定されないが、30〜100℃であるのが好ましく、40〜80℃であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インク2の対流を確実に防止しつつ、カラーフィルター用インク2から好適に液性媒体を除去できる。
また、第1の加熱処理の時間は、特に限定されないが、3〜50分であることが好ましく、5〜40分であることがより好ましい。
また、第2の加熱処理での処理温度(加熱された基板11の温度)は、特に限定されないが、120〜280℃であるのが好ましく、150〜250℃であるのがより好ましい。これにより、第1の加熱処理では除去できなかった液性媒体を完全に除去することができる。また、本工程で、樹脂材料(硬化性樹脂材料)を反応させてカラーフィルター用インク2を硬化させる場合、第1の加熱処理において表面が平坦な状態で固定されたカラーフィルター用インク2を、効率よくその形状で硬化させることができる。
また、第2の加熱処理の時間は、特に限定されないが、25〜150分であることが好ましく、30〜100分であることがより好ましい。
また、本工程においては、例えば、活性エネルギー線の照射や、カラーフィルター用インク2が付与された基板11を減圧環境下に置く等の処理を行ってもよい。
活性エネルギー線を照射することにより、樹脂材料の硬化反応を効率よく進行させたり、加熱温度を比較的低いものとした場合であっても、樹脂材料の硬化反応を確実に進行させることができ、基板11等への悪影響の発生がより確実に防止される等の効果が得られる。活性エネルギー線としては、種々の波長の光線、例えば、紫外線、X線、g線、i線、エキシマレーザー等を使用することができる。
また、カラーフィルター用インク2が付与された基板11を減圧環境下に置く(減圧処理を施す)ことにより、加熱温度を比較的低いものとした場合であっても、液性媒体を確実に除去することができ、基板11、形成される着色部12等への悪影響の発生がより確実に防止される。また、加熱処理および減圧処理を併用することにより、より効率よく着色部を形成することができる。
《画像表示装置》
次に、カラーフィルター1を有する画像表示装置(電気光学装置)である液晶表示装置の好適な実施形態について説明する。
図7は、液晶表示装置の好適な実施形態を示す断面図である。同図に示すように、液晶表示装置60は、カラーフィルター1と、カラーフィルター1の着色部12が設けられた面側に配された基板(対向基板)66と、カラーフィルター1と基板66との間の空隙に封入された液晶よりなる液晶層62と、カラーフィルター1の基板11の液晶層62に対向する面とは反対の面側(図7中下側)に設けられた偏光板67と、基板66の液晶層62に対向する面とは反対の面側(図7中上側)に設けられた偏光板68とを有している。そして、カラーフィルター1の着色部12および隔壁13が設けられた面(着色部12および隔壁13の基板11に対向する面とは反対の面)には、共通電極61が設けられており、基板(対向基板)66の液晶層62、カラーフィルター1に対向する面には、カラーフィルター1の各着色部12に対応する位置に、マトリクス状に、画素電極65が配されている。さらに、共通電極61と液晶層62との間には配向膜64が設けられ、基板66(画素電極65)と液晶層62との間には配向膜63が設けられている。
基板66は、可視光に対して光透過性を有する基板であり、例えば、ガラス基板である。
共通電極61、画素電極65は、可視光に対して光透過性を有する材料で構成されたものであり、例えば、ITO等で構成されている。
また、図中省略しているが、各画素電極65に対応するように、複数のスイッチング素子(例えば、TFT:薄膜トランジスタ)が設けられている。そして、各着色部12に対応する各画素電極65について、共通電極61との間での電圧の印加状態を制御することにより、各着色部12(各画素電極65)に対応する領域での、光の透過性を制御することができる。
液晶表示装置60では、図示しないバックライトから発せられた光が、偏光板68側(図7中上側)から入射するようになっている。そして、液晶層62を透過し、カラーフィルター1の各着色部12(12A、12B、12C、または12A、12B、12C、12D、12E、12F)に入射した光は、各着色部12(12A、12B、12C、または12A、12B、12C、12D、12E、12F)に対応する色の光として、偏光板67(図7中下側)から出射する。
上述したように、着色部12は、カラーフィルター用インク2(本発明のカラーフィルター用インクセット)を用いて形成されたものであるため、各画素間での特性のばらつきが抑制されたものである。その結果、液晶表示装置60において、各部位での色むら、濃度むら等が抑制された画像を安定的に表示することができる。また、着色部12は、上述したようなカラーフィルター用インクを用いて形成されたものであるため、表示画像の色再現範囲が十分に広いものとなり、コントラスト、着色濃度が十分に高いものである。
《電子機器》
前述したようなカラーフィルター1を有する液晶表示装置等の画像表示装置(電気光学装置)1000は、各種電子機器の表示部に用いることができる。
図8は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピュータ1100においては、表示ユニット1106が画像表示装置1000を備えている。
図9は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206とともに、画像表示装置1000を表示部に備えている。
図10は、本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、画像表示装置1000が表示部に設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、被写体を電子画像として表示するファインダとして機能する。
ケースの内部には、回路基板1308が設置されている。この回路基板1308は、撮像信号を格納(記憶)し得るメモリが設置されている。
また、ケース1302の正面側(図示の構成では裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッタボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1308のメモリに転送・格納される。
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示のように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニタ1430が、デ−タ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピュータ1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、回路基板1308のメモリに格納された撮像信号が、テレビモニタ1430や、パーソナルコンピュータ1440に出力される構成になっている。
なお、本発明の電子機器は、上述したパーソナルコンピュータ(モバイル型パーソナルコンピュータ)、携帯電話機、ディジタルスチルカメラの他にも、例えば、テレビ(例えば、液晶テレビ)や、ビデオカメラ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、タッチパネルを備えた機器(例えば金融機関のキャッシュディスペンサー、自動券売機)、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電表示装置、超音波診断装置、内視鏡用表示装置)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ、その他各種モニタ類、プロジェクター等の投射型表示装置等に適用することができる。中でも、テレビは、近年の表示部の大型化の傾向が顕著であるが、このような大型の表示部(例えば、対角線長80cm以上の表示部)を有する電子機器では、従来のカラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターを適用した場合、色むら、濃度むら等の問題を特に生じ易かったが、本発明を適用すれば、このような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、上記のような大型の表示部を有する電子機器に適用した場合に、本発明の効果は、より顕著に発揮される。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、前述した実施形態においては、各色の着色部に対応するカラーフィルター用インクを、セル内に付与した後に、一括で、セル内の各色のカラーフィルター用インクから溶剤(液性媒体)を除去し、樹脂材料を硬化させるもの、すなわち、着色部形成工程(硬化工程)を1回のみ行うものとして説明したが、インク付与工程および着色部形成工程は、各色に対応して、繰り返し行うものであってもよい。
また、上述した実施形態では、カラーフィルター用インクセットが備える各色のインクは、Bインク、Rインク、Gインクの順に、含まれる着色剤の含有量が少なくなるものとして説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、インクセットが備える各色のインクが、Bインク、Gインク、Rインクの順に含まれる着色剤の含有量が少ないものである場合には、各色のインク中に含まれる樹脂材料の含有率は、Bインク、Gインク、Rインクの順に多くなるとともに、含まれる樹脂材料のMwは、Bインク、Gインク、Rインクの順に小さくなる。
また、カラーフィルター、画像表示装置、電子機器を構成する各部は、同様の機能を発揮する任意のものと置換、または、その他の構成を追加することもできる。例えば、本発明のカラーフィルターにおいては、着色部の基板に対向する面とは反対の面側に、着色部を被覆する保護膜が設けられていてもよい。これにより、着色部の損傷や劣化等をより効果的に防止することができる。
また、本発明のカラーフィルター用インクセットが備えるカラーフィルター用インクは、いかなる方法で製造されたものであってもよく、上述したような方法により製造されたものでなくてもよい。例えば、前述した実施形態では、顔料の微分散を、重合体Wおよび/または重合体Zが溶解した重合体溶液中で行うものとして説明したが、顔料の微分散はこのようにして行うものでなくてもよい。
また、前述した実施形態では、カラーフィルター用インクセットが、光の三原色に対応する3種(3色)のカラーフィルター用インクを備える場合について中心的に説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、本発明において、カラーフィルター用インクセットは、4種以上のカラーフィルター用インクを備えるものであってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
[1]重合体の合成
(合成例1)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ)に、溶媒(溶剤)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:180重量部を入れて、85℃に加熱した。続いて、該フラスコ内に、上記式(1)で表される単量体成分(化合物)w1:188重量部、上記式(2)で表される単量体成分(化合物)w2:34重量部、上記式(3)で表される単量体成分(化合物)w3:74重量部、上記式(4)で表される単量体成分(化合物)w4:74重量部、ラジカル開始剤としてのアゾビスジメチルバレロニトリル:64重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:386重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて5時間かけて滴下し、さらに3時間熟成させた。その後、室温まで冷却して、単量体成分w1、w2、w3、w4を含み上記式(17)で表される重合体Wとしての重合体W1を得た。
(合成例2〜8)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類、各成分の比率、および合成条件(加熱温度、加熱時間)を変更することにより、重合体を構成する単量体成分の比率を表1に示すように変更した以外は、前記合成例1と同様の操作を行った。その結果、7種の重合体(重合体W2〜W8)が得られた。
(合成例9〜12)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類、各成分の比率、および合成条件(加熱温度、加熱時間)を変更することにより、重合体を構成する単量体成分の比率を表1に示すように変更した以外は、前記合成例1と同様の操作を行った。その結果4種の重合体(重合体W’1〜W’4)が得られた。
(合成例13)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ)に、溶媒(溶剤)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:246重量部を入れて、80℃に加熱した。続いて、該フラスコ内に、上記式(5)で表される単量体成分(化合物)z1:276重量部、上記式(6)で表される単量体成分(化合物)z2:51重量部、ラジカル開始剤としての:39重量部をメトキシブチルアセテート:360重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて5時間かけて滴下し、さらに3時間熟成させた。
その後、フラスコ内にグリシジルメタクリレート:26重量部、メトキノン:2重量部を加え、110℃で10時間反応させた。その後、室温まで冷却して、単量体成分z1、z2、z3を含み上記式(18)で表される重合体Zとしての重合体Z1を得た。
(合成例14〜18)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類、各成分の比率、および合成条件(加熱温度、加熱時間)を変更することにより、重合体を構成する単量体成分の比率を表1に示すように変更した以外は、前記合成例13と同様の操作を行った。その結果、5種の重合体(重合体Z2〜Z6)が得られた。
(合成例19、20)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類、各成分の比率、および合成条件(加熱温度、加熱時間)を変更することにより、重合体を構成する単量体成分の比率を表1に示すように変更した以外は、前記合成例13と同様の操作を行った。その結果、2種の重合体(重合体Z’1、Z’2)が得られた。
(合成例21)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ)に、溶媒(溶剤)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:314重量部を入れて、90℃に加熱した。続いて、ラジカル開始剤としての2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):20重量部、および、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:30重量部を加えた後、該フラスコ内に、上記式(8)で表される単量体成分(化合物)x1:180重量部、上記式(9)で表される単量体成分(化合物)x2:90重量部、上記式(10)で表される単量体成分(化合物)x3:15重量部、上記式(11)で表される単量体成分(化合物)x4:15重量部、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):50重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:200重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて5時間かけて滴下し、さらに4時間熟成させた。その後、室温まで冷却して、単量体成分x1、x2、x3、x4を含み上記式(19)で表される重合体Xとしての重合体X1を得た。
(合成例22〜25)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類、各成分の比率、および合成条件(加熱温度、加熱時間)を変更することにより、重合体を構成する単量体成分の比率を表1に示すように変更した以外は、前記合成例21と同様の操作を行った。その結果、4種の重合体(重合体X2〜X5)が得られた。
(合成例26)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ)に、溶媒(成分a)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:314重量部を入れて、90℃に加熱した。続いて、ラジカル開始剤としての2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):20重量部、および、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:30重量部を加えた後、該フラスコ内に、上記式(12)で表される単量体成分(化合物)y1:200重量部、上記式(13)で表される単量体成分(化合物)y2:100重量部、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):50重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:200重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて5時間かけて滴下し、さらに4時間熟成させた。その後、室温まで冷却して、単量体成分y1、y2を含み上記式(20)で表される重合体Yとしての重合体Y1を得た。
(合成例27〜30)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類、各成分の比率、および合成条件(加熱温度、加熱時間)を変更することにより、重合体を構成する単量体成分の比率を表1に示すように変更した以外は、前記合成例26と同様の操作を行った。その結果、4種の重合体(重合体Y2〜Y5)が得られた。
表1、表2には、合成例1〜30で合成した各重合体を構成する各単量体成分の比率、各重合体の重量平均分子量Mwをまとめて示した。なお、各重合体の重量平均分子量MwはGPC測定装置(東ソー製HLC−8120GPC)によって、分離カラムとして東ソー製TSK−GEL G5000HXL・G4000HXL・G3000HXL・G2000HXLを組み合わせて使用し、カラム温度:40℃・溶媒:テトラヒドロフラン・溶媒濃度0.5重量%、フィルター:0.2μm・流量:1ml/minにて測定し標準ポリスチレンを用いて換算し、分子量を求めた。また、上記のようにして合成した重合体は、いずれも、分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が1〜3の範囲内であった。
Figure 2010101997
Figure 2010101997
[2]カラーフィルター用インク(インクセット)の調製
(実施例1)
酸価分散剤としてのディスパービック111と、アミン価分散剤としてのディスパービック166と、重合体W1と、溶剤としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートと、溶剤(副溶剤)としてのトリエチレングリコールモノメチルエーテルとを、内容量400ccの攪拌機(一軸ミキサー)に投入し、ディスパーミルで10分間攪拌を行うことにより、重合体溶液を得た(重合体溶液調製工程)。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。
次に、以下に述べるようにして、重合体溶液調製工程で得られた重合体溶液に、顔料を添加し、無機ビーズを多段で添加して微分散処理を行う微分散工程を施した。
まず、得られた重合体溶液に、顔料を添加し、10分間攪拌を行った。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。また、顔料としては、C.I.ピグメントレッド177と上記式(15)で表される顔料誘導体との混合物と、C.I.ピグメントレッド254と上記式(16)で表される顔料誘導体との混合物と、上記式(16)で示される化学構造を有するスルホン化顔料誘導体の粉末とを用いた。また、このとき、重合体溶液と顔料との混合物中における顔料の含有率が16wt%となるように、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートおよびトリエチレングリコールモノメチルエーテルで希釈した。
次に、平均粒径0.8mmの無機ビーズ(第1の無機ビーズ、ジルコニア製、「Toray ceram 粉砕ボール」(商品名)、東レ株式会社製)を添加して、室温下、30分間攪拌し1段目の分散処理(第1の処理)を行った。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。
次に、フィルター(「PALL HDCII Membrane Filter」、PALL社製)を用いたろ過により、無機ビーズ(第1の無機ビーズ)を除去し、その後、平均粒径0.1mmの無機ビーズ(第2の無機ビーズ、ジルコニア製、「Toray ceram 粉砕ボール」(商品名)、東レ株式会社製)を添加し、更に30分間攪拌し第2段目の分散処理(第2の処理)を行った。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。また、このとき、得られる顔料分散体中における顔料の含有率が13wt%となるように、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートおよびトリエチレングリコールモノメチルエーテルで希釈した。
その後、フィルター(「PALL HDCII Membrane Filter」(商品名)、PALL社製)を用いたろ過により、無機ビーズ(第2の無機ビーズ)を除去し、顔料分散体を得た。
次に、上記のようにして得られた顔料分散体に、さらに、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを加えて希釈し、重合体X1および重合体Y1を加え、混合した(樹脂材料追加工程)。本工程は、上記の各材料を内容量400ccの攪拌機(一軸ミキサー)に投入し、ディスパーミルで10分間攪拌することにより行った。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。これにより、目的とする赤色のカラーフィルター用インク(Rインク)を得た。得られたRインクの顔料の含有率は、7.3wt%であった。
また、顔料の種類、各成分の使用量を変更した以外は、前記赤色のカラーフィルター用インクと同様にして、緑色のカラーフィルター用インク(Gインク)、青色のカラーフィルター用インク(Bインク)を調製した。これにより、R、G、Bの3色のインクからなるインクセットが得られた。Rインクを構成する顔料の平均粒径、Gインクを構成する顔料の平均粒径、Bインクを構成する顔料の平均粒径は、それぞれ、70nm、70nm、70nmであった。また、Gインクの顔料としては、C.I.ピグメントグリーン58、上記式(14)で示される化学構造を有するスルホン化顔料誘導体の粉末を用い、最終的なGインク中の顔料の含有率を10.1wt%とした。また、Bインクの顔料としては、C.I.ピグメントブルー15:6を用い、最終的なBインク中の顔料の含有率を4.9wt%とした。
(実施例2〜9)
カラーフィルター用インクの材料の種類・含有量を表3に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてカラーフィルター用インク(インクセット)を調製した。
(比較例1〜7)
カラーフィルター用インクの材料の種類・含有量を表4に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてカラーフィルター用インク(インクセット)を調製した。
なお、上記各実施例および各比較例では、いずれも、重合体Z、Z’、W、W’を用いる場合には、これらを重合体溶液調製工程で用い、重合体X、Yについては、樹脂材料追加工程で用いた。また、各実施例および各比較例で使用する各重合体(重合体W、W’、Z、Z’、X、Y)は、それぞれ、各実施例および各比較例で用いる液性媒体を分散媒(溶剤)として用いた。
また、各実施例で得られたカラーフィルター用インクの粘度を、25℃の環境下、E型粘度計(東機産業社製、RE−01)を用いて、JIS Z8809に準拠して測定したところ、いずれのインクも、5〜9.5mPa・sであった。
前記各実施例および各比較例でのカラーフィルター用インクの構成成分の種類、含有量等を表3、表4にまとめて示した。また、前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを構成する各色のインクについて、含まれる樹脂材料の含有量、分子量等を表5、表6にまとめて示した。
なお、表中、C.I.ピグメントレッド177を「PR177」、C.I.ピグメントレッド254を「PR254」、C.I.ピグメントレッド177と式(15)で表される顔料誘導体との混合物「PR177D」、C.I.ピグメントレッド254と式(16)で表される顔料誘導体との混合物「PR254D」、式(14)で表される顔料誘導体で構成された粉末を「SPD」、C.I.ピグメントグリーン58を「PG58」、C.I.ピグメントグリーン36を「PG36」、C.I.ピグメントブルー15:6を「PB15:6」、C.I.ピグメントイエロー150を「PY150」、ディスパービック111(酸価:50KOHmg/g)を「DA1」、ディスパービック2095(酸価:13KOHmg/g)を「DA2」、ディスパービック9075(アミン価:12KOHmg/g)を「DA3」、ディスパービック166(アミン価:115KOHmg/g)を「DA4」、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを「S1」、1,3−ブチレングリコールジアセテートを「S2」、ビス(2−ブトキシエチル)エーテルを「S3」、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテートを「S4」、4-メチル1,3-ジオキソラン-2-オンを「S5」、トリエチレングリコールジアセテートを「S6」、トリエチレングリコールモノメチルエーテルを「S7」、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルを「S8」、ポリエチレングリコール#300(平均重量分子量:300、粘度:70mPa・s)を「PEG」で示した。なお、分散剤の酸価は、DIN EN ISO 2114に準拠する方法により求め、アミン価は、DIN 16945に準拠する方法により求めた。また、表中、「粘度」の欄には、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定されたカラーフィルター用インクの25℃における粘度を示した。
なお、各実施例および各比較例で用いた、C.I.ピグメントレッド177と式(15)で表される顔料誘導体との混合物中における式(15)で表される顔料誘導体の含有率は、いずれも、0.1〜10wt%であった。また、前記実施例および比較例で用いた、C.I.ピグメントレッド254と式(16)で表される顔料誘導体との混合物中における式(16)で表される顔料誘導体の含有率は、いずれも、0.1〜10wt%であった。
Figure 2010101997
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[3]液滴吐出の安定性評価(吐出安定性評価)
[3.1]着弾位置精度評価
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図3〜図6に示すような液滴吐出装置および前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用意し、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、各インクについて、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、300000発(300000滴)の液滴の連続吐出を行った。液滴吐出ヘッドの中央部付近の指定したノズルから吐出された300000発の液滴について、着弾した各液滴の中心位置の中心狙い位置からのズレ量dの平均値を求め、以下の4段階の基準に従い、評価した。なお、ズレ量dの平均値としては、3色のインクについて得られた値の平均値を採用した。この値が小さいほど飛行曲がりの発生が効果的に防止されていると言える。
A:ズレ量dの平均値が0.06μm未満。
B:ズレ量dの平均値が0.06μm以上0.12μm未満。
C:ズレ量dの平均値が0.12μm以上0.16μm未満。
D:ズレ量dの平均値が0.16μm以上。
[3.2]液滴吐出量の安定性評価
(評価A)
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図3〜図6に示すような液滴吐出装置および前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用意し、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、各インクについて、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、300000発(300000滴)の液滴の連続吐出を行った。液滴吐出ヘッドの左右両端の指定の2つのノズルについて、吐出された液滴の総重量を求め、上記2つのノズルから吐出された液滴の平均吐出量の差の絶対値ΔW[ng]を求めた。このΔWの、液滴の目標吐出量W[ng]に対する比率(ΔW/W)を求め、以下の4段階の基準に従い、評価した。ΔW/Wの値が小さいほど、液滴吐出量の安定性に優れていると言える。なお、ΔW/Wの値としては、3色のインクについて得られた値の平均値を採用した。
A:ΔW/Wの値が、0.065未満。
B:ΔW/Wの値が、0.065以上0.450未満。
C:ΔW/Wの値が、0.450以上0.780未満。
D:ΔW/Wの値が、0.780以上。
(評価B)
さらに、各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットにおける、3色のインクのΔW/Wの値のうち、最も大きかったインクの値と最も小さかったインクの値との差を以下の4段階の基準に従い評価した。この差が小さいほど、各色のインク間での吐出性のばらつきが小さいと言える。
A:その差が、0.030未満。
B:その差が、0.030以上0.200未満。
C:その差が、0.200以上0.400未満。
D:その差が、0.400以上。
[3.3]間欠印字性能評価
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図3〜図6に示すような液滴吐出装置および前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用意し、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、各インクについて、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、15000発(15000滴)の液滴の連続吐出を行い、その後、120秒間、液滴の吐出を中断した(1シーケンス目)。その後、同様に、液滴の連続吐出、および、滴々の吐出の中断の操作を繰り返し行った。液滴吐出ヘッドの中央部付近の指定したノズルについて、1シーケンス目に吐出された液滴の平均重量W[ng]と、30シーケンス目に吐出された液滴の平均重量W30[ng]とを求めた。そして、WとW30との差の絶対値の、液滴の目標吐出量W[ng]に対する比率(|W−W30|/W)を求め、以下の3段階の基準に従い、評価した。|W−W30|/Wの値が小さいほど、間欠印字性能(液滴吐出量の安定性)に優れていると言える。なお、|W−W30|/Wの値としては、3色のインクについて得られた値の平均値を採用した。
A:|W−W30|/Wの値が、0.050未満。
B:|W−W30|/Wの値が、0.050以上0.680未満。
C:|W−W30|/Wの値が、0.680以上。
[3.4]連続吐出試験
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図3〜図6に示すような液滴吐出装置、前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用いて、25℃、35%RHの環境下で、液滴吐出装置を72時間、連続で運転させることにより、カラーフィルター用インクセットを構成する各インクの吐出を行った。
連続運転後における、液滴吐出ヘッドを構成するノズルの目詰まりの発生率([(目詰まりノズル数)/(全ノズル数)]×100)を求め、ノズルの目詰まりが発生しているものについては、可塑材料で構成されたクリーニング部材により、目詰まりの解消が可能であるか否かを調べた。その結果を、以下の4段階の基準に従い、評価した。なお、ノズルの目詰まりの発生率の値としては、3色のインクについて得られた値の平均値を採用した。
A:ノズルの目詰まりの発生がない。
B:ノズルの目詰まりの発生率が0.5%未満(ただし、ゼロを除く)であり、かつ、クリーニングによる目詰まりの解消が可能。
C:ノズルの目詰まりの発生率が0.5%以上1.0%未満であり、かつ、クリーニングによる目詰まりの解消が可能。
D:ノズルの目詰まりの発生率が1.0%以上、または、クリーニングによる目詰まりの解消が不可能。
なお、上記の評価は、各実施例および各比較例について、同様の条件で行った。
[4]カラーフィルター用インクの保存性評価(長期安定性評価)
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットについて、60℃の環境下に、20日間放置した後、目視による観察を行い、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:加熱前からの変化が全く認められない。
B:顔料粒子の凝集・沈降がほとんど認められない。
C:顔料粒子の凝集・沈降がわずかに認められる。
D:顔料粒子の凝集・沈降がはっきりと認められる。
E:顔料粒子の凝集・沈降が顕著に認められる。
[5]カラーフィルターの製造
前記各実施例および各比較例で調製したカラーフィルター用インクセットを用いて、以下のようにして、カラーフィルターを製造した。
まず、両面にナトリウムイオンの溶出を防止するシリカ(SiO)膜が形成されたソーダガラス製の基板(G5サイズ:1100×1300mm)を用意し、洗浄処理を施した。
次に、カーボンブラックを含む隔壁形成用の感放射線性組成物を、洗浄済の基板の一方の面の全体に付与し、塗膜を形成した。
次に、加熱温度:110℃、加熱時間:120秒という条件でプリベーク処理を行った。
その後、フォトマスクを介して、放射線を照射して、ポストエキスポジャーベーク処理(PEB)を行い、引き続き、CFとHeガスとを1:9(体積比)で混合したガスを導入した大気圧プラズマ重合装置で、出力550W、プラズマ発生装置からテーブルまでの距離:0.5mm、処理テーブル速度:5mm/sという条件で、プリベーク処理、ポストエキスポジャーベーク処理の施された塗膜の表面だけにフッ素をドーピングした。その後、アルカリ現像液を用いた現像処理を行い、さらに、ポストベーク処理を行うことにより、隔壁を形成した。PEBは、加熱温度:110℃、加熱時間:120秒、放射線照射強度:150mJ/cmという条件で行った。また、現像処理は、例えば、振動浸漬法により行った。現像処理時間は、60秒とした。また、ポストベーク処理は、加熱温度:150℃、加熱時間:5分という条件で行った。形成された隔壁の厚さは、2.0μmであった。
次に、図3〜図6に示すような液滴吐出装置を用いて、隔壁で囲まれた領域としてのセル内に、カラーフィルター用インクを吐出した。この際、3色のカラーフィルター用インクを用い、各色のカラーフィルター用インクが混色しないようにした。各セル内には、形成される着色部の平均厚さが2.0μmとなるような量のカラーフィルター用インクを付与した。
その後、ホットプレート上にて80℃で20分間の加熱処理を施した(第1の加熱処理)。
さらに230℃のオーブン内で60分加熱処理を施すことにより(第2の加熱処理)、3色(赤色(R)、緑色(G)、青色(B))の着色部が形成された。その後、N−メチル−2−ピロリドンおよびγ−ブチルラクトンを用いた洗浄を行い、図1に示すようなカラーフィルターが得られた。
上記のような方法を用いて、各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用いて、それぞれ、6000枚のカラーフィルターを製造した。
[6]カラーフィルターの評価
上記のようにして得られた各カラーフィルターを用いて、以下のような評価を行った。
[6.1]着色部の平坦性
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用いて製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、31枚目に製造されたカラーフィルターを用意した。
これらのカラーフィルターについて、触針式粗さ計(Tencor社製、P−15)を用いて、着色部の最大高さと最小高さとの差ΔDを求め、以下の3段階の基準に従い、評価した。
A:ΔDが0.2μm未満。
B:ΔDが0.2μm以上0.5μm未満。
C:ΔDが0.5μm以上。
[6.2]コントラスト比の評価
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用いて製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、6000枚目に製造されたカラーフィルターを用いて、同条件で図7に示すような液晶表示装置を製造した。
これらの液晶表示装置を用いて、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示を行い、コントラストテスター(壺坂電機社製、CT−1)を用いて、単色表示を行っていない場合と比較してのコントラスト比(CR)を求め、下記のようにして評価を行った。
赤色の単色表示の場合、以下の4段階の基準に従い、評価した。
A:CRが2800以上。
B:CRが2100以上2800未満。
C:CRが1800以上2100未満。
D:CRが1800未満。
緑色の単色表示の場合、以下の4段階の基準に従い、評価した。
A:CRが3700以上。
B:CRが3200以上3700未満。
C:CRが2900以上3200未満。
D:CRが2900未満。
青色の単色表示の場合、以下の4段階の基準に従い、評価した。
A:CRが3000以上。
B:CRが2600以上3000未満。
C:CRが2300以上2600未満。
D:CRが2300未満。
[6.3]色むら、濃度むら
[6.2]で製造した前記各実施例および各比較例の液晶表示装置について、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示、白色の単色表示を行った状態で目視による観察を行い、各部位での色むら、濃度むらの発生状況を、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:色むら、濃度むらが全く認められない。
B:色むら、濃度むらがほとんど認められない。
C:色むら、濃度むらがわずかに認められる。
D:色むら、濃度むらがはっきりと認められる。
E:色むら、濃度むらが顕著に認められる。
[6.4]個体間での特性差
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用いて製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、1〜20枚目、および、2980〜2999枚目に製造されたカラーフィルターを用意し、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示、白色の単色表示を行い、分光光度計(大塚電子社製、MCPD3000)を用いて測色した。その結果から、各実施例および各比較例について、それぞれ、1〜20枚目、2980〜2999枚目に製造されたカラーフィルター(合計40枚のカラーフィルター)で最大となる色差(Lab表示系での色差ΔE)を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:色差(ΔE)が1.8未満。
B:色差(ΔE)が1.8以上2.8未満。
C:色差(ΔE)が2.8以上3.8未満。
D:色差(ΔE)が3.8以上4.8未満。
E:色差(ΔE)が4.8以上。
[6.5]ヒートサイクル試験(環境対応性評価)
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用いて製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、21〜30枚目に製造されたカラーフィルターを用いて、同条件で図7に示すような液晶表示装置を製造した。
これらの液晶表示装置を用いて、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示を行った状態で目視による観察を行い、光漏れ(白抜け、輝点)が発生していないことを確認した。
次に、上記の液晶表示装置からカラーフィルターを取り外した。
取り外した各カラーフィルターを、20℃の環境下に1時間、次いで、70℃の環境下に2時間、次いで、20℃の環境下に1時間、次いで、−20℃の環境下に2時間静置した。その後、再び、環境温度を20℃に戻し、これを1サイクル(6時間)とし、このサイクルを合計40回繰り返した(合計240時間)。
その後、これらのカラーフィルターを用いて、再び、図7に示すような液晶表示装置を組み立てた。
これらの液晶表示装置を用いて、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示を行った状態で目視による観察を行い、光漏れ(白抜け、輝点)の発生状況を、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:光漏れ(白抜け、輝点)の発生したカラーフィルターはない。
B:1〜2枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
C:3〜5枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
D:6〜9枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
E:10枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
[7]耐熱性評価
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットが備える各色のインクを用いて、それぞれ、厚さ0.7mmのガラス基板上に、スピンコートにより塗布した。インクの付与量は、乾燥膜厚が1.6μmとなるように設定した。
次に、これらの試験片を、クリーンオーブン内で230℃で1時間加熱した。
次に、230℃での加熱処理を施した試験片について、分光光度計(大塚電子社製、MCPD3000)を用いて測色した。
その後さらに、これらの試験片を、クリーンオーブン内で250℃で1時間加熱した。
ここで、250℃での加熱処理を施した試験片について、分光光度計(大塚電子社製、MCPD3000)を用いて測色した。
これらの結果から、各試験片についての、加熱処理(250℃での加熱処理)の前後での色差(Lab表示系での色差ΔE)を求め、以下の3段階の基準に従い、評価した。
○:色差(ΔE)が1未満。
△:色差(ΔE)が1以上3未満。
×:色差(ΔE)が3以上。
[8]カラーフィルター用インクセットを用いて形成した着色膜の評価
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用いて、以下のようにして、下記の試験に用いる多数枚の試験片(試験板)を作製した。
まず、各インクセットが備える各色のインクを用いて、それぞれ、厚さ0.7mmのガラス基板上に、スピンコートにより塗布した。インクの付与量は、乾燥膜厚が1.6μmとなるように設定した。
次に、90℃のホットプレート上で10分間プリベークを行った。その後、クリーンオーブン内で、200℃で30分間加熱してポストベークを行い、更に240℃で30分加熱してポストベークを行い、着色膜を有する試験片(試験板)を得た。
[8.1]耐溶剤性評価
前記各実施例および各比較例の各色の試験片について、分光光度計(大塚電子社製、MCPD3000)を用いて測色した。
次に、これらの試験片を、50℃の溶剤中に10分間浸漬し、その後、同様に、分光光度計(大塚電子社製、MCPD3000)を用いて測色した。
これらの結果から、各試験片についての、溶剤の浸漬前後での色差(Lab表示系での色差ΔE)を求め、以下の2段階の基準に従い、評価した。
○:色差(ΔE)が3未満。
×:色差(ΔE)が3以上。
溶剤としては、γ−ブチルラクトン(γ−BL)、イソプロピルアルコール(IPA)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、0.5N塩酸(HCl)、0.5N水酸化ナトリウム水溶液(NaOH)を用いた。
[8.2]耐光性評価
前記各実施例および各比較例の各色の試験片について、分光光度計(大塚電子社製、MCPD3000)を用いて測色した。
次に、40℃、60%RHの環境下で、これらの試験片に対し、キセノンフェードメーターを用いて光照射を行い、その後、同様に、分光光度計(大塚電子社製、MCPD3000)を用いて測色した。照射条件は、320W/m×200時間とした。このときのブラックパネル温度は50℃とした。
これらの結果から、各試験片についての、光照射前後での色差(Lab表示系での色差ΔE)を求め、以下の3段階の基準に従い、評価した。
○:色差(ΔE)が1未満。
△:色差(ΔE)が1以上3未満。
×:色差(ΔE)が3以上。
[8.3]クロスカット試験(基板に対する密着性評価)
まず、前記各実施例および各比較例の各色の試験片の着色膜に、カッターで直交する縦横11本ずつの切り傷を1mm間隔でつけた。さらに、セロハンテープをパターンに指で軽く密着させすばやくテープを剥がし、傷の状態を観察し、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:切り傷の交線にわずかな剥がれがあり、欠損部の面積は全正方形面積の5%未満。
B:切り傷の交線に剥がれがあり、欠損部の面積は全正方形面積の5%以上15%未満。
C:切り傷による剥がれの幅が広く、欠損部の面積が全正方形面積の15%以上35%未満。
D:切り傷による剥がれの幅が4点より広く、欠損部の面積は全正方形面積の35%以上65%未満。
E:剥がれの面積は、全正方形面積の65%以上。
[8.4]ITO膜の密着性評価
まず、前記各実施例および各比較例の各色の試験片を、イソプロピルアルコールに5分間浸漬させ、次いでイソプロピルアルコール蒸気にて乾燥を行い洗浄した。
その後、基板設定温度200℃にて、6×10−3Torrの真空下でITO(酸化インジウムスズ)膜を120nmの厚さになるように成膜した。
180℃×60分間の耐熱試験後、ITO膜の表面粗度(Ra)をAFMで測定し、以下の3段階の基準に従い、評価した。なお、AFMとしては、日本ビーコ株式会社のNanoScopeIIIaを用いた。
○:ITO膜にしわやクラック等の異常が全く観測されなかった。
△:ITO膜にしわやクラック等の異常が数点観測された。
×:ITO膜にしわやクラック等の異常が全面に観測された。
これらの結果を表7〜表10に示す。
Figure 2010101997
Figure 2010101997
Figure 2010101997
Figure 2010101997
表7〜表10から明らかなように、本発明では、液滴吐出の安定性に優れており、製造されたカラーフィルターは、混色、色むら、濃度むら、光漏れの発生が抑制され、コントラスト比に優れた画像を表示することができるものであり、個体間での特性のばらつきも小さいものであった。また、本発明では、コントラスト、色再現範囲にも優れていた。また、本発明では、形成された着色部が十分な硬度を有するものであった。また、本発明では、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色膜(着色部)の耐溶剤性、耐熱性、耐光性、基板に対する密着性、ITO膜の密着性にも優れていることが確認された。これに対し、各比較例では、満足な結果が得られなかった。
また、市販の液晶テレビを分解し、液晶表示装置部分を、上記のようにして製造したものと交換して、上記と同様の評価を行ったところ、上記と同様な結果が得られた。
本発明のカラーフィルターの好適な実施形態を示す断面図である。 カラーフィルターの製造方法を示す断面図である。 カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置を示す斜視図である。 図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出手段をステージ側から観察した図である。 図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドの底面を示す図である。 図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドを示す図であり、(a)は断面斜視図、(b)は断面図である。 液晶表示装置の実施形態を示す断面図である。 本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。 本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。 本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。
符号の説明
1…カラーフィルター 11…基板 12…着色部 12A…第1の着色部 12B…第2の着色部 12C…第3の着色部 13…隔壁 14…セル 2…カラーフィルター用インク 3…塗膜 60…液晶表示装置 61…共通電極 62…液晶層 63、64…配向膜 65…画素電極 66…基板(対向基板) 67、68…偏光板 100…液滴吐出装置 101…タンク 102…吐出走査部 103…液滴吐出手段 104…第1位置制御装置 105…キャリッジ 106…ステージ 108…第2位置制御装置 110…チューブ 112…制御手段 114…液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド) 116A、116B…ノズル列 118…ノズル 120…キャビティ 122…隔壁 124…振動子 124A、124B…電極 124C…ピエゾ素子 126…振動板 127…吐出部 128…ノズルプレート 129…液たまり 130…供給口 131…孔 1000…画像表示装置 1100…パーソナルコンピュータ 1102…キーボード 1104…本体部 1106…表示ユニット 1200…携帯電話機 1202…操作ボタン 1204…受話口 1206…送話口 1300…ディジタルスチルカメラ 1302…ケース(ボディー) 1304…受光ユニット 1306…シャッタボタン 1308…回路基板 1312…ビデオ信号出力端子 1314…データ通信用の入出力端子 1430…テレビモニタ 1440…パーソナルコンピュータ

Claims (15)

  1. 着色剤と、当該着色剤が分散および/または溶解する液性媒体と、樹脂材料とを含むインクを複数種備え、インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるカラーフィルター用インクセットであって、
    前記樹脂材料は、下記式(1)で表される単量体成分w1と下記式(2)で表される単量体成分w2と下記式(3)で表される単量体成分w3と下記式(4)で表される単量体成分w4とを含む重合体W、下記式(5)で表される単量体成分z1と下記式(6)で表される単量体成分z2と下記式(7)で表される単量体成分z3とを含む重合体Zのうちの少なくとも一方を含むものであり、
    カラーフィルター用インクセットは、複数種の前記インクとして、着色剤の含有率が互いに異なるインクを備えており、
    カラーフィルター用インクセットを構成する複数種の前記インクは、含まれる前記着色剤の含有率が少ないほど、含まれる前記樹脂材料の含有率が多く、かつ、含まれる前記樹脂材料の重量平均分子量Mwが小さいものであることを特徴とするカラーフィルター用インクセット。
    Figure 2010101997
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    Figure 2010101997
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  2. 前記樹脂材料は前記重合体Wを含むものであり、
    前記重合体Wを構成する全成分に占める前記単量体成分w1の含有率が、25〜75wt%であり、
    前記重合体Wを構成する全成分に占める前記単量体成分w2の含有率が、2〜25wt%であり、
    前記重合体Wを構成する全成分に占める前記単量体成分w3の含有率が、5〜50wt%であり、
    前記重合体Wを構成する全成分に占める前記単量体成分w4の含有率が、3〜40wt%である請求項1に記載のカラーフィルター用インクセット。
  3. 前記樹脂材料は前記重合体Zを含むものであり、
    前記重合体Zを構成する全成分に占める前記単量体成分z1の含有率が、50〜95wt%であり、
    前記重合体Zを構成する全成分に占める前記単量体成分z2の含有率が、3〜35wt%であり、
    前記重合体Zを構成する全成分に占める前記単量体成分z3の含有率が、3〜35wt%である請求項1または2に記載のカラーフィルター用インクセット。
  4. カラーフィルター用インクセットを構成する前記インク中における前記樹脂材料の含有率をCResin[wt%]、前記樹脂材料の重量平均分子量をMwResinとしたとき、各種前記インクは、それぞれ100≦CResin・MwResin/10≦500の関係を満足する請求項1ないし3のいずれかに記載のカラーフィルター用インクセット。
  5. カラーフィルター用インクセットを構成する複数種の前記インクのうち、含まれる固形分の含有率が最大であるものの含有率をCmax[wt%]、含まれる固形分の含有率が最小であるものの含有率をCmin[wt%]としたとき、0.6≦Cmin/Cmax≦0.99の関係を満足する請求項1ないし4のいずれかに記載のカラーフィルター用インクセット。
  6. カラーフィルター用インクセットは、複数種の前記インクとして、前記着色剤の含有率が少ない順に、ブルーインク、レッドインク、グリーンインクを有し、
    前記ブルーインクが含む前記樹脂材料の重量平均分子量をMw(B)、前記レッドインクが含む前記樹脂材料の重量平均分子量をMw(R)、前記グリーンインクが含む前記樹脂材料の重量平均分子量をMw(G)としたとき、0.3≦Mw(B)/Mw(R)≦0.9であるとともに、0.1≦Mw(B)/Mw(G)≦0.7である請求項1ないし5のいずれかに記載のカラーフィルター用インクセット。
  7. 前記Mw(B)は、1000〜6000であり、前記Mw(R)は、1500〜10000であり、前記Mw(G)は、2000〜20000である請求項6に記載のカラーフィルター用インクセット。
  8. 前記樹脂材料は、さらに、下記式(8)で表される単量体成分x1と下記式(9)で表される単量体成分x2と下記式(10)で表される単量体成分x3と下記式(11)で表される単量体成分x4とを含む重合体Xを含むものである請求項1ないし7のいずれかに記載のカラーフィルター用インクセット。
    Figure 2010101997
    Figure 2010101997
    Figure 2010101997
    Figure 2010101997
  9. 前記樹脂材料は、さらに、下記式(12)で表される単量体成分y1と下記式(13)で表される単量体成分y2とを含む重合体Yを含むものである請求項1ないし8のいずれかに記載のカラーフィルター用インクセット。
    Figure 2010101997
    Figure 2010101997
  10. 複数種の前記インク中に含まれる前記液性媒体は、いずれも、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、1,3−ブチレングリコールジアセテートから選択される1種または2種以上含むものである請求項1ないし9のいずれかに記載のカラーフィルター用インクセット。
  11. カラーフィルター用インクセットを構成する複数種の前記インクは、多価アルコールを含むものである請求項1ないし10のいずれかに記載のカラーフィルター用インクセット。
  12. 前記多価アルコールは、グリコール類のオリゴマーを含むものである請求項11に記載のカラーフィルター用インクセット。
  13. 請求項1ないし12のいずれかに記載のカラーフィルター用インクセットを用いて製造されたことを特徴とするカラーフィルター。
  14. 請求項13に記載のカラーフィルターを備えたことを特徴とする画像表示装置。
  15. 請求項14に記載の画像表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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