JP2010164732A - カラーフィルター用インク、カラーフィルター用インクセット、カラーフィルター用インクの製造方法、カラーフィルター、画像表示装置、および、電子機器 - Google Patents

カラーフィルター用インク、カラーフィルター用インクセット、カラーフィルター用インクの製造方法、カラーフィルター、画像表示装置、および、電子機器 Download PDF

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JP2010164732A JP2009006333A JP2009006333A JP2010164732A JP 2010164732 A JP2010164732 A JP 2010164732A JP 2009006333 A JP2009006333 A JP 2009006333A JP 2009006333 A JP2009006333 A JP 2009006333A JP 2010164732 A JP2010164732 A JP 2010164732A
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ink
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Hiroshi Takiguchi
宏志 瀧口
Masaya Shibatani
正也 柴谷
Hiroshi Kiguchi
浩史 木口
Hidekazu Moriyama
英和 森山
Mitsuhiro Isobe
光宏 磯部
Homare Kuribayashi
誉 栗林
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Seiko Epson Corp
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Abstract

【課題】吐出安定性に優れるとともに、コントラスト比に優れた画像表示を行うことができ、各部位での色むら、濃度むらが抑制され、個体間での特性の均一性に優れたカラーフィルターの製造に好適に用いることができる、インクジェット方式のカラーフィルター用インクを提供すること。
【解決手段】本発明のカラーフィルター用インクは、インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるものであり、樹脂材料と着色剤と着色剤が溶解および/または分散する成分aおよび該成分aよりも高沸点であり、かつ樹脂材料との相溶性が成分aよりも高い成分bとを含み、前記樹脂材料は、式(17)で表わされる重合体Wを含むものである。
Figure 2010164732

【選択図】なし

Description

本発明は、カラーフィルター用インク、カラーフィルター用インクセット、カラーフィ
ルター用インクの製造方法、カラーフィルター、画像表示装置、および、電子機器に関す
る。
カラー表示を行う液晶表示装置(LCD)等には、一般に、カラーフィルターが用いら
れている。
カラーフィルターは、従来、着色剤、感光性樹脂、官能性モノマー、重合開始剤等を含
む材料(着色層形成用組成物)で構成された塗膜を基板上に形成し、その後、フォトマス
クを介して光を照射する感光処理、現像処理等を行う、いわゆるフォトリソグラフィー法
を用いて製造されてきた。このような方法では、通常、基板のほぼ全面に、各色に対応す
る塗膜を形成し、その一部のみを硬化させ、それ以外の大部分を除去するという操作を繰
り返すことにより、各色が重なり合わないようにカラーフィルターを製造する。このため
、カラーフィルターの製造において形成される塗膜は、最終的に得られるカラーフィルタ
ーには、その一部のみが着色層として残存するのみで、その大部分が製造工程において除
去されることとなる。このため、カラーフィルターの製造コストが上昇するばかりでなく
、省資源の観点からも好ましくない。
一方、近年、インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)を用いて、カラーフィルターの
着色層を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このようなインク
ジェットヘッドを用いたカラーフィルターの製造方法では、特許文献1に記載されている
ように、各色のインクが混色するのを防止するための隔壁(バンク)が設けられた基板上
に、インクを吐出、乾燥させることにより各色の着色部で構成された着色層を形成する。
このような方法では、着色層形成用の材料(着色層形成用組成物)の液滴の吐出位置等の
制御が容易で、着色層形成用組成物の無駄を少なくすることができるため、環境への負荷
を低減することができ、また、製造コストも抑制することができる。
しかしながら、特許文献1に記載されたような製造方法では、形成される各着色部の厚
さにばらつきが生じるという問題が生じることがあった。このような問題が生じると、着
色部の各部位において、色むら、濃度むらが発生してしまい、結果として、カラーフィル
ターの各部位での色むら、濃度むら等が発生してしまう。また、製造される多数のカラー
フィルター間での特性(特に、コントラスト比、色再現域等の色特性)にばらつきを生じ
、カラーフィルターの信頼性は低いものとなってしまう。特に、大型の液晶表示装置用の
カラーフィルターを製造する際に、このような問題は顕著なものであった。
特開2002−372613号公報
本発明の目的は、吐出安定性に優れるとともに、コントラスト比に優れた画像表示を行
うことができ、各部位での色むら、濃度むらが抑制され、個体間での特性の均一性に優れ
たカラーフィルターの製造に好適に用いることのできるインクジェット方式のカラーフィ
ルター用インクを提供すること、かかるカラーフィルター用インクを備えたカラーフィル
ター用インクセットを提供すること、かかるカラーフィルター用インクの製造方法を提供
すること、コントラスト比に優れた画像表示を行うことができ、各部位での色むら、濃度
むらが抑制され、個体間での特性の均一性に優れたカラーフィルターを提供すること、ま
た、該カラーフィルターを備えた画像表示装置、電子機器を提供することにある。
このような目的は下記の本発明により達成される。
本発明のカラーフィルター用インクは、インクジェット方式によるカラーフィルターの
製造に用いられるカラーフィルター用インクであって、
着色剤と、樹脂材料と、当該樹脂材料を溶解する溶媒とを含み、
前記溶媒は、成分aと、成分aよりも沸点の高い成分bとを含み、
前記樹脂材料は、下記式(1)で表される単量体成分w1と下記式(2)で表される単
量体成分w2と下記式(3)で表される単量体成分w3と下記式(4)で表される単量体
成分w4とを含む重合体W、下記式(5)で表される単量体成分z1と下記式(6)で表
される単量体成分z2と下記式(7)で表される単量体成分z3とを含む重合体Zのうち
の少なくとも一方を含むものであり、
前記樹脂材料の溶解度パラメータをSP(R)[(cal/cm3)1/2]、前記成分aの溶解度パ
ラメータをSP(a)[(cal/cm3)1/2]、前記成分bの溶解度パラメータをSP(b)[(ca
l/cm3)1/2]としたとき、|SP(R)−SP(b)|≦|SP(R)−SP(a)|の関
係を満足することを特徴とする。
Figure 2010164732
Figure 2010164732
Figure 2010164732
Figure 2010164732
Figure 2010164732
Figure 2010164732
Figure 2010164732
これにより、吐出安定性に優れるとともに、コントラスト比に優れた画像表示を行うこ
とができ、各部位での色むら、濃度むらが抑制され、個体間での特性の均一性に優れたカ
ラーフィルターの製造に好適に用いることのできるインクジェット方式のカラーフィルタ
ー用インクを提供することができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記樹脂材料は前記重合体Wを含むものであ
り、
前記重合体Wを構成する全成分に占める前記単量体成分w1の含有率が、25〜75w
t%であり、
前記重合体Wを構成する全成分に占める前記単量体成分w2の含有率が、2〜25wt
%であり、
前記重合体Wを構成する全成分に占める前記単量体成分w3の含有率が、5〜50wt
%であり、
前記重合体Wを構成する全成分に占める前記単量体成分w4の含有率が、3〜40wt
%であることが好ましい。
このような樹脂材料が含まれることにより、ヘッドからのインクの吐出安定性が特に優
れたものとなる。また、形成される着色部は、着色剤がより均一に分散したものとなると
ともに、硬度、カラーフィルター基板との密着性に特に優れたものとなる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記樹脂材料は前記重合体Zを含むものであ
り、
前記重合体Zを構成する全成分に占める前記単量体成分z1の含有率が、50〜95w
t%であり、
前記重合体Zを構成する全成分に占める前記単量体成分z2の含有率が、3〜35wt
%であり、
前記重合体Zを構成する全成分に占める前記単量体成分z3の含有率が、3〜35wt
%であることが好ましい。
このような樹脂材料が含まれることにより、ヘッドからのインクの吐出安定性が特に優
れたものとなる。また、形成される着色部は、着色剤がより均一に分散したものとなると
ともに、硬度、カラーフィルター基板との密着性に特に優れたものとなる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、カラーフィルター用インク中に含まれる前記
樹脂材料、前記成分a、および前記成分bは、0.9≦|SP(R)−SP(a)|≦3
.0、および|SP(R)−SP(b)|≦0.8の関係を満足することが好ましい。
これにより、液滴吐出ヘッドからのインクの吐出安定性が特に優れたものとなり、形成
される各着色部の厚さはより均一なものとなる。また、形成される着色部は、その表面が
確実に平坦化されたものとなる。その結果、製造されるカラーフィルターは、コントラス
ト比に特に優れた画像表示を行うことができるとともに、各部位での色むら、濃度むら等
をより効果的に抑制することができ、個体間での特性の均一性を特に優れたものとするこ
とができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、大気圧下における前記成分aの沸点をTbp
a)[℃]、大気圧下における前記成分bの沸点をTbp(b)[℃]としたとき、10≦T
bp(b)−Tbp(a)≦70であることが好ましい。
これにより、製造されるカラーフィルターは、コントラスト比に特に優れた画像表示を
行うことができるとともに、各部位での色むら、濃度むら等をより効果的に抑制すること
ができ、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、カラーフィルター用インク中における前記成
分aの含有率をCa[wt%]、前記成分bの含有率をCb[wt%]としたとき、2≦C
a/Cb≦30であることが好ましい。
これにより、液滴吐出ヘッドより吐出される各インクの吐出量がより安定化するととも
に、形成される各着色部の厚さはより均一なものとなる。その結果、製造されるカラーフ
ィルターの各部位での色むら、濃度むら等をより効果的に抑制することができるとともに
、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記成分bは、25℃における粘度が、3.
5〜400mPa・sであるグリコール縮合物、グリコール縮合物のアルキルエーテルの
うちの少なくとも一方を含むものであることが好ましい。
このような成分bは、樹脂材料中を構成する重合体Wおよび/または重合体Zとの親和
性に特に優れたものである。そのため、着色部形成時にインクの固形分濃度が高くなった
際にも、樹脂材料が析出、凝集するのがより確実に防止される。また、このような成分b
は、重合体Wおよび/または重合体Zに取り込まれ易く、インクを乾燥する過程で、成分
bの蒸発する速度が緩やかになる。その結果、形成される着色部中に気泡が含まれるのが
確実に防止されるとともに、着色部表面の平坦性が特に優れたものとなる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記樹脂材料は、さらに、下記式(8)で表
される単量体成分x1と下記式(9)で表される単量体成分x2と下記式(10)で表さ
れる単量体成分x3と下記式(11)で表される単量体成分x4とを含む重合体Xを含む
ものであることが好ましい。
Figure 2010164732
Figure 2010164732
Figure 2010164732
Figure 2010164732
これにより、インクの吐出安定性はさらに優れたものとなるとともに、形成される着色
部は、その表面が確実に平坦化されるとともに、耐久性に優れたものとなる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記樹脂材料は、さらに、下記式(12)で
表される単量体成分y1と下記式(13)で表される単量体成分y2とを含む重合体Yを
含むものであることが好ましい。
Figure 2010164732
Figure 2010164732
これにより、インクの吐出安定性はさらに優れたものとなるとともに、形成される着色
部は、その表面が確実に平坦化されるとともに、耐久性に優れたものとなる。
本発明のカラーフィルター用インクセットは、異なる複数色のカラーフィルター用イン
クを備えるカラーフィルター用インクセットであって、
前記カラーフィルター用インクとして、本発明のカラーフィルター用インクを備えるこ
とを特徴とする。
これにより、吐出安定性に優れるとともに、コントラスト比に優れた画像表示を行うこ
とができ、各部位での色むら、濃度むらが抑制され、個体間での特性の均一性に優れたカ
ラーフィルターの製造に好適に用いることのできるインクジェット方式のカラーフィルタ
ー用インクセットを提供することができる。
本発明のカラーフィルター用インクの製造方法は、インクジェット方式によるカラーフ
ィルターの製造に用いられ、顔料と樹脂材料と当該樹脂材料を溶解する溶媒とを含むカラ
ーフィルター用インクの製造方法であって、
重合体が溶解した重合体溶液を調製する重合体溶液調製工程と、
前記重合体溶液に顔料を添加し、ビーズミルを用いて微分散処理を行い、顔料分散体を
得る微分散工程とを有し、
前記溶媒は、成分aと、成分aよりも沸点の高い成分bとを有し、
前記重合体は、下記式(1)で表される単量体成分w1と下記式(2)で表される単量
体成分w2と下記式(3)で表される単量体成分w3と下記式(4)で表される単量体成
分w4とを含む重合体W、下記式(5)で表される単量体成分z1と下記式(6)で表さ
れる単量体成分z2と下記式(7)で表される単量体成分z3とを含む重合体Zのうちの
少なくとも一方を含むものであり、
前記重合体の溶解度パラメータをSP(R)[(cal/cm3)1/2]、前記成分aの溶解度パラ
メータをSP(a)[(cal/cm3)1/2]、前記成分bの溶解度パラメータをSP(b)[(cal/
cm3)1/2]としたとき、|SP(R)−SP(b)|≦|SP(R)−SP(a)|の関係
を満足することを特徴とする。
Figure 2010164732
Figure 2010164732
Figure 2010164732
Figure 2010164732
Figure 2010164732
Figure 2010164732
Figure 2010164732
これにより、吐出安定性に優れるとともに、コントラスト比に優れた画像表示を行うこ
とができ、各部位での色むら、濃度むらが抑制され、個体間での特性の均一性に優れたカ
ラーフィルターの製造に好適に用いることのできるインクジェット方式のカラーフィルタ
ー用インクを提供することができる。
本発明のカラーフィルターは、本発明のカラーフィルター用インクを用いて製造された
ことを特徴とする。
これにより、コントラスト比に優れた画像表示を行うことができ、各部位での色むら、
濃度むらが抑制され、個体間での特性の均一性に優れたカラーフィルターを提供すること
ができる。
本発明のカラーフィルターは、本発明のカラーフィルター用インクセットを用いて製造
されたことを特徴とする。
これにより、コントラスト比に優れた画像表示を行うことができ、各部位での色むら、
濃度むらが抑制され、個体間での特性の均一性に優れたカラーフィルターを提供すること
ができる。
本発明の画像表示装置は、本発明のカラーフィルターを備えたことを特徴とする。
これにより、コントラスト比に優れた画像表示を行うことができ、各部位での色むら、
濃度むらが抑制され、個体間での特性の均一性に優れた画像表示装置を提供することがで
きる。
本発明の画像表示装置は、液晶パネルであることが好ましい。
これにより、コントラスト比に優れた画像表示を行うことができ、各部位での色むら、
濃度むらが抑制され、個体間での特性の均一性に優れた画像表示装置を提供することがで
きる。
本発明の電子機器は、本発明の画像表示装置を備えたことを特徴とする。
これにより、コントラスト比に優れた画像表示を行うことができ、各部位での色むら、
濃度むらが抑制され、個体間での特性の均一性に優れた電子機器を提供することができる
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
《カラーフィルター用インク》
本発明のカラーフィルター用インクは、カラーフィルターの製造(カラーフィルターの
着色部の形成)に用いられるインクであり、特に、インクジェット方式によるカラーフィ
ルターの製造に用いられるものである。なお、本明細書中、インクの乾燥とは、インク中
に含まれる液体成分(有機系の液体、水等)を揮発する(除去する)ことを指す。
カラーフィルター用インクは、着色剤、樹脂材料、樹脂材料が溶解する溶媒等を含むも
のである。なお、本発明のカラーフィルター用インクは、インク中に含まれる樹脂材料が
溶媒に溶解されたものであるため、樹脂材料が分散しているようなインクを用いた場合に
比べ、形成される着色部の表面の平滑性を高めることができる。
ところで、近年用いられているインクジェット方式によるカラーフィルターの製造では
、基板上に複数色のインクを、それぞれ吐出、乾燥させることにより各色に対応した着色
部を形成する。このような方法では、それ以前に広く用いられてきたフォトリソグラフィ
ー法に比べ、着色部形成用の材料(着色部形成用組成物)の無駄を少なくすることができ
るため、環境への負荷を低減することができ、また、製造コストも抑制することができる
しかしながら、従来、インクジェットヘッドを用いたカラーフィルターの製造方法では
、形成される各着色部の厚さにばらつきが生じるという問題があった。このような問題が
生じると、着色部の各部位において、色むら、濃度むらが発生してしまい、結果として、
カラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等が発生してしまう。また、製造される
多数のカラーフィルター間での特性(特に、コントラスト比、色再現域等の色特性)にば
らつきを生じ、カラーフィルターの信頼性は低いものとなってしまう。そして、上記のよ
うな傾向は、大型の液晶表示装置に用いられているカラーフィルター(例えば、対角線長
80cm以上のカラーフィルター)を製造したり、複数枚のカラーフィルターを連続的に
製造する場合において、特に顕著なものとなっていた。
上述したような問題を解決する手段として、まず、インクジェットヘッドから各セルへ
のインクの吐出量を均一化させる方法が考えられる。しかしながら、各セルへの吐出量を
均一にしても、各着色部の厚さのばらつきを十分に抑えることができないことが分かった
。本発明者らは、乾燥過程における吐出されたインクの状態に着目し、乾燥過程でのイン
クの粘度の変化、およびインク中に含まれる樹脂材料の溶解状態が、形成される着色部の
厚さにばらつきを与えているものと考え、鋭意研究を行った。そこで、本発明では、各セ
ルへのインクの吐出量を均一化させるとともに、インク中に含まれる溶媒として、特定の
関係を満足する複数種の成分を含むものを用いた。
すなわち、本発明では、カラーフィルター用インクが、後述するような樹脂材料を含む
とともに、溶媒として、成分aと、成分aよりも高い沸点を有し、かつ成分aよりもかか
る樹脂材料との相溶性が高い成分bとを含むものとした。
これにより、溶媒を構成する成分aおよび成分bが、後述するような樹脂材料を十分に
溶解することができるため、保存時におけるインク中での固形分(着色剤、樹脂材料、分
散剤等)の凝集や、インクの増粘現象等が確実に防止され、インクの吐出安定性が長期間
にわたって優れたものとなる。
そして、このようなカラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターは
、形成される着色部を、均一な厚さを有するものとすることができる。これは以下のよう
に説明することができる。
すなわち、基板上に吐出されたインクを乾燥させる過程で、インク中から相対的に蒸気
圧の高い低沸点の成分aが優先的に蒸発する。これにより、インク中の成分bの濃度が高
くなる。このような成分bは、成分aよりも樹脂材料との相溶性が極めて高い成分である
ため、インク中の溶媒の含有比率が比較的低くなっても、樹脂材料は、インク中で溶解し
た状態を維持する。その結果、インク乾燥過程において、インク中の固形分濃度が高くな
った場合でも、インクの流動性は保持される。また、カラーフィルター用インクは、溶媒
が一定量除去された時点では、粘度が比較的高くなっており、セル中でのインクの熱対流
が抑制されたものとなっている。また、このようにセル中でのインクの熱対流が抑制され
ると、セル内のインクに熱分布が生じるのが防止される結果、インク中の溶媒の蒸発が特
定の部位から起こるのを確実に防止することができる。
このように、着色部形成時において、比較的長い間、カラーフィルター用インクの対流
が抑制されつつ、カラーフィルター用インクが流動性を有することにより、セル中のカラ
ーフィルター用インクは、その表面が平坦な状態で流動性を失い、固化することができる
。このようにして得られる着色部は、各着色部間での厚さのばらつきが抑えられるととも
に、その表面が十分に平坦化されたものとなる。その結果、製造されるカラーフィルター
は、各部位での色むら、濃度むらが抑制され、個体間での特性の均一性に優れるとともに
、コントラスト比に優れた画像表示を行うことができるものとなる。また、上述したよう
なカラーフィルター用インクを用いれば、十分に薄い着色部を形成する際にも、着色部の
表面を十分に平坦化させることができる。したがって、本発明によれば、薄型のカラーフ
ィルターを製造するのに好適なカラーフィルター用インクを提供することができる。また
、このようなインクは、乾燥過程で固形分濃度が十分に高くなった状態でも、インク中の
樹脂材料の濃度を均一なものとすることができる。その結果、形成される着色部は、含ま
れる樹脂材料が、着色部全体で均一に分散したものとなり、着色部内部の歪が低減される
ことにより着色部と基板との密着性、および着色部の耐衝撃性が優れたものとなり、製造
されるカラーフィルターの耐久性は優れたものとなる。
本発明のカラーフィルター用インクは、インク中に含まれる溶媒が、上述したよな成分
aと、成分bとを両方含むものであるが、より具体的には、相溶性の指標である溶解度パ
ラメータを用いて、後述する関係を満足するものである。以下、溶解度パラメータ(SP
値)について説明する。
溶解度パラメータ(SP値)δ[(cal/cm3)1/2]は、複数の物質の相溶性および親和性の
指標として用いられるものであり、下記式(I)に表される式で定義される。
δ=(ΔEV/V01/2÷2.046[(cal/cm3)1/2]‥‥(I)
ただし、ΔE[106N・m・mol-1]は蒸発熱、V0 [m2・mol-1]は1molあたりの体積
である。二つの物質の溶解度パラメータの差は、その二つの物質が相溶するために必要な
エネルギーと密接な関係が有り、溶解度パラメータの差が小さいほど二つの物質が相溶す
るために必要なエネルギーは小さなものとなる。すなわち、二つの物質が存在した場合、
一般に、溶解度パラメータの差が小さいほど、親和性が高く、相溶性が高いものとなる。
溶解度パラメータは、実験によって求めることもできるが、計算によって求めることも
できる。計算によって溶解度パラメータを求める方法は、いくつか提案されており、例え
ば、比較的高分量の材料に関しては、Smallの方法(P.A.Small:J.Ap
pl.Chem,3,71(1953))を用いることができる。また、比較的低分子量
の材料に関しては、Hildebrandの方法 (J.H.Hildebrand an
d R.L.Scott:The Solubility of Non−Electr
olytes,ACS Monograph Series,1950)を用いることがで
きる。これらの方法を用いることにより、溶解度パラメータをより妥当な値として得るこ
とができ、溶解度パラメータを求めることが容易なものとなる。
このため、本発明では、溶解度パラメータは、樹脂材料に関しては、Smallの方法
を用い、溶媒を構成する液体に関しては、Hildebrandの方法を用いることで、
容易に溶解度パラメータとして妥当な値が得ることができる。また、上述したような方法
で計算ができない材料に関しては、「溶解性テスト」(「溶剤ポケットハンドブック」、
p22、有機合成化学協会編)に準拠して、溶解度パラメータを求めることができる。な
お、材料の溶解度パラメータが公知である場合、溶解度パラメータは、その値を用いるも
のであっても良い。
本発明のカラーフィルター用インクは、上述したような溶解度パラメータ、および溶媒
の構成成分である成分a、成分bの沸点を用いて以下のような関係を満足するものである
。すなわち、インク中に含まれる樹脂材料の溶解度パラメータをSP(R)[(cal/cm3)1/
2]、成分aの溶解度パラメータをSP(a)[(cal/cm3)1/2]、沸点をTbp(a)[℃]、
また、成分bの溶解度パラメータをSP(b)[(cal/cm3)1/2]、沸点をTbp(b)[℃]
としたとき、|SP(R)−SP(b)|≦|SP(R)−SP(a)|、およびTbp
a)≦Tbp(b)の関係を満足するものである。カラーフィルター用インクが上記の条件
を満足することにより、上述したような効果を確実に得ることができる。
このように、本発明では、カラーフィルター用インクが、後述するような特定の樹脂材
料と上述したような溶媒としての成分aおよび成分bとを含むことにより、上述したよう
な効果を得られるのであって、インクの構成成分として、これらのいずれかが欠けていて
も、本発明の効果は得られない。
すなわち、カラーフィルター用インク中に含まれる溶媒が、上述したような成分aのみ
で構成されたものである場合には、インク乾燥時に、インク中の溶媒含有率がある一定値
を下回った時点で、樹脂材料、着色剤等が析出したり、凝集してしまい、インクの分散安
定性が低下する。このようなインクでは、溶媒が一定量除去された時点で、粘度が急激に
高くなり、インクの流動性が失われる結果、インク表面の形状が不均一な状態にもかかわ
らずインク中の固形分の移動がなくなるため、形成される着色部の厚さにばらつきが生じ
、中央が盛り上がるなど、その表面形状を十分に平坦なものとすることができなくなる。
また、カラーフィルター用インク中に含まれる溶媒が、上述したような成分bのみで構
成されたものである場合には、インク乾燥時に、インク中の溶媒の含有比率が比較的低く
なっても、インク中での樹脂材料の溶解状態が維持され、インク中での固形分の析出、凝
集を防止することができる。しかしながら、このようなインクは、インク中に含まれる溶
媒を完全に除去するのに、樹脂の硬化反応温度以下で長時間の熱処理を要するものであり
、着色部形成時に、着色部を構成する材料(例えば、着色剤、樹脂材料、分散剤等)を劣
化させてしまう。その結果、形成される着色部は透明性が失われたり、ひび割れ等が生じ
、得られるカラーフィルターを、十分なコントラスト比を有するものとすることができな
い。また、このような成分bは、比較的高粘度の液体であるので、インク中の溶媒が成分
bのみで構成されたものであると、インクの吐出性が劣ってしまうか、全く吐出できない
上述したように、本発明のカラーフィルター用インクは液体成分として、互いに沸点の
異なる成分aと、成分aよりも高い沸点を有する成分bとを有するものであるが、大気圧
下における成分aの沸点をTbp(a)[℃]、大気圧下における成分bの沸点をTbp(b
)[℃]としたとき、10≦Tbp(b)−Tbp(a)≦70であるのが好ましく、12≦
bp(b)−Tbp(a)≦60であるのがより好ましい。これにより、着色部形成時にお
いて、より長時間にわたって、カラーフィルター用インクの対流が抑制されるとともに、
カラーフィルター用インクの流動性が保持される。結果として、セル中のカラーフィルタ
ー用インクは、その表面がより平坦な状態で流動性を失い、固化するため、形成される着
色部の厚さはより均一なものとなるとともに、着色部の表面をより確実に平坦化すること
ができる。また、表示される画像がフルカラーとなるカラーフィルターの製造に用いられ
るような、複数色のインク間では、インク中に含まれる着色剤、および樹脂材料の含有量
が各色で異なるのが一般的である。このように、各色のインク中に含まれる固形分の含有
量が互いに異なる場合であっても、溶媒として含まれる成分aと成分bとが上記条件を満
足することにより、各色のインクを用いて形成される各色の着色部のいずれもが、同じ乾
燥条件で、その表面が確実に平坦化されたものとなる。
また、カラーフィルター用インク中に含まれる樹脂材料と成分aとの溶解度パラメータ
の差の絶対値|SP(R)−SP(a)|(以下、単にΔSP(Ra)ともいう。)[(ca
l/cm3)1/2]は、0.9≦ΔSP(Ra)≦3.0の関係を満足するのが好ましく、1.0
≦ΔSP(Ra)≦2.5の関係を満足するのがより好ましい。これにより、インク中の
樹脂材料をより好適に溶媒中に溶解させることができ、保存時におけるインク中の固形分
の析出、凝集の発生をより確実に防止することができる。その結果、保存時におけるイン
クの粘度を十分に低いものとすることができ、液滴吐出ヘッドよりインクを吐出する際、
液滴吐出ヘッドからのインクの吐出量はより均一化する。また、セル中に吐出したインク
を乾燥させる際に、インクの対流がより確実に抑えられつつも、インクの流動性が保持さ
れる。このようにして得られる着色部は、各着色部間での厚さのばらつきがより確実に抑
えられるとともに、その表面の平坦性を特に優れたものとすることができる。その結果、
得られたカラーフィルターは、明度およびコントラスト比に優れた画像表示を行うことが
できるものとなるとともに、各部位での色むら、濃度むら等の発生をより確実に防止する
ことができ、個体間での特性の均一性を特に優れたものとなる。
また、カラーフィルター用インク中に含まれる樹脂材料と成分bとの溶解度パラメータ
の差の絶対値|SP(R)−SP(b)|(以下、単にΔSP(Rb)ともいう。)[(ca
l/cm3)1/2]は、ΔSP(Rb)≦0.8の関係を満足するのが好ましく、ΔSP(Rb)
≦0.7の関係を満足するのがより好ましい。これにより、インク中の樹脂材料をより好
適に溶媒中に溶解させることができ、保存時におけるインク中の固形分の析出、凝集の発
生をより確実に防止することができる。その結果、保存時におけるインクの粘度を十分に
低いものとすることができ、液滴吐出ヘッドよりインクを吐出する際、液滴吐出ヘッドか
らのインクの吐出量はより均一化する。また、セル中に吐出したインクを乾燥させる際に
、インクの対流がより確実に抑えられつつも、インクの流動性が保持される。このように
して得られる着色部は、各着色部間での厚さのばらつきがより確実に抑えられるとともに
、その表面の平坦性を特に優れたものとすることができる。その結果、得られたカラーフ
ィルターは、明度およびコントラスト比に優れた画像表示を行うことができるものとなる
とともに、各部位での色むら、濃度むら等の発生をより確実に防止することができ、個体
間での特性の均一性を特に優れたものとなる。また、上述したような条件を満足する成分
bを用いることにより、固形分濃度が高くなったインク中においても、樹脂材料が均一に
溶解しており、形成される着色部における樹脂材料の濃度は、着色部全体でむらのない、
より均一なものとなる。その結果、形成される着色部と基板との密着性、および着色部の
耐衝撃性が特に優れたものとなり、製造されるカラーフィルターの耐久性はより優れたも
のとなる。
以下、カラーフィルター用インクの構成成分について詳細に説明する。
<着色剤>
カラーフィルターは、通常、異なる複数色の着色部(一般に、RGBに対応する3色の
着色部)を有している。着色剤は、通常、形成すべき着色部の色調に応じて選択される。
カラーフィルター用インクを構成する着色剤としては、例えば、各種顔料、各種染料を用
いることができる。
顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,
9,10,11,12,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30
,31,32,37,38,40,41,42,48:1,48:2,48:3,48:
4,49:1,49:2,50:1,52:1,53:1,57,57:1,57:2,
58:2,58:4,60:1,63:1,63:2,64:1,81,81:1,83
,88,90:1,97,101,102,104,105,106,108,108:
1,112,113,114,122,123,144,146,149,150,15
1,166,168,170,171,172,174,175,176,177,17
8,179,180,185,187,188,190,193,194,202,20
6,207,208,209,215,216,220,224,226,242,24
3,245,254,255,264,265;C.I.ピグメントグリーン7,36,
15,17,18,19,26,50,58;C.I.ピグメントブルー1,15,15
:1,15:2,15:3,15:4,15:6,17:1,18,60,27,28,
29,35,36,60,80;C.I.ピグメントイエロー1,3,12,13,14
,15,16,17,20,24,31,34,35,35:1,37,37:1,42
,43,53,55,60,61,65,71,73,74,81,83,93,94,
95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113
,114,116,117,119,120,126,127,128,129,138
,139,150,151,152,153,154,155,156,157,166
,168,175,180,184,185;C.I.ピグメントバイオレット1,3,
14,16,19,23,29,32,36,38,50;C.I.ピグメントオレンジ
1,5,13,14,16,17,20,20:1,24,34,36,38,40,4
3,46,49,51,61,63,64,71,73,104;C.I.ピグメントブ
ラウン7,11,23,25,33;C.I.ピグメントブラック1,7や、これらの誘
導体等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いること
ができる。
カラーフィルター用インクが、着色剤として顔料を含むものであると、形成されるカラ
ーフィルター(着色部)の耐光性、耐熱性を向上させる上で有利である。また、顔料を含
むインクを用いることにより、着色剤として染料のみを用いたインクを用いる場合に比べ
て、より鮮明な画像表示が可能なカラーフィルターを得ることができる。しかしながら、
カラーフィルター用インクが、着色剤として顔料を含むものである場合、従来においては
、カラーフィルター用インクを長期間使用すると、カラーフィルター用インク中における
着色剤の分散性が低下し易く、着色剤として染料のみを用いた場合に比べて、液滴の吐出
安定性が低下しやすいという問題があった。これに対して、本発明では、着色剤として顔
料を含むものとすることにより、インク中に含まれる樹脂材料が、顔料を溶媒中に微分散
させる効果を発現し、インクの長期間にわたる吐出安定性が確保されるとともに、得られ
るカラーフィルターは鮮明で、高画質なものとなる。すなわち、カラーフィルター用イン
クが、着色剤として顔料を含む場合、本発明の効果がより顕著に発揮される。なお、この
ような樹脂材料については、後に詳述する。
また上述したような顔料の中でも、カラーフィルター用インクが、顔料(赤色顔料)と
して、C.I.ピグメントレッド177とその誘導体、および/または、C.I.ピグメ
ントレッド254とその誘導体を含むものであると、当該カラーフィルター用インク(赤
色のカラーフィルター用インク)の発色性を特に優れたものとすることができる。また、
後に詳述するような分散剤、樹脂材料と併用することによる効果がより顕著に発揮され、
カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を優れたものとすることがで
きる。この結果、着色部形成時におけるカラーフィルター用インクのチキソトロピック性
の上昇を抑制することができるとともに、セルへのインク付与時においては、カラーフィ
ルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
C.I.ピグメントレッド177の誘導体、C.I.ピグメントレッド254の誘導体
として、下記式(14)または下記式(15)で示される化合物(誘導体)を含有するも
のである場合、上述したような効果がさらに顕著に発揮される。
Figure 2010164732
Figure 2010164732
また、特に、カラーフィルター用インクが、顔料(緑色顔料)として、C.I.ピグメ
ントグリーン58(臭素化亜鉛フタロシアニン顔料)を含むものであると、当該カラーフ
ィルター用インク(緑色のカラーフィルター用インク)の発色性を特に優れたものとする
ことができる。また、C.I.ピグメントグリーン58は、明度に優れるという特徴を有
しているものの、従来においては、安定的に分散させるのが極めて困難な材料であった。
しかしながら、本発明者は、C.I.ピグメントグリーン58を含む場合であっても、ス
ルホン化された顔料誘導体を副顔料として同時に含むことにより、カラーフィルター用イ
ンク中における分散安定性を優れたものとすることができることを見出した。これにより
、カラーフィルター用インクの発色性をさらに優れたものとすることができるとともに、
着色部形成時において、顔料が高濃度化することによるカラーフィルター用インクのチキ
ソトロピック性の上昇を抑制することができる。また、カラーフィルター用インク中にお
ける顔料の長期保存性、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとする
ことができる。
顔料として、C.I.ピグメントグリーン58とスルホン化された顔料誘導体とを含む
場合、スルホン化された顔料誘導体として、下記式(16)で示される化合物(誘導体)
を含有するのが好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の
分散安定性を特に優れたものとすることができるとともに、製造されるカラーフィルター
において、より優れたコントラストの画像を表示することができる。
Figure 2010164732
このように、特定の化学構造を有する顔料誘導体(副顔料)を、C.I.ピグメントグ
リーン58(主顔料)とともに用いることにより、上記のような優れた効果が得られるこ
とは、本発明者が鋭意研究を行った結果、見出したことであり、そのメカニズムの詳細は
不明であるが、以下のような理由によるものであると考えられる。
C.I.ピグメントグリーン58を構成する臭素化フタロシアニンは、分子全体として
、高度な共役系が形成されており、平面的な構造となるのが、エネルギー的に安定してい
る。そして、臭素化フタロシアニンは、平面状の各分子が積層されるように(平行に)配
置することにより、各分子間が有する共役系のπ電子が重なり合った、安定した状態にな
る。このため、C.I.ピグメントグリーン58は、本来、凝集し易く、溶媒中に安定的
に分散させるのが困難である。
一方、上記のような顔料誘導体では、式(16)中において窒素原子に結合している水
素原子は、フタルイミド構造を構成する酸素原子との間で、水素結合を形成する。このよ
うなことから、式(16)中において窒素原子に結合している水素原子は、実体的には、
キノリン構造を構成する窒素原子とともに、フタルイミド構造を構成する酸素原子とも強
固に結合しており、上記のような顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)では、式(16)
中において1〜7の番号を付した7原子による安定的な環構造(7員環構造)が形成され
ている。このような7員環構造を形成することにより、キノリン構造による平面と、フタ
ルイミド構造による平面とは、非平行状態をとることになる。
このように、キノリン構造による平面と、フタルイミド構造による平面とが、非平行と
なることにより、C.I.ピグメントグリーン58(臭素化フタロシアニン)に対して適
度な親和性を有する顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)が、C.I.ピグメントグリー
ン58の分子間に入り込み、上記のように、本来、凝集し易いC.I.ピグメントグリー
ン58を凝集しにくいものとすることができる。さらに、上記のような顔料誘導体(スル
ホン化顔料誘導体)は、分子内にスルホ基を有しているため、後述する溶媒に対する分散
性に優れている。以上のようなことが、相乗的に作用し合い、上記のような非常に優れた
効果が得られるものと考えられる。
C.I.ピグメントグリーン58と上記のような顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)
とを含む場合、カラーフィルター用インク中における顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体
)の含有率は、特に限定されないが、C.I.ピグメントグリーン58(主顔料):10
0重量部に対して、2〜32重量部であるのが好ましく、7〜28重量部であるのがより
好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を優
れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターのコントラスト比、明
度を特に優れたものとすることができる。
また、特に、カラーフィルター用インクが、顔料(青色顔料)として、C.I.ピグメ
ントブルー15:6を含むものであると、当該カラーフィルター用インク(青色のカラー
フィルター用インク)の発色性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィ
ルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。
カラーフィルター用インクが着色剤として顔料を含むもの(顔料インク)である場合、
顔料の平均粒径は、10〜200nmであるのが好ましく、20〜180nmであるのが
より好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性や、
カラーフィルターインクの吐出安定性を十分に優れたものとしつつ、カラーフィルター用
インクを用いて製造されるカラーフィルターの耐久性(耐光性等)を十分に優れたものと
し、カラーフィルターにおける発色性、コントラスト等を特に優れたものとすることがで
きる。
また、染料としては、例えば、アゾ染料、アントラキノン染料、縮合多環芳香族カルボ
ニル染料、インジゴイド染料、カルボニウム染料、フタロシアニン染料、メチン,ポリメ
チン染料等が挙げられる。染料の具体例としては、例えば、C.I.ダイレクトレッド2
,4,9,23,26,28,31,39,62,63,72,75,76,79,80
,81,83,84,89,92,95,111,173,184,207,211,2
12,214,218,221,223,224,225,226,227,232,2
33,240,241,242,243,247;C.I.アシッドレッド35,42,
51,52,57,62,80,82,111,114,118,119,127,12
8,131,143,145,151,154,157,158,211,249,25
4,257,261,263,266,289,299,301,305,319,33
6,337,361,396,397;C.I.リアクティブレッド3,13,17,1
9,21,22,23,24,29,35,37,40,41,43,45,49,55
;C.I.ベーシックレッド12,13,14,15,18,22,23,24,25,
27,29,35,36,38,39,45,46;C.I.ダイレクトバイオレット7
,9,47,48,51,66,90,93,94,95,98,100,101;C.
I.アシッドバイオレット5,9,11,34,43,47,48,51,75,90,
103,126;C.I.リアクティブバイオレット1,3,4,5,6,7,8,9,
16,17,22,23,24,26,27,33,34;C.I.ベーシックバイオレ
ット1,2,3,7,10,15,16,20,21,25,27,28,35,37,
39,40,48;C.I.ダイレクトイエロー8,9,11,12,27,28,29
,33,35,39,41,44,50,53,58,59,68,87,93,95,
96,98,100,106,108,109,110,130,142,144,16
1,163;C.I.アシッドイエロー17,19,23,25,39,40,42,4
4,49,50,61,64,76,79,110,127,135,143,151,
159,169,174,190,195,196,197,199,218,219,
222,227;C.I.リアクティブイエロー2,3,13,14,15,17,18
,23,24,25,26,27,29,35,37,41,42;C.I.ベーシック
イエロー1,2,4,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,
29,32,36,39,40;C.I.アシッドグリーン16;C.I.アシッドブル
ー9,45,80,83,90,185;C.I.ベーシックオレンジ21,23等が挙
げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
カラーフィルター用インク中における着色剤の含有率は、2〜25wt%であるのが好
ましく、3〜20wt%であるのがより好ましい。着色剤の含有率が前記範囲内の値であ
ると、カラーフィルター用の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)からの吐出性(吐
出安定性)を特に優れたものとしつつ、製造されるカラーフィルターの耐久性を優れたも
のとすることができる。また、製造されるカラーフィルターにおいて、十分な色濃度を確
保することができる。
<溶媒>
溶媒は、カラーフィルター用インクにおいて、インク中に含まれる樹脂材料を溶解する
機能を有するものである。また、このような溶媒は、上述したような着色剤を溶解および
/または分散する機能も有している。そして、通常、カラーフィルター用インクを構成す
る溶媒は、カラーフィルターを製造する過程において、その大部分が除去されるものであ
る。
本発明において、このような溶媒は、互いに沸点の異なる成分aと、成分aよりも高い
沸点を有し、かつ、後述する樹脂材料に対する相溶性が成分aよりも高い成分bとを含む
ものである。カラーフィルター用インクを構成する溶媒が、このような成分を含むことに
より、形成される着色部の厚さを均一なものとすることができるとともに、その表面形状
を確実に平坦化することができる。その結果、製造されるカラーフィルターはコントラス
ト比に優れた画像表示を行うことができるものとなるとともに、各部位での色むら、濃度
むらが抑制され、個体間での特性の均一性に優れたものとなる。
<成分a>
カラーフィルター用インク中に含まれる成分aは、例えば、エステル化合物、エーテル
化合物、ヒドロキシケトン、炭酸ジエステル、環状アミド化合物等を用いることができ、
中でも、(1)多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、
ブチレングリコール、グリセリン等)の縮合物としてのエーテル(多価アルコールエーテ
ル)や、多価アルコールまたは多価アルコールエーテルのアルキルエーテル(例えば、メ
チルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル等)、エステル(例
えば、ホルメート、アセテート、プロピオネート等)、(2)多価カルボン酸(例えば、
こはく酸、グルタル酸等)のエステル(例えば、メチルエステル等)、(3)分子内に少
なくとも1つの水酸基と少なくとも1つのカルボキシル基とを有する化合物(ヒドロキシ
酸)のエーテル、エステル等、(4)多価アルコールとホスゲンとの反応で得られるよう
な化学構造を有する炭酸ジエステルが好ましい。成分aとして用いることのできる化合物
としては、例えば、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコー
ルジメチルエーテル、ジプロピレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジエチレン
グリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、オクタン酸
エチル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエ
ーテルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、3−メトキシブチルアセ
テート(メトアセ)、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジクロヘキサノールアセテート
、プロピレングリコールアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,3−
ブチレングリコールジアセテート、2−エチルヘキサノール、ジプロピレングリコールn
−ブチルエーテル、グルタン酸ジメチル、コハク酸ジメチル、ジエチレングリコールモノ
エチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコ
ールモノブチルエーテルアセテート、1−ブトキシ−2−プロパノール、ジエチレングリ
コールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ
−n−ブチルアセテート、ジアセチン、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、
ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ブチルグリコレート、エチレングリコール
モノヘキシルエーテル、N−メチル−2−ピロリドン、トリエチレングリコールブチルメ
チルエーテル、ビス(2−プロポキシエチル)エーテル、ジエチレングリコールジアセテ
ート、ジエチレングリコールブチルエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルプロピ
ルエーテル、ジエチレングリコールエチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールメチ
ルプロピルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレン
グリコールメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールエチルエーテルアセテー
ト、トリエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールブチ
ルエーテルアセテート、トリエチレングリコールブチルエチルエーテル、トリエチレング
リコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルプロピルエーテル、トリ
エチレングリコールメチルプロピルエーテル、n−ノニルアルコール、ジエチレングリコ
ールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコ
ール−2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエ
チレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、
ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、またはトリプロピレングリコ
ールn−ブチルエーテル等が挙げられる。
特に、成分aとしては、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、3−エトキシプロ
ピオン酸エチル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジプロピレングリコール
メチルエーテルアセテート、およびエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、
1,3−ブチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテ
ートよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものであるのが好ましい。これ
により、液滴吐出ヘッドより吐出される各インクの吐出量がより均一化されるとともに、
インク中に含まれる樹脂材料がより確実に溶媒に溶解したものとなり、インク乾燥時にお
けるインクの流動性をより長い間保持させることができる。その結果、製造されるカラー
フィルターの各部位での色むら、濃度むら等をより効果的に抑制することができるととも
に、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができる。また、形成される着
色部の表面形状をより平坦化させることができ、製造されるカラーフィルターは、コント
ラスト比に特に優れたものとなる。
また、成分aの大気圧(1気圧)下における沸点は、150〜270℃であるのが好ま
しく、180〜260℃であるのがより好ましく、210〜250℃であるのがさらに好
ましい。成分aの沸点が前記範囲内の値であると、基板上に吐出されたインクは、乾燥過
程において、より好適に粘度上昇するものとなる。これにより、セル内のインクの対流が
より効率良く抑制され、形成される各着色部の厚さはより均一なものとなるとともに、そ
の表面はより確実に平坦化される。
また、成分aの25℃における粘度は、特に限定されないが、0.5〜5.0mPa・
sであるのが好ましく、0.8〜4.0mPa・sであるのがより好ましい。成分aの粘
度が前記範囲内の値であると、液滴吐出ヘッドより吐出される各インクの吐出量がより均
一化する。また、カラーフィルター用インクを吐出する液滴吐出ヘッドにおける目詰まり
等をより効果的に防止することができ、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとす
ることができる。なお、粘度の測定は、例えば、振動式粘度計を用いて行うことができ、
特に、JIS Z8809に準拠して行うことができる。
また、基板上に吐出したインクの乾燥温度において、成分aの蒸気圧は、成分bの蒸気
圧よりも高くなることが好ましい。これにより、比較的低い乾燥温度でインクを乾燥した
場合においても、吐出されたインク中に含まれる成分aが、成分bよりもより優先的に蒸
発する。その結果、形成される各着色部の厚さはより均一なものとなるとともに、その表
面はより確実に平坦化される。
また、このような成分aの25℃における蒸気圧は、0.02mmHg以上であるのが
好ましく、0.05〜3.0mmHgであるのがより好ましく、0.08〜2.0mmH
gであるのがさらに好ましい。成分aの蒸気圧が前記範囲内の値であると、吐出されたイ
ンクを乾燥する温度において、成分aを成分bよりも、より優先的に蒸発させることがで
きる。成分aの蒸気圧が前記範囲内の値であると、基板上に吐出されたインクは、乾燥過
程において、より好適に粘度上昇するものとなる。これにより、セル内のインクの対流が
より効率良く抑制され、形成される各着色部の表面はより確実に平坦化される。また、カ
ラーフィルター用インクを吐出する液滴吐出ヘッドにおける目詰まり等をより効果的に防
止することができ、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。
カラーフィルター用インク中に含まれる成分aの含有率は、55〜90wt%であるの
が好ましく、64〜85wt%であるのがより好ましい。これにより、着色部形成時にお
いて、より長時間にわたって、カラーフィルター用インクの対流が抑制されるとともに、
カラーフィルター用インクの流動性が保持される。結果として、セル中のカラーフィルタ
ー用インクは、その表面がより平坦な状態で流動性を失い、固化するため、形成される着
色部の表面をより確実に平坦化することができる。また、カラーフィルター用の液滴吐出
ヘッドからの吐出性(吐出安定性)を特に優れたものとすることができる。また、製造さ
れるカラーフィルターにおいて、十分な色濃度を確保することができる。
<成分b>
カラーフィルター用インク中に含まれる成分bは、例えば、エステル化合物、エーテル
化合物、ヒドロキシケトン、炭酸ジエステル、環状アミド化合物等を用いることができ、
中でも、(1)多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、
ブチレングリコール、グリセリン、またはその縮合物等)や、多価アルコールのアルキル
エーテル(例えば、メチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテ
ル等)、エステル(例えば、ホルメート、アセテート、プロピオネート等)、(2)多価
カルボン酸(例えば、こはく酸、グルタル酸等)のエステル(例えば、メチルエステル等
)、(3)分子内に少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つのカルボキシル基とを有す
る化合物(ヒドロキシ酸)のエーテル、エステル等、(4)多価アルコールとホスゲンと
の反応で得られるような化学構造を有する炭酸ジエステルが好ましい。成分bとして用い
ることのできる化合物としては、エチレングリコールジブチレート、ポリエチレングリコ
ール、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ポリエチレングリコー
ルモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールブチルエーテル、1,3−ブチレング
リコールジアセテート、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコ
ールモノヘキルエーテル、トリアセチン、エチレングリコール−2−エチルヘキシルエー
テル、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、ジエチレングリコールモノエチル
エーテルアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールモ
ノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレン
グリコールモノブチルエーテル、グルタン酸ジメチル、ジプロピレングリコールブチルエ
ーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチ
ルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、2−(2−メトキシ−1−メチ
ルエトキシ)−1−メチルエチルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル
、トリエチレングリコールジアセテート、ビス(2−ブトキシエチル)エーテル、グルタ
ル酸ジメチル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、1,6−ジアセトキシヘキ
サン、ブトキシプロパノール、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレング
リコールジメチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールエ
チルメチルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエ
ーテル、オクタン酸エチル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、酢酸シ
クロヘキシル、こはく酸ジエチル、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコ
ールジアセテート、こはく酸ジメチル、または4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタ
ノン等が挙げられる。
このような成分の中でも、グリコール縮合物、またはグリコール縮合物のアルキルエー
テルが好ましい。これにより、吐出されたインクの乾燥過程において、インク中の固形分
濃度が高くなっても、インクの流動性は十分に保たれ、形成される着色部と基板との密着
性を特に優れたものとすることができる。特に、成分bが上述したような成分を含むもの
である場合、基板上に吐出したインクを乾燥させる過程で、インクの対流をより確実に抑
えることができるとともに、インク中の固形分濃度が高くなった際にも、インクの流動性
がより確実に保持される。その結果、得られる着色部は、各着色部間での厚さのばらつき
がより確実に抑えられるとともに、その表面の平坦性を特に優れたものとすることができ
る。このような着色部を備えるカラーフィルターは、明度およびコントラスト比に優れた
画像表示を行うことができるものとなるとともに、各部位での色むら、濃度むら等の発生
をより確実に防止することができ、個体間での特性の均一性を特に優れたものとなる。こ
れらの効果は、上述したような成分と、後述する樹脂材料との化学構造の相関性により、
これらの親和性が優れているためと考えられる。
また、このような成分は、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性を低下させ
る効果を有している。したがって、カラーフィルター用インクが溶媒として、これらの成
分を含むことにより、基板上に吐出したインクを乾燥させる過程で、インク中の固形分濃
度が高くなった際にも、インクの流動性がより確実に保持される。その結果、形成される
着色部は基板との密着性に特に優れたものとなるとともに、その表面が確実に平坦化され
る。
また、成分bの25℃における粘度は、特に限定されないが、3.5〜400mPa・
sであるのが好ましく、4.0〜100mPa・sであるのがより好ましい。成分bの粘
度が前記範囲内の値であると、液滴吐出ヘッドより吐出される各インクの吐出量がより安
定化する。また、カラーフィルター用インクを吐出する液滴吐出ヘッドにおける目詰まり
等をより効果的に防止することができ、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとす
ることができる。また、着色部の形成時において、セル中のインクの粘度が比較的高いも
のとなり、セル内での対流がより好適に抑制される。その結果、形成される着色部は、厚
さがより均一なものとなるとともに、その表面は確実に平坦化されたものとなる。
成分bとしてのグリコール縮合物、またはグリコール縮合物のアルキルエーテルとして
は、特に、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチ
ルエーテル、ポリエチレングリコ−ル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ト
リプロピレングリコールモノメチルエーテル、およびトリエチレングリコールモノメチル
エーテルよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものであるのが好ましい。
これにより、吐出されたインクを乾燥させる際に、成分aを成分bよりも優先的に蒸発さ
せることができ、インク中の固形分濃度が高くなっても、インクの流動性が確実に維持さ
れる。その結果、得られる着色部の厚さは確実に均一なものとなり、製造される各部位で
の色むら、濃度むら等の発生を十分に防止することができ、個体間での特性の均一性を優
れたものとすることができる。また、形成される着色部の表面は十分に平坦化されたもの
となり、このようなカラーフィルターを適用した画像表示装置の明度およびコントラスト
比は優れたものとなる。
また、このようなグリコール縮合物、またはグリコール縮合物のアルキルエーテルにお
けるグリコール縮合物の重合度は、3〜40であることが好ましく、3〜20であること
がより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性を十分に
低下させることができると共に、着色部形成時においては、セル中でのカラーフィルター
用インクの対流を抑制することができる。
また、このような化合物の分子量は140〜2000であることが好ましく、150〜
1000であることがより好ましく、160〜500であることがさらに好ましい。これ
により、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性を十分に低下させることができ
ると共に、着色部形成時においては、セル中でのカラーフィルター用インクの対流をより
確実に抑制することができる。
また、成分bの25℃における蒸気圧は、0.15mmHg以下であるのが好ましく、
0.10mmHg以下であるのがより好ましく、0.05mmHg以下であるのがさらに
好ましい。成分bの蒸気圧が前記範囲内の値であると、吐出されたインクを乾燥させる温
度で、成分aをより優先的に蒸発させることができるとともに、成分bの蒸発速度をより
好適なものとすることができる。その結果、形成される着色部の厚さをより均一なものと
することができる。
カラーフィルター用インクをなす溶媒中に含まれる成分bの含有率は、2〜30wt%
であるのが好ましく、3〜20wt%であるのがより好ましい。これにより、着色部形成
時において、より長時間にわたって、カラーフィルター用インクの対流が抑制されるとと
もに、カラーフィルター用インクの流動性が保持される。結果として、セル中のカラーフ
ィルター用インクは、その表面がより平坦な状態で流動性を失い、固化するため、形成さ
れる着色部の表面をより確実に平坦化することができる。また、カラーフィルター用の液
滴吐出ヘッドからの吐出性(吐出安定性)を特に優れたものとすることができる。また、
製造されるカラーフィルターにおいて、十分な色濃度を確保することができる。
また、カラーフィルター用インク中に含まれる成分aの含有率をC[wt%]、成分
bの含有率をC[wt%]としたとき、2≦C/C≦30であるのが好ましく、4
≦C/C≦28であるのがより好ましく、5≦C/C≦20であるのがさらに好
ましい。これにより、インク乾燥時において、セル中のインクの熱対流がより抑制された
ものとなるとともに、より長時間にわたってインクは流動性を保持したものとなる。その
結果、形成される着色部と基板との密着性は特に優れたものとなり、製造されるカラーフ
ィルターは、特に耐久性に優れたものとなる。また、インク乾燥時において、セル中のイ
ンクの熱対流がより抑制される結果、形成される着色部の表面をより確実に平坦化するこ
とができる。また、カラーフィルター用の液滴吐出ヘッドからの吐出性(吐出安定性)を
特に優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターにおいて、十分
な色濃度を確保することができる。
なお、カラーフィルター用インクは、含まれる溶媒として、上述したような成分aおよ
び成分b以外の成分を含むものであってもよい。
<樹脂材料>
本発明のカラーフィルター用インクは、樹脂材料を含むものである。
このような樹脂材料は、形成される着色部の基板に対する密着性を向上させる等のバイ
ンダーとしての機能を有するものである。
このような樹脂材料は、下記式(1)で表される単量体成分w1と下記式(2)で表さ
れる単量体成分w2と下記式(3)で表される単量体成分w3と下記式(4)で表される
単量体成分w4とを含む重合体W、下記式(5)で表される単量体成分z1と下記式(6
)で表される単量体成分z2と下記式(7)で表わされる単量体成分z3とを含む重合体
Zのうちの少なくとも一方を含むものである。
Figure 2010164732
Figure 2010164732
Figure 2010164732
Figure 2010164732
Figure 2010164732
Figure 2010164732
Figure 2010164732
カラーフィルター用インクが、前述したような溶媒に加えて上記のような樹脂材料を含
むことにより、インク中に含まれる固形分の濃度が、インク中で均一なものとなる。その
ため、長期間液滴吐出を行ったり、連続して液滴吐出を行った際にも、インクジェットヘ
ッドからの液滴の吐出量にばらつきが生じたり、吐出されるインク組成、重量等が不均一
になるのを確実に防止することができ、得られるカラーフィルターは、各部位での色むら
、濃度むら等が抑制され、個体間での特性の均一性に優れたものとなる。特に、着色剤が
顔料を含むものである場合には、カラーフィルター用インクを構成する溶媒(成分a、成
分b)が、上述したような樹脂材料の溶解性を十分に優れたものとしつつ、顔料の表面に
樹脂材料を付着させることができる。これにより、カラーフィルター用インク中における
顔料粒子の凝集が抑制され、分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィ
ルター用インクの吐出安定性、長期保存性を特に優れたものとすることができるため、本
発明のカラーフィルター用インクの着色剤としては、高精細な画像形成に有利な各種顔料
を好適に用いることができる。
また、カラーフィルターの生産性を高めるため、着色部の形成時間を短縮するべく、イ
ンクの乾燥温度を比較的高くした場合でも、カラーフィルター用インク中に上述したよう
な樹脂材料が含まれることにより、成分bが急激に蒸発するのを好適に抑え、形成過程の
着色部中に気泡が発生するのを確実に防止することができる。また、このように、インク
の乾燥温度を比較的高くすると、基板が反ったり、または、基板と着色部との間で剥離が
起きたりし易いが、このようなカラーフィルター用インクでは、乾燥時間を十分に短くす
ることができるため、このような問題の発生も防止することができる。結果として、信頼
性に優れたカラーフィルターを生産性高く製造することが可能となる。
さらに、重合体Wおよび重合体Zは、それぞれ加熱や紫外線照射等のエネルギーの付与
により、硬化反応を起こす成分である。このような重合体Wおよび重合体Zは、インク保
存時やインク吐出時では、反応が抑制されるのに対して、セルに吐出したインクを加熱、
乾燥させる際には、効率良く反応(硬化反応)する。すなわち、このような重合体Wおよ
び重合体Zは、所定温度以下では実質的に硬化反応を進行させず、それ以上の温度で効率
よく硬化反応を進行させることができる特性(以下、「硬化反応のスイッチング特性」と
もいう。)に優れている。このような重合体を含むインクを用いることにより、インク中
に含まれる低沸点の成分aを主に除去する際には、重合体の反応を確実に防止しつつ、そ
の後、より高温で熱処理する際には、重合体を効率良く反応させることができる。その結
果、セル中でのインクの対流が確実に抑えられ、着色部形成過程の比較的初期の段階で着
色部の形状を安定化させることができ、最終的に得られる着色部の厚さを確実に均一なも
のとすることができるとともに、その表面形状を十分に平坦化させることができる。この
ようなカラーフィルターは、明度およびコントラスト比に優れた画像を表示することがで
きるとともに、各部位での色むら、濃度むら等の発生を確実に防止することができ、個体
間での特性の均一性に優れたカラーフィルターを得ることができる。これに対して、例え
ば、含まれる樹脂材料が熱可塑性樹脂のみで構成されたインクを加熱乾燥した場合には、
インク中の溶媒の蒸発に伴うインクの対流が、固形分濃度が高くなっても抑えられず、着
色部の形状を安定化させることができない。そのため、インク(着色部)の表面形状を十
分に平坦化させることができない。
また、着色剤が顔料を含むものである場合、インク中に上述したような重合体Wおよび
/または重合体Zを含むことにより、吐出前のインク中の顔料の凝集が抑制されるだけで
なく、インクの乾燥過程において、溶媒を除去する際や、溶媒を除去した後でも、インク
(着色部)中の顔料の凝集を抑制することができる。その結果、得られるカラーフィルタ
ーは、より高精細な画像表示が可能なものとなる。
さらに、カラーフィルター用インクが、上記の重合体と、成分bとしての、前述したよ
うなグリコール縮合物、またはグリコール縮合物のアルキルエーテルとを構成成分として
含む場合、インク中にこのような成分bを含む状態では、重合体の反応が開始する温度で
あっても、重合体の反応が抑制される。これは、化学構造的な関係で、上記の成分bが重
合体の反応性官能基(例えば、重合体Wにおける単量体成分w1のエポキシ基等)を保護
し、通常は、これらの官能基が反応するような温度でも硬化反応が起こるのを抑制するた
めであると考えられる。
このようなカラーフィルター用インクでは、吐出したインクを加熱、乾燥させて着色部
を形成する際に、比較的高温での熱処理を行っても、上述したような重合体が急激に反応
するのを防止、抑制することができる。その結果、インクの対流がより確実に抑えられ、
インク(着色部)の表面形状を極めて平坦なものとすることができる。また、重合体の急
激な硬化反応が抑えられる結果、形成される着色部にクラックが生じたり、溶媒が気化す
ることにより生じる気泡が残存する等の不具合を確実に防止することができる。このよう
にして得られるカラーフィルターは、明度およびコントラスト比に特に優れた画像表示を
行うことができるものとなるとともに、着色部と基板との密着性に優れ、特に優れた耐久
性を有するものとなる。
また、成分bとして、上述したような化合物を用いることにより、成分bの乾燥(蒸発
)速度を、成分aの乾燥(蒸発)速度よりもさらに遅くすることができる。このようなカ
ラーフィルター用インクでは、インク中の溶媒を除去(乾燥)する過程で、インク表面の
形状が確実に平坦化されるとともに、各着色部間での厚さのばらつきが確実に抑えられた
ものとなる。さらに、形成される着色部の密度が十分に高いものとなり、着色部と基板と
の密着性も優れたものとなる。このような着色部は、カラーフィルターの使用環境の変化
(温度、湿度等)によって、ひび割れ(クラック)等の不具合を起こすのを確実に防止す
ることができ、光漏れ(白抜け、輝点)等の問題が発生するのを確実に防止することがで
きる。結果として、製造されるカラーフィルターは、特に耐久性に優れたものとなる。
また、インクジェット法によるインク付与工程の後工程での、薬品塗布や洗浄による悪
影響を防止するため、インク中に含まれる樹脂材料には、耐溶剤性が要求される。本発明
のカラーフィルター用インクは、インク中に含まれる樹脂材料が、上述したような重合体
W、重合体Zを含むことにより、形成される着色部の基板に対する密着性が優れたものと
なるとともに、耐溶剤性にも優れたものとなる。さらに、このようなインクは長期保存安
定性に優れ、吐出安定性が優れているため、吐出された液滴の軌道変化(いわゆる、飛行
曲がり)が起こるのを確実に防止することができる。これにより、確実に目的の部位に液
滴を着弾させることができ、異なる色の着色部を形成するのに用いられる複数種のインク
が混ざり合って(混色して)しまったり、本来同一の着色濃度であることが求められる複
数個の着色部の間での着色濃度のばらつきが発生してしまうのを確実に防止することがで
きる。結果として、製造されるカラーフィルター間での特性(コントラスト比、色再現域
等の色特性)のばらつきの発生が抑制され、信頼性の高いカラーフィルターを得ることが
できる。
このように、本発明では、カラーフィルター用インクが、前述したような溶媒(成分a
および成分b)に加え、樹脂材料として上述したような特徴を有する重合体W、重合体Z
のうちの少なくとも一方を含むことにより、上述したような優れた効果が得られる。これ
に対して、カラーフィルター用インク中に含まれる樹脂材料として、このような重合体を
含まない場合には、長期間液滴吐出を行ったり、連続して液滴吐出を行ったりすると、保
存時におけるカラーフィルター用インクの不本意な粘度増加が発生したり、カラーフィル
ター基板に液滴吐出する際に、目詰まり等が発生してしまい、液滴吐出量が不安定化する
。したがって、上述したような溶媒(成分a、成分b)を含むカラーフィルター用インク
でも、セル内へのインクの吐出量を十分に均一なものとすることができない。また、イン
ク中に含まれる溶媒として、前述したような成分a、成分bを含む場合であっても、樹脂
材料として、重合体W、重合体Zのうちのどちらも含まない場合には、十分に着色部表面
を平坦化させることができない。さらに、成分bの蒸発速度を十分に抑えることができず
、最終的に形成される着色部の基板(カラーフィルター基板)に対する密着性を十分に優
れたものとすることができなくなってしまい、カラーフィルターの表示画像を、長期間に
わたって、安定して優れたものとすることができなくなるおそれがある。
以下、樹脂材料(樹脂組成物)について詳細に説明する。
[重合体W]
カラーフィルター用インク中の樹脂材料が、上述した重合体W、重合体Zのうち、重合
体Wを含むものであると、上述したような優れた効果に加え、形成される着色部の耐薬品
性、耐溶剤性等を特に優れたものとすることができる。また、このようなインクは、基板
(および隔壁)に対して高い親和性を有し、着色部と基板(および隔壁)との密着性が特
に優れたものとなる。さらに、重合体Wは、重合体W自身が、乾燥過程のインクの表面形
状を平坦化させる効果を有するものである。したがって、インク中の樹脂材料が、重合体
Wを構成成分として含むものであると、溶媒として成分aと成分bとを含むことにより得
られるインク乾燥過程でのインク表面を平坦化させる効果との相乗効果により、形成され
る着色部の表面を極めて高い水準で平坦化させることができる。特に、形成する着色部の
厚さを十分に薄くする場合でも、着色部表面に微小な凹凸が生じるのを確実に防止し、十
分に平坦な表面を有する着色部を形成することができる。
このような重合体Wは、上記式(1)で表される単量体成分w1と上記式(2)で表さ
れる単量体成分w2と上記式(3)で表される単量体成分w3と上記式(4)で表される
単量体成分w4とを含むものであり、下記式(17)で表されるものである。
Figure 2010164732
このような重合体Wを含むことにより、インクの吐出安定性は優れたものとなる。また
、成分bの蒸発速度が抑制され、形成される着色部と基板との密着性が優れたものとなる
とともに、着色部の表面を確実に平坦化させることができ、耐久性および表示される画像
のコントラスト比に優れたカラーフィルターを得ることができる。さらに、樹脂材料とし
ての硬化反応のスイッチング特性、カラーフィルター用インクの吐出安定性、形成される
着色部の硬度等を優れたものとすることができるとともに、着色剤として顔料を含む場合
において、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性を特に優れたものとす
ることができる。また、重合体Wを含むことにより、カラーフィルター用インクを用いて
形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じてしまうのを効果的に防止することができ
、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら、濃度むらの発生やコントラ
スト比の低下をより効果的に防止することができる。これは、基板上に付与されたカラー
フィルター用インクから溶媒を除去して着色部を形成する際に、インク中の固形分の凝集
を効果的に防止することができるためであると考えられる。また、重合体Wを含むことに
より、後述するような製造方法を用いてカラーフィルター用インクを製造する際に(後述
する微分散工程で)、原料として用いる顔料粒子の凝集体を容易に微粒子化(解砕)する
ことができ、カラーフィルター用インクの生産性を向上させることができる。また、重合
体Wは、機械的な力に対して極めて優れた安定性を有しているため、顔料とともに後述す
る微分散工程に供された場合であっても、当該工程における変性、劣化が防止される。し
たがって、重合体Wを用いることにより、樹脂材料の劣化等を確実に防止しつつ、顔料の
分散性に優れたカラーフィルター用インクを効率よく調製することができる。
なお、重合体Wは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化
合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Wが複数種の化合物の混合物である場合、
各化合物が、単量体成分w1、w2、w3およびw4を含有するものである。
(単量体成分w1)
重合体Wは、上記式(1)で表される単量体成分w1を単量体成分として含有してなる
ものである。
このような単量体成分w1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター
用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反
応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹
脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。すなわち、樹脂材料に
ついての硬化反応のスイッチング特性を優れたものとすることができる。また、単量体成
分w1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インク中における顔
料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの長
期保存性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、単量体成分w1は、
重合体Wにおいて、高温環境下での反応性に優れる一方で、機械的な力に対しては極めて
優れた安定性を有している。このため、顔料とともに後述する微分散工程に供された場合
であっても、本工程における重合体Wの変性、劣化が防止され、カラーフィルター用イン
クにおいて、重合体Wの機能を確実に発揮することができる。また、単量体成分w1を単
量体成分として含有することにより、形成される着色部の硬度等を優れたものとすること
ができる。
また、重合体Wが単量体成分w1を含有することにより、インク中に含まれる樹脂材料
が重合体Wに加え、重合体Zを含む場合、重合体Wと重合体Zとの親和性、相溶性を十分
に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルター用インクの吐出安定性を
優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色
部は、透明性に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下が防止され)、基板に対
する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。
重合体W中における単量体成分w1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換
算して求められる値)は、25〜75wt%であるのが好ましく、40〜60wt%であ
るのがより好ましい。重合体W中における単量体成分w1の含有率が前記範囲内の値であ
ると、後に詳述する単量体成分w2、w3、w4の機能を阻害することなく、上述したよ
うな効果をより顕著に発現させることができる。なお、重合体Wが、複数種の化合物の混
合物である場合、単量体成分w1の含有率の値としては、これらの化合物についての加重
平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Wが、複
数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で
単量体成分w1を含有しているのが好ましい。
(単量体成分w2)
重合体Wは、上記式(2)で表される単量体成分w2を単量体成分として含有してなる
ものである。
このような単量体成分w2を単量体成分として含有することにより、基板上へのカラー
フィルター用インクの濡れ広がりを良好なものとすることができ、気泡の混入等が確実に
防止され、基板との密着性に優れた着色部を好適に形成することができる。また、カラー
フィルター用インクが顔料および分散剤を含むものである場合においては、単量体成分w
2を単量体成分として含有することにより、分散剤の分散安定性を特に優れたものとする
ことができ、結果として、顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの長期保存性を
特に優れたものとすることができる。
重合体W中における単量体成分w2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換
算して求められる値)は、2〜25wt%であるのが好ましく、5〜15wt%であるの
がより好ましい。重合体W中における単量体成分w2の含有率が前記範囲内の値であると
、前述した単量体成分w1および後に詳述する単量体成分w3、w4の機能を阻害するこ
となく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。なお、重合体Wが、
複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分w2の含有率の値としては、これらの化
合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。ま
た、重合体Wが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上
記のような含有率で単量体成分w2を含有しているのが好ましい。
(単量体成分w3)
重合体Wは、上記式(3)で表される単量体成分w3を単量体成分として含有してなる
ものである。
単量体成分w3を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の耐薬品性
、耐溶剤性等を優れたものとすることができる。これにより、着色部形成工程(硬化工程
)の後に、薬品塗布や洗浄(特に、N−メチル−2−ピロリドンやγ−ブチルラクトンを
用いた洗浄)等の後処理を行った場合であっても、これらによる悪影響の発生をより確実
に防止することができる。
また、単量体成分w3は、重合体(重合体W)中において、比較的低い温度(例えば、
100℃以下)では反応性が十分に低いのに対し、着色部形成工程(硬化工程)で施す熱
処理のような加熱環境下では、十分な反応性を有するものである。このため、カラーフィ
ルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(
重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)において
は、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。
また、単量体成分w3を単量体成分として含有することにより、例えば、カラーフィル
ター用インクが着色剤として顔料を含む場合において、カラーフィルター用インク中にお
ける顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用イン
クの長期保存性、吐出安定性を優れたものとすることができる。
重合体W中における単量体成分w3の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換
算して求められる値)は、5〜50wt%であるのが好ましく、10〜40wt%である
のがより好ましい。重合体W中における単量体成分w3の含有率が前記範囲内の値である
と、前述した単量体成分w1、w2および後に詳述する単量体成分w4の機能を阻害する
ことなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。なお、重合体Wが
、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分w3の含有率の値としては、これらの
化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。
また、重合体Wが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、
上記のような含有率で単量体成分w3を含有しているのが好ましい。
(単量体成分w4)
重合体Wは、上記式(4)で表される単量体成分w4を単量体成分として含有してなる
ものである。
このような単量体成分w4を単量体成分として含有することにより、着色部の形成時、
基板上に付与されたカラーフィルター用インクから溶媒を除去する際に、固形分濃度の上
昇に伴ってカラーフィルター用インクのチキソトロピック性および粘度が上昇し、形成さ
れる着色部の表面に不本意な凹凸が生じることを確実に防止することができる。
また、単量体成分w4を単量体成分として含有することにより、樹脂材料全体としての
疎水性を好適に調整することができ、樹脂材料を構成する各重合体の親和性、相溶性を特
に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルター用インクの吐出安定性を
特に優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用いて形成される
着色部は、透明性に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下が防止され)、基板
に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。
重合体W中における単量体成分w4の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換
算して求められる値)は、3〜40wt%であるのが好ましく、5〜30wt%であるの
がより好ましい。重合体W中における単量体成分w4の含有率が前記範囲内の値であると
、前述した単量体成分w1、w2、w3の機能を阻害することなく、上述したような効果
をより顕著に発現させることができる。なお、重合体Wが、複数種の化合物の混合物であ
る場合、単量体成分w4の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(
重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Wが、複数種の化
合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成
分w4を含有しているのが好ましい。
重合体Wの重量平均分子量は、5000〜50000であるのが好ましく、6000〜
15000であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの経時的安
定性(長期保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとするこ
とができるとともに、このようなインクを吐出して形成される着色部と基板との密着性が
特に優れたものとなる。さらに、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の
平坦性をより確実に高いものとすることができ、カラーフィルターを用いて表示される画
像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。また、カラーフィルタ
ーの生産性を十分に優れたものとすることができる。
また、重合体Wの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1〜3である
のが好ましい。
[重合体Z]
カラーフィルター用インク中の樹脂材料が、上述した重合体W、重合体Zのうち、重合
体Zを含むものであると、上述したような優れた効果に加え、形成される着色部は十分な
硬度を有しながらも、適度な柔軟性を有するものとなる。これにより、着色部と基板との
密着性が特に優れたものとなるとともに、クラック等の不具合が発生するのが確実に防止
される。
重合体Zは、上記式(5)で表される単量体成分z1と上記式(6)で表される単量体
成分z2と上記式(7)で表される単量体成分z3とを含むものであり、下記式(18)
で表されるものである。
Figure 2010164732
このような重合体Zを含むことにより、樹脂材料としての硬化反応のスイッチング特性
、カラーフィルター用インクの吐出安定性、形成される着色部の硬度等を優れたものとす
ることができるとともに、着色剤として顔料を含む場合において、カラーフィルター用イ
ンク中における顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、重合体Z
を含むことにより、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の表面に不本意
な凹凸が生じてしまうのを効果的に防止することができ、カラーフィルターを用いて表示
される画像における色むら、濃度むらの発生やコントラスト比の低下をより効果的に防止
することができる。これは、基板上に付与されたカラーフィルター用インクから溶媒を除
去して着色部を形成する際に、顔料粒子の凝集を効果的に防止することができるためであ
ると考えられる。また、重合体Zを含むことにより、後述するような製造方法を用いてカ
ラーフィルター用インクを製造する際に(後述する微分散工程で)、原料として用いる顔
料粒子の凝集体を容易に微粒子化(解砕)することができ、カラーフィルター用インクの
生産性を向上させることができる。また、重合体Zは、機械的な力に対して極めて優れた
安定性を有しているため、顔料とともに後述する微分散工程に供された場合であっても、
当該工程における変性、劣化が防止される。したがって、重合体Zを用いることにより、
樹脂材料の劣化等を確実に防止しつつ、顔料の分散性に優れたカラーフィルター用インク
を効率よく調製することができる。
なお、重合体Zは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化
合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Zが複数種の化合物の混合物である場合、
各化合物が、単量体成分z1、z2およびz3を含有するものである。
(単量体成分z1)
重合体Zは、上記式(5)で表される単量体成分z1を単量体成分として含有してなる
ものである。
このような単量体成分z1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター
用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反
応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹
脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。すなわち、樹脂材料に
ついての硬化反応のスイッチング特性を優れたものとすることができる。また、単量体成
分z1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インク中における顔
料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの長
期保存性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、単量体成分z1は、
重合体Zにおいて、高温環境下での反応性に優れる一方で、機械的な力に対しては極めて
優れた安定性を有している。このため、顔料とともに後述する微分散工程に供された場合
であっても、本工程における重合体Zの変性、劣化が防止され、カラーフィルター用イン
クにおいて、重合体Zの機能を確実に発揮することができる。また、単量体成分z1を単
量体成分として含有することにより、形成される着色部の硬度等を優れたものとすること
ができる。
また、重合体Zが単量体成分z1を含有することにより、インク中に含まれる樹脂材料
が重合体Zに加え、重合体Wを含む場合、重合体Zと重合体Wとの親和性、相溶性を十分
に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルター用インクの吐出安定性を
優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色
部は、透明性に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下が防止され)、基板に対
する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。
重合体Z中における単量体成分z1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換
算して求められる値)は、50〜95wt%であるのが好ましく、60〜85wt%であ
るのがより好ましい。重合体Z中における単量体成分z1の含有率が前記範囲内の値であ
ると、後に詳述する単量体成分z2、z3の機能を阻害することなく、上述したような効
果をより顕著に発現させることができる。なお、重合体Zが、複数種の化合物の混合物で
ある場合、単量体成分z1の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値
(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Zが、複数種の
化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体
成分z1を含有しているのが好ましい。
(単量体成分z2)
重合体Zは、上記式(6)で表される単量体成分z2を単量体成分として含有してなる
ものである。
このような単量体成分z2を単量体成分として含有することにより、基板上へのカラー
フィルター用インクの濡れ広がりを良好なものとすることができ、気泡の混入等が確実に
防止され、基板との密着性に優れた着色部を好適に形成することができる。また、カラー
フィルター用インクが顔料および分散剤を含むものである場合においては、単量体成分z
2を単量体成分として含有することにより、分散剤の分散安定性を特に優れたものとする
ことができ、結果として、顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの長期保存性を
特に優れたものとすることができる。
重合体Z中における単量体成分z2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換
算して求められる値)は、3〜35wt%であるのが好ましく、10〜25wt%である
のがより好ましい。重合体Z中における単量体成分z2の含有率が前記範囲内の値である
と、前述した単量体成分z1および後に詳述する単量体成分z3の機能を阻害することな
く、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。なお、重合体Zが、複数
種の化合物の混合物である場合、単量体成分z2の含有率の値としては、これらの化合物
についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、
重合体Zが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記の
ような含有率で単量体成分z2を含有しているのが好ましい。
(単量体成分z3)
重合体Zは、上記式(7)で表される単量体成分z3を単量体成分として含有してなる
ものである。
このような単量体成分z3は、z1と同様に、後述する着色部形成工程(硬化工程)に
おいて、樹脂材料の硬化に寄与する成分であるが、単量体成分z1が、形成される着色部
の硬度を高いものとする機能を有しているのに対し、単量体成分z3は、形成される着色
部に適度な柔軟性を与え、着色部が設けられる基板等に変形(例えば、熱膨張、熱収縮等
)が生じた場合であっても、その変形に追従し、基板等に対する着色部の密着性を保持さ
せる機能を有している。これにより、例えば、製造されるカラーフィルターが画像表示に
伴う急激な温度変化に繰り返しさらされた場合においても良好な密着性を保持することが
でき、光漏れ(白抜け、輝点)等の問題が発生するのをより確実に防止することができる
。すなわち、カラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
また、単量体成分z3は、重合体Zにおいて、上述した単量体成分w3、z1と同様に
、比較的低い温度(例えば、100℃以下)では反応性が十分に低いのに対し、着色部形
成工程(硬化工程)で施す熱処理のような加熱環境下においては、十分な反応性を有する
ものである。このため、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等
における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着
色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行さ
せることができる。
また、単量体成分z3を単量体成分として含有することにより、着色部の形成時、基板
上に付与されたカラーフィルター用インクから溶媒を除去する際に、固形分濃度の上昇に
伴ってカラーフィルター用インクのチキソトロピック性および粘度が上昇し、形成される
着色部の表面に不本意な凹凸が生じることを確実に防止することができる。
重合体Z中における単量体成分z3の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換
算して求められる値)は、2〜30wt%であるのが好ましく、5〜20wt%であるの
がより好ましい。重合体Z中における単量体成分z3の含有率が前記範囲内の値であると
、前述した単量体成分z1、z2の機能を阻害することなく、上述したような効果をより
顕著に発現させることができる。なお、重合体Zが、複数種の化合物の混合物である場合
、単量体成分z3の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比
に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Zが、複数種の化合物の
混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分z3
を含有しているのが好ましい。
重合体Zの重量平均分子量は、5000〜50000であるのが好ましく、6000〜
15000であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの経時的安
定性(長期保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとするこ
とができるとともに、カラーフィルターの生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラ
ーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性をより確実に高いものとするこ
とができ、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら等の発生をより効果
的に防止することができる。
また、重合体Zの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1〜3である
のが好ましい。
また、カラーフィルター用インク中に含まれる樹脂材料として、重合体Wおよび重合体
Zの両方を用いる場合には、インク中における重合体Wの含有率をC[wt%]、イン
ク中における重合体Zの含有率をC[wt%]としたとき、0.9≦C/C≦6.
0の関係を満足するのがより好ましく、1.0≦C/C≦5.0の関係を満足するの
が好ましい。このような関係を満足することにより、カラーフィルター用インクの経時的
安定性(長期保存性)、高温での反応性、および、製造されるカラーフィルターの耐久性
(着色部と基板との密着性、着色部の硬度等)、信頼性を、いずれをも、特に優れたもの
とすることができるとともに、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィ
ルターにおける色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
また、樹脂材料として重合体Wおよび重合体Zの両方を用いる場合、カラーフィルター
用インク中における重合体Wの含有率(C[wt%])と重合体Zの含有率(C[w
t%])との和は、0.3〜12wt%であるのが好ましく、0.9〜8.5wt%であ
るのがより好ましい。
上述したように本発明において、樹脂材料は、重合体W、重合体Zのうちの少なくとも
一方を含むものであるが、さらに、他の樹脂成分(重合体)を含むものであってもよい。
このような樹脂成分(重合体)としては、以下に述べるような重合体X、重合体Yが挙
げられる。
[重合体X]
重合体Xは、下記式(8)で表される単量体成分x1と下記式(9)で表される単量体
成分x2と下記式(10)で表される単量体成分x3と下記式(11)で表される単量体
成分x4とを含むものであり、下記式(19)で表されるものである。
Figure 2010164732
Figure 2010164732
Figure 2010164732
Figure 2010164732
Figure 2010164732
このような重合体Xを含むことにより、樹脂材料全体としての硬化反応のスイッチング
特性や、カラーフィルター用インク中における各重合体成分の親和性、相溶性を十分に優
れたものとしつつ、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の耐溶剤性等を
特に優れたものとすることができ、また、形成される着色部の表面の平坦性を特に高いも
のとすることができる。その結果、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラー
フィルターの各部位での色むら、濃度むらの発生やコントラストの低下等をより確実に防
止することができ、カラーフィルターの耐久性、信頼性を特に優れたものとすることがで
きる。
なお、重合体Xは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化
合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Xが複数種の化合物の混合物である場合、
各化合物が、単量体成分x1、x2、x3およびx4を含有するものである。
(単量体成分x1)
重合体Xは、上記式(8)で表される単量体成分x1を単量体成分として含有してなる
ものである。
このような単量体成分x1を単量体成分として含有することにより、樹脂材料としての
硬化反応のスイッチング特性、カラーフィルター用インクの吐出安定性、形成される着色
部の硬度等を優れたものとすることができるとともに、着色剤として顔料を含む場合にお
いて、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性を特に優れたものとするこ
とができ、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を優れたものとすること
ができる。また、単量体成分x1を単量体成分として含有することにより、形成される着
色部の硬度等を優れたものとすることができる。
重合体X中における単量体成分x1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換
算して求められる値)は、30〜90wt%であるのが好ましく、40〜80wt%であ
るのがより好ましい。重合体X中における単量体成分x1の含有率が前記範囲内の値であ
ると、後に詳述する単量体成分x2、x3、x4の機能を阻害することなく、上述したよ
うな効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体X中における単量体
成分x1の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x1を含むことによる効果が十
分に発揮されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体成分x1の含有率が前
記上限値を超えると、相対的に単量体成分x2、x3、x4の含有率が低下し、これらの
機能が十分に発揮されない可能性がある。また、重合体Xの高温での反応速度が低下し、
十分に優れた生産性でカラーフィルターを製造するのが困難となる。なお、重合体Xが、
複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分x1の含有率の値としては、これらの化
合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。ま
た、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上
記のような含有率で単量体成分x1を含有しているのが好ましい。
(単量体成分x2)
重合体Xは、上記式(9)で表される単量体成分x2を単量体成分として含有してなる
ものである。
このような単量体成分x2を単量体成分として含有すること(特に、上述した単量体成
分x1や後に詳述する単量体成分x3とともに含有すること)により、カラーフィルター
用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反
応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹
脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。特に、加熱環境下での
着色部形成工程(硬化工程)において、樹脂材料の重合反応の立ち上がりを良好なものと
することができるとともに、継続的に重合反応の進行させることができる。また、単量体
成分x2を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の硬度等を優れたも
のとすることができる。これに対し、単量体成分x2を単量体成分として含有しない場合
には、上記のような効果が得られない。より具体的には、例えば、単量体成分x1、x3
を含有していたとしても、単量体成分x2を含有していない場合には、加熱環境下におい
ても、継続的な重合反応を保持するのが困難であり、カラーフィルターの生産性が著しく
低下する。また、樹脂材料の硬化反応を十分に進行させるのが困難となり、カラーフィル
ターの耐久性が低下する。また、樹脂材料の硬化反応に要する時間が長くなるため、形成
すべき着色部の構成材料の劣化を招く可能性がある。
重合体X中における単量体成分x2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換
算して求められる値)は、5〜60wt%であるのが好ましく、10〜50wt%である
のがより好ましい。重合体X中における単量体成分x2の含有率が前記範囲内の値である
と、前述した単量体成分x1および後に詳述する単量体成分x3、x4の機能を阻害する
ことなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合
体X中における単量体成分x2の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x2を含
むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体
成分x2の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分x1、x3、x4の含有
率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。また、重合体Xの比較的
低温での反応性が増し、カラーフィルター用インクの保存安定性が低下する傾向が現れる
。なお、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分x2の含有率の値
としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用
することができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化
合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x2を含有しているのが好ましい。
(単量体成分x3)
重合体Xは、上記式(10)で表される単量体成分x3を単量体成分として含有してな
るものである。
単量体成分x3を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の耐薬品性
、耐溶剤性等を優れたものとすることができる。これにより、着色部形成工程(硬化工程
)の後に、薬品塗布や洗浄(特に、N−メチル−2−ピロリドンやγ−ブチルラクトンを
用いた洗浄)等の後処理を行った場合であっても、これらによる悪影響の発生を確実に防
止することができる。
また、単量体成分x3は、重合体Xにおいて、上述した単量体成分x1と同様に、比較
的低い温度(例えば、100℃以下)での反応性が十分に低いのに対し、着色部形成工程
(硬化工程)で施す熱処理のような加熱環境下では、十分な反応性を示すものである。こ
のため、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材
料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(
硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができ
る。
また、単量体成分x3を単量体成分として含有することにより、例えば、カラーフィル
ター用インクが着色剤として顔料を含む場合において、カラーフィルター用インク中にお
ける顔料粒子の分散安定性を優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの
長期保存性、吐出安定性を優れたものとすることができる。
重合体X中における単量体成分x3の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換
算して求められる値)は、2〜20wt%であるのが好ましく、3〜15wt%であるの
がより好ましい。重合体X中における単量体成分x3の含有率が前記範囲内の値であると
、前述した単量体成分x1、x2および後に詳述する単量体成分x4の機能を阻害するこ
となく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体
X中における単量体成分x3の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x3を含む
ことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体成
分x3の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分x1、x2、x4の含有率
が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。また、カラーフィルター用
インクを用いて形成される着色部が硬くなりすぎ、温度変化に伴う基板等の変形に対する
追従性が低下する傾向が現れる。なお、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合
、単量体成分x3の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比
に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の
混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x3
を含有しているのが好ましい。
(単量体成分x4)
重合体Xは、上記式(11)で表される単量体成分x4を単量体成分として含有してな
るものである。
このような単量体成分x4を単量体成分として含有することにより、着色部の形成時、
基板上に付与されたカラーフィルター用インクから溶媒を除去する際に、固形分濃度の上
昇に伴ってカラーフィルター用インクのチキソトロピック性および粘度が上昇し、形成さ
れる着色部の表面に不本意な凹凸が生じることを確実に防止することができる。特に、従
来においては、着色剤として顔料を含む場合に、形成される着色部の表面に不本意な凹凸
が生じるという問題が顕著に発生していたが、本発明によれば、着色剤として顔料を含む
場合においても、このような問題の発生を確実に防止することができる。
また、単量体成分x4は、その末端に水酸基を有している。このような構造を有するこ
とにより、比較的低い温度(例えば、100℃以下)における反応性を十分に低いものと
しつつ、着色部形成工程(硬化工程)で施す熱処理のような加熱環境下における反応性を
高めることができる。これにより、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク
付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境
下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好
適に進行させることができる。
また、単量体成分x4を単量体成分として含有することにより、例えば、カラーフィル
ター用インクが着色剤として顔料を含む場合において、カラーフィルター用インク中にお
ける顔料粒子の分散安定性を優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの
長期保存性、吐出安定性を優れたものとすることができる。
重合体X中における単量体成分x4の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換
算して求められる値)は、2〜20wt%であるのが好ましく、3〜15wt%であるの
がより好ましい。重合体X中における単量体成分x4の含有率が前記範囲内の値であると
、前述した単量体成分x1、x2、x3の機能を阻害することなく、上述したような効果
をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体X中における単量体成分x4
の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x4を含むことによる効果が十分に発揮
されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体成分x4の含有率が前記上限値
を超えると、相対的に単量体成分x1、x2、x3の含有率が低下し、これらの機能が十
分に発揮されない可能性がある。また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着
色部がの硬度が低下する傾向が現れる。なお、重合体Xが、複数種の化合物の混合物であ
る場合、単量体成分x4の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(
重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Xが、複数種の化
合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成
分x4を含有しているのが好ましい。
重合体Xの重量平均分子量は、1000〜50000であるのが好ましく、1200〜
10000であるのがより好ましく、1500〜5000であるのがさらに好ましい。こ
れにより、カラーフィルター用インクの経時的安定性(長期保存性)、カラーフィルター
用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルター
の生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラーフィルター用インクを用いて形成され
る着色部の平坦性をより確実に高いものとすることができ、カラーフィルターを用いて表
示される画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
また、重合体Xの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1〜3である
のが好ましい。
[重合体Y]
重合体Yは、下記式(12)で表される単量体成分y1と下記式(13)で表される単
量体成分y2とを含むものであり、下記式(20)で表されるものである。
Figure 2010164732
Figure 2010164732
Figure 2010164732
このような重合体Yを含むことにより、カラーフィルター用インクの吐出安定性や、カ
ラーフィルター用インクが顔料を含む場合における顔料の分散安定性等を優れたものとし
つつ、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の基板に対する密着性を特に
優れたものとすることができ、製造されるカラーフィルターの耐久性、信頼性を特に優れ
たものとすることができる。
なお、重合体Yは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化
合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Yが複数種の化合物の混合物である場合、
各化合物が、単量体成分y1およびy2を含有するものである。
(単量体成分y1)
重合体Yは、上記式(12)で表される単量体成分y1を単量体成分として含有してな
るものである。
このような単量体成分y1を単量体成分として含有することにより、形成される着色部
の基板に対する密着性を特に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルタ
ーの耐久性を特に優れたものとすることができる。
重合体Y中における単量体成分y1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換
算して求められる値)は、30〜90wt%であるのが好ましく、40〜80wt%であ
るのがより好ましい。重合体Y中における単量体成分y1の含有率が前記範囲内の値であ
ると、後に詳述する単量体成分y2の機能を阻害することなく、上述したような効果をよ
り顕著に発現させることができる。これに対し、重合体Y中における単量体成分y1の含
有率が前記下限値未満であると、単量体成分y1を含むことによる効果が十分に発揮され
ない可能性がある。一方、重合体Y中における単量体成分y1の含有率が前記上限値を超
えると、相対的に単量体成分y2の含有率が低下し、単量体成分y2の機能が十分に発揮
されない可能性がある。また、着色部の形成時、基板上に付与されたカラーフィルター用
インクから溶媒を除去する際に、固形分濃度の上昇に伴ってカラーフィルター用インク粘
度が上昇する傾向が現れ、形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じ易くなる。なお
、重合体Yが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分y1の含有率の値として
は、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用するこ
とができる。また、重合体Yが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が
、いずれも、上記のような含有率で単量体成分y1を含有しているのが好ましい。
(単量体成分y2)
重合体Yは、上記式(13)で表される単量体成分y2を単量体成分として含有してな
るものである。
このような単量体成分y2を単量体成分として含有すること(特に、上述した単量体成
分y1とともに含有すること)により、カラーフィルター用インクの保存時や後述するイ
ンク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱
環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)
を好適に進行させることができる。特に、加熱環境下での着色部形成工程(硬化工程)に
おいて、樹脂材料の重合反応の立ち上がりを良好なものとすることができるとともに、継
続的に重合反応の進行させることができる。また、単量体成分y2を単量体成分として含
有することにより、形成される着色部の硬度等を優れたものとすることができる。
また、重合体Yが単量体成分y2を含有することにより、重合体Xと重合体Yとの親和
性、相溶性を十分に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルター用イン
クの吐出安定性を優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用い
て形成される着色部は、透明性に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下が防止
され)、基板に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。こ
れに対し、単量体成分y2を単量体成分として含有しない場合、重合体Xと重合体Yとの
親和性、相溶性を十分に優れたものとすることができず、カラーフィルター用インクは、
吐出安定性に劣ったものとなり、また、製造されるカラーフィルターは、色むらや濃度む
らが発生し易く、コントラストや耐久性、信頼性等に劣ったものとなる。
重合体Y中における単量体成分y2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換
算して求められる値)は、10〜70wt%であるのが好ましく、20〜60wt%であ
るのがより好ましい。重合体Y中における単量体成分y2の含有率が前記範囲内の値であ
ると、前述した単量体成分y1の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕
著に発現させることができる。これに対し、重合体Y中における単量体成分y2の含有率
が前記下限値未満であると、単量体成分y2を含むことによる効果が十分に発揮されない
可能性がある。一方、重合体Y中における単量体成分y2の含有率が前記上限値を超える
と、相対的に単量体成分y1の含有率が低下し、単量体成分y1の機能が十分に発揮され
ない可能性がある。また、重合体Yの比較的低温での反応性が増し、カラーフィルター用
インクの保存安定性が低下する傾向が現れる。なお、重合体Yが、複数種の化合物の混合
物である場合、単量体成分y2の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平
均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Yが、複数
種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単
量体成分y2を含有しているのが好ましい。
重合体Yの重量平均分子量は、1000〜50000であるのが好ましく、1200〜
10000であるのがより好ましく、1500〜5000であるのがさらに好ましい。こ
れにより、カラーフィルター用インクの経時的安定性(長期保存性)、カラーフィルター
用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルター
の生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラーフィルター用インクを用いて形成され
る着色部の平坦性をより確実に高いものとすることができ、カラーフィルターを用いて表
示される画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
また、重合体Yの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1〜3である
のが好ましい。
なお、上述した各重合体は、最終的に上述したような構造(各単量体成分に対応する各
部分構造)を有していればよく、上述した各単量体成分そのものを用いて合成されたもの
であってもよいし、上述した単量体成分とは異なる成分(前駆体、誘導体等)を用いて合
成されたものであってもよい。
また、カラーフィルター用インク中における樹脂材料の含有率は、0.5〜18wt%
であるのが好ましく、1〜15wt%であるのがより好ましく、3〜10wt%であるの
がさらに好ましい。
また、カラーフィルター用インク中における樹脂材料の含有率をC[wt%]、カラ
ーフィルター用インク中における着色剤の含有率をC[wt%]としたとき、0.2≦
/C≦9.0の関係を満足するのが好ましく、0.3≦C/C≦5.0の関係
を満足するのがより好ましく、0.4≦C/C≦3.5の関係を満足するのがさらに
好ましい。このような関係を満足することにより、形成される着色部と基板との密着性は
特に優れたものとなり、製造されるカラーフィルターは、特に耐久性に優れたものとなる
。また、製造されるカラーフィルターのコントラスト等をより優れたものとすることがで
きたり、着色部厚さをより薄いものとした場合であっても十分なコントラストを確保する
ことができる。なお、従来のカラーフィルター用インクでは、着色剤の含有率に対する樹
脂材料の含有率を低いものとした場合(特に、着色剤として顔料を用いた場合)、形成さ
れる着色部の表面に不本意な凹凸が生じる等の不都合を生じやすかったが、本発明では、
上記のように、着色剤の含有率に対する樹脂材料の含有率を低いものとした場合であって
も、形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じることを確実に防止することができる
。すなわち、上記のような関係を満足することにより、本発明の効果はより顕著に発揮さ
れる。
また、樹脂材料として、2種類以上の成分を含むものである場合には、インク中に含ま
れる樹脂材料のSP値として、使用する各成分のSP値の容積平均を用いることができる
なお、カラーフィルター用インクを構成する樹脂材料は、上述した以外の重合体(例え
ば、熱可塑性の重合体や上述した重合体X、Y、Z、W以外の硬化性の重合体)を含むも
のであってもよい。
カラーフィルター用インクを構成する樹脂材料が、上述した重合体(重合体W、Z、X
、Y)以外のその他の成分を含む場合、インクに含まれる全樹脂材料中におけるその他の
成分の含有率は、20wt%以下であるのが好ましく、10wt%以下であるのがより好
ましく、5wt%以下であるのがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用イン
クが、上述したような重合体を含むことにより得られる効果を確実に得ることができる。
<分散剤>
カラーフィルター用インクには、分散剤が含まれていてもよい。これにより、例えば、
インクの液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルタ
ー用インク中に顔料が含まれる場合、分散剤は、カラーフィルター用インク中における顔
料粒子の分散性を向上させるのに寄与することができる。
分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系
、フッ素系等の分散剤が挙げられる。
分散剤のより具体的な例としては、例えば、ディスパービック101、ディスパービッ
ク102、ディスパービック103、ディスパービックP104、ディスパービックP1
04S、ディスパービック220S、ディスパービック106、ディスパービック108
、ディスパービック109、ディスパービック110、ディスパービック111、ディス
パービック112、ディスパービック116、ディスパービック140、ディスパービッ
ク142、ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162
、ディスパービック163、ディスパービック164、ディスパービック166、ディス
パービック167、ディスパービック168、ディスパービック170、ディスパービッ
ク171、ディスパービック174、ディスパービック180、ディスパービック182
、ディスパービック183、ディスパービック184、ディスパービック185、ディス
パービック2000、ディスパービック2001、ディスパービック2050、ディスパ
ービック2070、ディスパービック2095、ディスパービック2150、ディスパー
ビックLPN6919、ディスパービック9075、ディスパービック9077(以上、
ビックケミー社製);EFKA 4008、EFKA 4009、EFKA 4010、
EFKA 4015、EFKA 4020、EFKA 4046、EFKA 4047、
EFKA 4050、EFKA 4055、EFKA 4060、EFKA 4080、
EFKA 4400、EFKA 4401、EFKA 4402、EFKA 4403、
EFKA 4406、EFKA 4408、EFKA 4300、EFKA 4330、
EFKA 4340、EFKA 4015、EFKA 4800、EFKA 5010、
EFKA 5065、EFKA 5066、EFKA 5070、EFKA 7500、
EFKA 7554(以上、チバスペシャリティ−社製);ソルスパース3000、ソル
スパース9000、ソルスパース13000、ソルスパース16000、ソルスパース1
7000、ソルスパース18000、ソルスパース20000、ソルスパース21000
、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルス
パース28000、ソルスパース32000、ソルスパース32500、ソルスパース3
2550、ソルスパース33500、ソルスパース35100、ソルスパース35200
、ソルスパース36000、ソルスパース36600、ソルスパース38500、ソルス
パース41000、ソルスパース41090、ソルスパース20000(以上、ルーブリ
ゾール社製);アジスパーPA111、アジスパーPB711、アジスパーPB821、
アジスパーPB822、アジスパーPB824(以上、味の素ファインテクノ社製);デ
ィスパロン1850、ディスパロン1860、ディスパロン2150、ディスパロン70
04、ディスパロンDA−100、ディスパロンDA−234、ディスパロンDA−32
5、ディスパロンDA−375、ディスパロンDA−705、ディスパロンDA−725
、ディスパロンPW−36(以上、楠本化成社製);および、フローレン DOPA−1
4、フローレン DOPA−15B、フローレン DOPA−17、フローレン DOP
A−22、フローレン DOPA−44、フローレン TG−710、フローレン D−
90(以上、共栄化学社製)、Anti−Terra−205(ビックケミー社製)、ヒ
ノアクトKF−1000、KF−1525、ヒノアクト1300M、ヒノアクトT905
0、ヒノアクトT6000、ヒノアクトT7000、ヒノアクトT8000、ヒノアクト
T8000E(以上、川研ファインケミカル社製)等が挙げられ、これらから選択される
1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
特に、カラーフィルターインクは、分散剤として、所定の酸価を有する分散剤(以下、
酸価分散剤とも言う)と、所定のアミン価を有する分散剤(以下、アミン価分散剤とも言
う)とを含むものであるのが好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの粘度を
低下させる粘度低減効果を発揮する酸価分散剤による効果と、カラーフィルター用インク
の粘度を安定化させるアミン価分散剤による効果とが両立される。その結果、カラーフィ
ルター用インク中における顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの液滴の吐出安
定性を特に優れたものとすることができる。
酸価分散剤の具体例としては、ディスパービックP104、ディスパービックP104
S、ディスパービック220S、ディスパービック110、ディスパービック111、デ
ィスパービック170、ディスパービック171、ディスパービック174、ディスパー
ビック2095(以上、ビックケミー社製);EFKA 5010、EFKA 5065
、EFKA 5066、EFKA 5070、EFKA 7500、EFKA 7554
(以上、チバスペシャリティ−社製);ソルスパース3000、ソルスパース16000
、ソルスパース17000、ソルスパース18000、ソルスパース36000、ソルス
パース36600、ソルスパース41000(以上、ルーブリゾール社製)、ヒノアクト
KF−1000(川研ファインケミカル社製)等が挙げられる。
また、アミン価分散剤の具体例としては、ディスパービック102、ディスパービック
160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、
ディスパービック164、ディスパービック166、ディスパービック167、ディスパ
ービック168、ディスパービック2150、ディスパービックLPN6919、ディス
パービック9075、ディスパービック9077(以上、ビックケミー社製);EFKA
4015、EFKA 4020、EFKA 4046、EFKA 4047、EFKA
4050、EFKA 4055、EFKA 4060、EFKA 4080、EFKA
4300、EFKA 4330、EFKA 4340、EFKA 4400、EFKA
4401、EFKA 4402、EFKA 4403、EFKA 4800(以上、チ
バスペシャリティ−社製);アジスパーPB711(以上、味の素ファインテクノ社製)
;Anti−Terra−205(ビックケミー社製)、KF−1525、ヒノアクト1
300M、ヒノアクトT9050、ヒノアクトT6000、ヒノアクトT7000、ヒノ
アクトT8000、ヒノアクトT8000E(以上、川研ファインケミカル社製)等が挙
げられる。
上記のような分散剤(酸価分散剤およびアミン価分散剤)を用いることにより、形成さ
れる着色部の色味に悪影響を与えることなく、インク中における顔料の分散安定性を優れ
たものとすることができる。
酸価分散剤とアミン価分散剤とを併用する場合、酸価分散剤の酸価(固形分換算したと
きの酸価)は、特に限定されないが、5〜370KOHmg/gであるのが好ましく、2
0〜270KOHmg/gであるのがより好ましく、30〜135KOHmg/gである
のがさらに好ましい。酸価分散剤の酸価が前記範囲内の値であると、アミン価分散剤と併
用した場合における顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができ、また、アミン
価分散剤と併用した場合におけるカラーフィルター用インクの粘度の低減、安定化効果を
より顕著に得ることができる。また、カラーフィルター用インクの中に顔料が含まれる場
合、顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができる。分散剤についての酸価は、
例えば、DIN EN ISO 2114に準拠する方法により求めることができる。
また、酸価分散剤は、所定のアミン価を有していないもの、すなわち、アミン価が零で
あるのが好ましい。
アミン価分散剤と酸価分散剤とを併用する場合、アミン価分散剤のアミン価(固形分換
算したときのアミン価)は、特に限定されないが、5〜200KOHmg/gであるのが
好ましく、25〜170KOHmg/gであるのがより好ましく、30〜130KOHm
g/gであるのがさらに好ましい。アミン価分散剤のアミン価が前記範囲内の値であると
、酸価分散剤と併用した場合における顔料の分散安定性を特に優れたものとすることがで
き、また、酸価分散剤と併用した場合におけるカラーフィルター用インクの粘度の低減、
安定化効果をより顕著に得ることができる。なお、分散剤についてのアミン価は、例えば
、DIN 16945に準拠する方法により求めることができる。
また、アミン価分散剤は、所定の酸価を有していないもの、すなわち、酸価が零である
のが好ましい。
また、酸価分散剤とアミン価分散剤とを併用する場合、カラーフィルター用インク中に
おける酸価分散剤の含有率をX[wt%]、当該カラーフィルター用インク中における
アミン価分散剤の含有率をX[wt%]としたとき、0.1≦X/X≦1の関係を
満足するのが好ましく、0.15≦X/X≦0.5の関係を満足するのがより好まし
い。このような関係を満足することにより、酸価分散剤とアミン価分散剤とを併用するこ
とによる相乗効果がより顕著に発揮され、液滴の吐出安定性等を特に優れたものとするこ
とができる。
また、酸価分散剤の酸価をAV[KOHmg/g]、アミン価分散剤のアミン価をBV
[KOHmg/g]、前記酸価分散剤の含有率をX[wt%]、前記アミン価分散剤の
含有率をX[wt%]としたとき、0.01≦(AV×X)/(BV×X)≦1.
9の関係を満足するのが好ましく、0.10≦(AV×X)/(BV×X)≦1.5
の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、酸価分散剤
とアミン価分散剤とを併用することによる相乗効果がより顕著に発揮され、液滴の吐出安
定性等を特に優れたものとすることができる。
また、分散剤としては、上記以外の分散剤を用いてもよい。例えば、分散剤としては、
シアメリド骨格を備えた化合物を用いることができる。このような化合物を分散剤として
用いることにより、上述したような樹脂材料が溶解した分散媒(溶媒)中における顔料の
分散性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特
に優れたものとすることができる。このような優れた効果は、単に、分散剤としてシアメ
リド骨格を備えた化合物を用いただけで得られるものではなく、上述したような樹脂材料
と、シアメリド骨格を備えた化合物とを併用することにより、これらが相乗的に作用し合
い、得られるものである。
また、分散剤としては、例えば、下記式(21)および下記式(22)で表される部分
構造を有する化合物を用いることができる。このような化合物を分散剤として用いること
により、カラーフィルター用インク中における着色剤(顔料)の分散性を特に優れたもの
とすることができるとともに、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたもの
とすることができる。
Figure 2010164732
Figure 2010164732
カラーフィルター用インク中における分散剤の含有率は、0.5〜15wt%であるの
が好ましく、0.5〜8wt%であるのがより好ましい。
<その他の成分>
本発明のカラーフィルター用インクは、上記以外の成分を含むものであってもよい。こ
のような成分としては、例えば、各種架橋剤;ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホ
ニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩、オキソニウム塩、アンモニウム塩、ベンゾチ
アゾリウム塩等のオニウム塩等の熱酸発生剤;ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホ
ニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩、オキソニウム塩、アンモニウム塩等の光酸発
生剤;各種重合開始剤;酸架橋剤;界面活性剤;増感剤;光安定剤;各種染料;発光材料
;レベリング剤;接着性改良剤;各種重合促進剤;各種光安定化剤;ガラス、アルミナ等
の充填剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−
メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメ
トキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3
−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−ク
ロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3
−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチ
ル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、ビス(1,2,
2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチ
ル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6
−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−
5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベ
ンゾフェノン等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤等が挙げられ
る。
架橋剤としては、例えば、多価カルボン酸無水物、多価カルボン酸、多官能エポキシモ
ノマー、多官能アクリルモノマー、多官能ビニルエーテルモノマー、多官能オキセタンモ
ノマー等を用いることができる。多価カルボン酸無水物の具体例としては、無水フタル酸
、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水ト
リカルバリル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ジメチルテトラヒド
ロフタル酸、無水ハイミック酸、無水ナジン酸等の脂肪族または脂環族ジカルボン酸無水
物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン
酸二無水物等の脂肪族多価カルボン酸二無水物;無水ピロメリット酸、無水トリメリット
酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸無水物;エチレング
リコールビストリメリテイト、グリセリントリストリメリテイト等のエステル基含有酸無
水物が挙げられるが、中でも、芳香族多価カルボン酸無水物が好ましい。また、市販のカ
ルボン酸無水物からなるエポキシ樹脂硬化剤も好適に用いることができる。また、多価カ
ルボン酸の具体例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ブタンテトラカルボン
酸、マレイン酸、イタコン酸等の脂肪族多価カルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、1,2
−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロペ
ンタンテトラカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸、およびフタル酸、イソフタル酸、テ
レフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカル
ボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸が挙げられるが、中
でも、芳香族多価カルボン酸が好ましい。また、多官能エポキシモノマーの具体例として
は、ダイセル化学工業株式会社製、商品名セロキサイド2021、ダイセル化学工業株式
会社製、商品名エポリードGT401、ダイセル化学工業株式会社製、商品名エポリード
PB3600、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、イソシアヌル酸トリグリシジ
ル等が挙げられる。また、多官能アクリルモノマーの具体例としては、ペンタエリスリト
ールエトキシテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエ
リスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメ
チロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート
、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートトリメタリルイソシアヌレート、トリアリ
ルイソシアヌレート等が挙げられる。また、多官能ビニルエーテルモノマーの具体例とし
ては、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエ
ーテル、ノナンジオールジビニルエーテル、シキロヘキサンジオールジビニルエーテル、
シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテ
ル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエ
ーテル等が挙げられる。また、多官能オキセタンモノマーの具体例としては、キシリレン
ジオキセタン、ビフェニル型オキセタン、ノボラック型オキセタン等が挙げられる。
界面活性剤は、インクの表面張力を低下させることにより、着色部を平坦化させるもの
である。このような界面活性剤としては、例えば、アクリル系界面活性剤、ビニルエーテ
ル系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等を用いることができ、
この中でも、アクリル系界面活性剤を用いることが好ましい。アクリル系界面活性剤は、
着色部の平坦化に寄与できるとともに、上述したような重合体Wとの親和性に優れており
、形成される着色部の明度を高いものとすることができる。
光酸発生剤は、光により酸を発生する成分であり、より具体的な例としては、商品名と
して、サイラキュアUVI−6970、サイラキュアUVI−6974、サイラキュアU
VI−6990、サイラキュアUVI−950(以上、米国ユニオンカーバイド社製、商
品名)、イルガキュア261(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)、SP
−150、SP−151、SP−170、オプトマーSP−171(以上、旭電化工業株
式会社製、商品名)、CG−24−61(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品
名)、DAICATII(ダイセル化学工業社製、商品名)、UVAC1591(ダイセル
・ユーシービー(株)社製、商品名)、CI−2064、CI−2639、CI−262
4、CI−2481、CI−2734、CI−2855、CI−2823、CI−275
8(以上、日本曹達社製品、商品名)、PI−2074(ローヌプーラン社製、商品名、
ペンタフルオロフェニルボレートトルイルクミルヨードニウム塩)、FFC509(3M
社製品、商品名)、BBI−102、BBI−101、BBI−103、MPI−103
、TPS−103、MDS−103、DTS−103、NAT−103、NDS−103
(ミドリ化学社製、商品名)、CD−1012(米国、Sartomer社製、商品名)等が挙げ
られる。
レベリング剤としては、例えば、アニオン系、カチオン系、ノニオン系の各種界面活性
剤を用いることができる。レベリング剤の具体例としては、メガファックF−443,F
−444,F−445,F−446,F−470,F−471,F−472SF,F−4
74,F−475,F−477,F−478,F−479,F−480SF,F−482
,F−483,F−484,F−486,F−487,F−489,R−30(以上、大
日本インキ化学工業(株)社製);ノベックFC−4430、ノベックFC−4432(
以上、住友スリーエム(株)製);サーフィノール104、サーフィノール82、サーフ
ィノール2502、サーフィノール420、サーフィノール440、サーフィノール46
5、サーフィノール485、サーフィノール104E、サーフィノール104H、サーフ
ィノール104A、サーフィノール104BC、サーフィノール104DPM、サーフィ
ノール104PA、サーフィノール104PG−50、サーフィノール104S、サーフ
ィノールSE、サーフィノールSE−F、サーフィノール504、サーフィノール61、
サーフィノール2502、サーフィノール82、サーフィノールDF110D、サーフィ
ノールDF37、サーフィノールDF58、サーフィノールDF75、サーフィノールD
F210、サーフィノールCT111、サーフィノールCT121、サーフィノールCT
131、サーフィノールCT136、サーフィノールCT151、サーフィノールTG、
サーフィノールGA、サーフィノールPSA−336、ダイノール604、エンバイロジ
ェムAD−01、オレフィンE1004、オレフィンE1010、オレフィンPD−00
1、オレフィンPD−002W、オレフィンPD−004、オレフィンEXP.4001
、オレフィンEXP.4036、オレフィンEXP.4051F、オレフィンSPC、オ
レフィンAF−103、オレフィンAF−104、オレフィンAK−02、オレフィンS
K−14、オレフィンAE−3、オレフィンPD−003、オレフィンPD−201、オ
レフィンPD−202、オレフィンPD−301、オレフィンB、オレフィンP、オレフ
ィンY、オレフィンA、オレフィンSTG、オレフィンSPC(以上、日信化学工業(株
)社製);フォスファノールML−200、フォスファノールML−220、フォスファ
ノールRD−510Y、フォスファノールRS−410、フォスファノールRS−610
、フォスファノールRS−710、フォスファノールRL−210、フォスファノールR
L−310、フォスファノールRB−410、フォスファノールRD−720N(以上、
東邦化学工業(株)社製);Lanco Flow L、Lanco Flow U、SOLSPERSE20000(以上、Lubr
izol Deutschland GmbH社製);フタージェント100、フタージェント100C、フタ
ージェント110、フタージェント140A、フタージェント150、フタージェント1
50CH、フタージェントA−K、フタージェント501、フタージェント250、フタ
ージェント251、フタージェント222F、FTX−218、フタージェント300、
フタージェント310、フタージェント400SW、フタージェント251、FTX−2
12M、フタージェント250、FTX−245M、FTX−290M、FTX−207
S、FTX−211S、FTX−220S、FTS−230S、FTX−209F、FT
X−213F、フタージェント222F、FTX−233F、FTX−245F、FTX
−208G、FTX−218G、FTX−230G、FTS−240G、FTX−204
D、FTX−208D、FTX−212D、FTX−216D、FTX−218D、FT
X−220D、FTX−222D、FTX−720C、FTX−740C(以上、(株)
ネオス社製);サーフロンS−111n、サーフロンS−113、サーフロンS−121
、サーフロンS−131、サーフロンS−132、サーフロンS−141、サーフロンS
−145、サーフロンS−381、サーフロンS−383、サーフロンS−393、サー
フロンSC−101、サーフロンKH−40、サーフロンSA−100(以上、AGCセ
イミケミカル(株)社製);ユニダインDS−401、ユニダインDS−403、ユニダ
インNS−1602、ユニダインNS−1603、ユニダインNS−1605(以上、日
進化成(株)社製)等が挙げられる。このような界面活性剤の中でも、ノニオン系の界面
活性剤を用いるのが好ましい。これにより、形成される着色部の表面がより平坦化され、
得られるカラーフィルターは、各部位での色むら、濃度むらが特に小さいものとなる。
このようなノニオン系の界面活性剤の具体的な例としては、商品名として、メガファッ
クF−443,F−444,F−445,F−446,F−470,F−471,F−4
72SF,F−474,F−475,F−477,F−478,F−479,F−480
SF,F−482,F−483,F−484,F−486,F−487,F−489,R
−30(以上、大日本インキ化学工業(株)社製);サーフィノール104、同左82、
同左2502、同左420、同左440、同左465、同左485(以上、日信化学工業
(株)社製);ノベックFC−4430、ノベックFC−4432(以上、住友スリーエ
ム(株)社製);フタージェント250、フタージェント25、フタージェント222F
、FTX−218、フタージェント251、FTX−212M、フタージェント250、
FTX−245M、FTX−290M、FTX−207S、FTX−211S、FTX−
220S、FTS−230S、FTX−209F、FTX−213F、フタージェント2
22F、FTX−233F、FTX−245F、FTX−208G、FTX−218G、
FTX−230G、FTS−240G、FTX−204D、FTX−208D、FTX−
212D、FTX−216D、FTX−218D、FTX−220D、FTX−222D
、FTX−720C、FTX−740C(以上、(株)ネオス社製)等が挙げられる。こ
の中でも、大日本インキ化学工業(株)社製のメガファックF−444,F−484,F
−479,F−477,F−489,F−487が特に好ましい。これにより、形成され
る着色部の表面はより確実に平坦化され、結果として、各部位での色むら、濃度むらがよ
り確実に押さえられたカラーフィルターを得ることができる。また、このようなカラーフ
ィルターを備えた画像表示装置では、表示部を見る角度によって、例えば、表示画像が暗
くなるといった不具合をより確実に防止することができる。
カラーフィルター用インクの25℃における粘度(振動式粘度計を用いて測定される粘
度)は、特に限定されないが、4〜10mPa・sであるのが好ましく、5〜9.5mP
a・sであるのがより好ましい。カラーフィルター用インクの粘度が前記範囲内の値であ
ると、後述するようなインクジェット方式による液滴吐出において、吐出されるカラーフ
ィルター用インクの液適量のばらつきを特に小さいものとしつつ、液滴吐出ヘッドにおけ
る目詰まりの発生等をより確実に防止することができる。なお、カラーフィルター用イン
クの粘度の測定は、例えば、振動式粘度計を用いて行うことができ、特に、JIS Z8
809に準拠して行うことができる。
≪カラーフィルター用インクの製造方法≫
次に、上述したようなカラーフィルター用インクの製造方法、特に、着色剤として顔料
を含むカラーフィルター用インクの製造方法の好適な実施形態について説明する。
本実施形態の製造方法は、重合体W、重合体Zのうちの少なくとも一方が溶剤に溶解し
た重合体溶液を調製する重合体溶液調製工程と、重合体溶液に顔料を添加し、ビーズミル
を用いて微分散処理を行い、顔料分散体を得る微分散工程と、顔料分散体に希釈用の樹脂
材料を追加混合する樹脂材料追加工程とを有する。
以下、本実施形態の各工程について詳細に説明する。
<重合体溶液調製工程>
重合体溶液調製工程においては、重合体W、重合体Zのうちの少なくとも一方の重合体
が溶剤に溶解した重合体溶液を調製する。このように、後述する顔料を微分散させる工程
(微分散工程)に先立って、顔料と混合する液体(重合体溶液)を、重合体Wおよび/ま
たは重合体Zを含むものとすることにより、原料として用いる顔料粒子の凝集体を効率よ
く、容易かつ確実に微粒子化(解砕)することができ、カラーフィルター用インクの生産
性を向上させることができるとともに、最終的に得られるカラーフィルター用インク中に
おける顔料の分散安定性、液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また
、重合体溶液を用いることにより、後述する微分散工程を、比較的温和な条件で行うこと
ができるため、カラーフィルター用インクの構成材料の不本意な変性、劣化等を確実に防
止することができる。
また、本工程においては、分散剤を用いるのが好ましい。これにより、重合体Wおよび
/または重合体Zと分散剤とを併用することによる相乗効果がより顕著に発揮される。ま
た、本工程において分散剤を用いる場合、(重合体Wおよび/または重合体Zと溶剤との
混合に先立って、または、重合体Wおよび/または重合体Zと溶剤との混合時に、)分散
剤と溶剤とを含む混合物を攪拌する(分散剤を予備分散する)のが好ましい。これにより
、得られる重合体溶液中において、分散剤の会合状態を解いた(ほぐした)状態とするこ
とができ、分散剤の機能をより効果的に発揮させることができる。ところで、上述した酸
価分散剤およびアミン価分散剤は、本来、互いに電気的に引き付け合い易いという性質を
有しているが、本実施形態のように、顔料の微分散(微分散工程)に先立って、分散剤を
予備分散することにより、分散剤として酸価分散剤およびアミン価分散剤を用いた場合で
あっても、酸価分散剤およびアミン価分散剤を、会合状態を十分に解いた状態で、顔料粒
子の表面に均一かつ安定的に付着させることができ、分散剤同士の凝集、顔料粒子同士の
凝集等をより確実に防止することができ、顔料の分散安定性、液滴の吐出安定性を特に優
れたものとすることができる。
なお、カラーフィルター用インクを、重合体W、重合体Zのいずれもを含むものとして
調製する場合、本行程において、重合体Wおよび重合体Zを用いるのが好ましい。これに
より、樹脂材料を構成する重合体Wおよび/または重合体Z、分散剤の会合状態を解いた
(ほぐした)状態とすることができる。
重合体溶液が分散剤を含むものである場合、本工程で調製する重合体溶液中における分
散剤の含有率(複数種の分散剤を含む場合は、その含有率の総和)は、特に限定されない
が、5〜30wt%であるのが好ましく、6〜25wt%であるのがより好ましい。分散
剤の含有率が前記範囲内の値であると、前述したような効果がより顕著に発揮される。
また、本工程で調製する重合体溶液中における重合体の含有率(重合体W、重合体Zの
いずれも用いる場合には、その含有率の総和)は、特に限定されないが、10〜40wt
%であるのが好ましく、20〜35wt%であるのがより好ましい。樹脂材料の含有率が
前記範囲内の値であると、前述したような効果がより顕著に発揮される。
また、本工程で調製する重合体溶液中における溶剤の含有率は、特に限定されないが、
40〜80wt%であるのが好ましく、53〜75wt%であるのがより好ましい。溶剤
の含有率が前記範囲内の値であると、前述したような効果がより顕著に発揮される。なお
、溶剤としては、目的とするカラーフィルター用インクを構成する溶媒と同一の組成を有
するものを用いてもよいし、異なる組成のものを用いてもよい。本工程で、溶剤として、
目的とするカラーフィルター用インクを構成する溶媒とは異なる組成を有するものを用い
た場合、例えば、後の工程で、所定の液体で希釈したり、減圧処理、加熱処理等を伴う液
体の置換を行ったりすることにより、最終的に得られるカラーフィルター用インクにおい
て、所望の組成を有する溶媒とすることができる。
本工程では、各種攪拌機を用いて上記各成分の混合物を攪拌することにより、重合体溶
液を得ることができる。
本工程で用いることのできる攪拌機としては、例えば、ディスパーミル等の一軸または
二軸ミキサー等が挙げられる。
攪拌機を用いた攪拌処理時間は、特に限定されないが、1〜30分間であるのが好まし
く、3〜20分間であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの生
産性を十分に優れたものとしつつ、使用する重合体(重合体W、重合体Z)、分散剤の会
合状態をより効果的に解くことができ、最終的に得られるカラーフィルター用インク中に
おける顔料粒子の分散安定性、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたもの
とすることができる。
また、本工程での攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、特に限定されないが、500〜4
000rpmであるのが好ましく、800〜3000rpmであるのがより好ましい。こ
れにより、カラーフィルター用インクの生産性を十分に優れたものとしつつ、使用する重
合体(重合体W、重合体Z)、分散剤の会合状態をより効果的に解くことができ、最終的
に得られるカラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたもの
とすることができる。また、使用する重合体(重合体W、重合体Z)、分散剤等の熱等に
よる劣化、変性等をより確実に防止することができる。
<微分散工程>
次に、上記工程で得られた重合体溶液に顔料を添加し、ビーズミルを用いて微分散処理
を行う(微分散工程)。
このように、上記工程で得られた重合体溶液中では、顔料を効率良く微粒化(解砕)す
ることができ、カラーフィルター用インクの生産性を特に優れたものとすることができる
。これは、本工程において、顔料の周りを重合体Wおよび/または重合体Zが取り囲むよ
うな状態となり、顔料の微粒子化(解砕)を促進するとともに、微粒子化した顔料粒子同
士が接近し、凝集してしまうのを防止するためであると考えられる。
また、重合体Wおよび重合体Zは、上述したように、所定温度以下では硬化反応を進行
させない特性(スイッチング特性)に優れたものある。本行程において、顔料の微粒化の
際に熱が生じても、着色部形成工程において、吐出したインクを加熱、乾燥する温度に比
べれば十分に低い温度であるため、このような重合体が反応し、分散液の粘度が上昇した
り、微粒化が妨げられたりするといった不具合の発生を確実に防止することができる。
また、本行程において、顔料を添加する重合体溶液は、上述した成分bを含んでいるも
のが好ましい。さらには、重合体溶液が成分aと成分bとを溶剤として含み、最終的に得
られるインク中での成分aに対する成分bの含有比率よりも、重合体溶液中での成分aに
対する成分bの含有比率の方が高いのがより好ましい。これにより、本行程において、顔
料の微粒化の際に、重合体溶液と顔料との混合溶液が発熱しても、成分bが重合体の反応
(硬化反応)を好適に防止、抑制し、より効率良く顔料を微粒化することができる。した
がって、インクの生産性をさらに優れたものとすることができる。
このように、本行程では、ビーズミルを用いて上記工程で得られた重合体溶液に顔料を
添加し、微分散処理を行うが、このようなビーズミルでの微分散処理は、無機ビーズを多
段で添加して行うのが好ましい。これにより、顔料の微粒化の効率を特に優れたものとす
ることができ、最終的に得られるカラーフィルター用インク中における顔料粒子を十分に
小さいものとすることができる。特に、酸価分散剤およびアミン価分散剤を併用する場合
においては、このような材料を用いることによる効果と、重合体溶液調製工程および多段
での微分散工程を有する方法を用いることによる効果とが、相乗的に作用し合い、最終的
に得られるカラーフィルター用インクは、顔料の分散安定性、および、液滴の吐出安定性
が、非常に優れたものとなり、非常に優れたコントラストのカラーフィルターの製造に用
いることができるものとなる。
以下の本行程の説明では、ビーズミル内に無機ビーズを多段で添加するものとして説明
する。
本工程は、3段以上に分けて無機ビーズを添加するものであってもよいが、無機ビーズ
を2段で添加するのが好ましい。これにより、最終的に得られるカラーフィルター用イン
ク中における顔料粒子の長期分散安定性を十分に優れたものとしつつ、カラーフィルター
用インクの生産性を特に優れたものとすることができる。
以下の説明では、無機ビーズを2段で添加する方法、すなわち、微分散工程において、
第1の無機ビーズを用いた第1の処理と、第2の無機ビーズを用いた第2の処理とを行う
方法について、代表的に説明する。
本工程で用いる無機ビーズ(第1の無機ビーズ、第2の無機ビーズ)は、無機材料で構
成されたものであればいかなる材料で構成されたものであってもよいが、無機ビーズの好
適な例としては、ジルコニア製のビーズ(例えば、Toray ceram 粉砕ボール
(商品名)、株式会社東レ製)等が挙げられる。
[第1の処理]
本工程では、まず、前述した重合体溶液調製工程で調製した重合体溶液に顔料を添加し
、所定の粒径の第1の無機ビーズを用いて一次微分散する第1の処理を行う。
第1の処理で用いる第1の無機ビーズは、第2の処理で用いる第2の無機ビーズよりも
粒径の大きいものであるのが好ましい。これにより、微分散工程全体としての、顔料の微
粒化(微分散)の効率を、特に優れたものとすることができる。
第1の無機ビーズの平均粒径は、特に限定されないが、0.5〜3.0mmであるのが
好ましく、0.5〜2.0mmであるのがより好ましく、0.5〜1.2mmであるのが
さらに好ましい。第1の無機ビーズの平均粒径が前記範囲内の値であると、微分散工程全
体としての、顔料の微粒化(微分散)の効率を、特に優れたものとすることができる。こ
れに対し、第1の無機ビーズの平均粒径が前記下限値未満であると、顔料の種類等によっ
ては、第1の処理での顔料粒子の微粒化(小粒径化)の効率が著しく低下する傾向が現れ
る。また、第1の無機ビーズの平均粒径が前記上限値を超えると、第1の処理での顔料粒
子の微粒化(小粒径化)の効率は、比較的優れたものとすることができるものの、第2の
処理での顔料粒子の微粒化(小粒径化)の効率が低下し、微分散工程全体としての顔料の
微粒化(微分散)の効率が低下する。
第1の無機ビーズの使用量は、特に限定されないが、重合体溶液100重量部に対し、
100〜600重量部であるのが好ましく、200〜500重量部であるのがより好まし
い。
重合体溶液に添加する顔料の使用量は、特に限定されないが、重合体溶液100重量部
に対し、12重量部以上であるのが好ましく、18〜35重量部であるのがより好ましい
第1の処理は、顔料、第1の無機ビーズを重合体溶液に添加した状態で、各種ビーズミ
ルを用いて攪拌、微粒化することにより行うことができる。
このような各種ビーズミルとしては、例えば、パールミル等のメディア型分散機や、デ
ィスパーミル等の一軸または二軸ミキサー等が挙げられる。
ビーズミルを用いた攪拌処理時間(第1の処理の処理時間)は、特に限定されないが、
10〜120分間であるのが好ましく、15〜40分間であるのがより好ましい。これに
より、カラーフィルター用インクの生産性を低下させることなく、顔料の微粒化(微分散
)を効率よく進行させることができる。
また、第1の処理でのビーズミルが有する攪拌翼の回転数は、特に限定されないが、1
000〜5000rpmであるのが好ましく、1200〜3800rpmであるのがより
好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの生産性を低下させることなく、顔料
の微粒化(微分散)をより効率よく進行させることができる。また、重合体溶液中の重合
体、分散剤等の熱等による劣化、変性等を確実に防止することができる。
[第2の処理]
第1の処理を行った後、第2の無機ビーズを用いた第2の処理を行う。これにより、顔
料粒子が十分に微分散した顔料分散体が得られる。
第2の処理は第1の無機ビーズを含む状態で行うものであってもよいが、第2の処理に
先立ち、第1の無機ビーズを除去するのが好ましい。これにより、第2の処理における顔
料の微粒化(微分散)の効率を特に優れたものとすることができる。第1の無機ビーズの
除去は、例えば、ろ過等の方法により、容易かつ確実に行うことができる。
第2の処理で用いる第2の無機ビーズは、第1の処理で用いる第1の無機ビーズよりも
粒径の小さいものであるのが好ましい。これにより、最終的に得られるカラーフィルター
用インク中における顔料を、十分に微粒化(微分散)させたものとすることができ、カラ
ーフィルター用インクにおける顔料粒子の長期間にわたる分散安定性(長期分散安定性)
に特に優れたものとすることができるとともに、液滴の吐出安定性を特に優れたものとす
ることができる。
第2の無機ビーズの平均粒径は、特に限定されないが、0.03〜0.3mmであるの
が好ましく、0.05〜0.2mmであるのがより好ましい。第2の無機ビーズの平均粒
径が前記範囲内の値であると、微分散工程全体としての、顔料の微粒化(微分散)の効率
を、特に優れたものとすることができる。これに対し、第2の無機ビーズの平均粒径が前
記下限値未満であると、顔料の種類等によっては、第2の処理での顔料粒子の微粒化(小
粒径化)の効率が著しく低下する傾向が現れる。また、第2の無機ビーズの平均粒径が前
記上限値を超えると、顔料粒子の微粒化(微分散)を十分に進行させるのが困難になる可
能性がある。
第2の無機ビーズの使用量は、特に限定されないが、重合体溶液100重量部に対し、
100〜600重量部であるのが好ましく、200〜500重量部であるのがより好まし
い。
第2の処理は、各種ビーズミルを用いて行うことができる。
第2の処理で用いることのできるビーズミルとしては、例えば、パールミル等のメディ
ア型分散機や、ディスパーミル等の一軸または二軸ミキサー等が挙げられる。
攪拌機を用いた攪拌処理時間(第2の処理の処理時間)は、特に限定されないが、10
〜120分間であるのが好ましく、15〜40分間であるのがより好ましい。これにより
、カラーフィルター用インクの生産性を低下させることなく、顔料の微粒化(微分散)を
十分に進行させることができる。
また、第2の処理での攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、特に限定されないが、100
0〜5000rpmであるのが好ましく、1200〜3800rpmであるのがより好ま
しい。これにより、カラーフィルター用インクの生産性を低下させることなく、顔料の微
粒化(微分散)をより効率よく進行させることができる。また、分散剤等の熱等による劣
化、変性等を確実に防止することができる。
上記の説明では、微分散処理を2段で行う場合について中心的に説明したが、3段以上
の処理を行ってもよい。このような場合、後の処理で用いる無機ビーズの方が、先の処理
で用いる無機ビーズよりも小粒径であるのが好ましい。言い換えると、n段目の処理で用
いる無機ビーズ(第nの無機ビーズ)の平均粒径は、(n−1)段目の処理で用いる無機
ビーズ(第(n−1)の無機ビーズ)の平均粒径よりも小さいものであるのが好ましい。
このような関係を満足することにより、顔料粒子の微粒化(微分散)の効率を特に優れた
ものとすることができるとともに、最終的に得られるカラーフィルター用インク中の顔料
粒子の粒径をより小さいものとすることができる。
なお、微分散工程(例えば、第1の処理、第2の処理)においては、必要に応じて、例
えば、溶剤による希釈等の処理を行ってもよい。
<樹脂材料追加工程>
上記のような微分散工程で得られた顔料分散体を、追加の樹脂材料と混合する(樹脂材
料追加工程)。これにより、カラーフィルター用インクが得られる。
このように、本実施形態では、樹脂材料を構成する重合体Wおよび/または重合体Zを
微分散工程に際して用いるとともに、微分散工程後に、追加の樹脂材料を用いる。これに
より、微分散工程の効率を優れたものとしつつ、最終的に得られるカラーフィルター用イ
ンク中における顔料の分散安定性を優れたものとし、液滴の吐出安定性を優れたものとし
、さらに、カラーフィルター用インク中に含まれる樹脂材料の含有率を好適なものとする
ことができる。また、重合体W、重合体Z以外の重合体を用いる場合においては、カラー
フィルター用インクの調製時における当該重合体の不本意な変性、劣化を防止しつつ、最
終的に得られるカラーフィルター用インクに当該重合体を所望の割合で含ませることがで
きる。
本工程に追加する樹脂材料としては、例えば、上述したような重合体X、Y等の重合体
W、重合体Zとは異なる重合体を用いることができる。また、重合体W、重合体Zは、前
述した重合体溶液調製工程に加え、本工程でも用いられるものであってもよい。
本工程は、第2の処理で用いた第2の無機ビーズを除去した状態で行うのが好ましい。
第2の無機ビーズの除去は、例えば、ろ過等の方法により、容易かつ確実に行うことがで
きる。
本工程は、各種攪拌機を用いて行うことができる。
本工程で用いることのできる攪拌機としては、例えば、ディスパーミル等の一軸または
二軸ミキサー等が挙げられる。
攪拌機を用いた攪拌処理時間(本工程の処理時間)は、特に限定されないが、1〜60
分間であるのが好ましく、15〜40分間であるのがより好ましい。
また、本工程での攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、特に限定されないが、1000〜
5000rpmであるのが好ましく、1200〜3800rpmであるのがより好ましい

なお、本工程では、前記工程で用いた溶剤とは異なる組成の液体を添加してもよい。こ
れにより、前述した重合体溶液調製工程での重合体Wおよび/または重合体Zの溶解、分
散剤の分散、および、微分散工程での顔料粒子の微分散を好適に行いつつ、所望の特性を
有するカラーフィルター用インクを確実に得ることができる。
また、本工程においては、顔料分散体と追加の樹脂材料との混合に先立って、または、
顔料分散体と追加の樹脂材料との混合の後に、前記工程で用いた溶剤の少なくとも一部を
除去してもよい。これにより、重合体溶液調製工程、微分散工程での溶剤の組成と、最終
的に得られるカラーフィルター用インクでの溶媒の組成とを異なるものとすることができ
る。その結果、前述した重合体溶液調製工程での重合体Wおよび/または重合体Zの溶解
、分散剤の分散、および、微分散工程での顔料粒子の微分散を好適に行いつつ、所望の特
性を有するカラーフィルター用インクを確実に得ることができる。溶剤の除去は、例えば
、対象とする液体を、減圧雰囲気下に置いたり、加熱したりすることにより行うことがで
きる。
《インクセット》
上述したようなカラーフィルター用インクは、インクジェット方式によるカラーフィル
ターの製造に用いられるものである。カラーフィルターは、通常、フルカラー表示に対応
するため、複数色の着色部(通常は、光の三原色に対応するRGBの3色)を有している
。そして、これら複数色の着色部の形成には、それぞれに対応する色の複数種のカラーフ
ィルター用インクが用いられる。すなわち、カラーフィルターの製造には、複数色のカラ
ーフィルター用インクを備えるインクセットが用いられる。本発明においては、カラーフ
ィルターの製造において、上述したようなカラーフィルター用インクが、少なくとも1種
の着色部の形成に用いられるものであればよいが、全色の着色部の形成に用いられるのが
好ましい。
より具体的には、本発明のカラーフィルター用インクセットは、赤色の着色剤(特に、
赤色の顔料)を含む赤色インクと、緑色の着色剤(特に、緑色の顔料)を含む緑色インク
と、青色の着色剤(特に、青色の顔料)を含む青色インクとを備えたものであるのが好ま
しい。これにより、カラーフィルター用インクセットを用いて製造されるカラーフィルタ
ーの色再現域を特に広いものとすることができる。また、カラーフィルターにおいて、各
色間での輝度バランスを容易に調整することができ、特に優れた画質の画像を好適に表示
することができる。
《カラーフィルター》
次に、上述したようなカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて製造される
カラーフィルターの一例について説明する。
図1は、本発明のカラーフィルターの好適な実施形態を示す断面図である。
図1に示すように、カラーフィルター1は、基板11と、上述したカラーフィルター用
インクを用いて成形された着色部12とを備えている。着色部12としては、互いに異な
る色の第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12Cが設けられ
ている。そして、隣接する着色部12の間には、隔壁13が設けられている。
<基板>
基板11は、光透過性を有する板状の部材で、着色部12、隔壁13を保持する機能を
有している。
基板11は、実質的に透明な材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、
カラーフィルター1を透過する光により、より鮮明な画像を形成することができる。
また、基板11は、耐熱性、機械的強度に優れたものであるのが好ましい。これにより
、例えば、カラーフィルター1の製造時に加わる熱による変形等を確実に防止することが
できる。このような条件を満足する基板11の構成材料としては、例えば、ガラス、シリ
コン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイ
ミド、ノルボルネン系開環重合体やその水素添加物等が挙げられる。
<着色部>
着色部12は、上述したようなカラーフィルター用インク(カラーフィルター用インク
セット)を用いて形成されたものである。
着色部12は、上述したようなカラーフィルター用インク(カラーフィルター用インク
セット)を用いて形成されたものであるため、密度が十分に高く、また、上述したような
基板11との密着性に優れている。これにより、カラーフィルター1は、特に耐久性に優
れたものとなる。また、着色部の表面が確実に平坦化されているため、カラーフィルター
1の明度およびコントラスト比は優れたものとなる。また、このような着色部12は、各
画素間での特性のばらつきが小さく、不本意な混色(複数種のカラーフィルター用インク
の混合)等が確実に防止されている。このため、カラーフィルター1は、色むら、濃度む
ら等の発生が抑制された、信頼性が高いものとなっている。また、カラーフィルター1は
、着色部12の発色性に優れ、コントラストに優れたものとなっている。また、このよう
な着色部中の顔料は凝集が抑えられ、着色部中に均一に分散している。このような着色部
を有するカラーフィルター1は、色むら、濃度むらが確実に抑えられ、鮮明な画像表示を
行うことができるものとなる。
各着色部12は、後述する隔壁13により囲まれた領域であるセル14内に設けられて
いる。
各着色部12の高さは、特に限定されないが、0.1〜10μmであるのが好ましく、
0.5〜3.5μmであるのがより好ましく、0.6〜2.3μmであるのがさらに好ま
しい。かかる範囲の薄い着色部12を備えたカラーフィルター1も、本発明によれば、着
色部12表面の形状を十分に平坦なものとして得ることができる。また、カラーフィルタ
ー1を備えた画像表示装置、電子機器における視野角特性を優れたものとすることができ
る。
第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12Cは、互いに異な
る色のものである。例えば、第1の着色部12Aを赤色フィルター領域(R)、第2の着
色部12Bを緑色フィルター領域(G)、第3の着色部12Cを青色フィルター領域(B
)とすることができる。
そして、一組の異なる色の着色部12A、12B、12Cで1画素を構成している。そ
して、カラーフィルター1においては、その横方向および縦方向に、着色部12が所定数
配置されている。例えば、カラーフィルター1が、ハイビジョン用のカラーフィルターで
ある場合には1366×768個の画素が配置されており、フルハイビジョン用のカラー
フィルターである場合には1920×1080個の画素が配置されており、スーパーハイ
ビジョン用のカラーフィルターである場合には7680×4320個の画素が配置されて
いる。なお、カラーフィルター1は、例えば、有効領域外に予備の画素を備えたものであ
ってもよい。
<隔壁>
隣接する着色部12の間には、隔壁(バンク)13が設けられている。これにより、隣
接する着色部12同士が混色してしまうのを確実に防止することができ、その結果、鮮明
な画像を確実に表示することができる。
隔壁13は、透明な材料で構成されたものであってもよいが、遮光性を有する材料で構
成されたものであるのが好ましい。これにより、コントラストに優れた画像を表示するこ
とができる。隔壁(遮光部)13の色は、特に限定されないが、黒色であるのが好ましい
。これにより、表示される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
隔壁13の高さは、特に限定されないが、0.1〜10μmであるのが好ましく、0.
5〜3.5μmであるのがより好ましく、0.6〜2.3μmであるのがさらに好ましい
。本発明のカラーフィルター用インクを用いることにより、各着色部12の表面形状を確
実に平坦なものとすることができるため、隔壁13を上述したような薄い厚さに形成した
場合であっても、各色の着色部12間での混色を確実に防止することができる。したがっ
て、隣接する着色部12間での混色が確実に防止された、薄型のカラーフィルター1を確
実に得ることができる。また、カラーフィルター1を備えた画像表示装置、電子機器にお
ける視野角特性を優れたものとすることができる。
隔壁13は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、例えば、主として硬化
性樹脂材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、後述するような方法で、
隔壁13を容易に所望の形状を有するものとして形成することができる。また、隔壁13
が遮光部としての機能を有するものである場合、その構成材料として、カーボンブラック
等の光吸収性の材料を含むものであってもよい。
《カラーフィルターの製造方法》
次に、上述したようなカラーフィルター1の製造方法の一例について説明する。
図2は、カラーフィルターの製造方法を示す断面図、図3は、カラーフィルターの製造
に用いる液滴吐出装置を示す斜視図、図4は、図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出
手段をステージ側から観察した図、図5は、図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘ
ッドの底面を示す図、図6は、図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドを示す図
であり、(a)は断面斜視図、(b)は断面図である。
図2に示すように、本実施形態では、基板11を準備する基板準備工程(1a)と、基
板11上に隔壁13を形成する隔壁形成工程(1b、1c)と、インクジェット方式によ
りカラーフィルター用インク2を隔壁13で囲まれた領域に付与するインク付与工程(1
d)と、カラーフィルター用インク2から溶媒を除去し、樹脂材料を硬化させることによ
り固形状の着色部12とする着色部形成工程(1e)とを有している。
<基板準備工程>
まず、基板11を準備する(1a)。本工程で準備する基板11は、洗浄処理が施され
たものであるのが好ましい。また、本工程で準備する基板11は、シランカップリング剤
等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法
、真空蒸着等の適宜の前処理が施されたものであってもよい。
<隔壁形成工程>
次に、基板11の隔壁形成用の感放射線性組成物を基板11の一方の面のほぼ全体に付
与し、塗膜3を形成する(1b)。なお、基板11上に感放射線性組成物を付与した後、
必要に応じて、プリベーク処理を行ってもよい。プリベーク処理は、例えば、加熱温度:
50〜150℃、加熱時間:30〜600秒という条件で行うことができる。
その後、フォトマスクを介して、放射線を照射して、ポストエキスポジャーベーク処理
(PEB)を行い、さらに、アルカリ現像液を用いた現像処理を行うことにより、隔壁1
3が形成される(1c)。PEBは、例えば、加熱温度:50〜150℃、加熱時間:3
0〜600秒、放射線照射強度:1〜500mJ/cmという条件で行うことができる
。また、現像処理は、例えば、液盛り法、ディッピング法、振動浸漬法等により行うこと
ができ、現像処理時間は、例えば、10〜300秒とすることができる。また、現像処理
の後、必要に応じて、ポストベーク処理を行ってもよい。ポストベーク処理は、例えば、
加熱温度:150〜280℃、加熱時間:3〜120分という条件で行うことができる。
また、現像処理の前に、撥液化処理を行ってもよい。現像処理の前に、フッ素樹脂をス
タンプ法などで付与しても良いし、フッ素をプラズマ重合処理でドープしてもよい。その
ような処理をすることで、バンク表面(図中の上面。内壁面を除く部位)のみ撥液化して
、平坦化に寄与する。また、感放射性組成物のなかに、表面のみに配向するように、比重
の軽いフッ素樹脂を添加しておいてもよい。
<インク付与工程>
次に、インクジェット方式により、カラーフィルター用インク2を、隔壁13で囲まれ
たセル14内に付与する(1d)。
本工程は、形成すべき複数色の着色部12に対応する複数種のカラーフィルター用イン
ク2を用いて行う。この際、隔壁13が設けられているため、2種以上のカラーフィルタ
ー用インク2が混ざり合うことが確実に防止される。
また、上述したようにカラーフィルター用インク2は、前記樹脂材料(重合体Wおよび
/または重合体Z)を含むものであり、液滴の吐出安定性に優れている。このため、製造
すべきカラーフィルター1が大型のものである場合や、多数枚のカラーフィルター1を連
続的に製造する場合であっても、飛行曲がり等の問題の発生を確実に防止ししつつ、液滴
の吐出量を容易かつ確実に制御することができる。その結果、製造されるカラーフィルタ
ー1における混色、色むら・濃度むら、コントラスト比の低下等の問題の発生を確実に防
止することができる。
カラーフィルター用インク2の吐出は、図3〜図6に示すような液滴吐出装置を用いて
行う。
図3に示すように、本工程で用いる液滴吐出装置100は、カラーフィルター用インク
2を保持するタンク101と、チューブ110と、チューブ110を介してタンク101
からカラーフィルター用インク2が供給される吐出走査部102とを備える。吐出走査部
102は、複数の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)114をキャリッジ105に
搭載してなる液滴吐出手段103と、液滴吐出手段103の位置を制御する第1位置制御
装置104(移動手段)と、前記工程で隔壁13が形成された基板11(以下、単に「基
板11」とも言う。)を保持するステージ106と、ステージ106の位置を制御する第
2位置制御装置108(移動手段)と、制御手段112とを備えている。タンク101と
、液滴吐出手段103における複数の液滴吐出ヘッド114とは、チューブ110で連結
されており、タンク101から複数の液滴吐出ヘッド114のそれぞれにカラーフィルタ
ー用インク2が圧縮空気によって供給される。
第1位置制御装置104は、制御手段112からの信号に応じて、液滴吐出手段103
をX軸方向、およびX軸方向に直交するZ軸方向に沿って移動させる。さらに、第1位置
制御装置104は、Z軸に平行な軸の回りで液滴吐出手段103を回転させる機能も有す
る。本実施形態では、Z軸方向は、鉛直方向(つまり重力加速度の方向)に平行な方向で
ある。第2位置制御装置108は、制御手段112からの信号に応じて、X軸方向および
Z軸方向の双方に直交するY軸方向に沿ってステージ106を移動させる。さらに、第2
位置制御装置108は、Z軸に平行な軸の回りでステージ106を回転させる機能も有す
る。
ステージ106は、X軸方向とY軸方向との双方に平行な平面を有する。また、ステー
ジ106は、カラーフィルター用インク2を付与すべきセル14を有する基板11をその
平面上に固定、または保持できるように構成されている。
上述のように、液滴吐出手段103は、第1位置制御装置104によってX軸方向に移
動させられる。一方、ステージ106は、第2位置制御装置108によってY軸方向に移
動させられる。つまり、第1位置制御装置104および第2位置制御装置108によって
、ステージ106に対する液滴吐出ヘッド114の相対位置が変わる(ステージ106に
保持された基板11と、液滴吐出手段103とが相対的に移動する)。
制御手段112は、カラーフィルター用インク2を吐出すべき相対位置を表す吐出デー
タを外部情報処理装置から受け取るように構成されている。
図4に示すように、液滴吐出手段103は、それぞれほぼ同じ構造を有する複数の液滴
吐出ヘッド114と、これらの液滴吐出ヘッド114を保持するキャリッジ105とを有
している。本実施形態では、液滴吐出手段103に保持される液滴吐出ヘッド114の数
は8個である。それぞれの液滴吐出ヘッド114は、後述する複数のノズル118が設け
られた底面を有している。それぞれの液滴吐出ヘッド114のこの底面の形状は、2つの
長辺と2つの短辺とを有する多角形である。液滴吐出手段103に保持された液滴吐出ヘ
ッド114の底面はステージ106側を向いており、さらに、液滴吐出ヘッド114の長
辺方向と短辺方向とは、それぞれX軸方向とY軸方向とに平行である。
図5に示すように、液滴吐出ヘッド114は、X軸方向に並んだ複数のノズル118を
有する。これら複数のノズル118は、液滴吐出ヘッド114におけるX軸方向のノズル
ピッチHXPが所定の値となるように配置されている。ノズルピッチHXPの具体的な値
は、特に限定されないが、例えば、50〜90μmとすることができる。ここで、「液滴
吐出ヘッド114におけるX軸方向のノズルピッチHXP」は、液滴吐出ヘッド114に
おけるノズル118のすべてをY軸方向に沿ってX軸上に射像して得られた複数のノズル
像間のピッチに相当する。
本実施形態では、液滴吐出ヘッド114における複数のノズル118は、ともにX軸方
向に延びるノズル列116Aと、ノズル列116Bとをなす。ノズル列116Aと、ノズ
ル列116Bとは、間隔を空けて並行に配置されている。そして、本実施形態においては
、ノズル列116Aおよびノズル列116Bのそれぞれにおいて、90個のノズル118
が一定間隔LNPでX軸方向に一列に並んでいる。LNPの具体的な値は、特に限定され
ないが、100〜180μmとすることができる。
ノズル列116Bの位置は、ノズル列116Aの位置に対して、ノズルピッチLNPの
半分の長さだけX軸方向の正の方向(図5の右方向)にずれている。このため、液滴吐出
ヘッド114のX軸方向のノズルピッチHXPは、ノズル列116A(またはノズル列1
16B)のノズルピッチLNPの半分の長さである。
したがって、液滴吐出ヘッド114のX軸方向のノズル線密度は、ノズル列116A(
またはノズル列116B)のノズル線密度の2倍である。なお、本明細書において「X軸
方向のノズル線密度」とは、複数のノズルをY軸方向に沿ってX軸上に射像して得られた
複数のノズル像の単位長さ当たりの数に相当する。もちろん、液滴吐出ヘッド114が含
むノズル列の数は、2つだけに限定されない。液滴吐出ヘッド114はM個のノズル列を
含んでもよい。ここで、Mは1以上の自然数である。この場合には、M個のノズル列のそ
れぞれにおいて複数のノズル118は、ノズルピッチHXPのM倍の長さのピッチで並ぶ
。さらに、Mが2以上の自然数の場合には、M個のノズル列のうちの一つに対して、他の
(M−1)個のノズル列は、ノズルピッチHXPのi倍の長さだけ重複無くX軸方向にず
れている。ここで、iは1から(M−1)までの自然数である。
さて、本実施形態では、ノズル列116Aおよびノズル列116Bのそれぞれが90個
のノズル118からなるため、1つの液滴吐出ヘッド114は180個のノズル118を
有する。ただし、ノズル列116Aの両端のそれぞれ5ノズルは「休止ノズル」として設
定されている。同様に、ノズル列116Bの両端のそれぞれ5ノズルも「休止ノズル」と
して設定されている。そして、これら20個の「休止ノズル」からはカラーフィルター用
インク2が吐出されない。このため、液滴吐出ヘッド114における180個のノズル1
18のうち、160個のノズル118がカラーフィルター用インク2を吐出するノズルと
して機能する。
図4に示すように、液滴吐出手段103においては、複数個の上記液滴吐出ヘッド11
4がX軸方向に沿って2列に配置されている。一方の列の液滴吐出ヘッド114と他方の
列の液滴吐出ヘッド114とは、休止ノズル分を考慮して、Y軸方向から見て一部重なる
ように配置されている。これにより、液滴吐出手段103においては、基板11のX軸方
向の寸法分の長さに渡り、カラーフィルター用インク2を吐出するノズル118が前記ノ
ズルピッチHXPでX軸方向に連続するように構成されている。
本実施形態の液滴吐出手段103では、基板11のX軸方向の寸法分の長さ全体をカバ
ーするように液滴吐出ヘッド114を配置しているが、本発明における液滴吐出手段は、
基板11のX軸方向の寸法分の長さの一部をカバーするようにものでもよい。
図に示すように、それぞれの液滴吐出ヘッド114は、インクジェットヘッドである。
より具体的には、それぞれの液滴吐出ヘッド114は、振動板126と、ノズルプレート
128とを備えている。振動板126と、ノズルプレート128との間には、タンク10
1から孔131を介して供給されるカラーフィルター用インク2が常に充填される液たま
り129が位置している。
また、振動板126と、ノズルプレート128との間には、複数の隔壁122が位置し
ている。そして、振動板126と、ノズルプレート128と、1対の隔壁122とによっ
て囲まれた部分がキャビティ120である。キャビティ120はノズル118に対応して
設けられているため、キャビティ120の数とノズル118の数とは同じである。キャビ
ティ120には、1対の隔壁122間に位置する供給口130を介して、液たまり129
からカラーフィルター用インク2が供給される。
振動板126上には、それぞれのキャビティ120に対応して、振動子124が位置す
る。振動子124は、ピエゾ素子124Cと、ピエゾ素子124Cを挟む1対の電極12
4A、124Bとを含む。この1対の電極124A、124Bとの間に駆動電圧を与える
ことで、対応するノズル118からカラーフィルター用インク2が吐出される。なお、ノ
ズル118からZ軸方向にカラーフィルター用インク2が吐出されるように、ノズル11
8の形状が調整されている。
また、ノズルプレート128は、ステンレスで構成された基材と、基材を覆うようにし
て設けられ主としてシリカ化合物で構成されたシリカ膜と、シリカ膜を覆うようにして設
けられ、フルオロアルキル化合物を含む撥液膜とによって構成されている。
また、シリカ膜は、撥液膜とステンレスの基材とを密着させる機能を有するとともに、
ステンレスの基材を保護する機能を有する。
制御手段112(図3参照)は、複数の振動子124のそれぞれに互いに独立に信号を
与えるように構成されていてもよい。つまり、ノズル118から吐出されるカラーフィル
ター用インク2の体積が、制御手段112からの信号に応じてノズル118毎に制御され
てもよい。また、制御手段112は、塗布走査の間に吐出動作を行うノズル118と、吐
出動作を行わないノズル118とを設定することでもできる。
本明細書では、1つのノズル118と、ノズル118に対応するキャビティ120と、
キャビティ120に対応する振動子124とを含んだ部分を「吐出部127」と表記する
こともある。この表記によれば、1つの液滴吐出ヘッド114は、ノズル118の数と同
じ数の吐出部127を有する。
上記のような液滴吐出装置100を用いて、カラーフィルター1が有する複数色の着色
部12に対応するカラーフィルター用インク2を、セル14内に付与する。上記のような
装置を用いることにより、セル14内に、効率よくかつ選択的にカラーフィルター用イン
ク2を付与することができる。また、上述したように、カラーフィルター用インク2は、
優れた吐出安定性を有しており、長期間、液滴吐出を行った場合であっても、飛行曲がり
や、液滴の吐出量が不安定化する等の問題が極めて発生しにくいものである。したがって
、異なる色の着色部を形成するのに用いられる複数種のインクが混ざり合って(混色して
)しまったり、本来同一の着色濃度であることが求められる複数個の着色部の間での着色
濃度のばらつきが発生する等の問題を確実に防止することができる。なお、図示の構成で
は、液滴吐出装置100は、カラーフィルター用インク2を保持するタンク101、チュ
ーブ110等を1色分しか有していないが、これらの部材を、カラーフィルター1が有す
る複数色の着色部12に対応する複数色分有するものであってもよい。また、カラーフィ
ルター1の製造においては、複数色のカラーフィルター用インク2に対応する複数の液滴
吐出装置100を用いてもよい。
なお、本発明では、液滴吐出ヘッド114は、駆動素子として、ピエゾ素子の代わりに
静電アクチュエータを用いるものでもよい。また、液滴吐出ヘッド114は、駆動素子と
して電気熱変換素子を用い、この電気熱変換素子による材料の熱膨張を利用してカラーフ
ィルター用インクを吐出する構成であってもよい。
<着色部形成工程(硬化工程)>
次に、セル14内のカラーフィルター用インク2から溶媒(成分a、成分b)を除去し
、樹脂材料を硬化させることにより固形状の着色部12とする(1e)。これにより、カ
ラーフィルター1が得られる。
このように、カラーフィルター用インク2から溶媒を除去(乾燥)させる際に、セル1
4内のカラーフィルター用インク2中に含まれる成分bよりも低沸点である成分aが優先
的に蒸発する。これにより、吐出されたインクの固形分濃度が高くなるが、インク中に高
沸点の成分bを所定量含むため、インク(着色部)の形状が安定化するまで流動性が保た
れる。その後、セル14内のカラーフィルター用インク2の表面が平坦化された状態で、
カラーフィルター用インク2中に残された溶媒が蒸発し、溶媒の除去後、または溶媒を除
去しながら樹脂材料を硬化させることにより、着色部12が形成される。このようなカラ
ーフィルター用インク2では、形成される各着色部12は、密度が十分に高いものとなる
とともに、基板11との密着性に優れたものとなる。その結果、得られるカラーフィルタ
ーは、環境(温度、湿度など)の変化によって、膨張や収縮が起こるのが抑制された、耐
久性に優れたものとなる。また、形成される着色部は、均一な厚さを有するとともに、製
造されるカラーフィルター1の各部位での色むら、濃度むら等の発生を十分に防止するこ
とができ、個体間での特性の均一性を優れたものとすることができる。
さらに、インク中に含まれる重合体W、重合体Zは、上述したような硬化反応のスイッ
チング特性に優れた成分であり、本行程において、インクの流動性が高い状態では、重合
体の反応を抑制しつつ、固形分濃度が高くなり、インクの流動性が十分に失われた状態で
は、重合体を効率良く反応させることができる。そのため、セル中でのインクの対流が確
実に抑えられ、着色部形成過程の比較的初期の段階で着色部の形状を安定化させることが
できる。その結果、最終的に得られる着色部の表面形状を十分に平坦化させることができ
るとともに、着色部と基板とが強固に密着し、耐久性に特に優れたカラーフィルター1と
なる。また、このようにして形成される着色部12では、含まれる顔料粒子が、吐出前の
インク中の顔料粒子と同様に、凝集することなく、着色部12中に均一に分散したものと
なり、得られるカラーフィルター1は、色むら、濃度むらが確実に抑えられ、鮮明な画像
表示を行うことができるものとなる。
また、一般的に、着色部の厚さを薄く形成しようとすると、セル内でのインクの平坦性
を確保するのがより難しくなる。しかしながら、上述したようなカラーフィルター用イン
ク2を用いることにより、十分に薄い厚さの着色部12を形成しても、その表面形状を十
分に平坦化させることができる。
カラーフィルター用インク2からの溶媒の除去および樹脂材料の硬化は、通常、加熱に
より行う。
また、本実施形態において、本工程は、温度の異なる複数の加熱処理を行うものである
。具体的には、本工程は、比較的低温で基板11の加熱を行う第1の加熱処理と、第1の
加熱処理よりも高い温度で基板11の加熱を行う第2の加熱処理とを有する。
まず、比較的低い温度にて基板11を加熱する第1の処理において、セル14内に吐出
されたカラーフィルター用インク2を乾燥し、カラーフィルター用インク2中に含まれる
低沸点の成分aを、高沸点の成分bよりも、より優先的に蒸発させる。このように、比較
的低い温度で加熱することにより、重合体Wおよび/または重合体Zの反応をより効率良
く抑制することができる。特に、減圧環境において乾燥を行う場合は、ポンプなどを用い
た、たとえば100Pa程度の減圧チャンバなどの中で10分程度溶媒を蒸発させること
で、粘度変化がより敏感に起こりやすい室温に近い温度領域で乾燥を行うことができる。
その後、第1の処理よりも高温で基板11を加熱する第2の処理を行い、高沸点の成分
bと、残った成分aとを完全に蒸発(除去)するとともに、樹脂材料を硬化させる(重合
体W、重合体Zを反応させる。)。これにより、セル14内のカラーフィルター用インク
2の対流を防止しつつ、穏やかに溶媒を除去し、カラーフィルター用インク2の表面を平
坦なものとした状態で、流動性を消失または低減させることができる。これにより、着色
部12の表面は確実に平坦化されるとともに、基板11と着色部12との密着性が特に優
れたものとなる。また、比較的低温で加熱することにより、不本意な樹脂材料の硬化反応
を防止することができる。
また、上述したような第1の処理において、加熱された基板11の温度は、特に限定さ
れないが、30〜100℃であるのが好ましく、40〜80℃であるのがより好ましい。
これにより、インク中の重合体Wおよび/または重合体Zの反応をより効率良く抑制しつ
つ、低沸点の成分aを効率良く蒸発(揮発)させることができ、カラーフィルターの生産
性を向上させることができる。また、第1の処理におけるインク中での顔料の分散安定性
を特に優れたものとすることができ、最終的に形成される着色部は、着色部中に顔料が均
一に分散したものとなる。また、カラーフィルター用インク2の対流をより抑えながら、
カラーフィルター用インク2から好適に溶媒を除去できる。
また、第1の加熱処理の時間は、特に限定されないが、3〜80分であることが好まし
く、5〜60分であることがより好ましい。
また、上述したような第2の処理において、加熱された基板11の温度は、特に限定さ
れないが、120〜280℃であるのが好ましく、150〜250℃であるのがより好ま
しい。これにより、第1の加熱処理では除去できなかった溶媒を完全に除去することがで
きる。また、かかる範囲の温度で処理することにより、インク中の重合体Wおよび/また
は重合体Zを効率良く反応させることができ、形成される着色部の表面をより平坦化させ
ることができる。
また、第2の加熱処理の時間は、特に限定されないが、25〜100分であることが好
ましく、30〜90分であることがより好ましい。
また、本工程においては、例えば、活性エネルギー線の照射や、カラーフィルター用イ
ンク2が付与された基板11を減圧環境下に置く等の処理を行ってもよい。活性エネルギ
ー線を照射することにより、樹脂材料の硬化反応を効率よく進行させたり、加熱温度を比
較的低いものとした場合であっても、樹脂材料の硬化反応を確実に進行させることができ
、基板11等への悪影響の発生がより確実に防止される等の効果が得られる。活性エネル
ギー線としては、種々の波長の光線、例えば、紫外線、X線、g線、i線、エキシマレー
ザー等を使用することができる。また、カラーフィルター用インク2が付与された基板1
1を減圧環境下に置くことにより、加熱温度を比較的低いものとした場合であっても、溶
媒を確実に除去することができ、基板11、形成される着色部12等への悪影響の発生が
より確実に防止される。
《画像表示装置》
次に、カラーフィルター1を有する画像表示装置(電気光学装置)である液晶表示装置
の好適な実施形態について説明する。
図7は、液晶表示装置の好適な実施形態を示す断面図である。同図に示すように、液晶
表示装置60は、カラーフィルター1と、カラーフィルター1の着色部12が設けられた
面側に配された基板(対向基板)66と、カラーフィルター1と基板66との間の空隙に
封入された液晶よりなる液晶層62と、カラーフィルター1の基板11の液晶層62に対
向する面とは反対の面側(図7中下側)に設けられた偏光板67と、基板66の液晶層6
2に対向する面とは反対の面側(図7中上側)に設けられた偏光板68とを有している。
そして、カラーフィルター1の着色部12および隔壁13が設けられた面(着色部12お
よび隔壁13の基板11に対向する面とは反対の面)には、共通電極61が設けられてお
り、基板(対向基板)66の液晶層62、カラーフィルター1に対向する面には、カラー
フィルター1の各着色部12に対応する位置に、マトリクス状に、画素電極65が配され
ている。さらに、共通電極61と液晶層62との間には配向膜64が設けられ、基板66
(画素電極65)と液晶層62との間には配向膜63が設けられている。
基板66は、可視光に対して光透過性を有する基板であり、例えば、ガラス基板である

共通電極61、画素電極65は、可視光に対して光透過性を有する材料で構成されたも
のであり、例えば、ITO等で構成されている。
また、図中省略しているが、各画素電極65に対応するように、複数のスイッチング素
子(例えば、TFT:薄膜トランジスタ)が設けられている。そして、各着色部12に対
応する各画素電極65について、共通電極61との間での電圧の印加状態を制御すること
により、各着色部12(各画素電極65)に対応する領域での、光の透過性を制御するこ
とができる。
液晶表示装置60では、図示しないバックライトから発せられた光が、偏光板68側(
図7中上側)から入射するようになっている。そして、液晶層62を透過し、カラーフィ
ルター1の各着色部12(12A、12B、12C)に入射した光は、各着色部12(1
2A、12B、12C)に対応する色の光として、偏光板67(図7中下側)から出射す
る。
上述したように、着色部12は、本発明のカラーフィルター用インク2(カラーフィル
ター用インクセット)を用いて形成されたものであるため、各色間、各画素間での特性の
ばらつきが抑制されたものである。その結果、液晶表示装置60において、各部位での色
むら、濃度むら等が抑制された画像を安定的に表示することができる。
《電子機器》
前述したようなカラーフィルター1を有する液晶表示装置等の画像表示装置(電気光学
装置)1000は、各種電子機器の表示部に用いることができる。
図8は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコン
ピュータの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本
体部1104と、表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本
体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピュータ1100においては、表示ユニット1106が画像表示装
置1000を備えている。
図9は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図
である。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204
および送話口1206とともに、画像表示装置1000を表示部に備えている。
図10は、本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図で
ある。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、
ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)
などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、画
像表示装置1000が表示部に設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構
成になっており、被写体を電子画像として表示するファインダとして機能する。
ケースの内部には、回路基板1308が設置されている。この回路基板1308は、撮
像信号を格納(記憶)し得るメモリが設置されている。
また、ケース1302の正面側(図示の構成では裏面側)には、光学レンズ(撮像光学
系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッタボタン1306を押下すると
、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1308のメモリに転送・格納される
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビ
デオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。
そして、図示のように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニタ1430が、デー
タ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピュータ1440が、それぞれ必要に
応じて接続される。さらに、所定の操作により、回路基板1308のメモリに格納された
撮像信号が、テレビモニタ1430や、パーソナルコンピュータ1440に出力される構
成になっている。
なお、本発明の電子機器は、上述したパーソナルコンピュータ(モバイル型パーソナル
コンピュータ)、携帯電話機、ディジタルスチルカメラの他にも、例えば、テレビ(例え
ば、液晶テレビ)や、ビデオカメラ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープ
レコーダ、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション装置、ページャ
、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ
、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、タ
ッチパネルを備えた機器(例えば金融機関のキャッシュディスペンサー、自動券売機)、
医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電表示装置、超音波診断装置、内視鏡
用表示装置)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器
類)、フライトシュミレータ、その他各種モニタ類、プロジェクター等の投射型表示装置
等に適用することができる。中でも、テレビは、近年の表示部の大型化の傾向が顕著であ
るが、このような大型の表示部(例えば、対角線長80cm以上の表示部)を有する電子
機器では、従来のカラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターを適用
した場合、色むら、濃度むら等の問題を特に生じ易かったが、本発明を適用すれば、この
ような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、上記のような大型の表示部
を有する電子機器に適用した場合に、本発明の効果は、より顕著に発揮される。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定
されるものではない。
例えば、前述した実施形態においては、各色の着色部に対応するカラーフィルター用イ
ンクを、セル内に付与した後に、一括で、セル内の各色のカラーフィルター用インクから
溶媒を除去し、樹脂材料を硬化させるもの、すなわち、着色部形成工程(硬化工程)を1
回のみ行うものとして説明したが、インク付与工程および着色部形成工程は、各色に対応
して、繰り返し行うものであってもよい。
また、カラーフィルター、画像表示装置、電子機器を構成する各部は、同様の機能を発
揮する任意のものと置換、または、その他の構成を追加することもできる。例えば、本発
明のカラーフィルターにおいては、着色部の基板に対向する面とは反対の面側に、着色部
を被覆する保護膜が設けられていてもよい。これにより、着色部の損傷や劣化等をより効
果的に防止することができる。
また、本発明のカラーフィルター用インクは、いかなる方法で製造されたものであって
もよく、上述したような方法により製造されたものでなくてもよい。
また、前述した実施形態では、カラーフィルター用インクセットが、光の三原色に対応
する3種(3色)のカラーフィルター用インクを備える場合について中心的に説明したが
、カラーフィルター用インクセットを構成するカラーフィルター用インクの数、種類(色
)は、上述したものに限定されない。例えば、本発明においてカラーフィルター用インク
セットは、4種以上のカラーフィルター用インクを備えるものであってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
[1]重合体の合成
(合成例1)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ
)に、溶媒(成分a)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:1
80重量部を入れて、85℃に加熱した。続いて、該フラスコ内に、上記式(1)で表さ
れる単量体成分(化合物)w1:188重量部、上記式(2)で表される単量体成分(化
合物)w2:34重量部、上記式(3)で表される単量体成分(化合物)w3:74重量
部、上記式(4)で表される単量体成分(化合物)w4:74重量部、ラジカル開始剤と
してのアゾビスジメチルバレロニトリル:64重量部をジエチレングリコールモノブチル
エーテルアセテート:386重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて5時間かけて
滴下し、さらに3時間熟成させた。その後、室温まで冷却して、単量体成分w1、w2、
w3、w4を含み上記式(17)で表される重合体Wとしての重合体W1を得た。
(合成例2〜8)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類および各成分の比率を変更することにより、
重合体を構成する単量体成分の比率を表1に示すように変更した以外は、前記合成例1と
同様の操作を行った。その結果、7種の重合体(重合体W2〜W8)が得られた。
(合成例9〜12)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類および各成分の比率を変更することにより、
重合体を構成する単量体成分成分の比率を表1に示すように変更した以外は、前記合成例
1と同様の操作を行った。その結果、4種の重合体(重合体W’1〜W’4)が得られた
(合成例13)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ
)に、溶媒(成分a)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:2
46重量部を入れて、80℃に加熱した。続いて、該フラスコ内に、上記式(5)で表さ
れる単量体成分(化合物)z1:376重量部、上記式(6)で表される単量体成分(化
合物)z2:51重量部、上記式(7)で表される単量体成分(化合物)z3:58重量
部、ラジカル開始剤としてのアゾビスジメチルバレロニトリル:39重量部をメトキシブ
チルアセテート:360重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて5時間かけて滴下
し、さらに3時間熟成させた。
その後、フラスコ内にグリシジルメタクリレート:26重量部、メトキノン:2重量部
を加え、110℃で10時間反応させた。その後、室温まで冷却して、単量体成分z1、
z2、z3を含み上記式(18)で表される重合体Zとしての重合体Z1を得た。
(合成例14〜18)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類および各成分の比率を変更することにより、
重合体を構成する単量体成分の比率を表1に示すように変更した以外は、前記合成例13
と同様の操作を行った。その結果、5種の重合体(重合体Z2〜Z6)が得られた。
(合成例19、20)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類および各成分の比率を変更することにより、
重合体を構成する単量体成分の比率を表1に示すように変更した以外は、前記合成例13
と同様の操作を行った。その結果、2種の重合体(重合体Z’1、Z’2)が得られた。
(合成例21)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ
)に、溶媒(成分a)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:3
14重量部を入れて、90℃に加熱した。続いて、ラジカル開始剤としての2,2′−ア
ゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):20重量部、および、ジエチレングリコー
ルモノブチルエーテルアセテート(溶媒):30重量部を加えた後、該フラスコ内に、上
記式(8)で表される単量体成分(化合物)x1:180重量部、上記式(9)で表され
る単量体成分(化合物)x2:90重量部、上記式(10)で表される単量体成分(化合
物)x3:15重量部、上記式(11)で表される単量体成分(化合物)x4:15重量
部、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):50重量部をジエチレン
グリコールモノブチルエーテルアセテート:200重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプ
を用いて5時間かけて滴下し、さらに4時間熟成させた。その後、室温まで冷却して、単
量体成分x1、x2、x3、x4を含み上記式(19)で表される重合体Xとしての重合
体X1を得た。
(合成例22〜25)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類および各成分の比率を変更することにより、
重合体を構成する単量体成分の比率を表1に示すように変更した以外は、前記合成例21
と同様の操作を行った。その結果、4種の重合体(重合体X2〜X5)が得られた。
(合成例26)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ
)に、溶媒(成分a)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:3
14重量部を入れて、90℃に加熱した。続いて、ラジカル開始剤としての2,2′−ア
ゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):20重量部、および、ジエチレングリコー
ルモノブチルエーテルアセテート(溶媒):30重量部を加えた後、該フラスコ内に、上
記式(12)で表される単量体成分(化合物)y1:200重量部、上記式(13)で表
される単量体成分(化合物)y2:100重量部、2,2′−アゾビス(イソブチロニト
リル)(AIBN):50重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
:200重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて5時間かけて滴下し、さらに4時
間熟成させた。その後、室温まで冷却して、単量体成分y1、y2を含み上記式(20)
で表される重合体Yとしての重合体Y1を得た。
(合成例27〜30)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類および各成分の比率を変更することにより、
重合体を構成する単量体成分成分の比率を表1に示すように変更した以外は、前記合成例
26と同様の操作を行った。その結果、4種の重合体(重合体Y2〜Y5)が得られた。
表1、表2には、合成例1〜30で合成した各重合体を構成する各単量体成分の比率、
各重合体の重量平均分子量Mwをまとめて示した。なお、上記のようにして合成した重合
体は、いずれも、分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が1〜3の範囲内で
あった。
Figure 2010164732
Figure 2010164732
[2]カラーフィルター用インク(インクセット)の調製
(実施例1)
酸価分散剤としてのディスパービック111と、アミン価分散剤としてのディスパービ
ック166と、重合体W1と、成分aとしてのジエチレングリコールモノブチルエーテル
アセテートと、成分bとしてのトリエチレングリコールモノブチルエーテルとを、内容量
400ccの攪拌機(一軸ミキサー)に投入し、ディスパーミルで10分間攪拌を行うこ
とにより、重合体溶液を得た(重合体溶液調製工程)。このとき、攪拌機が有する攪拌翼
の回転数は、2000rpmとなるようにした。
次に、以下に述べるようにして、重合体溶液調製工程で得られた重合体溶液に、顔料を
添加し、無機ビーズを多段で添加して微分散処理を行う微分散工程を施した。
まず、得られた重合体溶液に、顔料を添加し、10分間攪拌を行った。このとき、攪拌
機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。また、顔料としては、
C.I.ピグメントレッド177と上記式(14)で表される顔料誘導体との混合物と、
C.I.ピグメントレッド254と上記式(15)で表される顔料誘導体との混合物と、
上記式(16)で示される化学構造を有するスルホン化顔料誘導体の粉末とを用いた。ま
た、このとき、重合体溶液と顔料との混合物中における顔料の含有率が16wt%となる
ように、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートおよびトリエチレングリコ
ールモノブチルエーテルで希釈した。
次に、平均粒径0.8mmの無機ビーズ(第1の無機ビーズ、ジルコニア製、「Tor
ay ceram 粉砕ボール」(商品名)、東レ株式会社製)を添加して、室温下、3
0分間攪拌し1段目の分散処理(第1の処理)を行った。このとき、攪拌機が有する攪拌
翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。
次に、フィルター(「PALL HDCII Membrane Filter」、P
ALL社製)を用いたろ過により、無機ビーズ(第1の無機ビーズ)を除去し、その後、
平均粒径0.1mmの無機ビーズ(第2の無機ビーズ、ジルコニア製、「Toray c
eram 粉砕ボール」(商品名)、東レ株式会社製)を添加し、更に30分間攪拌し第
2段目の分散処理(第2の処理)を行った。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は
、2000rpmとなるようにした。また、このとき、得られる顔料分散体中における顔
料の含有率が13wt%となるように、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテ
ートおよびトリエチレングリコールモノブチルエーテルで希釈した。
その後、フィルター(「PALL HDCII Membrane Filter」(
商品名)、PALL社製)を用いたろ過により、無機ビーズ(第2の無機ビーズ)を除去
し、顔料分散体を得た。
次に、上記のようにして得られた顔料分散体に、さらに、ジエチレングリコールモノブ
チルエーテルアセテートを加えて希釈し、重合体X1および重合体Y1を加え、混合した
(樹脂材料追加工程)。本工程は、上記の各材料を内容量400ccの攪拌機(一軸ミキ
サー)に投入し、ディスパーミルで10分間攪拌することにより行った。このとき、攪拌
機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。これにより、目的とす
る赤色のカラーフィルター用インク(Rインク)を得た。得られたRインクの顔料の含有
率は、7.3wt%であった。また、得られたインク(Rインク)中に含まれる溶媒であ
るジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(成分a)の使用量をCa、トリ
エチレングリコールモノブチルエーテル(成分b)の使用量をCbとしたときのCa/C
bの値は、18.4であった。
また、顔料の種類、各成分の使用量を変更した以外は、前記赤色のカラーフィルター用
インクと同様にして、緑色のカラーフィルター用インク(Gインク)、青色のカラーフィ
ルター用インク(Bインク)を調製した。これにより、R、G、Bの3色のインクからな
るインクセットが得られた。Rインクを構成する顔料の平均粒径、Gインクを構成する顔
料の平均粒径、Bインクを構成する顔料の平均粒径は、それぞれ、70nm、70nm、
70nmであった。また、Gインクの顔料としては、C.I.ピグメントグリーン58、
上記式(16)で示される化学構造を有するスルホン化顔料誘導体の粉末を用い、最終的
なGインク中の顔料の含有率を10.1wt%とした。また、Bインクの顔料としては、
C.I.ピグメントブルー15:6を用い、最終的なBインク中の顔料の含有率を4.9
wt%とした。
(実施例2〜9)
カラーフィルター用インクの材料の種類・含有量を表3に示すように変更した以外は、
前記実施例1と同様にしてカラーフィルター用インク(インクセット)を調製した。
(比較例1〜8)
カラーフィルター用インクの材料の種類・含有量を表4に示すように変更した以外は、
前記実施例1と同様にしてカラーフィルター用インク(インクセット)を調製した。
なお、上記各実施例および各比較例では、いずれも、重合体Z、Z’、W、W’を用い
る場合には、これらを重合体溶液調製工程で用い、重合体X、Yについては、樹脂材料追
加工程で用いた。また、各実施例および各比較例で使用する各重合体(重合体W、W’、
Z、Z’、X、Y)は、それぞれ、各実施例および各比較例で用いる溶媒としての成分a
を溶媒(溶剤)として用いた(ただし、比較例2では、成分bを溶媒として用いた。)。
前記各実施例および各比較例でのカラーフィルター用インクの構成成分の種類、含有量
等を表3、表4にまとめて示した。また、前記各実施例および各比較例でのカラーフィル
ター用インクの構成成分について、溶解度パラメータ(SP値)を表5、表6にまとめて
示した。また、表中比較例3については、高沸点の溶剤を成分bに示した。
なお、表中、C.I.ピグメントレッド177を「PR177」、C.I.ピグメント
レッド254を「PR254」、C.I.ピグメントレッド177と式(14)で表され
る顔料誘導体との混合物「PR177D」、C.I.ピグメントレッド254と式(15
)で表される顔料誘導体との混合物「PR254D」、式(16)で表される顔料誘導体
で構成された粉末を「SPD」、C.I.ピグメントグリーン58を「PG58」、C.
I.ピグメントグリーン36を「PG36」、C.I.ピグメントブルー15:6を「P
B15:6」、C.I.ピグメントイエロー150を「PY150」、ディスパービック
111(酸価:50KOHmg/g)を「DA1」、ディスパービック2095(酸価:
13KOHmg/g)を「DA2」、ディスパービック9075(アミン価:12KOH
mg/g)を「DA3」、ディスパービック166(アミン価:115KOHmg/g)
を「DA4」、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテートを「S1」、1,3−ブ
チレングリコールジアセテートを「S2」、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセ
テートを「S3」、プロピレングリコールジアセテートを「S4」、トリエチレングリコ
ールモノブチルエーテルを「S5」、ジエチレングリコールモノブチルエーテルを「S6
」、ポリエチレングリコール♯300を「S7」、ジエチレングリコールモノヘキシルエ
ーテルを「S8」で示した。なお、分散剤の酸価は、DIN EN ISO 2114に
準拠する方法により求め、アミン価は、DIN 16945に準拠する方法により求めた
。また、表中、「粘度」の欄には、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠し
て測定されたカラーフィルター用インクの25℃における粘度を示した。また、表5、表
6中、各実施例および各比較例における樹脂材料のSP値は、それぞれ、樹脂材料を構成
する各重合体のSP値の容積平均の値を用いた。
なお、各実施例および各比較例で用いた、C.I.ピグメントレッド177と式(14
)で表される顔料誘導体との混合物中における式(14)で表される顔料誘導体の含有率
は、いずれも、0.1〜10wt%であった。また、前記実施例および比較例で用いた、
C.I.ピグメントレッド254と式(15)で表される顔料誘導体との混合物中におけ
る式(15)で表される顔料誘導体の含有率は、いずれも、0.1〜10wt%であった

また、表中、「沸点」の欄には、溶媒の常圧(1気圧)における沸点を示し、「粘度」
の欄には、25℃の環境下、E型粘度計(東機産業社製、RE−01)を用いて、JIS
Z8809に準拠して測定された溶媒の粘度を示した。
Figure 2010164732
Figure 2010164732
Figure 2010164732
Figure 2010164732
[3]液滴吐出の安定性評価(吐出安定性評価)
[3.1]着弾位置精度評価
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図3〜図6に示すような液滴吐出装置
および前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用意し、ピエゾ
素子の駆動波形を最適化した状態で、各インクについて、液滴吐出ヘッドの各ノズルから
、300000発(300000滴)の液滴の連続吐出を行った。液滴吐出ヘッドの中央
部付近の指定したノズルから吐出された300000発の液滴について、着弾した各液滴
の中心位置の中心狙い位置からのズレ量dの平均値を求め、以下の4段階の基準に従い、
評価した。なお、ズレ量dの平均値としては、3色のインクについて得られた値の平均値
を採用した。この値が小さいほど飛行曲がりの発生が効果的に防止されていると言える。
A:ズレ量dの平均値が0.06μm未満。
B:ズレ量dの平均値が0.06μm以上0.12μm未満。
C:ズレ量dの平均値が0.12μm以上。0.16μm未満
D:ズレ量dの平均値が0.16μm以上。
[3.2]液滴吐出量の安定性評価
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図3〜図6に示すような液滴吐出装置
および前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用意し、ピエゾ
素子の駆動波形を最適化した状態で、各インクについて、液滴吐出ヘッドの各ノズルから
、300000発(300000滴)の液滴の連続吐出を行った。液滴吐出ヘッドの左右
両端の指定の2つのノズルについて、吐出された液滴の総重量を求め、上記2つのノズル
から吐出された液滴の平均吐出量の差の絶対値ΔW[ng]を求めた。このΔWの、液滴
の目標吐出量W[ng]に対する比率(ΔW/W)を求め、以下の4段階の基準に従
い、評価した。ΔW/Wの値が小さいほど、液滴吐出量の安定性に優れていると言える
。なお、ΔW/Wの値としては、3色のインクについて得られた値の平均値を採用した

A:ΔW/Wの値が、0.065未満。
B:ΔW/Wの値が、0.065以上0.450未満。
C:ΔW/Wの値が、0.450以上0.780未満。
D:ΔW/Wの値が、0.780以上。
[3.3]間欠印字性能評価
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図3〜図6に示すような液滴吐出装置
および前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用意し、ピエゾ
素子の駆動波形を最適化した状態で、各インクについて、液滴吐出ヘッドの各ノズルから
、15000発(15000滴)の液滴の連続吐出を行い、その後、120秒間、液滴の
吐出を中断した(1シーケンス目)。その後、同様に、液滴の連続吐出、および、滴々の
吐出の中断の操作を繰り返し行った。液滴吐出ヘッドの中央部付近の指定したノズルにつ
いて、1シーケンス目に吐出された液滴の平均重量W[ng]と、30シーケンス目に
吐出された液滴の平均重量W30[ng]とを求めた。そして、WとW30との差の絶
対値の、液滴の目標吐出量W[ng]に対する比率(|W−W30|/W)を求め
、以下の3段階の基準に従い、評価した。|W−W30|/Wの値が小さいほど、間
欠印字性能(液滴吐出量の安定性)に優れていると言える。なお、|W−W30|/W
の値としては、3色のインクについて得られた値の平均値を採用した。
A:|W−W30|/Wの値が、0.050未満。
B:|W−W30|/Wの値が、0.050以上0.680未満。
C:|W−W30|/Wの値が、0.680以上。
[3.4]連続吐出試験
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図3〜図6に示すような液滴吐出装置
、前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用いて、25℃、3
5%RHの環境下で、液滴吐出装置を72時間、連続で運転させることにより、カラーフ
ィルター用インクセットを構成する各インクの吐出を行った。
連続運転後における、液滴吐出ヘッドを構成するノズルの目詰まりの発生率([(目詰
まりノズル数)/(全ノズル数)]×100)を求め、ノズルの目詰まりが発生している
ものについては、可塑材料で構成されたクリーニング部材により、目詰まりの解消が可能
であるか否かを調べた。その結果を、以下の4段階の基準に従い、評価した。なお、ノズ
ルの目詰まりの発生率の値としては、3色のインクについて得られた値の平均値を採用し
た。
A:ノズルの目詰まりの発生がない。
B:ノズルの目詰まりの発生率が0.5%未満(ただし、ゼロを除く)であり、かつ
、クリーニングによる目詰まりの解消が可能。
C:ノズルの目詰まりの発生率が0.5%以上1.0%未満であり、かつ、クリーニ
ングによる目詰まりの解消が可能。
D:ノズルの目詰まりの発生率が1.0%以上、または、クリーニングによる目詰ま
りの解消が不可能。
なお、上記の評価は、各実施例および各比較例について、同様の条件で行った。
[4]カラーフィルター用インクの保存安定性評価(長期安定性評価)
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクについて、60℃の環境下に
、20日間放置した後、目視による観察を行い、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:加熱前からの変化が全く認められない。
B:顔料粒子の凝集・沈降がほとんど認められない。
C:顔料粒子の凝集・沈降がわずかに認められる。
D:顔料粒子の凝集・沈降がはっきりと認められる。
E:顔料粒子の凝集・沈降が顕著に認められる。
[5]カラーフィルターの製造
前記各実施例および各比較例で調製したカラーフィルター用インク(インクセット)を
用いて、以下のようにして、カラーフィルターを製造した。
まず、両面にナトリウムイオンの溶出を防止するシリカ(SiO)膜が形成されたソ
ーダガラス製の基板(G5サイズ:1100×1300mm)を用意し、洗浄処理を施し
た。
次に、カーボンブラックを含む隔壁形成用の感放射線性組成物を、洗浄済の基板の一方
の面の全体に付与し、塗膜を形成した。
次に、加熱温度:110℃、加熱時間:120秒という条件でプリベーク処理を行った

その後、フォトマスクを介して、放射線を照射して、ポストエキスポジャーベーク処理
(PEB)を行い、引き続き、CFとHeガスとを1:9(体積比)で混合したガスを
導入した大気圧プラズマ重合装置で、出力550W、プラズマ発生装置からテーブルまで
の距離:0.5mm、処理テーブル速度:5mm/sという条件で、プリベーク処理、ポ
ストエキスポジャーベーク処理の施された塗膜の表面だけにフッ素をドーピングした。そ
の後、アルカリ現像液を用いた現像処理を行い、さらに、ポストベーク処理を行うことに
より、隔壁を形成した。PEBは、加熱温度:110℃、加熱時間:120秒、放射線照
射強度:150mJ/cmという条件で行った。また、現像処理は、例えば、振動浸漬
法により行った。現像処理時間は、60秒とした。また、ポストベーク処理は、加熱温度
:150℃、加熱時間:5分という条件で行った。形成された隔壁の厚さは、2.0μm
であった。
次に、図3〜図6に示すような液滴吐出装置を用いて、隔壁で囲まれた領域としてのセ
ル内に、カラーフィルター用インクを吐出した。この際、3色のカラーフィルター用イン
クを用い、各色のカラーフィルター用インクが混色しないようにした。各セル内には、形
成される着色部の平均厚さが1.6μmとなるような量のカラーフィルター用インクを付
与した。
その後、ホットプレート上にて80℃で20分間の加熱処理を施した(第1の加熱処理
)。
さらに230℃のオーブン内で60分加熱処理を施すことにより(第2の加熱処理)、
3色(赤色(R)、緑色(G)、青色(B))の着色部が形成された。その後、N−メチ
ル−2−ピロリドンおよびγ−ブチルラクトンを用いた洗浄を行い、図1に示すようなカ
ラーフィルターが得られた。
上記のような方法を用いて、各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(イ
ンクセット)を用いて、それぞれ、6000枚のカラーフィルターを製造した。
[6]カラーフィルターの評価
上記のようにして得られた各カラーフィルターを用いて、以下のような評価を行った。
[6.1]着色部の平坦性
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて製
造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、31枚目に製造されたカラーフィルターを
用意した。
これらのカラーフィルターについて、触針式粗さ計(Tencor社製、P−15)を
用いて、着色部の最大高さと最小高さとの差ΔDを求め、以下の3段階の基準に従い、評
価した。
A:ΔDが0.2μm未満。
B:ΔDが0.2μm以上0.5μm未満。
C:ΔDが0.5μm以上。
[6.2]コントラスト比の評価
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて製
造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、6000枚目に製造されたカラーフィルタ
ーを用いて、同条件で図7に示すような液晶表示装置を製造した。
これらの液晶表示装置を用いて、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示を
行い、コントラストテスター(壺坂電機社製、CT−1)を用いて、単色表示を行ってい
ない場合と比較してのコントラスト比(CR)を求め、下記のようにして評価を行った。
赤色の単色表示の場合、以下の4段階の基準に従い、評価した。
A:CRが2800以上。
B:CRが2100以上2800未満。
C:CRが1800以上2100未満。
D:CRが1800未満。
緑色の単色表示の場合、以下の4段階の基準に従い、評価した。
A:CRが3700以上。
B:CRが3200以上3700未満。
C:CRが2900以上3200未満。
D:CRが2900未満。
青色の単色表示の場合、以下の4段階の基準に従い、評価した。
A:CRが3000以上。
B:CRが2600以上3000未満。
C:CRが2300以上2600未満。
D:CRが2300未満。
[6.3]色むら、濃度むら
[6.2]で製造した前記各実施例および各比較例の液晶表示装置について、暗室で、
赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示、白色の単色表示を行った状態で目視
による観察を行い、各部位での色むら、濃度むらの発生状況を、以下の5段階の基準に従
い、評価した。
A:色むら、濃度むらが全く認められない。
B:色むら、濃度むらがほとんど認められない。
C:色むら、濃度むらがわずかに認められる。
D:色むら、濃度むらがはっきりと認められる。
E:色むら、濃度むらが顕著に認められる。
[6.4]個体間での特性差
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて製
造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、1〜20枚目、および、2980〜299
9枚目に製造されたカラーフィルターを用意し、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表
示、青色の単色表示、白色の単色表示を行い、分光光度計(大塚電子社製、MCPD30
00)を用いて測色した。その結果から、各実施例および各比較例について、それぞれ、
1〜20枚目、2980〜2999枚目に製造されたカラーフィルター(合計40枚のカ
ラーフィルター)で最大となる色差(Lab表示系での色差ΔE)を求め、以下の5段階
の基準に従い、評価した。
A:色差(ΔE)が1.8未満。
B:色差(ΔE)が1.8以上2.8未満。
C:色差(ΔE)が2.8以上3.8未満。
D:色差(ΔE)が3.8以上4.8未満。
E:色差(ΔE)が4.8以上。
[6.5]ヒートサイクル試験(環境対応性評価)
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて製
造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、21〜30枚目に製造されたカラーフィル
ターを用いて、同条件で図7に示すような液晶表示装置を製造した。
これらの液晶表示装置を用いて、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単
色表示を行った状態で目視による観察を行い、光漏れ(白抜け、輝点)が発生していない
ことを確認した。
次に、上記の液晶表示装置からカラーフィルターを取り外した。
取り外した各カラーフィルターを、20℃の環境下に1時間、次いで、70℃の環境下
に2時間、次いで、20℃の環境下に1時間、次いで、−20℃の環境下に2時間静置し
た。その後、再び、環境温度を20℃に戻し、これを1サイクル(6時間)とし、このサ
イクルを合計40回繰り返した(合計240時間)。
その後、これらのカラーフィルターを用いて、再び、図7に示すような液晶表示装置を
組み立てた。
これらの液晶表示装置を用いて、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単
色表示を行った状態で目視による観察を行い、光漏れ(白抜け、輝点)の発生状況を、以
下の5段階の基準に従い、評価した。
A:光漏れ(白抜け、輝点)の発生したカラーフィルターはない。
B:1〜2枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
C:3〜5枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
D:6〜9枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
E:10枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
[7]耐熱性評価
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクを用いて、それぞれ、厚さ0
.7mmのガラス基板上に、スピンコートにより塗布した。インクの付与量は、乾燥膜厚
が1.6μmとなるように設定した。
次に、これらの試験片を、クリーンオーブン内で230℃で1時間加熱した。
次に、230℃での加熱処理を施した試験片について、分光光度計(大塚電子社製、M
CPD3000)を用いて測色した。
その後さらに、これらの試験片を、クリーンオーブン内で250℃で1時間加熱した。
ここで、250℃での加熱処理を施した試験片について、分光光度計(大塚電子社製、
MCPD3000)を用いて測色した。
これらの結果から、各試験片についての、加熱処理(250℃での加熱処理)の前後で
の色差(Lab表示系での色差ΔE)を求め、以下の3段階の基準に従い、評価した。
○:色差(ΔE)が1未満。
△:色差(ΔE)が1以上3未満。
×:色差(ΔE)が3以上。
[8]カラーフィルター用インクを用いて形成した着色膜の評価
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクを用いて、以下のようにして
、下記の試験に用いる多数枚の試験片(試験板)を作製した。
まず、各インクを用いて、それぞれ、厚さ0.7mmのガラス基板上に、スピンコート
により塗布した。インクの付与量は、乾燥膜厚が1.6μmとなるように設定した。
次に、90℃のホットプレート上で10分間プリベークを行った。その後、クリーンオ
ーブン内で、200℃で30分間加熱してポストベークを行い、更に240℃で30分加
熱してポストベークを行い、着色膜を有する試験片(試験板)を得た。
[8.1]耐溶剤性評価
前記各実施例および各比較例の各色の試験片について、分光光度計(大塚電子社製、M
CPD3000)を用いて測色した。
次に、これらの試験片を、50℃の溶剤中に10分間浸漬し、その後、同様に、分光光
度計(大塚電子社製、MCPD3000)を用いて測色した。
これらの結果から、各試験片についての、溶剤の浸漬前後での色差(Lab表示系での
色差ΔE)を求め、以下の2段階の基準に従い、評価した。
○:色差(ΔE)が3未満。
×:色差(ΔE)が3以上。
溶剤としては、γ−ブチルラクトン(γ−BL)、イソプロピルアルコール(IPA)
、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、0.5N塩酸(HCl)、0.5N水酸化ナ
トリウム水溶液(NaOH)を用いた。
[8.2]耐光性評価
前記各実施例および各比較例の各色の試験片について、分光光度計(大塚電子社製、M
CPD3000)を用いて測色した。
次に、40℃、60%RHの環境下で、これらの試験片に対し、キセノンフェードメー
ターを用いて光照射を行い、その後、同様に、分光光度計(大塚電子社製、MCPD30
00)を用いて測色した。照射条件は、320W/m×200時間とした。このときの
ブラックパネル温度は50℃とした。
これらの結果から、各試験片についての、光照射前後での色差(Lab表示系での色差
ΔE)を求め、以下の3段階の基準に従い、評価した。
○:色差(ΔE)が1未満。
△:色差(ΔE)が1以上3未満。
×:色差(ΔE)が3以上。
[8.3]クロスカット試験(基板に対する密着性評価)
まず、前記各実施例および各比較例の各色の試験片の着色膜に、カッターで直交する縦
横11本ずつの切り傷を1mm間隔でつけた。さらに、セロハンテープをパターンに指で
軽く密着させすばやくテープを剥がし、傷の状態を観察し、以下の5段階の基準に従い、
評価した。
A:切り傷の交線にわずかな剥がれがあり、欠損部の面積は全正方形面積の5%未満

B:切り傷の交線に剥がれがあり、欠損部の面積は全正方形面積の5%以上15%未
満。
C:切り傷による剥がれの幅が広く、欠損部の面積が全正方面積の15%以上35%
未満。
D:切り傷による剥がれの幅が4点より広く、欠損部の面積は全正方形面積の35%
以上65%未満。
E:剥がれの面積は、全正方形面積の65%以上。
[8.4]ITO膜の密着性評価
まず、前記各実施例および各比較例の各色の試験片を、イソプロピルアルコールに5分
間浸漬させ、次いでイソプロピルアルコール蒸気にて乾燥を行い洗浄した。
その後、基板設定温度200℃にて、6×10−3Torrの真空下でITO(酸化イ
ンジウムスズ)膜を120nmの厚さになるように成膜した。
180℃×60分間の耐熱試験後、ITO膜の表面粗度(Ra)をAFMで測定し、以
下の3段階の基準に従い、評価した。なお、AFMとしては、日本ビーコ株式会社のNa
noScopeIIIaを用いた。
○:ITO膜にしわやクラック等の異常が全く観測されなかった。
△:ITO膜にしわやクラック等の異常が数点観測された。
×:ITO膜にしわやクラック等の異常が全面に観測された。
これらの結果を表7〜表10に示す。
Figure 2010164732
Figure 2010164732
Figure 2010164732
Figure 2010164732
表7〜表10から明らかなように、本発明では、液滴吐出の安定性(吐出安定性)、保
存安定性(長期保存性)に優れており、製造されたカラーフィルターは、各部位での混色
、色むら、濃度むらが抑制され、コントラスト比に優れた画像を表示することができるも
のであった。また、本発明では、カラーフィルターの個体間での特性のばらつきも小さい
ものであった。また、本発明では、形成された着色部が十分な硬度を有するものであった
。また、本発明では、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色膜(着色部)の
耐溶剤性、耐熱性、耐光性、基板に対する密着性、ITO膜の密着性にも優れていること
が確認された。また、
これに対し、各比較例では、満足な結果が得られなかった。
また、市販の液晶テレビを分解し、液晶表示装置部分を、上記のようにして製造したも
のと交換して、上記と同様の評価を行ったところ、上記と同様な結果が得られた。
本発明のカラーフィルターの好適な実施形態を示す断面図である。 カラーフィルターの製造方法を示す断面図である。 カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置を示す斜視図である。 図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出手段をステージ側から観察した図である。 図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドの底面を示す図である。 図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドを示す図であり、(a)は断面斜視図、(b)は断面図である。 液晶表示装置の実施形態を示す断面図である。 本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。 本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。 本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。
1…カラーフィルター 11…基板 12…着色部 12A…第1の着色部 12B…
第2の着色部 12C…第3の着色部 13…隔壁 14…セル 2…カラーフィルター
用インク 3…塗膜 60…液晶表示装置 61…共通電極 62…液晶層 63、64
…配向膜 65…画素電極 66…基板(対向基板) 67、68…偏光板 100…液
滴吐出装置 101…タンク 102…吐出走査部 103…液滴吐出手段 104…第
1位置制御装置 105…キャリッジ 106…ステージ 108…第2位置制御装置
110…チューブ 112…制御手段 114…液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド
) 116A、116B…ノズル列 118…ノズル 120…キャビティ 122…隔
壁 124…振動子 124A、124B…電極 124C…ピエゾ素子 126…振動
板 127…吐出部 128…ノズルプレート 129…液たまり 130…供給口 1
31…孔 1000…画像表示装置 1100…パーソナルコンピュータ 1102…キ
ーボード 1104…本体部 1106…表示ユニット 1200…携帯電話機 120
2…操作ボタン 1204…受話口 1206…送話口 1300…ディジタルスチルカ
メラ 1302…ケース(ボディー) 1304…受光ユニット 1306…シャッタボ
タン 1308…回路基板 1312…ビデオ信号出力端子 1314…データ通信用の
入出力端子 1430…テレビモニタ 1440…パーソナルコンピュータ

Claims (16)

  1. インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるカラーフィルター用イ
    ンクであって、
    着色剤と、樹脂材料と、当該樹脂材料を溶解する溶媒とを含み、
    前記溶媒は、成分aと、成分aよりも沸点の高い成分bとを含み、
    前記樹脂材料は、下記式(1)で表される単量体成分w1と下記式(2)で表される単
    量体成分w2と下記式(3)で表される単量体成分w3と下記式(4)で表される単量体
    成分w4とを含む重合体W、下記式(5)で表される単量体成分z1と下記式(6)で表
    される単量体成分z2と下記式(7)で表される単量体成分z3とを含む重合体Zのうち
    の少なくとも一方を含むものであり、
    前記樹脂材料の溶解度パラメータをSP(R)[(cal/cm3)1/2]、前記成分aの溶解度パ
    ラメータをSP(a)[(cal/cm3)1/2]、前記成分bの溶解度パラメータをSP(b)[(ca
    l/cm3)1/2]としたとき、|SP(R)−SP(b)|≦|SP(R)−SP(a)|の関
    係を満足することを特徴とするカラーフィルター用インク。
    Figure 2010164732
    Figure 2010164732
    Figure 2010164732
    Figure 2010164732
    Figure 2010164732
    Figure 2010164732
    Figure 2010164732
  2. 前記樹脂材料は前記重合体Wを含むものであり、
    前記重合体Wを構成する全成分に占める前記単量体成分w1の含有率が、25〜75w
    t%であり、
    前記重合体Wを構成する全成分に占める前記単量体成分w2の含有率が、2〜25wt
    %であり、
    前記重合体Wを構成する全成分に占める前記単量体成分w3の含有率が、5〜50wt
    %であり、
    前記重合体Wを構成する全成分に占める前記単量体成分w4の含有率が、3〜40wt
    %である請求項1に記載のカラーフィルター用インク。
  3. 前記樹脂材料は前記重合体Zを含むものであり、
    前記重合体Zを構成する全成分に占める前記単量体成分z1の含有率が、50〜95w
    t%であり、
    前記重合体Zを構成する全成分に占める前記単量体成分z2の含有率が、3〜35wt
    %であり、
    前記重合体Zを構成する全成分に占める前記単量体成分z3の含有率が、3〜35wt
    %である請求項1または2に記載のカラーフィルター用インク。
  4. カラーフィルター用インク中に含まれる前記樹脂材料、前記成分a、および前記成分b
    は、0.9≦|SP(R)−SP(a)|≦3.0、および|SP(R)−SP(b)|
    ≦0.8の関係を満足する請求項1ないし3のいずれかに記載のカラーフィルター用イン
    ク。
  5. 大気圧下における前記成分aの沸点をTbp(a)[℃]、大気圧下における前記成分b
    の沸点をTbp(b)[℃]としたとき、10≦Tbp(b)−Tbp(a)≦70である請求項
    1ないし4のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
  6. カラーフィルター用インク中における前記成分aの含有率をCa[wt%]、前記成分
    bの含有率をCb[wt%]としたとき、2≦Ca/Cb≦30である請求項1ないし5の
    いずれかに記載のカラーフィルター用インク。
  7. 前記成分bは、25℃における粘度が、3.5〜400mPa・sであるグリコール縮
    合物、グリコール縮合物のアルキルエーテルのうちの少なくとも一方を含むものである請
    求項1ないし6のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
  8. 前記樹脂材料は、さらに、下記式(8)で表される単量体成分x1と下記式(9)で表
    される単量体成分x2と下記式(10)で表される単量体成分x3と下記式(11)で表
    される単量体成分x4とを含む重合体Xを含むものである請求項1ないし7のいずれかに
    記載のカラーフィルター用インク。
    Figure 2010164732
    Figure 2010164732
    Figure 2010164732
    Figure 2010164732
  9. 前記樹脂材料は、さらに、下記式(12)で表される単量体成分y1と下記式(13)
    で表される単量体成分y2とを含む重合体Yを含むものである請求項1ないし8のいずれ
    かに記載のカラーフィルター用インク。
    Figure 2010164732
    Figure 2010164732
  10. 異なる複数色のカラーフィルター用インクを備えるカラーフィルター用インクセットで
    あって、
    前記カラーフィルター用インクとして、請求項1ないし9のいずれかに記載のカラーフ
    ィルター用インクを備えることを特徴とするカラーフィルター用インクセット。
  11. インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられ、顔料と樹脂材料と当該
    樹脂材料を溶解する溶媒とを含むカラーフィルター用インクの製造方法であって、
    重合体が溶解した重合体溶液を調製する重合体溶液調製工程と、
    前記重合体溶液に顔料を添加し、ビーズミルを用いて微分散処理を行い、顔料分散体を
    得る微分散工程とを有し、
    前記溶媒は、成分aと、成分aよりも沸点の高い成分bとを有し、
    前記重合体は、下記式(1)で表される単量体成分w1と下記式(2)で表される単量
    体成分w2と下記式(3)で表される単量体成分w3と下記式(4)で表される単量体成
    分w4とを含む重合体W、下記式(5)で表される単量体成分z1と下記式(6)で表さ
    れる単量体成分z2と下記式(7)で表される単量体成分z3とを含む重合体Zのうちの
    少なくとも一方を含むものであり、
    前記重合体の溶解度パラメータをSP(R)[(cal/cm3)1/2]、前記成分aの溶解度パラ
    メータをSP(a)[(cal/cm3)1/2]、前記成分bの溶解度パラメータをSP(b)[(cal/
    cm3)1/2]としたとき、|SP(R)−SP(b)|≦|SP(R)−SP(a)|の関係
    を満足することを特徴とするカラーフィルター用インクの製造方法。
    Figure 2010164732
    Figure 2010164732
    Figure 2010164732
    Figure 2010164732
    Figure 2010164732
    Figure 2010164732
    Figure 2010164732
  12. 請求項1ないし9のいずれかに記載のカラーフィルター用インクを用いて製造されたこ
    とを特徴とするカラーフィルター。
  13. 請求項10に記載のカラーフィルター用インクセットを用いて製造されたことを特徴と
    するカラーフィルター。
  14. 請求項12または13に記載のカラーフィルターを備えたことを特徴とする画像表示装
    置。
  15. 画像表示装置は、液晶パネルである請求項14に記載の画像表示装置。
  16. 請求項14または15に記載の画像表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012079896A (ja) * 2010-09-30 2012-04-19 Fujifilm Corp 有機電界発光素子用材料、並びにそれを含有する膜、及び有機電界発光素子

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