JP2010191244A - カラーフィルター用インク、カラーフィルター用インクの製造方法、カラーフィルター用インクセット、カラーフィルター、画像表示装置および電子機器 - Google Patents

カラーフィルター用インク、カラーフィルター用インクの製造方法、カラーフィルター用インクセット、カラーフィルター、画像表示装置および電子機器 Download PDF

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誉 栗林
Masaya Shibatani
正也 柴谷
Hidekazu Moriyama
英和 森山
Hiroshi Takiguchi
宏志 瀧口
Mitsuhiro Isobe
光宏 磯部
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Abstract

【課題】顔料の分散安定性に優れ、長期間にわたって優れた吐出安定性を保持することができ、各部位での色むら、濃度むらが抑制され、コントラスト比に優れた画像を表示することができ、個体間での特性の均一性に優れたカラーフィルターの製造に好適に用いることができるカラーフィルター用インクを提供する。
【解決手段】カラーフィルター用インクは、インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるものであり、顔料と、下記式(19)で表される重合体Xと、前記顔料が分散する分散媒とを含有するものである。
Figure 2010191244

【選択図】なし

Description

本発明は、カラーフィルター用インク、カラーフィルター用インクの製造方法、カラーフィルター用インクセット、カラーフィルター、画像表示装置および電子機器に関するものである。
カラー表示を行う液晶表示装置(LCD)等には、一般に、カラーフィルターが用いられている。
カラーフィルターは、従来、着色剤、感光性樹脂、官能性モノマー、重合開始剤等を含む材料(着色層形成用組成物)で構成された塗膜を基板上に形成し、その後、フォトマスクを介して光を照射する感光処理、現像処理等を行う、いわゆるフォトリソグラフィー法を用いて製造されてきた。このような方法では、通常、基板のほぼ全面に、各色に対応する塗膜を形成し、その一部のみを硬化させ、それ以外の大部分を除去するという操作を繰り返すことにより、各色が重なり合わないようにカラーフィルターを製造する。このため、カラーフィルターの製造において形成される塗膜は、最終的に得られるカラーフィルターには、その一部のみが着色層として残存するのみで、その大部分が製造工程において除去されることとなる。このため、カラーフィルターの製造コストが上昇するばかりでなく、省資源の観点からも好ましくない。
一方、近年、インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)を用いて、カラーフィルターの着色層を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような方法では、着色層形成用の材料(着色層形成用組成物)の無駄を少なくすることができるため、環境への負荷を低減することができ、また、製造コストも抑制することができる。
しかしながら、インクジェットヘッドを用いたカラーフィルターの製造方法では、長期間にわたって液滴吐出を行ったりすると、液滴の吐出量が不安定化したり、吐出された液滴の軌道が変化し(いわゆる、飛行曲がりが発生し)、目的に部位に液滴を着弾させることができなくなる等の問題を生じることがあった。このような問題を生じると、本来同一の着色濃度であることが求められる複数個の着色部の間での着色濃度のばらつきが発生してしまったり、液滴を着弾させるべき基板上等において、異なる色の着色部を形成するのに用いられる複数種のインクが混ざり合って(混色して)しまい、結果として、カラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等が発生してしまったり、多数のカラーフィルター間での特性(特に、コントラスト比、色再現域等の色特性)にばらつきを生じ、カラーフィルターの信頼性は低いものとなってしまう。また、カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置(産業用)は、プリンターに適用されるもの(民生用)とは全く異なるものであり、例えば、大量生産を行ったり、大型のワーク(基板)への液滴吐出に用いたりするため、大量の液滴を長時間にわたって吐出することが求められる。このような過酷な条件で用いられるため、本来、民生用のものに比べて、液滴の吐出量の変動が生じ易いが、このような吐出量の変動が生じると、製造される多数のカラーフィルター間での特性のばらつきや、カラーフィルターの各部位での着色濃度のばらつきを生じてしまい、製品としてのカラーフィルターの信頼性を著しく低下させてしまう。
また、カラーフィルターにおいて、より広い色再現域、高コントラスト比を確保するために、近年、カラーフィルター用のインクとして、着色剤の含有率の高いものを用いる傾向があるが、着色剤(特に顔料)の含有率の高いほど、上記のような問題は、より顕著なものとなる。
ところで、一般に、顔料は、染料に比べて、耐光性、耐熱性等の特性に優れているため、カラーフィルター用インクには、着色剤として顔料が用いられている。しかしながら、着色剤として顔料を用いた場合、上記のような問題の発生が、より顕著なものとなる。また、顔料を含むカラーフィルター用インクでは、保存状態においても、顔料の分散状態が変化し、顔料の凝集を生じたり、経時的にカラーフィルター用インクの粘度が増大することにより、液滴の吐出安定性に悪影響を与えるという問題があった。また、着色剤として顔料を用いた場合、製造されるカラーフィルターを用いて表示される画像のコントラストを十分に優れたものとするのが困難であるといった問題が顕著であり、インクジェット方式により多数のカラーフィルターを製造した場合に、製造されるカラーフィルターのコントラスト特性の低下が顕著であった。
特開2008−225124号公報
本発明の目的は、顔料の分散安定性に優れ、長期間にわたって優れた吐出安定性を保持することができ、コントラストに優れた画像表示が可能で、各部位での色むら、濃度むらが抑制され、個体間での特性の均一性に優れ、かつ、耐久性にも優れたカラーフィルターの製造に好適に用いることができる、インクジェット方式のカラーフィルター用インク、カラーフィルター用インクセットを提供すること、上記のようなカラーフィルター用インクを効率よく製造することができる製造方法を提供すること、コントラストに優れた画像表示が可能で、各部位での色むら、濃度むらが抑制され、個体間での特性の均一性に優れ、かつ、耐久性にも優れたカラーフィルターを提供すること、また、該カラーフィルターを備えた画像表示装置、電子機器を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のカラーフィルター用インクは、インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるカラーフィルター用インクであって、
顔料と、樹脂材料と、前記顔料が分散する分散媒と、樹脂材料と、下記式(10)で表される化合物Aとを含有し、
前記樹脂材料は、下記式(11)で表される単量体成分x1と下記式(13)で表される単量体成分x3と下記式(14)で表される単量体成分x4とを含む重合体Xを含むものであることを特徴とする。
Figure 2010191244
Figure 2010191244
Figure 2010191244
Figure 2010191244
これにより、顔料の分散安定性に優れ、長期間にわたって優れた吐出安定性を保持することができ、コントラストに優れた画像表示が可能で、各部位での色むら、濃度むらが抑制され、個体間での特性の均一性に優れ、かつ、耐久性にも優れたカラーフィルターの製造に好適に用いることができる、インクジェット方式のカラーフィルター用インクを提供することができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記化合物Aが有するRは、末端のみが分岐したイソ構造を有するものであることが好ましい。
これにより、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができ、製造されるカラーフィルターのコントラスト比、個体間での特性の均一性等を特に優れたものとすることができるとともに、各部位での色むら、濃度むらをより効果的に抑制することができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記樹脂材料は、下記式(15)で表される単量体成分y1を含む重合体Yを含むものであることが好ましい。
Figure 2010191244
これにより、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の基板に対する密着性を特に優れたものとすることができ、製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記樹脂材料が、下記式(21)で表される単量体成分z1と下記式(22)で表される単量体成分z2と下記式(23)で表される単量体成分z3とを含む重合体Z、下記式(25)で表される単量体成分w1と下記式(26)で表される単量体成分w2と下記式(27)で表される単量体成分w3と下記式(28)で表される単量体成分w4とを含む重合体Wのうちの少なくとも一方を含むものであることが好ましい。
Figure 2010191244
Figure 2010191244
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これにより、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができ、製造されるカラーフィルターのコントラスト比、個体間での特性の均一性等を特に優れたものとすることができるとともに、各部位での色むら、濃度むらをより効果的に抑制することができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、カラーフィルター用インク中における前記顔料の含有率をC[wt%]、カラーフィルター用インク中における前記化合物Aの含有率をC[wt%]としたとき、0.001≦C/C≦0.15の関係を満足することが好ましい。
これにより、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記顔料として、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139およびこれらの誘導体よりなる群から選択される1種または2種以上を含むことが好ましい。
従来のカラーフィルター用インクにおいてこれらの顔料を用いた場合、顔料の分散安定性を十分に優れたものとするのが特に困難であり、液滴の吐出安定性は特に低いものであったのに対し、本発明では、これらの顔料を含む場合であっても、上記のような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、上記のような顔料を含む場合、本発明の効果がより顕著に発揮される。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記分散媒として、1,3−ブチレングリコールジアセテート、ビス(2−ブトキシエチル)エーテル、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテートおよびジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートよりなる群から選択される1種または2種以上を含むことが好ましい。
これにより、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができ、製造されるカラーフィルターのコントラスト比、個体間での特性の均一性等を特に優れたものとすることができるとともに、各部位での色むら、濃度むらをより効果的に抑制することができる。
本発明のカラーフィルター用インクの製造方法は、下記式(10)で表される化合物Aおよび顔料を含む液体を、ビーズミルによる微分散処理に供し、前記顔料が微分散した顔料分散体を得る微分散工程と、
前記顔料分散体を、下記式(11)で表される単量体成分x1と下記式(13)で表される単量体成分x3と下記式(14)で表される単量体成分x4とを含む重合体Xと混合する重合体X混合工程とを有することを特徴とする。
Figure 2010191244
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これにより、顔料の分散安定性に優れ、長期間にわたって優れた吐出安定性を保持することができ、コントラストに優れた画像表示が可能で、各部位での色むら、濃度むらが抑制され、個体間での特性の均一性に優れ、かつ、耐久性にも優れたカラーフィルターの製造に好適に用いることができる、インクジェット方式のカラーフィルター用インクを効率よく製造することができる製造方法を提供することができる。
本発明のカラーフィルター用インクの製造方法では、前記微分散工程に供される前記化合物Aおよび前記顔料を含む前記液体は、下記式(21)で表される単量体成分z1と下記式(22)で表される単量体成分z2と下記式(23)で表される単量体成分z3とを含む重合体Z、下記式(25)で表される単量体成分w1と下記式(26)で表される単量体成分w2と下記式(27)で表される単量体成分w3と下記式(28)で表される単量体成分w4とを含む重合体Wのうちの少なくとも一方を含むものであることが好ましい。
Figure 2010191244
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これにより、微分散処理の効率を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの生産性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができ、製造されるカラーフィルターのコントラスト比、個体間での特性の均一性等を特に優れたものとすることができるとともに、各部位での色むら、濃度むらをより効果的に抑制することができる。
本発明のカラーフィルター用インクセットは、カラーフィルターの製造に用いられるインクを複数種備えたカラーフィルター用インクセットであって、
カラーフィルター用インクセットを構成する複数種の前記インクのうち少なくとも1種が、本発明のカラーフィルター用インクであることを特徴とする。
これにより、顔料の分散安定性に優れ、長期間にわたって優れた吐出安定性を保持することができ、コントラストに優れた画像表示が可能で、各部位での色むら、濃度むらが抑制され、個体間での特性の均一性に優れ、かつ、耐久性にも優れたカラーフィルターの製造に好適に用いることができる、インクジェット方式のカラーフィルター用インクセットを提供することができる。
本発明のカラーフィルターは、本発明のカラーフィルター用インクを用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、コントラストに優れた画像表示が可能で、各部位での色むら、濃度むらが抑制され、個体間での特性の均一性に優れ、かつ、耐久性にも優れたカラーフィルターを提供することができる。
本発明のカラーフィルターは、本発明のカラーフィルター用インクセットを用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、コントラストに優れた画像表示が可能で、各部位での色むら、濃度むらが抑制され、個体間での特性の均一性に優れ、かつ、耐久性にも優れたカラーフィルターを提供することができる。
本発明の画像表示装置は、本発明のカラーフィルターを備えたことを特徴とする。
これにより、表示部の各部位での色むら、濃度むら等が抑制され、コントラスト比に優れた画像を表示することができ、個体間での特性の均一性、耐久性に優れた画像表示装置を提供することができる。
本発明の画像表示装置は、液晶パネルであることが好ましい。
これにより、表示部の各部位での色むら、濃度むら等が抑制され、コントラスト比に優れた画像を表示することができ、個体間での特性の均一性、耐久性に優れた画像表示装置を提供することができる。
本発明の電子機器は、本発明の画像表示装置を備えたことを特徴とする。
これにより、表示部の各部位での色むら、濃度むら等が抑制され、コントラスト比に優れた画像を表示することができ、個体間での特性の均一性、耐久性に優れた電子機器を提供することができる。
本発明のカラーフィルターの好適な実施形態を示す断面図である。 カラーフィルターの製造方法を示す断面図である。 カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置を示す斜視図である。 図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出手段をステージ側から観察した図である。 図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドの底面を示す図である。 図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドを示す図であり、(a)は断面斜視図、(b)は断面図である。 液晶表示装置の実施形態を示す断面図である。 本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。 本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。 本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
《カラーフィルター用インク》
本発明のカラーフィルター用インクは、カラーフィルターの製造(カラーフィルターの着色部の形成)に用いられるインクであり、特に、インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるものである。
カラーフィルター用インクは、顔料、樹脂材料、前記顔料が分散する分散媒等を含むものである。
<顔料>
カラーフィルターは、通常、異なる複数色の着色部(一般に、RGBに対応する3色の着色部)を有しており、着色部は、一般に、着色剤を含む材料で構成される。着色剤としては、顔料や染料を用いることができるが、中でも、顔料は、形成されるカラーフィルター(着色部)の耐光性、耐熱性を向上させる上で有利である。このため、本発明では、着色剤として、顔料を用いる。なお、従来においては、カラーフィルター用インクが顔料を含むものである場合、液滴の吐出安定性が特に低いものとなる、カラーフィルター用インク中において顔料を長期間にわたって安定的に分散させておくのが困難であり、コントラスト等に優れたカラーフィルターを長期間にわたって安定的に製造するのが困難である、液滴吐出に供するカラーフィルター用インクの交換、液滴吐出装置内におけるカラーフィルター用インクの置換を、頻繁に行う必要がありカラーフィルターの生産性を十分に高めることが困難である、カラーフィルター用インクの交換、置換に伴い、製造されるカラーフィルターのロット間での特性差が生じ易い等の問題を有していたが、本発明では、後に詳述するように、上記のような問題の発生を確実に防止することができる。
顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,40,41,42,48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,50:1,52:1,53:1,57,57:1,57:2,58:2,58:4,60:1,63:1,63:2,64:1,81,81:1,83,88,90:1,97,101,102,104,105,106,108,108:1,112,113,114,122,123,144,146,149,150,151,166,168,170,171,172,174,175,176,177,178,179,180,185,187,188,190,193,194,202,206,207,208,209,215,216,220,224,226,242,243,245,254,255,264,265;C.I.ピグメントグリーン7,36,15,17,18,19,26,50,58;C.I.ピグメントブルー1,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,17:1,18,60,27,28,29,35,36,60,80;C.I.ピグメントイエロー1,3,12,13,14,15,16,17,20,24,31,34,35,35:1,37,37:1,42,43,53,55,60,61,65,71,73,74,81,83,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,116,117,119,120,126,127,128,129,138,139,150,151,152,153,154,155,156,157,166,168,175,180,184,185;C.I.ピグメントバイオレット1,3,14,16,19,23,29,32,36,38,50;C.I.ピグメントオレンジ1,5,13,14,16,17,20,20:1,24,34,36,38,40,43,46,49,51,61,63,64,71,73,104;C.I.ピグメントブラウン7,11,23,25,33;C.I.ピグメントブラック1,7や、これらの誘導体等が挙げられる。
カラーフィルター用インクは、上記の顔料の中でも、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139およびこれらの誘導体よりなる群から選択される1種または2種以上を含むものであるのが好ましい。従来のカラーフィルター用インクにおいてこれらの顔料を用いた場合、顔料の分散安定性を十分に優れたものとするのが特に困難であり、液滴の吐出安定性は特に低いものであったのに対し、本発明では、これらの顔料を含む場合であっても、上記のような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、上記のような顔料を含む場合、本発明の効果がより顕著に発揮される。
特に、カラーフィルター用インクが、顔料(赤色顔料)として、C.I.ピグメントレッド177とその誘導体、および/または、C.I.ピグメントレッド254とその誘導体を含むものであると、当該カラーフィルター用インク(赤色のカラーフィルター用インク)の発色性を特に優れたものとすることができる。また、後に詳述するような化合物Aや樹脂材料と併用することによる効果がより顕著に発揮され、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を優れたものとすることができる。この結果、着色部形成時におけるカラーフィルター用インクのチキソトロピック性の上昇を抑制することができるとともに、セルへのインク付与時においては、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
C.I.ピグメントレッド177の誘導体、C.I.ピグメントレッド254の誘導体として、下記式(30)または下記式(31)で示される化合物(誘導体)を含有するものである場合、上述したような効果がさらに顕著に発揮される。
Figure 2010191244
Figure 2010191244
また、特に、カラーフィルター用インクが、顔料(緑色顔料)として、C.I.ピグメントグリーン58(臭素化亜鉛フタロシアニン顔料)を含むものであると、当該カラーフィルター用インク(緑色のカラーフィルター用インク)の発色性を特に優れたものとすることができる。また、C.I.ピグメントグリーン58は、明度に優れるという特徴を有しているものの、従来においては、安定的に分散させるのが極めて困難な材料であった。
しかしながら、本発明者は、C.I.ピグメントグリーン58を含む場合であっても、後に詳述する化合物Aおよび樹脂材料(重合体Xを含む樹脂材料)をともに用いることにより、カラーフィルター用インク中における分散安定性を優れたものとすることができることを見出した。これにより、カラーフィルター用インクの発色性をさらに優れたものとすることができるとともに、着色部形成時において、顔料が高濃度化することによるカラーフィルター用インクのチキソトロピック性の上昇を抑制することができる。また、カラーフィルター用インク中における顔料の長期分散安定性(カラーフィルター用インクの保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
また、本発明者は、C.I.ピグメントグリーン58を含む場合、スルホン化された顔料誘導体を副顔料として同時に含むことにより、カラーフィルター用インク中における分散安定性をさらに優れたものとすることができることを見出した。これにより、カラーフィルター用インクの発色性をさらに優れたものとすることができるとともに、着色部形成時において、顔料が高濃度化することによるカラーフィルター用インクのチキソトロピック性の上昇をさらに効果的に抑制することができる。また、カラーフィルター用インク中における顔料の長期分散安定性(カラーフィルター用インクの保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。
顔料として、C.I.ピグメントグリーン58とスルホン化された顔料誘導体とを含む場合、スルホン化された顔料誘導体として、下記式(32)で示される化合物(誘導体)を含有するのが好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、製造されるカラーフィルターにおいて、より優れたコントラストの画像を表示することができる。また、後述するような方法において、微分散工程の効率を特に優れたものとすることができ、短時間で、また、比較的小さなエネルギーで、カラーフィルター用インクを製造することができるため、カラーフィルター用インクの生産性を特に優れたものとすることができ、生産コストの削減にも寄与することができる。
Figure 2010191244
このように、特定の化学構造を有する顔料誘導体(副顔料)を、C.I.ピグメントグリーン58(主顔料)とともに用いることにより、上記のような優れた効果が得られることは、本発明者が鋭意研究を行った結果、見出したことであり、そのメカニズムの詳細は不明であるが、以下のような理由によるものであると考えられる。
C.I.ピグメントグリーン58を構成する臭素化フタロシアニンは、分子全体として、高度な共役系が形成されており、平面的な構造となるのが、エネルギー的に安定している。そして、臭素化フタロシアニンは、平面状の各分子が積層されるように(平行に)配置することにより、各分子間が有する共役系のπ電子が重なり合った、安定した状態になる。このため、C.I.ピグメントグリーン58は、本来、凝集し易く、分散媒中に安定的に分散させるのが困難である。
一方、上記のような顔料誘導体では、式(32)中において窒素原子に結合している水素原子は、フタルイミド構造を構成する酸素原子との間で、水素結合を形成する。このようなことから、式(32)中において窒素原子に結合している水素原子は、実体的には、キノリン構造を構成する窒素原子とともに、フタルイミド構造を構成する酸素原子とも強固に結合しており、上記のような顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)では、式(32)中において1〜7の番号を付した7原子による安定的な環構造(7員環構造)が形成されている。このような7員環構造を形成することにより、キノリン構造による平面と、フタルイミド構造による平面とは、非平行状態をとることになる。
このように、キノリン構造による平面と、フタルイミド構造による平面とが、非平行となることにより、C.I.ピグメントグリーン58(臭素化フタロシアニン)に対して適度な親和性を有する顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)が、C.I.ピグメントグリーン58の分子間に入り込み、上記のように、本来、凝集し易いC.I.ピグメントグリーン58を凝集しにくいものとすることができる。さらに、上記のような顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)は、分子内にスルホ基を有しているため、後述する分散媒に対する分散性に優れている。以上のようなことが、相乗的に作用し合い、上記のような非常に優れた効果が得られるものと考えられる。
C.I.ピグメントグリーン58と上記のような顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)とを含む場合、カラーフィルター用インク中における顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)の含有率は、特に限定されないが、C.I.ピグメントグリーン58(主顔料):100重量部に対して、10〜80重量部であるのが好ましく、30〜70重量部であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の長期分散安定性、液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターのコントラスト、明度を特に優れたものとすることができる。
また、特に、カラーフィルター用インクが、顔料(青色顔料)として、C.I.ピグメントブルー15:6およびC.I.ピグメントバイオレット23を含むものであると、当該カラーフィルター用インク(青色のカラーフィルター用インク)の発色性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
また、顔料の平均粒径は、10〜200nmであるのが好ましく、20〜180nmであるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性や、カラーフィルター用インクの吐出安定性を十分に優れたものとしつつ、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターの耐久性(耐光性等)を十分に優れたものとし、カラーフィルターにおける発色性、コントラスト等を特に優れたものとすることができる。
カラーフィルター用インク中における顔料の含有率は、2〜25wt%であるのが好ましく、3〜20wt%であるのがより好ましい。顔料の含有率が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターにおいて、より高い色濃度を確保することができ、より鮮明な画像表示に用いることができる。また、所定の色濃度の着色部を形成するのに要するカラーフィルター用インクの量を少なくすることができ、省資源の観点から有利である。また、カラーフィルターの着色部を形成する際における溶剤の揮発量を抑制することができるため、環境に対する負荷を軽減することができる。また、従来においては、このように比較的高濃度で顔料を含む場合には、吐出安定性が特に低いものとなり、カラーフィルター用インクの液滴を吐出する際に、飛行曲がりや液滴吐出量の不安定化等の問題が特に発生し易かった。また、従来においては、特に、大型基板(例えば、G5以上)上に液滴吐出をして着色部を形成する場合に、面内の各部位での吐出量ばらつきによる不良品の発生が顕著となり、カラーフィルターの生産性が著しく低下するという問題があった。これに対し、本発明では、比較的高濃度で顔料を含む場合であっても、後に詳述するように、上記のような問題の発生を確実に防止することができ、製造されるカラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等や、個体間での特性のばらつきの発生を確実に防止することができ、優れた生産性で、カラーフィルターを製造することができる。すなわち、カラーフィルター用インクが、上記のように比較的高濃度の顔料を含む場合、本発明の効果がより顕著に発揮される。また、製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
<化合物A>
本発明において、カラーフィルター用インクは、下記式(10)で表される化合物Aを含むものである。
Figure 2010191244
本発明者は、カラーフィルター用インクがこのような化合物Aを後に詳述するような樹脂材料(重合体Xを含む樹脂材料)とともに含むことにより、カラーフィルター用インクについての、液滴の吐出安定性および顔料の分散安定性を優れたものとすることできること、また、製造されるカラーフィルターにおいては、色むら、濃度むら、コントラスト比の低下を確実に防止することができ、個体間での特性差を非常に小さいものとすることができること、カラーフィルター(着色部)の耐久性を十分に優れたものとすることができることを見出した。
式(10)中、nは、1〜5であればよいが、2〜4であるのが好ましく、2であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができ、製造されるカラーフィルターのコントラスト比、個体間での特性の均一性等を特に優れたものとすることができるとともに、各部位での色むら、濃度むらをより効果的に抑制することができる。
また、式(10)中、Rの炭素数は、5〜12であればよいが、6〜10であるのが好ましく、7〜9であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができ、製造されるカラーフィルターのコントラスト比、個体間での特性の均一性等を特に優れたものとすることができるとともに、各部位での色むら、濃度むらをより効果的に抑制することができる。
また、式(10)中のRは、所定の炭素数のアルキル基であればよく、例えば、直鎖状のものであっても、分岐鎖を有するものであっても、環状構造を有するものであってもよいが、分岐鎖を有するものであるのが好ましく、特に、末端のみが分岐したイソ構造を有するもの((CHCH−という部分構造を有するもの)であるのが好ましく、中でも、イソオクチル基であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができ、製造されるカラーフィルターのコントラスト比、個体間での特性の均一性等を特に優れたものとすることができるとともに、各部位での色むら、濃度むらをより効果的に抑制することができる。このようなイソ構造を有するアルキル基(R)としては、イソペンチル基(C5)、イソヘキシル基(C6)、イソヘプチル基(C7)、イソオクチル基(C8)、イソノニル基(C9)、イソデシル基(C10)、イソウンデシル基(C11)、イソドデシル基(C12)が挙げられる。
また、カラーフィルター用インク中における化合物Aの含有率をC[wt%]、カラーフィルター用インク中における前述した顔料の含有率をC[wt%]、としたとき、0.001≦C/C≦0.15の関係を満足するのが好ましく、0.02≦C/C≦0.13の関係を満足するのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。これに対し、C/Cの値が前記下限値未満であると、化合物Aを含むことによる本発明の効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、C/Cの値が前記上限値を超えると、形成される着色部の密着性等が低下する可能性がある。
<樹脂材料>
カラーフィルター用インクは、一般に、形成される着色部の基板に対する密着性を向上させる等の目的で、樹脂材料(バインダー樹脂)を含んでいる。また、インクジェット法によるインク付与工程の後工程での、加熱処理や、溶剤(薬品)等での洗浄処理による悪影響を防止するため、樹脂材料には、耐熱性、耐溶剤性等の耐久性が要求される。しかしながら、従来のカラーフィルター用インクでは、カラーフィルター(着色部)の耐久性を十分に優れたものとすることが困難であった。また、従来のカラーフィルター用インクでは、顔料を長期間にわたって安定的に分散させておくのが困難であり、インクジェット法による液滴吐出に悪影響を与え、長期間にわたって液滴吐出を行ったりすると、液滴の吐出量が不安定化したり、吐出された液滴の軌道が変化し(いわゆる、飛行曲がりが発生し)、目的に部位に液滴を着弾させることができなくなる等の問題を生じることがあった。このような問題を生じると、本来同一の着色濃度であることが求められる複数個の着色部の間での着色濃度のばらつきが発生してしまったり、液滴を着弾させるべき基板上等において、異なる色の着色部を形成するのに用いられる複数種のインクが混ざり合って(混色して)しまい、結果として、カラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等が発生してしまったり、多数のカラーフィルター間での特性(特に、コントラスト比、色再現域等の色特性)にばらつきを生じ、カラーフィルターの信頼性は低いものとなってしまう。
また、従来のカラーフィルター用インクでは、顔料を長期間にわたって安定的に分散させておくのが困難であり、また、インクジェットヘッドのノズルへの付着等による悪影響の発生を防止、抑制するため、液滴吐出に供するカラーフィルター用インクの交換、液滴吐出装置内におけるカラーフィルター用インクの置換を、頻繁に行う必要がありカラーフィルターの生産性を十分に高めることが困難であり、また、カラーフィルター用インクの交換、置換に伴い、製造されるカラーフィルターのロット間での特性差が生じ易い。
また、インクジェット法によるカラーフィルターの製造では、一般に、基板上に設けられたセル内に液滴吐出を行った後に、分散媒を除去し、カラーフィルター用インクを固化させることによって行われるが、分散媒の除去による固形分濃度の上昇に伴ってカラーフィルター用インクのチキソトロピック性および粘度が上昇し、形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じ、これにより、カラーフィルターを用いて表示される画像に色むら、濃度むら等が生じたり、コントラスト比を低下させるという問題があった。このような傾向は、樹脂材料に対して顔料の含有率が高い場合により顕著に現れる。これは、固形分濃度の上昇に伴い、インク中に含まれる顔料粒子が凝集することによるものであると考えられる。
そして、本発明者は、鋭意研究を行った結果、上記のような現象の発生において、インク中に含まれる樹脂材料が大きな影響を与えることを見出し、さらに、以下に詳述するような樹脂材料(重合体Xを含む樹脂材料)を、上述した化合物Aと併用することにより、上記のような問題の発生を確実に防止、抑制することができることを見出した。
このような優れた効果が得られるその詳細なメカニズムについては、不明であるが、以下のような理由によるものであると考えられる。
すなわち、化合物Aが、それ自体、液滴の吐出安定性および顔料の分散安定性の向上に寄与する成分であるとともに、重合体分子(重合体X)と化合物Aとは、化学構造上の相関関係からカラーフィルター用インク中においては、互いに接近した状態で存在しており、化合物Aが重合体の不本意な反応を防止している一方で、化合物Aが適度な大きさを有するものであるため、樹脂材料(重合体X)の機能が阻害されることも防止されている。その結果、重合体の機能および化合物Aの機能が、(相殺されることなく)いずれも効果的に発揮されるとともに、カラーフィルター用インクの保存安定性(長期保存性)を特に優れたものとすることができる。
上記のような優れた効果は、以下に詳述する樹脂材料と化合物Aとを併用することにより得られるものであり、以下に詳述する樹脂材料を用いたとしても化合物Aを用いない場合には、上記のような優れた効果が得られない。例えば、式(10)中のRおよび/またはnが所定の条件を満足しない化合物を用いた場合には、上記のような優れた効果が得られない。また、同様に、化合物Aを用いたとしても以下に詳述する樹脂材料(重合体Xを含む樹脂材料)を用いない場合には、上記のような優れた効果が得られない。
以下、本発明のカラーフィルター用インクを構成する樹脂材料(硬化性樹脂材料)について詳細に説明する。
本発明のカラーフィルター用インクは、樹脂材料が、下記式(11)で表される単量体成分x1と下記式(13)で表される単量体成分x3と下記式(14)で表される単量体成分x4とを含む重合体Xを含むものである。
Figure 2010191244
Figure 2010191244
Figure 2010191244
[重合体X]
重合体Xは、上記式(11)で表される単量体成分x1と上記式(13)で表される単量体成分x3と上記式(14)で表される単量体成分x4とを含むものである。重合体Xとしては、例えば、下記式(17)で表されるものがある。
Figure 2010191244
なお、重合体Xは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Xが複数種の化合物の混合物である場合、各化合物が、単量体成分x1、x3およびx4を含有するものである。
(単量体成分x1)
重合体Xは、上記式(11)で表される単量体成分x1を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分x1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)をより好適に進行させることができる。すなわち、単量体成分x1を含有することにより、樹脂材料についての、所定温度以下では実質的に硬化反応を進行させず、それ以上の温度で効率よく硬化反応を進行させることができる特性(以下、「硬化反応のスイッチング特性」ともいう)を特に優れたものとすることができる。また、単量体成分x1を単量体成分として含有することにより、例えば、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を優れたものとすることができる。また、単量体成分x1を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の硬度等を優れたものとすることができる。
重合体X中における単量体成分x1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、30〜90wt%であるのが好ましく、40〜80wt%であるのがより好ましい。重合体X中における単量体成分x1の含有率が前記範囲内の値であると、後に詳述する単量体成分x2、x3、x4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体X中における単量体成分x1の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x1を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体成分x1の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分x2、x3、x4の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。また、重合体Xの高温での反応速度が低下し、十分に優れた生産性でカラーフィルターを製造するのが困難となる。なお、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分x1の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x1を含有しているのが好ましい。
(単量体成分x2)
重合体Xは、下記式(12)で表される単量体成分x2を単量体成分として含有してなるものであってもよい。
Figure 2010191244
このような単量体成分x2を単量体成分として含有すること(特に、上述した単量体成分x1や後に詳述する単量体成分x3とともに含有すること)により、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)をより好適に進行させることができる。特に、加熱環境下での着色部形成工程(硬化工程)において、樹脂材料の重合反応の立ち上がりをより良好なものとすることができるとともに、継続的に重合反応の進行させることができる。また、単量体成分x2を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の硬度等を特に優れたものとすることができる。
単量体成分x2を単量体成分として含有する重合体Xとしては、例えば、下記式(19)で表されるものがある。
Figure 2010191244
重合体X中における単量体成分x2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、5〜60wt%であるのが好ましく、10〜50wt%であるのがより好ましい。重合体X中における単量体成分x2の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分x1および後に詳述する単量体成分x3、x4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体X中における単量体成分x2の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x2を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体成分x2の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分x1、x3、x4の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。また、重合体Xの比較的低温での反応性が増し、カラーフィルター用インクの保存安定性が低下する傾向が現れる。なお、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分x2の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x2を含有しているのが好ましい。
(単量体成分x3)
重合体Xは、上記式(13)で表される単量体成分x3を単量体成分として含有してなるものである。
単量体成分x3を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の耐薬品性、耐溶剤性等を特に優れたものとすることができる。これにより、着色部形成工程(硬化工程)の後に、薬品塗布や洗浄(特に、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、イソプロピルアルコール、塩酸、水酸化ナトリウム水溶液等を用いた洗浄)等の後処理を行った場合であっても、これらによる悪影響の発生を確実に防止することができる。
また、単量体成分x3は、重合体Xにおいて、上述した単量体成分x1と同様に、比較的低い温度(例えば、100℃以下)での反応性が十分に低いのに対し、着色部形成工程(硬化工程)で施す熱処理のような加熱環境下では、十分な反応性を示すものである。このため、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。
また、単量体成分x3を単量体成分として含有することにより、例えば、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
重合体X中における単量体成分x3の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、2〜20wt%であるのが好ましく、3〜15wt%であるのがより好ましい。重合体X中における単量体成分x3の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分x1、x2および後に詳述する単量体成分x4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体X中における単量体成分x3の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x3を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体成分x3の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分x1、x2、x4の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部が硬くなりすぎ、温度変化に伴う基板等の変形に対する追従性が低下する傾向が現れる。なお、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分x3の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x3を含有しているのが好ましい。
(単量体成分x4)
重合体Xは、上記式(14)で表される単量体成分x4を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分x4を単量体成分として含有することにより、着色部の形成時、基板上に付与されたカラーフィルター用インクから分散媒を除去する際に、固形分濃度の上昇に伴ってカラーフィルター用インクのチキソトロピック性および粘度が上昇し、形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じることをより確実に防止することができる。
また、単量体成分x4は、その末端に水酸基を有している。このような構造を有することにより、比較的低い温度(例えば、100℃以下)における反応性を十分に低いものとしつつ、着色部形成工程(硬化工程)で施す熱処理のような加熱環境下における反応性をさらに高めることができる。これにより、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)をより好適に進行させることができる。
また、単量体成分x4を単量体成分として含有することにより、例えば、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
重合体X中における単量体成分x4の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、2〜20wt%であるのが好ましく、3〜15wt%であるのがより好ましい。重合体X中における単量体成分x4の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分x1、x2、x3の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体X中における単量体成分x4の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x4を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体成分x4の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分x1、x2、x3の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の硬度が低下する傾向が現れる。なお、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分x4の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x4を含有しているのが好ましい。
上述したような優れた効果は、カラーフィルター用インクが、前述した化合物Aに加え、単量体成分x1、x3およびx4を含む重合体Xを含有することにより得られるものであって、単量体成分x1、x3およびx4のうち1種または2種以上の単量体成分を含んでいない場合や、単量体成分x1、x3およびx4を単一分子中に含まない場合(例えば、カラーフィルター用インクが、重合体Xを含まず、その代わりに、単量体成分x1のみからなる重合体と、単量体成分x3のみからなる重合体と、単量体成分x4のみからなる重合体とを含む場合等)には得られない。
なお、重合体Xは、上述した単量体成分x1、x2、x3、x4以外の単量体成分(その他の単量体成分)を含むものであってもよい。これにより、例えば、上記のような特性を発揮しつつ、その他の単量体成分の化学構造に由来する効果も得ることができる。
重合体Xが、その他の単量体成分(単量体成分x1、x2、x3、x4以外の単量体成分)を含むものである場合、重合体X中におけるその他の単量体成分の含有率(複数種のその他の単量体成分を含む場合にはこれらの含有率の和)は、15wt%以下であるのが好ましく、10wt%以下であるのがより好ましい。
重合体Xの重量平均分子量は、1000〜50000であるのが好ましく、1200〜10000であるのがより好ましく、1500〜5000であるのがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの経時的安定性(長期保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルターの生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性をより確実に高いものとすることができ、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
また、重合体Xの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1〜3であるのが好ましい。
上述したように本発明において、樹脂材料は、重合体Xを含むものであるが、さらに、他の樹脂成分(重合体)を含むものであってもよい。
このような樹脂成分(重合体)としては、例えば、以下に述べるような重合体M、重合体Y、重合体Z、重合体Wが挙げられる。
[重合体M]
重合体Mは、下記式(1)で表される単量体成分m1とカルボキシル基または酸無水物基を有する単量体成分m2と下記式(3)で表される単量体成分m3とを含むものである。
Figure 2010191244
Figure 2010191244
このような重合体Mを含むことにより、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部は、平坦性に優れたものとなり、製造されるカラーフィルターについてのコントラスト比、明度を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルターの耐久性を優れたものとすることができる。また、樹脂材料についての硬化反応のスイッチング特性や、カラーフィルター用インクの吐出安定性、形成される着色部の硬度等を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、重合体Mを含むことにより、後述するような製造方法を用いてカラーフィルター用インクを製造する際に(後述する微分散工程で)、原料として用いる顔料粒子の凝集体を容易に微粒子化(解砕)することができ、カラーフィルター用インクの生産性を向上させることができる。また、重合体Mは、機械的な力に対して極めて優れた安定性を有しているため、後述する微分散工程における変性、劣化が防止される。したがって、重合体Mを用いることにより、樹脂材料の劣化等を確実に防止しつつ、顔料の分散性に優れたカラーフィルター用インクを効率よく調製することができる。また、重合体Mは、前述した重合体Xとの親和性、相溶性に非常に優れているため、カラーフィルター用インク中での樹脂材料の不本意な析出を防止し、優れた吐出安定性で液滴吐出を行うことができるとともに、形成される着色部においては、各樹脂成分の特長を十分に発揮させることができ、不本意な相分離による透明性の低下等の問題の発生を確実に防止することができる。また、カラーフィルター用インクの長期保存性(カラーフィルター用インクの寿命)が非常に優れたものとなり、大量生産したカラーフィルター用インクの作り置きによる品質の低下等の問題の発生が効果的に防止され、カラーフィルターの製造に際してカラーフィルター用インクの交換頻度を減らすことができるため、カラーフィルターの生産性、製造されるカラーフィルターの信頼性を優れたものとすることができる。また、重合体Mは、後述する樹脂成分(重合体Y、重合体Z、重合体W)との親和性、相溶性にも非常に優れているため、重合体Mを含むことにより、重合体X、重合体M以外の樹脂成分を含む場合においても、上記のような効果を確実に得ることができる。
なお、重合体Mは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。
(単量体成分m1)
重合体Mは、上記式(1)で表される単量体成分m1、すなわち、ブロックされたイソシアネート基(以下、「ブロックイソシアネート基」ともいう)を有する化合物を単量体成分として含有してなるものである。なお、カラーフィルター用インクを構成する重合体Mは、分子内に、上記一般式(1)で表される単量体成分m1を複数種含むものであってもよい。
このような単量体成分m1を重合体M中に単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。すなわち、樹脂材料についての硬化反応のスイッチング特性を優れたものとすることができる。これは、以下のような理由によるものであると考えられる。すなわち、重合体M中における単量体成分m1が有するブロックイソシアネート基は、着色部形成工程(硬化工程)において付与されるような比較的高いエネルギーによって脱ブロック化し、活性なイソシアネート基が生成し、前記イソシアネート基とカルボキシル基または酸無水物基が硬化に寄与して、基板との密着性、耐熱性、耐薬品性等の向上を図れる一方で、比較的低いエネルギーが与えられた場合には、上記のような脱ブロック化が進行せず、硬化反応の進行が防止、抑制される。
式(1)で表される単量体Aにおいて、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは炭素数1〜8の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示す。Rはイソシアネート基のブロック剤RHの残基を示す。
における炭素数1〜8の2価の飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン基等の直鎖状または分岐鎖状の2価の飽和脂肪族炭化水素基(アルキレン基)が挙げられる。これらの中でも、エチレン、トリメチレン、プロピレン基等の炭素数2〜4の2価の飽和脂肪族炭化水素基が好ましい。
イソシアネート基のブロック剤RHとしては、例えば、ホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、メチルイソブチルケトキシム、ジエチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム等のオキシム系ブロック剤;3,5−ジメチルピラゾール等のピラゾール系ブロック剤;メタノール、エタノール等のアルコール系ブロック剤;フェノール、クレゾール等のフェノール系ブロック剤;ブチルメルカプタン等のメルカプタン系ブロック剤;アセトアニリド、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタム等の酸アミド系ブロック剤;マロン酸ジメチル、アセト酢酸メチル等の活性メチレン系ブロック剤;コハク酸イミド、マレイン酸イミド等のイミド系ブロック剤;尿素系ブロック剤;N−フェニルカルバミン酸フェニル等のカルバミン酸系ブロック剤;ジフェニルアミン、アニリン等のアミン系ブロック剤;エチレンイミン、ポリエチレンイミン等のイミン系ブロック剤等が挙げられる。
イソシアネート基のブロック剤としては、オキシム系ブロック剤、ピラゾール系ブロック剤が好ましく、下記式(5)で表されるものがより好ましい。
Figure 2010191244
式(5)中のRおよびRにおける炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル基等の直鎖状または分岐鎖状アルキル基が挙げられる。これらのなかでも、メチル、エチル、プロピル基等の炭素数1〜4の直鎖状または分岐鎖状アルキル基が好ましい。RおよびRが互いに結合して隣接する炭素原子とともに結合する環としては、例えば、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環等の3〜12員程度(好ましくは5または6員)のシクロアルカン環等が挙げられる。
式(1)で表される単量体成分m1の具体例としては、メタクリル酸2−[O−(1′−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル(=2−(1−メチルプロピリデンアミノオキシカルボニルアミノエチル)メタクリレート)(下記式(6)で表されるもの)、メタクリル酸2−(3,5−ジメチルピラゾール−1−イル)カルボニルアミノエチル(下記式(7)で表されるもの)等が挙げられる。
Figure 2010191244
Figure 2010191244
重合体M中における単量体成分m1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、1〜99wt%(例えば10〜95wt%)であるのが好ましく、20〜90wt%であるのがより好ましく、25〜88wt%であるのがさらに好ましい。重合体M中における単量体成分m1の含有率が前記範囲内の値であると、後に詳述する単量体成分m2、m3等の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体M中における単量体成分m1の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分m1を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体M中における単量体成分m1の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分m2、m3等の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。なお、重合体Mが複数種の単量体成分m1を含むものである場合、当該複数種の単量体成分m1の含有率の和が上記のような条件を満足するのが好ましい。また、重合体Mが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分m1の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Mが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分m1を含有しているのが好ましい。
(単量体成分m2)
重合体Mは、カルボキシル基または酸無水物基を有する単量体成分m2を単量体成分として含有してなるものである。なお、カラーフィルター用インクを構成する重合体Mは、分子内に複数種の単量体成分m2を含むものであってもよい。
このような単量体成分m2を重合体M中に単量体成分として含有することにより、基板上へのカラーフィルター用インクの濡れ広がりを良好なものとすることができ、気泡の混入等が確実に防止され、基板との密着性に優れた着色部を好適に形成することができる。また、単量体成分m2を単量体成分として含有することにより、顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの長期保存性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクが、後述するような重合体Zおよび/または重合体Wを含む場合においては、重合体Mとこれらの重合体(重合体Z、重合体W)との親和性、相溶性を十分に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルター用インクの吐出安定性を優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部は、透明性が特に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下がより効果的に防止され)、基板に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。
単量体成分m2としては、不飽和カルボン酸またはその酸無水物が挙げられる。単量体成分m2の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸等のα,β−不飽和カルボン酸およびその酸無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸等)等が挙げられ、中でも、アクリル酸、メタクリル酸(下記式(2)で表されるもの)が特に好ましい。
Figure 2010191244
重合体M中における単量体成分m2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、0.5〜98wt%(例えば2.5〜70wt%)であるのが好ましく、3〜50wt%であるのがより好ましく、5〜40wt%であるのがさらに好ましい。重合体M中における単量体成分m2の含有率が前記範囲内の値であると、上述した単量体成分m1や後に詳述する単量体成分m3等の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体M中における単量体成分m2の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分m2を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体M中における単量体成分m2の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分m1、m3等の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。なお、重合体Mが複数種の単量体成分m2を含むものである場合、当該複数種の単量体成分m2の含有率の和が上記のような条件を満足するのが好ましい。また、重合体Mが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分m2の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Mが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分m2を含有しているのが好ましい。
(単量体成分m3)
重合体Mは、上記式(3)で表される単量体成分m3((メタ)アクリル酸エステル)を単量体成分として含有してなるものである。なお、カラーフィルター用インクを構成する重合体Mは、分子内に、上記一般式(3)で表される単量体成分m3を複数種含むものであってもよい。
このような単量体成分m3を重合体M中に単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性を高いものとすることができる。また、単量体成分m3を重合体M中に単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インクの吐出安定性を優れたものとすることができる。また、単量体成分m3を重合体M中に単量体成分として含有することにより、顔料の分散安定性を優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの保存安定性(長期保存性)を優れたものとすることができる。
における炭素数16〜25の炭化水素基としては、例えば、ヘキサデシル(セチル)、ヘプタデシル、オクタデシル(ステアリル)、ノナデシル、イコシル、ドコシル(ベヘニル)基等のアルキル基;10−シクロヘキシルデシル、12−シクロヘキシルドデシル、14−シクロヘキシルテトラデシル、16−シクロヘキシルヘキサデシル基等の脂環式炭化水素基とアルキル基とが結合した基;10−フェニルデシル、12−フェニルドデシル、14−フェニルテトラデシル、16−フェニルヘキサデシル基等のアラルキル基等が挙げられる。
炭素数16〜25の炭化水素基が有していてもよい炭化水素基置換オキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ基等のアルコキシ基(例えば、炭素数1〜10のアルコキシ基);フェノキシ基等のアリールオキシ基;シクロヘキシルオキシ基、ジシクロペンタニルオキシ基等の脂環式炭化水素基置換オキシ基;ベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等の炭素数1〜15(好ましくは、炭素数1〜12)の炭化水素基置換オキシ基等が挙げられる。
単量体成分m3の具体例としては、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記のように、重合体Mを構成する単量体成分m3が有する炭化水素基(炭化水素基置換オキシ基を有していてもよい)の炭素数(以下、Rの炭素数ともいう)は、16〜25であるが、特に、16〜22であるのが好ましく、16〜20であるのがより好ましい。これにより、上述した効果は、さらに顕著に発揮される。これに対し、Rの炭素数が前記下限値未満である場合、または、前記上限値を超える場合には、上述したような優れた効果が得られない。このように、重合体Mは、所定の炭素数を有する基(R)を備えた単量体成分(単量体成分m3)を含む点に大きな一つの特徴を有するものである。
重合体M中における単量体成分m3の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、0.5〜98wt%(例えば2.5〜70wt%)であるのが好ましく、3〜50wt%であるのがより好ましく、5〜40wt%であるのがさらに好ましい。重合体M中における単量体成分m3の含有率が前記範囲内の値であると、上述した単量体成分m1、m2等の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体M中における単量体成分m3の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分m3を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体M中における単量体成分m3の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分m1、m2等の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。なお、重合体Mが複数種の単量体成分m3を含むものである場合、当該複数種の単量体成分m3の含有率の和が上記のような条件を満足するのが好ましい。また、重合体Mが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分m3の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Mが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分m3を含有しているのが好ましい。
重合体Mにおける単量体成分m1の比率(Cm1[wt%])と単量体成分m2の比率(Cm1[wt%])は、以下のような関係を満足するのが好ましい。すなわち、Cm1/Cm2は、2/98〜98/2であるのが好ましく、20/80〜95/5であるのがより好ましく、40/60〜95/5であるのがさらに好ましい。
また、重合体Mにおける単量体成分m1の比率(Cm1[wt%])と単量体成分m3の比率(Cm3[wt%])は、以下のような関係を満足するのが好ましい。すなわち、Cm1/Cm3は、2/98〜98/2であるのが好ましく、20/80〜95/5であるのがより好ましく、40/60〜95/5であるのがさらに好ましい。
重合体Mとしては、例えば、下記式(8)で表されるものがある。
Figure 2010191244
また、重合体Mは、上述した単量体成分m1、m2およびm3以外の成分を含むものであってもよい。これにより、例えば、上記のような特性を発揮しつつ、その他の単量体成分の化学構造に由来する効果も得ることができる。このような成分としては、例えば、以下に述べるような単量体成分m4、単量体成分m5、単量体成分m6、単量体成分m7等が挙げられる。
(単量体成分m4)
重合体Mは、下記式(4)で表される単量体成分m4((メタ)アクリル酸エステル)を単量体成分として含有してなるものであってもよい。
Figure 2010191244
重合体Mが単量体成分m4を含むことにより、分散媒が親水性の高い場合であっても、カラーフィルター用インク中における樹脂材料の溶解性を優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の透明性を優れたものとすることができる。
単量体成分m4において、Rは、炭化水素基置換オキシ基を有していてもよい炭素数1〜15の炭化水素基を示すが、当該炭化水素基の炭素数は、1〜12であるのが好ましい。Rで示される炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、デシル基等のアルキル基;シクロヘキシル、ジシクロペンタニル、イソボルニル基等の脂環式炭化水素基;フェニル基等のアリール基;ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル基等のアラルキル基;これらが2以上結合した基等が挙げられる。
炭素数1〜15の炭化水素基が有していてもよい炭化水素基置換オキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ基等のアルコキシ基(例えば、炭素数1〜10のアルコキシ基);フェノキシ基等のアリールオキシ基;シクロヘキシルオキシ基、ジシクロペンタニルオキシ基等の脂環式炭化水素基置換オキシ基;ベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等の炭素数1〜15(好ましくは、炭素数1〜12)の炭化水素基置換オキシ基等が挙げられる。
単量体成分m4の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記のように、単量体成分m4が有する炭化水素基(炭化水素基置換オキシ基を有していてもよい)の炭素数(以下、Rの炭素数ともいう)は、1〜15であるが、特に、1〜8であるのが好ましく、1〜4であるのがより好ましい。これにより、上述した効果は、さらに顕著に発揮される。
上記のような単量体成分m4を含む重合体Mとしては、例えば、下記式(9)で表されるものがある。
Figure 2010191244
(単量体成分m5)
重合体Mは、芳香族ビニル化合物である単量体成分m5を単量体成分として含有してなるものであってもよい。
重合体Mが単量体成分m5を含むことにより、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部は、透明性に特に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下がより効果的に防止され)、基板に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が特に生じにくいものとなる。
単量体成分m5の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルビフェニル等が挙げられる。
(単量体成分m6)
重合体Mは、ヒドロキシル基含有化合物である単量体成分m6を単量体成分として含有してなるものであってもよい。
重合体Mが単量体成分m6を含むことにより、顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、着色部形成時における樹脂材料の硬化反応をより好適に進行させることができる。
単量体成分m6の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の、多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのモノエステル化物、上記多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのモノエステル化物にε−カプロラクトンを開環重合した化合物やエチレンオキサイド、若しくはプロピレンオキサイドを開環重合したヒドロキシル基含有化合物等が挙げられる。
(単量体成分m7)
重合体Mは、3〜5員の環状エーテル基を有するビニル化合物である単量体成分m7を単量体成分として含有してなるものであってもよい。
単量体成分m7(3〜5員の環状エーテル基を有するビニル化合物)には、オキシラン環(エポキシ基)含有重合性不飽和化合物、オキセタン環(オキセタニル基)含有重合性不飽和化合物、オキソラン環(オキソラニル基)含有重合性不飽和化合物が含まれる。
重合体Mが単量体成分m7を含むことにより、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の硬度や、基板に対する密着性等の更なる向上を図ることができる。
オキシラン環(エポキシ基)含有重合性不飽和化合物としては、例えば、オキシラニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−オキシラニルエチル(メタ)アクリレート、2−グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート等のオキシラン環(単環)を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体等);3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート等の3,4−エポキシシクロヘキサン環等のエポキシ基含有脂環式炭素環を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体等);5,6−エポキシ−2−ビシクロ[2.2.1]ヘプチル(メタ)アクリレート等の5,6−エポキシ−2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体等);エポキシ化ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート[3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、またはこれらの混合物]、エポキシ化ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート[2−(3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、またはこれらの混合物]、エポキシ化ジシクロペンテニルオキシブチル(メタ)アクリレート、エポキシ化ジシクロペンテニルオキシヘキシル(メタ)アクリレート等の3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体等)等が挙げられる。他のオキシラン環(エポキシ基)含有重合性不飽和化合物として、エポキシ基を含むビニルエーテル化合物、エポキシ基を含むアリルエーテル化合物、エポキシ基を含む芳香族ビニル化合物等を用いることもできる。エポキシ基を含む芳香族ビニル化合物としては、4−ビニルベンジルグリシジルエーテル、4−ビニルベンジルオキシラン、4−ビニルフェネチルオキシラン等のスチレン誘導体が挙げられる。
オキセタン環(オキセタニル基)含有重合性不飽和化合物としては、例えば、オキセタニル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレート、3−エチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、2−(3−メチル−3−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(3−エチル−3−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2−[(3−メチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]エチル(メタ)アクリレート、2−[(3−エチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]エチル(メタ)アクリレート、3−[(3−メチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]プロピル(メタ)アクリレート、3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]プロピル(メタ)アクリレートや、オキセタニル基を含むビニルエーテル化合物、オキセタニル基を含むアリルエーテル化合物等が挙げられる。
オキソラン環(オキソラニル基)含有重合性不飽和化合物としては、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートや、オキソラニル基を含むビニルエーテル化合物、オキソラニル基を含むアリルエーテル化合物等が挙げられる。
カラーフィルター用インクを構成する重合体Mが、上述したような単量体成分m7を含むものである場合、3〜5員の環状エーテル基(オキシラン環(エポキシ基)、オキセタン環(オキセタニル基)、オキソラン環(オキソラニル基))は硬化性基として作用する。3〜5員の環状エーテル基は、主に耐薬品性(耐溶剤性、耐アルカリ性等)の向上に寄与する。
重合体Mが、単量体成分m1、m2、m3に加え、さらに、単量体成分m4、m5、m6およびm7よりなる群から選択される少なくとも1種の単量体成分を含むものである場合、重合体M中における単量体成分m4、m5、m6およびm7の含有率の総和は、60wt%以下であるのが好ましく、50wt%以下であるのがより好ましく、40wt%以下であるのがさらに好ましい。これにより、上述した単量体成分m1、m2、m3を含むことによる効果を十分に発揮させつつ、単量体成分m4、m5、m6、m7を含むことによる効果が発揮される。
重合体Mの重量平均分子量は、500〜100000であるのが好ましく、1000〜40000であるのがより好ましく、2000〜30000であるのがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターについてのコントラスト比、明度を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクの保存安定性(長期安定性)、吐出安定性、形成される着色部の硬度等を優れたものとすることができる。また、後述するような製造方法用いた場合のカラーフィルター用インクの生産性を特に優れたものとすることができる。
また、重合体Mの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1〜3であるのが好ましい。
また、カラーフィルター用インク中における重合体Mの含有率Cは、0.5〜12wt%であるのが好ましく、1.0〜9.0wt%であるのがより好ましい。
[重合体Y]
重合体Yは、下記式(15)で表される単量体成分y1を含むものである。重合体Yとしては、例えば、下記式(18)で表されるものがある。
Figure 2010191244
Figure 2010191244
このような重合体Yを含むことにより、カラーフィルター用インクの吐出安定性、カラーフィルター中における顔料の分散安定性等を優れたものとしつつ、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の基板に対する密着性を特に優れたものとすることができ、製造されるカラーフィルターの耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。
なお、重合体Yは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Yが複数種の化合物の混合物である場合、各化合物が、単量体成分y1を含有するものである。
(単量体成分y1)
重合体Yは、上記式(15)で表される単量体成分y1を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分y1を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の基板に対する密着性を特に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
重合体Y中における単量体成分y1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、30〜90wt%であるのが好ましく、40〜80wt%であるのがより好ましい。重合体Y中における単量体成分y1の含有率が前記範囲内の値であると、例えば、重合体Yが単量体成分として後に詳述する単量体成分y2を含む場合において、当該単量体成分y2の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体Y中における単量体成分y1の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分y1を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体Y中における単量体成分y1の含有率が前記上限値を超えると、例えば、重合体Yが単量体成分として後に詳述する単量体成分y2を含む場合において、相対的に単量体成分y2の含有率が低下し、単量体成分y2の機能が十分に発揮されない可能性がある。また、着色部の形成時、基板上に付与されたカラーフィルター用インクから分散媒を除去する際に、固形分濃度の上昇に伴ってカラーフィルター用インクの粘度が上昇する傾向が現れ、形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じ易くなる。なお、重合体Yが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分y1の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Yが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分y1を含有しているのが好ましい。
(単量体成分y2)
重合体Yは、下記式(16)で表される単量体成分y2を単量体成分として含有してなるものであってもよい。
Figure 2010191244
このような単量体成分y2を単量体成分として含有すること(特に、上述した単量体成分y1とともに含有すること)により、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)をより確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。特に、加熱環境下での着色部形成工程(硬化工程)において、樹脂材料の重合反応の立ち上がりを良好なものとすることができるとともに、継続的に重合反応の進行させることができる。また、単量体成分y2を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の硬度等を優れたものとすることができる。
また、重合体Yが単量体成分y2を含有することにより、重合体X等との親和性、相溶性を十分に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルター用インクの吐出安定性を優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部は、透明性に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下が防止され)、基板に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。これに対し、単量体成分y2を単量体成分として含有しない場合、重合体X等との親和性、相溶性を十分に優れたものとすることができず、カラーフィルター用インクは、吐出安定性に劣ったものとなり、また、製造されるカラーフィルターは、色むらや濃度むらが発生し易く、コントラストや耐久性、信頼性等を十分に優れたものとするのが困難となる可能性がある。
単量体成分y2を単量体成分として含有する重合体Yとしては、例えば、下記式(20)で表されるものがある。
Figure 2010191244
重合体Y中における単量体成分y2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、10〜70wt%であるのが好ましく、20〜60wt%であるのがより好ましい。重合体Y中における単量体成分y2の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分y1の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体Y中における単量体成分y2の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分y2を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体Y中における単量体成分y2の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分y1の含有率が低下し、単量体成分y1の機能が十分に発揮されない可能性がある。また、重合体Yの比較的低温での反応性が増し、カラーフィルター用インクの保存安定性が低下する傾向が現れる。なお、重合体Yが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分y2の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Yが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分y2を含有しているのが好ましい。
なお、重合体Yは、上述した単量体成分y1、y2以外の単量体成分(その他の単量体成分)を含むものであってもよい。これにより、例えば、上記のような特性を発揮しつつ、その他の単量体成分の化学構造に由来する効果も得ることができる。
重合体Yが、その他の単量体成分(単量体成分y1、y2以外の単量体成分)を含むものである場合、重合体Y中におけるその他の単量体成分の含有率(複数種のその他の単量体成分を含む場合にはこれらの含有率の和)は、15wt%以下であるのが好ましく、10wt%以下であるのがより好ましい。
重合体Yの重量平均分子量は、1000〜50000であるのが好ましく、1200〜10000であるのがより好ましく、1500〜5000であるのがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの経時的安定性(長期保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルターの生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性をより確実に高いものとすることができ、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
また、重合体Yの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1〜3であるのが好ましい。
[重合体Z]
重合体Zは、下記式(21)で表される単量体成分z1と下記式(22)で表される単量体成分z2と下記式(23)で表される単量体成分z3とを含むものである。重合体Zとしては、例えば、下記式(24)で表されるものがある。
Figure 2010191244
Figure 2010191244
Figure 2010191244
Figure 2010191244
このような重合体Zを含むことにより、樹脂材料としての硬化反応のスイッチング特性、カラーフィルター用インクの吐出安定性、形成される着色部の硬度等を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、重合体Zを含むことにより、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じてしまうのをより効果的に防止することができ、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら、濃度むらの発生やコントラスト比の低下をより効果的に防止することができる。これは、基板上に付与されたカラーフィルター用インクから分散媒を除去して着色部を形成する際に、顔料粒子の凝集を効果的に防止することができるためであると考えられる。また、重合体Zを含むことにより、形成される着色部は十分な硬度を有しながらも、適度な柔軟性を有するものとなるため、着色部と基板との密着性が特に優れたものとなるとともに、クラック等の不具合の発生をより確実に防止することができる。また、重合体Zを含むことにより、後述するような製造方法を用いてカラーフィルター用インクを製造する際に(後述する微分散工程で)、原料として用いる顔料粒子の凝集体をより容易に微粒子化(解砕)することができ、カラーフィルター用インクの生産性をさらに向上させることができる。また、重合体Zは、機械的な力に対して極めて優れた安定性を有しているため、顔料とともに後述する微分散工程に供された場合であっても、当該工程における変性、劣化が防止される。したがって、重合体Zを用いることにより、樹脂材料の劣化等を確実に防止しつつ、顔料の分散性に優れたカラーフィルター用インクを効率よく調製することができる。
なお、重合体Zは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Zが複数種の化合物の混合物である場合、各化合物が、単量体成分z1、z2およびz3を含有するものである。
(単量体成分z1)
重合体Zは、上記式(21)で表される単量体成分z1を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分z1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)をより好適に進行させることができる。すなわち、樹脂材料についての硬化反応のスイッチング特性を優れたものとすることができる。また、単量体成分z1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、単量体成分z1は、重合体Zにおいて、高温環境下での反応性に優れる一方で、機械的な力に対しては極めて優れた安定性を有している。このため、顔料とともに後述する微分散工程に供された場合であっても、本工程における重合体Zの変性、劣化が防止され、カラーフィルター用インクにおいて、重合体Zの機能を確実に発揮することができる。また、単量体成分z1を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の硬度等を優れたものとすることができる。
また、重合体Zが単量体成分z1を含有することにより、重合体X等との親和性、相溶性を十分に優れたものとすることができる。その結果、各重合体の機能を十分に発揮させつつ、カラーフィルター用インクの吐出安定性を優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部は、透明性が特に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下がより効果的に防止され)、基板に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。
重合体Z中における単量体成分z1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、50〜95wt%であるのが好ましく、60〜85wt%であるのがより好ましい。重合体Z中における単量体成分z1の含有率が前記範囲内の値であると、後に詳述する単量体成分z2、z3の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。なお、重合体Zが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分z1の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Zが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分z1を含有しているのが好ましい。
(単量体成分z2)
重合体Zは、上記式(22)で表される単量体成分z2を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分z2を単量体成分として含有することにより、基板上へのカラーフィルター用インクの濡れ広がりを良好なものとすることができ、気泡の混入等が確実に防止され、基板との密着性に優れた着色部を好適に形成することができる。また、カラーフィルター用インクが顔料に加え分散剤を含むものである場合においては、単量体成分z2を単量体成分として含有することにより、顔料の分散安定性のみならず、分散剤の分散安定性も特に優れたものとすることができる。その結果、顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの長期保存性を特に優れたものとすることができる。
重合体Z中における単量体成分z2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、3〜35wt%であるのが好ましく、10〜25wt%であるのがより好ましい。重合体Z中における単量体成分z2の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分z1および後に詳述する単量体成分z3の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。なお、重合体Zが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分z2の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Zが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分z2を含有しているのが好ましい。
(単量体成分z3)
重合体Zは、上記式(23)で表される単量体成分z3を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分z3は、前述した単量体成分x1、x2等と同様に、後述する着色部形成工程(硬化工程)において、樹脂材料の硬化に寄与する成分であるが、単量体成分x1、x2等が、形成される着色部の硬度を高いものとする機能を有しているのに対し、単量体成分z3は、形成される着色部に適度な柔軟性を与え、着色部が設けられる基板等に変形(例えば、熱膨張、熱収縮等)が生じた場合であっても、その変形に追従し、基板等に対する着色部の密着性を保持させる機能を有している。これにより、例えば、製造されるカラーフィルターが画像表示に伴う急激な温度変化に繰り返しさらされた場合においても良好な密着性を保持することができ、光漏れ(白抜け、輝点)等の問題が発生するのをより確実に防止することができる。すなわち、カラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
また、単量体成分z3は、重合体Zにおいて、比較的低い温度(例えば、100℃以下)では反応性が十分に低いのに対し、着色部形成工程(硬化工程)で施す熱処理のような加熱環境下においては、十分な反応性を有するものである。このため、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。
また、単量体成分z3を単量体成分として含有することにより、着色部の形成時、基板上に付与されたカラーフィルター用インクから分散媒を除去する際に、固形分濃度の上昇に伴ってカラーフィルター用インクのチキソトロピック性および粘度が上昇し、形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じることを確実に防止することができる。
重合体Z中における単量体成分z3の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、2〜30wt%であるのが好ましく、5〜20wt%であるのがより好ましい。重合体Z中における単量体成分z3の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分z1、z2の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。なお、重合体Zが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分z3の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Zが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分z3を含有しているのが好ましい。
なお、重合体Zは、上述した単量体成分z1、z2、z3以外の単量体成分(その他の単量体成分)を含むものであってもよい。これにより、例えば、上記のような特性を発揮しつつ、その他の単量体分の化学構造に由来する効果も得ることができる。
重合体Zが、その他の単量体成分(単量体成分z1、z2、z3以外の単量体成分)を含むものである場合、重合体Z中におけるその他の単量体成分の含有率(複数種のその他の単量体成分を含む場合にはこれらの含有率の和)は、15wt%以下であるのが好ましく、10wt%以下であるのがより好ましい。
重合体Zの重量平均分子量は、5000〜50000であるのが好ましく、6000〜15000であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの経時的安定性(長期保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルターの生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性をより確実に高いものとすることができ、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
また、重合体Zの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1〜3であるのが好ましい。
[重合体W]
重合体Wは、下記式(25)で表される単量体成分w1と下記式(26)で表される単量体成分w2と下記式(27)で表される単量体成分w3と下記式(28)で表される単量体成分w4とを含むものである。重合体Wとしては、例えば、下記式(29)で表されるものがある。
Figure 2010191244
Figure 2010191244
Figure 2010191244
Figure 2010191244
Figure 2010191244
このような重合体Wを含むことにより、樹脂材料としての硬化反応のスイッチング特性、カラーフィルター用インクの吐出安定性、形成される着色部の硬度等を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、重合体Wを含むことにより、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じてしまうのをより効果的に防止することができ、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら、濃度むらの発生やコントラスト比の低下をより効果的に防止することができる。これは、基板上に付与されたカラーフィルター用インクから分散媒を除去して着色部を形成する際に、顔料粒子の凝集を効果的に防止することができるためであると考えられる。また、重合体Wを含むことにより、形成される着色部は十分な硬度を有しながらも、適度な柔軟性を有するものとなるため、着色部と基板との密着性が特に優れたものとなるとともに、クラック等の不具合の発生をより確実に防止することができる。また、重合体Wを含むことにより、後述するような製造方法を用いてカラーフィルター用インクを製造する際に(後述する微分散工程で)、原料として用いる顔料粒子の凝集体をより容易に微粒子化(解砕)することができ、カラーフィルター用インクの生産性をさらに向上させることができる。また、重合体Wは、機械的な力に対して極めて優れた安定性を有しているため、顔料とともに後述する微分散工程に供された場合であっても、当該工程における変性、劣化が防止される。したがって、重合体Wを用いることにより、樹脂材料の劣化等を確実に防止しつつ、顔料の分散性に優れたカラーフィルター用インクを効率よく調製することができる。
なお、重合体Wは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Wが複数種の化合物の混合物である場合、各化合物が、単量体成分w1、w2、w3およびw4を含有するものである。
(単量体成分w1)
重合体Wは、上記式(25)で表される単量体成分w1を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分w1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)をより好適に進行させることができる。すなわち、樹脂材料についての硬化反応のスイッチング特性を優れたものとすることができる。また、単量体成分w1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、単量体成分w1は、重合体Wにおいて、高温環境下での反応性に優れる一方で、機械的な力に対しては極めて優れた安定性を有している。このため、顔料とともに後述する微分散工程に供された場合であっても、本工程における重合体Wの変性、劣化が防止され、カラーフィルター用インクにおいて、重合体Wの機能を確実に発揮することができる。また、単量体成分w1を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の硬度等を優れたものとすることができる。
また、重合体Wが単量体成分w1を含有することにより、重合体X等との親和性、相溶性を十分に優れたものとすることができる。その結果、各重合体の機能を十分に発揮させつつ、カラーフィルター用インクの吐出安定性を優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部は、透明性が特に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下がより効果的に防止され)、基板に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。
重合体W中における単量体成分w1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、25〜75wt%であるのが好ましく、40〜60wt%であるのがより好ましい。重合体W中における単量体成分w1の含有率が前記範囲内の値であると、後に詳述する単量体成分w2、w3、w4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。なお、重合体Wが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分w1の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Wが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分w1を含有しているのが好ましい。
(単量体成分w2)
重合体Wは、上記式(26)で表される単量体成分w2を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分w2を単量体成分として含有することにより、基板上へのカラーフィルター用インクの濡れ広がりを良好なものとすることができ、気泡の混入等が確実に防止され、基板との密着性に優れた着色部を好適に形成することができる。また、カラーフィルター用インクが顔料に加え分散剤を含むものである場合においては、単量体成分w2を単量体成分として含有することにより、顔料の分散安定性のみならず、分散剤の分散安定性も特に優れたものとすることができる。その結果、顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの長期保存性を特に優れたものとすることができる。
重合体W中における単量体成分w2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、2〜25wt%であるのが好ましく、5〜15wt%であるのがより好ましい。重合体W中における単量体成分w2の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分w1および後に詳述する単量体成分w3、w4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。なお、重合体Wが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分w2の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Wが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分w2を含有しているのが好ましい。
(単量体成分w3)
重合体Wは、上記式(27)で表される単量体成分w3を単量体成分として含有してなるものである。
単量体成分w3を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の耐薬品性、耐溶剤性等を特に優れたものとすることができる。これにより、着色部形成工程(硬化工程)の後に、薬品塗布や洗浄(特に、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、イソプロピルアルコール、塩酸、水酸化ナトリウム水溶液等を用いた洗浄)等の後処理を行った場合であっても、これらによる悪影響の発生をより確実に防止することができる。
また、単量体成分w3は、重合体(重合体W)中において、比較的低い温度(例えば、100℃以下)では反応性が十分に低いのに対し、着色部形成工程(硬化工程)で施す熱処理のような加熱環境下では、十分な反応性を有するものである。このため、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。
また、単量体成分w3を単量体成分として含有することにより、例えば、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を優れたものとすることができる。
重合体W中における単量体成分w3の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、5〜50wt%であるのが好ましく、10〜40wt%であるのがより好ましい。重合体W中における単量体成分w3の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分w1、w2および後に詳述する単量体成分w4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。なお、重合体Wが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分w3の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Wが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分w3を含有しているのが好ましい。
(単量体成分w4)
重合体Wは、上記式(28)で表される単量体成分w4を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分w4を単量体成分として含有することにより、着色部の形成時、基板上に付与されたカラーフィルター用インクから分散媒を除去する際に、固形分濃度の上昇に伴ってカラーフィルター用インクのチキソトロピック性および粘度が上昇し、形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じることをより確実に防止することができる。
また、単量体成分w4を単量体成分として含有することにより、樹脂材料全体としての疎水性を好適に調整することができ、樹脂材料を構成する各重合体の親和性、相溶性を特に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部は、透明性に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下が防止され)、基板に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。
重合体W中における単量体成分w4の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、3〜40wt%であるのが好ましく、5〜30wt%であるのがより好ましい。重合体W中における単量体成分w4の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分w1、w2、w3の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。なお、重合体Wが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分w4の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Wが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分w4を含有しているのが好ましい。
重合体Wの重量平均分子量は、5000〜50000であるのが好ましく、6000〜15000であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの経時的安定性(長期保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルターの生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性をより確実に高いものとすることができ、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
また、重合体Wの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1〜3であるのが好ましい。
なお、上述した各重合体は、最終的に上述したような構造(各単量体成分に対応する各部分構造)を有していればよく、上述した各単量体成分そのものを用いて合成されたものであってもよいし、上述した単量体成分とは異なる成分(前駆体、誘導体等)を用いて合成されたものであってもよい。
また、カラーフィルター用インク中における樹脂材料の含有率は、0.5〜18wt%であるのが好ましく、1.0〜15wt%であるのがより好ましく、3.0〜12wt%であるのがさらに好ましい。
また、カラーフィルター用インク中における樹脂材料の含有率をC[wt%]、カラーフィルター用インク中における顔料の含有率をC[wt%]としたとき、0.2≦C/C≦9.0の関係を満足するのが好ましく、0.3≦C/C≦5.0の関係を満足するのがより好ましく、0.4≦C/C≦3.5の関係を満足するのがさらに好ましい。このような関係を満足することにより、製造されるカラーフィルターのコントラスト等をより優れたものとすることができたり、着色部厚さをより薄いものとした場合であっても十分なコントラストを確保することができる。なお、従来のカラーフィルター用インクでは、顔料の含有率に対する樹脂材料の含有率を低いものとした場合、形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じる等の不都合を生じやすかったが、本発明では、上記のように、顔料の含有率に対する樹脂材料の含有率を低いものとした場合であっても、形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じることを確実に防止することができる。すなわち、上記のような関係を満足することにより、本発明の効果はより顕著に発揮される。
なお、カラーフィルター用インクを構成する樹脂材料は、上述した以外の重合体(例えば、熱可塑性の重合体や上述した重合体X、M、Y、Z、W以外の硬化性の重合体)を含むものであってもよい。
<分散媒>
分散媒は、上述したような顔料を、分散する機能を有するものである。また、このような機能を有する分散媒(液性媒体)は、カラーフィルター用インク中において、上述した樹脂材料を溶解する溶媒としても機能する。そして、通常、分散媒は、カラーフィルターを製造する過程において、その大部分が除去されるものである。
カラーフィルター用インクを構成する分散媒としては、例えば、エステル化合物、エーテル化合物、ヒドロキシケトン、炭酸ジエステル、環状アミド化合物等を用いることができ、中でも、〔1〕多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等)の縮合物としてのエーテル(多価アルコールエーテル)や、多価アルコールまたは多価アルコールエーテルのアルキルエーテル(例えば、メチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル等)、エステル(例えば、ホルメート、アセテート、プロピオネート等)、〔2〕多価カルボン酸(例えば、こはく酸、グルタル酸等)のエステル(例えば、メチルエステル等)、〔3〕分子内に少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つのカルボキシル基とを有する化合物(ヒドロキシ酸)のエーテル、エステル等、〔4〕多価アルコールとホスゲンとの反応で得られるような化学構造を有する炭酸ジエステルが好ましい。分散媒として用いることのできる化合物としては、例えば、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、ビス(2−ブトキシエチル)エーテル、グルタル酸ジメチル、エチレングリコールジn−ブチレート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、1,6−ジアセトキシヘキサン、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ブトキシプロパノール、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、オクタン酸エチル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸シクロヘキシル、こはく酸ジエチル、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、こはく酸ジメチル、1−ブトキシ−2−プロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−n−ブチルアセテート、ジアセチン、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ブチルグリコレート、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドン、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ビス(2−プロポキシエチル)エーテル、ジエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールエチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールブチルエチルエーテル、トリエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルプロピルエーテル、トリエチレングリコールメチルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、n−ノニルアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ブチルセロソルブアセテート等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、分散媒としては、1,3−ブチレングリコールジアセテート、ビス(2−ブトキシエチル)エーテル、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテートおよびジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものであるのが好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの吐出安定性が特に優れたものとなる。また、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。その結果、製造されるカラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等をより効果的に抑制することができるとともに、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができる。また、顔料、樹脂材料等を比較的多量にカラーフィルター用インク中に含ませた場合であっても、カラーフィルター用インクの物性の経時的な変化や、環境変化に伴うカラーフィルター用インクの物性の変化が比較的少ないものとなる。また、顔料の含有率を高くした場合であっても、顔料の長期分散安定性を十分に優れたものとすることができる。また、分散媒が上記のような化合物で構成されたものであると、後述するようなカラーフィルターの製造方法において、セル内全体に、カラーフィルター用インクをより確実に濡れ広がるようにすることができる。
また、上述した中でも、分散媒が、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを含むものである場合、カラーフィルター用インクの粘度を特に低いものとすることができ、カラーフィルター用インクの液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクが基板上ですばやく隅々まで濡れ広がるため、形成される着色部の厚さの均一性をより高いものとすることができ、色再現性および消偏性(コントラスト比)を特に優れたものとすることができる。また、分散媒が、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを含むものである場合、水の分散媒への溶解度を適度なものとすることができる。このため、カラーフィルター用インクを構成する分散媒は、外部からの吸湿を確実に防止することができる。また、液滴吐出装置のカラーフィルター用インクの流路等の内部に水が混入した場合であっても、水を好適に溶解し、除去することができる。この結果、液滴吐出ヘッドからのカラーフィルター用インクの液滴の吐出安定性(例えば、液滴の吐出量の均一性)をより長期にわたって、特に優れたものとすることができる。
また、上述した中でも、分散媒がビス(2−ブトキシエチル)エーテル、1,3−ブチレングリコールジアセテートを含むものである場合、カラーフィルター用インクがノズルの近傍で非常に乾燥しにくくなり、インク付与工程における飛行曲がりの発生がより効果的に抑制される。また、ノズルの詰まりを防ぐために定期的にカラーフィルター用インクを少量排出するために行うフラッシング工程において、長距離のヘッド移動中におけるノズル近傍のカラーフィルター用インク乾燥を防ぐことができ、基板中に設けられたダミー画素などの捨て打ちエリアが不必要となる。また、カラーフィルター用インクが乾燥しにくくなることで、顔料、樹脂材料等の成分の変性、劣化、凝集、偏析をより確実に防止することができる。
また、特に、分散媒が1,3−ブチレングリコールジアセテートを含むものである場合、分散媒への水の溶解度を適度なものとすることができる。このため、カラーフィルター用インクを構成する分散媒は、外部からの過剰な水分の吸収を確実に防止しつつ、液滴吐出装置のカラーフィルター用インクの流路等の内部に多少の水分が混入した場合であっても、水を好適に溶解することで、分散の安定性・流動性を保持したまま流路内を移動することができる。
また、上記〔1〕〜〔4〕の中でも、〔1〕の化合物、特に、プロピレングリコール骨格を有し、かつ、その両末端にアルコキシ基を有する化合物も、分散媒として好適に用いることができる。このような化合物を用いることにより、カラーフィルター用インクの液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができ、製造されるカラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等をより効果的に抑制することができるとともに、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができる。また、当該化合物と前述したような樹脂材料の化学構造的な相関から、前述したような樹脂材料の溶解性を十分に優れたものとしつつ、カラーフィルター用インク中において顔料粒子の表面に樹脂材料を偏在させることができ、液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの長期保存性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルターの耐久性を、特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インク中における顔料の含有率を比較的高いものとした場合であっても、顔料の分散安定性を十分に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの安定性(長期保存性)を優れたものとすることができる。分散媒として、プロピレングリコール骨格を有し、かつ、その両末端にアルコキシ基を有する化合物を含むことにより、液滴吐出に用いられる液滴吐出ヘッドが劣化してしまうのを効果的に防止することができる。このため、多数のカラーフィルターを製造する場合であっても、液滴吐出ヘッドの交換、修理等のメンテナンスの頻度を低くすることができ、カラーフィルターの生産性を優れたものとすることができる。
上記のような化学構造を有する化合物(プロピレングリコール骨格を有し、かつ、その両末端にアルコキシ基を有する化合物)は、下記一般式(33)で表すことができる。
Figure 2010191244
式(33)において、R、R’の具体例としては、メチル基(CH)、エチル基(CHCH)、プロピル基(CHCHCH)、イソプロピル基(CHCH(CH))、ブチル基(CHCHCHCH)、イソブチル基(CHCH(CH)CH)、sec−ブチル基(CHCHCH(CH))、t−ブチル基((CHC)、ペンチル基(CHCHCHCHCH)、ヘキシル基(CHCHCHCHCH)、ヘプチル基(CHCHCHCHCH)、オクチル基(CHCHCHCHCH)等が挙げられるが、炭素数が1〜4のアルキル基が好ましい。
また、上記のように、l+m+nは、1以上の整数であればよいが、2〜5であるのが好ましく、2〜3であるのがより好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮され、カラーフィルター用インクの吐出安定性、長期保存性(保存安定性)を特に優れたものとすることができるとともに、製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等をより効果的に抑制することができ、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができる。
上記のような化学構造を有する、分散媒として用いることのできる化合物の具体例としては、例えば、CHOCHCH(CH)OCH、CHO(CHCH(CH)O)CH、CHO(CHCH(CH)O)CH、CHO(CHCH(CH)O)CH、CHO(CHCH(CH)O)CH、CHOCHCHCHOCH、CHO(CHCHCHO)CH、CHO(CHCHCHO)CH、CHO(CHCHCHO)CH、CHO(CHCHCHO)CH、CHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)]CH、CHO[(CHCH(CH)O)(CHCHCHO)]CH、CHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)(CHCHCHO)]CH、CHCHOCHCH(CH)OCH、CHCHO(CHCH(CH)O)CH、CHCHO(CHCH(CH)O)CH、CHCHO(CHCH(CH)O)CH、CHCHO(CHCH(CH)O)CH、CHCHOCH(CH)CHOCH、CHCHO(CH(CH)CHO)CH、CHCHO(CH(CH)CHO)CH、CHCHO(CH(CH)CHO)CH、CHCHO(CH(CH)CHO)CH、CHCHOCHCHCHOCH、CHCHO(CHCHCHO)CH、CHCHO(CHCHCHO)CH、CHCHO(CHCHCHO)CH、CHCHO(CHCHCHO)CH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)]CH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CHCHCHO)]CH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)(CHCHCHO)]CH、CHCHOCHCH(CH)OCHCH、CHCHO(CHCH(CH)O)CHCH、CHCHO(CHCH(CH)O)CHCH、CHCHO(CHCH(CH)O)CHCH、CHCHO(CHCH(CH)O)CHCH、CHCHOCHCHCHOCHCH、CHCHO(CHCHCHO)CHCH、CHCHO(CHCHCHO)CHCH、CHCHO(CHCHCHO)CHCH、CHCHO(CHCHCHO)CHCH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)]CHCH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CHCHCHO)]CHCH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)(CHCHCHO)]CHCH、CHOCHCH(CH)OCHCHCHCH、CHO(CHCH(CH)O)CHCHCHCH、CHO(CHCH(CH)O)CHCHCHCH、CHO(CHCH(CH)O)CHCHCHCH、CHO(CHCH(CH)O)CHCHCHCH、CHOCH(CH)CHOCHCHCHCH、CHO(CH(CH)CHO)CHCHCHCH、CHO(CH(CH)CHO)CHCHCHCH、CHO(CH(CH)CHO)CHCHCHCH、CHO(CH(CH)CHO)CHCHCHCH、CHOCHCHCHOCHCHCHCH、CHO(CHCHCHO)CHCHCHCH、CHO(CHCHCHO)CHCHCHCH、CHO(CHCHCHO)CHCHCHCH、CHO(CHCHCHO)CHCHCHCH、CHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)]CHCHCHCH、CHO[(CHCH(CH)O)(CHCHCHO)]CHCHCHCH、CHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)(CHCHCHO)]CHCHCHCH等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記のような化合物は、プロピレングリコール骨格を有し、かつ、その両末端にアルコキシ基を有する化合物を含むものであるが、前記プロピレングリコール骨格は、複数個の1,2−プロピレングリコールが縮合した構造を有するもの(すなわち、式(33)中でのlが2以上の整数)であるのが好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮され、カラーフィルター用インクの吐出安定性、長期保存性(保存安定性)を特に優れたものとすることができるとともに、製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等をより効果的に抑制することができ、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができる。このように、プロピレングリコール骨格が、複数個の1,2−プロピレングリコールが縮合した構造を有する化合物(分散媒)としては、例えば、CHO(CHCH(CH)O)CH、CHO(CHCH(CH)O)CH、CHO(CHCH(CH)O)CH、CHO(CHCH(CH)O)CH、CHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)]CH、CHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)(CHCHCHO)]CH、CHCHO(CHCH(CH)O)CH、CHCHO(CHCH(CH)O)CH、CHCHO(CHCH(CH)O)CH、CHCHO(CHCH(CH)O)CH、CHCHO(CH(CH)CHO)CH、CHCHO(CH(CH)CHO)CH、CHCHO(CH(CH)CHO)CH、CHCHO(CH(CH)CHO)CH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)]CH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)(CHCHCHO)]CH、CHCHO(CHCH(CH)O)CHCH、CHCHO(CHCH(CH)O)CHCH、CHCHO(CHCH(CH)O)CHCH、CHCHO(CHCH(CH)O)CHCH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)]CHCH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)(CHCHCHO)]CHCH、CHO(CHCH(CH)O)CHCHCHCH、CHO(CHCH(CH)O)CHCHCHCH、CHO(CHCH(CH)O)CHCHCHCH、CHO(CHCH(CH)O)CHCHCHCH、CHO(CH(CH)CHO)CHCHCHCH、CHO(CH(CH)CHO)CHCHCHCH、CHO(CH(CH)CHO)CHCHCHCH、CHO(CH(CH)CHO)CHCHCHCH、CHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)]CHCHCHCH、CHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)(CHCHCHO)]CHCHCHCH等が挙げられる。
また、前記化合物を構成するプロピレングリコール骨格は、2〜3個のプロピレングリコールが縮合した構造を有するもの(すなわち、式(33)中での「l+m+n」が2〜3)であるのが好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮され、カラーフィルター用インクの吐出安定性、長期保存性(保存安定性)を特に優れたものとすることができるとともに、製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等をより効果的に抑制することができ、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができる。このように、プロピレングリコール骨格が、2〜3個のプロピレングリコールが縮合した構造を有する化合物(分散媒)としては、例えば、CHO(CHCH(CH)O)CH、CHO(CHCH(CH)O)CH、CHO(CHCHCHO)CH、CHO(CHCHCHO)CH、CHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)]CH、CHO[(CHCH(CH)O)(CHCHCHO)]CH、CHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)(CHCHCHO)]CH、CHCHO(CHCH(CH)O)CH、CHCHO(CHCH(CH)O)CH、CHCHO(CH(CH)CHO)CH、CHCHO(CH(CH)CHO)CH、CHCHO(CHCHCHO)CH、CHCHO(CHCHCHO)CH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)]CH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CHCHCHO)]CH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)(CHCHCHO)]CH、CHCHO(CHCH(CH)O)CHCH、CHCHO(CHCH(CH)O)CHCH、CHCHO(CHCHCHO)CHCH、CHCHO(CHCHCHO)CHCH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)]CHCH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CHCHCHO)]CHCH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)(CHCHCHO)]CHCH、CHO(CHCH(CH)O)CHCHCHCH、CHO(CHCH(CH)O)CHCHCHCH、CHO(CH(CH)CHO)CHCHCHCH、CHO(CH(CH)CHO)CHCHCHCH、CHO(CHCHCHO)CHCHCHCH、CHO(CHCHCHO)CHCHCHCH、CHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)]CHCHCHCH、CHO[(CHCH(CH)O)(CHCHCHO)]CHCHCHCH、CHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)(CHCHCHO)]CHCHCHCH等が挙げられる。
また、分散媒が複数種の化合物で構成される場合において、ジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル、トリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテートおよびジプロピレングリコールジメチルエーテルよりなる群から選択される1種または2種以上を副成分(副分散媒)として含むと、形成される着色部は、凹凸がより少ないものとなる。中でも、ジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル、トリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルおよびジプロピレングリコールジメチルエーテルよりなる群から選択される1種または2種以上を副成分(副分散媒)として含むと、形成される着色部は、凹凸がさらに少なく、平坦性が特に高いものとなる。これは、以下のような理由によるものであると思われる。すなわち、これらの化合物(副成分としての化合物)は、比較的高い沸点を有するとともに、上述したような樹脂材料を溶解しやすい。そして、着色部形成時において、主成分となる分散媒の大部分が揮発した後に、このような化合物(副成分)は比較的穏やかに除去される。一方で、このような副成分は上述した樹脂材料を溶解しやすいため、着色部形成時におけるカラーフィルター用インクの流動性を維持しやすいものである。このため、副成分の除去時におけるカラーフィルター用インクの対流が防止されつつ、カラーフィルター用インクの高い流動性が維持され、結果として、形成される着色部は、凹凸がさらに少なく、平坦性が非常に高いものとなる。
また、分散媒中に占める副成分の割合(副成分として含まれる化合物が上記から選択される2種または3種である場合はそれらの和)は、50wt%以下であればよいが、1〜40wt%であるのが好ましい。
分散媒の大気圧(1気圧)下における沸点は、160〜300℃であるのが好ましく、180〜290℃であるのがより好ましく、200〜280℃であるのがさらに好ましい。分散媒の大気圧下における沸点が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用インクを吐出する液滴吐出ヘッドにおける目詰まり等をより効果的に防止することができ、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。
また、分散媒の25℃における蒸気圧は、0.7mmHg以下であるのが好ましく、0.1mmHg以下であるのがより好ましい。分散媒の蒸気圧が前記範囲内と値であると、カラーフィルター用インクを吐出する液滴吐出ヘッドにおける目詰まり等をより効果的に防止することができ、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。
カラーフィルター用インク中における分散媒の含有率は、50〜98wt%であるのが好ましく、60〜95wt%であるのがより好ましく、65〜93wt%であるのがさらに好ましい。分散媒の含有率が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用インクの液滴吐出ヘッドからの吐出性を特に優れたものとしつつ、製造されるカラーフィルターの耐久性を優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターにおいて、十分な着色濃度を確保することができる。
カラーフィルター用インクは、上記以外の成分を含むものであってもよい。カラーフィルター用インクを構成する上記以外の成分としては、例えば、分散剤等が挙げられる。
<分散剤>
カラーフィルター用インクには、分散剤が含まれていてもよい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散性をさらに向上させることができ、インクの液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。特に、上述したような化合物Aや樹脂材料とともに分散剤を用いることにより、これらの効果が相乗的に作用し合い、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの吐出安定性等を特に優れたものとすることができる。
分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤が挙げられる。
分散剤のより具体的な例としては、例えば、ディスパービック101、ディスパービック102、ディスパービック103、ディスパービックP104、ディスパービックP104S、ディスパービック220S、ディスパービック106、ディスパービック108、ディスパービック109、ディスパービック110、ディスパービック111、ディスパービック112、ディスパービック116、ディスパービック140、ディスパービック142、ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック164、ディスパービック166、ディスパービック167、ディスパービック168、ディスパービック170、ディスパービック171、ディスパービック174、ディスパービック180、ディスパービック182、ディスパービック183、ディスパービック184、ディスパービック185、ディスパービック2000、ディスパービック2001、ディスパービック2050、ディスパービック2070、ディスパービック2095、ディスパービック2150、ディスパービックLPN6919、ディスパービック9075、ディスパービック9077(以上、ビックケミー社製);EFKA 4008、EFKA 4009、EFKA 4010、EFKA 4015、EFKA 4020、EFKA 4046、EFKA 4047、EFKA 4050、EFKA 4055、EFKA 4060、EFKA 4080、EFKA 4400、EFKA 4401、EFKA 4402、EFKA 4403、EFKA 4406、EFKA 4408、EFKA 4300、EFKA 4330、EFKA 4340、EFKA 4015、EFKA 4800、EFKA 5010、EFKA 5065、EFKA 5066、EFKA 5070、EFKA 7500、EFKA 7554(以上、チバスペシャリティ−社製);ソルスパース3000、ソルスパース9000、ソルスパース13000、ソルスパース16000、ソルスパース17000、ソルスパース18000、ソルスパース20000、ソルスパース21000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000、ソルスパース32000、ソルスパース32500、ソルスパース32550、ソルスパース33500、ソルスパース35100、ソルスパース35200、ソルスパース36000、ソルスパース36600、ソルスパース38500、ソルスパース41000、ソルスパース41090、ソルスパース20000(以上、ルーブリゾール社製);アジスパーPA111、アジスパーPB711、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB824(以上、味の素ファインテクノ社製);ディスパロン1850、ディスパロン1860、ディスパロン2150、ディスパロン7004、ディスパロンDA−100、ディスパロンDA−234、ディスパロンDA−325、ディスパロンDA−375、ディスパロンDA−705、ディスパロンDA−725、ディスパロンPW−36(以上、楠本化成社製);および、フローレン DOPA−14、フローレン DOPA−15B、フローレン DOPA−17、フローレン DOPA−22、フローレン DOPA−44、フローレン TG−710、フローレン D−90(以上、共栄化学社製)、Anti−Terra−205(ビックケミー社製)、ヒノアクトKF−1000、KF−1525、ヒノアクト1300M、ヒノアクトT9050、ヒノアクトT6000、ヒノアクトT7000、ヒノアクトT8000、ヒノアクトT8000E(以上、川研ファインケミカル社製)等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
特に、カラーフィルター用インクは、分散剤として、所定のアミン価(零を除く)を有するアミン価分散剤を含むものであるのが好ましい。このように、アミン価分散剤を含むこと、特に、前述したような顔料、化合物Aおよび樹脂材料(重合体Xを含む樹脂材料)とともにアミン価分散剤を含むことにより、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルター用インクを用いて形成されるカラーフィルターの着色部を平坦性の高いものとすることができ、より明度が高く、より高コントラストの画像を好適に表示することができる。また、アミン価分散剤を用いることにより、以下のような効果も得られる。すなわち、後述するような方法でカラーフィルター用インクを製造する場合、微分散工程における顔料粒子の微粒化(微粒子化)の効率を優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの生産性を特に優れたものとすることができるとともに、最終的に得られるカラーフィルター用インク中における顔料粒子(微分散された顔料微粒子)の長期分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
アミン価分散剤のアミン価(固形分換算したときのアミン価)は、特に限定されないが、5〜200KOHmg/gであるのが好ましく、25〜170KOHmg/gであるのがより好ましく、30〜130KOHmg/gであるのがさらに好ましい。アミン価分散剤のアミン価が前記範囲内の値であると、上述したような効果がより顕著に発揮される。分散剤についてのアミン価は、例えば、DIN 16945に準拠する方法により求めることができる。
なお、アミン価分散剤は、所定の酸価を有していないもの、すなわち、酸価が零であるのが好ましい。
アミン価分散剤の具体例としては、ディスパービック102、ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック164、ディスパービック166、ディスパービック167、ディスパービック168、ディスパービック2150、ディスパービックLPN6919、ディスパービック9075、ディスパービック9077(以上、ビックケミー社製);EFKA 4015、EFKA 4020、EFKA 4046、EFKA 4047、EFKA 4050、EFKA 4055、EFKA 4060、EFKA 4080、EFKA 4300、EFKA 4330、EFKA 4340、EFKA 4400、EFKA 4401、EFKA 4402、EFKA 4403、EFKA 4800(以上、チバスペシャリティ−社製);アジスパーPB711(以上、味の素ファインテクノ社製);Anti−Terra−205(ビックケミー社製)、KF−1525、ヒノアクト1300M、ヒノアクトT9050、ヒノアクトT6000、ヒノアクトT7000、ヒノアクトT8000、ヒノアクトT8000E(以上、川研ファインケミカル社製)等が挙げられる。
なお、本発明においては、アミン価分散剤以外の分散剤を用いてもよい。このような分散剤(分散剤成分)としては、所定の酸価を有する酸価分散剤、所定の酸価・アミン価を有していない分散剤(酸価およびアミン価がいずれも零である分散剤)が挙げられる。
酸価分散剤の具体例としては、ディスパービックP104、ディスパービックP104S、ディスパービック220S、ディスパービック110、ディスパービック111、ディスパービック170、ディスパービック171、ディスパービック174、ディスパービック2095(以上、ビックケミー社製);EFKA 5010、EFKA 5065、EFKA 5066、EFKA 5070、EFKA 7500、EFKA 7554(以上、チバスペシャリティ−社製);ソルスパース3000、ソルスパース16000、ソルスパース17000、ソルスパース18000、ソルスパース36000、ソルスパース36600、ソルスパース41000(以上、ルーブリゾール社製)、ヒノアクトKF−1000(川研ファインケミカル社製)等が挙げられる。
また、酸価およびアミン価がいずれも零である分散剤の具体的な例としては、ディスパービック101、ディスパービック103、ディスパービック106、ディスパービック108、ディスパービック109、ディスパービック112、ディスパービック116、ディスパービック140、ディスパービック142、ディスパービック180、ディスパービック182、ディスパービック183、ディスパービック184、ディスパービック185、ディスパービック2000、ディスパービック2001、ディスパービック2050、ディスパービック2070(以上、ビックケミー社製);EFKA 4008、EFKA 4009、EFKA 4010、EFKA 4406、EFKA 4408、EFKA 4015(以上、チバスペシャリティ−社製);ソルスパース9000、ソルスパース13000、ソルスパース20000、ソルスパース21000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000、ソルスパース32000、ソルスパース32500、ソルスパース32550、ソルスパース33500、ソルスパース35100、ソルスパース35200、ソルスパース38500、ソルスパース41090、ソルスパース20000(以上、ルーブリゾール社製);アジスパーPA111、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB824(以上、味の素ファインテクノ社製);ディスパロン1850、ディスパロン1860、ディスパロン2150、ディスパロン7004、ディスパロンDA−100、ディスパロンDA−234、ディスパロンDA−325、ディスパロンDA−375、ディスパロンDA−705、ディスパロンDA−725、ディスパロンPW−36(以上、楠本化成社製);および、フローレン DOPA−14、フローレン DOPA−15B、フローレン DOPA−17、フローレン DOPA−22、フローレン DOPA−44、フローレン TG−710、フローレン D−90(以上、共栄化学社製)等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。ただし、アミン価分散剤とともに、アミン価分散剤以外の分散剤(以下、他の分散剤とも言う)を含む場合、その含有率(複数種の「他の分散剤」を含む場合には、その総和)が、アミン価分散剤の含有率よりも少ないものであるのが好ましい。これにより、上述したようなアミン価分散剤を含むことによる効果(特に、前述した顔料、化合物Aおよび樹脂材料とともに含むことによる効果)が、より顕著に発揮される。
カラーフィルター用インク中における分散剤の含有率は、0.5〜15wt%であるのが好ましく、0.6〜8.0wt%であるのがより好ましい。
<その他の成分>
本発明のカラーフィルター用インクは、上記以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、各種架橋剤;ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩、オキソニウム塩、アンモニウム塩、ベンゾチアゾリウム塩等のオニウム塩等の熱酸発生剤;ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩、オキソニウム塩、アンモニウム塩等の光酸発生剤;各種重合開始剤;酸架橋剤;界面活性剤;増感剤;光安定剤;各種染料;発光材料;レベリング剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;接着性改良剤;各種重合促進剤;各種光安定化剤;ガラス、アルミナ等の充填剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤等が挙げられる。
架橋剤としては、例えば、多価カルボン酸無水物、多価カルボン酸、多官能エポキシモノマー、多官能アクリルモノマー、多官能ビニルエーテルモノマー、多官能オキセタンモノマー等を用いることができる。多価カルボン酸無水物の具体例としては、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ジメチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、無水ナジン酸等の脂肪族または脂環族ジカルボン酸無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族多価カルボン酸二無水物;無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸無水物;エチレングリコールビストリメリテイト、グリセリントリストリメリテイト等のエステル基含有酸無水物が挙げられるが、中でも、芳香族多価カルボン酸無水物が好ましい。また、市販のカルボン酸無水物からなるエポキシ樹脂硬化剤も好適に用いることができる。また、多価カルボン酸の具体例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸等の脂肪族多価カルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸、およびフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸が挙げられるが、中でも、芳香族多価カルボン酸が好ましい。また、多官能エポキシモノマーの具体例としては、ダイセル化学工業株式会社製、商品名セロキサイド2021、ダイセル化学工業株式会社製、商品名エポリードGT401、ダイセル化学工業株式会社製、商品名エポリードPB3600、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、イソシアヌル酸トリグリシジル等が挙げられる。また、多官能アクリルモノマーの具体例としては、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートトリメタリルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。また、多官能ビニルエーテルモノマーの具体例としては、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、ノナンジオールジビニルエーテル、シキロヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル等が挙げられる。また、多官能オキセタンモノマーの具体例としては、キシリレンジオキセタン、ビフェニル型オキセタン、ノボラック型オキセタン等が挙げられる。
レベリング剤は、カラーフィルター用インクの表面張力を低下させることにより、セル内に付与されたカラーフィルター用インクの表面を平滑化し、着色部を平坦化させるものである。このため、カラーフィルター用インクがレベリング剤を有することにより、上述したような樹脂材料の効果と相乗的に作用し、セル内のカラーフィルター用インクの表面をより平坦なものとすることができる。このため、形成される着色部はより平坦なものとなる。
レベリング剤としては、アクリル系レベリング剤、ビニルエーテル系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤、フッ素−ケイ素系レベリング剤、アセチレングリコール系レベリング剤等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。レベリング剤の具体例としては、OX−880EF、OX−881、OX−883、OX−883HF、OX−70、OX−77EF、OX−60、OX−710、OX−720、OX−720EF、OX−750HF、LAP−10、LAP−20、LAP−30、1970、230、LF−1970、LF−1980、LF−1982、LF−1983、LF−1984、LF−1985、LHP−95、LHP−96、UVX−35、UVX−36、UVX−39、AQ−200(以上、楠本化成社製)BYK−350、BYK−352、BYK−354、BYK−355、BYK−358N/361N、BYK−380N、BYK−381、BYK−392(以上、ビックケミー・ジャパン製)等のアクリル系レベリング剤、LHP−90、LHP−91(楠本化成(株)製)等のビニルエーテル系レベリング剤、BYK−307、BYK−300、BYK−302、BYK−306、BYK−330、BYK−331、BYK−344、BYK−silclean3700(以上、ビックケミー・ジャパン社製)、KP−321、KP−324(以上、信越化学工業社製)等のシリコーン系レベリング剤、メガファックF−443,F−444,F−445,F−446,F−470,F−471,F−472SF,F−474,F−475,F−477,F−478,F−479,F−480SF,F−482,F−483,F−484,F−486,F−487,F−489(以上、大日本インキ化学工業社製)等のフッ素−ケイ素系レベリング剤、サーフィノール104、サーフィノール82、サーフィノール2502、サーフィノール420、サーフィノール440、サーフィノール465、サーフィノール485、サーフィノール104E、サーフィノール104H、サーフィノール104A、サーフィノール104BC、サーフィノール104DPM、サーフィノール104PA、サーフィノール104PG−50、サーフィノール104S、サーフィノールSE、サーフィノールSE−F、サーフィノール504、サーフィノール61、サーフィノール2502、サーフィノール82、サーフィノールDF110D、サーフィノールDF37、サーフィノールDF58、サーフィノールDF75、サーフィノールDF210、サーフィノールCT111、サーフィノールCT121、サーフィノールCT131、サーフィノールCT136、サーフィノールCT151、サーフィノールTG、サーフィノールGA、サーフィノールPSA−336、ダイノール604、エンバイロジェムAD−01、オルフィンE1004、オルフィンE1010、オルフィンPD−001、オルフィンPD−002W、オルフィンPD−004、オルフィンEXP.4001、オルフィンEXP.4036、オルフィンEXP.4051F、オルフィンSPC、オルフィンAF−103、オルフィンAF−104、オルフィンAK−02、オルフィンSK−14、オルフィンAE−3、オルフィンPD−003、オルフィンPD−201、オルフィンPD−202、オルフィンPD−301、オルフィンB、オルフィンP、オルフィンY、オルフィンA、オルフィンSTG、オルフィンSPC(以上、日信化学工業(株)社製)等のアセチレングリコール系レベリング剤、ノベックFC−4430、ノベックFC−4432(以上、住友スリーエム(株)製);フォスファノールML−200、フォスファノールML−220、フォスファノールRD−510Y、フォスファノールRS−410、フォスファノールRS−610、フォスファノールRS−710、フォスファノールRL−210、フォスファノールRL−310、フォスファノールRB−410、フォスファノールRD−720N(以上、東邦化学工業(株)社製);Lanco Flow L、Lanco Flow U、SOLSPERSE20000(以上、Lubrizol Deutschland GmbH社製);フタージェント100、フタージェント100C、フタージェント110、フタージェント140A、フタージェント150、フタージェント150CH、フタージェントA−K、フタージェント501、フタージェント250、フタージェント251、フタージェント222F、FTX−218、フタージェント300、フタージェント310、フタージェント400SW、フタージェント251、FTX−212M、フタージェント250、FTX−245M、FTX−290M、FTX−207S、FTX−211S、FTX−220S、FTS−230S、FTX−209F、FTX−213F、フタージェント222F、FTX−233F、FTX−245F、FTX−208G、FTX−218G、FTX−230G、FTS−240G、FTX−204D、FTX−208D、FTX−212D、FTX−216D、FTX−218D、FTX−220D、FTX−222D、FTX−720C、FTX−740C(以上、(株)ネオス社製);サーフロンS−111n、サーフロンS−113、サーフロンS−121、サーフロンS−131、サーフロンS−132、サーフロンS−141、サーフロンS−145、サーフロンS−381、サーフロンS−383、サーフロンS−393、サーフロンSC−101、サーフロンKH−40、サーフロンSA−100(以上、AGCセイミケミカル(株)社製);ユニダインDS−401、ユニダインDS−403、ユニダインNS−1602、ユニダインNS−1603、ユニダインNS−1605(以上、日進化成(株)社製)等が挙げられる。このようなレベリング剤の中でも、アクリル系レベリング剤、ビニルエーテル系レベリング剤、アセチレングリコール系レベリング剤を用いることが好ましい。特に、サーフィノールDF−58、LHP−95、LHP−90、LF1970から選択される1種または2種以上を組み合わせて用いるのが好ましい。これにより、形成される着色部の表面がより平坦化され、得られるカラーフィルターは、各部位での色むら、濃度むらが特に小さいものとなる。
紫外線吸収剤は、着色部において、紫外線を吸収することにより、着色部の他の成分の劣化を防止する機能を有する。このような紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等の各種紫外線吸収剤を用いることができる。
染料としては、例えば、アゾ染料、アントラキノン染料、縮合多環芳香族カルボニル染料、インジゴイド染料、カルボニウム染料、フタロシアニン染料、メチン,ポリメチン染料等が挙げられる。染料の具体例としては、例えば、C.I.ダイレクトレッド2,4,9,23,26,28,31,39,62,63,72,75,76,79,80,81,83,84,89,92,95,111,173,184,207,211,212,214,218,221,223,224,225,226,227,232,233,240,241,242,243,247、C.I.アシッドレッド35,42,51,52,57,62,80,82,111,114,118,119,127,128,131,143,145,151,154,157,158,211,249,254,257,261,263,266,289,299,301,305,319,336,337,361,396,397、C.I.リアクティブレッド3,13,17,19,21,22,23,24,29,35,37,40,41,43,45,49,55、C.I.ベーシックレッド12,13,14,15,18,22,23,24,25,27,29,35,36,38,39,45,46、C.I.ダイレクトバイオレット7,9,47,48,51,66,90,93,94,95,98,100,101、C.I.アシッドバイオレット5,9,11,34,43,47,48,51,75,90,103,126、C.I.リアクティブバイオレット1,3,4,5,6,7,8,9,16,17,22,23,24,26,27,33,34、C.I.ベーシックバイオレット1,2,3,7,10,15,16,20,21,25,27,28,35,37,39,40,48、C.I.ダイレクトイエロー8,9,11,12,27,28,29,33,35,39,41,44,50,53,58,59,68,87,93,95,96,98,100,106,108,109,110,130,142,144,161,163、C.I.アシッドイエロー17,19,23,25,39,40,42,44,49,50,61,64,76,79,110,127,135,143,151,159,169,174,190,195,196,197,199,218,219,222,227、C.I.リアクティブイエロー2,3,13,14,15,17,18,23,24,25,26,27,29,35,37,41,42、C.I.ベーシックイエロー1,2,4,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,39,40、C.I.アシッドグリーン16、C.I.アシッドブルー9,45,80,83,90,185、C.I.ベーシックオレンジ21,23等が挙げられる。カラーフィルター用インク中に、顔料と染料とが共存すると、一般には、当該カラーフィルター用インクの粘度が高くなり、液滴の吐出安定性が著しく低下する傾向する傾向が認められるが、本発明においては、カラーフィルター用インク中に顔料と染料とが共存する場合であっても、上記のような問題の発生を確実に防止することができる。
熱酸発生剤は、加熱により酸を発生する成分であり、前記の中でも、特に、スルホニウム塩およびベンゾチアゾリウム塩が好ましい。熱酸発生剤のより具体的な例としては、商品名として、サンエイドSI−45、同左SI−47、同左SI−60、同左SI−60L、同左SI−80、同左SI−80L、同左SI−100、同左SI−100L、同左SI−145、同左SI−150、同左SI−160、同左SI−110L、同左SI−180L(以上、三新化学工業社製品、商品名)、CI−2921、CI−2920、CI−2946、CI−3128、CI−2624、CI−2639、CI−2064(以上、日本曹達(株)社製品、商品名)、CP−66、CP−77(旭電化工業社製品、商品名)、FC−520(3M社製品、商品名)等が挙げられる。
光酸発生剤は、光により酸を発生する成分であり、より具体的な例としては、商品名として、サイラキュアUVI−6970、サイラキュアUVI−6974、サイラキュアUVI−6990、サイラキュアUVI−950(以上、米国ユニオンカーバイド社製、商品名)、イルガキュア261(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)、SP−150、SP−151、SP−170、オプトマーSP−171(以上、旭電化工業株式会社製、商品名)、CG−24−61(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)、DAICATII(ダイセル化学工業社製、商品名)、UVAC1591(ダイセル・ユーシービー(株)社製、商品名)、CI−2064、CI−2639、CI−2624、CI−2481、CI−2734、CI−2855、CI−2823、CI−2758(以上、日本曹達社製品、商品名)、PI−2074(ローヌプーラン社製、商品名、ペンタフルオロフェニルボレートトルイルクミルヨードニウム塩)、FFC509(3M社製品、商品名)、BBI−102、BBI−101、BBI−103、MPI−103、TPS−103、MDS−103、DTS−103、NAT−103、NDS−103(ミドリ化学社製、商品名)、CD−1012(米国、Sartomer社製、商品名)等が挙げられる。
また、カラーフィルター用インクには、ポリアルキレングリコールが含まれていてもよい。ポリアルキレングリコールは、着色部の形成時において、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性を低下させることにより、カラーフィルター用インクの流動性を維持することができ、この結果、着色部の平坦化に寄与することができる。また、ポリアルキレングリコールは、着色部形成時において加熱されることにより除去される。
ポリアルキレングリコールを構成するグリコール類としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール等のプロピレングリコール、各種ブチレングリコール、各種ペンチレングリコール、各種ヘキシレングリコール等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組みあわて用いることができる。これらのうち、エチレングリコールのオリゴマーまたは、1,2−プロピレングリコールのオリゴマーを用いることが好ましい。
また、ポリアルキレングリコールは、水酸基を有することが好ましい。例えば、末端の水酸基は、置換されていないことが好ましい。このように、ポリアルキレングリコールが水酸基を有することで、インクのチキソトロピック性をより低下させることができる。また、カラーフィルター用インクの後述するような基板(特にガラス基板)への親和性が優れたものとなり、カラーフィルター用インクは、セル中に好適に濡れ広がることができる。
ポリアルキレングリコールの重合度は、3〜40であることが好ましく、3〜20であることがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性を十分に低下させることができる。
また、ポリアルキレングリコールの重量平均分子量は150〜2000であることが好ましく、180〜1000であることがより好ましく、180〜500であることがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性を十分に低下させることができる。
カラーフィルター用インクの25℃における粘度(振動式粘度計を用いて測定される粘度)は、特に限定されないが、4〜12mPa・sであるのが好ましく、5〜11mPa・sであるのがより好ましい。カラーフィルター用インクの粘度が前記範囲内の値であると、後述するようなインクジェット方式による液滴吐出において、吐出されるカラーフィルター用インクの液適量のばらつきを特に小さいものとしつつ、液滴吐出ヘッドにおける目詰まりの発生等をより確実に防止することができる。なお、カラーフィルター用インクの粘度の測定は、例えば、振動式粘度計を用いて行うことができ、特に、JIS Z8809に準拠して行うことができる。
また、カラーフィルター用インクは、55℃の環境下に20日間放置した後の、25℃における粘度の変化量が0.6mPa・s以下であるのが好ましく、0.4mPa・s以下であるのがより好ましく、0.3mPa・s以下であるのがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、色むら、濃度むら等の発生が確実に防止されたカラーフィルターの製造に、より長期間にわたって好適に用いることができる。
≪カラーフィルター用インクの製造方法≫
次に、上述したようなカラーフィルター用インクの製造方法の好適な実施形態について、説明する。
本実施形態の製造方法は、重合体W、重合体Zのうち少なくとも一方が溶剤に溶解した重合体溶液を調製する重合体溶液調製工程と、化合物Aを含み、顔料が添加された重合体溶液を、ビーズミルによる微分散処理に供し、顔料が微分散した顔料分散体を得る微分散工程と、重合体Xを顔料分散体と混合する重合体X混合工程とを有する。
<重合体溶液調製工程>
重合体溶液調製工程においては、重合体W、重合体Zのうち少なくとも一方が溶剤に溶解した重合体溶液を調製する。このように、後述する顔料を微分散させる工程(微分散工程)に先立って、顔料と混合する液体(重合体溶液)を、重合体Wおよび/または重合体Zを含むものとすることにより、原料として用いる顔料粒子の凝集体を効率よく、容易かつ確実に微粒子化(解砕)することができ、カラーフィルター用インクの生産性を向上させることができるとともに、最終的に得られるカラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、重合体溶液を用いることにより、後述する微分散工程を、比較的温和な条件で行うことができるため、カラーフィルター用インクの構成材料の不本意な変性、劣化等を確実に防止することができる。
また、本工程においては、分散剤を用いるのが好ましい。これにより、重合体Wおよび/または重合体Zと分散剤とを併用することによる相乗効果がより顕著に発揮される。また、本工程において分散剤を用いる場合、(重合体Wおよび/または重合体Zと溶剤との混合に先立って、または、重合体Wおよび/または重合体Zと溶剤との混合時に、)分散剤と溶剤とを含む混合物を攪拌する(分散剤を予備分散する)のが好ましい。これにより、得られる重合体溶液中において、分散剤の会合状態を解いた(ほぐした)状態とすることができ、分散剤の機能をより効果的に発揮させることができる。
本工程で調製する重合体溶液中における分散剤の含有率(複数種の分散剤を含む場合は、その含有率の総和)は、特に限定されないが、5〜30wt%であるのが好ましく、6〜25wt%であるのがより好ましい。分散剤の含有率が前記範囲内の値であると、前述したような効果がより顕著に発揮される。
また、本工程で調製する重合体溶液中における溶剤の含有率は、特に限定されないが、40〜80wt%であるのが好ましく、53〜75wt%であるのがより好ましい。溶剤の含有率が前記範囲内の値であると、前述したような効果がより顕著に発揮される。なお、溶剤としては、目的とするカラーフィルター用インクを構成する分散媒と同一の組成を有するものを用いてもよいし、異なる組成のものを用いてもよい。本工程で、溶剤として、目的とするカラーフィルター用インクを構成する分散媒とは異なる組成を有するものを用いた場合、例えば、後の工程で、所定の液体(溶剤)で希釈したり、減圧処理、加熱処理等を伴う液体(溶剤)の置換を行ったりすることにより、最終的に得られるカラーフィルター用インクにおいて、所望の組成を有する分散媒とすることができる。
本工程では、各種攪拌機を用いて上記各成分の混合物を攪拌することにより、重合体溶液を得ることができる。
本工程で用いることのできる攪拌機としては、例えば、ディスパーミル等の一軸または二軸ミキサー等が挙げられる。
攪拌機を用いた攪拌処理時間は、特に限定されないが、1〜30分間であるのが好ましく、3〜20分間であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの生産性を十分に優れたものとしつつ、最終的に得られるカラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
また、本工程での攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、特に限定されないが、500〜4000rpmであるのが好ましく、800〜3000rpmであるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの生産性を十分に優れたものとしつつ、最終的に得られるカラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、重合体(重合体W、重合体Z)、分散剤等の熱等による劣化、変性等をより確実に防止することができる。
<微分散工程>
次に、化合物Aを含み、顔料が添加された重合体溶液を、ビーズミルによる微分散処理に供することにより、顔料が微分散した顔料分散体を得る(微分散工程)。
本工程において顔料の微分散に供される液体(重合体溶液)は、化合物Aを含むものであるため、カラーフィルター用インクの生産性を特に優れたものとすることができる。これは、化合物Aを含むことにより、顔料の微粒子化(解砕)が促進されるとともに、微粒子化した顔料粒子が再凝集することが効果的に防止されるためであると考えられる。
また、本実施形態では、顔料の微分散に供される液体(重合体溶液)は、さらに、上述したような重合体(重合体Wおよび/または重合体Z)を含むものである。これにより、カラーフィルター用インクの生産性はさらに優れたものとなる。これは、本工程において、顔料の周りを重合体(重合体Wおよび/または重合体Z)が取り囲むような状態となり、顔料の微粒子化(解砕)がさらに促進されるとともに、微粒子化した顔料粒子が再凝集することがより効果的に防止されるためであると考えられる。
また、本工程は、重合体溶液中に化合物Aを含む状態で行うため、硬化性樹脂である重合体の変性、劣化も確実に防止することができ、所望の特性を有するカラーフィルター用インクを確実に製造することができる。また、比較的過酷な条件で微分散処理を行った場合であっても、重合体の変性、劣化を好適に防止することができるため、カラーフィルター用インクの生産性を特に優れたものとすることができる。
特に、本実施形態では、顔料を微分散させる工程(微分散工程)において無機ビーズを多段で添加する。微分散工程において、無機ビーズを多段で添加することにより、顔料の微粒化の効率を特に優れたものとすることができ、最終的に得られるカラーフィルター用インク中における顔料粒子を十分に小さいものとすることができる。特に、アミン価分散剤を用いる場合においては、このような材料を用いることによる効果と、重合体溶液調製工程および多段での微分散工程を有する方法を用いることによる効果とが、相乗的に作用し合い、最終的に得られるカラーフィルター用インクは、顔料の分散安定性、および、液滴の吐出安定性が、非常に優れたものとなり、非常に優れたコントラストのカラーフィルターの製造に用いることができるもののとなる。
なお、本工程は、3段以上に分けて無機ビーズを添加するものであってもよいが、無機ビーズを2段で添加するのが好ましい。これにより、最終的に得られるカラーフィルター用インク中における顔料粒子の長期分散安定性を十分に優れたものとしつつ、カラーフィルター用インクの生産性を特に優れたものとすることができる。
以下の説明では、無機ビーズを2段で添加する方法、すなわち、微分散工程において、第1の無機ビーズを用いた第1の処理と、第2の無機ビーズを用いた第2の処理とを行う方法について、代表的に説明する。
本工程で用いる無機ビーズ(第1の無機ビーズ、第2の無機ビーズ)は、無機材料で構成されたものであればいかなる材料で構成されたものであってもよいが、無機ビーズの好適な例としては、ジルコニア製のビーズ(例えば、Toray ceram 粉砕ボール(商品名)、株式会社東レ製)等が挙げられる。
[第1の処理]
本工程では、まず、前述した重合体溶液調製工程で調製した重合体溶液に顔料を添加し、所定の粒径の第1の無機ビーズを用いて一次微分散する第1の処理を行う。
第1の処理で用いる第1の無機ビーズは、第2の処理で用いる第2の無機ビーズよりも粒径の大きいものであるのが好ましい。これにより、微分散工程全体としての、顔料の微粒化(微分散)の効率を、特に優れたものとすることができる。
第1の無機ビーズの平均粒径は、特に限定されないが、0.5〜3.0mmであるのが好ましく、0.5〜2.0mmであるのがより好ましく、0.5〜1.2mmであるのがさらに好ましい。第1の無機ビーズの平均粒径が前記範囲内の値であると、微分散工程全体としての、顔料の微粒化(微分散)の効率を、特に優れたものとすることができる。これに対し、第1の無機ビーズの平均粒径が前記下限値未満であると、顔料の種類等によっては、第1の処理での顔料粒子の微粒化(小粒径化)の効率が著しく低下する傾向が現れる。また、第1の無機ビーズの平均粒径が前記上限値を超えると、第1の処理での顔料粒子の微粒化(小粒径化)の効率は、比較的優れたものとすることができるものの、第2の処理での顔料粒子の微粒化(小粒径化)の効率が低下し、微分散工程全体としての顔料の微粒化(微分散)の効率が低下する。
第1の無機ビーズの使用量は、特に限定されないが、重合体溶液:100重量部に対し、100〜600重量部であるのが好ましく、200〜500重量部であるのがより好ましい。
重合体溶液に添加する顔料の使用量は、特に限定されないが、重合体溶液:100重量部に対し、12重量部以上であるのが好ましく、18〜35重量部であるのがより好ましい。
第1の処理は、化合物Aを含み、顔料、第1の無機ビーズが添加された状態の重合体溶液を、各種ビーズミルで処理することにより行うことができる。
第1の処理で用いることのできるビーズミルとしては、例えば、パールミル等のメディア型分散機や、ディスパーミル等の一軸または二軸ミキサー等が挙げられる。
ビーズミルを用いた攪拌処理時間(第1の処理の処理時間)は、特に限定されないが、10〜120分間であるのが好ましく、15〜40分間であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの生産性を低下させることなく、顔料の微粒化(微分散)を効率よく進行させることができる。
また、第1の処理でのビーズミルが有する攪拌翼の回転数は、特に限定されないが、1000〜5000rpmであるのが好ましく、1200〜3800rpmであるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの生産性を低下させることなく、顔料の微粒化(微分散)をより効率よく進行させることができる。また、重合体溶液中の重合体、分散剤等の熱等による劣化、変性等を確実に防止することができる。
[第2の処理]
第1の処理を行った後、第2の無機ビーズを用いた第2の処理を行う。これにより、顔料粒子が十分に微分散した顔料分散体が得られる。
第2の処理は第1の無機ビーズを含む状態で行うものであってもよいが、第2の処理に先立ち、第1の無機ビーズを除去するのが好ましい。これにより、第2の処理における顔料の微粒化(微分散)の効率を特に優れたものとすることができる。第1の無機ビーズの除去は、例えば、ろ過等の方法により、容易かつ確実に行うことができる。
第2の処理で用いる第2の無機ビーズは、第1の処理で用いる第1の無機ビーズよりも粒径の小さいものであるのが好ましい。これにより、最終的に得られるカラーフィルター用インク中における顔料を、十分に微粒化(微分散)させたものとすることができ、カラーフィルター用インクにおける顔料粒子の長期間にわたる分散安定性(長期分散安定性)に特に優れたものとすることができるとともに、液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
第2の無機ビーズの平均粒径は、特に限定されないが、0.03〜0.3mmであるのが好ましく、0.05〜0.2mmであるのがより好ましい。第2の無機ビーズの平均粒径が前記範囲内の値であると、微分散工程全体としての、顔料の微粒化(微分散)の効率を、特に優れたものとすることができる。これに対し、第2の無機ビーズの平均粒径が前記下限値未満であると、顔料の種類等によっては、第2の処理での顔料粒子の微粒化(小粒径化)の効率が著しく低下する傾向が現れる。また、第2の無機ビーズの平均粒径が前記上限値を超えると、顔料粒子の微粒化(微分散)を十分に進行させるのが困難になる可能性がある。
第2の無機ビーズの使用量は、特に限定されないが、重合体溶液:100重量部に対し、100〜600重量部であるのが好ましく、200〜500重量部であるのがより好ましい。
第2の処理は、各種ビーズミルを用いて行うことができる。
第2の処理で用いることのできるビーズミルとしては、例えば、パールミル等のメディア型分散機や、ディスパーミル等の一軸または二軸ミキサー等が挙げられる。
ビーズミルを用いた攪拌処理時間(第2の処理の処理時間)は、特に限定されないが、10〜120分間であるのが好ましく、15〜40分間であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの生産性を低下させることなく、顔料の微粒化(微分散)を十分に進行させることができる。
また、第2の処理でのビーズミルが有する攪拌翼の回転数は、特に限定されないが、1000〜5000rpmであるのが好ましく、1200〜3800rpmであるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの生産性を低下させることなく、顔料の微粒化(微分散)をより効率よく進行させることができる。また、分散剤等の熱等による劣化、変性等を確実に防止することができる。
上記の説明では、微分散処理を2段で行う場合について中心的に説明したが、3段以上の処理を行ってもよい。このような場合、後の処理で用いる無機ビーズの方が、先の処理で用いる無機ビーズよりも小粒径であるのが好ましい。言い換えると、n段目の処理で用いる無機ビーズ(第nの無機ビーズ)の平均粒径は、(n−1)段目の処理で用いる無機ビーズ(第(n−1)の無機ビーズ)の平均粒径よりも小さいものであるのが好ましい。このような関係を満足することにより、顔料粒子の微粒化(微分散)の効率を特に優れたものとすることができるとともに、最終的に得られるカラーフィルター用インク中の顔料粒子の粒径をより小さいものとすることができる。
なお、微分散工程(例えば、第1の処理、第2の処理)においては、必要に応じて、例えば、溶剤による希釈等の処理を行ってもよい。
また、上記のように、本工程(微分散工程)は、化合物Aを含み、顔料が添加された重合体溶液をビーズミルによる微分散処理に供することにより行うものであるが、化合物Aは、前述した重合体溶液調製工程において用いられるもの(重合体溶液を化合物Aを含むものとして調製するもの)であってもよいし、本工程(微分散工程)において、顔料とともに、重合体溶液と混合されるものであってもよい。
<重合体X混合工程>
上記のような微分散工程で得られた顔料分散体を、重合体Xを含む材料と混合する(重合体X混合工程)。これにより、カラーフィルター用インクが得られる。
このように、本実施形態では、樹脂材料を構成する重合体Wおよび/または重合体Zを微分散工程に際して用いるとともに、微分散工程後に、追加の樹脂成分(希釈樹脂)として重合体Xを用いる。これにより、例えば、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性(カラーフィルター用インクの長期安定性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性等を特に優れたものとしたり、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の基板に対する密着性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクの製造過程における重合体Xの不本意な変性、劣化を効果的に防止しつつ、得られるカラーフィルター用インクにおいては、重合体Xが有する特徴をより効果的に発揮させることができる。
本工程においては、重合体Xを、顔料分散体と混合するが、他の樹脂成分を用いてもよい。このような樹脂成分としては、例えば、上述したような重合体M、Y、Z、W等が挙げられるが、重合体Yを用いるのが好ましい。また、重合体Z、W、Mは、前述した重合体溶液調製工程に加え、本工程でも用いられるものであってもよい。
本工程は、第2の処理で用いた第2の無機ビーズを除去した状態で行うのが好ましい。第2の無機ビーズの除去は、例えば、ろ過等の方法により、容易かつ確実に行うことができる。
本工程は、各種攪拌機を用いて行うことができる。
本工程で用いることのできる攪拌機としては、例えば、ディスパーミル等の一軸または二軸ミキサー等が挙げられる。
攪拌機を用いた攪拌処理時間(本工程の処理時間)は、特に限定されないが、1〜60分間であるのが好ましく、15〜40分間であるのがより好ましい。
また、本工程での攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、特に限定されないが、1000〜5000rpmであるのが好ましく、1200〜3800rpmであるのがより好ましい。
なお、本工程では、前記工程で用いた溶剤とは異なる組成の液体を添加してもよい。これにより、前述した重合体溶液調製工程での重合体(重合体W、重合体Z)の溶解、分散剤の分散、および、微分散工程での顔料粒子の微分散を好適に行いつつ、所望の特性を有するカラーフィルター用インクを確実に得ることができる。
また、本工程においては、顔料分散体と希釈樹脂(重合体X)との混合に先立って、または、顔料分散体と希釈樹脂(重合体X)との混合の後に、前記工程で用いた溶剤の少なくとも一部を除去してもよい。これにより、重合体溶液調製工程、微分散工程での溶剤の組成と、最終的に得られるカラーフィルター用インクでの分散媒の組成とを異なるものとすることができる。その結果、前述した重合体溶液調製工程での重合体の溶解、分散剤の分散、および、微分散工程での顔料粒子の微分散を好適に行いつつ、所望の特性を有するカラーフィルター用インクを確実に得ることができる。溶剤の除去は、例えば、対象とする液体を、減圧雰囲気下に置いたり、加熱したりすることにより行うことができる。
なお、上記の説明では、重合体溶液調製工程において、重合体Wおよび/または重合体Zを用いるものとして説明したが、重合体W・重合体Zの代わりに、または、重合体W・重合体Zとともに、重合体Mを用いてもよい。このような場合であっても、上記と同様の効果が得られる。
《カラーフィルター用インクセット》
上述したようなカラーフィルター用インクは、インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるものである。カラーフィルターは、通常、フルカラー表示に対応するため、複数色の着色部(通常は、光の三原色に対応するRGBの3色)を有している。そして、これら複数色の着色部の形成には、それぞれに対応する色の複数種のカラーフィルター用インクが用いられる。すなわち、カラーフィルターの製造には、複数色のカラーフィルター用インクを備えるインクセット(カラーフィルター用インクセット)が用いられる。本発明においては、カラーフィルターの製造において、上述したようなカラーフィルター用インクが、少なくとも1種の着色部の形成に用いられるものであればよいが、全色の着色部の形成に用いられるのが好ましい。
より具体的には、本発明のカラーフィルター用インクセットは、赤色の着色剤(特に、赤色の顔料)を含む赤色インクと、緑色の着色剤(特に、緑色の顔料)を含む緑色インクと、青色の着色剤(特に、青色の顔料)を含む青色インクとを備えたものであるのが好ましい。これにより、カラーフィルター用インクセットを用いて製造されるカラーフィルターの色再現域を特に広いものとすることができる。また、カラーフィルターにおいて、各色間での輝度バランスを容易に調整することができ、特に優れた画質の画像を好適に表示することができる。
《カラーフィルター》
次に、上述したようなカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて製造されるカラーフィルターの一例について説明する。
図1は、本発明のカラーフィルターの好適な実施形態を示す断面図である。
図1に示すように、カラーフィルター1は、基板11と、上述したカラーフィルター用インクを用いて形成された着色部12とを備えている。着色部12としては、互いに異なる色の第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12Cが設けられている。そして、隣接する着色部12の間には、隔壁13が設けられている。
<基板>
基板11は、光透過性を有する板状の部材で、着色部12、隔壁13を保持する機能を有している。
基板11は、実質的に透明な材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、カラーフィルター1を透過する光により、より鮮明な画像を形成することができる。
また、基板11は、耐熱性、機械的強度に優れたものであるのが好ましい。これにより、例えば、カラーフィルター1の製造時に加わる熱による変形等を確実に防止することができる。このような条件を満足する基板11の構成材料としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ノルボルネン系開環重合体やその水素添加物等が挙げられる。
<着色部>
着色部12は、上述したようなカラーフィルター用インク(カラーフィルター用インクセット)を用いて形成されたものである。
着色部12は、上述したようなカラーフィルター用インク(カラーフィルター用インクセット)を用いて形成されたものであるため、所望の量のインクにより形成され、所望の形状を有するもの(表面の平坦性の高いもの)となっており、顔料の凝集が効果的に防止され顔料粒子が均一に分散しており、各画素間での特性のばらつきが小さく、不本意な混色(複数種のカラーフィルター用インクの混合)等が確実に防止されている。このため、カラーフィルター1は、色むら、濃度むら等の発生が抑制され、コントラスト比に優れた、信頼性が高いものとなっている。また、着色部12は、基板11との密着性にも優れている。
各着色部12は、後述する隔壁13により囲まれた領域であるセル14内に設けられている。
第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12Cは、互いに異なる色のものである。例えば、第1の着色部12Aを赤色フィルター領域(R)、第2の着色部12Bを緑色フィルター領域(G)、第3の着色部12Cを青色フィルター領域(B)とすることができる。
そして、一組の異なる色の着色部12A、12B、12Cで1画素を構成している。そして、カラーフィルター1においては、その横方向および縦方向に、着色部12が所定数配置されている。例えば、カラーフィルター1が、ハイビジョン用のカラーフィルターである場合には1366×768個の画素が配置されており、フルハイビジョン用のカラーフィルターである場合には1920×1080個の画素が配置されており、スーパーハイビジョン用のカラーフィルターである場合には7680×4320個の画素が配置されている。なお、カラーフィルター1は、例えば、有効領域外に予備の画素を備えたものであってもよい。
<隔壁>
隣接する着色部12の間には、隔壁(バンク)13が設けられている。これにより、隣接する着色部12同士が混色してしまうのを確実に防止することができ、その結果、鮮明な画像を確実に表示することができる。
隔壁13は、透明な材料で構成されたものであってもよいが、遮光性を有する材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、コントラストに優れた画像を表示することができる。隔壁(遮光部)13の色は、特に限定されないが、黒色であるのが好ましい。これにより、表示される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
隔壁13の高さは、特に限定されないが、着色部12の膜厚とほぼ同じであるのが好ましい。これにより、隣接する着色部12の間での混色を確実に防止することができる。隔壁13の具体的な厚さは、0.1〜10μmであるのが好ましく、0.5〜3.5μmであるのがより好ましい。これにより、隣接する着色部12の間での混色を確実に防止することができるとともに、カラーフィルター1を備えた画像表示装置、電子機器における視野角特性を優れたものとすることができる。
隔壁13は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、例えば、主として樹脂材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、後述するような方法で、隔壁13を容易に所望の形状を有するものとして形成することができる。また、隔壁13が遮光部としての機能を有するものである場合、その構成材料として、カーボンブラック等の光吸収性の材料を含むものであってもよい。
《カラーフィルターの製造方法》
次に、上述したようなカラーフィルター1の製造方法の一例について説明する。
図2は、カラーフィルターの製造方法を示す断面図、図3は、カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置を示す斜視図、図4は、図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出手段をステージ側から観察した図、図5は、図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドの底面を示す図、図6は、図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドを示す図であり、(a)は断面斜視図、(b)は断面図である。
図2に示すように、本実施形態では、基板11を準備する基板準備工程(1a)と、基板11上に隔壁13を形成する隔壁形成工程(1b、1c)と、インクジェット方式によりカラーフィルター用インク2を隔壁13で囲まれた領域に付与するインク付与工程(1d)と、カラーフィルター用インク2から分散媒を除去し、重合体Xを含む樹脂材料を硬化させることにより固形状の着色部12とする着色部形成工程(1e)とを有している。
<基板準備工程>
まず、基板11を準備する(1a)。本工程で準備する基板11は、洗浄処理が施されたものであるのが好ましい。また、本工程で準備する基板11は、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理が施されたものであってもよい。
<隔壁形成工程>
次に、基板11の隔壁形成用の感放射線性組成物を基板11の一方の面のほぼ全体に付与し、塗膜3を形成する(1b)。なお、基板11上に感放射線性組成物を付与した後、必要に応じて、プリベーク処理を行ってもよい。プリベーク処理は、例えば、加熱温度:50〜150℃、加熱時間:30〜600秒という条件で行うことができる。
その後、フォトマスクを介して、放射線を照射して、ポストエキスポジャーベーク処理(PEB)を行い、さらに、アルカリ現像液を用いた現像処理を行うことにより、隔壁13が形成される(1c)。PEBは、例えば、加熱温度:50〜150℃、加熱時間:30〜600秒、放射線照射強度:1〜500mJ/cmという条件で行うことができる。また、現像処理は、例えば、液盛り法、ディッピング法、振動浸漬法等により行うことができ、現像処理時間は、例えば、10〜300秒とすることができる。また、現像処理の後、必要に応じて、ポストベーク処理を行ってもよい。ポストベーク処理は、例えば、加熱温度:150〜280℃、加熱時間:3〜120分という条件で行うことができる。
また、現像処理の前に、塗膜3に対して撥液化処理を行ってもよい。例えば、現像処理の前に、塗膜3に対してフッ素樹脂をスタンプ法などで付与してもよいし、フッ素をプラズマ重合処理で塗膜3(感放射線性組成物)の表面にドープしてもよい。そのような処理をすることで、バンク表面(図中の上面。内壁面を除く部位)のみ撥液化して、後の工程で形成される着色部12の表面の平坦化に寄与する。また、感放射線性組成物のなかに、表面のみに配向するように、比重の軽いフッ素樹脂を添加しておいてもよい。
<インク付与工程>
次に、インクジェット方式により、カラーフィルター用インク2を、隔壁13で囲まれたセル14内に付与する(1d)。
本工程は、形成すべき複数色の着色部12に対応する複数種のカラーフィルター用インク2を用いて行う。この際、隔壁13が設けられているため、2種以上のカラーフィルター用インク2が混ざり合うことが確実に防止される。
また、カラーフィルター用インク2は、上述したような化合物Aおよび樹脂材料(重合体Xを含む樹脂材料)を含むものであり、液滴の吐出安定性に優れている。このため、製造すべきカラーフィルター1が大型のものである場合や、多数枚のカラーフィルター1を連続的に製造する場合であっても、飛行曲がり等の問題の発生を確実に防止ししつつ、液滴の吐出量を容易かつ確実に制御することができる。その結果、製造されるカラーフィルター1における混色、色むら・濃度むら、コントラスト比の低下等の問題の発生を確実に防止することができる。
カラーフィルター用インク2の吐出は、図3〜図6に示すような液滴吐出装置を用いて行う。
図3に示すように、本工程で用いる液滴吐出装置100は、カラーフィルター用インク2を保持するタンク101と、チューブ110と、チューブ110を介してタンク101からカラーフィルター用インク2が供給される吐出走査部102とを備える。吐出走査部102は、複数の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)114をキャリッジ105に搭載してなる液滴吐出手段103と、液滴吐出手段103の位置を制御する第1位置制御装置104(移動手段)と、前記工程で隔壁13が形成された基板11(以下、単に「基板11」とも言う。)を保持するステージ106と、ステージ106の位置を制御する第2位置制御装置108(移動手段)と、制御手段112とを備えている。タンク101と、液滴吐出手段103における複数の液滴吐出ヘッド114とは、チューブ110で連結されており、タンク101から複数の液滴吐出ヘッド114のそれぞれにカラーフィルター用インク2が圧縮空気によって供給される。
第1位置制御装置104は、制御手段112からの信号に応じて、液滴吐出手段103をX軸方向、およびX軸方向に直交するZ軸方向に沿って移動させる。さらに、第1位置制御装置104は、Z軸に平行な軸の回りで液滴吐出手段103を回転させる機能も有する。本実施形態では、Z軸方向は、鉛直方向(つまり重力加速度の方向)に平行な方向である。第2位置制御装置108は、制御手段112からの信号に応じて、X軸方向およびZ軸方向の双方に直交するY軸方向に沿ってステージ106を移動させる。さらに、第2位置制御装置108は、Z軸に平行な軸の回りでステージ106を回転させる機能も有する。
ステージ106は、X軸方向とY軸方向との双方に平行な平面を有する。また、ステージ106は、カラーフィルター用インク2を付与すべきセル14を有する基板11をその平面上に固定、または保持できるように構成されている。
上述のように、液滴吐出手段103は、第1位置制御装置104によってX軸方向に移動させられる。一方、ステージ106は、第2位置制御装置108によってY軸方向に移動させられる。つまり、第1位置制御装置104および第2位置制御装置108によって、ステージ106に対する液滴吐出ヘッド114の相対位置が変わる(ステージ106に保持された基板11と、液滴吐出手段103とが相対的に移動する)。
制御手段112は、カラーフィルター用インク2を吐出すべき相対位置を表す吐出データを外部情報処理装置から受け取るように構成されている。
図4に示すように、液滴吐出手段103は、それぞれほぼ同じ構造を有する複数の液滴吐出ヘッド114と、これらの液滴吐出ヘッド114を保持するキャリッジ105とを有している。本実施形態では、液滴吐出手段103に保持される液滴吐出ヘッド114の数は8個である。それぞれの液滴吐出ヘッド114は、後述する複数のノズル118が設けられた底面を有している。それぞれの液滴吐出ヘッド114のこの底面の形状は、2つの長辺と2つの短辺とを有する多角形である。液滴吐出手段103に保持された液滴吐出ヘッド114の底面はステージ106側を向いており、さらに、液滴吐出ヘッド114の長辺方向と短辺方向とは、それぞれX軸方向とY軸方向とに平行である。
図5に示すように、液滴吐出ヘッド114は、X軸方向に並んだ複数のノズル118を有する。これら複数のノズル118は、液滴吐出ヘッド114におけるX軸方向のノズルピッチHXPが所定の値となるように配置されている。ノズルピッチHXPの具体的な値は、特に限定されないが、例えば、50〜90μmとすることができる。ここで、「液滴吐出ヘッド114におけるX軸方向のノズルピッチHXP」は、液滴吐出ヘッド114におけるノズル118のすべてをY軸方向に沿ってX軸上に射像して得られた複数のノズル像間のピッチに相当する。
本実施形態では、液滴吐出ヘッド114における複数のノズル118は、ともにX軸方向に延びるノズル列116Aと、ノズル列116Bとをなす。ノズル列116Aと、ノズル列116Bとは、間隔を空けて並行に配置されている。そして、本実施形態においては、ノズル列116Aおよびノズル列116Bのそれぞれにおいて、90個のノズル118が一定間隔LNPでX軸方向に一列に並んでいる。LNPの具体的な値は、特に限定されないが、100〜180μmとすることができる。
ノズル列116Bの位置は、ノズル列116Aの位置に対して、ノズルピッチLNPの半分の長さだけX軸方向の正の方向(図5の右方向)にずれている。このため、液滴吐出ヘッド114のX軸方向のノズルピッチHXPは、ノズル列116A(またはノズル列116B)のノズルピッチLNPの半分の長さである。
したがって、液滴吐出ヘッド114のX軸方向のノズル線密度は、ノズル列116A(またはノズル列116B)のノズル線密度の2倍である。なお、本明細書において「X軸方向のノズル線密度」とは、複数のノズルをY軸方向に沿ってX軸上に射像して得られた複数のノズル像の単位長さ当たりの数に相当する。もちろん、液滴吐出ヘッド114が含むノズル列の数は、2つだけに限定されない。液滴吐出ヘッド114はM個のノズル列を含んでもよい。ここで、Mは1以上の自然数である。この場合には、M個のノズル列のそれぞれにおいて複数のノズル118は、ノズルピッチHXPのM倍の長さのピッチで並ぶ。さらに、Mが2以上の自然数の場合には、M個のノズル列のうちの一つに対して、他の(M−1)個のノズル列は、ノズルピッチHXPのi倍の長さだけ重複無くX軸方向にずれている。ここで、iは1から(M−1)までの自然数である。
さて、本実施形態では、ノズル列116Aおよびノズル列116Bのそれぞれが90個のノズル118からなるため、1つの液滴吐出ヘッド114は180個のノズル118を有する。ただし、ノズル列116Aの両端のそれぞれ5ノズルは「休止ノズル」として設定されている。同様に、ノズル列116Bの両端のそれぞれ5ノズルも「休止ノズル」として設定されている。そして、これら20個の「休止ノズル」からはカラーフィルター用インク2が吐出されない。このため、液滴吐出ヘッド114における180個のノズル118のうち、160個のノズル118がカラーフィルター用インク2を吐出するノズルとして機能する。
図4に示すように、液滴吐出手段103においては、複数個の上記液滴吐出ヘッド114がX軸方向に沿って2列に配置されている。一方の列の液滴吐出ヘッド114と他方の列の液滴吐出ヘッド114とは、休止ノズル分を考慮して、Y軸方向から見て一部重なるように配置されている。これにより、液滴吐出手段103においては、基板11のX軸方向の寸法分の長さに渡り、カラーフィルター用インク2を吐出するノズル118が前記ノズルピッチHXPでX軸方向に連続するように構成されている。
本実施形態の液滴吐出手段103では、基板11のX軸方向の寸法分の長さ全体をカバーするように液滴吐出ヘッド114を配置しているが、本発明における液滴吐出手段は、基板11のX軸方向の寸法分の長さの一部をカバーするようにものでもよい。
図に示すように、それぞれの液滴吐出ヘッド114は、インクジェットヘッドである。より具体的には、それぞれの液滴吐出ヘッド114は、振動板126と、ノズルプレート128とを備えている。振動板126と、ノズルプレート128との間には、タンク101から孔131を介して供給されるカラーフィルター用インク2が常に充填される液たまり129が位置している。
また、振動板126と、ノズルプレート128との間には、複数の隔壁122が位置している。そして、振動板126と、ノズルプレート128と、1対の隔壁122とによって囲まれた部分がキャビティ120である。キャビティ120はノズル118に対応して設けられているため、キャビティ120の数とノズル118の数とは同じである。キャビティ120には、1対の隔壁122間に位置する供給口130を介して、液たまり129からカラーフィルター用インク2が供給される。
振動板126上には、それぞれのキャビティ120に対応して、振動子124が位置する。振動子124は、ピエゾ素子124Cと、ピエゾ素子124Cを挟む1対の電極124A、124Bとを含む。この1対の電極124A、124Bとの間に駆動電圧を与えることで、対応するノズル118からカラーフィルター用インク2が吐出される。なお、ノズル118からZ軸方向にカラーフィルター用インク2が吐出されるように、ノズル118の形状が調整されている。
また、ノズルプレート128は、ステンレスで構成された基材と、基材を覆うようにして設けられ主としてシリカ化合物で構成されたシリカ膜と、シリカ膜を覆うようにして設けられ、フルオロアルキル化合物を含む撥液膜とによって構成されている。
また、シリカ膜は、撥液膜とステンレスの基材とを密着させる機能を有するとともに、ステンレスの基材を保護する機能を有する。
制御手段112(図3参照)は、複数の振動子124のそれぞれに互いに独立に信号を与えるように構成されていてもよい。つまり、ノズル118から吐出されるカラーフィルター用インク2の体積が、制御手段112からの信号に応じてノズル118毎に制御されてもよい。また、制御手段112は、塗布走査の間に吐出動作を行うノズル118と、吐出動作を行わないノズル118とを設定することでもできる。
本明細書では、1つのノズル118と、ノズル118に対応するキャビティ120と、キャビティ120に対応する振動子124とを含んだ部分を「吐出部127」と表記することもある。この表記によれば、1つの液滴吐出ヘッド114は、ノズル118の数と同じ数の吐出部127を有する。
上記のような液滴吐出装置100を用いて、カラーフィルター1が有する複数色の着色部12に対応するカラーフィルター用インク2を、セル14内に付与する。上記のような装置を用いることにより、セル14内に、効率よくかつ選択的にカラーフィルター用インク2を付与することができる。また、上述したように、カラーフィルター用インク2は、優れた吐出安定性を有しており、長期間、液滴吐出を行った場合であっても、飛行曲がりや、液滴の吐出量が不安定化する等の問題が極めて発生しにくいものである。したがって、異なる色の着色部を形成するのに用いられる複数種のインクが混ざり合って(混色して)しまったり、本来同一の着色濃度であることが求められる複数個の着色部の間での着色濃度のばらつきが発生する等の問題を確実に防止することができる。なお、図示の構成では、液滴吐出装置100は、カラーフィルター用インク2を保持するタンク101、チューブ110等を1色分しか有していないが、これらの部材を、カラーフィルター1が有する複数色の着色部12に対応する複数色分有するものであってもよい。また、カラーフィルター1の製造においては、複数色のカラーフィルター用インク2に対応する複数の液滴吐出装置100を用いてもよい。
なお、本発明では、液滴吐出ヘッド114は、駆動素子として、ピエゾ素子の代わりに静電アクチュエータを用いるものでもよい。また、液滴吐出ヘッド114は、駆動素子として電気熱変換素子を用い、この電気熱変換素子による材料の熱膨張を利用してカラーフィルター用インクを吐出する構成であってもよい。
<着色部形成工程(硬化工程)>
次に、セル14内のカラーフィルター用インク2から分散媒を除去し、樹脂材料を硬化させることにより固形状の着色部12とする(1e)。これにより、カラーフィルター1が得られる。
上述したように、カラーフィルター用インクが、重合体M、重合体Wおよび重合体Zよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものであると、着色部12の形成時における顔料の不本意な凝集を防止、抑制することができるとともに、着色部12の形成時における不本意な凹凸の発生を効果的に防止し、着色部12表面の平坦性を高いものとすることができる。その結果、得られるカラーフィルター1を用いて表示される画像は、コントラスト、明度等が非常に優れたものとなる。
本工程は、通常、加熱により行う。本工程を加熱により行うことにより、形成される着色部12の基板11に対する密着性を特に優れたものとすることができる。また、形成される着色部12内にカラーフィルター用インクの分散媒が残存することを確実に防止することができる。その結果、カラーフィルター1の耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター1の生産性も向上する。
本工程での加熱温度(加熱された基板11の温度)は、特に限定されないが、100〜280℃であるのが好ましく、110〜250℃であるのがより好ましい。これにより、着色部12の構成材料の不本意な劣化・分解等を防止しつつ、樹脂材料の硬化反応を効率よく進行させ、さらに、カラーフィルター用インク2から好適に分散媒を除去できる。
また、本工程での加熱時間は、特に限定されないが、30〜190分であることが好ましく、40〜130分であることがより好ましい。
また、本工程は、温度の異なる複数の加熱処理を行ってもよい。具体的には、本工程において、比較的低温で基板11の加熱を行う第1の加熱処理と、第1の加熱処理よりも高い温度で基板11の加熱を行う第2の加熱処理とを施してもよい。
これにより、着色部12の構成材料の不本意な劣化・分解等を防止し、カラーフィルター1の生産性を向上させ、さらに、形成される着色部12に分散媒が残存すること等を効果的に防止することができる。
また、本工程において、比較的低温で基板11の加熱を行う第1の加熱処理と、第1の加熱処理よりも高い温度で基板11の加熱を行う第2の加熱処理とを施すことにより、着色部12の表面の平坦性をより高いものとすることができる。
このような場合、第1の加熱処理にて比較的低温で基板11を加熱することにより、カラーフィルター用インク2の対流を防止しつつ、穏やかに分散媒を除去し、カラーフィルター用インク2の表面を平坦なものとした状態で、流動性を消失または低減させることができる。また、比較的低温で加熱することにより、不本意な樹脂材料の硬化反応を防止することができる。
また、第2の加熱処理では、第1の加熱処理では除去できなかった分散媒を完全に除去することができる。また、本工程で、樹脂材料を反応させてカラーフィルター用インク2を硬化させる場合、第1の加熱処理において表面が平坦な状態で固定されたカラーフィルター用インク2を、効率よくその形状で硬化させることができる。
上記のように、本工程において第1の加熱処理および第2の加熱処理を施す場合、第1の加熱処理での処理温度(加熱された基板11の温度)は、特に限定されないが、30〜100℃であるのが好ましく、40〜80℃であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インク2の対流を確実に防止しつつ、カラーフィルター用インク2から好適に分散媒を除去できる。
また、第1の加熱処理の時間は、特に限定されないが、3〜50分であることが好ましく、5〜40分であることがより好ましい。
また、第2の加熱処理での処理温度(加熱された基板11の温度)は、特に限定されないが、120〜280℃であるのが好ましく、150〜250℃であるのがより好ましい。これにより、第1の加熱処理では除去できなかった分散媒を完全に除去することができる。また、本工程で、樹脂材料(硬化性樹脂材料)を反応させてカラーフィルター用インク2を硬化させる場合、第1の加熱処理において表面が平坦な状態で固定されたカラーフィルター用インク2を、効率よくその形状で硬化させることができる。
また、第2の加熱処理の時間は、特に限定されないが、25〜150分であることが好ましく、30〜100分であることがより好ましい。
また、本工程においては、例えば、活性エネルギー線の照射や、カラーフィルター用インク2が付与された基板11を減圧環境下に置く等の処理を行ってもよい。
活性エネルギー線を照射することにより、樹脂材料の硬化反応を効率よく進行させたり、加熱温度を比較的低いものとした場合であっても、樹脂材料の硬化反応を確実に進行させることができ、基板11等への悪影響の発生がより確実に防止される等の効果が得られる。活性エネルギー線としては、種々の波長の光線、例えば、紫外線、X線、g線、i線、エキシマレーザー等を使用することができる。
また、カラーフィルター用インク2が付与された基板11を減圧環境下に置く(減圧処理を施す)ことにより、分散媒をより効率よく除去することができたり、画素(セル)内での着色部の形状を、確実に好ましいものとすることができたり、加熱温度を比較的低いものとした場合であっても、分散媒を確実に除去することができ、基板11、形成される着色部12等への悪影響の発生がより確実に防止される等の効果が得られる。また、加熱処理および減圧処理を併用することにより、より効率よく着色部を形成することができる。
《画像表示装置》
次に、カラーフィルター1を有する画像表示装置(電気光学装置)である液晶表示装置の好適な実施形態について説明する。
図7は、液晶表示装置の好適な実施形態を示す断面図である。同図に示すように、液晶表示装置60は、カラーフィルター1と、カラーフィルター1の着色部12が設けられた面側に配された基板(対向基板)66と、カラーフィルター1と基板66との間の空隙に封入された液晶よりなる液晶層62と、カラーフィルター1の基板11の液晶層62に対向する面とは反対の面側(図7中下側)に設けられた偏光板67と、基板66の液晶層62に対向する面とは反対の面側(図7中上側)に設けられた偏光板68とを有している。そして、カラーフィルター1の着色部12および隔壁13が設けられた面(着色部12および隔壁13の基板11に対向する面とは反対の面)には、共通電極61が設けられており、基板(対向基板)66の液晶層62、カラーフィルター1に対向する面には、カラーフィルター1の各着色部12に対応する位置に、マトリクス状に、画素電極65が配されている。さらに、共通電極61と液晶層62との間には配向膜64が設けられ、基板66(画素電極65)と液晶層62との間には配向膜63が設けられている。
基板66は、可視光に対して光透過性を有する基板であり、例えば、ガラス基板である。
共通電極61、画素電極65は、可視光に対して光透過性を有する材料で構成されたものであり、例えば、ITO等で構成されている。
本発明のカラーフィルター1は、耐熱性等に優れているため、製造時に、カラーフィルター1上に、電極(図示の構成では、共通電極61)を形成する際(特に、気相成膜により形成する際)においても、着色部12の変色が確実に防止されるとともに、着色部12の変性、劣化等が防止され、カラーフィルター1と電極(共通電極61)との密着性を特に優れたものとすることができ、電圧保持率(VHR)を良好なものとすることができる。
また、図中省略しているが、各画素電極65に対応するように、複数のスイッチング素子(例えば、TFT:薄膜トランジスター)が設けられている。そして、各着色部12に対応する各画素電極65について、共通電極61との間での電圧の印加状態を制御することにより、各着色部12(各画素電極65)に対応する領域での、光の透過性を制御することができる。
液晶表示装置60では、図示しないバックライトから発せられた光が、偏光板68側(図7中上側)から入射するようになっている。そして、液晶層62を透過し、カラーフィルター1の各着色部12(12A、12B、12C)に入射した光は、各着色部12(12A、12B、12C)に対応する色の光として、偏光板67(図7中下側)から出射する。
上述したように、着色部12は、本発明のカラーフィルター用インク2(カラーフィルター用インクセット)を用いて形成されたものであるため、各色間、各画素間での特性のばらつきが抑制されたものである。その結果、液晶表示装置60において、各部位での色むら、濃度むら等が抑制された画像を安定的に表示することができる。また、着色部12は、本発明のカラーフィルター用インクを用いて形成されたものであるため、コントラスト比、明度に優れている。
《電子機器》
前述したようなカラーフィルター1を有する液晶表示装置等の画像表示装置(電気光学装置)1000は、各種電子機器の表示部に用いることができる。
図8は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピューター1100においては、表示ユニット1106が画像表示装置1000を備えている。
図9は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206とともに、画像表示装置1000を表示部に備えている。
図10は、本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、画像表示装置1000が表示部に設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。
ケースの内部には、回路基板1308が設置されている。この回路基板1308は、撮像信号を格納(記憶)し得るメモリーが設置されている。
また、ケース1302の正面側(図示の構成では裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1308のメモリーに転送・格納される。
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示のように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニター1430が、データ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピューター1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、回路基板1308のメモリーに格納された撮像信号が、テレビモニター1430や、パーソナルコンピューター1440に出力される構成になっている。
なお、本発明の電子機器は、上述したパーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター)、携帯電話機、ディジタルスチルカメラの他にも、例えば、テレビ(例えば、液晶テレビ)や、ビデオカメラ、ビューファインダー型、モニター直視型のビデオテープレコーダー、ラップトップ型パーソナルコンピューター、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、タッチパネルを備えた機器(例えば金融機関のキャッシュディスペンサー、自動券売機)、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電表示装置、超音波診断装置、内視鏡用表示装置)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ、その他各種モニター類、プロジェクター等の投射型表示装置等に適用することができる。中でも、テレビは、近年の表示部の大型化の傾向が顕著であるが、このような大型の表示部(例えば、対角線長80cm以上の表示部)を有する電子機器では、従来のカラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターを適用した場合、色むら、濃度むら等の問題を特に生じ易かったが、本発明を適用すれば、このような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、上記のような大型の表示部を有する電子機器に適用した場合に、本発明の効果は、より顕著に発揮される。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、前述した実施形態においては、各色の着色部に対応するカラーフィルター用インクを、セル内に付与した後に、一括で、セル内の各色のカラーフィルター用インクから分散媒を除去し、樹脂材料を硬化させるもの、すなわち、着色部形成工程(硬化工程)を1回のみ行うものとして説明したが、インク付与工程および着色部形成工程は、各色に対応して、繰り返し行うものであってもよい。
また、カラーフィルター、画像表示装置、電子機器を構成する各部は、同様の機能を発揮する任意のものと置換、または、その他の構成を追加することもできる。例えば、本発明のカラーフィルターにおいては、着色部の基板に対向する面とは反対の面側に、着色部を被覆する保護膜が設けられていてもよい。これにより、着色部の損傷や劣化等をより効果的に防止することができる。
また、本発明のカラーフィルター用インクは、いかなる方法で製造されたものであってもよく、上述したような方法により製造されたものでなくてもよい。例えば、前述した実施形態では、顔料の微分散を、化合物Aを含む重合体溶液中で行うものとして説明したが、顔料の微分散はこのようにして行うものでなくてもよい。
また、前述した実施形態では、カラーフィルター用インクセットが、光の三原色に対応する3種(3色)のカラーフィルター用インクを備える場合について中心的に説明したが、カラーフィルター用インクセットを構成するカラーフィルター用インクの数、種類(色)は、上述したものに限定されない。例えば、本発明においてカラーフィルター用インクセットは、4種以上のカラーフィルター用インクを備えるものであってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
[1]重合体の合成
(合成例1)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ)に、溶媒(溶剤)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:314重量部を入れて、90℃に加熱した。続いて、ラジカル開始剤としての2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):20重量部、および、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(溶媒):30重量部を加えた後、該フラスコ内に、上記式(11)で表される単量体成分(化合物)x1:180重量部、上記式(12)で表される単量体成分(化合物)x2:90重量部、上記式(13)で表される単量体成分(化合物)x3:15重量部、上記式(14)で表される単量体成分(化合物)x4:15重量部、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):50重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:200重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて5時間かけて滴下し、さらに4時間熟成させた。その後、室温まで冷却して、単量体成分x1、x2、x3、x4を含み上記式(19)で表される重合体Xとしての重合体X1を得た。
(合成例2〜8)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類、各成分の比率を調整し、重合体の組成を表1に示すように変更した以外は、前記合成例1と同様の操作を行った。その結果、7種の重合体X(重合体X2〜X8)が得られた。
(合成例9)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ)に、溶媒(溶剤)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:100重量部を入れて、80℃に加熱した。続いて、該フラスコ内に、単量体成分m1としてのメタクリル酸2−[O−(1′−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル(=2−(1−メチルプロピリデンアミノオキシカルボニルアミノエチル)メタクリレート):60重量部、単量体成分m2としてのメタクリル酸:20重量部、単量体成分m3としてのステアリルメタクリレート:20重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:30重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて4時間かけてフラスコ内に滴下した。一方、ラジカル開始剤(重合開始剤)としてのアゾビスジメチルバレロニトリル:5重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:90重量部に溶解させた溶液を、別の滴下ポンプを用いて4時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の滴下が終了した後、4時間同温度に保持(熟成)し、その後、室温まで冷却して、単量体成分m1、m2、m3を含み上記式(8)で表される重合体Mとしての重合体M1を得た。
(合成例10〜16)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)および単量体成分の種類、各成分の比率を調整し、重合体の組成を表1に示すように変更した以外は、前記合成例9と同様の操作を行った。その結果、7種の重合体M(重合体M2〜M8)が得られた。
(合成例17)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ)に、溶媒(溶剤)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:314重量部を入れて、90℃に加熱した。続いて、ラジカル開始剤としての2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):20重量部、および、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(溶媒):30重量部を加えた後、該フラスコ内に、上記式(15)で表される単量体成分(化合物)y1:200重量部、上記式(16)で表される単量体成分(化合物)y2:100重量部、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):50重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:200重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて5時間かけて滴下し、さらに4時間熟成させた。その後、室温まで冷却して、単量体成分y1、y2を含み上記式(20)で表される重合体Yとしての重合体Y1を得た。
(合成例18、19)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類、各成分の比率を調整し、重合体の組成を表1に示すように変更した以外は、前記合成例17と同様の操作を行った。その結果、2種の重合体Y(重合体Y2、Y3)が得られた。
(合成例20)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ)に、溶媒(溶剤)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:246重量部を入れて、80℃に加熱した。続いて、該フラスコ内に、上記式(21)で表される単量体成分(化合物)z1:276重量部、上記式(22)で表される単量体成分(化合物)z2:51重量部、ラジカル開始剤としてのアゾビスジメチルバレロニトリル:39重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:360重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて5時間かけて滴下し、さらに3時間熟成させた。
その後、フラスコ内にグリシジルメタクリレート:26重量部、メトキノン:2重量部を加え、110℃で10時間反応させた。その後、室温まで冷却して、単量体成分z1、z2、z3を含み上記式(24)で表される重合体Zとしての重合体Z1を得た。
(合成例21、22)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類、各成分の比率を調整し、重合体の組成を表1に示すように変更した以外は、前記合成例20と同様の操作を行った。その結果、2種の重合体Z(重合体Z2、Z3)が得られた。
(合成例23)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ)に、溶媒(溶剤)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:180重量部を入れて、85℃に加熱した。続いて、該フラスコ内に、上記式(25)で表される単量体成分(化合物)w1:188重量部、上記式(26)で表される単量体成分(化合物)w2:34重量部、上記式(27)で表される単量体成分(化合物)w3:74重量部、上記式(28)で表される単量体成分(化合物)w4:74重量部、ラジカル開始剤としてのアゾビスジメチルバレロニトリル:64重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:386重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて5時間かけて滴下し、さらに3時間熟成させた。その後、室温まで冷却して、単量体成分w1、w2、w3、w4を含み上記式(29)で表される重合体Wとしての重合体W1を得た。
(合成例24、25)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類、各成分の比率を調整し、重合体の組成を表1に示すように変更した以外は、前記合成例23と同様の操作を行った。その結果、2種の重合体W(重合体W2、W3)が得られた。
(合成例26〜28)
重合体の合成に用いる単量体成分の種類、各成分の比率を調整し、重合体の組成を表1に示すように変更した以外は、前記合成例1と同様の操作を行った。その結果、3種の重合体X’(重合体X’1〜X’3)が得られた。
表1には、合成例1〜28で合成した各重合体を構成する各単量体成分の比率、各重合体の重量平均分子量Mwをまとめて示した。表中、メタクリル酸2−[O−(1′−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル(=2−(1−メチルプロピリデンアミノオキシカルボニルアミノエチル)メタクリレート)を「m1a」で示し、メタクリル酸2−(3,5−ジメチルピラゾール−1−イル)カルボニルアミノエチルを「m1b」で示し、アクリル酸2−(3,5−ジメチルピラゾール−1−イル)カルボニルアミノエチルを「m1c」で示し、メタクリル酸を「m2a」で示し、アクリル酸を「m2b」で示し、ステアリルメタクリレートを「m3a」で示し、ベヘニルメタクリレートを「m3b」で示し、パルミチルアクリレートを「m3c」で示し、リグノセリルメタクリレートを「m3d」で示し、メタクリル酸メチルを「m4a」で示し、アクリル酸エチルを「m4b」で示し、アクリル酸ペンチルを「m4c」で示し、スチレンを「m5」で示し、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを「m6」で示し、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イルアクリレートと3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルアクリレートの混合物を「m7」で示した。なお、上記のようにして合成した重合体は、いずれも、分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が1〜3の範囲内であった。
Figure 2010191244
[2]カラーフィルター用インク(カラーフィルター用インクセット)の調製
(実施例1)
アミン価分散剤としてのディスパービック166と、重合体M1と、重合体Z1と、重合体W1と、これらの重合体(重合体M1、重合体Z1、重合体W1)を溶解する溶媒(カラーフィルター用インクにおける分散媒の構成成分)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートと、上記式(10)で表される化合物A(ただし、式(10)中、nは2、Rはイソオクチル基である。)とを、内容量400ccの攪拌機(一軸ミキサー)に投入し、ディスパーミルで10分間攪拌することにより、重合体M1、重合体Z1、重合体W1が溶媒に溶解した重合体溶液を得た(重合体溶液調製工程)。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。
次に、以下に述べるようにして、重合体溶液調製工程で得られた重合体溶液に、顔料を添加し、攪拌機(ビーズミル)を用いて、無機ビーズを多段で添加して微分散処理を行う微分散工程を施した。
まず、得られた重合体溶液に、顔料を添加し、10分間攪拌を行った。このとき、ビーズミル(攪拌機)が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。また、顔料としては、C.I.ピグメントレッド177と上記式(30)で表される顔料誘導体との混合物と、C.I.ピグメントレッド254と上記式(31)で表される顔料誘導体との混合物と、下記式(34)で示される化学構造を有するスルホン化顔料誘導体の粉末とを用いた。また、このとき、重合体溶液と顔料との混合物中における顔料の含有率が16wt%となるように、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートで希釈した。
Figure 2010191244
次に、平均粒径0.8mmの無機ビーズ(第1の無機ビーズ、ジルコニア製、「Toray ceram 粉砕ボール」(商品名)、東レ株式会社製)を添加して、室温下、30分間攪拌し1段目の分散処理(第1の処理)を行った。このとき、ビーズミル(攪拌機)が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。
次に、フィルター(「PALL HDCII Membrane Filter」、PALL社製)を用いたろ過により、無機ビーズ(第1の無機ビーズ)を除去し、その後、平均粒径0.1mmの無機ビーズ(第2の無機ビーズ、ジルコニア製、「Toray ceram 粉砕ボール」(商品名)、東レ株式会社製)を添加し、更に30分間攪拌し第2段目の分散処理(第2の処理)を行った。このとき、ビーズミル(攪拌機)が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。また、このとき、得られる顔料分散体中における顔料の含有率が13wt%となるように、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートで希釈した。
その後、フィルター(「PALL HDCII Membrane Filter」(商品名)、PALL社製)を用いたろ過により、無機ビーズ(第2の無機ビーズ)を除去し、顔料分散体を得た。
次に、上記のようにして得られた顔料分散体に、重合体X1、重合体Y1、レベリング剤(サーフィノールDF58、日信化学工業(株)社製))および、分散媒としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルを加え、混合した(重合体X混合工程)。本工程は、上記の各材料を内容量400ccの攪拌機(一軸ミキサー)に投入し、ディスパーミルで10分間攪拌することにより行った。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。これにより、目的とする赤色のカラーフィルター用インク(Rインク)を得た。
また、顔料の種類、各成分の使用量を変更した以外は、前記赤色のカラーフィルター用インクと同様にして、緑色のカラーフィルター用インク(Gインク)、青色のカラーフィルター用インク(Bインク)を調製した。これにより、R、G、Bの3色のインクからなるカラーフィルター用インクセットが得られた。Rインクを構成する顔料の平均粒径、Gインクを構成する顔料の平均粒径、Bインクを構成する顔料の平均粒径は、それぞれ、70nm、70nm、70nmであった。
(実施例2〜10)
カラーフィルター用インクの材料の種類・含有量を表に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてカラーフィルター用インク(インクセット)を調製した。
(比較例1〜6)
カラーフィルター用インクの材料の種類・含有量を表に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてカラーフィルター用インク(インクセット)を調製した。
なお、上記各実施例および比較例では、いずれも、重合体M、W、Zを用いる場合には、これらを重合体溶液調製工程(またはこれに対応するタイミングで行う工程)で用い、重合体X、Y、X’を用いる場合には、これらを重合体X混合工程(またはこれに対応するタイミングで行う工程)で用いた。
前記各実施例および各比較例でのカラーフィルター用インクの組成(構成成分の種類、含有量)を表2、表3にまとめて示した。なお、表中、C.I.ピグメントレッド177を「PR177」、C.I.ピグメントレッド254を「PR254」、C.I.ピグメントレッド177と式(30)で表される顔料誘導体との混合物を「PR177D」、C.I.ピグメントレッド254と式(31)で表される顔料誘導体との混合物を「PR254D」、上記式(34)で表される顔料誘導体(分子内のスルホ基が1個)で構成された粉末を「SPD1」、下記式(35)で表される顔料誘導体(分子内のスルホ基が2個)で構成された粉末を「SPD2」、C.I.ピグメントグリーン36を「PG36」、C.I.ピグメントグリーン58を「PG58」、C.I.ピグメントブルー15:6を「PB15:6」、C.I.ピグメントイエロー150を「PY150」、C.I.ピグメントバイオレット23を「PV23」、ディスパービック111(酸価:50KOHmg/g)を「DA1」、ディスパービック2095(酸価:13KOHmg/g)を「DA2」、ディスパービックP104(酸価:360KOHmg/g)を「DA3」、ディスパービック166(アミン価:115KOHmg/g)を「DA4」、ディスパービック9075(アミン価:12KOHmg/g)を「DA5」、ディスパービック2001を「DA6」、レベリング剤(サーフィノールDF58、日信化学工業(株)社製))を「DF58」、レベリング剤(LHP−90、楠本化成社製)を「L90」、レベリング剤(LHP−95、楠本化成社製)を「L95」、レベリング剤(LF−1970、楠本化成社製)を「LF」、レベリング剤(オルフィンSPC、日信化学工業(株)社製)を「SPC」、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを「S1」、1,3−ブチレングリコールジアセテートを「S2」、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテートを「S3」、ビス(2−ブトキシエチル)エーテルを「S4」、オクタン酸エチルを「S5」、ジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルを「S6」、トリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルを「S7」、3−エトキシプロピオン酸エチルを「S8」、熱硬化性アクリル樹脂としての樹脂A(商品名:ACRYDIC A−430−60、DIC株式会社製)を「A」で示した。また、表中、化合物AのRの欄には、イソヘキシル基(C6)を「iHex」、イソヘプチル基(C7)を「iHep」、ノルマルオクチル基(C8)を「nOct」、イソオクチル基(C8)を「iOct」、イソノニル基(C9)を「iNon」、イソデシル基(C10)を「iDec」、イソドデシル基(C12)を「iDod」で示した。なお、分散剤のアミン価は、DIN 16945に準拠する方法により求め、酸価は、DIN EN ISO 2114に準拠する方法により求めた。
Figure 2010191244
また、各実施例および各比較例で用いた、C.I.ピグメントレッド177と式(30)で表される顔料誘導体との混合物中における式(30)で表される顔料誘導体の含有率は、いずれも、0.1〜10wt%であった。また、前記各実施例および各比較例で用いた、C.I.ピグメントレッド254と式(31)で表される顔料誘導体との混合物中における式(31)で表される顔料誘導体の含有率は、いずれも、0.1〜10wt%であった。また、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定された前記各実施例のカラーフィルター用インクの25℃における粘度は、いずれも、5〜11mPa・sの範囲内の値であった。
Figure 2010191244
Figure 2010191244
[3]液滴吐出の安定性評価(吐出安定性評価)
前記各実施例および各比較例で得られたカラーフィルター用インク(製造直後のカラーフィルター用インク)、および、55℃の環境下に20日間放置したカラーフィルター用インク(加熱環境下に放置したカラーフィルター用インク)を用いて、下記に示すような試験による評価を行った。
[3.1]着弾位置精度評価
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図3〜図6に示すような液滴吐出装置および前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用意し、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、各インクについて、液滴吐出ヘッドの中央部付近の指定したノズルから吐出された1200000発(1200000滴)の液滴について、着弾した各液滴の中心位置の中心狙い位置からのズレ量dの平均値を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。この値が小さいほど飛行曲がりの発生が効果的に防止されていると言える。
A:ズレ量dの平均値が0.05μm未満。
B:ズレ量dの平均値が0.05μm以上0.10μm未満。
C:ズレ量dの平均値が0.10μm以上0.13μm未満。
D:ズレ量dの平均値が0.13μm以上0.16μm未満。
E:ズレ量dの平均値が0.16μm以上。
[3.2]液滴吐出量の安定性評価
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図3〜図6に示すような液滴吐出装置および前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用意し、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、各インクについて、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、1200000発(1200000滴)の液滴の連続吐出を行った。液滴吐出ヘッドの左右両端の指定の2つのノズルについて、吐出された液滴の総重量を求め、上記2つのノズルから吐出された液滴の平均吐出量の差の絶対値ΔW[ng]を求めた。このΔWの、液滴の目標吐出量W[ng]に対する比率(ΔW/W)を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。ΔW/Wの値が小さいほど、液滴吐出量の安定性に優れていると言える。
A:ΔW/Wの値が、0.050未満。
B:ΔW/Wの値が、0.050以上0.250未満。
C:ΔW/Wの値が、0.250以上0.550未満。
D:ΔW/Wの値が、0.550以上0.780未満。
E:ΔW/Wの値が、0.780以上。
[3.3]間欠印字性能評価
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図3〜図6に示すような液滴吐出装置および前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用意し、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、各インクについて、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、120000発(120000滴)の液滴の連続吐出を行い、その後、180秒間、液滴の吐出を中断した(1シーケンス目)。その後、同様に、液滴の連続吐出、および、滴々の吐出の中断の操作を繰り返し行った。液滴吐出ヘッドの中央部付近の指定したノズルについて、1シーケンス目に吐出された液滴の平均重量W[ng]と、40シーケンス目に吐出された液滴の平均重量W40[ng]とを求めた。そして、WとW40との差の絶対値の、液滴の目標吐出量W[ng]に対する比率(|W−W40|/W)を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。|W−W40|/Wの値が小さいほど、間欠印字性能(液滴吐出量の安定性)に優れていると言える。
A:|W−W40|/Wの値が、0.040未満。
B:|W−W40|/Wの値が、0.040以上0.100未満。
C:|W−W40|/Wの値が、0.100以上0.400未満。
D:|W−W40|/Wの値が、0.400以上0.650未満。
E:|W−W40|/Wの値が、0.650以上。
[3.4]連続吐出試験
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図3〜図6に示すような液滴吐出装置、前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用いて、25℃、40%RHの環境下で、液滴吐出装置を500時間、連続で運転させることにより、カラーフィルター用インクセットを構成する各インクの吐出を行った。
連続運転後における、液滴吐出ヘッドを構成するノズルの目詰まりの発生率([(目詰まりノズル数)/(全ノズル数)]×100)を求め、ノズルの目詰まりが発生しているものについては、可塑材料で構成されたクリーニング部材により、目詰まりの解消が可能であるか否かを調べた。その結果を、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:ノズルの目詰まりの発生がない。
B:ノズルの目詰まりの発生率が0.5%未満(ただし、ゼロを除く)であり、かつ、クリーニングによる目詰まりの解消が可能。
C:ノズルの目詰まりの発生率が0.5%以上0.9%未満であり、かつ、クリーニングによる目詰まりの解消が可能。
D:ノズルの目詰まりの発生率が0.9%以上1.2%未満であり、かつ、クリーニングによる目詰まりの解消が可能。
E:ノズルの目詰まりの発生率が1.2%以上、または、クリーニングによる目詰まりの解消が不可能。
なお、上記の評価は、各実施例および各比較例について、同様の条件で行った。
[4]カラーフィルター用インクの保存安定性評価(長期安定性評価)
[4.1]加熱処理後の外観変化
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクについて、55℃の環境下に、20日間放置した後、目視による観察を行い、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:加熱前からの変化が全く認められない。
B:顔料粒子の凝集・沈降がほとんど認められない。
C:顔料粒子の凝集・沈降がわずかに認められる。
D:顔料粒子の凝集・沈降がはっきりと認められる。
E:顔料粒子の凝集・沈降が顕著に認められる。
[4.2]粘度の変化量
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクについて、55℃の環境下に、20日間放置した後の粘度(動粘度)を測定し、製造直後の粘度との差を求めた。すなわち、製造直後の粘度をν[mPa・s]、55℃の環境下に、20日間放置した後の粘度をν[mPa・s]としたとき、ν−νで表される値を求めた。このようにして求められた値について、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:ν−νの値が0.2mPa・s未満。
B:ν−νの値が0.2mPa・s以上0.3mPa・s未満。
C:ν−νの値が0.3mPa・s以上0.5mPa・s未満。
D:ν−νの値が0.5mPa・s以上0.7mPa・s未満。
E:ν−νの値が0.7mPa・s以上。
[5]カラーフィルターの製造
前記各実施例および各比較例で得られたカラーフィルター用インク(製造直後のカラーフィルター用インク)、および、55℃の環境下に20日間放置したカラーフィルター用インク(加熱環境下に放置したカラーフィルター用インク)を用いて、以下のようにして、カラーフィルターを製造した。
まず、両面にナトリウムイオンの溶出を防止するシリカ(SiO)膜が形成されたソーダガラス製の基板(G5サイズ:1100×1300mm)を用意し、洗浄処理を施した。
次に、カーボンブラックを含む隔壁形成用の感放射線性組成物を、洗浄済の基板の一方の面の全体に付与し、塗膜を形成した。
次に、加熱温度:110℃、加熱時間:120秒という条件でプリベーク処理を行った。
その後、フォトマスクを介して、放射線を照射して、ポストエキスポジャーベーク処理(PEB)を行い、引き続き、アルカリ現像液を用いた現像処理を行い、さらに、ポストベーク処理を行うことにより、隔壁を形成した。PEBは、加熱温度:110℃、加熱時間:120秒、放射線照射強度:150mJ/cmという条件で行った。また、現像処理は、例えば、振動浸漬法により行った。現像処理時間は、60秒とした。また、ポストベーク処理は、加熱温度:150℃、加熱時間:5分という条件で行った。形成された隔壁の厚さは、2.0μmであった。
次に、図3〜図6に示すような液滴吐出装置を用いて、隔壁で囲まれた領域としてのセル内に、カラーフィルター用インクを吐出した。この際、3色のカラーフィルター用インクを用い、各色のカラーフィルター用インクが混色しないようにした。各セル内には、形成される着色部の平均厚さが2.0μmとなるような量のカラーフィルター用インクを付与した。
その後、ホットプレート上にて80℃で20分間の加熱処理を施した(第1の加熱処理)。
さらに230℃のオーブン内で60分加熱処理を施すことにより(第2の加熱処理)、3色(赤色(R)、緑色(G)、青色(B))の着色部が形成された。その後、N−メチル−2−ピロリドンおよびγ−ブチロラクトンを用いた洗浄を行い、図1に示すようなカラーフィルターが得られた。
上記のような方法を用いて、各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて、それぞれ、8000枚のカラーフィルターを製造した。
[6]カラーフィルターの評価
上記のようにして得られた各カラーフィルターを用いて、以下のような評価を行った。
[6.1]着色部の平坦性
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、1000枚目に製造されたカラーフィルターを用意した。
これらのカラーフィルターについて、触針式粗さ計(Tencor社製、P−15)を用いて、着色部の最大高さと最小高さとの差ΔDを求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:ΔDが0.17μm未満。
B:ΔDが0.17μm以上0.29μm未満。
C:ΔDが0.29μm以上0.44μm未満。
D:ΔDが0.44μm以上0.54μm未満。
E:ΔDが0.54μm以上。
[6.2]コントラスト比の評価
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、8000枚目に製造されたカラーフィルターを用いて、同条件で図7に示すような液晶表示装置を製造した。
これらの液晶表示装置を用いて、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示を行い、コントラストテスター(壺坂電機社製、CT−1)を用いて、単色表示を行っていない場合と比較してのコントラスト比(CR)を求め、下記のようにして評価を行った。
赤色の単色表示の場合、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:CRが2900以上。
B:CRが2400以上2900未満。
C:CRが2000以上2400未満。
D:CRが1700以上2000未満。
E:CRが1700未満。
緑色の単色表示の場合、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:CRが3800以上。
B:CRが3500以上3800未満。
C:CRが3200以上3500未満。
D:CRが2800以上3200未満。
E:CRが2800未満。
青色の単色表示の場合、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:CRが3100以上。
B:CRが2700以上3100未満。
C:CRが2400以上2700未満。
D:CRが2200以上2400未満。
E:CRが2200未満。
[6.3]色むら、濃度むら
前記[6.2]で製造した前記各実施例および各比較例の液晶表示装置について、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示、白色の単色表示を行った状態で目視による観察を行い、各部位での色むら、濃度むら(光漏れによるものを含む)の発生状況を、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:色むら、濃度むらが全く認められない。
B:色むら、濃度むらがほとんど認められない。
C:色むら、濃度むらがわずかに認められる。
D:色むら、濃度むらがはっきりと認められる。
E:色むら、濃度むらが顕著に認められる。
[6.4]液晶層の電圧保持率
前記[6.2]で製造した前記各実施例および各比較例の液晶表示装置を用意し、液晶層に、5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、16.9ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から16.9ミリ秒後の電圧保持率(VHR)を、液晶用電圧保持率測定システム(マイクロニクス社製、製品名「MZ1800」)を用いて測定し、以下の4段階の基準に従い、評価した。
A:VHRが98%以上。
B:VHRが95%以上98%未満。
C:VHRが90%以上95%未満。
D:VHRが90%未満。
[6.5]個体間での特性差
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、1〜20枚目、および、7480〜7499枚目に製造されたカラーフィルターを用意し、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示、白色の単色表示を行い、分光光度計(大塚電子社製、MCPD3000)を用いて測色した。その結果から、各実施例および各比較例について、それぞれ、1〜20枚目、7480〜7499枚目に製造されたカラーフィルター(合計40枚のカラーフィルター)で最大となる色差(Lab表示系での色差ΔE)を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:色差(ΔE)が1.6未満。
B:色差(ΔE)が1.6以上2.8未満。
C:色差(ΔE)が2.8以上3.7未満。
D:色差(ΔE)が3.7以上4.7未満。
E:色差(ΔE)が4.7以上。
[6.6]ヒートサイクル試験
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、5001〜5010枚目に製造されたカラーフィルターを用いて、同条件で図7に示すような液晶表示装置を製造した。
これらの液晶表示装置を用いて、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示を行った状態で目視による観察を行い、光漏れ(白抜け、輝点)が発生していないことを確認した。
次に、上記の液晶表示装置からカラーフィルターを取り外した。
取り外した各カラーフィルターを、20℃の環境下に1.5時間、次いで、70℃の環境下に2.5時間、次いで、20℃の環境下に1.5時間、次いで、−15℃の環境下に2.5時間静置した。その後、再び、環境温度を20℃に戻し、これを1サイクル(8時間)とし、このサイクルを合計30回繰り返した(合計240時間)。
その後、これらのカラーフィルターを用いて、再び、図7に示すような液晶表示装置を組み立てた。
これらの液晶表示装置を用いて、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示を行った状態で目視による観察を行い、光漏れ(白抜け、輝点)の発生状況を、以下の6段階の基準に従い、評価した。
A:光漏れ(白抜け、輝点)の発生したカラーフィルターはない。
B:1〜2枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
C:3〜4枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
D:5〜7枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
E:8〜9枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
F:10枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
[7]耐熱性評価
各カラーフィルター用インクを用いて、それぞれ、厚さ0.7mmのガラス基板上に、スピンコートにより塗布した。インクの付与量は、乾燥膜厚が2.0μmとなるように設定した。
次に、これらの試験片を、クリーンオーブン内で220℃で1時間加熱した。
次に、220℃での加熱処理を施した試験片について、分光光度計(大塚電子社製、MCPD3000)を用いて測色した。
その後さらに、これらの試験片を、クリーンオーブン内で250℃で1時間加熱した。
ここで、250℃での加熱処理を施した試験片について、分光光度計(大塚電子社製、MCPD3000)を用いて測色した。
これらの結果から、各試験片についての、加熱処理(250℃での加熱処理)の前後での色差(Lab表示系での色差ΔE)を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:色差(ΔE)が0.9未満。
B:色差(ΔE)が0.9以上1.9未満。
C:色差(ΔE)が1.9以上2.5未満。
D:色差(ΔE)が2.5以上3.1未満。
E:色差(ΔE)が3.1以上。
[8]カラーフィルター用インクを用いて形成した着色膜の評価
各カラーフィルター用インクを用いて、以下のようにして、下記の試験に用いる多数枚の試験片(試験板)を作製した。
まず、各インクを用いて、それぞれ、厚さ0.7mmのガラス基板上に、スピンコートにより塗布した。インクの付与量は、乾燥膜厚が2.0μmとなるように設定した。
次に、90℃のホットプレート上で10分間プリベークを行った。その後、クリーンオーブン内で、200℃で30分間加熱してポストベークを行い、更に240℃で30分加熱してポストベークを行い、着色膜を有する試験片(試験板)を得た。
[8.1]耐溶剤性評価
前記各実施例および各比較例の各色の試験片について、分光光度計(大塚電子社製、MCPD3000)を用いて測色した。
次に、これらの試験片を、50℃の溶剤中に10分間浸漬し、その後、同様に、分光光度計(大塚電子社製、MCPD3000)を用いて測色した。
これらの結果から、各試験片についての、溶剤の浸漬前後での色差(Lab表示系での色差ΔE)を求め、以下の3段階の基準に従い、評価した。
A:色差(ΔE)が3.0未満。
B:色差(ΔE)が3.0以上3.5未満。
C:色差(ΔE)が3.5以上。
溶剤としては、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、イソプロピルアルコール(IPA)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、0.5N塩酸(HCl)、0.5N水酸化ナトリウム水溶液(NaOH)を用いた。
[8.2]耐光性評価
前記各実施例および各比較例の各色の試験片について、分光光度計(大塚電子社製、MCPD3000)を用いて測色した。
次に、40℃、60%RHの環境下で、これらの試験片に対し、キセノンフェードメーターを用いて光照射を行い、その後、同様に、分光光度計(大塚電子社製、MCPD3000)を用いて測色した。照射条件は、320W/m×200時間とした。このときのブラックパネル温度は50℃とした。
これらの結果から、各試験片についての、光照射前後での色差(Lab表示系での色差ΔE)を求め、以下の4段階の基準に従い、評価した。
A:色差(ΔE)が1.0未満。
B:色差(ΔE)が1.0以上2.8未満。
C:色差(ΔE)が2.8以上3.3未満。
D:色差(ΔE)が3.3以上。
[8.3]クロスカット試験
まず、前記各実施例および各比較例の各色の試験片の着色膜に、カッターで直交する縦横11本ずつの切り傷を1mm間隔でつけた。さらに、セロハンテープをパターンに指で軽く密着させすばやくテープを剥がし、傷の状態を観察し、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:切り傷の交線にわずかな剥がれがあり、欠損部の面積は全正方形面積の5%未満。
B:切り傷の交線に剥がれがあり、欠損部の面積は全正方形面積の5%以上17%未満。
C:切り傷による剥がれの幅が広く、欠損部の面積が全正方形面積の17%以上37%未満。
D:切り傷による剥がれの幅が4点より広く、欠損部の面積は全正方形面積の37%以上67%未満。
E:剥がれの面積は、全正方形面積の67%以上。
[8.4]ITO膜の密着性評価
まず、前記各実施例および各比較例の各色の試験片を、イソプロピルアルコールに5分間浸漬させ、次いでイソプロピルアルコール蒸気にて乾燥を行い洗浄した。
その後、基板設定温度200℃にて、6×10−3Torrの真空下でITO(酸化インジウムスズ)膜を100nmの厚さになるように成膜した。
160℃×60分間の耐熱試験後、ITO膜の表面粗度(Ra)をAFMで測定し、以下の3段階の基準に従い、評価した。なお、AFMとしては、日本ビーコ株式会社のNanoScopeIIIaを用いた。
A:ITO膜にしわやクラック等の異常が全く観測されなかった。
B:ITO膜にしわやクラック等の異常が数点観測された。
C:ITO膜にしわやクラック等の異常が全面に観測された。
これらの結果を表4〜表7に示す。なお、表中、製造直後のカラーフィルター用インクを「加熱前」と示し、55℃の環境下に20日間放置したカラーフィルター用インク(加熱環境下に放置したカラーフィルター用インク)を「加熱後」と示した。
Figure 2010191244
Figure 2010191244
Figure 2010191244
Figure 2010191244
表4〜表7から明らかなように、本発明では、優れた結果が得られたのに対し、比較例では、満足な結果が得られなかった。
また、市販の液晶テレビを分解し、液晶表示装置部分を、上記のようにして製造したものと交換して、上記と同様の評価を行ったところ、上記と同様な結果が得られた。
1…カラーフィルター 11…基板 12…着色部 12A…第1の着色部 12B…第2の着色部 12C…第3の着色部 13…隔壁(バンク、遮光部) 14…セル 2…カラーフィルター用インク 3…塗膜 60…液晶表示装置 61…共通電極 62…液晶層 63、64…配向膜 65…画素電極 66…基板(対向基板) 67、68…偏光板 100…液滴吐出装置 101…タンク 102…吐出走査部 103…液滴吐出手段 104…第1位置制御装置 105…キャリッジ 106…ステージ 108…第2位置制御装置 110…チューブ 112…制御手段 114…液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド) 116A、116B…ノズル列 118…ノズル 120…キャビティ 122…隔壁 124…振動子 124A、124B…電極 124C…ピエゾ素子 126…振動板 127…吐出部 128…ノズルプレート 129…液たまり 130…供給口 131…孔 1000…画像表示装置 1100…パーソナルコンピューター 1102…キーボード 1104…本体部 1106…表示ユニット 1200…携帯電話機 1202…操作ボタン 1204…受話口 1206…送話口 1300…ディジタルスチルカメラ 1302…ケース(ボディー) 1304…受光ユニット 1306…シャッターボタン 1308…回路基板 1312…ビデオ信号出力端子 1314…データ通信用の入出力端子 1430…テレビモニター 1440…パーソナルコンピューター

Claims (15)

  1. インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるカラーフィルター用インクであって、
    顔料と、樹脂材料と、前記顔料が分散する分散媒と、樹脂材料と、下記式(10)で表される化合物Aとを含有し、
    前記樹脂材料は、下記式(11)で表される単量体成分x1と下記式(13)で表される単量体成分x3と下記式(14)で表される単量体成分x4とを含む重合体Xを含むものであることを特徴とするカラーフィルター用インク。
    Figure 2010191244
    Figure 2010191244
    Figure 2010191244
    Figure 2010191244
  2. 前記化合物Aが有するRは、末端のみが分岐したイソ構造を有するものである請求項1に記載のカラーフィルター用インク。
  3. 前記樹脂材料は、下記式(15)で表される単量体成分y1を含む重合体Yを含むものである請求項1または2に記載のカラーフィルター用インク。
    Figure 2010191244
  4. 前記樹脂材料が、下記式(21)で表される単量体成分z1と下記式(22)で表される単量体成分z2と下記式(23)で表される単量体成分z3とを含む重合体Z、下記式(25)で表される単量体成分w1と下記式(26)で表される単量体成分w2と下記式(27)で表される単量体成分w3と下記式(28)で表される単量体成分w4とを含む重合体Wのうちの少なくとも一方を含むものである請求項1ないし3のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
    Figure 2010191244
    Figure 2010191244
    Figure 2010191244
    Figure 2010191244
    Figure 2010191244
    Figure 2010191244
    Figure 2010191244
  5. カラーフィルター用インク中における前記顔料の含有率をC[wt%]、カラーフィルター用インク中における前記化合物Aの含有率をC[wt%]としたとき、0.001≦C/C≦0.15の関係を満足する請求項1ないし4のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
  6. 前記顔料として、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139およびこれらの誘導体よりなる群から選択される1種または2種以上を含む請求項1ないし5のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
  7. 前記分散媒として、1,3−ブチレングリコールジアセテート、ビス(2−ブトキシエチル)エーテル、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテートおよびジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートよりなる群から選択される1種または2種以上を含む請求項1ないし6のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
  8. 下記式(10)で表される化合物Aおよび顔料を含む液体を、ビーズミルによる微分散処理に供し、前記顔料が微分散した顔料分散体を得る微分散工程と、
    前記顔料分散体を、下記式(11)で表される単量体成分x1と下記式(13)で表される単量体成分x3と下記式(14)で表される単量体成分x4とを含む重合体Xと混合する重合体X混合工程とを有することを特徴とするカラーフィルター用インクの製造方法。
    Figure 2010191244
    Figure 2010191244
    Figure 2010191244
    Figure 2010191244
  9. 前記微分散工程に供される前記化合物Aおよび前記顔料を含む前記液体は、下記式(21)で表される単量体成分z1と下記式(22)で表される単量体成分z2と下記式(23)で表される単量体成分z3とを含む重合体Z、下記式(25)で表される単量体成分w1と下記式(26)で表される単量体成分w2と下記式(27)で表される単量体成分w3と下記式(28)で表される単量体成分w4とを含む重合体Wのうちの少なくとも一方を含むものである請求項8に記載のカラーフィルター用インクの製造方法。
    Figure 2010191244
    Figure 2010191244
    Figure 2010191244
    Figure 2010191244
    Figure 2010191244
    Figure 2010191244
    Figure 2010191244
  10. カラーフィルターの製造に用いられるインクを複数種備えたカラーフィルター用インクセットであって、
    カラーフィルター用インクセットを構成する複数種の前記インクのうち少なくとも1種が、請求項1ないし6のいずれかに記載のカラーフィルター用インクであることを特徴とするカラーフィルター用インクセット。
  11. 請求項1ないし7のいずれかに記載のカラーフィルター用インクを用いて製造されたことを特徴とするカラーフィルター。
  12. 請求項10に記載のカラーフィルター用インクセットを用いて製造されたことを特徴とするカラーフィルター。
  13. 請求項11または12に記載のカラーフィルターを備えたことを特徴とする画像表示装置。
  14. 画像表示装置は、液晶パネルである請求項13に記載の画像表示装置。
  15. 請求項13または14に記載の画像表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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