JP2011028022A - カラーフィルター用インク、カラーフィルター用インクセット、カラーフィルター、画像表示装置、および、電子機器 - Google Patents

カラーフィルター用インク、カラーフィルター用インクセット、カラーフィルター、画像表示装置、および、電子機器 Download PDF

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誉 栗林
Masaya Shibatani
正也 柴谷
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英和 森山
Hiroshi Takiguchi
宏志 瀧口
Mitsuhiro Isobe
光宏 磯部
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Abstract

【課題】着色部が平坦であり、表示画像の明度およびコントラスト比に優れ、色むら、濃度むらの発生が防止されたカラーフィルターを安定的に製造することのできるインクジェット方式のカラーフィルター用インクを提供する。
【解決手段】着色剤と、樹脂材料と、前記着色剤を溶解または分散する液性媒体と、レベリング剤とを含み、前記樹脂材料は、下記式(1)で表される単量体成分m1とカルボキシル基または酸無水物基を有する単量体成分m2と下記式(3)で表される単量体成分m3とを含む重合体Mを含むものであることを特徴とする。
Figure 2011028022

Figure 2011028022

【選択図】なし

Description

本発明は、カラーフィルター用インク、カラーフィルター用インクセット、カラーフィルター、画像表示装置、および、電子機器に関する。
カラー表示を行う液晶表示装置(LCD)等には、一般に、カラーフィルターが用いられている。
カラーフィルターは、従来、着色剤、感光性樹脂、官能性モノマー、重合開始剤等を含む材料(着色層形成用組成物)で構成された塗膜を基板上に形成し、その後、フォトマスクを介して光を照射する感光処理、現像処理等を行う、いわゆるフォトリソグラフィー法を用いて製造されてきた。このような方法では、通常、基板のほぼ全面に、各色に対応する塗膜を形成し、その一部のみを硬化させ、それ以外の大部分を除去するという操作を繰り返すことにより、各色が重なり合わないようにカラーフィルターを製造する。このため、カラーフィルターの製造において形成される塗膜は、最終的に得られるカラーフィルターには、その一部のみが着色層として残存するのみで、その大部分が製造工程において除去されることとなる。このため、カラーフィルターの製造コストが上昇するばかりでなく、省資源の観点からも好ましくない。
一方、近年、インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)を用いて、カラーフィルターの着色層(着色部)を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような方法は、着色層形成用の材料(着色層形成用組成物)の液滴の吐出位置等の制御が容易で、着色層形成用組成物の無駄を少なくすることができるため、環境への負荷を低減することができ、また、製造コストも抑制することができる。
ところで、上述したような製造方法は、一般に、基板上に形成されたセルにインクを付与し、付与されたインクに対し加熱等の処理を行うことにより、インクを乾燥、固化させて着色部を得るものである。しかしながら、インクを加熱または真空乾燥によって乾燥する際には、セル中において、インクの外表面から液体成分が揮発することによりインクが熱対流する現象(べナードセル現象)が起こる。また、セル中のインク内で熱分布が生じることにより、インク中の液体成分の揮発は、セルの特定の部分から起こりやすい。以上のような要因により、従来のインクを用いた場合には、形成される着色部の表面は、凹凸が多く、平坦性が低いものとなっていた。
このようにカラーフィルターが備える着色部の平坦性が低いと、かかるカラーフィルターに、透明電極をスパッタ法により形成して、素子(液晶表示素子)と対向する基板とする際に、着色部の表面形状が透明電極の形状にも反映されてしまい、透明電極の表面も起伏を有するものとなってしまう。このようなカラーフィルターを適用した液晶表示装置では、カラーフィルター基板側の透明電極と、透明電極と対向する素子側の対向電極との距離が、均一にならず、電場がばらつくことから、電圧を印加し液晶を基板に対し平行にして透過状態(白)にするときに、全体が完全に平行にならないため明度をロスし、コントラストが低下する課題があった。
また、カラーフィルターの製造にインク(産業用)は、プリンターに適用されるインク(民生用)とは全く異なるものであり、例えば、比較的多量の樹脂材料を含むものであり、ノズル(吐出口)への固形分の付着、ノズル(吐出口)の目詰まりを生じやすい。また、カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置(産業用)は、プリンターに適用されるもの(民生用)とは全く異なるものであり、例えば、大量生産を行ったり、大型のワーク(基板)への液滴吐出に用いたりするため、大量の液滴を高い精度を保ちつつ長時間にわたって吐出することが求められる。このような過酷な条件で用いられるため、本来、民生用のものに比べて、液滴の吐出量の変動が生じやすいが、このような吐出量の変動が少しでも生じると、製造される多数のカラーフィルター間での特性のばらつきや、カラーフィルターの各部位での着色濃度のばらつきを生じてしまい、製品としてのカラーフィルターの信頼性を著しく低下させてしまう。
特開2004−2815号公報
本発明の目的は、着色部が平坦であり、表示画像の明度およびコントラスト比に優れ、色むら、濃度むらの発生が防止されたカラーフィルターを安定的に製造することのできるインクジェット方式のカラーフィルター用インクおよびカラーフィルター用インクセットを提供すること、着色部が平坦であり、表示画像の明度およびコントラスト比に優れ、色むら、濃度むらの発生が防止されたカラーフィルターを提供すること、また、該カラーフィルターを備えた画像表示装置、電子機器を提供することにある。
このような目的は下記の本発明により達成される。
本発明のカラーフィルター用インクは、インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるカラーフィルター用インクであって、
着色剤と、樹脂材料と、前記着色剤を溶解または分散する液性媒体と、レベリング剤とを含み、
前記樹脂材料は、下記式(1)で表される単量体成分m1とカルボキシル基または酸無水物基を有する単量体成分m2と下記式(3)で表される単量体成分m3とを含む重合体Mを含むものであることを特徴とする。
Figure 2011028022
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これにより、着色部が平坦であり、表示画像の明度およびコントラスト比に優れ、色むら、濃度むらの発生が防止されたカラーフィルターを安定的に製造することのできるインクジェット方式のカラーフィルター用インクを提供することができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記樹脂材料は、さらに、下記式(11)で表される単量体成分x1と下記式(13)で表される単量体成分x3と下記式(14)で表される単量体成分x4とを含む重合体Xを含むものであることが好ましい。
Figure 2011028022
Figure 2011028022
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これにより、製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができ、長期にわたって表示画像の明度およびコントラスト比を安定的に優れたものとすることができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記樹脂材料は、さらに、下記式(15)で表される単量体成分y1を含む重合体Yを含むものであることが好ましい。
Figure 2011028022
これにより、製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができ、長期にわたって表示画像の明度およびコントラスト比を安定的に優れたものとすることができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記樹脂材料は、下記式(21)で表される単量体成分z1と下記式(22)で表される単量体成分z2と下記式(23)で表される単量体成分z3とを含む重合体Z、下記式(25)で表される単量体成分w1と下記式(26)で表される単量体成分w2と下記式(27)で表される単量体成分w3と下記式(28)で表される単量体成分w4とを含む重合体Wのうちの少なくとも一方を含むものであることが好ましい。
Figure 2011028022
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これにより、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルターを用いた表示画像の明度およびコントラスト比を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクが顔料を含むものである場合には、カラーフィルター用インクの保存安定性を特に優れたものとすることができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記レベリング剤は、アクリル系レベリング剤を含むものであることが好ましい。
これにより、平坦な着色部を確実に形成することができ、カラーフィルターを用いた表示画像の明度およびコントラスト比を十分に優れたものとすることができるとともに、液滴吐出装置のノズルプレートへのカラーフィルター用インクの撥液性が低下し、カラーフィルター用インクの固形分が付着し、液滴の吐出安定性が低下するのを効果的に防止することができる。その結果、製造されるカラーフィルターにおける色むら、濃度むらの発生をより効果的に防止することができる。また、液滴吐出装置の洗浄(特に、ノズルプレート周辺の洗浄)の頻度を少なくすることができるため、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記レベリング剤の含有率が0.1wt%以上10wt%以下であることが好ましい。
これにより、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性を特に優れたものとし、カラーフィルターを用いた表示画像の明度およびコントラスト比を特に優れたものとし、色むら、濃度むらの発生をより効果的に防止することができるとともに、液滴吐出装置のノズルプレートへのカラーフィルター用インクの撥液性が低下し、カラーフィルター用インクの固形分が付着し、液滴の吐出安定性が低下するのを効果的に防止することができる。その結果、製造されるカラーフィルターにおける色むら、濃度むらの発生をより効果的に防止することができる。また、液滴吐出装置の洗浄(特に、ノズルプレート周辺の洗浄)の頻度を少なくすることができるため、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記レベリング剤の含有率をC[wt%]、前記樹脂材料の含有率をC[wt%]としたとき、0.005≦C/C≦0.650の関係を満足することが好ましい。
これにより、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性を特に優れたものとし、カラーフィルターを用いた表示画像の明度およびコントラスト比を特に優れたものとし、色むら、濃度むらの発生をより効果的に防止することができるとともに、液滴吐出装置のノズルプレートへのカラーフィルター用インクの撥液性が低下し、カラーフィルター用インクの固形分が付着し、液滴の吐出安定性が低下するのを効果的に防止することができる。その結果、製造されるカラーフィルターにおける色むら、濃度むらの発生をより効果的に防止することができる。また、液滴吐出装置の洗浄(特に、ノズルプレート周辺の洗浄)の頻度を少なくすることができるため、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記着色剤として、C.I.ピグメントグリーン58を含むことが好ましい。
着色剤としてC.I.ピグメントグリーン58を用いると、カラーフィルター用インクの発色性を特に優れたものとすることができる。また、C.I.ピグメントグリーン58は、明度に優れるという特徴を有しているものの、従来においては、安定的に分散させるのが極めて困難であり、C.I.ピグメントグリーン58を含むカラーフィルター用インクは液滴の吐出安定性に劣るという問題があった。また、C.I.ピグメントグリーン58を含む場合、十分な色濃度の着色部を形成するためには、カラーフィルター用インク中におけるC.I.ピグメントグリーン58の含有率を比較的高いものとしなければならず、形成される着色部の平坦性が低下し、表示画像の明度およびコントラスト比が低下しやすいという問題があった。これに対し、本発明では、着色剤として、C.I.ピグメントグリーン58を用いた場合であっても、上記のような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、カラーフィルター用インクが着色剤としてC.I.ピグメントグリーン58を含む場合、C.I.ピグメントグリーン58が有する特徴を発揮させつつ、本発明の効果をより顕著に発揮させることができる。
本発明のカラーフィルター用インクセットは、カラーフィルターの製造に用いられるインクを複数種備えたカラーフィルター用インクセットであって、
カラーフィルター用インクセットを構成する複数種の前記インクのうち少なくとも1種が、本発明のカラーフィルター用インクであることを特徴とする。
これにより、着色部が平坦であり、表示画像の明度およびコントラスト比に優れ、色むら、濃度むらの発生が防止されたカラーフィルターを安定的に製造することのできるカラーフィルター用インクセットを提供することができる。
本発明のカラーフィルターは、本発明のカラーフィルター用インクを用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、着色部が平坦であり、表示画像の明度およびコントラスト比に優れ、色むら、濃度むらの発生が防止されたカラーフィルターを提供することができる。
本発明のカラーフィルターは、本発明のカラーフィルター用インクセットを用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、着色部が平坦であり、表示画像の明度およびコントラスト比に優れ、色むら、濃度むらの発生が防止されたカラーフィルターを提供することができる。
本発明の画像表示装置は、本発明のカラーフィルターを備えたことを特徴とする。
これにより、着色部が平坦なカラーフィルターを備え、表示画像の明度およびコントラスト比に優れ、色むら、濃度むらの発生が防止された画像を安定的に表示することができる画像表示装置を提供することができる。
本発明の電子機器は、本発明の画像表示装置を備えたことを特徴とする。
これにより、着色部が平坦なカラーフィルターを備え、表示画像の明度およびコントラスト比に優れ、色むら、濃度むらの発生が防止された画像を安定的に表示することができる電子機器を提供することができる。
本発明のカラーフィルター用インクの製造方法の好適な実施形態を示す工程図である。 本発明のカラーフィルターの好適な実施形態を示す断面図である。 カラーフィルターの製造方法を示す断面図である。 カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置を示す斜視図である。 図4に示す液滴吐出装置における液滴吐出手段をステージ側から観察した図である。 図4に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドの底面を示す図である。 図4に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドを示す図であり、(a)は断面斜視図、(b)は断面図である。 液晶表示装置の実施形態を示す断面図である。 本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。 本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。 本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
まず、本発明のカラーフィルター用インクの好適な実施形態について説明する。
《カラーフィルター用インク》
本発明のカラーフィルター用インクは、カラーフィルターの製造(カラーフィルターの着色部の形成)に用いられるインクであり、特に、インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるものである。
また、本発明のカラーフィルター用インク(以下、単にインクとも言う。)は、着色剤と、樹脂材料と、レベリング剤と、前記着色剤を溶解または分散する液性媒体とを含むものである。
ところで、インクジェット法を用いたカラーフィルターの製造方法は、着色層形成用組成物の無駄を少なくすることができるため、環境への負荷を低減することができ、また、製造コストも抑制することができるが、一般に、インクジェットヘッドを用いて製造されたカラーフィルターは、フォトリソグラフィー法によって製造されたカラーフィルターと比較して明度、コントラスト比が劣る問題があった。また、インク中にレベリング剤を添加して、着色部の平坦性を向上させ、明度やコントラストを向上させようとする試みが行われているが、従来のインクでは、レベリング剤を添加した場合であっても、セル内に付与されたインク中おける着色剤の凝集や、インク中の溶剤(液性媒体)の除去にともなうインクの流動性の低下等によって、形成される着色部の表面に凹凸が生じてしまい、表面が十分に平坦な着色部を形成するのが困難であった。
また、カラーフィルターの製造にインク(産業用)は、プリンターに適用されるインク(民生用)とは全く異なるものであり、例えば、比較的多量の樹脂材料を含むものであり、ノズル(吐出口)への固形分の付着、ノズル(吐出口)の目詰まりを生じやすい。また、カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置(産業用)は、プリンターに適用されるもの(民生用)とは全く異なるものであり、例えば、大量生産を行ったり、大型のワーク(基板)への液滴吐出に用いたりするため、大量の液滴を高い精度を保ちつつ長時間にわたって吐出することが求められる。このような過酷な条件で用いられるため、本来、民生用のものに比べて、液滴の吐出量の変動が生じやすいが、このような吐出量の変動が少しでも生じると、製造される多数のカラーフィルター間での特性のばらつきや、カラーフィルターの各部位での着色濃度のばらつきを生じてしまい、製品としてのカラーフィルターの信頼性を著しく低下させてしまう。
また、カラーフィルターにおいて、より広い色再現域、高コントラスト比を確保するために、近年、カラーフィルター用のインクとして、着色剤の含有率の高いものを用いる傾向があるが、着色剤の含有率の高いほど液滴の粘度が増加すること等により、上記のような問題はより顕著なものとなる。また、着色剤の含有量が高くなると、上述したようなセル内における着色剤の凝集等が顕著となり、着色部の平坦性がより損なわれるといった問題もある。
そこで、本発明者らは、上述したような問題を解決すべく、鋭意検討した結果、着色剤と液性媒体に加え、レベリング剤と、後述するような重合体Mを含む樹脂材料とをカラーフィルター用インクに含ませることにより、上述したような問題を解決できることを見出した。特に、カラーフィルター用インク中に、レベリング剤と重合体Mとが含まれることにより、液滴吐出装置のノズルプレート等に対するカラーフィルター用インクの撥液性を長期間にわたって優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの固形分がノズルプレート等に付着し、液滴の吐出安定性が低下することを効果的に防止することができる。
このような優れた効果は、レベリング剤と重合体Mとを併用することにより得られるものであって、レベリング剤、重合体Mのうち一方でも欠く場合には得られない。
以下、カラーフィルター用インクを構成する各材料について詳細に説明する。
<着色剤>
カラーフィルターは、通常、異なる複数色の着色部(一般に、RGBに対応する3色の着色部)を有している。着色剤は、通常、形成すべき着色部の色調に応じて選択される。カラーフィルター用インクを構成する着色剤としては、例えば、各種顔料、各種染料を用いることができる。
顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,40,41,42,48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,50:1,52:1,53:1,57,57:1,57:2,58:2,58:4,60:1,63:1,63:2,64:1,81,81:1,83,88,90:1,97,101,102,104,105,106,108,108:1,112,113,114,122,123,144,146,149,150,151,166,168,170,171,172,174,175,176,177,178,179,180,185,187,188,190,193,194,202,206,207,208,209,215,216,220,224,226,242,243,245,254,255,264,265;C.I.ピグメントグリーン7,36,15,17,18,19,26,50,58;C.I.ピグメントブルー1,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,17:1,18,60,27,28,29,35,36,60,80;C.I.ピグメントイエロー1,3,12,13,14,15,16,17,20,24,31,34,35,35:1,37,37:1,42,43,53,55,60,61,65,71,73,74,81,83,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,116,117,119,120,126,127,128,129,138,139,150,151,152,153,154,155,156,157,166,168,175,180,184,185;C.I.ピグメントバイオレット1,3,14,16,19,23,29,32,36,38,50;C.I.ピグメントオレンジ1,5,13,14,16,17,20,20:1,24,34,36,38,40,43,46,49,51,61,63,64,71,73,104;C.I.ピグメントブラウン7,11,23,25,33;C.I.ピグメントブラック1,7や、これらの誘導体等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
カラーフィルター用インクが、着色剤として顔料を含むもの(顔料インク)であると、形成されるカラーフィルター(着色部)の耐光性、耐熱性を向上させる上で有利である。また、カラーフィルター用インクが、着色剤として顔料を含むものである場合、従来においては、形成される着色部の着色部の平坦性が特に低いものとなりやすく、また、液滴の吐出安定性が低下するという問題が発生し易かったが、本発明では、着色剤として顔料を含む場合であっても、このような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、カラーフィルター用インクが、着色剤として顔料含む場合、本発明の効果がより顕著に発揮される。
カラーフィルター用インクは、上記の顔料の中でも、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139およびこれらの誘導体よりなる群から選択される1種または2種以上を用いるのが好ましい。これにより、製造されるカラーフィルターの色再現範囲、耐光性を特に優れたものとすることができる。
特に、カラーフィルター用インクが、顔料(赤色顔料)として、C.I.ピグメントレッド177とその誘導体、および/または、C.I.ピグメントレッド254とその誘導体を含むものであると、当該カラーフィルター用インク(赤色のカラーフィルター用インク)の発色性を特に優れたものとすることができる。また、後に詳述するような分散剤、樹脂材料(硬化性樹脂材料)と併用することによる効果がより顕著に発揮され、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を優れたものとすることができる。この結果、セルへのインク付与時においては、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
C.I.ピグメントレッド177の誘導体、C.I.ピグメントレッド254の誘導体として、下記式(30)または下記式(31)で示される化合物(誘導体)を含有するものである場合、上述したような効果がさらに顕著に発揮される。
Figure 2011028022
Figure 2011028022
また、特に、カラーフィルター用インクが、顔料(緑色顔料)として、C.I.ピグメントグリーン58(臭素化亜鉛フタロシアニン顔料)を含むものであると、当該カラーフィルター用インク(緑色のカラーフィルター用インク)の発色性を特に優れたものとすることができる。また、C.I.ピグメントグリーン58は、明度に優れるという特徴を有しているものの、従来においては、安定的に分散させるのが極めて困難であり、C.I.ピグメントグリーン58を含むカラーフィルター用インクは液滴の吐出安定性に劣るという問題があった。また、C.I.ピグメントグリーン58を含む場合、十分な色濃度の着色部を形成するためには、カラーフィルター用インク中におけるC.I.ピグメントグリーン58の含有率を比較的高いものとしなければならず、形成される着色部の平坦性が低下し、表示画像の明度およびコントラスト比が低下しやすいという問題があった。これに対し、本発明では、着色剤として、C.I.ピグメントグリーン58を用いた場合であっても、上記のような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、カラーフィルター用インクが着色剤としてC.I.ピグメントグリーン58を含む場合、C.I.ピグメントグリーン58が有する特徴を発揮させつつ、本発明の効果をより顕著に発揮させることができる。
また、本発明者は、C.I.ピグメントグリーン58を含む場合、スルホン化された顔料誘導体を副顔料として同時に含むことにより、カラーフィルター用インク中における分散安定性をさらに優れたものとすることができることを見出した。これにより、カラーフィルター用インクの発色性をさらに優れたものとすることができるとともに、着色部形成時において、顔料が高濃度化することによるカラーフィルター用インクのチキソトロピック性の上昇をさらに効果的に抑制することができる。また、カラーフィルター用インク中における顔料の長期分散安定性(カラーフィルター用インクの保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。
顔料として、C.I.ピグメントグリーン58とスルホン化された顔料誘導体とを含む場合、スルホン化された顔料誘導体として、下記式(32)で示される化合物(誘導体)を含有するのが好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、製造されるカラーフィルターにおいて、より優れたコントラストの画像を表示することができる。
Figure 2011028022
このように、特定の化学構造を有する顔料誘導体(副顔料)を、C.I.ピグメントグリーン58(主顔料)とともに用いることにより、上記のような優れた効果が得られることは、本発明者が鋭意研究を行った結果、見出したことであり、そのメカニズムの詳細は不明であるが、以下のような理由によるものであると考えられる。
C.I.ピグメントグリーン58を構成する臭素化フタロシアニンは、分子全体として、高度な共役系が形成されており、平面的な構造となるのが、エネルギー的に安定している。そして、臭素化フタロシアニンは、平面状の各分子が積層されるように(平行に)配置することにより、各分子間が有する共役系のπ電子が重なり合った、安定した状態になる。このため、C.I.ピグメントグリーン58は、本来、凝集し易く、液性媒体(分散媒)中に安定的に分散させるのが困難である。
一方、上記のような顔料誘導体では、式(32)中において窒素原子に結合している水素原子は、フタルイミド構造を構成する酸素原子との間で、水素結合を形成する。このようなことから、式(32)中において窒素原子に結合している水素原子は、実体的には、キノリン構造を構成する窒素原子とともに、フタルイミド構造を構成する酸素原子とも強固に結合しており、上記のような顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)では、式(32)中において1〜7の番号を付した7原子による安定的な環構造(7員環構造)が形成されている。このような7員環構造を形成することにより、キノリン構造による平面と、フタルイミド構造による平面とは、非平行状態をとることになる。
このように、キノリン構造による平面と、フタルイミド構造による平面とが、非平行となる顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)を、C.I.ピグメントグリーン58とともに用いることにより、C.I.ピグメントグリーン58(臭素化フタロシアニン)に対して適度な親和性を有する顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)が、C.I.ピグメントグリーン58の分子間に入り込み、上記のように、本来、凝集し易いC.I.ピグメントグリーン58を凝集しにくいものとすることができる。さらに、上記のような顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)は、分子内にスルホ基を有しているため、液性媒体(分散媒)に対する分散性に優れている。以上のようなことが、相乗的に作用し合い、上記のような非常に優れた効果が得られるものと考えられる。
C.I.ピグメントグリーン58と上記のような顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)とを含む場合、顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)の含有率は、特に限定されないが、C.I.ピグメントグリーン58(主顔料):100重量部に対して、10重量部以上80重量部以下であるのが好ましく、30重量部以上70重量部以下であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の長期分散安定性、液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターのコントラスト、明度を特に優れたものとすることができる。
また、特に、カラーフィルター用インクが、顔料(青色顔料)として、C.I.ピグメントブルー15:6およびC.I.ピグメントバイオレット23を含むものであると、当該カラーフィルター用インク(青色のカラーフィルター用インク)の発色性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
カラーフィルター用インクが着色剤として顔料を含むもの(顔料インク)である場合、顔料の平均粒径は、10nm以上200nm以下であるのが好ましく、20nm以上180nm以下であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性や、カラーフィルターインクの吐出安定性を十分に優れたものとしつつ、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターの耐久性(耐光性等)を十分に優れたものとし、カラーフィルターにおける発色性、コントラスト等を特に優れたものとすることができる。
また、染料としては、例えば、アゾ染料、アントラキノン染料、縮合多環芳香族カルボニル染料、インジゴイド染料、カルボニウム染料、フタロシアニン染料、メチン,ポリメチン染料等が挙げられる。染料の具体例としては、例えば、C.I.ダイレクトレッド2,4,9,23,26,28,31,39,62,63,72,75,76,79,80,81,83,84,89,92,95,111,173,184,207,211,212,214,218,221,223,224,225,226,227,232,233,240,241,242,243,247;C.I.アシッドレッド35,42,51,52,57,62,80,82,111,114,118,119,127,128,131,143,145,151,154,157,158,211,249,254,257,261,263,266,289,299,301,305,319,336,337,361,396,397;C.I.リアクティブレッド3,13,17,19,21,22,23,24,29,35,37,40,41,43,45,49,55;C.I.ベーシックレッド12,13,14,15,18,22,23,24,25,27,29,35,36,38,39,45,46;C.I.ダイレクトバイオレット7,9,47,48,51,66,90,93,94,95,98,100,101;C.I.アシッドバイオレット5,9,11,34,43,47,48,51,75,90,103,126;C.I.リアクティブバイオレット1,3,4,5,6,7,8,9,16,17,22,23,24,26,27,33,34;C.I.ベーシックバイオレット1,2,3,7,10,15,16,20,21,25,27,28,35,37,39,40,48;C.I.ダイレクトイエロー8,9,11,12,27,28,29,33,35,39,41,44,50,53,58,59,68,87,93,95,96,98,100,106,108,109,110,130,142,144,161,163;C.I.アシッドイエロー17,19,23,25,39,40,42,44,49,50,61,64,76,79,110,127,135,143,151,159,169,174,190,195,196,197,199,218,219,222,227;C.I.リアクティブイエロー2,3,13,14,15,17,18,23,24,25,26,27,29,35,37,41,42;C.I.ベーシックイエロー1,2,4,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,39,40;C.I.アシッドグリーン16;C.I.アシッドブルー9,45,80,83,90,185;C.I.ベーシックオレンジ21,23等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
カラーフィルター用インク中における着色剤の含有率は、2wt%以上25wt%以下であるのが好ましく、3wt%以上20wt%以下であるのがより好ましい。着色剤の含有率が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターにおいて、より高い色濃度を確保することができ、より鮮明な画像表示に用いることができる。また、従来においては、このように比較的高濃度で着色剤(特に、顔料)を含む場合には、吐出安定性が特に低いものとなり、カラーフィルター用インクの液滴を吐出する際に、飛行曲がりや液滴吐出量の不安定化等の問題が特に発生し易かった。また、従来においては、特に、大型基板(例えば、G5以上)上に液滴吐出をして着色部を形成する場合に、面内の各部位での吐出量ばらつきによる不良品の発生が顕著となり、カラーフィルターの生産性が著しく低下するという問題があった。これに対し、本発明では、比較的高濃度で着色剤を含む場合であっても、後に詳述するように、上記のような問題の発生を確実に防止することができ、製造されるカラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等や、個体間での特性のばらつきの発生を確実に防止することができ、優れた生産性で、カラーフィルターを製造することができる。すなわち、カラーフィルター用インクが、上記のように比較的高濃度の着色剤を含む場合、本発明の効果がより顕著に発揮される。また、製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
<樹脂材料>
カラーフィルター用インクは、一般に、形成される着色部の基板に対する密着性を向上させる等の目的で、樹脂材料(バインダー樹脂)を含んでいる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、樹脂材料は、下記式(1)で表される単量体成分m1とカルボキシル基または酸無水物基を有する単量体成分m2と下記式(3)で表される単量体成分m3とを含む重合体Mを含む。
Figure 2011028022
Figure 2011028022
重合体Mを後に詳述するレベリング剤とともに含むことにより、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部を平坦性の高いものとすることができ、カラーフィルターを用いた表示画像の明度およびコントラスト比を優れたものとすることができ、色むら、濃度むらの発生を確実に防止することができる。
重合体Mは、カラーフィルター用インク中において、着色剤を均一に分布させ、カラーフィルター用インクの粘度を低く保つ機能を有する。特に、重合体Mは、顔料の周囲に存在して顔料の粒子同士の凝集を防止し、長期にわたって顔料の分散安定性を優れたものとして維持する。このため、上述したような理由により、平坦な着色部を形成できるとともに、製造されるカラーフィルターの明度、コントラスト比を優れたものとすることができる。
また、さらに、重合体Mは、着色剤(特に顔料)をインク中において均一に分布(分散)させることができる。また、後に詳述するレベリング剤とともに重合体Mを含むことにより、液滴吐出装置からのカラーフィルター用インクの液切れを良好なものとすることができ、カラーフィルター用インク(特に、カラーフィルター用インク中の固形分)のノズル(吐出口)への付着や、ノズル(吐出口)の目詰まりを効果的に防止することができる。このようなことから、インクを吐出部(ノズル)から吐出する際において、吐出されるインクの液滴の量の均一性、吐出される液滴の着弾精度等(吐出安定性ともいう)を長期にわたって優れたものとすることができる。
また、カラーフィルター用インクは重合体Mを含むことにより、基板上へのカラーフィルター用インクの濡れ広がりを良好なものとすることができ、気泡の混入等が確実に防止され、基板との密着性に優れた着色部を好適に形成することができる。
また、カラーフィルター用インクは重合体Mを含むことにより、着色剤を均一に分布させることのみならず、後述する分散剤の分散安定性も特に優れたものとすることができる。その結果、顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの長期保存性を特に優れたものとすることができる。
また、重合体Mを含むことにより、樹脂材料についての、所定温度以下では実質的に硬化反応を進行させず、それ以上の温度で効率よく硬化反応を進行させることができる特性(以下、「硬化反応のスイッチング特性」ともいう)や、形成される着色部の硬度等を特に優れたものとすることができ、カラーフィルターの耐久性を優れたものとすることができる。
また、重合体Mは、後述する樹脂成分(重合体X、重合体Y、重合体Z、重合体W)との親和性、相溶性に非常に優れているため、複数種の樹脂成分を含む場合であっても、カラーフィルター用インク中での樹脂材料の不本意な析出を防止し、優れた吐出安定性で液滴吐出を行うことができるとともに、形成される着色部においては、各樹脂成分の特長を十分に発揮させることができ、不本意な相分離による透明性の低下等の問題の発生を確実に防止することができる。また、カラーフィルター用インクの長期保存性(カラーフィルター用インクの寿命)が非常に優れたものとなり、大量生産したカラーフィルター用インクの作り置きによる品質の低下等の問題の発生が効果的に防止され、カラーフィルターの製造に際してカラーフィルター用インクの交換頻度を減らすことができるため、カラーフィルターの生産性、製造されるカラーフィルターの信頼性を優れたものとすることができる。
また、重合体Mは、機械的な力に対して極めて優れた安定性を有している。このため、後述するような製造方法を用いてカラーフィルター用インクを製造する際に(後述する微分散工程で)、原料として用いる顔料粒子の凝集体の微分散時に重合体Mを好適に用いることができる。これについては後述する。
以下、重合体Mについて詳細に説明する。
[重合体M]
重合体Mは、上記式(1)で表される単量体成分m1とカルボキシル基または酸無水物基を有する単量体成分m2と上記式(3)で表される単量体成分m3とを含むものである。
なお、重合体Mは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。
(単量体成分m1)
重合体Mは、上記式(1)で表される単量体成分m1、すなわち、ブロックされたイソシアネート基(以下、「ブロックイソシアネート基」ともいう)を有する化合物を単量体成分として含有してなるものである。なお、カラーフィルター用インクを構成する重合体Mは、分子内に、上記一般式(1)で表される単量体成分m1を複数種含むものであってもよい。
このような単量体成分m1を重合体M中に単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。すなわち、樹脂材料についての硬化反応のスイッチング特性を優れたものとすることができる。これは、以下のような理由によるものであると考えられる。すなわち、重合体M中における単量体成分m1が有するブロックイソシアネート基は、着色部形成工程(硬化工程)において付与されるような比較的高いエネルギーによって脱ブロック化し、活性なイソシアネート基が生成し、前記イソシアネート基とカルボキシル基または酸無水物基が硬化に寄与して、基板との密着性、耐熱性、耐薬品性等の向上を図れる一方で、比較的低いエネルギーが与えられた場合には、上記のような脱ブロック化が進行せず、硬化反応の進行が防止、抑制される。
式(1)で表される単量体Aにおいて、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは炭素数1以上8以下の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示す。Rはイソシアネート基のブロック剤RHの残基を示す。
における炭素数1以上8以下の2価の飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン基等の直鎖状または分岐鎖状の2価の飽和脂肪族炭化水素基(アルキレン基)が挙げられる。これらの中でも、エチレン、トリメチレン、プロピレン基等の炭素数2以上4以下の2価の飽和脂肪族炭化水素基が好ましい。
イソシアネート基のブロック剤RHとしては、例えば、ホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、メチルイソブチルケトキシム、ジエチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム等のオキシム系ブロック剤;3,5−ジメチルピラゾール等のピラゾール系ブロック剤;メタノール、エタノール等のアルコール系ブロック剤;フェノール、クレゾール等のフェノール系ブロック剤;ブチルメルカプタン等のメルカプタン系ブロック剤;アセトアニリド、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタム等の酸アミド系ブロック剤;マロン酸ジメチル、アセト酢酸メチル等の活性メチレン系ブロック剤;コハク酸イミド、マレイン酸イミド等のイミド系ブロック剤;尿素系ブロック剤;N−フェニルカルバミン酸フェニル等のカルバミン酸系ブロック剤;ジフェニルアミン、アニリン等のアミン系ブロック剤;エチレンイミン、ポリエチレンイミン等のイミン系ブロック剤等が挙げられる。
イソシアネート基のブロック剤としては、オキシム系ブロック剤、ピラゾール系ブロック剤が好ましく、下記式(5)で表されるものがより好ましい。
Figure 2011028022
式(5)中のRおよびRにおける炭素数1以上8以下のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル基等の直鎖状または分岐鎖状アルキル基が挙げられる。これらのなかでも、メチル、エチル、プロピル基等の炭素数1以上4以下の直鎖状または分岐鎖状アルキル基が好ましい。RおよびRが互いに結合して隣接する炭素原子とともに結合する環としては、例えば、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環等の3〜12員程度(好ましくは5または6員)のシクロアルカン環等が挙げられる。
式(1)で表される単量体成分m1の具体例としては、メタクリル酸2−[O−(1′−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル(=2−(1−メチルプロピリデンアミノオキシカルボニルアミノエチル)メタクリレート)(下記式(6)で表されるもの)、メタクリル酸2−(3,5−ジメチルピラゾール−1−イル)カルボニルアミノエチル(下記式(7)で表されるもの)等が挙げられる。
Figure 2011028022
Figure 2011028022
重合体M中における単量体成分m1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、1wt%以上99wt%以下(例えば10wt%以上95wt%以下)であるのが好ましく、20wt%以上90wt%以下であるのがより好ましく、25wt%以上88wt%以下であるのがさらに好ましい。重合体M中における単量体成分m1の含有率が前記範囲内の値であると、後に詳述する単量体成分m2、m3等の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体M中における単量体成分m1の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分m1を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体M中における単量体成分m1の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分m2、m3等の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。なお、重合体Mが複数種の単量体成分m1を含むものである場合、当該複数種の単量体成分m1の含有率の和が上記のような条件を満足するのが好ましい。また、重合体Mが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分m1の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Mが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分m1を含有しているのが好ましい。
(単量体成分m2)
重合体Mは、カルボキシル基または酸無水物基を有する単量体成分m2を単量体成分として含有してなるものである。なお、カラーフィルター用インクを構成する重合体Mは、分子内に複数種の単量体成分m2を含むものであってもよい。
このような単量体成分m2を重合体M中に単量体成分として含有することにより、基板上へのカラーフィルター用インクの濡れ広がりを良好なものとすることができ、気泡の混入等が確実に防止され、基板との密着性に優れた着色部を好適に形成することができる。また、単量体成分m2を単量体成分として含有することにより、顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの長期保存性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクが、後述するような重合体Zおよび/または重合体Wを含む場合においては、重合体Mとこれらの重合体(重合体Z、重合体W)との親和性、相溶性を十分に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルター用インクの吐出安定性を優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部は、透明性が特に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下がより効果的に防止され)、基板に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。
単量体成分m2としては、不飽和カルボン酸またはその酸無水物が挙げられる。単量体成分m2の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸等のα,β−不飽和カルボン酸およびその酸無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸等)等が挙げられ、中でも、アクリル酸、メタクリル酸(下記式(2)で表されるもの)が特に好ましい。
Figure 2011028022
重合体M中における単量体成分m2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、0.5wt%以上98wt%以下(例えば2.5wt%以上70wt%以下)であるのが好ましく、3wt%以上50wt%以下であるのがより好ましく、5wt%以上40wt%以下であるのがさらに好ましい。重合体M中における単量体成分m2の含有率が前記範囲内の値であると、上述した単量体成分m1や後に詳述する単量体成分m3等の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体M中における単量体成分m2の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分m2を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体M中における単量体成分m2の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分m1、m3等の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。なお、重合体Mが複数種の単量体成分m2を含むものである場合、当該複数種の単量体成分m2の含有率の和が上記のような条件を満足するのが好ましい。また、重合体Mが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分m2の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Mが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分m2を含有しているのが好ましい。
(単量体成分m3)
重合体Mは、上記式(3)で表される単量体成分m3((メタ)アクリル酸エステル)を単量体成分として含有してなるものである。なお、カラーフィルター用インクを構成する重合体Mは、分子内に、上記一般式(3)で表される単量体成分m3を複数種含むものであってもよい。
このような単量体成分m3を重合体M中に単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性を高いものとすることができる。また、単量体成分m3を重合体M中に単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インクの吐出安定性を優れたものとすることができる。また、単量体成分m3を重合体M中に単量体成分として含有することにより、顔料の分散安定性を優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの保存安定性(長期保存性)を優れたものとすることができる。
における炭素数16以上25以下の炭化水素基としては、例えば、ヘキサデシル(セチル)、ヘプタデシル、オクタデシル(ステアリル)、ノナデシル、イコシル、ドコシル(ベヘニル)基等のアルキル基;10−シクロヘキシルデシル、12−シクロヘキシルドデシル、14−シクロヘキシルテトラデシル、16−シクロヘキシルヘキサデシル基等の脂環式炭化水素基とアルキル基とが結合した基;10−フェニルデシル、12−フェニルドデシル、14−フェニルテトラデシル、16−フェニルヘキサデシル基等のアラルキル基等が挙げられる。
炭素数16以上25以下の炭化水素基が有していてもよい炭化水素基置換オキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ基等のアルコキシ基(例えば、炭素数1以上10以下のアルコキシ基);フェノキシ基等のアリールオキシ基;シクロヘキシルオキシ基、ジシクロペンタニルオキシ基等の脂環式炭化水素基置換オキシ基;ベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等の炭素数1以上15以下(好ましくは、炭素数1以上12以下)の炭化水素基置換オキシ基等が挙げられる。
単量体成分m3の具体例としては、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記のように、重合体Mを構成する単量体成分m3が有する炭化水素基(炭化水素基置換オキシ基を有していてもよい)の炭素数(以下、Rの炭素数ともいう)は、16以上25以下であるが、特に、16以上22以下であるのが好ましく、16以上20以下であるのがより好ましい。これにより、上述した効果は、さらに顕著に発揮される。これに対し、Rの炭素数が前記下限値未満である場合、または、前記上限値を超える場合には、上述したような優れた効果が得られない。このように、重合体Mは、所定の炭素数を有する基(R)を備えた単量体成分(単量体成分m3)を含む点に大きな一つの特徴を有するものである。
重合体M中における単量体成分m3の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、0.5wt%以上98wt%以下(例えば2.5wt%以上70wt%以下)であるのが好ましく、3wt%以上50wt%以下であるのがより好ましく、5wt%以上40wt%以下であるのがさらに好ましい。重合体M中における単量体成分m3の含有率が前記範囲内の値であると、上述した単量体成分m1、m2等の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体M中における単量体成分m3の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分m3を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体M中における単量体成分m3の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分m1、m2等の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。なお、重合体Mが複数種の単量体成分m3を含むものである場合、当該複数種の単量体成分m3の含有率の和が上記のような条件を満足するのが好ましい。また、重合体Mが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分m3の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Mが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分m3を含有しているのが好ましい。
重合体Mにおける単量体成分m1の比率(Cm1[wt%])と単量体成分m2の比率(Cm1[wt%])は、以下のような関係を満足するのが好ましい。すなわち、Cm1/Cm2は、2/98以上98/2以下であるのが好ましく、20/80以上95/5以下であるのがより好ましく、40/60以上95/5以下であるのがさらに好ましい。
また、重合体Mにおける単量体成分m1の比率(Cm1[wt%])と単量体成分m3の比率(Cm3[wt%])は、以下のような関係を満足するのが好ましい。すなわち、Cm1/Cm3は、2/98以上98/2以下であるのが好ましく、20/80以上95/5以下であるのがより好ましく、40/60以上95/5以下であるのがさらに好ましい。
重合体Mとしては、例えば、下記式(8)で表されるものがある。
Figure 2011028022
また、重合体Mは、上述した単量体成分m1、m2およびm3以外の成分を含むものであってもよい。これにより、例えば、上記のような特性を発揮しつつ、その他の単量体成分の化学構造に由来する効果も得ることができる。このような成分としては、例えば、以下に述べるような単量体成分m4、単量体成分m5、単量体成分m6、単量体成分m7等が挙げられる。
(単量体成分m4)
重合体Mは、下記式(4)で表される単量体成分m4((メタ)アクリル酸エステル)を単量体成分として含有してなるものであってもよい。
Figure 2011028022
重合体Mが単量体成分m4を含むことにより、液性媒体が親水性の高い場合であっても、カラーフィルター用インク中における樹脂材料の溶解性を優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の透明性を優れたものとすることができる。
単量体成分m4において、Rは、炭化水素基置換オキシ基を有していてもよい炭素数1以上15以下の炭化水素基を示すが、当該炭化水素基の炭素数は、1以上12以下であるのが好ましい。Rで示される炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、デシル基等のアルキル基;シクロヘキシル、ジシクロペンタニル、イソボルニル基等の脂環式炭化水素基;フェニル基等のアリール基;ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル基等のアラルキル基;これらが2以上結合した基等が挙げられる。
炭素数1以上15以下の炭化水素基が有していてもよい炭化水素基置換オキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ基等のアルコキシ基(例えば、炭素数1以上10以下のアルコキシ基);フェノキシ基等のアリールオキシ基;シクロヘキシルオキシ基、ジシクロペンタニルオキシ基等の脂環式炭化水素基置換オキシ基;ベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等の炭素数1以上15以下(好ましくは、炭素数1以上12以下)の炭化水素基置換オキシ基等が挙げられる。
単量体成分m4の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記のように、単量体成分m4が有する炭化水素基(炭化水素基置換オキシ基を有していてもよい)の炭素数(以下、Rの炭素数ともいう)は、1以上15以下であるが、特に、1以上8以下であるのが好ましく、1以上4以下であるのがより好ましい。これにより、上述した効果は、さらに顕著に発揮される。
上記のような単量体成分m4を含む重合体Mとしては、例えば、下記式(9)で表されるものがある。
Figure 2011028022
(単量体成分m5)
重合体Mは、芳香族ビニル化合物である単量体成分m5を単量体成分として含有してなるものであってもよい。
重合体Mが単量体成分m5を含むことにより、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部は、透明性に特に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下がより効果的に防止され)、基板に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が特に生じにくいものとなる。
単量体成分m5の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルビフェニル等が挙げられる。
(単量体成分m6)
重合体Mは、ヒドロキシル基含有化合物である単量体成分m6を単量体成分として含有してなるものであってもよい。
重合体Mが単量体成分m6を含むことにより、顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、着色部形成時における樹脂材料の硬化反応をより好適に進行させることができる。
単量体成分m6の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の、多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのモノエステル化物、上記多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのモノエステル化物にε−カプロラクトンを開環重合した化合物やエチレンオキサイド、もしくはプロピレンオキサイドを開環重合したヒドロキシル基含有化合物等が挙げられる。
(単量体成分m7)
重合体Mは、3〜5員の環状エーテル基を有するビニル化合物である単量体成分m7を単量体成分として含有してなるものであってもよい。
単量体成分m7(3〜5員の環状エーテル基を有するビニル化合物)には、オキシラン環(エポキシ基)含有重合性不飽和化合物、オキセタン環(オキセタニル基)含有重合性不飽和化合物、オキソラン環(オキソラニル基)含有重合性不飽和化合物が含まれる。
重合体Mが単量体成分m7を含むことにより、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の硬度や、基板に対する密着性等の更なる向上を図ることができる。
オキシラン環(エポキシ基)含有重合性不飽和化合物としては、例えば、オキシラニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−オキシラニルエチル(メタ)アクリレート、2−グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート等のオキシラン環(単環)を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体等);3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート等の3,4−エポキシシクロヘキサン環等のエポキシ基含有脂環式炭素環を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体等);5,6−エポキシ−2−ビシクロ[2.2.1]ヘプチル(メタ)アクリレート等の5,6−エポキシ−2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体等);エポキシ化ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート[3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、またはこれらの混合物]、エポキシ化ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート[2−(3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、またはこれらの混合物]、エポキシ化ジシクロペンテニルオキシブチル(メタ)アクリレート、エポキシ化ジシクロペンテニルオキシヘキシル(メタ)アクリレート等の3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体等)等が挙げられる。他のオキシラン環(エポキシ基)含有重合性不飽和化合物として、エポキシ基を含むビニルエーテル化合物、エポキシ基を含むアリルエーテル化合物、エポキシ基を含む芳香族ビニル化合物等を用いることもできる。エポキシ基を含む芳香族ビニル化合物としては、4−ビニルベンジルグリシジルエーテル、4−ビニルベンジルオキシラン、4−ビニルフェネチルオキシラン等のスチレン誘導体が挙げられる。
オキセタン環(オキセタニル基)含有重合性不飽和化合物としては、例えば、オキセタニル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレート、3−エチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、2−(3−メチル−3−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(3−エチル−3−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2−[(3−メチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]エチル(メタ)アクリレート、2−[(3−エチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]エチル(メタ)アクリレート、3−[(3−メチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]プロピル(メタ)アクリレート、3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]プロピル(メタ)アクリレートや、オキセタニル基を含むビニルエーテル化合物、オキセタニル基を含むアリルエーテル化合物等が挙げられる。
オキソラン環(オキソラニル基)含有重合性不飽和化合物としては、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートや、オキソラニル基を含むビニルエーテル化合物、オキソラニル基を含むアリルエーテル化合物等が挙げられる。
カラーフィルター用インクを構成する重合体Mが、上述したような単量体成分m7を含むものである場合、3〜5員の環状エーテル基(オキシラン環(エポキシ基)、オキセタン環(オキセタニル基)、オキソラン環(オキソラニル基))は硬化性基として作用する。3〜5員の環状エーテル基は、主に耐薬品性(耐溶剤性、耐アルカリ性等)の向上に寄与する。
重合体Mが、単量体成分m1、m2、m3に加え、さらに、単量体成分m4、m5、m6およびm7よりなる群から選択される少なくとも1種の単量体成分を含むものである場合、重合体M中における単量体成分m4、m5、m6およびm7の含有率の総和は、60wt%以下であるのが好ましく、50wt%以下であるのがより好ましく、40wt%以下であるのがさらに好ましい。これにより、上述した単量体成分m1、m2、m3を含むことによる効果を十分に発揮させつつ、単量体成分m4、m5、m6、m7を含むことによる効果が発揮される。
重合体Mの重量平均分子量は、500以上100000以下であるのが好ましく、1000以上40000以下であるのがより好ましく、2000以上30000以下であるのがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターについてのコントラスト比、明度を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクの保存安定性(長期安定性)、吐出安定性、形成される着色部の硬度等を優れたものとすることができる。
また、重合体Mの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1以上3以下であるのが好ましい。
また、カラーフィルター用インク中における重合体Mの含有率Cは、0.5wt%以上12wt%以下であるのが好ましく、1.0wt%以上9.0wt%以下であるのがより好ましい。
カラーフィルター用インク中における重合体Mの含有率は、0.6wt%以上13.0wt%以下であるのが好ましく、0.9wt%以上9.0wt%以下であるのがより好ましい。これにより、上述したような重合体Mを含むことによる効果(重合体Mとレベリング剤とを含むことによる効果)をより効果的に発揮させることができる。
また、本発明において、カラーフィルター用インクを構成する樹脂材料は、重合体Mを含むものであればよいが、樹脂材料中に占める重合体Mの割合は、10.0wt%以上であるのが好ましく、23.0wt%以上67.0wt%以下であるのがより好ましい。これにより、上述したような重合体Mを含むことによる効果(重合体Mとレベリング剤とを含むことによる効果)をより効果的に発揮させることができる。
上記のように本発明において、樹脂材料は、重合体Mを含むものであるが、重合体M以外の樹脂成分(重合体)をさらに含むものであってもよい。
このような樹脂成分(重合体)としては、以下に述べるような重合体X、重合体Y、重合体Z、重合体Wが挙げられる。
以下に述べる重合体Xおよび重合体Yは、主に着色部を硬質なものとして形成することに寄与する。カラーフィルター用インクが重合体Mとともに重合体X、Yを含むことにより、形成される着色部はより硬質なものとなり、製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。すなわち、より長期にわたってカラーフィルターの明度およびコントラスト比が優れたものとして維持される。また、重合体X、重合体Yは、上述したような重合体Mとの親和性に優れ、重合体X、重合体Yを含む場合であっても、カラーフィルター用インクの粘度を低いものとすることができる。さらに、カラーフィルター用インクに重合体X、重合体Yを比較的多量に含ませた場合であっても、カラーフィルター用インクの粘度を低いものとして維持することができるため、重合体X、重合体Yの特長を十分に発揮させつつ、カラーフィルター用インクの吐出安定性を十分に優れたものとすることができる。
[重合体X]
重合体Xは、下記式(11)で表される単量体成分x1と下記式(13)で表される単量体成分x3と下記式(14)で表される単量体成分x4とを含むものである。重合体Xとしては、例えば、下記式(17)で表されるものがある。
Figure 2011028022
Figure 2011028022
Figure 2011028022
Figure 2011028022
このような重合体Xを含むことにより、樹脂材料全体としての硬化反応のスイッチング特性や、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の耐溶剤性等を特に優れたものとすることができ、製造されるカラーフィルターの耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。また、重合体Xを含むことにより、カラーフィルター用インク中における各重合体成分の親和性、相溶性(特に、重合体Xの、重合体Mや重合体Y、重合体Z、重合体Wとの親和性、相溶性)を十分に優れたものとすることができるため、重合体Xの特長を十分に発揮させつつ、カラーフィルター用インクの吐出安定性を優れたものとし、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の透明性を高いとすることができる。このようなことから、製造されるカラーフィルターの耐久性等を特に優れたものとしつつ、カラーフィルターを用いた表示画像の明度、コントラスト比を優れたものとし、また、カラーフィルターの各部位での色むら、濃度むらの発生等の不都合を確実に防止することができる。
なお、重合体Xは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Xが複数種の化合物の混合物である場合、各化合物が、単量体成分x1、x3およびx4を含有するものである。
(単量体成分x1)
重合体Xは、上記式(11)で表される単量体成分x1を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分x1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)をより好適に進行させることができる。すなわち、単量体成分x1を含有することにより、樹脂材料についての硬化反応のスイッチング特性を特に優れたものとすることができる。また、単量体成分x1を単量体成分として含有することにより、例えば、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を優れたものとすることができる。また、単量体成分x1を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の硬度等を優れたものとすることができる。
重合体X中における単量体成分x1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、30wt%以上90wt%以下であるのが好ましく、40wt%以上80wt%以下であるのがより好ましい。重合体X中における単量体成分x1の含有率が前記範囲内の値であると、後に詳述する単量体成分x2、x3、x4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体X中における単量体成分x1の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x1を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体成分x1の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分x2、x3、x4の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。また、重合体Xの高温での反応速度が低下し、十分に優れた生産性でカラーフィルターを製造するのが困難となる。なお、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分x1の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x1を含有しているのが好ましい。
(単量体成分x2)
重合体Xは、下記式(12)で表される単量体成分x2を単量体成分として含有してなるものであってもよい。
Figure 2011028022
このような単量体成分x2を単量体成分として含有すること(特に、上述した単量体成分x1や後に詳述する単量体成分x3とともに含有すること)により、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)をより好適に進行させることができる。特に、加熱環境下での着色部形成工程(硬化工程)において、樹脂材料の重合反応の立ち上がりをより良好なものとすることができるとともに、継続的に重合反応の進行させることができる。また、単量体成分x2を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の硬度等を特に優れたものとすることができる。
単量体成分x2を単量体成分として含有する重合体Xとしては、例えば、下記式(19)で表されるものがある。
Figure 2011028022
重合体X中における単量体成分x2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、5wt%以上60wt%以下であるのが好ましく、10wt%以上50wt%以下であるのがより好ましい。重合体X中における単量体成分x2の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分x1および後に詳述する単量体成分x3、x4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体X中における単量体成分x2の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x2を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体成分x2の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分x1、x3、x4の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。また、重合体Xの比較的低温での反応性が増し、カラーフィルター用インクの保存安定性が低下する傾向が現れる。なお、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分x2の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x2を含有しているのが好ましい。
(単量体成分x3)
重合体Xは、上記式(13)で表される単量体成分x3を単量体成分として含有してなるものである。
単量体成分x3を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の耐薬品性、耐溶剤性等を特に優れたものとすることができる。これにより、着色部形成工程(硬化工程)の後に、薬品塗布や洗浄(特に、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、イソプロピルアルコール、塩酸、水酸化ナトリウム水溶液等を用いた洗浄)等の後処理を行った場合であっても、これらによる悪影響の発生を確実に防止することができる。
また、単量体成分x3は、重合体Xにおいて、上述した単量体成分x1と同様に、比較的低い温度(例えば、100℃以下)での反応性が十分に低いのに対し、着色部形成工程(硬化工程)で施す熱処理のような加熱環境下では、十分な反応性を示すものである。このため、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。
また、単量体成分x3を単量体成分として含有することにより、例えば、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
重合体X中における単量体成分x3の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、2wt%以上20wt%以下であるのが好ましく、3wt%以上15wt%以下であるのがより好ましい。重合体X中における単量体成分x3の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分x1、x2および後に詳述する単量体成分x4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体X中における単量体成分x3の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x3を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体成分x3の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分x1、x2、x4の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部が硬くなりすぎ、温度変化に伴う基板等の変形に対する追従性が低下する傾向が現れる。なお、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分x3の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x3を含有しているのが好ましい。
(単量体成分x4)
重合体Xは、上記式(14)で表される単量体成分x4を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分x4を単量体成分として含有することにより、着色部の形成時、基板上に付与されたカラーフィルター用インクから液性媒体を除去する際に、固形分濃度の上昇に伴ってカラーフィルター用インクのチキソトロピック性および粘度が上昇し、形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じることをより確実に防止することができる。
また、単量体成分x4は、その末端に水酸基を有している。このような構造を有することにより、比較的低い温度(例えば、100℃以下)における反応性を十分に低いものとしつつ、着色部形成工程(硬化工程)で施す熱処理のような加熱環境下における反応性をさらに高めることができる。これにより、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)をより好適に進行させることができる。
また、単量体成分x4を単量体成分として含有することにより、例えば、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
重合体X中における単量体成分x4の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、2wt%以上20wt%以下であるのが好ましく、3wt%以上15wt%以下であるのがより好ましい。重合体X中における単量体成分x4の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分x1、x2、x3の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体X中における単量体成分x4の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x4を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体成分x4の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分x1、x2、x3の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の硬度が低下する傾向が現れる。なお、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分x4の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x4を含有しているのが好ましい。
なお、重合体Xは、上述した単量体成分x1、x2、x3、x4以外の単量体成分(その他の単量体成分)を含むものであってもよい。これにより、例えば、上記のような特性を発揮しつつ、その他の単量体成分の化学構造に由来する効果も得ることができる。
重合体Xが、その他の単量体成分(単量体成分x1、x2、x3、x4以外の単量体成分)を含むものである場合、重合体X中におけるその他の単量体成分の含有率(複数種のその他の単量体成分を含む場合にはこれらの含有率の和)は、15wt%以下であるのが好ましく、10wt%以下であるのがより好ましい。
重合体Xの重量平均分子量は、1000以上50000以下であるのが好ましく、1200以上10000以下であるのがより好ましく、1500以上5000以下であるのがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの経時的安定性(長期保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルターの生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性をより確実に高いものとすることができ、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
また、重合体Xの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1以上3以下であるのが好ましい。
[重合体Y]
重合体Yは、下記式(15)で表される単量体成分y1を含むものである。重合体Yとしては、例えば、下記式(18)で表されるものがある。
Figure 2011028022
Figure 2011028022
このような重合体Yを含むことにより、カラーフィルター用インクの吐出安定性等を優れたものとしつつ、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の基板に対する密着性を特に優れたものとすることができ、製造されるカラーフィルターの耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができ、結果として、長期にわたって表示画像の明度およびコントラスト比を安定的に優れたものとすることができる。
なお、重合体Yは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Yが複数種の化合物の混合物である場合、各化合物が、単量体成分y1を含有するものである。
(単量体成分y1)
重合体Yは、上記式(15)で表される単量体成分y1を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分y1を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の基板に対する密着性を特に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
重合体Y中における単量体成分y1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、30wt%以上90wt%以下であるのが好ましく、40wt%以上80wt%以下であるのがより好ましい。重合体Y中における単量体成分y1の含有率が前記範囲内の値であると、例えば、重合体Yが単量体成分として後に詳述する単量体成分y2を含む場合において、当該単量体成分y2の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体Y中における単量体成分y1の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分y1を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体Y中における単量体成分y1の含有率が前記上限値を超えると、例えば、重合体Yが単量体成分として後に詳述する単量体成分y2を含む場合において、相対的に単量体成分y2の含有率が低下し、単量体成分y2の機能が十分に発揮されない可能性がある。また、着色部の形成時、基板上に付与されたカラーフィルター用インクから液性媒体を除去する際に、固形分濃度の上昇に伴ってカラーフィルター用インクの粘度が上昇する傾向が現れ、形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じ易くなる。なお、重合体Yが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分y1の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Yが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分y1を含有しているのが好ましい。
(単量体成分y2)
重合体Yは、下記式(16)で表される単量体成分y2を単量体成分として含有してなるものであってもよい。
Figure 2011028022
このような単量体成分y2を単量体成分として含有すること(特に、上述した単量体成分y1とともに含有すること)により、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)をより確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。特に、加熱環境下での着色部形成工程(硬化工程)において、樹脂材料の重合反応の立ち上がりを良好なものとすることができるとともに、継続的に重合反応の進行させることができる。また、単量体成分y2を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の硬度等を優れたものとすることができる。
また、重合体Yが単量体成分y2を含有することにより、重合体M等との親和性、相溶性を十分に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルター用インクの吐出安定性を優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部は、透明性に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下が防止され)、基板に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。これに対し、単量体成分y2を単量体成分として含有しない場合、重合体M等との親和性、相溶性を十分に優れたものとすることができず、カラーフィルター用インクは、吐出安定性に劣ったものとなり、また、製造されるカラーフィルターは、色むらや濃度むらが発生し易く、コントラストや耐久性、信頼性等を十分に優れたものとするのが困難となる可能性がある。
単量体成分y2を単量体成分として含有する重合体Yとしては、例えば、下記式(20)で表されるものがある。
Figure 2011028022
重合体Y中における単量体成分y2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、10wt%以上70wt%以下であるのが好ましく、20wt%以上60wt%以下であるのがより好ましい。重合体Y中における単量体成分y2の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分y1の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体Y中における単量体成分y2の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分y2を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体Y中における単量体成分y2の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分y1の含有率が低下し、単量体成分y1の機能が十分に発揮されない可能性がある。また、重合体Yの比較的低温での反応性が増し、カラーフィルター用インクの保存安定性が低下する傾向が現れる。なお、重合体Yが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分y2の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Yが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分y2を含有しているのが好ましい。
なお、重合体Yは、上述した単量体成分y1、y2以外の単量体成分(その他の単量体成分)を含むものであってもよい。これにより、例えば、上記のような特性を発揮しつつ、その他の単量体成分の化学構造に由来する効果も得ることができる。
重合体Yが、その他の単量体成分(単量体成分y1、y2以外の単量体成分)を含むものである場合、重合体Y中におけるその他の単量体成分の含有率(複数種のその他の単量体成分を含む場合にはこれらの含有率の和)は、15wt%以下であるのが好ましく、10wt%以下であるのがより好ましい。
重合体Yの重量平均分子量は、1000以上50000以下であるのが好ましく、1200以上10000以下であるのがより好ましく、1500以上5000以下であるのがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの経時的安定性(長期保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルターの生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性をより確実に高いものとすることができ、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
また、重合体Yの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1以上3以下であるのが好ましい。
[重合体Z]
重合体Zは、下記式(21)で表される単量体成分z1と下記式(22)で表される単量体成分z2と下記式(23)で表される単量体成分z3とを含むものである。重合体Zとしては、例えば、下記式(24)で表されるものがある。
Figure 2011028022
Figure 2011028022
Figure 2011028022
Figure 2011028022
このような重合体Zを含むことにより、樹脂材料としての硬化反応のスイッチング特性、カラーフィルター用インクの吐出安定性、形成される着色部の硬度等を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルター用インクが顔料を含む場合には、顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、重合体Zを含むことにより、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルターを用いた表示画像の明度およびコントラスト比を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら、濃度むらの発生をより効果的に防止することができる。これは、基板上に付与されたカラーフィルター用インクから液性媒体を除去して着色部を形成する際に、顔料粒子の凝集を効果的に防止することができるためであると考えられる。また、重合体Zを含むことにより、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクが顔料を含むものである場合には、カラーフィルター用インクの保存安定性を特に優れたものとすることができる。また、重合体Zを含むことにより、形成される着色部は十分な硬度を有しながらも、適度な柔軟性を有するものとなるため、着色部と基板との密着性が特に優れたものとなるとともに、クラック等の不具合の発生をより確実に防止することができる。また、重合体Zを含むことにより、後述するような製造方法を用いてカラーフィルター用インクを製造する際に(後述する微分散工程で)、原料として用いる顔料粒子の凝集体をより容易に微粒子化(解砕)することができ、カラーフィルター用インクの生産性をさらに向上させることができる。また、重合体Zは、機械的な力に対して極めて優れた安定性を有しているため、顔料とともに後述する微分散工程に供された場合であっても、当該工程における変性、劣化が防止される。したがって、重合体Zを用いることにより、樹脂材料の劣化等を確実に防止しつつ、顔料の分散性に優れたカラーフィルター用インクを効率よく調製することができる。

なお、重合体Zは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Zが複数種の化合物の混合物である場合、各化合物が、単量体成分z1、z2およびz3を含有するものである。
(単量体成分z1)
重合体Zは、上記式(21)で表される単量体成分z1を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分z1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)をより好適に進行させることができる。すなわち、樹脂材料についての硬化反応のスイッチング特性を優れたものとすることができる。また、単量体成分z1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、単量体成分z1は、重合体Zにおいて、高温環境下での反応性に優れる一方で、機械的な力に対しては極めて優れた安定性を有している。このため、顔料とともに後述する微分散工程に供された場合であっても、本工程における重合体Zの変性、劣化が防止され、カラーフィルター用インクにおいて、重合体Zの機能を確実に発揮することができる。また、単量体成分z1を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の硬度等を優れたものとすることができる。
また、重合体Zが単量体成分z1を含有することにより、重合体X等との親和性、相溶性を十分に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルター用インクが重合体X等を含む場合において、各重合体の機能を十分に発揮させつつ、カラーフィルター用インクの吐出安定性を優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部は、透明性が特に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下がより効果的に防止され)、基板に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。
重合体Z中における単量体成分z1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、50wt%以上95wt%以下であるのが好ましく、60wt%以上85wt%以下であるのがより好ましい。重合体Z中における単量体成分z1の含有率が前記範囲内の値であると、後に詳述する単量体成分z2、z3の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。なお、重合体Zが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分z1の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Zが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分z1を含有しているのが好ましい。
(単量体成分z2)
重合体Zは、上記式(22)で表される単量体成分z2を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分z2を単量体成分として含有することにより、基板上へのカラーフィルター用インクの濡れ広がりを良好なものとすることができ、気泡の混入等が確実に防止され、基板との密着性に優れた着色部を好適に形成することができる。また、カラーフィルター用インクが顔料に加え分散剤を含むものである場合においては、単量体成分z2を単量体成分として含有することにより、顔料の分散安定性のみならず、分散剤の分散安定性も特に優れたものとすることができる。その結果、顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの長期保存性を特に優れたものとすることができる。
重合体Z中における単量体成分z2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、3wt%以上35wt%以下であるのが好ましく、10wt%以上25wt%以下であるのがより好ましい。重合体Z中における単量体成分z2の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分z1および後に詳述する単量体成分z3の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。なお、重合体Zが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分z2の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Zが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分z2を含有しているのが好ましい。
(単量体成分z3)
重合体Zは、上記式(23)で表される単量体成分z3を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分z3は、前述した単量体成分x1、x2等と同様に、後述する着色部形成工程(硬化工程)において、樹脂材料の硬化に寄与する成分であるが、単量体成分x1、x2等が、形成される着色部の硬度を高いものとする機能を有しているのに対し、単量体成分z3は、形成される着色部に適度な柔軟性を与え、着色部が設けられる基板等に変形(例えば、熱膨張、熱収縮等)が生じた場合であっても、その変形に追従し、基板等に対する着色部の密着性を保持させる機能を有している。これにより、例えば、製造されるカラーフィルターが画像表示に伴う急激な温度変化に繰り返しさらされた場合においても良好な密着性を保持することができ、光漏れ(白抜け、輝点)等の問題が発生するのをより確実に防止することができる。すなわち、カラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
また、単量体成分z3は、重合体Zにおいて、比較的低い温度(例えば、100℃以下)では反応性が十分に低いのに対し、着色部形成工程(硬化工程)で施す熱処理のような加熱環境下においては、十分な反応性を有するものである。このため、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。
また、単量体成分z3を単量体成分として含有することにより、着色部の形成時、基板上に付与されたカラーフィルター用インクから液性媒体を除去する際に、固形分濃度の上昇に伴ってカラーフィルター用インクのチキソトロピック性および粘度が上昇し、形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じることを確実に防止することができる。
重合体Z中における単量体成分z3の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、2wt%以上30wt%以下であるのが好ましく、5wt%以上20wt%以下であるのがより好ましい。重合体Z中における単量体成分z3の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分z1、z2の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。なお、重合体Zが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分z3の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Zが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分z3を含有しているのが好ましい。
なお、重合体Zは、上述した単量体成分z1、z2、z3以外の単量体成分(その他の単量体成分)を含むものであってもよい。これにより、例えば、上記のような特性を発揮しつつ、その他の単量体分の化学構造に由来する効果も得ることができる。
重合体Zが、その他の単量体成分(単量体成分z1、z2、z3以外の単量体成分)を含むものである場合、重合体Z中におけるその他の単量体成分の含有率(複数種のその他の単量体成分を含む場合にはこれらの含有率の和)は、15wt%以下であるのが好ましく、10wt%以下であるのがより好ましい。
重合体Zの重量平均分子量は、5000以上50000以下であるのが好ましく、6000以上15000以下であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの経時的安定性(長期保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルターの生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性をより確実に高いものとすることができ、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
また、重合体Zの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1以上3以下であるのが好ましい。
[重合体W]
重合体Wは、下記式(25)で表される単量体成分w1と下記式(26)で表される単量体成分w2と下記式(27)で表される単量体成分w3と下記式(28)で表される単量体成分w4とを含むものである。重合体Wとしては、例えば、下記式(29)で表されるものがある。
Figure 2011028022
Figure 2011028022
Figure 2011028022
Figure 2011028022
Figure 2011028022
このような重合体Wを含むことにより、樹脂材料としての硬化反応のスイッチング特性、カラーフィルター用インクの吐出安定性、形成される着色部の硬度等を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルター用インクが顔料を含む場合には、顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、重合体Wを含むことにより、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルターを用いた表示画像の明度およびコントラスト比を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら、濃度むらの発生をより効果的に防止することができる。これは、基板上に付与されたカラーフィルター用インクから液性媒体を除去して着色部を形成する際に、顔料粒子の凝集を効果的に防止することができるためであると考えられる。また、重合体Wを含むことにより、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクが顔料を含むものである場合には、カラーフィルター用インクの保存安定性を特に優れたものとすることができる。また、重合体Wを含むことにより、形成される着色部は十分な硬度を有しながらも、適度な柔軟性を有するものとなるため、着色部と基板との密着性が特に優れたものとなるとともに、クラック等の不具合の発生をより確実に防止することができる。また、重合体Wを含むことにより、後述するような製造方法を用いてカラーフィルター用インクを製造する際に(後述する微分散工程で)、原料として用いる顔料粒子の凝集体をより容易に微粒子化(解砕)することができ、カラーフィルター用インクの生産性をさらに向上させることができる。また、重合体Wは、機械的な力に対して極めて優れた安定性を有しているため、顔料とともに後述する微分散工程に供された場合であっても、当該工程における変性、劣化が防止される。したがって、重合体Wを用いることにより、樹脂材料の劣化等を確実に防止しつつ、顔料の分散性に優れたカラーフィルター用インクを効率よく調製することができる。
なお、重合体Wは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Wが複数種の化合物の混合物である場合、各化合物が、単量体成分w1、w2、w3およびw4を含有するものである。
(単量体成分w1)
重合体Wは、上記式(25)で表される単量体成分w1を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分w1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)をより好適に進行させることができる。すなわち、樹脂材料についての硬化反応のスイッチング特性を優れたものとすることができる。また、単量体成分w1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、単量体成分w1は、重合体Wにおいて、高温環境下での反応性に優れる一方で、機械的な力に対しては極めて優れた安定性を有している。このため、顔料とともに後述する微分散工程に供された場合であっても、本工程における重合体Wの変性、劣化が防止され、カラーフィルター用インクにおいて、重合体Wの機能を確実に発揮することができる。また、単量体成分w1を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の硬度等を優れたものとすることができる。
また、重合体Wが単量体成分w1を含有することにより、重合体X等との親和性、相溶性を十分に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルター用インクが重合体X等を含む場合において、各重合体の機能を十分に発揮させつつ、カラーフィルター用インクの吐出安定性を優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部は、透明性が特に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下がより効果的に防止され)、基板に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。
重合体W中における単量体成分w1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、25wt%以上75wt%以下であるのが好ましく、40wt%以上60wt%以下であるのがより好ましい。重合体W中における単量体成分w1の含有率が前記範囲内の値であると、後に詳述する単量体成分w2、w3、w4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。なお、重合体Wが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分w1の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Wが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分w1を含有しているのが好ましい。
(単量体成分w2)
重合体Wは、上記式(26)で表される単量体成分w2を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分w2を単量体成分として含有することにより、基板上へのカラーフィルター用インクの濡れ広がりを良好なものとすることができ、気泡の混入等が確実に防止され、基板との密着性に優れた着色部を好適に形成することができる。また、カラーフィルター用インクが顔料に加え分散剤を含むものである場合においては、単量体成分w2を単量体成分として含有することにより、顔料の分散安定性のみならず、分散剤の分散安定性も特に優れたものとすることができる。その結果、顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの長期保存性を特に優れたものとすることができる。
重合体W中における単量体成分w2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、2wt%以上25wt%以下であるのが好ましく、5wt%以上15wt%以下であるのがより好ましい。重合体W中における単量体成分w2の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分w1および後に詳述する単量体成分w3、w4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。なお、重合体Wが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分w2の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Wが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分w2を含有しているのが好ましい。
(単量体成分w3)
重合体Wは、上記式(27)で表される単量体成分w3を単量体成分として含有してなるものである。
単量体成分w3を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の耐薬品性、耐溶剤性等を特に優れたものとすることができる。これにより、着色部形成工程(硬化工程)の後に、薬品塗布や洗浄(特に、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、イソプロピルアルコール、塩酸、水酸化ナトリウム水溶液等を用いた洗浄)等の後処理を行った場合であっても、これらによる悪影響の発生をより確実に防止することができる。
また、単量体成分w3は、重合体(重合体W)中において、比較的低い温度(例えば、100℃以下)では反応性が十分に低いのに対し、着色部形成工程(硬化工程)で施す熱処理のような加熱環境下では、十分な反応性を有するものである。このため、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。
また、単量体成分w3を単量体成分として含有することにより、例えば、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を優れたものとすることができる。
重合体W中における単量体成分w3の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、5wt%以上50wt%以下であるのが好ましく、10wt%以上40wt%以下であるのがより好ましい。重合体W中における単量体成分w3の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分w1、w2および後に詳述する単量体成分w4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。なお、重合体Wが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分w3の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Wが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分w3を含有しているのが好ましい。
(単量体成分w4)
重合体Wは、上記式(28)で表される単量体成分w4を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分w4を単量体成分として含有することにより、着色部の形成時、基板上に付与されたカラーフィルター用インクから液性媒体を除去する際に、固形分濃度の上昇に伴ってカラーフィルター用インクのチキソトロピック性および粘度が上昇し、形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じることをより確実に防止することができる。
また、単量体成分w4を単量体成分として含有することにより、樹脂材料全体としての疎水性を好適に調整することができ、樹脂材料を構成する各重合体の親和性、相溶性を特に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部は、透明性に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下が防止され)、基板に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。
重合体W中における単量体成分w4の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、3wt%以上40wt%以下であるのが好ましく、5wt%以上30wt%以下であるのがより好ましい。重合体W中における単量体成分w4の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分w1、w2、w3の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。なお、重合体Wが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分w4の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Wが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分w4を含有しているのが好ましい。
重合体Wの重量平均分子量は、5000以上50000以下であるのが好ましく、6000以上15000以下であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの経時的安定性(長期保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルターの生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性をより確実に高いものとすることができ、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
また、重合体Wの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1以上3以下であるのが好ましい。
なお、上述した各重合体は、最終的に上述したような構造(各単量体成分に対応する各部分構造)を有していればよく、上述した各単量体成分そのものを用いて合成されたものであってもよいし、上述した単量体成分とは異なる成分(前駆体、誘導体等)を用いて合成されたものであってもよい。
また、カラーフィルター用インク中における樹脂材料の含有率は、0.5wt%以上18wt%以下であるのが好ましく、1.0wt%以上15wt%以下であるのがより好ましく、3.0wt%以上12wt%以下であるのがさらに好ましい。
また、カラーフィルター用インク中における樹脂材料の含有率をC[wt%]、カラーフィルター用インク中における顔料の含有率をC[wt%]としたとき、0.2≦C/C≦9.0の関係を満足するのが好ましく、0.3≦C/C≦5.0の関係を満足するのがより好ましく、0.4≦C/C≦3.5の関係を満足するのがさらに好ましい。このような関係を満足することにより、製造されるカラーフィルターのコントラスト等をより優れたものとすることができたり、着色部厚さをより薄いものとした場合であっても十分なコントラストを確保することができる。なお、従来のカラーフィルター用インクでは、顔料の含有率に対する樹脂材料の含有率を低いものとした場合、形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じる等の不都合を生じやすかったが、本発明では、上記のように、顔料の含有率に対する樹脂材料の含有率を低いものとした場合であっても、形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じることを確実に防止することができる。すなわち、上記のような関係を満足することにより、本発明の効果はより顕著に発揮される。
なお、カラーフィルター用インクを構成する樹脂材料は、上述した以外の重合体(例えば、熱可塑性の重合体や上述した重合体M、X、Y、Z、W以外の硬化性の重合体)を含むものであってもよい。
<レベリング剤>
レベリング剤は、着色部の形成時において、塗膜表面に薄い膜状に広がることで表面張力の均一化を図ることにより、着色部の平坦化に寄与する成分である。
このようなレベリング剤と、上述したような樹脂材料とを併用することにより、形成される着色部表面の平坦性を高いものとすることができ、上述したような理由により、形成される着色部は、平坦かつ着色剤が均一に分布するものとなり、カラーフィルターはコントラスト比および明度に優れたものとなる。
レベリング剤としては、例えば、アクリル系レベリング剤、ビニルエーテル系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤、フッ素−ケイ素系レベリング剤等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
以下、上記各種レベリング剤について詳細に説明する。
(アクリル系レベリング剤)
アクリル系レベリング剤は、分子内に(メタ)アクリル酸またはそのエステルを部分構造として含むものである。このようなアクリル系レベリング剤を含むことにより、平坦な着色部を確実に形成することができ、カラーフィルターを用いた表示画像の明度およびコントラスト比を十分に優れたものとすることができるとともに、液滴吐出装置のノズルプレートへのカラーフィルター用インクの撥液性が低下し、カラーフィルター用インクの固形分が付着し、液滴の吐出安定性が低下するのを効果的に防止することができる。その結果、製造されるカラーフィルターにおける色むら、濃度むらの発生をより効果的に防止することができる。また、液滴吐出装置の洗浄(特に、ノズルプレート周辺の洗浄)の頻度を少なくすることができるため、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。
カラーフィルター用インクを構成するアクリル系レベリング剤は、(メタ)アクリル酸とアルコールROH(ただし、Rは炭化水素基)とのエステルのみを構成モノマーとする重合体であるのが好ましい。すなわち、アクリル系レベリング剤は、分子内に、エポキシ基、シリル基、ハロゲン原子、エーテル基、ブロックイソシアネート基、エステル化されていないカルボキシル基等を含まないものであるのが好ましい。これにより、アクリル系レベリング剤のカラーフィルター用インク中における流動性を高いものとしつつ、液滴の吐出安定性、カラーフィルターの明度およびコントラスト比を特に優れたものとすることができる。
本発明で用いることが可能なアクリル系レベリング剤の具体例としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、nーブチルアクリレート、nーブチルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタリレート等を単独で重合した重合体、または、2種類以上を共重合した共重合体を挙げることができる。
また、アクリル系レベリング剤の重量平均分子量は、1000以上100000以下であるのが好ましく、1000以上60000以下であるのがより好ましい。これにより、アクリル系レベリング剤のカラーフィルター用インク中における流動性を高いものとしつつ、液滴の吐出安定性、カラーフィルターの明度およびコントラスト比を特に優れたものとすることができる。
また、アクリル系レベリング剤の溶解度パラメータは、8.0以上9.5以下であるのが好ましく、8.19以上8.78以下であるのがより好ましい。これにより、後述する液性媒体や前述したような樹脂材料との親和性をより高いものとすることができ、レベリング剤を含むことによる本発明の効果をより顕著なものとすることができる。
なお、溶解性パラメータ(SP値)δ[(cal/cm1/2]は、複数の物質の相溶性および親和性の指標として用いられるものであり、下記式(A)に表される式で定義される。
Figure 2011028022
ただし、ΔE[10N・m・mol−1]は蒸発熱、V[m・mol−1]は1molあたりの体積である。二つの物質の溶解性パラメータの差は、その二つの物質が相溶するために必要なエネルギーと密接な関係が有り、溶解性パラメータの差が小さいほど二つの物質が相溶するために必要なエネルギーは小さなものとなる。すなわち、二つの物質が存在した場合、一般に、溶解性パラメータの差が小さいほど、親和性が高く、相溶性が高いものとなる。
溶解性パラメータは、実験によって求めることもできるが、計算によって求めることもできる。計算によって溶解性パラメータを求める方法は、いくつか提案されており、例えば、比較的高分量の材料に関しては、Smallの方法(P.A.Small:J.Appl.Chem,3,71(1953))を用いることができる。また、比較的低分子量の材料に関しては、Hildebrandの方法 (J.H.Hildebrand and R.L.Scott:The Solubility of Non−Electrolytes,ACS Monograph Series,1950)を用いることができる。これらの方法を用いることにより、溶解性パラメータをより妥当な値として得ることができ、溶解パラメータを求めることが容易なものとなる。
以上のようなアクリル系レベリング剤の市販品としては、例えば、ディスパロンOX−880EF、ディスパロンOX−881、ディスパロンOX−883、ディスパロンOX−883HF、ディスパロンOX−70、ディスパロンOX−77EF、ディスパロンOX−60、ディスパロンOX−710、ディスパロンOX−720、ディスパロンOX−720EF、ディスパロンOX−750HF、ディスパロンLAP−10、ディスパロンLAP−20、ディスパロンLAP−30、ディスパロン1970、ディスパロン230、ディスパロンLF−1980、ディスパロンLF−1982、ディスパロンLF−1983、ディスパロンLF−1984、ディスパロンLF−1985、ディスパロンLHP−95、ディスパロンLHP−96、ディスパロンUVX−35、ディスパロンUVX−36、ディスパロンUVX−39、ディスパロンAQ−200(以上、楠本化成社製)、BYK−350、BYK−352、BYK−354、BYK−355、BYK−358N/361N、BYK−380N、BYK−381、BYK−392(以上、ビックケミー・ジャパン製)等が挙げられる。
また、カラーフィルター用インク中にアクリル系レベリング剤を含む場合、アクリル系レベリング剤の含有量は、特には限定されないが、0.1wt%以上10wt%以下であるのが好ましく、0.2wt%以上1.0wt%以下であるのがより好ましい。これにより、上述したような効果をより顕著に得ることができる。
(ビニルエーテル系レベリング剤)
ビニルエーテル系レベリング剤としては、下記式(36)に示す化合物を用いるのが好ましい。
Figure 2011028022
(式(36)中、R1は、アルキル基である。また、nは1以上の整数である。)
ビニルエーテル系レベリング剤中における置換基R1は、ビニルエーテル系レベリング剤において、液性媒体や前述したような樹脂材料との親和性を調整する機能を有するものである。置換基R1は、アルキル基であればよいが、中でも、炭素数が1以上8以下のアルキル基であるのが好ましい。これにより、液性媒体や樹脂材料との親和性に特に優れたものとなる。このため、ビニルエーテル系レベリング剤は、より顕著に上述したような効果を発現することができ、カラーフィルター用インクは、液滴の吐出安定性に特に優れ、基板に対し、より均一かつ容易に濡れ広がることができる。
置換基R1の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられ、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。上述した中でも、置換基R1は、イソブチル基であるのが好ましい。これにより、形成される着色部は、その表面の平滑性がより高いものとなり、透過光が不本意に反射することがより効果的に防止され、明度およびコントラスト比が特に高いものとなる。
また、ビニルエーテル系レベリング剤は、上述したような構造のモノマー単位の以外のモノマー単位を含む共レベリング剤であってもよい。このようなモノマー単位を形成するのに用いるモノマーとしては、例えば、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、モルホリンエチルビニルエーテル等の窒素含有ビニルエーテル類、酢酸ビニル等のビニルエステル類、アリルフェニルエーテル等のアリルエーテル類、酢酸アリル等のアリルエステル類、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類、ジイソプロピルフマレート、ジシクロヘキシルフマレート等のフマル酸ジエステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
このようにビニルエーテル系レベリング剤が共レベリング剤である場合、上記式(36)で表されるモノマー単位の形成に用いるモノマーは、重合させるモノマーの全体中に、70wt%以上100wt%以下含まれているのが好ましく、80wt%以上100wt%以下含まれているのがより好ましい。これにより、平滑性の高い着色部をより効果的に形成することができる。
また、ビニルエーテル系レベリング剤の重量平均分子量は、1000以上10000以下であるのが好ましく、1500以上5000以下であるのがより好ましい。これにより、ビニルエーテル系レベリング剤のカラーフィルター用インク中における流動性を高いものとしつつ、液滴の吐出安定性、カラーフィルターの明度およびコントラスト比を特に優れたものとすることができる。
また、ビニルエーテル系レベリング剤の溶解度パラメーター(SP値)は、特に限定されないが、8.0以上9.0以下であるのが好ましく、8.0以下8.5以下であるのがより好ましい。これにより、液性媒体や樹脂材料との親和性をより高いものとすることができ、ビニルエーテル系レベリング剤の効果はより顕著に発言される。
以上のようなビニルエーテル系レベリング剤の市販品としては、例えば、LHP−90、LHP−91(楠本化成(株)製)等が挙げられる。
また、カラーフィルター用インク中にビニルエーテル系レベリング剤を含む場合、ビニルエーテル系レベリング剤の含有量は、特には限定されないが、0.01wt%以上10wt%以下であるのが好ましく、0.01wt%以上0.1wt%以下であるのがより好ましく、上述したような効果をより顕著に得ることができる。
(シリコーン系レベリング剤)
シリコーン系レベリング剤としては、下記式(37)に示す化合物を用いるのが好ましい。
Figure 2011028022
置換基Rは、アルキル基であればよいが、中でも、炭素数が1以上10以下のアルキル基であるのが好ましく、炭素数が1以上5以下のアルキル基であるのがより好ましい。これにより、シリコーン系レベリング剤のケイ素原子をより分子の外表面に露出させることができ、カラーフィルター用インク中の気泡の発生、カラーフィルター用インクの基板への濡れ性を特に優れたものとすることができる。
置換基Rの具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられ、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
シリコーン系レベリング剤中における置換基Rは、シリコーン系レベリング剤において液性媒体や前述したような樹脂材料との親和性を向上させるものである。置換基Rは、上記のような置換基であればよいが、中でも、ポリエーテル基を含むことが好ましい。シリコーン系レベリング剤は、ポリエーテル基を含むことにより、液性媒体や、前述したような樹脂材料との親和性に特に優れたものとなる。このため、シリコーン系レベリング剤は、より顕著に上述したような効果を発現することができ、カラーフィルター用インクは、液滴の吐出安定性に特に優れ、基板に対し、より均一かつ容易に濡れ広がることができる。また、置換基Rにおけるポリエーテル構造は、比較的高温の環境下において、分解する構造である。このため、後述するようなカラーフィルターの製造方法において、着色部の形成時にインクが加熱されることにより、シリコーン系レベリング剤のポリエーテル基は、分解し、インクとシリコーン系レベリング剤との親和性が低いものとなる。このようなシリコーン系レベリング剤は、インクの表面に移動して層を形成することができ、着色部の表面を平滑にすることができる。このため、形成される着色部は、その表面が平滑なものとなり、明度およびコントラスト比が特に高いものとなる。
また、置換基Rがポリエーテル基である場合、ポリエーテル基を構成する単量体成分としては、特に限定されないが、例えば、グリコール類等の多価アルコールを用いることができる。グリコール類としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール等のプロパンジオール、各種ブタンジオール、各種ペンタンジオール、各種ヘキサンジオール等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。この中でも、単量体として、エチレングリコールまたは1,2−プロパンジオールを用いることが好ましい。
また、置換基Rがポリエーテル基である場合、シリコーン系レベリング剤の主鎖と反対側にあるポリエーテル基の末端の構造は、特には限定されず、置換基を有しないものであってもよいし、末端の水酸基等がアルキル基等の置換基によってさらに置換されていてもよい。
また、置換基Rがポリエーテル基である場合、ポリエーテル基の重合度は、2以上15以下であるのが好ましく、4以上12以下であるのがより好ましい。
また、置換基Rがポリエステル基である場合、ポリエステル基を構成する単量体成分としては、特に限定されず、公知の各種ポリエステルの単量体を1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、置換基Rがポリエステル基である場合、ポリエステル基の重合度は、2以上15以下であるのが好ましく、4以上12以下であるのがより好ましい。
また、置換基Rがポリエステル基である場合、シリコーン系レベリング剤の主鎖と反対側にあるポリエステル基の末端の構造は、特には限定されず、置換基を有しないものであってもよいし、末端の水酸基またはカルボキシル基等の反応基がアルキル基等の置換基によってさらに置換されていてもよい。
また、置換基Rがアリール基である場合、アリール基は、水酸基、アルコキシル基、アミノ基、アルキル基等の各種官能基が付加されているものであってもよい。
また、式中、xは、上述したような範囲内であればよいが、1以上20以下であるのが好ましく、3以上13以下であるのがより好ましい。
また、式中、yは、上述したような範囲内であればよいが、1以上15以下であるのが好ましく、1以上10以下であるのがより好ましい。
また、式中、mは、上述したような範囲内であればよいが、1以上4以下であるのが好ましい。
また、シリコーン系レベリング剤が式(37)で表されるものである場合、0.14≦y/x≦3.5の関係を満足するのが好ましい。これにより、シリコーン系レベリング剤は、液性媒体や樹脂材料との親和性を特に優れたものとしつつ、カラーフィルター用インク中の気泡の発生、カラーフィルター用インクの基板への濡れ性を特に優れたものとすることができる。
また、置換基Rを有するケイ素原子と置換基Rを有するケイ素原子とは、酸素原子を介して交互に配置されていてもよいし、それぞれの置換基を有するケイ素原子毎に酸素原子を介して交互に結合し、ブロックを形成していてもよい。
また、シリコーン系レベリング剤の重量平均分子量は、500以上10000以下であるのが好ましく、1000以上3000以下であるのがより好ましい。これにより、シリコーン系レベリング剤のカラーフィルター用インク中における流動性を高いものとしつつ、上述したようなシリコーン系レベリング剤の効果をより顕著に得ることができる。
また、シリコーン系レベリング剤の溶解度パラメーター(SP値)は、特に限定されないが、8.0以上10.5以下であるのが好ましい。これにより、液性媒体や樹脂材料との親和性をより高いものとすることができ、シリコーン系レベリング剤の効果はより顕著に発現される。
以上のようなシリコーン系レベリング剤の市販品としては、BYK−307、BYK−300、BYK−302、BYK−306、BYK−330、BYK−331、BYK−344、BYK−silclean3700(以上、ビックケミー・ジャパン社製)、KP−321、KP−324(以上、信越化学工業社製)等が挙げられる。
また、カラーフィルター用インク中にシリコーン系レベリング剤を含む場合、シリコーン系レベリング剤の含有量は、特には限定されないが、0.1wt%以上5.0wt%以下であるのが好ましく、0.2wt%以上3.0wt%以下であるのがより好ましい。これにより、上述したような効果をより顕著に得ることができる。
(フッ素−ケイ素系レベリング剤)
フッ素−ケイ素系レベリング剤としては、単量体成分として式(38)に示すフッ素化アルキル基含有ビニル単量体fおよび式(39)に示すアルコキシシリル基含有ビニル単量体sを含んで構成されたものを用いるのが好ましい。
[フッ素化アルキル基含有ビニル単量体f]
フッ素化アルキル基含有ビニル単量体fは、下記式(38)に示す成分である。フッ素−ケイ素系レベリング剤は、このようなフッ素化アルキル基含有ビニル単量体fを有することにより、インクのノズルからの液切れを特に優れたものとすることができる。
Figure 2011028022
上記式(38)中の2価の連結基Aとしては、例えば、−(CH−、−CHCH(OH)(CH−、−(CHN(R)SO−、−(CHN(R)CO−(式中、nは1以上10以下の整数であり、Rは水素原子または炭素数1以上18以下のアルキル基である。)、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−等の連結基が挙げられる。
また、上記式(38)中のRfとしては、上述したようなフッ素化アルキル基であればよいが、例えば、−C、−C13、−C15、−C17、−(CFH、−(CFCF(CF、−(OCFCFOCFCF、−(OCFCF(CF))等のフッ素化アルキル基が挙げられる。
また、Rがフッ素化アルキル基である場合、Rは、分岐鎖を有するものであってもよいし、直鎖状であってもよい。また、Rは、パーフルオロアルキル基であってもよいし、部分フッ素化アルキル基であってもよい。Rが部分フッ素化アルキル基である場合、例えば、2価の連結基としての分岐または直鎖アルキル基と、パーフルオロアルキル基が結合した構造が挙げられ、具体的には、−(CH−C2j+1(ただし、式中、n、jは、0以上の整数であり、1≦n+j≦16の関係を満足する。)等の構造が挙げられる。
前記フッ素化アルキル基含有ビニル単量体fとしては、上記式(38)を満足すものであればよいが、例えば、CH=CHCOOCHCH17、CH=C(CH)COOCHCH17、CH=CHCOOCHCH1225、CH=C(CH)COOCHCH1225、CH=CHCOOCHCH1021、CH=C(CH)COOCHCH1021、CH=CHCOOCHCH13、CH=C(CH)COOCHCH13、CH=CHCOOCHCH、CH=CFCOOCHCH13、CH=C(CH)COOCHCH2041、CH=C(Cl)COOCHCH、CH=C(CH)COO(CH1021、CH=C(CH)COOCHCF、CH=CHCOOCHCF、CH=CHCOOCH17、CH=C(CH)COOCH17、CH=C(CH)COOCH2041、CH=CHCOOCH2041、CH=C(CH)COOCHCF(CF、CH=C(CH)COOCHCFHCF、CH=CFCOOCH、CH=CHCOO(CHCF(CF、CH=C(CH)COOC(CH)HCFCFHCF、CH=C(CH)COOC(C)HC1021、CH=CHCOOCH(CF)H、CH=C(CH)COOCH(CF)H、CH=CHCOOCH(CF)H、CH=CHCOOCHCF、CH=C(CH)COOCH(CF)H、CH=CHCOOCH(CFH、CH=C(CH)COOCH(CFH、CH=CHCOOCH(CFH、CH=C(CH)COOCH(CFH、CH=CHCOOCH(CF10H、CH=CHCOOCH(CF12H、CH=CHCOOCH(CF14H、CH=CHCOOCH(CF18H、CH=CHCOOC(CH(CFH、CH=CHCOOCHCH(CFH、CH=C(CH)COOCHCH(CFH、CH=C(CH)COOC(CH(CFH、CH=CHCOOC(CF)HC17、CH=CHCOOCH、CH=CHCOOCHC(OH)HCH17、CH=C(CH)COOCHC(OH)H(CH17、CH=CHCOOCHCHN(C)SO17、CH=C(CH)COOCHCHN(CH)SO13、CH=C(Cl)COO(CHN(C)SO1225、CH=CHCOOCHCHN(C)SO15、CH=CHCOO(CHN(CH)SO1225、CH=CHCOO(CH(CFCF(CF、CH=CHCOOCHCHN(C)SO17、CH=C(CH)COOCHCHN(C)SO13、CH=CHCOOCHCHN(C)SO17、CH=C(CHCH17)COOCHCH17等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上述した中でも、フッ素化アルキル基含有ビニル単量体fとして、CH=CHCOOCHCH17または、CH=C(CHCH17)COOCHCH17を用いた場合、フッ素−ケイ素系レベリング剤を十分に嵩高いものとしつつ、フッ素−ケイ素系レベリング剤中のフッ素化アルキル基含有ビニル単量体fおよびアルコキシシリル基含有ビニル単量体sの効果がともに特に優れたものとして発揮される。
[アルコキシシリル基含有ビニル単量体s]
アルコキシシリル基含有ビニル単量体sは、下記式(39)に示す成分である。フッ素−ケイ素系レベリング剤は、このようなアルコキシシリル基含有ビニル単量体sを有することにより、インクの基板(特にガラス基板)への濡れ性を優れたものとすることができる。
Figure 2011028022
上記式(39)中の2価の連結基Bとしては、例えば、−CH(OH)CHOCO−、−(CHp1NHCHCH(OH)CHOCO−、−(CHp1OCO−、−(CHq1O(CHq1OCO−、−OCHCH(OH)CHOCO−(式中、p1、q1は、それぞれ独立して2以上6以下の整数である。)等が挙げられる。
また、式(39)中、アルコキシシリル基は、直鎖状のシリコーン鎖であってもよいが、分岐したシリコーン鎖を有することが好ましい。すなわち、式(39)中、lまたはnのうち少なくとも一方は、1以上であるのが好ましい。これにより、フッ素−ケイ素系レベリング剤は、十分に嵩高いものとなる。
また、式(39)中、lおよびnは、上述したように、それぞれ、1以上であるのが好ましいが、1以上5以下であるのがより好ましく、1または2であるのがさらに好ましい。これにより、フッ素−ケイ素系レベリング剤を十分に嵩高いものとしつつ、フッ素−ケイ素系レベリング剤中のフッ素化アルキル基含有ビニル単量体fおよびアルコキシシリル基含有ビニル単量体sの効果がともに特に優れたものとして発揮される。
また、式(39)中、mは、1以上であればよいが、1以上10以下であるのが好ましく、1以上5以下であるのがより好ましく、1または2であるのがさらに好ましい。これにより、フッ素−ケイ素系レベリング剤を十分に嵩高いものとしつつ、フッ素−ケイ素系レベリング剤中のフッ素化アルキル基含有ビニル単量体fおよびアルコキシシリル基含有ビニル単量体sの効果がともに特に優れたものとして発揮される。
また、R、R2’、R2’’、R、R3’、R3’’、R、R4’、R4’’がアルキル基である場合、アルキル基の炭素数は、上述したような範囲であればよいが、1以上10以下であるのが好ましく、1以上5以下であるのがより好ましい。これにより、フッ素−ケイ素系レベリング剤を十分に嵩高いものとしつつ、フッ素−ケイ素系レベリング剤中のフッ素化アルキル基含有ビニル単量体fおよびアルコキシシリル基含有ビニル単量体sの効果がともに特に優れたものとして発揮される。
前記アルコキシシリル基含有ビニル単量体sとしては、上記式(39)を満足すものであればよいが、例えば、下記式(39−1)〜式(39−46)で表されるアルコキシシリル基含有ビニル単量体等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
Figure 2011028022
Figure 2011028022
Figure 2011028022
Figure 2011028022
Figure 2011028022
Figure 2011028022
Figure 2011028022
上述した中でも、アルコキシシリル基含有ビニル単量体sとして、式(39−33)または、式(39−40)で表わされる化合物を用いることが好ましい。これにより、フッ素−ケイ素系レベリング剤を十分に嵩高いものとしつつ、フッ素−ケイ素系レベリング剤中のフッ素化アルキル基含有ビニル単量体fおよびアルコキシシリル基含有ビニル単量体sの効果がともに特に優れたものとして発揮される。
特に、フッ素化アルキル基含有ビニル単量体fとして、CH=CHCOOCHCH17、アルコキシシリル基含有ビニル単量体sとして式(39−40)に表わされる化合物を組み合わせて用いた場合、または、フッ素化アルキル基含有ビニル単量体fとして、CH=C(CHCH17)COOCHCH17、アルコキシシリル基含有ビニル単量体sとして式(39−33)に表わされる化合物を組み合わせて用いた場合、上述したような本発明の効果がより顕著に得られる。
フッ素−ケイ素系レベリング剤におけるアルコキシシリル基含有ビニル単量体sの含有率(レベリング剤の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、100重量部のフッ素化アルキル基含有ビニル単量体fに対し、10重量部以上1000重量部以下であるのが好ましく、25重量部以上400重量部以下であるのがより好ましい。アルコキシシリル基含有ビニル単量体sの含有率が前記範囲内の値であると、フッ素−ケイ素系レベリング剤を十分に嵩高いものとしつつ、フッ素−ケイ素系レベリング剤中のフッ素化アルキル基含有ビニル単量体fおよびアルコキシシリル基含有ビニル単量体sの効果がともに特に優れたものとして発揮される。
また、フッ素−ケイ素系レベリング剤は、上述したフッ素化アルキル基含有ビニル単量体fおよびアルコキシシリル基含有ビニル単量体s以外のビニル単量体を有していてもよい。このような単量体としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、核置換スチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、ビニルスルホン酸、酢酸ビニルのように脂肪酸ビニル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の一価ないし二価のカルボン酸のようにα,β−エチレン性不飽和カルボン酸;(メタ)アクリル酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、2−エチルヘキシル、デシル、ドデシル、ステアリルエステルのようにアルキル基の炭素数が1以上18以下の(メタアクリル酸アルキルエステル;2−ヒドロキシエチルエステル、ヒドロキシプロピルエステル、ヒドロキシブチルエステルのように(メタ)アクリル酸の炭素数1以上18以下のヒドロキシアルキルエステル;ジメチルアミノエチルエステル、ジエチルアミノエチルエステル、ジエチルアミノプロピルエステルのように(メタ)アクリル酸の炭素数1以上18以下のアミノアルキルエステル;メトキシエチルエステル、エトキシエチルエステル、メトキシプロピルエステル、メチルカルビルエステル、エチルカルビルエステル、ブチルカルビルエステルのように(メタ)アクリル酸の炭素数3以上18以下のエーテル酸素含有アルキルエステル;ジシクロペンタニルオキシルエチル(メタ)アクリレート、イソボルニルオキシルエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、重合度1以上100以下のポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのレベリング剤等のポリアルキレレングリコ−ルのモノ(メタ)アクリル酸エステルまたはジ(メタ)アクリル酸エステル、もしくは末端が炭素数1以上6以上のアルキル基によってキャップされた重合度1以上100以下のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、そしてエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのレベリング剤等のポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリル酸エステル、メチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテルのようにアルキル炭素数が1以上18以下のアルキルビニルエーテル;グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレートのように(メタ)アクリル酸のグリシジルエステル;サートマー社製のスチレンマクロモノマー4500、新中村化学工業(株)製のNKエステルM−230Gのようにマクロモノマー;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、部分スルホン化スチレン、モノ(アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェ−ト、モノ(メタクリロキシエチル)アシッドホスフェ−ト等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上述した中でも、側鎖にポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、そしてエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのレベリング剤等のポリアルキレングリコ−ルのモノ(メタ)アクリル酸エステルまたはジ(メタ)アクリル酸エステル、もしくは末端が炭素数1以上6以下のアルキル基によってキャップされた重合度1以上100以下の、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、そしてエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのレベリング剤等のポリアルキレレングリコールのモノ(メタ)アクリル酸エステルのようにポリオキシアルキレン基を側鎖に有する(メタ)アクリレートモノマー;炭素原子数6以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルのように炭素原子数6以上のアルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。
また、フッ素−ケイ素系レベリング剤中における上述したようなその他の単量体の含有量は、フッ素化アルキル基含有ビニル単量体fおよびアルコキシシリル基含有ビニル単量体sの合計の含有量を100重量部としたとき、10重量部以上10000重量部以下であるのが好ましく、20重量部以上8000重量部以下であるのがより好ましい。なお、その他の単量体が複数種ある場合は、これらの複数種の単量体の合計の含有量が上記の関係を満足するのが好ましい。
また、フッ素−ケイ素系レベリング剤は、各単量体がランダムに配置されたレベリング剤であってもよいし、複数の同一の単量体が重合したブロックによって構成されるブロックレベリング剤であってもよい。
また、フッ素−ケイ素系レベリング剤の重量平均分子量は、15000以上500000以下であるのが好ましく、20000以上100000以下であるのがより好ましい。これにより、フッ素−ケイ素系レベリング剤のカラーフィルター用インク中における流動性を高いものとしつつ、上述したようなフッ素−ケイ素系レベリング剤の効果をより顕著に得ることができる。
また、フッ素−ケイ素系レベリング剤の溶解度パラメーター(SP値)は、特に限定されないが、5以上8以下であるのが好ましい。これにより、上述したような着色剤や後述するような樹脂材料との親和性をより高いものとすることができ、フッ素−ケイ素系レベリング剤の効果はより顕著に発現される。
以上のようなフッ素−ケイ素系レベリング剤の市販品としては、メガファックF−443,F−444,F−445,F−446,F−470,F−471,F−472SF,F−474,F−475,F−477,F−478,F−479,F−480SF,F−482,F−483,F−484,F−486,F−487,F−489(以上、大日本インキ化学工業社製)等が挙げられる。
また、カラーフィルター用インク中にフッ素−ケイ素系レベリング剤を含む場合、フッ素−ケイ素系レベリング剤の含有量は、特には限定されないが、0.1wt%以上5.0wt%以下であるのが好ましく、0.2wt%以上3.0wt%以下であるのがより好ましく、上述したような効果をより顕著に得ることができる。
(その他のレベリング剤)
本発明においては、上述したようなレベリング剤以外のレベリング剤を用いてもよい。このようなレベリング剤としては、例えば、アセチレングリコール系レベリング剤等が挙げられる。
アセチレングリコール系レベリング剤としては、例えば、サーフィノール104、サーフィノール82、サーフィノール2502、サーフィノール420、サーフィノール440、サーフィノール465、サーフィノール485、サーフィノール104E、サーフィノール104H、サーフィノール104A、サーフィノール104BC、サーフィノール104DPM、サーフィノール104PA、サーフィノール104PG−50、サーフィノール104S、サーフィノールSE、サーフィノールSE−F、サーフィノール504、サーフィノール61、サーフィノール2502、サーフィノール82、サーフィノールDF110D、サーフィノールDF37、サーフィノールDF58、サーフィノールDF75、サーフィノールDF210、サーフィノールCT111、サーフィノールCT121、サーフィノールCT131、サーフィノールCT136、サーフィノールCT151、サーフィノールTG、サーフィノールGA、サーフィノールPSA−336、ダイノール604、エンバイロジェムAD−01、オルフィンE1004、オルフィンE1010、オルフィンPD−001、オルフィンPD−002W、オルフィンPD−004、オルフィンEXP.4001、オルフィンEXP.4036、オルフィンEXP.4051F、オルフィンSPC、オルフィンAF−103、オルフィンAF−104、オルフィンAK−02、オルフィンSK−14、オルフィンAE−3、オルフィンPD−003、オルフィンPD−201、オルフィンPD−202、オルフィンPD−301、オルフィンB、オルフィンP、オルフィンY、オルフィンA、オルフィンSTG、オルフィンSPC(以上、日信化学工業(株)社製)等が挙げられる。
カラーフィルター用インク中がアセチレングリコール系レベリング剤を含む場合、アセチレングリコール系レベリング剤の含有量は、特には限定されないが、0.1wt%以上5.0wt%以下であるのが好ましく、0.2wt%以上3.0wt%以下であるのがより好ましい。
また、上記の他、レベリング剤としては、例えば、ノベックFC−4430、ノベックFC−4432(以上、住友スリーエム(株)製);フォスファノールML−200、フォスファノールML−220、フォスファノールRD−510Y、フォスファノールRS−410、フォスファノールRS−610、フォスファノールRS−710、フォスファノールRL−210、フォスファノールRL−310、フォスファノールRB−410、フォスファノールRD−720N(以上、東邦化学工業(株)社製);Lanco Flow L、Lanco Flow U、SOLSPERSE20000(以上、Lubrizol Deutschland GmbH社製);フタージェント100、フタージェント100C、フタージェント110、フタージェント140A、フタージェント150、フタージェント150CH、フタージェントA−K、フタージェント501、フタージェント250、フタージェント251、フタージェント222F、FTX−218、フタージェント300、フタージェント310、フタージェント400SW、フタージェント251、FTX−212M、フタージェント250、FTX−245M、FTX−290M、FTX−207S、FTX−211S、FTX−220S、FTS−230S、FTX−209F、FTX−213F、フタージェント222F、FTX−233F、FTX−245F、FTX−208G、FTX−218G、FTX−230G、FTS−240G、FTX−204D、FTX−208D、FTX−212D、FTX−216D、FTX−218D、FTX−220D、FTX−222D、FTX−720C、FTX−740C(以上、(株)ネオス社製);サーフロンS−111n、サーフロンS−113、サーフロンS−121、サーフロンS−131、サーフロンS−132、サーフロンS−141、サーフロンS−145、サーフロンS−381、サーフロンS−383、サーフロンS−393、サーフロンSC−101、サーフロンKH−40、サーフロンSA−100(以上、AGCセイミケミカル(株)社製);ユニダインDS−401、ユニダインDS−403、ユニダインNS−1602、ユニダインNS−1603、ユニダインNS−1605(以上、日進化成(株)社製)等を用いてもよい。
また、カラーフィルター用インク中におけるレベリング剤の含有量(複数種のレベリング剤を含む場合にはそれらの総和)は、特には限定されないが、0.1wt%以上10wt%以下であるのが好ましく、0.2wt%以上1.0wt%以下であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性を特に優れたものとし、カラーフィルターを用いた表示画像の明度およびコントラスト比を特に優れたものとし、色むら、濃度むらの発生をより効果的に防止することができるとともに、液滴吐出装置のノズルプレートへのカラーフィルター用インクの撥液性が低下し、カラーフィルター用インクの固形分が付着し、液滴の吐出安定性が低下するのを効果的に防止することができる。その結果、製造されるカラーフィルターにおける色むら、濃度むらの発生をより効果的に防止することができる。また、液滴吐出装置の洗浄(特に、ノズルプレート周辺の洗浄)の頻度を少なくすることができるため、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。
また、カラーフィルター用インク中におけるレベリング剤の含有率をC[wt%]、樹脂材料の含有率をC[wt%]としたとき、0.005≦C/C≦0.650の関係を満足するのが好ましく、0.017≦C/C≦0.190の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性を特に優れたものとし、カラーフィルターを用いた表示画像の明度およびコントラスト比を特に優れたものとし、色むら、濃度むらの発生をより効果的に防止することができるとともに、液滴吐出装置のノズルプレートへのカラーフィルター用インクの撥液性が低下し、カラーフィルター用インクの固形分が付着し、液滴の吐出安定性が低下するのを効果的に防止することができる。その結果、製造されるカラーフィルターにおける色むら、濃度むらの発生をより効果的に防止することができる。また、液滴吐出装置の洗浄(特に、ノズルプレート周辺の洗浄)の頻度を少なくすることができるため、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。
<液性媒体>
液性媒体(液状媒質)は、カラーフィルター用インクにおいて、着色剤を分散または溶解する機能を有するものである。そして、通常、カラーフィルター用インクを構成する液性媒体は、カラーフィルターを製造する過程において、その大部分が除去されるものである。また、液性媒体は、通常、上述した樹脂材料を溶解する溶媒としても機能する。
カラーフィルター用インクを構成する液性媒体としては、例えば、エステル化合物、エーテル化合物、ヒドロキシケトン、炭酸ジエステル、環状アミド化合物等を用いることができ、中でも、〔1〕多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等)の縮合物としてのエーテル(多価アルコールエーテル)や、多価アルコールまたは多価アルコールエーテルのアルキルエーテル(例えば、メチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル等)、エステル(例えば、ホルメート、アセテート、プロピオネート等)、〔2〕多価カルボン酸(例えば、こはく酸、グルタル酸等)のエステル(例えば、メチルエステル等)、〔3〕分子内に少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つのカルボキシル基とを有する化合物(ヒドロキシ酸)のエーテル、エステル等、〔4〕多価アルコールとホスゲンとの反応で得られるような化学構造を有する炭酸ジエステルが好ましい。液性媒体として用いることのできる化合物としては、例えば、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、ビス(2−ブトキシエチル)エーテル、グルタル酸ジメチル、エチレングリコールジn−ブチレート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、1,6−ジアセトキシヘキサン、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ブトキシプロパノール、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、オクタン酸エチル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸シクロヘキシル、こはく酸ジエチル、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、こはく酸ジメチル、1−ブトキシ−2−プロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−n−ブチルアセテート、ジアセチン、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ブチルグリコレート、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドン、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ビス(2−プロポキシエチル)エーテル、ジエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールエチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールブチルエチルエーテル、トリエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルプロピルエーテル、トリエチレングリコールメチルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、n−ノニルアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ブチルセロソルブアセテート等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
液性媒体としては、これらの中でも、1,3−ブチレングリコールジアセテート、ビス(2−ブトキシエチル)エーテル、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテート、およびジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものであるのが好ましい。このような化合物は、上述したレベリング剤(特に、アクリル系レベリング剤)や樹脂材料との親和性に特に優れており、カラーフィルター用インクがこのような化合物(液性媒体)を含むことで、カラーフィルター用インク中におけるレベリング剤、樹脂材料の上述したような効果がより顕著に発揮され、カラーフィルター用インクの液滴の吐出安定性等を特に優れたものとすることができる。また、着色剤、樹脂材料等を比較的多量にインク中に含ませた場合であっても、インクの物性の変化が比較的少ないものとなる。また、カラーフィルター用インク中に顔料が含まれる場合、顔料の含有率を高くした場合であっても、顔料の長期分散安定性を十分に優れたものとすることができる。また、液性媒体が上記のような化合物で構成されたものであると、後述するようなカラーフィルターの製造方法において、セル内全体に、カラーフィルター用インクをより確実に濡れ広がるようにすることができる。
また、上述した中でも、液性媒体が、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを含むものである場合、カラーフィルター用インクの粘度を特に低いものとすることができ、カラーフィルター用インクの液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクが基板上ですばやく隅々まで濡れ広がるため、得られるカラーフィルターの厚みが均一化することで、色再現性および消偏性(コントラスト比)を特に優れたものとすることができる。また、液性媒体が、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを含むものである場合、水の液性媒体への溶解度を適度なものとすることができる。このため、カラーフィルター用インクを構成する液性媒体は、外部からの吸湿を確実に防止することができる。また、液滴吐出装置のカラーフィルター用インクの流路等の内部に水が混入した場合であっても、水を好適に溶解し、除去することができる。この結果、カラーフィルター用インク中における水の含有量を特に少ないものとすることができ、液滴吐出ヘッドからのカラーフィルター用インクの液滴の吐出安定性(例えば、液滴の吐出量の均一性)をより長期にわたって、特に優れたものとすることができる。
また、上述した中でも、液性媒体がビス(2−ブトキシエチル)エーテル、1,3−ブチレングリコールジアセテートを含むものである場合、カラーフィルター用インクがノズルの近傍で非常に乾燥しにくくなり、インク付与工程における飛行曲がりの発生がより効果的に抑制される。また、ノズルの詰まりを防ぐために定期的にカラーフィルター用インクを少量排出するために行うフラッシング工程において、長距離のヘッド移動中におけるノズル近傍のカラーフィルター用インク乾燥を防ぐことができ、基板中に設けられたダミー画素などの捨て打ちエリアが不必要となる。また、カラーフィルター用インクが乾燥しにくくなることで、着色剤、樹脂等の成分の変性、劣化、凝集、偏析をより確実に防止することができる。
また、特に、液性媒体が1,3−ブチレングリコールジアセテートを含むものである場合、液性媒体への水の溶解度を適度なものとすることができる。このため、カラーフィルター用インクを構成する液性媒体は、外部からの過剰な水分の吸収を確実に防止しつつ、液滴吐出装置のカラーフィルター用インクの流路等の内部に多少の水分が混入した場合であっても、水を好適に溶解することで、分散の安定性・流動性を保持したまま流路内を移動することができる。
また、上記〔1〕〜〔4〕の中でも、〔1〕の化合物、特に、プロピレングリコール骨格を有し、かつ、その両末端にアルコキシ基を有する化合物も、液性媒体として好適に用いることができる。このような化合物を用いることにより、カラーフィルター用インクの液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができ、製造されるカラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等をより効果的に抑制することができるとともに、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができる。また、当該化合物と前述したような樹脂材料の化学構造的な相関から、前述したような樹脂材料の溶解性を十分に優れたものとしつつ、カラーフィルター用インクが顔料を含むものである場合にはカラーフィルター用インク中において顔料粒子の表面に樹脂材料を偏在させることができ、液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの長期保存性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルターの耐久性を、特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インク中における顔料の含有率を比較的高いものとした場合であっても、顔料の分散安定性を十分に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの安定性(長期保存性)を優れたものとすることができる。液性媒体として、プロピレングリコール骨格を有し、かつ、その両末端にアルコキシ基を有する化合物を含むことにより、液滴吐出に用いられる液滴吐出ヘッドが劣化してしまうのを効果的に防止することができる。このため、多数のカラーフィルターを製造する場合であっても、液滴吐出ヘッドの交換、修理等のメンテナンスの頻度を低くすることができ、カラーフィルターの生産性を優れたものとすることができる。
上記のような化学構造を有する化合物(プロピレングリコール骨格を有し、かつ、その両末端にアルコキシ基を有する化合物)は、下記一般式(33)で表すことができる。
Figure 2011028022
式(33)において、R、R’の具体例としては、メチル基(CH)、エチル基(CHCH)、プロピル基(CHCHCH)、イソプロピル基(CHCH(CH))、ブチル基(CHCHCHCH)、イソブチル基(CHCH(CH)CH)、sec−ブチル基(CHCHCH(CH))、t−ブチル基((CHC)、ペンチル基(CHCHCHCHCH)、ヘキシル基(CHCHCHCHCH)、ヘプチル基(CHCHCHCHCH)、オクチル基(CHCHCHCHCH)等が挙げられるが、炭素数が1以上4以下のアルキル基が好ましい。
また、上記のように、l+m+nは、1以上の整数であればよいが、2以上5以下であるのが好ましく、2または3であるのがより好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮され、カラーフィルター用インクの吐出安定性、長期保存性(保存安定性)を特に優れたものとすることができるとともに、製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等をより効果的に抑制することができ、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができる。
上記のような化学構造を有する、液性媒体として用いることのできる化合物の具体例としては、例えば、CHOCHCH(CH)OCH、CHO(CHCH(CH)O)CH、CHO(CHCH(CH)O)CH、CHO(CHCH(CH)O)CH、CHO(CHCH(CH)O)CH、CHOCHCHCHOCH、CHO(CHCHCHO)CH、CHO(CHCHCHO)CH、CHO(CHCHCHO)CH、CHO(CHCHCHO)CH、CHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)]CH、CHO[(CHCH(CH)O)(CHCHCHO)]CH、CHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)(CHCHCHO)]CH、CHCHOCHCH(CH)OCH、CHCHO(CHCH(CH)O)CH、CHCHO(CHCH(CH)O)CH、CHCHO(CHCH(CH)O)CH、CHCHO(CHCH(CH)O)CH、CHCHOCH(CH)CHOCH、CHCHO(CH(CH)CHO)CH、CHCHO(CH(CH)CHO)CH、CHCHO(CH(CH)CHO)CH、CHCHO(CH(CH)CHO)CH、CHCHOCHCHCHOCH、CHCHO(CHCHCHO)CH、CHCHO(CHCHCHO)CH、CHCHO(CHCHCHO)CH、CHCHO(CHCHCHO)CH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)]CH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CHCHCHO)]CH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)(CHCHCHO)]CH、CHCHOCHCH(CH)OCHCH、CHCHO(CHCH(CH)O)CHCH、CHCHO(CHCH(CH)O)CHCH、CHCHO(CHCH(CH)O)CHCH、CHCHO(CHCH(CH)O)CHCH、CHCHOCHCHCHOCHCH、CHCHO(CHCHCHO)CHCH、CHCHO(CHCHCHO)CHCH、CHCHO(CHCHCHO)CHCH、CHCHO(CHCHCHO)CHCH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)]CHCH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CHCHCHO)]CHCH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)(CHCHCHO)]CHCH、CHOCHCH(CH)OCHCHCHCH、CHO(CHCH(CH)O)CHCHCHCH、CHO(CHCH(CH)O)CHCHCHCH、CHO(CHCH(CH)O)CHCHCHCH、CHO(CHCH(CH)O)CHCHCHCH、CHOCH(CH)CHOCHCHCHCH、CHO(CH(CH)CHO)CHCHCHCH、CHO(CH(CH)CHO)CHCHCHCH、CHO(CH(CH)CHO)CHCHCHCH、CHO(CH(CH)CHO)CHCHCHCH、CHOCHCHCHOCHCHCHCH、CHO(CHCHCHO)CHCHCHCH、CHO(CHCHCHO)CHCHCHCH、CHO(CHCHCHO)CHCHCHCH、CHO(CHCHCHO)CHCHCHCH、CHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)]CHCHCHCH、CHO[(CHCH(CH)O)(CHCHCHO)]CHCHCHCH、CHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)(CHCHCHO)]CHCHCHCH等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記のような化合物は、プロピレングリコール骨格を有し、かつ、その両末端にアルコキシ基を有する化合物を含むものであるが、前記プロピレングリコール骨格は、複数個の1,2−プロピレングリコールが縮合した構造を有するもの(すなわち、式(33)中でのlが2以上の整数)であるのが好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮され、カラーフィルター用インクの吐出安定性、長期保存性(保存安定性)を特に優れたものとすることができるとともに、製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等をより効果的に抑制することができ、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができる。このように、プロピレングリコール骨格が、複数個の1,2−プロピレングリコールが縮合した構造を有する化合物(液性媒体)としては、例えば、CHO(CHCH(CH)O)CH、CHO(CHCH(CH)O)CH、CHO(CHCH(CH)O)CH、CHO(CHCH(CH)O)CH、CHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)]CH、CHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)(CHCHCHO)]CH、CHCHO(CHCH(CH)O)CH、CHCHO(CHCH(CH)O)CH、CHCHO(CHCH(CH)O)CH、CHCHO(CHCH(CH)O)CH、CHCHO(CH(CH)CHO)CH、CHCHO(CH(CH)CHO)CH、CHCHO(CH(CH)CHO)CH、CHCHO(CH(CH)CHO)CH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)]CH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)(CHCHCHO)]CH、CHCHO(CHCH(CH)O)CHCH、CHCHO(CHCH(CH)O)CHCH、CHCHO(CHCH(CH)O)CHCH、CHCHO(CHCH(CH)O)CHCH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)]CHCH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)(CHCHCHO)]CHCH、CHO(CHCH(CH)O)CHCHCHCH、CHO(CHCH(CH)O)CHCHCHCH、CHO(CHCH(CH)O)CHCHCHCH、CHO(CHCH(CH)O)CHCHCHCH、CHO(CH(CH)CHO)CHCHCHCH、CHO(CH(CH)CHO)CHCHCHCH、CHO(CH(CH)CHO)CHCHCHCH、CHO(CH(CH)CHO)CHCHCHCH、CHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)]CHCHCHCH、CHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)(CHCHCHO)]CHCHCHCH等が挙げられる。
また、前記化合物を構成するプロピレングリコール骨格は、2個または3個のプロピレングリコールが縮合した構造を有するもの(すなわち、式(33)中での「l+m+n」が2または3)であるのが好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮され、カラーフィルター用インクの吐出安定性、長期保存性(保存安定性)を特に優れたものとすることができるとともに、製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等をより効果的に抑制することができ、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができる。このように、プロピレングリコール骨格が、2個または3個のプロピレングリコールが縮合した構造を有する化合物(液性媒体)としては、例えば、CHO(CHCH(CH)O)CH、CHO(CHCH(CH)O)CH、CHO(CHCHCHO)CH、CHO(CHCHCHO)CH、CHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)]CH、CHO[(CHCH(CH)O)(CHCHCHO)]CH、CHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)(CHCHCHO)]CH、CHCHO(CHCH(CH)O)CH、CHCHO(CHCH(CH)O)CH、CHCHO(CH(CH)CHO)CH、CHCHO(CH(CH)CHO)CH、CHCHO(CHCHCHO)CH、CHCHO(CHCHCHO)CH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)]CH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CHCHCHO)]CH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)(CHCHCHO)]CH、CHCHO(CHCH(CH)O)CHCH、CHCHO(CHCH(CH)O)CHCH、CHCHO(CHCHCHO)CHCH、CHCHO(CHCHCHO)CHCH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)]CHCH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CHCHCHO)]CHCH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)(CHCHCHO)]CHCH、CHO(CHCH(CH)O)CHCHCHCH、CHO(CHCH(CH)O)CHCHCHCH、CHO(CH(CH)CHO)CHCHCHCH、CHO(CH(CH)CHO)CHCHCHCH、CHO(CHCHCHO)CHCHCHCH、CHO(CHCHCHO)CHCHCHCH、CHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)]CHCHCHCH、CHO[(CHCH(CH)O)(CHCHCHO)]CHCHCHCH、CHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)(CHCHCHO)]CHCHCHCH等が挙げられる。
また、液性媒体が複数種の化合物で構成される場合において、ジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル、トリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテートおよびジプロピレングリコールジメチルエーテルよりなる群から選択される1種または2種以上を副成分として含むと、形成される着色部は、凹凸がより少ないものとなる。中でも、ジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル、トリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルおよびジプロピレングリコールジメチルエーテルよりなる群から選択される1種または2種以上を副成分として含むと、形成される着色部は、凹凸がさらに少なく、平坦性が特に高いものとなる。これは、以下のような理由によるものであると思われる。すなわち、これらの化合物(副成分としての化合物)は、比較的高い沸点を有するとともに、上述したような樹脂材料を溶解しやすい。そして、着色部形成時において、主成分となる液性媒体の大部分が揮発した後に、このような化合物(副成分)は比較的穏やかに除去される。一方で、このような副成分は上述した樹脂材料を溶解しやすいため、着色部形成時におけるカラーフィルター用インクの流動性を維持しやすいものである。このため、副成分の除去時におけるカラーフィルター用インクの対流が防止されつつ、カラーフィルター用インクの高い流動性が維持され、結果として、形成される着色部は、凹凸がさらに少なく、平坦性が非常に高いものとなる。
また、液性媒体中に占める副成分の割合(副成分として含まれる化合物が上記から選択される2種または3種である場合はそれらの和)は、50wt%以下であればよいが、1wt%以上40wt%以下であるのが好ましい。
液性媒体の大気圧(1気圧)下における沸点は、160℃以上300℃以下であるのが好ましく、180℃以上290℃以下であるのがより好ましく、200℃以上280℃以下であるのがさらに好ましい。液性媒体の大気圧下における沸点が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用インクを吐出する液滴吐出ヘッドにおける目詰まり等をより効果的に防止することができ、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。
また、液性媒体の25℃における蒸気圧は、0.7mmHg以下であるのが好ましく、0.1mmHg以下であるのがより好ましい。液性媒体の蒸気圧が前記範囲内と値であると、カラーフィルター用インクを吐出する液滴吐出ヘッドにおける目詰まり等をより効果的に防止することができ、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。
カラーフィルター用インク中における液性媒体の含有率は、50wt%以上98wt%以下であるのが好ましく、55wt%以上95wt%以下であるのがより好ましく、65wt%以上93wt%以下であるのがさらに好ましい。液性媒体の含有率が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用インクの液滴吐出ヘッドからの吐出性を特に優れたものとしつつ、製造されるカラーフィルターの耐久性を優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターにおいて、十分な着色濃度を確保することができる。
<多価アルコール>
カラーフィルター用インクは、多価アルコールを含んでいてもよい。多価アルコールは、置換されていない水酸基を複数個含む化合物である。
多価アルコールは、着色部の形成時において、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性を低下させる機能を有するものである。このような多価アルコールを含むことにより、着色部表面の平坦性をより高いものとすることができる。
上述したような樹脂材料およびレベリング剤と、このような多価アルコールを併用することにより、カラーフィルター用インクから液性媒体を除去する工程(着色部形成工程)において、カラーフィルター用インクはチキソトロピック性の上昇をより効果的に抑えることができ、比較的長い時間、流動性を維持することができる。このように、着色部形成時の後期において、比較的長い間、カラーフィルター用インクが流動性を有することにより、セル中のカラーフィルター用インクは、その表面が上述したようなレベリング剤によって平坦に保持された状態で流動性を失い、固化することができる。これにより、形成される着色部の厚さをより効果的に均一なものすることができ、製造されるカラーフィルターは、着色部における不本意な光の散乱が抑制され、明度およびコントラスト比が特に高いものとなる。
また、このような多価アルコールは、着色部を形成する際に加熱することにより、分解または揮発してカラーフィルター用インクから除去される。このため、形成された着色部には多価アルコールが残存しにくく、インクに含まれる多価アルコールによる着色部の色度、明度等の変化が極めて少ないものである。
また、上述したようなレベリング剤、樹脂材料と、多価アルコールとを組み合わせてインクに用いることにより、平坦性がより高く、厚さの不本意なばらつきがより効果的に抑制された着色部を形成することができる。
多価アルコールとしては、例えば、ジオール化合物のオリゴマーを好適に用いることができ、より具体的には、グリコール類のオリゴマー等を用いることができる。このような化合物は、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性を容易に下げることができるとともに、着色部形成時においては、カラーフィルター用インクのセル内での対流をより効果的に抑制することができる。
グリコール類のオリゴマーを構成するグリコール類としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール等のプロパンジオール、各種ブタンジオール、各種ペンタンジオール、各種ヘキサンジオール等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、エチレングリコールまたは、1,3−プロパンジオールをグリコール類として用いることが好ましい。
また、多価アルコールとしては、エチレングリコールと1,2−プロピレングリコールとが混合して縮合したグリコール類のオリゴマーを用いてもよいし、エチレングリコールのオリゴマーと1,2−プロピレングリコールのオリゴマーとを混合して用いてもよい。
また、多価アルコールとして、グリコール類のオリゴマーを用いる場合、末端の水酸基は、置換されていないことが好ましい。このように、多価アルコールが水酸基を有することで、多価アルコールの極性が比較的高いものとなり、多価アルコールの粘度は、容易に後述するような範囲となる。また、カラーフィルター用インクの後述するような基板(特にガラス基板)への親和性が優れたものとなり、カラーフィルター用インクは、セル中により好適に濡れ広がることができる。
多価アルコールがオリゴマーである場合、多価アルコールの重合度は、3以上40以下であるのが好ましく、3以上20以下であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性をより効果的に低下させることができる。
また、多価アルコールの分子量は150以上2000以下であるのが好ましく、180以上1000以下であるのがより好ましく、180以上500以下であるのがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性をより効果的に低下させることができるとともに、着色部形成時においては、セル中でのカラーフィルター用インクの対流をより効果的に抑制することができる。なお、多価アルコールがオリゴマーである場合、分子量は、重量平均分子量とすることができる。
また、多価アルコールは、25℃、1atmの雰囲気下において、液体であることが好ましい。このように、多価アルコールが液体であることにより、カラーフィルター用インク中に均一に混合することができるとともに、着色部形成時におけるカラーフィルター用インクの固形分を相対的に少ないものとすることができる。このため、着色部形成時におけるインクのチキソトロピック性の上昇をより確実に抑制することができる。
また、多価アルコールは、上述したような雰囲気下で液体である場合、回転式粘度計を用いて25℃、60rpmの条件で測定した粘度η60[mPa・s]は、40mPa・s以上400mPa・s以下であるのが好ましく、50mPa・s以上300mPa・s以下であるのがより好ましい。
また、カラーフィルター用インク中における多価アルコールの含有量は、0.3wt%以上15.0wt%以下であるのが好ましく、0.4wt%以上13.0wt%以下であるのがより好ましく、0.5wt%以上6.0wt%以下であるのがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性を効果的に低下させつつ、カラーフィルター用インクの液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
なお、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性の指標としては、例えば、回転式のE型粘度計を用いて2つの異なる回転数での粘度を測定した場合の、得られた粘度の比(チキソ指数)で表わすことができる。具体的には、25℃のカラーフィルター用インクを回転数6rpmの条件で測定した粘度をη[mPa・s]、25℃のカラーフィルター用インクを回転数60rpmの条件で測定した粘度をη60[mPa・s]としたとき、カラーフィルター用インクのチキソ指数は、η/η60とすることができる。なお、η/η60が大きいほど、チキソトロピック性が高いものである。
また、カラーフィルター用インクのチキソ指数(η/η60)は、具体的には、1.06以下であるのが好ましく、1.05以下であるのがより好ましく、1.03以下であるのがさらに好ましい。これにより、上述したような効果をより顕著に発揮させることができる。
<分散剤>
カラーフィルター用インクには、分散剤が含まれていてもよい。これにより、例えば、カラーフィルター用インク中に顔料が含まれる場合において、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの吐出安定性等を特に優れたものとすることができる。特に、上述したような樹脂材料とともに分散剤を用いることにより、これらの効果が相乗的に作用し合い、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの吐出安定性等を特に優れたものとすることができる。
分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤が挙げられる。
分散剤のより具体的な例としては、例えば、ディスパービック101、ディスパービック102、ディスパービック103、ディスパービックP104、ディスパービックP104S、ディスパービック220S、ディスパービック106、ディスパービック108、ディスパービック109、ディスパービック110、ディスパービック111、ディスパービック112、ディスパービック116、ディスパービック140、ディスパービック142、ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック164、ディスパービック166、ディスパービック167、ディスパービック168、ディスパービック170、ディスパービック171、ディスパービック174、ディスパービック180、ディスパービック182、ディスパービック183、ディスパービック184、ディスパービック185、ディスパービック2000、ディスパービック2001、ディスパービック2050、ディスパービック2070、ディスパービック2095、ディスパービック2150、ディスパービックLPN6919、ディスパービック9075、ディスパービック9077(以上、ビックケミー社製);EFKA 4008、EFKA 4009、EFKA 4010、EFKA 4015、EFKA 4020、EFKA 4046、EFKA 4047、EFKA 4050、EFKA 4055、EFKA 4060、EFKA 4080、EFKA 4400、EFKA 4401、EFKA 4402、EFKA 4403、EFKA 4406、EFKA 4408、EFKA 4300、EFKA 4330、EFKA 4340、EFKA 4015、EFKA 4800、EFKA 5010、EFKA 5065、EFKA 5066、EFKA 5070、EFKA 7500、EFKA 7554(以上、チバスペシャリティ−社製);ソルスパース3000、ソルスパース9000、ソルスパース13000、ソルスパース16000、ソルスパース17000、ソルスパース18000、ソルスパース20000、ソルスパース21000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000、ソルスパース32000、ソルスパース32500、ソルスパース32550、ソルスパース33500、ソルスパース35100、ソルスパース35200、ソルスパース36000、ソルスパース36600、ソルスパース38500、ソルスパース41000、ソルスパース41090、ソルスパース20000(以上、ルーブリゾール社製);アジスパーPA111、アジスパーPB711、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB824(以上、味の素ファインテクノ社製);ディスパロン1850、ディスパロン1860、ディスパロン2150、ディスパロン7004、ディスパロンDA−100、ディスパロンDA−234、ディスパロンDA−325、ディスパロンDA−375、ディスパロンDA−705、ディスパロンDA−725、ディスパロンPW−36(以上、楠本化成社製);および、フローレン DOPA−14、フローレン DOPA−15B、フローレン DOPA−17、フローレン DOPA−22、フローレン DOPA−44、フローレン TG−710、フローレン D−90(以上、共栄化学社製)、Anti−Terra−205(ビックケミー社製)、ヒノアクトKF−1000、KF−1525、ヒノアクト1300M、ヒノアクトT9050、ヒノアクトT6000、ヒノアクトT7000、ヒノアクトT8000、ヒノアクトT8000E(以上、川研ファインケミカル社製)等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
特に、カラーフィルター用インクは、分散剤として、所定のアミン価(零を除く)を有するアミン価分散剤を含むものであるのが好ましい。このように、アミン価分散剤を含むこと、特に、前述したような顔料および樹脂材料(重合体Mを含む樹脂材料)とともにアミン価分散剤を含むことにより、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルター用インクを用いて形成されるカラーフィルターの着色部を平坦性の高いものとすることができ、より明度が高く、より高コントラストの画像を好適に表示することができる。また、アミン価分散剤を用いることにより、以下のような効果も得られる。すなわち、後述するような方法でカラーフィルター用インクを製造する場合、微分散工程における顔料粒子の微粒化(微粒子化)の効率を優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの生産性を特に優れたものとすることができるとともに、最終的に得られるカラーフィルター用インク中における顔料粒子(微分散された顔料微粒子)の長期分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
アミン価分散剤のアミン価(固形分換算したときのアミン価)は、特に限定されないが、5KOHmg/g以上200KOHmg/g以下であるのが好ましく、25KOHmg/g以上170KOHmg/g以下であるのがより好ましく、30KOHmg/g以上130KOHmg/g以下であるのがさらに好ましい。アミン価分散剤のアミン価が前記範囲内の値であると、上述したような効果がより顕著に発揮される。分散剤についてのアミン価は、例えば、DIN 16945に準拠する方法により求めることができる。
なお、アミン価分散剤は、所定の酸価を有していないもの、すなわち、酸価が零であるのが好ましい。
アミン価分散剤の具体例としては、ディスパービック102、ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック164、ディスパービック166、ディスパービック167、ディスパービック168、ディスパービック2150、ディスパービックLPN6919、ディスパービック9075、ディスパービック9077(以上、ビックケミー社製);EFKA 4015、EFKA 4020、EFKA 4046、EFKA 4047、EFKA 4050、EFKA 4055、EFKA 4060、EFKA 4080、EFKA 4300、EFKA 4330、EFKA 4340、EFKA 4400、EFKA 4401、EFKA 4402、EFKA 4403、EFKA 4800(以上、チバスペシャリティ−社製);アジスパーPB711(以上、味の素ファインテクノ社製);Anti−Terra−205(ビックケミー社製)、KF−1525、ヒノアクト1300M、ヒノアクトT9050、ヒノアクトT6000、ヒノアクトT7000、ヒノアクトT8000、ヒノアクトT8000E(以上、川研ファインケミカル社製)等が挙げられる。
なお、本発明においては、アミン価分散剤以外の分散剤を用いてもよい。このような分散剤(分散剤成分)としては、所定の酸価を有する酸価分散剤、所定の酸価・アミン価を有していない分散剤(酸価およびアミン価がいずれも零である分散剤)が挙げられる。
酸価分散剤の具体例としては、ディスパービックP104、ディスパービックP104S、ディスパービック220S、ディスパービック110、ディスパービック111、ディスパービック170、ディスパービック171、ディスパービック174、ディスパービック2095(以上、ビックケミー社製);EFKA 5010、EFKA 5065、EFKA 5066、EFKA 5070、EFKA 7500、EFKA 7554(以上、チバスペシャリティ−社製);ソルスパース3000、ソルスパース16000、ソルスパース17000、ソルスパース18000、ソルスパース36000、ソルスパース36600、ソルスパース41000(以上、ルーブリゾール社製)、ヒノアクトKF−1000(川研ファインケミカル社製)等が挙げられる。
また、酸価およびアミン価がいずれも零である分散剤の具体的な例としては、ディスパービック101、ディスパービック103、ディスパービック106、ディスパービック108、ディスパービック109、ディスパービック112、ディスパービック116、ディスパービック140、ディスパービック142、ディスパービック180、ディスパービック182、ディスパービック183、ディスパービック184、ディスパービック185、ディスパービック2000、ディスパービック2001、ディスパービック2050、ディスパービック2070(以上、ビックケミー社製);EFKA 4008、EFKA 4009、EFKA 4010、EFKA 4406、EFKA 4408、EFKA 4015(以上、チバスペシャリティ−社製);ソルスパース9000、ソルスパース13000、ソルスパース20000、ソルスパース21000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000、ソルスパース32000、ソルスパース32500、ソルスパース32550、ソルスパース33500、ソルスパース35100、ソルスパース35200、ソルスパース38500、ソルスパース41090、ソルスパース20000(以上、ルーブリゾール社製);アジスパーPA111、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB824(以上、味の素ファインテクノ社製);ディスパロン1850、ディスパロン1860、ディスパロン2150、ディスパロン7004、ディスパロンDA−100、ディスパロンDA−234、ディスパロンDA−325、ディスパロンDA−375、ディスパロンDA−705、ディスパロンDA−725、ディスパロンPW−36(以上、楠本化成社製);および、フローレン DOPA−14、フローレン DOPA−15B、フローレン DOPA−17、フローレン DOPA−22、フローレン DOPA−44、フローレン TG−710、フローレン D−90(以上、共栄化学社製)等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。ただし、アミン価分散剤とともに、アミン価分散剤以外の分散剤(以下、他の分散剤とも言う)を含む場合、その含有率(複数種の「他の分散剤」を含む場合には、その総和)が、アミン価分散剤の含有率よりも少ないものであるのが好ましい。これにより、上述したようなアミン価分散剤を含むことによる効果(特に、前述した顔料および樹脂材料とともに含むことによる効果)が、より顕著に発揮される。
カラーフィルター用インク中における分散剤の含有率は、0.5wt%以上15wt%以下であるのが好ましく、0.6wt%以上8.0wt%以下であるのがより好ましい。
<その他の成分>
本発明のカラーフィルター用インクは、上記以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、各種架橋剤;ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩、オキソニウム塩、アンモニウム塩、ベンゾチアゾリウム塩等のオニウム塩等の熱酸発生剤;ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩、オキソニウム塩、アンモニウム塩等の光酸発生剤;各種重合開始剤;酸架橋剤;増感剤;発光材料;酸化防止剤;紫外線吸収剤;接着性改良剤;各種重合促進剤;各種光安定化剤;ガラス、アルミナ等の充填剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤等が挙げられる。
架橋剤としては、例えば、多価カルボン酸無水物、多価カルボン酸、多官能エポキシモノマー、多官能アクリルモノマー、多官能ビニルエーテルモノマー、多官能オキセタンモノマー等を用いることができる。多価カルボン酸無水物の具体例としては、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ジメチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、無水ナジン酸等の脂肪族または脂環族ジカルボン酸無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族多価カルボン酸二無水物;無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸無水物;エチレングリコールビストリメリテイト、グリセリントリストリメリテイト等のエステル基含有酸無水物が挙げられるが、中でも、芳香族多価カルボン酸無水物が好ましい。また、市販のカルボン酸無水物からなるエポキシ樹脂硬化剤も好適に用いることができる。また、多価カルボン酸の具体例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸等の脂肪族多価カルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸、およびフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸が挙げられるが、中でも、芳香族多価カルボン酸が好ましい。また、多官能エポキシモノマーの具体例としては、ダイセル化学工業株式会社製、商品名セロキサイド2021、ダイセル化学工業株式会社製、商品名エポリードGT401、ダイセル化学工業株式会社製、商品名エポリードPB3600、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、イソシアヌル酸トリグリシジル等が挙げられる。また、多官能アクリルモノマーの具体例としては、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートトリメタリルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。また、多官能ビニルエーテルモノマーの具体例としては、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、ノナンジオールジビニルエーテル、シキロヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル等が挙げられる。また、多官能オキセタンモノマーの具体例としては、キシリレンジオキセタン、ビフェニル型オキセタン、ノボラック型オキセタン等が挙げられる。
熱酸発生剤は、加熱により酸を発生する成分であり、前記の中でも、特に、スルホニウム塩およびベンゾチアゾリウム塩が好ましい。熱酸発生剤のより具体的な例としては、商品名として、サンエイドSI−45、同左SI−47、同左SI−60、同左SI−60L、同左SI−80、同左SI−80L、同左SI−100、同左SI−100L、同左SI−145、同左SI−150、同左SI−160、同左SI−110L、同左SI−180L(以上、三新化学工業社製品、商品名)、CI−2921、CI−2920、CI−2946、CI−3128、CI−2624、CI−2639、CI−2064(以上、日本曹達(株)社製品、商品名)、CP−66、CP−77(旭電化工業社製品、商品名)、FC−520(3M社製品、商品名)等が挙げられる。
光酸発生剤は、光により酸を発生する成分であり、より具体的な例としては、商品名として、サイラキュアUVI−6970、サイラキュアUVI−6974、サイラキュアUVI−6990、サイラキュアUVI−950(以上、米国ユニオンカーバイド社製、商品名)、イルガキュア261(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)、SP−150、SP−151、SP−170、オプトマーSP−171(以上、旭電化工業株式会社製、商品名)、CG−24−61(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)、DAICATII(ダイセル化学工業社製、商品名)、UVAC1591(ダイセル・ユーシービー(株)社製、商品名)、CI−2064、CI−2639、CI−2624、CI−2481、CI−2734、CI−2855、CI−2823、CI−2758(以上、日本曹達社製品、商品名)、PI−2074(ローヌプーラン社製、商品名、ペンタフルオロフェニルボレートトルイルクミルヨードニウム塩)、FFC509(3M社製品、商品名)、BBI−102、BBI−101、BBI−103、MPI−103、TPS−103、MDS−103、DTS−103、NAT−103、NDS−103(ミドリ化学社製、商品名)、CD−1012(米国、Sartomer社製、商品名)等が挙げられる。
また、カラーフィルター用インクの25℃での表面張力は、25dyn/cm以上38dyn/cm以下であるのが好ましく、25dyn/cm以上35dyn/cm以下であるのがより好ましく、25dyn/cm以上32dyn/cm以下であるのがさらに好ましい。これにより、液滴の吐出性を特に安定したものとできる。このため、製造されるカラーフィルターの個体間での特性差を特に少ないものとすることができる。なお、表面張力は、JIS K 3362によって測定される値を採用することができる。
また、カラーフィルター用インクの25℃における、カラーフィルター用の基板(ワーク)表面に対する接触角は、3゜以上15゜以下であるのが好ましく、5゜以上10゜以下であるのがより好ましい。これにより、吐出されて基板に着弾したカラーフィルター用インクが、好適に濡れ広がることができ、製造されるカラーフィルターは、セル内での着色濃度のむらの特に少ないものとなる。なお、カラーフィルター用インクのカラーフィルター用の基板表面に対する接触角は、JIS R 3257に準拠して測定される値を採用することができる。
カラーフィルター用インクの25℃における粘度(振動式粘度計を用いて測定される粘度)は、特に限定されないが、4mPa・s以上12mPa・s以下であるのが好ましく、5mPa・s以上11mPa・s以下であるのがより好ましい。カラーフィルター用インクの粘度が前記範囲内の値であると、後述するようなインクジェット方式による液滴吐出において、吐出されるカラーフィルター用インクの液適量のばらつきを特に小さいものとしつつ、液滴吐出ヘッドにおける目詰まりの発生等をより確実に防止することができる。なお、カラーフィルター用インクの粘度の測定は、例えば、振動式粘度計を用いて行うことができ、特に、JIS Z8809に準拠して行うことができる。
≪カラーフィルター用インクの製造方法≫
次に、上述したようなカラーフィルター用インクの製造方法の好適な実施形態について、説明する。
図1は、本発明のカラーフィルター用インクの製造方法の好適な実施形態を示す工程図である。
本実施形態の製造方法は、重合体Mが溶剤に溶解した重合体M溶液を調製する重合体M溶液調製工程(1a)と、顔料が添加された重合体M溶液を、ビーズミルによる微分散処理に供し、顔料が微分散した顔料分散体を得る微分散工程(1b)と、顔料分散体をレベリング剤と混合するレベリング剤混合工程(1c)とを有する。
<重合体M溶液調製工程>
重合体M溶液調製工程においては、重合体Mが溶剤に溶解した重合体M溶液を調製する(1a)。このように、後述する顔料を微分散させる工程(微分散工程)に先立って、顔料と混合する液体(重合体M溶液)を、重合体Mを含むものとすることにより、原料として用いる顔料粒子の凝集体を効率よく、容易かつ確実に微粒子化(解砕)することができ、カラーフィルター用インクの生産性を向上させることができるとともに、最終的に得られるカラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性、液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、重合体M溶液を用いることにより、後述する微分散工程を、比較的温和な条件で行うことができるため、カラーフィルター用インクの構成材料の不本意な変性、劣化等を確実に防止することができる。
また、本工程においては、分散剤を用いるのが好ましい。これにより、重合体Mと分散剤とを併用することによる相乗効果がより顕著に発揮される。また、本工程において分散剤を用いる場合、(重合体Mと溶剤との混合に先立って、または、重合体Mと溶剤との混合時に、)分散剤と溶剤とを含む混合物を攪拌する(分散剤を予備分散する)のが好ましい。これにより、得られる重合体M溶液中において、分散剤の会合状態を解いた(ほぐした)状態とすることができ、分散剤の機能をより効果的に発揮させることができる。
本工程で調製する重合体M溶液中における分散剤の含有率(複数種の分散剤を含む場合は、その含有率の総和)は、特に限定されないが、5wt%以上30wt%以下であるのが好ましく、6wt%以上25wt%以下であるのがより好ましい。分散剤の含有率が前記範囲内の値であると、前述したような効果がより顕著に発揮される。
また、本工程で調製する重合体M溶液中における溶剤の含有率は、特に限定されないが、40wt%以上80wt%以下であるのが好ましく、53wt%以上75wt%以下であるのがより好ましい。溶剤の含有率が前記範囲内の値であると、前述したような効果がより顕著に発揮される。なお、溶剤としては、目的とするカラーフィルター用インクを構成する液性媒体と同一の組成を有するものを用いてもよいし、異なる組成のものを用いてもよい。本工程で、溶剤として、目的とするカラーフィルター用インクを構成する液性媒体とは異なる組成を有するものを用いた場合、例えば、後の工程で、所定の液体(溶剤)で希釈したり、減圧処理、加熱処理等を伴う液体(溶剤)の置換を行ったりすることにより、最終的に得られるカラーフィルター用インクにおいて、所望の組成を有する液性媒体とすることができる。
本工程では、各種攪拌機を用いて上記各成分の混合物を攪拌することにより、重合体M溶液を得ることができる。
本工程で用いることのできる攪拌機としては、例えば、ディスパーミル等の一軸または二軸ミキサー等が挙げられる。
攪拌機を用いた攪拌処理時間は、特に限定されないが、1分間以上30分間以下であるのが好ましく、3分間以上20分間以下であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの生産性を十分に優れたものとしつつ、最終的に得られるカラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性、カラーフィルター用インクの吐出安定性等を特に優れたものとすることができる。
また、本工程での攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、特に限定されないが、500rpm以上4000rpm以下であるのが好ましく、800rpm以上3000rpm以下であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの生産性を十分に優れたものとしつつ、最終的に得られるカラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性等を特に優れたものとすることができる。また、重合体M、分散剤等の熱等による劣化、変性等をより確実に防止することができる。
なお、製造すべきカラーフィルター用インクが、重合体Zおよび/または重合体Wを含むものである場合、重合体Mとともに、重合体Z、重合体Wを本工程で用いるのが好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの製造過程における構成材料の不本意な変性劣化等を十分に防止・抑制しつつ、後述する微分散工程での顔料の微分散の効率をさらに優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの生産性をさらに優れたものとすることができる。
<微分散工程>
次に、上記工程で得られた重合体M溶液に顔料を添加し、ビーズミルによる微分散処理に供することにより、顔料が微分散した顔料分散体を得る(1b)。
上記のように、本工程で用いられる重合体M溶液は重合体Mを含むものであるため、顔料の微粒子化(解砕)を効率よく行うことができ、カラーフィルター用インクの生産性を特に優れたものとすることができる。これは、重合体Mを含むことにより、顔料の微粒子化(解砕)が促進されるとともに、微粒子化した顔料粒子が再凝集することが効果的に防止されるためであると考えられる。
特に、本実施形態では、顔料を微分散させる工程(微分散工程)において無機ビーズを多段で添加する。微分散工程において、無機ビーズを多段で添加することにより、顔料の微粒化の効率を特に優れたものとすることができ、最終的に得られるカラーフィルター用インク中における顔料粒子を十分に小さいものとすることができる。特に、アミン価分散剤を用いる場合においては、このような材料を用いることによる効果と、重合体M溶液調製工程および多段での微分散工程を有する方法を用いることによる効果とが、相乗的に作用し合い、最終的に得られるカラーフィルター用インクは、顔料の分散安定性、および、液滴の吐出安定性が、非常に優れたものとなり、非常に優れたコントラストのカラーフィルターの製造に用いることができるもののとなる。
なお、本工程は、3段以上に分けて無機ビーズを添加するものであってもよいが、無機ビーズを2段で添加するのが好ましい。これにより、最終的に得られるカラーフィルター用インク中における顔料粒子の長期分散安定性を十分に優れたものとしつつ、カラーフィルター用インクの生産性を特に優れたものとすることができる。
以下の説明では、無機ビーズを2段で添加する方法、すなわち、微分散工程において、第1の無機ビーズを用いた第1の処理と、第2の無機ビーズを用いた第2の処理とを行う方法について、代表的に説明する。
本工程で用いる無機ビーズ(第1の無機ビーズ、第2の無機ビーズ)は、無機材料で構成されたものであればいかなる材料で構成されたものであってもよいが、無機ビーズの好適な例としては、ジルコニア製のビーズ(例えば、Toray ceram 粉砕ボール(商品名)、株式会社東レ製)等が挙げられる。
[第1の処理]
本工程では、まず、前述した重合体M溶液調製工程で調製した重合体M溶液に顔料を添加し、所定の粒径の第1の無機ビーズを用いて一次微分散する第1の処理を行う。
第1の処理で用いる第1の無機ビーズは、第2の処理で用いる第2の無機ビーズよりも粒径の大きいものであるのが好ましい。これにより、微分散工程全体としての、顔料の微粒化(微分散)の効率を、特に優れたものとすることができる。
第1の無機ビーズの平均粒径は、特に限定されないが、0.5mm以上3.0mm以下であるのが好ましく、0.5mm以上2.0mm以下であるのがより好ましく、0.5mm以上1.2mm以下であるのがさらに好ましい。第1の無機ビーズの平均粒径が前記範囲内の値であると、微分散工程全体としての、顔料の微粒化(微分散)の効率を、特に優れたものとすることができる。これに対し、第1の無機ビーズの平均粒径が前記下限値未満であると、顔料の種類等によっては、第1の処理での顔料粒子の微粒化(小粒径化)の効率が著しく低下する傾向が現れる。また、第1の無機ビーズの平均粒径が前記上限値を超えると、第1の処理での顔料粒子の微粒化(小粒径化)の効率は、比較的優れたものとすることができるものの、第2の処理での顔料粒子の微粒化(小粒径化)の効率が低下し、微分散工程全体としての顔料の微粒化(微分散)の効率が低下する。
第1の無機ビーズの使用量は、特に限定されないが、重合体M溶液:100重量部に対し、100重量部以上600重量部以下であるのが好ましく、200重量部以上500重量部以下であるのがより好ましい。
重合体M溶液に添加する顔料の使用量は、特に限定されないが、重合体M溶液:100重量部に対し、12重量部以上であるのが好ましく、18重量部以上35重量部以下であるのがより好ましい。
第1の処理は、顔料、第1の無機ビーズを重合体M溶液に添加した状態で、各種ビーズミルで処理することにより行うことができる。
第1の処理で用いることのできるビーズミルとしては、例えば、パールミル等のメディア型分散機や、ディスパーミル等の一軸または二軸ミキサー等が挙げられる。
ビーズミルを用いた攪拌処理時間(第1の処理の処理時間)は、特に限定されないが、10分間以上120分間以下であるのが好ましく、15分間以上40分間以下であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの生産性を低下させることなく、顔料の微粒化(微分散)を効率よく進行させることができる。
また、第1の処理でのビーズミルが有する攪拌翼の回転数は、特に限定されないが、1000rpm以上5000rpm以下であるのが好ましく、1200rpm以上3800rpm以下であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの生産性を低下させることなく、顔料の微粒化(微分散)をより効率よく進行させることができる。また、重合体M溶液中の重合体、分散剤等の熱等による劣化、変性等を確実に防止することができる。
[第2の処理]
第1の処理を行った後、第2の無機ビーズを用いた第2の処理を行う。これにより、顔料粒子が十分に微分散した顔料分散体が得られる。
第2の処理は第1の無機ビーズを含む状態で行うものであってもよいが、第2の処理に先立ち、第1の無機ビーズを除去するのが好ましい。これにより、第2の処理における顔料の微粒化(微分散)の効率を特に優れたものとすることができる。第1の無機ビーズの除去は、例えば、ろ過等の方法により、容易かつ確実に行うことができる。
第2の処理で用いる第2の無機ビーズは、第1の処理で用いる第1の無機ビーズよりも粒径の小さいものであるのが好ましい。これにより、最終的に得られるカラーフィルター用インク中における顔料を、十分に微粒化(微分散)させたものとすることができ、カラーフィルター用インクにおける顔料粒子の長期間にわたる分散安定性(長期分散安定性)に特に優れたものとすることができるとともに、液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
第2の無機ビーズの平均粒径は、特に限定されないが、0.03mm以上0.3mm以下であるのが好ましく、0.05mm以上0.2mm以下であるのがより好ましい。第2の無機ビーズの平均粒径が前記範囲内の値であると、微分散工程全体としての、顔料の微粒化(微分散)の効率を、特に優れたものとすることができる。これに対し、第2の無機ビーズの平均粒径が前記下限値未満であると、顔料の種類等によっては、第2の処理での顔料粒子の微粒化(小粒径化)の効率が著しく低下する傾向が現れる。また、第2の無機ビーズの平均粒径が前記上限値を超えると、顔料粒子の微粒化(微分散)を十分に進行させるのが困難になる可能性がある。
第2の無機ビーズの使用量は、特に限定されないが、重合体M溶液:100重量部に対し、100重量部以上600重量部以下であるのが好ましく、200重量部以上500重量部以下であるのがより好ましい。
第2の処理は、各種ビーズミルを用いて行うことができる。
第2の処理で用いることのできるビーズミルとしては、例えば、パールミル等のメディア型分散機や、ディスパーミル等の一軸または二軸ミキサー等が挙げられる。
ビーズミルを用いた攪拌処理時間(第2の処理の処理時間)は、特に限定されないが、10分間以上120分間以下であるのが好ましく、15分間以上40分間以下であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの生産性を低下させることなく、顔料の微粒化(微分散)を十分に進行させることができる。
また、第2の処理でのビーズミルが有する攪拌翼の回転数は、特に限定されないが、1000rpm以上5000rpm以下であるのが好ましく、1200rpm以上3800rpm以下であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの生産性を低下させることなく、顔料の微粒化(微分散)をより効率よく進行させることができる。また、分散剤等の熱等による劣化、変性等を確実に防止することができる。
上記の説明では、微分散処理を2段で行う場合について中心的に説明したが、3段以上の処理を行ってもよい。このような場合、後の処理で用いる無機ビーズの方が、先の処理で用いる無機ビーズよりも小粒径であるのが好ましい。言い換えると、n段目の処理で用いる無機ビーズ(第nの無機ビーズ)の平均粒径は、(n−1)段目の処理で用いる無機ビーズ(第(n−1)の無機ビーズ)の平均粒径よりも小さいものであるのが好ましい。このような関係を満足することにより、顔料粒子の微粒化(微分散)の効率を特に優れたものとすることができるとともに、最終的に得られるカラーフィルター用インク中の顔料粒子の粒径をより小さいものとすることができる。
なお、微分散工程(例えば、第1の処理、第2の処理)においては、必要に応じて、例えば、溶剤による希釈等の処理を行ってもよい。
<レベリング剤混合工程>
上記のような微分散工程で得られた顔料分散体を、レベリング剤と混合する(1c)。これにより、カラーフィルター用インクが得られる。このように、微分散工程後に、レベリング剤を用いることにより、カラーフィルター用インクの調製時におけるレベリング剤の不本意な変性、劣化等を防止しつつ、最終的に得られるカラーフィルター用インクにレベリング剤を所望の割合で含ませることができる。
また、製造すべきカラーフィルター用インクが重合体M以外の樹脂成分(特に、前述した重合体X、重合体Yのうち少なくとも一方)を含むものである場合、本工程において、顔料分散体と混合する。このように、樹脂材料を構成する重合体Mを微分散工程に際して系内に含ませておくとともに、微分散工程後に、追加の樹脂成分(希釈樹脂)を用いることにより、例えば、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性(カラーフィルター用インクの長期安定性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとしたり、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の基板に対する密着性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクの調製時における重合体M以外の樹脂成分の不本意な変性、劣化を防止しつつ、最終的に得られるカラーフィルター用インクに当該樹脂成分を所望の割合で含ませることができ、当該樹脂成分の特長を確実に発揮させることができる。
本工程に追加する樹脂成分としては、例えば、上述したような重合体X、Y、Z、W等の重合体Mとは異なる重合体を用いることができるが、重合体Xおよび/または重合体Yを用いるのが好ましい。また、重合体Mは、前述した重合体M溶液調製工程に加え、本工程でも用いられるものであってもよい。
本工程は、第2の処理で用いた第2の無機ビーズを除去した状態で行うのが好ましい。第2の無機ビーズの除去は、例えば、ろ過等の方法により、容易かつ確実に行うことができる。
本工程は、各種攪拌機を用いて行うことができる。
本工程で用いることのできる攪拌機としては、例えば、ディスパーミル等の一軸または二軸ミキサー等が挙げられる。
攪拌機を用いた攪拌処理時間(本工程の処理時間)は、特に限定されないが、1分間以上60分間以下であるのが好ましく、15分間以上40分間以下であるのがより好ましい。
また、本工程での攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、特に限定されないが、1000rpm以上5000rpm以下であるのが好ましく、1200rpm以上3800rpm以下であるのがより好ましい。
なお、本工程では、前記工程で用いた溶剤とは異なる組成の液体を添加してもよい。これにより、前述した重合体M溶液調製工程での重合体の溶解、分散剤の分散、および、微分散工程での顔料粒子の微分散を好適に行いつつ、所望の特性を有するカラーフィルター用インクを確実に得ることができる。
また、本工程においては、顔料分散体とレベリング剤、希釈樹脂との混合に先立って、または、顔料分散体とレベリング剤、希釈樹脂との混合の後に、前記工程で用いた溶剤の少なくとも一部を除去してもよい。これにより、重合体M溶液調製工程、微分散工程での溶剤の組成と、最終的に得られるカラーフィルター用インクでの液性媒体の組成とを異なるものとすることができる。その結果、前述した重合体M溶液調製工程での重合体の溶解、分散剤の分散、および、微分散工程での顔料粒子の微分散を好適に行いつつ、所望の特性を有するカラーフィルター用インクを確実に得ることができる。溶剤の除去は、例えば、対象とする液体を、減圧雰囲気下に置いたり、加熱したりすることにより行うことができる。
また、本工程において、希釈樹脂を用いる場合、顔料分散体に対する、レベリング剤の混合のタイミングと、希釈樹脂の混合のタイミングとは、同じであっても異なるものであってもよい。例えば、顔料分散体との混合に先立ち、レベリング剤と希釈樹脂とを混合してもよいし、レベリング剤および希釈樹脂のうち一方を顔料分散体と混合した後、他方を混合してもよい。
《カラーフィルター用インクセット》
上述したようなカラーフィルター用インクは、インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるものである。カラーフィルターは、通常、フルカラー表示に対応するため、複数色の着色部(通常は、光の三原色に対応するRGBの3色)を有している。そして、これら複数色の着色部の形成には、それぞれに対応する色の複数種のカラーフィルター用インクが用いられる。すなわち、カラーフィルターの製造には、複数色のカラーフィルター用インクを備えるインクセット(カラーフィルター用インクセット)が用いられる。
本発明のカラーフィルター用インクセットは、カラーフィルター用インクセットを構成する複数種のインクのうち少なくとも1種が、上述したカラーフィルター用インクであることを特徴とする。これにより、着色部が平坦であり、表示画像の明度およびコントラスト比に優れ、色むら、濃度むらの発生が防止されたカラーフィルターを安定的に製造することのできるカラーフィルター用インクセットを提供することができる。
特に、カラーフィルター用インクを構成する複数種のインクのうち、少なくとも、緑色のカラーフィルター用インクに対して、本発明のカラーフィルター用インクを適用することが好ましい。一般に、緑色のカラーフィルター用インクは、着色剤の含有率が高くなりやすく、液滴の吐出安定性が劣るものとなりやすく、形成される着色部の明度、コントラスト比が優れたものとはなりにくいものであるが、緑色のカラーフィルター用インクに本発明を適用することにより、インクの液滴の吐出安定性を優れたものとすることができ、明度、コントラスト比に優れた着色部を形成することができる。すなわち、緑色のカラーフィルター用インクに本発明を適用することにより、本発明の効果がより顕著に発揮される。
上記のように、本発明においては、カラーフィルターの製造において、上述したようなカラーフィルター用インクが、少なくとも1種の着色部の形成に用いられるものであればよいが、全色の着色部の形成に用いられるのが好ましい。より具体的には、本発明のカラーフィルター用インクセットは、赤色の着色剤(特に、赤色の顔料)を含む赤色インクと、緑色の着色剤(特に、緑色の顔料)を含む緑色インクと、青色の着色剤(特に、青色の顔料)を含む青色インクとを備えたものであるのが好ましい。これにより、カラーフィルター用インクセットを用いて製造されるカラーフィルターの色再現域を特に広いものとすることができる。また、カラーフィルターにおいて、各色間での輝度バランスを容易に調整することができ、特に優れた画質の画像を好適に表示することができる。
《カラーフィルター》
次に、上述したようなカラーフィルター用インク(カラーフィルター用インクセット)を用いて製造されるカラーフィルターの一例について説明する。
図2は、本発明のカラーフィルターの好適な実施形態を示す断面図である。
図2に示すように、カラーフィルター1は、基板11と、上述したカラーフィルター用インクを用いて形成された着色部12とを備えている。着色部12としては、互いに異なる色の第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12Cが設けられている。そして、隣接する着色部12の間には、隔壁13が設けられている。
<基板>
基板11は、光透過性を有する板状の部材で、着色部12、隔壁13を保持する機能を有している。
基板11は、実質的に透明な材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、カラーフィルター1を透過する光により、より鮮明な画像を形成することができる。
また、基板11は、耐熱性、機械的強度に優れたものであるのが好ましい。これにより、例えば、カラーフィルター1の製造時に加わる熱による変形等を確実に防止することができる。このような条件を満足する基板11の構成材料としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ノルボルネン系開環重合体やその水素添加物等が挙げられる。
<着色部>
着色部12は、上述したようなカラーフィルター用インク(カラーフィルター用インクセット)を用いて形成されたものである。
着色部12は、上述したようなカラーフィルター用インク(カラーフィルター用インクセット)を用いて形成されたものであるため、所望の量のインクにより形成され、所望の形状を有する(表面の平坦性の高いもの)ものとなっており、各画素間での特性のばらつきが小さく、不本意な混色(複数種のカラーフィルター用インクの混合)等が確実に防止されている。このため、カラーフィルター1は、色むら、濃度むら等の発生が抑制され、コントラスト比および明度に優れた、信頼性が高いものとなっている。また、着色部12は、基板11との密着性にも優れている。
各着色部12は、後述する隔壁13により囲まれた領域であるセル14内に設けられている。
第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12Cは、互いに異なる色のものである。例えば、第1の着色部12Aを赤色フィルター領域(R)、第2の着色部12Bを緑色フィルター領域(G)、第3の着色部12Cを青色フィルター領域(B)とすることができる。
そして、一組の異なる色の着色部12A、12B、12Cで1画素を構成している。そして、カラーフィルター1においては、その横方向および縦方向に、着色部12が所定数配置されている。例えば、カラーフィルター1が、ハイビジョン用のカラーフィルターである場合には1366×768個の画素が配置されており、フルハイビジョン用のカラーフィルターである場合には1920×1080個の画素が配置されており、スーパーハイビジョン用のカラーフィルターである場合には7680×4320個の画素が配置されている。なお、カラーフィルター1は、例えば、有効領域外に予備の画素を備えたものであってもよい。
<隔壁>
隣接する着色部12の間には、隔壁(バンク)13が設けられている。これにより、隣接する着色部12同士が混色してしまうのを確実に防止することができ、その結果、鮮明な画像を確実に表示することができる。
隔壁13は、透明な材料で構成されたものであってもよいが、遮光性を有する材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、コントラストに優れた画像を表示することができる。隔壁(遮光部)13の色は、特に限定されないが、黒色であるのが好ましい。これにより、表示される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
隔壁13の高さは、特に限定されないが、着色部12の膜厚とほぼ同じであるのが好ましい。これにより、隣接する着色部12の間での混色を確実に防止することができる。隔壁13の具体的な厚さは、0.1μm以上10μm以下であるのが好ましく、0.5μm以上3.5μm以下であるのがより好ましい。これにより、隣接する着色部12の間での混色を確実に防止することができるとともに、カラーフィルター1を備えた画像表示装置、電子機器における視野角特性を優れたものとすることができる。
隔壁13は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、例えば、主として樹脂材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、後述するような方法で、隔壁13を容易に所望の形状を有するものとして形成することができる。また、隔壁13が遮光部としての機能を有するものである場合、その構成材料として、カーボンブラック等の光吸収性の材料を含むものであってもよい。
《カラーフィルターの製造方法》
次に、上述したようなカラーフィルター1の製造方法の一例について説明する。
図3は、カラーフィルターの製造方法を示す断面図、図4は、カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置を示す斜視図、図5は、図4に示す液滴吐出装置における液滴吐出手段をステージ側から観察した図、図6は、図4に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドの底面を示す図、図7は、図4に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドを示す図であり、(a)は断面斜視図、(b)は断面図である。
図3に示すように、本実施形態では、基板11を準備する基板準備工程(1a)と、基板11上に隔壁13を形成する隔壁形成工程(1b、1c)と、インクジェット方式によりカラーフィルター用インク2を隔壁13で囲まれた領域に付与するインク付与工程(1d)と、カラーフィルター用インク2から液性媒体を除去し、重合体Mを含む樹脂材料を硬化させることにより固形状の着色部12とする着色部形成工程(1e)とを有している。
<基板準備工程>
まず、基板11を準備する(1a)。本工程で準備する基板11は、洗浄処理が施されたものであるのが好ましい。また、本工程で準備する基板11は、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理が施されたものであってもよい。
<隔壁形成工程>
次に、基板11の隔壁形成用の感放射線性組成物を基板11の一方の面のほぼ全体に付与し、塗膜3を形成する(1b)。なお、基板11上に感放射線性組成物を付与した後、必要に応じて、プリベーク処理を行ってもよい。プリベーク処理は、例えば、加熱温度:50℃以上150℃以下、加熱時間:30秒以上600秒以下という条件で行うことができる。
その後、フォトマスクを介して、放射線を照射して、ポストエキスポジャーベーク処理(PEB)を行い、さらに、アルカリ現像液を用いた現像処理を行うことにより、隔壁13が形成される(1c)。PEBは、例えば、加熱温度:50℃以上150℃以下、加熱時間:30秒以上600秒以下、放射線照射強度:1mJ/cm以上500mJ/cm以下という条件で行うことができる。また、現像処理は、例えば、液盛り法、ディッピング法、振動浸漬法等により行うことができ、現像処理時間は、例えば、10秒以上300秒以下とすることができる。また、現像処理の後、必要に応じて、ポストベーク処理を行ってもよい。ポストベーク処理は、例えば、加熱温度:150℃以上280℃以下、加熱時間:3分以上120分以下という条件で行うことができる。
また、現像処理の前に、塗膜3に対して撥液化処理を行ってもよい。例えば、現像処理の前に、塗膜3に対してフッ素樹脂をスタンプ法などで付与してもよいし、フッ素をプラズマ重合処理で塗膜3(感放射線性組成物)の表面にドープしてもよい。そのような処理をすることで、バンク表面(図中の上面。内壁面を除く部位)のみ撥液化して、後の工程で形成される着色部12の表面の平坦化に寄与する。また、感放射線性組成物のなかに、表面のみに配向するように、比重の軽いフッ素樹脂を添加しておいてもよい。
<インク付与工程>
次に、インクジェット方式により、カラーフィルター用インク2を、隔壁13で囲まれたセル14内に付与する(1d)。
本工程は、形成すべき複数色の着色部12に対応する複数種のカラーフィルター用インク2を用いて行う。この際、隔壁13が設けられているため、2種以上のカラーフィルター用インク2が混ざり合うことが確実に防止される。
また、上述したようにカラーフィルター用インク2は、前記樹脂材料(重合体Mを含む樹脂材料)を含むものであり、液滴の吐出安定性に優れている。このため、製造すべきカラーフィルター1が大型のものである場合や、多数枚のカラーフィルター1を連続的に製造する場合であっても、飛行曲がり等の問題の発生を確実に防止ししつつ、液滴の吐出量を容易かつ確実に制御することができる。その結果、製造されるカラーフィルター1における混色、色むら・濃度むら、コントラスト比の低下等の問題の発生を確実に防止することができる。
カラーフィルター用インク2の吐出は、図4〜図7に示すような液滴吐出装置を用いて行う。
図4に示すように、本工程で用いる液滴吐出装置100は、カラーフィルター用インク2を保持するタンク101と、チューブ110と、チューブ110を介してタンク101からカラーフィルター用インク2が供給される吐出走査部102とを備える。吐出走査部102は、複数の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)114をキャリッジ105に搭載してなる液滴吐出手段103と、液滴吐出手段103の位置を制御する第1位置制御装置104(移動手段)と、前記工程で隔壁13が形成された基板11(以下、単に「基板11」とも言う。)を保持するステージ106と、ステージ106の位置を制御する第2位置制御装置108(移動手段)と、制御手段112とを備えている。タンク101と、液滴吐出手段103における複数の液滴吐出ヘッド114とは、チューブ110で連結されており、タンク101から複数の液滴吐出ヘッド114のそれぞれにカラーフィルター用インク2が圧縮空気によって供給される。
第1位置制御装置104は、制御手段112からの信号に応じて、液滴吐出手段103をX軸方向、およびX軸方向に直交するZ軸方向に沿って移動させる。さらに、第1位置制御装置104は、Z軸に平行な軸の回りで液滴吐出手段103を回転させる機能も有する。本実施形態では、Z軸方向は、鉛直方向(つまり重力加速度の方向)に平行な方向である。第2位置制御装置108は、制御手段112からの信号に応じて、X軸方向およびZ軸方向の双方に直交するY軸方向に沿ってステージ106を移動させる。さらに、第2位置制御装置108は、Z軸に平行な軸の回りでステージ106を回転させる機能も有する。
ステージ106は、X軸方向とY軸方向との双方に平行な平面を有する。また、ステージ106は、カラーフィルター用インク2を付与すべきセル14を有する基板11をその平面上に固定、または保持できるように構成されている。
上述のように、液滴吐出手段103は、第1位置制御装置104によってX軸方向に移動させられる。一方、ステージ106は、第2位置制御装置108によってY軸方向に移動させられる。つまり、第1位置制御装置104および第2位置制御装置108によって、ステージ106に対する液滴吐出ヘッド114の相対位置が変わる(ステージ106に保持された基板11と、液滴吐出手段103とが相対的に移動する)。
制御手段112は、カラーフィルター用インク2を吐出すべき相対位置を表す吐出データを外部情報処理装置から受け取るように構成されている。
図5に示すように、液滴吐出手段103は、それぞれほぼ同じ構造を有する複数の液滴吐出ヘッド114と、これらの液滴吐出ヘッド114を保持するキャリッジ105とを有している。本実施形態では、液滴吐出手段103に保持される液滴吐出ヘッド114の数は8個である。それぞれの液滴吐出ヘッド114は、後述する複数のノズル118が設けられた底面を有している。それぞれの液滴吐出ヘッド114のこの底面の形状は、2つの長辺と2つの短辺とを有する多角形である。液滴吐出手段103に保持された液滴吐出ヘッド114の底面はステージ106側を向いており、さらに、液滴吐出ヘッド114の長辺方向と短辺方向とは、それぞれX軸方向とY軸方向とに平行である。
図6に示すように、液滴吐出ヘッド114は、X軸方向に並んだ複数のノズル118を有する。これら複数のノズル118は、液滴吐出ヘッド114におけるX軸方向のノズルピッチHXPが所定の値となるように配置されている。ノズルピッチHXPの具体的な値は、特に限定されないが、例えば、50μm以上90μm以下とすることができる。ここで、「液滴吐出ヘッド114におけるX軸方向のノズルピッチHXP」は、液滴吐出ヘッド114におけるノズル118のすべてをY軸方向に沿ってX軸上に射像して得られた複数のノズル像間のピッチに相当する。
本実施形態では、液滴吐出ヘッド114における複数のノズル118は、ともにX軸方向に延びるノズル列116Aと、ノズル列116Bとをなす。ノズル列116Aと、ノズル列116Bとは、間隔を空けて並行に配置されている。そして、本実施形態においては、ノズル列116Aおよびノズル列116Bのそれぞれにおいて、90個のノズル118が一定間隔LNPでX軸方向に一列に並んでいる。LNPの具体的な値は、特に限定されないが、100μm以上180μm以下とすることができる。
ノズル列116Bの位置は、ノズル列116Aの位置に対して、ノズルピッチLNPの半分の長さだけX軸方向の正の方向(図6の右方向)にずれている。このため、液滴吐出ヘッド114のX軸方向のノズルピッチHXPは、ノズル列116A(またはノズル列116B)のノズルピッチLNPの半分の長さである。
したがって、液滴吐出ヘッド114のX軸方向のノズル線密度は、ノズル列116A(またはノズル列116B)のノズル線密度の2倍である。なお、本明細書において「X軸方向のノズル線密度」とは、複数のノズルをY軸方向に沿ってX軸上に射像して得られた複数のノズル像の単位長さ当たりの数に相当する。もちろん、液滴吐出ヘッド114が含むノズル列の数は、2つだけに限定されない。液滴吐出ヘッド114はM個のノズル列を含んでもよい。ここで、Mは1以上の自然数である。この場合には、M個のノズル列のそれぞれにおいて複数のノズル118は、ノズルピッチHXPのM倍の長さのピッチで並ぶ。さらに、Mが2以上の自然数の場合には、M個のノズル列のうちの一つに対して、他の(M−1)個のノズル列は、ノズルピッチHXPのi倍の長さだけ重複無くX軸方向にずれている。ここで、iは1から(M−1)までの自然数である。
さて、本実施形態では、ノズル列116Aおよびノズル列116Bのそれぞれが90個のノズル118からなるため、1つの液滴吐出ヘッド114は180個のノズル118を有する。ただし、ノズル列116Aの両端のそれぞれ5ノズルは「休止ノズル」として設定されている。同様に、ノズル列116Bの両端のそれぞれ5ノズルも「休止ノズル」として設定されている。そして、これら20個の「休止ノズル」からはカラーフィルター用インク2が吐出されない。このため、液滴吐出ヘッド114における180個のノズル118のうち、160個のノズル118がカラーフィルター用インク2を吐出するノズルとして機能する。
図5に示すように、液滴吐出手段103においては、複数個の上記液滴吐出ヘッド114がX軸方向に沿って2列に配置されている。一方の列の液滴吐出ヘッド114と他方の列の液滴吐出ヘッド114とは、休止ノズル分を考慮して、Y軸方向から見て一部重なるように配置されている。これにより、液滴吐出手段103においては、基板11のX軸方向の寸法分の長さに渡り、カラーフィルター用インク2を吐出するノズル118が前記ノズルピッチHXPでX軸方向に連続するように構成されている。
本実施形態の液滴吐出手段103では、基板11のX軸方向の寸法分の長さ全体をカバーするように液滴吐出ヘッド114を配置しているが、本発明における液滴吐出手段は、基板11のX軸方向の寸法分の長さの一部をカバーするようにものでもよい。
図に示すように、それぞれの液滴吐出ヘッド114は、インクジェットヘッドである。より具体的には、それぞれの液滴吐出ヘッド114は、振動板126と、ノズルプレート128とを備えている。振動板126と、ノズルプレート128との間には、タンク101から孔131を介して供給されるカラーフィルター用インク2が常に充填される液たまり129が位置している。
また、振動板126と、ノズルプレート128との間には、複数の隔壁122が位置している。そして、振動板126と、ノズルプレート128と、1対の隔壁122とによって囲まれた部分がキャビティ120である。キャビティ120はノズル118に対応して設けられているため、キャビティ120の数とノズル118の数とは同じである。キャビティ120には、1対の隔壁122間に位置する供給口130を介して、液たまり129からカラーフィルター用インク2が供給される。
振動板126上には、それぞれのキャビティ120に対応して、振動子124が位置する。振動子124は、ピエゾ素子124Cと、ピエゾ素子124Cを挟む1対の電極124A、124Bとを含む。この1対の電極124A、124Bとの間に駆動電圧を与えることで、対応するノズル118からカラーフィルター用インク2が吐出される。なお、ノズル118からZ軸方向にカラーフィルター用インク2が吐出されるように、ノズル118の形状が調整されている。
また、ノズルプレート128は、ステンレスで構成された基材と、基材を覆うようにして設けられ主としてシリカ化合物で構成されたシリカ膜と、シリカ膜を覆うようにして設けられ、フルオロアルキル化合物を含む撥液膜とによって構成されている。
また、シリカ膜は、撥液膜とステンレスの基材とを密着させる機能を有するとともに、ステンレスの基材を保護する機能を有する。
制御手段112(図4参照)は、複数の振動子124のそれぞれに互いに独立に信号を与えるように構成されていてもよい。つまり、ノズル118から吐出されるカラーフィルター用インク2の体積が、制御手段112からの信号に応じてノズル118毎に制御されてもよい。また、制御手段112は、塗布走査の間に吐出動作を行うノズル118と、吐出動作を行わないノズル118とを設定することでもできる。
本明細書では、1つのノズル118と、ノズル118に対応するキャビティ120と、キャビティ120に対応する振動子124とを含んだ部分を「吐出部127」と表記することもある。この表記によれば、1つの液滴吐出ヘッド114は、ノズル118の数と同じ数の吐出部127を有する。
上記のような液滴吐出装置100を用いて、カラーフィルター1が有する複数色の着色部12に対応するカラーフィルター用インク2を、セル14内に付与する。上記のような装置を用いることにより、セル14内に、効率よくかつ選択的にカラーフィルター用インク2を付与することができる。また、上述したように、カラーフィルター用インク2は、優れた吐出安定性を有しており、長期間、液滴吐出を行った場合であっても、飛行曲がりや、液滴の吐出量が不安定化する等の問題が極めて発生しにくいものである。したがって、異なる色の着色部を形成するのに用いられる複数種のインクが混ざり合って(混色して)しまったり、本来同一の着色濃度であることが求められる複数個の着色部の間での着色濃度のばらつきが発生する等の問題を確実に防止することができる。なお、図示の構成では、液滴吐出装置100は、カラーフィルター用インク2を保持するタンク101、チューブ110等を1色分しか有していないが、これらの部材を、カラーフィルター1が有する複数色の着色部12に対応する複数色分有するものであってもよい。また、カラーフィルター1の製造においては、複数色のカラーフィルター用インク2に対応する複数の液滴吐出装置100を用いてもよい。
なお、本発明では、液滴吐出ヘッド114は、駆動素子として、ピエゾ素子の代わりに静電アクチュエータを用いるものでもよい。また、液滴吐出ヘッド114は、駆動素子として電気熱変換素子を用い、この電気熱変換素子による材料の熱膨張を利用してカラーフィルター用インクを吐出する構成であってもよい。
<着色部形成工程(硬化工程)>
次に、セル14内のカラーフィルター用インク2から液性媒体を除去し、樹脂材料を硬化させることにより固形状の着色部12とする(1e)。これにより、カラーフィルター1が得られる。
上述したように、カラーフィルター用インク中には、重合体Mおよびレベリング剤が含まれているため、着色部12の形成時における顔料の不本意な凝集を防止、抑制することができるとともに、着色部12の形成時における不本意な凹凸の発生を効果的に防止し、着色部12表面の平坦性を高いものとすることができる。その結果、得られるカラーフィルター1を用いて表示される画像は、コントラスト、明度等が非常に優れたものとなる。
本工程は、通常、加熱により行う。本工程を加熱により行うことにより、形成される着色部12の基板11に対する密着性を特に優れたものとすることができる。また、形成される着色部12内にカラーフィルター用インクの液性媒体が残存することを確実に防止することができる。その結果、カラーフィルター1の耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター1の生産性も向上する。
本工程での加熱温度(加熱された基板11の温度)は、特に限定されないが、100℃以上280℃以下であるのが好ましく、110℃以上250℃以下であるのがより好ましい。これにより、着色部12の構成材料の不本意な劣化・分解等を防止しつつ、樹脂材料の硬化反応を効率よく進行させ、さらに、カラーフィルター用インク2から好適に液性媒体を除去できる。
また、本工程での加熱時間は、特に限定されないが、30分以上190分以下であるのが好ましく、40分以上130分以下であるのがより好ましい。
また、本工程は、温度の異なる複数の加熱処理を行ってもよい。具体的には、本工程において、比較的低温で基板11の加熱を行う第1の加熱処理と、第1の加熱処理よりも高い温度で基板11の加熱を行う第2の加熱処理とを施してもよい。
これにより、本工程において、比較的低温で基板11の加熱を行う第1の加熱処理と、第1の加熱処理よりも高い温度で基板11の加熱を行う第2の加熱処理とを施すことにより、着色部12の表面の平坦性をより高いものとすることができる。また、着色部12の構成材料の不本意な劣化・分解等を防止し、カラーフィルター1の生産性を向上させ、さらに、形成される着色部12に液性媒体が残存すること等を効果的に防止することができる。
このような場合、第1の加熱処理にて比較的低温で基板11を加熱することにより、カラーフィルター用インク2の対流を防止しつつ、穏やかに液性媒体を除去することができる。また、本処理において液性媒体が所定割合以上除去された後にも、本発明のカラーフィルター用インクには重合体Mが含まれているため、カラーフィルター用インク2は流動性を有している。このため、液性媒体の揮発量が少なくなりカラーフィルター用インク2の対流が抑制された状態において、カラーフィルター用インク2の表面はレベリング剤によって平坦な状態が保持されている。また、比較的低温で加熱することにより、不本意な樹脂材料の硬化反応を防止することができる。
また、第2の加熱処理では、第1の加熱処理では除去できなかった液性媒体を完全に除去することができる。また、本工程では、セル14内のカラーフィルター用インク2が、第1の加熱処理において液性媒体が所定の割合以上除去され、かつ、表面が平坦になった状態で、樹脂材料(硬化性樹脂材料)を反応させて、効率よくその形状で硬化させることができる。
上記のように、本工程において第1の加熱処理および第2の加熱処理を施す場合、第1の加熱処理での処理温度(加熱された基板11の温度)は、特に限定されないが、30℃以上100℃以下であるのが好ましく、40℃以上80℃以下であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インク2の対流を確実に防止しつつ、カラーフィルター用インク2から好適に液性媒体を除去できる。
また、第1の加熱処理の時間は、特に限定されないが、3分以上50分以下であるのが好ましく、5℃以上40分以下であるのがより好ましい。
また、第2の加熱処理での処理温度(加熱された基板11の温度)は、特に限定されないが、120℃以上280℃以下であるのが好ましく、150℃以上250℃以下であるのがより好ましい。これにより、第1の加熱処理では除去できなかった液性媒体を十分に除去することができる。
また、第2の加熱処理の時間は、特に限定されないが、25分以上150分以下であるのが好ましく、30分以上100分以下であるのがより好ましい。
また、本工程においては、例えば、活性エネルギー線の照射や、カラーフィルター用インク2が付与された基板11を減圧環境下に置く等の処理を行ってもよい。
活性エネルギー線を照射することにより、樹脂材料の硬化反応を効率よく進行させたり、加熱温度を比較的低いものとした場合であっても、樹脂材料の硬化反応を確実に進行させることができ、基板11等への悪影響の発生がより確実に防止される等の効果が得られる。活性エネルギー線としては、種々の波長の光線、例えば、紫外線、X線、g線、i線、エキシマレーザー等を使用することができる。
また、カラーフィルター用インク2が付与された基板11を減圧環境下に置く(減圧処理を施す)ことにより、液性媒体をより効率よく除去することができたり、画素(セル14)内での着色部12の形状を、確実に好ましいものとすることができたり、加熱温度を比較的低いものとした場合であっても、液性媒体を確実に除去することができ、基板11、形成される着色部12等への悪影響の発生がより確実に防止される等の効果が得られる。また、加熱処理および減圧処理を併用することにより、より効率よく着色部12を形成することができる。
《画像表示装置》
次に、カラーフィルター1を有する画像表示装置(電気光学装置)である液晶表示装置の好適な実施形態について説明する。
図8は、液晶表示装置の好適な実施形態を示す断面図である。同図に示すように、液晶表示装置60は、カラーフィルター1と、カラーフィルター1の着色部12が設けられた面側に配された基板(対向基板)66と、カラーフィルター1と基板66との間の空隙に封入された液晶よりなる液晶層62と、カラーフィルター1の基板11の液晶層62に対向する面とは反対の面側(図8中下側)に設けられた偏光板67と、基板66の液晶層62に対向する面とは反対の面側(図8中上側)に設けられた偏光板68とを有している。そして、カラーフィルター1の着色部12および隔壁13が設けられた面(着色部12および隔壁13の基板11に対向する面とは反対の面)には、共通電極61が設けられており、基板(対向基板)66の液晶層62、カラーフィルター1に対向する面には、カラーフィルター1の各着色部12に対応する位置に、マトリクス状に、画素電極65が配されている。さらに、共通電極61と液晶層62との間には配向膜64が設けられ、基板66(画素電極65)と液晶層62との間には配向膜63が設けられている。
基板66は、可視光に対して光透過性を有する基板であり、例えば、ガラス基板である。
共通電極61、画素電極65は、可視光に対して光透過性を有する材料で構成されたものであり、例えば、ITO等で構成されている。
本発明のカラーフィルター1は、耐熱性等に優れているため、製造時に、カラーフィルター1上に、電極(図示の構成では、共通電極61)を形成する際(特に、気相成膜により形成する際)においても、着色部12の変色が確実に防止されるとともに、着色部12の変性、劣化等が防止され、カラーフィルター1と電極(共通電極61)との密着性を特に優れたものとすることができ、電圧保持率(VHR)を良好なものとすることができる。
また、図中省略しているが、各画素電極65に対応するように、複数のスイッチング素子(例えば、TFT:薄膜トランジスター)が設けられている。そして、各着色部12に対応する各画素電極65について、共通電極61との間での電圧の印加状態を制御することにより、各着色部12(各画素電極65)に対応する領域での、光の透過性を制御することができる。
液晶表示装置60では、図示しないバックライトから発せられた光が、偏光板68側(図8中上側)から入射するようになっている。そして、液晶層62を透過し、カラーフィルター1の各着色部12(12A、12B、12C)に入射した光は、各着色部12(12A、12B、12C)に対応する色の光として、偏光板67(図8中下側)から出射する。
上述したように、着色部12は、本発明のカラーフィルター用インク2(カラーフィルター用インクセット)を用いて形成されたものであるため、液晶表示装置60は、表示画像の明度およびコントラスト比に優れ、色むら、濃度むらの発生が防止された画像を安定的に表示することができる。
《電子機器》
前述したようなカラーフィルター1を有する液晶表示装置等の画像表示装置(電気光学装置)1000は、各種電子機器の表示部に用いることができる。
図9は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピューター1100においては、表示ユニット1106が画像表示装置1000を備えている。
図10は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206とともに、画像表示装置1000を表示部に備えている。
図11は、本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、画像表示装置1000が表示部に設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。
ケースの内部には、回路基板1308が設置されている。この回路基板1308は、撮像信号を格納(記憶)し得るメモリーが設置されている。
また、ケース1302の正面側(図示の構成では裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1308のメモリーに転送・格納される。
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示のように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニター1430が、データ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピューター1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、回路基板1308のメモリーに格納された撮像信号が、テレビモニター1430や、パーソナルコンピューター1440に出力される構成になっている。
なお、本発明の電子機器は、上述したパーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター)、携帯電話機、ディジタルスチルカメラの他にも、例えば、テレビ(例えば、液晶テレビ)や、ビデオカメラ、ビューファインダー型、モニター直視型のビデオテープレコーダー、ラップトップ型パーソナルコンピューター、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、タッチパネルを備えた機器(例えば金融機関のキャッシュディスペンサー、自動券売機)、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電表示装置、超音波診断装置、内視鏡用表示装置)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ、その他各種モニター類、プロジェクター等の投射型表示装置等に適用することができる。中でも、テレビは、近年の表示部の大型化の傾向が顕著であるが、このような大型の表示部(例えば、対角線長80cm以上の表示部)を有する電子機器では、従来のカラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターを適用した場合、色むら、濃度むら等の問題を特に生じ易かったが、本発明を適用すれば、このような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、上記のような大型の表示部を有する電子機器に適用した場合に、本発明の効果は、より顕著に発揮される。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、前述した実施形態においては、各色の着色部に対応するカラーフィルター用インクを、セル内に付与した後に、一括で、セル内の各色のカラーフィルター用インクから液性媒体を除去し、樹脂材料を硬化させるもの、すなわち、着色部形成工程(硬化工程)を1回のみ行うものとして説明したが、インク付与工程および着色部形成工程は、各色に対応して、繰り返し行うものであってもよい。
また、カラーフィルター、画像表示装置、電子機器を構成する各部は、同様の機能を発揮する任意のものと置換、または、その他の構成を追加することもできる。例えば、本発明のカラーフィルターにおいては、着色部の基板に対向する面とは反対の面側に、着色部を被覆する保護膜が設けられていてもよい。これにより、着色部の損傷や劣化等をより効果的に防止することができる。
また、本発明のカラーフィルター用インクは、いかなる方法で製造されたものであってもよく、上述したような方法により製造されたものでなくてもよい。
また、前述した実施形態では、カラーフィルター用インクセットが、光の三原色に対応する3種(3色)のカラーフィルター用インクを備える場合について中心的に説明したが、カラーフィルター用インクセットを構成するカラーフィルター用インクの数、種類(色)は、上述したものに限定されない。例えば、本発明においてカラーフィルター用インクセットは、4種以上のカラーフィルター用インクを備えるものであってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
[1]重合体の合成
(合成例1)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ)に、溶媒(溶剤)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:100重量部を入れて、80℃に加熱した。続いて、該フラスコ内に、単量体成分m1としてのメタクリル酸2−[O−(1′−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル(=2−(1−メチルプロピリデンアミノオキシカルボニルアミノエチル)メタクリレート):60重量部、単量体成分m2としてのメタクリル酸:20重量部、単量体成分m3としてのステアリルメタクリレート:20重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:30重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて4時間かけてフラスコ内に滴下した。一方、ラジカル開始剤(重合開始剤)としてのアゾビスジメチルバレロニトリル:5重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:90重量部に溶解させた溶液を、別の滴下ポンプを用いて4時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の滴下が終了した後、4時間同温度に保持(熟成)し、その後、室温まで冷却して、単量体成分m1、m2、m3を含み上記式(8)で表される重合体Mとしての重合体M1を得た。
(合成例2〜8)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)および単量体成分の種類、各成分の比率を調整し、重合体の組成を表1に示すように変更した以外は、前記合成例1と同様の操作を行った。その結果、7種の重合体M(重合体M2〜M8)が得られた。
(合成例9)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ)に、溶媒(溶剤)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:314重量部を入れて、90℃に加熱した。続いて、ラジカル開始剤としての2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):20重量部、および、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(溶媒):30重量部を加えた後、該フラスコ内に、上記式(11)で表される単量体成分(化合物)x1:180重量部、上記式(12)で表される単量体成分(化合物)x2:90重量部、上記式(13)で表される単量体成分(化合物)x3:15重量部、上記式(14)で表される単量体成分(化合物)x4:15重量部、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):50重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:200重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて5時間かけて滴下し、さらに4時間熟成させた。その後、室温まで冷却して、単量体成分x1、x2、x3、x4を含み上記式(19)で表される重合体Xとしての重合体X1を得た。
(合成例10〜16)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類、各成分の比率を調整し、重合体の組成を表1に示すように変更した以外は、前記合成例9と同様の操作を行った。その結果、7種の重合体X(重合体X2〜X8)が得られた。
(合成例17)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ)に、溶媒(溶剤)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:314重量部を入れて、90℃に加熱した。続いて、ラジカル開始剤としての2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):20重量部、および、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(溶媒):30重量部を加えた後、該フラスコ内に、上記式(15)で表される単量体成分(化合物)y1:200重量部、上記式(16)で表される単量体成分(化合物)y2:100重量部、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):50重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:200重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて5時間かけて滴下し、さらに4時間熟成させた。その後、室温まで冷却して、単量体成分y1、y2を含み上記式(20)で表される重合体Yとしての重合体Y1を得た。
(合成例18、19)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類、各成分の比率を調整し、重合体の組成を表2に示すように変更した以外は、前記合成例17と同様の操作を行った。その結果、2種の重合体Y(重合体Y2、Y3)が得られた。
(合成例20)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ)に、溶媒(溶剤)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:246重量部を入れて、80℃に加熱した。続いて、該フラスコ内に、上記式(21)で表される単量体成分(化合物)z1:276重量部、上記式(22)で表される単量体成分(化合物)z2:51重量部、ラジカル開始剤としてのアゾビスジメチルバレロニトリル:39重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:360重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて5時間かけて滴下し、さらに3時間熟成させた。
その後、フラスコ内にグリシジルメタクリレート:26重量部、メトキノン:2重量部を加え、110℃で10時間反応させた。その後、室温まで冷却して、単量体成分z1、z2、z3を含み上記式(24)で表される重合体Zとしての重合体Z1を得た。
(合成例21、22)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類、各成分の比率を調整し、重合体の組成を表2に示すように変更した以外は、前記合成例20と同様の操作を行った。その結果、2種の重合体Z(重合体Z2、Z3)が得られた。
(合成例23)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ)に、溶媒(溶剤)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:180重量部を入れて、85℃に加熱した。続いて、該フラスコ内に、上記式(25)で表される単量体成分(化合物)w1:188重量部、上記式(26)で表される単量体成分(化合物)w2:34重量部、上記式(27)で表される単量体成分(化合物)w3:74重量部、上記式(28)で表される単量体成分(化合物)w4:74重量部、ラジカル開始剤としてのアゾビスジメチルバレロニトリル:64重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:386重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて5時間かけて滴下し、さらに3時間熟成させた。その後、室温まで冷却して、単量体成分w1、w2、w3、w4を含み上記式(29)で表される重合体Wとしての重合体W1を得た。
(合成例24、25)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類、各成分の比率を調整し、重合体の組成を表2に示すように変更した以外は、前記合成例23と同様の操作を行った。その結果、2種の重合体W(重合体W2、W3)が得られた。
(合成例26〜30)
重合体の合成に用いる単量体成分の種類、各成分の比率を調整し、重合体の組成を表2に示すように変更した以外は、前記合成例1と同様の操作を行った。その結果、5種の重合体M’(重合体M’1〜M’5)が得られた。
表1、表2には、合成例1〜30で合成した各重合体を構成する各単量体成分の比率、各重合体の重量平均分子量Mwをまとめて示した。表中、メタクリル酸2−[O−(1′−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル(=2−(1−メチルプロピリデンアミノオキシカルボニルアミノエチル)メタクリレート)を「m1a」で示し、メタクリル酸2−(3,5−ジメチルピラゾール−1−イル)カルボニルアミノエチルを「m1b」で示し、アクリル酸2−(3,5−ジメチルピラゾール−1−イル)カルボニルアミノエチルを「m1c」で示し、メタクリル酸を「m2a」で示し、アクリル酸を「m2b」で示し、ステアリルメタクリレートを「m3a」で示し、ベヘニルメタクリレートを「m3b」で示し、パルミチルアクリレートを「m3c」で示し、リグノセリルメタクリレートを「m3d」で示し、メタクリル酸メチルを「m4a」で示し、アクリル酸エチルを「m4b」で示し、アクリル酸ペンチルを「m4c」で示し、スチレンを「m5」で示し、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを「m6」で示し、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イルアクリレートと3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルアクリレートの混合物を「m7」で示し、セロチニルメタクリレートを「m3’」で示した。なお、上記のようにして合成した重合体は、いずれも、分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が1以上3以下の範囲内であった。
Figure 2011028022
Figure 2011028022
[2]カラーフィルター用インク(カラーフィルター用インクセット)の調製
(実施例1)
アミン価分散剤としてのディスパービック166と、重合体M1と、重合体Z1と、重合体W1と、これらの重合体(重合体M1、重合体Z1、重合体W1)を溶解する溶媒(カラーフィルター用インクにおける液性媒体の構成成分)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートとを、攪拌機(一軸ミキサー)に投入し、ディスパーミルで10分間攪拌することにより、重合体M1、重合体Z1、重合体W1が溶媒に溶解した重合体M溶液を得た(重合体M溶液調製工程)。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。
次に、以下に述べるようにして、重合体M溶液調製工程で得られた重合体M溶液に、顔料を添加し、攪拌機(ビーズミル)を用いて、無機ビーズを多段で添加して微分散処理を行う微分散工程を施した。
まず、得られた重合体M溶液に、顔料を添加し、10分間攪拌を行った。このとき、ビーズミル(攪拌機)が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。また、顔料としては、C.I.ピグメントレッド177と上記式(30)で表される顔料誘導体との混合物と、C.I.ピグメントレッド254と上記式(31)で表される顔料誘導体との混合物と、下記式(34)で示される化学構造を有するスルホン化顔料誘導体の粉末とを用いた。また、このとき、重合体M溶液と顔料との混合物中における顔料の含有率が16wt%となるように、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートで希釈した。
Figure 2011028022
次に、平均粒径0.8mmの無機ビーズ(第1の無機ビーズ、ジルコニア製、「Toray ceram 粉砕ボール」(商品名)、東レ株式会社製)を添加して、室温下、30分間攪拌し1段目の分散処理(第1の処理)を行った。このとき、ビーズミル(攪拌機)が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。
次に、フィルター(「PALL HDCII Membrane Filter」、PALL社製)を用いたろ過により、無機ビーズ(第1の無機ビーズ)を除去し、その後、平均粒径0.1mmの無機ビーズ(第2の無機ビーズ、ジルコニア製、「Toray ceram 粉砕ボール」(商品名)、東レ株式会社製)を添加し、更に30分間攪拌し第2段目の分散処理(第2の処理)を行った。このとき、ビーズミル(攪拌機)が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。また、このとき、得られる顔料分散体中における顔料の含有率が13wt%となるように、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートで希釈した。
その後、フィルター(「PALL HDCII Membrane Filter」(商品名)、PALL社製)を用いたろ過により、無機ビーズ(第2の無機ビーズ)を除去し、顔料分散体を得た。
次に、上記のようにして得られた顔料分散体に、重合体X1と、重合体Y1と、ポリエチレングリコール#300(重量平均分子量:300)と、アクリル系レベリング剤と、液性媒体としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートおよびジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルとを加え、混合した(レベリング剤混合工程)。アクリル系レベリング剤としては、メチルメタクリレートと、アリルアクリレートと、ベンジルアクリレートと、シクロヘキシルアクリレートとを構成モノマーとする共重合体で、重量平均分子量が40000であり、溶解度パラメータが8.50であるものを用いた。また、本工程は、上記の各材料を攪拌機(一軸ミキサー)に投入し、ディスパーミルで10分間攪拌することにより行った。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。これにより、目的とする赤色のカラーフィルター用インク(Rインク)を得た。
また、顔料の種類、各成分の使用量を変更した以外は、前記赤色のカラーフィルター用インクと同様にして、緑色のカラーフィルター用インク(Gインク)、青色のカラーフィルター用インク(Bインク)を調製した。これにより、R、G、Bの3色のインクからなるカラーフィルター用インクセットが得られた。Rインクを構成する顔料の平均粒径、Gインクを構成する顔料の平均粒径、Bインクを構成する顔料の平均粒径は、それぞれ、70nm、70nm、70nmであった。
(実施例2〜10)
カラーフィルター用インクの材料の種類・含有量を表に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてカラーフィルター用インク(カラーフィルター用インクセット)を調製した。
(比較例1〜8)
カラーフィルター用インクの材料の種類・含有量を表に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてカラーフィルター用インク(カラーフィルター用インクセット)を調製した。
なお、上記各実施例および比較例では、いずれも、重合体M、W、Z、M’を用いる場合には、これらを重合体M溶液調製工程(またはこれに対応するタイミングで行う工程)で用い、重合体X、Yを用いる場合には、これらをレベリング剤混合工程(またはこれに対応するタイミングで行う工程)で用いた。
前記各実施例および各比較例でのカラーフィルター用インクの組成(構成成分の種類、含有量)を表3、表4にまとめて示した。なお、表中、C.I.ピグメントレッド177を「PR177」、C.I.ピグメントレッド254を「PR254」、C.I.ピグメントレッド177と式(30)で表される顔料誘導体との混合物を「PR177D」、C.I.ピグメントレッド254と式(31)で表される顔料誘導体との混合物を「PR254D」、上記式(34)で表される顔料誘導体(分子内のスルホ基が1個)で構成された粉末を「SPD1」、下記式(35)で表される顔料誘導体(分子内のスルホ基が2個)で構成された粉末を「SPD2」、C.I.ピグメントグリーン36を「PG36」、C.I.ピグメントグリーン58を「PG58」、C.I.ピグメントブルー15:6を「PB15:6」、C.I.ピグメントイエロー150を「PY150」、C.I.ピグメントバイオレット23を「PV23」、ディスパービック111(酸価:50KOHmg/g)を「DA1」、ディスパービック2095(酸価:13KOHmg/g)を「DA2」、ディスパービックP104(酸価:360KOHmg/g)を「DA3」、ディスパービック166(アミン価:115KOHmg/g)を「DA4」、ディスパービック9075(アミン価:12KOHmg/g)を「DA5」、ディスパービック2001を「DA6」、ポリエチレングリコール#300(平均重量分子量:300、粘度:70mPa・s)を「PEG1」、ポリエチレングリコール#400(平均重量分子量:400、粘度:90mPa・s)を「PEG2」、ポリエチレングリコール#200(平均重量分子量:200、粘度:50mPa・s)を「PEG3」、ポリエチレングリコール#600(平均重量分子量:600、粘度:135mPa・s)を「PEG4」、ポリプロピレングリコール#400(分子量:400、粘度:70mPa・s、単量体成分:1,2−プロピレングリコール)を「PPG1」、ポリプロピレングリコール#1000(平均重量分子量:1000、粘度:150mPa・s、単量体成分:1,2−プロピレングリコール)を「PPG2」、ポリプロピレングリコール#2000(平均重量分子量:2000、粘度:310mPa・s、単量体成分:1,2−プロピレングリコール)を「PPG3」、前記実施例1で説明したアクリル系レベリング剤を「syn」、アクリル系レベリング剤としての、ディスパロンLHP−95(楠本化成(株)製)を「LHP95」、アクリル系レベリング剤としての、ディスパロンLF−1983(楠本化成(株)製)を「LF1983」、アクリル系レベリング剤としての、ディスパロンLF−1982(楠本化成(株)製)を「LF1982」、アクリル系レベリング剤としての、ディスパロンLF−1984(楠本化成(株)製)を「LF1984」、アクリル系レベリング剤としての、ディスパロンLF−1980(楠本化成(株)製)を「LF1980」、ビニルエーテル系レベリング剤としての、ディスパロンLHP−90(楠本化成(株)製)をLHP90、シリコーン系レベリング剤としての、BYK−307(ビックケミー・ジャパン社製)を「BYK307」、フッ素−ケイ素系レベリング剤としての、メガファックF−444(大日本インキ化学工業社製)を「F444」、アセチレングリコール系レベリング剤としての、オルフィンSPC(日信化学工業社製)を「SPC」、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを「S1」、1,3−ブチレングリコールジアセテートを「S2」、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテートを「S3」、ビス(2−ブトキシエチル)エーテルを「S4」、オクタン酸エチルを「S5」、ジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルを「S6」、トリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルを「S7」、3−エトキシプロピオン酸エチルを「S8」、熱硬化性アクリル樹脂としての樹脂A(商品名:ACRYDIC A−430−60、DIC株式会社製)を「A」で示した。
なお、分散剤のアミン価は、DIN 16945に準拠する方法により求め、酸価は、DIN EN ISO 2114に準拠する方法により求めた。
Figure 2011028022
また、各実施例および各比較例で用いた、C.I.ピグメントレッド177と式(30)で表される顔料誘導体との混合物中における式(30)で表される顔料誘導体の含有率は、いずれも、0.1wt%以上10wt%以下であった。また、前記各実施例および各比較例で用いた、C.I.ピグメントレッド254と式(31)で表される顔料誘導体との混合物中における式(31)で表される顔料誘導体の含有率は、いずれも、0.1wt%以上10wt%以下であった。また、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定された前記各実施例のカラーフィルター用インクの25℃における粘度は、いずれも、5mPa・s以上11mPa・s以下の範囲内の値であった。
また、前記各実施例のカラーフィルター用インクのカラーフィルター用インクの25℃での表面張力は、いずれも、25dyn/cm以上32dyn/cm以下であった。また、前記各実施例のカラーフィルター用インクの25℃における、カラーフィルター用のガラス基板(後述する[5]で用いるシリカ(SiO)膜が形成されたソーダガラス製の基板)の表面に対する接触角は、いずれも、5゜以上10゜以下であった。なお、カラーフィルター用インクのカラーフィルター用のガラス基板表面に対する接触角は、JIS R 3257に準拠して測定した。
Figure 2011028022
Figure 2011028022
[3]カラーフィルター用インクの保存安定性評価(耐久性評価)
[3.1]加熱処理後の外観変化
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクについて、50℃の環境下に30日間放置した後、目視による観察を行い、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:加熱前からの変化が全く認められない。
B:顔料粒子の凝集・沈降がほとんど認められない。
C:顔料粒子の凝集・沈降がわずかに認められる。
D:顔料粒子の凝集・沈降がはっきりと認められる。
E:顔料粒子の凝集・沈降が顕著に認められる。
[3.2]粘度の変化量
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクについて、50℃の環境下に30日間放置した後の粘度(動粘度)を測定し、製造直後の粘度との差を求めた。すなわち、製造直後の粘度をν[mPa・s]、50℃の環境下に30日間放置した後の粘度をν[mPa・s]としたとき、ν−νで表される値を求めた。このようにして求められた値について、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:ν−νの値が0.2mPa・s未満。
B:ν−νの値が0.2mPa・s以上0.3mPa・s未満。
C:ν−νの値が0.3mPa・s以上0.5mPa・s未満。
D:ν−νの値が0.5mPa・s以上0.7mPa・s未満。
E:ν−νの値が0.7mPa・s以上。
[4]液滴吐出の安定性評価(吐出安定性評価)
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクを用いて、下記に示すような試験による評価を行った。
[4.1]着弾位置精度評価
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図4〜図7に示すような液滴吐出装置(ステンレスで構成された基材と、基材を覆うようにして設けられ主としてシリカ化合物で構成されたシリカ膜と、シリカ膜を覆うようにして設けられ、フルオロアルキル化合物を含む撥液膜とで構成されたノズルプレートを備えるもの)および前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用意し、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、25℃、55%RHの環境下で、各インクについて、液滴吐出ヘッドの中央部付近の指定したノズルから吐出された3000000発(3000000滴)の液滴について、着弾した各液滴の中心位置の中心狙い位置からのズレ量dの平均値を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。この値が小さいほど飛行曲がりの発生が効果的に防止されていると言える。
A:ズレ量dの平均値が0.06μm未満。
B:ズレ量dの平均値が0.06μm以上0.12μm未満。
C:ズレ量dの平均値が0.12μm以上0.15μm未満。
D:ズレ量dの平均値が0.15μm以上0.18μm未満。
E:ズレ量dの平均値が0.18μm以上。
[4.2]液滴吐出量の安定性評価
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図4〜図7に示すような液滴吐出装置(ステンレスで構成された基材と、基材を覆うようにして設けられ主としてシリカ化合物で構成されたシリカ膜と、シリカ膜を覆うようにして設けられ、フルオロアルキル化合物を含む撥液膜とで構成されたノズルプレートを備えるもの)および前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用意し、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、25℃、55%RHの環境下で、各インクについて、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、3000000発(3000000滴)の液滴の連続吐出を行った。液滴吐出ヘッドの左右両端の指定の2つのノズルについて、吐出された液滴の総重量を求め、上記2つのノズルから吐出された液滴の平均吐出量の差の絶対値ΔW[ng]を求めた。このΔWの、液滴の目標吐出量W[ng]に対する比率(ΔW/W)を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。ΔW/Wの値が小さいほど、液滴吐出量の安定性に優れていると言える。
A:ΔW/Wの値が、0.055未満。
B:ΔW/Wの値が、0.055以上0.270未満。
C:ΔW/Wの値が、0.270以上0.570未満。
D:ΔW/Wの値が、0.570以上0.790未満。
E:ΔW/Wの値が、0.790以上。
[4.3]間欠印字性能評価
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図4〜図7に示すような液滴吐出装置(ステンレスで構成された基材と、基材を覆うようにして設けられ主としてシリカ化合物で構成されたシリカ膜と、シリカ膜を覆うようにして設けられ、フルオロアルキル化合物を含む撥液膜とで構成されたノズルプレートを備えるもの)および前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用意し、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、25℃、55%RHの環境下で、各インクについて、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、300000発(300000滴)の液滴の連続吐出を行い、その後、180秒間、液滴の吐出を中断した(1シーケンス目)。その後、同様に、液滴の連続吐出、および、滴々の吐出の中断の操作を繰り返し行った。液滴吐出ヘッドの中央部付近の指定したノズルについて、1シーケンス目に吐出された液滴の平均重量W[ng]と、50シーケンス目に吐出された液滴の平均重量W50[ng]とを求めた。そして、WとW50との差の絶対値の、液滴の目標吐出量W[ng]に対する比率(|W−W50|/W)を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。|W−W50|/Wの値が小さいほど、間欠印字性能(液滴吐出量の安定性)に優れていると言える。
A:|W−W50|/Wの値が、0.045未満。
B:|W−W50|/Wの値が、0.045以上0.120未満。
C:|W−W50|/Wの値が、0.120以上0.430未満。
D:|W−W50|/Wの値が、0.430以上0.680未満。
E:|W−W50|/Wの値が、0.680以上。
[4.4]連続吐出試験
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図4〜図7に示すような液滴吐出装置(ステンレスで構成された基材と、基材を覆うようにして設けられ主としてシリカ化合物で構成されたシリカ膜と、シリカ膜を覆うようにして設けられ、フルオロアルキル化合物を含む撥液膜とで構成されたノズルプレートを備えるもの)、前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用いて、25℃、40%RHの環境下で、液滴吐出装置を800時間、連続で運転させることにより、カラーフィルター用インクセットを構成する各インクの吐出を行った。
連続運転後における、液滴吐出ヘッドを構成するノズルの目詰まりの発生率([(目詰まりノズル数)/(全ノズル数)]×100)を求め、ノズルの目詰まりが発生しているものについては、可塑材料で構成されたクリーニング部材により、目詰まりの解消が可能であるか否かを調べた。その結果を、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:ノズルの目詰まりの発生がない。
B:ノズルの目詰まりの発生率が0.6%未満(ただし、ゼロを除く)であり、かつ、クリーニングによる目詰まりの解消が可能。
C:ノズルの目詰まりの発生率が0.6%以上1.0%未満であり、かつ、クリーニングによる目詰まりの解消が可能。
D:ノズルの目詰まりの発生率が1.0%以上1.3%未満であり、かつ、クリーニングによる目詰まりの解消が可能。
E:ノズルの目詰まりの発生率が1.3%以上、または、クリーニングによる目詰まりの解消が不可能。
なお、上記の評価は、各実施例および各比較例について、同様の条件で行った。
[5]カラーフィルターの製造
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクを用いて、以下のようにして、カラーフィルターを製造した。
まず、両面にナトリウムイオンの溶出を防止するシリカ(SiO)膜が形成されたソーダガラス製の基板(G5サイズ:1100×1300mm)を用意し、洗浄処理を施した。
次に、カーボンブラックを含む隔壁形成用の感放射線性組成物を、洗浄済の基板の一方の面の全体に付与し、塗膜を形成した。
次に、加熱温度:110℃、加熱時間:120秒という条件でプリベーク処理を行った。
その後、フォトマスクを介して、放射線を照射して、ポストエキスポジャーベーク処理(PEB)を行い、引き続き、アルカリ現像液を用いた現像処理を行い、さらに、ポストベーク処理を行うことにより、隔壁を形成した。PEBは、加熱温度:110℃、加熱時間:120秒、放射線照射強度:150mJ/cmという条件で行った。また、現像処理は、例えば、振動浸漬法により行った。現像処理時間は、60秒とした。また、ポストベーク処理は、加熱温度:140℃、加熱時間:10分という条件で行った。形成された隔壁の厚さは、2.0μmであった。
次に、図4〜図7に示すような液滴吐出装置(ステンレスで構成された基材と、基材を覆うようにして設けられ主としてシリカ化合物で構成されたシリカ膜と、シリカ膜を覆うようにして設けられ、フルオロアルキル化合物を含む撥液膜とで構成されたノズルプレートを備えるもの)を用いて、隔壁で囲まれた領域としてのセル内に、カラーフィルター用インクを吐出した。この際、3色のカラーフィルター用インクを用い、各色のカラーフィルター用インクが混色しないようにした。各セル内には、形成される着色部の平均厚さが2.0μmとなるような量のカラーフィルター用インクを付与した。
その後、ホットプレート上にて80℃で20分間の加熱処理を施した(第1の加熱処理)。
さらに240℃のオーブン内で50分加熱処理を施すことにより(第2の加熱処理)、3色(赤色(R)、緑色(G)、青色(B))の着色部が形成された。その後、N−メチル−2−ピロリドンおよびγ−ブチロラクトンを用いた洗浄を行い、図2に示すようなカラーフィルターが得られた。
上記のような方法を用いて、各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて、それぞれ、10000枚のカラーフィルターを製造した。
[6]カラーフィルターの評価
上記のようにして得られた各カラーフィルターを用いて、以下のような評価を行った。
[6.1]着色部の平坦性
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、2500枚目に製造されたカラーフィルターを用意した。
これらのカラーフィルターについて、触針式粗さ計(Tencor社製、P−15)を用いて、着色部の最大高さと最小高さとの差ΔDを求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:ΔDが0.15μm未満。
B:ΔDが0.15μm以上0.27μm未満。
C:ΔDが0.27μm以上0.42μm未満。
D:ΔDが0.42μm以上0.52μm未満。
E:ΔDが0.52μm以上。
[6.2]コントラスト比の評価
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、10000枚目に製造されたカラーフィルターを用いて、同条件で図8に示すような液晶表示装置を製造した。
これらの液晶表示装置を用いて、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示を行い、コントラストテスター(壺坂電機社製、CT−1)を用いて、単色表示を行っていない場合と比較してのコントラスト比(CR)を求め、下記のようにして評価を行った。
すなわち、赤色の単色表示の場合、x=0.648でのCRを以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:CRが2800以上。
B:CRが2300以上2800未満。
C:CRが1900以上2300未満。
D:CRが1600以上1900未満。
E:CRが1600未満。
また、緑色の単色表示の場合、y=0.600でのCRを以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:CRが3700以上。
B:CRが3400以上3700未満。
C:CRが3100以上3400未満。
D:CRが2700以上3100未満。
E:CRが2700未満。
また、青色の単色表示の場合、x=0.100でのCRを以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:CRが3000以上。
B:CRが2600以上3000未満。
C:CRが2300以上2600未満。
D:CRが2100以上2300未満。
E:CRが2100未満。
[6.3]色むら、濃度むら
前記[6.2]で製造した前記各実施例および各比較例の液晶表示装置について、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示、白色の単色表示を行った状態で目視による観察を行い、各部位での色むら、濃度むら(光漏れによるものを含む)の発生状況を、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:色むら、濃度むらが全く認められない。
B:色むら、濃度むらがほとんど認められない。
C:色むら、濃度むらがわずかに認められる。
D:色むら、濃度むらがはっきりと認められる。
E:色むら、濃度むらが顕著に認められる。
[6.4]液晶層の電圧保持率
前記[6.2]で製造した前記各実施例および各比較例の液晶表示装置を用意し、液晶層に、5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、16.9ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から16.9ミリ秒後の電圧保持率(VHR)を、液晶用電圧保持率測定システム(マイクロニクス社製、製品名「MZ1800」)を用いて測定し、以下の4段階の基準に従い、評価した。
A:VHRが98%以上。
B:VHRが95%以上98%未満。
C:VHRが90%以上95%未満。
D:VHRが90%未満。
[6.5]明度の評価
[6.2]で製造した前記各実施例および各比較例の液晶表示装置について、下記に示すような評価を行った。液晶表示装置について、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示を行い、色度計(ミノルタ社製、CM−3700d、光源としてC光源使用)を用いて、xyY表色法による三刺激値を求め、下記のようにして評価を行った。
すなわち、赤色の単色表示については、x=0.651の時のY値を、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:明度Yが21.0以上。
B:明度Yが20.5以上21.0未満。
C:明度Yが19.9以上20.5未満。
D:明度Yが18.0以上19.9未満。
E:明度Yが18.0未満。
また、緑色の単色表示については、y=0.600の時のY値を、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:明度Yが57.0以上。
B:明度Yが55.3以上57.0未満。
C:明度Yが53.3以上55.3未満。
D:明度Yが51.0以上53.3未満。
E:明度Yが51.0未満。
また、青色の単色表示については、y=0.141の時のY値を、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:明度Yが11.8以上。
B:明度Yが11.5以上11.8未満。
C:明度Yが10.8以上11.5未満。
D:明度Yが10.0以上10.8未満。
E:明度Yが10.0未満。
[6.6]個体間での特性差
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、1〜20枚目、および、9480〜9499枚目に製造されたカラーフィルターを用意し、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示、白色の単色表示を行い、分光光度計(大塚電子社製、MCPD3000)を用いて測色した。その結果から、各実施例および各比較例について、それぞれ、1〜20枚目、9480〜9499枚目に製造されたカラーフィルター(合計40枚のカラーフィルター)で最大となる色差(Lab表示系での色差ΔE)を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:色差(ΔE)が1.7未満。
B:色差(ΔE)が1.7以上2.9未満。
C:色差(ΔE)が2.9以上3.8未満。
D:色差(ΔE)が3.8以上4.8未満。
E:色差(ΔE)が4.8以上。
[6.7]ヒートサイクル試験
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、8001〜8010枚目に製造されたカラーフィルターを用いて、同条件で図8に示すような液晶表示装置を製造した。
これらの液晶表示装置を用いて、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示を行った状態で目視による観察を行い、光漏れ(白抜け、輝点)が発生していないことを確認した。
次に、上記の液晶表示装置からカラーフィルターを取り外した。
取り外した各カラーフィルターを、20℃の環境下に1.5時間、次いで、75℃の環境下に2.5時間、次いで、20℃の環境下に1.5時間、次いで、−15℃の環境下に2.5時間静置した。その後、再び、環境温度を20℃に戻し、これを1サイクル(8時間)とし、このサイクルを合計25回繰り返した(合計200時間)。
その後、これらのカラーフィルターを用いて、再び、図8に示すような液晶表示装置を組み立てた。
これらの液晶表示装置を用いて、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示を行った状態で目視による観察を行い、光漏れ(白抜け、輝点)の発生状況を、以下の6段階の基準に従い、評価した。
A:光漏れ(白抜け、輝点)の発生したカラーフィルターはない。
B:1〜2枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
C:3〜4枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
D:5〜7枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
E:8〜9枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
F:10枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
これらの結果を表5、表6に示す。
Figure 2011028022
Figure 2011028022
表5、表6から明らかなように、本発明では、優れた結果が得られたのに対し、比較例では、満足な結果が得られなかった。
また、市販の液晶テレビを分解し、液晶表示装置部分を、上記のようにして製造したものと交換して、上記と同様の評価を行ったところ、上記と同様な結果が得られた。
1…カラーフィルター 11…基板 12…着色部 12A…第1の着色部 12B…第2の着色部 12C…第3の着色部 13…隔壁(バンク、遮光部) 14…セル 2…カラーフィルター用インク 3…塗膜 60…液晶表示装置 61…共通電極 62…液晶層 63、64…配向膜 65…画素電極 66…基板(対向基板) 67、68…偏光板 100…液滴吐出装置 101…タンク 102…吐出走査部 103…液滴吐出手段 104…第1位置制御装置 105…キャリッジ 106…ステージ 108…第2位置制御装置 110…チューブ 112…制御手段 114…液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド) 116A、116B…ノズル列 118…ノズル 120…キャビティ 122…隔壁 124…振動子 124A、124B…電極 124C…ピエゾ素子 126…振動板 127…吐出部 128…ノズルプレート 129…液たまり 130…供給口 131…孔 1000…画像表示装置 1100…パーソナルコンピューター 1102…キーボード 1104…本体部 1106…表示ユニット 1200…携帯電話機 1202…操作ボタン 1204…受話口 1206…送話口 1300…ディジタルスチルカメラ 1302…ケース(ボディー) 1304…受光ユニット 1306…シャッターボタン 1308…回路基板 1312…ビデオ信号出力端子 1314…データ通信用の入出力端子 1430…テレビモニター 1440…パーソナルコンピューター

Claims (13)

  1. インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるカラーフィルター用インクであって、
    着色剤と、樹脂材料と、前記着色剤を溶解または分散する液性媒体と、レベリング剤とを含み、
    前記樹脂材料は、下記式(1)で表される単量体成分m1とカルボキシル基または酸無水物基を有する単量体成分m2と下記式(3)で表される単量体成分m3とを含む重合体Mを含むものであることを特徴とするカラーフィルター用インク。
    Figure 2011028022
    Figure 2011028022
  2. 前記樹脂材料は、さらに、下記式(11)で表される単量体成分x1と下記式(13)で表される単量体成分x3と下記式(14)で表される単量体成分x4とを含む重合体Xを含むものである請求項1に記載のカラーフィルター用インク。
    Figure 2011028022
    Figure 2011028022
    Figure 2011028022
  3. 前記樹脂材料は、さらに、下記式(15)で表される単量体成分y1を含む重合体Yを含むものである請求項1または2に記載のカラーフィルター用インク。
    Figure 2011028022
  4. 前記樹脂材料は、下記式(21)で表される単量体成分z1と下記式(22)で表される単量体成分z2と下記式(23)で表される単量体成分z3とを含む重合体Z、下記式(25)で表される単量体成分w1と下記式(26)で表される単量体成分w2と下記式(27)で表される単量体成分w3と下記式(28)で表される単量体成分w4とを含む重合体Wのうちの少なくとも一方を含むものである請求項1ないし3のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
    Figure 2011028022
    Figure 2011028022
    Figure 2011028022
    Figure 2011028022
    Figure 2011028022
    Figure 2011028022
    Figure 2011028022
  5. 前記レベリング剤は、アクリル系レベリング剤を含むものである請求項1ないし4のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
  6. 前記レベリング剤の含有率が0.1wt%以上10wt%以下である請求項1ないし5のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
  7. 前記レベリング剤の含有率をC[wt%]、前記樹脂材料の含有率をC[wt%]としたとき、0.005≦C/C≦0.650の関係を満足する請求項1ないし6のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
  8. 前記着色剤として、C.I.ピグメントグリーン58を含む請求項1ないし7のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
  9. カラーフィルターの製造に用いられるインクを複数種備えたカラーフィルター用インクセットであって、
    カラーフィルター用インクセットを構成する複数種の前記インクのうち少なくとも1種が、請求項1ないし8のいずれかに記載のカラーフィルター用インクであることを特徴とするカラーフィルター用インクセット。
  10. 請求項1ないし8のいずれかに記載のカラーフィルター用インクを用いて製造されたことを特徴とするカラーフィルター。
  11. 請求項9に記載のカラーフィルター用インクセットを用いて製造されたことを特徴とするカラーフィルター。
  12. 請求項10または11に記載のカラーフィルターを備えたことを特徴とする画像表示装置。
  13. 請求項12に記載の画像表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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