JP2010107813A - カラーフィルター用インク、カラーフィルター、画像表示装置、および、電子機器 - Google Patents

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Mitsuhiro Isobe
光宏 磯部
Hiroshi Takiguchi
宏志 瀧口
Masaya Shibatani
正也 柴谷
Hidekazu Moriyama
英和 森山
Hiroshi Kiguchi
浩史 木口
Homare Kuribayashi
誉 栗林
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Abstract

【課題】着色部が平坦であり、明度およびコントラスト比に優れたカラーフィルター、および、当該カラーフィルターを製造することのできるインクジェット方式のカラーフィルター用インクを提供すること、また、該カラーフィルターを備えた画像表示装置、電子機器を提供すること。
【解決手段】本発明のカラーフィルター用インクは、インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるカラーフィルター用インクであって、着色剤と、所定の構造の重合体Wおよび/または所定の構造の重合体Zを含む硬化性樹脂材料と、液性媒体と、レベリング剤とを含むことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、カラーフィルター用インク、カラーフィルター、画像表示装置、および、電子機器に関する。
カラー表示を行う液晶表示装置(LCD)等には、一般に、カラーフィルターが用いられている。
カラーフィルターは、従来、着色剤、感光性樹脂、官能性モノマー、重合開始剤等を含む材料(着色層形成用組成物)で構成された塗膜を基板上に形成し、その後、フォトマスクを介して光を照射する感光処理、現像処理等を行う、いわゆるフォトリソグラフィー法を用いて製造されてきた。このような方法では、通常、基板のほぼ全面に、各色に対応する塗膜を形成し、その一部のみを硬化させ、それ以外の大部分を除去するという操作を繰り返すことにより、各色が重なり合わないようにカラーフィルターを製造する。このため、カラーフィルターの製造において形成される塗膜は、最終的に得られるカラーフィルターには、その一部のみが着色層として残存するのみで、その大部分が製造工程において除去されることとなる。このため、カラーフィルターの製造コストが上昇するばかりでなく、省資源の観点からも好ましくない。
一方、近年、インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)を用いて、カラーフィルターの着色層(着色部)を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような方法は、着色層形成用の材料(着色層形成用組成物)の液滴の吐出位置等の制御が容易で、着色層形成用組成物の無駄を少なくすることができるため、環境への負荷を低減することができ、また、製造コストも抑制することができる。
ところで、上述したような製造方法は、一般に、基板上に形成されたセルにインクを付与し、付与されたインクに対し加熱等の処理を行うことにより、インクを乾燥、固化させて着色部を得るものである。しかしながら、インクを加熱または真空乾燥によって乾燥する際には、セル中において、インクの外表面から液体成分が揮発することによりインクが熱対流する現象(べナードセル現象)が起こる。また、セル中のインク内で熱分布が生じることにより、インク中の液体成分の揮発は、セルの特定の部分から起こりやすい。以上のような要因により、従来のインクを用いた場合には、形成される着色部の表面は、凹凸が多く、平坦性が低いものとなっていた。
このようにカラーフィルターが備える着色部の平坦性が低いと、かかるカラーフィルターに、透明電極をスパッタ法により形成して、素子(液晶表示素子)と対向する基板とする際に、着色部の表面形状が透明電極の形状にも反映されてしまい、透明電極の表面も起伏を有するものとなってしまう。このようなカラーフィルターを適用した液晶表示装置では、カラーフィルター基板側の透明電極と、透明電極と対向する素子側の対向電極との距離が、均一にならず、電場がばらつくことから、電圧を印加し液晶を基板に対し平行にして透過状態(白)にするときに、全体が完全に平行にならないため明度をロスし、コントラストが低下する課題があった。
このような問題を解決するために、インク中にレベリング剤を添加して、着色部の平坦性を向上させ、明度やコントラストを向上させようとする試みが行われている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、従来のインクでは、レベリング剤を添加した場合であっても、セル内に付与されたインク中おける着色剤の凝集や、インク中の溶剤の除去にともなうインクの流動性の低下等によって、形成される着色部の表面に凹凸が生じてしまい、表面が十分に平坦な着色部を形成するのが困難であった。
また、カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置(産業用)は、プリンターに適用されるもの(民生用)とは全く異なるものであり、例えば、大量生産を行ったり、大型のワーク(基板)への液滴吐出に用いたりするため、大量の液滴を高い精度を保ちつつ長時間にわたって吐出することが求められる。このような過酷な条件で用いられるため、本来、民生用のものに比べて、液滴の吐出量の変動が生じやすいが、このような吐出量の変動が少しでも生じると、製造される多数のカラーフィルター間での特性のばらつきや、カラーフィルターの各部位での着色濃度のばらつきを生じてしまい、製品としてのカラーフィルターの信頼性を著しく低下させてしまう。
特開2004−2815号公報 特開2006−215160号公報
本発明の目的は、着色部が平坦であり、明度およびコントラスト比に優れたカラーフィルター、および、当該カラーフィルターを製造することのできるインクジェット方式のカラーフィルター用インクを提供すること、また、該カラーフィルターを備えた画像表示装置、電子機器を提供することにある。
このような目的は下記の本発明により達成される。
本発明のカラーフィルター用インクは、インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるカラーフィルター用インクであって、
着色剤と、硬化性樹脂材料と、液性媒体と、レベリング剤とを含み、
前記硬化性樹脂材料は、下記式(1)で表される単量体成分w1と下記式(2)で表される単量体成分w2と下記式(3)で表される単量体成分w3と下記式(4)で表される単量体成分w4とを含む重合体W、下記式(5)で表される単量体成分z1と下記式(6)で表される単量体成分z2と下記式(7)で表される単量体成分z3とを含む重合体Zのうちの少なくとも一方を含むことを特徴とする。
Figure 2010107813
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Figure 2010107813
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これにより、各平坦な着色部を形成することができ、明度およびコントラスト比に優れたカラーフィルターを製造することのできるインクジェット方式のカラーフィルター用インクを提供することができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記硬化性樹脂材料は前記重合体Wを含むものであり、
前記重合体Wを構成する全成分に占める前記単量体成分w1の含有率が、25〜75wt%であり、
前記重合体Wを構成する全成分に占める前記単量体成分w2の含有率が、2〜25wt%であり、
前記重合体Wを構成する全成分に占める前記単量体成分w3の含有率が、5〜50wt%であり、
前記重合体Wを構成する全成分に占める前記単量体成分w4の含有率が、3〜40wt%であることが好ましい。
これにより、カラーフィルターの明度、コントラスト比はより長期にわたって優れたものとなる。また、製造されるカラーフィルターは、耐薬品性および耐溶剤性が特に優れたものとなる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記硬化性樹脂材料は前記重合体Zを含むものであり、
前記重合体Zを構成する全成分に占める前記単量体成分z1の含有率が、50〜95wt%であり、
前記重合体Zを構成する全成分に占める前記単量体成分z2の含有率が、3〜35wt%であり、
前記重合体Zを構成する全成分に占める前記単量体成分z3の含有率が、3〜35wt%であることが好ましい。
これにより、カラーフィルターの明度、コントラスト比はより長期にわたって優れたものとなる。また、製造されるカラーフィルターは、耐久性が優れたものとなり、長期にわたって優れた明度およびコントラスト比が維持される。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記硬化性樹脂材料は、さらに、下記式(8)で表される単量体成分x1と下記式(9)で表される単量体成分x2と下記式(10)で表される単量体成分x3と下記式(11)で表される単量体成分x4とを含む重合体Xを含むものであることが好ましい。
Figure 2010107813
Figure 2010107813
Figure 2010107813
Figure 2010107813
重合体Xは、着色部を硬質なものとして形成することに寄与することができ、製造されるカラーフィルターは、長期にわたって明度およびコントラスト比が優れたものなる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記硬化性樹脂材料は、さらに、下記式(12)で表される単量体成分y1と下記式(13)で表される単量体成分y2とを含む重合体Yを含むものであることが好ましい。
Figure 2010107813
Figure 2010107813
重合体Yは、着色部を硬質なものとして形成することに寄与することができ、製造されるカラーフィルターは、長期にわたって明度およびコントラスト比が優れたものなる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記重合体Wの重量平均分子量は、5000〜50000であることが好ましい。
これにより、カラーフィルター用インクの経時的安定性(長期保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルターの生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性をより確実に高いものとすることができ、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記重合体Zの重量平均分子量は、5000〜50000であることが好ましい。
これにより、カラーフィルター用インクの経時的安定性(長期保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルターの生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性をより確実に高いものとすることができ、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記レベリング剤は、アクリル系レベリング剤を含むことが好ましい。
これにより、平坦な着色部をより確実に形成することができ、明度およびコントラスト比に特に優れたカラーフィルターを提供することができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記レベリング剤は、ビニルエーテル系レベリング剤を含むことが好ましい。
これにより、平坦な着色部をより確実に形成することができ、明度およびコントラスト比に特に優れたカラーフィルターを提供することができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記レベリング剤は、シリコーン系レベリング剤を含むことが好ましい。
これにより、平坦な着色部をより確実に形成することができ、明度およびコントラスト比に特に優れたカラーフィルターを提供することができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記レベリング剤は、フッ素−ケイ素系レベリング剤を含むことが好ましい。
これにより、平坦な着色部をより確実に形成することができ、明度およびコントラスト比に特に優れたカラーフィルターを提供することができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、カラーフィルター用インクは、C.I.ピグメントグリーン58を含むものであることが好ましい。
一般に、緑色の着色部は、着色剤が多くなりやすく、液滴の吐出安定性が劣るものとなりやすく、形成される着色部の明度、コントラスト比が優れたものとはなりにくいものであった。しかしながら、緑色のカラーフィルター用インクに本発明を適用することにより、インクの液滴の吐出安定性を優れたものとすることができ、明度、コントラスト比に優れた着色部を形成することができる。
本発明のカラーフィルターは、本発明のカラーフィルター用インクを用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、各部位での濃度むら、色むらが抑制され、明度およびコントラスト比に優れたカラーフィルターを提供することができる。
本発明の画像表示装置は、本発明のカラーフィルターを備えたことを特徴とする。
これにより、表示部に、各部位での濃度むら、色むらが抑制され、明度およびコントラスト比に優れたカラーフィルターを備えた画像表示装置を提供することができる。
本発明の電子機器は、本発明の画像表示装置を備えたことを特徴とする。
これにより、表示部に、各部位での濃度むら、色むらが抑制され、明度およびコントラスト比に優れたカラーフィルターを備えた電子機器を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
《カラーフィルター用インク》
本発明のカラーフィルター用インクは、カラーフィルターの製造(カラーフィルターの着色部の形成)に用いられるインクであり、特に、インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるものである。
また、本発明のカラーフィルター用インク(以下、単にインクとも言う。)は、着色剤と、硬化性樹脂材料と、レベリング剤と、液性媒体とを含むものである。
ところで、インクジェット法を用いたカラーフィルターの製造方法は、生産性に優れたものではあるが、一般に、インクジェットヘッドを用いて製造されたカラーフィルターは、フォトリソグラフィー法によって製造されたカラーフィルターと比較して明度、コントラスト比が劣る問題があった。また、インク中にレベリング剤を添加して、着色部の平坦性を向上させ、明度やコントラストを向上させようとする試みが行われているが、従来のインクでは、レベリング剤を添加した場合であっても、セル内に付与されたインク中おける着色剤の凝集や、インク中の溶剤(液性媒体)の除去にともなうインクの流動性の低下等によって、形成される着色部の表面に凹凸が生じてしまい、表面が十分に平坦な着色部を形成するのが困難であった。
また、カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置(産業用)は、プリンターに適用されるもの(民生用)とは全く異なるものであり、例えば、大量生産を行ったり、大型のワーク(基板)への液滴吐出に用いたりするため、大量の液滴を高い精度を保ちつつ長時間にわたって吐出することが求められる。このような過酷な条件で用いられるため、本来、民生用のものに比べて、液滴の吐出量の変動が生じやすいが、このような吐出量の変動が少しでも生じると、製造される多数のカラーフィルター間での特性のばらつきや、カラーフィルターの各部位での着色濃度のばらつきを生じてしまい、製品としてのカラーフィルターの信頼性を著しく低下させてしまう。
また、カラーフィルターにおいて、より広い色再現域を確保するために、近年、カラーフィルター用のインクとして、着色剤の含有率の高いものを用いる傾向があるが、着色剤の含有率の高いほど、液滴の粘度などが増加することにより液滴吐出装置に対する負荷が大きくなり、上記のような問題は、より顕著なものとなる。また、着色剤の含有量が高くなると、上述したようなセル内における着色剤の凝集等が顕著となり、着色部の平坦性がより損なわれるといった問題もある。
そこで、本発明者らは、上述したような問題を解決すべく、鋭意検討した結果、着色剤と液性媒体に加え、レベリング剤と、後述するような重合体W、Zのうち少なくとも一方を含む硬化性樹脂材料とをカラーフィルター用インクに含ませることにより、上述したような問題を解決できることを見出した。
レベリング剤は、着色部の形成時において、塗膜表面に薄い膜状に広がる事で表面張力均一化を図ることにより、着色部の平坦化に寄与する成分である。
また、重合体Z、Wは、ともにカラーフィルター用インク中において、着色剤を均一に分布させ、カラーフィルター用インクの粘度を低く保つ機能を有する。特に、重合体Z、Wは、顔料の周囲に存在して顔料の粒子同士の凝集を防止し、顔料の分散安定性を優れたものとして維持する。
カラーフィルター用インクは、レベリング剤、および、重合体Z、Wのうち少なくとも一方を有することで以下のような効果が得られる。
着色部を形成するためにセル中にあるカラーフィルター用インクから液性媒体を除去する際において、カラーフィルター用インクの粘度は、重合体Z、Wによって低い状態で保たれるとともに、チキソトロピック性の上昇が抑制される。この結果、カラーフィルター用インクは、液性媒体を除去中においてセル内で流動性を失わずに対流しやすいものとなるとともに、レベリング剤によってインク表面の平坦性は保持されている。
そして、液性媒体の大部分が除去された状態においては、カラーフィルター用インクは、重合体Z、Wによってセル中での流動性が保たれるとともに、着色剤同士の凝集も防止されている。一方で、このような状態においてカラーフィルター用インクは、重合体Z、Wによって粘度は低いものとして維持されるものの、インク表面からの液性媒体の揮発が少なくなっているため、対流(ベナードセル現象)が抑制される。さらに、液性媒体の大部分が除去された状態にあっても、レベリング剤の効果により、インク表面の平坦性は保持されている。このように、着色部形成時において、カラーフィルター用インクの対流が抑制されつつ、カラーフィルター用インクが流動性および低い粘度を有することにより、セル中のカラーフィルター用インクは、最終的に、その表面が平坦な状態で流動性を失い、固化することができる。
また、着色部の形成の過程において、重合体Z、Wによってカラーフィルター用インク中に着色剤は均一に分布することができ、形成される着色部にも着色剤は均一に分布できるものとなる。特に、液性媒体が除去される条件下においても、カラーフィルター用インク中において顔料の粒子の分散安定性が保たれる。
以上より、形成される着色部は、平坦かつ着色剤が均一に分布するものとなり、カラーフィルターはコントラスト比および明度に優れたものとなる。
以下、カラーフィルター用インクを構成する各材料について詳細に説明する。
<着色剤>
カラーフィルターは、通常、異なる複数色の着色部(一般に、RGBに対応する3色の着色)を有している。着色剤は、通常、形成すべき着色部の色調に応じて選択される。カラーフィルター用インクを構成する着色剤としては、例えば、各種顔料、各種染料を用いることができる。
顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,40,41,42,48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,50:1,52:1,53:1,57,57:1,57:2,58:2,58:4,60:1,63:1,63:2,64:1,81,81:1,83,88,90:1,97,101,102,104,105,106,108,108:1,112,113,114,122,123,144,146,149,150,151,166,168,170,171,172,174,175,176,177,178,179,180,185,187,188,190,193,194,202,206,207,208,209,215,216,220,224,226,242,243,245,254,255,264,265;C.I.ピグメントグリーン7,36,15,17,18,19,26,50,58;C.I.ピグメントブルー1,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,17:1,18,60,27,28,29,35,36,60,80;C.I.ピグメントイエロー1,3,12,13,14,15,16,17,20,24,31,34,35,35:1,37,37:1,42,43,53,55,60,61,65,71,73,74,81,83,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,116,117,119,120,126,127,128,129,138,139,150,151,152,153,154,155,156,157,166,168,175,180,184,185;C.I.ピグメントバイオレット1,3,14,16,19,23,29,32,36,38,50;C.I.ピグメントオレンジ1,5,13,14,16,17,20,20:1,24,34,36,38,40,43,46,49,51,61,63,64,71,73,104;C.I.ピグメントブラウン7,11,23,25,33;C.I.ピグメントブラック1,7や、これらの誘導体等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
カラーフィルター用インクが着色剤として顔料を含むもの(顔料インク)である場合、着色剤として染料を含むもの(染料インク)に比べて、製造されるカラーフィルターの耐光性等をすぐれたものとすることができる。
特に、カラーフィルター用インクが、顔料(赤色顔料)として、C.I.ピグメントレッド177とその誘導体、および/または、C.I.ピグメントレッド254とその誘導体を含むものであると、当該カラーフィルター用インク(赤色のカラーフィルター用インク)の発色性を特に優れたものとすることができる。また、後に詳述するような分散剤、樹脂材料(硬化性樹脂組成物)と併用することによる効果がより顕著に発揮され、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を優れたものとすることができる。この結果、セルへのインク付与時においては、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
C.I.ピグメントレッド177の誘導体、C.I.ピグメントレッド254の誘導体として、下記式(14)または下記式(15)で示される化合物(誘導体)を含有するものである場合、上述したような効果がさらに顕著に発揮される。
Figure 2010107813
Figure 2010107813
また、特に、カラーフィルター用インクが、顔料(緑色顔料)として、C.I.ピグメントグリーン58(臭素化亜鉛フタロシアニン顔料)を含むものであると、当該カラーフィルター用インク(緑色のカラーフィルター用インク)の発色性を特に優れたものとすることができる。また、C.I.ピグメントグリーン58は、明度に優れるという特徴を有しているものの、従来においては、安定的に分散させるのが極めて困難な材料であった。しかしながら、本発明者は、C.I.ピグメントグリーン58を含む場合であっても、スルホン化された顔料誘導体を副顔料として同時に含むことにより、カラーフィルター用インク中における分散安定性を優れたものとすることができることを見出した。これにより、カラーフィルター用インクの発色性をさらに優れたものとすることができるとともに、着色部形成時において、顔料が高濃度化することによるカラーフィルター用インクのチキソトロピック性の上昇を抑制することができる。また、カラーフィルター用インク中における顔料の長期保存性、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
顔料として、C.I.ピグメントグリーン58とスルホン化された顔料誘導体とを含む場合、スルホン化された顔料誘導体として、下記式(16)で示される化合物(誘導体)を含有するのが好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができるとともに、製造されるカラーフィルターにおいて、より優れたコントラストの画像を表示することができる。
Figure 2010107813
C.I.ピグメントグリーン58と上記のような顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)とを含む場合、カラーフィルター用インク中における顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)の含有率は、特に限定されないが、C.I.ピグメントグリーン58(主顔料):100重量部に対して、2〜32重量部であるのが好ましく、7〜28重量部であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性をより優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターのコントラスト比、明度を特に優れたものとすることができる。
また、特に、カラーフィルター用インクが、顔料(青色顔料)として、C.I.ピグメントブルー15:6およびC.I.ピグメントバイオレット23を含むものであると、当該カラーフィルター用インク(青色のカラーフィルター用インク)の発色性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。
カラーフィルター用インクが着色剤として顔料を含むもの(顔料インク)である場合、顔料の平均粒径は、10〜200nmであるのが好ましく、20〜180nmであるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性や、カラーフィルターインクの吐出安定性を十分に優れたものとしつつ、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターの耐久性(耐光性等)を十分に優れたものとし、カラーフィルターにおける発色性、コントラスト等を特に優れたものとすることができる。
また、染料としては、例えば、アゾ染料、アントラキノン染料、縮合多環芳香族カルボニル染料、インジゴイド染料、カルボニウム染料、フタロシアニン染料、メチン,ポリメチン染料等が挙げられる。染料の具体例としては、例えば、C.I.ダイレクトレッド2,4,9,23,26,28,31,39,62,63,72,75,76,79,80,81,83,84,89,92,95,111,173,184,207,211,212,214,218,221,223,224,225,226,227,232,233,240,241,242,243,247;C.I.アシッドレッド35,42,51,52,57,62,80,82,111,114,118,119,127,128,131,143,145,151,154,157,158,211,249,254,257,261,263,266,289,299,301,305,319,336,337,361,396,397;C.I.リアクティブレッド3,13,17,19,21,22,23,24,29,35,37,40,41,43,45,49,55;C.I.ベーシックレッド12,13,14,15,18,22,23,24,25,27,29,35,36,38,39,45,46;C.I.ダイレクトバイオレット7,9,47,48,51,66,90,93,94,95,98,100,101;C.I.アシッドバイオレット5,9,11,34,43,47,48,51,75,90,103,126;C.I.リアクティブバイオレット1,3,4,5,6,7,8,9,16,17,22,23,24,26,27,33,34;C.I.ベーシックバイオレット1,2,3,7,10,15,16,20,21,25,27,28,35,37,39,40,48;C.I.ダイレクトイエロー8,9,11,12,27,28,29,33,35,39,41,44,50,53,58,59,68,87,93,95,96,98,100,106,108,109,110,130,142,144,161,163;C.I.アシッドイエロー17,19,23,25,39,40,42,44,49,50,61,64,76,79,110,127,135,143,151,159,169,174,190,195,196,197,199,218,219,222,227;C.I.リアクティブイエロー2,3,13,14,15,17,18,23,24,25,26,27,29,35,37,41,42;C.I.ベーシックイエロー1,2,4,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,39,40;C.I.アシッドグリーン16;C.I.アシッドブルー9,45,80,83,90,185;C.I.ベーシックオレンジ21,23等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
カラーフィルター用インク中における着色剤の含有率は、2〜25wt%であるのが好ましく、3〜20wt%であるのがより好ましい。着色剤の含有率が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)からの吐出性(吐出安定性)を特に優れたものとしつつ、製造されるカラーフィルターの耐久性を優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターにおいて、十分な色濃度を確保することができる。
<硬化性樹脂材料>
カラーフィルター用インクは、一般に、形成される着色部の基板に対する密着性を向上させる等の目的で、硬化性樹脂材料(バインダー樹脂)を含んでいる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、硬化性樹脂材料は、下記式(1)で表される単量体成分w1と下記式(2)で表される単量体成分w2と下記式(3)で表される単量体成分w3と下記式(4)で表される単量体成分w4とを含む重合体W、下記式(5)で表される単量体成分z1と下記式(6)で表される単量体成分z2と下記式(7)で表される単量体成分z3とを含む重合体Zのうちの少なくとも一方を含む。
Figure 2010107813
Figure 2010107813
Figure 2010107813
Figure 2010107813
Figure 2010107813
Figure 2010107813
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上述したように、重合体W、Zは、ともにカラーフィルター用インク中において、着色剤を均一に分布させ、カラーフィルター用インクの粘度を低く保つ機能を有する。特に、重合体W、Zは、顔料の周囲に存在して顔料の粒子同士の凝集を防止し、長期にわたって顔料の分散安定性を優れたものとして維持する。このため、上述したような理由により、平坦な着色部を形成できるとともに、製造されるカラーフィルターの明度、コントラスト比を優れたものとすることができる。
また、さらに、重合体W、Zは、着色剤(特に顔料)をインク中において均一に分布(分散)させることができるため、インクを吐出部(ノズル)から吐出する際において、吐出されるインクの液滴の量の均一性、吐出される液滴の着弾精度等(吐出安定性ともいう)を長期にわたって優れたものとすることができる。
また、重合体W、Zは、エポキシ基を有し、硬化性樹脂であるが、所定温度以下では実質的に硬化反応を進行させず、それ以上の温度で効率よく硬化反応を進行させることができる特性(以下、「硬化反応のスイッチング特性」ともいう)を有している。このような特性を有することにより、カラーフィルター用インクの保存時等において、重合体W、Zが不本意に硬化反応を起こすことが防止され、カラーフィルター用インクは、長期にわたって粘度等の物性の変化が少ないものとなる。この結果、長期にわたってカラーフィルター用インクの吐出安定性が優れたものとなる。一方で、カラーフィルター用インクを所定の温度以上に加熱することにより、重合体W、Zは素早く硬化反応を起こし、カラーフィルター用インクが硬化する。
また、カラーフィルター用インクは重合体W、Zを含むことにより、基板上へのカラーフィルター用インクの濡れ広がりを良好なものとすることができ、気泡の混入等が確実に防止され、基板との密着性に優れた着色部を好適に形成することができる。
また、カラーフィルター用インクは重合体Wを含むことにより、着色剤を均一に分布させることのみならず、後述する分散剤の分散安定性も特に優れたものとすることができる。その結果、顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの長期保存性を特に優れたものとすることができる。
また、重合体W、Zは、上述したように顔料の分散安定性を向上させることに加え、機械的な力に対して極めて優れた安定性を有している。このため、後述するような製造方法を用いてカラーフィルター用インクを製造する際に(後述する微分散工程で)、原料として用いる顔料粒子の凝集体の微分散時に重合体W、Zを好適に用いることができる。これについては後述する。
以下、本発明のカラーフィルター用インクに用いることができる樹脂材料の各成分について詳述する。
[重合体W]
重合体Wは、上記式(1)で表される単量体成分w1と上記式(2)で表される単量体成分w2と上記式(3)で表される単量体成分w3と上記式(4)で表される単量体成分w4とを含むものである。重合体Wとしては、例えば、下記式(17)で表されるものがある。
Figure 2010107813
重合体Wは、上述したような重合体Z、Wを含むことによる共通した機能に加え、重合体Wを含むことによる以下のような特有の機能を有する。
まず、カラーフィルター用インクは重合体Wを含むことにより、形成される着色部の耐薬品性、耐溶剤性等を優れたものとすることができる。このため、着色部形成工程(硬化工程)の後に、薬品塗布や洗浄(特に、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、イソプロピルアルコール、塩酸、水酸化ナトリウム水溶液等を用いた洗浄)等の後処理を行った場合であっても、これらによる悪影響の発生を確実に防止することができる。
なお、重合体Wは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Wが複数種の化合物の混合物である場合、各化合物が、単量体成分w1、w2、w3およびw4を含有するものである。
(単量体成分w1)
重合体Wは、上記式(1)で表される単量体成分w1を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分w1を単量体成分として含有することにより、樹脂材料についての硬化反応のスイッチング特性を優れたものとすることができる。また、単量体成分w1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、着色部を形成する際に、顔料粒子(着色剤)が凝集するのを確実に防止することができ、後述するレベリング剤を添加することによる効果との相乗効果により、平坦性の高い着色部を形成することができる。また、単量体成分w1は、重合体Wにおいて、高温環境下での反応性に優れる一方で、機械的な力に対しては極めて優れた安定性を有している。このため、顔料とともに後述する微分散工程に供された場合であっても、本工程における重合体Wの変性、劣化が防止され、カラーフィルター用インクにおいて、重合体Wの機能を確実に発揮することができる。また、単量体成分w1を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の硬度等を優れたものとすることができる。
重合体W中における単量体成分w1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、25〜75wt%であるのが好ましく、40〜60wt%であるのがより好ましい。重合体W中における単量体成分w1の含有率が前記範囲内の値であると、後に詳述する単量体成分w2、w3、w4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。また、重合体Wが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分w1を含有しているのが好ましい。
また、重合体Wが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分w1の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。以下、重合体Wの他の各単量体の含有率、重合体Z、X、Yの各単量体の含有率についても同様とする。
(単量体成分w2)
重合体Wは、上記式(2)で表される単量体成分W2を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分w2を単量体成分として含有することにより、基板上へのカラーフィルター用インクの濡れ広がりを良好なものとすることができ、気泡の混入等が確実に防止され、基板との密着性に優れた着色部を好適に形成することができる。また、カラーフィルター用インクが顔料に加え分散剤を含むものである場合においては、単量体成分w2を単量体成分として含有することにより、顔料の分散安定性のみならず、分散剤の分散安定性も特に優れたものとすることができる。その結果、顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの長期保存性を特に優れたものとすることができる。
重合体W中における単量体成分w2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、2〜25wt%であるのが好ましく、5〜15wt%であるのがより好ましい。重合体W中における単量体成分w2の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分w1および後に詳述する単量体成分w3、w4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。
また、重合体Wが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分w2を含有しているのが好ましい。
(単量体成分w3)
重合体Wは、上記式(3)で表される単量体成分w3を単量体成分として含有してなるものである。
単量体成分w3を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の耐薬品性、耐溶剤性等を優れたものとすることができる。
また、単量体成分w3は、重合体Wにおいて、上述した単量体成分w1等と同様に、比較的低い温度(例えば、100℃以下)での反応性が十分に低いのに対し、着色部形成工程(硬化工程)で施す熱処理のような加熱環境下では、十分な反応性を示すものである。このため、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。
また、単量体成分w3を単量体成分として含有することにより、例えば、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を優れたものとすることができる。
重合体W中における単量体成分w3の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、5〜50wt%であるのが好ましく、10〜40wt%であるのがより好ましい。重合体W中における単量体成分w3の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分w1、w2および後に詳述する単量体成分w4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。また、重合体Wが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分w3を含有しているのが好ましい。
(単量体成分w4)
重合体Wは、上記式(4)で表される単量体成分w4を単量体成分として含有してなるものである。
重合体Wが単量体成分w4を含有することにより、着色部の形成時、基板上に付与されたカラーフィルター用インクから分散媒を除去する際に、固形分濃度の上昇に伴ってカラーフィルター用インクの粘度が上昇するのを効果的に防止することができる。さらに、後述するレベリング剤を添加することによる効果との相乗効果により、形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じることをより確実に防止することができ、形成される着色部の表面の平坦性をより高いものとすることができる。
また、単量体成分w4を単量体成分として含有することにより、樹脂材料全体としての疎水性を好適に調整することができ、樹脂材料を構成する各重合体の親和性、相溶性を特に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部は、透明性に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下が防止され)、基板に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。
重合体W中における単量体成分w4の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、3〜40wt%であるのが好ましく、5〜30wt%であるのがより好ましい。重合体W中における単量体成分w4の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分w1、w2、w3の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。
また、重合体Wが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分w4を含有しているのが好ましい。
なお、重合体Wは、上述した単量体成分w1、w2、w3、w4以外の単量体成分(その他の単量体成分)を含むものであってもよい。これにより、例えば、上記のような特性を発揮しつつ、その他の単量体分の化学構造に由来する効果も得ることができる。
重合体Wが、その他の単量体成分(単量体成分w1、w2、w3、w4以外の単量体成分)を含むものである場合、重合体W中におけるその他の単量体成分の含有率(複数種のその他の単量体成分を含む場合にはこれらの含有率の和)は、15wt%以下であるのが好ましく、10wt%以下であるのがより好ましい。
重合体Wの重量平均分子量は、5000〜50000であるのが好ましく、6000〜15000であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの経時的安定性(長期保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルターの生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性をより確実に高いものとすることができ、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
また、重合体Wの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1〜3であるのが好ましい。
[重合体Z]
重合体Zは、上記式(5)で表される単量体成分z1と上記式(6)で表される単量体成分z2と上記式(7)で表される単量体成分z3とを含むものである。重合体Zとしては、例えば、下記式(18)で表されるものがある。
Figure 2010107813
重合体Zは、上述したような重合体Z、Wを含むことによる共通した機能に加え、重合体Zを含むことによる以下のような特有の機能を有する。
前述したように、重合体Zは、硬化性樹脂であり、後述する着色部形成工程(硬化工程)において、樹脂材料の硬化に寄与する成分であるが、形成される着色部に適度な柔軟性を与え、着色部が設けられる基板等に変形(例えば、熱膨張、熱収縮等)が生じた場合であっても、その変形に追従し、基板等に対する着色部の密着性を保持させる機能を有している。これにより、例えば、製造されるカラーフィルターが画像表示に伴う急激な温度変化に繰り返しさらされた場合においても良好な密着性を保持することができ、光漏れ(白抜け、輝点)等の問題が発生するのをより確実に防止することができる。すなわち、カラーフィルターの耐久性が特に優れたものとなり、長期にわたって優れた明度およびコントラスト比が維持される。
なお、重合体Zは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Zが複数種の化合物の混合物である場合、各化合物が、単量体成分z1、z2およびz3を含有するものである。
(単量体成分z1)
重合体Zは、上記式(5)で表される単量体成分z1を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分z1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)をより確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)をより好適に進行させることができる。すなわち、樹脂材料についての硬化反応のスイッチング特性を特に優れたものとすることができる。また、単量体成分z1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、単量体成分z1は、重合体Zにおいて、高温環境下での反応性に優れる一方で、機械的な力に対しては極めて優れた安定性を有している。このため、顔料とともに後述する微分散工程に供された場合であっても、本工程における重合体Zの変性、劣化が防止され、カラーフィルター用インクにおいて、重合体Zの機能を確実に発揮することができる。また、単量体成分z1を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の硬度等を特に優れたものとすることができる。
また、重合体Zが単量体成分z1を含有することにより、重合体Wと重合体Zとの親和性、相溶性を十分に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルター用インクの吐出安定性を優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部は、透明性に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下が防止され)、基板に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。
重合体Z中における単量体成分z1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、50〜95wt%であるのが好ましく、60〜85wt%であるのがより好ましい。重合体Z中における単量体成分z1の含有率が前記範囲内の値であると、後に詳述する単量体成分z2、z3の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。
また、重合体Zが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分z1を含有しているのが好ましい。
(単量体成分z2)
重合体Zは、上記式(6)で表される単量体成分Z2を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分z2を単量体成分として含有することにより、基板上へのカラーフィルター用インクの濡れ広がりをより良好なものとすることができ、気泡の混入等が確実に防止され、基板との密着性に優れた着色部をより好適に形成することができる。また、カラーフィルター用インクが顔料に加え分散剤を含むものである場合においては、単量体成分z2を単量体成分として含有することにより、顔料の分散安定性のみならず、分散剤の分散安定性も特に優れたものとすることができる。その結果、顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの長期保存性を特に優れたものとすることができる。
また、カラーフィルター用インクが重合体W、Zの両方を含む場合、重合体Zが単量体成分z2を含有することにより、重合体Wと重合体Zとの親和性、相溶性を十分に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルター用インクの吐出安定性を優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部は、透明性に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下が防止され)、基板に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。
重合体Z中における単量体成分z2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、3〜35wt%であるのが好ましく、10〜25wt%であるのがより好ましい。重合体Z中における単量体成分z2の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分z1および後に詳述する単量体成分z3の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。また、重合体Zが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分z2を含有しているのが好ましい。
(単量体成分z3)
重合体Zは、上記式(7)で表される単量体成分z3を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分z3は、前述した単量体成分w1等と同様に、後述する着色部形成工程(硬化工程)において、樹脂材料の硬化に寄与する成分であるが、単量体成分y2、w1等が、形成される着色部の硬度を高いものとする機能を有しているのに対し、単量体成分z3は、形成される着色部に適度な柔軟性を与え、着色部が設けられる基板等に変形(例えば、熱膨張、熱収縮等)が生じた場合であっても、その変形に追従し、基板等に対する着色部の密着性を保持させる機能を有している。
また、単量体成分z3は、重合体(重合体Z)中において、上述した単量体成分w1等と同様に、比較的低い温度(例えば、100℃以下)では反応性が十分に低いのに対し、着色部形成工程(硬化工程)で施す熱処理のような加熱環境下においては、十分な反応性を有するものである。このため、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。
また、単量体成分z3を単量体成分として含有することにより、着色部の形成時、基板上に付与されたカラーフィルター用インクから分散媒を除去する際に、固形分濃度の上昇に伴ってカラーフィルター用インクの粘度が上昇するのを効果的に防止することができる。さらに、後述するレベリング剤を添加することによる効果との相乗効果により、形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じることをより確実に防止することができ、形成される着色部の表面の平坦性をより高いものとすることができる。
重合体Z中における単量体成分z3の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、2〜30wt%であるのが好ましく、5〜20wt%であるのがより好ましい。重合体Z中における単量体成分z3の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分z1、z2の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。また、重合体Zが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分z3を含有しているのが好ましい。
なお、重合体Zは、上述した単量体成分z1、z2、z3以外の単量体成分(その他の単量体成分)を含むものであってもよい。これにより、例えば、上記のような特性を発揮しつつ、その他の単量体分の化学構造に由来する効果も得ることができる。
重合体Zが、その他の単量体成分(単量体成分z1、z2、z3以外の単量体成分)を含むものである場合、重合体Z中におけるその他の単量体成分の含有率(複数種のその他の単量体成分を含む場合にはこれらの含有率の和)は、15wt%以下であるのが好ましく、10wt%以下であるのがより好ましい。
重合体Zの重量平均分子量は、5000〜50000であるのが好ましく、6000〜15000であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの経時的安定性(長期保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルターの生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性をより確実に高いものとすることができ、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
また、重合体Zの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1〜3であるのが好ましい。
上述したように本発明において、硬化性樹脂材料は、重合体W、重合体Z以外の樹脂成分(重合体)をさらに含むものであってもよい。
このような樹脂成分(重合体)としては、以下に述べるような重合体X、重合体Yが挙げられる。重合体X、Yは、主に着色部を硬質なものとして形成することに寄与する。カラーフィルター用インクが重合体W、Zとともに重合体X、Yを含むことにより、形成される着色部はより硬質なものとなり、製造されるカラーフィルターの耐久性が特に優れたものとなる。すなわち、より長期にわたってカラーフィルターの明度およびコントラスト比が優れたものとして維持される。また、重合体X、Yは、上述したような重合体W、Zとの親和性に優れ、これらを混合した場合であっても、カラーフィルター用インクの粘度は低いものとなる。さらに、カラーフィルター用インクに重合体X、Yを比較的多量に含ませた場合であっても、カラーフィルター用インクの粘度は低いものとして維持される。このため、カラーフィルター用インクは液滴の吐出安定性に優れたものとなる。
[重合体X]
重合体Xは、下記式(8)で表される単量体成分x1と下記式(9)で表される単量体成分x2と下記式(10)で表される単量体成分x3と下記式(11)で表される単量体成分x4とを含むものである。重合体Xとしては、例えば、下記式(19)で表されるものがある。
Figure 2010107813
Figure 2010107813
Figure 2010107813
Figure 2010107813
Figure 2010107813
このような重合体Xを含むことにより、カラーフィルター用インクに含まれる樹脂材料を構成する各重合体成分の親和性(樹脂材料全体としての親和性)を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の透明性を非常に高いものとすることができる。このようなことから、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターの各部位での色むら、濃度むらの発生やコントラストの低下等をより確実に防止することができる。また、重合体Xを含むことにより、樹脂材料全体としての硬化反応のスイッチング特性を十分に優れたものとしつつ、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の耐溶剤性等を特に優れたものとすることができる。このようなことから、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターの耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。
なお、重合体Xは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Xが複数種の化合物の混合物である場合、各化合物が、単量体成分x1、x2、x3およびx4を含有するものである。
(単量体成分x1)
重合体Xは、上記式(8)で表される単量体成分x1を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分x1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)をより好適に進行させることができる。すなわち、単量体成分x1を含有することにより、樹脂材料についての硬化反応のスイッチング特性を特に優れたものとすることができる。また、単量体成分x1を単量体成分として含有することにより、例えば、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を優れたものとすることができる。また、単量体成分x1を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の硬度等を優れたものとすることができる。
重合体X中における単量体成分x1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、30〜90wt%であるのが好ましく、40〜80wt%であるのがより好ましい。重合体X中における単量体成分x1の含有率が前記範囲内の値であると、後に詳述する単量体成分x2、x3、x4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x1を含有しているのが好ましい。
(単量体成分x2)
重合体Xは、上記式(9)で表される単量体成分x2を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分x2を単量体成分として含有すること(特に、上述した単量体成分x1や後に詳述する単量体成分x3とともに含有すること)により、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)をより好適に進行させることができる。特に、加熱環境下での着色部形成工程(硬化工程)において、樹脂材料の重合反応の立ち上がりをより良好なものとすることができるとともに、継続的に重合反応の進行させることができる。また、単量体成分x2を単量体成分として含有することにより、重合体Yと重合体Xとの親和性、相溶性を十分に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルター用インクの吐出安定性を優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部は、透明性に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下が防止され)、基板に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。また、単量体成分x2を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の硬度等を特に優れたものとすることができる。
重合体X中における単量体成分x2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、5〜60wt%であるのが好ましく、10〜50wt%であるのがより好ましい。重合体X中における単量体成分x2の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分x1および後に詳述する単量体成分x3、x4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x2を含有しているのが好ましい。
(単量体成分x3)
重合体Xは、上記式(10)で表される単量体成分x3を単量体成分として含有してなるものである。
単量体成分x3を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の耐薬品性、耐溶剤性等を優れたものとすることができる。これにより、着色部形成工程(硬化工程)の後に、薬品塗布や洗浄(特に、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、イソプロピルアルコール、塩酸、水酸化ナトリウム水溶液等を用いた洗浄)等の後処理を行った場合であっても、これらによる悪影響の発生を確実に防止することができる。
また、単量体成分x3は、重合体Xにおいて、上述した単量体成分x1と同様に、比較的低い温度(例えば、100℃以下)での反応性が十分に低いのに対し、着色部形成工程(硬化工程)で施す熱処理のような加熱環境下では、十分な反応性を示すものである。このため、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。
また、単量体成分x3を単量体成分として含有することにより、例えば、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができるとともに、重合体Xと、他の重合体W、Z、Yとの親和性、相溶性を十分に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部は、透明性に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下が防止され)、基板に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。
重合体X中における単量体成分x3の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、2〜20wt%であるのが好ましく、3〜15wt%であるのがより好ましい。重合体X中における単量体成分x3の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分x1、x2および後に詳述する単量体成分x4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x3を含有しているのが好ましい。
(単量体成分x4)
重合体Xは、上記式(11)で表される単量体成分x4を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分x4を単量体成分として含有することにより、基板上に付与されたカラーフィルター用インクから分散媒を除去する際に、固形分濃度の上昇に伴ってカラーフィルター用インクの粘度が上昇することをより確実に防止することができる。
また、単量体成分x4は、その末端に水酸基を有している。このような構造を有することにより、比較的低い温度(例えば、100℃以下)における反応性を十分に低いものとしつつ、着色部形成工程(硬化工程)で施す熱処理のような加熱環境下における反応性をさらに高めることができる。これにより、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)をより好適に進行させることができる。
また、単量体成分x4を単量体成分として含有することにより、例えば、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
重合体X中における単量体成分x4の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、2〜20wt%であるのが好ましく、3〜15wt%であるのがより好ましい。重合体X中における単量体成分x4の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分x1、x2、x3の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x4を含有しているのが好ましい。
なお、重合体Xは、上述した単量体成分x1、x2、x3、x4以外の単量体成分(その他の単量体成分)を含むものであってもよい。これにより、例えば、上記のような特性を発揮しつつ、その他の単量体分の化学構造に由来する効果も得ることができる。
重合体Xが、その他の単量体成分(単量体成分x1、x2、x3、x4以外の単量体成分)を含むものである場合、重合体X中におけるその他の単量体成分の含有率(複数種のその他の単量体成分を含む場合にはこれらの含有率の和)は、15wt%以下であるのが好ましく、10wt%以下であるのがより好ましい。
重合体Xの重量平均分子量は、1000〜50000であるのが好ましく、1200〜10000であるのがより好ましく、1500〜5000であるのがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの経時的安定性(長期保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルターの生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性をより確実に高いものとすることができ、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
また、重合体Xの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1〜3であるのが好ましい。
[重合体Y]
重合体Yは、下記式(12)で表される単量体成分y1と下記式(13)で表される単量体成分y2とを含むものである。重合体Yとしては、例えば、下記式(20)で表されるものがある。重合体Yは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Yが複数種の化合物の混合物である場合、各化合物が、単量体成分y1およびy2を含有するものである。
Figure 2010107813
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(単量体成分y1)
重合体Yは、上記式(12)で表される単量体成分y1を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分y1を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の基板に対する密着性を特に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
また、重合体Yが単量体成分y1を含有することにより、重合体Y中における単量体成分y2の反応性が必要以上に高くなることを防止することができる。その結果、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。すなわち、単量体成分y1を含有することにより、硬化反応のスイッチング特性を優れたものとすることができる。
また、単量体成分y1を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の硬度等を優れたものとすることができる。
重合体Y中における単量体成分y1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、30〜90wt%であるのが好ましく、40〜80wt%であるのがより好ましい。重合体Y中における単量体成分y1の含有率が前記範囲内の値であると、後に詳述する単量体成分y2の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。また、重合体Yが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分y1を含有しているのが好ましい。
(単量体成分y2)
重合体Yは、上記式(13)で表される単量体成分y2を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分y2を単量体成分として含有すること(特に、上述した単量体成分y1とともに含有すること)により、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。特に、加熱環境下での着色部形成工程(硬化工程)において、樹脂材料の重合反応の立ち上がりを良好なものとすることができるとともに、後に詳述する重合体Wを、硬化反応に好適に関与させることができ、継続的に重合反応の進行させることができる。また、単量体成分y2を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の硬度等を優れたものとすることができる。
また、重合体Yが単量体成分y2を含有することにより、後に詳述する重合体Wとの親和性、相溶性を十分に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルター用インクの吐出安定性を優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部は、透明性に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下が防止され)、基板に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。
重合体Y中における単量体成分y2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、10〜70wt%であるのが好ましく、20〜60wt%であるのがより好ましい。重合体Y中における単量体成分y2の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分y1の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。また、重合体Yが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分y2を含有しているのが好ましい。
なお、重合体Yは、上述した単量体成分y1、y2以外の単量体成分(その他の単量体成分)を含むものであってもよい。これにより、例えば、上記のような特性を発揮しつつ、その他の単量体分の化学構造に由来する効果も得ることができる。
重合体Yが、その他の単量体成分(単量体成分y1、y2以外の単量体成分)を含むものである場合、重合体Y中におけるその他の単量体成分の含有率(複数種のその他の単量体成分を含む場合にはこれらの含有率の和)は、15wt%以下であるのが好ましく、10wt%以下であるのがより好ましい。
重合体Yの重量平均分子量は、1000〜50000であるのが好ましく、1200〜10000であるのがより好ましく、1500〜5000であるのがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの経時的安定性(長期保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルターの生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性をより確実に高いものとすることができ、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
また、重合体Yの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1〜3であるのが好ましい。
なお、上述した各重合体は、最終的に上述したような構造(各単量体成分に対応する各部分構造)を有していればよく、上述した各単量体成分そのものを用いて合成されたものであってもよいし、上述した単量体成分とは異なる成分(前駆体、誘導体等)を用いて合成されたものであってもよい。
また、カラーフィルター用インク中における硬化性樹脂材料の含有率は、0.5〜18wt%であるのが好ましく、1〜15wt%であるのがより好ましく、3〜10wt%であるのがさらに好ましい。
また、カラーフィルター用インク中における硬化性樹脂材料の含有率をC[wt%]、カラーフィルター用インク中における顔料の含有率をC[wt%]としたとき、0.2≦C/C≦9.0の関係を満足するのが好ましく、0.3≦C/C≦5.0の関係を満足するのがより好ましく、0.4≦C/C≦3.5の関係を満足するのがさらに好ましい。このような関係を満足することにより、製造されるカラーフィルターのコントラスト等をより優れたものとすることができたり、着色部厚さをより薄いものとした場合であっても十分なコントラストを確保することができる。なお、従来のカラーフィルター用インクでは、顔料の含有率に対する樹脂材料の含有率を低いものとした場合、形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じる等の不都合を生じやすかったが、本発明では、上記のように、顔料の含有率に対する樹脂材料の含有率を低いものとした場合であっても、形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じることを確実に防止することができる。すなわち、上記のような関係を満足することにより、本発明の効果はより顕著に発揮される。
なお、カラーフィルター用インクを構成する樹脂材料は、上述した以外の重合体(例えば、熱可塑性の重合体や上述した重合体W、Z、X、Y以外の硬化性の重合体)を含むものであってもよい。
<レベリング剤>
レベリング剤は、着色部の形成時において、塗膜表面に薄い膜状に広がる事で表面張力均一化を図ることにより、着色部の平坦化に寄与する成分である。
このようなレベリング剤と、上述したような硬化性樹脂材料とを併用することにより、形成される着色部表面の平坦性を高いものとすることができ、上述したような理由により、形成される着色部は、平坦かつ着色剤が均一に分布するものとなり、カラーフィルターはコントラスト比および明度に優れたものとなる。
レベリング剤としては、例えば、アクリル系レベリング剤、ビニルエーテル系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤、フッ素−ケイ素系レベリング剤等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
以下、上記各種レベリング剤について詳細に説明する。
(アクリル系レベリング剤)
本発明で用いることが可能なアクリル系レベリング剤としては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、nーブチルアクリレート、nーブチルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタリレート等を単独で重合した重合体、または、2種類以上を共重合した共重合体を挙げることができる。
また、アクリル系レベリング剤の重量平均分子量は、1000〜100000であることが好ましく、1000〜60000であることがより好ましい。これにより、アクリル系レベリング剤のカラーフィルター用インク中における流動性を高いものとしつつ、液滴の吐出安定性、カラーフィルターの明度およびコントラスト比を特に優れたものとすることができる。
また、アクリル系レベリング剤の溶解度パラメータは、8.0〜9.5であるのが好ましく、8.19〜8.78であるのがより好ましい。これにより、上述したような液性媒体や前述したような樹脂材料との親和性をより高いものとすることができ、レベリング剤を含むことによる本発明の効果をより顕著なものとすることができる。
なお、溶解性パラメータ(SP値)δ[(cal/cm1/2]は、複数の物質の相溶性および親和性の指標として用いられるものであり、下記式(I)に表される式で定義される。
δ=(ΔE/V1/2÷2.046[(cal/cm1/2] ‥‥ (I)
ただし、ΔE[10N・m・mol−1]は蒸発熱、V[m・mol−1]は1molあたりの体積である。二つの物質の溶解性パラメータの差は、その二つの物質が相溶するために必要なエネルギーと密接な関係が有り、溶解性パラメータの差が小さいほど二つの物質が相溶するために必要なエネルギーは小さなものとなる。すなわち、二つの物質が存在した場合、一般に、溶解性パラメータの差が小さいほど、親和性が高く、相溶性が高いものとなる。
溶解性パラメータは、実験によって求めることもできるが、計算によって求めることもできる。計算によって溶解性パラメータを求める方法は、いくつか提案されており、例えば、比較的高分量の材料に関しては、Smallの方法(P.A.Small:J.Appl.Chem,3,71(1953))を用いることができる。また、比較的低分子量の材料に関しては、Hildebrandの方法 (J.H.Hildebrand and R.L.Scott:The Solubility of Non−Electrolytes,ACS Monograph Series,1950)を用いることができる。これらの方法を用いることにより、溶解性パラメータをより妥当な値として得ることができ、溶解パラメータを求めることが容易なものとなる。
以上のようなアクリル系レベリング剤の市販品としては、例えば、OX−880EF、OX−881、OX−883、OX−883HF、OX−70、OX−77EF、OX−60、OX−710、OX−720、OX−720EF、OX−750HF、LAP−10、LAP−20、LAP−30、1970、230、LF−1980、LF−1982、LF−1983、LF−1984、LF−1985、LHP−95、LHP−96、UVX−35、UVX−36、UVX−39、AQ−200(以上、楠本化成社製)BYK−350、BYK−352、BYK−354、BYK−355、BYK−358N/361N、BYK−380N、BYK−381、BYK−392(以上、ビックケミー・ジャパン製)等が挙げられる。
また、カラーフィルター用インク中にアクリル系レベリング剤を含む場合、アクリル系レベリング剤の含有量は、特には限定されないが、0.1〜10wt%であることが好ましく、0.25〜1.0であることがより好ましい。これにより、上述したような効果をより顕著に得ることができる。
(ビニルエーテル系レベリング剤)
ビニルエーテル系重合体としては、下記式(21)に示す化合物を用いるのが好ましい。
Figure 2010107813
(式(21)中、R1は、アルキル基である。また、nは1以上の整数である。)
ビニルエーテル系レベリング剤中における置換基R1は、ビニルエーテル系レベリング剤において、液性媒体や前述したような樹脂材料との親和性を調整する機能を有するものである。置換基R1は、上述したような置換基であればよいが、中でも、炭素数が1〜8のアルキル基であるのが好ましい。これにより、液性媒体や、後述するような樹脂材料との親和性に特に優れたものとなる。このため、ビニルエーテル系レベリング剤は、より顕著に上述したような効果を発現することができ、カラーフィルター用インクは、液滴の吐出安定性に特に優れ、基板に対し、より均一かつ容易に濡れ広がることができる。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられ、1種また2種以上を組み合わせて用いることができる。上述した中でも、置換基R1は、イソブチル基であるのが好ましい。これにより、形成される着色部は、その表面の平滑性がより高いものとなり、透過光が不本意に反射することがより効果的に防止され、明度およびコントラスト比が特に高いものとなる。
また、ビニルエーテル系レベリング剤は、上述したような構造のモノマー単位の以外のモノマー単位を含む共レベリング剤であってもよい。このようなモノマー単位を形成するのに用いるモノマーとしては、例えば、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、モルホリンエチルビニルエーテル等の窒素含有ビニルエーテル類、酢酸ビニル等のビニルエステル類、アリルフェニルエーテル等のアリルエーテル類、酢酸アリル等のアリルエステル類、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類、ジイソプロピルフマレート、ジシクロヘキシルフマレート等のフマル酸ジエステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
このようにビニルエーテル系レベリング剤が共レベリング剤である場合、上記式(1)で表されるモノマー単位の形成に用いるモノマーは、重合させるモノマーの全体中に、70〜100wt%含まれているのが好ましく、80〜100wt%含まれているのがより好ましい。これにより、平滑性の高い着色部をより効果的に形成することができる。
また、ビニルエーテル系レベリング剤の重量平均分子量は、1000〜10000であることが好ましく、1500〜5000であることがより好ましい。これにより、ビニルエーテル系レベリング剤のカラーフィルター用インク中における流動性を高いものとしつつ、液滴の吐出安定性、カラーフィルターの明度およびコントラスト比を特に優れたものとすることができる。
また、ビニルエーテル系レベリング剤の溶解度パラメーター(SP値)は、特に限定されないが、8〜9であることが好ましく、8〜8.5であることがより好ましい。これにより、上述したような液性媒体や後述するような樹脂材料との親和性をより高いものとすることができ、ビニルエーテル系レベリング剤の効果はより顕著に発言される。
以上のようなビニルエーテル系レベリング剤の市販品としては、例えば、LHP−90、LHP−91(楠本化成(株)製)等が挙げられる。
また、カラーフィルター用インク中にビニルエーテル系レベリング剤を含む場合、ビニルエーテル系レベリング剤の含有量は、特には限定されないが、0.01〜10wt%であることが好ましく、0.01〜0.1wt%であることがより好ましく、上述したような効果をより顕著に得ることができる。
(シリコーン系レベリング剤)
シリコーン系レベリング剤としては、下記式(22)に示す化合物を用いるのが好ましい。
Figure 2010107813
シリコーン系レベリング剤中における置換基Rは、シリコーン系レベリング剤において液性媒体や前述したような樹脂材料との親和性を向上させるものである。置換基Rは、上述したような置換基であればよいが、中でも、ポリエーテル基を含むことが好ましい。シリコーン系レベリング剤は、ポリエーテル基を含むことにより、液性媒体や、前述したような樹脂材料との親和性に特に優れたものとなる。このため、シリコーン系レベリング剤は、より顕著に上述したような効果を発現することができ、カラーフィルター用インクは、液滴の吐出安定性に特に優れ、基板に対し、より均一かつ容易に濡れ広がることができる。また、置換基Rにおけるポリエーテル構造は、比較的高温の環境下において、分解する構造である。このため、後述するようなカラーフィルターの製造方法において、着色部の形成時にインクが加熱されることにより、シリコーン系レベリング剤のポリエーテル基は、分解し、インクとシリコーン系レベリング剤との親和性が低いものとなる。このようなシリコーン系レベリング剤は、インクの表面に移動して層を形成することができ、着色部の表面を平滑にすることができる。このため、形成される着色部は、その表面が平滑なものとなり、明度およびコントラスト比が特に高いものとなる。
また、置換基Rがポリエーテル基である場合、ポリエーテル基を構成する単量体成分としては、特に限定されないが、例えば、グリコール類等の多価アルコールを用いることができる。グリコール類としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール等のプロパンジオール、各種ブタンジオール、各種ペンタンジオール、各種ヘキサンジオール等が挙げられ、1種また2種以上を組み合わせて用いることができる。この中でも、単慮体として、エチレングリコールまたは1,2−プロパンジオールを用いることが好ましい。
また、置換基Rがポリエーテル基である場合、シリコーン系レベリング剤の主鎖と反対側にあるポリエーテル基の末端の構造は、特には限定されず、置換基を有しないものであってもよいし、末端の水酸基等がアルキル基等の置換基によってさらに置換されていてもよい。
また、置換基Rがポリエーテル基である場合、ポリエーテル基の重合度は、2〜15であることが好ましく、4〜12であることがより好ましい。
また、置換基Rがポリエステル基である場合、ポリエステル基を構成する単量体成分としては、特に限定されず、公知の各種ポリエステルの単量体を1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
また、置換基Rがポリエステル基である場合、ポリエステル基の重合度は、2〜15であることが好ましく、4〜12であることがより好ましい。
また、置換基Rがポリエステル基である場合、シリコーン系レベリング剤の主鎖と反対側にあるポリエステル基の末端の構造は、特には限定されず、置換基を有しないものであってもよいし、末端の水酸基またはカルボキシル基等の反応基がアルキル基等の置換基によってさらに置換されていてもよい。
また、置換基Rがアリール基である場合、アリール基は、水酸基、アルコキシル基、アミノ基、アルキル基等の各種官能基が付加されているものであってもよい。
シリコーン系レベリング剤中における置換基Rとして用いることのできるアルキル基としては、直鎖アルキル基であってもよいし、分岐鎖アルキル基であってもよい。
また、置換基Rとして用いることのできるアルキル基の炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。これにより、シリコーン系レベリング剤のケイ素原子をより分子の外表面に露出させることができ、カラーフィルター用インク中の気泡の発生、カラーフィルター用インクの基板への濡れ性を特に優れたものとすることができる。
また、式中、xは、上述したような範囲内であればよいが、1〜20であることが好ましく、3〜13であることがより好ましい。
また、式中、yは、上述したような範囲内であればよいが、1〜15であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。
また、式中、mは、上述したような範囲内であればよいが、1〜4であることが好ましい。
また、上述したような式(1)は、0.14≦y/x≦3.5であることが好ましい。これにより、シリコーン系レベリング剤は、液性媒体や後述するような樹脂材料との親和性を特に優れたものとしつつ、カラーフィルター用インク中の気泡の発生、カラーフィルター用インクの基板への濡れ性を特に優れたものとすることができる。
また、置換基Rを有するケイ素原子と置換基Rを有するケイ素原子とは、酸素原子を介して交互に配置されていてもよいし、それぞれの置換基を有するケイ素原子毎に酸素原子を介して交互に結合し、ブロックを形成していてもよい。
また、シリコーン系レベリング剤の重量平均分子量は、500〜10000であることが好ましく、1000〜3000であることがより好ましい。これにより、シリコーン系レベリング剤のカラーフィルター用インク中における流動性を高いものとしつつ、上述したようなシリコーン系レベリング剤の効果をより顕著に得ることができる。
また、シリコーン系レベリング剤の溶解度パラメーター(SP値)は、特に限定されないが、8.0〜10.5であることが好ましい。これにより、上述したような液性媒体や後述するような樹脂材料との親和性をより高いものとすることができ、シリコーン系レベリング剤の効果はより顕著に発現される。
以上のようなシリコーン系レベリング剤の市販品としては、BYK−307、BYK−300、BYK−302、BYK−306、BYK−330、BYK−331、BYK−344、BYK−silclean3700(以上、ビックケミー・ジャパン社製)、KP−321、KP−324(以上、信越化学工業社製)等が挙げられる。
また、カラーフィルター用インク中にシリコーン系レベリング剤を含む場合、シリコーン系レベリング剤の含有量は、特には限定されないが、0.1〜5.0wt%であることが好ましく、0.3〜3.0であることがより好ましく、上述したような効果をより顕著に得ることができる。
(フッ素−ケイ素系レベリング剤)
フッ素−ケイ素系レベリング剤としては、単量体成分として後述する式(23)に示すフッ素化アルキル基含有ビニル単量体fおよび後述する式(24)に示すアルコキシシリル基含有ビニル単量体sを含んで構成されたものを用いるのが好ましい。
[フッ素化アルキル基含有ビニル単量体f]
フッ素化アルキル基含有ビニル単量体fは、下記式(23)に示す成分である。フッ素−ケイ素系レベリング剤は、このようなフッ素化アルキル基含有ビニル単量体fを有することにより、インクのノズルからの液切れを優れたものとすることができる。
Figure 2010107813
前記式(23)中の2価の連結基Aとしては、例えば、−(CH−、−CHCH(OH)(CH−、−(CHN(R)SO−、−(CHN(R)CO−(式中、nは1〜10の整数であり、Rは水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基である。)、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−等の連結基が挙げられる。
また、前記式(23)中のRfとしては、上述したようなフッ素化アルキル基であればよいが、例えば、−C、−C13、−C15、−C17、−(CFH、−(CFCF(CF、−(OCFCFOCFCF、−(OCFCF(CF))等のフッ素化アルキル基が挙げられる。
また、Rがフッ素化アルキル基である場合、Rは、分岐鎖を有するものであってもよいし、直鎖状であってもよい。また、Rは、パーフルオロアルキル基であってもよいし、部分フッ素化アルキル基であってもよい。Rが部分フッ素化アルキル基である場合、例えば、2価の連結基としての分岐または直鎖アルキル基と、パーフルオロアルキル基が結合した構造が挙げられ、具体的には、−(CH−C2j+1(但し、式中、n、jは、0以上の整数であり、1≦n+j≦16の関係を満足する。)等の構造が挙げられる。
前記フッ素化アルキル基含有ビニル単量体fとしては、前記式(23)を満足すものであればよいが、例えば、CH=CHCOOCHCH17、CH=C(CH)COOCHCH17、CH=CHCOOCHCH1225、CH=C(CH)COOCHCH1225、CH=CHCOOCHCH1021、CH=C(CH)COOCHCH1021、CH=CHCOOCHCH13、CH=C(CH)COOCHCH13、CH=CHCOOCHCH、CH=CFCOOCHCH13、CH=C(CH)COOCHCH2041、CH=C(Cl)COOCHCH、CH=C(CH)COO(CH1021、CH=C(CH)COOCHCF、CH=CHCOOCHCF、CH=CHCOOCH17、CH=C(CH)COOCH17、CH=C(CH)COOCH2041、CH=CHCOOCH2041、CH=C(CH)COOCHCF(CF、CH=C(CH)COOCHCFHCF、CH=CFCOOCH、CH=CHCOO(CHCF(CF、CH=C(CH)COOC(CH)HCFCFHCF、CH=C(CH)COOC(C)HC1021、CH=CHCOOCH(CF)H、CH=C(CH)COOCH(CF)H、CH=CHCOOCH(CF)H、CH=CHCOOCHCF、CH=C(CH)COOCH(CF)H、CH=CHCOOCH(CFH、CH=C(CH)COOCH(CFH、CH=CHCOOCH(CFH、CH=C(CH)COOCH(CFH、CH=CHCOOCH(CF10H、CH=CHCOOCH(CF12H、CH=CHCOOCH(CF14H、CH=CHCOOCH(CF18H、CH=CHCOOC(CH(CFH、CH=CHCOOCHCH(CFH、CH=C(CH)COOCHCH(CFH、CH=C(CH)COOC(CH(CFH、CH=CHCOOC(CF)HC17、CH=CHCOOCH、CH=CHCOOCHC(OH)HCH17、CH=C(CH)COOCHC(OH)H(CH17、CH=CHCOOCHCHN(C)SO17、CH=C(CH)COOCHCHN(CH)SO13、CH=C(Cl)COO(CHN(C)SO1225、CH=CHCOOCHCHN(C)SO15、CH=CHCOO(CHN(CH)SO1225、CH=CHCOO(CH(CFCF(CF、CH=CHCOOCHCHN(C)SO17、CH=C(CH)COOCHCHN(C)SO13、CH=CHCOOCHCHN(C)SO17、CH=C(CHCH17)COOCHCH17等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上述した中でも、フッ素化アルキル基含有ビニル単量体fとして、CH=CHCOOCHCH17または、CH=C(CHCH17)COOCHCH17を用いた場合、フッ素−ケイ素系レベリング剤を十分に嵩高いものとしつつ、フッ素−ケイ素系レベリング剤中のフッ素化アルキル基含有ビニル単量体fおよびアルコキシシリル基含有ビニル単量体sの効果がともに特に優れたものとして発揮される。
[アルコキシシリル基含有ビニル単量体s]
アルコキシシリル基含有ビニル単量体sは、下記式(24)に示す成分である。フッ素−ケイ素系レベリング剤は、このようなアルコキシシリル基含有ビニル単量体sを有することにより、インクの基板(特にガラス基板)への濡れ性を優れたものとすることができる。
Figure 2010107813
前記式(24)中の2価の連結基Bとしては、例えば、−CH(OH)CHOCO−、−(CHp1NHCHCH(OH)CHOCO−、−(CHp1OCO−、−(CHq1O(CHq1OCO−、−OCHCH(OH)CHOCO−(式中、p1、q1は、それぞれ独立して2〜6の整数である。)等が挙げられる。
また、式(24)中、アルコキシシリル基は、直鎖状のシリコーン鎖であってもよいが、分岐したシリコーン鎖を有することが好ましい。すなわち、式(24)中、lまたはnのうち少なくとも一方は、1以上であることが好ましい。これにより、フッ素−ケイ素系レベリング剤は、十分に嵩高いものとなる。
また、式(24)中、lおよびnは、上述したように、それぞれ、1以上であることが好ましいが、1〜5であることがより好ましく、1または2であることがさらに好ましい。これにより、フッ素−ケイ素系レベリング剤を十分に嵩高いものとしつつ、フッ素−ケイ素系レベリング剤中のフッ素化アルキル基含有ビニル単量体fおよびアルコキシシリル基含有ビニル単量体sの効果がともに特に優れたものとして発揮される。
また、式(24)中、mは、1以上であればよいが、1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、1または2であることがさらに好ましい。これにより、フッ素−ケイ素系レベリング剤を十分に嵩高いものとしつつ、フッ素−ケイ素系レベリング剤中のフッ素化アルキル基含有ビニル単量体fおよびアルコキシシリル基含有ビニル単量体sの効果がともに特に優れたものとして発揮される。
また、R、R2’、R2’’、R、R3’、R3’’、R、R4’、R4’’がアルキル基である場合、アルキル基の炭素数は、上述したような範囲であればよいが、1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。これにより、フッ素−ケイ素系レベリング剤を十分に嵩高いものとしつつ、フッ素−ケイ素系レベリング剤中のフッ素化アルキル基含有ビニル単量体fおよびアルコキシシリル基含有ビニル単量体sの効果がともに特に優れたものとして発揮される。
前記アルコキシシリル基含有ビニル単量体sとしては、前記式(24)を満足すものであればよいが、例えば、下記式(24−1)〜(24−46)で表されるアルコキシシリル基含有ビニル単量体等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
Figure 2010107813
Figure 2010107813
Figure 2010107813
Figure 2010107813
Figure 2010107813
Figure 2010107813
Figure 2010107813
上述した中でも、アルコキシシリル基含有ビニル単量体sとして、式(24−33)または、式(24−40)で表わされる化合物を用いることが好ましい。これにより、フッ素−ケイ素系レベリング剤を十分に嵩高いものとしつつ、フッ素−ケイ素系レベリング剤中のフッ素化アルキル基含有ビニル単量体fおよびアルコキシシリル基含有ビニル単量体sの効果がともに特に優れたものとして発揮される。
特に、フッ素化アルキル基含有ビニル単量体fとして、CH=CHCOOCHCH17、アルコキシシリル基含有ビニル単量体sとして式(24−40)に表わされる化合物を組み合わせて用いた場合、または、フッ素化アルキル基含有ビニル単量体fとして、CH=C(CHCH17)COOCHCH17、アルコキシシリル基含有ビニル単量体sとして式(24−33)に表わされる化合物を組み合わせて用いた場合、上述したような本発明の効果がより顕著に得られる。
フッ素−ケイ素系レベリング剤におけるアルコキシシリル基含有ビニル単量体sの含有率(レベリング剤の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、100重量部のフッ素化アルキル基含有ビニル単量体fに対し、10〜1000重量部であるのが好ましく、25〜400重量部であるのがより好ましい。アルコキシシリル基含有ビニル単量体sの含有率が前記範囲内の値であると、フッ素−ケイ素系レベリング剤を十分に嵩高いものとしつつ、フッ素−ケイ素系レベリング剤中のフッ素化アルキル基含有ビニル単量体fおよびアルコキシシリル基含有ビニル単量体sの効果がともに特に優れたものとして発揮される。
また、フッ素−ケイ素系レベリング剤は、上述したフッ素化アルキル基含有ビニル単量体fおよびアルコキシシリル基含有ビニル単量体s以外のビニル単量体を有していてもよい。このような単量体としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、核置換スチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、ビニルスルホン酸、酢酸ビニルのように脂肪酸ビニル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の一価ないし二価のカルボン酸のようにα,β−エチレン性不飽和カルボン酸;(メタ)アクリル酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、2−エチルヘキシル、デシル、ドデシル、ステアリルエステルのようにアルキル基の炭素原子数が1〜18の(メタアクリル酸アルキルエステル;2−ヒドロキシエチルエステル、ヒドロキシプロピルエステル、ヒドロキシブチルエステルのように(メタ)アクリル酸の炭素原子数1〜18のヒドロキシアルキルエステル;ジメチルアミノエチルエステル、ジエチルアミノエチルエステル、ジエチルアミノプロピルエステルのように(メタ)アクリル酸の炭素原子数1〜18のアミノアルキルエステル;メトキシエチルエステル、エトキシエチルエステル、メトキシプロピルエステル、メチルカルビルエステル、エチルカルビルエステル、ブチルカルビルエステルのように(メタ)アクリル酸の炭素原子数3〜18のエーテル酸素含有アルキルエステル;ジシクロペンタニルオキシルエチル(メタ)アクリレート、イソボルニルオキシルエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、重合度1〜100のポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのレベリング剤等のポリアルキレレングリコ−ルのモノ(メタ)アクリル酸エステル又はジ(メタ)アクリル酸エステル、若しくは末端が炭素原子数1〜6のアルキル基によってキャップされた重合度1〜100のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、そしてエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのレベリング剤等のポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリル酸エステル、メチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテルのようにアルキル炭素原子数が1〜18のアルキルビニルエーテル;グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレートのように(メタ)アクリル酸のグリシジルエステル;サートマー社製のスチレンマクロモノマー4500、新中村化学工業(株)製のNKエステルM−230Gのようにマクロモノマー;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、部分スルホン化スチレン、モノ(アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェ−ト、モノ(メタクリロキシエチル)アシッドホスフェ−ト等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上述した中でも、側鎖にポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、そしてエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのレベリング剤等のポリアルキレングリコ−ルのモノ(メタ)アクリル酸エステル又はジ(メタ)アクリル酸エステル、若しくは末端が炭素原子数1〜6のアルキル基によってキャップされた重合度1〜100の、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、そしてエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのレベリング剤等のポリアルキレレングリコールのモノ(メタ)アクリル酸エステルのようにポリオキシアルキレン基を側鎖に有する(メタ)アクリレートモノマー;炭素原子数6以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルのように炭素原子数6以上のアルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。
また、フッ素−ケイ素系レベリング剤中における上述したようなその他の単量体の含有量は、フッ素化アルキル基含有ビニル単量体fおよびアルコキシシリル基含有ビニル単量体sの合計の含有量を100重量部としたとき、10〜10000重量部であることが好ましく、20〜8000重量部であることがより好ましい。なお、その他の単量体が複数種ある場合は、これらの複数種の単量体の合計の含有量が上記の関係を満足することが好ましい。
また、フッ素−ケイ素系レベリング剤は、各単量体がランダムに配置されたレベリング剤であってもよいし、複数の同一の単量体が重合したブロックによって構成されるブロックレベリング剤であってもよい。
また、フッ素−ケイ素系レベリング剤の重量平均分子量は、15000〜500000であることが好ましく、20000〜100000であることがより好ましい。これにより、フッ素−ケイ素系レベリング剤のカラーフィルター用インク中における流動性を高いものとしつつ、上述したようなフッ素−ケイ素系レベリング剤の効果をより顕著に得ることができる。
また、フッ素−ケイ素系レベリング剤の溶解度パラメーター(SP値)は、特に限定されないが、5〜8であることが好ましい。これにより、上述したような着色剤や後述するような樹脂材料との親和性をより高いものとすることができ、フッ素−ケイ素系レベリング剤の効果はより顕著に発現される。
以上のようなフッ素−ケイ素系レベリング剤の市販品としては、メガファックF−443,F−444,F−445,F−446,F−470,F−471,F−472SF,F−474,F−475,F−477,F−478,F−479,F−480SF,F−482,F−483,F−484,F−486,F−487,F−489(以上、大日本インキ化学工業社製)等が挙げられる。
また、カラーフィルター用インク中にフッ素−ケイ素系レベリング剤を含む場合、フッ素−ケイ素系レベリング剤の含有量は、特には限定されないが、0.1〜5.0wt%であることが好ましく、0.3〜3.0wt%であることがより好ましく、上述したような効果をより顕著に得ることができる。
(その他のレベリング剤)
上述したようなレベリング剤の他、以下に示すようなアセチレングリコール系レベリング剤を用いてもよい。
アセチレングリコール系レベリング剤としては、例えば、サーフィノール104、サーフィノール82、サーフィノール2502、サーフィノール420、サーフィノール440、サーフィノール465、サーフィノール485、サーフィノール104E、サーフィノール104H、サーフィノール104A、サーフィノール104BC、サーフィノール104DPM、サーフィノール104PA、サーフィノール104PG−50、サーフィノール104S、サーフィノールSE、サーフィノールSE−F、サーフィノール504、サーフィノール61、サーフィノール2502、サーフィノール82、サーフィノールDF110D、サーフィノールDF37、サーフィノールDF58、サーフィノールDF75、サーフィノールDF210、サーフィノールCT111、サーフィノールCT121、サーフィノールCT131、サーフィノールCT136、サーフィノールCT151、サーフィノールTG、サーフィノールGA、サーフィノールPSA−336、ダイノール604、エンバイロジェムAD−01、オルフィンE1004、オルフィンE1010、オルフィンPD−001、オルフィンPD−002W、オルフィンPD−004、オルフィンEXP.4001、オルフィンEXP.4036、オルフィンEXP.4051F、オルフィンSPC、オルフィンAF−103、オルフィンAF−104、オルフィンAK−02、オルフィンSK−14、オルフィンAE−3、オルフィンPD−003、オルフィンPD−201、オルフィンPD−202、オルフィンPD−301、オルフィンB、オルフィンP、オルフィンY、オルフィンA、オルフィンSTG、オルフィンSPC(以上、日信化学工業(株)社製)等が挙げられる。
また、カラーフィルター用インク中にアセチレングリコール系レベリング剤を含む場合、アセチレングリコール系レベリング剤の含有量は、特には限定されないが、0.1〜5.0wt%であることが好ましく、0.3〜3.0wt%であることがより好ましい。
また、上記の他、レベリング剤としては、例えば、ノベックFC−4430、ノベックFC−4432(以上、住友スリーエム(株)製);フォスファノールML−200、フォスファノールML−220、フォスファノールRD−510Y、フォスファノールRS−410、フォスファノールRS−610、フォスファノールRS−710、フォスファノールRL−210、フォスファノールRL−310、フォスファノールRB−410、フォスファノールRD−720N(以上、東邦化学工業(株)社製);Lanco Flow L、Lanco Flow U、SOLSPERSE20000(以上、Lubrizol Deutschland GmbH社製);フタージェント100、フタージェント100C、フタージェント110、フタージェント140A、フタージェント150、フタージェント150CH、フタージェントA−K、フタージェント501、フタージェント250、フタージェント251、フタージェント222F、FTX−218、フタージェント300、フタージェント310、フタージェント400SW、フタージェント251、FTX−212M、フタージェント250、FTX−245M、FTX−290M、FTX−207S、FTX−211S、FTX−220S、FTS−230S、FTX−209F、FTX−213F、フタージェント222F、FTX−233F、FTX−245F、FTX−208G、FTX−218G、FTX−230G、FTS−240G、FTX−204D、FTX−208D、FTX−212D、FTX−216D、FTX−218D、FTX−220D、FTX−222D、FTX−720C、FTX−740C(以上、(株)ネオス社製);サーフロンS−111n、サーフロンS−113、サーフロンS−121、サーフロンS−131、サーフロンS−132、サーフロンS−141、サーフロンS−145、サーフロンS−381、サーフロンS−383、サーフロンS−393、サーフロンSC−101、サーフロンKH−40、サーフロンSA−100(以上、AGCセイミケミカル(株)社製);ユニダインDS−401、ユニダインDS−403、ユニダインNS−1602、ユニダインNS−1603、ユニダインNS−1605(以上、日進化成(株)社製)等が挙げられる。
<液性媒体>
液性媒体(液状媒質)は、カラーフィルター用インクにおいて、着色剤を分散または溶解する機能を有するものである。そして、通常、カラーフィルター用インクを構成する液性媒体は、カラーフィルターを製造する過程において、その大部分が除去されるものである。また、カラーフィルター用インクに後述するような樹脂材料(硬化性樹脂材料、熱可塑性樹脂材料)等が含まれる場合、液性媒体はこれらを溶解させる溶剤としても機能する。
液性媒体としては、例えば、エステル化合物、エーテル化合物、ヒドロキシケトン、炭酸ジエステル、環状アミド化合物等を用いることができ、中でも、〔1〕多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等)のアルキルエーテル(例えば、メチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル等)、エステル(例えば、ホルメート、アセテート、プロピオネート等)、〔2〕多価カルボン酸(例えば、こはく酸、グルタル酸等)のエステル(例えば、メチルエステル等)、〔3〕分子内に少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つのカルボキシル基とを有する化合物(ヒドロキシ酸)のエーテル、エステル等、〔4〕多価アルコールとホスゲンとの反応で得られるような化学構造を有する炭酸ジエステルが好ましい。液性媒体として用いることのできる化合物としては、例えば、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、ビス(2−ブトキシエチル)エーテル、グルタル酸ジメチル、エチレングリコールジn−ブチレート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、1,6−ジアセトキシヘキサン、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ブトキシプロパノール、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、オクタン酸エチル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸シクロヘキシル、こはく酸ジエチル、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、こはく酸ジメチル、1−ブトキシ−2−プロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−n−ブチルアセテート、ジアセチン、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ブチルグリコレート、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドン、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ビス(2−プロポキシエチル)エーテル、ジエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールエチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールブチルエチルエーテル、トリエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルプロピルエーテル、トリエチレングリコールメチルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、n−ノニルアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ブチルセロソルブアセテート等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
液性媒体としては、これらの中でも、1,3−ブチレングリコールジアセテート、ビス(2−ブトキシエチル)エーテル、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテート、およびジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものであるのが好ましい。このような化合物は、ビニルエーテル系重合体との親和性に特に優れており、このような化合物とビニルエーテル系重合体とをカラーフィルター用インクがともに含むことで、カラーフィルター用インク中におけるビニルエーテル系重合体の上述したような効果がより顕著に発揮される。このため、カラーフィルター用インクの液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、着色剤、樹脂材料等を比較的多量にインク中に含ませた場合であっても、インクの物性の変化が比較的少ないものとなる。また、カラーフィルター用インク中に顔料が含まれる場合、顔料の含有率を高くした場合であっても、顔料の長期分散安定性を十分に優れたものとすることができる。
また、上述した中でも、液性媒体が、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを含むものである場合、インクの粘度を特に低いものとすることができ、インクの液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、インクが基板上ですばやく隅々まで濡れ広がるため、得られるカラーフィルターの厚みが均一化することで、色再現性および消偏性(コントラスト比)を特に優れたものとすることができる。また、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートは、後述するような硬化性樹脂や分散剤と溶解度パラメータ(SP値)が近いためインクの分散安定性が高く長期に渡って粘度変化が少ないものとなる。また、好適に着色剤、樹脂等の成分の劣化、凝集を防止することができる。さらに、液性媒体が、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを含むものである場合、水の液性媒体への溶解度を適度なものとすることができる。このため、インクの液性媒体は、外部からの吸湿を確実に防止することができる。また、液滴吐出装置のインクの流路等の内部に水が混入した場合であっても、水を好適に溶解し、除去することができる。この結果、インク中における水の含有量を特に少ないものとすることができ、液滴吐出ヘッドからのインクの液滴の吐出安定性(例えば、液滴の吐出量の均一性)をより長期にわたって、特に優れたものとすることができる。
また、上述した中でも、液性媒体がビス(2−ブトキシエチル)エーテル、1,3−ブチレングリコールジアセテートを含むものである場合、インクがノズルの近傍で非常に乾燥しにくくなり、インクジェット工程における飛行曲がりの発生がより効果的に抑制される。また、ノズルの詰まりを防ぐために定期的にインクを少量排出するために行うフラッシング工程において、長距離のヘッド移動中におけるノズル近傍のインク乾燥を防ぐことができ、基板中に設けられたダミー画素などの捨て打ちエリアが不必要となる。また、インクが乾燥しにくくなることで、着色剤、樹脂等の成分の劣化、凝集、偏析をより確実に防止することができる。
また、特に、液性媒体が1,3−ブチレングリコールジアセテートを含むものである場合、後述するような硬化性樹脂や分散剤と溶解度パラメータ(SP値)が近いためインクの分散安定性が高く長期に渡って粘度変化が少ないものとなる。また、液性媒体への水の溶解度を適度なものとすることができる。このため、インクの液性媒体は、外部からの過剰な水分の吸収を確実に防止しつつ、液滴吐出装置のインクの流路等の内部に多少の水分が混入した場合であっても、水を好適に溶解することで、分散の安定性・流動性を保持したまま流路内を移動することができる。
また、上述したような化合物を複数種用いて液性媒体としてもよい。
例えば、液性媒体は、主成分としての液性媒体としての第1の液性媒体と、副成分としての第2の液性媒体とを含んでいてもよい。
このような場合、第2の液性媒体は、平均重合度が4〜10のグリコール縮合物モノアルキルエーテルであることが好ましい。グリコール縮合物モノアルキルエーテルは、グリコールの縮合物の末端の水酸基がアルキル基で置換された化合物である。
上述したような平均重合度を有するグリコール縮合物モノアルキルエーテルは、沸点が比較的高く、また、インクのチキソトロピック性を低下させることのできる化合物である。グリコール縮合物モノアルキルエーテルを含むことにより、カラーフィルター用インクから液性媒体が一定量揮発した場合であっても、インク中に残存するグリコール縮合物モノアルキルエーテルによってカラーフィルター用インクはチキソトロピック性の上昇を上昇が抑制され、比較的長い時間高い流動性を維持することができる。このため、着色部形成時において、特定の部分から液性媒体が揮発した場合であっても、カラーフィルター用インクは、より均一に混合されることができ、該部分にインクの固形分が集中することが防止される。この結果、セル中のカラーフィルター用インクは、各部分において固形分濃度が均一となり、その表面が平坦な状態で流動性を失い、固化することができる。この結果、製造されるカラーフィルターの明度、コントラスト比は特に優れたものとなる。また、以上のようなグリコール縮合物モノアルキルエーテルの効果は、特に、液性媒体の除去を行う際の初期において顕著に発揮させるものである。
グリコール縮合物モノアルキルエーテルを構成するグリコール類は、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール等のプロパンジオール、各種ブタンジオール、各種ペンタンジオール、各種ヘキサンジオール等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオールを用いることが好ましい。これにより、カラーフィルター用インク粘度を十分に低いものしつつ、着色部形成時におけるインクのチキソトロピック性の上昇を十分に抑制することができる。
また、グリコール縮合物モノアルキルエーテルの平均重合度は、上述した範囲内であればよいが、4〜8であることが好ましい。これにより、カラーフィルター用インク粘度を十分に低いものしつつ、着色部形成時におけるインクのチキソトロピック性の上昇を十分に抑制することができ、インクは高い流動性を維持することができる。
また、グリコール縮合物モノアルキルエーテルの重量平均分子量は、210〜500であるのが好ましく、210〜400であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インク粘度を十分に低いものしつつ、着色部形成時におけるインクのチキソトロピック性の上昇を十分に抑制することができる。
また、グリコール縮合物モノアルキルエーテルの末端のアルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖を有するものであってもよい。
また、グリコール縮合物モノアルキルエーテルの末端のアルキル基の炭素数は、1〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インク粘度を十分に低いものしつつ、着色部形成時におけるインクのチキソトロピック性の上昇を十分に抑制することができる。
また、グリコール縮合物モノアルキルエーテルが異なる重合度、分子量の成分の混合物(例えば、重合度が4〜8のグリコール縮合物モノアルキルエーテルの混合物)である場合、これらの複数の成分が段階的に揮発する。このため、着色部形成時において、より長期間にわたって、インクは流動性を高いものとすることができる。
また、例えば、第1の液性媒体を比較的沸点の低いものとし、第2の液性媒体を第1の液性媒体よりも沸点の高いものとすることができる。これにより、後述するような液性媒体の除去時においては、第1の液性媒体が最初に優先的に揮発する。第2の液性媒体は、比較的長期間カラーフィルター用インクに保持される。このため、セル中のカラーフィルター用インクは、比較的長い間、流動性を保持することができる。
このような場合、第2の液性媒体の沸点は、第1の液性媒体の沸点よりも5〜80℃高いことが好ましく、10〜70℃高いことがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクは、着色部形成時において、より長期間流動性を保持することができる。
また、カラーフィルター用インクが液性媒体として第1の液性媒体と第2の液性媒体とを含む場合、カラーフィルター用インク中における第1の液性媒体の含有量は、第2の液性媒体の含有量を100重量部としたとき、100〜2000重量部であることが好ましく、150〜1000重量部であることがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクは、着色部形成時においてより長期間流動性を保持することができる。また、カラーフィルターを製造する際の生産性が向上する。
また、液性媒体の25℃での粘度は、0.5〜20mPa・sであることが好ましく、1〜18mPa・sであることがより好ましい。このように、液性媒体が十分に低い粘度であることにより、カラーフィルター用インクの粘度を十分に低いものとすることができ、カラーフィルター用インクの液滴の均一性、吐出量の安定性を特に優れたものとすることができる。なお、液性媒体の粘度の測定は、例えば、E型粘度計(例えば、東機産業社製RE-01)を用いて行うことができ、特に、JIS Z8803に準拠して行うことができる。
液性媒体の大気圧(1気圧)下における沸点は、160〜300℃であるのが好ましく、180〜290℃であるのがより好ましく、200〜280℃であるのがさらに好ましい。液性媒体の大気圧下における沸点が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用インクを吐出する液滴吐出ヘッドにおける目詰まり等をより効果的に防止することができ、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。
また、液性媒体の25℃における蒸気圧は、0.7mmHg以下であるのが好ましく、0.1mmHg以下であるのがより好ましい。液性媒体の蒸気圧が前記範囲内と値であると、カラーフィルター用インクを吐出する液滴吐出ヘッドにおける目詰まり等をより効果的に防止することができ、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。
カラーフィルター用インク中における液性媒体の含有率は、50〜98wt%であるのが好ましく、55〜95wt%であるのがより好ましく、65〜93wt%であるのがさらに好ましい。液性媒体の含有率が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用インクの液滴吐出ヘッドからの吐出性を特に優れたものとしつつ、製造されるカラーフィルターの耐久性を優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターにおいて、十分な着色濃度を確保することができる。
<多価アルコール>
カラーフィルター用インクは、多価アルコールを含んでいてもよい。多価アルコールは、置換されていない水酸基を複数個含む化合物である。
多価アルコールは、着色部の形成時において、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性を低下させる機能を有するものである。このような多価アルコールを含むことにより、着色部表面の平坦性をより高いものとすることができる。
上述したような硬化性樹脂材料およびレベリング剤と、このような多価アルコールを併用することにより、カラーフィルター用インクから液性媒体の大部分が除去された状態において、カラーフィルター用インクはチキソトロピック性の上昇をより効果的に抑えることができ、比較的長い時間、流動性を維持することができる。このように、着色部形成時の後期において、比較的長い間、カラーフィルター用インクが流動性を有することにより、セル中のカラーフィルター用インクは、その表面が上述したようなレベリング剤によって平坦に保持された状態で流動性を失い、固化することができる。これにより、形成される着色部の厚さをより効果的に均一なものすることができ、製造されるカラーフィルターは、着色部における不本意な光の散乱が抑制され、明度およびコントラスト比が特に高いものとなる。
また、このような多価アルコールは、着色部を形成する際に加熱することにより、分解または揮発してカラーフィルター用インクから除去される。このため、形成された着色部には多価アルコールが残存しにくく、インクに含まれる多価アルコールによる着色部の色度、明度等の変化が極めて少ないものである。
また、上述したようなグリコール縮合物モノアルキルエーテルと、多価アルコールとを組み合わせてインクに用いることにより、着色部形成時の液性媒体の揮発時においては、グリコール縮合物モノアルキルエーテルがインクの高い流動性をより効果的に保ち、セル内でのインクの固形分濃度を均一なものとすることができる。また、液性媒体の大部分が除去された後には、インクの流動性がより高い状態で保持すされ、厚さが特に均一で表面が特に平滑な着色部が形成される。
カラーフィルター用インクに用いることのできる多価アルコールとしては、上述したようにカラーフィルター用インクのチキソトロピック性を低下させるものであればよいが、例えば、ジオール化合物のオリゴマーが使用でき、具体的には、グリコール類のオリゴマー等を用いることができる。このような化合物は、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性を容易に下げることができるとともに、着色部形成時においては、カラーフィルター用インクのセル内での対流を抑制することができる。特に、多価アルコールがグリコール類のオリゴマーである場合、上述したような効果はより顕著なものとなる。
グリコール類のオリゴマーを構成するグリコール類としては、例えば、上述したようなグリコール類が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組みあわせて用いることができる。これらのうち、エチレングリコールまたは、1,3−プロパンジオールをグリコール類として用いることが好ましい。
また、多価アルコールとしては、エチレングリコールと1,2−プロピレングリコールとが混合して縮合したグリコール類のオリゴマーを用いてもよいし、エチレングリコールのオリゴマーと1,2−プロピレングリコールのオリゴマーとを混合して用いてもよい。
また、多価アルコールとして、グリコール類のオリゴマーを用いる場合、末端の水酸基は、置換されていないことが好ましい。このように、多価アルコールが水酸基を有することで、多価アルコールの極性が比較的高いものとなり、多価アルコールの粘度は、容易に後述するような範囲となる。また、カラーフィルター用インクの後述するような基板(特にガラス基板)への親和性が優れたものとなり、カラーフィルター用インクは、セル中により好適に濡れ広がることができる。
多価アルコールがオリゴマーである場合、多価アルコールの重合度は、3〜40であることが好ましく、3〜20であることがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性を十分に低下させることができる。
また、多価アルコールの分子量は150〜2000であることが好ましく、180〜1000であることがより好ましく、180〜500であることがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性を十分に低下させることができると共に、着色部形成時においては、セル中でのカラーフィルター用インクの対流を抑制することができる。なお、多価アルコールがオリゴマーである場合、分子量は、重量平均分子量とすることができる。
また、多価アルコールは、25℃、1atmの雰囲気下において、液体であることが好ましい。このように、多価アルコールが液体であることにより、カラーフィルター用インク中に均一に混合することができるとともに、着色部形成時におけるカラーフィルター用インクの固形分を相対的に少ないものとすることができる。このため、着色部形成時におけるインクのチキソトロピック性の上昇をより確実に抑制することができる。
また、多価アルコールは、上述したような雰囲気下で液体である場合、回転式粘度計を用いて25℃、60rpmの条件で測定した粘度η60[mPa・s]は、40〜400mPa・sであることが好ましく、50〜300mPa・sであることがより好ましい。
また、カラーフィルター用インク中における多価アルコールの含有量は、0.3〜15.0wt%であることが好ましく、0.4〜13.0wt%であることがより好ましく、0.5〜6.0wt%であることがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性を十分に低下させつつ、カラーフィルター用インクの液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
なお、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性の指標としては、例えば、回転式のE型粘度計を用いて2つの異なる回転数での粘度を測定した場合の、得られた粘度の比(チキソ指数)で表わすことができる。具体的には、25℃のカラーフィルター用インクを回転数6rpmの条件で測定した粘度をη[mPa・s]、25℃のカラーフィルター用インクを回転数60rpmの条件で測定した粘度をη60[mPa・s]としたとき、カラーフィルター用インクのチキソ指数は、η/η60とすることができる。なお、η/η60が大きいほど、チキソトロピック性が高いものである。
また、カラーフィルター用インクのチキソ指数(η/η60)は、具体的には、1.06以下であることが好ましく、1.05以下であることがより好ましく、1.03以下であることがさらに好ましく上述したような効果をより顕著に得ることができる。
カラーフィルター用インクは、上記以外の成分を含むものであってもよい。カラーフィルター用インクを構成する上記以外の成分としては、例えば、分散剤等が挙げられる。
<分散剤>
カラーフィルター用インクには、分散剤が含まれていてもよい。これにより、例えば、インクの液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インク中に顔料が含まれる場合、分散剤は、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散性を向上させるのに寄与することができる。
分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子系分散剤を用いることができる。高分子系分散剤としては、例えば、塩基性高分子系分散剤、中性高分子系分散剤、酸性高分子系分散剤等が挙げられる。このような高分子系分散剤としては、例えば、アクリル系、変性アクリル系共重合体からなる分散剤、ウレタン系分散剤、ポリアミノアマイド塩、ポリエーテルエステル、燐酸エステル系、脂肪族多価カルボン酸等からなる分散剤等が挙げられる。
分散剤のより具体的な例としては、例えば、ディスパービック101、ディスパービック102、ディスパービック103、ディスパービックP104、ディスパービックP104S、ディスパービック220S、ディスパービック106、ディスパービック108、ディスパービック109、ディスパービック110、ディスパービック111、ディスパービック112、ディスパービック116、ディスパービック140、ディスパービック142、ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック164、ディスパービック166、ディスパービック167、ディスパービック168、ディスパービック170、ディスパービック171、ディスパービック174、ディスパービック180、ディスパービック182、ディスパービック183、ディスパービック184、ディスパービック185、ディスパービック2000、ディスパービック2001、ディスパービック2050、ディスパービック2070、ディスパービック2095、ディスパービック2150、ディスパービックLPN6919、ディスパービック9075、ディスパービック9077(以上、ビックケミー社製);EFKA 4008、EFKA 4009、EFKA 4010、EFKA 4015、EFKA 4020、EFKA 4046、EFKA 4047、EFKA 4050、EFKA 4055、EFKA 4060、EFKA 4080、EFKA 4400、EFKA 4401、EFKA 4402、EFKA 4403、EFKA 4406、EFKA 4408、EFKA 4300、EFKA 4330、EFKA 4340、EFKA 4015、EFKA 4800、EFKA 5010、EFKA 5065、EFKA 5066、EFKA 5070、EFKA 7500、EFKA 7554(以上、チバスペシャリティ−社製);ソルスパース3000、ソルスパース9000、ソルスパース13000、ソルスパース16000、ソルスパース17000、ソルスパース18000、ソルスパース20000、ソルスパース21000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000、ソルスパース32000、ソルスパース32500、ソルスパース32550、ソルスパース33500、ソルスパース35100、ソルスパース35200、ソルスパース36000、ソルスパース36600、ソルスパース38500、ソルスパース41000、ソルスパース41090、ソルスパース20000(以上、ルーブリゾール社製);アジスパーPA111、アジスパーPB711、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB824(以上、味の素ファインテクノ社製);ディスパロン1850、ディスパロン1860、ディスパロン2150、ディスパロン7004、ディスパロンDA−100、ディスパロンDA−234、ディスパロンDA−325、ディスパロンDA−375、ディスパロンDA−705、ディスパロンDA−725、ディスパロンPW−36(以上、楠本化成社製);および、フローレン DOPA−14、フローレン DOPA−15B、フローレン DOPA−17、フローレン DOPA−22、フローレン DOPA−44、フローレン TG−710、フローレン D−90(以上、共栄化学社製)、Anti−Terra−205(ビックケミー社製)等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
特に、カラーフィルターインクは、分散剤として、所定の酸価を有する分散剤(以下、酸価分散剤とも言う)と、所定の価を有する分散剤(以下、アミン価分散剤とも言う)とを同時に含むことが好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの粘度を低下させる粘度低減効果を発揮する酸価分散剤による効果と、カラーフィルター用インクの粘度を安定化させるアミン価分散剤による効果とが両立される。この結果、カラーフィルター用インクの液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。特に、カラーフィルター用インク中に顔料が含まれる場合、顔料を微粒の状態で安定して分散させることができ、着色部形成時におけるチキソトロピック性の上昇を抑制することができる。
酸価分散剤の具体例としては、ディスパービックP104、ディスパービックP104S、ディスパービック220S、ディスパービック110、ディスパービック111、ディスパービック170、ディスパービック171、ディスパービック174、ディスパービック2095(以上、ビックケミー社製);EFKA 5010、EFKA 5065、EFKA 5066、EFKA 5070、EFKA 7500、EFKA 7554(以上、チバスペシャリティ−社製);ソルスパース3000、ソルスパース16000、ソルスパース17000、ソルスパース18000、ソルスパース36000、ソルスパース36600、ソルスパース41000(以上、ルーブリゾール社製)等が挙げられる。
また、アミン価分散剤の具体例としては、ディスパービック102、ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック164、ディスパービック166、ディスパービック167、ディスパービック168、ディスパービック2150、ディスパービックLPN6919、ディスパービック9075、ディスパービック9077(以上、ビックケミー社製);EFKA 4015、EFKA 4020、EFKA 4046、EFKA 4047、EFKA 4050、EFKA 4055、EFKA 4060、EFKA 4080、EFKA 4300、EFKA 4330、EFKA 4340、EFKA 4400、EFKA 4401、EFKA 4402、EFKA 4403、EFKA 4800(以上、チバスペシャリティ−社製);アジスパーPB711(以上、味の素ファインテクノ社製);Anti−Terra−205(ビックケミー社製)等が挙げられる。
酸価分散剤とアミン価分散剤とを併用する場合、酸価分散剤の酸価(固形分換算したときの酸価)は、特に限定されないが、5〜370KOHmg/gであるのが好ましく、20〜270KOHmg/gであるのがより好ましく、30〜135KOHmg/gであるのがさらに好ましい。酸価分散剤の酸価が前記範囲内の値であると、上述したようなアミン価分散剤と併用した場合におけるカラーフィルター用インクの粘度の低減、安定化効果をより顕著に得ることができる。また、カラーフィルター用インクの中に顔料が含まれる場合、顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができる。分散剤についての酸価は、例えば、DIN EN ISO 2114に準拠する方法により求めることができる。
また、酸価分散剤は、所定のアミン価を有していないもの、すなわち、アミン価が零であるのが好ましい。
アミン価分散剤と酸価分散剤とを併用する場合、アミン価分散剤のアミン価(固形分換算したときのアミン価)は、特に限定されないが、5〜200KOHmg/gであるのが好ましく、25〜170KOHmg/gであるのがより好ましく、30〜130KOHmg/gであるのがさらに好ましい。アミン価分散剤のアミン価が前記範囲内の値であると、上述したようなアミン価分散剤と併用した場合におけるカラーフィルター用インクの粘度の低減、安定化効果をより顕著に得ることができる。また、カラーフィルター用インクの中に顔料が含まれる場合、顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができる。なお、分散剤についてのアミン価は、例えば、DIN 16945に準拠する方法により求めることができる。
また、アミン価分散剤は、所定の酸価を有していないもの、すなわち、酸価が零であるのが好ましい。
また、酸価分散剤とアミン価分散剤とを併用する場合、カラーフィルター用インク中における酸価分散剤の含有率をX[wt%]、カラーフィルター用インク中におけるアミン価分散剤の含有率をX[wt%]としたとき、0.1≦X/X≦1の関係を満足するのが好ましく、0.15≦X/X≦0.5の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、酸価分散剤とアミン価分散剤とを併用することによる相乗効果がより顕著に発揮され、液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
カラーフィルター用インク中における分散剤の含有率は、特に限定されないが、2.5〜10.2wt%であるのが好ましく、3.2〜9.2wt%であるのがより好ましい。
<その他の成分>
本発明のカラーフィルター用インクは、上記以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、各種架橋剤;ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩、オキソニウム塩、アンモニウム塩、ベンゾチアゾリウム塩等のオニウム塩等の熱酸発生剤;ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩、オキソニウム塩、アンモニウム塩等の光酸発生剤;各種重合開始剤;酸架橋剤;増感剤;光安定剤;接着性改良剤;各種重合促進剤;各種光安定化剤;ガラス、アルミナ等の充填剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤等が挙げられる。
架橋剤としては、例えば、多価カルボン酸無水物、多価カルボン酸、多官能エポキシモノマー、多官能アクリルモノマー、多官能ビニルエーテルモノマー、多官能オキセタンモノマー等を用いることができる。多価カルボン酸無水物の具体例としては、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ジメチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、無水ナジン酸等の脂肪族または脂環族ジカルボン酸無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族多価カルボン酸二無水物;無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸無水物;エチレングリコールビストリメリテイト、グリセリントリストリメリテイト等のエステル基含有酸無水物が挙げられるが、中でも、芳香族多価カルボン酸無水物が好ましい。また、市販のカルボン酸無水物からなるエポキシ樹脂硬化剤も好適に用いることができる。また、多価カルボン酸の具体例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸等の脂肪族多価カルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸、およびフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸が挙げられるが、中でも、芳香族多価カルボン酸が好ましい。また、多官能エポキシモノマーの具体例としては、ダイセル化学工業株式会社製、商品名セロキサイド2021、ダイセル化学工業株式会社製、商品名エポリードGT401、ダイセル化学工業株式会社製、商品名エポリードPB3600、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、イソシアヌル酸トリグリシジル等が挙げられる。また、多官能アクリルモノマーの具体例としては、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートトリメタリルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。また、多官能ビニルエーテルモノマーの具体例としては、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、ノナンジオールジビニルエーテル、シキロヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル等が挙げられる。また、多官能オキセタンモノマーの具体例としては、キシリレンジオキセタン、ビフェニル型オキセタン、ノボラック型オキセタン等が挙げられる。
熱酸発生剤は、加熱により酸を発生する成分であり、前記の中でも、特に、スルホニウム塩およびベンゾチアゾリウム塩が好ましい。熱酸発生剤のより具体的な例としては、商品名として、サンエイドSI−45、同左SI−47、同左SI−60、同左SI−60L、同左SI−80、同左SI−80L、同左SI−100、同左SI−100L、同左SI−145、同左SI−150、同左SI−160、同左SI−110L、同左SI−180L(以上、三新化学工業社製品、商品名)、CI−2921、CI−2920、CI−2946、CI−3128、CI−2624、CI−2639、CI−2064(以上、日本曹達(株)社製品、商品名)、CP−66、CP−77(旭電化工業社製品、商品名)、FC−520(3M社製品、商品名)等が挙げられる。
光酸発生剤は、光により酸を発生する成分であり、より具体的な例としては、商品名として、サイラキュアUVI−6970、サイラキュアUVI−6974、サイラキュアUVI−6990、サイラキュアUVI−950(以上、米国ユニオンカーバイド社製、商品名)、イルガキュア261(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)、SP−150、SP−151、SP−170、オプトマーSP−171(以上、旭電化工業株式会社製、商品名)、CG−24−61(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)、DAICATII(ダイセル化学工業社製、商品名)、UVAC1591(ダイセル・ユーシービー(株)社製、商品名)、CI−2064、CI−2639、CI−2624、CI−2481、CI−2734、CI−2855、CI−2823、CI−2758(以上、日本曹達社製品、商品名)、PI−2074(ローヌプーラン社製、商品名、ペンタフルオロフェニルボレートトルイルクミルヨードニウム塩)、FFC509(3M社製品、商品名)、BBI−102、BBI−101、BBI−103、MPI−103、TPS−103、MDS−103、DTS−103、NAT−103、NDS−103(ミドリ化学社製、商品名)、CD−1012(米国、Sartomer社製、商品名)等が挙げられる。
また、カラーフィルター用インクの25℃での表面張力は、25〜38dyn/cmであるのが好ましく、25〜35dyn/cmであるのがより好ましく、25〜32dyn/cmであるのがさらに好ましい。これにより、液滴の吐出性を特に安定したものとできる。このため、製造されるカラーフィルターの個体間での特性差を特に少ないものとすることができる。なお、表面張力は、JIS K 3362によって測定される値を採用することができる。
また、カラーフィルター用インクセットを構成する各カラーフィルター用インクの25℃における、カラーフィルター用の基板(ワーク)表面に対する接触角は、3〜15゜であることが好ましく、5〜10゜であることがより好ましい。これにより、吐出されて基板に着弾したカラーフィルター用インクが、好適に濡れ広がることができ、製造されるカラーフィルターは、セル内での着色濃度のむらの特に少ないものとなる。なお、カラーフィルター用インクのカラーフィルター用の基板表面に対する接触角は、JIS R 3257に準拠して測定される値を採用することができる。
カラーフィルター用インクの25℃における粘度(振動式粘度計を用いて測定される粘度)は、特に限定されないが、4〜12mPa・sであるのが好ましく、5〜11mPa・sであるのがより好ましい。カラーフィルター用インクの粘度が前記範囲内の値であると、後述するようなインクジェット方式による液滴吐出において、吐出されるカラーフィルター用インクの液適量のばらつきを特に小さいものとしつつ、液滴吐出ヘッドにおける目詰まりの発生等をより確実に防止することができる。なお、カラーフィルター用インクの粘度の測定は、例えば、振動式粘度計を用いて行うことができ、特に、JIS Z8809に準拠して行うことができる。
≪カラーフィルター用インクの製造方法≫
次に、上述したようなカラーフィルター用インクの製造方法の好適な実施形態について、説明する。
以下、カラーフィルター用インクの製造方法の実施形態の具体的な一例として、着色剤として顔料を用いた場合について説明する。
本実施形態の製造方法は、重合体Wおよび重合体Zのうち少なくとも一方が分散樹脂として溶剤に溶解した分散樹脂溶液を調製する分散樹脂溶液調製工程と、分散樹脂溶液に顔料を添加し、無機ビーズを多段で添加して微分散処理を行い、顔料分散体を得る微分散工程と、顔料分散体と樹脂材料等とを混合する混合工程とを有する。
<分散樹脂溶液調製工程>
分散樹脂溶液調製工程においては、重合体Wおよび重合体Zのうち少なくとも一方が分散樹脂として溶剤に溶解した分散樹脂溶液を調製する。このように、後述する顔料を微分散させる工程(微分散工程)に先立って、顔料と混合する液体(分散樹脂溶液)を調整することにより、原料として用いられる顔料粒子の凝集体を容易かつ確実に微粒子化(解砕)することができるとともに、微粒子化した顔料粒子の再度の凝集を防止することができる。これは、重合体W、Zが顔料粒子の周囲に存在することにより、顔料粒子同士の接触が防止され、顔料粒子同士の凝集が妨げられたものと考えられる。また、最終的に得られるカラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、重合体W、Zを含む分散樹脂溶液を用いることにより、後述する微分散工程を、比較的温和な条件で行うことができるため、カラーフィルター用インクの構成材料の不本意な変性、劣化等を確実に防止することができる。
また、本明細書において、分散樹脂とは、顔料の凝集体を微分散する際に顔料の凝集体と混合して用いて、微分散の効率を向上させるために用いる樹脂をいう。また、分散樹脂は、微分散の効率を向上させるだけでなく、一旦分散した顔料の粒子の際凝集を防止することもできる。また、製造されたインクにおいては、分散樹脂は、他の樹脂とともにバインダー樹脂として機能する。
また、本工程においては、分散剤を用いるのが好ましい。これにより、重合体W、Zと分散剤とを併用することによる相乗効果がより顕著に発揮される。また、本工程において分散剤を用いる場合、(重合体W、Zと溶剤との混合に先立って、または、重合体W、Zと溶剤との混合時に、)分散剤と溶剤とを含む混合物を攪拌する(分散剤を予備分散する)のが好ましい。これにより、得られる重合体W溶液中において、分散剤の会合状態を解いた(ほぐした)状態とすることができ、分散剤の機能をより効果的に発揮させることができる。ところで、上述した酸価分散剤およびアミン価分散剤は、本来、互いに電気的に引き付け合い易いという性質を有しているが、本実施形態のように、顔料の微分散(微分散工程)に先立って、分散剤を予備分散することにより、分散剤として酸価分散剤およびアミン価分散剤を用いた場合であっても、酸価分散剤およびアミン価分散剤を、会合状態を十分に解いた状態で、顔料粒子の表面に均一かつ安定的に付着させることができ、分散剤同士の凝集、顔料粒子同士の凝集等をより確実に防止することができ、顔料の分散安定性、液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
本工程で調製する分散樹脂溶液中における分散剤の含有率(複数種の分散剤を含む場合は、その含有率の総和)は、特に限定されないが、5〜30wt%であるのが好ましく、6〜25wt%であるのがより好ましい。分散剤の含有率が前記範囲内の値であると、前述したような効果がより顕著に発揮される。
また、本工程で調製する分散樹脂溶液中における溶剤の含有率は、特に限定されないが、40〜80wt%であるのが好ましく、53〜75wt%であるのがより好ましい。溶剤の含有率が前記範囲内の値であると、前述したような効果がより顕著に発揮される。なお、溶剤としては、目的とするカラーフィルター用インクを構成する分散媒と同一の組成を有するものを用いてもよいし、異なる組成のものを用いてもよい。本工程で、溶剤として、目的とするカラーフィルター用インクを構成する分散媒とは異なる組成を有するものを用いた場合、例えば、後の工程で、所定の液体(溶剤)で希釈したり、減圧処理、加熱処理等を伴う液体(溶剤)の置換を行ったりすることにより、最終的に得られるカラーフィルター用インクにおいて、所望の組成を有する分散媒とすることができる。
また、分散樹脂溶液中には、重合体W、Z以外の樹脂材料が含まれるものであってもよい。例えば、分散樹脂溶液は、熱可塑性樹脂等の他の樹脂材料を含むものであってもよい。
本工程では、各種攪拌機を用いて上記各成分の混合物を攪拌することにより、分散樹脂溶液を得ることができる。
本工程で用いることのできる攪拌機としては、例えば、ディスパーミル等の一軸または二軸ミキサー等が挙げられる。
攪拌機を用いた攪拌処理時間は、特に限定されないが、1〜30分間であるのが好ましく、3〜20分間であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの生産性を十分に優れたものとしつつ、最終的に得られるカラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
また、本工程での攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、特に限定されないが、500〜4000rpmであるのが好ましく、800〜3000rpmであるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの生産性を十分に優れたものとしつつ、最終的に得られるカラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、重合体W、Z、分散剤等の熱等による劣化、変性等をより確実に防止することができる。
<微分散工程>
次に、上記工程で得られた分散樹脂溶液に顔料を添加し、無機ビーズを多段で添加して微分散処理を行う(微分散工程)。
上記のように、本工程で用いられる分散樹脂溶液は重合体Wまたは重合体Zのうち少なくとも一方を含むものであるため、顔料の微粒子化(解砕)を効率よく行うことができ、カラーフィルター用インクの生産性を特に優れたものとすることができる。これは、上述したように本工程において、重合体W、Zが顔料粒子の周囲に存在することにより、顔料粒子同士の接触が防止され、顔料の微粒子化(解砕)を促進するとともに、微粒子化した顔料粒子が再凝集すること防止するためであると考えられる。
ところで、上述したように重合体W、Zは、硬化性樹脂である。重合体W、Zは、機械的な力に対しては安定な化合物である。このため、本工程において、分散樹脂として重合体W、Zを好適に用いることができる。
また、分散樹脂として熱可塑性樹脂等の硬化反応を起こさない樹脂を用いることも考えられるが、このような樹脂を用いた場合、製造されるカラーフィルター用インクの粘度が高いものとなりやすく、カラーフィルター用インクの粘度が高い場合、着色部の形成時の液性媒体の除去時において比較的早い段階でカラーフィルター用インクの流動性が失われやすい。また、最終的にカラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の硬度、耐薬品性、耐溶剤性が低く、カラーフィルターの耐久性が劣るものとなる。このため、このようなカラーフィルターは、長期にわたって明度およびコントラスト比を優れたものとして維持することができない。これに対し、本実施形態では、硬化性樹脂である重合体W、Zを分散樹脂として用いることにより、カラーフィルター用インクに含まれる硬化性樹脂以外の樹脂を減らすことができるため、上記の問題を解決でき、最終的にカラーフィルター用インクを用いて形成されるカラーフィルターの耐久性をより優れたものとすることができる。
また、一般の硬化性樹脂を分散樹脂として用いると、顔料の分散時において硬化反応が始まりやすく、増粘してインクを製造することが困難となる。
また、本実施形態では、顔料を微分散させる工程(微分散工程)において無機ビーズを多段で添加する。微分散工程において、無機ビーズを多段で添加することにより、顔料の微粒化の効率を特に優れたものとすることができ、最終的に得られるカラーフィルター用インク中における顔料粒子を十分に小さいものとすることができる。特に、酸価分散剤およびアミン価分散剤を併用する場合においては、このような材料を用いることによる効果と、重合体W溶液調製工程および多段での微分散工程を有する方法を用いることによる効果とが、相乗的に作用し合い、最終的に得られるカラーフィルター用インクは、顔料の分散安定性、および、液滴の吐出安定性が、非常に優れたものとなり、非常に優れたコントラストのカラーフィルターの製造に用いることができるもののとなる。
本工程は、無機ビーズを多段で添加することにより行うものであればよく、3段以上に分けて無機ビーズを添加するものであってもよいが、無機ビーズを2段で添加するのが好ましい。これにより、最終的に得られるカラーフィルター用インク中における顔料粒子の長期分散安定性を十分に優れたものとしつつ、カラーフィルター用インクの生産性を特に優れたものとすることができる。
以下の説明では、無機ビーズを2段で添加する方法、すなわち、微分散工程において、第1の無機ビーズを用いた第1の処理と、第2の無機ビーズを用いた第2の処理とを行う方法について、代表的に説明する。
本工程で用いる無機ビーズ(第1の無機ビーズ、第2の無機ビーズ)は、無機材料で構成されたものであればいかなる材料で構成されたものであってもよいが、無機ビーズの好適な例としては、ジルコニア製のビーズ(例えば、Toray ceram 粉砕ボール(商品名)、株式会社東レ製)等が挙げられる。
[第1の処理]
本工程では、まず、前述した重合体W溶液調製工程で調製した分散樹脂溶液に顔料を添加し、所定の粒径の第1の無機ビーズを用いて一次微分散する第1の処理を行う。
第1の処理で用いる第1の無機ビーズは、第2の処理で用いる第2の無機ビーズよりも粒径の大きいものであるのが好ましい。これにより、微分散工程全体としての、顔料の微粒化(微分散)の効率を、特に優れたものとすることができる。
第1の無機ビーズの平均粒径は、特に限定されないが、0.5〜3.0mmであるのが好ましく、0.5〜2.0mmであるのがより好ましく、0.5〜1.2mmであるのがさらに好ましい。第1の無機ビーズの平均粒径が前記範囲内の値であると、微分散工程全体としての、顔料の微粒化(微分散)の効率を、特に優れたものとすることができる。
第1の無機ビーズの使用量は、特に限定されないが、分散樹脂溶液:100重量部に対し、100〜600重量部であるのが好ましく、200〜500重量部であるのがより好ましい。
分散樹脂溶液に添加する顔料の使用量は、特に限定されないが、分散樹脂溶液:100重量部に対し、12重量部以上であるのが好ましく、18〜35重量部であるのがより好ましい。
第1の処理は、顔料、第1の無機ビーズを重合体W溶液に添加した状態で、各種攪拌機を用いて攪拌することにより行うことができる。
第1の処理で用いることのできる攪拌機としては、例えば、パールミル等のメディア型分散機や、ディスパーミル等の一軸または二軸ミキサー等が挙げられる。
攪拌機を用いた攪拌処理時間(第1の処理の処理時間)は、特に限定されないが、10〜120分間であるのが好ましく、15〜40分間であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの生産性を低下させることなく、顔料の微粒化(微分散)を効率よく進行させることができる。
また、第1の処理での攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、特に限定されないが、1000〜5000rpmであるのが好ましく、1200〜3800rpmであるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの生産性を低下させることなく、顔料の微粒化(微分散)をより効率よく進行させることができる。また、重合体W、Z、分散剤等の熱等による劣化、変性等を確実に防止することができる。
[第2の処理]
第1の処理を行った後、第2の無機ビーズを用いた第2の処理を行う。これにより、顔料粒子が十分に微分散した顔料分散体が得られる。
第2の処理は第1の無機ビーズを含む状態で行うものであってもよいが、第2の処理に先立ち、第1の無機ビーズを除去するのが好ましい。これにより、第2の処理における顔料の微粒化(微分散)の効率を特に優れたものとすることができる。第1の無機ビーズの除去は、例えば、ろ過等の方法により、容易かつ確実に行うことができる。
第2の処理で用いる第2の無機ビーズは、第1の処理で用いる第1の無機ビーズよりも粒径の小さいものであるのが好ましい。これにより、最終的に得られるカラーフィルター用インク中における顔料を、十分に微粒化(微分散)させたものとすることができ、カラーフィルター用インクにおける顔料粒子の長期間にわたる分散安定性(長期分散安定性)に特に優れたものとすることができるとともに、液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
第2の無機ビーズの平均粒径は、特に限定されないが、0.03〜0.3mmであるのが好ましく、0.05〜0.2mmであるのがより好ましい。第2の無機ビーズの平均粒径が前記範囲内の値であると、微分散工程全体としての、顔料の微粒化(微分散)の効率を、特に優れたものとすることができる。
第2の無機ビーズの使用量は、特に限定されないが、分散樹脂溶液:100重量部に対し、100〜600重量部であるのが好ましく、200〜500重量部であるのがより好ましい。
第2の処理は、各種攪拌機を用いて行うことができる。
第2の処理で用いることのできる攪拌機としては、例えば、パールミル等のメディア型分散機や、ディスパーミル等の一軸または二軸ミキサー等が挙げられる。
攪拌機を用いた攪拌処理時間(第2の処理の処理時間)は、特に限定されないが、10〜120分間であるのが好ましく、15〜40分間であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの生産性を低下させることなく、顔料の微粒化(微分散)を十分に進行させることができる。
また、第2の処理での攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、特に限定されないが、1000〜5000rpmであるのが好ましく、1200〜3800rpmであるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの生産性を低下させることなく、顔料の微粒化(微分散)をより効率よく進行させることができる。また、分散剤等の熱等による劣化、変性等を確実に防止することができる。
上記の説明では、微分散処理を2段で行う場合について中心的に説明したが、3段以上の処理を行ってもよい。このような場合、後の処理で用いる無機ビーズの方が、先の処理で用いる無機ビーズよりも小粒径であるのが好ましい。言い換えると、n段目の処理で用いる無機ビーズ(第nの無機ビーズ)の平均粒径は、(n−1)段目の処理で用いる無機ビーズ(第(n−1)の無機ビーズ)の平均粒径よりも小さいものであるのが好ましい。このような関係を満足することにより、顔料粒子の微粒化(微分散)の効率を特に優れたものとすることができるとともに、最終的に得られるカラーフィルター用インク中の顔料粒子の粒径をより小さいものとすることができる。
なお、微分散工程(例えば、第1の処理、第2の処理)においては、必要に応じて、例えば、溶剤による希釈等の処理を行ってもよい。
<混合工程>
上記のような微分散工程で得られた顔料分散体を、レベリング剤、追加の樹脂材料等のカラーフィルター用インクに用いる材料と混合する(混合工程)。これにより、カラーフィルター用インクが得られる。本工程では、例えば、レベリング剤、重合体X、Y等の硬化性樹脂を顔料分散体と混合することができる。また、上述したような重合体W、Z、分散剤等の材料をさらに追加して顔料分散体と混合するものであってもよい。
本工程は、第2の処理で用いた第2の無機ビーズを除去した状態で行うのが好ましい。第2の無機ビーズの除去は、例えば、ろ過等の方法により、容易かつ確実に行うことができる。
本工程は、各種攪拌機を用いて行うことができる。
本工程で用いることのできる攪拌機としては、例えば、ディスパーミル等の一軸または二軸ミキサー等が挙げられる。
攪拌機を用いた攪拌処理時間(本工程の処理時間)は、特に限定されないが、1〜60分間であるのが好ましく、15〜40分間であるのがより好ましい。
また、本工程での攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、特に限定されないが、1000〜5000rpmであるのが好ましく、1200〜3800rpmであるのがより好ましい。
なお、本工程では、前記工程で用いた溶剤とは異なる組成の液体を添加してもよい。これにより、前述した分散樹脂溶液調製工程での重合体W、Zの溶解、分散剤の分散、および、微分散工程での顔料粒子の微分散を好適に行いつつ、所望の特性を有するカラーフィルター用インクを確実に得ることができる。
また、本工程においては、顔料分散体とカラーフィルター用インクの材料との混合に先立って、または、顔料分散体とカラーフィルター用インクの材料との混合の後に、前記工程で用いた溶剤の少なくとも一部を除去してもよい。これにより、分散樹脂溶液調製工程、微分散工程での溶剤の組成と、最終的に得られるカラーフィルター用インクでの分散媒の組成とを異なるものとすることができる。その結果、前述した分散樹脂溶液調製工程での重合体W、Zの溶解、分散剤の分散、および、微分散工程での顔料粒子の微分散を好適に行いつつ、所望の特性を有するカラーフィルター用インクを確実に得ることができる。溶剤の除去は、例えば、対象とする液体を、減圧雰囲気下に置いたり、加熱したりすることにより行うことができる。
《インクセット》
上述したようなカラーフィルター用インクは、インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるものである。カラーフィルターは、通常、フルカラー表示に対応するため、複数色の着色部(通常は、光の三原色に対応するRGBの3色)を有している。そして、これら複数色の着色部の形成には、それぞれに対応する色の複数種のカラーフィルター用インクが用いられる。すなわち、カラーフィルターの製造には、複数色のカラーフィルター用インクを備えるインクセットが用いられる。本発明においては、カラーフィルターの製造において、上述したようなカラーフィルター用インクが、少なくとも1種の着色部の形成に用いられるものであればよいが、全色の着色部の形成に用いられるのが好ましい。
特に、カラーフィルターが緑色の着色部を有する場合、緑色のカラーフィルター用インクに対して、本発明のカラーフィルター用インクを適用することが好ましい。一般に、緑色の着色部は、着色剤が多くなりやすく、液滴の吐出安定性が劣るものとなりやすく、形成される着色部の明度、コントラスト比が優れたものとはなりにくいものであった。しかしながら、緑色のカラーフィルター用インクに本発明を適用することにより、インクの液滴の吐出安定性を優れたものとすることができ、明度、コントラスト比に優れた着色部を形成することができる。
《カラーフィルター》
次に、上述したようなカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて製造されるカラーフィルターの一例について説明する。
図1は、本発明のカラーフィルターの好適な実施形態を示す断面図である。
図1に示すように、カラーフィルター1は、基板11と、上述したカラーフィルター用インクを用いて成形された着色部12とを備えている。着色部12としては、互いに異なる色の第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12Cが設けられている。そして、隣接する着色部12の間には、隔壁13が設けられている。
<基板>
基板11は、光透過性を有する板状の部材で、着色部12、隔壁13を保持する機能を有している。
基板11は、実質的に透明な材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、カラーフィルター1を透過する光により、より鮮明な画像を形成することができる。
また、基板11は、耐熱性、機械的強度に優れたものであるのが好ましい。これにより、例えば、カラーフィルター1の製造時に加わる熱による変形等を確実に防止することができる。このような条件を満足する基板11の構成材料としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ノルボルネン系開環重合体やその水素添加物等が挙げられる。
<着色部>
着色部12は、上述したようなカラーフィルター用インク(カラーフィルター用インクセット)を用いて形成されたものである。
着色部12は、上述したようなカラーフィルター用インク(カラーフィルター用インクセット)を用いて形成されたものであるため、所望の量のインクにより形成され、所望の形状を有するものとなっており、各画素間での特性のばらつきが小さく、不本意な混色(複数種のカラーフィルター用インクの混合)等が確実に防止されている。このため、カラーフィルター1は、色むら、濃度むら等の発生が抑制され、コントラスト比および明度に優れた、信頼性が高いものとなっている。
各着色部12は、後述する隔壁13により囲まれた領域であるセル14内に設けられている。
第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12Cは、互いに異なる色のものである。例えば、第1の着色部12Aを赤色フィルター領域(R)、第2の着色部12Bを緑色フィルター領域(G)、第3の着色部12Cを青色フィルター領域(B)とすることができる。
そして、一組の異なる色の着色部12A、12B、12Cで1画素を構成している。そして、カラーフィルター1においては、その横方向および縦方向に、着色部12が所定数配置されている。例えば、カラーフィルター1が、ハイビジョン用のカラーフィルターである場合には1366×768個の画素が配置されており、フルハイビジョン用のカラーフィルターである場合には1920×1080個の画素が配置されており、スーパーハイビジョン用のカラーフィルターである場合には7680×4320個の画素が配置されている。なお、カラーフィルター1は、例えば、有効領域外に予備の画素を備えたものであってもよい。
<隔壁>
隣接する着色部12の間には、隔壁(バンク)13が設けられている。これにより、隣接する着色部12同士が混色してしまうのを確実に防止することができ、その結果、鮮明な画像を確実に表示することができる。
隔壁13は、透明な材料で構成されたものであってもよいが、遮光性を有する材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、コントラストに優れた画像を表示することができる。隔壁(遮光部)13の色は、特に限定されないが、黒色であるのが好ましい。これにより、表示される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
隔壁13の高さは、特に限定されないが、着色部12の膜厚とほぼ同じであることが好ましい。これにより、隣接する着色部12の間での混色を確実に防止することができる。隔壁13の具体的な厚さは、0.1〜10μmであるのが好ましく、0.5〜3.5μmであるのがより好ましい。これにより、隣接する着色部12の間での混色を確実に防止することができるとともに、カラーフィルター1を備えた画像表示装置、電子機器における視野角特性を優れたものとすることができる。
隔壁13は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、例えば、主として硬化性樹脂材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、後述するような方法で、隔壁13を容易に所望の形状を有するものとして形成することができる。また、隔壁13が遮光部としての機能を有するものである場合、その構成材料として、カーボンブラック等の光吸収性の材料を含むものであってもよい。
《カラーフィルターの製造方法》
次に、上述したようなカラーフィルター1の製造方法の一例について説明する。
図2は、カラーフィルターの製造方法を示す断面図、図3は、カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置を示す斜視図、図4は、図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出手段をステージ側から観察した図、図5は、図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドの底面を示す図、図6は、図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドを示す図であり、(a)は断面斜視図、(b)は断面図である。
図2に示すように、本実施形態では、基板11を準備する基板準備工程(1a)と、基板11上に隔壁13を形成する隔壁形成工程(1b、1c)と、インクジェット方式によりカラーフィルター用インク2を隔壁13で囲まれた領域に付与するインク付与工程(1d)と、カラーフィルター用インク2から分散媒を除去し、樹脂材料を硬化させることにより固形状の着色部12とする着色部形成工程(1e)とを有している。
<基板準備工程>
まず、基板11を準備する(1a)。本工程で準備する基板11は、洗浄処理が施されたものであるのが好ましい。また、本工程で準備する基板11は、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理が施されたものであってもよい。
<隔壁形成工程>
次に、基板11の隔壁形成用の感放射線性組成物を基板11の一方の面のほぼ全体に付与し、塗膜3を形成する(1b)。なお、基板11上に感放射線性組成物を付与した後、必要に応じて、プリベーク処理を行ってもよい。プリベーク処理は、例えば、加熱温度:50〜150℃、加熱時間:30〜600秒という条件で行うことができる。
その後、フォトマスクを介して、放射線を照射して、ポストエキスポジャーベーク処理(PEB)を行い、さらに、アルカリ現像液を用いた現像処理を行うことにより、隔壁13が形成される(1c)。PEBは、例えば、加熱温度:50〜150℃、加熱時間:30〜600秒、放射線照射強度:1〜500mJ/cmという条件で行うことができる。また、現像処理は、例えば、液盛り法、ディッピング法、振動浸漬法等により行うことができ、現像処理時間は、例えば、10〜300秒とすることができる。また、現像処理の後、必要に応じて、ポストベーク処理を行ってもよい。ポストベーク処理は、例えば、加熱温度:150〜280℃、加熱時間:3〜120分という条件で行うことができる。
<インク付与工程>
次に、インクジェット方式により、カラーフィルター用インク2を、隔壁13で囲まれたセル14内に付与する(1d)。
本工程は、形成すべき複数色の着色部12に対応する複数種のカラーフィルター用インク2を用いて行う。この際、隔壁13が設けられているため、2種以上のカラーフィルター用インク2が混ざり合うことが確実に防止される。
また、上述したようにカラーフィルター用インク2は、前記樹脂材料(重合体Y、重合体W)を含むものであり、液滴の吐出安定性に優れている。このため、製造すべきカラーフィルター1が大型のものである場合や、多数枚のカラーフィルター1を連続的に製造する場合であっても、飛行曲がり等の問題の発生を確実に防止ししつつ、液滴の吐出量を容易かつ確実に制御することができる。その結果、製造されるカラーフィルター1における混色、色むら・濃度むら、コントラスト比の低下等の問題の発生を確実に防止することができる。
カラーフィルター用インク2の吐出は、図3〜図6に示すような液滴吐出装置を用いて行う。
図3に示すように、本工程で用いる液滴吐出装置100は、カラーフィルター用インク2を保持するタンク101と、チューブ110と、チューブ110を介してタンク101からカラーフィルター用インク2が供給される吐出走査部102とを備える。吐出走査部102は、複数の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)114をキャリッジ105に搭載してなる液滴吐出手段103と、液滴吐出手段103の位置を制御する第1位置制御装置104(移動手段)と、前記工程で隔壁13が形成された基板11(以下、単に「基板11」とも言う。)を保持するステージ106と、ステージ106の位置を制御する第2位置制御装置108(移動手段)と、制御手段112とを備えている。タンク101と、液滴吐出手段103における複数の液滴吐出ヘッド114とは、チューブ110で連結されており、タンク101から複数の液滴吐出ヘッド114のそれぞれにカラーフィルター用インク2が圧縮空気によって供給される。
第1位置制御装置104は、制御手段112からの信号に応じて、液滴吐出手段103をX軸方向、およびX軸方向に直交するZ軸方向に沿って移動させる。さらに、第1位置制御装置104は、Z軸に平行な軸の回りで液滴吐出手段103を回転させる機能も有する。本実施形態では、Z軸方向は、鉛直方向(つまり重力加速度の方向)に平行な方向である。第2位置制御装置108は、制御手段112からの信号に応じて、X軸方向およびZ軸方向の双方に直交するY軸方向に沿ってステージ106を移動させる。さらに、第2位置制御装置108は、Z軸に平行な軸の回りでステージ106を回転させる機能も有する。
ステージ106は、X軸方向とY軸方向との双方に平行な平面を有する。また、ステージ106は、カラーフィルター用インク2を付与すべきセル14を有する基板11をその平面上に固定、または保持できるように構成されている。
上述のように、液滴吐出手段103は、第1位置制御装置104によってX軸方向に移動させられる。一方、ステージ106は、第2位置制御装置108によってY軸方向に移動させられる。つまり、第1位置制御装置104および第2位置制御装置108によって、ステージ106に対する液滴吐出ヘッド114の相対位置が変わる(ステージ106に保持された基板11と、液滴吐出手段103とが相対的に移動する)。
制御手段112は、カラーフィルター用インク2を吐出すべき相対位置を表す吐出データを外部情報処理装置から受け取るように構成されている。
図4に示すように、液滴吐出手段103は、それぞれほぼ同じ構造を有する複数の液滴吐出ヘッド114と、これらの液滴吐出ヘッド114を保持するキャリッジ105とを有している。本実施形態では、液滴吐出手段103に保持される液滴吐出ヘッド114の数は8個である。それぞれの液滴吐出ヘッド114は、後述する複数のノズル118が設けられた底面を有している。それぞれの液滴吐出ヘッド114のこの底面の形状は、2つの長辺と2つの短辺とを有する多角形である。液滴吐出手段103に保持された液滴吐出ヘッド114の底面はステージ106側を向いており、さらに、液滴吐出ヘッド114の長辺方向と短辺方向とは、それぞれX軸方向とY軸方向とに平行である。
図5に示すように、液滴吐出ヘッド114は、X軸方向に並んだ複数のノズル118を有する。これら複数のノズル118は、液滴吐出ヘッド114におけるX軸方向のノズルピッチHXPが所定の値となるように配置されている。ノズルピッチHXPの具体的な値は、特に限定されないが、例えば、50〜90μmとすることができる。ここで、「液滴吐出ヘッド114におけるX軸方向のノズルピッチHXP」は、液滴吐出ヘッド114におけるノズル118のすべてをY軸方向に沿ってX軸上に射像して得られた複数のノズル像間のピッチに相当する。
本実施形態では、液滴吐出ヘッド114における複数のノズル118は、ともにX軸方向に延びるノズル列116Aと、ノズル列116Bとをなす。ノズル列116Aと、ノズル列116Bとは、間隔を空けて並行に配置されている。そして、本実施形態においては、ノズル列116Aおよびノズル列116Bのそれぞれにおいて、90個のノズル118が一定間隔LNPでX軸方向に一列に並んでいる。LNPの具体的な値は、特に限定されないが、100〜180μmとすることができる。
ノズル列116Bの位置は、ノズル列116Aの位置に対して、ノズルピッチLNPの半分の長さだけX軸方向の正の方向(図5の右方向)にずれている。このため、液滴吐出ヘッド114のX軸方向のノズルピッチHXPは、ノズル列116A(またはノズル列116B)のノズルピッチLNPの半分の長さである。
したがって、液滴吐出ヘッド114のX軸方向のノズル線密度は、ノズル列116A(またはノズル列116B)のノズル線密度の2倍である。なお、本明細書において「X軸方向のノズル線密度」とは、複数のノズルをY軸方向に沿ってX軸上に射像して得られた複数のノズル像の単位長さ当たりの数に相当する。もちろん、液滴吐出ヘッド114が含むノズル列の数は、2つだけに限定されない。液滴吐出ヘッド114はM個のノズル列を含んでもよい。ここで、Mは1以上の自然数である。この場合には、M個のノズル列のそれぞれにおいて複数のノズル118は、ノズルピッチHXPのM倍の長さのピッチで並ぶ。さらに、Mが2以上の自然数の場合には、M個のノズル列のうちの一つに対して、他の(M−1)個のノズル列は、ノズルピッチHXPのi倍の長さだけ重複無くX軸方向にずれている。ここで、iは1から(M−1)までの自然数である。
さて、本実施形態では、ノズル列116Aおよびノズル列116Bのそれぞれが90個のノズル118からなるため、1つの液滴吐出ヘッド114は180個のノズル118を有する。ただし、ノズル列116Aの両端のそれぞれ5ノズルは「休止ノズル」として設定されている。同様に、ノズル列116Bの両端のそれぞれ5ノズルも「休止ノズル」として設定されている。そして、これら20個の「休止ノズル」からはカラーフィルター用インク2が吐出されない。このため、液滴吐出ヘッド114における180個のノズル118のうち、160個のノズル118がカラーフィルター用インク2を吐出するノズルとして機能する。
図4に示すように、液滴吐出手段103においては、複数個の上記液滴吐出ヘッド114がX軸方向に沿って2列に配置されている。一方の列の液滴吐出ヘッド114と他方の列の液滴吐出ヘッド114とは、休止ノズル分を考慮して、Y軸方向から見て一部重なるように配置されている。これにより、液滴吐出手段103においては、基板11のX軸方向の寸法分の長さに渡り、カラーフィルター用インク2を吐出するノズル118が前記ノズルピッチHXPでX軸方向に連続するように構成されている。
本実施形態の液滴吐出手段103では、基板11のX軸方向の寸法分の長さ全体をカバーするように液滴吐出ヘッド114を配置しているが、本発明における液滴吐出手段は、基板11のX軸方向の寸法分の長さの一部をカバーするようにものでもよい。
図に示すように、それぞれの液滴吐出ヘッド114は、インクジェットヘッドである。より具体的には、それぞれの液滴吐出ヘッド114は、振動板126と、ノズルプレート128とを備えている。振動板126と、ノズルプレート128との間には、タンク101から孔131を介して供給されるカラーフィルター用インク2が常に充填される液たまり129が位置している。
また、振動板126と、ノズルプレート128との間には、複数の隔壁122が位置している。そして、振動板126と、ノズルプレート128と、1対の隔壁122とによって囲まれた部分がキャビティ120である。キャビティ120はノズル118に対応して設けられているため、キャビティ120の数とノズル118の数とは同じである。キャビティ120には、1対の隔壁122間に位置する供給口130を介して、液たまり129からカラーフィルター用インク2が供給される。
振動板126上には、それぞれのキャビティ120に対応して、振動子124が位置する。振動子124は、ピエゾ素子124Cと、ピエゾ素子124Cを挟む1対の電極124A、124Bとを含む。この1対の電極124A、124Bとの間に駆動電圧を与えることで、対応するノズル118からカラーフィルター用インク2が吐出される。なお、ノズル118からZ軸方向にカラーフィルター用インク2が吐出されるように、ノズル118の形状が調整されている。
また、ノズルプレート128は、ステンレスで構成された基材と、基材を覆うようにして設けられ主としてシリカ化合物で構成されたシリカ膜と、シリカ膜を覆うようにして設けられ、フルオロアルキル化合物を含む撥液膜とによって構成されている。
また、シリカ膜は、撥液膜とステンレスの基材とを密着させる機能を有するとともに、ステンレスの基材を保護する機能を有する。
制御手段112(図3参照)は、複数の振動子124のそれぞれに互いに独立に信号を与えるように構成されていてもよい。つまり、ノズル118から吐出されるカラーフィルター用インク2の体積が、制御手段112からの信号に応じてノズル118毎に制御されてもよい。また、制御手段112は、塗布走査の間に吐出動作を行うノズル118と、吐出動作を行わないノズル118とを設定することでもできる。
本明細書では、1つのノズル118と、ノズル118に対応するキャビティ120と、キャビティ120に対応する振動子124とを含んだ部分を「吐出部127」と表記することもある。この表記によれば、1つの液滴吐出ヘッド114は、ノズル118の数と同じ数の吐出部127を有する。
上記のような液滴吐出装置100を用いて、カラーフィルター1が有する複数色の着色部12に対応するカラーフィルター用インク2を、セル14内に付与する。上記のような装置を用いることにより、セル14内に、効率よくかつ選択的にカラーフィルター用インク2を付与することができる。また、上述したように、カラーフィルター用インク2は、優れた吐出安定性を有しており、長期間、液滴吐出を行った場合であっても、飛行曲がりや、液滴の吐出量が不安定化する等の問題が極めて発生しにくいものである。したがって、異なる色の着色部を形成するのに用いられる複数種のインクが混ざり合って(混色して)しまったり、本来同一の着色濃度であることが求められる複数個の着色部の間での着色濃度のばらつきが発生する等の問題を確実に防止することができる。なお、図示の構成では、液滴吐出装置100は、カラーフィルター用インク2を保持するタンク101、チューブ110等を1色分しか有していないが、これらの部材を、カラーフィルター1が有する複数色の着色部12に対応する複数色分有するものであってもよい。また、カラーフィルター1の製造においては、複数色のカラーフィルター用インク2に対応する複数の液滴吐出装置100を用いてもよい。
なお、本発明では、液滴吐出ヘッド114は、駆動素子として、ピエゾ素子の代わりに静電アクチュエータを用いるものでもよい。また、液滴吐出ヘッド114は、駆動素子として電気熱変換素子を用い、この電気熱変換素子による材料の熱膨張を利用してカラーフィルター用インクを吐出する構成であってもよい。
<着色部形成工程(硬化工程)>
次に、セル14内のカラーフィルター用インク2から分散媒を除去し、硬化性樹脂材料を硬化させることにより固形状の着色部12とする(1e)。これにより、カラーフィルター1が得られる。
本工程は、通常、加熱により行う。本工程を加熱により行うことにより、形成される着色部12の基板11に対する密着性を特に優れたものとすることができる。また、形成される着色部12内に分散媒が残存することを確実に防止することができる。その結果、カラーフィルター1の耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター1の生産性も向上する。
本工程での加熱温度(加熱された基板11の温度)は、特に限定されないが、100〜280℃であるのが好ましく、110〜250℃であるのがより好ましい。これにより、着色部12の構成材料の不本意な劣化・分解等を防止しつつ、樹脂材料の硬化反応を効率よく進行させ、さらに、カラーフィルター用インク2から好適に分散媒を除去できる。
また、本工程での加熱時間は、特に限定されないが、30〜190分であることが好ましく、40〜130分であることがより好ましい。
また、本工程は、温度の異なる複数の加熱処理を行ってもよい。具体的には、本工程において、比較的低温で基板11の加熱を行う第1の加熱処理と、第1の加熱処理よりも高い温度で基板11の加熱を行う第2の加熱処理とを施してもよい。
これにより、本工程において、比較的低温で基板11の加熱を行う第1の加熱処理と、第1の加熱処理よりも高い温度で基板11の加熱を行う第2の加熱処理とを施すことにより、着色部12の表面の平坦性をより高いものとすることができる。また、着色部12の構成材料の不本意な劣化・分解等を防止し、カラーフィルター1の生産性を向上させ、さらに、形成される着色部12に分散媒が残存すること等を効果的に防止することができる。
このような場合、第1の加熱処理にて比較的低温で基板11を加熱することにより、カラーフィルター用インク2の対流を防止しつつ、穏やかに分散媒を除去することができる。また、本処理において溶剤が十分に揮発した後にも、本発明のカラーフィルター用インクには重合体W、Zが含まれているため、カラーフィルター用インク2は流動性を有している。このため、溶剤の揮発量が少なくなりカラーフィルター用インク2の対流が抑制された状態において、カラーフィルター用インク2の表面はレベリング剤によって平坦な状態が保持されている。また、比較的低温で加熱することにより、不本意な樹脂材料の硬化反応を防止することができる。
また、第2の加熱処理では、第1の加熱処理では除去できなかった液性媒体を完全に除去することができる。また、本工程では、第1の加熱処理において表面が平坦な状態となったカラーフィルター用インク2を、樹脂材料(硬化性樹脂材料)を反応させて、効率よくその形状で硬化させることができる。
上記のように、本工程において第1の加熱処理および第2の加熱処理を施す場合、第1の加熱処理での処理温度(加熱された基板11の温度)は、特に限定されないが、30〜100℃であるのが好ましく、40〜80℃であるのがより好ましい。これにより、基板11やカラーフィルター用インク2の対流を確実に防止しつつ、カラーフィルター用インク2から好適に液性媒体を除去できる。
また、第1の加熱処理の時間は、特に限定されないが、3〜50分であることが好ましく、5〜40分であることがより好ましい。
また、第2の加熱処理での処理温度(加熱された基板11の温度)は、特に限定されないが、120〜280℃であるのが好ましく、150〜250℃であるのがより好ましい。これにより、第1の加熱処理では除去できなかった液性媒体を十分に除去することができる。また、本工程では、第1の加熱処理において表面が平坦な状態となったカラーフィルター用インク2を、樹脂材料(硬化性樹脂材料)を反応させて、効率よくその形状で硬化させることができる。
また、第2の加熱処理の時間は、特に限定されないが、25〜150分であることが好ましく、30〜100分であることがより好ましい。
また、本工程においては、例えば、活性エネルギー線の照射や、カラーフィルター用インク2が付与された基板11を減圧環境下に置く等の処理を行ってもよい。
活性エネルギー線を照射することにより、樹脂材料の硬化反応を効率よく進行させたり、加熱温度を比較的低いものとした場合であっても、樹脂材料の硬化反応を確実に進行させることができ、基板11等への悪影響の発生がより確実に防止される等の効果が得られる。活性エネルギー線としては、種々の波長の光線、例えば、紫外線、X線、g線、i線、エキシマレーザー等を使用することができる。
また、カラーフィルター用インク2が付与された基板11を減圧環境下に置く(減圧処理を施す)ことにより、加熱温度を比較的低いものとした場合であっても、分散媒を確実に除去することができ、基板11、形成される着色部12等への悪影響の発生がより確実に防止される。また、加熱処理および減圧処理を併用することにより、より効率よく着色部を形成することができる。
《画像表示装置》
次に、カラーフィルター1を有する画像表示装置(電気光学装置)である液晶表示装置の好適な実施形態について説明する。
図7は、液晶表示装置の好適な実施形態を示す断面図である。同図に示すように、液晶表示装置60は、カラーフィルター1と、カラーフィルター1の着色部12が設けられた面側に配された基板(対向基板)66と、カラーフィルター1と基板66との間の空隙に封入された液晶よりなる液晶層62と、カラーフィルター1の基板11の液晶層62に対向する面とは反対の面側(図7中下側)に設けられた偏光板67と、基板66の液晶層62に対向する面とは反対の面側(図7中上側)に設けられた偏光板68とを有している。そして、カラーフィルター1の着色部12および隔壁13が設けられた面(着色部12および隔壁13の基板11に対向する面とは反対の面)には、共通電極61が設けられており、基板(対向基板)66の液晶層62、カラーフィルター1に対向する面には、カラーフィルター1の各着色部12に対応する位置に、マトリクス状に、画素電極65が配されている。さらに、共通電極61と液晶層62との間には配向膜64が設けられ、基板66(画素電極65)と液晶層62との間には配向膜63が設けられている。
基板66は、可視光に対して光透過性を有する基板であり、例えば、ガラス基板である。
共通電極61、画素電極65は、可視光に対して光透過性を有する材料で構成されたものであり、例えば、ITO等で構成されている。
また、図中省略しているが、各画素電極65に対応するように、複数のスイッチング素子(例えば、TFT:薄膜トランジスタ)が設けられている。そして、各着色部12に対応する各画素電極65について、共通電極61との間での電圧の印加状態を制御することにより、各着色部12(各画素電極65)に対応する領域での、光の透過性を制御することができる。
液晶表示装置60では、図示しないバックライトから発せられた光が、偏光板68側(図7中上側)から入射するようになっている。そして、液晶層62を透過し、カラーフィルター1の各着色部12(12A、12B、12C)に入射した光は、各着色部12(12A、12B、12C)に対応する色の光として、偏光板67(図7中下側)から出射する。
《電子機器》
前述したようなカラーフィルター1を有する液晶表示装置等の画像表示装置(電気光学装置)1000は、各種電子機器の表示部に用いることができる。
図8は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピュータ1100においては、表示ユニット1106が画像表示装置1000を備えている。
図9は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206とともに、画像表示装置1000を表示部に備えている。
図10は、本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、画像表示装置1000が表示部に設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、被写体を電子画像として表示するファインダとして機能する。
ケースの内部には、回路基板1308が設置されている。この回路基板1308は、撮像信号を格納(記憶)し得るメモリが設置されている。
また、ケース1302の正面側(図示の構成では裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッタボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1308のメモリに転送・格納される。
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示のように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニタ1430が、データ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピュータ1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、回路基板1308のメモリに格納された撮像信号が、テレビモニタ1430や、パーソナルコンピュータ1440に出力される構成になっている。
なお、本発明の電子機器は、上述したパーソナルコンピュータ(モバイル型パーソナルコンピュータ)、携帯電話機、ディジタルスチルカメラの他にも、例えば、テレビ(例えば、液晶テレビ)や、ビデオカメラ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、タッチパネルを備えた機器(例えば金融機関のキャッシュディスペンサー、自動券売機)、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電表示装置、超音波診断装置、内視鏡用表示装置)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ、その他各種モニタ類、プロジェクター等の投射型表示装置等に適用することができる。中でも、テレビは、近年の表示部の大型化の傾向が顕著であるが、このような大型の表示部(例えば、対角線長80cm以上の表示部)を有する電子機器では、従来のカラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターを適用した場合、色むら、濃度むら等の問題を特に生じ易かったが、本発明を適用すれば、このような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、上記のような大型の表示部を有する電子機器に適用した場合に、本発明の効果は、より顕著に発揮される。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、前述した実施形態においては、各色の着色部に対応するカラーフィルター用インクを、セル内に付与した後に、一括で、セル内の各色のカラーフィルター用インクから分散媒を除去し、樹脂材料を硬化させるもの、すなわち、着色部形成工程(硬化工程)を1回のみ行うものとして説明したが、インク付与工程および着色部形成工程は、各色に対応して、繰り返し行うものであってもよい。
また、カラーフィルター、画像表示装置、電子機器を構成する各部は、同様の機能を発揮する任意のものと置換、または、その他の構成を追加することもできる。例えば、本発明のカラーフィルターにおいては、着色部の基板に対向する面とは反対の面側に、着色部を被覆する保護膜が設けられていてもよい。これにより、着色部の損傷や劣化等をより効果的に防止することができる。
また、本発明のカラーフィルター用インクは、いかなる方法で製造されたものであってもよく、上述したような方法により製造されたものでなくてもよい。
また、前述した実施形態では、カラーフィルター用インクセットが、光の三原色に対応する3種(3色)のカラーフィルター用インクを備える場合について中心的に説明したが、カラーフィルター用インクセットを構成するカラーフィルター用インクの数、種類(色)は、上述したものに限定されない。例えば、本発明においてカラーフィルター用インクセットは、4種以上のカラーフィルター用インクを備えるものであってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
[1]重合体の合成(重合体溶液の調製)
(合成例1)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ)に、溶媒としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA):180重量部を入れて、85℃に加熱した。続いて、該フラスコ内に、上記式(1)で表される単量体成分(化合物)w1:188重量部、上記式(2)で表される単量体成分(化合物)w2:34重量部、上記式(3)で表される単量体成分(化合物)w3:74重量部、上記式(4)で表される単量体成分(化合物)w4:74重量部、ラジカル開始剤としてのアゾビスジメチルバレロニトリル:64重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:386重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて5時間かけて滴下し、さらに3時間熟成させた。その後、室温まで冷却して、溶剤中に溶解しており、単量体成分w1、w2、w3、w4を含み上記式(17)で表される重合体Wとしての重合体W1を得た。
(合成例2〜8)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類および各成分の比率を変更することにより、重合体を構成する単量体成分の比率を表1に示すように変更した以外は、前記合成例1と同様の操作を行った。その結果、溶剤中に溶解した7種の重合体(重合体W2〜W8)が得られた。
(合成例9〜12)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類および各成分の比率を変更することにより、重合体を構成する単量体成分の比率を表1に示すように変更した以外は、前記合成例1と同様の操作を行った。その結果、溶剤中に溶解した4種の重合体(重合体W’1〜W’4)が得られた。
(合成例13)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ)に、溶媒としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA):246重量部を入れて、80℃に加熱した。続いて、該フラスコ内に、上記式(5)で表される単量体成分(化合物)z1:273重量部、上記式(6)で表される単量体成分(化合物)z2:36重量部、上記式(7)で表される単量体成分(化合物)z3:41重量部、ラジカル開始剤としての:39重量部をメトキシブチルアセテート:360重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて5時間かけて滴下し、さらに3時間熟成させた。
その後、フラスコ内にグリシジルメタクリレート:26重量部、メトキノン:2重量部を加え、110℃で10時間反応させた。その後、室温まで冷却して、溶剤中に溶解しており、単量体成分z1、z2、z3を含み上記式(18)で表される重合体Zとしての重合体Z1を得た。
(合成例14〜18)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類および各成分の比率を変更することにより、重合体を構成する単量体成分の比率を表1に示すように変更した以外は、前記合成例13と同様の操作を行った。その結果、溶剤中に溶解した5種の重合体(重合体Z2〜Z6)が得られた。
(合成例19、20)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類および各成分の比率を変更することにより、重合体を構成する単量体成分の比率を表1に示すように変更した以外は、前記合成例13と同様の操作を行った。その結果、溶剤中に溶解した2種の重合体(重合体Z’1、Z’2)が得られた。
(合成例21)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ)に、溶媒としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA):314重量部を入れて、90℃に加熱した。続いて、ラジカル開始剤としての2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):20重量部、および、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(溶媒):30重量部を加えた後、該フラスコ内に、上記式(8)で表される単量体成分(化合物)x1:180重量部、上記式(9)で表される単量体成分(化合物)x2:90重量部、上記式(10)で表される単量体成分(化合物)x3:15重量部、上記式(11)で表される単量体成分(化合物)x4:15重量部、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):50重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:200重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて5時間かけて滴下し、さらに4時間熟成させた。その後、室温まで冷却して、溶剤中に溶解しており、単量体成分x1、x2、x3、x4を含み上記式(19)で表される重合体Xとしての重合体X1を得た。
(合成例22〜25)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類および各成分の比率を変更することにより、重合体を構成する単量体成分の比率を表1に示すように変更した以外は、前記合成例21と同様の操作を行った。その結果、溶剤中に溶解した4種の重合体(重合体X2〜X5)が得られた。
(合成例26)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ)に、溶媒としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA):314重量部を入れて、90℃に加熱した。続いて、ラジカル開始剤としての2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):20重量部、および、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(溶媒):30重量部を加えた後、該フラスコ内に、上記式(12)で表される単量体成分(化合物)y1:200重量部、上記式(13)で表される単量体成分(化合物)y2:100重量部、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):50重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:200重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて5時間かけて滴下し、さらに4時間熟成させた。その後、室温まで冷却して、溶剤中に溶解しており、単量体成分y1、y2を含み上記式(20)で表される重合体Yとしての重合体Y1を得た。
(合成例27〜30)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類および各成分の比率を変更することにより、重合体を構成する単量体成分の比率を表1に示すように変更した以外は、前記合成例26と同様の操作を行った。その結果、溶剤中に溶解した4種の重合体(重合体Y2〜Y5)が得られた。
合成例1〜30での重合体の合成に用いた材料の種類、使用量(合成例1〜30で合成した重合体の組成)を表1にまとめて示した。なお、表中、「S」は溶媒(溶剤)のことを意味し、特に、「S1」はジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)のことを示し、「S2」は1,3−ブチレングリコールジアセテート(1,3−BGDA)のことを示し、「S3」は2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテートのことを示し、「S4」はビス(2−ブトキシエチル)エーテルのことを示し、「S5」は3−エトキシプロピオン酸エチルのことを示す。また、表中には、各重合体の重量平均分子量Mwをあわせて示した。なお、上記のようにして合成した重合体は、いずれも、分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が1〜3の範囲内であった。
Figure 2010107813
[2]カラーフィルター用インク(インクセット)の調製
(実施例1)
酸価分散剤としてのディスパービック111と、アミン価分散剤としてのディスパービック166と、重合体W1と、溶剤(液性媒体)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)とを、内容量400ccの攪拌機(一軸ミキサー)に投入し、ディスパーミルで10分間攪拌を行うことにより、分散樹脂溶液を得た(分散樹脂溶液調整工程)。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。
次に、以下に述べるようにして、分散樹脂溶液調整工程で得られた分散樹脂溶液に、顔料を添加し、無機ビーズを多段で添加して微分散処理を行う微分散工程を施した。
まず、得られた分散樹脂溶液に、顔料を添加し、10分間攪拌を行った。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。また、顔料としては、C.I.ピグメントレッド177と上記式(14)で表される顔料誘導体との混合物と、C.I.ピグメントレッド254と上記式(15)で表される顔料誘導体との混合物と、上記式(16)で示される化学構造を有するスルホン化顔料誘導体の粉末とを用いた。また、このとき、分散樹脂溶液と顔料との混合物中における顔料の含有率が16wt%となるように、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)で希釈した。
次に、平均粒径0.8mmの無機ビーズ(第1の無機ビーズ、ジルコニア製、「Toray ceram 粉砕ボール」(商品名)、東レ株式会社製)を添加して、室温下、30分間攪拌し1段目の分散処理(第1の処理)を行った。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。
次に、フィルター(「PALL HDCII Membrane Filter」、PALL社製)を用いたろ過により、無機ビーズ(第1の無機ビーズ)を除去し、その後、平均粒径0.1mmの無機ビーズ(第2の無機ビーズ、ジルコニア製、「Toray ceram 粉砕ボール」(商品名)、東レ株式会社製)を添加し、更に30分間攪拌し第2段目の分散処理(第2の処理)を行った。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。また、このとき、得られる顔料分散体中における顔料の含有率が13wt%となるように、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)で希釈した。
その後、フィルター(「PALL HDCII Membrane Filter」(商品名)、PALL社製)を用いたろ過により、無機ビーズ(第2の無機ビーズ)を除去し、顔料分散体を得た。
次に、上記のようにして得られた顔料分散体に、重合体X1と、重合体Y1と、ポリエチレングリコール#300(重量平均分子量:300)と、アクリル系レベリング剤(LHP−95、楠本化成(株)製、SP値:8.78)とを加え、混合した(樹脂材料混合工程)。本工程は、上記の各材料を内容量400ccの攪拌機(一軸ミキサー)に投入し、ディスパーミルで10分間攪拌することにより行った。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。これにより、目的とする赤色のカラーフィルター用インク(Rインク)を得た。得られたRインクの顔料の含有率は、7.3wt%であった。
また、顔料の種類、各成分の使用量を変更した以外は、前記赤色のカラーフィルター用インクと同様にして、緑色のカラーフィルター用インク(Gインク)、青色のカラーフィルター用インク(Bインク)を調製した。これにより、R、G、Bの3色のインクからなるインクセットが得られた。Rインクを構成する顔料の平均粒径、Gインクを構成する顔料の平均粒径、Bインクを構成する顔料の平均粒径は、それぞれ、70nm、70nm、70nmであった。また、Gインクの顔料としては、C.I.ピグメントグリーン58、上記式(16)で示される化学構造を有するスルホン化顔料誘導体の粉末を用い、最終的なGインク中の顔料の含有率を10.1wt%とした。また、Bインクの顔料としては、C.I.ピグメントブルー15:6を用い、最終的なBインク中の顔料の含有率を4.9wt%とした。
(実施例2〜10)
カラーフィルター用インクの材料の種類・含有量を表2に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてカラーフィルター用インク(インクセット)を調製した。
(実施例11〜20)
カラーフィルター用インクの材料の種類・含有量を表3に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてカラーフィルター用インク(インクセット)を調製した。
(実施例21〜30)
カラーフィルター用インクの材料の種類・含有量を表4に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてカラーフィルター用インク(インクセット)を調製した。
(実施例31〜40)
カラーフィルター用インクの材料の種類・含有量を表5に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてカラーフィルター用インク(インクセット)を調製した。
(実施例41〜43)
カラーフィルター用インクの材料の種類・含有量を表6に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてカラーフィルター用インク(インクセット)を調製した。
(比較例1〜6)
カラーフィルター用インクの材料の種類・含有量を表6に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてカラーフィルター用インク(インクセット)を調製した。
前記各実施例および各比較例でのカラーフィルター用インクの構成成分の種類、含有量等を表3、表4にまとめて示した。なお、表中、C.I.ピグメントレッド177を「PR177」、C.I.ピグメントレッド254を「PR254」、C.I.ピグメントレッド177と式(14)で表される顔料誘導体との混合物「PR177D」、C.I.ピグメントレッド254と式(15)で表される顔料誘導体との混合物「PR254D」、式(16)で表される顔料誘導体で構成された粉末を「SPD」、C.I.ピグメントグリーン58を「PG58」、C.I.ピグメントグリーン36を「PG36」、C.I.ピグメントブルー15:6を「PB15:6」、C.I.ピグメントイエロー150を「PY150」、ディスパービック111(酸価:50KOHmg/g)を「DA1」、ディスパービック2095(酸価:13KOHmg/g)を「DA2」、ディスパービック9075(アミン価:12KOHmg/g)を「DA3」、ディスパービック166(アミン価:115KOHmg/g)を「DA4」、ポリエチレングリコール#300(平均重量分子量:300、粘度:70mPa・s)を「PEG1」、ポリエチレングリコール#400(平均重量分子量:400、粘度:90mPa・s)を「PEG2」、ポリエチレングリコール#200(平均重量分子量:200、粘度:50mPa・s)を「PEG3」、ポリエチレングリコール#600(平均重量分子量:600、粘度:135mPa・s)を「PEG4」、ポリプロピレングリコール#400(分子量:400、粘度:70mPa・s、単量体成分:1,2−プロピレングリコール)を「PPG1」、ポリプロピレングリコール#1000(平均重量分子量:1000、粘度:150mPa・s、単量体成分:1,2−プロピレングリコール)を「PPG2」、ポリプロピレングリコール#2000(平均重量分子量:2000、粘度:310mPa・s、単量体成分:1,2−プロピレングリコール)を「PPG3」、アクリル系レベリング剤としての、LHP−95(楠本化成(株)製)を「LHP95」、LF−1983(楠本化成(株)製)を「LF1983」、230(楠本化成(株)製)を「230」、1970(楠本化成(株)製)を「1970」、LF−1982(楠本化成(株)製)を「LF1982」、LF−1984(楠本化成(株)製)を「LF1984」、LF−1980(楠本化成(株)製)を「LF1980」、LF−1985(楠本化成(株)製)を「LF1985」、ビニルエーテル系レベリング剤としての、LHP−90(楠本化成(株)製)をLHP90、LHP−91(楠本化成(株)製)をLHP91、シリコーン系レベリング剤としての、BYK−307(ビックケミー・ジャパン社製)を「BYK307」、BYK−300(ビックケミー・ジャパン社製)を「BYK300」、BYK−302(ビックケミー・ジャパン社製)を「BYK302」、BYK−306(ビックケミー・ジャパン社製)を「BYK306」、BYK−330(ビックケミー・ジャパン社製)を「BYK330」、BYK−331(ビックケミー・ジャパン社製)を「BYK331」、BYK−344(ビックケミー・ジャパン社製)を「BYK344」、BYK−silclean3700(ビックケミー・ジャパン社製)を「BYK3700」、KP−321(信越化学工業社製)を「KP321」、KP−324(信越化学工業社製)を「KP324」、フッ素−ケイ素系レベリング剤としての、メガファックF−444(大日本インキ化学工業社製)を「F444」、メガファックF−443(大日本インキ化学工業社製)を「F443」、メガファックF−445(大日本インキ化学工業社製)を「F445」、メガファックF−470(大日本インキ化学工業社製)を「F470」、メガファックF−471(大日本インキ化学工業社製)を「F471」、メガファックF−474(大日本インキ化学工業社製)を「F474」、メガファックF−477(大日本インキ化学工業社製)を「F477」、アセチレングリコール系レベリング剤としての、オルフィンSPC(日信化学工業社製)を「SPC」、ACRYDIC A−188(樹脂材料A、硬化性でないアクリル樹脂、DIC株式会社製)を「A」で示した。なお、分散剤の酸価は、DIN EN ISO 2114に準拠する方法により求め、アミン価は、DIN 16945に準拠する方法により求めた。
なお、各実施例および各比較例で用いた、C.I.ピグメントレッド177と式(14)で表される顔料誘導体との混合物中における式(14)で表される顔料誘導体の含有率は、いずれも、0.1〜10wt%であった。また、前記実施例および比較例で用いた、C.I.ピグメントレッド254と式(15)で表される顔料誘導体との混合物中における式(15)で表される顔料誘導体の含有率は、いずれも、0.1〜10wt%であった。
Figure 2010107813
Figure 2010107813
Figure 2010107813
Figure 2010107813
Figure 2010107813
[3]カラーフィルター用インクの評価
[3.1]カラーフィルター用インクの液滴吐出の安定性評価(安定吐出性評価)
前記各実施例および各比較例で得られたカラーフィルター用インクセットを用いて、下記に示すような試験による評価を行った。
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図3〜図6に示すような液滴吐出装置および前記各実施例および各比較例のインクを用意し、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、25℃、55%RHの環境下で、各インクについて、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、100000発(100000滴)の液滴の連続吐出を行った。液滴吐出ヘッドの左右両端の指定の2つのノズルについて、吐出された液滴の総重量を求め、上記2つのノズルから吐出された液滴の平均吐出量の差の絶対値ΔW[ng]を求めた。このΔWの、液滴の目標吐出量W[ng]に対する比率(ΔW/W)を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。ΔW/Wの値が小さいほど、液滴吐出量の安定性に優れていると言える。
A:ΔW/Wの値が、0.020未満。
B:ΔW/Wの値が、0.020以上0.200未満。
C:ΔW/Wの値が、0.200以上0.500未満。
D:ΔW/Wの値が、0.500以上0.750未満。
E:ΔW/Wの値が、0.750以上。
[3.2]粘度、チキソ指数の測定
各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクについて、E型粘度計を用い、カラーフィルター用インクを25℃とした後、回転数:6rpm、60rpmの条件でのE型粘度(η[mPa・s]、η60[mPa・s])を測定した。また、得られたE型粘度からカラーフィルター用インクのチキソ指数TA(η/η60)を求めた。
[4]カラーフィルターの製造
前記各実施例および各比較例で得られたカラーフィルター用インクセットを用いて、以下のようにして、カラーフィルターを製造した。
まず、両面にナトリウムイオンの溶出を防止するシリカ(SiO)膜が形成されたソーダガラス製の基板(G5サイズ:1100×1300mm)を用意し、洗浄処理を施した。
次に、カーボンブラックを含む隔壁形成用の感放射線性組成物を、洗浄済の基板の一方の面の全体に付与し、塗膜を形成した。
次に、加熱温度:110℃、加熱時間:120秒という条件でプリベーク処理を行った。
その後、フォトマスクを介して、放射線を照射して、ポストエキスポジャーベーク処理(PEB)を行い、引き続き、アルカリ現像液を用いた現像処理を行い、さらに、ポストベーク処理を行うことにより、隔壁を形成した。PEBは、加熱温度:110℃、加熱時間:120秒、放射線照射強度:150mJ/cmという条件で行った。また、現像処理は、例えば、振動浸漬法により行った。現像処理時間は、60秒とした。また、ポストベーク処理は、加熱温度:150℃、加熱時間:5分という条件で行った。形成された隔壁の厚さは、2.1μmであった。
次に、図3〜図6に示すような液滴吐出装置を用いて、隔壁で囲まれた領域としてのセル内に、カラーフィルター用インクを吐出した。この際、3色のカラーフィルター用インクを用い、各色のカラーフィルター用インクが混色しないようにした。各セル内には、形成される着色部の平均厚さが2.0μmとなるような量のカラーフィルター用インクを付与した。
その後、ホットプレート上にて60℃で30分間の加熱処理を施し、さらに200℃のオーブン内で1時間加熱処理を施すことにより、3色の着色部が形成された。これにより、図1に示すようなカラーフィルターが得られた。
上記のような方法を用いて、各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて、それぞれ、5000枚のカラーフィルターを製造した。
[5]カラーフィルターの評価
上記のようにして得られた各カラーフィルターを用いて、以下のような評価を行った。
[5.1]着色部の平坦性評価
各実施例および各比較例のカラーフィルターについて、表面粗さ測定機(KLA−Tencor社製、商品名:P−15)を用いて各着色部の最大の高さTmax[μm]と最小の高さTmin[μm]とを測定し、Tmin/Tmaxについて、下記の5段階の基準に従い、評価した。なお、Tmin/Tmaxは、各カラーフィルターの色ごとに求めたものであり、各色について無作為に100個の着色部を選んで測定した最大の高さと最小の高さとの比を平均して求めた。
A:0.82≦Tmin/Tmax≦1.00
B:0.76≦Tmin/Tmax<0.82
C:0.71≦Tmin/Tmax<0.76
D:0.67≦Tmin/Tmax<0.71
E:Tmin/Tmax<0.67
[5.2]色むら、濃度むら
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、5000枚目に製造されたカラーフィルターを用いて、同条件で図7に示すような液晶表示装置を製造した。
これらの液晶表示装置を用いて、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示、白色の単色表示を行った状態で目視による観察を行い、各部位での色むら、濃度むらの発生状況を、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:色むら、濃度むらが全く認められない。
B:色むら、濃度むらがほとんど認められない。
C:色むら、濃度むらがわずかに認められる。
D:色むら、濃度むらがはっきりと認められる。
E:色むら、濃度むらが顕著に認められる。
[5.3]コントラスト比の評価
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて、着色部が単色(赤、緑、または青)および、着色部が3色(赤、緑、青)のカラーフィルターを製造し、それぞれ、6000枚目に製造されたカラーフィルターを用いて、同条件で図7に示すような液晶表示装置を製造した。このように、前記各実施例および各比較例における、赤色単色のカラーフィルター、緑色単色のカラーフィルター、青色単色のカラーフィルター、3色(赤色、緑色、青色)のカラーフィルターをそれぞれ備える液晶表示装置を用意し、全色表示(画素有効領域全体での画像表示)を行い、光度計(PHOTO RESEARCH社製、PR−800)を用いて、色表示を行っていない場合と比較してのコントラスト比(CR)を求め、下記のようにして評価を行った。
赤色の単色表示の場合、以下の3段階の基準に従い、評価した。
A:CRが4300以上。
B:CRが2200以上4300未満。
C:CRが2200未満。
緑色の単色表示の場合、以下の3段階の基準に従い、評価した。
A:CRが5400以上。
B:CRが3600以上5400未満。
C:CRが3600未満。
青色の単色表示の場合、以下の3段階の基準に従い、評価した。
A:CRが4600以上。
B:CRが3100以上4600未満。
C:CRが3100未満。
3色(赤、緑、青)の全色表示の場合、以下の3段階の基準に従い、評価した。
A:CRが15000以上。
B:CRが9000以上15000未満。
C:CRが9000未満。
[5.4]明度の評価
[5.2]で製造した前記各実施例および各比較例の液晶表示装置について、下記に示すような評価を行った。液晶表示装置について、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示を行い、色度計(ミノルタ社製、CM−3700d、光源としてC光源使用)を用いて、xyY表色法による三刺激値を求め、赤色光、緑色光、青色光の3色のY値の平均を白色光の明度Yとして、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:明度Yが29.0以上。
B:明度Yが28.3以上29.0未満。
C:明度Yが27.7以上28.3未満。
D:明度Yが27.0以上27.7未満。
E:明度Yが27.0未満。
[5.5]耐久性の評価
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、21〜30枚目に製造されたカラーフィルターを用いて、同条件で図7に示すような液晶表示装置を製造した。
[5.2]で製造した前記各実施例および各比較例の液晶表示装置について、下記に示すような評価を行った。液晶表示装置を用いて、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示を行い、コントラストテスター(壺坂電機社製、CT−1)を用いて、淡色表示を行っていない場合と比較してのコントラスト比(CR)を求めた。
次に、上記の液晶表示装置からカラーフィルターを取り外した。
取り外した各カラーフィルターを、20℃の環境下に1.5時間、次いで、70℃の環境下に2.5時間、次いで、20℃の環境下に1.5時間、次いで、−25℃の環境下に2.5時間静置した。その後、再び、環境温度を20℃に戻し、これを1サイクル(8時間)とし、このサイクルを合計30回繰り返した(合計240時間)。
その後、これらのカラーフィルターを用いて、再び、図7に示すような液晶表示装置を組み立てた。
これらの液晶表示装置を用いて、液晶表示装置を用いて、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示を行い、コントラストテスター(壺坂電機社製、CT−1)を用いて、淡色表示を行っていない場合と比較してのコントラスト比(CR’)を求め、コントラスト比の低下率((1−CR’/CR)×100%)について、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:コントラスト比の低下率が3%未満。
B:コントラスト比の低下率が3%以上、5%未満。
C:コントラスト比の低下率が5%以上、8%未満。
D:コントラスト比の低下率が8%以上、10%未満。
E:コントラスト比の低下率が10%以上。
なお、上記の各評価においては、各カラーフィルターについて、同様の条件で観察、測定を行った。
これらの結果を、表7〜11に示す。
Figure 2010107813
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Figure 2010107813
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表7〜11から明らかなように、本発明では、製造されるカラーフィルターの着色部が平坦なものであり、明度、コントラスト比に優れていた。また、製造されたカラーフィルターは、色むら、濃度むら、光漏れの発生が抑制されていた。これに対し、各比較例では、満足な結果が得られなかった。
また、市販の液晶テレビを分解し、液晶表示装置部分を、上記のようにして製造したものと交換して、上記と同様の評価を行ったところ、上記と同様な結果が得られた。
本発明のカラーフィルターの好適な実施形態を示す断面図である。 カラーフィルターの製造方法を示す断面図である。 カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置を示す斜視図である。 図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出手段をステージ側から観察した図である。 図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドの底面を示す図である。 図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドを示す図であり、(a)は断面斜視図、(b)は断面図である。 液晶表示装置の実施形態を示す断面図である。 本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。 本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。 本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。
符号の説明
1…カラーフィルター 11…基板 12…着色部 12A…第1の着色部 12B…第2の着色部 12C…第3の着色部 13…隔壁 14…セル 2…カラーフィルター用インク 3…塗膜 60…液晶表示装置 61…共通電極 62…液晶層 63、64…配向膜 65…画素電極 66…基板(対向基板) 67、68…偏光板 100…液滴吐出装置 101…タンク 102…吐出走査部 103…液滴吐出手段 104…第1位置制御装置 105…キャリッジ 106…ステージ 108…第2位置制御装置 110…チューブ 112…制御手段 114…液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド) 116A、116B…ノズル列 118…ノズル 120…キャビティ 122…隔壁 124…振動子 124A、124B…電極 124C…ピエゾ素子 126…振動板 127…吐出部 128…ノズルプレート 129…液たまり 130…供給口 131…孔 1000…画像表示装置 1100…パーソナルコンピュータ 1102…キーボード 1104…本体部 1106…表示ユニット 1200…携帯電話機 1202…操作ボタン 1204…受話口 1206…送話口 1300…ディジタルスチルカメラ 1302…ケース(ボディー) 1304…受光ユニット 1306…シャッタボタン 1308…回路基板 1312…ビデオ信号出力端子 1314…データ通信用の入出力端子 1430…テレビモニタ 1440…パーソナルコンピュータ

Claims (15)

  1. インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるカラーフィルター用インクであって、
    着色剤と、硬化性樹脂材料と、液性媒体と、レベリング剤とを含み、
    前記硬化性樹脂材料は、下記式(1)で表される単量体成分w1と下記式(2)で表される単量体成分w2と下記式(3)で表される単量体成分w3と下記式(4)で表される単量体成分w4とを含む重合体W、下記式(5)で表される単量体成分z1と下記式(6)で表される単量体成分z2と下記式(7)で表される単量体成分z3とを含む重合体Zのうちの少なくとも一方を含むことを特徴とするカラーフィルター用インク。
    Figure 2010107813
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    Figure 2010107813
    Figure 2010107813
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    Figure 2010107813
    Figure 2010107813
  2. 前記硬化性樹脂材料は前記重合体Wを含むものであり、
    前記重合体Wを構成する全成分に占める前記単量体成分w1の含有率が、25〜75wt%であり、
    前記重合体Wを構成する全成分に占める前記単量体成分w2の含有率が、2〜25wt%であり、
    前記重合体Wを構成する全成分に占める前記単量体成分w3の含有率が、5〜50wt%であり、
    前記重合体Wを構成する全成分に占める前記単量体成分w4の含有率が、3〜40wt%である請求項1に記載のカラーフィルター用インク。
  3. 前記硬化性樹脂材料は前記重合体Zを含むものであり、
    前記重合体Zを構成する全成分に占める前記単量体成分z1の含有率が、50〜95wt%であり、
    前記重合体Zを構成する全成分に占める前記単量体成分z2の含有率が、3〜35wt%であり、
    前記重合体Zを構成する全成分に占める前記単量体成分z3の含有率が、3〜35wt%である請求項1または2に記載のカラーフィルター用インク。
  4. 前記硬化性樹脂材料は、さらに、下記式(8)で表される単量体成分x1と下記式(9)で表される単量体成分x2と下記式(10)で表される単量体成分x3と下記式(11)で表される単量体成分x4とを含む重合体Xを含むものである請求項1ないし3のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
    Figure 2010107813
    Figure 2010107813
    Figure 2010107813
    Figure 2010107813
  5. 前記硬化性樹脂材料は、さらに、下記式(12)で表される単量体成分y1と下記式(13)で表される単量体成分y2とを含む重合体Yを含むものである請求項1ないし4のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
    Figure 2010107813
    Figure 2010107813
  6. 前記重合体Wの重量平均分子量は、5000〜50000である請求項1ないし5のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
  7. 前記重合体Zの重量平均分子量は、5000〜50000である請求項1ないし6のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
  8. 前記レベリング剤は、アクリル系レベリング剤を含む請求項1ないし7のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
  9. 前記レベリング剤は、ビニルエーテル系レベリング剤を含む請求項1ないし8のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
  10. 前記レベリング剤は、シリコーン系レベリング剤を含む請求項1ないし9のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
  11. 前記レベリング剤は、フッ素−ケイ素系レベリング剤を含む請求項1ないし10のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
  12. カラーフィルター用インクは、C.I.ピグメントグリーン58を含むものである請求項1ないし11のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
  13. 請求項1ないし12のいずれかに記載のカラーフィルター用インクを用いて製造されたことを特徴とするカラーフィルター。
  14. 請求項13に記載のカラーフィルターを備えたことを特徴とする画像表示装置。
  15. 請求項14に記載の画像表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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