JP2010079230A - カラーフィルター用インク、カラーフィルター用インクの製造方法、カラーフィルター用インクセット、カラーフィルター、画像表示装置、および、電子機器 - Google Patents

カラーフィルター用インク、カラーフィルター用インクの製造方法、カラーフィルター用インクセット、カラーフィルター、画像表示装置、および、電子機器 Download PDF

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JP2010079230A JP2008252667A JP2008252667A JP2010079230A JP 2010079230 A JP2010079230 A JP 2010079230A JP 2008252667 A JP2008252667 A JP 2008252667A JP 2008252667 A JP2008252667 A JP 2008252667A JP 2010079230 A JP2010079230 A JP 2010079230A
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filter ink
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Masaya Shibatani
正也 柴谷
Hidekazu Moriyama
英和 森山
Hiroshi Takiguchi
宏志 瀧口
Mitsuhiro Isobe
光宏 磯部
Homare Kuribayashi
誉 栗林
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Abstract

【課題】顔料の分散安定性に優れ、長期間にわたって優れた吐出安定性を保持することが
でき、各部位での色むら、濃度むらが抑制され、コントラスト比に優れた画像を表示する
ことができ、個体間での特性の均一性に優れ、かつ、耐久性にも優れたカラーフィルター
の製造に好適に用いることができるカラーフィルター用インクを提供すること。
【解決手段】本発明のカラーフィルター用インクは、インクジェット方式によるカラーフ
ィルターの製造に用いられるものであり、顔料と、樹脂材料と、前記顔料が分散する分散
媒とを含み、前記樹脂材料が、式(10)で表される重合体Yと、式(11)で表される
重合体Wとを含むものである。
Figure 2010079230

Figure 2010079230

【選択図】なし

Description

本発明は、カラーフィルター用インク、カラーフィルター用インクの製造方法、カラー
フィルター用インクセット、カラーフィルター、画像表示装置、および、電子機器に関す
るものである。
カラー表示を行う液晶表示装置(LCD)等には、一般に、カラーフィルターが用いら
れている。
カラーフィルターは、従来、着色剤、感光性樹脂、官能性モノマー、重合開始剤等を含
む材料(着色層形成用組成物)で構成された塗膜を基板上に形成し、その後、フォトマス
クを介して光を照射する感光処理、現像処理等を行う、いわゆるフォトリソグラフィー法
を用いて製造されてきた。このような方法では、通常、基板のほぼ全面に、各色に対応す
る塗膜を形成し、その一部のみを硬化させ、それ以外の大部分を除去するという操作を繰
り返すことにより、各色が重なり合わないようにカラーフィルターを製造する。このため
、カラーフィルターの製造において形成される塗膜は、最終的に得られるカラーフィルタ
ーには、その一部のみが着色層として残存するのみで、その大部分が製造工程において除
去されることとなる。このため、カラーフィルターの製造コストが上昇するばかりでなく
、省資源の観点からも好ましくない。
一方、近年、インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)を用いて、カラーフィルターの
着色層を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような方法は
、着色層形成用の材料(着色層形成用組成物)の液滴の吐出位置等の制御が容易で、着色
層形成用組成物の無駄を少なくすることができるため、環境への負荷を低減することがで
き、また、製造コストも抑制することができる。
しかしながら、インクジェットヘッドを用いたカラーフィルターの製造方法では、長期
間にわたって液滴吐出を行ったりすると、液滴の吐出量が不安定化したり、吐出された液
滴の軌道が変化し(いわゆる、飛行曲がりが発生し)、目的に部位に液滴を着弾させるこ
とができなくなる等の問題を生じることがあった。このような問題を生じると、本来同一
の着色濃度であることが求められる複数個の着色部の間での着色濃度のばらつきが発生し
てしまったり、液滴を着弾させるべき基板上等において、異なる色の着色部を形成するの
に用いられる複数種のインクが混ざり合って(混色して)しまい、結果として、カラーフ
ィルターの各部位での色むら、濃度むら等が発生してしまったり、多数のカラーフィルタ
ー間での特性(特に、コントラスト比、色再現域等の色特性)にばらつきを生じ、カラー
フィルターの信頼性は低いものとなってしまう。特に、このような問題は、着色層形成用
の材料として、顔料を含むものを用いた場合に、顕著に発生していた。また、カラーフィ
ルターの製造に用いる液滴吐出装置(産業用)は、プリンターに適用されるもの(民生用
)とは全く異なるものであり、例えば、大量生産を行ったり、大型のワーク(基板)への
液滴吐出に用いたりするため、大量の液滴を長時間にわたって吐出することが求められる
。このような過酷な条件で用いられるため、本来、民生用のものに比べて、液滴の吐出量
の変動が生じ易いが、このような吐出量の変動が生じると、製造される多数のカラーフィ
ルター間での特性のばらつきや、カラーフィルターの各部位での着色濃度のばらつきを生
じてしまい、製品としてのカラーフィルターの信頼性を著しく低下させてしまう。
また、カラーフィルターにおいて、より広い色再現域、高コントラスト比を確保するた
めに、近年、カラーフィルター用のインクとして、着色剤の含有率の高いものを用いる傾
向があるが、着色剤(特に顔料)の含有率の高いほど、上記のような問題は、より顕著な
ものとなる。
ところで、一般に、顔料は、染料に比べて、耐光性、耐熱性等の特性に優れているため
、カラーフィルター用インクには、着色剤として顔料が用いられている。しかしながら、
着色剤として顔料を用いた場合、上記のような問題の発生が、より顕著なものとなる。ま
た、着色剤として顔料を用いた場合、製造されるカラーフィルターを用いて表示される画
像のコントラストを十分に優れたものとするのが困難であるといった問題が顕著であり、
インクジェット方式により多数のカラーフィルターを製造した場合に、製造されるカラー
フィルターのコントラスト特性の低下が顕著であった。
また、近年、カラー表示を行う液晶表示装置(LCD)等においては、更なる高画質化
を目指し、表示画像の輝度を高くする傾向がある。このような高輝度化に伴い、カラーフ
ィルターには、耐久性の向上も求められている。
特開2002−372613号公報
本発明の目的は、顔料の分散安定性に優れ、長期間にわたって優れた吐出安定性を保持
することができ、各部位での色むら、濃度むらが抑制され、コントラスト比に優れた画像
を表示することができ、個体間での特性の均一性に優れ、かつ、耐久性にも優れたカラー
フィルターの製造に好適に用いることができる、インクジェット方式のカラーフィルター
用インク、インクセットを提供すること、上記のようなカラーフィルター用インクを効率
よく製造することができる製造方法を提供すること、顔料を含み、各部位での色むら、濃
度むらが抑制され、コントラスト比に優れた画像を表示することができ、個体間での特性
の均一性に優れ、かつ、耐久性にも優れたカラーフィルターを提供すること、また、該カ
ラーフィルターを備えた画像表示装置、電子機器を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のカラーフィルター用インクは、インクジェット方式によるカラーフィルターの
製造に用いられるカラーフィルター用インクであって、
顔料と、樹脂材料と、前記顔料が分散する分散媒とを含み、
前記樹脂材料が、下記式(1)で表される単量体成分y1と下記式(2)で表される単
量体成分y2とを含む重合体Yと、下記式(3)で表される単量体成分w1と下記式(4
)で表される単量体成分w2と下記式(5)で表される単量体成分w3と下記式(6)で
表される単量体成分w4とを含む重合体Wとを含むものであることを特徴とする。
Figure 2010079230
Figure 2010079230
Figure 2010079230
Figure 2010079230
Figure 2010079230
Figure 2010079230
これにより、顔料の分散安定性に優れ、長期間にわたって優れた吐出安定性を保持する
ことができ、各部位での色むら、濃度むらが抑制され、コントラスト比に優れた画像を表
示することができ、個体間での特性の均一性に優れ、かつ、耐久性にも優れたカラーフィ
ルターの製造に好適に用いることができる、インクジェット方式のカラーフィルター用イ
ンクを提供することができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記重合体Yを構成する全成分に占める前記
単量体成分y1の含有率が、30〜90wt%であり、
前記重合体Yを構成する全成分に占める前記単量体成分y2の含有率が、10〜70w
t%であることが好ましい。
これにより、カラーフィルター用インクの経時的安定性(長期保存性)とともに、高温
での反応性を、特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクを
用いて形成される着色部(着色層)を平坦性の高いものとすることができ、カラーフィル
ターを用いて表示される画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができ
る。また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部(着色層)の耐溶剤性を
特に優れたものとすることができ、製造されるカラーフィルターの信頼性を特に高いもの
とすることができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記重合体Wを構成する全成分に占める前記
単量体成分w1の含有率が、25〜75wt%であり、
前記重合体Wを構成する全成分に占める前記単量体成分w2の含有率が、2〜25wt
%であり、
前記重合体Wを構成する全成分に占める前記単量体成分w3の含有率が、5〜50wt
%であり、
前記重合体Wを構成する全成分に占める前記単量体成分w4の含有率が、3〜40wt
%であることが好ましい。
これにより、樹脂材料についての、所定温度以下では実質的に硬化反応を進行させず、
それ以上の温度で効率よく硬化反応を進行させることができる特性(スイッチング特性)
、カラーフィルター用インクの吐出安定性、形成される着色部の硬度等を特に優れたもの
とすることができるとともに、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性を
特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクを用いて形成され
る着色部の表面に不本意な凹凸が生じてしまうのをより効果的に防止することができ、カ
ラーフィルターを用いて表示される画像における色むら、濃度むらの発生やコントラスト
比の低下をより効果的に防止することができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、カラーフィルター用インク中における前記重
合体Yの含有率をC[wt%]、カラーフィルター用インク中における前記重合体Wの
含有率をC[wt%]としたとき、0.3≦C/C≦9.0の関係を満足すること
が好ましい。
これにより、カラーフィルター用インクの経時的安定性(長期保存性)、高温での反応
性、および、製造されるカラーフィルターの耐久性、信頼性を、いずれをも、特に優れた
ものとすることができるとともに、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラー
フィルターにおける色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記重合体Yの重量平均分子量が1000〜
50000であることが好ましい。
これにより、カラーフィルター用インクの経時的安定性(長期保存性)、カラーフィル
ター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィル
ターの生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラーフィルター用インクを用いて形成
される着色部の平坦性をより確実に高いものとすることができ、カラーフィルターを用い
て表示される画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記重合体Wの重量平均分子量が5000〜
50000であることが好ましい。
これにより、カラーフィルター用インクの経時的安定性(長期保存性)、カラーフィル
ター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィル
ターの生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラーフィルター用インクを用いて形成
される着色部の平坦性をより確実に高いものとすることができ、カラーフィルターを用い
て表示される画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記分散媒として、1,3−ブチレングリコ
ールジアセテート、ビス(2−ブトキシエチル)エーテル、2−(2−メトキシ−1−メ
チルエトキシ)−1−メチルエチルアセテートおよびジエチレングリコールモノブチルエ
ーテルアセテートよりなる群から選択される1種または2種以上を含むことが好ましいの

これにより、カラーフィルター用インク中における重合体Y、重合体Wを溶解状態をよ
り均一なものとすることができ、カラーフィルター用インクの吐出安定性が特に優れたも
のとなる。また、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れ
たものとすることができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記顔料として、C.I.ピグメントレッド
254、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.
ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメント
イエロー138、C.I.ピグメントイエロー150およびこれらの誘導体よりなる群か
ら選択される1種または2種以上を含むことが好ましい。
これにより、重合体Y、重合体Wを用いることによる効果がより顕著に発揮される。ま
た、製造されるカラーフィルターの色再現範囲、耐光性を特に優れたものとすることがで
きる。
本発明のカラーフィルター用インクの製造方法は、下記式(3)で表される単量体成分
w1と下記式(4)で表される単量体成分w2と下記式(5)で表される単量体成分w3
と下記式(6)で表される単量体成分w4とを含む重合体Wが溶剤に溶解した重合体W溶
液を調製する重合体W溶液調製工程と、
前記重合体W溶液に顔料を添加し、無機ビーズを多段で添加して微分散処理を行い、顔
料分散体を得る微分散工程と、
前記顔料分散体と、下記式(1)で表される単量体成分y1と下記式(2)で表される
単量体成分y2とを含む重合体Yとを混合する重合体Y混合工程とを有することを特徴と
する。
Figure 2010079230
Figure 2010079230
Figure 2010079230
Figure 2010079230
Figure 2010079230
Figure 2010079230
これにより、顔料の分散安定性に優れ、長期間にわたって優れた吐出安定性を保持する
ことができ、各部位での色むら、濃度むらが抑制され、コントラスト比に優れた画像を表
示することができ、個体間での特性の均一性に優れ、かつ、耐久性にも優れたカラーフィ
ルターの製造に好適に用いることができる、インクジェット方式のカラーフィルター用イ
ンクを効率よく製造することができる製造方法、特に、樹脂材料の劣化、変性を効果的に
防止しつつ、効率よくカラーフィルター用インクを製造することができる製造方法を提供
することができる。
本発明のカラーフィルター用インクセットは、カラーフィルターの製造に用いられるイ
ンクを複数種備えたカラーフィルター用インクセットであって、
カラーフィルター用インクセットを構成する複数種の前記インクのうち少なくとも1種
が、本発明のカラーフィルター用インクであることを特徴とする。
これにより、顔料の分散安定性に優れ、長期間にわたって優れた吐出安定性を保持する
ことができ、各部位での色むら、濃度むらが抑制され、コントラスト比に優れた画像を表
示することができ、個体間での特性の均一性に優れ、かつ、耐久性にも優れたカラーフィ
ルターの製造に好適に用いることができる、インクジェット方式のカラーフィルター用イ
ンクセットを提供することができる。
本発明のカラーフィルターは、本発明のカラーフィルター用インクを用いて製造された
ことを特徴とする。
これにより、顔料を含み、各部位での色むら、濃度むら等が抑制され、コントラスト比
に優れた画像を表示することができ、個体間での特性の均一性に優れ、かつ、耐久性にも
優れたカラーフィルターを提供することができる。
本発明のカラーフィルターは、本発明のカラーフィルター用インクセットを用いて製造
されたことを特徴とする。
これにより、顔料を含み、各部位での色むら、濃度むら等が抑制され、コントラスト比
に優れた画像を表示することができ、個体間での特性の均一性に優れ、かつ、耐久性にも
優れたカラーフィルターを提供することができる。
本発明の画像表示装置は、本発明のカラーフィルターを備えたことを特徴とする。
これにより、表示部の各部位での色むら、濃度むら等が抑制され、コントラスト比に優
れた画像を表示することができ、個体間での特性の均一性に優れ、かつ、耐久性にも優れ
た画像表示装置を提供することができる。
本発明の画像表示装置は、液晶パネルであることが好ましい。
これにより、表示部の各部位での色むら、濃度むら等が抑制され、コントラスト比に優
れた画像を表示することができ、個体間での特性の均一性に優れ、かつ、耐久性にも優れ
た画像表示装置を提供することができる。
本発明の電子機器は、本発明の画像表示装置を備えたことを特徴とする。
これにより、表示部の各部位での色むら、濃度むら等が抑制され、コントラスト比に優
れた画像を表示することができ、個体間での特性の均一性に優れ、かつ、耐久性にも優れ
た電子機器を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
《カラーフィルター用インク》
本発明のカラーフィルター用インクは、カラーフィルターの製造(カラーフィルターの
着色部の形成)に用いられるインクであり、特に、インクジェット方式によるカラーフィ
ルターの製造に用いられるものである。
カラーフィルター用インクは、顔料、樹脂材料、前記顔料が分散する分散媒等を含むも
のである。
<顔料>
カラーフィルターは、通常、異なる複数色の着色部(一般に、RGBに対応する3色の
着色部)を有しており、着色部は、一般に、着色剤を含む材料で構成される。着色剤とし
ては、顔料や染料を用いることができるが、中でも、顔料は、形成されるカラーフィルタ
ー(着色部)の耐光性、耐熱性を向上させる上で有利である。このため、本発明では、着
色剤として、顔料を用いる。なお、従来においては、カラーフィルター用インクが顔料を
含むものである場合、液滴の吐出安定性が特に低いものとなる、カラーフィルター用イン
ク中において顔料を長期間にわたって安定的に分散させておくのが困難であり、コントラ
スト等に優れたカラーフィルターを長期間にわたって安定的に製造するのが困難である、
液滴吐出に供するカラーフィルター用インクの交換、液滴吐出装置内におけるカラーフィ
ルター用インクの置換を、頻繁に行う必要がありカラーフィルターの生産性を十分に高め
ることが困難である、カラーフィルター用インクの交換、置換に伴い、製造されるカラー
フィルターのロット間での特性差が生じ易い等の問題を有していたが、本発明では、後に
詳述するように、上記のような問題の発生を確実に防止することができる。
顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,
9,10,11,12,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30
,31,32,37,38,40,41,42,48:1,48:2,48:3,48:
4,49:1,49:2,50:1,52:1,53:1,57,57:1,57:2,
58:2,58:4,60:1,63:1,63:2,64:1,81,81:1,83
,88,90:1,97,101,102,104,105,106,108,108:
1,112,113,114,122,123,144,146,149,150,15
1,166,168,170,171,172,174,175,176,177,17
8,179,180,185,187,188,190,193,194,202,20
6,207,208,209,215,216,220,224,226,242,24
3,245,254,255,264,265;C.I.ピグメントグリーン7,36,
15,17,18,19,26,50,58;C.I.ピグメントブルー1,15,15
:1,15:2,15:3,15:4,15:6,17:1,18,60,27,28,
29,35,36,60,80;C.I.ピグメントイエロー1,3,12,13,14
,15,16,17,20,24,31,34,35,35:1,37,37:1,42
,43,53,55,60,61,65,71,73,74,81,83,93,94,
95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113
,114,116,117,119,120,126,127,128,129,138
,139,150,151,152,153,154,155,156,157,166
,168,175,180,184,185;C.I.ピグメントバイオレット1,3,
14,16,19,23,29,32,36,38,50;C.I.ピグメントオレンジ
1,5,13,14,16,17,20,20:1,24,34,36,38,40,4
3,46,49,51,61,63,64,71,73,104;C.I.ピグメントブ
ラウン7,11,23,25,33;C.I.ピグメントブラック1,7や、これらの誘
導体等が挙げられる。
カラーフィルター用インクは、上記の顔料の中でも、C.I.ピグメントレッド254
、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメ
ントブルー15:6、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントイエロ
ー138、C.I.ピグメントイエロー150およびこれらの誘導体よりなる群から選択
される1種または2種以上を含むものであるのが好ましい。これにより、重合体Y、重合
体Wを用いることによる効果がより顕著に発揮される。また、製造されるカラーフィルタ
ーの色再現範囲、耐光性を特に優れたものとすることができる。
特に、カラーフィルター用インクが、顔料(赤色顔料)として、C.I.ピグメントレ
ッド177とその誘導体、および/または、C.I.ピグメントレッド254とその誘導
体を含むものであると、当該カラーフィルター用インク(赤色のカラーフィルター用イン
ク)の発色性を特に優れたものとすることができる。また、樹脂材料と併用することによ
る効果がより顕著に発揮され、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定
性を優れたものとすることができる。この結果、着色部形成時におけるカラーフィルター
用インクのチキソトロピック性の上昇を抑制することができるとともに、セルへのインク
付与時においては、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすること
ができる。
C.I.ピグメントレッド177の誘導体、C.I.ピグメントレッド254の誘導体
として、下記式(7)または下記式(8)で示される化合物(誘導体)を含有するもので
ある場合、上述したような効果がさらに顕著に発揮される。
Figure 2010079230
Figure 2010079230
また、特に、カラーフィルター用インクが、顔料(緑色顔料)として、C.I.ピグメ
ントグリーン58(臭素化亜鉛フタロシアニン顔料)を含むものであると、当該カラーフ
ィルター用インク(緑色のカラーフィルター用インク)の発色性を特に優れたものとする
ことができる。また、C.I.ピグメントグリーン58は、明度に優れるという特徴を有
しているものの、従来においては、安定的に分散させるのが極めて困難な材料であった。
しかしながら、本発明者は、C.I.ピグメントグリーン58を含む場合であっても、
後に詳述する樹脂材料(重合体Y、重合体W)をともに用いることにより、カラーフィル
ター用インク中における分散安定性を優れたものとすることができることを見出した。こ
れにより、カラーフィルター用インクの発色性をさらに優れたものとすることができると
ともに、着色部形成時において、顔料が高濃度化することによるカラーフィルター用イン
クのチキソトロピック性の上昇を抑制することができる。また、カラーフィルター用イン
ク中における顔料の長期分散安定性(カラーフィルター用インクの保存性)、カラーフィ
ルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
また、本発明者は、C.I.ピグメントグリーン58を含む場合であっても、スルホン
化された顔料誘導体を副顔料として同時に含むことにより、カラーフィルター用インク中
における分散安定性をさらに優れたものとすることができることを見出した。これにより
、カラーフィルター用インクの発色性をさらに優れたものとすることができるとともに、
着色部形成時において、顔料が高濃度化することによるカラーフィルター用インクのチキ
ソトロピック性の上昇をさらに効果的に抑制することができる。また、カラーフィルター
用インク中における顔料の長期分散安定性(カラーフィルター用インクの保存性)、カラ
ーフィルター用インクの吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。
顔料として、C.I.ピグメントグリーン58とスルホン化された顔料誘導体とを含む
場合、スルホン化された顔料誘導体として、下記式(9)で示される化合物(誘導体)を
含有するのが好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分
散安定性を特に優れたものとすることができるとともに、製造されるカラーフィルターに
おいて、より優れたコントラストの画像を表示することができる。
Figure 2010079230
C.I.ピグメントグリーン58と上記のような顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)
とを含む場合、カラーフィルター用インク中における顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体
)の含有率は、特に限定されないが、C.I.ピグメントグリーン58(主顔料):10
0重量部に対して、2〜32重量部であるのが好ましく、7〜28重量部であるのがより
好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を優
れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターのコントラスト比、明
度を特に優れたものとすることができる。
また、特に、カラーフィルター用インクが、顔料(青色顔料)として、C.I.ピグメ
ントブルー15:6およびC.I.ピグメントバイオレット23を含むものであると、当
該カラーフィルター用インク(青色のカラーフィルター用インク)の発色性を特に優れた
ものとすることができる。また、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安
定性を特に優れたものとすることができる。
また、顔料の平均粒径は、10〜200nmであるのが好ましく、20〜180nmで
あるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安
定性や、カラーフィルターインクの吐出安定性を十分に優れたものとしつつ、カラーフィ
ルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターの耐久性(耐光性等)を十分に優れ
たものとし、カラーフィルターにおける発色性、コントラスト等を特に優れたものとする
ことができる。
カラーフィルター用インク中における顔料の含有率は、2〜25wt%であるのが好ま
しく、3〜20wt%であるのがより好ましい。顔料の含有率が前記範囲内の値であると
、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターにおいて、より高い色
濃度を確保することができ、より鮮明な画像表示に用いることができる。また、従来にお
いては、このように比較的高濃度で顔料を含む場合には、吐出安定性が特に低いものとな
り、カラーフィルター用インクの液滴を吐出する際に、飛行曲がりや液滴吐出量の不安定
化等の問題が特に発生し易かった。また、従来においては、特に、大型基板(例えば、G
5以上)上に液滴吐出をして着色部を形成する場合に、面内の各部位での吐出量ばらつき
による不良品の発生が顕著となり、カラーフィルターの生産性が著しく低下するという問
題があった。これに対し、本発明では、比較的高濃度で顔料を含む場合であっても、後に
詳述するように、上記のような問題の発生を確実に防止することができ、製造されるカラ
ーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等や、個体間での特性のばらつきの発生を確
実に防止することができ、優れた生産性で、カラーフィルターを製造することができる。
すなわち、カラーフィルター用インクが、上記のように比較的高濃度の顔料を含む場合、
本発明の効果がより顕著に発揮される。また、製造されるカラーフィルターの耐久性を特
に優れたものとすることができる。
<樹脂材料>
カラーフィルター用インクは、一般に、形成される着色部の基板に対する密着性を向上
させる等の目的で、樹脂材料(バインダー樹脂)を含んでいる。また、インクジェット法
によるインク付与工程の後工程での、薬品塗布や洗浄による悪影響を防止するため、樹脂
材料には、耐溶剤性が要求される。しかしながら、従来のカラーフィルター用インクでは
、カラーフィルター(着色部)の耐久性を十分に優れたものとすることが困難であった。
また、従来のカラーフィルター用インクでは、顔料を長期間にわたって安定的に分散させ
ておくのが困難であり、インクジェット法により、長期間にわたって液滴吐出を行ったり
すると、液滴の吐出量が不安定化したり、吐出された液滴の軌道が変化し(いわゆる、飛
行曲がりが発生し)、目的に部位に液滴を着弾させることができなくなる等の問題を生じ
ることがあった。このような問題を生じると、本来同一の着色濃度であることが求められ
る複数個の着色部の間での着色濃度のばらつきが発生してしまったり、液滴を着弾させる
べき基板上等において、異なる色の着色部を形成するのに用いられる複数種のインクが混
ざり合って(混色して)しまい、結果として、カラーフィルターの各部位での色むら、濃
度むら等が発生してしまったり、多数のカラーフィルター間での特性(特に、コントラス
ト比、色再現域等の色特性)にばらつきを生じ、カラーフィルターの信頼性は低いものと
なってしまう。
また、従来のカラーフィルター用インクでは、顔料を長期間にわたって安定的に分散さ
せておくのが困難であるため、液滴吐出に供するカラーフィルター用インクの交換、液滴
吐出装置内におけるカラーフィルター用インクの置換を、頻繁に行う必要がありカラーフ
ィルターの生産性を十分に高めることが困難であり、また、カラーフィルター用インクの
交換、置換に伴い、製造されるカラーフィルターのロット間での特性差が生じ易い。
また、インクジェット法によるカラーフィルターの製造では、一般に、基板上に設けら
れたセル内に液滴吐出を行った後に、分散媒を除去し、カラーフィルター用インクを固化
させることによって行われるが、分散媒の除去による固形分濃度の上昇に伴ってカラーフ
ィルター用インクのチキソトロピック性および粘度が上昇し、形成される着色部の表面に
不本意な凹凸が生じ、これにより、カラーフィルターを用いて表示される画像に色むら、
濃度むら等が生じたり、コントラスト比を低下させるという問題があった。このような傾
向は、樹脂材料に対して顔料の含有率が高い場合により顕著に現れる。これは、固形分濃
度の上昇に伴い、インク中に含まれる顔料粒子が凝集することによるものであると考えら
れる。
上記のような問題を解決する目的で、本発明者は鋭意研究を行った。その結果、カラー
フィルター用インク中に、以下に詳述するような樹脂材料を含ませることにより、上記の
ような問題を解決することができることを見出した。
以下、本発明のカラーフィルター用インクを構成する樹脂材料(硬化性樹脂材料)につ
いて詳細に説明する。
本発明のカラーフィルター用インクは、樹脂材料が、下記式(1)で表される単量体成
分y1と下記式(2)で表される単量体成分y2とを含む重合体Yと、下記式(3)で表
される単量体成分w1と下記式(4)で表される単量体成分w2と下記式(5)で表され
る単量体成分w3と下記式(6)で表される単量体成分w4とを含む重合体Wとを含むも
のである。
Figure 2010079230
Figure 2010079230
Figure 2010079230
Figure 2010079230
Figure 2010079230
Figure 2010079230
[重合体Y]
重合体Yは、上記式(1)で表される単量体成分y1と上記式(2)で表される単量体
成分y2とを含むものである。重合体Yとしては、例えば、下記式(10)で表されるも
のがある。重合体Yは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の
化合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Yが複数種の化合物の混合物である場合
、各化合物が、単量体成分y1およびy2を含有するものである。
Figure 2010079230
(単量体成分y1)
重合体Yは、上記式(1)で表される単量体成分y1を単量体成分として含有してなる
ものである。
このような単量体成分y1を単量体成分として含有することにより、形成される着色部
の基板に対する密着性を特に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルタ
ーの耐久性を特に優れたものとすることができる。
また、重合体Yが単量体成分y1を含有することにより、重合体Y中における単量体成
分y2の反応性が必要以上に高くなることを防止することができる。その結果、カラーフ
ィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応
(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)におい
ては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。すなわち、単
量体成分y1を含有することにより、樹脂材料についての、所定温度以下では実質的に硬
化反応を進行させず、それ以上の温度で効率よく硬化反応を進行させることができる特性
(以下、「硬化反応のスイッチング特性」ともいう)を優れたものとすることができる。
また、単量体成分y1を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の硬
度等を優れたものとすることができる。
重合体Y中における単量体成分y1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換
算して求められる値)は、30〜90wt%であるのが好ましく、40〜80wt%であ
るのがより好ましい。重合体Y中における単量体成分y1の含有率が前記範囲内の値であ
ると、後に詳述する単量体成分y2の機能を阻害することなく、上述したような効果をよ
り顕著に発現させることができる。これに対し、重合体Y中における単量体成分y1の含
有率が前記下限値未満であると、単量体成分y1を含むことによる効果が十分に発揮され
ない可能性がある。一方、重合体Y中における単量体成分y1の含有率が前記上限値を超
えると、相対的に単量体成分y2の含有率が低下し、単量体成分y2の機能が十分に発揮
されない可能性がある。また、着色部の形成時、基板上に付与されたカラーフィルター用
インクから分散媒を除去する際に、固形分濃度の上昇に伴ってカラーフィルター用インク
の粘度が上昇する傾向が現れ、形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じ易くなる。
なお、重合体Yが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分y1の含有率の値と
しては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用す
ることができる。また、重合体Yが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合
物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分y1を含有しているのが好ましい。
(単量体成分y2)
重合体Yは、上記式(2)で表される単量体成分y2を単量体成分として含有してなる
ものである。
このような単量体成分y2を単量体成分として含有すること(特に、上述した単量体成
分y1とともに含有すること)により、カラーフィルター用インクの保存時や後述するイ
ンク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)をより確実に防止しつつ、
加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反
応)を好適に進行させることができる。特に、加熱環境下での着色部形成工程(硬化工程
)において、樹脂材料の重合反応の立ち上がりを良好なものとすることができるとともに
、後に詳述する重合体Wを、硬化反応に好適に関与させることができ、継続的に重合反応
の進行させることができる。また、単量体成分y2を単量体成分として含有することによ
り、形成される着色部の硬度等を優れたものとすることができる。
また、重合体Yが単量体成分y2を含有することにより、後に詳述する重合体Wとの親
和性、相溶性を十分に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルター用イ
ンクの吐出安定性を優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用
いて形成される着色部は、透明性に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下が防
止され)、基板に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。
これに対し、単量体成分y2を単量体成分として含有しない場合、加熱条件下での重合体
Wの反応性を十分に高めることができず、後述する重合体Wが硬化反応に十分に寄与する
ことができない。その結果、カラーフィルターの生産性が著しく低下するとともに、製造
されるカラーフィルターの信頼性は低いものとなる。また、単量体成分y2を単量体成分
として含有しないと、重合体Wとの親和性、相溶性を十分に優れたものとすることができ
ず、カラーフィルター用インクは、吐出安定性に劣ったものとなり、また、製造されるカ
ラーフィルターは、色むらや濃度むらが発生し易く、コントラストや耐久性、信頼性等に
劣ったものとなる。
重合体Y中における単量体成分y2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換
算して求められる値)は、10〜70wt%であるのが好ましく、20〜60wt%であ
るのがより好ましい。重合体Y中における単量体成分y2の含有率が前記範囲内の値であ
ると、前述した単量体成分y1の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕
著に発現させることができる。これに対し、重合体Y中における単量体成分y2の含有率
が前記下限値未満であると、単量体成分y2を含むことによる効果が十分に発揮されない
可能性がある。一方、重合体Y中における単量体成分y2の含有率が前記上限値を超える
と、相対的に単量体成分y1の含有率が低下し、単量体成分y1の機能が十分に発揮され
ない可能性がある。また、重合体Yの比較的低温での反応性が増し、カラーフィルター用
インクの保存安定性が低下する傾向が現れる。なお、重合体Yが、複数種の化合物の混合
物である場合、単量体成分y2の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平
均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Yが、複数
種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単
量体成分y2を含有しているのが好ましい。
なお、重合体Yは、上述した単量体成分y1、y2以外の単量体成分(その他の単量体
成分)を含むものであってもよい。これにより、例えば、上記のような特性を発揮しつつ
、その他の単量体分の化学構造に由来する効果も得ることができる。
重合体Yが、その他の単量体成分(単量体成分y1、y2以外の単量体成分)を含むも
のである場合、重合体Y中におけるその他の単量体成分の含有率(複数種のその他の単量
体成分を含む場合にはこれらの含有率の和)は、15wt%以下であるのが好ましく、1
0wt%以下であるのがより好ましい。
重合体Yの重量平均分子量は、1000〜50000であるのが好ましく、1200〜
10000であるのがより好ましく、1500〜5000であるのがさらに好ましい。こ
れにより、カラーフィルター用インクの経時的安定性(長期保存性)、カラーフィルター
用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルター
の生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラーフィルター用インクを用いて形成され
る着色部の平坦性をより確実に高いものとすることができ、カラーフィルターを用いて表
示される画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
また、重合体Yの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1〜3である
のが好ましい。
[重合体W]
重合体Wは、上記式(3)で表される単量体成分w1と上記式(4)で表される単量体
成分w2と上記式(5)で表される単量体成分w3と上記式(6)で表される単量体成分
w4とを含むものである。重合体Wとしては、例えば、下記式(11)で表されるものが
ある。
Figure 2010079230
このような重合体Wを含むこと(特に、前述した重合体Yとともに含むこと)により、
樹脂材料としての硬化反応のスイッチング特性、カラーフィルター用インクの吐出安定性
、形成される着色部の硬度等を優れたものとすることができるとともに、カラーフィルタ
ー用インク中における顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、重
合体Wを含むことにより、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の表面に
不本意な凹凸が生じてしまうのを効果的に防止することができ、カラーフィルターを用い
て表示される画像における色むら、濃度むらの発生やコントラスト比の低下をより効果的
に防止することができる。これは、基板上に付与されたカラーフィルター用インクから分
散媒を除去して着色部を形成する際に、顔料粒子の凝集を効果的に防止することができる
ためであると考えられる。また、重合体Wを含むことにより、後述するような製造方法を
用いてカラーフィルター用インクを製造する際に(後述する微分散工程で)、原料として
用いる顔料粒子の凝集体を容易に微粒子化(解砕)することができ、カラーフィルター用
インクの生産性を向上させることができる。また、重合体Wは、機械的な力に対して極め
て優れた安定性を有しているため、後述する微分散工程における変性、劣化が防止される
。したがって、重合体Wを用いることにより、樹脂材料の劣化等を確実に防止しつつ、顔
料の分散性に優れたカラーフィルター用インクを効率よく調製することができる。
なお、重合体Wは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化
合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Wが複数種の化合物の混合物である場合、
各化合物が、単量体成分w1、w2、w3およびw4を含有するものである。
(単量体成分w1)
重合体Wは、上記式(3)で表される単量体成分w1を単量体成分として含有してなる
ものである。
このような単量体成分w1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター
用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反
応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹
脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。すなわち、樹脂材料に
ついての硬化反応のスイッチング特性を優れたものとすることができる。また、単量体成
分w1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インク中における顔
料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの長
期保存性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、単量体成分w1は、
重合体Wにおいて、高温環境下での反応性に優れる一方で、機械的な力に対しては極めて
優れた安定性を有している。このため、顔料とともに後述する微分散工程に供された場合
であっても、本工程における重合体Wの変性、劣化が防止され、カラーフィルター用イン
クにおいて、重合体Wの機能を確実に発揮することができる。また、単量体成分w1を単
量体成分として含有することにより、形成される着色部の硬度等を優れたものとすること
ができる。
また、重合体Wが単量体成分w1を含有することにより、重合体Yと重合体Wとの親和
性、相溶性を十分に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルター用イン
クの吐出安定性を優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用い
て形成される着色部は、透明性に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下が防止
され)、基板に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。
重合体W中における単量体成分w1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換
算して求められる値)は、25〜75wt%であるのが好ましく、40〜60wt%であ
るのがより好ましい。重合体W中における単量体成分w1の含有率が前記範囲内の値であ
ると、後に詳述する単量体成分w2、w3、w4の機能を阻害することなく、上述したよ
うな効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体W中における単量体
成分w1の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分w1を含むことによる効果が十
分に発揮されない可能性がある。また、重合体W中における単量体成分w1の含有率が前
記下限値未満であると、カラーフィルター用インクの吐出安定性が低下したり、カラーフ
ィルター用インクを用いて形成される着色部の透明性が低下する可能性がある。一方、重
合体W中における単量体成分w1の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分
w2、w3、w4の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。
また、重合体W中における単量体成分w1の含有率が前記上限値を超えると、形成される
着色部が適度な柔軟性に欠け、脆いものとなり易く、着色部が設けられる基板等に変形(
例えば、熱膨張、熱収縮等)が生じた場合における着色部の追従性が低下し、基板等に対
する着色部の密着性を十分に優れたものとするのが困難になる。なお、重合体Wが、複数
種の化合物の混合物である場合、単量体成分w1の含有率の値としては、これらの化合物
についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、
重合体Wが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記の
ような含有率で単量体成分w1を含有しているのが好ましい。
(単量体成分w2)
重合体Wは、上記式(4)で表される単量体成分W2を単量体成分として含有してなる
ものである。
このような単量体成分w2を単量体成分として含有することにより、基板上へのカラー
フィルター用インクの濡れ広がりを良好なものとすることができ、気泡の混入等が確実に
防止され、基板との密着性に優れた着色部を好適に形成することができる。また、カラー
フィルター用インクが顔料に加え分散剤を含むものである場合においては、単量体成分w
2を単量体成分として含有することにより、顔料の分散安定性のみならず、分散剤の分散
安定性も特に優れたものとすることができる。その結果、顔料の分散安定性、カラーフィ
ルター用インクの長期保存性を特に優れたものとすることができる。
重合体W中における単量体成分w2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換
算して求められる値)は、2〜25wt%であるのが好ましく、5〜15wt%であるの
がより好ましい。重合体W中における単量体成分w2の含有率が前記範囲内の値であると
、前述した単量体成分w1および後に詳述する単量体成分w3、w4の機能を阻害するこ
となく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体
W中における単量体成分w2の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分w2を含む
ことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体W中における単量体成
分w2の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分w1、w3、w4の含有率
が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。また、重合体W中における
単量体成分w2の含有率が前記上限値を超えると、インクジェット法による液滴吐出の際
の、ノズルからのカラーフィルター用インクの液切れが悪くなり、吐出安定性が低下し、
色むら等の問題が発生し易くなる。なお、重合体Wが、複数種の化合物の混合物である場
合、単量体成分w2の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量
比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Wが、複数種の化合物
の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分w
2を含有しているのが好ましい。
(単量体成分w3)
重合体Wは、上記式(5)で表される単量体成分w3を単量体成分として含有してなる
ものである。
重合体Wが単量体成分w3を含有することにより、前述した重合体Yと重合体Wとの親
和性、相溶性を十分に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルター用イ
ンクの吐出安定性を優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用
いて形成される着色部は、透明性に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下が防
止され)、基板に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。
また、単量体成分w3を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の耐
薬品性、耐溶剤性等を優れたものとすることができる。これにより、着色部形成工程(硬
化工程)の後に、薬品塗布や洗浄(特に、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラク
トン、イソプロピルアルコール、塩酸、水酸化ナトリウム水溶液等を用いた洗浄)等の後
処理を行った場合であっても、これらによる悪影響の発生を確実に防止することができる
また、単量体成分w3は、重合体Wにおいて、上述した単量体成分w1等と同様に、比
較的低い温度(例えば、100℃以下)での反応性が十分に低いのに対し、着色部形成工
程(硬化工程)で施す熱処理のような加熱環境下では、十分な反応性を示すものである。
このため、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂
材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程
(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることがで
きる。
また、単量体成分w3を単量体成分として含有することにより、例えば、カラーフィル
ター用インク中における顔料粒子の分散安定性を優れたものとすることができ、カラーフ
ィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を優れたものとすることができる。
重合体W中における単量体成分w3の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換
算して求められる値)は、5〜50wt%であるのが好ましく、10〜40wt%である
のがより好ましい。重合体W中における単量体成分w3の含有率が前記範囲内の値である
と、前述した単量体成分w1、w2および後に詳述する単量体成分w4の機能を阻害する
ことなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合
体W中における単量体成分w3の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分w3を含
むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体W中における単量体
成分w3の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分w1、w2、w4の含有
率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。また、カラーフィルター
用インクを用いて形成される着色部が硬くなりすぎ、温度変化に伴う基板等の変形に対す
る追従性が低下する傾向が現れる。なお、重合体Wが、複数種の化合物の混合物である場
合、単量体成分w3の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量
比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Wが、複数種の化合物
の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分w
3を含有しているのが好ましい。
(単量体成分w4)
重合体Wは、上記式(6)で表される単量体成分w4を単量体成分として含有してなる
ものである。
重合体Wが単量体成分w4を含有することにより、着色部の形成時、基板上に付与され
たカラーフィルター用インクから分散媒を除去する際に、固形分濃度の上昇に伴ってカラ
ーフィルター用インクのチキソトロピック性および粘度が上昇し、形成される着色部の表
面に不本意な凹凸が生じることを確実に防止することができる。
また、単量体成分w4を単量体成分として含有することにより、樹脂材料全体としての
疎水性を好適に調整することができ、樹脂材料を構成する各重合体の親和性、相溶性を特
に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルター用インクの吐出安定性を
特に優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用いて形成される
着色部は、透明性に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下が防止され)、基板
に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。
重合体W中における単量体成分w4の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換
算して求められる値)は、3〜40wt%であるのが好ましく、5〜30wt%であるの
がより好ましい。重合体W中における単量体成分w4の含有率が前記範囲内の値であると
、前述した単量体成分w1、w2、w3の機能を阻害することなく、上述したような効果
をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体W中における単量体成分w4
の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分w4を含むことによる効果が十分に発揮
されない可能性がある。一方、重合体W中における単量体成分w4の含有率が前記上限値
を超えると、相対的に単量体成分w1、w2、w3の含有率が低下し、これらの機能が十
分に発揮されない可能性がある。また、重合体W中における単量体成分w4の含有率が前
記上限値を超えると、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性(長期
保存性)が低下するとともに、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の表
面の平坦性の低下を招く可能性がある。なお、重合体Wが、複数種の化合物の混合物であ
る場合、単量体成分w4の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(
重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Wが、複数種の化
合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成
分w4を含有しているのが好ましい。
なお、重合体Wは、上述した単量体成分w1、w2、w3、w4以外の単量体成分(そ
の他の単量体成分)を含むものであってもよい。これにより、例えば、上記のような特性
を発揮しつつ、その他の単量体分の化学構造に由来する効果も得ることができる。
重合体Wが、その他の単量体成分(単量体成分w1、w2、w3、w4以外の単量体成
分)を含むものである場合、重合体W中におけるその他の単量体成分の含有率(複数種の
その他の単量体成分を含む場合にはこれらの含有率の和)は、15wt%以下であるのが
好ましく、10wt%以下であるのがより好ましい。
重合体Wの重量平均分子量は、5000〜50000であるのが好ましく、6000〜
15000であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの経時的安
定性(長期保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとするこ
とができるとともに、カラーフィルターの生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラ
ーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性をより確実に高いものとするこ
とができ、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら等の発生をより効果
的に防止することができる。
また、重合体Wの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1〜3である
のが好ましい。
上述したように、本発明において、カラーフィルター用インクは、単量体成分y1およ
びy2を含む重合体Yと、単量体成分w1、w2、w3およびw4を含む重合体Wとを含
むものである点に特徴を有するものであり、これにより、上述したような優れた効果が得
られる。これに対し、重合体Y、重合体Wの少なくとも一方が欠ける場合や、重合体Yを
構成する単量体成分y1、y2のうち、1種または2種の単量体成分を用いなかった場合
、重合体Wを構成する単量体成分w1、w2、w3、w4のうち、1種または2種以上の
単量体成分を用いなかった場合には、上述したような効果が得られない。また、同様に、
重合体Yと重合体Wとを併用する代わりに、重合体Yを構成する単量体成分と、重合体W
を構成する単量体成分とを、単一分子内に含む重合体を用いた場合にも、上述したような
優れた効果は得られない。
また、カラーフィルター用インク中における重合体Yの含有率をC[wt%]、カラ
ーフィルター用インク中における重合体Wの含有率をC[wt%]としたとき、0.3
≦C/C≦9.0の関係を満足するのが好ましく、0.4≦C/C≦5.3の関
係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、カラーフィルタ
ー用インクの経時的安定性(長期保存性)、高温での反応性、および、製造されるカラー
フィルターの耐久性、信頼性を、いずれをも、特に優れたものとすることができるととも
に、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターにおける色むら等の
発生をより効果的に防止することができる。
また、カラーフィルター用インク中における重合体Yの含有率(C[wt%])と重
合体Wの含有率(C[wt%])との和は、0.5〜12wt%であるのが好ましく、
0.7〜8.5wt%であるのがより好ましい。
上述したように本発明において、樹脂材料は、重合体Yおよび重合体Wを含むものであ
るが、さらに、他の樹脂成分(重合体)を含むものであってもよい。
このような樹脂成分(重合体)としては、以下に述べるような重合体X、重合体Zが挙
げられる。
[重合体X]
重合体Xは、下記式(12)で表される単量体成分x1と下記式(13)で表される単
量体成分x2と下記式(14)で表される単量体成分x3と下記式(15)で表される単
量体成分x4とを含むものである。重合体Xとしては、例えば、下記式(16)で表され
るものがある。
Figure 2010079230
Figure 2010079230
Figure 2010079230
Figure 2010079230
Figure 2010079230
このような重合体Xを含むことにより、カラーフィルター用インクに含まれる樹脂材料
を構成する各重合体成分の親和性(樹脂材料全体としての親和性)を特に優れたものとす
ることができ、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることがで
きる。また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の透明性を非常に高い
ものとすることができる。また、重合体Xを含むことにより、形成される着色部の表面の
平坦性を特に高いものとすることができる。このようなことから、カラーフィルター用イ
ンクを用いて製造されるカラーフィルターの各部位での色むら、濃度むらの発生やコント
ラストの低下等をより確実に防止することができる。また、重合体Xを含むことにより、
樹脂材料全体としての硬化反応のスイッチング特性を十分に優れたものとしつつ、カラー
フィルター用インクを用いて形成される着色部の耐溶剤性等を特に優れたものとすること
ができる。このようなことから、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフ
ィルターの耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。
なお、重合体Xは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化
合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Xが複数種の化合物の混合物である場合、
各化合物が、単量体成分x1、x2、x3およびx4を含有するものである。
(単量体成分x1)
重合体Xは、上記式(12)で表される単量体成分x1を単量体成分として含有してな
るものである。
このような単量体成分x1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター
用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反
応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹
脂材料の硬化反応(重合反応)をより好適に進行させることができる。すなわち、単量体
成分x1を含有することにより、樹脂材料についての硬化反応のスイッチング特性を特に
優れたものとすることができる。また、単量体成分x1を単量体成分として含有すること
により、例えば、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を優れたも
のとすることができ、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を優れたもの
とすることができる。また、単量体成分x1を単量体成分として含有することにより、形
成される着色部の硬度等を優れたものとすることができる。
重合体X中における単量体成分x1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換
算して求められる値)は、30〜90wt%であるのが好ましく、40〜80wt%であ
るのがより好ましい。重合体X中における単量体成分x1の含有率が前記範囲内の値であ
ると、後に詳述する単量体成分x2、x3、x4の機能を阻害することなく、上述したよ
うな効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体X中における単量体
成分x1の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x1を含むことによる効果が十
分に発揮されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体成分x1の含有率が前
記上限値を超えると、相対的に単量体成分x2、x3、x4の含有率が低下し、これらの
機能が十分に発揮されない可能性がある。また、重合体Xの高温での反応速度が低下し、
十分に優れた生産性でカラーフィルターを製造するのが困難となる。なお、重合体Xが、
複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分x1の含有率の値としては、これらの化
合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。ま
た、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上
記のような含有率で単量体成分x1を含有しているのが好ましい。
(単量体成分x2)
重合体Xは、上記式(13)で表される単量体成分x2を単量体成分として含有してな
るものである。
このような単量体成分x2を単量体成分として含有すること(特に、上述した単量体成
分x1や後に詳述する単量体成分x3とともに含有すること)により、カラーフィルター
用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反
応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹
脂材料の硬化反応(重合反応)をより好適に進行させることができる。特に、加熱環境下
での着色部形成工程(硬化工程)において、樹脂材料の重合反応の立ち上がりをより良好
なものとすることができるとともに、継続的に重合反応の進行させることができる。また
、単量体成分x2を単量体成分として含有することにより、重合体Yと重合体Xとの親和
性、相溶性を十分に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルター用イン
クの吐出安定性を優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用い
て形成される着色部は、透明性に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下が防止
され)、基板に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。ま
た、単量体成分x2を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の硬度等
を特に優れたものとすることができる。
重合体X中における単量体成分x2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換
算して求められる値)は、5〜60wt%であるのが好ましく、10〜50wt%である
のがより好ましい。重合体X中における単量体成分x2の含有率が前記範囲内の値である
と、前述した単量体成分x1および後に詳述する単量体成分x3、x4の機能を阻害する
ことなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合
体X中における単量体成分x2の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x2を含
むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体
成分x2の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分x1、x3、x4の含有
率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。また、重合体Xの比較的
低温での反応性が増し、カラーフィルター用インクの保存安定性が低下する傾向が現れる
。なお、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分x2の含有率の値
としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用
することができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化
合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x2を含有しているのが好ましい。
(単量体成分x3)
重合体Xは、上記式(14)で表される単量体成分x3を単量体成分として含有してな
るものである。
単量体成分x3を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の耐薬品性
、耐溶剤性等を優れたものとすることができる。これにより、着色部形成工程(硬化工程
)の後に、薬品塗布や洗浄(特に、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、
イソプロピルアルコール、塩酸、水酸化ナトリウム水溶液等を用いた洗浄)等の後処理を
行った場合であっても、これらによる悪影響の発生を確実に防止することができる。
また、単量体成分x3は、重合体Xにおいて、上述した単量体成分x1と同様に、比較
的低い温度(例えば、100℃以下)での反応性が十分に低いのに対し、着色部形成工程
(硬化工程)で施す熱処理のような加熱環境下では、十分な反応性を示すものである。こ
のため、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材
料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(
硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができ
る。
また、単量体成分x3を単量体成分として含有することにより、例えば、カラーフィル
ター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができるとと
もに、重合体Wと重合体Xとの親和性、相溶性を十分に優れたものとすることができる。
その結果、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を優れたものとすること
ができ、また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部は、透明性に優れ(
樹脂材料の不透明性による光透過率の低下が防止され)、基板に対する密着性が特に優れ
、クラック等の問題が生じにくいものとなる。
重合体X中における単量体成分x3の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換
算して求められる値)は、2〜20wt%であるのが好ましく、3〜15wt%であるの
がより好ましい。重合体X中における単量体成分x3の含有率が前記範囲内の値であると
、前述した単量体成分x1、x2および後に詳述する単量体成分x4の機能を阻害するこ
となく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体
X中における単量体成分x3の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x3を含む
ことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体成
分x3の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分x1、x2、x4の含有率
が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。また、カラーフィルター用
インクを用いて形成される着色部が硬くなりすぎ、温度変化に伴う基板等の変形に対する
追従性が低下する傾向が現れる。なお、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合
、単量体成分x3の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比
に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の
混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x3
を含有しているのが好ましい。
(単量体成分x4)
重合体Xは、上記式(15)で表される単量体成分x4を単量体成分として含有してな
るものである。
このような単量体成分x4を単量体成分として含有することにより、着色部の形成時、
基板上に付与されたカラーフィルター用インクから分散媒を除去する際に、固形分濃度の
上昇に伴ってカラーフィルター用インクのチキソトロピック性および粘度が上昇し、形成
される着色部の表面に不本意な凹凸が生じることを確実に防止することができる。特に、
従来においては、着色剤として顔料を含む場合に、形成される着色部の表面に不本意な凹
凸が生じるという問題が顕著に発生していたが、本発明によれば、このような問題の発生
を確実に防止することができる。
また、単量体成分x4は、その末端に水酸基を有している。このような構造を有するこ
とにより、比較的低い温度(例えば、100℃以下)における反応性を十分に低いものと
しつつ、着色部形成工程(硬化工程)で施す熱処理のような加熱環境下における反応性を
さらに高めることができる。これにより、カラーフィルター用インクの保存時や後述する
インク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加
熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応
)をより好適に進行させることができる。
また、単量体成分x4を単量体成分として含有することにより、例えば、カラーフィル
ター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラ
ーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
重合体X中における単量体成分x4の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換
算して求められる値)は、2〜20wt%であるのが好ましく、3〜15wt%であるの
がより好ましい。重合体X中における単量体成分x4の含有率が前記範囲内の値であると
、前述した単量体成分x1、x2、x3の機能を阻害することなく、上述したような効果
をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体X中における単量体成分x4
の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x4を含むことによる効果が十分に発揮
されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体成分x4の含有率が前記上限値
を超えると、相対的に単量体成分x1、x2、x3の含有率が低下し、これらの機能が十
分に発揮されない可能性がある。また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着
色部の硬度が低下する傾向が現れる。なお、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である
場合、単量体成分x4の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重
量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Xが、複数種の化合
物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分
x4を含有しているのが好ましい。
なお、重合体Xは、上述した単量体成分x1、x2、x3、x4以外の単量体成分(そ
の他の単量体成分)を含むものであってもよい。これにより、例えば、上記のような特性
を発揮しつつ、その他の単量体分の化学構造に由来する効果も得ることができる。
重合体Xが、その他の単量体成分(単量体成分x1、x2、x3、x4以外の単量体成
分)を含むものである場合、重合体X中におけるその他の単量体成分の含有率(複数種の
その他の単量体成分を含む場合にはこれらの含有率の和)は、15wt%以下であるのが
好ましく、10wt%以下であるのがより好ましい。
重合体Xの重量平均分子量は、1000〜50000であるのが好ましく、1200〜
10000であるのがより好ましく、1500〜5000であるのがさらに好ましい。こ
れにより、カラーフィルター用インクの経時的安定性(長期保存性)、カラーフィルター
用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルター
の生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラーフィルター用インクを用いて形成され
る着色部の平坦性をより確実に高いものとすることができ、カラーフィルターを用いて表
示される画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
また、重合体Xの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1〜3である
のが好ましい。
[重合体Z]
重合体Zは、下記式(17)で表される単量体成分z1と下記式(18)で表される単
量体成分z2と下記式(19)で表される単量体成分z3とを含むものである。重合体Z
としては、例えば、下記式(20)で表されるものがある。
Figure 2010079230
Figure 2010079230
Figure 2010079230
Figure 2010079230
このような重合体Zを含むことにより、樹脂材料としての硬化反応のスイッチング特性
、カラーフィルター用インクの吐出安定性、形成される着色部の硬度等を特に優れたもの
とすることができるとともに、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性を
特に優れたものとすることができる。また、重合体Zを含むことにより、カラーフィルタ
ー用インクを用いて形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じてしまうのをより効果
的に防止することができ、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら、濃
度むらの発生やコントラスト比の低下をより効果的に防止することができる。これは、基
板上に付与されたカラーフィルター用インクから分散媒を除去して着色部を形成する際に
、顔料粒子の凝集を効果的に防止することができるためであると考えられる。また、重合
体Zを含むことにより、後述するような製造方法を用いてカラーフィルター用インクを製
造する際に(後述する微分散工程で)、原料として用いる顔料粒子の凝集体をより容易に
微粒子化(解砕)することができ、カラーフィルター用インクの生産性を向上させること
ができる。また、重合体Zは、機械的な力に対して極めて優れた安定性を有しているため
、顔料とともに後述する微分散工程に供された場合であっても、当該工程における変性、
劣化が防止される。したがって、重合体Zを用いることにより、樹脂材料の劣化等を確実
に防止しつつ、顔料の分散性に優れたカラーフィルター用インクをより効率よく調製する
ことができる。
なお、重合体Zは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化
合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Zが複数種の化合物の混合物である場合、
各化合物が、単量体成分z1、z2およびz3を含有するものである。
(単量体成分z1)
重合体Zは、上記式(17)で表される単量体成分z1を単量体成分として含有してな
るものである。
このような単量体成分z1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター
用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反
応)をより確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては
、樹脂材料の硬化反応(重合反応)をより好適に進行させることができる。すなわち、樹
脂材料についての硬化反応のスイッチング特性を特に優れたものとすることができる。ま
た、単量体成分z1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インク
中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター
用インクの長期保存性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、単量体
成分z1は、重合体Zにおいて、高温環境下での反応性に優れる一方で、機械的な力に対
しては極めて優れた安定性を有している。このため、顔料とともに後述する微分散工程に
供された場合であっても、本工程における重合体Zの変性、劣化が防止され、カラーフィ
ルター用インクにおいて、重合体Zの機能を確実に発揮することができる。また、単量体
成分z1を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の硬度等を特に優れ
たものとすることができる。
また、重合体Zが単量体成分z1を含有することにより、重合体Wと重合体Zとの親和
性、相溶性を十分に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルター用イン
クの吐出安定性を優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用い
て形成される着色部は、透明性に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下が防止
され)、基板に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。
重合体Z中における単量体成分z1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換
算して求められる値)は、50〜95wt%であるのが好ましく、60〜85wt%であ
るのがより好ましい。重合体Z中における単量体成分z1の含有率が前記範囲内の値であ
ると、後に詳述する単量体成分z2、z3の機能を阻害することなく、上述したような効
果をより顕著に発現させることができる。なお、重合体Zが、複数種の化合物の混合物で
ある場合、単量体成分z1の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値
(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Zが、複数種の
化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体
成分z1を含有しているのが好ましい。
(単量体成分z2)
重合体Zは、上記式(18)で表される単量体成分Z2を単量体成分として含有してな
るものである。
このような単量体成分z2を単量体成分として含有することにより、基板上へのカラー
フィルター用インクの濡れ広がりをより良好なものとすることができ、気泡の混入等が確
実に防止され、基板との密着性に優れた着色部をより好適に形成することができる。また
、カラーフィルター用インクが顔料に加え分散剤を含むものである場合においては、単量
体成分z2を単量体成分として含有することにより、顔料の分散安定性のみならず、分散
剤の分散安定性も特に優れたものとすることができる。その結果、顔料の分散安定性、カ
ラーフィルター用インクの長期保存性を特に優れたものとすることができる。
また、重合体Zが単量体成分z2を含有することにより、重合体Wと重合体Zとの親和
性、相溶性を十分に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルター用イン
クの吐出安定性を優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用い
て形成される着色部は、透明性に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下が防止
され)、基板に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。
重合体Z中における単量体成分z2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換
算して求められる値)は、3〜35wt%であるのが好ましく、10〜25wt%である
のがより好ましい。重合体Z中における単量体成分z2の含有率が前記範囲内の値である
と、前述した単量体成分z1および後に詳述する単量体成分z3の機能を阻害することな
く、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。なお、重合体Zが、複数
種の化合物の混合物である場合、単量体成分z2の含有率の値としては、これらの化合物
についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、
重合体Zが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記の
ような含有率で単量体成分z2を含有しているのが好ましい。
(単量体成分z3)
重合体Zは、上記式(19)で表される単量体成分z3を単量体成分として含有してな
るものである。
このような単量体成分z3は、前述した単量体成分y2、w1等と同様に、後述する着
色部形成工程(硬化工程)において、樹脂材料の硬化に寄与する成分であるが、単量体成
分y2、w1等が、形成される着色部の硬度を高いものとする機能を有しているのに対し
、単量体成分z3は、形成される着色部に適度な柔軟性を与え、着色部が設けられる基板
等に変形(例えば、熱膨張、熱収縮等)が生じた場合であっても、その変形に追従し、基
板等に対する着色部の密着性を保持させる機能を有している。これにより、例えば、製造
されるカラーフィルターが画像表示に伴う急激な温度変化に繰り返しさらされた場合にお
いても良好な密着性を保持することができ、光漏れ(白抜け、輝点)等の問題が発生する
のをより確実に防止することができる。すなわち、カラーフィルターの耐久性を特に優れ
たものとすることができる。
また、単量体成分z3は、重合体(重合体Z)中において、上述した単量体成分w1等
と同様に、比較的低い温度(例えば、100℃以下)では反応性が十分に低いのに対し、
着色部形成工程(硬化工程)で施す熱処理のような加熱環境下においては、十分な反応性
を有するものである。このため、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付
与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下
で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適
に進行させることができる。
また、単量体成分z3を単量体成分として含有することにより、着色部の形成時、基板
上に付与されたカラーフィルター用インクから分散媒を除去する際に、固形分濃度の上昇
に伴ってカラーフィルター用インクのチキソトロピック性および粘度が上昇し、形成され
る着色部の表面に不本意な凹凸が生じることを確実に防止することができる。
重合体Z中における単量体成分z3の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換
算して求められる値)は、2〜30wt%であるのが好ましく、5〜20wt%であるの
がより好ましい。重合体Z中における単量体成分z3の含有率が前記範囲内の値であると
、前述した単量体成分z1、z2の機能を阻害することなく、上述したような効果をより
顕著に発現させることができる。なお、重合体Zが、複数種の化合物の混合物である場合
、単量体成分z3の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比
に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Zが、複数種の化合物の
混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分z3
を含有しているのが好ましい。
なお、重合体Zは、上述した単量体成分z1、z2、z3以外の単量体成分(その他の
単量体成分)を含むものであってもよい。これにより、例えば、上記のような特性を発揮
しつつ、その他の単量体分の化学構造に由来する効果も得ることができる。
重合体Zが、その他の単量体成分(単量体成分z1、z2、z3以外の単量体成分)を
含むものである場合、重合体Z中におけるその他の単量体成分の含有率(複数種のその他
の単量体成分を含む場合にはこれらの含有率の和)は、15wt%以下であるのが好まし
く、10wt%以下であるのがより好ましい。
重合体Zの重量平均分子量は、5000〜50000であるのが好ましく、6000〜
15000であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの経時的安
定性(長期保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとするこ
とができるとともに、カラーフィルターの生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラ
ーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性をより確実に高いものとするこ
とができ、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら等の発生をより効果
的に防止することができる。
また、重合体Zの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1〜3である
のが好ましい。
なお、上述した各重合体は、最終的に上述したような構造(各単量体成分に対応する各
部分構造)を有していればよく、上述した各単量体成分そのものを用いて合成されたもの
であってもよいし、上述した単量体成分とは異なる成分(前駆体、誘導体等)を用いて合
成されたものであってもよい。
また、カラーフィルター用インク中における樹脂材料の含有率は、0.5〜18wt%
であるのが好ましく、1〜15wt%であるのがより好ましく、3〜10wt%であるの
がさらに好ましい。
また、カラーフィルター用インク中における樹脂材料の含有率をC[wt%]、カラ
ーフィルター用インク中における顔料の含有率をC[wt%]としたとき、0.2≦C
/C≦9.0の関係を満足するのが好ましく、0.3≦C/C≦5.0の関係を
満足するのがより好ましく、0.4≦C/C≦3.5の関係を満足するのがさらに好
ましい。このような関係を満足することにより、製造されるカラーフィルターのコントラ
スト等をより優れたものとすることができたり、着色部厚さをより薄いものとした場合で
あっても十分なコントラストを確保することができる。なお、従来のカラーフィルター用
インクでは、顔料の含有率に対する樹脂材料の含有率を低いものとした場合、形成される
着色部の表面に不本意な凹凸が生じる等の不都合を生じやすかったが、本発明では、上記
のように、顔料の含有率に対する樹脂材料の含有率を低いものとした場合であっても、形
成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じることを確実に防止することができる。すな
わち、上記のような関係を満足することにより、本発明の効果はより顕著に発揮される。
なお、カラーフィルター用インクを構成する樹脂材料は、上述した以外の重合体(例え
ば、熱可塑性の重合体や上述した重合体Y、W、X、Z以外の硬化性の重合体)を含むも
のであってもよい。
<分散媒>
分散媒は、上述したような顔料を、分散する機能を有するものである。また、このよう
な機能を有する分散媒は、カラーフィルター用インク中において、上述した樹脂材料を溶
解する溶媒としても機能する。そして、通常、分散媒は、カラーフィルターを製造する過
程において、その大部分が除去されるものである。
カラーフィルター用インクを構成する分散媒としては、例えば、エステル化合物、エー
テル化合物、ヒドロキシケトン、炭酸ジエステル、環状アミド化合物等を用いることがで
き、中でも、〔1〕多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ブチレングリコール、グリセリン等)の縮合物としてのエーテル(多価アルコールエ
ーテル)や、多価アルコールまたは多価アルコールエーテルのアルキルエーテル(例えば
、メチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル等)、エステル
(例えば、ホルメート、アセテート、プロピオネート等)、〔2〕多価カルボン酸(例え
ば、こはく酸、グルタル酸等)のエステル(例えば、メチルエステル等)、〔3〕分子内
に少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つのカルボキシル基とを有する化合物(ヒドロ
キシ酸)のエーテル、エステル等、〔4〕多価アルコールとホスゲンとの反応で得られる
ような化学構造を有する炭酸ジエステルが好ましい。分散媒として用いることのできる化
合物としては、例えば、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチル
アセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジアセ
テート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、4−メチル−1,3−ジ
オキソラン−2−オン、ビス(2−ブトキシエチル)エーテル、グルタル酸ジメチル、エ
チレングリコールジn−ブチレート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、ジエチ
レングリコールモノブチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールジメチルエー
テル、1,6−ジアセトキシヘキサン、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、
ブトキシプロパノール、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコ
ールメチルブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレ
ングリコールメチルブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテ
ート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエ
チレングリコールエチルメチルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、ジエチレング
リコールジエチルエーテル、オクタン酸エチル、エチレングリコールモノブチルエーテル
アセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸シクロヘキシル、こはく酸ジ
エチル、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、4−ヒ
ドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、こはく酸ジメチル、1−ブトキシ−2−プロパ
ノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエ
ーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−n−ブチルアセテ
ート、ジアセチン、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、ポリエチレング
リコールモノメチルエーテル、ブチルグリコレート、エチレングリコールモノヘキシルエ
ーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドン
、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ビス(2−プロポキシエチル)エーテ
ル、ジエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、
ジエチレングリコールブチルエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルプロピルエー
テル、ジエチレングリコールエチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルプロ
ピルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコ
ールメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ト
リエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールブチルエー
テルアセテート、トリエチレングリコールブチルエチルエーテル、トリエチレングリコー
ルエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルプロピルエーテル、トリエチレ
ングリコールメチルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテー
ト、n−ノニルアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレング
リコールモノメチルエーテル、エチレングリコール2−エチルヘキシルエーテル、トリエ
チレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ト
リエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキ
シルエーテル、トリプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ブチルセロソルブア
セテート等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いる
ことができる。
中でも、分散媒としては、1,3−ブチレングリコールジアセテート、ビス(2−ブト
キシエチル)エーテル、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチル
アセテートおよびジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートよりなる群から選
択される1種または2種以上を含むものであるのが好ましい。これにより、カラーフィル
ター用インク中における重合体Y、重合体Wを溶解状態をより均一なものとすることがで
き、カラーフィルター用インクの吐出安定性が特に優れたものとなる。また、カラーフィ
ルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。
その結果、製造されるカラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等をより効果的に
抑制することができるとともに、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることが
できる。また、顔料、樹脂材料等を比較的多量にカラーフィルター用インク中に含ませた
場合であっても、カラーフィルター用インクの物性の変化が比較的少ないものとなる。ま
た、顔料の含有率を高くした場合であっても、顔料の長期分散安定性を十分に優れたもの
とすることができる。また、分散媒が上記のような化合物で構成されたものであると、後
述するようなカラーフィルターの製造方法において、セル内全体に、カラーフィルター用
インクをより確実に濡れ広がるようにすることができる。
また、上述した中でも、分散媒が、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテー
トを含むものである場合、カラーフィルター用インクの粘度を特に低いものとすることが
でき、カラーフィルター用インクの液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができ
る。また、カラーフィルター用インクが基板上ですばやく隅々まで濡れ広がるため、形成
される着色部の厚さの均一性をより高いものとすることができ、色再現性および消偏性(
コントラスト比)を特に優れたものとすることができる。また、分散媒が、ジエチレング
リコールモノブチルエーテルアセテートを含むものである場合、水の分散媒への溶解度を
適度なものとすることができる。このため、カラーフィルター用インクを構成する分散媒
は、外部からの吸湿を確実に防止することができる。また、液滴吐出装置のカラーフィル
ター用インクの流路等の内部に水が混入した場合であっても、水を好適に溶解し、除去す
ることができる。この結果、液滴吐出ヘッドからのカラーフィルター用インクの液滴の吐
出安定性(例えば、液滴の吐出量の均一性)をより長期にわたって、特に優れたものとす
ることができる。
また、上述した中でも、分散媒がビス(2−ブトキシエチル)エーテル、1,3−ブチ
レングリコールジアセテートを含むものである場合、カラーフィルター用インクがノズル
の近傍で非常に乾燥しにくくなり、インク付与工程における飛行曲がりの発生がより効果
的に抑制される。また、ノズルの詰まりを防ぐために定期的にカラーフィルター用インク
を少量排出するために行うフラッシング工程において、長距離のヘッド移動中におけるノ
ズル近傍のカラーフィルター用インク乾燥を防ぐことができ、基板中に設けられたダミー
画素などの捨て打ちエリアが不必要となる。また、カラーフィルター用インクが乾燥しに
くくなることで、顔料、樹脂材料等の成分の劣化、凝集、偏析をより確実に防止すること
ができる。
また、特に、分散媒が1,3−ブチレングリコールジアセテートを含むものである場合
、分散媒への水の溶解度を適度なものとすることができる。このため、カラーフィルター
用インクを構成する分散媒は、外部からの過剰な水分の吸収を確実に防止しつつ、液滴吐
出装置のカラーフィルター用インクの流路等の内部に多少の水分が混入した場合であって
も、水を好適に溶解することで、分散の安定性・流動性を保持したまま流路内を移動する
ことができる。
また、上記〔1〕〜〔4〕の中でも、〔1〕の化合物、特に、プロピレングリコール骨
格を有し、かつ、その両末端にアルコキシ基を有する化合物も、分散媒として好適に用い
ることができる。このような化合物を用いることにより、カラーフィルター用インクの液
滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができ、製造されるカラーフィルターの各部
位での色むら、濃度むら等をより効果的に抑制することができるとともに、個体間での特
性の均一性を特に優れたものとすることができる。また、当該化合物と前述したような樹
脂材料の化学構造的な相関から、前述したような樹脂材料の溶解性を十分に優れたものと
しつつ、カラーフィルター用インク中において顔料粒子の表面に樹脂材料を偏在させるこ
とができ、液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィ
ルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、カ
ラーフィルター用インクの長期保存性を特に優れたものとすることができる。また、カラ
ーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルターの
耐久性を、特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インク中にお
ける顔料の含有率を比較的高いものとした場合であっても、顔料の分散安定性を十分に優
れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの安定性(長期保存性)を優れた
ものとすることができる。分散媒として、プロピレングリコール骨格を有し、かつ、その
両末端にアルコキシ基を有する化合物を含むことにより、液滴吐出に用いられる液滴吐出
ヘッドが劣化してしまうのを効果的に防止することができる。このため、多数のカラーフ
ィルターを製造する場合であっても、液滴吐出ヘッドの交換、修理等のメンテナンスの頻
度を低くすることができ、カラーフィルターの生産性を優れたものとすることができる。
上記のような化学構造を有する化合物(プロピレングリコール骨格を有し、かつ、その
両末端にアルコキシ基を有する化合物)は、下記一般式(21)で表すことができる。
Figure 2010079230
式(21)において、R、R’の具体例としては、メチル基(CH)、エチル基(C
CH)、プロピル基(CHCHCH)、イソプロピル基(CHCH(CH
))、ブチル基(CHCHCHCH)、イソブチル基(CHCH(CH
CH)、sec−ブチル基(CHCHCH(CH))、t−ブチル基((CH
C)、ペンチル基(CHCHCHCHCH)、ヘキシル基(CHCH
CHCHCH)、ヘプチル基(CHCHCHCHCH)、オクチル基(
CHCHCHCHCH)等が挙げられるが、炭素数が1〜4のアルキル基が好
ましい。
また、上記のように、l+m+nは、1以上の整数であればよいが、2〜5であるのが
好ましく、2〜3であるのがより好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著
に発揮され、カラーフィルター用インクの吐出安定性、長期保存性(保存安定性)を特に
優れたものとすることができるとともに、製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優
れたものとすることができ、カラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等をより効
果的に抑制することができ、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができ
る。
上記のような化学構造を有する、分散媒として用いることのできる化合物の具体例とし
ては、例えば、CHOCHCH(CH)OCH、CHO(CHCH(CH
)O)CH、CHO(CHCH(CH)O)CH、CHO(CHCH
(CH)O)CH、CHO(CHCH(CH)O)CH、CHOCH
CHCHOCH、CHO(CHCHCHO)CH、CHO(CH
CHCHO)CH、CHO(CHCHCHO)CH、CHO(
CHCHCHO)CH、CHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH
)CHO)]CH、CHO[(CHCH(CH)O)(CHCHCH
O)]CH、CHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)(C
CHCHO)]CH、CHCHOCHCH(CH)OCH、CH
CHO(CHCH(CH)O)CH、CHCHO(CHCH(CH
O)CH、CHCHO(CHCH(CH)O)CH、CHCHO(
CHCH(CH)O)CH、CHCHOCH(CH)CHOCH、C
CHO(CH(CH)CHO)CH、CHCHO(CH(CH)C
O)CH、CHCHO(CH(CH)CHO)CH、CHCH
O(CH(CH)CHO)CH、CHCHOCHCHCHOCH
CHCHO(CHCHCHO)CH、CHCHO(CHCHCH
O)CH、CHCHO(CHCHCHO)CH、CHCHO(
CHCHCHO)CH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH
(CH)CHO)]CH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH
CHCHO)]CH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH
)CHO)(CHCHCHO)]CH、CHCHOCHCH(CH
)OCHCH、CHCHO(CHCH(CH)O)CHCH、CH
CHO(CHCH(CH)O)CHCH、CHCHO(CHCH(C
)O)CHCH、CHCHO(CHCH(CH)O)CHCH
、CHCHOCHCHCHOCHCH、CHCHO(CHCH
O)CHCH、CHCHO(CHCHCHO)CHCH、C
CHO(CHCHCHO)CHCH、CHCHO(CHCH
CHO)CHCH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH
)CHO)]CHCH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH
CHCHO)]CHCH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH
(CH)CHO)(CHCHCHO)]CHCH、CHOCHCH(
CH)OCHCHCHCH、CHO(CHCH(CH)O)CH
CHCH、CHO(CHCH(CH)O)CHCHCHCH
CHO(CHCH(CH)O)CHCHCHCH、CHO(CH
H(CH)O)CHCHCHCH、CHOCH(CH)CHOCH
CHCHCH、CHO(CH(CH)CHO)CHCHCHCH
、CHO(CH(CH)CHO)CHCHCHCH、CHO(CH(
CH)CHO)CHCHCHCH、CHO(CH(CH)CHO)
CHCHCHCH、CHOCHCHCHOCHCHCHCH
、CHO(CHCHCHO)CHCHCHCH、CHO(CH
CHO)CHCHCHCH、CHO(CHCHCHO)CH
CHCHCH、CHO(CHCHCHO)CHCHCHCH
、CHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)]CHCH
CH、CHO[(CHCH(CH)O)(CHCHCHO)]CH
CHCHCH、CHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CH
)(CHCHCHO)]CHCHCHCH等が挙げられ、これらから選択
される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記のような化合物は、プロピレングリコール骨格を有し、かつ、その両末端にアルコ
キシ基を有する化合物を含むものであるが、前記プロピレングリコール骨格は、複数個の
1,2−プロピレングリコールが縮合した構造を有するもの(すなわち、式(21)中で
のlが2以上の整数)であるのが好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著
に発揮され、カラーフィルター用インクの吐出安定性、長期保存性(保存安定性)を特に
優れたものとすることができるとともに、製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優
れたものとすることができ、カラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等をより効
果的に抑制することができ、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができ
る。このように、プロピレングリコール骨格が、複数個の1,2−プロピレングリコール
が縮合した構造を有する化合物(分散媒)としては、例えば、CHO(CHCH(C
)O)CH、CHO(CHCH(CH)O)CH、CHO(CH
CH(CH)O)CH、CHO(CHCH(CH)O)CH、CH
[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)]CH、CHO[(CH
CH(CH)O)(CH(CH)CHO)(CHCHCHO)]CH
CHCHO(CHCH(CH)O)CH、CHCHO(CHCH(C
)O)CH、CHCHO(CHCH(CH)O)CH、CHCH
O(CHCH(CH)O)CH、CHCHO(CH(CH)CHO)
CH、CHCHO(CH(CH)CHO)CH、CHCHO(CH
(CH)CHO)CH、CHCHO(CH(CH)CHO)CH
CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)]CH、C
CHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)(CHCH
CHO)]CH、CHCHO(CHCH(CH)O)CHCH、CH
CHO(CHCH(CH)O)CHCH、CHCHO(CHCH(
CH)O)CHCH、CHCHO(CHCH(CH)O)CHCH
、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)]CH
CH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)(C
CHCHO)]CHCH、CHO(CHCH(CH)O)CH
CHCH、CHO(CHCH(CH)O)CHCHCHCH
CHO(CHCH(CH)O)CHCHCHCH、CHO(CH
H(CH)O)CHCHCHCH、CHO(CH(CH)CHO)
CHCHCHCH、CHO(CH(CH)CHO)CHCHCH
CH、CHO(CH(CH)CHO)CHCHCHCH、CHO(
CH(CH)CHO)CHCHCHCH、CHO[(CHCH(CH
)O)(CH(CH)CHO)]CHCHCHCH、CHO[(CH
CH(CH)O)(CH(CH)CHO)(CHCHCHO)]CHCH
CHCH等が挙げられる。
また、前記化合物を構成するプロピレングリコール骨格は、2〜3個のプロピレングリ
コールが縮合した構造を有するもの(すなわち、式(21)中での「l+m+n」が2〜
3)であるのが好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮され、カラ
ーフィルター用インクの吐出安定性、長期保存性(保存安定性)を特に優れたものとする
ことができるとともに、製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優れたものとするこ
とができ、カラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等をより効果的に抑制するこ
とができ、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができる。このように、
プロピレングリコール骨格が、2〜3個のプロピレングリコールが縮合した構造を有する
化合物(分散媒)としては、例えば、CHO(CHCH(CH)O)CH、C
O(CHCH(CH)O)CH、CHO(CHCHCHO)CH
、CHO(CHCHCHO)CH、CHO[(CHCH(CH)O
)(CH(CH)CHO)]CH、CHO[(CHCH(CH)O)(CH
CHCHO)]CH、CHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH
CHO)(CHCHCHO)]CH、CHCHO(CHCH(CH
O)CH、CHCHO(CHCH(CH)O)CH、CHCHO(
CH(CH)CHO)CH、CHCHO(CH(CH)CHO)CH
、CHCHO(CHCHCHO)CH、CHCHO(CHCH
CHO)CH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)C
O)]CH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CHCHCH
O)]CH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CH
)(CHCHCHO)]CH、CHCHO(CHCH(CH)O)
CH、CHCHO(CHCH(CH)O)CHCH、CHCH
O(CHCHCHO)CHCH、CHCHO(CHCHCHO)
CHCH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CH
O)]CHCH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CHCHCH
O)]CHCH、CHCHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH
CHO)(CHCHCHO)]CHCH、CHO(CHCH(CH
O)CHCHCHCH、CHO(CHCH(CH)O)CHCH
CHCH、CHO(CH(CH)CHO)CHCHCHCH、CH
O(CH(CH)CHO)CHCHCHCH、CHO(CHCH
CHO)CHCHCHCH、CHO(CHCHCHO)CH
CHCH、CHO[(CHCH(CH)O)(CH(CH)CHO)
]CHCHCHCH、CHO[(CHCH(CH)O)(CHCH
O)]CHCHCHCH、CHO[(CHCH(CH)O)(CH(
CH)CHO)(CHCHCHO)]CHCHCHCH等が挙げられ
る。
分散媒の大気圧(1気圧)下における沸点は、160〜300℃であるのが好ましく、
180〜290℃であるのがより好ましく、200〜280℃であるのがさらに好ましい
。分散媒の大気圧下における沸点が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用インク
を吐出する液滴吐出ヘッドにおける目詰まり等をより効果的に防止することができ、カラ
ーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。
また、分散媒の25℃における蒸気圧は、0.7mmHg以下であるのが好ましく、0
.1mmHg以下であるのがより好ましい。分散媒の蒸気圧が前記範囲内と値であると、
カラーフィルター用インクを吐出する液滴吐出ヘッドにおける目詰まり等をより効果的に
防止することができ、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。
カラーフィルター用インク中における分散媒の含有率は、50〜98wt%であるのが
好ましく、60〜95wt%であるのがより好ましく、65〜93wt%であるのがさら
に好ましい。分散媒の含有率が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用インクの液
滴吐出ヘッドからの吐出性を特に優れたものとしつつ、製造されるカラーフィルターの耐
久性を優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターにおいて、十
分な着色濃度を確保することができる。
カラーフィルター用インクは、上記以外の成分を含むものであってもよい。カラーフィ
ルター用インクを構成する上記以外の成分としては、例えば、分散剤等が挙げられる。
<分散剤>
カラーフィルター用インクには、分散剤が含まれていてもよい。これにより、カラーフ
ィルター用インク中における顔料粒子の分散性を向上させることができ、インクの液滴の
吐出安定性を特に優れたものとすることができる。特に、重合体Wと分散剤とを併用する
ことにより、これらの効果が相乗的に作用し合い、カラーフィルター用インク中における
顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの吐出安定性等を特に優れたものとするこ
とができる。
分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系
、フッ素系等の界面活性剤が挙げられる。
分散剤のより具体的な例としては、例えば、ディスパービック101、ディスパービッ
ク102、ディスパービック103、ディスパービックP104、ディスパービックP1
04S、ディスパービック220S、ディスパービック106、ディスパービック108
、ディスパービック109、ディスパービック110、ディスパービック111、ディス
パービック112、ディスパービック116、ディスパービック140、ディスパービッ
ク142、ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162
、ディスパービック163、ディスパービック164、ディスパービック166、ディス
パービック167、ディスパービック168、ディスパービック170、ディスパービッ
ク171、ディスパービック174、ディスパービック180、ディスパービック182
、ディスパービック183、ディスパービック184、ディスパービック185、ディス
パービック2000、ディスパービック2001、ディスパービック2050、ディスパ
ービック2070、ディスパービック2095、ディスパービック2150、ディスパー
ビックLPN6919、ディスパービック9075、ディスパービック9077(以上、
ビックケミー社製);EFKA 4008、EFKA 4009、EFKA 4010、
EFKA 4015、EFKA 4020、EFKA 4046、EFKA 4047、
EFKA 4050、EFKA 4055、EFKA 4060、EFKA 4080、
EFKA 4400、EFKA 4401、EFKA 4402、EFKA 4403、
EFKA 4406、EFKA 4408、EFKA 4300、EFKA 4330、
EFKA 4340、EFKA 4015、EFKA 4800、EFKA 5010、
EFKA 5065、EFKA 5066、EFKA 5070、EFKA 7500、
EFKA 7554(以上、チバスペシャリティ−社製);ソルスパース3000、ソル
スパース9000、ソルスパース13000、ソルスパース16000、ソルスパース1
7000、ソルスパース18000、ソルスパース20000、ソルスパース21000
、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルス
パース28000、ソルスパース32000、ソルスパース32500、ソルスパース3
2550、ソルスパース33500、ソルスパース35100、ソルスパース35200
、ソルスパース36000、ソルスパース36600、ソルスパース38500、ソルス
パース41000、ソルスパース41090、ソルスパース20000(以上、ルーブリ
ゾール社製);アジスパーPA111、アジスパーPB711、アジスパーPB821、
アジスパーPB822、アジスパーPB824(以上、味の素ファインテクノ社製);デ
ィスパロン1850、ディスパロン1860、ディスパロン2150、ディスパロン70
04、ディスパロンDA−100、ディスパロンDA−234、ディスパロンDA−32
5、ディスパロンDA−375、ディスパロンDA−705、ディスパロンDA−725
、ディスパロンPW−36(以上、楠本化成社製);および、フローレン DOPA−1
4、フローレン DOPA−15B、フローレン DOPA−17、フローレン DOP
A−22、フローレン DOPA−44、フローレン TG−710、フローレン D−
90(以上、共栄化学社製)、Anti−Terra−205(ビックケミー社製)、ヒ
ノアクトKF−1000、KF−1525、ヒノアクト1300M、ヒノアクトT905
0、ヒノアクトT6000、ヒノアクトT7000、ヒノアクトT8000、ヒノアクト
T8000E(以上、川研ファインケミカル社製)等が挙げられ、これらから選択される
1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
特に、カラーフィルターインクは、分散剤として、所定の酸価を有する分散剤(以下、
酸価分散剤とも言う)と、所定のアミン価を有する分散剤(以下、アミン価分散剤とも言
う)とを含むものであるのが好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの粘度を
低下させる粘度低減効果を発揮する酸価分散剤による効果と、カラーフィルター用インク
の粘度を安定化させるアミン価分散剤による効果とが両立される。その結果、カラーフィ
ルター用インク中における顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの液滴の吐出安
定性を特に優れたものとすることができる。
酸価分散剤の具体例としては、ディスパービックP104、ディスパービックP104
S、ディスパービック220S、ディスパービック110、ディスパービック111、デ
ィスパービック170、ディスパービック171、ディスパービック174、ディスパー
ビック2095(以上、ビックケミー社製);EFKA 5010、EFKA 5065
、EFKA 5066、EFKA 5070、EFKA 7500、EFKA 7554
(以上、チバスペシャリティ−社製);ソルスパース3000、ソルスパース16000
、ソルスパース17000、ソルスパース18000、ソルスパース36000、ソルス
パース36600、ソルスパース41000(以上、ルーブリゾール社製)、ヒノアクト
KF−1000(川研ファインケミカル社製)等が挙げられる。
また、アミン価分散剤の具体例としては、ディスパービック102、ディスパービック
160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、
ディスパービック164、ディスパービック166、ディスパービック167、ディスパ
ービック168、ディスパービック2150、ディスパービックLPN6919、ディス
パービック9075、ディスパービック9077(以上、ビックケミー社製);EFKA
4015、EFKA 4020、EFKA 4046、EFKA 4047、EFKA
4050、EFKA 4055、EFKA 4060、EFKA 4080、EFKA
4300、EFKA 4330、EFKA 4340、EFKA 4400、EFKA
4401、EFKA 4402、EFKA 4403、EFKA 4800(以上、チ
バスペシャリティ−社製);アジスパーPB711(以上、味の素ファインテクノ社製)
;Anti−Terra−205(ビックケミー社製)、KF−1525、ヒノアクト1
300M、ヒノアクトT9050、ヒノアクトT6000、ヒノアクトT7000、ヒノ
アクトT8000、ヒノアクトT8000E(以上、川研ファインケミカル社製)等が挙
げられる。
上記のような分散剤(酸価分散剤およびアミン価分散剤)を用いることにより、形成さ
れる着色部の色味に悪影響を与えることなく、インク中における顔料の分散安定性を優れ
たものとすることができる。
酸価分散剤とアミン価分散剤とを併用する場合、酸価分散剤の酸価(固形分換算したと
きの酸価)は、特に限定されないが、5〜370KOHmg/gであるのが好ましく、2
0〜270KOHmg/gであるのがより好ましく、30〜135KOHmg/gである
のがさらに好ましい。酸価分散剤の酸価が前記範囲内の値であると、アミン価分散剤と併
用した場合における顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができ、また、アミン
価分散剤と併用した場合におけるカラーフィルター用インクの粘度の低減、安定化効果を
より顕著に得ることができる。分散剤についての酸価は、例えば、DIN EN ISO
2114に準拠する方法により求めることができる。
また、酸価分散剤は、所定のアミン価を有していないもの、すなわち、アミン価が零で
あるのが好ましい。
アミン価分散剤と酸価分散剤とを併用する場合、アミン価分散剤のアミン価(固形分換
算したときのアミン価)は、特に限定されないが、5〜200KOHmg/gであるのが
好ましく、25〜170KOHmg/gであるのがより好ましく、30〜130KOHm
g/gであるのがさらに好ましい。アミン価分散剤のアミン価が前記範囲内の値であると
、酸価分散剤と併用した場合における顔料の分散安定性を特に優れたものとすることがで
き、また、酸価分散剤と併用した場合におけるカラーフィルター用インクの粘度の低減、
安定化効果をより顕著に得ることができる。なお、分散剤についてのアミン価は、例えば
、DIN 16945に準拠する方法により求めることができる。
また、アミン価分散剤は、所定の酸価を有していないもの、すなわち、酸価が零である
のが好ましい。
また、酸価分散剤とアミン価分散剤とを併用する場合、カラーフィルター用インク中に
おける酸価分散剤の含有率をX[wt%]、当該カラーフィルター用インク中における
アミン価分散剤の含有率をX[wt%]としたとき、0.1≦X/X≦1の関係を
満足するのが好ましく、0.15≦X/X≦0.5の関係を満足するのがより好まし
い。このような関係を満足することにより、酸価分散剤とアミン価分散剤とを併用するこ
とによる相乗効果がより顕著に発揮され、液滴の吐出安定性等を特に優れたものとするこ
とができる。
また、酸価分散剤の酸価をAV[KOHmg/g]、アミン価分散剤のアミン価をBV
[KOHmg/g]、前記酸価分散剤の含有率をX[wt%]、前記アミン価分散剤の
含有率をX[wt%]としたとき、0.01≦(AV×X)/(BV×X)≦1.
9の関係を満足するのが好ましく、0.10≦(AV×X)/(BV×X)≦1.5
の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、酸価分散剤
とアミン価分散剤とを併用することによる相乗効果がより顕著に発揮され、液滴の吐出安
定性等を特に優れたものとすることができる。
また、分散剤としては、上記以外の分散剤を用いてもよい。例えば、分散剤としては、
シアメリド骨格を備えた化合物を用いることができる。このような化合物を分散剤として
用いることにより、上述したような樹脂材料が溶解した分散媒中における顔料の分散性を
特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れた
ものとすることができる。このような優れた効果は、単に、分散剤としてシアメリド骨格
を備えた化合物を用いただけで得られるものではなく、上述したような樹脂材料と、シア
メリド骨格を備えた化合物とを併用することにより、これらが相乗的に作用し合い、得ら
れるものである。
また、分散剤としては、例えば、下記式(22)および下記式(23)で表される部分
構造を有する化合物を用いることができる。このような化合物を分散剤として用いること
により、カラーフィルター用インク中における顔料の分散性を特に優れたものとすること
ができるとともに、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすること
ができる。
Figure 2010079230
Figure 2010079230
カラーフィルター用インク中における分散剤の含有率は、0.5〜15wt%であるの
が好ましく、0.5〜8wt%であるのがより好ましい。
<その他の成分>
本発明のカラーフィルター用インクは、上記以外の成分を含むものであってもよい。こ
のような成分としては、例えば、各種架橋剤;ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホ
ニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩、オキソニウム塩、アンモニウム塩、ベンゾチ
アゾリウム塩等のオニウム塩等の熱酸発生剤;ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホ
ニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩、オキソニウム塩、アンモニウム塩等の光酸発
生剤;各種重合開始剤;酸架橋剤;界面活性剤;増感剤;光安定剤;各種染料;発光材料
;レベリング剤;接着性改良剤;各種重合促進剤;各種光安定化剤;ガラス、アルミナ等
の充填剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−
メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメ
トキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3
−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−ク
ロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3
−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチ
ル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;
2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリ
アゾール、アルコキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の
凝集防止剤等が挙げられる。
架橋剤としては、例えば、多価カルボン酸無水物、多価カルボン酸、多官能エポキシモ
ノマー、多官能アクリルモノマー、多官能ビニルエーテルモノマー、多官能オキセタンモ
ノマー等を用いることができる。多価カルボン酸無水物の具体例としては、無水フタル酸
、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水ト
リカルバリル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ジメチルテトラヒド
ロフタル酸、無水ハイミック酸、無水ナジン酸等の脂肪族または脂環族ジカルボン酸無水
物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン
酸二無水物等の脂肪族多価カルボン酸二無水物;無水ピロメリット酸、無水トリメリット
酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸無水物;エチレング
リコールビストリメリテイト、グリセリントリストリメリテイト等のエステル基含有酸無
水物が挙げられるが、中でも、芳香族多価カルボン酸無水物が好ましい。また、市販のカ
ルボン酸無水物からなるエポキシ樹脂硬化剤も好適に用いることができる。また、多価カ
ルボン酸の具体例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ブタンテトラカルボン
酸、マレイン酸、イタコン酸等の脂肪族多価カルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、1,2
−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロペ
ンタンテトラカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸、およびフタル酸、イソフタル酸、テ
レフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカル
ボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸が挙げられるが、中
でも、芳香族多価カルボン酸が好ましい。また、多官能エポキシモノマーの具体例として
は、ダイセル化学工業株式会社製、商品名セロキサイド2021、ダイセル化学工業株式
会社製、商品名エポリードGT401、ダイセル化学工業株式会社製、商品名エポリード
PB3600、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、イソシアヌル酸トリグリシジ
ル等が挙げられる。また、多官能アクリルモノマーの具体例としては、ペンタエリスリト
ールエトキシテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエ
リスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメ
チロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート
、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートトリメタリルイソシアヌレート、トリアリ
ルイソシアヌレート等が挙げられる。また、多官能ビニルエーテルモノマーの具体例とし
ては、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエ
ーテル、ノナンジオールジビニルエーテル、シキロヘキサンジオールジビニルエーテル、
シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテ
ル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエ
ーテル等が挙げられる。また、多官能オキセタンモノマーの具体例としては、キシリレン
ジオキセタン、ビフェニル型オキセタン、ノボラック型オキセタン等が挙げられる。
界面活性剤は、インクの表面張力を低下させることにより、着色部を平坦化させるもの
である。このような界面活性剤としては、例えば、アクリル系界面活性剤、ビニルエーテ
ル系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等を用いることができ、
この中でも、アクリル系界面活性剤を用いることが好ましい。アクリル系界面活性剤は、
着色部の平坦化に寄与できるとともに、上述したような重合体Y、重合体Wとの親和性に
優れており、形成される着色部の明度を高いものとすることができる。
染料としては、例えば、アゾ染料、アントラキノン染料、縮合多環芳香族カルボニル染
料、インジゴイド染料、カルボニウム染料、フタロシアニン染料、メチン,ポリメチン染
料等が挙げられる。染料の具体例としては、例えば、C.I.ダイレクトレッド2,4,
9,23,26,28,31,39,62,63,72,75,76,79,80,81
,83,84,89,92,95,111,173,184,207,211,212,
214,218,221,223,224,225,226,227,232,233,
240,241,242,243,247、C.I.アシッドレッド35,42,51,
52,57,62,80,82,111,114,118,119,127,128,1
31,143,145,151,154,157,158,211,249,254,2
57,261,263,266,289,299,301,305,319,336,3
37,361,396,397、C.I.リアクティブレッド3,13,17,19,2
1,22,23,24,29,35,37,40,41,43,45,49,55、C.
I.ベーシックレッド12,13,14,15,18,22,23,24,25,27,
29,35,36,38,39,45,46、C.I.ダイレクトバイオレット7,9,
47,48,51,66,90,93,94,95,98,100,101、C.I.ア
シッドバイオレット5,9,11,34,43,47,48,51,75,90,103
,126、C.I.リアクティブバイオレット1,3,4,5,6,7,8,9,16,
17,22,23,24,26,27,33,34、C.I.ベーシックバイオレット1
,2,3,7,10,15,16,20,21,25,27,28,35,37,39,
40,48、C.I.ダイレクトイエロー8,9,11,12,27,28,29,33
,35,39,41,44,50,53,58,59,68,87,93,95,96,
98,100,106,108,109,110,130,142,144,161,1
63、C.I.アシッドイエロー17,19,23,25,39,40,42,44,4
9,50,61,64,76,79,110,127,135,143,151,159
,169,174,190,195,196,197,199,218,219,222
,227、C.I.リアクティブイエロー2,3,13,14,15,17,18,23
,24,25,26,27,29,35,37,41,42、C.I.ベーシックイエロ
ー1,2,4,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,
32,36,39,40、C.I.アシッドグリーン16、C.I.アシッドブルー9,
45,80,83,90,185、C.I.ベーシックオレンジ21,23等が挙げられ
る。カラーフィルター用インク中に、顔料と染料とが共存すると、一般には、当該カラー
フィルター用インクの粘度が高くなり、液滴の吐出安定性が著しく低下する傾向する傾向
が認められるが、本発明においては、カラーフィルター用インク中に顔料と染料とが共存
する場合であっても、上記のような問題の発生を確実に防止することができる。
熱酸発生剤は、加熱により酸を発生する成分であり、前記の中でも、特に、スルホニウ
ム塩およびベンゾチアゾリウム塩が好ましい。熱酸発生剤のより具体的な例としては、商
品名として、サンエイドSI−45、同左SI−47、同左SI−60、同左SI−60
L、同左SI−80、同左SI−80L、同左SI−100、同左SI−100L、同左
SI−145、同左SI−150、同左SI−160、同左SI−110L、同左SI−
180L(以上、三新化学工業社製品、商品名)、CI−2921、CI−2920、C
I−2946、CI−3128、CI−2624、CI−2639、CI−2064(以
上、日本曹達(株)社製品、商品名)、CP−66、CP−77(旭電化工業社製品、商
品名)、FC−520(3M社製品、商品名)等が挙げられる。
光酸発生剤は、光により酸を発生する成分であり、より具体的な例としては、商品名と
して、サイラキュアUVI−6970、サイラキュアUVI−6974、サイラキュアU
VI−6990、サイラキュアUVI−950(以上、米国ユニオンカーバイド社製、商
品名)、イルガキュア261(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)、SP
−150、SP−151、SP−170、オプトマーSP−171(以上、旭電化工業株
式会社製、商品名)、CG−24−61(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品
名)、DAICATII(ダイセル化学工業社製、商品名)、UVAC1591(ダイセル
・ユーシービー(株)社製、商品名)、CI−2064、CI−2639、CI−262
4、CI−2481、CI−2734、CI−2855、CI−2823、CI−275
8(以上、日本曹達社製品、商品名)、PI−2074(ローヌプーラン社製、商品名、
ペンタフルオロフェニルボレートトルイルクミルヨードニウム塩)、FFC509(3M
社製品、商品名)、BBI−102、BBI−101、BBI−103、MPI−103
、TPS−103、MDS−103、DTS−103、NAT−103、NDS−103
(ミドリ化学社製、商品名)、CD−1012(米国、Sartomer社製、商品名)等が挙げ
られる。
カラーフィルター用インクの25℃における粘度(振動式粘度計を用いて測定される粘
度)は、特に限定されないが、4〜12mPa・sであるのが好ましく、5〜11mPa
・sであるのがより好ましい。カラーフィルター用インクの粘度が前記範囲内の値である
と、後述するようなインクジェット方式による液滴吐出において、吐出されるカラーフィ
ルター用インクの液適量のばらつきを特に小さいものとしつつ、液滴吐出ヘッドにおける
目詰まりの発生等をより確実に防止することができる。なお、カラーフィルター用インク
の粘度の測定は、例えば、振動式粘度計を用いて行うことができ、特に、JIS Z88
09に準拠して行うことができる。
≪カラーフィルター用インクの製造方法≫
次に、上述したようなカラーフィルター用インクの製造方法の好適な実施形態について
、説明する。
本実施形態の製造方法は、重合体Wが溶剤に溶解した重合体W溶液を調製する重合体W
溶液調製工程と、重合体W溶液に顔料を添加し、無機ビーズを多段で添加して微分散処理
を行い、顔料分散体を得る微分散工程と、顔料分散体と樹脂材料を構成する重合体Yとを
混合する重合体Y混合工程とを有する。
<重合体W溶液調製工程>
重合体W溶液調製工程においては、重合体Wが溶剤に溶解した重合体W溶液を調製する
。このように、後述する顔料を微分散させる工程(微分散工程)に先立って、顔料と混合
する液体(重合体W溶液)を、重合体Wを含むものとすることにより、原料として用いる
顔料粒子の凝集体を効率よく、容易かつ確実に微粒子化(解砕)することができ、カラー
フィルター用インクの生産性を向上させることができるとともに、最終的に得られるカラ
ーフィルター用インク中における顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができる
。また、重合体W溶液を用いることにより、後述する微分散工程を、比較的温和な条件で
行うことができるため、カラーフィルター用インクの構成材料の不本意な変性、劣化等を
確実に防止することができる。
また、本工程においては、分散剤を用いるのが好ましい。これにより、重合体Wと分散
剤とを併用することによる相乗効果がより顕著に発揮される。また、本工程において分散
剤を用いる場合、(重合体Wと溶剤との混合に先立って、または、重合体Wと溶剤との混
合時に、)分散剤と溶剤とを含む混合物を攪拌する(分散剤を予備分散する)のが好まし
い。これにより、得られる重合体W溶液中において、分散剤の会合状態を解いた(ほぐし
た)状態とすることができ、分散剤の機能をより効果的に発揮させることができる。とこ
ろで、上述した酸価分散剤およびアミン価分散剤は、本来、互いに電気的に引き付け合い
易いという性質を有しているが、本実施形態のように、顔料の微分散(微分散工程)に先
立って、分散剤を予備分散することにより、分散剤として酸価分散剤およびアミン価分散
剤を用いた場合であっても、酸価分散剤およびアミン価分散剤を、会合状態を十分に解い
た状態で、顔料粒子の表面に均一かつ安定的に付着させることができ、分散剤同士の凝集
、顔料粒子同士の凝集等をより確実に防止することができ、顔料の分散安定性、液滴の吐
出安定性を特に優れたものとすることができる。
なお、カラーフィルター用インクを、重合体Wを含むものとして調製する場合、本工程
において、重合体Wとともに重合体Wを用いるのが好ましい。
本工程で調製する重合体W溶液中における分散剤の含有率(複数種の分散剤を含む場合
は、その含有率の総和)は、特に限定されないが、5〜30wt%であるのが好ましく、
6〜25wt%であるのがより好ましい。分散剤の含有率が前記範囲内の値であると、前
述したような効果がより顕著に発揮される。
また、本工程で調製する重合体W溶液中における溶剤の含有率は、特に限定されないが
、40〜80wt%であるのが好ましく、53〜75wt%であるのがより好ましい。溶
剤の含有率が前記範囲内の値であると、前述したような効果がより顕著に発揮される。な
お、溶剤としては、目的とするカラーフィルター用インクを構成する分散媒と同一の組成
を有するものを用いてもよいし、異なる組成のものを用いてもよい。本工程で、溶剤とし
て、目的とするカラーフィルター用インクを構成する分散媒とは異なる組成を有するもの
を用いた場合、例えば、後の工程で、所定の液体(溶剤)で希釈したり、減圧処理、加熱
処理等を伴う液体(溶剤)の置換を行ったりすることにより、最終的に得られるカラーフ
ィルター用インクにおいて、所望の組成を有する分散媒とすることができる。
本工程では、各種攪拌機を用いて上記各成分の混合物を攪拌することにより、重合体W
溶液を得ることができる。
本工程で用いることのできる攪拌機としては、例えば、ディスパーミル等の一軸または
二軸ミキサー等が挙げられる。
攪拌機を用いた攪拌処理時間は、特に限定されないが、1〜30分間であるのが好まし
く、3〜20分間であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの生
産性を十分に優れたものとしつつ、最終的に得られるカラーフィルター用インク中におけ
る顔料粒子の分散安定性、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとす
ることができる。
また、本工程での攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、特に限定されないが、500〜4
000rpmであるのが好ましく、800〜3000rpmであるのがより好ましい。こ
れにより、カラーフィルター用インクの生産性を十分に優れたものとしつつ、最終的に得
られるカラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとす
ることができる。また、重合体W、分散剤等の熱等による劣化、変性等をより確実に防止
することができる。
<微分散工程>
次に、上記工程で得られた重合体W溶液に顔料を添加し、無機ビーズを多段で添加して
微分散処理を行う(微分散工程)。
上記のように、本工程で用いられる重合体W溶液は重合体Wを含むものであるため、顔
料の微粒子化(解砕)を効率よく行うことができ、カラーフィルター用インクの生産性を
特に優れたものとすることができる。これは、本工程において、顔料の周りを重合体Wが
取り囲むような状態となり、顔料の微粒子化(解砕)を促進するとともに、微粒子化した
顔料粒子が再凝集すること防止するためであると考えられる。
また、本実施形態では、顔料を微分散させる工程(微分散工程)において無機ビーズを
多段で添加する。微分散工程において、無機ビーズを多段で添加することにより、顔料の
微粒化の効率を特に優れたものとすることができ、最終的に得られるカラーフィルター用
インク中における顔料粒子を十分に小さいものとすることができる。特に、酸価分散剤お
よびアミン価分散剤を併用する場合においては、このような材料を用いることによる効果
と、重合体W溶液調製工程および多段での微分散工程を有する方法を用いることによる効
果とが、相乗的に作用し合い、最終的に得られるカラーフィルター用インクは、顔料の分
散安定性、および、液滴の吐出安定性が、非常に優れたものとなり、非常に優れたコント
ラストのカラーフィルターの製造に用いることができるもののとなる。
本工程は、無機ビーズを多段で添加することにより行うものであればよく、3段以上に
分けて無機ビーズを添加するものであってもよいが、無機ビーズを2段で添加するのが好
ましい。これにより、最終的に得られるカラーフィルター用インク中における顔料粒子の
長期分散安定性を十分に優れたものとしつつ、カラーフィルター用インクの生産性を特に
優れたものとすることができる。
以下の説明では、無機ビーズを2段で添加する方法、すなわち、微分散工程において、
第1の無機ビーズを用いた第1の処理と、第2の無機ビーズを用いた第2の処理とを行う
方法について、代表的に説明する。
本工程で用いる無機ビーズ(第1の無機ビーズ、第2の無機ビーズ)は、無機材料で構
成されたものであればいかなる材料で構成されたものであってもよいが、無機ビーズの好
適な例としては、ジルコニア製のビーズ(例えば、Toray ceram 粉砕ボール
(商品名)、株式会社東レ製)等が挙げられる。
[第1の処理]
本工程では、まず、前述した重合体W溶液調製工程で調製した重合体W溶液に顔料を添
加し、所定の粒径の第1の無機ビーズを用いて一次微分散する第1の処理を行う。
第1の処理で用いる第1の無機ビーズは、第2の処理で用いる第2の無機ビーズよりも
粒径の大きいものであるのが好ましい。これにより、微分散工程全体としての、顔料の微
粒化(微分散)の効率を、特に優れたものとすることができる。
第1の無機ビーズの平均粒径は、特に限定されないが、0.5〜3.0mmであるのが
好ましく、0.5〜2.0mmであるのがより好ましく、0.5〜1.2mmであるのが
さらに好ましい。第1の無機ビーズの平均粒径が前記範囲内の値であると、微分散工程全
体としての、顔料の微粒化(微分散)の効率を、特に優れたものとすることができる。こ
れに対し、第1の無機ビーズの平均粒径が前記下限値未満であると、顔料の種類等によっ
ては、第1の処理での顔料粒子の微粒化(小粒径化)の効率が著しく低下する傾向が現れ
る。また、第1の無機ビーズの平均粒径が前記上限値を超えると、第1の処理での顔料粒
子の微粒化(小粒径化)の効率は、比較的優れたものとすることができるものの、第2の
処理での顔料粒子の微粒化(小粒径化)の効率が低下し、微分散工程全体としての顔料の
微粒化(微分散)の効率が低下する。
第1の無機ビーズの使用量は、特に限定されないが、重合体W溶液:100重量部に対
し、100〜600重量部であるのが好ましく、200〜500重量部であるのがより好
ましい。
重合体W溶液に添加する顔料の使用量は、特に限定されないが、重合体W溶液:100
重量部に対し、12重量部以上であるのが好ましく、18〜35重量部であるのがより好
ましい。
第1の処理は、顔料、第1の無機ビーズを重合体W溶液に添加した状態で、各種攪拌機
を用いて攪拌することにより行うことができる。
第1の処理で用いることのできる攪拌機としては、例えば、パールミル等のメディア型
分散機や、ディスパーミル等の一軸または二軸ミキサー等が挙げられる。
攪拌機を用いた攪拌処理時間(第1の処理の処理時間)は、特に限定されないが、10
〜120分間であるのが好ましく、15〜40分間であるのがより好ましい。これにより
、カラーフィルター用インクの生産性を低下させることなく、顔料の微粒化(微分散)を
効率よく進行させることができる。
また、第1の処理での攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、特に限定されないが、100
0〜5000rpmであるのが好ましく、1200〜3800rpmであるのがより好ま
しい。これにより、カラーフィルター用インクの生産性を低下させることなく、顔料の微
粒化(微分散)をより効率よく進行させることができる。また、重合体W、分散剤等の熱
等による劣化、変性等を確実に防止することができる。
[第2の処理]
第1の処理を行った後、第2の無機ビーズを用いた第2の処理を行う。これにより、顔
料粒子が十分に微分散した顔料分散体が得られる。
第2の処理は第1の無機ビーズを含む状態で行うものであってもよいが、第2の処理に
先立ち、第1の無機ビーズを除去するのが好ましい。これにより、第2の処理における顔
料の微粒化(微分散)の効率を特に優れたものとすることができる。第1の無機ビーズの
除去は、例えば、ろ過等の方法により、容易かつ確実に行うことができる。
第2の処理で用いる第2の無機ビーズは、第1の処理で用いる第1の無機ビーズよりも
粒径の小さいものであるのが好ましい。これにより、最終的に得られるカラーフィルター
用インク中における顔料を、十分に微粒化(微分散)させたものとすることができ、カラ
ーフィルター用インクにおける顔料粒子の長期間にわたる分散安定性(長期分散安定性)
に特に優れたものとすることができるとともに、液滴の吐出安定性を特に優れたものとす
ることができる。
第2の無機ビーズの平均粒径は、特に限定されないが、0.03〜0.3mmであるの
が好ましく、0.05〜0.2mmであるのがより好ましい。第2の無機ビーズの平均粒
径が前記範囲内の値であると、微分散工程全体としての、顔料の微粒化(微分散)の効率
を、特に優れたものとすることができる。これに対し、第2の無機ビーズの平均粒径が前
記下限値未満であると、顔料の種類等によっては、第2の処理での顔料粒子の微粒化(小
粒径化)の効率が著しく低下する傾向が現れる。また、第2の無機ビーズの平均粒径が前
記上限値を超えると、顔料粒子の微粒化(微分散)を十分に進行させるのが困難になる可
能性がある。
第2の無機ビーズの使用量は、特に限定されないが、重合体W溶液:100重量部に対
し、100〜600重量部であるのが好ましく、200〜500重量部であるのがより好
ましい。
第2の処理は、各種攪拌機を用いて行うことができる。
第2の処理で用いることのできる攪拌機としては、例えば、パールミル等のメディア型
分散機や、ディスパーミル等の一軸または二軸ミキサー等が挙げられる。
攪拌機を用いた攪拌処理時間(第2の処理の処理時間)は、特に限定されないが、10
〜120分間であるのが好ましく、15〜40分間であるのがより好ましい。これにより
、カラーフィルター用インクの生産性を低下させることなく、顔料の微粒化(微分散)を
十分に進行させることができる。
また、第2の処理での攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、特に限定されないが、100
0〜5000rpmであるのが好ましく、1200〜3800rpmであるのがより好ま
しい。これにより、カラーフィルター用インクの生産性を低下させることなく、顔料の微
粒化(微分散)をより効率よく進行させることができる。また、分散剤等の熱等による劣
化、変性等を確実に防止することができる。
上記の説明では、微分散処理を2段で行う場合について中心的に説明したが、3段以上
の処理を行ってもよい。このような場合、後の処理で用いる無機ビーズの方が、先の処理
で用いる無機ビーズよりも小粒径であるのが好ましい。言い換えると、n段目の処理で用
いる無機ビーズ(第nの無機ビーズ)の平均粒径は、(n−1)段目の処理で用いる無機
ビーズ(第(n−1)の無機ビーズ)の平均粒径よりも小さいものであるのが好ましい。
このような関係を満足することにより、顔料粒子の微粒化(微分散)の効率を特に優れた
ものとすることができるとともに、最終的に得られるカラーフィルター用インク中の顔料
粒子の粒径をより小さいものとすることができる。
なお、微分散工程(例えば、第1の処理、第2の処理)においては、必要に応じて、例
えば、溶剤による希釈等の処理を行ってもよい。
<重合体Y混合工程>
上記のような微分散工程で得られた顔料分散体を、重合体Yと混合する(重合体Y混合
工程)。これにより、カラーフィルター用インクが得られる。
このように、本実施形態では、重合体Yを用いる工程(タイミング)と重合体Wを用い
る工程(タイミング)とが異なるものである。樹脂材料の不本意な変性・劣化を確実に防
止しつつ、顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの吐出安定性等を特に優れたも
のとすることができる。
本工程は、第2の処理で用いた第2の無機ビーズを除去した状態で行うのが好ましい。
第2の無機ビーズの除去は、例えば、ろ過等の方法により、容易かつ確実に行うことがで
きる。
本工程は、各種攪拌機を用いて行うことができる。
本工程で用いることのできる攪拌機としては、例えば、ディスパーミル等の一軸または
二軸ミキサー等が挙げられる。
攪拌機を用いた攪拌処理時間(本工程の処理時間)は、特に限定されないが、1〜60
分間であるのが好ましく、15〜40分間であるのがより好ましい。
また、本工程での攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、特に限定されないが、1000〜
5000rpmであるのが好ましく、1200〜3800rpmであるのがより好ましい
なお、本工程では、前記工程で用いた溶剤とは異なる組成の液体を添加してもよい。こ
れにより、前述した重合体W溶液調製工程での重合体Wの溶解、分散剤の分散、および、
微分散工程での顔料粒子の微分散を好適に行いつつ、所望の特性を有するカラーフィルタ
ー用インクを確実に得ることができる。
また、本工程においては、顔料分散体と重合体Yとの混合に先立って、または、顔料分
散体と重合体Yとの混合の後に、前記工程で用いた溶剤の少なくとも一部を除去してもよ
い。これにより、重合体W溶液調製工程、微分散工程での溶剤の組成と、最終的に得られ
るカラーフィルター用インクでの分散媒の組成とを異なるものとすることができる。その
結果、前述した重合体W溶液調製工程での重合体Wの溶解、分散剤の分散、および、微分
散工程での顔料粒子の微分散を好適に行いつつ、所望の特性を有するカラーフィルター用
インクを確実に得ることができる。溶剤の除去は、例えば、対象とする液体を、減圧雰囲
気下に置いたり、加熱したりすることにより行うことができる。
《インクセット》
上述したようなカラーフィルター用インクは、インクジェット方式によるカラーフィル
ターの製造に用いられるものである。カラーフィルターは、通常、フルカラー表示に対応
するため、複数色の着色部(通常は、光の三原色に対応するRGBの3色)を有している
。そして、これら複数色の着色部の形成には、それぞれに対応する色の複数種のカラーフ
ィルター用インクが用いられる。すなわち、カラーフィルターの製造には、複数色のカラ
ーフィルター用インクを備えるインクセットが用いられる。本発明においては、カラーフ
ィルターの製造において、上述したようなカラーフィルター用インクが、少なくとも1種
の着色部の形成に用いられるものであればよいが、全色の着色部の形成に用いられるのが
好ましい。
より具体的には、本発明のカラーフィルター用インクセットは、赤色の着色剤(特に、
赤色の顔料)を含む赤色インクと、緑色の着色剤(特に、緑色の顔料)を含む緑色インク
と、青色の着色剤(特に、青色の顔料)を含む青色インクとを備えたものであるのが好ま
しい。これにより、カラーフィルター用インクセットを用いて製造されるカラーフィルタ
ーの色再現域を特に広いものとすることができる。また、カラーフィルターにおいて、各
色間での輝度バランスを容易に調整することができ、特に優れた画質の画像を好適に表示
することができる。
《カラーフィルター》
次に、上述したようなカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて製造される
カラーフィルターの一例について説明する。
図1は、本発明のカラーフィルターの好適な実施形態を示す断面図である。
図1に示すように、カラーフィルター1は、基板11と、上述したカラーフィルター用
インクを用いて成形された着色部12とを備えている。着色部12としては、互いに異な
る色の第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12Cが設けられ
ている。そして、隣接する着色部12の間には、隔壁13が設けられている。
<基板>
基板11は、光透過性を有する板状の部材で、着色部12、隔壁13を保持する機能を
有している。
基板11は、実質的に透明な材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、
カラーフィルター1を透過する光により、より鮮明な画像を形成することができる。
また、基板11は、耐熱性、機械的強度に優れたものであるのが好ましい。これにより
、例えば、カラーフィルター1の製造時に加わる熱による変形等を確実に防止することが
できる。このような条件を満足する基板11の構成材料としては、例えば、ガラス、シリ
コン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイ
ミド、ノルボルネン系開環重合体やその水素添加物等が挙げられる。
<着色部>
着色部12は、上述したようなカラーフィルター用インク(カラーフィルター用インク
セット)を用いて形成されたものである。
着色部12は、上述したようなカラーフィルター用インク(カラーフィルター用インク
セット)を用いて形成されたものであるため、所望の量のインクにより形成され、所望の
形状を有するものとなっており、各画素間での特性のばらつきが小さく、不本意な混色(
複数種のカラーフィルター用インクの混合)等が確実に防止されている。このため、カラ
ーフィルター1は、色むら、濃度むら等の発生が抑制され、コントラスト比に優れた、信
頼性が高いものとなっている。
各着色部12は、後述する隔壁13により囲まれた領域であるセル14内に設けられて
いる。
第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12Cは、互いに異な
る色のものである。例えば、第1の着色部12Aを赤色フィルター領域(R)、第2の着
色部12Bを緑色フィルター領域(G)、第3の着色部12Cを青色フィルター領域(B
)とすることができる。
そして、一組の異なる色の着色部12A、12B、12Cで1画素を構成している。そ
して、カラーフィルター1においては、その横方向および縦方向に、着色部12が所定数
配置されている。例えば、カラーフィルター1が、ハイビジョン用のカラーフィルターで
ある場合には1366×768個の画素が配置されており、フルハイビジョン用のカラー
フィルターである場合には1920×1080個の画素が配置されており、スーパーハイ
ビジョン用のカラーフィルターである場合には7680×4320個の画素が配置されて
いる。なお、カラーフィルター1は、例えば、有効領域外に予備の画素を備えたものであ
ってもよい。
<隔壁>
隣接する着色部12の間には、隔壁(バンク)13が設けられている。これにより、隣
接する着色部12同士が混色してしまうのを確実に防止することができ、その結果、鮮明
な画像を確実に表示することができる。
隔壁13は、透明な材料で構成されたものであってもよいが、遮光性を有する材料で構
成されたものであるのが好ましい。これにより、コントラストに優れた画像を表示するこ
とができる。隔壁(遮光部)13の色は、特に限定されないが、黒色であるのが好ましい
。これにより、表示される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
隔壁13の高さは、特に限定されないが、着色部12の膜厚よりも大きいものであるの
が好ましい。これにより、隣接する着色部12の間での混色を確実に防止することができ
る。隔壁13の具体的な厚さは、0.1〜10μmであるのが好ましく、0.5〜3.5
μmであるのがより好ましい。これにより、隣接する着色部12の間での混色を確実に防
止することができるとともに、カラーフィルター1を備えた画像表示装置、電子機器にお
ける視野角特性を優れたものとすることができる。
隔壁13は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、例えば、主として硬化
性樹脂材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、後述するような方法で、
隔壁13を容易に所望の形状を有するものとして形成することができる。また、隔壁13
が遮光部としての機能を有するものである場合、その構成材料として、カーボンブラック
等の光吸収性の材料を含むものであってもよい。
《カラーフィルターの製造方法》
次に、上述したようなカラーフィルター1の製造方法の一例について説明する。
図2は、カラーフィルターの製造方法を示す断面図、図3は、カラーフィルターの製造
に用いる液滴吐出装置を示す斜視図、図4は、図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出
手段をステージ側から観察した図、図5は、図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘ
ッドの底面を示す図、図6は、図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドを示す図
であり、(a)は断面斜視図、(b)は断面図である。
図2に示すように、本実施形態では、基板11を準備する基板準備工程(1a)と、基
板11上に隔壁13を形成する隔壁形成工程(1b、1c)と、インクジェット方式によ
りカラーフィルター用インク2を隔壁13で囲まれた領域に付与するインク付与工程(1
d)と、カラーフィルター用インク2から分散媒を除去し、樹脂材料を硬化させることに
より固形状の着色部12とする着色部形成工程(1e)とを有している。
<基板準備工程>
まず、基板11を準備する(1a)。本工程で準備する基板11は、洗浄処理が施され
たものであるのが好ましい。また、本工程で準備する基板11は、シランカップリング剤
等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法
、真空蒸着等の適宜の前処理が施されたものであってもよい。
<隔壁形成工程>
次に、基板11の隔壁形成用の感放射線性組成物を基板11の一方の面のほぼ全体に付
与し、塗膜3を形成する(1b)。なお、基板11上に感放射線性組成物を付与した後、
必要に応じて、プリベーク処理を行ってもよい。プリベーク処理は、例えば、加熱温度:
50〜150℃、加熱時間:30〜600秒という条件で行うことができる。
その後、フォトマスクを介して、放射線を照射して、ポストエキスポジャーベーク処理
(PEB)を行い、さらに、アルカリ現像液を用いた現像処理を行うことにより、隔壁1
3が形成される(1c)。PEBは、例えば、加熱温度:50〜150℃、加熱時間:3
0〜600秒、放射線照射強度:1〜500mJ/cmという条件で行うことができる
。また、現像処理は、例えば、液盛り法、ディッピング法、振動浸漬法等により行うこと
ができ、現像処理時間は、例えば、10〜300秒とすることができる。また、現像処理
の後、必要に応じて、ポストベーク処理を行ってもよい。ポストベーク処理は、例えば、
加熱温度:150〜280℃、加熱時間:3〜120分という条件で行うことができる。
<インク付与工程>
次に、インクジェット方式により、カラーフィルター用インク2を、隔壁13で囲まれ
たセル14内に付与する(1d)。
本工程は、形成すべき複数色の着色部12に対応する複数種のカラーフィルター用イン
ク2を用いて行う。この際、隔壁13が設けられているため、2種以上のカラーフィルタ
ー用インク2が混ざり合うことが確実に防止される。
また、上述したようにカラーフィルター用インク2は、前記樹脂材料(重合体Y、重合
体W)を含むものであり、液滴の吐出安定性に優れている。このため、製造すべきカラー
フィルター1が大型のものである場合や、多数枚のカラーフィルター1を連続的に製造す
る場合であっても、飛行曲がり等の問題の発生を確実に防止ししつつ、液滴の吐出量を容
易かつ確実に制御することができる。その結果、製造されるカラーフィルター1における
混色、色むら・濃度むら、コントラスト比の低下等の問題の発生を確実に防止することが
できる。
カラーフィルター用インク2の吐出は、図3〜図6に示すような液滴吐出装置を用いて
行う。
図3に示すように、本工程で用いる液滴吐出装置100は、カラーフィルター用インク
2を保持するタンク101と、チューブ110と、チューブ110を介してタンク101
からカラーフィルター用インク2が供給される吐出走査部102とを備える。吐出走査部
102は、複数の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)114をキャリッジ105に
搭載してなる液滴吐出手段103と、液滴吐出手段103の位置を制御する第1位置制御
装置104(移動手段)と、前記工程で隔壁13が形成された基板11(以下、単に「基
板11」とも言う。)を保持するステージ106と、ステージ106の位置を制御する第
2位置制御装置108(移動手段)と、制御手段112とを備えている。タンク101と
、液滴吐出手段103における複数の液滴吐出ヘッド114とは、チューブ110で連結
されており、タンク101から複数の液滴吐出ヘッド114のそれぞれにカラーフィルタ
ー用インク2が圧縮空気によって供給される。
第1位置制御装置104は、制御手段112からの信号に応じて、液滴吐出手段103
をX軸方向、およびX軸方向に直交するZ軸方向に沿って移動させる。さらに、第1位置
制御装置104は、Z軸に平行な軸の回りで液滴吐出手段103を回転させる機能も有す
る。本実施形態では、Z軸方向は、鉛直方向(つまり重力加速度の方向)に平行な方向で
ある。第2位置制御装置108は、制御手段112からの信号に応じて、X軸方向および
Z軸方向の双方に直交するY軸方向に沿ってステージ106を移動させる。さらに、第2
位置制御装置108は、Z軸に平行な軸の回りでステージ106を回転させる機能も有す
る。
ステージ106は、X軸方向とY軸方向との双方に平行な平面を有する。また、ステー
ジ106は、カラーフィルター用インク2を付与すべきセル14を有する基板11をその
平面上に固定、または保持できるように構成されている。
上述のように、液滴吐出手段103は、第1位置制御装置104によってX軸方向に移
動させられる。一方、ステージ106は、第2位置制御装置108によってY軸方向に移
動させられる。つまり、第1位置制御装置104および第2位置制御装置108によって
、ステージ106に対する液滴吐出ヘッド114の相対位置が変わる(ステージ106に
保持された基板11と、液滴吐出手段103とが相対的に移動する)。
制御手段112は、カラーフィルター用インク2を吐出すべき相対位置を表す吐出デー
タを外部情報処理装置から受け取るように構成されている。
図4に示すように、液滴吐出手段103は、それぞれほぼ同じ構造を有する複数の液滴
吐出ヘッド114と、これらの液滴吐出ヘッド114を保持するキャリッジ105とを有
している。本実施形態では、液滴吐出手段103に保持される液滴吐出ヘッド114の数
は8個である。それぞれの液滴吐出ヘッド114は、後述する複数のノズル118が設け
られた底面を有している。それぞれの液滴吐出ヘッド114のこの底面の形状は、2つの
長辺と2つの短辺とを有する多角形である。液滴吐出手段103に保持された液滴吐出ヘ
ッド114の底面はステージ106側を向いており、さらに、液滴吐出ヘッド114の長
辺方向と短辺方向とは、それぞれX軸方向とY軸方向とに平行である。
図5に示すように、液滴吐出ヘッド114は、X軸方向に並んだ複数のノズル118を
有する。これら複数のノズル118は、液滴吐出ヘッド114におけるX軸方向のノズル
ピッチHXPが所定の値となるように配置されている。ノズルピッチHXPの具体的な値
は、特に限定されないが、例えば、50〜90μmとすることができる。ここで、「液滴
吐出ヘッド114におけるX軸方向のノズルピッチHXP」は、液滴吐出ヘッド114に
おけるノズル118のすべてをY軸方向に沿ってX軸上に射像して得られた複数のノズル
像間のピッチに相当する。
本実施形態では、液滴吐出ヘッド114における複数のノズル118は、ともにX軸方
向に延びるノズル列116Aと、ノズル列116Bとをなす。ノズル列116Aと、ノズ
ル列116Bとは、間隔を空けて並行に配置されている。そして、本実施形態においては
、ノズル列116Aおよびノズル列116Bのそれぞれにおいて、90個のノズル118
が一定間隔LNPでX軸方向に一列に並んでいる。LNPの具体的な値は、特に限定され
ないが、100〜180μmとすることができる。
ノズル列116Bの位置は、ノズル列116Aの位置に対して、ノズルピッチLNPの
半分の長さだけX軸方向の正の方向(図5の右方向)にずれている。このため、液滴吐出
ヘッド114のX軸方向のノズルピッチHXPは、ノズル列116A(またはノズル列1
16B)のノズルピッチLNPの半分の長さである。
したがって、液滴吐出ヘッド114のX軸方向のノズル線密度は、ノズル列116A(
またはノズル列116B)のノズル線密度の2倍である。なお、本明細書において「X軸
方向のノズル線密度」とは、複数のノズルをY軸方向に沿ってX軸上に射像して得られた
複数のノズル像の単位長さ当たりの数に相当する。もちろん、液滴吐出ヘッド114が含
むノズル列の数は、2つだけに限定されない。液滴吐出ヘッド114はM個のノズル列を
含んでもよい。ここで、Mは1以上の自然数である。この場合には、M個のノズル列のそ
れぞれにおいて複数のノズル118は、ノズルピッチHXPのM倍の長さのピッチで並ぶ
。さらに、Mが2以上の自然数の場合には、M個のノズル列のうちの一つに対して、他の
(M−1)個のノズル列は、ノズルピッチHXPのi倍の長さだけ重複無くX軸方向にず
れている。ここで、iは1から(M−1)までの自然数である。
さて、本実施形態では、ノズル列116Aおよびノズル列116Bのそれぞれが90個
のノズル118からなるため、1つの液滴吐出ヘッド114は180個のノズル118を
有する。ただし、ノズル列116Aの両端のそれぞれ5ノズルは「休止ノズル」として設
定されている。同様に、ノズル列116Bの両端のそれぞれ5ノズルも「休止ノズル」と
して設定されている。そして、これら20個の「休止ノズル」からはカラーフィルター用
インク2が吐出されない。このため、液滴吐出ヘッド114における180個のノズル1
18のうち、160個のノズル118がカラーフィルター用インク2を吐出するノズルと
して機能する。
図4に示すように、液滴吐出手段103においては、複数個の上記液滴吐出ヘッド11
4がX軸方向に沿って2列に配置されている。一方の列の液滴吐出ヘッド114と他方の
列の液滴吐出ヘッド114とは、休止ノズル分を考慮して、Y軸方向から見て一部重なる
ように配置されている。これにより、液滴吐出手段103においては、基板11のX軸方
向の寸法分の長さに渡り、カラーフィルター用インク2を吐出するノズル118が前記ノ
ズルピッチHXPでX軸方向に連続するように構成されている。
本実施形態の液滴吐出手段103では、基板11のX軸方向の寸法分の長さ全体をカバ
ーするように液滴吐出ヘッド114を配置しているが、本発明における液滴吐出手段は、
基板11のX軸方向の寸法分の長さの一部をカバーするようにものでもよい。
図に示すように、それぞれの液滴吐出ヘッド114は、インクジェットヘッドである。
より具体的には、それぞれの液滴吐出ヘッド114は、振動板126と、ノズルプレート
128とを備えている。振動板126と、ノズルプレート128との間には、タンク10
1から孔131を介して供給されるカラーフィルター用インク2が常に充填される液たま
り129が位置している。
また、振動板126と、ノズルプレート128との間には、複数の隔壁122が位置し
ている。そして、振動板126と、ノズルプレート128と、1対の隔壁122とによっ
て囲まれた部分がキャビティ120である。キャビティ120はノズル118に対応して
設けられているため、キャビティ120の数とノズル118の数とは同じである。キャビ
ティ120には、1対の隔壁122間に位置する供給口130を介して、液たまり129
からカラーフィルター用インク2が供給される。
振動板126上には、それぞれのキャビティ120に対応して、振動子124が位置す
る。振動子124は、ピエゾ素子124Cと、ピエゾ素子124Cを挟む1対の電極12
4A、124Bとを含む。この1対の電極124A、124Bとの間に駆動電圧を与える
ことで、対応するノズル118からカラーフィルター用インク2が吐出される。なお、ノ
ズル118からZ軸方向にカラーフィルター用インク2が吐出されるように、ノズル11
8の形状が調整されている。
また、ノズルプレート128は、ステンレスで構成された基材と、基材を覆うようにし
て設けられ主としてシリカ化合物で構成されたシリカ膜と、シリカ膜を覆うようにして設
けられ、フルオロアルキル化合物を含む撥液膜とによって構成されている。
また、シリカ膜は、撥液膜とステンレスの基材とを密着させる機能を有するとともに、
ステンレスの基材を保護する機能を有する。
制御手段112(図3参照)は、複数の振動子124のそれぞれに互いに独立に信号を
与えるように構成されていてもよい。つまり、ノズル118から吐出されるカラーフィル
ター用インク2の体積が、制御手段112からの信号に応じてノズル118毎に制御され
てもよい。また、制御手段112は、塗布走査の間に吐出動作を行うノズル118と、吐
出動作を行わないノズル118とを設定することでもできる。
本明細書では、1つのノズル118と、ノズル118に対応するキャビティ120と、
キャビティ120に対応する振動子124とを含んだ部分を「吐出部127」と表記する
こともある。この表記によれば、1つの液滴吐出ヘッド114は、ノズル118の数と同
じ数の吐出部127を有する。
上記のような液滴吐出装置100を用いて、カラーフィルター1が有する複数色の着色
部12に対応するカラーフィルター用インク2を、セル14内に付与する。上記のような
装置を用いることにより、セル14内に、効率よくかつ選択的にカラーフィルター用イン
ク2を付与することができる。また、上述したように、カラーフィルター用インク2は、
優れた吐出安定性を有しており、長期間、液滴吐出を行った場合であっても、飛行曲がり
や、液滴の吐出量が不安定化する等の問題が極めて発生しにくいものである。したがって
、異なる色の着色部を形成するのに用いられる複数種のインクが混ざり合って(混色して
)しまったり、本来同一の着色濃度であることが求められる複数個の着色部の間での着色
濃度のばらつきが発生する等の問題を確実に防止することができる。なお、図示の構成で
は、液滴吐出装置100は、カラーフィルター用インク2を保持するタンク101、チュ
ーブ110等を1色分しか有していないが、これらの部材を、カラーフィルター1が有す
る複数色の着色部12に対応する複数色分有するものであってもよい。また、カラーフィ
ルター1の製造においては、複数色のカラーフィルター用インク2に対応する複数の液滴
吐出装置100を用いてもよい。
なお、本発明では、液滴吐出ヘッド114は、駆動素子として、ピエゾ素子の代わりに
静電アクチュエータを用いるものでもよい。また、液滴吐出ヘッド114は、駆動素子と
して電気熱変換素子を用い、この電気熱変換素子による材料の熱膨張を利用してカラーフ
ィルター用インクを吐出する構成であってもよい。
<着色部形成工程(硬化工程)>
次に、セル14内のカラーフィルター用インク2から分散媒を除去し、樹脂材料を硬化
させることにより固形状の着色部12とする(1e)。これにより、カラーフィルター1
が得られる。
本工程は、通常、加熱により行う。本工程を加熱により行うことにより、形成される着
色部12の基板11に対する密着性を特に優れたものとすることができる。また、形成さ
れる着色部12内に分散媒が残存することを確実に防止することができる。その結果、カ
ラーフィルター1の耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。また、カラー
フィルター1の生産性も向上する。
本工程での加熱温度(加熱された基板11の温度)は、特に限定されないが、100〜
280℃であるのが好ましく、110〜250℃であるのがより好ましい。これにより、
着色部12の構成材料の不本意な劣化・分解等を防止しつつ、樹脂材料の硬化反応を効率
よく進行させ、さらに、カラーフィルター用インク2から好適に分散媒を除去できる。
また、本工程での加熱時間は、特に限定されないが、30〜190分であることが好ま
しく、40〜130分であることがより好ましい。
また、本工程は、温度の異なる複数の加熱処理を行ってもよい。具体的には、本工程に
おいて、比較的低温で基板11の加熱を行う第1の加熱処理と、第1の加熱処理よりも高
い温度で基板11の加熱を行う第2の加熱処理とを施してもよい。
これにより、着色部12の構成材料の不本意な劣化・分解等を防止し、カラーフィルタ
ー1の生産性を向上させ、さらに、形成される着色部12に分散媒が残存すること等を効
果的に防止することができる。
また、本工程において、比較的低温で基板11の加熱を行う第1の加熱処理と、第1の
加熱処理よりも高い温度で基板11の加熱を行う第2の加熱処理とを施すことにより、着
色部12の表面の平坦性をより高いものとすることができる。
このような場合、第1の加熱処理にて比較的低温で基板11を加熱することにより、カ
ラーフィルター用インク2の対流を防止しつつ、穏やかに分散媒を除去し、カラーフィル
ター用インク2の表面を平坦なものとした状態で、流動性を消失または低減させることが
できる。また、比較的低温で加熱することにより、不本意な樹脂材料の硬化反応を防止す
ることができる。
また、第2の加熱処理では、第1の加熱処理では除去できなかった分散媒を完全に除去
することができる。また、本工程で、樹脂材料を反応させてカラーフィルター用インク2
を硬化させる場合、第1の加熱処理において表面が平坦な状態で固定されたカラーフィル
ター用インク2を、効率よくその形状で硬化させることができる。
上記のように、本工程において第1の加熱処理および第2の加熱処理を施す場合、第1
の加熱処理での処理温度(加熱された基板11の温度)は、特に限定されないが、30〜
100℃であるのが好ましく、40〜80℃であるのがより好ましい。これにより、カラ
ーフィルター用インク2の対流を確実に防止しつつ、カラーフィルター用インク2から好
適に分散媒を除去できる。
また、第1の加熱処理の時間は、特に限定されないが、3〜50分であることが好まし
く、5〜40分であることがより好ましい。
また、第2の加熱処理での処理温度(加熱された基板11の温度)は、特に限定されな
いが、120〜280℃であるのが好ましく、150〜250℃であるのがより好ましい
。これにより、第1の加熱処理では除去できなかった分散媒を完全に除去することができ
る。また、本工程で、樹脂材料(硬化性樹脂材料)を反応させてカラーフィルター用イン
ク2を硬化させる場合、第1の加熱処理において表面が平坦な状態で固定されたカラーフ
ィルター用インク2を、効率よくその形状で硬化させることができる。
また、第2の加熱処理の時間は、特に限定されないが、25〜150分であることが好
ましく、30〜100分であることがより好ましい。
また、本工程においては、例えば、活性エネルギー線の照射や、カラーフィルター用イ
ンク2が付与された基板11を減圧環境下に置く等の処理を行ってもよい。
活性エネルギー線を照射することにより、樹脂材料の硬化反応を効率よく進行させたり
、加熱温度を比較的低いものとした場合であっても、樹脂材料の硬化反応を確実に進行さ
せることができ、基板11等への悪影響の発生がより確実に防止される等の効果が得られ
る。活性エネルギー線としては、種々の波長の光線、例えば、紫外線、X線、g線、i線
、エキシマレーザー等を使用することができる。
また、カラーフィルター用インク2が付与された基板11を減圧環境下に置く(減圧処
理を施す)ことにより、加熱温度を比較的低いものとした場合であっても、分散媒を確実
に除去することができ、基板11、形成される着色部12等への悪影響の発生がより確実
に防止される。また、加熱処理および減圧処理を併用することにより、より効率よく着色
部を形成することができる。
《画像表示装置》
次に、カラーフィルター1を有する画像表示装置(電気光学装置)である液晶表示装置
の好適な実施形態について説明する。
図7は、液晶表示装置の好適な実施形態を示す断面図である。同図に示すように、液晶
表示装置60は、カラーフィルター1と、カラーフィルター1の着色部12が設けられた
面側に配された基板(対向基板)66と、カラーフィルター1と基板66との間の空隙に
封入された液晶よりなる液晶層62と、カラーフィルター1の基板11の液晶層62に対
向する面とは反対の面側(図7中下側)に設けられた偏光板67と、基板66の液晶層6
2に対向する面とは反対の面側(図7中上側)に設けられた偏光板68とを有している。
そして、カラーフィルター1の着色部12および隔壁13が設けられた面(着色部12お
よび隔壁13の基板11に対向する面とは反対の面)には、共通電極61が設けられてお
り、基板(対向基板)66の液晶層62、カラーフィルター1に対向する面には、カラー
フィルター1の各着色部12に対応する位置に、マトリクス状に、画素電極65が配され
ている。さらに、共通電極61と液晶層62との間には配向膜64が設けられ、基板66
(画素電極65)と液晶層62との間には配向膜63が設けられている。
基板66は、可視光に対して光透過性を有する基板であり、例えば、ガラス基板である

共通電極61、画素電極65は、可視光に対して光透過性を有する材料で構成されたも
のであり、例えば、ITO等で構成されている。
また、図中省略しているが、各画素電極65に対応するように、複数のスイッチング素
子(例えば、TFT:薄膜トランジスタ)が設けられている。そして、各着色部12に対
応する各画素電極65について、共通電極61との間での電圧の印加状態を制御すること
により、各着色部12(各画素電極65)に対応する領域での、光の透過性を制御するこ
とができる。
液晶表示装置60では、図示しないバックライトから発せられた光が、偏光板68側(
図7中上側)から入射するようになっている。そして、液晶層62を透過し、カラーフィ
ルター1の各着色部12(12A、12B、12C)に入射した光は、各着色部12(1
2A、12B、12C)に対応する色の光として、偏光板67(図7中下側)から出射す
る。
上述したように、着色部12は、本発明のカラーフィルター用インク2(カラーフィル
ター用インクセット)を用いて形成されたものであるため、各色間、各画素間での特性の
ばらつきが抑制されたものである。その結果、液晶表示装置60において、各部位での色
むら、濃度むら等が抑制された画像を安定的に表示することができる。
《電子機器》
前述したようなカラーフィルター1を有する液晶表示装置等の画像表示装置(電気光学
装置)1000は、各種電子機器の表示部に用いることができる。
図8は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコン
ピュータの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本
体部1104と、表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本
体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピュータ1100においては、表示ユニット1106が画像表示装
置1000を備えている。
図9は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図
である。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204
および送話口1206とともに、画像表示装置1000を表示部に備えている。
図10は、本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図で
ある。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、
ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)
などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、画
像表示装置1000が表示部に設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構
成になっており、被写体を電子画像として表示するファインダとして機能する。
ケースの内部には、回路基板1308が設置されている。この回路基板1308は、撮
像信号を格納(記憶)し得るメモリが設置されている。
また、ケース1302の正面側(図示の構成では裏面側)には、光学レンズ(撮像光学
系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッタボタン1306を押下すると
、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1308のメモリに転送・格納される
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビ
デオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。
そして、図示のように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニタ1430が、デー
タ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピュータ1440が、それぞれ必要に
応じて接続される。さらに、所定の操作により、回路基板1308のメモリに格納された
撮像信号が、テレビモニタ1430や、パーソナルコンピュータ1440に出力される構
成になっている。
なお、本発明の電子機器は、上述したパーソナルコンピュータ(モバイル型パーソナル
コンピュータ)、携帯電話機、ディジタルスチルカメラの他にも、例えば、テレビ(例え
ば、液晶テレビ)や、ビデオカメラ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープ
レコーダ、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション装置、ページャ
、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ
、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、タ
ッチパネルを備えた機器(例えば金融機関のキャッシュディスペンサー、自動券売機)、
医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電表示装置、超音波診断装置、内視鏡
用表示装置)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器
類)、フライトシュミレータ、その他各種モニタ類、プロジェクター等の投射型表示装置
等に適用することができる。中でも、テレビは、近年の表示部の大型化の傾向が顕著であ
るが、このような大型の表示部(例えば、対角線長80cm以上の表示部)を有する電子
機器では、従来のカラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターを適用
した場合、色むら、濃度むら等の問題を特に生じ易かったが、本発明を適用すれば、この
ような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、上記のような大型の表示部
を有する電子機器に適用した場合に、本発明の効果は、より顕著に発揮される。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定
されるものではない。
例えば、前述した実施形態においては、各色の着色部に対応するカラーフィルター用イ
ンクを、セル内に付与した後に、一括で、セル内の各色のカラーフィルター用インクから
分散媒を除去し、樹脂材料を硬化させるもの、すなわち、着色部形成工程(硬化工程)を
1回のみ行うものとして説明したが、インク付与工程および着色部形成工程は、各色に対
応して、繰り返し行うものであってもよい。
また、カラーフィルター、画像表示装置、電子機器を構成する各部は、同様の機能を発
揮する任意のものと置換、または、その他の構成を追加することもできる。例えば、本発
明のカラーフィルターにおいては、着色部の基板に対向する面とは反対の面側に、着色部
を被覆する保護膜が設けられていてもよい。これにより、着色部の損傷や劣化等をより効
果的に防止することができる。
また、本発明のカラーフィルター用インクは、いかなる方法で製造されたものであって
もよく、上述したような方法により製造されたものでなくてもよい。例えば、前述した実
施形態では、顔料の微分散を、重合体W溶液中で行うものとして説明したが、顔料の微分
散はこのようにして行うものでなくてもよい。
また、前述した実施形態では、カラーフィルター用インクセットが、光の三原色に対応
する3種(3色)のカラーフィルター用インクを備える場合について中心的に説明したが
、カラーフィルター用インクセットを構成するカラーフィルター用インクの数、種類(色
)は、上述したものに限定されない。例えば、本発明においてカラーフィルター用インク
セットは、4種以上のカラーフィルター用インクを備えるものであってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
[1]重合体の合成
(合成例1)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ
)に、溶媒(溶剤)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:31
4重量部を入れて、90℃に加熱した。続いて、ラジカル開始剤としての2,2′−アゾ
ビス(イソブチロニトリル)(AIBN):20重量部、および、ジエチレングリコール
モノブチルエーテルアセテート(溶媒):30重量部を加えた後、該フラスコ内に、上記
式(1)で表される単量体成分(化合物)y1:200重量部、上記式(2)で表される
単量体成分(化合物)y2:100重量部、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)
(AIBN):50重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:20
0重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて5時間かけて滴下し、さらに4時間熟成
させた。その後、室温まで冷却して、単量体成分y1、y2を含み上記式(10)で表さ
れる重合体Yとしての重合体Y1を得た。
(合成例2〜7)
重合体の合成に用いる各成分(溶媒(溶剤)を含む)の種類、使用量を変更、調整し、
重合体の組成、重量平均分子量を表1に示すように変更した以外は、前記合成例1と同様
の操作を行った。その結果、6種の重合体(重合体Y2〜Y7)が得られた。
(合成例8、9)
重合体の合成に用いる各成分(溶媒(溶剤)を含む)の種類、使用量を変更、調整し、
重合体の組成、重量平均分子量を表1に示すように変更した以外は、前記合成例1と同様
の操作を行った。その結果、2種の重合体(重合体Y’1、Y’2)が得られた。
(合成例10)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ
)に、溶媒(溶剤)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:18
0重量部を入れて、85℃に加熱した。続いて、該フラスコ内に、上記式(3)で表され
る単量体成分(化合物)w1:188重量部、上記式(4)で表される単量体成分(化合
物)w2:34重量部、上記式(5)で表される単量体成分(化合物)w3:74重量部
、上記式(6)で表される単量体成分(化合物)w4:74重量部、ラジカル開始剤とし
てのアゾビスジメチルバレロニトリル:64重量部をジエチレングリコールモノブチルエ
ーテルアセテート:386重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて5時間かけて滴
下し、さらに3時間熟成させた。その後、室温まで冷却して、単量体成分w1、w2、w
3、w4を含み上記式(11)で表される重合体Wとしての重合体W1を得た。
(合成例11〜19)
重合体の合成に用いる各成分(溶媒(溶剤)を含む)の種類、使用量を変更、調整し、
重合体の組成、重量平均分子量を表1に示すように変更した以外は、前記合成例10と同
様の操作を行った。その結果、9種の重合体(重合体W2〜W10)が得られた。
(合成例20〜23)
重合体の合成に用いる各成分(溶媒(溶剤)を含む)の種類、使用量を変更、調整し、
重合体の組成、重量平均分子量を表1に示すように変更した以外は、前記合成例10と同
様の操作を行った。その結果、4種の重合体(重合体W’1〜W’4)が得られた。
(合成例24)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ
)に、溶媒(溶剤)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:31
4重量部を入れて、90℃に加熱した。続いて、ラジカル開始剤としての2,2′−アゾ
ビス(イソブチロニトリル)(AIBN):20重量部、および、ジエチレングリコール
モノブチルエーテルアセテート(溶媒):30重量部を加えた後、該フラスコ内に、上記
式(12)で表される単量体成分(化合物)x1:180重量部、上記式(13)で表さ
れる単量体成分(化合物)x2:90重量部、上記式(14)で表される単量体成分(化
合物)x3:15重量部、上記式(15)で表される単量体成分(化合物)x4:15重
量部、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):50重量部をジエチレ
ングリコールモノブチルエーテルアセテート:200重量部に溶解させた溶液を滴下ポン
プを用いて5時間かけて滴下し、さらに4時間熟成させた。その後、室温まで冷却して、
単量体成分x1、x2、x3、x4を含み上記式(16)で表される重合体Xとしての重
合体X1を得た。
(合成例25、26)
重合体の合成に用いる各成分(溶媒(溶剤)を含む)の種類、使用量を変更、調整し、
重合体の組成、重量平均分子量を表1に示すように変更した以外は、前記合成例24と同
様の操作を行った。その結果、2種の重合体(重合体X2、X3)が得られた。
(合成例27)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ
)に、溶媒(溶剤)としてのメトキシブチルアセテート:55重量部、メトキシブタノー
ル:191重量部を入れて、80℃に加熱した。続いて、該フラスコ内に、上記式(17
)で表される単量体成分(化合物)z1:276重量部、上記式(18)で表される単量
体成分(化合物)z2:51重量部、ラジカル開始剤としての:39重量部をメトキシブ
チルアセテート:360重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて5時間かけて滴下
し、さらに3時間熟成させた。
その後、フラスコ内にグリシジルメタクリレート:26重量部、メトキノン:2重量部
を加え、110℃で10時間反応させた。その後、室温まで冷却して、単量体成分z1、
z2、z3を含み上記式(20)で表される重合体Zとしての重合体Z1を得た。
(合成例28、29)
重合体の合成に用いる各成分(溶媒(溶剤)を含む)の種類、使用量を変更、調整し、
重合体の組成、重量平均分子量を表1に示すように変更した以外は、前記合成例27と同
様の操作を行った。その結果、2種の重合体(重合体Z2、Z3)が得られた。
表1には、合成例1〜29で合成した各重合体を構成する各単量体成分の比率、各重合
体の重量平均分子量Mwをまとめて示した。なお、上記のようにして合成した重合体は、
いずれも、分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が1〜3の範囲内であった
Figure 2010079230
[2]カラーフィルター用インク(カラーフィルター用インクセット)の調製
(実施例1)
酸価分散剤としてのディスパービック111と、アミン価分散剤としてのディスパービ
ック166と、重合体W1と、当該重合体W1を溶解する溶媒(カラーフィルター用イン
クにおける分散媒の構成成分)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテ
ートとを、内容量400ccの攪拌機(一軸ミキサー)に投入し、ディスパーミルで10
分間攪拌することにより、重合体W溶液を得た(重合体W溶液調製工程)。このとき、攪
拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。
次に、以下に述べるようにして、重合体W溶液調製工程で得られた重合体W溶液に、顔
料を添加し、無機ビーズを多段で添加して微分散処理を行う微分散工程を施した。
まず、得られた重合体W溶液に、顔料を添加し、10分間攪拌を行った。このとき、攪
拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。また、顔料としては
、C.I.ピグメントレッド177と上記式(7)で表される顔料誘導体との混合物と、
C.I.ピグメントレッド254と上記式(8)で表される顔料誘導体との混合物と、上
記式(9)で示される化学構造を有するスルホン化顔料誘導体の粉末とを用いた。また、
このとき、重合体W溶液と顔料との混合物中における顔料の含有率が16wt%となるよ
うに、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートで希釈した。
次に、平均粒径0.8mmの無機ビーズ(第1の無機ビーズ、ジルコニア製、「Tor
ay ceram 粉砕ボール」(商品名)、東レ株式会社製)を添加して、室温下、3
0分間攪拌し1段目の分散処理(第1の処理)を行った。このとき、攪拌機が有する攪拌
翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。
次に、フィルター(「PALL HDCII Membrane Filter」、P
ALL社製)を用いたろ過により、無機ビーズ(第1の無機ビーズ)を除去し、その後、
平均粒径0.1mmの無機ビーズ(第2の無機ビーズ、ジルコニア製、「Toray c
eram 粉砕ボール」(商品名)、東レ株式会社製)を添加し、更に30分間攪拌し第
2段目の分散処理(第2の処理)を行った。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は
、2000rpmとなるようにした。また、このとき、得られる顔料分散体中における顔
料の含有率が13wt%となるように、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテ
ートで希釈した。
その後、フィルター(「PALL HDCII Membrane Filter」(
商品名)、PALL社製)を用いたろ過により、無機ビーズ(第2の無機ビーズ)を除去
し、顔料分散体を得た。
次に、上記のようにして得られた顔料分散体に、重合体Y1および重合体X1を加え、
混合した(重合体Y混合工程)。本工程は、上記の各材料を内容量400ccの攪拌機(
一軸ミキサー)に投入し、ディスパーミルで10分間攪拌することにより行った。このと
き、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。これにより、
目的とする赤色のカラーフィルター用インク(Rインク)を得た。得られたRインクの顔
料の含有率は、7.3wt%であった。
また、顔料の種類、各成分の使用量を変更した以外は、前記赤色のカラーフィルター用
インクと同様にして、緑色のカラーフィルター用インク(Gインク)、青色のカラーフィ
ルター用インク(Bインク)を調製した。これにより、R、G、Bの3色のインクからな
るインクセットが得られた。Rインクを構成する顔料の平均粒径、Gインクを構成する顔
料の平均粒径、Bインクを構成する顔料の平均粒径は、それぞれ、70nm、70nm、
70nmであった。また、Gインクの顔料としては、C.I.ピグメントグリーン58、
上記式(9)で示される化学構造を有するスルホン化顔料誘導体の粉末を用い、最終的な
Gインク中の顔料の含有率を10.1wt%とした。また、Bインクの顔料としては、C
.I.ピグメントブルー15:6を用い、最終的なBインク中の顔料の含有率を4.9w
t%とした。
(実施例2〜11)
カラーフィルター用インクの材料の種類・含有量を表2、表3に示すように変更した以
外は、前記実施例1と同様にしてカラーフィルター用インク(インクセット)を調製した

(比較例1〜8)
カラーフィルター用インクの材料の種類・含有量を表3、表4に示すように変更した以
外は、前記実施例1と同様にしてカラーフィルター用インク(インクセット)を調製した
(比較例9)
重合体Y、重合体Xの代わりに、市販のトリスフェノールメタン型エポキシ樹脂(日本
化薬社製、EPPN−502H)を用い、重合体Wも用いなかった以外は、前記実施例と
同様にしてカラーフィルター用インク(インクセット)を調製した。
なお、上記各実施例および各比較例では、いずれも、重合体W、Z、W’を用いる場合
には、これらを重合体W溶液調製工程(またはこれに対応するタイミングで行う工程)で
用い、重合体Y、X、Y’については、重合体Y混合工程(またはこれに対応するタイミ
ングで行う工程)で用いた。
前記各実施例および各比較例でのカラーフィルター用インクの構成成分の種類、含有量
等を表2〜表4にまとめて示した。なお、表中、C.I.ピグメントレッド177を「P
R177」、C.I.ピグメントレッド254を「PR254」、C.I.ピグメントレ
ッド177と式(7)で表される顔料誘導体との混合物「PR177D」、C.I.ピグ
メントレッド254と式(8)で表される顔料誘導体との混合物「PR254D」、式(
9)で表される顔料誘導体で構成された粉末を「SPD」、C.I.ピグメントグリーン
58を「PG58」、C.I.ピグメントグリーン36を「PG36」、C.I.ピグメ
ントブルー15:6を「PB15:6」、C.I.ピグメントイエロー150を「PY1
50」、C.I.ピグメントバイオレット23を「PV23」、ディスパービック111
(酸価:50KOHmg/g)を「DA1」、ディスパービック2095(酸価:13K
OHmg/g)を「DA2」、ディスパービックP104(酸価:360KOHmg/g
)を「DA3」、ディスパービック166(アミン価:115KOHmg/g)を「DA
4」、ディスパービック9075(アミン価:12KOHmg/g)を「DA5」、ソル
スパース41000を「DA6」、ディスパービックLPN6919を「DA7」、ヒノ
アクトT8000Eを「DA8」、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
を「S1」、1,3−ブチレングリコールジアセテートを「S2」、2−(2−メトキシ
−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテートを「S3」、ビス(2−ブトキシ
エチル)エーテルを「S4」、3−エトキシプロピオン酸エチルを「S5」、メトキシブ
チルアセテートを「S6」、メトキシブタノールを「S7」、トリスフェノールメタン型
エポキシ樹脂(日本化薬社製、EPPN−502H)を「R1」で示した。なお、分散剤
の酸価は、DIN EN ISO 2114に準拠する方法により求め、アミン価は、D
IN 16945に準拠する方法により求めた。また、表中、「粘度」の欄には、振動式
粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定されたカラーフィルター用インクの
25℃における粘度を示した。
なお、各実施例および各比較例で用いた、C.I.ピグメントレッド177と式(7)
で表される顔料誘導体との混合物中における式(7)で表される顔料誘導体の含有率は、
いずれも、0.1〜10wt%であった。また、前記実施例および比較例で用いた、C.
I.ピグメントレッド254と式(8)で表される顔料誘導体との混合物中における式(
8)で表される顔料誘導体の含有率は、いずれも、0.1〜10wt%であった。
Figure 2010079230
Figure 2010079230
Figure 2010079230
[3]液滴吐出の安定性評価(吐出安定性評価)
[3.1]着弾位置精度評価
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図3〜図6に示すような液滴吐出装置
および前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用意し、ピエゾ
素子の駆動波形を最適化した状態で、各インクについて、液滴吐出ヘッドの各ノズルから
、500000発(500000滴)の液滴の連続吐出を行った。液滴吐出ヘッドの中央
部付近の指定したノズルから吐出された500000発の液滴について、着弾した各液滴
の中心位置の中心狙い位置からのズレ量dの平均値を求め、以下の4段階の基準に従い、
評価した。なお、ズレ量dの平均値としては、3色のインクについて得られた値の平均値
を採用した。この値が小さいほど飛行曲がりの発生が効果的に防止されていると言える。
A:ズレ量dの平均値が0.06μm未満。
B:ズレ量dの平均値が0.06μm以上0.12μm未満。
C:ズレ量dの平均値が0.12μm以上。0.16μm未満。
D:ズレ量dの平均値が0.16μm以上。
[3.2]液滴吐出量の安定性評価
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図3〜図6に示すような液滴吐出装置
および前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用意し、ピエゾ
素子の駆動波形を最適化した状態で、各インクについて、液滴吐出ヘッドの各ノズルから
、500000発(500000滴)の液滴の連続吐出を行った。液滴吐出ヘッドの左右
両端の指定の2つのノズルについて、吐出された液滴の総重量を求め、上記2つのノズル
から吐出された液滴の平均吐出量の差の絶対値ΔW[ng]を求めた。このΔWの、液滴
の目標吐出量W[ng]に対する比率(ΔW/W)を求め、以下の4段階の基準に従
い、評価した。ΔW/Wの値が小さいほど、液滴吐出量の安定性に優れていると言える
。なお、ΔW/Wの値としては、3色のインクについて得られた値の平均値を採用した

A:ΔW/Wの値が、0.065未満。
B:ΔW/Wの値が、0.065以上0.450未満。
C:ΔW/Wの値が、0.450以上0.780未満。
D:ΔW/Wの値が、0.780以上。
[3.3]間欠印字性能評価
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図3〜図6に示すような液滴吐出装置
および前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用意し、ピエゾ
素子の駆動波形を最適化した状態で、各インクについて、液滴吐出ヘッドの各ノズルから
、10000発(10000滴)の液滴の連続吐出を行い、その後、180秒間、液滴の
吐出を中断した(1シーケンス目)。その後、同様に、液滴の連続吐出、および、滴々の
吐出の中断の操作を繰り返し行った。液滴吐出ヘッドの中央部付近の指定したノズルにつ
いて、1シーケンス目に吐出された液滴の平均重量W[ng]と、40シーケンス目に
吐出された液滴の平均重量W40[ng]とを求めた。そして、WとW40との差の絶
対値の、液滴の目標吐出量W[ng]に対する比率(|W−W40|/W)を求め
、以下の3段階の基準に従い、評価した。|W−W40|/Wの値が小さいほど、間
欠印字性能(液滴吐出量の安定性)に優れていると言える。なお、|W−W40|/W
の値としては、3色のインクについて得られた値の平均値を採用した。
A:|W−W40|/Wの値が、0.050未満。
B:|W−W40|/Wの値が、0.050以上0.680未満。
C:|W−W40|/Wの値が、0.680以上。
[3.4]連続吐出試験
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図3〜図6に示すような液滴吐出装置
、前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用いて、25℃、3
0%RHの環境下で、液滴吐出装置を96時間、連続で運転させることにより、カラーフ
ィルター用インクセットを構成する各インクの吐出を行った。
連続運転後における、液滴吐出ヘッドを構成するノズルの目詰まりの発生率([(目詰
まりノズル数)/(全ノズル数)]×100)を求め、ノズルの目詰まりが発生している
ものについては、可塑材料で構成されたクリーニング部材により、目詰まりの解消が可能
であるか否かを調べた。その結果を、以下の4段階の基準に従い、評価した。なお、ノズ
ルの目詰まりの発生率の値としては、3色のインクについて得られた値の平均値を採用し
た。
A:ノズルの目詰まりの発生がない。
B:ノズルの目詰まりの発生率が0.5%未満(ただし、ゼロを除く)であり、かつ
、クリーニングによる目詰まりの解消が可能。
C:ノズルの目詰まりの発生率が0.5%以上1.0%未満であり、かつ、クリーニ
ングによる目詰まりの解消が可能。
D:ノズルの目詰まりの発生率が1.0%以上、または、クリーニングによる目詰ま
りの解消が不可能。
なお、上記の評価は、各実施例および各比較例について、同様の条件で行った。
[4]カラーフィルター用インクの保存性評価(長期安定性評価)
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクについて、60℃の環境下に
、28日間放置した後、目視による観察を行い、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:加熱前からの変化が全く認められない。
B:顔料粒子の凝集・沈降がほとんど認められない。
C:顔料粒子の凝集・沈降がわずかに認められる。
D:顔料粒子の凝集・沈降がはっきりと認められる。
E:顔料粒子の凝集・沈降が顕著に認められる。
[5]カラーフィルターの製造
前記各実施例および各比較例で調製したカラーフィルター用インク(インクセット)を
用いて、以下のようにして、カラーフィルターを製造した。
まず、両面にナトリウムイオンの溶出を防止するシリカ(SiO)膜が形成されたソ
ーダガラス製の基板(G5サイズ:1100×1300mm)を用意し、洗浄処理を施し
た。
次に、カーボンブラックを含む隔壁形成用の感放射線性組成物を、洗浄済の基板の一方
の面の全体に付与し、塗膜を形成した。
次に、加熱温度:110℃、加熱時間:120秒という条件でプリベーク処理を行った

その後、フォトマスクを介して、放射線を照射して、ポストエキスポジャーベーク処理
(PEB)を行い、引き続き、アルカリ現像液を用いた現像処理を行い、さらに、ポスト
ベーク処理を行うことにより、隔壁を形成した。PEBは、加熱温度:110℃、加熱時
間:120秒、放射線照射強度:150mJ/cmという条件で行った。また、現像処
理は、例えば、振動浸漬法により行った。現像処理時間は、60秒とした。また、ポスト
ベーク処理は、加熱温度:150℃、加熱時間:5分という条件で行った。形成された隔
壁の厚さは、1.6μmであった。
次に、図3〜図6に示すような液滴吐出装置を用いて、隔壁で囲まれた領域としてのセ
ル内に、カラーフィルター用インクを吐出した。この際、3色のカラーフィルター用イン
クを用い、各色のカラーフィルター用インクが混色しないようにした。各セル内には、形
成される着色部の平均厚さが1.6μmとなるような量のカラーフィルター用インクを付
与した。
その後、ホットプレート上にて80℃で20分間の加熱処理を施した(第1の加熱処理
)。
さらに230℃のオーブン内で60分加熱処理を施すことにより(第2の加熱処理)、
3色(赤色(R)、緑色(G)、青色(B))の着色部が形成された。その後、N−メチ
ル−2−ピロリドンおよびγ−ブチロラクトンを用いた洗浄を行い、図1に示すようなカ
ラーフィルターが得られた。
上記のような方法を用いて、各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(イ
ンクセット)を用いて、それぞれ、7000枚のカラーフィルターを製造した。
[6]カラーフィルターの評価
上記のようにして得られた各カラーフィルターを用いて、以下のような評価を行った。
[6.1]着色部の平坦性
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて製
造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、31枚目に製造されたカラーフィルターを
用意した。
これらのカラーフィルターについて、触針式粗さ計(Tencor社製、P−15)を
用いて、着色部の最大高さと最小高さとの差ΔDを求め、以下の3段階の基準に従い、評
価した。
A:ΔDが0.22μm未満。
B:ΔDが0.22μm以上0.48μm未満。
C:ΔDが0.48μm以上。
[6.2]コントラスト比の評価
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて製
造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、7000枚目に製造されたカラーフィルタ
ーを用いて、同条件で図7に示すような液晶表示装置を製造した。
これらの液晶表示装置を用いて、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示を
行い、コントラストテスター(壺坂電機社製、CT−1)を用いて、単色表示を行ってい
ない場合と比較してのコントラスト比(CR)を求め、下記のようにして評価を行った。
赤色の単色表示の場合、以下の4段階の基準に従い、評価した。
A:CRが2800以上。
B:CRが2100以上2800未満。
C:CRが1800以上2100未満。
D:CRが1800未満。
緑色の単色表示の場合、以下の4段階の基準に従い、評価した。
A:CRが3700以上。
B:CRが3200以上3700未満。
C:CRが2900以上3200未満。
D:CRが2900未満。
青色の単色表示の場合、以下の4段階の基準に従い、評価した。
A:CRが3000以上。
B:CRが2600以上3000未満。
C:CRが2300以上2600未満。
D:CRが2300未満。
[6.3]色むら、濃度むら
[6.2]で製造した前記各実施例および各比較例の液晶表示装置について、暗室で、
赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示、白色の単色表示を行った状態で目視
による観察を行い、各部位での色むら、濃度むらの発生状況を、以下の5段階の基準に従
い、評価した。
A:色むら、濃度むらが全く認められない。
B:色むら、濃度むらがほとんど認められない。
C:色むら、濃度むらがわずかに認められる。
D:色むら、濃度むらがはっきりと認められる。
E:色むら、濃度むらが顕著に認められる。
[6.4]個体間での特性差
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて製
造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、1〜20枚目、および、6980〜699
9枚目に製造されたカラーフィルターを用意し、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表
示、青色の単色表示、白色の単色表示を行い、分光光度計(大塚電子社製、MCPD30
00)を用いて測色した。その結果から、各実施例および各比較例について、それぞれ、
1〜20枚目、6980〜6999枚目に製造されたカラーフィルター(合計40枚のカ
ラーフィルター)で最大となる色差(Lab表示系での色差ΔE)を求め、以下の5段階
の基準に従い、評価した。
A:色差(ΔE)が1.7未満。
B:色差(ΔE)が1.7以上2.7未満。
C:色差(ΔE)が2.7以上3.7未満。
D:色差(ΔE)が3.7以上4.7未満。
E:色差(ΔE)が4.7以上。
[6.5]ヒートサイクル試験
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて製
造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、21〜30枚目に製造されたカラーフィル
ターを用いて、同条件で図7に示すような液晶表示装置を製造した。
これらの液晶表示装置を用いて、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単
色表示を行った状態で目視による観察を行い、光漏れ(白抜け、輝点)が発生していない
ことを確認した。
次に、上記の液晶表示装置からカラーフィルターを取り外した。
取り外した各カラーフィルターを、20℃の環境下に1.5時間、次いで、70℃の環
境下に2.5時間、次いで、20℃の環境下に1.5時間、次いで、−25℃の環境下に
2.5時間静置した。その後、再び、環境温度を20℃に戻し、これを1サイクル(8時
間)とし、このサイクルを合計30回繰り返した(合計240時間)。
その後、これらのカラーフィルターを用いて、再び、図7に示すような液晶表示装置を
組み立てた。
これらの液晶表示装置を用いて、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単
色表示を行った状態で目視による観察を行い、光漏れ(白抜け、輝点)の発生状況を、以
下の5段階の基準に従い、評価した。
A:光漏れ(白抜け、輝点)の発生したカラーフィルターはない。
B:1〜2枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
C:3〜5枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
D:6〜9枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
E:10枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
[7]耐熱性評価
各カラーフィルター用インクを用いて、それぞれ、厚さ0.7mmのガラス基板上に、
スピンコートにより塗布した。インクの付与量は、乾燥膜厚が1.6μmとなるように設
定した。
次に、これらの試験片を、クリーンオーブン内で230℃で1時間加熱した。
次に、230℃での加熱処理を施した試験片について、分光光度計(大塚電子社製、M
CPD3000)を用いて測色した。
その後さらに、これらの試験片を、クリーンオーブン内で250℃で1時間加熱した。
ここで、250℃での加熱処理を施した試験片について、分光光度計(大塚電子社製、
MCPD3000)を用いて測色した。
これらの結果から、各試験片についての、加熱処理(250℃での加熱処理)の前後で
の色差(Lab表示系での色差ΔE)を求め、以下の3段階の基準に従い、評価した。
○:色差(ΔE)が1未満。
△:色差(ΔE)が1以上3未満。
×:色差(ΔE)が3以上。
[8]カラーフィルター用インクを用いて形成した着色膜の評価
各カラーフィルター用インクを用いて、以下のようにして、下記の試験に用いる多数枚
の試験片(試験板)を作製した。
まず、各インクを用いて、それぞれ、厚さ0.7mmのガラス基板上に、スピンコート
により塗布した。インクの付与量は、乾燥膜厚が1.6μmとなるように設定した。
次に、90℃のホットプレート上で10分間プリベークを行った。その後、クリーンオ
ーブン内で、200℃で30分間加熱してポストベークを行い、更に240℃で30分加
熱してポストベークを行い、着色膜を有する試験片(試験板)を得た。
[8.1]耐溶剤性評価
前記各実施例および各比較例の各色の試験片について、分光光度計(大塚電子社製、M
CPD3000)を用いて測色した。
次に、これらの試験片を、50℃の溶剤中に10分間浸漬し、その後、同様に、分光光
度計(大塚電子社製、MCPD3000)を用いて測色した。
これらの結果から、各試験片についての、溶剤の浸漬前後での色差(Lab表示系での
色差ΔE)を求め、以下の2段階の基準に従い、評価した。
○:色差(ΔE)が3未満。
×:色差(ΔE)が3以上。
溶剤としては、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、イソプロピルアルコール(IPA)
、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、0.5N塩酸(HCl)、0.5N水酸化ナ
トリウム水溶液(NaOH)を用いた。
[8.2]耐光性評価
前記各実施例および各比較例の各色の試験片について、分光光度計(大塚電子社製、M
CPD3000)を用いて測色した。
次に、40℃、60%RHの環境下で、これらの試験片に対し、キセノンフェードメー
ターを用いて光照射を行い、その後、同様に、分光光度計(大塚電子社製、MCPD30
00)を用いて測色した。照射条件は、320W/m×200時間とした。このときの
ブラックパネル温度は50℃とした。
これらの結果から、各試験片についての、光照射前後での色差(Lab表示系での色差
ΔE)を求め、以下の3段階の基準に従い、評価した。
○:色差(ΔE)が1未満。
△:色差(ΔE)が1以上3未満。
×:色差(ΔE)が3以上。
[8.3]基板に対する密着性評価
まず、前記各実施例および各比較例の各色の試験片の着色膜に、カッターで直交する縦
横11本ずつの切り傷を1mm間隔でつけた。さらに、セロハンテープをパターンに指で
軽く密着させすばやくテープを剥がし、傷の状態を観察し、以下の5段階の基準に従い、
評価した。
A:切り傷の交線にわずかな剥がれがあり、欠損部の面積は全正方形面積の5%未満

B:切り傷の交線に剥がれがあり、欠損部の面積は全正方形面積5%以上15%未満

C:切り傷による剥がれの幅が広く、欠損部の面積が全正方形面積の15%以上35
%未満。
D:切り傷による剥がれの幅が4点より広く、欠損部の面積は全正方形面積の35%
以上65%未満。
E:剥がれの面積は、全正方形面積の65%以上。
[8.4]ITO膜の密着性評価
まず、前記各実施例および各比較例の各色の試験片を、イソプロピルアルコールに5分
間浸漬させ、次いでイソプロピルアルコール蒸気にて乾燥を行い洗浄した。
その後、基板設定温度200℃にて、6×10−3Torrの真空下でITO(酸化イ
ンジウムスズ)膜を120nmの厚さになるように成膜した。
180℃×60分間の耐熱試験後、ITO膜の表面粗度(Ra)をAFMで測定し、以
下の3段階の基準に従い、評価した。なお、AFMとしては、日本ビーコ株式会社のNa
noScopeIIIaを用いた。
○:ITO膜にしわやクラック等の異常が全く観測されなかった。
△:ITO膜にしわやクラック等の異常が数点観測された。
×:ITO膜にしわやクラック等の異常が全面に観測された。
これらの結果を表5〜表10に示す。
Figure 2010079230
Figure 2010079230
Figure 2010079230
Figure 2010079230
Figure 2010079230
Figure 2010079230
表5〜表10から明らかなように、本発明では、液滴吐出の安定性(吐出安定性)、保
存安定性(長期保存性)に優れており、製造されたカラーフィルターは、混色、色むら、
濃度むらの発生が抑制されており、コントラスト比や耐久性に優れていた。また、本発明
では、カラーフィルターの個体間での特性のばらつきも小さいものであった。また、本発
明では、形成された着色部が十分な硬度を有するものであった。また、本発明では、カラ
ーフィルター用インクを用いて形成される着色膜(着色部)の耐溶剤性、耐熱性、耐光性
、基板に対する密着性、ITO膜の密着性にも優れていることが確認された。
これに対し、各比較例では、満足な結果が得られなかった。
また、市販の液晶テレビを分解し、液晶表示装置部分を、上記のようにして製造したも
のと交換して、上記と同様の評価を行ったところ、上記と同様な結果が得られた。
本発明のカラーフィルターの好適な実施形態を示す断面図である。 カラーフィルターの製造方法を示す断面図である。 カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置を示す斜視図である。 図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出手段をステージ側から観察した図である。 図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドの底面を示す図である。 図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドを示す図であり、(a)は断面斜視図、(b)は断面図である。 液晶表示装置の実施形態を示す断面図である。 本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。 本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。 本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。
符号の説明
1…カラーフィルター 11…基板 12…着色部 12A…第1の着色部 12B…
第2の着色部 12C…第3の着色部 13…隔壁 14…セル 2…カラーフィルター
用インク 3…塗膜 60…液晶表示装置 61…共通電極 62…液晶層 63、64
…配向膜 65…画素電極 66…基板(対向基板) 67、68…偏光板 100…液
滴吐出装置 101…タンク 102…吐出走査部 103…液滴吐出手段 104…第
1位置制御装置 105…キャリッジ 106…ステージ 108…第2位置制御装置
110…チューブ 112…制御手段 114…液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド
) 116A、116B…ノズル列 118…ノズル 120…キャビティ 122…隔
壁 124…振動子 124A、124B…電極 124C…ピエゾ素子 126…振動
板 127…吐出部 128…ノズルプレート 129…液たまり 130…供給口 1
31…孔 1000…画像表示装置 1100…パーソナルコンピュータ 1102…キ
ーボード 1104…本体部 1106…表示ユニット 1200…携帯電話機 120
2…操作ボタン 1204…受話口 1206…送話口 1300…ディジタルスチルカ
メラ 1302…ケース(ボディー) 1304…受光ユニット 1306…シャッタボ
タン 1308…回路基板 1312…ビデオ信号出力端子 1314…データ通信用の
入出力端子 1430…テレビモニタ 1440…パーソナルコンピュータ

Claims (15)

  1. インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるカラーフィルター用イ
    ンクであって、
    顔料と、樹脂材料と、前記顔料が分散する分散媒とを含み、
    前記樹脂材料が、下記式(1)で表される単量体成分y1と下記式(2)で表される単
    量体成分y2とを含む重合体Yと、下記式(3)で表される単量体成分w1と下記式(4
    )で表される単量体成分w2と下記式(5)で表される単量体成分w3と下記式(6)で
    表される単量体成分w4とを含む重合体Wとを含むものであることを特徴とするカラーフ
    ィルター用インク。
    Figure 2010079230
    Figure 2010079230
    Figure 2010079230
    Figure 2010079230
    Figure 2010079230
    Figure 2010079230
  2. 前記重合体Yを構成する全成分に占める前記単量体成分y1の含有率が、30〜90w
    t%であり、
    前記重合体Yを構成する全成分に占める前記単量体成分y2の含有率が、10〜70w
    t%である請求項1に記載のカラーフィルター用インク。
  3. 前記重合体Wを構成する全成分に占める前記単量体成分w1の含有率が、25〜75w
    t%であり、
    前記重合体Wを構成する全成分に占める前記単量体成分w2の含有率が、2〜25wt
    %であり、
    前記重合体Wを構成する全成分に占める前記単量体成分w3の含有率が、5〜50wt
    %であり、
    前記重合体Wを構成する全成分に占める前記単量体成分w4の含有率が、3〜40wt
    %である請求項1または2に記載のカラーフィルター用インク。
  4. カラーフィルター用インク中における前記重合体Yの含有率をC[wt%]、カラー
    フィルター用インク中における前記重合体Wの含有率をC[wt%]としたとき、0.
    3≦C/C≦9.0の関係を満足する請求項1ないし3のいずれかに記載のカラーフ
    ィルター用インク。
  5. 前記重合体Yの重量平均分子量が1000〜50000である請求項1ないし4のいず
    れかに記載のカラーフィルター用インク。
  6. 前記重合体Wの重量平均分子量が5000〜50000である請求項1ないし5のいず
    れかに記載のカラーフィルター用インク。
  7. 前記分散媒として、1,3−ブチレングリコールジアセテート、ビス(2−ブトキシエ
    チル)エーテル、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテ
    ートおよびジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートよりなる群から選択され
    る1種または2種以上を含む請求項1ないし6のいずれかに記載のカラーフィルター用イ
    ンク。
  8. 前記顔料として、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド177
    、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグ
    メントバイオレット23、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエ
    ロー150およびこれらの誘導体よりなる群から選択される1種または2種以上を含む請
    求項1ないし7のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
  9. 下記式(3)で表される単量体成分w1と下記式(4)で表される単量体成分w2と下
    記式(5)で表される単量体成分w3と下記式(6)で表される単量体成分w4とを含む
    重合体Wが溶剤に溶解した重合体W溶液を調製する重合体W溶液調製工程と、
    前記重合体W溶液に顔料を添加し、無機ビーズを多段で添加して微分散処理を行い、顔
    料分散体を得る微分散工程と、
    前記顔料分散体と、下記式(1)で表される単量体成分y1と下記式(2)で表される
    単量体成分y2とを含む重合体Yとを混合する重合体Y混合工程とを有することを特徴と
    するカラーフィルター用インクの製造方法。
    Figure 2010079230
    Figure 2010079230
    Figure 2010079230
    Figure 2010079230
    Figure 2010079230
    Figure 2010079230
  10. カラーフィルターの製造に用いられるインクを複数種備えたカラーフィルター用インク
    セットであって、
    カラーフィルター用インクセットを構成する複数種の前記インクのうち少なくとも1種
    が、請求項1ないし8のいずれかに記載のカラーフィルター用インクであることを特徴と
    するカラーフィルター用インクセット。
  11. 請求項1ないし8のいずれかに記載のカラーフィルター用インクを用いて製造されたこ
    とを特徴とするカラーフィルター。
  12. 請求項10に記載のカラーフィルター用インクセットを用いて製造されたことを特徴と
    するカラーフィルター。
  13. 請求項11または12に記載のカラーフィルターを備えたことを特徴とする画像表示装
    置。
  14. 画像表示装置は、液晶パネルである請求項13に記載の画像表示装置。
  15. 請求項13または14に記載の画像表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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