JP2010101202A - 可変容量型圧縮機 - Google Patents

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Takashi Sumikawa
俊 澄川
Masakazu Murase
正和 村瀬
Junya Suzuki
潤也 鈴木
Hisaya Yokomachi
尚也 横町
Toru Onishi
徹 大西
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Abstract

【課題】クランク室内のオイルが滑り軸受と回転軸との隙間から排出されてしまうことを抑制し、クランク室内のオイルが不足してしまうことを防止することができる可変容量型圧縮機を提供する。
【解決手段】圧縮機のハウジングHには、第2軸孔11a及び第1軸孔が形成されるとともに、回転軸16は第1軸孔内のローラベアリング、及び第2軸孔11a内のプレーンベアリング18によって回転可能に支持されている。プレーンベアリング18の内周面には、回転軸16の回転に伴いプレーンベアリング18の内周面と回転軸16の外周面との間のオイルをクランク室15に戻す螺旋溝18aが形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、可変容量型圧縮機に関する。
例えば、斜板式の可変容量型圧縮機では、給気通路を介して吐出室(吐出圧領域)の冷媒ガスがクランク室に供給されるとともに、抽気通路を介してクランク室の冷媒ガスが吸入室(吸入圧領域)に放出されてクランク室内の圧力が調整される。そして、クランク室の圧力が高められると斜板の傾角が減少して可変容量型圧縮機の吐出容量が減り、クランク室の圧力が低下させられると斜板の傾角が増大して吐出容量が増えるようになっている。また、一般に、可変容量型圧縮機においては、クランク室内に貯留されたオイルが冷媒ガスとともに各摺動部へ供給されて各摺動部が潤滑される。
しかし、可変容量型圧縮機においては、回転軸の回転に伴いクランク室内のオイルが回転軸の径方向外側へ押しやられ、クランク室の壁面付近は、オイルが多い領域となる。ここで、抽気通路がハウジングを構成するシリンダブロックに形成されていると、抽気通路のクランク室側の開口は、クランク室の壁面に形成されることとなる。すると、クランク室の壁面付近のオイルが抽気通路から吸入圧領域へ排出されやすくなってしまう。
そこで、例えば、特許文献1に開示の斜板式圧縮機のように、回転軸(特許文献1では駆動シャフト)内に抽気通路(特許文献1では排出通路)が形成されたものを用いることが考えられる。回転軸内に抽気通路が形成されていると、回転する回転軸の径方向外側へ飛ばされるオイルは抽気通路への進入が抑制されるため、抽気通路から吸入圧領域へのオイルの排出量を抑え、クランク室にオイルを溜めることができる。
特開2006−233952号公報
ところで、回転軸内の抽気通路は、一端がクランク室に向けて開口し、他端が吸入圧領域に向けて開口している。このため、抽気通路の他端が開口する回転軸の端部は吸入圧領域内に配置されるとともに、この回転軸の端部を回転可能に支持する軸受は、クランク室と吸入圧領域との間に配置されている。この軸受として、特許文献1にはプレーンベアリング(滑り軸受)を用いたものが開示されている。しかし、特許文献1においては、クランク室内と吸入圧領域内との圧力差によって、クランク室内の冷媒ガスがプレーンベアリングの内周面と、この内周面に対向する回転軸の外周面との間に形成される隙間(クリアランス)を介して吸入圧領域へ排出されてしまう。そして、隙間を介したクランク室から吸入圧領域への冷媒ガスの排出とともに、オイルがクランク室から吸入圧領域へ排出されてしまうという問題があった。その結果として、クランク室内のオイルが減少してしまう。
本発明の目的は、クランク室内のオイルが滑り軸受と回転軸との隙間から排出されてしまうことを抑制し、クランク室内のオイルが不足してしまうことを防止することができる可変容量型圧縮機を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ハウジングの内部に区画されたクランク室と、前記ハウジングの後側に形成された吐出室及び吸入室とを有し、前記ハウジングの前側に形成された第1軸孔内の軸受によって、回転軸の一端側が回転可能に支持されるとともに、前記ハウジングの後側に形成された第2軸孔内の軸受によって、前記回転軸の他端側が回転可能に支持され、給気通路を介して吐出圧領域の冷媒ガスが前記クランク室に供給されるとともに、抽気通路を介して前記クランク室の冷媒が吸入圧領域に放出されて前記クランク室内の圧力が調整され、該クランク室内の圧力調整によって吐出容量が制御される可変容量型圧縮機であって、前記第2軸孔内の軸受は滑り軸受であるとともに、前記滑り軸受の内周面、及び該内周面に対向する前記回転軸の外周面のうちの少なくとも一方に、前記回転軸の回転に伴い前記滑り軸受の内周面と前記回転軸の外周面との間のオイルを前記クランク室に戻す螺子溝が形成されていることを要旨とする。
この発明によれば、クランク室と吸入圧領域との圧力差により、クランク室から吸入圧領域へ向けて冷媒ガスと共にオイルが、回転軸の外周面と滑り軸受の内周面との隙間を流れても、螺子溝による流体ポンプ作用によって隙間に流入したオイルの一部をクランク室側へ押し戻すことができる。このため、螺子溝が形成されない場合に比して、回転軸の外周面と滑り軸受の内周面との隙間を介して、クランク室から吸入圧領域へ排出されるオイル量を減らすことができ、クランク室内のオイルが不足してしまうことを防止することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記回転軸は、クラッチレス機構よりなる動力伝達機構を介して外部駆動源から回転駆動力を得るとともに、前記第1軸孔の内周面と前記回転軸の外周面との間に、前記ハウジング外への前記回転軸に沿った冷媒ガスの漏洩を防止するシール部材が設けられ、前記ハウジングに、前記クランク室内の冷媒ガスに含まれるオイルを前記第1軸孔内の前記シール部材へ送るためのオイル通路が形成されるとともに、前記第1軸孔と前記吸入圧領域とを連通する軸内通路が前記回転軸内に形成され、前記オイル通路、前記第1軸孔及び前記軸内通路から前記抽気通路が形成されるとともに、前記抽気通路上に前記シール部材が配設されていることを要旨とする。
クラッチレス可変容量型圧縮機は、外部駆動源の駆動時は常に回転軸が回転するため、シール部材と回転軸との潤滑を良好にする必要がある。シール部材は抽気通路上に配設されているため、クランク室から吸入圧領域へ冷媒ガスが放出される際に、冷媒ガス中のオイルがシール部材に供給される。螺子溝によってクランク室にオイルを溜めることができるため、螺子溝がない場合と比較して、より多くのオイルを供給でき、シール部材と回転軸との潤滑を良好にできる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記回転軸において、前記滑り軸受のクランク室側の端面に対応する位置から該クランク室側へ所定距離離れた位置に攪拌部材が設けられていることを要旨とする。
この発明によれば、回転軸の回転に伴って攪拌部材が回転することによりクランク室内の冷媒ガスが攪拌される。すると、攪拌部材の攪拌によりクランク室内に冷媒ガスの旋回流が発生するとともに、この旋回流により冷媒ガスに含まれるオイルが回転軸の径方向外側へ向けて飛ばされる。よって、冷媒ガス、及び該冷媒ガスに含まれるオイルが滑り軸受へ向けて流れることが抑制され、回転軸の外周面と滑り軸受の内周面との隙間へのオイルの流入が妨げられる。したがって、螺子溝に加え、攪拌部材を回転軸に設けることにより、隙間を介してクランク室から吸入圧領域へ排出されるオイル量を効果的に減らすことができる。
この発明によれば、クランク室内のオイルが滑り軸受と回転軸との隙間から排出されてしまうことを抑制し、クランク室内のオイルが不足してしまうことを防止することができる。
(第1の実施形態)
以下、本発明を斜板式のクラッチレス可変容量型圧縮機に具体化した第1の実施形態を図1及び図2にしたがって説明する。なお、図1において、クラッチレス可変容量型圧縮機10(以下、単に「圧縮機」と記載する)の「前」及び「後」は、図1に示す矢印Y1の方向を前後方向とする。
図1に示すように、圧縮機10は、シリンダブロック11と、その前端に接合されたフロントハウジング12と、シリンダブロック11の後端に弁・ポート形成体13を介して接合されたリヤハウジング14とを備えている。そして、シリンダブロック11、フロントハウジング12及びリヤハウジング14は、圧縮機10のハウジングHを構成している。ハウジングHの内部において、シリンダブロック11とフロントハウジング12とで囲まれた領域には、クランク室15が区画されている。また、フロントハウジング12及びシリンダブロック11の中央には、回転軸16が回転可能に支持されている。
この回転軸16は前側(一端側)がフロントハウジング12の中央部に形成された第1軸孔12bに挿入されるとともに、第1軸孔12b内に配設された軸受としてのローラベアリング17によって回転可能に支持されている。また、回転軸16の後側(他端側)はシリンダブロック11の中央部に形成された第2軸孔11aに挿入されるとともに、第2軸孔11a内に配設された滑り軸受としてのプレーンベアリング18によって回転可能に支持されている。
回転軸16の前端部はフロントハウジング12から外部に突出するように配置されている。回転軸16におけるフロントハウジング12からの突出端には、外部駆動源としての車両のエンジンEが作動連結されている。エンジンEの回転駆動力は、図示しないクラッチレス機構よりなる動力伝達機構を介して回転軸16に伝えられるとともに、エンジンEが作動している状態では、回転軸16がエンジンEから常に回転駆動力を得て回転する。
フロントハウジング12内におけるローラベアリング17の前方には、第1軸孔12bの内周面と、この内周面に対向する回転軸16の外周面との間をシールするシール部材としてのリップシール28が設けられている。第1軸孔12b内には、リップシール28とローラベアリング17とを隔てる隔壁Kが設けられている。隔壁Kは中空の円板状であり、隔壁Kの内周面と、その内周面に対向する回転軸16の外周面との間には隙間Aが形成されている。第1軸孔12bは、この隔壁Kによって、リップシール28側であるシール部材側30aと、ローラベアリング17側である軸受側30bとに区画されている。
フロントハウジング12には、図1において二点鎖線で示す第1通路31及び第2通路32が形成されている。第1通路31の一端はクランク室15に連通しているとともに、第1通路31の他端は第1軸孔12bにおけるシール部材側30aに連通している。このように構成される第1通路31によって、クランク室15と、第1軸孔12bにおけるシール部材側30aとが連通している。
第2通路32の一端はクランク室15に連通しているとともに、第2通路32の他端は第1軸孔12bにおける軸受側30bに連通している。このように構成される第2通路32によって、クランク室15と、第1軸孔12bにおける軸受側30bとが連通している。したがって、クランク室15の冷媒ガスは、第1通路31、第1軸孔12bにおけるシール部材側30a、隙間A、第1軸孔12bにおける軸受側30b及び第2通路32を介してクランク室15に戻されるようになっている。
クランク室15内におけるローラベアリング17の後方には、回転軸16の外周面に固定されたラグプレート19が設けられており、このラグプレート19は、回転軸16と一体となって回転するようになっている。ラグプレート19とフロントハウジング12の内部側壁面12hとの間には、スラストベアリング22が設けられており、ラグプレート19はフロントハウジング12に対して回転自在に支持されている。
ラグプレート19の後方には、斜板23が、回転軸16の軸方向に傾動可能かつスライド可能に設けられている。斜板23には連結部23aが突出して設けられており、連結部23aの先端にはガイドピン24が取り付けられている。ガイドピン24はラグプレート19のガイド孔19aに係合しており、斜板23はラグプレート19と同期回転するようになっている。また、斜板23には、回転軸16を中心とする円周上に配置された複数のピストン25が、シュー26を介して連結されている。ピストン25は、シリンダブロック11に形成されたシリンダボア27内に往復動可能に収容されるとともに、斜板23が回転することにより、ピストン25はシリンダボア27内を往復動するようになっている。
リヤハウジング14の中央部には、吐出圧領域たる吐出室35が形成されるとともに、この吐出室35は図示しない吐出開口を介して外部の冷媒回路に接続されている。また、リヤハウジング14の外周部には、吸入圧領域たる吸入室36が環状に形成されるとともに、図示しない吸入開口を介して外部の冷媒回路に接続されている。すなわち、ハウジングHの後側に吐出室35及び吸入室36が形成されている。弁・ポート形成体13には、シリンダボア27毎に、シリンダボア27を吸入室36に連通するための吸入ポート36a及び図示しない吸入弁と、シリンダボア27を吐出室35に連通するための吐出ポート35a及び図示しない吐出弁が形成されている。
上記回転軸16は、後端が開口した中空円筒形の第1回転軸16aの内側に、前後両端が開口した中空円筒形の第2回転軸16bが圧入される構造となっている。第2回転軸16bの前端側において、第1回転軸16aの内周面と第2回転軸16bの外周面との間には、Oリング16cが挟持されている。また、第1回転軸16aの内周側及び第2回転軸16bの内周側には第1の回転軸内通路20が形成されるとともに、第1回転軸16aの内周面と第2回転軸16bの外周面との間には第2の回転軸内通路21が形成されている。
また、シリンダブロック11の後側には、第2軸孔11aに連通する開口部41がシリンダブロック11の後端面から凹設されるとともに、この開口部41内に回転軸16の後端部が配置されている。そして、第1の回転軸内通路20の後端側及び第2の回転軸内通路21の後端側それぞれは開口部41に向けて開口し、連通している。また、回転軸16における第2回転軸16bの後端部の外周にはリップシール44が配設されている。
このリップシール44により、開口部41は、第1の回転軸内通路20に連通する第1の領域41aと、第2の回転軸内通路21に連通する第2の領域41bとに区画されている。なお、第2の領域41bは、第2軸孔11aの後端に連通するとともに、第2軸孔11aの前端はクランク室15に連通している。
また、第1の領域41aには、シリンダブロック11に設けられた通路40の一端が連通するとともに、この通路40の他端には弁・ポート形成体13に形成された通路39の一端が連通している。さらに、この通路39の他端には、リヤハウジング14に形成された通路38の一端が連通するとともに、通路38の他端は制御弁37に連通している。この制御弁37は、クランク室15内の内圧(クランク圧Pc)を制御するために設けられている。また、制御弁37には通路37aの一端が連通するとともに、この通路37aの他端は吐出室35に連通している。よって、吐出室35と開口部41の第1の領域41aとは、通路37a,38,39,40を介して連通しており、第1の領域41aは吐出圧領域となっている。
また、回転軸16の前側には、第3通路33が径方向に延びるように形成されている。第3通路33は、回転軸16の軸方向に対して斜め方向に設けられているとともに、第1軸孔12bにおける軸受側30bと第1の回転軸内通路20とを連通している。よって、通路37a、制御弁37、通路38、通路39、通路40、開口部41の第1の領域41a、第1の回転軸内通路20、第3通路33、第1軸孔12bにおける軸受側30b及び第2通路32によって、吐出室35とクランク室15とを連通させる給気通路が構成されている。
また、第2の領域41bには、シリンダブロック11に形成された通路43の一端が連通するとともに、この通路43の他端には弁・ポート形成体13に形成された通路45の一端が連通している。この通路45の他端は吸入室36に連通している。よって、吸入室36と第2の領域41bとは、通路43,45を介して連通しており、第2の領域41bは吸入圧領域となっている。また、回転軸16における第1回転軸16aには、冷媒ガスをクランク室15から第2の回転軸内通路21に排出する通路42が形成されている。そして、通路42、第2の回転軸内通路21、第2の領域41b、通路43、及び通路45によって、クランク室15と吸入室36とを連通させる抽気通路が構成されている。
次に、プレーンベアリング18について図2にしたがって説明する。
図2に示すように、プレーンベアリング18の内周面には螺子溝としての螺旋溝18aが形成されている。螺旋溝18aは、プレーンベアリング18の軸方向における前端(一端)から後端(他端)に達するまでプレーンベアリング18の内周面の全周に亘って延びるように形成されている。また、螺旋溝18aの方向性は、回転軸16の回転時に、開口部41側からクランク室15側への流体ポンプ作用を奏するように設定されている。すなわち、螺旋溝18aは、回転軸16の回転方向(図2に示す矢印Mで示す方向)に対して逆方向であって、且つ開口部41側からクランク室15側へ向けて斜めに延びるように形成されている。なお、図2において、回転軸16は、説明の都合上、プレーンベアリング18によって支持される部分を破断するとともに二点鎖線で示している。プレーンベアリング18は、矩形平板状の金属板の一面に合成樹脂製の被膜を形成したものに溝を形成するとともに、溝を形成した面がプレーンベアリング18における内周面となるように、板材に対して曲げ加工を施すことで形成される。
さて、上記構成の圧縮機10において、給気通路を介して吐出室35の冷媒ガスがクランク室15に供給されるとともに、抽気通路を介してクランク室15の冷媒ガスが吸入室36に放出されてクランク室15内の圧力が調整される。すると、斜板23の傾斜角度が制御され、圧縮機10の吐出容量が調節される。
圧縮機10の可変容量運転中、クランク室15と、吸入室36に連通する第2の領域41bとの圧力差によって、回転軸16(第1回転軸16a)の外周面と、この外周面に対向するプレーンベアリング18の内周面との隙間CLを介してクランク室15から第2の領域41bへ冷媒ガスを排出しようとする。すると、この冷媒ガスの排出に伴い、冷媒ガスに含まれるオイル、及びクランク室15の壁面付近のオイルも隙間CLに流入する。このとき、プレーンベアリング18の内周面に形成された螺旋溝18aの流体ポンプ作用により、隙間CLに流入したオイルの一部はクランク室15側へ押し戻される。
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)プレーンベアリング18の内周面に、クランク室15へオイルを戻す螺旋溝18aを形成した。よって、螺旋溝18aが形成されない場合に比して、隙間CLを介してクランク室15から第2の領域41bへ排出されるオイル量を減らすことができ、クランク室15内にオイルを溜めることができる。その結果として、クランク室15内のオイルが不足してしまうことを防止することができるとともに、クランク室15内に設けられた斜板23等へオイルを供給することができ、各摺動部が潤滑される。
(2)プレーンベアリング18の内周面に螺旋溝18aを形成したことによって、隙間CLへ流入したオイルを螺旋溝18a内に貯留することができる。したがって、螺旋溝18a内に貯留されたオイルによって、プレーンベアリング18と回転軸16との潤滑性が向上するとともに、プレーンベアリング18の内周面自体の摩耗を抑制することができる。
(3)プレーンベアリング18の内周面に螺旋溝18aを形成したことによって、クランク室15から第2の領域41bへ排出されるオイル量を減らすことができる。よって、隙間CLを介してクランク室15から第2の領域41bへ排出されるオイル量を減らすために、隙間CLを可能な限り小さくし、かつ回転軸16の回転に支障を来さないように精度良く設定する必要がなくなり、製造コストを抑えることができるとともに、隙間CLの寸法をある程度自由を持って設定することができる。
(4)螺旋溝18aは、プレーンベアリング18の軸方向における前端(一端)から後端(他端)に達するまで内周面の全周に亘って延びるように形成されている。このため、螺旋溝18a内に貯留したオイルは、プレーンベアリング18に支持された回転軸16の外周面全体を潤滑することとなり、プレーンベアリング18と回転軸16との潤滑性をより良好なものとすることができる。
(第2の実施形態)
以下、本発明を斜板式のクラッチレス可変容量型圧縮機に具体化した第2の実施形態を図3にしたがって説明する。なお、以下に説明する第2の実施形態では、既に説明した第1の実施形態と同一構成について同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。また、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様にプレーンベアリング18の内周面には、流体ポンプ作用を奏する螺旋溝18aが形成されている。
図3に示すように、フロントハウジング12には、オイル通路70が形成されている。オイル通路70の一端はクランク室15に連通しているとともに、オイル通路70の他端は第1軸孔12bに連通している。
リヤハウジング14の中央部には、吸入圧領域たる吸入室71が形成されるとともに、この吸入室71は図示しない吸入開口を介して外部の冷媒回路に接続されている。また、リヤハウジング14の外周部には、吐出圧領域たる吐出室72が環状に形成されるとともに、図示しない吐出開口を介して外部の冷媒回路に接続されている。弁・ポート形成体13には、シリンダボア27毎に、シリンダボア27を吸入室71に連通するための吸入ポート71a及び図示しない吸入弁と、シリンダボア27を吐出室72に連通するための吐出ポート72a及び図示しない吐出弁が形成されている。
回転軸73の軸心部には軸内通路75が形成されている。軸内通路75の一端は第1軸孔12bと連通するとともに、他端は弁・ポート形成体13に形成されるオリフィス76を介して吸入室71と連通している。そして、オイル通路70、第1軸孔12b及び軸内通路75からクランク室15と吸入室71とを連通させる抽気通路が形成されている。また、第1軸孔12b内のリップシール28は抽気通路上に配設されている。さらに、シリンダブロック11には、吐出室72とクランク室15とを連通する給気通路77が形成されている。
第2の実施形態の圧縮機10の吐出容量の調節時、給気通路77を介して吐出室72の冷媒ガスがクランク室15に供給される。また、クランク室15内の冷媒ガスは、オイル通路70、第1軸孔12b、軸内通路75及びオリフィス76を介して吸入室71に放出される。このとき、クランク室15のオイルが、オイル通路70を介して第1軸孔12bに流入されるとともにリップシール28を潤滑する。
したがって、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(4)と同様の効果に加えて、以下に示す効果を得ることができる。
(5)プレーンベアリング18に形成した螺旋溝18aによる流体ポンプ作用によって隙間CLへ流入したオイルをクランク室15へ押し戻して、クランク室15にオイルを溜めることができる。そして、リップシール28は、抽気通路の一部を形成する第1軸孔12b内に配設されている。よって、クランク室15内に溜められたオイルは、抽気通路中に配設されたリップシール28を通り排出されるため、螺旋溝18aが形成されていない場合と比較して、より多くのオイルをリップシール28に供給することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 上記各実施形態において、図4に示すように、回転軸16において、プレーンベアリング18のクランク室15側の端面18bに対応する位置からクランク室15側へ所定距離だけ離れた位置に攪拌部材としての攪拌鍔60を設けてもよい。攪拌鍔60は、回転軸16の外周面から回転軸16の軸方向と直交する方向に沿って突出するとともに回転軸16の全周に亘って設けられている。攪拌鍔60は円環状をなし、回転軸16の外周面に嵌合することにより回転軸16と一体回転可能に設けられている。攪拌鍔60は、その外周端60aがプレーンベアリング18の外周面18cよりも外側に位置するように外径が設定されている。ここで、「所定距離だけ離れた位置」とは、クランク室15内から隙間CLに向かって流入しようとするオイルを、攪拌鍔60の回転によって発生する旋回流によって隙間CLへの流入を妨げることができる位置のことをいう。
そして、回転軸16に攪拌鍔60を設けると、回転軸16の回転に伴う攪拌鍔60の回転によりクランク室15内の冷媒ガスが攪拌される。すると、この攪拌によりクランク室15内に冷媒ガスの旋回流が発生するとともに、この旋回流により冷媒ガスに含まれるオイルが回転軸16の径方向外側へ向けて飛ばされる。よって、攪拌鍔60の回転により、冷媒ガスに含まれるオイルがプレーンベアリング18へ向けて流れることが抑制され、オイルの隙間CLへの流入が妨げられる。したがって、プレーンベアリング18の螺旋溝18aに加え、攪拌鍔60を回転軸16に設けることにより、隙間CLを介してクランク室15から第2の領域41bへ排出されるオイル量を効果的に減らすことができる。
○ 回転軸16において、プレーンベアリング18におけるクランク室15側の端面18bからクランク室15側へ所定距離だけ離れた位置に攪拌部材として攪拌羽根を設けてもよい。この攪拌羽根は、回転軸16の周方向へ等間隔おきに複数設けられている。
○ 螺旋溝18aをプレーンベアリング18の内周面に設けずに、回転軸16の外周面におけるプレーンベアリング18の内周面に対向する部分に螺旋溝を形成してもよい。
○ 螺旋溝18aをプレーンベアリング18の内周面に設けずに、回転軸16の外周面におけるプレーンベアリング18の内周面に対向する部分に螺旋溝を形成し、さらに、回転軸16に攪拌鍔60を設けてもよい。
○ 実施形態において、さらに、回転軸16の外周面におけるプレーンベアリング18の内周面に対向する部分にも螺旋溝を形成してもよい。
○ 螺旋溝18aは、プレーンベアリング18の内周面全体に亘って形成せずに、プレーンベアリング18の内周面においてクランク室15寄りの位置のみに形成してもよい。プレーンベアリング18の内周面におけるクランク室15寄りの位置のみに形成した螺旋溝18aによって、オイルをクランク室15へ押し戻すことができる場合には、螺旋溝18aを内周面の全体に亘って形成する場合に比して螺旋溝18aの加工を容易にすることができる。
○ 本発明をクラッチレス型でない可変容量型圧縮機に適用してもよい。
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(1)前記螺子溝は、前記滑り軸受の内周面に形成されるとともに、前記滑り軸受の軸方向における一端から他端に達するまで延びるように形成されている請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の可変容量型圧縮機。
(2)前記螺子溝は、前記滑り軸受の内周面に形成されるとともに、前記滑り軸受の内周面において、該滑り軸受の軸方向における前記クランク室側寄りの位置のみに形成されている請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の可変容量型圧縮機。
(3)前記螺子溝は、前記回転軸の外周面に形成されるとともに、前記回転軸の外周面における前記滑り軸受の内周面に対向する部分全体に亘って形成されている請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の可変容量型圧縮機。
第1の実施形態におけるクラッチレス可変容量型圧縮機の構造を示す縦断面図。 プレーンベアリング近傍を示す拡大断面図。 第2の実施形態におけるクラッチレス可変容量型圧縮機の構造を示す縦断面図。 別の実施形態におけるプレーンベアリング近傍を示す拡大断面図。
符号の説明
H…ハウジング、CL…隙間、10…可変容量型圧縮機としてのクラッチレス可変容量型圧縮機、11a…第2軸孔、12b…第1軸孔、15…クランク室、16、73…回転軸、18…滑り軸受としてのプレーンベアリング、18a…螺子溝としての螺旋溝、18b…端面、20…給気通路を構成する第1の回転軸内通路、21…抽気通路を構成する第2の回転軸内通路、28…シール部材としてのリップシール、30b…給気通路を構成する第1軸孔における軸受側、32…給気通路を構成する第2通路、33…給気通路を構成する第3通路、35…吐出室、36…吸入室、37a,38,39,40…給気通路を構成する通路、41a…給気通路を構成する第1の領域、41b…抽気通路を構成する第2の領域、42,43,45…抽気通路を構成する通路、60…攪拌部材としての攪拌鍔、70…オイル通路、75…軸内通路、77…給気通路。

Claims (3)

  1. ハウジングの内部に区画されたクランク室と、前記ハウジングの後側に形成された吐出室及び吸入室とを有し、前記ハウジングの前側に形成された第1軸孔内の軸受によって、回転軸の一端側が回転可能に支持されるとともに、前記ハウジングの後側に形成された第2軸孔内の軸受によって、前記回転軸の他端側が回転可能に支持され、給気通路を介して吐出圧領域の冷媒ガスが前記クランク室に供給されるとともに、抽気通路を介して前記クランク室の冷媒が吸入圧領域に放出されて前記クランク室内の圧力が調整され、該クランク室内の圧力調整によって吐出容量が制御される可変容量型圧縮機であって、
    前記第2軸孔内の軸受は滑り軸受であるとともに、前記滑り軸受の内周面、及び該内周面に対向する前記回転軸の外周面のうちの少なくとも一方に、前記回転軸の回転に伴い前記滑り軸受の内周面と前記回転軸の外周面との間のオイルを前記クランク室に戻す螺子溝が形成されていることを特徴とする可変容量型圧縮機。
  2. 前記回転軸は、クラッチレス機構よりなる動力伝達機構を介して外部駆動源から回転駆動力を得るとともに、前記第1軸孔の内周面と前記回転軸の外周面との間に、前記ハウジング外への前記回転軸に沿った冷媒ガスの漏洩を防止するシール部材が設けられ、前記ハウジングに、前記クランク室内の冷媒ガスに含まれるオイルを前記第1軸孔内の前記シール部材へ送るためのオイル通路が形成されるとともに、前記第1軸孔と前記吸入圧領域とを連通する軸内通路が前記回転軸内に形成され、前記オイル通路、前記第1軸孔及び前記軸内通路から前記抽気通路が形成されるとともに、前記抽気通路上に前記シール部材が配設されている請求項1に記載の可変容量型圧縮機。
  3. 前記回転軸において、前記滑り軸受のクランク室側の端面に対応する位置から該クランク室側へ所定距離離れた位置に攪拌部材が設けられている請求項1又は請求項2に記載の可変容量型圧縮機。
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