JP2009041576A - スクロール型コンプレッサ - Google Patents

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Abstract

【課題】運転時には潤滑オイルを内部で循環させて外部への流出を抑制したスクロール型コンプレッサを提供すること。
【解決手段】軸方向端面にチップシール溝24を形成した可動渦巻壁2aの渦巻中央寄部分に、内壁面26からチップシール溝に至る第1の連通切欠き27を設ける。さらに、可動渦巻き壁の渦巻外周寄部分には外壁面28からチップシール溝に至る第2の連通切欠き29を設ける。こうして、高圧部に存在する潤滑オイルをガス圧差を利用してチップシール溝を通して低圧部に戻すようにした。
【選択図】図2

Description

本発明はスクロール型コンプレッサに関する。
スクロール型コンプレッサは、冷凍システムで広く使用されており、固定スクロールとこれと対になった可動スクロールとを含んでいる。固定スクロールは、通常、固定渦巻壁とこれの軸方向一端に一体に固定された固定端板とを含んでいる。可動スクロールは、通常、可動渦巻壁とこれの軸方向一端に一体に固定された可動端板とを含んでいる。固定渦巻壁と可動渦巻壁が互いにかみ合った状態で固定端板と可動端板が互いに対向し、これらの間に冷媒等のガスを圧縮しつつ移送するための幾つかの圧縮空間を形成している。
圧縮過程で圧縮空間からガスが洩れるのを防止するため、一般には、固定渦巻壁及び可動渦巻壁の各々の軸方向端面にうず巻に沿ってのびたチップシール溝を設け、ここにチップシールを配置している。スクロール型コンプレッサの運転時には、ガス圧によりチップシールが固定端板及び可動端板の各々とチップシール溝の側壁とに圧接され、これにより圧縮空間を密閉する。
また、固定渦巻壁及び可動渦巻壁の各々に内壁面からチップシール溝に至る複数のガス導入孔を形成し、これらのガス導入孔を通して加圧ガスをチップシール溝に供給することも提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開平5−87064号
冷凍システムにおいては、コンプレッサの性能及び耐久性を維持するために循環冷媒と相溶する潤滑オイルは不可欠である。即ち、冷凍回路中に冷媒と共に潤滑オイルも封入し、この潤滑オイルによりコンプレッサの各摺動部の潤滑を行うようにしている。
しかし、運転時には潤滑オイルが冷媒と共にコンプレッサから流出して冷凍回路を循環するため、その冷凍回路に含まれた熱交換器に付着し、熱交換効率を低下させることがある。これは、冷凍システムの冷房能力の低下、消費動力の増加及びこれによる機器の寿命低下を招くことになる。
なお、上述した特許文献1における複数のガス導入孔はいずれも、固定渦巻壁及び可動渦巻壁の各々に内壁面からチップシール溝に至るように形成されたものであるため、潤滑オイルのための通路としては働かない。
それ故に本発明の課題は、運転時には潤滑オイルを内部で循環させて外部への流出を抑制したスクロール型コンプレッサを提供することにある。
本発明の他の課題は、冷凍システムの熱交換効率の向上を可能にしたスクロール型コンプレッサを提供することにある。
本発明のさらに他の課題は、コンプレッサの各機構の潤滑を確実にし、耐久性を向上したスクロール型コンプレッサを提供することにある。
本発明のさらに他の課題は、潤滑オイルの封入量が少なくて済むスクロール型コンプレッサを提供することにある。
本発明の一態様によれば、軸方向端面にチップシール溝を形成した渦巻壁を有するスクロール型コンプレッサにおいて、前記渦巻壁の渦巻中央寄部分には内壁面から前記チップシール溝に至る第1の連通切欠きを設け、前記渦巻き壁の渦巻外周寄部分には外壁面から前記チップシール溝に至る第2の連通切欠きを設け、高圧部に存在する潤滑オイルをガス圧差を利用して前記チップシール溝を通して低圧部に戻すようにしたことを特徴とするスクロール型コンプレッサが得られる。
なお、固定スクロールとこれと共働する可動スクロールとを有し、前記可動スクロールの渦巻壁にのみ前記第1及び第2の連通切欠きを設けてもよい。
本発明の一態様によるスクロール型コンプレッサにおいては、潤滑オイルはコンプレッサの内部で循環するため、冷凍回路への流出が抑制される。したがって冷凍システムの熱交換効率を向上できると共に、潤滑オイルの封入量が少なくて済む。
またコンプレッサ内部で潤滑オイルが循環されるため、コンプレッサの各機構への潤滑オイルの供給が確実となって潤滑が良好に行われ、耐久性が向上する。即ち、運転状況によりシステムに残存するオイルが増減しコンプレッサの潤滑のためのオイル供給が不安定であった従来の欠点は解消される。
図1を参照して、本発明の実施の形態に係るスクロール型コンプレッサについて説明する。
図示のスクロール型コンプレッサは車両用空調装置に使用するのに適したものであり、固定スクロール1と、これと対になった可動スクロール2と、これらを内包したケーシング3と、このケーシング3の開放端に固定されここを閉塞したフロントハウジング4とを含んでいる。固定スクロール1は、固定渦巻壁1aと、これの軸方向一端に一体に固定された固定端板1bとを含んでいる。可動スクロール2は、可動渦巻壁2aと、これの軸方向一端に一体に固定された可動端板2bとを含んでいる。固定渦巻壁1aと可動渦巻壁2aが互いにかみ合った状態で固定端板1bと可動端板2bが互いに対向し、これらの間に冷媒等の流体を圧縮しつつ移送するための幾つかの圧縮空間5を形成している。
固定端板1bはボルト等(図示せず)にてケーシング3に固定され、ケーシング3との間に吐出室7を形成している。固定端板1bには、圧縮空間5で圧縮された流体を吐出室7に吐出させる吐出口8が形成されている。
可動端板2bとフロントハウジング4との間には、可動スクロール2の自転を阻止するが公転は許すための自転阻止機構9が備えられている。さらに可動端板2bの可動渦巻壁2aとは反対側の面には環状突部2cが一体に形成されている。環状突部2cの内側には偏心ブッシュ11がドライブベアリング12を介して回転可能に配置されている。
フロントハウジング4の中央には大径部13aをもつシャフト13が貫通している。シャフト13はシャフトベアリング14で支持され、さらにその大径部13aをメインベアリング15で支持されている。シャフト13の大径部13aは、偏心ブッシュ11に係合した偏心ピン16を備えている。なお、シャフト13には、可動スクロール2の動作時のモーメントに対抗するカウンターウエイト17が備えられている。
フロントハウジング4の円筒部4aの外側にはラジアルベアリング19を介してロータ21が回転自在に支持されている。ロータ21は、例えば、自動車のエンジンにて回転駆動される。ロータ21は、電磁クラッチ22を介してシャフト13に接続されている。したがって、電磁クラッチ22がオンのときにはシャフト13はロータ21と一体になって回転するが、電磁クラッチ22が切断されるとシャフト13はロータ21から切り離される。
シャフト13が回転すると、偏心ピン16及び偏心ブッシュ11の作用により、可動スクロール2が円軌道上で公転する。このとき、可動スクロール2の自転は自転阻止機構9により阻止される。結果として、圧縮空間5が流体を圧縮しつつ中央へ移送され、流体を吐出口8を通して吐出室7へ吐出させる。吐出室7の流体は吐出ポート(図示せず)から冷凍回路に流出し、また流入ポート(図示せず)からケーシング3内に戻り、圧縮空間5に取り込まれる。ここで、中央へ移送された圧縮空間5を高圧部と呼び、またこの高圧部よりも圧力の低い部分を低圧部と呼ぶ。
圧縮過程で圧縮空間5からガスが洩れるのを防止するため、固定渦巻壁1a及び可動渦巻壁2aの各々の軸方向端面にうず巻に沿ってのびたチップシール溝24を設け、ここにチップシール25を配置している。スクロール型コンプレッサの運転時には、ガス圧によりチップシール25が固定端板1a及び可動端板2aの各々とチップシール溝24の側壁とに圧接され、これにより圧縮空間5を密閉する。
さらに図2及び図3をも参照して、説明を続ける。
可動スクロール2の可動渦巻壁2aの渦巻中央寄部分には、内壁面26からチップシール溝24に至る第1の連通切欠き27が設けられている。また、可動渦巻壁2aの渦巻外周寄部分には、外壁面28からチップシール溝24に至る第2の連通切欠き29が設けられている。したがって、上述した高圧部と低圧部とは、第1の連通切欠き27、チップシール溝24の隙間、及び第2の連通切欠き29を介して互いに連通している。
このスクロール型コンプレッサの運転時には、高圧部に冷媒ガスと共に存在する潤滑オイルが、ガス圧差により第1の連通切欠き27からチップシール溝24に流入する。可動スクロール2は円軌道上で公転するためチップシール溝24の潤滑オイルに遠心力が作用する。この遠心力と上述したガス圧差とにより、潤滑オイルはチップシール溝24に沿って外方へ流れ、第2の連通切欠き29から低圧部に流出する。この結果、潤滑オイルはコンプレッサの内部で循環するため、冷凍回路への流出が抑制される。したがって冷凍システムの熱交換効率を向上できると共に、潤滑オイルの封入量が少なくて済む。
なお、固定スクロール1の固定渦巻壁1aに設けた同様な溝を通して潤滑オイルを高圧部から低圧部に戻すように構成してもよい。また潤滑オイルを戻す位置は、圧縮空間に限らず、その外側のケーシング3内の空間であってもよい。
本発明の実施の形態に係るスクロール型コンプレッサの縦断面図。 図1のスクロール型コンプレッサに含まれた可動スクロールの正面図。 図2のIII-III線に沿った拡大断面図。
符号の説明
1 固定スクロール
1a 固定渦巻壁
1b 固定端板
2 可動スクロール
2a 可動渦巻壁
2b 可動端板
3 ケーシング
4 ハウジング
5 圧縮空間
7 吐出室
9 自転阻止機構
11 偏心ブッシュ
12 ドライブベアリング
13 シャフト
21 ロータ
22 電磁クラッチ
24 チップシール溝
25 チップシール
26 内壁面
27 第1の連通切欠き
28 外壁面
29 第2の連通切欠き

Claims (2)

  1. 軸方向端面にチップシール溝を形成した渦巻壁を有するスクロール型コンプレッサにおいて、前記渦巻壁の渦巻中央寄部分には内壁面から前記チップシール溝に至る第1の連通切欠きを設け、前記渦巻き壁の渦巻外周寄部分には外壁面から前記チップシール溝に至る第2の連通切欠きを設け、高圧部に存在する潤滑オイルをガス圧差を利用して前記チップシール溝を通して低圧部に戻すようにしたことを特徴とするスクロール型コンプレッサ。
  2. 固定スクロールとこれと共働する可動スクロールとを有し、前記可動スクロールの渦巻壁にのみ前記第1及び第2の連通切欠きを設けた請求項1記載のスクロール型コンプレッサ。
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