JP2010100486A - 金型の製造方法、ガラスゴブの製造方法及びガラス成形体の製造方法 - Google Patents

金型の製造方法、ガラスゴブの製造方法及びガラス成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】製造するガラスゴブやガラス成形体に空気溜まり等の欠陥が発生することを防止できる金型の製造方法を提供する。
【解決手段】基材の上に被覆層を成膜する成膜工程と、被覆層の表面を粗面化する粗面化工程とを有する。粗面化工程では、被覆層に全面的又は部分的な剥離が発生せず、且つ、被覆層の表面の反射率又は当該反射率に基づいて計算されるパラメータが所定の範囲となるように粗面化を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガラスゴブ又はガラス成形体を製造するための金型の製造方法、該製造方法により製造された金型を用いたガラスゴブの製造方法及びガラス成形体の製造方法に関する。
近年、デジタルカメラ用レンズ、DVD等の光ピックアップレンズ、携帯電話用カメラレンズ、光通信用のカップリングレンズ等として、ガラス製の光学素子が広範にわたって利用されている。このようなガラス製の光学素子として、ガラス素材を成形金型で加圧成形して製造したガラス成形体が広く用いられている。
このようなガラス成形体の製造方法の1つとして、予め所定質量及び形状を有するガラスプリフォームを作製し、該ガラスプリフォームを成形金型とともに加熱して加圧成形する方法(以下、「リヒートプレス法」ともいう)が知られている。このようなリヒートプレス法に用いるガラスプリフォームは、従来、研削・研磨等の機械加工によって製造されてきたが、機械加工によるガラスプリフォームの作製には多大な労力と時間を要するという問題があった。そのため、滴下ノズル等より滴下した溶融ガラス滴を下型で受けてガラスゴブ(ガラス塊)を作製し、そのままガラスプリフォーム(ゴブプリフォーム)として用いる方法の検討が進められている。
一方、ガラス成形体の別の製造方法として、滴下した溶融ガラス滴を下型で受け、受けた溶融ガラス滴を、下型と上型とにより加圧成形してガラス成形体を得る方法(以下、「液滴成形法」ともいう)が提案されている。この方法は、成形金型等の加熱と冷却を繰り返す必要がなく溶融ガラス滴から直接ガラス成形体を製造することができるので、1回の成形に要する時間を非常に短くできることから注目されている。
しかし、ガラスゴブの製造や、液滴成形法によるガラス成形体の製造の際、滴下した溶融ガラス滴を下型で受けると、製造されたガラスゴブやガラス成形体の下面(下型との接触面)に、空気溜まりが残存してしまうという問題があった。この問題を、図17を用いて説明する。図17は、従来の方法により下型10で受けた溶融ガラス滴50の状態を示す模式図である。図17(a)は、溶融ガラス滴50が下型10に衝突した瞬間の状態を、図17(b)は、その後、溶融ガラス滴50が表面張力によって変形した後の状態を、それぞれ示している。
図17(a)に示すように、下型10に衝突した瞬間の溶融ガラス滴50は、衝突の衝撃によって平たく伸ばされる。この時、溶融ガラス滴50には、下面(下型10との接触面)の中心付近に、直径数十μm〜数百μm程度の微小な凹部51が生じる。このような凹部51が発生するメカニズムは必ずしも明らかではないが、シミュレーション等を用いた解析によれば、溶融ガラス滴50が下型10に衝突する際、最初に下型10に衝突する部分のガラスが反動で上方に跳ね返ることによって生じると考えられる。溶融ガラス滴50は、その後、図17(b)に示すように、表面張力の働きによって丸く変形する。この際、溶融ガラス滴50の下面と下型10の表面とが密着して、凹部51の中に溜まった空気の逃げ道が無くなるため、凹部51は消滅することなく空気溜まりとして残存してしまう。
この問題に対応するため、下型の表面を粗面化して、溶融ガラス滴の凹部に入り込んだ空気の流路を確保することで空気溜まりが残存することを防止する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、粗面化した下地面の上に、溶解層を含んだ被覆層を形成することで、空気溜まりを防止すると共に再生を容易とした下型が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平3−137031号公報 特開2005−272187号公報
特許文献1や2に記載された方法によって空気溜まりの発生を防止するためには、下型の表面が所定の表面粗さとなるよう、エッチング等によって粗面化を行う必要がある。
一般に、ガラスを成形するための成形金型の材質には種々の制約条件があり、高温でガラスと反応しにくいこと、鏡面が得られること、加工性が良いこと、硬いこと、脆くないことなど、多くの条件を満足している必要がある。これらの諸条件を満足する材質は非常に限られており、例えば、炭化タングステンを主成分とする超硬材料、炭化珪素、窒化珪素等のセラミックス材料、カーボンを含んだ複合材料等が好ましく用いられている。
しかしながら、成形金型として好ましい性質を有するこれらの材質は、表面が所定の表面粗さになるよう均一に粗面化することは困難な場合が多い。また、炭化タングステンを主成分とする超硬材料などのように、エッチングによる粗面化は可能であるが、そのように粗面化された表面は非常に脆くなり、耐久性が著しく悪化してしまう材質もある。
そのため、下型にこれらの材質を用いた場合には、特許文献1や2に記載された方法を実施することができない場合があり、あるいは、実施できても下型の耐久性が劣るため安定してガラス成形体を製造することができないという問題があった。
更に、溶融ガラス滴を下型と上型とで加圧成形する際に、上型の成形面に沿ってガラス素材が変形する過程でガラス素材と上型との間に周囲の気体が閉じこめられてしまい、ガラス成形体に凹みやしわ等の欠陥が存在する場合もあり、問題となっていた。
本発明は上記のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、製造するガラスゴブやガラス成形体に空気溜まりや凹み等の欠陥が発生することを防止できる金型の製造方法を提供することである。また、本発明の別の目的は、空気溜まりのないガラスゴブを安定的に製造することができるガラスゴブの製造方法を提供すること、及び、空気溜まり等の欠陥のないガラス成形体を安定的に製造することができるガラス成形体の製造方法を提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有するものである。
1. ガラスゴブ又はガラス成形体を製造するための金型の製造方法において、
基材の上に被覆層を成膜する成膜工程と、
前記被覆層の表面を粗面化する粗面化工程と、を有し、
前記粗面化工程では、前記被覆層の表面の反射率又は当該反射率に基づいて計算されるパラメータが所定の範囲となるように粗面化を行うことを特徴とする金型の製造方法。
2. 前記粗面化工程では、前記被覆層の表面の反射率を測定しながら粗面化を行い、測定された反射率又は当該反射率に基づいて計算されるパラメータが所定の値となった時点で粗面化を終了することを特徴とする前記1に記載の金型の製造方法。
3. 前記パラメータは、前記被覆層の表面の明度であることを特徴とする前記1又は2に記載の金型の製造方法。
4. 前記被覆層は、クロム、アルミニウム及びチタンのうち少なくとも1つの元素を含むことを特徴とする前記1〜3のうち何れか1項に記載の金型の製造方法。
5. 前記被覆層はクロム元素を含み、
硝酸第二セリウムアンモニウムを含む酸性溶液を用いたウェットエッチングによって粗面化を行うことを特徴とする前記4に記載の金型の製造方法。
6. 前記被覆層はクロム元素を含み、
フェリシアン化カリウム及び水酸化カリウムを含むアルカリ性溶液を用いたウェットエッチングによって粗面化を行うことを特徴とする前記4に記載の金型の製造方法。
7. 前記被覆層はクロム元素を含み、
ハロゲンを含むガスを用いたドライエッチングによって粗面化を行うことを特徴とする前記4に記載の金型の製造方法。
8. 前記所定の範囲は、粗面化された前記被覆層の表面が、算術平均粗さ(Ra)が0.01μm以上であり、且つ、粗さ曲線要素の平均長(RSm)が0.5μm以下となるように定められたものであることを特徴とする前記1に記載の金型の製造方法。
9. 前記所定の範囲は、粗面化された前記被覆層の表面が、算術平均粗さ(Ra)が0.2μm以下となるように定められたものであることを特徴とする前記8に記載の金型の製造方法。
10. 下型に溶融ガラス滴を滴下する工程と、
滴下した前記溶融ガラス滴を前記下型の上で冷却固化する工程と、を有するガラスゴブの製造方法において、
前記下型は、前記1〜9のうちの何れか1項に記載の金型の製造方法によって製造されたものであることを特徴とするガラスゴブの製造方法。
11. 下型に溶融ガラス滴を滴下する工程と、
滴下した前記溶融ガラス滴を、前記下型及び前記下型に対向する上型により加圧成形する工程と、を有するガラス成形体の製造方法において、
前記下型又は前記上型の少なくとも一方は、前記1〜9のうちの何れか1項に記載の金型の製造方法によって製造されたものであることを特徴とするガラス成形体の製造方法。
本発明によれば、基材の上に被覆層を成膜し、表面の反射率等が所定の範囲となるように被覆層の表面を粗面化するため、基材の材質にかかわらず表面を均一に粗面化することができ、基材を劣化させることもない。従って、製造するガラスゴブやガラス成形体に空気溜まり等の欠陥が発生することを防止できる金型を製造することができる。また、本発明の金型の製造方法で製造された金型を用いることで、周囲の気体が閉じこめられることによって発生する空気溜まり等の欠陥のないガラスゴブやガラス成形体を安定的に製造することができる。
以下、本発明の実施の形態について図1〜図16を参照しつつ詳細に説明する。
始めに、図1〜図8を用いて、本実施形態における下型(金型)の製造方法について説明する。図1は各工程における下型の状態を示す断面図、図2はエッチングレートの意味を説明するための模式図である。図3はウェットエッチングの方法を示す断面図、図4はマスクを用いたエッチングの方法を示す断面図、図5は、平行平板型のドライエッチング装置の例を示す模式図である。また、図6は、エッチングの処理時間と被覆層の表面の反射率等との関係を示すグラフ、図7は、反射率を測定しながら粗面化を行う方法を示す模式図とグラフ、図8は、下型が曲率を有する場合の反射率の測定方法の例を示す模式図である。
(基材)
下型の基材11には、予め、製造するガラス成形体等に応じた所定の形状の成形面15を加工しておく(図1(a))。本実施形態においては、基材11の上に成膜された被覆層14に対して粗面化処理を行うため、被覆層14の成膜前に基材11を粗面化しておく必要はない。そのため、基材11の材質は、粗面化の容易性や、粗面化した場合の耐久性等を考慮することなく、溶融ガラス滴を受けるための下型の材質として公知の材質の中から、条件に応じて適宜選択して用いることができる。好ましく用いることができる材質として、例えば、各種耐熱合金(ステンレス等)、炭化タングステンを主成分とする超硬材料、各種セラミックス(炭化珪素、窒化珪素等)、カーボンを含んだ複合材料等が挙げられる。また、これらの材質の表面にCVD炭化珪素膜などの緻密な加工層を形成したものであってもよい。
(成膜工程)
次に、基材11の上に被覆層14を成膜する(成膜工程:図1(b))。被覆層14の材質に特に制限はなく、例えば、種々の金属(クロム、アルミニウム、チタン等)、窒化物(窒化クロム、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化硼素等)、酸化物(酸化クロム、酸化アルミニウム、酸化チタン等)等を用いることができる。中でも、被覆層14は、クロム、アルミニウム、及びチタンのうち少なくとも1つの元素を含むことが好ましい。例えば、金属クロム、金属アルミニウム、金属チタンの他、これらの酸化物や窒化物、あるいはこれらの混合物等が好適である。
これらの膜は、いずれも容易に成膜でき、後述する方法によって容易に粗面化を行うことができる。また、被覆層14にクロム、アルミニウム、及びチタンのうち少なくとも1つの元素が含まれていると、大気中での加熱によってこれらの元素が酸化し、表面に安定な酸化物の層が形成されるという共通した特徴がある。これらの酸化物は、標準生成自由エネルギー(標準生成ギブスエネルギー)が小さく非常に安定であるため、高温の溶融ガラス滴と接触しても容易に反応することがないという大きな利点を有している。中でも、クロムの酸化物は特に安定であるため、クロム元素を含む被覆層14を設けることがより好ましい。
被覆層14の厚みは、エッチング等による粗面化によって微小な凹凸を形成できるだけの厚みを有していればよく、通常は、0.05μm以上が好ましい。逆に、被覆層14が厚すぎると、膜の剥離等の欠陥が発生しやすくなる場合がある。そのため、被覆層14の厚みは、0.05μm〜5μmが好ましく、0.1μm〜1μmが特に好ましい。
被覆層14は、単一の層であってもよいし、成分や膜質の異なる複数の層を有していてもよい。例えば、被覆層14をエッチングレートの異なる2つの層(下層及び表面層)に分け、エッチングレートの小さい層を下層として基材11の上に成膜した後、下層よりもエッチングレートの大きい表面層を成膜することも好ましい。このような構成にすれば、被覆層14の最表面にある表面層はエッチングレートが大きいため、エッチングによって容易に微小な凹凸を形成でき、均一な粗面化が可能となる。また、表面層の下にエッチングレートが小さい下層が存在することにより、被覆層14の密着力が向上するとともに、エッチングの影響が基材11にまで及ぶことをより確実に防止することができ、耐久性に優れた下型10を製造することができる。
ここで、図2を用いて、本明細書におけるエッチングレートの意味を説明する。図2の左側の図は、エッチング前の初期状態を示す図であり、基板21の上に膜22が形成されている。右側の図は、これに処理時間tだけエッチングを行った後の状態を示している。このとき、エッチング量A(膜22の厚みの減少量)を処理時間tで除したものがエッチングレートである。なお、エッチングによって膜22の表面は微細な凹凸が形成されるが、エッチングレートの算出にあたっては、凹凸の平均線23を用いることとする。
被覆層14の成膜方法に制限はなく、公知の成膜方法の中から適宜選択して用いればよい。例えば、真空蒸着法、スパッタ法、CVD法等が挙げられる。中でも、スパッタ法は、密着力の大きい膜を容易に成膜することができるため好ましい。
被覆層14をスパッタ法によって成膜する場合、成膜面に到達するスパッタ粒子の有するエネルギーが小さいほどエッチングレートは大きくなり、スパッタ粒子の有するエネルギーが大きいほどエッチングレートは小さくなる。従って、成膜工程において、先ず、成膜面に到達するスパッタ粒子の有するエネルギーが大きい条件で成膜した後、成膜条件を変更して、スパッタ粒子の有するエネルギーが小さい条件で成膜を行うことにより、下層と表面層とを形成することができる。この方法によれば、ターゲットの材質や設備を変更することなく、成膜条件を変更するだけで、エッチングレートの小さい下層とエッチングレートの大きい表面層を連続して成膜することができる。被覆層14をこのような2層構造にする理由は、表面層にエッチングを行っても、下層が存在することによってエッチングの影響が基材11に及ぶことを防止することができ、また、下層の高エネルギー成膜によって基材11と被覆層14との接着性を向上させることができるからである。
成膜面に到達するスパッタ粒子の有するエネルギーを小さくするためには、例えば、成膜中のスパッタガスの圧力を高くする、ターゲットと成膜面の間の距離を長くする、スパッタ電極に印加する電力を小さくする等の方法が挙げられる。逆に、成膜面に到達するスパッタ粒子の有するエネルギーを大きくするためには、例えば、成膜中のスパッタガスの圧力を低くする、ターゲットと成膜面の間の距離を短くする、スパッタ電極に印加する電力を大きくする等の方法が挙げられる。
(粗面化工程)
次に、被覆層14の表面の粗面化を行う(粗面化工程:図1(c))。本実施形態では、被覆層14の表面の反射率R又は当該反射率Rに基づいて計算されるパラメータが所定の範囲となるように粗面化を行うため、基材11の材質に拘わらず、被覆層14の表面を均一に粗面化することができる。粗面化の方法に特に制限はないが、均一な凹凸を容易に形成できるという観点から、ウェットエッチングや、ドライエッチングにより行うことが好ましい。
ウェットエッチングは、所定のエッチング液30を被覆層14と反応させて粗面化を行う方法である。図3(a)のように、エッチング液槽31に貯留したエッチング液30に下型10の全体を浸漬させてもよいし、図3(b)のように被覆層14をエッチング液30に浸漬させてもよい。また、図3(c)のように、被覆層14の上に所定量のエッチング液30を供給してもよいし、図3(d)のように噴射ノズル32からエッチング液30をスプレー状に噴射させ、被覆層14に吹き付ける方法でもよい。ウェットエッチングによれば、高価で大型の設備を必要とせず、均一性に優れた処理を効率よく、低コストで行うことができる。また、安定した処理を行うために、処理室の雰囲気温度と照度、下型の温度、処理個数、エッチング液の温度、量、濃度などの条件を一定に保っておくことが好ましい。逆に、これらの条件を変更することによって、形成される凹凸の深さや周期を適宜調整することができる。
ドライエッチングは、真空チャンバー内にエッチングガスを導入して高周波などによりプラズマを発生させ、プラズマにより生成されたイオンやラジカルによって被覆層14の粗面化を行う方法である。プラズマエッチングや反応性イオンエッチング(RIE)などと称されることもある。廃液が発生しないために環境負荷が小さいこと、異物による表面の汚染が少ないこと、処理の再現性に優れることなどから、好ましい方法である。
ドライエッチングの装置は、平行平板型、バレル(円筒)型、マグネトロン型、ECR型など、公知の装置の中から適宜選択して用いればよく、特に制限はない。ここでは、平行平板型のドライエッチング装置を例に挙げて説明する。図5に示した平行平板型のドライエッチング装置40は、真空チャンバー41の中に互いに平行に配置された2枚の電極42、43を有しており、一方の電極42は高周波電源44に接続されている。処理する下型10を電極42の上に配置した後、バルブ45を開けて排気ポンプ46によって真空チャンバー41を10−3Pa台の高真空状態にする。その後、流量調整バルブ47を介してガスボンベ48よりエッチングガスを導入し、電極42に高周波を印加することにより、2枚の電極42、43の間にプラズマを発生させる。プラズマによって生成されたイオンやラジカルによって被覆層14の表面に微小な凹凸が形成され、粗面化される。なお、ドライエッチングによるエッチング作用には、イオンとの衝突による物理的な作用と、ラジカルとの反応による化学的な作用とがあるが、本発明においては、少なくとも何れか一方の作用によって被覆層14の粗面化が行われればよく、両方の作用が同時に働いてもよい。エッチングガスは、Arなどの不活性ガスでもよいし、F、Cl、Brなどのハロゲンを含んだ反応性の高いガスを用いてもよい。
ウェットエッチング又はドライエッチングのいずれの方法においても、必ずしも被覆層14の表面の全面を粗面化する必要はなく、少なくとも溶融ガラス滴と接触する領域が粗面化されていればよい。エッチングによる基材11などの劣化を防止して所望の領域のみを処理するために、図4(a)、(b)に示すようなマスク33を用いることも好ましい。
更に、被覆層14がクロム元素を含む場合には、下記(1)〜(3)のうちの何れかの方法でエッチングすることにより、より均一に表面の粗面化を行うことができる。
(1)硝酸第二セリウムアンモニウムを含む酸性溶液を用いたウェットエッチング
エッチング液として、硝酸第二セリウムアンモニウム(Ce(NH(NO)を含む酸性溶液を用いることで、クロム元素を含む被覆層14の表面に、微細な凹凸をより均一に、かつ短時間で形成することができる。硝酸第二セリウムアンモニウムを含んでいれば、硝酸、過塩素酸など複数の酸を含んだ溶液であってもよい。硝酸第二セリウムアンモニウムの濃度は、所望の処理速度が得られるように適宜選択すればよく、通常は、5質量%〜50質量%が好ましい。
(2)フェリシアン化カリウム及び水酸化カリウムを含むアルカリ性溶液を用いたウェットエッチング
エッチング液として、フェリシアン化カリウム及び水酸化カリウムを含むアルカリ性溶液を用いることで、クロム元素を含む被覆層14の表面に、微細な凹凸をより均一に、かつ短時間で形成することができる。フェリシアン化カリウム及び水酸化カリウムを含むアルカリ性溶液としては、例えば、フェリシアン化カリウム、水酸化カリウム、及び、純水の混合液を用いることができる。エッチング液には、更に他の成分が含まれていてもよい。フェリシアン化カリウムと水酸化カリウムの比率は、フェリシアン化カリウム1質量部に対して、水酸化カリウムが0.2〜5質量部であることが好ましい。純水の混合量にも特に制限はなく、所望の処理速度となるように適宜調整すればよい。
(3)ハロゲンを含むガスを用いたドライエッチング
F、Cl、Brなどのハロゲンを含むガス(例えば、CF、SF、CHF、Cl、BCl、HBrなど)は、クロム元素を含む被覆層14との反応性が高いため、これらのガスをエッチングガスとして用いることで、より短時間で粗面化を行うことができる。ハロゲンを含むガスと、他のガス(例えば、O、Nなど)との混合ガスを用いるのも効果的である。
いずれの方法により粗面化を行う場合であっても、空気溜まりの発生を良好に防止するためには、被覆層14の粗面化の進行度合を適切に管理する必要がある。本実施形態では、被覆層14の表面の反射率Rを測定し、測定した反射率R又は当該反射率Rに基づいて計算されるパラメータが所定の範囲になるように粗面化を行うことで、被覆層14の粗面化の進行度合を管理する。
粗面化の進行度合を管理する方法としては、他に、目視によって管理する方法、触針式粗さ計で測定した表面粗さによって管理する方法、原子間力顕微鏡(AFM)で測定した表面粗さによって管理する方法、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した像によって管理する方法、レーザー顕微鏡で測定した表面粗さによって管理する方法などが考えられる。しかし、これらの方法は、それぞれ下記のような問題があるため、粗面化の進行度合を適切に管理することは困難である。即ち、粗面化の進行度合を目視によって管理する方法では、判断の個人差によるばらつきが大きいという問題がある。また、触針式粗さ計で測定した表面粗さによって管理する方法では、測定によって被覆層14にキズが入る場合があり、また、粗面化処理を行いながらの測定が困難という問題がある。更に、触針の先端Rは小さいもので約2μm程度であるため、被覆層14の凹凸の周期が小さい場合に正確な評価ができないという問題もある。原子間力顕微鏡(AFM)で測定した表面粗さによって管理する方法では、成形面15が曲率を有する場合に測定ができず、また、粗面化処理を行いながらの測定が困難という問題がある。走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した像によって管理する方法では、測定に要する時間が長く、また、粗面化処理を行いながらの測定が困難という問題がある。更に、粗面化の進行度合を定量化するためには、高価な専用機器やソフトウェアが必要になるという問題もある。レーザー顕微鏡で測定した表面粗さによって管理する方法では、レーザーの波長以下の表面周期構造は評価できないため、分解能が不十分という問題があり、また、粗面化処理を行いながらの測定が困難という問題がある。
これに対し、本実施形態では、被覆層14の表面の反射率Rを測定し、測定した反射率R又は当該反射率Rに基づいて計算されるパラメータが所定の範囲になるように粗面化を行うことで、被覆層14の粗面化の進行度合を管理する。この方法によれば、上記のような問題がなく、粗面化の進行度合を適切に管理することができる。また、成形面15が曲率を有する場合にも問題なく対応でき、粗面化処理を行いながらの測定が容易であるという大きなメリットを有している。
反射率の測定に用いる光の波長に特に制限はなく、可視光の他、紫外線、赤外線などであってもよいし、複数の波長の光の反射率を用いて管理してもよい。また、測定した反射率が所定の範囲になるように管理してもよいし、反射率に基づいて計算されるパラメータが所定の範囲になるように管理してもよい。反射率に基づいて計算されるパラメータとは、例えば、各種の表色系における明度、彩度などが挙げられる。中でも、明度は、粗面化の進行による変化が大きく、また測定値の再現性が高いというメリットがあり好ましく用いることができる。明度を計算するための表色系に制限はなく、マンセル表色系、L表色系、ハンターLab表色系、XYZ表色系など、各種の表色系を用いることができる。なお、反射率や明度などは、公知の各種反射率測定機や、分光測色計、色彩計などによって測定すればよい。
図6(a)は、エッチングの処理時間と被覆層14の表面の反射率との関係の一例を示すグラフである。ここでは、金属クロムからなる被覆層14を、硝酸第二セリウムアンモニウムを含む酸性溶液を用いたウェットエッチングによって粗面化した場合の例を示している。反射率の測定波長は700nmである。
グラフ中の範囲A(処理時間が7分未満)は、粗面化の進行が不十分で、ガラス成形体等に空気溜まりが残りやすい領域である。エッチング処理前の反射率は53%程度であるが、処理の進行に伴い反射率が低下する。これは、エッチングによって形成される凹凸構造の凹部の深さが増加することにより、光の散乱による損失量が多くなり、その結果、反射率が低下するのだと考えられる。グラフ中の範囲B(処理時間が7分〜12分)は、被覆層14の粗面化が適度に進行し、空気溜まりの発生を十分に防止できる領域である。この領域では被覆層14に剥離は見られない。このとき、反射率は22%(処理時間7分)から2%(処理時間12分)まで徐々に低下する。グラフ中の範囲C(処理時間が12分を超える)は、エッチングが過度に進行して、被覆層14の一部あるいは全面に剥離が発生する領域である。被覆層14に剥離が発生すると、製造するガラス成形体等に欠陥が発生しやすくなるため、使用には適さない。
このように、被覆層14の表面の反射率を測定し、測定した反射率が所定の範囲(図6(a)の場合には、22%〜2%の範囲)になるように粗面化を行うことで、被覆層14の粗面化の進行度合を適切に管理することができ、空気溜まりの発生を良好に防止できる下型を製造することができる。
また、図6(b)は、図6(a)で評価したものと同じサンプルを、反射率の代わりに、L表色系における明度Lを用いて評価した場合の例を示すグラフである。明度Lは、処理時間の経過に伴い、反射率と同様の傾向で変化していくことが分かる。従って、明度Lが所定の範囲(図6(b)の場合には、53〜15の範囲)になるように粗面化を行うことで、被覆層14の粗面化の進行度合を適切に管理することができる。なお、図6(a)、(b)に示した反射率、明度Lの値や、空気溜まりの発生を良好に防止できる範囲(範囲B)はあくまで例示であり、成形面15の形状や被覆層14の材質、ガラスの種類、製造するガラスゴブやガラス成形体の形状、大きさなど、種々の条件によって異なるものである。
更に、粗面化の進行度合のばらつきを抑え、より高い精度で粗面化を管理するという観点からは、被覆層14の表面の反射率を測定しながら粗面化を行い、測定された反射率又は当該反射率に基づいて計算されるパラメータが所定の値となった時点で粗面化を終了する方法も好ましい。図7(a)は、同様に加工した2つの下型10x、10yを、被覆層14の反射率を測定しながらエッチングを行う方法を模式的に示している。また、図7(b)のグラフは、2つの下型10x、10yについて、処理時間と反射率との関係をそれぞれ示している。下型10xと10yは、加工条件の微差等によって表面状態が僅かに異なり、下型10xの方が下型10yよりも表面粗さが小さいため、下型10xの方が下型10yよりも反射率が高くなっている。そのため、2つの下型10x、10yの処理時間を同一にした場合は、処理後の表面粗さに差が残ったままとなってしまう。しかし、図7に示すように、被覆層14の反射率を測定しながら粗面化を行い、測定された反射率が所定の値(例えば、30%)となった時点で粗面化を終了する(例えば、下型10xの処理時間を7分、下型10yの処理時間を6分とする)ことで、処理後の表面粗さの差を低減することができる。そのため、2つの下型10x、10yの粗面化の進行度合のばらつきを低減することができ、より高い精度で粗面化を管理することができる。
また、成形面15が曲率を有する形状の場合には、成形面15内の位置(中央部、中帯部、端部など)によって粗面化の進行度合が異なる場合がある。その場合、図8(a)に示すように、反射率を測定するための光源24と受光部25との位置関係を変化させることにより、所望の位置における反射率を測定することができ、粗面化の進行度合をより適切に管理することができる。所望の位置における反射率を測定するため、図8(b)に示すように、光源24と受光部25との位置関係は変化させず、下型10の傾きを変化させてもよい。粗面化の進行度合は、製造するガラス成形体等に要求される品質や製造条件等に応じて、成形面15の中央部、中帯部、端部など、所望の位置における反射率等で管理すればよい。また、複数の位置の反射率の最大置、最小値、平均値等によって管理してもよい。
上述のように、本実施形態では、被覆層14の表面の反射率を測定し、測定した反射率等が所定の範囲になるように粗面化の進行度合を管理するが、この場合の反射率等の管理幅(所定の範囲)は、粗面化された被覆層14の表面が、算術平均粗さ(Ra)が0.01μm以上であり、且つ、粗さ曲線要素の平均長(RSm)が0.5μm以下となるように定めることが好ましい。被覆層14の表面の算術平均粗さ(Ra)及び粗さ曲線要素の平均長(RSm)をこのような範囲とすることにより、製造したガラスゴブやガラス成形体にエアー溜まりが発生することをより効果的に防止することができる。なお、算術平均粗さ(Ra)、及び、粗さ曲線要素の平均長(RSm)は、JIS B 0601:2001において定義される粗さパラメータである。これらのパラメータの測定は、AFM(原子間力顕微鏡)のように、空間解像度が0.1μ以下の測定機を用いて行うことが好ましい。
ここで、被覆層14を粗面化することによって、ガラスゴブやガラス成形体に空気溜まりが発生することを防止できる理由を、図9及び図10を用いて詳細に説明する。図9は下型10に滴下した溶融ガラス滴50の状態を示す図である。図9(a)は、溶融ガラス滴50が下型10に衝突した瞬間の状態を、図9(b)は、その後、溶融ガラス滴50が表面張力によって丸く変形した後の状態を示している。
図9(a)に示すように、下型10に衝突した瞬間の溶融ガラス滴50には、下面(被覆層14と接触している面)の中心付近に、直径数十μm〜数百μm程度の微小な凹部51が生じる。しかし、被覆層14の表面は所定の方法によって粗面化されているため、溶融ガラス滴50の下面と被覆層14との間に隙間が残り、図9(b)に示すように、溶融ガラス滴50が表面張力の働きによって丸く変形する際、その隙間を通って凹部51の中に溜まった空気が逃げて凹部51が消滅する。
溶融ガラス滴50の下面と被覆層14との間に生じる隙間の状態について、図10を用いて更に詳細に説明する。図10は、図9(b)のC部の詳細を示した模式図である。図10(a)に示すように、被覆層14の表面には、粗面化工程によって凹凸が形成されている。滴下した溶融ガラス滴50の下面52は、表面張力の働きによって、被覆層14の表面の凹凸の谷部に完全に入り込まずに隙間53が残る。この隙間53が凹部51に溜まったエアーの逃げ道になり、凹部51は消滅する。
図10(b)は、図10(a)と比較して、被覆層14の凹凸の周期は同じであるが、凹凸の高さが高い場合を示している。このように凹凸が高い場合は、十分な大きさの隙間53が形成され凹部51は容易に消滅するものの、溶融ガラス滴50の下面52にも大きな凹凸が形成され、得られるガラスゴブやガラス成形体の表面粗さが大きくなりすぎてしまう場合がある。逆に被覆層14の凹凸の高さが低すぎると、凹凸の谷のかなりの部分にまでガラスが入り込んでしまい、十分な大きさの隙間53が形成されずに、凹部51が完全に消滅せずに残ってしまう場合がある。そのため、被覆層14の表面は、算術平均粗さ(Ra)が0.01μm以上であることが好ましく、0.01μm以上0.2μm以下であることがより好ましい。
また、凹凸の周期もエアー溜まりの発生に影響する。図10(c)は、図10(a)と比較して、被覆層14の表面の凹凸の高さは同じであるが、凹凸の周期が長い場合を示している。このように、凹凸の高さが同じであっても、周期が長くなると凹凸の谷の底の方までガラスが入り込み易くなるため、十分な大きさの隙間53が形成されず、凹部51が完全に消滅せずに残ってしまう場合がある。そのため、被覆層14の表面の粗さ曲線要素の平均長(RSm)は0.5μm以下であることが好ましい。
また、被覆層14は2種以上の層からなる多層構造を有していてもよい。例えば、基材11と被覆層14の密着性を高めるための中間層を設けてもよいし、粗面化によって凹凸が形成された被覆層14の上に、表面を保護するための保護層を更に設けてもよい。このように、被覆層14が2層以上からなる場合、溶融ガラス滴と接触する最表面の算術平均粗さ(Ra)と、粗さ曲線要素の平均長(RSm)が上記所定範囲となっていることが好ましい。
なお、以上の説明では、下型を製造する場合を例に挙げて説明したが、下型と共に溶融ガラス滴を加圧成形する上型を製造する場合にも、同様に本発明を適用することができる。
(ガラスゴブの製造方法)
本発明の実施形態の一例であるガラスゴブの製造方法について図11〜図13を参照しながら説明する。図11は、ガラスゴブの製造方法の一例を示すフローチャートである。また、図12、図13は本実施形態で使用するガラスゴブの製造装置の模式図である。図12は下型に溶融ガラス滴を滴下する工程(S22)における状態を、図13は、滴下した溶融ガラス滴を下型の上で冷却・固化する工程(S23)における状態を、それぞれ示している。
下型10は、上述の製造方法によって製造されたものである。即ち、基材11の上に被覆層14を設けた後、表面の反射率が所定の範囲となるように粗面化したものである。また、下型10は、図示しない加熱手段によって所定温度に加熱できるように構成されている。加熱手段は、公知の加熱手段を適宜選択して用いることができる。例えば、下型10の内部に埋め込んで使用するカートリッジヒーターや、下型10の外側に接触させて使用するシート状のヒーター、赤外線加熱装置、高周波誘導加熱装置等を用いることができる。
以下、図10に示すフローチャートに従い、順を追って各工程について説明する。
先ず、下型10を予め所定温度に加熱しておく(工程S21)。下型10の温度が低すぎると、ガラスゴブの下面(下型10との接触面)に大きなしわが発生しやすく、また、急速に冷却されることによってワレやカンが発生する場合がある。逆に、必要以上に温度を高くしすぎると、ガラスと下型10との間に融着が発生しやすく、成形金型の寿命が短くなるおそれがあるばかりか、ガラスと下型10が密着することでガラスゴブに空気溜まりが残ってしまう場合もある。実際には、ガラスの種類や、形状、大きさ、成形金型の材質、大きさ等種々の条件によって適正な温度が異なるため、実験的に適正な温度を求めておくことが好ましい。通常は、使用するガラスのガラス転移温度をTgとしたとき、Tg−100℃からTg+100℃程度の温度に設定することが好ましい。
次に、滴下ノズル63から溶融ガラス滴50を滴下する(工程S22)(図12参照)。溶融ガラス滴50の滴下は、溶融ガラス61を貯留する溶融槽62に接続された滴下ノズル63を所定温度に加熱することによって行う。滴下ノズル63を所定温度に加熱すると、溶融槽62に貯留された溶融ガラス61は、自重によって滴下ノズル63の先端部に供給され、表面張力によって液滴状に溜まる。滴下ノズル63の先端部に溜まった溶融ガラスが一定の質量になると、重力によって滴下ノズル63から自然に分離し、溶融ガラス滴50となって下方に落下する。
滴下ノズル63から滴下する溶融ガラス滴50の質量は、滴下ノズル63の先端部の外径などによって調整可能であり、ガラスの種類等によるが、0.1g〜2g程度の溶融ガラス滴を滴下させることができる。また、滴下ノズル63から滴下した溶融ガラス滴50を、一旦、貫通細孔を有する部材に衝突させ、衝突した溶融ガラス滴の一部を、貫通細孔を通過させることによって微小化した溶融ガラス滴を下型10に滴下してもよい。このような方法を用いることによって、例えば0.001gといった微小な溶融ガラス滴を得ることができるため、滴下ノズル63から滴下する溶融ガラス滴50をそのまま下型10で受ける場合よりも、微小なガラスゴブの製造が可能となる。なお、滴下ノズル63から溶融ガラス滴50が滴下する間隔は、滴下ノズル63の内径、長さ、加熱温度などによって微調整することができる。
使用できるガラスの種類に特に制限はなく、公知のガラスを用途に応じて選択して用いることができる。例えば、ホウケイ酸塩ガラス、ケイ酸塩ガラス、リン酸ガラス、ランタン系ガラス等の光学ガラスが挙げられる。
次に、滴下した溶融ガラス滴50を、下型10の上で冷却・固化する(工程S23)(図13参照)。下型10の上で所定時間放置することによって、溶融ガラス滴50は下型10や周囲の空気等への放熱によって冷却され、固化する。下型10の被覆層14の表面は、所定の粗面化処理が施されているため、固化したガラスゴブ54に空気溜まりは発生しない。
その後、固化したガラスゴブ54を回収し(工程S24)、ガラスゴブの製造が完成する。ガラスゴブ54の回収は、例えば、真空吸着を利用した公知の回収装置等を用いて行うことができる。更に引き続いてガラスゴブの製造を行う場合は、工程S22以降の工程を繰り返せばよい。
なお、本実施形態の製造方法により製造されたガラスゴブは、リヒートプレス法による各種光学素子の製造に用いるガラスプリフォームなどとして使用することができる。
(ガラス成形体の製造方法)
本発明の実施形態の別の例であるガラス成形体の製造方法について図14〜図16を参照しながら説明する。図14は、ガラス成形体の製造方法の一例を示すフローチャートである。また、図15、図16は本実施形態で使用するガラス成形体の製造装置の模式図である。図15は下型(金型)に溶融ガラス滴を滴下する工程(S33)における状態を、図16は、滴下した溶融ガラス滴を下型と上型(金型)とで加圧する工程(S35)における状態を、それぞれ示している。なお、以下の説明では、下型との接触面に空気溜まりが発生することを防止するために、本発明の方法で製造された粗面化された金型を下型として用いる場合を例に挙げて説明するが、上型との接触面に凹み等の欠陥が発生することを防止するためには、本発明の方法で製造された粗面化された金型を上型として用いればよい。
図15、図16に示すガラス成形体の製造装置は、図12、図13に示したガラスゴブの製造装置の構成に加えて、下型10と共に溶融ガラス滴50を加圧成形するための上型60を有している。上型60は、下型10と同様に、図示しない加熱手段によって所定温度に加熱できるように構成されている。下型10と上型60とをそれぞれ独立して温度制御することができる構成であることが好ましい。また、上型60の材質は、下型10と同様の材質の中から適宜選択することができる。下型10と上型60の材質は同じであってもよいし、異なっていてもよい。下型10は、図示しない駆動手段により、溶融ガラス滴50を受けるための位置(滴下位置P1)と、上型60と対向して加圧成形を行うための位置(加圧位置P2)との間を、ガイド65に沿って移動可能に構成されている。また上型60は、図示しない駆動手段により、溶融ガラス滴50を加圧する方向(図の上下方向)に移動可能に構成されている。
以下、図14に示すフローチャートに従い、順を追って各工程について説明する。なお、上述のガラスゴブの製造方法と同様の工程については、詳しい説明を省略する。
先ず、下型10及び上型60を所定温度に加熱する(工程S31)。所定温度とは、加圧成形によってガラス成形体に良好な転写面を形成できる温度を適宜選択すればよい。下型10と上型60の加熱温度は同じであってもよいし、異なっていてもよい。次に、下型10を滴下位置P1に移動し(工程S32)、滴下ノズル63から溶融ガラス滴50を滴下する(工程S33)(図15参照)。溶融ガラス滴50を滴下する際の条件等については、上述のガラスゴブの製造方法における工程S22の場合と同様である。
次に、下型10を加圧位置P2に移動し(工程S34)、上型60を下方に移動して、下型10と上型60とで溶融ガラス滴50を加圧成形する(工程S35)(図16参照)。下型10で受けられた溶融ガラス滴50は、加圧成形される間に下型10や上型60との接触面からの放熱によって冷却され、固化してガラス成形体55となる。ガラス成形体55が所定の温度にまで冷却されると、上型60を上方に移動して加圧を解除する。ガラスの種類や、ガラス成形体55の大きさや形状、必要な精度等によるが、通常は、ガラスのTg近傍の温度まで冷却してから加圧を解除することが好ましい。
溶融ガラス滴50を加圧するために負荷する荷重は、常に一定であってもよいし、時間的に変化させてもよい。負荷する荷重の大きさは、製造するガラス成形体のサイズ等に応じて適宜設定すればよい。また、上型60を上下移動させる駆動手段に特に制限はなく、エアシリンダ、油圧シリンダ、サーボモータを用いた電動シリンダ等の公知の駆動手段を適宜選択して用いることができる。
その後、上型60を上方に移動して退避させ、固化したガラス成形体55を回収し(工程S36)、ガラス成形体の製造が完成する。下型10の被覆層14の表面は、所定の粗面化処理が施されているため、得られたガラス成形体にエアー溜まりは発生しない。その後、引き続いてガラス成形体の製造を行う場合は、下型10を再度滴下位置P1に移動し(工程S32)、以降の工程を繰り返せばよい。なお、本発明のガラス成形体の製造方法は、ここで説明した以外の別の工程を含んでいてもよい。例えば、ガラス成形体を回収する前にガラス成形体の形状を検査する工程や、ガラス成形体を回収した後に下型10や上型60をクリーニングする工程等を設けてもよい。
本実施形態の製造方法により製造されたガラス成形体は、デジタルカメラ等の撮像レンズ、DVD等の光ピックアップレンズ、光通信用のカップリングレンズ等の各種光学素子として用いることができる。また、リヒートプレス法による各種光学素子の製造に用いるガラスプリフォームとして使用することもできる。
各工程における下型の状態を示す断面図である。 エッチングレートの意味を説明するための模式図である。 ウェットエッチングの方法を示す断面図である。 マスクを用いたエッチングの方法を示す断面図である。 平行平板型のドライエッチング装置の例を示す模式図である。 処理時間と被覆層の表面の反射率等との関係を示すグラフである。 反射率を測定しながら粗面化を行う方法を示す模式図とグラフである。 下型が曲率を有する場合の反射率の測定方法の例を示す模式図である。 下型に滴下した溶融ガラス滴の状態を示す図である。 図9(b)のC部の詳細を示した模式図である。 ガラスゴブの製造方法の一例を示すフローチャートである。 ガラスゴブの製造装置の模式図(工程S22における状態)である。 ガラスゴブの製造装置の模式図(工程S23における状態)である。 ガラス成形体の製造方法の一例を示すフローチャートである。 ガラス成形体の製造装置の模式図(工程S33における状態)である。 ガラス成形体の製造装置の模式図(工程S35における状態)である。 従来の方法により下型で受けた溶融ガラス滴の状態を示す模式図である。
符号の説明
10、10x、10y 下型(金型)
11 基材
14 被覆層
15 成形面
24 光源
25 受光部
30 エッチング液
31 エッチング液槽
32 噴射ノズル
33 マスク
40 ドライエッチング装置
41 真空チャンバー
42、43 電極
44 高周波電源
45 バルブ
46 排気ポンプ
47 流量調整バルブ
48 ガスボンベ
50 溶融ガラス滴
51 凹部
52 下面
53 隙間
54 ガラスゴブ
55 ガラス成形体
60 上型(金型)
61 溶融ガラス
62 溶融槽
63 滴下ノズル
65 ガイド
P1 滴下位置
P2 加圧位置

Claims (11)

  1. ガラスゴブ又はガラス成形体を製造するための金型の製造方法において、
    基材の上に被覆層を成膜する成膜工程と、
    前記被覆層の表面を粗面化する粗面化工程と、を有し、
    前記粗面化工程では、前記被覆層の表面の反射率又は当該反射率に基づいて計算されるパラメータが所定の範囲となるように粗面化を行うことを特徴とする金型の製造方法。
  2. 前記粗面化工程では、前記被覆層の表面の反射率を測定しながら粗面化を行い、測定された反射率又は当該反射率に基づいて計算されるパラメータが所定の値となった時点で粗面化を終了することを特徴とする請求項1に記載の金型の製造方法。
  3. 前記パラメータは、前記被覆層の表面の明度であることを特徴とする請求項1又は2に記載の金型の製造方法。
  4. 前記被覆層は、クロム、アルミニウム及びチタンのうち少なくとも1つの元素を含むことを特徴とする請求項1〜3のうち何れか1項に記載の金型の製造方法。
  5. 前記被覆層はクロム元素を含み、
    硝酸第二セリウムアンモニウムを含む酸性溶液を用いたウェットエッチングによって粗面化を行うことを特徴とする請求項4に記載の金型の製造方法。
  6. 前記被覆層はクロム元素を含み、
    フェリシアン化カリウム及び水酸化カリウムを含むアルカリ性溶液を用いたウェットエッチングによって粗面化を行うことを特徴とする請求項4に記載の金型の製造方法。
  7. 前記被覆層はクロム元素を含み、
    ハロゲンを含むガスを用いたドライエッチングによって粗面化を行うことを特徴とする請求項4に記載の金型の製造方法。
  8. 前記所定の範囲は、粗面化された前記被覆層の表面が、算術平均粗さ(Ra)が0.01μm以上であり、且つ、粗さ曲線要素の平均長(RSm)が0.5μm以下となるように定められたものであることを特徴とする請求項1に記載の金型の製造方法。
  9. 前記所定の範囲は、粗面化された前記被覆層の表面が、算術平均粗さ(Ra)が0.2μm以下となるように定められたものであることを特徴とする請求項8に記載の金型の製造方法。
  10. 下型に溶融ガラス滴を滴下する工程と、
    滴下した前記溶融ガラス滴を前記下型の上で冷却固化する工程と、を有するガラスゴブの製造方法において、
    前記下型は、請求項1〜9のうちの何れか1項に記載の金型の製造方法によって製造されたものであることを特徴とするガラスゴブの製造方法。
  11. 下型に溶融ガラス滴を滴下する工程と、
    滴下した前記溶融ガラス滴を、前記下型及び前記下型に対向する上型により加圧成形する工程と、を有するガラス成形体の製造方法において、
    前記下型又は前記上型の少なくとも一方は、請求項1〜9のうちの何れか1項に記載の金型の製造方法によって製造されたものであることを特徴とするガラス成形体の製造方法。
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