JP2010098419A - 放射線画像撮影装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】放射線画像撮影を行ってから短時間で電気信号を読み出すことが可能で、かつ、電気信号の真値を得ることが可能な放射線画像撮影装置を提供する。
【解決手段】撮像素子7が二次元状に配列された放射線画像撮影装置1において、撮像素子7から電荷を読み出し電気信号に変換する読み出し回路17と、撮像素子7に蓄積された電荷を放出させるスイッチ素子8と、スイッチ素子8のオン/オフを制御する制御手段22とを備え、制御手段22は、放射線画像撮影後、撮像素子7ごとに、スイッチ素子8を少なくとも2回オン状態としてそれぞれ電荷を放出させて電気信号に変換して出力させ、少なくとも2回分の電気信号の信号値A、Bに基づいて、撮像素子7から読み出し回路17への電荷の流入量q(t)を近似する特性曲線に基づく演算により、放射線の照射により撮像素子7内で発生した真の電荷Q0に相当する電気信号の真値S0を算出する。
【選択図】図8
【解決手段】撮像素子7が二次元状に配列された放射線画像撮影装置1において、撮像素子7から電荷を読み出し電気信号に変換する読み出し回路17と、撮像素子7に蓄積された電荷を放出させるスイッチ素子8と、スイッチ素子8のオン/オフを制御する制御手段22とを備え、制御手段22は、放射線画像撮影後、撮像素子7ごとに、スイッチ素子8を少なくとも2回オン状態としてそれぞれ電荷を放出させて電気信号に変換して出力させ、少なくとも2回分の電気信号の信号値A、Bに基づいて、撮像素子7から読み出し回路17への電荷の流入量q(t)を近似する特性曲線に基づく演算により、放射線の照射により撮像素子7内で発生した真の電荷Q0に相当する電気信号の真値S0を算出する。
【選択図】図8
Description
本発明は、放射線画像撮影装置に係り、特に、二次元状に配列された撮像素子内で発生した各電荷を読み出し回路で読み出す放射線画像撮影装置に関する。
照射されたX線等の放射線の線量に応じて検出素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる直接型の放射線画像撮影装置や、照射された放射線をシンチレータ等で可視光等の他の波長の電磁波に変換した後、変換され照射された電磁波の光エネルギに応じてフォトダイオード等の光電変換素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる間接型の放射線画像撮影装置が種々開発されている。なお、本発明では、直接型の放射線画像撮影装置における検出素子や、間接型の放射線画像撮影装置における光電変換素子を、あわせて撮像素子という。
このような放射線画像撮影装置(FPD(Flat Panel Detector)ともいう。)では、通常、例えばガラス基板上に複数の走査線と複数の信号線とを互いに交差するように配設して、走査線や信号線で区画された基板上の各領域に撮像素子が設けられている。そして、放射線や放射線から変換された電磁波の照射により各撮像素子内で発生した電荷を信号線に放出させ、信号線を介して増幅回路等を含む読み出し回路に送り、読み出し回路で増幅等の処理を行って電気信号に変換して出力するようになっている。
そして、1本の信号線には複数の撮像素子が薄膜トランジスタ等のスイッチ素子を介して接続され、スイッチ素子のオン/オフにより電荷を信号線に放出させ、或いは放出を停止させるようになっている。また、通常、1本の信号線ごとに1個の読み出し回路が設けられており、読み出し回路により、1本の信号線に接続された複数の撮像素子から電荷が順次読み出されて増幅等の処理が施されて電気信号に変換して出力される。
ところで、撮像素子には、通常、逆バイアス電圧が印加され、逆バイアス電圧が印加された状態の撮像素子に、放射線や、放射線から変換された電磁波が照射されると、撮像素子内に電子正孔対が発生する。そして、逆バイアス電圧の印加により撮像素子内に形成された電位勾配に従って、電子正孔対のうち、一方の電荷が、前記スイッチ素子が接続された撮像素子の電極側に移動して撮像素子内に蓄積される。また、他方の電荷は撮像素子内から逆バイアス電圧を印加するバイアス線側に流出する。そして、放射線の照射後、スイッチ素子である薄膜トランジスタがオン状態とされて導通されると、撮像素子の電極に蓄積された上記の一方の電荷が薄膜トランジスタを介して信号線に放出される。
このとき、撮像素子は、逆バイアス電圧が印加された状態では電流を流さない絶縁体(誘電体)として機能するため、一種のコンデンサと見なすことが可能であり、一方で、スイッチ素子である薄膜トランジスタは、いわゆるオン抵抗(ON抵抗)を有している。そして、各撮像素子ごとに見た場合、図16の等価回路図に示されるように、放射線画像撮影装置100の検出部は、コンデンサと見なされる撮像素子101と抵抗と見なされる薄膜トランジスタ102とが直列に接続された回路(すなわちRC回路)が形成され、それに図示しない増幅回路等を含む読み出し回路103が接続された状態になっている。
そのため、放射線の照射によりコンデンサと見なされる撮像素子101に電荷Q0が発生して蓄積された状態で、薄膜トランジスタ102がオン状態とされて読み出しが開始され、撮像素子101から電荷が放出され始めると、RC回路の特性としてよく知られているように、撮像素子101に残存している時々刻々の電荷量Q(t)は、
Q(t)=Q0exp(−t/τ) …(1)
の式で近似されるように時間的に減少していく。なお、τは、撮像素子101の等価寄生容量をC[F]、薄膜トランジスタ102のオン抵抗の抵抗値をR[Ω]とした場合、
τ=RC …(2)
で表される。
Q(t)=Q0exp(−t/τ) …(1)
の式で近似されるように時間的に減少していく。なお、τは、撮像素子101の等価寄生容量をC[F]、薄膜トランジスタ102のオン抵抗の抵抗値をR[Ω]とした場合、
τ=RC …(2)
で表される。
一方、薄膜トランジスタ102の下流側の読み出し回路103には、撮像素子101における電荷量の減少分
q(t)=Q0−Q(t)
=Q0{1−exp(−t/τ)} …(3)
の電荷量q(t)が流入してくるため、読み出し回路103内の図示しない増幅回路で増幅されて出力される電気信号は、上記(3)式で表される撮像素子101から流入してくる電荷量q(t)に応じて増加していく。
q(t)=Q0−Q(t)
=Q0{1−exp(−t/τ)} …(3)
の電荷量q(t)が流入してくるため、読み出し回路103内の図示しない増幅回路で増幅されて出力される電気信号は、上記(3)式で表される撮像素子101から流入してくる電荷量q(t)に応じて増加していく。
すなわち、放射線の照射により撮像素子101内で発生した電荷Q0に相当する電気信号の信号値をS0とすると、読み出し回路103内の増幅回路からは、
s(t)=S0{1−exp(−t/τ)} …(4)
で表される信号値s(t)の電気信号が出力される。
s(t)=S0{1−exp(−t/τ)} …(4)
で表される信号値s(t)の電気信号が出力される。
そして、増幅回路から出力された電気信号の信号値s(t)がサンプルホールドされる等して、読み出し回路103から信号値Sの電気信号が出力される。
ところで、被写体を透過した放射線の照射により、或いは被写体を透過した放射線が照射されシンチレータ等で変換された電磁波の照射により、撮像素子101内で発生した電荷Q0には被写体に関する有益な情報が含まれるため、理想的には、撮像素子101から発生し蓄積されている電荷Q0を全て放出させ、読み出し回路103から、電荷Q0に相当する電気信号の信号値S0を出力させることが望ましい。なお、以下、このように、放射線の照射により撮像素子101内で発生した電荷Q0に相当し、本来読み出されるべき電気信号の信号値S0を真値S0という。
しかし、上記(1)式〜(4)式に示されるように、撮像素子101内で発生した電荷Q0を全て放出させるには、理論的には無限大の時間(t=∞)を要する。そのため、実際上、撮像素子101内で発生した電荷Q0を全て放出させることは事実上不可能であるが、撮像素子101から電荷を放出させるために薄膜トランジスタ102をオン状態とする時間間隔を十分に長くして撮像素子101内で発生した電荷Q0を十分に放出させることで、その時間間隔内に読み出し回路103から出力された電気信号の信号値S(すなわち後述する信号値S(q))を真値S0に十分近づけることができる。
一方、撮像素子101に逆バイアス電圧を印加すると、放射線画像撮影装置100に放射線を照射していない場合でも撮像素子101内に暗電荷が発生することもよく知られている。そのため、撮像素子101からは、放射線の照射により撮像素子101内で発生した電荷Q0に由来する電荷量q(t)(上記(3)式参照)のほかに、撮像素子101内で発生した暗電荷D0に由来する電荷量d(t)が読み出し回路103に流入する。
そのため、読み出し回路103内の増幅回路からは、電荷Q0に由来する電荷量q(t)に相当する信号値s(t)(上記(4)式参照)の電気信号だけでなく、暗電荷D0に由来する電荷量d(t)に相当する電気信号が加算されて出力される。そのため、最終的に読み出し回路103から出力される電気信号の信号値Sは、電荷Q0に由来する電気信号の信号値S(q)に、暗電荷D0に由来する電気信号の信号値S(d)がオフセットとして加算された値となる。
S=S(q)+S(d) …(5)
S=S(q)+S(d) …(5)
そこで、このオフセット値である暗電荷D0に由来する電気信号の信号値S(d)を求めるために、例えば、放射線画像撮影の前後に放射線画像撮影装置100に放射線を照射しない状態で撮像素子101に暗電荷D0を発生させてそれに相当する電気信号の信号値S(d)(いわゆるダーク読取値)を読み取る、いわゆるダーク読取を行って、それにより得られた信号値S(d)をオフセット値として算出したり、或いは、例えば放射線画像撮影の前後にダーク読取を複数回行ってそれらのダーク読取で得られた信号値S(d)の平均値をオフセット値として算出することがしばしば行われる(例えば特許文献1〜3等参照)。
このようにして算出したオフセット値である暗電荷D0に由来する電気信号の信号値S(d)やその平均値Save(d)を、放射線画像撮影の後に読み出し回路103から出力された電気信号の信号値Sから差し引く、すなわち、
S(q)=S−S(d) …(6)
または、
S(q)=S−Save(d) …(7)
の演算を行うことで、放射線の照射により撮像素子101内で発生した電荷Q0に由来する電気信号の信号値S(q)を算出する。
S(q)=S−S(d) …(6)
または、
S(q)=S−Save(d) …(7)
の演算を行うことで、放射線の照射により撮像素子101内で発生した電荷Q0に由来する電気信号の信号値S(q)を算出する。
このようなオフセット補正処理を行うことで、読み出し回路103から出力された電気信号の信号値Sを補正して撮像素子101内で発生した暗電荷D0による影響を排除し、放射線の照射により撮像素子101内で発生した電荷Q0のみに由来する電気信号の信号値S(q)を的確に取得することが可能となる。また、このように、暗電荷D0の影響を排除することで、読み出し回路103から出力された電気信号の、いわば生の信号値Sを用いる場合よりも、補正後の電気信号の信号値S(q)をより真値S0に近い値とすることができる。
米国特許第5452338号明細書
米国特許第6222901号明細書
米国特許第7041955号明細書
しかしながら、放射線画像撮影における放射線の照射により撮像素子101内で発生した電荷Q0を十分に放出させるために、各撮像素子101に接続されている薄膜トランジスタ102をオン状態とする時間間隔を長くするように構成すると、放射線画像撮影装置100には、通常、膨大な数の撮像素子101が設けられているため、放射線画像撮影を行ってから読み出し回路103が電気信号を出力するまでの時間が非常に長くなる。
また、ダーク読取により撮像素子101内で発生した暗電荷D0を放出させる際にも、暗電荷D0に由来して読み出し回路103に流入する電荷量d(t)は、上記の(3)式に示した電荷Q0に由来して読み出し回路103に流入する電荷量q(t)の場合と同様に、所定値に収束するように徐々に増加していく。そのため、オフセット値算出の元データとなる暗電荷D0に由来する電気信号の信号値S(d)を正確に読み出そうとすると、やはり、薄膜トランジスタ102をオン状態とする時間間隔を長くすることが必要となる。そのため、ダーク読取に要する時間も長くなる。
さらに、オフセット値算出の元データとなる暗電荷D0に由来する電気信号の信号値S(d)を読み出すために、ダーク読取を1回行い、或いはダーク読取を複数回繰り返すと、ダーク読取を行う分だけ、結果的に、放射線画像撮影を行ってから電気信号の真値S0或いはそれに近い値が得られるまでの時間が非常に長くなってしまう。
このように、放射線画像撮影を行ってから電気信号の真値S0或いはそれに近い値が得られるまでの時間が長くなると、例えば、医師等が患者の放射線画像を見て緊急に診断を下さなければならないような状況で、上記のように構成された放射線画像撮影装置を用いることができなくなる。
また、通常、放射線技師等は放射線画像を見て再撮影の要否を判断するが、放射線画像撮影を行ってから真値S0或いはそれに近い値の電気信号が得られるまでの時間が長くなり放射線画像を得るまでに時間がかかると、放射線画像が得られるまで患者が長い時間待たなければならず、患者に負担がかかる。
さらに、放射線画像撮影装置がバッテリ内蔵型であるような場合には、1回の放射線画像撮影で多大な電力を消費してしまい、バッテリの充電頻度が増加する。そのため、放射線画像撮影装置の使用効率が低下するとともに、バッテリの劣化の進行度合いが高まり、バッテリの交換頻度も増加してしまう。
また、逆に、放射線画像撮影からデータ出力までの時間を短くすると、読み出し回路103から出力される電荷Q0に由来する電気信号の信号値S(q)と、発生した真の電荷Q0に相当する電気信号の真値S0との乖離が大きくなり、得られる放射線画像の画質が低下してしまう。また、暗電荷D0の放出時間を短くすると、オフセット値である暗電荷D0に由来する電気信号の信号値S(d)やその平均値Save(d)の精度が低下し、結果的に、得られる放射線画像の画質が低下してしまうという問題があった。
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、放射線画像撮影を行ってから短時間で電気信号を読み出すことが可能で、かつ、電気信号の真値を得ることが可能な放射線画像撮影装置を提供することを目的とする。
前記の問題を解決するために、本発明の放射線画像撮影装置は、
放射線の照射により電荷を発生させる撮像素子が二次元状に配列された放射線画像撮影装置において、
前記撮像素子から信号線を通じて電荷を読み出し、前記撮像素子ごとに前記電荷を電気信号に変換して出力する読み出し回路と、
前記撮像素子に接続され、オン状態とされることにより前記撮像素子に蓄積された前記電荷を前記信号線に放出させるスイッチ素子と、
前記スイッチ素子のオン/オフを制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、放射線画像撮影における放射線の照射後、前記撮像素子ごとに、前記スイッチ素子を少なくとも2回オン状態として前記撮像素子からそれぞれ電荷を放出させて前記読み出し回路でそれぞれ電気信号に変換して出力させ、前記少なくとも2回分の電気信号の信号値に基づいて、前記撮像素子から放出された電荷が前記読み出し回路に流入する際の電荷の時間的な流入量を近似する特性曲線に基づく演算により、放射線の照射により前記撮像素子内で発生した真の電荷に相当する電気信号の真値を算出することを特徴とする。
放射線の照射により電荷を発生させる撮像素子が二次元状に配列された放射線画像撮影装置において、
前記撮像素子から信号線を通じて電荷を読み出し、前記撮像素子ごとに前記電荷を電気信号に変換して出力する読み出し回路と、
前記撮像素子に接続され、オン状態とされることにより前記撮像素子に蓄積された前記電荷を前記信号線に放出させるスイッチ素子と、
前記スイッチ素子のオン/オフを制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、放射線画像撮影における放射線の照射後、前記撮像素子ごとに、前記スイッチ素子を少なくとも2回オン状態として前記撮像素子からそれぞれ電荷を放出させて前記読み出し回路でそれぞれ電気信号に変換して出力させ、前記少なくとも2回分の電気信号の信号値に基づいて、前記撮像素子から放出された電荷が前記読み出し回路に流入する際の電荷の時間的な流入量を近似する特性曲線に基づく演算により、放射線の照射により前記撮像素子内で発生した真の電荷に相当する電気信号の真値を算出することを特徴とする。
本発明のような方式の放射線画像撮影装置によれば、放射線画像撮影で放射線の照射により撮像素子内で発生し蓄積された電荷を少なくとも2回撮像素子から放出させてそれぞれ電気信号の信号値の読み出しを行って、放射線の照射により撮像素子内で発生した電荷に相当する電気信号の真値を算出することが可能となる。その際、電気信号の読み出しは、前述した従来例のように長い時間かけて行う必要はなく、短い読み出し時間で行えばよいため、従来例のような1回だけの読み出しと同程度の時間で済み、或いは、従来例のような1回だけの読み出し時間よりも短時間で行うことが可能となる。
また、本発明のような方式の放射線画像撮影装置では、ダーク読取等の処理を行う必要がなく、少なくとも2回の読み出しを行うだけで、放射線の照射により撮像素子内で発生した電荷に相当する電気信号の真値を算出することができるため、放射線画像撮影を行ってから非常に短時間で電気信号の真値を得ることが可能となる。そのため、前述したような患者を長い時間待たせて患者に負担がかかったり、放射線画像撮影装置のバッテリが消耗する等の問題を解消することが可能となる。
また、前述した従来例では、読み出し時間を長くして撮像素子内で発生し蓄積されている電荷に由来する電気信号の信号値を真値に近づけることはできても、撮像素子内で発生した真の電荷に相当する電気信号の真値そのものを得ることはできなかったが、本発明のような方式の放射線画像撮影装置によれば、放射線の照射により撮像素子内で発生した電荷に相当する電気信号の真値そのものを算出することが可能となる。そのため、電気信号の真値を用いて放射線画像を生成させることが可能となり、放射線画像の画質の低下を抑制することが可能となる。
以下、本発明に係る放射線画像撮影装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下では、放射線画像撮影装置がシンチレータ等を備え、放射された放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して電気信号を得るいわゆる間接型の放射線画像撮影装置について説明するが、本発明は、直接型の放射線画像撮影装置に対しても適用することができる。
[放射線画像撮影装置の構成]
図1は、本実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観斜視図であり、図2は、図1のA−A線に沿う断面図である。本実施形態に係る放射線画像撮影装置1は、図1や図2に示すように、筐体2内にシンチレータ3や基板4等が収納されたカセッテ型の装置として構成されている。
図1は、本実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観斜視図であり、図2は、図1のA−A線に沿う断面図である。本実施形態に係る放射線画像撮影装置1は、図1や図2に示すように、筐体2内にシンチレータ3や基板4等が収納されたカセッテ型の装置として構成されている。
筐体2は、少なくとも放射線の照射を受ける側の面(放射線入射面)2aが放射線を透過するカーボン板やプラスチック等の材料で形成されている。なお、図1や図2では、筐体2がフレーム板51とバック板52とで形成された、いわば弁当箱型である場合が示されているが、筐体2を一体的に形成するいわばモノコック型とすることも可能である。
また、図1に示すように、筐体2の側面部分には、LED等で構成されたインジケータ53や蓋部材54、電源スイッチ55等が配置されている。また、蓋部材54の側面部には、外部と無線で情報の送受信を行うための無線通信手段であるアンテナ装置56が埋め込まれている。
また、図2に示すように、筐体2の内部には、基板4の下方側に図示しない鉛の薄板等を介して基台57が配置され、基台57には、電子部品58等が配設されたPCB基板59や緩衝部材60等が取り付けられている。なお、本実施形態では、基板4やシンチレータ3の放射線入射面2aには、それらを保護するためのガラス基板61が配設されている。
シンチレータ3は、基板4の検出部Pに貼り合わされるようになっている。シンチレータ3は、例えば、蛍光体を主成分とし、放射線の入射を受けると300〜800nmの波長の電磁波、すなわち可視光線を中心とした電磁波に変換して出力するものが用いられる。
基板4は、本実施形態では、ガラス基板で構成されており、図3に示すように、基板4のシンチレータ3に対向する側の面4a上には、複数の走査線5と複数の信号線6とが互いに交差するように配設されている。基板4の面4a上の複数の走査線5と複数の信号線6により区画された各小領域rには、それぞれ本実施形態では光電変換素子である撮像素子7がそれぞれ設けられている。
このように、撮像素子7は基板4上に二次元状に配列されている。また、撮像素子7が設けられた領域r全体、すなわち図3に一点鎖線で示される領域が検出部Pとされている。
本実施形態では、撮像素子7としてフォトダイオードが用いられているが、この他にも、例えばフォトトランジスタ等を用いることも可能である。各撮像素子7は、図3や図4の拡大図に示すように、スイッチ素子である薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor。以下、TFTという。)8のソース電極8sに接続されている。また、TFT8のドレイン電極8dは信号線6に接続されている。
そして、TFT8は、オン状態とされることにより、すなわちゲート電極8gに信号読み出し用の電圧が印加されてTFT8のゲートが開かれることにより、撮像素子7に蓄積されている電荷を信号線6に放出させるようになっている。また、TFT8は、オフ状態とされることにより、すなわちゲート電極8gへの信号読み出し用の電圧の印加が停止されてTFT8のゲートが閉じられることにより、撮像素子7から信号線6への電荷の放出を停止させるようになっている。
ここで、本実施形態における撮像素子7やTFT8の構造について、図5に示す断面図を用いて簡単に説明する。図5は、図4におけるX−X線に沿う断面図である。
基板4の面4a上に、AlやCr等からなるTFT8のゲート電極8gが走査線5と一体的に積層されて形成されており、ゲート電極8g上および面4a上に積層された窒化シリコン(SiNx)等からなるゲート絶縁層81上のゲート電極8gの上方部分に、水素化アモルファスシリコン(a−Si)等からなる半導体層82を介して、撮像素子7の第1電極74と接続されたソース電極8sと、信号線6と一体的に形成されるドレイン電極8dとが積層されて形成されている。
ソース電極8sとドレイン電極8dとは、窒化シリコン(SiNx)等からなる第1パッシベーション層83によって分割されており、さらに第1パッシベーション層83は両電極8s、8dを上側から被覆している。また、半導体層82とソース電極8sやドレイン電極8dとの間には、水素化アモルファスシリコンにVI族元素をドープしてn型に形成されたオーミックコンタクト層84a、84bがそれぞれ積層されている。以上のようにしてTFT8が形成されている。
また、撮像素子7の部分では、基板4の面4a上に前記ゲート絶縁層81と一体的に形成される絶縁層71の上にAlやCr等が積層されて補助電極72が形成されており、補助電極72上に前記第1パッシベーション層83と一体的に形成される絶縁層73を挟んでAlやCr、Mo等からなる第1電極74が積層されている。第1電極74は、第1パッシベーション層83に形成されたホールHを介してTFT8のソース電極8sに接続されている。
第1電極74の上には、水素化アモルファスシリコンにVI族元素をドープしてn型に形成されたn層75、水素化アモルファスシリコンで形成された変換層であるi層76、水素化アモルファスシリコンにIII族元素をドープしてp型に形成されたp層77が下方から順に積層されて形成されている。
放射線画像撮影装置1の筐体2の放射線入射面2aから放射線が入射し、シンチレータ3で可視光等の電磁波に変換され、変換された電磁波が図中上方から照射されると、電磁波は撮像素子7のi層76に到達して、i層76内で電子正孔対が発生する。撮像素子7は、このようにして、シンチレータ3から照射された電磁波を電荷に変換するようになっている。なお、p層77、i層76、n層75の積層の順番は上下逆であってもよい。
p層77の上には、ITO等の透明電極とされた第2電極78が積層されて形成されており、照射された電磁波がi層76等に到達するように構成されている。以上のようにして撮像素子7が形成されている。
また、撮像素子7の第2電極78の上面には、第2電極78を介して撮像素子7に逆バイアス電圧を印加するバイアス線9が接続されている。なお、撮像素子7の第2電極78やバイアス線9、TFT8側に延出された第1電極74、TFT8の第1パッシベーション層83等、すなわち撮像素子7とTFT8の上面部分は、その上方側から窒化シリコン(SiNx)等からなる第2パッシベーション層79で被覆されている。
図3や図4に示すように、本実施形態では、それぞれ列状に配置された複数の撮像素子7に1本のバイアス線9が接続されており、各バイアス線9はそれぞれ信号線6に平行に配設されている。また、各バイアス線9は、基板4の検出部Pの外側の位置で1本の結線10に結束されている。バイアス線9や結線10は、電気抵抗が小さい金属線で形成されている。
本実施形態では、各走査線5や各信号線6、バイアス線9の結線10は、それぞれ基板4の端縁部付近に設けられた入出力端子(パッドともいう)11に接続されている。各入出力端子11には、図6に示すように、IC12a等のチップが組み込まれたCOF(Chip On Film)12が異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film)や異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着材料13を介して接続されている。
また、COF12は、基板4の裏面4b側に引き回され、裏面4b側で前述したPCB基板59に接続されるようになっている。このようにして、放射線画像撮影装置1の基板4部分が形成されている。
ここで、放射線画像撮影装置1の回路構成について説明する。図7は本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の等価回路図であり、図8はその中の基板4の検出部Pを構成する1画素分についての等価回路図である。
前述したように、基板4の検出部Pの各撮像素子7は、その第2電極78がそれぞれバイアス線9および結線10に接続されており、結線10は逆バイアス電源14に接続されている。逆バイアス電源14は、結線10および各バイアス線9を介して各撮像素子7に印加する逆バイアス電圧を供給するようになっている。また、逆バイアス電源14は、後述する制御手段22に接続されており、制御手段22は、逆バイアス電源14から各撮像素子7に印加する逆バイアス電圧を制御するようになっている。
なお、本実施形態では、撮像素子7のp層77側に第2電極78を介してバイアス線9が接続されていることからも分かるように、逆バイアス電源14からは、撮像素子7の第2電極78にバイアス線9を介して逆バイアス電圧として撮像素子7の第1電極74側にかかる電圧よりも低い電圧が印加されるようになっている。
また、撮像素子7のp層77、i層76、n層75の積層順を逆に形成して第2電極78を介してn層75にバイアス線9を接続する場合には、逆バイアス電源14からは第2電極に逆バイアス電圧として第1電極74側にかかる電圧よりも高い電圧が印加される。なお、その場合には、図7や図8における撮像素子7の逆バイアス電源14に対する接続の向きが逆向きになる。
なお、本実施形態では、撮像素子7として、上記のようにp層77、i層76、n層75の順に積層されて形成されたいわゆるpin型の撮像素子を用いる場合が説明されているが、撮像素子7は、このようなpin型の撮像素子に限定されず、逆バイアス電圧が印加されて内部に電位勾配が形成される撮像素子であれば、本発明を適用することが可能である。
各撮像素子7の第1電極74はTFT8のソース電極8s(図7、図8中ではSと表記されている。)に接続されており、各TFT8のゲート電極8g(図7、図8中ではGと表記されている。)は走査駆動回路15から延びる各走査線5にそれぞれ接続されている。また、各TFT8のドレイン電極8d(図7、図8中ではDと表記されている。)は各信号線6にそれぞれ接続されている。
走査線5を介して走査駆動回路15からTFT8のゲート電極8gに読み出し信号である信号読み出し用の電圧が印加されると、TFT8がオン状態とされて、撮像素子7に蓄積された電荷がTFT8のソース電極8sを介してドレイン電極8dから信号線6に放出されるようになっている。また、走査線5からTFT8に対する信号読み出し用の電圧の印加が停止されると、TFT8がオフ状態とされて撮像素子7からの信号線6への電荷の放出が停止される。
本実施形態では、走査駆動回路15には、制御手段22が接続されており、制御手段22は、走査駆動回路15から走査線5を介して各撮像素子7のスイッチ素子であるTFT8のゲート電極8gに信号読み出し用の電圧を印加し、或いは信号読み出し用の電圧の印加を停止して、TFT8のオン/オフを制御し、各撮像素子7から信号線6への電荷の放出/停止を制御するようになっている。
各信号線6は、読み出しIC16内に形成された各読み出し回路17にそれぞれ接続されている。なお、読み出しIC16には所定個数の読み出し回路17が設けられており、読み出しIC16が複数設けられることにより、信号線6の本数分の読み出し回路17が設けられるようになっている。また、本実施形態では、読み出しIC16内に読み出しIC16の温度を測定する図示しない温度センサが設けられており、温度センサは所定のサンプリングタイミングで温度データを収集し、或いは制御手段22からの信号に応じて収集して、制御手段22に送信するようになっている。
読み出し回路17は、増幅回路18と、相関二重サンプリング回路19と、A/D変換器20とで構成されており、1本の信号線6ごとに1回路ずつ設けられている。そして、読み出し回路17は、撮像素子7から放出された電荷を信号線6を通じて読み出し、撮像素子7ごとに電荷を電荷電圧変換する等して電圧値である電気信号に変換するようになっている。
なお、相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling)回路19は、図7や図8中および後述する図10、図11中ではCDSと表記されている。また、本実施形態では、図18に示すように、1つの読み出しIC16ごとに1つまたは所定個数のA/D変換器20が各読み出し回路17に共通に用いられるように構成されており、後述するように、各相関二重サンプリング回路19から出力された各電気信号がアナログマルチプレクサ21を介して順次A/D変換器20に送信され、A/D変換器20で順次デジタル値に変換されるようになっている。
本実施形態では、増幅回路18はチャージアンプ回路で構成されており、オペアンプ18aと、オペアンプ18aにそれぞれ並列にコンデンサ18bおよび電荷リセット用スイッチ18cが接続されて構成されている。また、増幅回路18のオペアンプ18aの入力側の反転入力端子には信号線6が接続されており、増幅回路18の入力側の非反転入力端子には初期電圧V0が印加されるようになっている。なお、初期電圧V0は適宜の値に設定され、0[V](GND)に設定することも可能である。
また、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cは、制御手段22に接続されており、制御手段22によりオン/オフが制御されるようになっている。増幅回路18では、電荷リセット用スイッチ18cがオフの状態で、撮像素子7のTFT8がオン状態とされると(すなわち、TFT8のゲート電極8gに信号読み出し用の電圧が印加されると)、当該撮像素子7から放出された電荷がコンデンサ18bに流入して蓄積され、蓄積された電荷量に応じた電圧値がオペアンプ18aの出力側から出力されるようになっている。
増幅回路18は、このようにして、各撮像素子7から出力された電荷量に応じて電圧値を出力して電荷電圧変換するようになっている。また、電荷リセット用スイッチ18cがオン状態とされると、増幅回路18の入力側と出力側とが短絡され、コンデンサの電荷が放電される。
なお、増幅回路18を、撮像素子7から出力された電荷に応じて電流を出力するように構成することも可能である。また、本実施形態では、電荷リセット用スイッチ18cはFETで構成されており、制御手段22は電荷リセット用スイッチ18cの図示しないゲート電極に電圧を印加し或いは電圧の印加を停止して電荷リセット用スイッチ18cのオン/オフを制御するようになっている。
増幅回路18の出力側には、相関二重サンプリング回路(CDS)19が接続されている。相関二重サンプリング回路19は、本実施形態では、サンプルホールド機能を有しており、この相関二重サンプリング回路19におけるサンプルホールド機能は、制御手段22から送信されるパルス信号によりそのオン/オフが制御されるようになっている。すなわち、相関二重サンプリング回路19は、制御手段22からのパルス信号を受信すると、サンプルホールド機能を機能させて、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値を保持するようになっている。
なお、相関二重サンプリング回路19における二重サンプリングがどのように作動されるかについては、後で詳しく説明する。
各相関二重サンプリング回路19から出力された電気信号は、本実施形態では、図7に示すように、アナログマルチプレクサ21を介して撮像素子7ごとに順次A/D変換器20に送信されて、A/D変換器20でデジタル値に変換されるようになっている。そして、A/D変換器20は、デジタル値に変換した各撮像素子7の電気信号を制御手段22に順次出力するようになっている。
制御手段22は、マイクロコンピュータや専用の制御回路で構成されており、放射線画像撮影装置1の各部材の動作等を制御するようになっている。また、制御手段22には、RAM(Random Access Memory)等で構成される記憶手段23が接続されている。
また、前述したように、制御手段22は、逆バイアス電源14を制御して逆バイアス電源14から各撮像素子7に印加する逆バイアス電圧を設定し、読み出し回路17の増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cのオン/オフを制御し、相関二重サンプリング回路19にパルス信号を送信して、そのサンプルホールド機能のオン/オフを制御するようになっている。
本実施形態では、制御手段22は、前述した読み出しIC16の温度センサから送信された温度データを、基板4の面4a上に形成された撮像素子7やTFT8の温度として取得するようになっている。すなわち、本実施形態では、読み出しIC16の温度センサが、撮像素子7やTFT8の温度を測定する温度測定手段として機能するようになっている。
なお、例えば、読み出しIC16の温度と撮像素子7やTFT8の温度との相関、或いは読み出しIC16の温度の推移と撮像素子7やTFT8の温度の推移との相関等を予め実験的に求めておき、読み出しIC16の温度センサから送信されてくる読み出しIC16の温度データに基づいて撮像素子7やTFT8の温度を相関に基づいて求めるように構成することも可能である。
また、撮像素子7やTFT8の温度を直接測定する温度測定手段を備えるように構成することも可能であり、温度測定手段は、撮像素子7やTFT8の温度を直接的または間接的に測定し得るものであれば、特定の温度センサ等に限定されない。
[電気信号の通常の読み出し制御]
ここで、放射線画像撮影時における通常の場合の制御手段22による各撮像素子7からの電気信号の読み出し制御について説明する。
ここで、放射線画像撮影時における通常の場合の制御手段22による各撮像素子7からの電気信号の読み出し制御について説明する。
放射線画像撮影に先立って、制御手段22は、各撮像素子7に所定の電圧値の逆バイアス電圧を印加し、その状態で、各読み出し回路17の増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cをオン状態とし、各撮像素子7のTFT8のゲート電極8gに対して走査駆動回路15から各走査線5を介して信号読み出し用の電圧を印加して各TFT8をオン状態として、各撮像素子7や各TFT8部分に溜まっている電荷や増幅回路18のコンデンサ18bに蓄積されている電荷をリセットする。
なお、この状態では、撮像素子7には、第1電極74側に増幅回路18の初期電圧V0が印加され、第2電極78側に逆バイアス電圧Vbiasが印加されているため、撮像素子7の等価寄生容量をC[F]と表すと、撮像素子7の第1電極74には、
Q*=C・(V0−Vbias) …(8)
で表される電荷Q*が、また、第2電極78には−Q*の電荷が帯電している。しかし、これらの電荷Q*、−Q*は撮像素子7に初期電圧V0と逆バイアス電圧Vbiasが印加されている限り読み出されることはなく、いわば基準となる電荷であるため、以下の説明では説明を省略し、放射線の照射により撮像素子7内で発生する電荷Q0および逆バイアス電圧Vbiasの印加により撮像素子7内で発生する暗電荷D0についてのみ説明する。
Q*=C・(V0−Vbias) …(8)
で表される電荷Q*が、また、第2電極78には−Q*の電荷が帯電している。しかし、これらの電荷Q*、−Q*は撮像素子7に初期電圧V0と逆バイアス電圧Vbiasが印加されている限り読み出されることはなく、いわば基準となる電荷であるため、以下の説明では説明を省略し、放射線の照射により撮像素子7内で発生する電荷Q0および逆バイアス電圧Vbiasの印加により撮像素子7内で発生する暗電荷D0についてのみ説明する。
また、放射線画像撮影が連続して行われるような場合には、今回の放射線画像撮影の前に行われた放射線画像撮影の際に各撮像素子7内で発生して蓄積された電荷Q0が、完全に放出されずに撮像素子7内に残存している場合がある。また、上記のリセット処理を行う前に各撮像素子7内で発生した暗電荷が比較的大量に残存している場合もある。このような場合には、上記のように1回だけリセット処理を行っても、残存した電荷や暗電荷が放出されずに残り、今回の放射線画像撮影で得られる放射線画像に残像のように写り込んでしまう場合がある。
そのような場合には、例えば、各撮像素子7に逆バイアス電圧を印加した状態で、各読み出し回路17の増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cをオン状態とし、各撮像素子7のTFT8のオン/オフを繰り返し、リセット処理を繰り返すことで、各撮像素子7内に残存する電荷や暗電荷を除去することが可能であり、上記のような今回の放射線画像撮影に向けてのリセット処理の前に、そのような処理が適宜行われる。
制御手段22は、今回の放射線画像撮影に向けてのリセット処理を行うと、続いて、各TFT8のゲート電極8gへの信号読み出し用の電圧の印加を停止して各TFT8をオフ状態とする。
この状態で、図示しない放射線発生装置から放射線画像撮影装置1に放射線が照射されて、放射線画像撮影が行われる。放射線画像撮影では、被写体を透過した放射線がシンチレータ3に入射し、シンチレータ3で放射線が電磁波に変換されて、対応する位置の撮像素子7に照射される。撮像素子7内では、入射した電磁波のエネルギにより電子正孔対が発生する。
撮像素子7には、逆バイアス電源14から結線10やバイアス線9を介して所定の電圧値の逆バイアス電圧Vbiasが印加されており、各撮像素子7内には所定の電位勾配が形成されているため、各撮像素子7内で発生した電子正孔対のうち、一方の電荷(本実施形態では電子)が、スイッチ素子であるTFT8が接続された第1電極74側に移動して撮像素子内に蓄積される。これが、前述した放射線の照射により撮像素子7内で発生して蓄積された真の電荷Q0に相当する。また、前記一方の電荷と等量の他方の電荷(本実施形態では正孔)は、撮像素子7の第2電極78側に移動してバイアス線9側に流出する。
ここで、撮像素子7内で発生して蓄積される電荷Q0は、当該撮像素子7に入射した電磁波のエネルギの量に比例してその絶対値が大きくなる。また、前述したように、撮像素子7に逆バイアス電圧を印加すると、放射線画像撮影装置1に放射線を照射していない場合でも撮像素子7内に暗電荷D0が発生して蓄積する。そして、撮像素子7内で発生する暗電荷D0の絶対値は、一般的に、時間に比例して増加する。
そのため、上記のようにリセット処理が行われ、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されて読み出しが開始される直前までの撮像素子7内に蓄積される電荷量Qの絶対値|Q|は、図9に示すように推移する。
すなわち、各読み出し回路17の増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cや各TFT8がオン状態とされてリセット処理が行われ、各TFT8がオフ状態とされた時点(t=0)から、撮像素子7内に蓄積される電荷量Qの絶対値|Q|は、発生する暗電荷の絶対値分だけ時間的に増加していく。
そして、所定の照射時間tXの間、放射線発生装置から放射線画像撮影装置1に放射線が照射されると、撮像素子7内に蓄積される電荷量Qの絶対値|Q|は、暗電荷による増加分に加えて、放射線の照射により撮像素子7内で発生して蓄積される電荷(本実施形態の場合は電子)の分も増加する。放射線の照射時間tXの終了時点で放射線の照射により発生して蓄積された電荷の電荷量がQ0となる。
放射線の照射が終了した後も、暗電荷は増加し続ける。そして、各読み出し回路17の増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cがオフ状態とされ、読み出しの対象となる撮像素子7のTFT8がオン状態とされて読み出しが開始される時点(t=tS)で、撮像素子7には、放射線の照射により発生した電荷Q0と、発生した暗電荷D0とが蓄積された状態となる。
次に、制御手段22は、読み出し処理を開始するために、各読み出し回路17の増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cを制御してオフ状態にする。その際、電荷リセット用スイッチ18cをオフ状態にした瞬間に、いわゆるkTCノイズが発生し、増幅回路18のコンデンサ18bにkTCノイズに起因する電荷qが溜まる。そのため、図10に示すように、コンデンサ18bに蓄積された電荷量に応じた電圧値が出力される増幅回路18のオペアンプ18aの出力端子から出力される電圧値V(t)が、前述した初期電圧V0から電圧値Vinに変わる。
制御手段22は、このようにして各読み出し回路17の増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cをオフ状態とした後(図10では「18coff」と表示)、各読み出し回路17の相関二重サンプリング回路19に1回目のパルス信号を送信して、その時点(図10では「CDS保持」(左側)と表示)で増幅回路18から出力されている電圧値Vinを保持させる。
続いて、制御手段22は、走査駆動回路15から1本の走査線5に信号読み出し用の電圧を印加し、その走査線5にゲート電極8gが接続されているTFT8をオン状態として(図10では「TFTon」と表示)、これらのTFT8が接続されている各撮像素子7から蓄積された電荷を各信号線6にそれぞれ放出させる。そして、各撮像素子から放出された電荷は、各読み出し回路17の増幅回路18のコンデンサ18bに蓄積されるため、コンデンサ18bに蓄積された電荷量に応じてオペアンプ18aの出力側から出力される電圧値V(t)が上昇する。
その際、TFT8がオン状態とされて撮像素子7から電荷が放出され始めると、撮像素子7から前述した(3)式で算出される電荷q(t)が時々刻々放出され、信号線6を介して増幅回路18のコンデンサ18bに流入する。
なお、本実施形態では、読み出し開始時(t=tS)に撮像素子7に蓄積されている電荷は、上記のように、放射線の照射により発生した真の電荷Q0と、発生した暗電荷D0との和Q0+D0であるから、撮像素子7から流出し増幅回路18のコンデンサ18bに流入する電荷q(t)は、上記(3)式ではなく、
q(t)=(Q0+D0)・{1−exp(−t/τ)} …(9)
で算出される。τは、撮像素子7の等価寄生容量をC[F]、TFT8のオン抵抗の抵抗値をR[Ω]とした場合、
τ=RC …(10)
で表される(以下同様)。
q(t)=(Q0+D0)・{1−exp(−t/τ)} …(9)
で算出される。τは、撮像素子7の等価寄生容量をC[F]、TFT8のオン抵抗の抵抗値をR[Ω]とした場合、
τ=RC …(10)
で表される(以下同様)。
そして、増幅回路18のオペアンプ18aの出力端子から出力される電圧値V(t)は、図10に示すように、TFT8がオン状態とされた直後から上記(9)式に従って算出される電荷q(t)に応じて上昇する。前述した従来例と同様に、放射線の照射により発生した真の電荷Q0に相当する電気信号の真値をS0、発生した暗電荷D0に相当する電気信号の信号値をS(d)と表すと、増幅回路18から出力される電圧値V(t)は、
V(t)={S0+S(d)}・{1−exp(−t/τ)} …(11)
と表すことができる。
V(t)={S0+S(d)}・{1−exp(−t/τ)} …(11)
と表すことができる。
そして、増幅回路18から出力される電圧値V(t)は、このように所定値に収束するように徐々に増加する値となるため、前述した従来例で述べたように、TFT8をオン状態とする時間間隔を長くすればするほど、撮像素子7内で発生した電荷Q0(上記の場合はQ0+D0)を十分に放出させることが可能となる。
制御手段22は、所定時間が経過すると、走査駆動回路15から当該走査線5に印加している信号読み出し用の電圧の印加を停止してその走査線5にゲート電極8gが接続されているTFT8をオフ状態とし(図10では「TFToff」と表示)、この段階で、各相関二重サンプリング回路19に2回目のパルス信号を送信して、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vfiを保持させる(図10では「CDS保持」(右側)と表示)。
各相関二重サンプリング回路19は、2回目のパルス信号で電圧値Vfiを保持すると、電圧値の差Vfi−Vinを算出して出力する。このように、電圧値の差Vfi−Vinを算出することで、初期電圧V0やkTCノイズに起因する電荷qに基づいて発生した電圧値が相殺されて、放射線の照射により発生した真の電荷Q0に相当する電気信号の信号値と発生した暗電荷D0に相当する電気信号の信号値との和に相当する信号値が得られる。
そして、各相関二重サンプリング回路19から出力された電気信号Vfi−Vinは、アナログマルチプレクサ21を介して順次A/D変換器20に送信され、すなわち各撮像素子7の各電気信号ごとに順次A/D変換器20に送信され、A/D変換器20で順次デジタル値に変換されて制御手段22に送信される。
制御手段22は、A/D変換器20から各撮像素子7ごとの電気信号が送信されてくると、それらを撮像素子7と対応付けながら順次記憶手段23に記憶させていく。そして、制御手段22は、走査駆動回路15から信号読み出し用の電圧を印加する走査線5を順次切り替えながら(すなわち走査しながら)、上記の処理を繰り返して、全ての撮像素子7について電気信号を出力させて記憶手段23に記憶させる。
一般的な放射線画像撮影装置では、以上のようにして、放射線画像撮影時における電気信号の通常の読み出し制御が行われる。
しかし、読み出し時間t0(すなわち図10においてTFT8をオン状態とした後オフ状態とするまでの時間)を長くすれば放射線の照射により撮像素子7内で発生し蓄積されている電荷Q0に由来する電気信号の信号値を真値S0に近づけることは可能であるが、放射線の照射により撮像素子7内で発生した電荷Q0に相当する電気信号の真値S0そのものの値を得ることはできないという問題や、読み出し時間t0を長くすることが必要となりダーク読取が必要となるといった問題、得られる放射線画像の画質が低下する等の問題があることは前述したとおりである。
[本発明に係る電気信号の読み出し制御]
本発明に係る放射線画像撮影装置1では、上記の問題を解決するために、制御手段22は、放射線画像撮影における放射線の照射後、撮像素子7ごとに、スイッチ素子であるTFT8を少なくとも2回オン状態として撮像素子7からそれぞれ電荷を放出させ、読み出し回路17でそれぞれ電気信号に変換して出力させるようになっている。
本発明に係る放射線画像撮影装置1では、上記の問題を解決するために、制御手段22は、放射線画像撮影における放射線の照射後、撮像素子7ごとに、スイッチ素子であるTFT8を少なくとも2回オン状態として撮像素子7からそれぞれ電荷を放出させ、読み出し回路17でそれぞれ電気信号に変換して出力させるようになっている。
そして、撮像素子7から放出された電荷が読み出し回路17に流入する際の電荷の時間的な流入量q(t)を上記(9)式(および(10)式)で近似し、その特性曲線に基づく演算により、上記の少なくとも2回分の電気信号の信号値に基づいて、放射線の照射により撮像素子7内で発生した真の電荷Q0に相当する電気信号の真値S0を算出するようになっている。
これを実現するための読み出し手法として、いくつかの手法を採用することが可能である。以下、制御手段22における電気信号の読み出し手法および電気信号の真値S0の算出手法について説明する。
なお、以下の各手法において、放射線画像撮影前の増幅回路18や撮像素子7、TFT8等に溜まった電荷のリセット処理や、各撮像素子7への逆バイアス電圧Vbiasの印加、放射線画像撮影時の撮像素子7内での電子正孔対の発生および電荷Q0の蓄積、暗電荷D0の発生および蓄積等については、上記の通常の場合と同様であるため、説明を省略する。また、読み出しが開始される直前までに撮像素子7内に蓄積される電荷量Qの絶対値|Q|が図9に示したように推移することも、上記の通常の場合と同様である。
[第1の読み出し・算出手法]
制御手段22における電気信号の読み出し手法および電気信号の真値S0の算出手法の第1の手法として、各撮像素子7からの電荷の読み出し時間をできるだけ短縮することを主目的とした手法について説明する。
制御手段22における電気信号の読み出し手法および電気信号の真値S0の算出手法の第1の手法として、各撮像素子7からの電荷の読み出し時間をできるだけ短縮することを主目的とした手法について説明する。
本手法では、制御手段22は、読み出し処理を開始するために、各読み出し回路17の増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cを制御してオフ状態にする。その際、kTCノイズが発生して、増幅回路18のオペアンプ18aの出力端子から出力される電圧値V(t)が初期電圧V0から電圧値Vinに変わることは図10に示したとおりであり、制御手段22は、この時点で各読み出し回路17の相関二重サンプリング回路19に1回目のパルス信号を送信して、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vinを保持させる。
続いて、制御手段22は、走査駆動回路15から1本の走査線5に信号読み出し用の電圧を印加し、その走査線5にゲート電極8gが接続されているTFT8をオン状態として各撮像素子7から蓄積された電荷を各信号線6にそれぞれ放出させる。そして、各撮像素子からは、上記(9)式で算出される電荷q(t)が流出する。
図10に示した通常の場合では、その後、TFT8をオン状態とした後オフ状態とするまでの読み出し時間t0を長くして各撮像素子7から十分に電荷を放出させるように構成されていたが、本手法では、図11に示すように、読み出し時間t0を短くして、増幅回路18から出力される電圧値V(t)が十分上昇し切らないうちにTFT8をオフ状態にして、1回目の読み出しを行う。
この短い読み出し時間t0の間に、各撮像素子7からは、上記(9)式に従って、
q(t0)=(Q0+D0)・{1−exp(−t0/τ)} …(12)
の電荷q(t0)が放出され、読み出し回路17の増幅回路18のコンデンサ18bに流入する。そのため、撮像素子7に蓄積されている電荷量Qの絶対値|Q|は、図12に示すように減少する。
q(t0)=(Q0+D0)・{1−exp(−t0/τ)} …(12)
の電荷q(t0)が放出され、読み出し回路17の増幅回路18のコンデンサ18bに流入する。そのため、撮像素子7に蓄積されている電荷量Qの絶対値|Q|は、図12に示すように減少する。
なお、図12では、グラフを見やすくするために、読み出し時間t0が比較的長い時間の如く記載されているが、実際には、例えば撮像素子7の暗電荷をリセットした状態から読み出しが開始されるまでの時間tSが数秒から数十秒のオーダーであるのに対して、読み出し時間t0は数マイクロ秒から数十マイクロ秒のオーダーであり、非常に短く設定される。また、TFT8をオフ状態とされた時点(t=tS+t0)で、撮像素子7には、
Q0+D0−(Q0+D0)・{1−exp(−t0/τ)}
=(Q0+D0)exp(−t0/τ) …(13)
の電荷が残存する。
Q0+D0−(Q0+D0)・{1−exp(−t0/τ)}
=(Q0+D0)exp(−t0/τ) …(13)
の電荷が残存する。
一方、増幅回路18から出力される電圧値V(t)は、電圧値Vinの状態から、上記(11)式に従って上記の電荷q(t0)に相当する電圧、
V(t0)={S0+S(d)}・{1−exp(−t0/τ)} …(14)
だけ上昇する。そのため、相関二重サンプリング回路19からは、上記のV(t0)が電気信号として出力される。
V(t0)={S0+S(d)}・{1−exp(−t0/τ)} …(14)
だけ上昇する。そのため、相関二重サンプリング回路19からは、上記のV(t0)が電気信号として出力される。
制御手段22は、各相関二重サンプリング回路19から出力され、アナログマルチプレクサ21を介して順次A/D変換器20でデジタル値化された各撮像素子7ごとの電気信号の信号値V(t0)を、1回目の電気信号の信号値A、すなわち、
A=V(t0)
={S0+S(d)}・{1−exp(−t0/τ)} …(15)
として撮像素子7と対応付けながら順次記憶手段23に記憶させる。
A=V(t0)
={S0+S(d)}・{1−exp(−t0/τ)} …(15)
として撮像素子7と対応付けながら順次記憶手段23に記憶させる。
そして、制御手段22は、走査駆動回路15(図7参照)から信号読み出し用の電圧を印加する走査線5を順次切り替えながら(すなわち走査しながら)、上記の処理を繰り返して、全ての撮像素子7について電気信号の信号値Aを出力させて記憶手段23に記憶させる。
上記のようにして全撮像素子7からの電荷の放出および電気信号の読み出しを行うと、1回目の全撮像素子7からの電荷q(t0)の放出にかかる時間tall、すなわち、1ライン目の走査線5に接続された各撮像素子7からの電荷q(t0)の放出が開始されてから最後ラインの走査線5に接続された各撮像素子7からの電荷q(t0)の放出が終了するまでの時間tallは、信号読み出し用の電圧を印加する走査線5の切り替えに要する時間をαとすると、
tall=(t0+α)×(走査線6の本数) …(16)
で表される。
tall=(t0+α)×(走査線6の本数) …(16)
で表される。
そして、本手法では、制御手段22は、全撮像素子7からの1回目の電荷の放出を行わせる処理を行った後、時間的に連続して、すなわち1回目の最終ラインの走査線5に接続された各撮像素子7からの電荷q(t0)の放出が終了すると、即座に1ライン目の走査線5に接続された各撮像素子7からの電荷q(t0)の放出を再開して2回目の電荷の放出を行わせて、2回目の読み出し処理を行うようになっている。2回目の読み出し処理も全撮像素子7について行われる。
その際、上記(13)式や図12に示したように、1回目の電荷の放出が終了した時点(t=tS+t0)で、撮像素子7には(Q0+D0)exp(−t0/τ)の電荷が残存している。また、図13に示すように、撮像素子7には、2回目の電荷の放出が行われるまでの時間tallの間に暗電荷が時間に比例して溜まり、撮像素子7内に蓄積される電荷量Qの絶対値|Q|が増加する。
前述したように、撮像素子7内で発生する暗電荷の絶対値は、時間に比例して増加する。そして、上記のように、暗電荷をリセットした状態(t=0)から読み出し開始時(t=tS)までに撮像素子7に暗電荷D0が溜まるため、時間tallの間に撮像素子7にはD0・tall/tSの暗電荷が溜まる。なお、厳密に言えば、時間tallの間に撮像素子7に溜まる暗電荷はD0・(tall−t0)/tSとすべきであるが、走査線6の本数は通常数百本から数千本になり、tall≫t0であるため、tall−t0をtallに置き換えて演算を行っても、実際上、何ら問題を生じない。
従って、図13に示すように、2回目の電荷の放出が行われる時点(t=tS+tall)で、撮像素子7に溜まっている電荷は、もともと残存していた電荷(Q0+D0)exp(−t0/τ)に発生した暗電荷D0・tall/tSを加えた
(Q0+D0)exp(−t0/τ)+D0・tall/tS
=Q0exp(−t0/τ)+D0{exp(−t0/τ)+tall/tS}…(17)
となる。
(Q0+D0)exp(−t0/τ)+D0・tall/tS
=Q0exp(−t0/τ)+D0{exp(−t0/τ)+tall/tS}…(17)
となる。
そして、増幅回路18から出力される電圧値V(t)は、電圧値Vinの状態から、上記の電荷q(t0)に相当する電圧、すなわち上記(11)式における{S0+S(d)}を[Q0exp(−t0/τ)+D0{exp(−t0/τ)+tall/tS}]に相当する[S0exp(−t0/τ)+S(d){exp(−t0/τ)+tall/tS}]に置き換えた電圧、
だけ上昇する。そのため、相関二重サンプリング回路19からは、上記のV(t0)が電気信号として出力される。
制御手段22は、各相関二重サンプリング回路19から出力され、アナログマルチプレクサ21を介して順次A/D変換器20でデジタル値化された各撮像素子7ごとの電気信号の信号値V(t0)を、2回目の電気信号の信号値B、すなわち、
として撮像素子7と対応付けながら順次記憶手段23に記憶させる。
そして、制御手段22は、走査駆動回路15(図7参照)から信号読み出し用の電圧を印加する走査線5を順次切り替えながら(すなわち走査しながら)、上記の処理を繰り返して、全ての撮像素子7について電気信号の信号値Bを出力させて記憶手段23に記憶させる。
上記(15)式と(20)式はそれぞれ、放射線の照射により撮像素子7内で発生した真の電荷Q0に相当する電気信号の真値S0と、逆バイアス電圧Vbiasの印加により発生した暗電荷D0に相当する電気信号の信号値S(d)を未知数とする一次式であるから、これらを連立方程式として解くと、電気信号の真値S0は、1回目の電気信号の信号値Aおよび2回目の電気信号の信号値Bを用いて、
S0=[A−k{B−Aexp(−t0/τ)}]/{1−exp(−t0/τ)}
但し、k=tS/tall …(21)
となる。
S0=[A−k{B−Aexp(−t0/τ)}]/{1−exp(−t0/τ)}
但し、k=tS/tall …(21)
となる。
ここで、読み出し時間t0や全撮像素子7からの電荷の放出にかかる時間tallは予め設定される値である。また、TFT8のオン抵抗の抵抗値Rや撮像素子7の等価寄生容量Cは実験的に求められ、τ=RCは既知の値であるから、上記(21)式中のexp(−t0/τ)や{1−exp(−t0/τ)}は予め算出しておくことができる値である。そのため、本手法では、exp(−t0/τ)や{1−exp(−t0/τ)}の値が予め算出されて、時間tallとともに記憶手段23に記憶されるようになっている。
そして、制御手段22は、撮像素子7の暗電荷をリセットした状態(t=0)から1回目の読み出しを開始するまでの時間tSをカウントして記憶手段23に記憶させておき、1回目の電気信号の信号値Aと2回目の電気信号の信号値Bとを取得すると、記憶手段23から時間tSやexp(−t0/τ)、{1−exp(−t0/τ)}の値を読み出し、信号値A、Bとともに上記(21)式に代入して、放射線の照射により撮像素子7内で発生した真の電荷Q0に相当する電気信号の真値S0を算出するようになっている。また、この演算を、放射線画像の生成に必要な全ての画素(すなわち撮像素子7)について行うようになっている。
なお、上記の説明では、主に、1ライン目の走査線5に接続された各撮像素子7からの電荷q(t0)の放出やそれに基づく電気信号の出力について説明したが、上記の説明は他の走査線5に接続された各撮像素子7からの電荷q(t0)の放出やそれに基づく電気信号の出力についても同様に適用することができる。
すなわち、走査線5の各ラインに接続された各撮像素子7のリセット処理が、1ライン目の走査線5に接続された各撮像素子7のリセット処理後、最後ラインの走査線5に接続された各撮像素子7のリセット処理が終了するまで順次tallの時間をかけて行われる場合には、撮像素子7の暗電荷をリセットするタイミング(すなわちt=0の時点)が走査線5の各ラインごとに変わるため、撮像素子7のリセット処理から読み出しが開始されるまでの時間は、結局、各ラインで同じtSとなる。そのため、上記と同じ時間tSを用い、上記(21)式に従って電気信号の真値S0を算出することができる。
なお、この場合、放射線画像撮影における放射線発生装置からの放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射は、全撮像素子7のリセット処理が終了した時点、すなわち時刻t=0から少なくともtallの時間が経過した後に行われるように構成される。従って、この場合、走査線5の各ラインに接続された各撮像素子7のリセット処理が終了してから当該ラインに接続された当該各撮像素子7の一回目の読み出しが開始されるまでの時間tSは、全撮像素子7のリセット処理に要する時間tallと、放射線画像撮影における放射線の照射時間tXとを合わせた時間以上の時間となる。
一方、各撮像素子7のリセット処理を、上記のように走査線5の各ラインごとに順次行うのではなく、例えば、あるタイミング(t=0)で一斉に行うように構成されている場合には、1ライン目の走査線5に接続された各撮像素子7からの電荷q(t0)の放出が開始されるのはt=0であるが、最後ラインの走査線5に接続された各撮像素子7からの電荷q(t0)の放出が開始されるのは、1ライン目の撮像素子7からの電荷q(t0)の放出が開始されてから約tallの時間が経過した後となる。
すなわち、各撮像素子7のリセット処理を同じタイミング(t=0)で一斉に行うように構成されている場合には、当該ラインに接続された各撮像素子7のリセット処理が終了してから当該ラインの一回目の読み出しが開始されるまでの時間tSが、各ラインごとに異なる。
そのため、このような場合には、走査線5の各ラインごとに、撮像素子7の暗電荷をリセットした状態(t=0)から読み出しが開始されるまでの時間tSを修正して、上記の各式の演算を行うように構成することが好ましい。例えば、nライン目の走査線5に接続された撮像素子7からの電荷q(t0)の放出が開始されるのは、1ライン目の走査線5に接続された撮像素子7から電荷q(t0)の放出が開始された時点(t=tS)から(n−1)・(t0+α)秒後であるから、nライン目の走査線5に接続された撮像素子7から放出された電荷量q(t0)に基づく上記の各式の演算においては、式中のtSを{tS+(n−1)・(t0+α)}に置き換えて計算するように構成することが可能である。
なお、本手法では、電気信号の読み出しを2回だけ行う場合について説明したが、3回以上行うように構成することも可能である。その場合、電気信号の信号値がA、B、C、…の複数個得られるが、上記と同様に多元一次の連立方程式を解くことで、放射線の照射により撮像素子7内で発生した真の電荷Q0に相当する電気信号の真値S0を算出するように構成することができる。
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、この電気信号の読み出し手法および電気信号の真値S0の算出手法の第1の手法を採用することで、放射線画像撮影で放射線の照射により撮像素子7内で発生し蓄積された電荷Q0を少なくとも2回撮像素子7から放出させてそれぞれ電気信号の信号値A、Bの読み出しを行って、放射線の照射により撮像素子7内で発生した真の電荷Q0に相当する電気信号の真値S0を算出することが可能となる。
この電気信号の読み出しは、前述した従来例のように長い時間かけて行う必要はなく、短い読み出し時間t0で行えばよいため、2回以上の読み出しを行っても、従来例のような1回だけの読み出しと同程度の時間で済み、或いは従来例のような1回だけの読み出し時間よりも短時間で行うことが可能となる。さらに、本手法では少なくとも2回の読み出し処理を時間的に連続して行うため、より短時間で読み出しを行うことが可能となる。
また、従来例では、読み出された電気信号の信号値に暗電荷D0に相当する信号値が混じり込むため、暗電荷D0による寄与分を排除するために1回または複数回のダーク読取を行う等の処理が必要となり、その分、放射線画像撮影を行ってから電気信号の真値S0或いはそれに近い値が得られるまでの時間が長くなっていた。
しかし、本手法によれば、ダーク読取等の処理を行う必要がなく、少なくとも2回の読み出しを行うだけで、放射線の照射により撮像素子7内で発生した真の電荷Q0に相当する電気信号の真値S0を算出することができるため、放射線画像撮影を行ってから非常に短時間で電気信号の真値S0を得ることが可能となる。そのため、前述したような患者を長い時間待たせて患者に負担がかかったり、放射線画像撮影装置1のバッテリが消耗する等の問題を解消することが可能となる。
さらに、前述した従来例では、読み出し時間を長くして撮像素子7内で発生し蓄積されている電荷Q0に由来する電気信号の信号値を真値S0に近づけることはできても、放射線の照射により撮像素子7内で発生した真の電荷Q0に相当する電気信号の真値S0そのものを得ることはできなかったが、本手法では、上記(21)式に基づいて電気信号の真値S0そのものを算出することができる。
そのため、放射線の照射により撮像素子7内で発生した真の電荷Q0に相当する電気信号の真値S0を用いて放射線画像を生成させることが可能となり、放射線画像の画質の低下を抑制することが可能となる。
[第2の読み出し・算出手法]
上記の第1の手法では、上記(21)式に従って放射線の照射により撮像素子7内で発生した真の電荷Q0に相当する電気信号の真値S0を算出するように構成する場合について説明したが、制御手段22で、各撮像素子7について上記(21)式に従って演算処理を行うと、各演算処理は短時間で行われるが、多少煩雑な処理が各撮像素子7について繰り返されることになる。
上記の第1の手法では、上記(21)式に従って放射線の照射により撮像素子7内で発生した真の電荷Q0に相当する電気信号の真値S0を算出するように構成する場合について説明したが、制御手段22で、各撮像素子7について上記(21)式に従って演算処理を行うと、各演算処理は短時間で行われるが、多少煩雑な処理が各撮像素子7について繰り返されることになる。
そこで、制御手段22における電気信号の読み出し手法および電気信号の真値S0の算出手法の第2の手法として、より簡単な演算処理で電気信号の真値S0の算出を行うことを主目的とした手法について説明する。
具体的には、本手法においても、全撮像素子7からの1回目の電気信号の信号値Aの読み出しを終了するまでの処理は、上記の第1の手法と同様である。すなわち、図11に示したように、本手法においても、読み出し時間t0は、増幅回路18から出力される電圧値V(t)が十分上昇し切らないうちにTFT8をオフ状態にするように短く設定される。
また、各撮像素子7からの1回目の電荷q(t0)の放出により、読み出し回路17から1回目の電気信号の信号値Aとして、
A=V(t0)
={S0+S(d)}・{1−exp(−t0/τ)} …(15)
の信号値Aが出力される点や、図12に示したように、この読み出しで撮像素子7に、
Q0+D0−(Q0+D0)・{1−exp(−t0/τ)}
=(Q0+D0)exp(−t0/τ) …(13)
の電荷が残存する点も、上記の第1の手法と同様である。
A=V(t0)
={S0+S(d)}・{1−exp(−t0/τ)} …(15)
の信号値Aが出力される点や、図12に示したように、この読み出しで撮像素子7に、
Q0+D0−(Q0+D0)・{1−exp(−t0/τ)}
=(Q0+D0)exp(−t0/τ) …(13)
の電荷が残存する点も、上記の第1の手法と同様である。
本手法では、制御手段22は、全撮像素子7からの1回目の電荷q(t0)の放出を行わせる処理を行った後の各撮像素子7からの2回目以降の電荷q(t0)の放出を、上記の第1の手法のように1回目の放出後に時間的に連続して行わず、多少時間をおいて行わせるようになっている。
そして、各撮像素子7について、TFT8をオン状態として1回目の電荷q(t0)の放出を行い、TFT8をオフ状態とする。次に、次の走査線5に接続された各撮像素子7からの読み出しを行い、これを繰り返すことで、全ての走査線5に接続された撮像素子7からのデータを読み出す。ここで、前述したtallの時間が経過する。その後で、2回目の画像読取をするために、TFT8を再度オン状態として2回目の電荷q(t0)の放出を開始する。その2回目の電荷q(t0)の放出を開始するまでの所定時間t12を適切に設定することで、電気信号の真値S0を算出するための演算処理をより簡単にするようになっている。
第1の手法で述べたように、読み出し時間t0や、全撮像素子7からの電荷の放出にかかる時間tall等は、予め設定することができ、或いは実験的に予め求めることができる値である。一方で、時間tSは暗画像のリセットをして放射線の照射を待機してから1回目の読み出しを開始するまでの時間tSは放射線画像撮影における放射線の照射時間(tX)等に応じて実際的に決まる値であり、制御手段により測定することができる。
そして、1回目の電気信号の信号値Aと2回目の電気信号の信号値Bとが、電気信号の真値S0を算出するための変数となる。なお、本手法では、撮像素子7からの2回目の電荷q(t0)の放出に由来する2回目の電気信号の信号値Bは第1の手法の場合とは異なる値となるため、以下の説明では、2回目の電気信号の信号値をB*と表す。
そこで、本手法では、1回目の電気信号の信号値Aと2回目の電気信号の信号値B*とを用いた最も簡単な演算手法として、単純にそれらの差分A−B*をとることを考える。そして、差分A−B*に基づいて、放射線の照射により撮像素子7内で発生した真の電荷Q0に相当する電気信号の真値S0を、
S0=f(A−B*) …(22)
の形で算出することができるように所定時間t12を設定する。
S0=f(A−B*) …(22)
の形で算出することができるように所定時間t12を設定する。
その際、1回目の電気信号の信号値Aと、2回目の電気信号の信号値B*とには、それぞれ撮像素子7内で発生した暗電荷D0に由来する電気信号の信号値が含まれている。そのため、各信号値A、B*における暗電荷D0に由来する電気信号の信号値が等しくなるように所定時間t12を設定すれば、差分A−B*をとることで暗電荷D0に由来する電気信号の信号値同士が相殺されて、放射線の照射により撮像素子7内で発生した真の電荷Q0のみに相当する電気信号の真値S0を算出することができる。
そこで、本手法では、以下のようにして、1回目の電気信号の信号値Aと、2回目の電気信号の信号値B*と含まれる暗電荷D0に由来する電気信号の信号値が等しくなるように、所定時間t12を設定するようになっている。
前述したように、撮像素子7内で発生する暗電荷の絶対値は、時間に比例して増加する。そして、第1の手法の説明で述べたように、撮像素子7の暗電荷をリセットした状態(t=0)から読み出し開始時(t=tS)までに撮像素子7に暗電荷D0が溜まるため、図14に示すように、TFT8がオフ状態とされて(t=tS+t0)1回目の電荷q(t0)の放出が終了された後、再度オン状態とされて2回目の電荷q(t0)の放出が開始されるまでの所定時間t12の間に、撮像素子7にはD0・t12/tSの暗電荷が溜まる。
上記(13)式に示したように、撮像素子7には、1回目の電荷q(t0)の放出後に(Q0+D0)exp(−t0/τ)の電荷が残存しているため、2回目の電荷q(t0)の放出の開始時点では、撮像素子7には、
(Q0+D0)exp(−t0/τ)+D0・t12/tS
=Q0exp(−t0/τ)+D0{exp(−t0/τ)+t12/tS}…(23)
の電荷が溜まっている。
(Q0+D0)exp(−t0/τ)+D0・t12/tS
=Q0exp(−t0/τ)+D0{exp(−t0/τ)+t12/tS}…(23)
の電荷が溜まっている。
そのため、2回目の読み出し時間t0の間に、各撮像素子7からは、上記(9)式における(Q0+D0)を上記(23)式で置き換えた、
の電荷q(t0)が放出され、増幅回路18から出力される電圧値V(t)は、電圧値Vinの状態から、上記の電荷q(t0)に相当する電圧、すなわち上記(11)式における{S0+S(d)}を[Q0exp(−t0/τ)+D0{exp(−t0/τ)+t12/tS}]に相当する[S0exp(−t0/τ)+S(d){exp(−t0/τ)+t12/tS}]に置き換えた電圧、
だけ上昇する。そのため、相関二重サンプリング回路19からは、上記のV(t0)が電気信号として出力される。
前述したように、差分A−B*をとることで暗電荷D0に由来する電気信号の信号値同士が相殺されるようにするには、信号値Aを表す上記(15)式における暗電荷D0に由来する電気信号の信号値を表す項S(d)・{1−exp(−t0/τ)}と、信号値B*を表す上記(26)式における暗電荷D0に由来する電気信号の信号値を表す項S(d)・{exp(−t0/τ)+t12/tS}・{1−exp(−t0/τ)}とを等しくすることが必要となる。
そこで、所定時間t12は、
S(d)・{1−exp(−t0/τ)}
=S(d)・{exp(−t0/τ)+t12/tS}・{1−exp(−t0/τ)}
を解いて、
exp(−t0/τ)+t12/tS=1
t12={1−exp(−t0/τ)}・tS …(27)
と設定すればよいことが分かる。
S(d)・{1−exp(−t0/τ)}
=S(d)・{exp(−t0/τ)+t12/tS}・{1−exp(−t0/τ)}
を解いて、
exp(−t0/τ)+t12/tS=1
t12={1−exp(−t0/τ)}・tS …(27)
と設定すればよいことが分かる。
また、所定時間t12を上記(27)式のように設定した場合、1回目の電気信号の信号値Aと2回目の電気信号の信号値B*との差分A−B*は、上記(15)式と(26)式に基づいて、
A−B*=S0・{1−exp(−t0/τ)}
−S0・exp(−t0/τ)・{1−exp(−t0/τ)}
=S0・{1−exp(−t0/τ)}2 …(28)
となる。
A−B*=S0・{1−exp(−t0/τ)}
−S0・exp(−t0/τ)・{1−exp(−t0/τ)}
=S0・{1−exp(−t0/τ)}2 …(28)
となる。
そのため、差分A−B*を用いて、放射線の照射により撮像素子7内で発生した真の電荷Q0に相当する電気信号の真値S0を
S0=(A−B*)/{1−exp(−t0/τ)}2 …(29)
と算出することができる。
S0=(A−B*)/{1−exp(−t0/τ)}2 …(29)
と算出することができる。
ここで、TFT8のオン抵抗の抵抗値Rや撮像素子7の等価寄生容量Cは実験的に求められ、τ=RCは既知の値であるから、上記(27)式中の{1−exp(−t0/τ)}や(29)式中の{1−exp(−t0/τ)}2は予め算出しておくことができる値である。そのため、本手法では、{1−exp(−t0/τ)}や{1−exp(−t0/τ)}2の値が予め算出されて、記憶手段23に記憶されるようになっている。
また、時間tSについても、第1の手法の場合と同様に、制御手段22は、撮像素子7の暗電荷をリセットした後TFT8をオフ状態としてから1回目の読み出しを開始するまでの時間tSをカウントして記憶手段23に記憶させておくようになっている。
そして、制御手段22は、時刻tSに、TFT8をオン状態として撮像手段7から1回目の電荷q(t0)の放出を開始させて1回目の電気信号の信号値Aを読み出すとともに、記憶手段23から{1−exp(−t0/τ)}の値を読み出して、上記(27)式に従って、TFT8を一旦オフ状態とした後、再度オン状態として2回目の電荷q(t0)の放出を開始するまでの所定時間t12を算出する。
制御手段22は、続いて、図14に示すように、時刻tS+t0+t12にTFT8を再度オン状態として撮像手段7から2回目の電荷q(t0)の放出を開始させて2回目の電気信号の信号値B*を読み出す。
そして、1回目の電気信号の信号値Aと2回目の電気信号の信号値B*とを取得すると、制御手段22は、記憶手段23から{1−exp(−t0/τ)}2の値を読み出して、信号値A、B*と{1−exp(−t0/τ)}2の値を上記(29)式に代入して、放射線の照射により撮像素子7内で発生した真の電荷Q0に相当する電気信号の真値S0を算出する。また、この演算を、放射線画像の生成に必要な全ての画素(すなわち撮像素子7)について行う。
また、上記の説明においても、主に、1ライン目の走査線5に接続された各撮像素子7からの電荷q(t0)の放出やそれに基づく電気信号の出力について説明したが、例えば、最後ラインの走査線5に接続された各撮像素子7からの電荷q(t0)の放出が開始されるのは、1ライン目の撮像素子7からの電荷q(t0)の放出が開始されてから約tallの時間が経過した後である。
そのため、走査線5の各ラインごとに、上記各式中のtSを{tS+(n−1)・(t0+α)}に置き換えて計算したり、或いは、各式中のtSを置換する代わりに撮像素子7のTFT8がオフ状態とするタイミング(すなわちt=0の時点)を走査線5の各ラインごとに変えて、撮像素子7のTFT8がオン状態とされてから読み出しが開始されるまでの時間が各ラインで同じtSとなるように制御するように構成することが可能である。
さらに、本手法においても、電気信号の読み出しを2回だけ行う場合について説明したが、3回以上行うように構成することも可能である。その場合、電気信号の信号値がA、B、C、…の複数個得られるが、上記と同様に、m回目の電荷q(t0)の放出後、(m+1)回目の電荷q(t0)の放出までの所定時間tmm+1を適切に設定して、各信号値A、B、C、…を算出するための各式中における暗電荷D0に由来する電気信号の信号値が互いに相殺されるように演算式を構築することで、各信号値A、B、C、…に基づいて放射線の照射により撮像素子7内で発生した真の電荷Q0に相当する電気信号の真値S0を算出するように構成することができる。
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、この電気信号の読み出し手法および電気信号の真値S0の算出手法の第2の手法を採用することで、放射線画像撮影で放射線の照射により撮像素子7内で発生し蓄積された電荷Q0を少なくとも2回撮像素子7から放出させてそれぞれ電気信号の信号値A、Bの読み出しを行って、放射線の照射により撮像素子7内で発生した真の電荷Q0に相当する電気信号の真値S0を算出することが可能となる。
この電気信号の読み出しは、前述した従来例のように長い時間かけて行う必要はなく、短い読み出し時間t0で行えばよいため、所定時間t12をおいて2回以上の読み出しを行っても、従来例のような1回だけの読み出しと同程度の時間で済み、或いは従来例のような1回だけの読み出し時間よりも短時間で行うことが可能となる。
また、本手法では、電気信号の真値S0を、上記(29)式に示すような非常に簡単な演算処理で算出することが可能となるため、放射線画像撮影装置1に設けられた多数の撮像素子7について全ての電気信号の真値S0の算出に要する演算時間を短縮することが可能となり、放射線画像撮影を行ってから短時間で電気信号の真値S0を得ることが可能となる。
さらに、従来例では、読み出された電気信号の信号値に暗電荷D0に由来する信号値が混じり込むため、暗電荷D0による寄与分を排除するために1回または複数回のダーク読取を行う等の処理が必要となり、その分、放射線画像撮影を行ってから電気信号の真値S0或いはそれに近い値が得られるまでの時間が長くなっていた。
しかし、本手法によれば、ダーク読取等の処理を行う必要がなく、少なくとも2回の読み出しを行うだけで、放射線の照射により撮像素子7内で発生した真の電荷Q0に相当する電気信号の真値S0を算出することができるため、放射線画像撮影を行ってから非常に短時間で電気信号の真値S0を得ることが可能となる。そのため、前述したような患者を長い時間待たせて患者に負担がかかったり、放射線画像撮影装置1のバッテリが消耗する等の問題を解消することが可能となる。
また、前述した従来例では、読み出し時間を長くして撮像素子7内で発生し蓄積されている電荷Q0に由来する電気信号の信号値を真値S0に近づけることはできても、放射線の照射により撮像素子7内で発生した真の電荷Q0に相当する電気信号の真値S0そのものを得ることはできなかったが、本手法では、上記(29)式に基づいて電気信号の真値S0そのものを算出することができる。
そのため、放射線の照射により撮像素子7内で発生した真の電荷Q0に相当する電気信号の真値S0を用いて放射線画像を生成させることが可能となり、放射線画像の画質の低下を抑制することが可能となる。
[exp(−t0/RC)等の温度依存性について]
ところで、制御手段22における電気信号の読み出し手法および電気信号の真値S0の算出手法の上記の第1および第2の手法では、TFT8のオン抵抗の抵抗値Rや撮像素子7の等価寄生容量Cは実験的に求められるため、予めτ=RCを算出し、exp(−t0/τ)や{1−exp(−t0/τ)}、{1−exp(−t0/τ)}2の値を算出して記憶手段23に記憶させておく場合について説明した。
ところで、制御手段22における電気信号の読み出し手法および電気信号の真値S0の算出手法の上記の第1および第2の手法では、TFT8のオン抵抗の抵抗値Rや撮像素子7の等価寄生容量Cは実験的に求められるため、予めτ=RCを算出し、exp(−t0/τ)や{1−exp(−t0/τ)}、{1−exp(−t0/τ)}2の値を算出して記憶手段23に記憶させておく場合について説明した。
しかし、特にTFT8のオン抵抗の抵抗値RについてはTFT8の温度に依存して変化する場合がある。その場合には、上記各式において、exp(−t0/RC)等の値も撮像素子7やTFT8の温度に依存して変化する。そのため、上記各式において、exp(−t0/RC)等の値として温度に応じた値を用いるように構成することで、上記の電気信号の真値S0(上記(21)式、(29)式参照)や、所定時間t12(上記(27)式参照)をより適切に算出することが可能となる。
TFT8のオン抵抗の抵抗値Rを含むexp(−t0/RC)等の温度依存性は、例えば放射線画像撮影前に行われる放射線画像撮影装置1のキャリブレーション時などに求められる。exp(−t0/RC)等の温度依存性を求める手法としては、例えば、以下のようにして行うことができる。
まず、前述した温度センサ等の温度測定手段で撮像素子7やTFT8の温度Tを測定して、その温度Tを例えば記憶手段23に記憶させておく。そして、その温度環境下で、撮像素子7に所定の電荷QPを蓄積させ、その状態でTFT8をオン/オフさせて撮像素子7から繰り返し電荷q(t)を放出させて、それに相当する電気信号の信号値s(t)をそれぞれ記録する。そして、得られた複数の信号値s(t)を解析してexp(−t0/RC)の値を算出することで、当該温度Tとexp(−t0/RC)等の値とを対応付けることができる。
まず、撮像素子7に所定の電荷QPを蓄積させる手法としては、例えば、図7や図8に示した放射線画像撮影装置1の既存の各手段を用いて、放射線画像撮影装置1に放射線を照射することなく撮像素子7に所定の電荷QPを蓄積させることができる。その手法について説明する。
具体的には、上記の読み出し制御の場合と同様に、逆バイアス電源14を制御して、各撮像素子7に例えば−1[V]等の所定の電圧値の逆バイアス電圧Vbiasを印加した状態で、TFT8や増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cをオン状態として、撮像素子7やTFT8、増幅回路18のコンデンサ18bに溜まっている電荷をリセットする。
そして、撮像素子7等のリセット処理を終了し、TFT8をオフ状態とした後、撮像素子7に印加する逆バイアス電圧Vbiasを例えば−2[V]等の所定の電圧値に低下させる。このように、逆バイアス電圧Vbiasを変化させることで、その瞬間に、撮像素子7の等価寄生容量Cと逆バイアス電圧Vbiasの変化量ΔVbiasに応じて、撮像素子7に、
QP=C・ΔVbias …(30)
の所定の電荷QPを蓄積させることができる。
QP=C・ΔVbias …(30)
の所定の電荷QPを蓄積させることができる。
このように、撮像素子7を一種のコンデンサと見なし、それに印加する電圧(逆バイアス電圧Vbias)を変化させることで、放射線画像撮影装置1に放射線を照射することなく撮像素子7に新たに所定の電荷QPを蓄積させることができる。
続いて、TFT8をオン状態として撮像素子7から電荷の放出を開始させるが、TFT8をオフ状態とした後、逆バイアス電圧Vbiasを変化させてTFT8をオン状態として電荷q(t)の放出を開始するまでの間(以下、この時間をtPという。)に撮像素子7に暗電荷DPが新たに蓄積されるため、電荷q(t)の放出の開始時には、撮像素子7には電荷QP+DP+DCが蓄積されている。ここで、DCは前回のリセット(読み出し)時に残った電荷である。
ここで、DPとDCの関係について求めるため、電荷QPはない場合を考える。撮像素子7に蓄積された電荷DPは、上記(1)式と同様に、
Q(tP(1))=DPexp(−t0/RC) …(31)
の式で近似されるように時間的に減少し、読み出し回路17(図8参照)の増幅回路18のコンデンサ18bには、撮像素子7における電荷量の減少分
q(tP(1))=DP−Q(tP(1))
=DP・{1−exp(−t0/RC)} …(32)
の電荷量q(tP)が流入する。
Q(tP(1))=DPexp(−t0/RC) …(31)
の式で近似されるように時間的に減少し、読み出し回路17(図8参照)の増幅回路18のコンデンサ18bには、撮像素子7における電荷量の減少分
q(tP(1))=DP−Q(tP(1))
=DP・{1−exp(−t0/RC)} …(32)
の電荷量q(tP)が流入する。
次に、更にtP後に電荷を読み出す場合は、撮像素子7には、上記(31)式で表される電荷Q(tP(1))に加えて、さらに暗電荷DPが発生して蓄積されているため、すなわち、
Q(tP(1))+DP=DPexp(−t0/RC)+DP …(33)
の電荷が蓄積されている。
Q(tP(1))+DP=DPexp(−t0/RC)+DP …(33)
の電荷が蓄積されている。
従って、2回目に読み出される電荷q(tP(2))は、
q(tP(2))=DP{1+exp(−t0/RC)}
×{1−exp(−t0/RC)} …(34)
となる。
q(tP(2))=DP{1+exp(−t0/RC)}
×{1−exp(−t0/RC)} …(34)
となる。
同様にして、k回目に読み出される電荷q(tP(k))は、
となり、これをマクローリン展開すると、
q(tP(k))=DP/{1−exp(−t0/RC)}×{1−exp(−t0/RC)}
=DP …(36)
となる。
q(tP(k))=DP/{1−exp(−t0/RC)}×{1−exp(−t0/RC)}
=DP …(36)
となる。
一方、k回目に電荷q(tP(k))が読み出される際に、撮像素子7には、k−1回目のリセット(読み出し)時に残った電荷DCとk回目の読み出しまでに撮像素子7に新たに蓄積された暗電荷DPの合計の電荷DP+DCが蓄積されており、その合計の電荷DP+DCのうち、撮像素子7における電荷量の減少分がk回目に読み出される電荷q(tP(k))であるから、
q(tP(k))=(DP+DC){1−exp(−t0/RC)} …(37)
が成り立つ。
q(tP(k))=(DP+DC){1−exp(−t0/RC)} …(37)
が成り立つ。
従って、上記(36)式および(37)式から、
DP=(DP+DC){1−exp(−t0/RC)} …(38)
となり、これを解いて、
DC=DPexp(−t0/RC)/{1−exp(−t0/RC)} …(39)
となる。DPとDCとの間には上記(39)式の関係が成立する。
DP=(DP+DC){1−exp(−t0/RC)} …(38)
となり、これを解いて、
DC=DPexp(−t0/RC)/{1−exp(−t0/RC)} …(39)
となる。DPとDCとの間には上記(39)式の関係が成立する。
従って、上記のように撮像素子7に印加する逆バイアス電圧Vbiasを変化させることにより撮像素子7に電荷QPが蓄積されている場合には、撮像素子7に蓄積された電荷QP+DP+DCは、上記(1)式と同様に、
Q(t0)=(QP+DP+DC)exp(−t0/RC) …(40)
の式で近似されるように時間的に減少し、読み出し回路17(図8参照)の増幅回路18のコンデンサ18bには、撮像素子7における電荷量の減少分
q(t0)=(QP+DP+DC)−Q(t0)
=QP{1−exp(−t0/RC)}+DP …(41)
の電荷量q(t)が流入する。なお、上記(41)式の導出には、上記(39)式および(40)式を用いた。
Q(t0)=(QP+DP+DC)exp(−t0/RC) …(40)
の式で近似されるように時間的に減少し、読み出し回路17(図8参照)の増幅回路18のコンデンサ18bには、撮像素子7における電荷量の減少分
q(t0)=(QP+DP+DC)−Q(t0)
=QP{1−exp(−t0/RC)}+DP …(41)
の電荷量q(t)が流入する。なお、上記(41)式の導出には、上記(39)式および(40)式を用いた。
そのため、撮像素子7に蓄積された電荷QPに相当する電気信号の信号値をSQPとし、暗電荷DPに相当する電気信号の信号値をSDPとすると、増幅回路18からは、
V(t0)=SQP{1−exp(−t0/RC)}+SDP …(42)
で表される電圧値V(t)の電気信号が出力される。
V(t0)=SQP{1−exp(−t0/RC)}+SDP …(42)
で表される電圧値V(t)の電気信号が出力される。
そして、上記の第1の手法や第2の手法の場合と同様に、この電圧値V(t)を所定の読み出し時間t0の間読み出し、相関二重サンプリング回路19でサンプルホールドすることで、図11に示したように、読み出し時間t0に対応する信号値Vfi−Vin=V(t0)が出力される。この信号値V(t0)は1回目の信号値V1として記憶手段23に記憶される。
なお、この場合、1回目の信号値V1は、
V1=V(t0)
=SQP{1−exp(−t0/RC)}+SDP …(43)
となる。また、1回目の電荷の放出により、撮像素子7に蓄積された電荷は
QPexp(−t0/RC)+DC …(44)
に減少する。
V1=V(t0)
=SQP{1−exp(−t0/RC)}+SDP …(43)
となる。また、1回目の電荷の放出により、撮像素子7に蓄積された電荷は
QPexp(−t0/RC)+DC …(44)
に減少する。
そして、2回目の電荷の放出を行う前に、1回目の電荷の放出の際に撮像素子7内で発生した暗電荷DPと同量の暗電荷を発生させるために、読み出し時間t0間の読み出しを終了してTFT8をオフ状態とした後、撮像素子7を前述した時間tPの間放置し、時間tPが経過した後にTFT8をオン状態として2回目の電荷の放出を行わせる。
その際、撮像素子7には、上記(44)式で表される電荷に加えて、さらに暗電荷DPが発生して蓄積されているため、すなわち、
QPexp(−t0/RC)+DC+DP …(45)
の電荷が蓄積されている。
QPexp(−t0/RC)+DC+DP …(45)
の電荷が蓄積されている。
そのため、2回目の読み出し時間t0の読み出しで、相関二重サンプリング回路19からは、2回目の信号値V2として、撮像素子7から増幅回路18のコンデンサ18bに流入する電荷
{QPexp(−t0/RC)+DC+DP}
−{QPexp(−t0/RC)+DC+DP}exp(−t0/RC)
=QP{1−exp(−t0/RC)}exp(−t0/RC)+DP …(46)
に対応する
V2=SQP{1−exp(−t0/RC)}exp(−t0/RC)+SDP …(47)
の信号値が出力される。なお、上記(46)式の導出には、上記(39)式を用いた。
{QPexp(−t0/RC)+DC+DP}
−{QPexp(−t0/RC)+DC+DP}exp(−t0/RC)
=QP{1−exp(−t0/RC)}exp(−t0/RC)+DP …(46)
に対応する
V2=SQP{1−exp(−t0/RC)}exp(−t0/RC)+SDP …(47)
の信号値が出力される。なお、上記(46)式の導出には、上記(39)式を用いた。
この2回目の信号値V2は記憶手段23に記憶される。また、2回目の電荷の放出により、撮像素子7に蓄積された電荷はQPexp(−2t0/RC)+DCに減少する。
さらに、同様にして、3回目、4回目、…の信号値V3、V4、…を読み出すと、上記と同様の計算により、K回目の読み出し時間t0の読み出しで、相関二重サンプリング回路19からは、K回目の信号値VKとして、
VK=SQP{1−exp(−t0/RC)}exp(−(K−1)t0/RC)+SDP
…(48)
の信号値が出力される。このK回目の信号値VKは記憶手段23に記憶される。また、K回目の電荷の放出により、撮像素子7に蓄積された電荷は、
に減少する。
VK=SQP{1−exp(−t0/RC)}exp(−(K−1)t0/RC)+SDP
…(48)
の信号値が出力される。このK回目の信号値VKは記憶手段23に記憶される。また、K回目の電荷の放出により、撮像素子7に蓄積された電荷は、
読み出し回数Kが多くなると、上記(48)式におけるSQPの項にexp{−(K−1)t0/RC}の係数がかかることからも分かるように、K回目の信号値VKにおいては、もともと撮像素子7に印加する逆バイアス電圧Vbiasを変化させて新たに生じさせた電荷QPはほとんど読み出されてしまい、信号値VKに対する寄与分はほとんど0になる。従って、
VK=SDP …(50)
が成り立つ。
VK=SDP …(50)
が成り立つ。
実際に実験を行うと、τ=RCの値にもよるが、例えば図15のグラフに示すように、例えば4回目以降の信号値VKは、Kに依存しない定数、すなわち上記(50)式におけるSDPとなる。なお、SDPは前回のリセット(読み出し)時から次の読み出し時までの一定の時間内に撮像素子7内に蓄積された暗電荷DPに相当する電気信号の信号値であるから一定値(定数)となることは言うまでもない。
そして、上記(43)式におけるSDPをVKに置き換えると、
V1=SQP{1−exp(−t0/RC)}+VK …(51)
となり、また、上記(47)式におけるSDPをVKに置き換えると、
V2=SQP{1−exp(−t0/RC)}exp(−t0/RC)+VK …(52)
となることから、(51)、(52)式を用いて、exp(−t0/RC)を、
exp(−t0/RC)=(V2−VK)/(V1−VK) …(53)
で求めることが可能となる。
V1=SQP{1−exp(−t0/RC)}+VK …(51)
となり、また、上記(47)式におけるSDPをVKに置き換えると、
V2=SQP{1−exp(−t0/RC)}exp(−t0/RC)+VK …(52)
となることから、(51)、(52)式を用いて、exp(−t0/RC)を、
exp(−t0/RC)=(V2−VK)/(V1−VK) …(53)
で求めることが可能となる。
そこで、本実施形態では、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、キャリブレーション時などに、まず、温度測定手段で撮像素子7やTFT8の温度Tを測定して、その温度Tを記憶手段23に記憶させる。そして、その温度環境下で、逆バイアス電源14を制御して、各撮像素子7に例えば−1[V]等の所定の電圧値の逆バイアス電圧Vbiasを印加し、走査駆動回路15(図7参照)から全走査線5に信号読み出し用の電圧を印加して各TFT8をオン状態とし、また、各増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cをオン状態として、撮像素子7やTFT8、増幅回路18のコンデンサ18bに溜まっている電荷をリセットする。
そして、制御手段22は、走査駆動回路15からの走査線5への信号読み出し用の電圧の印加を停止して各TFT8をオフ状態とした後、各撮像素子7に印加する逆バイアス電圧Vbiasを例えば−2[V]等の所定の電圧値に低下させて、各撮像素子7に所定の電荷QPを蓄積させる。
続いて、制御手段22は、各TFT8をオフ状態としてから時間tP後に、走査駆動回路15から所定の走査線5に信号読み出し用の電圧を印加して、その走査線5に接続されている各TFT8をオン状態として、1回目の各撮像素子7からの電荷の放出を開始させる。そして、読み出し時間T0の間、各撮像素子7から電荷を放出させ、当該走査線5への信号読み出し用の電圧の印加を停止して、各TFT8をオフ状態とする。
そして、上記(43)式で示される信号値V1が相関二重サンプリング回路19から出力されると、それを記憶手段23に記憶させる。
続いて、制御手段22は、各TFT8をオフ状態としてから時間tP後に、走査駆動回路15から再度同じ走査線5に信号読み出し用の電圧を印加して、読み出し時間T0の間、2回目の各撮像素子7からの電荷の放出を行わせる。そして、上記(47)式で示される信号値V2が相関二重サンプリング回路19から出力されると、それを記憶手段23に記憶させる。
このようにして、制御手段22は、信号値VKの読み出しを繰り返し、(K−1)回目の信号値VK−1とK回目の信号値VKとの差分の絶対値を算出して、その差分の絶対値が予め設定された閾値以下となり、信号値VKが上記(50)式で示された定数(すなわちSDP)に収束したと判断した時点で、上記の信号値の読み出しを終了する。なお、予め信号値の読み出しを行う回数Kを設定しておき、設定されたK回分読み出しを行った時点で上記の信号値の読み出しを終了するように構成することも可能である。
そして、制御手段22は、記憶手段23から1回目の信号値V1と、2回目の信号値V2と、最終のK回目の信号値VKとを読み出して、上記(53)式に代入してexp(−t0/RC)の値を算出するようになっている。
また、制御手段22は、同じ温度Tの環境下で、各撮像素子7に印加する逆バイアス電圧Vbiasの電圧値を例えば−1[V]等の元の所定の電圧値に戻して撮像素子7やTFT8、増幅回路18のコンデンサ18bに対するリセット処理を行い、各TFT8をオフ状態として、各撮像素子7に印加する逆バイアス電圧Vbiasを例えば−2[V]等の所定の電圧値に低下させて、各撮像素子7に所定の電荷QPを蓄積させる。
そして、今度は、走査駆動回路15から上記の走査線5とは別の走査線5に信号読み出し用の電圧を印加して、この走査線5に接続された各撮像素子7から上記のようなK回の電荷の放出を行わせて、exp(−t0/RC)の値を算出する。
そして、所定の単数または複数の走査線5に接続された各撮像素子7についてそれぞれexp(−t0/RC)の値を算出すると、例えば、それらの平均値を算出して当該温度Tにおけるexp(−t0/RC)とするようになっている。制御手段22は、このようにして各撮像素子7についてのexp(−t0/RC)の各値の平均値を算出すると、記憶手段23から撮像素子7やTFT8の温度Tを読み出して、撮像素子7等の温度Tと、その温度Tの環境下で算出したexp(−t0/RC)の平均値と対応付けて記憶手段23に保存するようになっている。
また、制御手段22は、撮像素子7等の異なる温度T*の環境下で、上記の処理を行って、撮像素子7等の温度T*と、その温度T*の環境下で算出したexp(−t0/RC)の平均値と対応付けて記憶手段23に保存するようになっている。
本実施形態では、制御手段22は、このようにして、温度Tの環境下でexp(−t0/RC)の平均値を算出するごとに、撮像素子7等の温度Tとその温度Tにおけるexp(−t0/RC)の平均値と対応付けて記憶手段23に保存していき、記憶手段23内に、撮像素子7等の温度Tと、その温度Tにおけるexp(−t0/RC)の平均値とを対応付けるテーブルを作成して記憶させるようになっている。
なお、上記のように、複数の走査線5に接続された各撮像素子7についてそれぞれexp(−t0/RC)の値を算出するように構成すれば、例えば各撮像素子7の中に異常な信号値を出力する撮像素子7があるような場合でも、その異常な信号値を出力する撮像素子7についてのexp(−t0/RC)の値が他の多数の正常な信号値を出力する撮像素子7についてのexp(−t0/RC)の値で希釈され、exp(−t0/RC)の平均値等の信頼性を向上させることが可能となり、好ましい。
また、前述した制御手段22における電気信号の読み出し手法および電気信号の真値S0の算出手法の第1の手法では、放射線の照射により撮像手段7内で発生した真の電荷Q0に相当する電気信号の真値S0を上記(21)式に従って算出する際に、温度センサ等の温度測定手段で測定された撮像素子7等の温度Tに対応するexp(−t0/RC)の値をテーブルを参照して割り出し、そのexp(−t0/RC)の値を上記(21)式に代入して電気信号の真値S0を算出するように構成することが可能である。
その際、上記(21)式では、{1−exp(−t0/RC)}の演算を行うことが必要になるが、上記の場合には、割り出したexp(−t0/RC)の値に基づいて{1−exp(−t0/RC)}の演算が行われる。
しかし、撮像素子7等の温度Tとその温度Tにおけるexp(−t0/RC)の値(平均値)とを対応付けるテーブルを作成する際に、{1−exp(−t0/RC)}の値も予め算出してexp(−t0/RC)の値(平均値)とともにテーブル上で撮像素子7等の温度Tに予め対応付けておき、上記(21)式の演算の際に、温度Tにおけるexp(−t0/RC)の値と{1−exp(−t0/RC)}の値とをともに割り出して、上記(21)式に代入して電気信号の真値S0を算出するように構成することも可能である。
また、前述した制御手段22における電気信号の読み出し手法および電気信号の真値S0の算出手法の第2の手法では、前述した所定時間t12を{1−exp(−t0/RC)}を含む上記(27)式に従って算出して設定し、放射線の照射により撮像手段7内で発生した真の電荷Q0に相当する電気信号の真値S0を{1−exp(−t0/RC)}2を含む上記(29)式に従って算出する。
その際に、上記のように、温度センサ等の温度測定手段で測定された撮像素子7等の温度Tに対応するexp(−t0/RC)の値をテーブルを参照して割り出し、そのexp(−t0/RC)の値を上記(27)式や(29)式に代入して所定時間t12や電気信号の真値S0を算出するように構成することが可能である。
しかし、この場合も、テーブルを作成する際に、exp(−t0/RC)の値(平均値)に基づいて予め{1−exp(−t0/RC)}の値を算出して撮像素子7等の温度Tに予め対応付けておき、上記(27)式や(29)式の演算の際に、温度Tにおける{1−exp(−t0/RC)}の値を割り出して、上記(27)式や(29)式に代入して所定時間t12や電気信号の真値S0を算出するように構成することも可能である。
また、テーブルを作成する際に、exp(−t0/RC)の値(平均値)に基づいて予め{1−exp(−t0/RC)}の値と{1−exp(−t0/RC)}2の値とを算出して撮像素子7等の温度Tに予めそれぞれ対応付けておき、上記(27)式や(29)式の演算の際に、温度Tにおける{1−exp(−t0/RC)}の値と{1−exp(−t0/RC)}2の値とをそれぞれ割り出して、上記(27)式や(29)式に代入して所定時間t12や電気信号の真値S0を算出するように構成することも可能である。
このように、撮像素子7等の温度Tと、exp(−t0/RC)の値(平均値)や{1−exp(−t0/RC)}の値、{1−exp(−t0/RC)}2の値とを対応付けるテーブルを予め作成しておくことで、それを参照して、上記(21)式や(27)式、(29)式の演算を迅速に行うことが可能となり、放射線画像撮影を行ってから短時間で電気信号の真値S0を読み出すことが可能となるといった本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の効果をより効果的に発揮することが可能となる。
なお、撮像素子7等の温度Tとexp(−t0/RC)等の値とを対応付けるテーブルは、必ずしも作成されている必要はなく、exp(−t0/RC)等の値を放射線画像撮影ごとに算出するように構成することも可能である。
すなわち、放射線画像撮影の直前や直後の撮像素子7やTFT8の温度Tは、放射線画像撮影時における温度と同一の温度であると見なすことができる。そこで、放射線画像撮影を行う直前や放射線画像撮影の直後に、上記のように、撮像素子7等のリセット処理を行い、逆バイアス電圧を変化させて撮像素子7に所定の電荷QPを蓄積させる。
そして、TFT8をオン/オフさせて撮像素子7から繰り返し電荷q(t)を放出させ、1回目の信号値V1と、2回目の信号値V2と、最終のK回目の信号値VKとを上記(53)式に代入してexp(−t0/RC)を算出する。そして、複数の撮像素子7について算出したexp(−t0/RC)の平均値を算出するように構成することが可能である。
このように構成すれば、放射線画像撮影時の上記第1の手法または第2の手法による電気信号の信号値の読み出しで1回目の電気信号の信号値Aと2回目の電気信号の信号値B(またはB*)を取得し、放射線画像撮影の直前または直後に、逆バイアス電圧を変化させて撮像素子7に所定の電荷QPを1回だけ蓄積させて、それを複数回に分けて読み出してexp(−t0/RC)の値(平均値)を算出するだけで、上記(21)式または上記(29)式に従って放射線の照射により撮像素子7内で発生した真の電荷Q0に相当する電気信号の真値S0を算出することが可能となり、放射線画像撮影を行ってから短時間で電気信号の真値S0を読み出すことが可能となる。
また、上記のように構成することで、撮像素子7やTFT8の実際の温度Tを測定せずに放射線画像撮影時と同じ温度環境下でのexp(−t0/RC)の値(平均値)を算出することができる。そのため、放射線画像撮影装置1が温度測定手段を備える必要がなくなり、温度測定手段を備えない放射線画像撮影装置においても、本発明を適用して、放射線の照射により撮像素子7内で発生した真の電荷Q0に相当する電気信号の真値S0を算出することが可能となり、しかも、放射線画像撮影を行ってから短時間で電気信号の真値S0を読み出すことが可能となる。
なお、放射線画像撮影装置が温度測定手段を備えている場合であっても、上記のように放射線画像撮影の直前または直後に上記の処理を行って、放射線画像撮影時と同じ温度環境下でのexp(−t0/RC)の値(平均値)を算出するように構成することは可能であり、処理のしかたは適宜決定される。
1 放射線画像撮影装置
6 信号線
7 撮像素子
8 TFT(スイッチ素子)
17 読み出し回路
22 制御手段
23 記憶手段
A、B、B*、VK 電気信号の信号値
A 1回目の電気信号の信号値
B、B* 2回目の電気信号の信号値
C 撮像素子の等価寄生容量
Q0 放射線の照射により撮像素子で発生した真の電荷
q(t) 電荷の時間的な流入量
R スイッチ素子のオン抵抗の抵抗値
S0 撮像素子で発生した真の電荷に相当する電気信号の真値
t0 撮像素子からの電荷の放出時間
t12 所定時間
tall 全撮像素子からの電荷の放出にかかる時間
tS スイッチ素子をオフ状態としてからオン状態とするまでの時間
Vbias 逆バイアス電圧
6 信号線
7 撮像素子
8 TFT(スイッチ素子)
17 読み出し回路
22 制御手段
23 記憶手段
A、B、B*、VK 電気信号の信号値
A 1回目の電気信号の信号値
B、B* 2回目の電気信号の信号値
C 撮像素子の等価寄生容量
Q0 放射線の照射により撮像素子で発生した真の電荷
q(t) 電荷の時間的な流入量
R スイッチ素子のオン抵抗の抵抗値
S0 撮像素子で発生した真の電荷に相当する電気信号の真値
t0 撮像素子からの電荷の放出時間
t12 所定時間
tall 全撮像素子からの電荷の放出にかかる時間
tS スイッチ素子をオフ状態としてからオン状態とするまでの時間
Vbias 逆バイアス電圧
Claims (12)
- 放射線の照射により電荷を発生させる撮像素子が二次元状に配列された放射線画像撮影装置において、
前記撮像素子から信号線を通じて電荷を読み出し、前記撮像素子ごとに前記電荷を電気信号に変換して出力する読み出し回路と、
前記撮像素子に接続され、オン状態とされることにより前記撮像素子に蓄積された前記電荷を前記信号線に放出させるスイッチ素子と、
前記スイッチ素子のオン/オフを制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、放射線画像撮影における放射線の照射後、前記撮像素子ごとに、前記スイッチ素子を少なくとも2回オン状態として前記撮像素子からそれぞれ電荷を放出させて前記読み出し回路でそれぞれ電気信号に変換して出力させ、前記少なくとも2回分の電気信号の信号値に基づいて、前記撮像素子から放出された電荷が前記読み出し回路に流入する際の電荷の時間的な流入量を近似する特性曲線に基づく演算により、放射線の照射により前記撮像素子内で発生した真の電荷に相当する電気信号の真値を算出することを特徴とする放射線画像撮影装置。 - 前記制御手段は、前記スイッチ素子のオン抵抗の抵抗値をR、前記撮像素子の等価寄生容量をC、放射線の照射により前記撮像素子内で発生し蓄積された電荷をQ0とするとき、前記読み出し回路に流入する際の電荷の時間的な流入量q(t)を近似する前記特性曲線として、
q(t)=Q0{1−exp(−t/RC)}
で定義される特性曲線に基づく演算により、放射線の照射により前記撮像素子内で発生した真の電荷に相当する電気信号の真値を算出することを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影装置。 - 前記制御手段は、放射線画像撮影における放射線の照射後、前記スイッチ素子をオン状態として前記撮像素子から1回目の電荷の放出を行わせた後、前記スイッチ素子をオフ状態とし、前記特性曲線に基づいて算出される所定時間が経過した後に再度前記スイッチ素子をオン状態として前記撮像素子から2回目の電荷の放出を行わせて、前記読み出し回路でそれぞれ電気信号に変換して出力させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線画像撮影装置。
- 前記制御手段は、一の前記撮像素子に接続された前記スイッチ素子をオフ状態としてから、放射線画像撮影における放射線の照射後、前記スイッチ素子をオン状態として前記一の撮像素子からの前記1回目の電荷の放出を開始するまでの時間をtS、前記一の撮像素子からの電荷の放出時間をt0、前記1回目の電荷の放出を終了して前記スイッチ素子をオフ状態とした後、再度オン状態として前記一の撮像素子からの前記2回目の電荷の放出を開始するまでの前記所定時間をt12とするとき、前記所定時間t12が、
t12=tS×{1−exp(−t0/RC)}
但し、Rはスイッチ素子のオン抵抗の抵抗値、Cは撮像素子の等価寄生容量
となるように前記スイッチ素子のオン/オフを制御することを特徴とする請求項3に記載の放射線画像撮影装置。 - 前記制御手段は、前記撮像素子から前記1回目に放出された電荷を前記読み出し回路で変換して出力された電気信号の信号値をA、前記撮像素子から前記2回目に放出された電荷を前記読み出し回路で変換して出力された電気信号の信号値をBとするとき、放射線の照射により前記撮像素子内で発生した真の電荷に相当する前記電気信号の真値S0を、
S0=(A−B)/{1−exp(−t0/RC)}2
として演算して算出することを特徴とする請求項4に記載の放射線画像撮影装置。 - 前記撮像素子の温度を測定する温度測定手段と、
前記撮像素子の温度と前記{1−exp(−t0/RC)}の値とを対応付けるテーブルが記憶された記憶手段と、
をさらに備え、
前記制御手段は、前記テーブルを参照して、前記温度測定手段により測定された前記撮像素子の温度に対応する前記{1−exp(−t0/RC)}の値を用いることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の放射線画像撮影装置。 - 前記撮像素子の温度を測定する温度測定手段と、
前記撮像素子の温度と、前記{1−exp(−t0/RC)}の値および前記{1−exp(−t0/RC)}2の値とをそれぞれ対応付けるテーブルが記憶された記憶手段と、
をさらに備え、
前記制御手段は、前記所定時間t12の設定および前記電気信号の真値S0の算出の際に、前記テーブルを参照し、前記温度測定手段により測定された前記撮像素子の温度に対応する前記{1−exp(−t0/RC)}の値および前記{1−exp(−t0/RC)}2の値をそれぞれ用いて各演算を行うことを特徴とする請求項5に記載の放射線画像撮影装置。 - 前記制御手段は、放射線画像撮影における放射線の照射後、前記スイッチ素子を所定の放出時間だけオン状態として前記撮像素子から1回目の電荷の放出を行わせる処理を全撮像素子について行った後、時間的に連続して再度前記スイッチ素子を所定の放出時間だけオン状態として前記撮像素子から2回目の電荷の放出を行わせる前記処理を全撮像素子について行って、前記読み出し回路でそれぞれ電気信号に変換して出力させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線画像撮影装置。
- 前記制御手段は、一の前記撮像素子に接続された前記スイッチ素子をオフ状態としてから、放射線画像撮影における放射線の照射後、前記スイッチ素子をオン状態として前記一の撮像素子からの前記1回目の電荷の放出を開始するまでの時間をtS、前記一の撮像素子からの電荷の放出時間をt0、各回ごとに前記全撮像素子からの電荷の放出にかかる時間をtall、前記撮像素子から前記1回目に放出された電荷を前記読み出し回路で変換して出力された電気信号の信号値をA、前記撮像素子から前記2回目に放出された電荷を前記読み出し回路で変換して出力された電気信号の信号値をBとするとき、放射線の照射により前記撮像素子内で発生した真の電荷に相当する前記電気信号の真値S0を、
S0=[A−k{B−Aexp(−t0/RC)})/{1−exp(−t0/RC)}
但し、k=tS/tall
として演算して算出することを特徴とする請求項8に記載の放射線画像撮影装置。 - 前記撮像素子の温度を測定する温度測定手段と、
前記撮像素子の温度と前記exp(−t0/RC)の値とを対応付けるテーブルが記憶された記憶手段と、
をさらに備え、
前記制御手段は、前記電気信号の真値S0の算出の際に、前記テーブルを参照して、前記温度測定手段により測定された前記撮像素子の温度に対応する前記exp(−t0/RC)の値を用いることを特徴とする請求項9に記載の放射線画像撮影装置。 - 前記撮像素子の温度を測定する温度測定手段と、
前記撮像素子の温度と、前記exp(−t0/RC)の値および前記{1−exp(−t0/RC)}の値とをそれぞれ対応付けるテーブルが記憶された記憶手段と、
をさらに備え、
前記制御手段は、前記電気信号の真値S0の算出の際に、前記テーブルを参照して、前記温度測定手段により測定された前記撮像素子の温度に対応する前記exp(−t0/RC)の値および前記{1−exp(−t0/RC)}の値をそれぞれ用いることを特徴とする請求項9に記載の放射線画像撮影装置。 - 前記制御手段は、前記撮像素子に印加する逆バイアス電圧を変化させて前記撮像素子に電荷を発生させて蓄積させ、前記スイッチ素子のオン/オフを制御して、前記撮像素子に蓄積された前記電荷を繰り返し放出させ、前記撮像素子から放出される各電荷に由来して前記読み出し回路から出力される電気信号の各信号値に基づいて、前記exp(−t0/RC)の値を算出することを特徴とする請求項4から請求項7、請求項9、請求項10のいずれか一項に記載の放射線画像撮影装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008266145A JP2010098419A (ja) | 2008-10-15 | 2008-10-15 | 放射線画像撮影装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008266145A JP2010098419A (ja) | 2008-10-15 | 2008-10-15 | 放射線画像撮影装置 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010098419A true JP2010098419A (ja) | 2010-04-30 |
Family
ID=42259811
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008266145A Pending JP2010098419A (ja) | 2008-10-15 | 2008-10-15 | 放射線画像撮影装置 |
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JP (1) | JP2010098419A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012120652A (ja) * | 2010-12-07 | 2012-06-28 | Fujifilm Corp | 放射線撮影システム |
-
2008
- 2008-10-15 JP JP2008266145A patent/JP2010098419A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012120652A (ja) * | 2010-12-07 | 2012-06-28 | Fujifilm Corp | 放射線撮影システム |
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