JP2010098306A - 電荷輸送膜用組成物、有機電界発光素子、有機elディスプレイ及び有機el照明 - Google Patents
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Abstract
【課題】 湿式成膜法により有機薄膜を形成した場合、均一に成膜可能であり、また、組成物の保存安定性に優れ、工業的な問題が生じない電荷輸送膜用組成物を提供することを課題とする。
また、湿式成膜法により形成された有機層を有する有機電界発光素子において、均一な発光面を有し、電圧が低く、短絡やダークスポットが生じず、駆動寿命が長い有機電界発光素子を提供することを課題とする。
【解決手段】 芳香族アミン系ポリマー、電子受容性化合物及び有機溶媒を含有する電荷輸送膜用組成物であって、
光散乱測定法で、粒径(2R)がミクロンオーダである大きな凝集体を含む割合が小さいことを特徴とする、電荷輸送膜用組成物。
【選択図】 なし
Description
本発明はまた、電荷輸送膜用組成物で形成された有機層を有する有機電界発光素子に関する。
このうち、真空蒸着法は積層化が可能であるため、陽極及び/又は陰極からの電荷注入
の改善、励起子の発光層封じ込めが容易であるという利点を有する。
湿式成膜法で有機層を形成した例として、特許文献1や特許文献2に、正孔注入層、発光層を湿式成膜法で形成した有機電界発光素子の発明が開示されている。しかし、従来の組成物を用いて、湿式成膜法により有機薄膜を形成した場合、均一に成膜できないことがあった。そのため、該組成物を用いて湿式成膜法で形成された有機層を有する有機電界発光素子は、発光面にムラを生じたり、短絡を生じたり、電荷の集中によりダークスポットが生じたりとの問題があった。また、湿式成膜法に使用する組成物の保存安定性の低下により、歩留まりが低下したりポットライフが短いなどの工業的な問題が生じる場合があった。
また、湿式成膜法により形成された有機層を有する有機電界発光素子において、短絡やダークスポットが生じない有機電界発光素子を提供することを課題とする。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
本発明は、芳香族アミン系ポリマー、電子受容性化合物及び有機溶媒を含有する電荷輸送膜用組成物であって、静的光散乱測定において、散乱角(2θ)が8°であるときに、下記式(1)を満たすことを特徴とする電荷輸送膜用組成物(以下、「本発明の電荷輸送膜用組成物A」と称する場合がある)に存する。
(式(1)中、Imsは電荷輸送膜用組成物の補正散乱強度を表し、Ims=Is×100/Tsとして算出される値である。
Im0は電荷輸送膜用組成物に含有される有機溶媒の補正散乱強度を表し、Im0=I0×100/T0として算出される値である。
I0は静的光散乱測定による、電荷輸送膜用組成物に含有される有機溶媒の散乱強度、
Tsは透過率測定による、光散乱測定波長での電荷輸送膜用組成物の透過率(%)、
T0は透過率測定による、光散乱測定波長での電荷輸送膜用組成物に含有される有機溶媒の透過率(%)、
を表す。)
また、本発明は、芳香族アミン系ポリマー、電子受容性化合物及び有機溶媒を含有する電荷輸送膜用組成物であって、動的光散乱測定において得られる累積50%径が1μm以
下であることを特徴とする、電荷輸送膜用組成物(以下、「本発明の電荷輸送膜用組成物B」と称する場合がある)に存する。
以下、「本発明の電荷輸送膜用組成物」とした場合は、「本発明の電荷輸送膜用組成物A」及び「本発明の電荷輸送膜用組成物B」の両方を指すものとする。
また、本発明の電荷輸送膜用組成物を用いて、湿式成膜法により形成された有機層を有する有機電界発光素子は、短絡やダークスポットが生じない。 この為、本発明の有機電
界発光素子は、駆動寿命が長い。
また、本発明の電荷輸送膜用組成物は、保存安定性が高く、湿式成膜法で有機層を形成する場合において、均一に成膜可能であり、また工業的観点から不利益を生じさせないことから、有機電界発光素子に限らず、その他、電子写真感光体、光電変換素子、有機太陽電池、有機整流素子等の有機デバイスにも有効に利用することができる。
<電荷輸送膜用組成物>
本発明の電荷輸送膜用組成物Aは、芳香族アミン系ポリマー、電子受容性化合物及び有機溶媒を含有する電荷輸送膜用組成物であって、静的光散乱測定において、散乱角(2θ)が8°であるときに、下記式(1)を満たす電荷輸送膜用組成物である。
(式(1)中、Imsは電荷輸送膜用組成物の補正散乱強度を表し、Ims=Is×100/Tsとして算出される値である。
Im0は電荷輸送膜用組成物に含有される有機溶媒の補正散乱強度を表し、Im0=I0×100/T0として算出される値である。
I0は静的光散乱測定による、電荷輸送膜用組成物に含有される有機溶媒の散乱強度、
Tsは透過率測定による、光散乱測定波長での電荷輸送膜用組成物の透過率(%)、
T0は透過率測定による、光散乱測定波長での電荷輸送膜用組成物に含有される有機溶媒の透過率(%)、
を表す。)
また、本発明の電荷輸送膜用組成物Bは、芳香族アミン系ポリマー、電子受容性化合物及び有機溶媒を含有する電荷輸送膜用組成物であって、動的光散乱測定において得られる累積50%径が1μm以下である電荷輸送膜用組成物である。
本発明における静的光散乱測定とは、散乱強度と透過率を求めて、補正散乱強度を算出することを意味する。
静的光散乱測定を行うことにより散乱強度が得られるが、本発明においては、さらに透過率を測定することによって、この散乱強度と透過率とから、補正散乱強度を求める。
静的光散乱測定を行うためには、例えば、高分子フィルムダイナミックス解析装置DYNA―3000(大塚電子社製)を用いる。
芳香族アミン系ポリマー、電子受容性化合物及び有機溶媒を含有する電荷輸送膜用組成物(以下、「測定サンプル」という)、および該電荷輸送膜用組成物に含有される有機溶媒(以下、「測定用溶媒」という)の各々について、上記高分子フィルムダイナミックス解析装置で測定することにより、測定サンプルと測定用溶媒の各々の、散乱角(2θ)に対する散乱強度が得られる。測定サンプルの散乱強度をIs、測定用溶媒の散乱強度をI0とする。尚、該測定の際の条件は、Vv散乱条件とする。また、測定には、He−Neレーザ(波長633nm)を用いる。
また、透過率を測定するためには、例えば、ファイバーマルチチャンネル分光器USB2000(オーシャンオプティクス社製)を用いる。
測定サンプル、及び測定用溶媒の各々について、上記ファイバーマルチチャンネル分光
器で測定することにより、測定サンプル、及び測定用溶媒の各々の透過率が得られる。得られた透過率を用いて、前記の散乱強度を吸収補正する。測定サンプルの透過率をTs(%)、測定用溶媒の透過率をT0(%)とする。ここで透過率は、上記散乱強度を測定する際に用いた光波長(以下、「光散乱測定波長」という)において測定し、この場合は、He−Neレーザ(波長633nm)を用いて測定する。
)を用いて補正散乱強度を算出する。また、I0(8°)につき、下記式(1−2)を用 いて補正散乱強度を算出する。
Im0=I0×100/T0 ・・・(1−2)
ここで、Is(8°)から求められるImsをIms(8°)、I0(8°)から求められるIm0をIm0(8°)、とする。
本発明において、静的光散乱測定において、散乱角(2θ)が8°であるときに、下記式(1)を満たすとは、すなわち、下記式(2−1)を満たすことを意味する。
Ims(8°)/Im0(8°) ≦ 35 ・・・(2−1)
本発明において、Ims/Im0は35以下であるが、好ましくは25以下、さらに好ましくは10以下、特に好ましくは5以下、最も好ましくは3以下である。Ims/Im0は、通常1以上であるが、測定サンプルや測定系温度、レーザー強度等の振れなどで0以上1未満の値になることもある。
この効果を得るために、特に散乱角(2θ)が8°及び15°であるときに上記式(1)を満たすことが好ましい。散乱角(2θ)が15°であるときのIms/Im0の算出方法は、上記散乱角(2θ)が8°である場合と同様である。
電荷輸送膜用組成物が、散乱角(2θ)が8°≦2θ≦15°であるときに、常に上記式(1)を満たすとは、散乱角(2θ)が8°≦2θ≦15°の任意の値において、上記と同様に補正散乱強度を求めたときに、Ims/Im0≦35となることを意味する。
(2.理由)
静的光散乱測定において、散乱角(2θ)が8°であるときに前記式(1)を満たすことで、本発明の効果が得られる理由は、以下の様に考えられる。
例えば、可視光波長領域に発振波長を有するレーザ、具体的には、静的光散乱測定で用いているHe−Neレーザ(波長633nm)を粒子に照射した場合、粒径がミクロンオーダの粒子であると、大きい散乱強度を示す傾向がある。
本発明において、上記小角散乱領域は、Guinier領域(qR<1)とする。
さらに、以下、qR<1を用いて粒子半径(R)から、測定をするべき散乱角(2θ)を見積もる。ここで、波数qは、下記式(3)で表される。
(式(3)中、nは溶媒の屈折率を、λは入射光の波長(nm)を表す。また、θは散乱角(2θ)の1/2の値を表す。)
上記式(3)を用い、粒径(2R)が1μmである場合の、大きい散乱強度が見られる散乱角(2θ)の領域を見積もる。粒径(2R)が1μmである場合、q<1/R=2μm−1となり、ここで単純にq=2μm−1とする。これと、上記式(3)を用いて、散乱角(2θ)を単純に算出すると(例えば、n=1.5、λ=633nm)、散乱角(2θ)は8°と算出される。つまり、粒径がミクロンオーダである大きい凝集体は、散乱角(2θ)が8°以下であるときに、大きい散乱強度を示す。
より具体的には、組成物に含まれる有機溶媒のみには凝集体が含まれていないため、散乱角(2θ)が8°であるときに、組成物の補正散乱強度が、有機溶媒(組成物に含まれる有機溶媒)の補正散乱強度に比べて大きくなっている場合は、組成物中に含まれる、粒径(2R)がミクロンオーダである大きな凝集体を含む割合が大きいことを意味する。また、組成物の補正散乱強度が、有機溶媒の補正散乱強度とほぼ同等の値である場合は、組成物に中に含まれる、粒径(2R)がミクロンオーダである大きな凝集体を含む割合が小さいことを意味する。
以上より、散乱角(2θ)が8°であるときのIms/Im0が10以下である場合、組成物中に含まれる、粒径がミクロンオーダである大きい凝集体を含む割合が小さいことを意味する。つまり、粒径がミクロンオーダである大きい凝集体を含む割合が小さいことが、保存安定性の向上という本発明が奏する効果をもたらすのである。
動的光散乱測定には、例えば、ダイナミック光散乱光度計DLS―7000DH(大塚電子社製)を用いる。
芳香族アミン系ポリマー、電子受容性化合物及び有機溶媒を含有する電荷輸送膜用組成物(以下、「測定サンプル」という)について、上記ダイナミック光散乱光度計で測定して、下記の計算を行い、測定サンプルの累積50%径(メディアン径)が得られる。
得られた自己相関関数に対して、上記測定機器に付属の解析プログラムを用いて、Histgram(Marquardt)法により、溶液中に含まれる凝集体の各々の粒径(2R)に対する散乱強度分布と、その頻度積算曲線を計算する。かかる頻度積算曲線から、累積50%径が算出される。
累積50%径が小さいほど、電荷輸送膜用組成物に含まれる、粒径(2R)がミクロンオーダである大きな凝集体を含む割合が小さいことを意味するので、累積50%径の値が小さいほど好ましい。
尚、本発明の特定に用いる測定機器は、上記と同等の測定が可能であれば、上記の測定機器に限定されるものではなく、その他の測定機器を用いてもよいが、上記の測定機器を用いることが好ましい。また、粒径(2R)計算も上記測定機器に付属の解析プログラムを用いることが好ましいが、他のプログラムを使用する場合には、計算する粒径(2R)分布範囲を1nm以上、10μm以下の範囲で測定を行うことが好ましい。
本発明の電荷輸送膜用組成物は、芳香族アミン系ポリマーを含有する。本発明における芳香族アミン系ポリマーとは、芳香族アミノ基を中心構成単位とする芳香族アミン系ポリマーである。
(1.分子量について)
本発明における芳香族アミン系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、通常、3000以上、また、通常100000以下であり、有機電界発光素子への使用に好適である。
また重量平均分子量がこの下限値を下回ると、ガラス転移温度、融点及び気化温度が低下するため、耐熱性が著しく損なわれるおそれがある。
また、本発明における芳香族アミン系ポリマーの数平均分子量(Mn)は、通常2,500,000以下、好ましくは750,000以下、より好ましくは400,000以下であり、また通常500以上、好ましくは1,500以上、より好ましくは3,000以上である。
上記範囲内であると、精製が容易であり、また芳香族アミン系ポリマーの有機溶媒に対
する溶解性や電荷輸送能が良好であるため好ましい。
(2.式(4)について)
本発明の電荷輸送膜用組成物に含有される芳香族アミン系ポリマーは、下記式(4)で表される繰り返し単位を含むポリマーであることが好ましい。
Ar31、及びAr32は、各々独立して、直接結合、2価の、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、Ar33〜Ar35は、各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。Ar33及びAr35は1価の基を、Ar34は2価の基を示す。
(2−1.Ar31〜Ar35について)
式(4)中、Ar31及びAr32は、各々独立して、直接結合、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、Ar33〜Ar35は、各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
置換基を有していてもよい芳香族複素環基としては、例えばフラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環由来の基が挙げられる。
環、チオフェン環、ピリジン環、フルオレン環からなる群より選ばれる環由来の基が好ましい。
また、Ar31〜Ar35としては、前記群から選ばれる1種又は2種以上の環を直接結合、又は―CH=CH―基により連結した基も好ましく、ビフェニル基及びターフェニル由来基、がさらに好ましい。
げられる。
(置換基群Z)
メチル基、エチル基等の好ましくは炭素数1〜24、更に好ましくは炭素数1〜12のアルキル基;
ビニル基等の好ましくは炭素数2〜24、更に好ましくは炭素数2〜12のアルケニル基;
エチニル基等の好ましくは炭素数2〜24、更に好ましくは炭素数2〜12のアルキニル基;
メトキシ基、エトキシ基等の好ましくは炭素数1〜24、更に好ましくは炭素数1〜12のアルコキシ基;
フェノキシ基、ナフトキシ基、ピリジルオキシ基等の好ましくは炭素数4〜36、更に好ましくは炭素数5〜24のアリールオキシ基;
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の好ましくは炭素数2〜24、更に好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基;
ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の好ましくは炭素数2〜24、更に好ましくは炭素数2〜12のジアルキルアミノ基;
ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、N−カルバゾリル基等の好ましくは炭素数10〜36、更に好ましくは炭素数12〜24のジアリールアミノ基;
フェニルメチルアミノ基等の好ましくは炭素数6〜36、更に好ましくは炭素数7〜24のアリールアルキルアミノ基;
アセチル基、ベンゾイル基等の好ましくは炭素数2〜24、好ましくは炭素数2〜12のアシル基;
フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;
トリフルオロメチル基等の好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜6のハロアルキル基;
メチルチオ基、エチルチオ基等の好ましくは炭素数1〜24、更に好ましくは炭素数1〜12のアルキルチオ基;
フェニルチオ基、ナフチルチオ基、ピリジルチオ基等の好ましくは炭素数4〜36、更に好ましくは炭素数5〜24のアリールチオ基;
トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基等の好ましくは炭素数2〜36、更に好ましくは炭素数3〜24のシリル基;
トリメチルシロキシ基、トリフェニルシロキシ基等の好ましくは炭素数2〜36、更に好ましくは炭素数3〜24のシロキシ基;
シアノ基;
フェニル基、ナフチル基等の好ましくは炭素数6〜36、更に好ましくは炭素数6〜24の芳香族炭化水素基基;
チエニル基、ピリジル基等の好ましくは炭素数3〜36、更に好ましくは炭素数4〜24の芳香族複素環基。
上記各置換基は、さらに置換基を有していてもよく、その例としては前記置換基群Zに
例示した基が挙げられる。
Ar31〜Ar35における芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基が有してもよい置換基の分子量としては、さらに置換した基を含めて500以下が好ましく、250以下がさらに好ましい。
なお、mが2以上である場合、前記式(4)で表される繰り返し単位は、2個以上のAr34及びAr35を有することになる。その場合、Ar34同士及びAr35同士は、各々、同じでもよく、異なっていてもよい。さらに、Ar34同士、Ar35同士は、各々互いに直接又は連結基を介して結合して環状構造を形成していてもよい。
式(4)におけるmは、0以上、3以下の整数を表す。
mは0であることが、架橋性ポリマーの、有機溶媒に対する溶解性及び成膜性が高められる点で好ましい。
また、mは1以上、3以下であることが、ポリマーの正孔輸送能が向上する点で好ましい。
本発明における芳香族アミン系ポリマーは、共役系の構造を有する繰り返し単位からなるため、十分な電荷輸送能を有し、また溶媒に対する十分な溶解性を有する点から、共役ポリマーであることが好ましい。
より具体的には、前記式(4)で表される繰り返し単位からなるポリマーであることが好ましい。
また、本発明における芳香族アミン系ポリマーは、共役ポリマーである場合、 積層が容易であり、また成膜時の表面平坦性に優れる点で、さらに不溶化基を有することが好ましい。つまり、本発明における芳香族アミン系ポリマーは、不溶化基を有する共役ポリマーであることが好ましい。
本発明においては、不溶化基は、解離性基又は架橋性基であることが好ましい。
芳香族アミン系ポリマーは、置換基として不溶化基を含む基を有するが、不溶化基を有する位置は、式(4)で表される繰り返し単位中にあってもよく、また式(4)で表される繰り返し単位以外の部分、例えば、末端基に有していてもよい。
(解離性基)
解離性基とは、溶媒に対して可溶性を示す基であり、結合している基(例えば、炭化水素環)から70℃以上で熱解離する基を表す。また、解離性基が解離することにより、ポリマーの溶媒への溶解度は低下する。
このような解離性基は、炭化水素環に結合し、該炭化水素環は極性基を有さない芳香族炭化水素環に縮合していることが好ましく、逆ディールスアルダー反応により熱解離する基であることがより好ましい。
上記範囲内であると、ポリマーの合成が容易であり、また成膜時に化合物が分解するなどが起きにくい。
また特に、分子間のスタッキングを抑制する立体構造を有する基が可溶性に優れるため好ましい。化合物から解離性基が解離する反応の一例を下記に示す。
K.Alder,Ber.,62,554(1929)及びM.C.Kloetzel,Org.Reactions,4,6(1948)参照)、脱1,3−ジオキソール(N.D.Field,J.Am.Chem.Soc.,83,3504(1961)参照)、脱ジエン(R.Huisgen,M.Seidel,G.Wallbillich,and H.Knupfer,Tetrahedron,17,3(1962)参照)、脱イソキサゾール(R.Huisgen and M,Christi,Angew.Chem.Intern.Ed.Engl.,5,456(1967)参照)、脱トリアゾール(R.Kreher and J.Seubert,Z.Naturforach.,20B,75(1965)参照)等が挙げられる。
このような解離性基は、加熱処理前において、その嵩高い分子構造から、分子間のスタッキングを防止したり、有機塗布溶媒に対して該ポリマーが良好な溶解性を有するものとすることができる。また、加熱処理によって該ポリマーから解離性基が解離するため、加熱後の化合物の溶媒への溶解性を著しく抑制することができ、該化合物を含む有機層に耐有機溶媒塗布性を付与することが出来る。したがって、本発明における解離性ポリマーを用いて形成された有機層上に、さらに湿式成膜法によって有機薄膜を積層して形成することが容易となる。
解離性基を含む基が2価の基である場合の具体例は、以下の<2価の解離性基を含む基群A>の通りである。
<2価の解離性基を含む基群A>
<1価の解離性基を含む基群B>
解離性基を有する共役ポリマーは、その構造中に解離性基を有するものであれば、その繰り返し単位等の構造は特に制限はないが、繰り返し単位内に芳香族環を有し、この芳香族環に縮合した炭化水素環に上記解離性基が結合していることが好ましい。
また中でもエテノ基、あるいは、エタノ基を含む解離性基が結合している部分構造を有する繰り返し単位を含む解離性基を有する共役ポリマーであることが、成膜性が優れる点から好ましい。
本発明における解離性基を有する共役ポリマーは、解離性基が結合している部分構造を有する繰り返し単位として、下記化学式(U3)または(U4)で表される部分構造を有する繰り返し単位を含むことが好ましい。この場合、ポリマー鎖中の繰り返し単位(U3)あるいは(U4)の含有量は、好ましくは10モル%以上、更に好ましくは30モル%以上である。
S21、S22、R21〜R26は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、置換基を有していてもよいへテロアリールアミノ基または置換基を有していてもよいアシルアミノ基を表す。
2価の芳香族炭化水素環基、または置換基を有していてもよい炭素数5以上50以下の2価の芳香族複素環基を表す。
式(U4)中、環B1は芳香族環を表す。前記芳香族環は置換基を有していてもよい。また、前記置換基同士が直接または2価の連結基を介して環を形成していてもよい。
S31〜S34、R31〜R36、X3及びX4は、それぞれ独立に、上記S21、S22、R21〜R26、X3及びX4として示したものと同様である。
n1〜n4はそれぞれ独立に、0〜5の整数を表す。)
化学式(U3)及び(U4)中における、環A1及び環B1は、それぞれ解離性基が結合する芳香族環を表し、芳香族炭化水素環であってもよく、芳香族複素環であってもよいが、電気化学的安定性に優れるため、電荷が局在化しにくいため、芳香族炭化水素環であることが好ましい。また、該芳香族環は置換基を有していてもよい。また、該置換基同士が直接または2価の連結基を介して環を形成していてもよい。
上記の中でも環A1および環B1が、それぞれ独立に、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環およびテトラセン環からなる群から選ばれることが好ましい。
0以下のアルキリデン基、置換基を有していてもよい炭素数2以上20以下のアルキレン基等、2価の連結基を介して結合し、環状構造を形成してもよい。上記xおよびyは、それぞれ1以上20以下の整数を表す。
上記化学式(U3)及び化学式(U4)におけるS21、S22、R21〜R26、S31〜S34、R31〜R36は、それぞれ独立に、水素原子;水酸基;メチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の置換基を有していてもよい炭素数が通常1以上、通常50以下、好ましくは10以下の直鎖または分岐のアルキル基;置換基を有していてもよい核炭素数が通常5以上50以下の芳香族炭化水素環基;置換基を有していてもよい核炭素数が5以上40以下の芳香族複素環基;ベンジル基等の置換基を有していてもよい核炭素数が通常6以上、好ましくは7以上、通常50以下、好ましくは8以下のアラルキル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等の置換基を有していてもよい炭素数が通常1以上、通常50以下、好ましくは8以下のアルコキシ基;フェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基等の置換基を有していてもよい核炭素数が通常5以上、好ましくは6以上、通常50以下、好ましくは15以下のアリールオキシ基;置換基を有していてもよい核炭素数が通常2以上50以下のアシル基;ビニル基、アリル基、1−ブテニル基等の置換基を有していてもよい炭素数が通常1以上8以下のアルケニル基;エチニル基、プロパギル基等の置換基を有していてもよい炭素数が通常1以上8以下のアルキニル基;アクリロイルオキシル基、メチルカルボニルオキシル基、エチルカルボニルオキシル基、ヒドロキシカルボニルメチルカルボニルオキシル基、ヒドロキシカルボニルエチルカルボニルオキシル基、ヒドロキシフェニルカルボニルオキシル基等の置換基を有していてもよい核炭素数が通常2以上、通常50以下、好ましくは15以下のアシルオキシ基;フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基等の置換基を有していてもよい核炭素数が通常6以上50以下のアリールアミノ基;ピリジルアミノ基、チエニルアミノ基、ジチエニルアミノ基等の置換基を有していてもよい核炭素数が通常5以上50以下のへテロアリールアミノ基;またはアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等の置換基を有していてもよい炭素数が通常2以上50以下のアシルアミノ基を表す。
(熱解離性可溶性基の割合)
解離性基は、上記解離性ポリマーの繰り返し単位以外の部分に含まれていてもよい。解離性ポリマー鎖の中に含まれる解離性基は、好ましくは平均5以上、より好ましくは平均10以上、より好ましくは平均50以上である。
以下、本発明における解離性ポリマーの好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[具体例]
また、本発明における芳香族アミン系ポリマーは、共役ポリマーである場合、不溶化基として、架橋性基を有していることが、熱及び/又は活性エネルギー線の照射により起こる反応(架橋反応)の前後で、溶媒に対する溶解性に大きな差を生じさせることができる点で好ましい。
架橋性基としては、架橋がしやすいという点で、例えば、架橋性基群Tに示す基が挙げられる。
[架橋性基群T]
エポキシ基、オキセタン基などの環状エーテル基、ビニルエーテル基などのカチオン重合によって不溶化反応する基が、反応性が高く不溶化が容易な点で好ましい。中でも、カチオン重合の速度を制御しやすい点でオキセタン基が特に好ましく、カチオン重合の際に素子の劣化をまねくおそれのあるヒドロキシル基が生成しにくい点でビニルエーテル基が好ましい。
また、架橋性基の中でも、不溶化後の構造が特に安定な点で、ベンゾシクロブテン環由来の基が特に好ましい。
具体的には、下記式(5)で表される基であることが好ましい。
架橋性基は分子内の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基に直接結合してもよいが、2価の基を介して結合してもよい。この2価の基としては、−O−基、−C(=O)−基又は(置換基を有していてもよい)−CH2−基から選ばれる基を任意の順番で1〜30個連結してなる2価の基を介して、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基に結合することが好ましい。これら2価の基を介する架橋性基、すなわち、架橋性基を含む基の具体例は以下の<架橋性基を含む基群T’>に示す通りであるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明における架橋性ポリマーが有する架橋性基の数は、分子量1000あたりの数で表すことができる。
上記架橋性ポリマーが有する架橋性基の数を、分子量1000あたりの数で表した場合、分子量1000あたり、通常3.0個以下、好ましくは2.0個以下、さらに好ましくは1.0以下、また通常0.01以上、好ましくは0.05以上である。
ここで、架橋性ポリマーの分子量1000あたりの架橋性基の数は、架橋性ポリマーからその末端基を除いて、合成時の仕込みモノマーのモル比と、構造式から算出する。
例えば、下記化合物の場合で説明する。
以下に、本発明における架橋性ポリマーの好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[特に好ましい架橋性基を有する共役ポリマー]
本発明における架橋性ポリマーは、下記の繰り返し単位群Aからなる群より選ばれる少なくとも一つの繰り返し単位、及び下記の繰り返し単位群Bからなる群より選ばれる少なくとも一つの繰り返し単位を有する共役ポリマーであることが、電荷輸送能が高く、酸化還元安定性に優れる点で特に好ましい。
本発明における架橋性ポリマーのガラス転移温度は、通常50℃以上、有機電界発光素子の耐熱性を含めた駆動安定性の点で好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、また、通常300℃以下である。
また、上記共役ポリマーのイオン化ポテンシャルは、電荷輸送能が優れる点で、通常4.5eV以上、好ましくは4.8eV以上、また、通常6.0eV以下、好ましくは5.
7eV以下である。
溶液状態の電荷輸送膜用組成物の場合、溶液であるために架橋性基の分子運動が固体状態よりも大きくなる。このとき、架橋性ポリマーの凝集状態において、架橋性基同士が常に近くに存在し続けた場合、適度な分子運動のために、後述の不溶化のための加熱温度以下であっても凝集状態で架橋してしまう確率が高くなると推測される。凝集状態でない均一な溶液の場合は、架橋性ポリマー分子そのものの分子運動が大きいために架橋性基同士が常に近くに存在し続けることはないため、後述の不溶化のための加熱温度以下の溶液状態では架橋する可能性はほとんどない。
本発明における芳香族アミン系ポリマーは、非共役ポリマーであることが好ましい。この理由としては、電子受容性化合物により、アミン部位がカチオンラジカルになった場合、主鎖が共役していないことから、電圧の印加がない状態ではカチオンラジカルが移動し難い。つまり、カチオンラジカルが、ポリマー鎖中に均一に分布している。この為、カチオンラジカルがポリマー鎖中を伝播して、ポリマーが局在化してしまうことによる凝集が置きにくいため好ましい。
(Ar7〜Ar11について)
Ar7〜Ar11は、各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。これらは、同一のN原子に結合する二つの基は互いに結合して環を形成してもよい。
また、Ar9〜Ar11としては、耐熱性、酸化還元電位を含めた正孔注入・輸送性の点から、各々独立に、ベンゼン環、ナフタレン環、トリフェニレン環、フェナントレン環由来の基が好ましく、フェニレン基(ベンゼン環由来の基)、ビフェニレン基(ベンゼン環由来の基)、ナフチレン基(ナフタレン環由来の基)が好ましい。
Ar7〜Ar11における芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、前記の(置換基群Z)と同義である。また、これらのうち好ましい基についても同様である。
置換基の分子量としては、通常400以下、中でも250以下程度が好ましい。
さらに、前記式(2)で表される繰り返し単位において、連結基Yが、下記式で表される部分構造から選ばれた2価の連結基であることが好ましい。
(Ar12〜Ar22について)
Ar12〜Ar22としては、前記のAr7〜Ar11と同様の基が挙げられる。
R6及びR7は、水素原子または置換基である。該置換基を例示するならば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、シリル基、シロキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基などが挙げられ、これらの具体例及び好ましい例としては、前記の(置換基群Z)に例示したものが挙げられる。
Ar12〜Ar22における芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、前記の(置換基群Z)の項に例示したものが挙げられる。
(芳香族アミン系ポリマーの具体例)
以下、本発明における芳香族アミン系ポリマーを構成する繰り返し単位の好ましい例について例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、式(2)で表される繰り返し単位中のAr7〜Ar11又は連結基Yが異なることで、異なる繰り返し単位になっていてもよい。
本発明の電荷輸送膜用組成物における前記の芳香族アミン系ポリマーの含有量は、通常1重量%以上、好ましくは2重量%以上、また、通常6重量%以下、好ましくは5重量%以下である。芳香族アミン系ポリマーの含有量が少なすぎると電荷輸送能が不足する場合
がある。また、多すぎると電荷輸送膜用組成物の有機溶媒に対する溶解性が低下する場合がある。異なる二種以上の芳香族アミン系ポリマーを併用する場合は、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
電子受容性化合物とは、酸化力を有し、上述の正孔輸送性化合物から一電子受容する能力を有する化合物が好ましく、具体的には、電子親和力が4eV以上である化合物が好ましく、5eV以上の化合物である化合物がさらに好ましい。
このような電子受容性化合物としては、例えば、トリアリールホウ素化合物、ハロゲン化金属、ルイス酸、有機酸、オニウム塩、アリールアミンとハロゲン化金属との塩、アリールアミンとルイス酸との塩よりなる群から選ばれる1種または2種以上の化合物等が挙げられる。
R11、R21及びR31としては、A1〜A3との結合部分に炭素原子を有する有機基であれば、本発明の効果を損なわない限り、その種類は特に制限されない。本発明における有機基とは、少なくとも一つの炭素原子を含む基である。
り、正電荷を当該基上により非局在化させられる基が挙げられる。その具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオレン環等の由来の一価の基が挙げられる。
アルケニル基としては、炭素数が通常2以上、通常12以下、好ましくは6以下のものが挙げられる。具体例としては、ビニル基、アリル基、1−ブテニル基等が挙げられる。
R12、R22、R23及びR32〜R34の種類は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されない。R12、R22、R23及びR32〜R34の分子量は、各々、その置換基を含めた値で、通常1000以下、好ましくは500以下の範囲である。R12、R22、R23及びR32〜R34の例としては、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、シアノ基、水酸基、チオール基、シリル基等が挙げられる。中でも、R11、R21及びR31と同様、電子受容性が大きい点から、A1〜A3との結合部分に炭素原子を有する有機基が好ましく、例としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基が好ましい。特に、電子受容性が大きいとともに熱的に安定であることから、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基が好ましい。
アミノ基としては、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシルアミノ基等が挙げられる。
アルキルアミノ基としては、炭素数が通常1以上、また、通常12以下、好ましくは6以下のアルキル基を1つ以上有するアルキルアミノ基が挙げられる。具体例としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基等が挙げられる。
トリルアミノ基、ピリジルアミノ基、チエニルアミノ基等が挙げられる。
アシルアミノ基としては、炭素数が通常2以上、また、通常25以下、好ましくは15以下のアシル基を1つ以上有するアシルアミノ基が挙げられる。具体例としては、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等が挙げられる。
アリールオキシ基としては、炭素数が通常3以上、好ましくは4以上、また、通常25以下、好ましくは15以下の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を有するアリールオキシ基が挙げられる。具体例としては、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、ピリジルオキシ基、チエニルオキシ基等が挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、炭素数が通常2以上、また、通常10以下、好ましくは7以下のアルコキシカルボニル基が挙げられる。具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられる。
アルキルカルボニルオキシ基としては、炭素数が通常2以上、また、通常10以下、好ましくは7以下のアルキルカルボニルオキシ基が挙げられる。具体例としては、アセトキシ基、トリフルオロアセトキシ基等が挙げられる。
アリールチオ基としては、炭素数が通常3以上、好ましくは4以上、また、通常25以下、好ましくは14以下のアリールチオ基が挙げられる。具体例としては、フェニルチオ基、ナフチルチオ基、ピリジルチオ基等が挙げられる。
スルホニルオキシ基の具体例としては、メシルオキシ基、トシルオキシ基等が挙げられる。
シリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基など挙げられる。
期型周期表の第17族に属する元素を表し、A2は、第 16族に属する元素を表し、A3
は、第15族に属する元素を表す。
中でも、電子受容性及び入手容易性の観点から、周期表の第5周期以前の元素が好ましい。即ち、A1としてはヨウ素原子、臭素原子、塩素原子のうち何れかが好ましく、A2としてはテルル原子、セレン原子、硫黄原子のうち何れかが好ましく、A3としてはアンチ
モン原子、ヒ素原子、リン原子、窒素原子のうち何れかが好ましい。特に、電子受容性、化合物の安定性の面から、式(I−1)におけるA1が臭素原子又はヨウ素原子である電
子受容性化合物、式(I−2)におけるA2がセレン原子又は硫黄原子である電子受容性
化合物、式(I−3)におけるA3が窒素原子である電子受容性化合物が好ましく、中でも、式(I−1)におけるA1がヨウ素原子である電子受容性化合物、式(I−3)にお
けるA3が窒素原子である電子受容性化合物が最も好ましい。
n1〜n3は、各々独立に、対アニオンZ1 n1-〜Z3 n3-のイオン価に相当する任意の正の整数である。n1〜n3の値は特に制限されないが、何れも1又は2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。
式(I−5)中、E2は、長周期型周期表の第15族に属する元素を表す。中でもリン
原子、ヒ素原子、アンチモン原子が好ましく、化合物の安定性、合成及び精製が容易である点から、毒性の点から、リン原子が好ましい。
式(I−6)中、Ar1〜Ar4は、各々独立に、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表す。芳香族炭化水素基、芳香族複素環基の例示としては、R11、R21及びR31について先に例示したものと同様の、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環由来の1価の基が挙げられる。中でも、化合物の安定性、耐熱性の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環由来の1価の基が好ましい。
Ar1〜Ar4が有してもよい置換基として好ましい電子吸引性の基を例示するならば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;シアノ基;チオシアノ基;ニトロ基;メシル基等のアルキルスルホニル基;トシル基等のアリールスルホニル基;ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基等の、炭素数が通常1以上、通常12以下、好ましくは6以下のアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の、炭素数が通常2以上、通常10以下、好ましくは7以下のアルコキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基等の、炭素数が通常3以上、好ましくは4以上、通常25以下、好ましくは15以下の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を有するアリールオキシカルボニル基;アミノカルボニル基;アミノスルホニル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の、炭素数が通常1以上、通常10以下、好ましくは6以下の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基にフッ素原子、塩素原子などのハロゲン原子が置換したハロアルキル基、などが挙げられる。
れるものではない。
本発明の電荷輸送膜用組成物は、上述の電子受容性化合物のうち何れか一種を単独で含
有していてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で含有していてもよい。また、式(I−1)〜(I−3)のうち何れか一つの式に該当する電子受容性化合物を二種以上組み合わせてもよく、各々異なる式に該当する二種以上の電子受容性化合物を組み合わせてもよい。
有機溶媒としては、本発明における芳香族アミン系ポリマーを、通常0.05重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上溶解する有機溶媒であることが好ましい。また、電子受容性化合物を0.005重量%以上溶解することが好ましく、0.05重量%以上溶解することがより好ましく、0.5重量%以上溶解することがさらに好ましい。
芳香族系有機溶媒の具体例としては、トルエン、キシレン、メチシレン、シクロヘキシルベンゼン、ペンタフルオロメトキシベンゼン、エチル(ペンタフルオロベンゾエート)等、
含ハロゲン有機溶媒の具体例としては、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等、
エーテル系有機溶媒の具体例としては、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル;1,2−ジメトキシベンゼン,1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン,4
−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール,2,4−ジメチルアニソール、ジフェニルエーテル等の芳香族エーテル等、
エステル系有機溶媒の具体例としては、酢酸エチル、酢酸n―ブチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル等の脂肪族エステル;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル等が挙げられる。
これらは1種で用いてもよく、2種以上の混合有機溶媒としてもよい。
重量%以上、より好ましくは50%重量以上である。なお、有機溶媒として、前述した有
機溶媒以外にも、必要に応じて、各種の他の有機溶媒を含んでいてもよい。このような他の有機溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド系有機溶媒、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。また、レベリング剤や消泡剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
本発明の電荷輸送膜用組成物の粘度は、固形分の濃度に依存するが、通常15mPas以下、好ましくは10mPas以下、さらに好ましくは8mPas以下、また通常2mPas以上、好ましくは3mPas以上、さらに好ましくは5mPas以上である。
この上限値を超えると、湿式成膜法にて膜形成時、均一な成膜ができないおそれがある。また、この下限値を下回ると成膜できないおそれがある。
[添加剤]
また、本発明の電荷輸送膜用組成物は、必要に応じ、レベリング剤や消泡剤等の塗布性改良剤などの各種添加剤等を含んでいてもよい。この場合は、有機溶媒としては、芳香族アミン系ポリマーと添加剤の双方を0.05重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上溶解する有機溶媒を使用することが好ましい。
本発明の電荷輸送膜用組成物は、保存安定性が高く、湿式成膜法で有機層を形成する場合において、均一に成膜可能であり、また工業的観点から不利益を生じさせないため、有機電界発光素子に用いられることが好ましい。
また、本発明における湿式成膜法とは、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法、キャピラリーコート法、組成物ジェット法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷等の有機溶媒を含有する組成物を用いて成膜する方法をいう。パターニングのし易さという点で、ダイコート法、ロールコート法、スプレーコート法、組成物ジェット法、フレキソ印刷法が好ましい。
本発明の電荷輸送膜用組成物の製造方法の一例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
特に、本発明の電荷輸送膜用組成物は、以下に記載する方法、特に好ましい方法を組み合わせるなどして用いることにより製造することができる。
本発明の電荷輸送膜用組成物に含有される、芳香族アミン系ポリマー、電子受容性化合物及び有機溶媒を混合する場合、混合する芳香族アミン系ポリマー及び電子受容性化合物は、各々独立に、固体であってもよく、また溶液であってもよい。
芳香族アミン系ポリマー及び電子受容性化合物を共に溶液状態で混合することが好ましい。
また、芳香族アミン系ポリマー及び電子受容性化合物の何れか一方が固体状態で、何れか一方が溶液状態で混合することが好ましい。この場合、固体の溶解を確認しながら添加できる点で溶液に、固体を入れることが好ましい。
上記の通り固体で混合する場合、粒径は、通常5cm以下、好ましくは1cm以下、より好ましくは5mm以下、また通常0.5mm以上である。
[2]溶解工程
本発明の電荷輸送膜用組成物の製造方法においては、通常溶解工程を有する。
(溶解条件)
溶解工程における温度は、通常20℃以上、好ましくは40℃以上、また通常有機溶媒の沸点以下、好ましくは有機溶媒の沸点より10℃以上低い温度である。この上限値を上回ると、有機溶媒が一部蒸発し濃度が変化するおそれがあり、またこの下限値を下回ると使用有機溶媒が固化、あるいは溶解度が低下するために所望の濃度が得られないおそれがある。
[3]超音波処理・光照射処理・加熱処理
本発明の電荷輸送膜用組成物を得るための製造方法としては、特に、超音波処理、光照射処理、加熱処理の少なくとも一つの処理を含むことが好ましい。
尚、これらの処理は、いずれか一種の処理を単独で行ってもよく、また併用して処理を行ってもよい。
(超音波処理)
超音波処理を行う場合、振動子28kHzを用いることが好ましい。
この上限値を上回ると、ポリマーが分解するおそれがあり、またこの下限値を下回ると溶解が不十分となるおそれがある。
(光照射処理)
光照射処理を行う場合、高圧水銀灯を用いることが好ましい。高圧水銀灯は404.7nm、435.8nm、546.1nm、577.0nm、及び579.1nmの輝線ス
ペクトルからなる緑がかった青白色(5,700K)の光源で、253.7nm、365.0nmの紫外線照射を伴う。
紫外線の照射量は、通常10mJ/cm2以上、好ましくは100mJ/cm2以上、より好ましくは600mJ/cm2以上、通常50000mJ/cm2以 下、好ましくは1
0000mJ/cm2以下、より好ましくは5000mJ/cm2以下である。上記範囲内であると、芳香族アミン系ポリマーから電子受容性化合物への電子移動度が十分であり、また芳香族アミン系ポリマーが劣化しにくくなるため好ましい。
紫外線の照射面積としては、組成物の入った容器全体に紫外線が照射されることが好ましいが、組成物の一部を照射してもよい。その場合は、紫外線照射後に組成物を攪拌することが好ましく、組成物を撹拌しながら照射することも好ましい。
加熱処理における加熱手段は、本発明の効果を損なわない限り、公知の技術を用いることができる。
具体的には、芳香族アミン系ポリマー、電子受容性化合物及び有機溶媒を加熱可能な容器に入れ、攪拌しながら、加熱バスにより温度を調節し、加熱攪拌する方法が挙げられる。加熱バスとしては、水バス、オイルバス等が用いられる。
加熱処理における加熱温度は、通常40℃以上、好ましくは80℃以上、また、通常、有機溶媒の沸点以下、好ましくは有機溶媒の沸点より10℃以上低いの温度である。
この上限値を上回ると、有機溶媒が突沸するおそれがありかつ有機溶媒の蒸発により仕込み時の濃度変化をきたす。またこの下限値を下回ると加熱処理の効果がなく、溶解不十分になるおそれがある。
超音波処理、光照射処理又は加熱処理のうち少なくとも何れか一種の処理を行うことで、本発明の電荷輸送膜用組成物を製造できる理由は以下の様に推測される。
本発明の電荷輸送膜用組成物の製造方法においては、濾過工程を含むことが好ましい。また、本発明における濾過工程は、溶解工程の後に行うことが好ましい。
濾過工程に用いるフィルターの穴は、通常5μm以下、好ましくは0.5μm以下、また通常0.1μm以上である。
[成膜方法]
前述の如く、有機電界発光素子は、多数の有機化合物からなる層を積層して形成するため、膜質が均一であることが非常に重要である。湿式成膜法で層形成する場合、その材料や、下地の性質によって、スピンコート法、スプレー法などの塗布法や、インクジェット法、スクリーン法などの印刷法等、公知の成膜方法が採用できる。
本発明における芳香族アミン系ポリマーが、不溶化基を有さない場合は、塗布後、通常加熱等により電荷輸送膜用組成物の膜を乾燥させる。乾燥させる方法としては、通常、加熱工程が行なわれる。加熱工程において使用する加熱手段の例を挙げると、クリーンオーブン、ホットプレート、赤外線、ハロゲンヒーター、マイクロ波照射などが挙げられる。中でも、膜全体に均等に熱を与えるためには、クリーンオーブン及びホットプレートが好ましい。
加熱及び光などの活性エネルギー照射は、それぞれ単独、あるいは組み合わせて行ってもよい。組み合わせる場合、実施する順序は特に限定されない。
加熱及び光などの活性エネルギー照射は、実施後に層に含有する水分及び/又は表面に吸着する水分の量を低減するために、窒素ガス雰囲気等の水分を含まない雰囲気で行うことが好ましい。同様の目的で、加熱及び/又は光などの活性エネルギー照射を組み合わせて行う場合には、少なくとも発光層の形成直前の工程を窒素ガス雰囲気等の水分を含まない雰囲気で行うことが特に好ましい。
本発明の有機電界発光素子は、基板上に、陽極及び陰極、該陽極及び陰極の間に配置された有機層を有する有機電界発光素子で、該有機層の少なくとも一層が、本発明の電荷輸送膜用組成物により形成された層であることを特徴とする。
有機層は1層であっても2層以上が積層されてなるものであってもよい。有機層としては正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層などが挙げられるが、本発明の電荷輸送膜用組成物により形成される層が陽極に隣接された層である有機電界発光素子は、短絡やダークスポットが生じないという効果がある。その為、通常、本発明の電荷輸送膜用組成物により形成された層は、正孔注入層であることが好ましい。また、有機層として、正孔注入層、正孔輸送層、及び発光層を有し、これら全てが湿式成
膜法で形成されることが好ましい。また、本発明の有機電界発光素子は、無機層を有していてもよい。
図1は本発明の方法により製造される有機電界発光素子の構造例を示す断面の模式図であり、図1において、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4は正孔輸送層、5は発光層、6は正孔阻止層、7は電子輸送層、8は電子注入層、9は陰極を各々表す。
[基板]
基板は有機電界発光素子の支持体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシート等が用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン等の透明な合成樹脂の板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバリア性が小さすぎると、基板を通過した外気により有機電界発光素子が劣化することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
陽極は発光層側の層への正孔注入の役割を果たすものである。
この陽極は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウム及び/又はスズの酸化物等の金属酸化物、ヨウ化銅等のハロゲン化金属、カーボンブラック、或いは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子等により構成される。
陽極の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とすることが好ましい。この場合、陽極の厚みは通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下程度である。不透明でよい場合は陽極の厚みは任意であり、陽極は基板と同一でもよい。また、さらには、上記の陽極の上に異なる導電材料を積層することも可能である。
[正孔注入層]
正孔注入層は、陽極から発光層へ正孔を輸送する機能を有する層であり、通常、陽極上に形成される。
(成膜方法)
本発明の電荷輸送膜用組成物を調製後、この組成物を湿式成膜により、正孔注入層の下層に該当する層(通常は、陽極)上に湿式成膜し、乾燥することにより正孔注入層を形成する。
湿式成膜における相対湿度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.01ppm以上、また通常80%以下である。
成膜後、通常加熱等により本発明の電荷輸送膜用組成物の膜を乾燥させる。乾燥する方法が加熱である場合、加熱手段は特に制限されないが、例えば、クリーンオーブン、ホットプレート、赤外線、ハロゲンヒーター、マイクロ波照射などが挙げられる。中でも、膜全体に均等に熱を与えるためには、クリーンオーブン及びホットプレートが好ましい。
上記の方法で形成した膜厚は、通常1nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下である。
本発明の有機電界発光素子は正孔輸送層を有することが好ましい。
本発明に係る正孔輸送層の形成方法は特に制限はないが、ダークスポット低減の観点から正孔輸送層を湿式成膜により形成することが好ましい。
正孔輸送層は、図1に示す構成の有機電界発光素子の場合は正孔注入層の上に形成することができる。
ェニルアミノ]ビフェニルで代表される2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4'
,4''−トリス( 1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバース
ト構造を有する芳香族アミン化合物(J.Lumin.,72−74巻、985頁、1997年)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物(Chem.Commun.,2175頁、1996年)、2,2',7,7'−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9'−スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synth.Metals,91巻、209頁、1997年)、4,4'−N,N'−ジカルバゾールビフェニルなどのカルバゾール誘導体などが挙げられる。また、例えばポリビニルカルバゾール、ポリビニルトリフェニルアミン(特開平7−53953号公報)、テトラフェニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン(Polym.Adv.Tech.,7巻、33頁、1996年)等が挙げられる。
また、真空蒸着法により正孔輸送層を形成する場合の成膜条件等は下記の通りである。
真空蒸着により正孔輸送層を形成する場合には、正孔輸送層の構成材料(前述の正孔輸送性化合物、電子受容性化合物等)の1種または2種以上を真空容器内に設置されたるつぼに入れ(2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼに入れ)、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度まで排気した後、るつぼを加熱して(2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼを加熱して)、蒸発量を制御して蒸発させ(2種以上の材料を用いる場合は各々独立に蒸発量を制御して蒸発させ)、るつぼと向き合って置かれた基板の陽極上に正孔輸送層を形成させる。なお、2種以上の材料を用いる場合は、それらの混合物をるつぼに入れ、加熱、蒸発させて正孔輸送層を形成することもできる。
正孔輸送層は架橋性化合物を架橋して形成される層であってもよい。架橋性化合物は、後述する架橋性基を有する化合物であって、架橋することにより網目状芳香族アミン系ポリマーを形成する。架橋性化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよく、中でも芳香族アミン系ポリマーが好ましい。架橋性化合物は1種のみを有していてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で有していてもよい。
架橋性基の例を挙げると、オキセタン基、エポキシ基などの環状エーテル;ビニル基、トリフルオロビニル基、スチリル基、アクリル基、メタクリロイル基、シンナモイル基等の不飽和二重結合;ベンゾシクロブタン基などが挙げられる。
塗布液には、架橋性化合物の他、架橋反応を促進する添加物を含んでいてもよい。架橋反応を促進する添加物の例を挙げると、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキ
サイド化合物、メタロセン化合物、オキシムエステル化合物、アゾ化合物、オニウム塩等の架橋開始剤及び架橋促進剤;縮合多環炭化水素、ポルフィリン化合物、ジアリールケトン化合物等の光増感剤;などが挙げられる。また、さらに、レベリング剤、消泡剤等の塗布性改良剤;電子受容性化合物:バインダー樹脂、などを含有していてもよい。
塗布液を下層上に成膜後、加熱及び/または活性エネルギー線照射により、架橋性化合物を架橋させて網目状高分子化する。成膜後の加熱の手法は特に限定されないが、例としては加熱乾燥、減圧乾燥等が挙げられる。加熱乾燥の場合の条件としては、通常120℃以上、好ましくは400℃以下に成膜された層を加熱する。加熱時間としては、通常1分以上、好ましくは24時間以下である。加熱手段としては特に限定されないが、成膜された層を有する積層体をホットプレート上に載せたり、オーブン内で加熱するなどの手段が用いられる。例えば、ホットプレート上で120℃以上、1分間以上加熱する等の条件を用いることができる。
加熱及び活性エネルギー線照射は、実施後に層に含有する水分及び/または表面に吸着する水分の量を低減するために、窒素ガス雰囲気等の水分を含まない雰囲気で行うことが好ましい。同様の目的で、加熱及び/または活性エネルギー線照射を組み合わせて行う場合には、少なくとも発光層の形成直前の工程を窒素ガス雰囲気等の水分を含まない雰囲気で行うことが特に好ましい。
[発光層]
正孔注入層の上、又は正孔輸送層を設けた場合には正孔輸送層の上には発光層が設けられる。発光層は、電界を与えられた電極間において、陽極から注入された正孔と、陰極から注入された電子との再結合により励起されて、主たる発光源となる層である。
発光層は、その構成材料として、少なくとも、発光の性質を有する材料(発光材料)を含有するとともに、好ましくは、正孔移動の性質を有する化合物(正孔輸送材料)、あるいは、電子移動の性質を有する化合物(電子輸送材料)を含有する。発光材料については特に限定はなく、所望の発光波長で発光し、発光効率が良好である物質を用いればよい。また、電荷輸送材料を2成分以上含有していることが好ましい。更に、発光層は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、その他の成分を含有していてもよい。なお、湿式成膜法で発光層を形成する場合は、何れもモノマー量の材料を使用することが好ましい。
発光材料としては、任意の公知の材料を適用可能である。例えば、蛍光発光材料であってもよく、燐光発光材料であってもよいが、内部量子効率の観点から、好ましくは燐光発光材料である。
なお、溶媒への溶解性を向上させる目的で、発光材料の分子の対称性や剛性を低下させたり、或いはアルキル基などの親油性置換基を導入したりすることが好ましい。
青色発光を与える蛍光色素(青色蛍光色素)としては、例えば、ナフタレン、ペリレン、ピレン、アントラセン、クマリン、クリセン、p−ビス(2−フェニルエテニル)ベンゼン及びそれらの誘導体等が挙げられる。
黄色発光を与える蛍光色素(黄色蛍光色素)としては、例えば、ルブレン、ペリミドン誘導体等が挙げられる。
赤色発光を与える蛍光色素(赤色蛍光色素)としては、例えば、DCM(4−(dicyanomethylene)−2−methyl−6−(p−dimethylaminostyryl)−4H−pyran)系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる。
周期表第7〜11族から選ばれる金属として、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金等が挙げられる。
発光層における発光材料の割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.05重量%以上、好ましくは0.3重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、また、通常35重量%以下、好ましくは25重量%以下、更に好ましくは20重量%以下である。発光材料が少なすぎると発光ムラを生じる可能性があり、多すぎると発光効率が低下する可能性がある。なお、2種以上の発光材料を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
発光層には、その構成材料として、正孔輸送材料を含有させてもよい。ここで、正孔輸送材料のうち、モノマー量の正孔輸送材料の例としては、前述の正孔注入層における(モノマー量の正孔輸送材料)として例示した各種の化合物のほか、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルに代表される、2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4’,4”−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン化合物(Journal of Luminescence,1997年,Vol.72−74, pp.985)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物(Chemical Communications,1996年,pp.2175)、2,2’,7,7’−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synthetic Metals,1997年,Vol.91,pp.209)等が挙げられる。
発光層における正孔輸送材料の割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、また、通常65重量%以下、好ましくは50重量%以下、更に好ましくは40重量%以下である。正孔輸送材料が少なすぎると短絡の影響を受けやすくなる可能性があり、多すぎると膜厚ムラを生じる可能性がある。なお、2種以上の正孔輸送材料を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
発光層には、その構成材料として、電子輸送材料を含有させてもよい。ここで、電子輸送材料のうち、モノマー量の電子輸送材料の例としては、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND)や、2,5−ビス(6’−(2’,2”−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール(PyPySPyPy)や、バソフェナントロリン(BPhen)や、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP、バソクプロイン)、2−(4−ビフェニリル)−5−(p−ターシャルブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(tBu−PBD)や、4,4’−ビス(9−カルバゾール)−ビフェニル(CBP)等が挙げられる。なお、発光層において、電子輸送材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
本発明に係る湿式成膜法により発光層を形成する場合は、上述の材料を適切な有機溶媒に溶解させて湿式成膜用組成物を調製し、それを用いて成膜工程、好ましくは乾燥工程を介して形成する。これらの工程の詳細は、先に説明した内容と同様である。なお、他の有機層を本発明に係る湿式成膜法で形成する場合は、発光層の形成に蒸着法、又はその他の方法を用いてもよい。
発光層を形成するための湿式成膜用組成物に対する発光層用有機溶媒の比率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、また、通常70重量%以下、好ましくは60重量%以下、更に好ましくは50重量%以下の範囲である。なお、発光層用有機溶媒として2種以上の有機溶媒を混合して用いる場合には、これらの有機溶媒の合計がこの範囲を満たすようにする。
発光層の膜厚は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常3nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常200nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。発光層の膜厚が、薄すぎると膜に欠陥が生じる可能性があり、厚すぎると駆動電圧が上昇する可能性がある。
発光層と後述の電子注入層との間に、正孔阻止層を設けてもよい。正孔阻止層は、発光層の上に、発光層の陰極側の界面に接するように積層される層である。
この正孔阻止層は、陽極から移動してくる正孔を陰極に到達するのを阻止する役割と、陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送する役割とを有する。
正孔阻止層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成できる。
正孔阻止層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.3nm以上、好ましくは0.5nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。
発光層と後述の電子注入層の間に、電子輸送層を設けてもよい。
電子輸送層は、素子の発光効率を更に向上させることを目的として設けられるもので、電界を与えられた電極間において陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送することができる化合物より形成される。
電子輸送層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成することができる。
電子輸送層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常300nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。
電子注入層は、陰極から注入された電子を効率よく発光層へ注入する役割を果たす。電子注入を効率よく行なうには、電子注入層を形成する材料は、仕事関数の低い金属が好ましい。例としては、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属等が用いられ、その膜厚は通常0.1nm以上、5nm以下が好ましい。
電子注入層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成することができる。
(陰極)
陰極は、発光層側の層(電子注入層又は発光層など)に電子を注入する役割を果たすものである。
陰極の膜厚は、通常、陽極と同様である。
さらに、低仕事関数金属から成る陰極を保護する目的で、この上に更に、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層すると、素子の安定性が増すので好ましい。この目的のために、例えば、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が使われる。なお、これらの材料は、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明に係る有機電界発光素子は、その趣旨を逸脱しない範囲において、別の構成を有していてもよい。例えば、その性能を損なわない限り、陽極と陰極との間に、上記説明にある層の他に任意の層を有していてもよく、また、任意の層が省略されていてもよい。
<電子阻止層>
有していてもよい層としては、例えば、電子阻止層が挙げられる。
電子阻止層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で
形成することができる。
さらに陰極と発光層又は電子輸送層との界面に、例えばフッ化リチウム(LiF)、フッ化マグネシウム(MgF2)、酸化リチウム(Li2O)、炭酸セシウム(II)(CsCO3)等で形成された極薄絶縁膜(0.1〜5nm)を挿入することも、素子の効率を向上させる有効な方法である(Applied Physics Letters, 1997年, Vol.70, pp.152;特開平10−74586号公報;IEEE Transactions on Electron Devices, 1997年,Vol.44, pp.1245;SID 04 Digest, pp.154等参照)。
更には、少なくとも一方が透明性を有する2枚の基板の間に、基板以外の構成要素を積層することにより、本発明に係る有機電界発光素子を構成することも可能である。
また、上述した各層には、本発明の効果を著しく損なわない限り、材料として説明した以外の成分が含まれていてもよい。
本発明の有機ELディスプレイは、上述のような本発明の有機電界発光素子を用いたものである。本発明の有機ELディスプレイの型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「有機ELディスプレイ」(オーム社、平成16年8月20日発行、時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載されているような方法で、本発明の有機ELディスプレイを形成することができる。
本発明の有機EL照明は、上述の本発明の有機電界発光素子を用いたものである。本発明の有機EL照明の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
[実施例1]
下記式で表される繰り返し単位からなる芳香族アミン系ポリマー(P1)(重量平均分子量:29000)、下記構造式で表される電子受容性化合物(A1)、及び有機溶媒として安息香酸エチルを含有する電荷輸送膜用組成物を下記の通り調製した。
組成物濃度 化合物(P1) 2.5g(5重量%)
化合物(A1) 0.5g(1重量%)
有機溶媒 安息香酸エチル 47g
組成物粘度 8cps
化合物(P1)と化合物(A1)を混合して、安息香酸エチルを加えた後、100℃で5時間、加熱攪拌を行った(溶液A)。放冷後、0.2μmフィルターにて溶液Aの濾過処理を行った(溶液B)。
静的光散乱測定において、散乱強度の測定は、高分子フィルムダイナミックス解析装置DYNA−3000(大塚電子社製)を用いた。入射光としてHe−Neレーザ(光波長633nm)を用い、散乱角度2θが、8°以上、15°以下において、Vv散乱条件にて室温下で、溶液A、溶液B及び安息香酸エチルの測定を行った。
上記の方法で求めた、散乱強度と透過率より、溶液A、溶液B及び安息香酸エチルの補正散乱強度を求め、散乱角(2θ)が8°及び15°であるときのIms/Im0の値、並びに8°≦2θ≦15°であるときのIms/Im0の最大値、及び最小値を表14に示す。
あった。
また、溶液Bについては、5℃、暗所で静置する保存安定性試験を行い、その結果を表15に示す。
[比較例1]
化合物(P1)(2.5g)を安息香酸エチル(42g)に溶解した溶液(溶液C)と、化合物(A1)(0.5g)を安息香酸エチル(5.0g)に溶解した溶液(溶液D)を調製した。室温下で溶液Cと溶液Dとを混合し、均一になるまで撹拌を行った(溶液E)。
溶液E及び溶液Fについて、各々、実施例1と同様にして静的光散乱測定を行った。
表14に、散乱角(2θ)が8°及び15°であるときのIms/Im0の値、並びに8°≦2θ≦15°であるときのIms/Im0の最大値、及び最小値を示す。
また、溶液E及び溶液Fについて、動的光散乱測定を行い、累積50%径を求めた。
また、溶液Fについて、5℃、暗所で静置する保存安定性試験をおこない、その結果を表15にまとめた。
実施例1にて得られた溶液A(50g)を用いて、下記の通り濾過抵抗の測定を行った。
濾過抵抗の測定結果を表17に示す。
表17に示すが如く、本発明の電荷輸送膜用組成物は、濾過抵抗が小さいことが分かる。
溶液50g中、20gが濾過された時間をT1、次の20gが濾過された時間をT2として、下記の条件下で、濾過を行い、T1/T2を濾過抵抗の値とした。
<濾過条件>
濾過圧力 20KPa
フィルター径 25mmφ
フィルター穴 0.2μm
[比較例2]
実施例2における溶液Aの代わりに、比較例1にて得られた溶液Eを用いた以外は、実施例2と同様にして測定を行った。
[比較例3]
化合物(P1)(2.5g)、化合物(A1)(0.5g)を安息香酸エチル(47g)に加え、室温下で混合攪拌して溶解溶液を作成した(溶液G)。
実施例2にて得られた溶液Aの代わりに、上記の溶液Gを用いた以外は、実施例2と同様にして濾過抵抗の測定を行った。
また溶液Gについて、実施例1と同様にして、静的光散乱測定をおこなった。溶液Gについて、散乱角(2θ)が8°及び15°であるときのIms/Im0の値、並びに8°≦2θ≦15°であるときのIms/Im0の最大値、及び最小値を表14に示す。
また、溶液Gについて、比較例1と同様にして、動的光散乱測定をおこない、累積50
%径を求めた。その結果を表17に示す。
<有機電界発光素子の作成>
[実施例3]
まず、ガラス基板上にインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜(三容真空社製、スパッタ成膜品)が、2mm幅のストライプ状にパターニングされている基板を、界面活性剤水溶液による超音波洗浄、超純水による水洗、超純水による超音波洗浄、超純水による水洗の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行なった。
次に、正孔注入層用塗布液の調製を行った。前記式(P1)の繰り返し構造を有するポリマー(重量平均分子質量29000;ガラス転移温度177℃)5.0重量%と、前記式(A1)であらわされる化合物1.0重量%および、溶媒として安息香酸エチルに溶解96.0重量%を混合し、70℃に加熱して3時間撹拌溶解させた後、室温に冷却して0.2μmのPTFEフィルターにて濾過し、正孔注入層用塗布液(J1)を調製した。
次に、正孔注入層上に正孔輸送層を形成した。正孔輸送層用塗布液調製、スピンコート、ベークすべて、酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppmの窒素グローブボックス中で大気暴露させずに行った。
下記式(H1)の繰り返し構造を有するポリマー(重量平均分子質量95000)0.4重量%を、溶媒として市販の脱水グレードのトルエンに溶解し、正孔輸送層用塗布液を作製した。
(発光層の形成)
次に、正孔輸送層上に発光層を形成した。発光層用塗布液調製、スピンコート、ベークすべて、酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppmの窒素グローブボックス中で大気暴露させずに行った。
(発光層塗布液の調製)
下記式(C1)で表される化合物を0.80重量部、下記式(D1)で表される化合物0.08重量部を、溶媒として市販の脱水グレードのトルエンに溶解させ、0.8wt%の
溶液を調製した。この溶液を、0.2μmのPTFEフィルターでろ過し、発光層塗布液を調製した。
正孔輸送層上に、発光層塗布液を用いてスピンコート法にて発光層を形成した。スピンコートは、酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppmの窒素グローブボックス中で行い、スピナ回転数は1200rpm、スピナ時間は30秒とした。塗布後、ホットプレート上で130℃10秒間プレ乾燥した後、電極上の不要部分を拭き取り、次いで、ホットプレート上で130℃1時間真空加熱して乾燥し、膜厚54nmの発光層を形成した。
(正孔阻止層の形成)
下記式(C2)で表される材料を入れたモリブデン製ボートを通電加熱し、発光層上に蒸着した。蒸着時の真空度は1.0×10−4Pa、蒸着速度1.0Å/sとし、正孔阻止層を膜厚10nmで形成した。
次に、下記式(C3)で表されるAlq3を入れたモリブデン製ボートを通電加熱し、正孔阻止層の上に蒸着した。蒸着時の真空度は1.0×10−4Pa、蒸着速度1.0Å/sとし、電子輸送層を膜厚30nmで形成した。
次に、基板を一旦大気中に取り出し、陰極蒸着用のマスクとして2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極のITOストライプと直交するように配置し、速やかに蒸着装
置に設置した。チャンバーはロータリーポンプで粗引きした後、クライオポンプにて減圧した。真空度は3.0×10−4Paであった。陰極として、先ず、フッ化リチウム(LiF)を入れたモリブデン製ボートを通電加熱し、電子輸送層の上に蒸着した。蒸着条件は、蒸着時の真空度は3.0×10−4Pa、蒸着速度0.05Å/sとし、膜厚0.5nmで成膜した。最後に、アルミニウムを入れたモリブデン製ボートを通電加熱して陰極を蒸着した。蒸着条件は、蒸着時の真空度は5.0×10−4Pa、蒸着速度3.0Å/sとし、膜厚80nm成膜した。
次に、基板を一旦大気中に取り出し、速やかに窒素置換されたグローブボックスに移した。窒素置換されたグローブボックス中では封止ガラス板の凹部に吸湿剤シートを貼り付け、封止ガラス板の凹部の周囲にUV硬化樹脂塗をディスペンサーにて塗布し、蒸着を行なった基板の蒸着領域を封止ガラス板で密封するように密着させ、UVランプにてUV光を照射してUV硬化樹脂を硬化させた。
(素子評価確認)
この素子に通電したところ、発光欠陥の無い均一な発光面の青色発光が得られた。この素子に10Vの電圧をかけたとき、76.9mA/cm2の電流密度で電流が流れ、3670cd/m2の輝度で発光した。素子特性の結果を表19に示す。
正孔注入層用塗布液(J1)について静的光散乱測定を行ない、散乱角(2θ)が8°及び15°であるときのIms/Im0の値、並びに8°≦2θ≦15°であるときのIms/Im0の最大値、及び最小値を表18に示す。
(正孔注入層用塗布液保存性確認)
正孔注入層用塗布液(J1)を5℃にて1ヶ月間静置する保存安定性試験を行い、その結果を表19に示す。
正孔注入層用塗布液の調製を以下に変更した以外は、実施例3と同様にして素子を作製した。
(正孔注入層用塗布液の調製)
正孔注入層用塗布液の調製において、前記式(P1)の繰り返し構造を有するポリマー5.0重量%と、前記式(A1)であらわされる化合物1.0重量%および、溶媒として安息香酸エチルに溶解96.0重量%を混合し、70℃に加熱して3時間撹拌溶解させた後、室温に冷却して0.45μmのPTFEフィルターにて濾過し、正孔注入層用塗布液
(J2)を作製した。
この素子に通電したところ、発光欠陥の無い均一な発光面の青色発光が得られた。この素子に10Vの電圧をかけたとき、85.6mA/cm2の電流密度で電流が流れ、3991cd/m2の輝度で発光した。
(正孔注入層用塗布液静的光散乱測定)
正孔注入層用塗布液(J2)について静的光散乱測定を行ない、散乱角(2θ)が8°及び15°であるときのIms/Im0の値、並びに8°≦2θ≦15°であるときのIms/Im0の最大値、及び最小値を表18に示す。
正孔注入層用塗布液(J2)を5℃にて1ヶ月間静置する保存安定性試験を行い、その
結果を表19に示す。
[実施例5]
正孔注入層用塗布液の調製を以下に変更した以外は、実施例3と同様にして素子を作製した。
正孔注入層用塗布液の調製において、前記式(P1)の繰り返し構造を有するポリマー5.0重量%と、前記式(A1)であらわされる化合物1.0重量%および、溶媒として安息香酸エチルに溶解96.0重量%を混合し、70℃に加熱して3時間撹拌溶解させ、PTFEフィルター濾過せずに正孔注入層用塗布液(J3)を作製した。
この素子に通電したところ、発光欠陥の無い均一な発光面の青色発光が得られた。この素子に10Vの電圧をかけたとき、78.4mA/cm2の電流密度で電流が流れ、3672cd/m2の輝度で発光した。素子特性の結果を表19に示す。
(正孔注入層用塗布液静的光散乱測定)
正孔注入層用塗布液(J3)について静的光散乱測定を行ない、散乱角(2θ)が8°及び15°であるときのIms/Im0の値、並びに8°≦2θ≦15°であるときのIms/Im0の最大値、及び最小値を表18に示す。
正孔注入層用塗布液(J3)を5℃にて1ヶ月静置する保存安定性試験を行い、その結果を表19に示す。
[実施例6]
正孔注入層用塗布液の調製を以下に変更した以外は、実施例3と同様にして素子を作製した。
正孔注入層用塗布液の調製において、前記式(P1)の繰り返し構造を有するポリマー5.0重量%と、前記式(A1)であらわされる化合物1.0重量%および、溶媒として安息香酸エチルに溶解96.0重量%を混合し、室温にて3時間撹拌溶解させた後、0.2μmのPTFEフィルターにて濾過し、正孔注入層用塗布液(J4)を作製した。
この素子に通電したところ、発光欠陥の無い均一な発光面の青色発光が得られた。この素子に10Vの電圧をかけたとき、65.8mA/cm2の電流密度で電流が流れ、3161cd/m2の輝度で発光した。
(正孔注入層用塗布液静的光散乱測定)
正孔注入層用塗布液(J4)について静的光散乱測定を行ない、散乱角(2θ)が8°及び15°であるときのIms/Im0の値、並びに8°≦2θ≦15°であるときのIms/Im0の最大値、及び最小値を表18に示す。
正孔注入層用塗布液(J4)を5℃、暗所で1ヶ月間静置する保存安定性試験を行い、その結果を表19に示す。
(正孔注入層用塗布液保存性確認)
正孔注入層用塗布液(A5)を5℃、暗所で1ヶ月間静置する保存安定性試験を行い、その結果を表19に示す。
正孔注入層用塗布液の調製を以下に変更した以外は、実施例3と同様にして素子を作製した。
(正孔注入層用塗布液の調製)
正孔注入層用塗布液の調製において、前記式(P1)の繰り返し構造を有するポリマー5.0重量%と、前記式(A1)であらわされる化合物1.0重量%および、溶媒として安息香酸エチルに溶解96.0重量%を混合し、室温にて3時間撹拌溶解させた後、PTFEフィルター濾過せずに正孔注入層用塗布液(J5)を作製した。
この素子に通電したところ、青色発光が得られたが、発光面全面に多数の粒状の発光ムラが認められた。この素子に10Vの電圧をかけたときの電流密度は57.6mA/cm2であり、輝度は2782cd/m2であった。
(正孔注入層用塗布液静的光散乱測定)
正孔注入層用塗布液(J5)について静的光散乱測定を行ない、散乱角(2θ)が8°及び15°であるときのIms/Im0の値、並びに8°≦2θ≦15°であるときのIms/Im0の最大値、及び最小値を表18に示す。
正孔注入層用塗布液(J5)を5℃にて5日間静置する保存安定性試験を行い、その結果を表19に示す。
[実施例7]
正孔注入層の形成を以下に変更した以外は、実施例3と同様にして素子を作製した。
(正孔注入層用塗布液の調製)
実施例3において、前記式(P1)で表される構造を有するポリマーを下記式(H2)の繰り返し構造を有するポリマー(重量平均分子質量60000)2.0重量%を変更して用い、また、前記式(A1)であらわされる化合物0.4重量%を、溶媒として安息香酸エチル97.5重両%に混合し、70℃にて5時間撹拌して溶解し、正孔注入層用塗布液(K1)を作製した。
この素子に通電したところ、発光欠陥の無い均一な発光面の青色発光が得られた。この素子を1000cd/m2の輝度で発光させたときの電圧は6.7V、電流発光効率は2.9cd/m2であった。
また、この素子に75mA/cm2の電流密度で定電流通電試験したところ、輝度が初期輝度の半分になるまでの時間は270時間であった。素子特性の結果を表21に示す。
正孔注入層用塗布液(K1)について静的光散乱測定を行ない、散乱角(2θ)が8°及び15°であるときのIms/Im0の値、並びに8°≦2θ≦15°であるときのIms/Im0の最大値、及び最小値を表20に示す。
(正孔注入層用塗布液保存性確認)
正孔注入層用塗布液(K1)を5℃にて1ヶ月間静置する保存安定性試験を行い、その結果を表21に示す。
正孔注入層の形成を以下に変更した以外は、実施例7と同様にして素子を作製した。
(正孔注入層用塗布液の調製)
正孔注入層用塗布液(K1)のかわりに、下記で調製される塗布液(K2)を用いた。
前記式(H2)の繰り返し構造を有するポリマー2.5重量%と、前記式(A1)であらわされる化合物0.5重量%を、溶媒として安息香酸エチルとイソプロピルアルコールを8:2の重量比で混合した混合溶媒97.0重両%に混合し、室温にて3時間撹拌して溶解し、さらに70℃にて30分間加熱し、正孔注入層用塗布溶液(K2)を調製した。
この素子に通電したところ、発光欠陥の無い均一な発光面の青色発光が得られた。この素子を1000cd/m2の輝度で発光させたときの電圧は7.0V、電流発光効率は2.7cd/m2であった。
また、この素子に75mA/cm2の電流密度で定電流通電試験したところ、輝度が初
期輝度の半分になるまでの時間は240時間であった。
正孔注入層用塗布液(K2)について静的光散乱測定を行ない、散乱角(2θ)が8°及び15°であるときのIms/Im0の値、並びに8°≦2θ≦15°であるときのIms/Im0の最大値、及び最小値を表20に示す。
(正孔注入層用塗布液保存性確認)
正孔注入層用塗布液(K2)を室温にて1週間保管したところ、沈殿物は認められなかった。
正孔注入層の形成を以下に変更した以外は、実施例7と同様にして素子を作製した。
(正孔注入層用塗布液の調製)
前記式(H2)の繰り返し構造を有するポリマー2.5重量%と、前記式(A1)であらわされる化合物0.5重量%を、溶媒として安息香酸エチルとイソプロピルアルコールを8:2の重量比で混合した混合溶媒97.0重両%に混合し、室温にて3時間撹拌して溶解した。次に、この溶液を褐色ガラス瓶に1g入れ、径が10mmφである口を上部に開口して、ウシオ電機製露光装置UX−1000SM−ACS01にて、開口部から、31mW/cm2の紫外線を約33秒間照射、すなわち、光量1000mJ/cm2のUV光を照射し、正孔注入層用塗布液(K3)を調製した。UX−1000SM−ACS01に使用されている光源は超高圧水銀灯であり、照射した紫外線の主波長は365nm(i線)、405nm(h線)、436nm(g線)、である。ここまでの操作は、常温、常圧、常湿で行った。
(素子評価確認)
この素子に通電したところ、発光欠陥の無い均一な発光面の青色発光が得られた。この素子を1000cd/m2の輝度で発光させたときの電圧は7.1V、電流発光効率は4.9cd/m2であった。
(正孔注入層用塗布液静的光散乱測定)
正孔注入層用塗布液(K3)について静的光散乱測定を行ない、散乱角(2θ)が8°及び15°であるときのIms/Im0の値、並びに8°≦2θ≦15°であるときのIms/Im0の最大値、及び最小値を表20に示す。
正孔注入層用塗布液(K3)を室温にて1週間静置する保存安定性試験を行い、その結果を表21に示す。
[実施例10]
正孔注入層の形成を以下に変更した以外は、実施例7と同様にして素子を作製した。
露光装置UX−1000SM−ACS01にて、開口部から、31mW/cm2の紫外線を約162秒間照射、すなわち、光量5000mJ/cm2のUV光を照射した以外は実施例8と同様にして正孔注入層用塗布液(K4)を調製し、正孔注入層用塗布溶液として(B4)を用いた以外は実施例7同様にして素子作製評価を行った。
この素子に通電したところ、発光欠陥の無い均一な発光面の青色発光が得られた。この素子を1000cd/m2の輝度で発光させたときの電圧は7.2V、電流発光効率は4.0cd/m2であった。
また、この素子に75mA/cm2の電流密度で定電流通電試験したところ、輝度が初期輝度の半分になるまでの時間は210時間であった。素子特性の結果を表21に示す。
正孔注入層用塗布液(K4)について静的光散乱測定を行ない、散乱角(2θ)が8°及び15°であるときのIms/Im0の値、並びに8°≦2θ≦15°であるときのIms/Im0の最大値、及び最小値を表20に示す。
(正孔注入層用塗布液保存性確認)
正孔注入層用塗布液(K4)を室温にて1週間静置する保存安定性試験を行い、その結果を表21に示す。
正孔注入層の形成を以下に変更した以外は、実施例7と同様にして素子を作製した。
(正孔注入層用塗布液の調製)
前記式(9)の繰り返し構造を有するポリマー2.5重量%と、前記式(A1)であらわされる化合物0.5重量%を、溶媒として安息香酸エチルとイソプロピルアルコールを8:2の重量比で混合した混合溶媒97.0重両%に混合し、室温にて3時間撹拌して溶解し、正孔注入層用塗布溶液(K5)を調製した。
この素子に通電したところ、発光欠陥の無い均一な発光面の青色発光が得られた。この素子を1000cd/m2の輝度で発光させたときの電圧は6.5V、電流発光効率は3.2cd/m2であった。
また、この素子に75mA/cm2の電流密度で定電流通電試験したところ、輝度が初期輝度の半分になるまでの時間は180時間であった。素子特性の結果を表21に示す。
正孔注入層用塗布液(K5)について静的光散乱測定を行ない、散乱角(2θ)が8°及び15°であるときのIms/Im0の値、並びに8°≦2θ≦15°であるときのIms/Im0の最大値、及び最小値を表20に示す。
(正孔注入層用塗布液保存性確認)
正孔注入層用塗布液(K5)を室温にて1週間静置する保存安定性試験を行い、その結果を表21に示す。
正孔注入層の形成を以下に変更した以外は、実施例7と同様にして素子を作製した。
(正孔注入層用塗布液の調製)
露光装置UX−1000SM−ACS01にて、開口部から、31mW/cm2の紫外線を約17秒間照射、すなわち、光量500mJ/cm2のUV光を照射した以外は実施例8と同様にして正孔注入層用塗布液(K6)を調製した。
この素子に通電したところ、発光欠陥の無い均一な発光面の青色発光が得られた。この素子を1000cd/m2の輝度で発光させたときの電圧は6.5V、電流発光効率は3.3cd/m2であった。
また、この素子に75mA/cm2の電流密度で定電流通電試験したところ、輝度が初
期輝度の半分になるまでの時間は160時間であった。
正孔注入層用塗布液(K6)について静的光散乱測定を行ない、散乱角(2θ)が8°及び15°であるときのIms/Im0の値、並びに8°≦2θ≦15°であるときのIms/Im0の最大値、及び最小値を表20に示す。
(正孔注入層用塗布液保存性確認)
正孔注入層用塗布液(K6)を室温にて1週間保管したところ、沈殿物は認められなかった。
また、本発明の電荷輸送膜用組成物を用いて、湿式成膜法により形成された有機層を有する有機電界発光素子は、短絡やダークスポットを生じさせず、また駆動寿命が長い。
これより、本発明は、有機電界発光素子が使用される各種の分野、例えば、フラットパネル・ディスプレイ(例えばOAコンピュータ用や壁掛けテレビ)や面発光体としての特徴を生かした光源(例えば、複写機の光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト光
源)、表示板、標識灯等の分野において、好適に使用することが出来る。
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 正孔阻止層
7 電子輸送層
8 電子注入層
9 陰極
Claims (17)
- 芳香族アミン系ポリマー、電子受容性化合物及び有機溶媒を含有する電荷輸送膜用組成物であって、
静的光散乱測定において、散乱角(2θ)が8°であるときに、下記式(1)を満たすことを特徴とする電荷輸送膜用組成物。
Ims/Im0≦35 (1)
(式(1)中、Imsは電荷輸送膜用組成物の補正散乱強度を表し、Ims=Is×100/Tsとして算出される値である。
Im0は電荷輸送膜用組成物に含有される有機溶媒の補正散乱強度を表し、Im0=I0×100/T0として算出される値である。
また、Isは静的光散乱測定による、電荷輸送膜用組成物の散乱強度、
I0は静的光散乱測定による、電荷輸送膜用組成物に含有される有機溶媒の散乱強度、
Tsは透過率測定による、光散乱測定波長での電荷輸送膜用組成物の透過率(%)、
T0は透過率測定による、光散乱測定波長での電荷輸送膜用組成物に含有される有機溶媒の透過率(%)、
を表す。) - 静的光散乱測定において、散乱角(2θ)が、8°および15°であるときに、ImsおよびIm0が上記式(1)を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の電荷輸送膜用組成物。
- 静的光散乱測定において、散乱角(2θ)が、8°≦2θ≦15°であるときに、ImsおよびIm0が常に前記式(1)を満たすことを特徴とする、請求項1又は2に記載の電荷輸送膜用組成物。
- 芳香族アミン系ポリマー、電子受容性化合物及び有機溶媒を含有する電荷輸送膜用組成物であって、
動的光散乱測定において得られる累積50%径が1μm以下であることを特徴とする、電
荷輸送膜用組成物。 - 電子受容性化合物が、下記式(I−1)〜(I−3)のいずれかで表される化合物からなる群より選ばれることを特徴とする、
請求項1〜4に記載の電荷輸送膜用組成物。
A1〜A3は何れも周期表第3周期以降の元素であって、A1は長周期型周期表の第17
族に属する元素を表し、A2は長周期型周期表の第16族に属する元素を表し、A3は長周期型周期表の第15族に属する元素を表す。
Z1 n1-〜Z3 n3-は、各々独立に、対アニオンを表す。
n1〜n3は、各々独立に、対アニオンZ1 n1-〜Z3 n3-のイオン価に相当する任意の正の整数である。) - 芳香族アミン系ポリマーが、重量平均分子量3000以上、100000以下のポリマーであることを特徴とする、請求項1〜5の何れか一項に記載の電荷輸送膜用組成物。
- 上記芳香族アミン系ポリマーが、不溶化基を有することを特徴とする、請求項9に記載の電荷輸送膜用組成物。
- 上記不溶化基が、架橋性基又は解離性基であることを特徴とする、請求項10に記載の電荷輸送膜用組成物。
- 有機電界発光素子用であることを特徴とする、請求項1〜13の何れか一項に記載の電荷輸送膜用組成物。
- 基板上に、陽極及び陰極、該陽極及び陰極の間に配置された有機層を有する有機電界発光素子において、該有機層の少なくとも一層が、請求項14に記載の電荷輸送膜用組成物で形成された有機層であることを特徴とする、有機電界発光素子。
- 請求項15に記載の有機電界発光素子を含むことを特徴とする、有機ELディスプレイ。
- 請求項15に記載の有機電界発光素子を含むことを特徴とする、有機EL照明。
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