JP2010097205A - 累進屈折力レンズの設計方法及び製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】どのような加入度であっても適切なカーブ装用感と加工性をもつ内面累進屈折力レンズの設計方法及び製造方法を提供すること。
【解決手段】表面側が所定のレンズカーブが設定された球面から構成され、裏面側が累進面を含む面から構成される累進屈折力レンズの製造方法であって、ベースカーブの異なる材料ブロック10を複数種類用意し、ユーザー毎に処方される所定のレンズ度数において当該ユーザーに処方される固有加入度に応じたレンズカーブの深さを決定する際に、材料ブロック10のベースカーブの種類に対応した複数種類のレンズカーブを用意し、前記固有加入度に応じてレンズカーブの深さを可変とし、前記固有加入度が大きいほど深いレンズカーブを選択し、複数種類の材料ブロック10からそのレンズカーブに対応する材料ブロック10を選択して加工するようにした。
【選択図】図2

Description

本発明は老視補正用の眼鏡に使用される累進屈折力レンズの設計方法及び製造方法に関するものである。
老視に対する矯正用の眼鏡に累進屈折力レンズが使用されている。一般的に累進屈折力レンズは屈折力のそれぞれ異なる2つの屈折領域と、それら両領域の間で屈折力(度数)が累進的に変わる累進領域とを備えた複雑な累進面から形成されており、境目がなく1枚のレンズで遠くのものから近くのものまで見ることができるものである。ここに2つの領域とはレンズの比較的上方位置に設定された遠用部領域と、レンズの比較的下方位置に設定された近用部領域の2つの領域のことである。遠用部領域と近用部領域との移行帯である累進領域は滑らかかつ連続的に連結されている。
累進面はレンズの表面及び裏面のいずれの面に設定することも可能である。レンズの表面(物体側の面)に累進面を設定した累進屈折力レンズを一般に「外面累進レンズ」と
呼び、逆に裏面(眼球側の面)に累進面を設定した累進屈折力レンズを一般に「内面累進レンズ」と呼ぶ。一般的に累進面に眼を近づけられることやレンズ裏面の累進面を装用者個人に合わせて設計加工できることから内面累進レンズが広まってきている。内面累進レンズの一例と外面累進レンズの一例をそれぞれ特許文献1及び2に挙げる。
特開平8−234146号公報(段落番号0003、0018、図1及び図8) 国際公開第97/19382号パンフレット(実施例1、図4)
ところで、外面累進レンズと内面累進レンズのレンズ形状を比較した場合、図13に示すように外面累進レンズではレンズ表面下部が徐々に深くなるのに対し、内面累進レンズではレンズ裏面下部が徐々に浅くなっている。すなわち、外面累進レンズでは表面を球面近似した近似カーブが深くなり、内面累進レンズでは裏面を球面近似した裏面近似カーブが浅くなることになる。設計方針が同じある2つのレンズでは、表面近似カーブが深い方が歪曲収差が小さく装用感で有利となる。つまり、同じベースカーブの外面累進レンズと内面累進レンズを比較した場合には内面累進レンズではベースカーブは変化しなくとも裏面側が浅くなる結果として外面累進レンズと比べて相対的に浅いレンズとなってしまうため歪曲収差の点で不利となってしまうわけである(以下、このカーブの深さに起因した収差の発生による見えやすさをカーブ装用感とする)。
このようにカーブ装用感はカーブが深いほど有利でカーブが浅いほど不利となるため、上記の内面累進レンズと外面累進レンズのカーブ装用感の差異は、加入度が大きくなると助長される。すなわち、外面累進レンズでは加入度が大きくなると、表面近似球面カーブがより深くなりカーブ装用感が向上し、内面累進では逆に裏面近似カーブがより浅くなるためますますカーブ装用感は悪くなる。
そのため、高加入度のユーザーが同一ベースカーブの外面累進レンズから内面累進レンズに掛けかえた場合、カーブ装用感が悪化することにより内面累進のメリットを享受しにくい場合があった。
また、内面累進レンズにおける別の問題点として、プラス度数のレンズに生ずる問題がある。プラス度数のレンズにおいて内面累進レンズを設計する場合に、例えば弱加入度で加工可能なベースカーブの場合でも、高加入度になると図14に示すように裏面の近用部が凸形状になってしまう場合があり得る。このようないわゆる「裏凸」現象はベースカーブとして浅いカーブを選択しているというためであり、レンズの薄さ、軽さという点からは浅いカーブは望ましい。しかしながら、裏面の近用部形状が複雑になり加工が難しくなってしまうこと、両凸形状になってしまうことからレンズの光学性能としては理想的な状態とは言い難いものである。そこで、従来では内面累進レンズについて高加入度になってしまう場合を想定しS度数とC度数に応じた若干深めのカーブを割り付けるようにして裏面が凸形状となるのを防止していた。
しかし、弱加入度の内面累進に着目すると、本来そのレンズ度数ならばもう少し浅いレンズカーブで構わないにも関わらず、高加入度を想定した深めのレンズカーブを採用することはレンズの見た目や重量の点で不利である。
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、どのような加入度であっても適切なカーブ装用感と加工性をもつ内面累進屈折力レンズの設計方法及び製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために請求項1の発明では、表面及び裏面の一対の屈折面を持ち、前記表面側が所定のレンズカーブが設定された球面あるいは回転対象非球面から構成され、前記裏面側がレンズ上方に配置された比較的遠方を見るための第1の領域と、第1の領域よりも下方に配置され同第1の領域よりも大きな屈折力を有する第2の領域と、これら領域の間に配置され屈折力が累進的に変化する累進帯を備えた累進面を含む面から構成される累進屈折力レンズの設計方法であって、ユーザー毎に処方される所定のレンズ度数において当該ユーザーに処方される固有加入度に応じたレンズカーブの深さを決定する際に、前記固有加入度に応じてレンズカーブの深さを可変とし、前記固有加入度が大きいほど深いレンズカーブを選択するようにしたことをその要旨とする。
上記のような構成においては、ユーザー毎に処方される所定のレンズ度数において当該ユーザーに処方される固有加入度に応じたレンズカーブの深さを決定する際に、固有加入度に応じてレンズカーブの深さを可変とするようにする。そして、固有加入度が大きいほど深いレンズカーブを選択するようにする。
これによって、固有加入度が大きいにも関わらず必要以上に浅いレンズカーブになってしまうことが防止され、固有加入度に対して適切なカーブ装用感を与える内面累進レンズを作製することが出来る。また、加えてプラス度数のレンズにおいては、固有加入度に対して適切なカーブを与えることで図14のように裏面が凸形状になってしまうことを防止しながら固有加入度と度数に応じた適切なレンズ形状と厚さにすることができる。
ここに加入度とは累進屈折力レンズにおける遠用部と近用部との見え方の差であって、一般に次のように計算される。
加入度=
主注視線上の近用測定位置における平均度数(S+C/2)
−主注視線上の遠用測定位置における平均度数(S+C/2)
レンズカーブとはレンズ表面に面屈折力を与える曲面であって、屈折率とレンズ表面の曲率半径との比で表されるものである。カーブは屈折率によりその値が変化するため、異なる屈折率の素材比較を行う場合、どちらかの屈折率に換算して比較をするか、それ以外の第3の屈折率に換算する。以下本明細書では一般に行われている屈折率1.523換算で記載するものとする。
尚、レンズ裏面は累進成分だけでなく乱視成分を含んでいても構わない。
また請求項2の発明では請求項1に記載の発明の構成に加え、所定のレンズ度数毎に複数の基準加入度と同各基準加入度に割り付けられた所定深さのレンズカーブ候補を用意し、前記固有加入度がある第1の基準加入度と隣接するそれよりも大きな値の第2の基準加入度の間に含まれる場合には第1の基準加入度に割り付けられたレンズカーブの深さを採用することをその要旨とする。
このような構成においては請求項1の作用に加え、固有加入度は所定のレンズカーブに対して段階的に割り付けられることとなり、固有加入度がある大きさに達しなければ必ずしも深いレンズカーブが適用されるわけではない。例えば、あるレンズ度数において4.8カーブが適用される固有加入度が1.75〜2.5の範囲であったとすれば固有加入度が2.0から2.5になっても4.8カーブが適用され、固有加入度が次の段階である2.75以上に達しなければより深いレンズカーブを適用することはない。
これによってレンズカーブの種類が多くなりすぎることが防止でき、実際に前駆体レンズを用意する際にベースカーブの異なる前駆体レンズを非常に数多くストックしておく必要がなくなる。
また請求項3の発明では、表面及び裏面の一対の屈折面を持ち、前記表面側が所定のレンズカーブが設定された球面あるいは回転対象非球面から構成され、前記裏面側がレンズ上方に配置された比較的遠方を見るための第1の領域と、第1の領域よりも下方に配置され同第1の領域よりも大きな屈折力を有する第2の領域と、これら領域の間に配置され屈折力が累進的に変化する累進帯を備えた累進面を含む面から構成される累進屈折力レンズの製造方法であって、ベースカーブの異なる前駆体レンズを複数種類用意し、ユーザー毎に処方される所定のレンズ度数において当該ユーザーに処方される固有加入度に応じたレンズカーブの深さを決定する際に、前記固有加入度に応じてレンズカーブの深さを可変とし、前記固有加入度が大きいほど深いレンズカーブを選択し、複数種類の前記前駆体レンズからそのレンズカーブに対応する前駆体レンズを選択して加工するようにしたことをその要旨とする。
上記のような構成においては、まず、前もってベースカーブの異なる前駆体レンズを複数種類用意しておく。そしてユーザー毎に処方される所定のレンズ度数において当該ユーザーに処方される固有加入度に応じたレンズカーブの深さを決定する際に、固有加入度に応じてレンズカーブの深さを可変とするようにする。そして、固有加入度が大きいほど深いレンズカーブを選択するようにする。その場合のレンズカーブの種類は用意された前駆体レンズのベースカーブの種類に対応している。次いで複数種類の前駆体レンズからそのレンズカーブに対応する前駆体レンズを選択して加工する。
これによって、固有加入度に対して適切なカーブ装用感を与える内面累進レンズを作製することができる。また、加えてプラス度数のレンズにおいては、固有加入度に対して適切なカーブを与えることで図14のように裏面が凸形状になってしまうことを防止しながら固有加入度と度数に応じた適切なレンズ形状と厚さにすることができる。また、前もってベースカーブの異なる前駆体レンズを複数種類用意しておき、そのベースカーブと選択したベースカーブが対応しているため、わざわざ選択したベースカーブの前駆体レンズを作製する必要がない。
上記各請求項の発明では、内面累進レンズにおいて外面累進レンズと比較した場合にレンズカーブを由来として不利な点を解消することができ、ユーザーに最適なベースカーブの内面累進レンズを提供することができる。
本発明の実施例における加工工程を説明するフローチャート。 第1の加工工程における前駆体レンズの加工(作製)の流れを説明する説明図。 本発明の実施例における処方P1で作製した累進屈折力レンズのレンズ縦方向形状の模式図。 従来における処方P1で作製した累進屈折力レンズのレンズ縦方向形状の模式図。 本発明の実施例における処方P2で作製した累進屈折力レンズのレンズ縦方向形状の模式図。 浅いベースカーブを選択したと仮定した場合の処方P2で作製した累進屈折力レンズのレンズ縦方向形状の模式図。 本発明の実施例における処方P3で作製した累進屈折力レンズのレンズ縦方向形状の模式図。 処方P3のレンズを通して方眼形状を目視した場合の歪みをシミュレートした収差説明図。 図8からカーブ由来の歪曲成分を除いて累進面由来の歪曲成分のみを取り出した1.5カーブにおける収差説明図であって(a)は処方P3の場合、(b)は処方P4の場合。 図8からカーブ由来の歪曲成分を除いて累進面由来の歪曲成分のみを取り出した2.4カーブにおける処方P4の収差説明図。 本発明の実施例における処方P4で作製した累進屈折力レンズのレンズ縦方向形状の模式図。 レンズを通して方眼形状を目視した場合の歪みをシミュレートした処方P4の収差説明図であって(a)1.5カーブの場合、(b)は2.4カーブの場合。 同じベースカーブのレンズを外面累進レンズと内面累進レンズとした場合の形状変化を説明する説明図。 プラス度数のレンズにおいてベースカーブが浅いために裏面が凸形状になってしまう場合があることを説明する説明図。
以下、本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、製造工程は第1の加工工程、ベースカーブ選択工程及びそれに続く第2の加工工程からなる3つの工程から成り立っている。第1の加工工程ではいわゆる「セミフィニッシュ」と呼ばれる十分な厚みを有する前駆体レンズとしての材料ブロックを形成することが目的である。ベースカーブ選択工程は第1の加工工程で作製された材料ブロックから当該ユーザーに最適なベースカーブのものを選択することが目的である。第2の加工工程ではベースカーブ選択工程で選択された材料ブロックに累進屈折面3を合成した合成面を形成することが目的である。
まず第1の加工工程について説明する。
第1の加工工程では図2に示すような材料ブロック10を製造する。
本実施例では材料ブロック10は図2に示すように上下に分割されたモールド21,22中に調整された液状の熱硬化性プラスチック樹脂Rを充填し、モールド21,22を加熱炉にて加熱し、固化させて得られる。本実施例1では上モールド21のキャビティ内上面部23は前駆体レンズ外面の球面に対応した凹形状とされている。下モールド22のキャビティ内下面部24はレンズ内面に対応した凸形状の球面とされている。本実施例1ではベースカーブの違いに応じて多種類の材料ブロック10を製造することとするため上下モールド21,22は少なくともこのベースカーブの種類に応じた数だけ用意される(実際にはベースカーブ毎に複数個の上下モールド21,22が用意されている)。
更に、材料ブロック10は熱硬化性プラスチック樹脂Rの屈折率の違いによって分類され、同じ屈折率毎に種類の異なる材料ブロック10が区分けされてストックされる。
次にベースカーブ選択工程について説明する。
表1はプラス度数側におけるユーザーのS度数に応じた加入度と、その加入度に応じて選択される材料ブロック10のベースカーブの関係を表したものである。また、表2はマイナス度数側におけるユーザーのS度数に応じた加入度と、その加入度に応じて選択される材料ブロック10のベースカーブの関係を表したものである。
ベースカーブ選択工程ではこれらの表に基づいて所定のベースカーブを選択し、ストックされた他種類の材料ブロック10からそのベースカーブの材料ブロック10を選択する。本実施例では屈折率1.70素材の場合の選択パターンを説明する。
表1に示すように、プラス度数レンズでは各S度数に応じた従来のベースカーブは1種類であり、レンズの加工性や光学性能、レンズの厚さなどを考慮してマイナス度数は浅いカーブにプラス度数は深いカーブに設定される。
一方、本実施例では各S度数毎に加入度に応じて適用すべきベースカーブの範囲が区画化されている。つまり、従来のように1種類のみのベースカーブを適用するのではなく加入度が異なれば適用するベースカーブも異なるように設定している。具体的には加入区分A:加入度1.00〜1.50D(ディオプター)、加入区分B:加入度1.75〜2.50D、加入区分C:加入度2.75〜3.50D、加入区分D;加入度3.75〜4.00Dを示している。この区分の数や区分の範囲は適宜変更可能である。
Figure 2010097205
Figure 2010097205
まずプラス度数側について説明する。
例えばある処方P1においてS+4.00で加入度1.50ならば本例では表1に示すように加入区分Aに属するため5.2カーブを選択する。この処方P1で乱視成分がないとし、レンズ径が75mmならば中心厚は5.3mmとなり、レンズ形状は図3のとおりである。
一方、従来例ではこのケースでは6.2カーブが選択される。このときのレンズ形状は図4のようになり、裏面形状は加工しやすい形状であるものの、必要以上に深いカーブになっていることがわかる。また、中心厚も5.5mmと若干厚くなってしまっている。
ここで、同じS+4.00で加入度3.00の処方P2のレンズを想定する。この処方P2でも乱視成分がないとする。この処方P2は表1に従えば加入区分Cが適用され、表カーブは5.9カーブとなって図5のようなレンズ縦方向形状となる(中心厚は5.9mm)。しかし、もしベースカーブの変更ができず加入区分Aのカーブ設定で製作しなければならないとすると処方P2はレンズ縦方向形状は、図6のように近用部が「裏凸」形状になってしまう。
逆に処方P1に処方P2に適用すべき加入区分Cを適用した場合には、従来と同様必要以上に深いカーブになってしまう。
次に、マイナス度数について説明する。
ある処方P3においてS−6.00で加入度1.50ならば本例では表2に示すように加入区分Aに属するため1.5カーブを選択する。この処方におけるレンズ形状は図7のとおりである。このような処方P3のレンズを通して方眼形状を目視した場合の歪みをシミュレートすると(この処方P3では乱視成分がないとする)図8のように表される。この歪みの程度は処方P3の度数条件においてはごく標準的である。この図8からカーブ由来の歪曲成分を除いて累進面由来の歪曲成分のみを取り出した状態が図9(a)の状態である。
ここで、ある処方P4においてS−6.00で加入度3.00のレンズを作製する場合を考える。処方P4は表2に示すように従来例では1.5カーブが選択される。処方P4における累進面由来の歪曲成分を処方P3と比較するために図9(b)に示す。図9(a)及び(b)から処方P4について従来の1.5カーブを選択した場合には累進面由来の歪曲成分が非常に大きくなることが分かる。
本実施例においては処方P4は表2では加入区分Aに属するため2.4カーブを選択する。この処方におけるレンズ形状は図11のとおりである。そして、累進面由来の歪曲成分は図10で示すように図9(b)に比べて軽減されていることが分かる。
更にレンズを通して方眼形状を目視した場合の歪み(カーブ由来の歪曲成分と累進面由来の歪曲成分とを足した状態、すなわち図12(a))でも従来(つまり1.5カーブを選択した場合、すなわち図12(b))に比べて特に周辺での収差は改善されている。
尚、このようなマイナス度数おいて深いベースカーブを採用して収差の改善を図ることができるのはプラス度数においても同様である。
次に、第2の加工工程について説明する。
上記ベースカーブ選択工程で選択されたベースカーブの材料ブロック10を第1の加工工程において作製されてストックされた材料ブロック10から選択する、本実施例では選択した材料ブロック10の内面に累進屈折面あるいは乱視成分がある場合にはこれに乱視面を合成したサグ量を付加するようにレンズ面を切削加工及び研削加工してレンズを得る。本実施例1ではこの段階で図示しないCAM(computer aided manufacturing)装置を使用して切削加工及び研削加工を施す。
上記実施例の構成では次のような効果が奏される。
(1)各S度数においては所定の加入区分A〜Dに振り分けられる加入度に応じた最適なベースカーブの材料ブロック10が選択されることとなるため、固有加入度に対して適切なカーブ装用感を与える内面累進レンズを作製することができる。また、特にプラス度数レンズではいわゆる「裏凸」形状になってしまうことが確実に防止される。
(2)本来ある加入度に対して最適なベースカーブを求めるとするとオーダーメード的に材料ブロック10を作製しなければならず、非常にコストがかかってしまう。ところが、本実施例のように各S度数においていくつかの加入区分A〜Dに分類するようにしているため、ある程度の種類のベースカーブの材料ブロック10をストックすれば対応が可能であり、コストアップが抑制できるとともに、ある加入度に対して好適なベースカーブを選択することが可能となっている。
尚、この発明は、次のように変更して具体化することも可能である。
・上記実施例ではレンズ度数としてS度数のみを採用して対応する加入度とベースカーブを対応させていたが、平均度数(S+C/2)やレンズの垂直方向度数等を採用してもよい。
・上記加入区分A〜Dにおける加入度の振り分けは一例であって、これらに限定されるものではない。また、加入区分の数を適宜変更することも自由である。
・その他、本発明の趣旨を逸脱しない態様で実施することは自由である。
10…前駆体レンズとしての材料ブロック。

Claims (3)

  1. 表面及び裏面の一対の屈折面を持ち、前記表面側が所定のレンズカーブが設定された球面あるいは回転対象非球面から構成され、前記裏面側がレンズ上方に配置された比較的遠方を見るための第1の領域と、第1の領域よりも下方に配置され同第1の領域よりも大きな屈折力を有する第2の領域と、これら領域の間に配置され屈折力が累進的に変化する累進帯を備えた累進面を含む面から構成される累進屈折力レンズの設計方法であって、
    ユーザー毎に処方される所定のレンズ度数において当該ユーザーに処方される固有加入度に応じたレンズカーブの深さを決定する際に、前記固有加入度に応じてレンズカーブの深さを可変とし、前記固有加入度が大きいほど深いレンズカーブを選択するようにしたことを特徴とする累進屈折力レンズの設計方法。
  2. 所定のレンズ度数毎に複数の基準加入度と同各基準加入度に割り付けられた所定深さのレンズカーブ候補を用意し、前記固有加入度がある第1の基準加入度と隣接するそれよりも大きな値の第2の基準加入度の間に含まれる場合には第1の基準加入度に割り付けられたレンズカーブの深さを採用することを特徴とする請求項1に記載の累進屈折力レンズの設計方法。
  3. 表面及び裏面の一対の屈折面を持ち、前記表面側が所定のレンズカーブが設定された球面あるいは回転対象非球面から構成され、前記裏面側がレンズ上方に配置された比較的遠方を見るための第1の領域と、第1の領域よりも下方に配置され同第1の領域よりも大きな屈折力を有する第2の領域と、これら領域の間に配置され屈折力が累進的に変化する累進帯を備えた累進面を含む面から構成される累進屈折力レンズの製造方法であって、
    ベースカーブの異なる前駆体レンズを複数種類用意し、
    ユーザー毎に処方される所定のレンズ度数において当該ユーザーに処方される固有加入度に応じたレンズカーブの深さを決定する際に、前記前駆体レンズのベースカーブの種類に対応した複数種類のレンズカーブを用意し、前記固有加入度に応じてレンズカーブの深さを可変とし、前記固有加入度が大きいほど深いレンズカーブを選択し、複数種類の前記前駆体レンズからそのレンズカーブに対応する前駆体レンズを選択して加工するようにしたことを特徴とする累進屈折力レンズの製造方法。
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