JP5017545B2 - 累進屈折力レンズおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
一般的に累進屈折力レンズは屈折力のそれぞれ異なる2つの屈折領域と、それら両領域の間で屈折力(度数)が累進的に変わる累進領域とを備えた複雑な累進面から形成されており、境目がなく1枚のレンズで遠くのものから近くのものまで見ることができるものである。ここに2つの領域とはレンズの比較的上方位置に設定された遠用部領域と、レンズの比較的下方位置に設定された近用部領域の2つの領域のことである。遠用部領域と近用部領域との移行帯である累進領域は滑らかかつ連続的に連結されている。
遠用部領域は主として遠距離の物体を目視するための領域であり、近用部領域は主として近距離の物体を目視するための領域であり、累進領域は主として中距離の物体を目視するための領域である。もっとも累進屈折力レンズは屈折力が連続的に変化しているためこれら領域が明確に区画されているわけではない。
本発明は、このように累進屈折力レンズでレンズカーブが深目となるケースについて光学性能を改善するとともにレンズメータによる測定で近用部の位置の特定を容易にし、更にレンズカーブが深目の累進屈折力レンズから敷衍して一定のレンズ特性の累進屈折力レンズ群の光学性能を改善した累進屈折力レンズ及びその製造方法を提供するものである。
X:遠用度数の垂直方向度数(D:ディオプター)、Y:屈折率1.523換算表面カーブ(D)
とパラメータをおいた場合に、
X≦0の時にはY>0.46X+5.0
X>0の時にはY<0.55X+5.4
の適用条件を満たす際には下記式が成立するようにレンズ形状を設定することを特徴とする累進屈折力レンズ。
(近用部領域にある近用度数確認位置に設定した近用チェック度数)−(遠用部領域にある遠用度数確認位置に設定した遠用チェック度数)>(注文で設定された加入度数)
また請求項3の発明では請求項1又は2の発明の構成に加え、X≦−3であることをその要旨とする。
また請求項5の発明では請求項4に記載の発明の構成に加え、前記第1〜第3の工程に基づいて成形されるレンズ面は裏面側であって、表面側は球面又は非球面に成形するようにしたことをその要旨とする。
また請求項6の発明では請求項4又は5に記載の発明の構成に加え、視軸に対して光軸が傾いた状態で累進屈折力レンズをそり角の大きな眼鏡フレームに枠入れする際に、視軸に対して光軸が一致する状態で度数を処方したレンズのそり角のない状態での装用感に近い装用感を得ることを目的に光軸がずれることに伴う処方度数の変化を補正するためのそり角データに基づいてレンズ面を補正することをその要旨とする。
X:遠用度数の垂直方向度数(D)
Y:1.523換算のカーブ(D)
とパラメータをおいた場合に、
X≦0の時にはY>0.46X+5.0
X>0の時にはY<0.55X+5.4
の適用条件を満たす際には近用度数確認位置に設定した近用チェック度数の等価球面度数から遠用度数確認位置に設定した遠用チェック度数の等価球面度数を差し引いた数値(以下この数値をチェック加入度数とする)がユーザーによって設定された加入度数よりも大きい値となるようにレンズ形状を設定することとなる。このような設定によって発生する光学性能の悪化を防止することができる。光学性能の悪化とは例えば遠用部領域での明視域の狭窄、近用部領域で非点収差の増加、加入量の弱化等が挙げられる。ここで、近用度数確認位置と遠用度数確認位置とは、レンズが注文の設定通り出来上がっているかを判断するための度数測定位置で、図1〜図5においてそれぞれ、レンズ下部の丸印、レンズ上部の丸印となっており、そこで確認用に測定される度数が近用チェック度数および遠用チェック度数である。
上記条件は表1に示すようにマイナスレンズではグラフの上側で、プラスレンズではグラフの下側で成立する。上記条件以外ではこのような設定を行うことによる光学性能の改善はなくむしろ悪化を助長することとなる。
(設計条件A)
・累進帯長:13mm
・レンズ素材の屈折率:1.7
・中心厚:2.0mm
・遠用S−0.00D
・加入度数:2.00D
・表カーブ(ベースカーブ):屈折率1.523換算で4カーブ
また、図5(a)及び(b)のような度数分布と非点収差を示す累進屈折力レンズを検討する。このレンズの度数メータ条件における設計条件Bは、以下の通りであり設計条件Aと同じ累進面を用いて度数とカーブを変更している。この設計条件Bも光学性能の悪化は特に認められない。設計条件Bは比較的深めのカーブではあるが適用条件から外れている。
(設計条件B)
・累進帯長:13mm
・レンズ素材の屈折率:1.7
・中心厚:1.0mm
・遠用S−5.00D
・加入度数:2.00D
・表カーブ(ベースカーブ):屈折率1.523換算で2.5カーブ
(設計条件C)
・累進帯長:13mm
・レンズ素材の屈折率:1.7
・中心厚:1.0mm
・遠用S−5.00D
・加入度数:2.00D
・表カーブ(ベースカーブ):屈折率1.523換算で6カーブ
図2(a)及び(b)では近用部度数確認位置で測定されるレンズ度数がマイナス側、つまり加入度が弱くなり、この領域での収差分布でも0.25D以上の大きな収差が発生していることが分かる。このため、レンズメータで近用度数を確認する際に、近用部位置の特定が難しくなってしまう。更に、設計条件Cの透過光装用状態は図2(c)及び(d)のようになるが、図2(c)の度数分布図で分かるように、レンズ斜め上方から左右側方の度数が図1(a)の設計条件Aに比べて0.75D程度プラスになっており、遠用部側方の明視域が狭くなっていることが理解できる。この設計条件Cは上記適用条件に該当し、本発明の設計によって光学性能の改善が可能である。
本発明では上記近用部領域で測定した等価球面度数から遠用部領域で測定した等価球面度数を引いたチェック加入度数が注文で設定された加入度数よりも大きくなるようにレンズを設計することで、この光学性能の悪化を防止するものである。そのようなレンズは以下のような手法で設計される。
図2(c)、(d)のような装用状態による収差は累進面由来の収差とベースとなった球面レンズ由来の収差に分けることができる。そこで、設計手法としては累進屈折面と球面との2つの面を別個に捉え、第1の工程として球面形状データに対して度数誤差を補正するために非球面形状のデータを合成してレンズ面全体の度数誤差を改善し、第2の工程で累進屈折面と補正した面を合成することが好ましい。これは、一般にレンズカーブが深くなるとレンズカーブ由来の収差が非常に大きいため、深いレンズカーブ由来の収差のみを別個に非球面データを加える補正をすることで設計目標値の設定を容易にできるためである。
具体的にマイナスレンズの例を取って説明する。図2(c)、(d)の状態から累進面成分を取り除いた図6(a)及び(b)は屈折率1.7素材、ベースカーブが屈折率1.523換算で6カーブ、S−5.00の直径50mmの球面レンズの透過光評価における度数分布図及び非点収差分布図である。このレンズでは周辺部での度数誤差がプラス方向に0.7D〜0.9D程度であって非常に大きいことがわかる。そこで、図7に示すように、この球面レンズを周辺部にかけて徐々にマイナスのレンズ形状となるような非球面化をすること、すなわち、裏面に非球面成分を加える場合においては、中心から周辺にかけて徐々に深くなるレンズ形状にすることによって度数誤差が改善される。この段階では非球面化以前に比べてレンズ中心部以外の点においてレンズメータ測定値が全周囲にかけてマイナス度数が強くなる。
一方、図8に示すように、球面レンズに累進面を設定すると近用部領域での形状変化は下方向に向かって徐々に浅く形成される。ところが、このレンズ周辺部の度数誤差を改善した状態と累進面を合成すると(つまり図7と図8を合成すると)図9に示すように、レンズ形状は近用部側で打ち消されることとなり、レンズ下方向にかけての累進面の効果が不十分(この図9ではマイナス側にずれる)となってしまう。そこで、図10のように近用部領域に改めて近用部補正データを加えることで、近用部領域について図8に近い状態に戻してやることとなる(この図10では図9に対してレンズ裏面の下部方向を徐々に浅くしていくような近用部補正データを加えている)。
この結果、作製される累進屈折力レンズは遠用部が非球面化されてマイナス側に強くなっているため、近用部領域にある近用度数確認位置に設定した近用チェック度数の等価球面度数から遠用部領域にある遠用度数確認位置に設定した遠用チェック度数の等価球面度数を差し引いたチェック加入度数が設定された加入度数よりも大きい値となるわけである。
尚、上記図7〜図9では本発明の累進屈折力レンズを作製する方法を分かりやすく説明するためにすべて非球面、累進屈折面ともに裏面側に設定していたが表面であっても両面に分配してもそれは構わない。裏面の形状が浅くなるような補正データを表面に加えた場合、表面の形状は深くなることとなる。
また、この方法は上記適用条件に当てはまる累進屈折力レンズについて度数誤差や収差を改善するもっとも設計を行いやすい方法を説明したものであって、例えば累進屈折面と同時に(つまり第1の工程〜第3の工程を同時に実行する)非球面化の設計を行って本発明の累進屈折力レンズを作製することを排除するものではない。
そり角θが大きくなると湾曲眼鏡フレームと認識されるのであるが、実際にはどの程度のそり角θ以上の眼鏡フレームを湾曲眼鏡フレームとするというような明確な基準があるわけではない。一般的にはそり角10度でやや湾曲している湾曲眼鏡フレーム、そり角20度以上で比較的大きく湾曲している湾曲眼鏡フレームであると認識されている。
湾曲眼鏡フレームにレンズを装着する際の問題点はそり角があることによって視軸がレンズの光軸とずれることである。
通常眼鏡店では視軸と光軸が一致した状態でレンズ度数を処方するわけであるが、そのような状態で処方したレンズをそり角の分だけ傾けて装用すると傾けた方向の度数を強く感じるようになることから、通常のそり角のフレームで処方レンズを装用した場合に比べて、レンズ度数が過矯正(過補正)になり余分なC度数も発生することになる。また、視軸と光軸が傾くことにより余分なプリズム効果が発生することになる。
そのため累進屈折力レンズについてそり角データに基づいて湾曲眼鏡フレームに装着した段階でちょうど眼鏡店で処方した処方と同じ装用感となるような補正を併せて加えることが好ましい。
ここに「そり角データに基づいてレンズ面を補正する」とはレンズ設計に必要な各種遠用処方度数(S度数、C度数、AX、プリズム、ベース)やレンズ情報(レンズカーブ、中心厚、累進帯長、加入度、設計)に更にそり角データを与えてそり角による装用感悪化を補正する補正度数を算出し、その補正度数の得られる球面データに対して、上記レンズカーブを補正する非球面データ、累進面データ、近用部補正データ等と合成することを意味する。
本実施例では図1(a)〜(d)の特性を示す累進屈折力レンズを作製した。このレンズの設計条件は以下の通りであり、図4(a)及び(b)に示した累進面を用いて、上記理論に従って球面形状データに対して非球面形状のデータを合成して度数誤差を補正し累進屈折面データと合成するとともに、近用領域における余分な乱視成分と累進特性の変化分を近用部補正データで補正したものである。
・累進帯長:13mm
・レンズ素材の屈折率:1.7
・中心厚:1.0mm
・遠用S−5.00D
・加入度数:2.00D
・表カーブ(ベースカーブ):1.523換算で6カーブ
図1(c)の遠用度数確認位置での遠用チェック度数はS−5.02D C−0.08D AX5、近用度数確認位置での近用チェック度数はS−3.00D C−0.00D AX0であった。この処方では設定された加入度数は2.00Dであるが、遠用チェック度数の等価球面度数=S+C/2=−5.06であり、同じく近用チェック度数の等価球面度数=−3.00であることからチェック加入度数=2.06となって設定された加入度数よりも大きいことがわかる。図1(d)では、近用部度数確認位置において余分な乱視成分の収差が発生しておらず、レンズメータで確認する際には近用部位置を容易に特定することが出来る。また、透過光で評価された図1(a)の度数分布図は、設計に用いた図4(a)の累進面の性能と近くなっており、図1(b)の非点収差とのバランスも良好な状態になっている。尚、図4(a)、図4(b)は度数メータ条件における光学性能であるが、上平レンズ(S+0.00)であるため透過光装用状態における光学性能もほぼ同じ性能となる。
尚、遠用度数確認位置における遠用チェック度数は、処方度数に比べておよそ垂直方向度数が−0.10D、水平方向度数が−0.02Dマイナス側に強くなっている。この遠用チェック度数のずれ量は、度数とカーブ、中心厚、レンズ設計などによって変わるが、垂直方向度数を−0.05〜−0.15D程度、水平方向度数を−0.01D〜−0.04D程度マイナス側に強くすると特に好適な視界を得ることが可能となる。
図3(a)及び(b)は実施例の累進屈折力レンズと比較させるための比較図2である。比較図2は実施例の累進屈折力レンズについて非球面化のみが行なわれた状態であり近用領域の補正値を与えない状態である。レンズ遠用部から遠用部側方にかけての光学性能は、図1(a)及び(b)とほぼ同じであり比較図1よりも改善されているが、近用度数確認位置での度数がマイナス側にずれてしまっており0.5D以上の非点収差も発生している。
この比較図2の状態から近用領域に近用部補正データを与えることで実施例の累進屈折力レンズの特性が得られる。この時、近用部補正データとしては、図10に示したように比較例2の状態から近用領域のレンズ各点において、下方に向かうに従い徐々に縦方向のカーブ変化を浅くしていく形状変化を与えることとなる。
本実施例では、設定された遠用処方度数(S度数、C度数、AX、プリズム、ベース)とそり角情報、レンズ情報(レンズカーブ、中心厚、累進帯長、加入度、設計)に基づき、そり角による装用感悪化を補正する補正度数を算出し、その補正度数の球面データ対してレンズカーブを補正する非球面データと累進面データを合成し、そこに近用部補正データを合成している。
具体的に補正度数の算出の第一歩として装用状態のシミュレーション度数を求めるが、これは、そり角に応じた必要な処方度数条件(S度数、C度数、AX、プリズム、ベース)をそり角とベースカーブとの関係で表されたテーブルから算出し、その結果を加算するようにする。
例えば、表2は6カーブの時のS度数に与える加算度数ΔSを算出するテーブルである。例えば、水平方向度数−5.00D、6カーブ、そり角25度の場合の加算度数ΔSを求めると、そり角20度の時ΔS=−0.16D、そり角30度の時ΔS=−0.38Dであることからそり角25度の時、ΔS=−0.25Dとなる。従って、この場合ではS度数は−5.0にこの加算度数ΔSを加算した−5.25とされる。
S度数以外のC度数、乱視軸、プリズム度及びプリズムのベースについても同様に加算度数を求めるようにする。
すると、右眼 屈折率1.7素材、6カーブ S−5.00 ADD2.00でそり角25度の累進屈折力レンズの場合、装用時に眼が感じるレンズ遠用部度数は、
S−5.25 C−1.00 AX90 P0.5 B180
となる。このように計算した度数をシミュレーション度数とする。
(1)透過光装用度数の計算
まず、そり角θ度において、設定された処方度数(S度数S、C度数C、乱視軸AX、プリズム度P、ベースB)のレンズを装用した場合、眼に入る光線がどのような度数に感じるかを計算する。つまり、上記のように加算度数を加えたシミュレーション度数を求めることである。
(2)差分度数の計算
(1)の計算で得られたシミュレーション度数(ここではこの度数を透過光装用度数ということとする)から入力された処方度数を引く。つまり、透過光装用度数に対して入力された処方度数を打ち消すようなレンズを合成した度数を求める作業をする。ここで各要素について得られた度数を差分度数(S0、C0、AX0、P0、B0)とする。
(3)目標度数の設定
「入力された処方度数」と「差分度数」から、レンズ周辺部の設計を考慮して補正割合を設定し目標度数(S度数の目標Sp、C度数の目標Cp、乱視軸の目標AXp、プリズムの目標Pp、ベースの目標Bp)を設定する。例えば、補正割合100%の時は、「目標度数」と「入力された処方度数」は等しくなる。あるいは、補正割合が一律に60%の時、40%の差分度数を許容とすることから、「入力された処方度数」に「差分度数」×(1−0.6)を足した度数を目標度数とする。この補正割合はレンズ設計者及び製作者の意向、若しくは、注文時の顧客の指定により決定される。
4−1: 「目標度数」から「差分度数」を引く。ここで得られた度数を仮補正度数とする。すなわち、目標度数(Sp、Cp、AXp、Pp、Bp)に差分度数(S0、C0、AX0、P0、B0)を打ち消すようなレンズを合成して仮補正度数(S1、C1、AX1、P1、B1)を得る。
4―2: 入力されたそり角θ度の時、「仮補正度数」のレンズを装用した場合の透過光装用度数を(1)透過光装用度数の計算に倣って算出する。この計算で得られた度数を補正後装用度数とする。この「補正後装用度数」について、
(イ)「目標度数」に近似していると判断される場合、仮補正度数を補正度数と決定し補正度数の計算工程を終了する。
(ロ)「目標度数」との差が大きいと判断される場合には、「補正後装用度数」から「目標度数」を引く。そして、ここで得られた度数を、第2の差分度数とする。
4―3: 「仮補正度数」から「第2の差分度数」を引く。そして、得られた度数を新たな「仮補正度数」として4―2冒頭に戻り透過光装用度数を算出し、(イ)であればその段階で終了し、(ロ)であれば計算が4―2冒頭に戻り(イ)となるまで計算を繰り返す(収束させる)。
S−4.25D C−0.50 AX180 P0.25 B0 ADD2.00
となるため、S−4.25D C−0.50 AX180の球面データ(ここで球面データとは非球面成分を含んでいないことを示している)に対して、レンズカーブを補正する非球面データと累進面データを合成し、そこに近用部補正データを合成する。
その結果得られたレンズは、遠用チェック度数はS−4.26D C−0.57 AX180、 近用チェック度数はS−2.25D C−0.50 AX180となるため、チェック加入度数は(−2.25−(−4.55)=2.05)となり本発明の条件を満たしている。
・本実施例では、どちらかと言うと度数分布に重点を置きながら非点収差とのバランスを計った例を示したが、請求項1を満たす範囲において、非点収差に重点を置きながら収差の改善をすることも含む。
・カーブを補正するために合成する非球面データとして、幾何中心から±0〜5mm程度離れた地点を中心に3〜10mm程度の球面部を設けても良い。
・上記シミュレーション度数を算出する際には、予め条件を求めておいたテーブルを用いたが、直接光線追跡などの方法を用いて算出しても良い。
・その他、本発明の趣旨を逸脱しない態様で実施することは自由である。
Claims (6)
- レンズ上方に配置された比較的遠方を見るための遠用部領域と、同遠用部領域よりも下方に配置され比較的近方を見るための近用部領域と、これら領域の間に配置され屈折力が累進的に変化する累進帯を備えた累進屈折面が表裏少なくともいずれか一方の面に設定された累進屈折力レンズであって、同レンズのレンズ面における遠用度数とベースカーブとの関係で、
X:遠用度数の垂直方向度数(D:ディオプター)、Y:屈折率1.523換算表面カーブ(D)
とパラメータをおいた場合に、
X≦0の時にはY>0.46X+5.0
X>0の時にはY<0.55X+5.4
の適用条件を満たす際には下記式が成立するようにレンズ形状を設定することを特徴とする累進屈折力レンズ。
(近用部領域にある近用度数確認位置に設定した近用チェック度数)−(遠用部領域にある遠用度数確認位置に設定した遠用チェック度数)>(注文で設定された加入度数) - 1.523換算で4カーブ以上のベースカーブが設定されていることを特徴とする請求項1に記載の累進屈折力レンズ。
- X≦−3であることを特徴とする請求項1又は2に記載の累進屈折力レンズ。
- 前記請求項1〜3に記載の累進屈折力レンズの製造方法であって、
表裏いずれかの面に対して設定された球面形状データに対して度数誤差を補正するために非球面形状のデータを合成し第1の合成データを構築する第1の工程と、同第1の工程において第1の合成データを構築した後に前記第1の合成データに対して累進屈折面のデータを合成して第2の合成データを構築する第2の工程と、前記第1及び第2の工程の結果発生する前記近用部領域の余分な乱視成分及び累進特性の変化分を補正する近用部補正データを同第2の合成データに追加的に与える第3の合成データを構築する第3の工程とを有し、前記第1〜第3の工程に基づいてレンズ面を成形するようにしたことを特徴とする累進屈折力レンズの製造方法。 - 前記第1〜第3の工程に基づいて成形されるレンズ面は裏面側であって、表面側は球面又は非球面に成形することを特徴とする請求項4に記載の累進屈折力レンズの製造方法。
- 視軸に対して光軸が傾いた状態で累進屈折力レンズをそり角の大きな眼鏡フレームに枠入れする際に、視軸に対して光軸が一致する状態で度数を処方したレンズのそり角のない状態での装用感に近い装用感を得ることを目的に光軸がずれることに伴う処方度数の変化を補正するためのそり角データに基づいてレンズ面を補正することを特徴とする請求項4又は5に記載の累進屈折力レンズの製造方法。
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