JP2010096972A - 定着ベルト、および定着装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】破損が生じにくい定着ベルト、および定着装置を提供する。
【解決手段】定着ベルトは、耐熱シートを筒状の形状とすることで構成される。耐熱シートにより構成される層に、定着ベルトの移動方向とは交わる方向に向かう巻き目(溝)7が形成されている。耐熱シートの隅の角8は、鋭角を構成しないように加工されている。これにより、ガイド部材の側面との摺動において、角8が引っ掛ることを防ぐことができる。
【選択図】図5
【解決手段】定着ベルトは、耐熱シートを筒状の形状とすることで構成される。耐熱シートにより構成される層に、定着ベルトの移動方向とは交わる方向に向かう巻き目(溝)7が形成されている。耐熱シートの隅の角8は、鋭角を構成しないように加工されている。これにより、ガイド部材の側面との摺動において、角8が引っ掛ることを防ぐことができる。
【選択図】図5
Description
この発明は定着ベルト、および定着装置に関し、特に、シートを筒状の形状とすることで構成される定着ベルト、および定着装置に関する。
電子写真式の画像形成装置(スキャナ機能、ファクシミリ機能、複写機能、プリンタとしての機能、データ通信機能、およびサーバ機能を備えたMFP(Multi Function Peripheral)、ファクシミリ装置、複写機、プリンタなど)には、記録媒体上の未定着トナーを加熱して定着させる定着装置が用いられている。画像形成装置における定着装置には種々のものが提案されているが、電子写真装置の高速化や高画質化・カラー化への移行の中、定着ベルトを用いる方式のものが多くなっている。これは、押圧部材と定着ベルトとを使用するベルト定着装置である。
ベルト定着装置の例として、加熱源を有する回転可能な加熱定着ロールへ、耐熱樹脂の定着ベルトを加圧パッドによって押圧する構成が知られている。
定着ベルトのベルト基材を構成する材料には、機械的強度、耐熱性の面からポリイミド樹脂が使用されている場合が多い。ポリイミド樹脂をベルト形状に製作するため、ポリイミドワニスが金属等で構成される塗布型の内部や外部に塗布される。これを加熱してイミド化した後、脱型することでベルトを形成する方法が一般的である。
しかし、その工程に時間がかかる点や、所望のベルト厚さにするために、何度も製膜工程を繰り返さなければならない点などから、その方法は生産性が低く、コストがかかるという問題がある。
これに対し、ポリイミドシートのような耐熱シートを巻き回して接合し、円筒状のベルトを形成する方法が提案されている。本件発明者も、耐熱シートを複数層巻き回してなるベルト基材と、それからなる定着ベルトとを提案している(例えば、特願2007−88341号参照)。
ベルト定着装置においては、定着ベルトと加圧パッドの摺動抵抗が大きいと、トルクが増大し、周辺摺動部品の破損や摩滅が起こる可能性がある。また、モータへの負荷も増大するため、より多くの電力が必要になる。
そこで、加圧パッドをポリテトラフルオロエチレンが含浸されたガラス繊維シートで被覆するとともに、ガラス繊維シートと耐熱樹脂定着ベルトとの間の潤滑剤として、シリコーンオイルを介在させる手法が知られている。
上述のような、耐熱シートを巻き回して接合することで円筒状に形成されたベルト基材には、耐熱シートの末端辺同士が合わさる筋(巻き目、継ぎ目)ができる。定着ベルトが定着装置に組み込まれて作動し始めると、定着ベルトが軸方向のどちらかに蛇行し、定着ベルトを支持する部材の両端部に設けられたガイド部材の側面に当たることになる。
ベルトは回転するが、ガイド部材は固定されている。このため、ガイド部材の側面とベルト端周面との摺擦が起こる。この時、ベルト端周面と巻き目の交差するポイントには、耐熱シートの2つの角部ができている。摺動面に角部が常時当たっていると、その角を起点に、接合された耐熱シートが剥がれやすくなってしまう。一度耐熱シートが剥がれてしまうと、ベルトの破損までが一気に進行してしまう。
本発明は上述の問題点を解決するためになされたものであり、破損が生じにくい定着ベルト、および定着装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するためこの発明のある局面に従うと、シートを筒状の形状とすることで構成される定着ベルトは、シートにより構成される層に、定着ベルトの移動方向とは交わる方向に向かう巻き目が形成されており、筒状とされた定着ベルトの両端部におけるシートの角のそれぞれが、鋭角または直角を構成しないように形成されていることを特徴とする。
好ましくは定着ベルトは、耐熱シートを複数層重ねて接着または溶着することで、円筒状の無端状ベルトの形状に形成される。
好ましくは定着ベルトは、筒状の形状とされた定着ベルトの端周面と、シートの巻き目部分を構成する辺とで形成される角度が鋭角を構成しないように形成されていることを特徴とする。
好ましくは定着ベルトは、シートの四隅のそれぞれが鈍角を構成するように形成されていることを特徴とする。
好ましくはシートは、その角のそれぞれが鋭角または直角を構成しないようにあらかじめ形成されており、定着ベルトは、そのシートを平巻きに巻き回して無端ベルト状にすることで形成される。
この発明の他の局面に従うと定着装置は、上述のいずれかに記載の定着ベルトと、定着ベルトに圧接される加熱ローラとを備える。
この発明のさらに他の局面に従うと定着ベルトの製造方法は、その角のそれぞれが鋭角または直角を構成しないように予め形成されているシートを巻き回すことで円筒状のベルトを形成する工程を備える。
これらの発明に従うと、破損が生じにくい定着ベルト、および定着装置を提供すること
が可能となる。
が可能となる。
以下、本発明の実施の形態における定着装置について説明する。
定着装置は、定着ベルトを有する。定着ベルトは、ポリイミドシートのような耐熱シートを複数層巻き回して接合して形成される無端状ベルトである。定着ベルトは、巻き目をなす耐熱シート末端辺の両端角部の角を取った構成としている。すなわち、巻き目をなす耐熱シート末端辺とベルト端周面とで成す角を鋭角としないこととしている。
定着ベルトの作成のために用いられる耐熱シートは、上記鋭角としない角部の形状が予め形成されている。その耐熱シートを、平巻き(または螺旋巻き)に巻き回して無端ベルト状にすることとしている。
これにより、ベルトの蛇行を防止するためのガイド側面とベルト端周面との摺動において、直接、角の先端が摺擦されることが避けられる。すなわち、定着ベルトの蛇行による、耐熱シートを巻き回してなる定着ベルトの巻き目端部角を起点としての耐熱シートの剥がれが起き難くなる。これにより、ベルトの破損を防止することができる。
さらに、上記鋭角としない角部の形状が予め形成されている耐熱シートを、巻き回して無端ベルト状にすることで、角部の形成のための工程を追加することなく定着ベルトを形成することができる。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態における定着装置の平面図である。
図を参照して定着装置は、内部にヒーター21を有する加熱ローラ9と、加熱ローラ9に接する定着ベルト1とを備えている。定着ベルト1は、左右の位置の範囲がガイド31a,31bにより規制されている。加熱ローラ9と定着ベルト1との間をトナー未定着の用紙が通過することで、熱と圧力とによりトナーが用紙に定着する。
図2は、図1の定着ベルト1の平面図であり、図3は、定着ベルト1の断面構造を示す縦断面図である。
定着ベルト1は円筒状であり、ベルト基材6の上にトナー離形層5を備えた構成となっている。ベルト基材6は、フィルム状の耐熱シートが2層(符号2,4)と、接着層3とが積層してなる。各層は接着または溶着により固定される。
内側の層2は、耐熱シートが平巻きに巻き回された層である。その上の接着層3は、熱可塑性樹脂のチューブが被服された層である。さらにその上の外側の層4は、耐熱シートが平巻きに巻き回された層である。
内側と外側の平巻き層2,4は、細長い耐熱シートをその長手方向を軸として、2つの長手方向の縁が隙間Aを開けて隣接するよう巻いて形成されている。縁が重なると耐熱シート厚さだけ段差が生じて、最終的に定着ベルト1の表面が平坦にならないからである。
隙間Aは、あまり大きいと定着画像として筋目が残るため、ベルト基材の強度、表面平坦性、および加工性の観点から0.5mm以下とすることが好ましく、より好ましくは、0.2mm以下である。耐熱シートの厚さは、強度的観点から、内側外側とも50μmは必要である。
内側、外側の層を形成する耐熱シートとしては、PI(ポリイミド)や、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等を使用することができる。接着層3を形成する熱可塑性樹脂としては、PFA(パーフルオロアルコキシルアルカン)や、FEP(フッ化エチレンプロピレン)を使用することができる。接着層の厚さは、10μm〜50μmが好ましく、より好ましくは30μmである。
外側の層4は、ベルト強度の観点から平巻きが必要である。これは特願2007−88341号における構成に倣っている。定着装置の動作中に定着ベルト1が軸方向に蛇行し、定着ベルト1がガイド31a,31bの側面に当たると、ガイド31a,31bからの反力により、定着ベルト1の端部に負荷が作用する。
ベルト蛇行力の方向とガイド31a,31bによる反力の方向とがぶつかったところで、ベルト1には軸方向に対して直角な方向に座屈が生じる。外側の層を螺旋巻きに構成した場合、ベルト軸方向に対して直角方向に近い角度で巻き目ができる。そこがベルト蛇行力とガイドによる反力とのぶつかる座屈部になってしまう。すなわち座屈しやすいことになる。そのため外側の層は平巻きとし、ベルト蛇行力とガイドからの反力の両方向に対して平行に近い角度に巻き目を設けることで、座屈が生じにくくしている。
本実施の形態においては、内側と外側の層2,4ともに平巻きであり、概略長方形のシートの向い合う長辺同士を近づけるようにシートを丸めることで、筒状の層となっている。シートの長辺同士は重ならないようにされている。このため、層4のシートの長辺同士が向い合う位置に、溝(隙間)7が形成されている。また、層2のシートの長辺同士が向い合う位置に、溝(隙間)61が形成されている。これら溝の幅を「A」で示す。
ベルト基材6上に設けられるトナー離形層5は、熱可塑性のフッ素樹脂チューブを基材6上に被服することでなる層である。離形層5の厚さは、10μm〜50μmが好ましく、より好ましくは30μmである。離形層5を形成する熱可塑性樹脂としては、PFA(パーフルオロアルコキシルアルカン)や、FEP(フッ化エチレンプロピレン)を使用することができる。
なお接着層は、シート状の熱可塑性樹脂を巻き回して構成してもよい。
次に、本実施の形態における定着ベルトの製造方法について説明する。
所望とする定着ベルトの内径寸法を有する、金属やセラミック等からなる円筒状の内型の表面に、基材の内側の層2をなす耐熱シートを巻き回し、前述の隙間Aを確保して仮固定する。
その上に、接着層3をなす熱可塑性樹脂のチューブを被覆する。熱可塑性樹脂のチューブは熱収縮性でも非収縮性でも良い。さらにその上に基材の外側の層4をなす耐熱シートを巻き回し、内側の層同様、隙間Aを確保して仮固定する。
最後に、トナー離形層5をなすフッ素樹脂チューブを被服する。このフッ素樹脂チューブも熱収縮性でも非収縮性でも良い。ただし、チューブの内径は、所望とする定着ベルトの内径より小さいサイズとする。このチューブを被覆することで、チューブの弾性を利用して、基材部分を含めて全ての層が内型に対して固定される(仮固定工程)。
仮固定された筒状部材を内型ごと加熱し、基材の接着とトナー離形層の溶着が同時に行なわれる(固定工程)。そして、筒状部材を所望の長さに切断して(端部切断工程)、内型から外すことで定着ベルトが完成する。
基材の耐熱シートは、あらかじめ完成したベルトの周長を計算することでカットされる。耐熱シートをカットする際に、溝(隙間)7,61が所望の形状になるようにカットすることで、容易に所望の溝(隙間)7,61の形状(ベルトの継ぎ目部分の形状)を得ることができる。
図2に示すように、溝(隙間)7はベルトの軸方向に対して斜めになるようにしてもよいし、ベルトの軸方向に平行となるようにしてもよい。溝(隙間)61も同様である。
図4は、図1〜3に示される定着ベルトを備えた定着装置の構成を示す断面図である。
定着ベルト1は、加圧パッド11が内側に挿通されることで支持され、加圧パッド11を介して加熱ローラ9に押し付けられている。加圧パッド11の加熱ローラ9と対向する面は、定着ベルト1と加熱ローラ9の間にニップ部15を形成するために、定着ベルト1の中心(軸)に向かって凹状に湾曲している。
定着ベルト1の両端には、定着ベルト1の蛇行を規制するためのガイド部材31a,31b(図1)が設けられている。加熱ローラ9は、内部にヒーター21を有する。このヒーター21の代わりに、誘導加熱装置によって加熱ローラ9を加熱することもできる。
加熱ローラ9の外面にはサーミスタ59が近接して設けられ、このサーミスタ59によって検出した加熱ローラ9の表面の温度に基づいてヒーター21を制御することで、加熱ローラ9の表面の温度が所定温度に維持されるようになっている。また、加熱ローラ9は、駆動部により矢印方向に回転駆動され、これに伴い定着ベルト1が矢印方向に従動回転するようになっている。
加熱ローラ9と定着ベルト1の間のニップ部15に、未定着トナー画像Tが転写された記録媒体16を、未定着トナー画像T側を加熱ローラ9側に向けて搬送すると、記録媒体16上の未定着トナー画像Tが加熱・加圧されて定着する。
定着装置の動作中、定着ベルト1は、定着ベルト1自身の円筒精度や、定着ベルト1を直接的、間接的に支持する部品の精度により、回転しながら軸方向のどちらかへよって行く場合ある(蛇行する)。その蛇行を抑止するため、加圧パッド11の両端に、ガイド部材31a,31bが固定してある。
図5は、定着ベルトの構成を示す図である。
図中の(a)は斜視図であり、(b)はその巻き目端部の一部拡大図である。
ガイド部材31a,31bは、定着ベルト1の端周面を、略垂直に受ける側面を有している。定着ベルト1が蛇行し、ガイド部材31a,31bが定着ベルト1をそれ以上蛇行しないように受けている時、定着ベルト1の端周面とガイド部材31a,31bの側面とが摺擦状態になっている。
耐熱シートを巻き回してなる定着ベルト1の場合、その巻き目(溝)7とベルト端周面とで形成される耐熱シートの角8がベルト摺動面に存在することになる。その角8が鋭角になっていると、確率的にその角がガイド部材31a,31bの側面に引っ掛ることが多くなる。一度引っ掛るとそれを起点に、接合された耐熱シートを引き剥がしてしまうこととなる。そして、定着ベルト1が破損してしまうことにつながる。
角8が鋭角でなければ、または角8の先端部が端周面より少しベルト中央側へ凹んでいれば、ガイド部材31a,31bの側面との摺動において、角8が引っ掛ることを防ぐことができる。
そこで本実施の形態では図5に示すように、シートの鋭角部分は、角を落とすことでC面を形成するものである。これにより、耐熱シートの隅が鋭角を構成しないようにすることができる。なお、耐熱シートの四隅全てにこのような角を落とす加工を施してもよいし、1つ以上の隅においてこのような加工を施してもよい。また、図5(b)に示されるように、鋭角である隅のみに対して角を落とす加工を施してもよい。
なお、図5では定着ベルトの左端部のみ拡大図で示しているが、右端部でも同様に鋭角を落とす構成となっている。
このようにして、定着ベルトの回転によりシートの尖った部分がその先端方向側に移動しないようにすることができ、ベルトの層が剥離することを防止することができる。
[第2の実施の形態]
図6は、第2の実施の形態における定着ベルトの巻き目端部の一部拡大図であり、図5(b)に対応する図である。
このように、シートの鋭角部分は、R形状に加工してもよい(丸みを帯びた形状に加工してもよい)。
なお、図5、6に示すような角部8の形成は、耐熱シートをベルト状に形成してからカットするような1工程を追加して行なわなくてもよい。すなわち、巻き回す前の段階で、あらかじめ角部8に相当する部位を所望の形状(C面、R等)に打ち抜いた耐熱シートを用いることで、上記定着ベルトを構成することができる。定着ベルト1が、平巻きで耐熱シートを巻き回すことで形成される構成だからである。
元々、平巻きでの巻き回しベルトは、所望のベルト形状、およびサイズを得るように、予め打ち抜き(カット)した耐熱シートを巻き回して形成している。このような特徴を生かし、本発明を容易に実施することができる。すなわち、角部8の形状を鋭角のまま残そうが、C面取りやR形状にしようが、定着ベルト1の製造工程は変わらない。
従って、本実施の形態における定着ベルト1では、従来の定着ベルトに対して部品コストが変わることがなく、定着ベルト端周面のガイドとの摺擦による破損防止を達成することができる。
[第3の実施の形態]
なお、上記第1および第2の実施の形態では、巻き目7がベルト軸方向に対して傾いた構成を示したが、巻き目7はベルト軸方向に平行であってもよい。
図7は、巻き目7がベルト軸方向に平行である定着ベルトの構成を示す図である。
図中の(a)は斜視図であり、(b)はその巻き目端部の一部拡大図である。
この場合、耐熱シートの4隅を直角に形成すると、角部8も直角となる。
図8は、第3の実施の形態における定着ベルトの構成を示す図である。
図中の(a)は斜視図であり、(b)はその巻き目端部の一部拡大図である。
この場合も、直角であった角8を落とす(またはR形状とする)ことで、ベルトの層が剥離することを防止することができる。
なお、図8では定着ベルトの左端部のみ拡大図で示しているが、右端部でも同様に直角部分を落とす構成となっている。
[第4の実施の形態]
図9は、本発明の第4の実施の形態における定着ベルトの巻き目61の形状を示す図であり、図10は図9の巻き目61の右端部を示す図である。
定着ベルト1の層は、図9で示すように螺旋巻きとしてもよい。この場合、巻き目61も螺旋状に形成されることとなる。巻き目61の延びる方向はベルトの両端部において軸方向に対して角度を持っている。
また、シートはベルト端部の位置で、鋭角部分の角が落とされている(図10の点線部分)。これにより、耐熱シートの隅が鋭角を構成しないようにすることができ、定着ベルト端周面のガイドとの摺擦による破損防止を達成することができる。
[各層の厚さについて]
次に、定着ベルト1を構成する各層の厚さについて説明する。
図11は、特願2007−88341号に記載された定着ベルトの構成を示すための一部破断図であり、図12はその断面図である。
定着ベルト10は円筒状で、ベルト基材11の上に弾性層12を備えている。ベルト基材11は、内側と外側の2層からなる。ここでは内側の層は、フィルム状の耐熱シートを螺旋状に巻回した螺旋巻き層13とされる。外側の層は、フィルム状の耐熱シートを平巻きした平巻き層14である。螺旋巻き層13の上に、図示しない接着層が設けられ、両層は接着される。
内側の螺旋巻き層13は、細長い耐熱シートを縁が重ならないように隙間Sをあけて螺旋状に巻き回して形成されている。隙間Sは、あまり大きいと筋目が残るため、ベルト基材11の強度および表面の平坦性、加工性の観点から0.5mm以下とすることが好ましい。
螺旋巻き層13を形成する耐熱シートの厚さは、強度的に見て50μmは必要である。螺旋巻き層13の螺旋角度(円筒状ベルト基材の軸心に対する螺旋巻き方向の角度)θは任意である。
外側の平巻き層14は、細長い耐熱シートをその長手方向を軸として、2つの長手方向の縁が隙間Aをあけて隣接するように巻いて形成されている。縁が重なると、耐熱シートの厚さだけ段差が生じて、その上に設ける弾性層にも段差が生じ、最終表面が平坦にならないからである。平巻き層14の隙間Aは、あまり大きいと筋目が残るため、ベルト基材11の強度および表面の平坦性、加工性の観点から0.5mm以下とすることが好ましい。平巻き層14を形成する耐熱シートの厚さは、螺旋巻き層13を形成する耐熱シートの厚さ以下で、かつ50μm以下であり、好ましくは25μmである。
螺旋巻き層13と平巻き層14とを形成する耐熱シートとしては、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)などを使用することができる。接着層としては、パーフルオロアルコキシルアルカン(PFA)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)などを使用することができる。
弾性層12は、ベルト基材11の上に被覆されており、好ましくは30μmの厚さである。弾性層12を形成する耐熱材としては、フッ素樹脂またはシリコンゴムを使用することができる。
特願2007−88341号に記載されたように、本発明者らは、定着ベルトの各層の厚さについて好適な数値を確認するための実験を行なっている。
図13は、定着ベルトの各層の厚さなどについての好適な数値を確認するための実験結果を示す図である。
図に示すように、内側螺旋巻き層と外側平巻き層の厚さ、外側平巻き層の隙間Aを種々変更した定着ベルトを用いた定着装置により、光沢紙、OHP紙、および普通紙に形成したイエローとマゼンダを合成したベタのトナー画像を定着させた。これにより、外側平巻き層の隙間Aの存在によってトナー画像に筋が発生するか否かを確認した。
図13中、○は筋が全く確認できなかったもの、△は筋がやや確認されたもの、×は筋が明確に確認されたものである。さらに、※はベルトの変形があったものを示す。最初の実験で△又は×であった試料については再実験を行なった。
この結果、外側平巻き層の隙間Aは0.5mm以下が好ましいことが分かった。また、試料番号6の定着ベルトのように、内側螺旋巻き層の厚さが25μmではベルトの変形(※)が生じる可能性がある。このため、強度的に内側螺旋巻き層の厚さは50μmは必要であることが分かった。さらに、外側平巻き層は、50μm以下、好ましくは25μmが好ましいことが分かった。
また、試料番号4の内側螺旋巻き層の厚さが50μm、外側平巻き層の厚さが25μm、外側平巻き層の隙間Aが0.5mmの場合が画質品質上、最も適していることが分かった。
[実施の形態における効果]
以上説明したように、耐熱シートを複数層巻き回してなる無端状ベルト(定着ベルト)において、巻き目をなすシート末端辺とベルト端周面とで成す角を鋭角としないことで、定着ベルトの蛇行によるベルト端部の破損を防止することができる。すなわち、定着ベルトの蛇行による、ベルト蛇行防止のためのガイド側面と定着ベルト端周面との摺動において、直接、シートの角の先端が摺擦されることを避けることができ、巻き目端部角を起点としての耐熱シートの剥がれが起き難くなる。
また、角部の形状をあらかじめ形成した耐熱シートを平巻きに巻き回して無端ベルトの形状にすることで、部品コストの上昇なしに、本構成のベルトが得られる。
[その他]
なお、上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 定着ベルト
2 耐熱シート内側層
3 接着層
4 耐熱シート外側層
5 トナー離形層
6 ベルト基材
7 巻き目(溝)
8 巻き目端部の角
9 加熱ローラ
11 加圧パッド
12 ヒーター
15 ニップ部
16 記録媒体
21 ヒーター
59 サーミスタ
61 溝
A 溝の幅
2 耐熱シート内側層
3 接着層
4 耐熱シート外側層
5 トナー離形層
6 ベルト基材
7 巻き目(溝)
8 巻き目端部の角
9 加熱ローラ
11 加圧パッド
12 ヒーター
15 ニップ部
16 記録媒体
21 ヒーター
59 サーミスタ
61 溝
A 溝の幅
Claims (7)
- シートを筒状の形状とすることで構成される定着ベルトであって、
前記シートにより構成される層に、前記定着ベルトの移動方向とは交わる方向に向かう巻き目が形成されており、
前記筒状とされた定着ベルトの両端部における前記シートの角のそれぞれが、鋭角または直角を構成しないように形成されていることを特徴とする、定着ベルト。 - 耐熱シートを複数層重ねて接着または溶着することで、円筒状の無端状ベルトの形状に形成される、請求項1に記載の定着ベルト。
- 前記筒状の形状とされた定着ベルトの端周面と、前記シートの巻き目部分を構成する辺とで形成される角度が鋭角を構成しないように形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の定着ベルト。
- 前記シートの角のそれぞれが鈍角を構成するように形成されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の定着ベルト。
- 前記シートは、その四隅のそれぞれが鋭角または直角を構成しないようにあらかじめ形成されており、そのシートを平巻きに巻き回して無端ベルト状にすることで形成される、請求項1から4のいずれかに記載の定着ベルト。
- 請求項1から5のいずれかに記載の定着ベルトと、
前記定着ベルトに圧接される加熱ローラとを備えた、定着装置。 - その角のそれぞれが鋭角または直角を構成しないように予め形成されているシートを巻き回すことで円筒状のベルトを形成する工程を備えた、定着ベルトの製造方法。
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