JP2010096969A - 定着制御装置、定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

定着制御装置、定着装置及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】複数本のヒータのソフトスタート・ソフトストップ期間が重ならないようにして高調波電流の発生を防ぐ。
【解決手段】PIDコントローラにより演算されたヒータ_1,ヒータ_2のDUTY値(DUTY_1,DUTY_2)に基づいて、各ヒータのソフトスタート・ソフトストップ区間が重ならないように、各ヒータの点灯のずらし方をパターンA〜パターンCの中から選択して適用する。これにより、各ヒータのソフトスタート期間とソフトストップ期間を重ならないようにすることができるため、位相制御に伴う高調波電流の発生を低減することができる。
【選択図】図5

Description

本発明は、記録材表面のトナー像を加熱溶融して定着させる定着装置、定着制御装置及び画像形成装置に関するものである。
特開平10−186940号公報 特開平6−236128号公報 特開平9−311584号公報 特開昭59−111669号公報
従来、プリンタ,複写機,ファクシミリ等の画像形成装置においては、用紙等の記録材に形成されたトナー像を加熱溶融することにより、画像を記録材上に定着させる定着装置を用いることが知られている。一般的に、トナー像として形成された電子写真画像を記録材に定着する定着装置は、定着熱源であるヒータに電力を供給して定着ローラや定着ベルト等の定着部材を発熱させ、この熱でトナー像を加熱溶融して記録材に定着する処理を行う。
このような定着装置は、トナー像を記録材に定着している間の定着温度を一定にするために、前記ヒータに電力を供給して所定の温度(目標制御温度)に昇温させて定着可能状態とし、この所定定着温度を維持しつつ定着装置へ記録材を通過させるという構成になっている。
ここで、ヒータのパワー駆動(加熱制御)はヒータへの供給電力を制御することにより行うものとしている。
ヒータへの供給電力の制御方法としては、定着装置に設けられたサーミスタ等の温度センサにより温度を検出し、目標制御温度との差に応じて、単位時間(以下制御周期)あたりのヒータへの通電時間(以下DUTY)を変化させる方法が一般的である。
DUTYの演算方法としては、PID制御などのフィードバック制御が用いられることが多い。
ここでPID制御について説明する。
PID制御は、P:Proportinal(比例)、I:Integral(積分)、D:Differential(微分)の3つの組み合わせで制御するものであり、目標値と現在値の偏差に応じ、複数のパラメータを最適化することにより制御を行うものである。
定着温度制御に適用する場合、具体的には、次式により制御周期ごとにDUTYを計算することになる。
Figure 2010096969
ただし、
Kp:比例ゲイン
TI:積分時間
TD:微分時間
e1(t):目標制御温度と定着部材の温度の誤差(=r(t)−y(t))
r(t):目標制御温度
y(t):定着部材の温度
T:制御周期
である。
定着部材の温度情報を基にPIDコントローラによりDUTYを演算し、制御することにより、図17に示すように、定着温度を目標温度付近で安定化することが可能となる。
図18には制御周期が400ms、PIDコントローラにより演算されたDUTYが30%であった場合の通電の制御の様子の具体例を示す。図18に示すように商用電源のゼロクロス点で通電を開始し、制御周期400msの30%、すなわち120ms経過後に通電を終了する。このようにゼロクロス点での通電のオン、オフを切り替えて通電時間をコントロールする方法をオン・オフ方式と呼ぶ。
ハロゲンヒータを用いた場合、オン・オフ方式ではヒータ点灯開始時に流れる突入電流が大きいため、ヒータに商用電源を接続して用いる場合、商用電源ラインの電圧変動を起こし、フリッカ現象という同じ電源ラインに接続されている他の機器に悪影響を及ぼす現象を発生させていた。
この現象を回避するために、図19に示すように通電開始時に、位相角を変化させる位相制御を行い徐々にヒータへの通電時間を大きくする方式が広く用いられている。このような制御方式はソフトスタート方式と呼ばれる。また場合によっては図20に示すように消灯時にも、同様の理由により徐々に通電時間を減らしていくソフトストップ方式を併用することもある。
図21には制御周期が400ms、DUTYが30%の場合のソフトスタート・ソフトストップ方式による通電制御の様子を示す。
以上のようなソフトスタート・ソフトストップ方式を用いると、急激な電圧変動を減少させることができるため、前述のフリッカ現象を回避することができる。その一方、ゼロクロス点で通電のオン・オフを行なわない位相制御を用いた場合、高調波電流を発生させてしまうため、フリッカ、高調波電流の双方のバランスを取りソフトスタート・ソフトストップ方式を行う必要がある。
さて、近年の定着装置では通紙される様々な紙幅に対応するために複数本のヒータを有していることが多い。このような構成の場合、上記で述べたソフトスタート・ソフトストップ方式を、複数のヒータへそれぞれ適用することになる。
図22にはソフトスタート・ソフトストップ方式により2本のヒータを点灯させる場合の制御の様子を示す。
図22に示すように、複数本のヒータで点灯を行う場合、互いのヒータのソフトスタート・ソフトストップ期間が重なることがある。このような場合、高調波電流の発生がさらに大きくなるという問題がある。
このため、図23に示すように一方のヒータに対する他方のヒータの点灯開始タイミングをずらし、双方のヒータのソフトスタート・ソフトストップ区間が重ならないようにして点灯を行う方法などが用いられている。このような複数のヒータの点灯タイミングをずらすことは、電圧変動、高調波電流の発生を抑える上で有効であるため、広く用いられている。
例えば特許文献1には、複数のヒータのうちの基準となるヒータの通電制御の開始から、他方のヒータの通電制御の開始までの時間を遅らせる遅延手段と、温度検知手段の出力に基づいて、前記遅延手段が遅らせる時間を変更する変更手段とを備えることを特徴とするヒータ制御装置が記載されている。
特許文献2には、記録媒体上にトナー等の顕画材により画像を形成し、熱定着することによって画像形成物を出力する画像形成装置において、熱定着手段が複数のヒータを有するものであり、装置の動作状態に応じて該複数のヒータを選択的に駆動し、熱定着手段が複数のヒータを同時に使用する場合には各ヒータの駆動開始タイミングをずらすヒータ制御手段を有することを特徴とする画像形成装置が記載されている。
特許文献3には、複数個の加熱手段の各々を点灯させる際には点灯させるべき加熱手段点灯用のタイマがタイムアップしたことを判断して加熱手段を点灯させることにより、複数個の加熱手段を同時にオフからオンにならないように制御すると共に、複数個の加熱手段の各々を消灯させる際には消灯させるべき加熱手段消灯用のタイマがタイムアップしたことを判断して加熱手段を消灯させることにより、複数個の加熱手段を同時にオンからオフにならないように制御する制御手段とを備えたことを特徴とする定着装置が記載されている。
特許文献4には、ヒータを2組以上備える定着器の温度を検出し、2組以上のヒータを共に通電するときに、1つのヒータを通電してから、検出温度に対応する所定の時間遅らせてもう1つのヒータを通電する定着ヒータの通電制御方法が記載されている。
しかしながらDUTY演算にPIDコントローラなどを用いた場合、前述のように、定着部材の温度によりDUTYがリアルタイムで変化していくため、各ヒータの通電開始タイミングを単純にシフトさせるだけでは、DUTYの値によっては双方のソフトスタート・ストップ区間が重なってしまうことがあるという問題があった。
本発明は、従来の定着制御における上述の問題を解決し、複数本のヒータのソフトスタート・ソフトストップ期間が重ならないようにして高調波電流の発生を防ぐことのできる定着制御装置、定着装置及び画像形成装置を提供することを課題とする。
また、ソフトスタート・ソフトストップ期間の長さを短くし、ヒータの点灯開始タイミングを選択する際の選択の幅を増やすことも本発明の課題である。
前記の課題は、本発明により、定着部材と加圧部材とを圧接させ、未定着トナー像を担持した記録材を前記両部材間に通紙して未定着トナー像の定着を行なう定着装置の制御装置において、前記定着部材を加熱する熱源として複数本のヒータを有し、前記各ヒータの制御周期あたりの通電時間であるDUTYを演算する演算手段を具備し、前記各ヒータは、前記演算手段による演算結果に基づき決定されるDUTYを制御することにより供給電力を制御され、かつ、各ヒータは通電開始時と通電終了時にそれぞれソフトスタート及びソフトストップ可能に設けられ、一方のヒータに対する他方のヒータの通電開始のタイミングを、前記演算手段により演算したDUTYの値に基づいて、一方のヒータがソフトストップを終えて消灯した後に他方のヒータの点灯を開始する第1のパターンと、一方のヒータのソフトスタート期間とソフトストップ期間の間に他方のヒータの点灯を入れ込む第2のパターンと、一方のヒータのソフトスタート期間が終了した後に他方のヒータの点灯をソフトスタートで開始し一方のヒータのソフトストップが終了した後に他方のヒータのソフトスタートを開始する第3のパターンの中から選択して決定することにより解決される。
また、前記演算手段により演算した各ヒータのDUTYが前記第1〜第3のパターンに当てはまらない場合、前記第1〜第3のパターンのいずれかのパターンに当てはまるように前記各ヒータのDUTYを補正すると好ましい。
また、前記各ヒータのDUTY補正は、補正による各ヒータのDUTYのトータルでのロス分が最も小さくなるように補正すると好ましい。
また、前記各ヒータのDUTY補正は、各ヒータのDUTYの比率を保つように補正すると好ましい。
また、前記各ヒータのDUTY補正により発生するロス分を次の制御周期に加算すると好ましい。
また、前記各ヒータの制御周期内における消灯期間中に、前記各ヒータに対して所定時間の通電を行うと好ましい。
また、前記各ヒータに対する消灯期間中の通電は、一方のヒータがソフトスタート又はソフトストップを行っていない期間に他方のヒータに通電すると好ましい。
また、前記各ヒータに対する消灯期間中の通電は、一方のヒータが点灯していない期間に他方のヒータに通電すると好ましい。
また、前記各ヒータに対する消灯期間中の通電は、1回あたりの点灯時間が10msec以上、かつ、ヒータが消灯している時間が30msec以内となるように行うと好ましい。
また、前記複数本のヒータが前記定着部材に内蔵され、それぞれ通紙する記録材のサイズに応じた発熱領域を有すると好ましい。
また、前記の課題は、本発明により、請求項1〜10のいずれか1項に記載の定着制御装置を備える定着装置により解決される。
また、前記の課題は、本発明により、請求項1〜10のいずれか1項に記載の定着制御装置または請求項11に記載の定着装置を備える画像形成装置により解決される。
本発明の定着制御装置によれば、従来よりも幅広いDUTY領域で各ヒータのソフトスタート期間とソフトストップ期間を重ならないようにすることができるため、商用電源ラインの電圧変動と位相制御に伴う高調波電流の発生とを低減することができる。
請求項2の構成により、PIDコントローラ等で演算されたDUTY値を補正することにより、各ヒータのソフトスタート期間とソフトストップ期間が重ならない点灯パターンにてヒータを制御することができる。
請求項3の構成により、各ヒータのDUTYのトータルのロス分が最も小さくなるように補正を行うことによって、定着部材の温度安定化に与える悪影響が最も小さい状態でDUTY補正を行なうことができる。
請求項4の構成により、各ヒータのDUTY比率を保ったまま補正を行うことによって、複数のヒータ間での点灯のバランスを崩すことのない状態でDUTY補正を行なうことができる。
請求項5の構成により、DUTY補正を行ったことにより生じたDUTYのロス分による定着部材の温度安定化に与える影響が大きい場合に、次制御周期にDUTYのロス分を加算することによって、定着部材の温度安定化に与える影響を軽減することができる。
請求項6の構成により、消灯区間内点灯を行うことでフィラメントの抵抗低下を防ぐことが可能となり、次制御周期のソフトスタート時間を短くすることができる。その結果、各ヒータのソフトスタート・ソフトストップ期間を重ならなくすることができるDUTY領域を広げることが可能となる。
請求項7の構成により、一方のヒータがソフトスタートもしくはソフトストップを行っていない期間に消灯区間内点灯を行うことによって、高調波電流を悪化させることなくフィラメントの抵抗低下を防ぐことが可能となり、次制御周期のソフトスタート時間を短くすることができる。その結果、各ヒータのソフトスタート・ソフトストップ期間を重ならなくすることができるDUTY領域を広げることが可能となる。
請求項8の構成により、一方のヒータが消灯している期間中に消灯区間内点灯を行うことによって、電圧変動を悪化させることなくフィラメントの抵抗低下を防ぐことが可能となり、次制御周期のソフトスタート時間を短くすることができる。その結果、各ヒータのソフトスタート・ソフトストップ期間を重ならなくすることができるDUTY領域を広げることが可能となる。
請求項9の構成により、消灯区間内点灯を点灯時間が10ms以上、消灯時間が30ms以内で行うことにより、次制御周期にソフトスタートを行う必要がなくなる。その結果、各ヒータのソフトスタート・ソフトストップ期間を重ならなくすることができるDUTY領域を大幅に広げることが可能となる。
請求項10の構成により、通紙領域に対応して発熱領域が設定された複数本のヒータを効率良く制御して商用電源ラインの電圧変動と位相制御に伴う高調波電流の発生とを防止することができる。
請求項11の定着装置及び請求項12の画像形成装置によれば、定着ヒータ点灯時の突入電流によるフリッカ現象を発生させること無く、定着動作及び画像形成動作を実行可能な装置を提供することができる。また、定着ヒータの位相制御に伴う高調波電流の発生も抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明は本発明の最良の形態であって、特許請求の範囲を限定するものではない。
図1は、本発明に係る定着装置を備える画像形成装置の一例であるフルカラー複合機の概略を示す断面構成図である。この図に示す画像形成装置100は、装置本体120の上方に画像読取装置110を備えて、複写装置として構成されたものであるが、複写機能の他にもプリンタ及びファクシミリの機能を有するフルカラー複合機である。装置本体120の右側面には、両面ユニット130が取り付けられている。
装置本体120の内部には、4個のプロセスカートリッジ12(C,M,Y,K)、無端状の中間転写ベルト11、二次転写ローラ21、プロセスカートリッジにトナーを供給する各色のトナーボトル29などが配設されている。プロセスカートリッジ12は、ドラム状の像担持体10の周囲にクリーニング手段,帯電手段,現像手段などを配設している。
中間転写ベルト11は、各像担持体である感光体10の上方に位置し、中間転写ベルト11の下側の走行辺が各感光体10の周面に当接している。中間転写ベルト11は、各感光体10の表面にそれぞれ形成された互いに異なる色のトナー像が重ねて転写される転写材の一例を構成するものである。本例では、複数のローラに掛け回して図中反時計回りに走行駆動される。
各感光体10上にトナー像を形成し、そのトナー像を中間転写ベルト11に転写する作像ユニットの構成は、用いるトナーの色が異なるだけで、実質的に全て同一である。感光体10は図1における時計方向に回転駆動され、このとき帯電電圧を印加された帯電手段によって感光体10が所定の極性に帯電される。
四連タンデムに並べられたプロセスカートリッジ12(C,M,Y,K)の下には、光書き込み装置13が配置され、この光書き込み装置13から出射する光変調されたレーザビームが帯電後の感光体10に照射され、これによって感光体10に静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像手段によって各色のトナー像として可視像化される。
中間転写ベルト11を挟んで感光体10と対向するように一次転写ローラ25が設けられ、この一次転写ローラ25に転写電圧が印加されることにより、感光体10上のトナー像が、回転する中間転写ベルト11上に一次転写される。
また、光書き込み装置13の下方には給紙装置14が配置される。給紙装置14は、転写紙等の記録材を収納する給紙カセット15を、本例では2段備えている。各給紙カセット15内の用紙は、給紙コロ17によって一枚ずつ繰り出され、用紙搬送路16を通って給紙される。
用紙搬送路16は、画像形成装置本体内の右側に下方から上方に向けて形成され、装置本体120の上面に画像読取装置110との間に形成された胴内排紙部18へと通ずるように設けている。用紙搬送経路には、レジストローラ19、二次転写装置21、定着装置22、一対の排紙ローラよりなる排紙装置23などを順に設けている。レジストローラ19の上流には、両面ユニット130から再給紙し、または両面ユニット130を横切って手差し給紙部36から手差し給紙する用紙を用紙搬送路16に合流する給紙路を設けている。また、定着装置22の下流には、両面ユニット130への再給紙搬送路24を分岐して設けている。
そして、コピーを取るときは、画像読取装置110で原稿画像を読み取って露光装置13で書き込みを行い、各作像装置12C,12M,12Y,12Kのそれぞれの像担持体上に各色トナー像を形成し、そのトナー像を一次転写装置25で順次転写して中間転写ベルト11上にカラー画像を形成する。
一方、給紙コロ17の1つを選択的に回転して対応する給紙カセット15から用紙を繰り出して用紙搬送路16に入れ、または手差し給紙装置36から手差し用紙を給紙路に入れる。そして、用紙搬送路16を通して搬送し、レジストローラ19でタイミングを取って二次転写位置へと送り込み、上述したごとく中間転写ベルト11上に形成したカラー画像を二次転写装置21で用紙に転写する。画像転写後の用紙は、定着装置22で画像定着後、排紙装置23で排出して胴内排紙部18上にスタックする。
用紙裏面にも画像を形成するときには、再給紙搬送路24に入れて両面ユニット130で反転してから再給紙路を通して再給紙し、別途中間転写ベルト11上に形成したカラー画像を用紙に二次転写した後、再び定着装置22で定着して排紙装置23で胴内排紙部18に排出する。
図2は、定着装置22の構成を模式的に示す断面図である。
この図に示すように、定着装置22は、ローラ形状の定着部材である定着ローラ27と、ローラ状の加圧部材である加圧ローラ28とを備えており、これらのローラ27,28のうちの一方のローラの回転軸は固定され、他方のローラの回転軸は移動自在として他方のローラが一方のローラに対して接離可能に支持され、かつ他方のローラが一方のローラに向けて図示しないばねで付勢されて、定着ローラ27と加圧ローラ28との間で定着ニップが形成される。
図3に詳しく示すように、定着ローラ27内には、定着ローラ中央部を加熱するヒータ_1、及び定着ローラ端部を加熱するヒータ_2からなる定着ヒータ30が内蔵されている。
また、温度検知手段として、定着ローラ27の軸方向中央部の温度を検知する中央温度検知手段29、及び定着ローラ27の軸方向端部の温度を検知する端部温度検知手段32を近接して備え、定着ローラ27の中央部と端部の温度をそれぞれ測定する。
次に定着ヒータ30の制御方法について説明する。
まず、ヒータ_1の制御方法であるが、あらかじめ指定された目標制御温度と、中央温度検知手段29により検知された定着ローラ中央部の温度との間の温度偏差の情報を基にPIDコントローラ41が演算を行う。この演算結果は、単位時間(制御周期)あたりにヒータ_1が通電する割合(DUTY_1)となっており、計算されたDUTY_1を基に、PWM駆動回路42を通じて、ヒータ_1を点灯する。本例では、ヒータ_1の両端に、ある時間あたりの定格交流電圧を印加する割合を制御することになる。
ここで、PID演算式によるDUTY_1を計算する手順の詳細を述べる。DUTY_1の演算には、PID基本式である次式(2)をディジタル型に変換した式(3)を用いる。
Figure 2010096969
Figure 2010096969
ただし、
Kp:比例ゲイン
TI:積分時間
TD:微分時間
e1(t):目標制御温度と定着ローラ27の中央部の温度の誤差(=r1(t)-y1(t))
r1(t):目標制御温度
y1(t):定着ローラ27の中央部の温度
T:制御周期
である。なおKp,TI,TDはあらかじめそれぞれ適切な値に決定しておく。
式(3)を用いて制御周期ごとにDUTY_1を計算し、ヒータ_1への通電時間を決定する。
例えば制御周期が400msec、上式により演算されたDUTY_1が30%であった場合の通電の様子は図18のようになる。
以上のように、PIDコントローラ41により演算されたDUTY_1を基に通電を行うわけだが、通電開始時と通電終了時に発生する電圧変動を軽減するために、図21のように通電時間を徐々に増やすソフトスタート及び通電時間を徐々に減らすソフトストップを適用する。
同様にヒータ_2は、あらかじめ指定された目標制御温度と端部温度検知手段32により検知された定着ローラ端部の温度との間の温度偏差の情報を基にPIDコントローラ44がDUTY_2を次式により計算する。
Figure 2010096969
Figure 2010096969
ただし、
e2(t):目標制御温度と定着ローラ27の端部の温度の誤差(=r2(t)-y2(t))
r2(t):目標制御温度
y2(t):定着ローラ27の端部の温度
そしてPWM駆動回路43を通して、ヒータ_2を点灯する。また同様にソフトスタート・ソフトストップ期間を設け徐々に点灯時間を変化させる。
以降は便宜的に点灯時の様子を図4のように表す。
前述したように各ヒータのソフトスタート期間、ソフトストップ期間が重なると高調波電流が大きくなる。
そこで、ヒータ_1に対してヒータ_2の点灯開始タイミングをずらすことを考える。各ヒータのソフトスタート・ソフトストップ期間が重ならないためには図5に示すように3通りの点灯パターンが考えられる。
パターンAは直列型であり、一方のヒータがソフトストップを終え、消灯した後に他方のヒータの点灯を開始するパターンである。このパターンは互いが同時に点灯することがないため、フリッカ、高調波電流に最も有利な点灯パターンである。
パターンBは挿入型であり、一方のヒータのソフトスタート期間とソフトストップ期間の間に、他方のヒータの点灯を入れ込むパターンである。このパターンは一方のヒータに対して他方のヒータの点灯率が相対的に小さい時に適用可能である。
パターンCは相互型であり、一方のヒータのソフトスタート期間が終了した後に他方のヒータの点灯をソフトスタートを開始し、一方のヒータのソフトストップが終了した後に、他方のヒータのソフトスタートを開始するパターンである。
以上の3パターンのいずれかのパターンで点灯を行うためには、各ヒータのDUTY(DUTY_1及びDUTY_2)が以下の条件を満たす必要がある。
[パターンA]
t1+t2+t3+t4+T*DUTY_1/100+T*DUTY_2/100<T・・・(6)
[パターンB]
DUTY_1>t3+t4+T*DUTY_2/100 ・・・(7)
t1+t2+T*DUTY_1/100<T・・・(8)
[パターンC]
(9)かつ(10)かつ(11)かつ(12)
t1+t2+t4+T*DUTY_1/100<T・・・(9)
t1+t3+t4+T*DUTY_2/100<T・・・(10)
DUTY_1>t3・・・(11)
DUTY_2>t2・・・(12)
ここでヒータの制御周期及びソフトスタート/ソフトストップの時間について述べる。
制御周期Tは制御入力を与える間隔(制御の間隔)であり、短いほど制御を高精度に行うことができるが、「ヒータの点灯周期で電圧変動が起こり、蛍光灯などがちらつく現象」を考慮して適切に決める必要がある。
つまり、感覚的な表現で説明すると、温度が変動しやすいもの(熱容量の小さいユニット)に関しては短く設定する必要があり、変動しにくいもの(熱容量の大きいユニット)に対しては長く設定しても問題はない。制御周期は短くすればするほど良いかと言えばそうではなく、「ヒータの点灯周期で電圧変動が起こり、蛍光灯などがちらつく現象」を考慮して適切に決める必要がある。
一般に100ms〜200msでのちらつきが人間の目に最も感知されやすい周期であることが知られており、ヒータの制御周期としても100ms〜200msを避けるのが好ましい。
次にソフトスタート/ソフトストップの時間であるが、先にも述べたようにソフトスタート/ソフトストップは急激な電圧変動を防ぐ目的で行うため、ヒータのW数に応じて適切な時間が異なる。すなわち、ヒータW数が大きい場合はソフトスタート/ソフトストップを長く取る必要があり、ヒータW数が小さい場合はソフトスタート/ソフトストップが短くても良い。
一般に、ソフトスタートの時間として「ヒータW数×10%(ms)」程度を採ると、突入電流を防ぐことが可能となり、電圧変動を抑制出来ることが知られている。
また、近年の定着装置では、ウォームアップ時間の短縮化が望まれており、画像形成装置全体で使用可能な総電力を1500Wとしたとき、定着ヒータW数として1000W〜1200Wを使用する場合が多い。例えばヒータW数が1200Wの場合、適切なソフトスタート時間は1200×10%(ms)=120(ms)となる。
これらのことから、本実施例では、ヒータ_1に700W、ヒータ_2に500Wのヒータを使用することを想定し、ヒータ_1のソフトスタート時間を70ms、ヒータ_2のソフトスタート時間を50msとする場合の例を示す。
またソフトストップに関しては、ヒータ消灯時の電圧変動が小さければ不要であることが多いが、本例ではヒータ_1,ヒータ_2共に10msのソフトストップを入れた場合の例を示す(表1参照)。
Figure 2010096969
表1の条件では、式(6)〜(12)をグラフに表すと図6のようになる。
図6はPIDコントローラによる演算でDUTY_1及びDUTY_2が得られた場合に、各ヒータのソフトスタート、ソフトストップが重ならないようにするために、A〜Cのどのパターンが適用可能かを示している。例えば、DUTY_1が20%,DUTY_2が30%であった場合には、パターンAで点灯することが可能であり、各ヒータのソフトスタート・ソフトストップ区間を重ならないようにすることができる。
従来技術ではパターンAを用いて複数のヒータの点灯タイミングをずらしていたが、図6に示すように、パターンAのみではカバーできる範囲が小さいことが分かる。
本発明では、パターンAに加えてパターンB及びパターンCでの点灯制御を導入することにより、PIDコントローラが算出する大部分のDUTY値に対して適用が可能となる(具体的には、各ヒータのDUTY値が80%以下の領域に関してはほぼ適用が可能となる)。
以上のように、PIDコントローラ(演算手段)により演算された各ヒータのDUTYの値を基に、各ヒータの点灯のずらし方をパターンA〜パターンCの中から選択して適用することにより、各ヒータのソフトスタート・ソフトストップ区間を重ならないようにすることができ、結果として高調波電流を抑制することが可能となる。
なお本実施例ではDUTY演算にPIDコントローラを用いた例を示したが、I−PDコントローラ、PI−Dコントローラといった、類似のコントローラ(演算手段)を用いても、もちろん差し支えない。
ところで、演算されたDUTY_1、DUTY_2の値によっては、図5に示したパターンA〜Cに当てはまらない場合がある。例えばDUTY_1が90%,DUTY_2が40%であった場合(図7に黒丸の点で示す場合)などがそうである。
このように上記パターンA〜Cに当てはまらない場合、各ヒータのDUTYを補正することによりパターンA〜Cのいずれかに当てはめるようにする。DUTYの補正にはいくつかの方法が考えられるが、以下に具体的な例を示す。
[DUTY補正1]
この補正1では、各ヒータのDUTYのトータルのロス分が最も小さくなるようにDUTYを補正する。例えば、PIDコントローラにより演算されたDUTYが図7に示すように、DUTY_1=90%,DUTY_2=40%であった場合(図中の黒丸の点)、このままではパターンA〜Cのいずれの点灯方法も適用することができない。
そこで、各ヒータのDUTYのトータルのロス分が最も小さくなるように補正する。具体的には、DUTY_2を40%で固定したまま、DUTY_1を減らしていく。図7の例では、DUTY_1を80%まで減らすことにより、パターンBにて点灯可能となることが分かる。すなわち、図中の白丸の点へDUTYを補正するものである。
このように、各ヒータのDUTYの値によって図5のパターンA〜Cにて各ヒータを点灯することができない場合、各ヒータのDUTYのトータルのロス分が最も小さくなるようにDUTYを補正し、パターンA〜Cに当てはめることにより、各ヒータのソフトスタート・ソフトストップ区間を重ならないようにすることができる。その結果、高調波電流を抑制することが可能となる。
また、補正によるDUTYのロス分が最も小さいことから、定着ローラ27のPIDコントローラにより演算される、本来出力すべきDUTY値に最も近い値となることから、温度安定化に与える悪影響を最も小さくすることができる。
[DUTY補正2]
この補正2では、各ヒータのDUTYの比率を維持したまま補正する。以下に具体的な方法を説明する。
例えば、PIDコントローラにより演算された各DUTYがそれぞれ、DUTY_1=a%,DUTY_2=b%であったとする。このとき、各DUTYを
DUTY_1´=T−t1−t2 ・・・(13)
DUTY_2´=T−t1−t2+b−a ・・・(14)
と補正することにより、DUTY_1とDUTY_2の比率を保ったままパターンBへ当てはめることが可能となる。
具体例を示すと、図8に示すように、DUTY_1が90%,DUTY_2が40%であった場合(図8の黒丸印の点)には、式(13),(14)に各値を代入すると、
DUTY_1´=80%
DUTY_2´=30%
となる(図8、黒丸の点⇒白丸の点へ補正)。
このように各ヒータのDUTYの補正をDUTYの比率を維持したまま行なうことの利点として、複数のヒータ間での点灯のバランスを崩すことなく制御が可能となる点である。
ところで、演算されたDUTY_1、DUTY_2の値がパターンA〜Cに当てはまらない場合に各ヒータの点灯タイミングを図5のパターンA〜Cのいずれかに当てはめるように各ヒータのDUTYを補正することは、PIDコントローラが算出した本来点灯させたいDUTYに対して、補正した分だけずれが生じることになる。補正によるずれの影響が無視できるほど小さければ問題ないが、ずれが大きい場合、定着ローラ温度の安定化に影響を与える。
そこで、このDUTYのずれを次の制御周期時のPIDコントローラの演算値に加算することにより、定着ローラの温度安定化に与える影響を軽減させることができる。この制御について、以下に具体的な方法を説明する。
まず、ある時刻t0にPIDコントローラにより演算された各ヒータのDUTYがそれぞれ
DUTY_1_t0,DUTY_2_t0
であり、これらを補正した値を
DUTY_1´_t0,DUTY_2´_t0
とすると、補正したことによるDUTYの変化分(ずれ分)はそれぞれ
ΔDUTY_1_t0=DUTY_1_t0−DUTY_1´_t0 ・・・(15)
ΔDUTY_2_t0=DUTY_2_t0−DUTY_2´_t0 ・・・(16)
となる。この変化分を次の制御周期のPIDコントローラの演算時に加算する。
PIDコントローラによるDUTYの演算は式(3),(5)にそれぞれ示した通りであるから、補正分を加算すると
Figure 2010096969
Figure 2010096969
となる(ただし、t1=t0+T)。
このようにDUTYの補正分を次制御周期時のPIDコントローラの演算値に加算することにより、DUTYのロスによる影響を軽減することが出来る。その結果として、定着ローラの温度の安定化につなげることができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
PIDコントローラにより演算されたDUTY_1、DUTY_2の値によってはパターンA〜Cに当てはまらない場合があることは上記説明したとおりである。例えばDUTY_1が90%,DUTY_2が40%であった場合などがそうである(図9に黒丸の点)。
そもそもソフトスタートが抑制することを目的としている急激な電圧変動は、ヒータのフィラメント温度が低い場合に抵抗が低下することによって大きく発生する。つまりフィラメントの温度低下を減少させることができれば、ソフトスタートの時間を短くすることができる。そして式(6)〜(9)からも分かるようにソフトスタートの時間を短くすることにより、パターンA〜パターンCに当てはめられる各ヒータのDUTY領域が増えることになる。そこで本第2実施形態では、制御周期内の消灯区間内にフィラメントの保温を目的としてヒータへの通電を行う(以下この消灯区間内の通電を消灯区間内点灯と呼ぶ)。
以下、具体的な制御について説明する。
[消灯区間内点灯の制御実施例1]
制御周期及びソフトスタート,ソフトストップ時間を表1のように設定し、PIDコントローラにより演算されたDUTY_1が20%、DUTY_2が30%であった場合には、前述のように最も高調波電流抑制に有利なパターンAにて点灯することが可能であり、図10のように各ヒータのソフトスタート、ソフトストップ期間を重ねることなく点灯することが出来る。
しかしながら、DUTY_1,DUTY_2が高DUTYの範囲(具体的には図9のAの領域を越えるDUTYの範囲)ではパターンAにて点灯することができない。パターンAで点灯させるには、ソフトスタート、ソフトストップのいずれかの時間を短くする必要がある。
そこで、各ヒータの消灯区間内点灯を行うことにより、フィラメントの温度低下(フィラメントの抵抗の低下)を防止し、次制御周期に行うソフトスタート期間を短くする。
図11に各ヒータの消灯区間内点灯を行っている様子を示す。このように消灯区間内点灯を行うことにより、図12に示すように次制御周期のソフトスタート時間を短縮させることができる(例えばヒータ1のソフトスタート時間70ms⇒30ms、ヒータ2のソフトスタート時間50ms⇒20ms)。結果として各ヒータのソフトスタート、ソフトストップ期間が重ならないDUTY領域を広げることが可能となる。
なお本例では図11のパターンAでの点灯の際の例を示したが、パターンB,パターンCでの点灯に関しても同様に適用でき、ヒータ消灯区間内点灯を実施することにより、ソフトスタート、ソフトストップの重ならないDUTY領域を広げることが可能になる。
[消灯区間内点灯の制御実施例2]
上記制御実施例1では消灯区間内点灯を行うことによりフィラメント温度低下を防止したが、一方のヒータがソフトスタート、もしくはソフトストップを行っている最中に、他方のヒータの消灯区間内点灯を行うと、高調波電流の抑制が充分行えない場合がある(図11に示した例ではヒータ_2がソフトストップを行っている時刻に、ヒータ_1の消灯区間内点灯を行っていた)。
そこで、制御実施例2では、図13に示すように、一方のヒータがソフトスタートもしくはソフトストップを行っていない期間に他方の消灯区間内点灯を行うように制御する。これにより高調波電流を抑制することができ、かつ消灯区間内点灯によりフィラメント温度低下防止を行い、次制御周期内でのソフトスタート時間を短縮することができる。このため、各ヒータのソフトスタート、ソフトストップ期間が重ならないDUTY領域を広げることが可能となる。
[消灯区間内点灯の制御実施例3]
上記制御実施例2では一方のヒータがソフトスタートもしくはソフトストップを行っていない期間に他方の消灯区間内点灯を行うことにより、高調波電流の抑制を防ぎかつフィラメントの温度低下を防いだ(図13に示した例ではヒータ_1が全点灯を行っている時刻に、ヒータ_2の消灯区間内点灯を行っていた)。
これに対し、制御実施例3では、さらに消灯区間内点灯を一方のヒータが消灯している時間帯に他方のヒータの消灯区間内点灯を行うように制御する。図14に、本制御実施例3である、一方のヒータが消灯している時間帯に他方のヒータの消灯区間内点灯を行っている様子を示す。このように複数本ヒータが同時に点灯しないことは、電圧変動の減少につながるため、点灯方法として望ましく、本制御では高調波電流だけでなく、電圧変動(フリッカ)も防ぎ、かつフィラメント温度低下防止により、次制御周期内でのソフトスタート時間を短縮することができることから、各ヒータのソフトスタート、ソフトストップ期間が重ならないDUTY領域を広げることが可能となる。
[消灯区間内点灯の制御実施例4]
前述したように、制御実施例2及び3を行う目的は、フィラメントの温度低下防止(フィラメントの抵抗低下の防止)である。このため、消灯区間内点灯はフィラメントの温度低下が許容される範囲内で適正に決める必要がある。
本制御実施例4では、1回あたりの消灯区間内点灯を少なくとも10ms以上、消灯している間隔が少なくとも30ms以下となるように行う。フィラメントの温度低下の度合いはフィラメントを構成する材質、線径により異なるが、1回あたりの消灯区間内点灯を10ms以上、消灯している時間を30ms以下とすることにより、フィラメントの抵抗低下は大幅に軽減され、結果として次制御周期の点灯開始時にソフトスタートを行わなくとも、全点灯することが可能となる。
図15に、1回あたりの消灯区間内点灯を10ms、消灯時間間隔が20msとなるように消灯区間内点灯を行っている様子を示す。このように消灯区間内点灯を行うことにより図16に示すように、次制御周期の点灯開始時にソフトスタートを行わずにヒータ点灯を行うことができる。結果として各ヒータのソフトスタート、ソフトストップ期間が重ならないDUTY領域を広げることが可能となる。
なお図15及び図16には、ヒータ_1にて消灯区間点灯を行い、次制御周期にソフトスタートを行わない例を示したが、ヒータ_2においても同様に適用が可能であり、ヒータが3本以上であっても、もちろん差し支えない。
本第2実施形態においても、DUTY演算にはPIDコントローラに限らず、I−PDコントローラ、PI−Dコントローラといった、類似のコントローラ(演算手段)を用いても、もちろん差し支えない。
以上、本発明を図示例により説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、定着装置の構成やDUTY演算に用いるコントローラ等は一例であり、適宜なものを採用可能である。定着部材としては図示例の定着ローラに限らず、無端ベルトを採用することもできる。また、複数ヒータの発熱領域の設定や、温度検知手段の配置場所なども適宜に設定可能である。ソフトスタートあるいはソフトストップにおける制御周期やDUTYも一例であり、適宜に設定可能である。
また、画像形成装置の各部の構成も任意であり、タンデム式における各色作像ユニットの配置順などは任意である。また、タンデム式に限らず、一つの感光体の周囲に複数の現像装置を配置したものや、リボルバ型現像装置を用いる構成も可能である。また、3色のトナーを用いるフルカラー機や、2色のトナーによる多色機、あるいはモノクロ装置にも本発明を適用することができる。もちろん、画像形成装置としては複合機に限らず、複写機やファクシミリ、あるいはプリンタなどであっても良い。
本発明に係る定着装置を備える画像形成装置の一例であるフルカラー複合機の概略を示す断面構成図である。 定着装置の構成を模式的に示す断面図である。 定着ヒータを制御する態様を示す模式図である。 2本のヒータの点灯時の様子を便宜的に示す模式図である。 2本のヒータのソフトスタート・ソフトストップ期間が重ならない3通りの点灯パターンを示す模式図である。 図5の3通りのパターンをグラフで示したものである。 図5の3通りのパターンに当てはまらない領域について説明する図である。 前周期のDUTYとその周期で必要となるソフトスタート期間の関係を示すグラフである。 第2実施形態における3通りのパターンに当てはまらない領域について説明する図である。 図9のパターンAで点灯させた場合の各ヒータの点灯状態を示す模式図である。 各ヒータの消灯区間内点灯を行っている様子を示す模式図である。 消灯区間内点灯の制御実施例1により次制御周期のソフトスタート時間を短縮させた様子を示す模式図である。 消灯区間内点灯の制御実施例2における各ヒータの点灯状態を示す模式図である。 消灯区間内点灯の制御実施例3における各ヒータの点灯状態を示す模式図である。 消灯区間内点灯の制御実施例4における各ヒータの点灯状態を示す模式図である。 その制御実施例4により次制御周期の点灯開始時にソフトスタートを行わずにヒータ点灯を行う様子を示す模式図である。 定着温度を目標温度付近で安定化させる制御について説明する図である。 ゼロクロス点での通電オン・オフ方式を示す模式図である。 ソフトスタート方式の定着制御を示す模式図である。 ソフトストップ方式による定着制御を示す模式図である。 ソフトスタート・ソフトストップ方式による通電制御の一例を示す模式図である。 ソフトスタート・ソフトストップ方式により2本のヒータを点灯させる場合の制御の様子を示す模式図である。 一方のヒータに対する他方のヒータの点灯開始タイミングをずらした定着制御を示す模式図である。
符号の説明
22 定着装置
27 定着ローラ(定着部材)
28 加圧ローラ(加圧部材)
29 中央温度検知手段
30 定着ヒータ
32 端部温度検知手段
41 PIDコントローラ(演算手段)
42 PWM駆動回路
100 画像形成装置

Claims (12)

  1. 定着部材と加圧部材とを圧接させ、未定着トナー像を担持した記録材を前記両部材間に通紙して未定着トナー像の定着を行なう定着装置の制御装置において、
    前記定着部材を加熱する熱源として複数本のヒータを有し、
    前記各ヒータの制御周期あたりの通電時間であるDUTYを演算する演算手段を具備し、
    前記各ヒータは、前記演算手段による演算結果に基づき決定されるDUTYを制御することにより供給電力を制御され、かつ、各ヒータは通電開始時と通電終了時にそれぞれソフトスタート及びソフトストップ可能に設けられ、
    一方のヒータに対する他方のヒータの通電開始のタイミングを、前記演算手段により演算したDUTYの値に基づいて、一方のヒータがソフトストップを終えて消灯した後に他方のヒータの点灯を開始する第1のパターンと、一方のヒータのソフトスタート期間とソフトストップ期間の間に他方のヒータの点灯を入れ込む第2のパターンと、一方のヒータのソフトスタート期間が終了した後に他方のヒータの点灯をソフトスタートで開始し一方のヒータのソフトストップが終了した後に他方のヒータのソフトスタートを開始する第3のパターンの中から選択して決定することを特徴とする定着制御装置。
  2. 前記演算手段により演算した各ヒータのDUTYが前記第1〜第3のパターンに当てはまらない場合、前記第1〜第3のパターンのいずれかのパターンに当てはまるように前記各ヒータのDUTYを補正することを特徴とする、請求項1に記載の定着制御装置。
  3. 前記各ヒータのDUTY補正は、補正による各ヒータのDUTYのトータルでのロス分が最も小さくなるように補正することを特徴とする、請求項2に記載の定着制御装置。
  4. 前記各ヒータのDUTY補正は、各ヒータのDUTYの比率を保つように補正することを特徴とする、請求項2に記載の定着制御装置。
  5. 前記各ヒータのDUTY補正により発生するロス分を次の制御周期に加算することを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の定着制御装置。
  6. 前記各ヒータの制御周期内における消灯期間中に、前記各ヒータに対して所定時間の通電を行うことを特徴とする、請求項1に記載の定着制御装置。
  7. 前記各ヒータに対する消灯期間中の通電は、一方のヒータがソフトスタート又はソフトストップを行っていない期間に他方のヒータに通電することを特徴とする、請求項6に記載の定着制御装置。
  8. 前記各ヒータに対する消灯期間中の通電は、一方のヒータが点灯していない期間に他方のヒータに通電することを特徴とする、請求項6に記載の定着制御装置。
  9. 前記各ヒータに対する消灯期間中の通電は、1回あたりの点灯時間が10msec以上、かつ、ヒータが消灯している時間が30msec以内となるように行うことを特徴とする、請求項6に記載の定着制御装置。
  10. 前記複数本のヒータが前記定着部材に内蔵され、それぞれ通紙する記録材のサイズに応じた発熱領域を有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の定着制御装置。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の定着制御装置を備えることを特徴とする定着装置。
  12. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の定着制御装置または請求項11に記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
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