JP2010096969A - 定着制御装置、定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】PIDコントローラにより演算されたヒータ_1,ヒータ_2のDUTY値(DUTY_1,DUTY_2)に基づいて、各ヒータのソフトスタート・ソフトストップ区間が重ならないように、各ヒータの点灯のずらし方をパターンA〜パターンCの中から選択して適用する。これにより、各ヒータのソフトスタート期間とソフトストップ期間を重ならないようにすることができるため、位相制御に伴う高調波電流の発生を低減することができる。
【選択図】図5
Description
ヒータへの供給電力の制御方法としては、定着装置に設けられたサーミスタ等の温度センサにより温度を検出し、目標制御温度との差に応じて、単位時間(以下制御周期)あたりのヒータへの通電時間(以下DUTY)を変化させる方法が一般的である。
ここでPID制御について説明する。
Kp:比例ゲイン
TI:積分時間
TD:微分時間
e1(t):目標制御温度と定着部材の温度の誤差(=r(t)−y(t))
r(t):目標制御温度
y(t):定着部材の温度
T:制御周期
である。
以上のようなソフトスタート・ソフトストップ方式を用いると、急激な電圧変動を減少させることができるため、前述のフリッカ現象を回避することができる。その一方、ゼロクロス点で通電のオン・オフを行なわない位相制御を用いた場合、高調波電流を発生させてしまうため、フリッカ、高調波電流の双方のバランスを取りソフトスタート・ソフトストップ方式を行う必要がある。
図22に示すように、複数本のヒータで点灯を行う場合、互いのヒータのソフトスタート・ソフトストップ期間が重なることがある。このような場合、高調波電流の発生がさらに大きくなるという問題がある。
また、ソフトスタート・ソフトストップ期間の長さを短くし、ヒータの点灯開始タイミングを選択する際の選択の幅を増やすことも本発明の課題である。
また、前記各ヒータのDUTY補正は、各ヒータのDUTYの比率を保つように補正すると好ましい。
また、前記各ヒータの制御周期内における消灯期間中に、前記各ヒータに対して所定時間の通電を行うと好ましい。
また、前記各ヒータに対する消灯期間中の通電は、一方のヒータが点灯していない期間に他方のヒータに通電すると好ましい。
また、前記の課題は、本発明により、請求項1〜10のいずれか1項に記載の定着制御装置を備える定着装置により解決される。
図1は、本発明に係る定着装置を備える画像形成装置の一例であるフルカラー複合機の概略を示す断面構成図である。この図に示す画像形成装置100は、装置本体120の上方に画像読取装置110を備えて、複写装置として構成されたものであるが、複写機能の他にもプリンタ及びファクシミリの機能を有するフルカラー複合機である。装置本体120の右側面には、両面ユニット130が取り付けられている。
この図に示すように、定着装置22は、ローラ形状の定着部材である定着ローラ27と、ローラ状の加圧部材である加圧ローラ28とを備えており、これらのローラ27,28のうちの一方のローラの回転軸は固定され、他方のローラの回転軸は移動自在として他方のローラが一方のローラに対して接離可能に支持され、かつ他方のローラが一方のローラに向けて図示しないばねで付勢されて、定着ローラ27と加圧ローラ28との間で定着ニップが形成される。
まず、ヒータ_1の制御方法であるが、あらかじめ指定された目標制御温度と、中央温度検知手段29により検知された定着ローラ中央部の温度との間の温度偏差の情報を基にPIDコントローラ41が演算を行う。この演算結果は、単位時間(制御周期)あたりにヒータ_1が通電する割合(DUTY_1)となっており、計算されたDUTY_1を基に、PWM駆動回路42を通じて、ヒータ_1を点灯する。本例では、ヒータ_1の両端に、ある時間あたりの定格交流電圧を印加する割合を制御することになる。
Kp:比例ゲイン
TI:積分時間
TD:微分時間
e1(t):目標制御温度と定着ローラ27の中央部の温度の誤差(=r1(t)-y1(t))
r1(t):目標制御温度
y1(t):定着ローラ27の中央部の温度
T:制御周期
である。なおKp,TI,TDはあらかじめそれぞれ適切な値に決定しておく。
例えば制御周期が400msec、上式により演算されたDUTY_1が30%であった場合の通電の様子は図18のようになる。
e2(t):目標制御温度と定着ローラ27の端部の温度の誤差(=r2(t)-y2(t))
r2(t):目標制御温度
y2(t):定着ローラ27の端部の温度
以降は便宜的に点灯時の様子を図4のように表す。
そこで、ヒータ_1に対してヒータ_2の点灯開始タイミングをずらすことを考える。各ヒータのソフトスタート・ソフトストップ期間が重ならないためには図5に示すように3通りの点灯パターンが考えられる。
[パターンA]
t1+t2+t3+t4+T*DUTY_1/100+T*DUTY_2/100<T・・・(6)
[パターンB]
DUTY_1>t3+t4+T*DUTY_2/100 ・・・(7)
t1+t2+T*DUTY_1/100<T・・・(8)
[パターンC]
(9)かつ(10)かつ(11)かつ(12)
t1+t2+t4+T*DUTY_1/100<T・・・(9)
t1+t3+t4+T*DUTY_2/100<T・・・(10)
DUTY_1>t3・・・(11)
DUTY_2>t2・・・(12)
制御周期Tは制御入力を与える間隔(制御の間隔)であり、短いほど制御を高精度に行うことができるが、「ヒータの点灯周期で電圧変動が起こり、蛍光灯などがちらつく現象」を考慮して適切に決める必要がある。
また、近年の定着装置では、ウォームアップ時間の短縮化が望まれており、画像形成装置全体で使用可能な総電力を1500Wとしたとき、定着ヒータW数として1000W〜1200Wを使用する場合が多い。例えばヒータW数が1200Wの場合、適切なソフトスタート時間は1200×10%(ms)=120(ms)となる。
図6はPIDコントローラによる演算でDUTY_1及びDUTY_2が得られた場合に、各ヒータのソフトスタート、ソフトストップが重ならないようにするために、A〜Cのどのパターンが適用可能かを示している。例えば、DUTY_1が20%,DUTY_2が30%であった場合には、パターンAで点灯することが可能であり、各ヒータのソフトスタート・ソフトストップ区間を重ならないようにすることができる。
本発明では、パターンAに加えてパターンB及びパターンCでの点灯制御を導入することにより、PIDコントローラが算出する大部分のDUTY値に対して適用が可能となる(具体的には、各ヒータのDUTY値が80%以下の領域に関してはほぼ適用が可能となる)。
この補正1では、各ヒータのDUTYのトータルのロス分が最も小さくなるようにDUTYを補正する。例えば、PIDコントローラにより演算されたDUTYが図7に示すように、DUTY_1=90%,DUTY_2=40%であった場合(図中の黒丸の点)、このままではパターンA〜Cのいずれの点灯方法も適用することができない。
この補正2では、各ヒータのDUTYの比率を維持したまま補正する。以下に具体的な方法を説明する。
DUTY_1´=T−t1−t2 ・・・(13)
DUTY_2´=T−t1−t2+b−a ・・・(14)
と補正することにより、DUTY_1とDUTY_2の比率を保ったままパターンBへ当てはめることが可能となる。
DUTY_1´=80%
DUTY_2´=30%
となる(図8、黒丸の点⇒白丸の点へ補正)。
DUTY_1_t0,DUTY_2_t0
であり、これらを補正した値を
DUTY_1´_t0,DUTY_2´_t0
とすると、補正したことによるDUTYの変化分(ずれ分)はそれぞれ
ΔDUTY_1_t0=DUTY_1_t0−DUTY_1´_t0 ・・・(15)
ΔDUTY_2_t0=DUTY_2_t0−DUTY_2´_t0 ・・・(16)
となる。この変化分を次の制御周期のPIDコントローラの演算時に加算する。
PIDコントローラにより演算されたDUTY_1、DUTY_2の値によってはパターンA〜Cに当てはまらない場合があることは上記説明したとおりである。例えばDUTY_1が90%,DUTY_2が40%であった場合などがそうである(図9に黒丸の点)。
[消灯区間内点灯の制御実施例1]
制御周期及びソフトスタート,ソフトストップ時間を表1のように設定し、PIDコントローラにより演算されたDUTY_1が20%、DUTY_2が30%であった場合には、前述のように最も高調波電流抑制に有利なパターンAにて点灯することが可能であり、図10のように各ヒータのソフトスタート、ソフトストップ期間を重ねることなく点灯することが出来る。
上記制御実施例1では消灯区間内点灯を行うことによりフィラメント温度低下を防止したが、一方のヒータがソフトスタート、もしくはソフトストップを行っている最中に、他方のヒータの消灯区間内点灯を行うと、高調波電流の抑制が充分行えない場合がある(図11に示した例ではヒータ_2がソフトストップを行っている時刻に、ヒータ_1の消灯区間内点灯を行っていた)。
上記制御実施例2では一方のヒータがソフトスタートもしくはソフトストップを行っていない期間に他方の消灯区間内点灯を行うことにより、高調波電流の抑制を防ぎかつフィラメントの温度低下を防いだ(図13に示した例ではヒータ_1が全点灯を行っている時刻に、ヒータ_2の消灯区間内点灯を行っていた)。
前述したように、制御実施例2及び3を行う目的は、フィラメントの温度低下防止(フィラメントの抵抗低下の防止)である。このため、消灯区間内点灯はフィラメントの温度低下が許容される範囲内で適正に決める必要がある。
27 定着ローラ(定着部材)
28 加圧ローラ(加圧部材)
29 中央温度検知手段
30 定着ヒータ
32 端部温度検知手段
41 PIDコントローラ(演算手段)
42 PWM駆動回路
100 画像形成装置
Claims (12)
- 定着部材と加圧部材とを圧接させ、未定着トナー像を担持した記録材を前記両部材間に通紙して未定着トナー像の定着を行なう定着装置の制御装置において、
前記定着部材を加熱する熱源として複数本のヒータを有し、
前記各ヒータの制御周期あたりの通電時間であるDUTYを演算する演算手段を具備し、
前記各ヒータは、前記演算手段による演算結果に基づき決定されるDUTYを制御することにより供給電力を制御され、かつ、各ヒータは通電開始時と通電終了時にそれぞれソフトスタート及びソフトストップ可能に設けられ、
一方のヒータに対する他方のヒータの通電開始のタイミングを、前記演算手段により演算したDUTYの値に基づいて、一方のヒータがソフトストップを終えて消灯した後に他方のヒータの点灯を開始する第1のパターンと、一方のヒータのソフトスタート期間とソフトストップ期間の間に他方のヒータの点灯を入れ込む第2のパターンと、一方のヒータのソフトスタート期間が終了した後に他方のヒータの点灯をソフトスタートで開始し一方のヒータのソフトストップが終了した後に他方のヒータのソフトスタートを開始する第3のパターンの中から選択して決定することを特徴とする定着制御装置。 - 前記演算手段により演算した各ヒータのDUTYが前記第1〜第3のパターンに当てはまらない場合、前記第1〜第3のパターンのいずれかのパターンに当てはまるように前記各ヒータのDUTYを補正することを特徴とする、請求項1に記載の定着制御装置。
- 前記各ヒータのDUTY補正は、補正による各ヒータのDUTYのトータルでのロス分が最も小さくなるように補正することを特徴とする、請求項2に記載の定着制御装置。
- 前記各ヒータのDUTY補正は、各ヒータのDUTYの比率を保つように補正することを特徴とする、請求項2に記載の定着制御装置。
- 前記各ヒータのDUTY補正により発生するロス分を次の制御周期に加算することを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の定着制御装置。
- 前記各ヒータの制御周期内における消灯期間中に、前記各ヒータに対して所定時間の通電を行うことを特徴とする、請求項1に記載の定着制御装置。
- 前記各ヒータに対する消灯期間中の通電は、一方のヒータがソフトスタート又はソフトストップを行っていない期間に他方のヒータに通電することを特徴とする、請求項6に記載の定着制御装置。
- 前記各ヒータに対する消灯期間中の通電は、一方のヒータが点灯していない期間に他方のヒータに通電することを特徴とする、請求項6に記載の定着制御装置。
- 前記各ヒータに対する消灯期間中の通電は、1回あたりの点灯時間が10msec以上、かつ、ヒータが消灯している時間が30msec以内となるように行うことを特徴とする、請求項6に記載の定着制御装置。
- 前記複数本のヒータが前記定着部材に内蔵され、それぞれ通紙する記録材のサイズに応じた発熱領域を有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の定着制御装置。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の定着制御装置を備えることを特徴とする定着装置。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の定着制御装置または請求項11に記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
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