JP2010096873A - 定着装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】加熱ローラの受け部材の溶融やヒータ基板の脆弱部の破戒等を伴うことなく、低コストにして加熱ローラの異常高温を検出・応答性を高めて発煙事故等を未然、かつ確実に防止できる定着装置を提供する。
【解決手段】加熱源55の異常等により加熱ローラ51が過熱状態になった際に、定着ベルト53に被覆した熱収縮性チューブ53cが収縮することにより、加熱ローラ51が所定位置から変位し、これに起因して遮断手段59が前記加熱源55への通電を遮断する。
【選択図】 図12
【解決手段】加熱源55の異常等により加熱ローラ51が過熱状態になった際に、定着ベルト53に被覆した熱収縮性チューブ53cが収縮することにより、加熱ローラ51が所定位置から変位し、これに起因して遮断手段59が前記加熱源55への通電を遮断する。
【選択図】 図12
Description
この発明は、電子写真式の複写機やプリンタ等の画像形成装置に用いられる定着装置に関する。
複写機やプリンタ等に用いられる定着装置として、ヒータのような加熱源を内蔵している加熱ローラと定着ローラとの間に該加熱ローラで加温される定着ベルトを掛設し、この定着ベルトを介して定着ローラとこれに転接する加圧ローラとの間に、画像が形成された記録シートを通過させることにより、画像を記録シートに定着させるものとなされた構成のものが知られている。
このような定着装置では、従来、加熱源に対する温度制御等の異常により加熱ローラが過度の加熱状態に陥った場合の安全対策として、前記加熱ローラの周囲温度に反応する温度ヒューズやサーモスタット等の感温部材を設け、加熱源の暴走を防止するようにしてある。
また、従来、加熱ローラの受け部材を熱可塑性材で構成し、加熱ローラが過熱状態になると前記受け部材が溶融し、加熱ローラが加圧ローラに押されて移動して熱源オフ用スイッチに接触してオフさせるようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
さらに、ヒータ基板に脆弱部を設けておき、ヒータ暴走時に前記脆弱部に割れを生じさせることにより、ヒータを遮断させるようにした技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
さらにまた、加熱ローラの温度が所定値を超えると、加熱ローラを所定位置から退避すうように制御する技術が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
特開平7−261597号公報
特開平8−314325号公報
特開平5−66697号公報
ところで、この種の定着装置では、ウォームアップ時間の短縮化のために、加熱ローラとして薄肉で熱容量が小さいものを使用することが多くなっている。その場合、加熱ローラの昇温は速くなるものの、前記従来技術のように加熱ローラに対して所定間隔を置いて配置され、該加熱ローラの周囲温度で反応する非接触のサーモスタット等の感温部材を使用する構成では、その感温部材として加熱ローラの昇温速度に鋭敏に応答できるものを導入しようとすれば、コスト高を強いられる。
サーモスタット等の感温部材の応答性が低ければ、加熱ローラの過熱が進んで発煙を起こしたりするおそれがある。
さらに、加熱ローラの周囲温度に対する応答性を高めるために前記感温部材を加熱ローラに近接して配置した場合には、取り付け公差の下限側に位置ずれした場合、加熱ローラが異常高温でなくても反応するおそれがあり、取り付け公差の上下限での応答性の差が大きくなり、結局、感温部材を加熱ローラに対してある程度の距離を取って配置しなければならなかった。
また、前記特許文献1、2に記載されているような、加熱ローラが過熱状態になると前記受け部材を溶融させたり、ヒータ基板の脆弱部を壊すものでは、受け部材や脆弱部の構成が簡単でないという欠点があった。
さらにまた、前記特許文献3に記載されているような、加熱ローラの温度が所定値を超えると、加熱ローラを所定位置から退避させるものでは、定着ローラの過熱が防止されるだけで、加熱ローラが過熱し続けるおそれがあり、これも実施化しにくいという問題がある。
この発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、加熱ローラの受け部材の溶融やヒータ基板の脆弱部の破戒等を伴うことなく、低コストにして加熱ローラの異常高温を検出・応答性を高めて発煙事故等を未然、かつ確実に防止できる定着装置を提供することを課題としている。
上記課題は、以下の手段によって解決される。
(1)加熱源が内蔵された加熱ローラと定着ローラとの間に掛設された定着ベルトと、前記定着ベルトを介して定着ローラの外周に接し、定着ローラに荷重をかけてニップ部を形成するように配設された加圧ローラと、前記定着ベルトの表面に設けられて、前記加熱ローラが過熱状態になった際に収縮して加熱ローラを所定位置から変位させる熱収縮性チューブと、前記加熱ローラが過熱状態になって所定位置から変位したことに起因して、前記加熱源への通電を遮断する遮断手段と、を備えていることを特徴とする定着装置。
(2)前記熱収縮性チューブは、前記定着ベルトにおけるローラ軸方向の両端部にそれぞれ設けられている前項1に記載の定着装置。
(3)前記遮断手段は、加熱ローラが過熱状態になって所定位置から変位した際の温度上昇を感知して前記通電を遮断する前項1または2に記載の定着装置。
(4)前記遮断手段は、加熱ローラが過熱状態になって所定位置から変位した際に該加熱ローラの接触によって前記通電を遮断する前項1または2に記載の定着装置。
(5)前記加熱ローラの軸方向の両端部をそれぞれ径方向からばね力を付勢して、該定着ベルトにおけるローラ幅方向の両端側でのテンションを同等にさせるばね手段を設けてある前項1〜4のいずれかに記載の定着装置。
(6)加熱源による加熱ローラの軸方向での発熱特性は、ローラ軸方向の両端部で同じであり、前記ローラ軸方向の両端部の発熱パターンがローラ軸の中央部の発熱パターンと同等、または単位長あたりのローラ軸方向の端部の発熱量がローラ軸方向の中央部の発熱量よりも大きくなっている前項1〜5のいずれかに記載の定着装置。
(1)加熱源が内蔵された加熱ローラと定着ローラとの間に掛設された定着ベルトと、前記定着ベルトを介して定着ローラの外周に接し、定着ローラに荷重をかけてニップ部を形成するように配設された加圧ローラと、前記定着ベルトの表面に設けられて、前記加熱ローラが過熱状態になった際に収縮して加熱ローラを所定位置から変位させる熱収縮性チューブと、前記加熱ローラが過熱状態になって所定位置から変位したことに起因して、前記加熱源への通電を遮断する遮断手段と、を備えていることを特徴とする定着装置。
(2)前記熱収縮性チューブは、前記定着ベルトにおけるローラ軸方向の両端部にそれぞれ設けられている前項1に記載の定着装置。
(3)前記遮断手段は、加熱ローラが過熱状態になって所定位置から変位した際の温度上昇を感知して前記通電を遮断する前項1または2に記載の定着装置。
(4)前記遮断手段は、加熱ローラが過熱状態になって所定位置から変位した際に該加熱ローラの接触によって前記通電を遮断する前項1または2に記載の定着装置。
(5)前記加熱ローラの軸方向の両端部をそれぞれ径方向からばね力を付勢して、該定着ベルトにおけるローラ幅方向の両端側でのテンションを同等にさせるばね手段を設けてある前項1〜4のいずれかに記載の定着装置。
(6)加熱源による加熱ローラの軸方向での発熱特性は、ローラ軸方向の両端部で同じであり、前記ローラ軸方向の両端部の発熱パターンがローラ軸の中央部の発熱パターンと同等、または単位長あたりのローラ軸方向の端部の発熱量がローラ軸方向の中央部の発熱量よりも大きくなっている前項1〜5のいずれかに記載の定着装置。
前項(1)に記載の発明によれば、加熱源の異常により加熱ローラの表面温度が過度に上昇した場合、定着ベルト表面に被覆した熱収縮性チューブが熱を受けて収縮し、定着ベルトの径が小さくなる。このため、加熱ローラが所定位置から変位し、これに起因して加熱源への通電が遮断される。
つまり、加熱ローラの異常昇温時に、定着ベルトを介して加熱ローラを変位させるから、高価な部品を導入しなくても高い応答性で速やかに加熱源への通電を遮断することができ、これにより定着ベルトが発煙を起こす等の異常事態の発生を未然に防止でき、さらに、加熱ローラの受け部材を溶融したり、ヒータ基板の脆弱部を破戒する必要もない。
前項(2)に記載の発明によれば、定着ベルトにおけるローラ軸方向の両端部にそれぞれ熱収縮性チューブを設けるから、熱収縮性チューブの素材である例えばテフロン(登録商標)等がトナー離型性に劣っていても、その使用部分がローラ軸方向の両端部だけに限定され、このため全体として良好な定着性能を確保できる。
前項(3)に記載の発明によれば、前記遮断手段は、加熱ローラが過熱状態になって所定位置から変位した際の温度上昇を感知して前記加熱源への通電を遮断するから、遮断手段としてサーモスタット等の感温部材ないし温度センサを使用することができ、安価であっても確実な切断動作が可能となる。
前項(4)に記載の発明によれば、前記遮断手段は、加熱ローラが過熱状態になって所定位置から変位した際に該加熱ローラの接触によって前記加熱源への通電を遮断するから、遮断手段として機械的なスイッチを使用することができ、安価であっても確実な切断動作が可能となる。
前項(5)に記載の発明によれば、前記ばね手段により加熱ローラの軸方向の両端部をそれぞれ径方向からばね力を付勢して、定着ベルトにおけるローラ軸方向の両端側でのテンションを同等にさせたから、過熱状態となった際の加熱ローラの変位の偏りがなく、遮断手段の通電遮断動作が的確に行われる。
前項(6)に記載の発明によれば、前記ローラ軸方向の両端部の発熱パターンがローラ軸の中央部の発熱パターンと同等、または単位長あたりのローラ軸方向の端部の発熱量がローラ軸方向の中央部の発熱量よりも大きくなっているから、ローラ軸方向の端部でも中央部位に劣らない定着性が確保される。
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る定着装置が用いられた画像形成装置としてのカラープリンタを示す概略断面図である。以下ではこの例により説明がなされるが、この発明が適用される定着装置を限定的に示すものではない。
図1において、このカラープリンタは、画像形成部1を備え、この画像形成部1の画像プロセス部3には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色に対応して4つの画像形成ユニット3Y,3M,3C,3Kが、矢印a方向に循環する中間転写ベルト11に沿って、上流からY→M→C→Kの順に配置されている。
画像形成ユニット3Y,3M,3C,3Kにおける各感光体ドラム31Y(31M,31C,31Kの説明は略す)上に現像されたトナー画像は、中間転写ベルト11との接触位置で、後述の1次転写ローラ34Y(34M,34C,34Kの説明は略す)によって中間転写ベルト11上に転写される。
中間転写ベルト11上に転写されたトナー画像は、各画像形成ユニット3Y,3M,3C,3Kのそれぞれを通過する度に各色がその上に重ねられ、最終的にフルカラーのトナー画像が中間転写ベルト11上に形成される。
その後、更に下流において、いわゆる2次転写ローラ45によって紙等の記録シート7に一括して転写される。記録シート7が転写位置の下流側の定着装置30を通過することにより、この記録シート7にトナー画像が定着される。定着後の記録シート7は、排紙ローラ71を経て排紙トレイ72上に排出される。
記録シート7は、装置の下部に位置する給送部4における給紙カセット41に収容されており、この給紙カセット41から繰り出しローラ42により1枚ずつ搬送路43に繰り出された後、一対のタイミングローラ44,44により2次転写ローラ45を有する2次転写位置46まで搬送される。
2次転写後に中間転写ベルト11上に残留したトナーは、クリーニングブレード15によって中間転写ベルト11上から除去され、図示しない搬送スクリューで搬送され、図示しない廃トナー容器に回収される。
制御装置6は、この画像形成装置(この例では、カラープリンタ)全体を制御し、この制御装置6から、露光制御装置10に対して画像に応じた信号が送られる。露光制御装置10は、各色に応じて露光部36Y(36M,36C,36Kの説明は略す)のそれぞれを駆動する。
画像形成ユニット3Y(3M,3C,3K)には、感光体ドラム31Yの他、感光体ドラム31Yの表面を帯電させる帯電器32Y(32M,32C,32Kの説明は略す)、露光によって形成された静電潜像に各色のトナーで現像を行うための現像器33Y(33M,33C,33Kの説明は略す)、クリーニング手段35Y(35M,35C,35Kの説明は略す)等が設けられている。
現像されたトナー像は、1次転写手ローラ34Yによって、中間転写ベルト11に1次転写される。1次転写後、感光体ドラム31に残留したトナーは下流に配置されたクリーニング手段35Y(35M,35C,35Kの説明は略す)によって除去され、クリーニング手段35Yの下側から回収される。
なお、各エレメントの配置などは、装置に応じて適時変更してもかまわない。
図2は、前記定着装置30を示す基本構成図、図3は、同じく定着装置30を側板を除いて示す側面断面図、図4は、同じく定着装置30を示す側面断面図である。
図2〜図4において、定着装置30は、加熱ローラ51と、定着ローラ52と、加圧ローラ54と、定着ベルト53と、サーミスタ56と、加熱源55の供給路を遮断するための遮断部59(図4)とを備えている。
前記加熱ローラ51には、加熱源である加熱ヒータ(例えば、ヒータランプ)55が内蔵されている。この加熱ローラ51、定着ローラ52および加圧ローラ54は、互いに並設されており、定着ローラ52および加圧ローラ54は、それぞれの軸方向の両端部がそれぞれ一対の側板58,58に回転可能に支持されている。
また、加熱ローラ51は、その軸方向の両端部がそれぞれ後述する可動ホルダ61を介して一対の側板58,58間に回転可能に支持されている。
前記定着ベルト53は、加熱ローラ51と定着ローラ52との間に掛設されており、定着ベルト53が回転するうちに加熱ローラ51によってその全周が加熱され、所定の温度まで昇温するようになっている。この定着ベルト53の表面は、加熱ローラ51が過度に加熱された状態で収縮する熱収縮性チューブ53c(図10)で被覆されている。
この定着ベルト53の熱収縮性ベルト53cは、前記加熱ローラ51が過熱状態に陥った場合、その熱を受けて収縮し、図4に示すように、前記加熱ローラ51を後述するばね66のばね力に抗して規定の位置から矢印y方向へこの実施形態では例えば0.3mm程度スライド変位させ、遮断部59に近接あるいは接触させる役割を果たす。
前記加圧ローラ54は、定着ローラ52とで定着ベルト53を挟着した状態で圧接しており、これにより、定着ベルト53と加圧ローラ54の接触部に、記録シート7を通過させるニップ部を生じさせてある。なお、加圧ローラ54の内部にも加熱源を配置するようにしてもよい。
加圧ローラ54は、図示しない騒動モータによりこの実施形態では表面速度165mm/sで回転しており、これに伴って定着ベルト53、定着ローラ52が従動するようになっている。
前記サーミスタ56は、カバー57で覆われた状態で加熱ローラ51における定着ベルト53の上方に近接(この実施形態では定着ベルト53の表面からの距離:2.5mm)して配設されており、定着ベルト53の表面の温度を検出する。
つまり、加熱ヒータ55で加熱された加熱ローラ51により定着ベルト53が加熱されると、サーミスタ56によって定着ベルト53の表面の温度が検出される。検出温度は、加熱ローラ51の表面温度に補正され、その温度に応じて加熱ヒータ55のオンオフが図示しないCPUを備えた制御部により制御されるようになっており、これにより加熱ローラ51および定着ローラ52が所定の温度(この実施形態では、例えば加熱側170℃)になるように制御されるようになっている。
前記各側板58には、図5、図8および図9に示すように、略長方形の嵌合孔60が前記定着ローラ52側に傾斜して形成されており、この嵌合孔60には、可動ホルダ61が該嵌合孔60の長手方向へスライド変位可能に嵌合されている。
この可動ホルダ61には、前記加熱ローラ51の端部を嵌合・保持する保持孔62が形成されており、また、可動ホルダ61の上辺中央には、図6および図7に示すように、厚さ方向へ折曲されてばね受け凸部64を有するばね座片63が形成されている。
また、可動ホルダ61の上辺に対向して前記嵌合孔60の内壁には、図5、図8および図9に示すように、ばね座部65が形成されている。
この嵌合孔60の内壁のばね座部65と前記可動ホルダ61のばね座片63との間には、加熱ローラ51を遮断部59から離間する方向(図9の矢印x方向)へのばね力を付勢するばね手段、例えば圧縮コイルばね66が設けられている。
前記遮断部59は、加熱ローラ51が過熱状態となったときに、加熱ヒータ55への通電を緊急遮断するためのものである。この遮断部59は例えばサーモスタットからなり、常時は前記加熱ヒータ55の電力供給路(通電路)を閉じて電力を供給しているが、加熱ローラ51が、過度に高温になり熱収縮性チューブ53cの収縮によって可動ホルダ61と共に、図12に示すように、矢印y方向へスライド変位して遮断部59に近接すると、この異常温度変化を検知し前記加熱ヒータ55の電力供給路(通電路)を遮断する。
なお、この実施形態では、前記加熱ローラ51は例えば外径30mmであり、厚さ0.5mmのアルミニウム芯金51aと、その芯金の表面に形成されたPTFコート(図示省略)とから構成されている。
前記定着ローラ52は、この実施形態では、例えば外径30mmであり、外径18mmの鉄芯金52aと、厚さ4mmの弾性層シリコーンゴム52bと、弾性層シリコーンゴム52bの表面に形成された厚さ2mmのシリコーンスポンジ層52cとから構成されている。
前記定着ベルト53は、この実施形態では例えば外径60mmであり、図10に示すように、厚さ35μmのニッケル基体53aと、このニッケル基体53aの表面に形成された厚さ200μmの弾性シリコーンゴム層53bと、この弾性層シリコーンゴム層53bの表面に熱収縮性のチューブとして厚さ20μmに形成されたPTFEチューブ53cとから構成されている。
前記加圧ローラ54は、この実施形態では例えば外径35mmであり、厚さ2.5mmの鉄芯金54aと、鉄芯金54aの表面に形成された厚さ2.5mmの弾性シリコーンゴム層54bと、厚さ30μmのPFA層54cとから構成されている。また、ニップ荷重は50〜450N、ニップ幅が約9mm、ニップ長手方向幅が約320mmである。
加熱ヒータ55は例えば1000Wであり、サーミスタ56による調節温度は加熱側で170℃に設定されている。
この実施形態において、前記加熱ヒータ55の長さ方向における配光特性は、図16に示すように、長さ方向の中央付近を100%とすると、両端部が115%に設定されており、発光長は長さ方向の中央付近を250mmとすると、両端部が20mmに設定されている。加熱ヒータ55の長さ方向の端部の配光を中央部付近よりも上げているのは、両端部の定着性能を十分確保するためである。ただし、長さ方向の端部と中央部の配光を同等に設定しても良い。
なお、この発明は、以上説明した各種の具体的な条件に限定されるものではなく、装置に応じて適時変更可能である。
上記構成において、加熱ヒータ55により加熱ローラ51が加熱されると、定着ベルト53も加熱される。定着ベルト53が所定の温度に加熱された状態になると、その表面に未定着トナー画像mが形成された記録シート7が定着ローラ52と加圧ローラ54との間におけるニップ部に進入し、記録シート7がニップ部を通過する間にトナー画像mが記録シート7に定着されることになる。
ここで、加熱ヒータ55の加熱により、加熱ローラ51の表面温度が過度に上昇すると、加熱ローラ51に掛設されている定着ベルト53の温度も過度に上昇する。
定着ベルト53の表面には、PTFEからなる熱収縮チューブ53cが設けられているので、定着ベルト53の過度の温度上昇によって前記PTFEの熱収縮性チューブ53cが、例えば収縮温度約320℃で収縮する。
熱収縮性チューブ53cが収縮することにより、定着ベルト53の径が小さくなるので、加熱ローラ51は、可動ホルダ61と共に側板58における嵌合孔60内で規定位置(図11の位置)からスライド変位した状態になる(図12参照)。この場合、可動ホルダ61を介して加熱ローラ51の軸方向の両端部は、2つの圧縮コイルばね66によりそれぞれ径方向から同等のばね力を付勢されており、定着ベルト53におけるローラ軸方向の両端側でのテンションは同等となっているから、ローラ軸方向の両端側での偏りがなく均等且つスムーズに、加熱ローラ51がスライド変位する。
加熱ローラ51が矢印y方向へスライド変位して遮断部59に近づくと、遮断部59が異常温度変化を検出し、加熱ヒータ55の通電を遮断する。
とくに、加熱ローラ51の異常昇温時に定着ベルト53を介して加熱ローラ51を変位させるから、遮断部59により高い応答性で速やかに加熱ヒータ55への通電を遮断することができ、しかも、応答性の高い高価な部品を導入しなくても加熱ヒータ55に対する遮断機能を達成でき、低コスト化に容易に対応可能となる。
定着ベルト53が発煙を起こす温度が400℃、発火温度が800℃であり、その温度以下(320℃)で加熱ヒータ55の通電が遮断されるので、定着ベルト53の発煙や発火を未然、かつ確実に防ぐことができる。
また、従来のように、加熱ローラの軸受け等を溶融させたり、ヒータ基板に割れを生じさせたりすることなく、加熱ヒータ55への通電を遮断する構成であるから、安全性を確保しながら確実に遮断することができる。
前記熱収縮性チューブ53cの収縮動作は、異常高温時でしか起こらないので、通常状態で遮断部59による加熱ヒータ55への通電に対する緊急遮断動作が不用意に行われることはない。
なお、前記緊急遮断用として、過熱時に加熱ローラ51が矢印y方向へスライド変位したときに、加熱ローラ51または稼働ホルダ61等の移動体と接触する位置に機械的スイッチを設け、移動体との接触による前記スイッチの開閉動作により、加熱ヒータ55への通電を遮断する構成としても良い。この場合は、比較的安価な機械的スイッチを使用でき、それによっても通電遮断動作を確実に行わせることができる。
ところで、前記定着ベルト53における熱収縮性チューブ53cによるテンション方向に対して加熱ローラ51のスライド変位方向(矢印y)の角度θを図13に示すように比較的小さく設定した場合では、定着ベルト53の収縮による加熱ローラ51のスライド変位量が比較的小さくなる。
これに対して熱収縮性チューブ53cによるテンション方向に対して加熱ローラ51のスライド変位方向(矢印y)の角度θを図14に示すように比較的大きく設定した場合では、定着ベルト53の収縮による加熱ローラ51のスライド変位量が比較的大きくなる。つまり、この場合、定着ベルト53の少しの収縮量でも加熱ローラ51の移動量を大きくすることができる。
また、図17に熱収縮性チューブ53cの収縮前の状態を、図18に収縮後の状態を示すように、圧縮ばね66により加熱ローラ51を付勢する方向Z1と、加熱ローラ51のスライド変位方向Z2との角度を大きくすることで、熱収縮性チューブ53cの収縮時に圧縮ばね66の影響を小さくすることができ、定着ベルト53の収縮力を有効に生かして、加熱ローラ51のスライド変位による加熱ヒータ55の遮断動作の反応性を高めることができる。
ところで、以上の実施形態では、定着ベルト53の略全域に熱収縮性チューブ53cを被覆した例を説明したが、熱収縮性チューブ53cの被覆位置はこれに限定されるものではない。
つまり、例えば300℃付近で収縮する熱収縮性チューブ53cとしては、PTFEやHSTTT等の材質からなるチューブが挙げられるが、これらのチューブは、トナーの離型性、画像に優れているとはいえない点がある。
このことから、図15に示すように、定着ベルト53の通紙範囲内の領域には、離型性に優れているPFAチューブ53dを被覆し、通紙範囲外である幅方向(ローラ軸方向)の両端部には、図15に示すように、熱収縮性チューブ53cを被覆することにより、トナーの離型性を確保できる効果を現出することができる。
このように、定着ベルト53の幅方向(ローラ軸方向)の両端部に、熱収縮性チューブ53cを被覆した場合には、加熱ヒータ55の長さ方向における配光特性を、図16に示すように、長さ方向の中央部よりも両端部を高く設定しておく技術的意義が、より顕著に発揮される。
51・・・加熱ローラ
52・・・定着ローラ
53・・・定着ベルト
53c・・熱収縮性チューブ
54・・・加圧ローラ
55・・・加熱源(加熱ヒータ)
59・・・遮断手段
66・・・ばね
52・・・定着ローラ
53・・・定着ベルト
53c・・熱収縮性チューブ
54・・・加圧ローラ
55・・・加熱源(加熱ヒータ)
59・・・遮断手段
66・・・ばね
Claims (6)
- 加熱源が内蔵された加熱ローラと定着ローラとの間に掛設された定着ベルトと、
前記定着ベルトを介して定着ローラの外周に接し、定着ローラに荷重をかけてニップ部を形成するように配設された加圧ローラと、
前記定着ベルトの表面に設けられて、前記加熱ローラが過熱状態になった際に収縮して加熱ローラを所定位置から変位させる熱収縮性チューブと、
前記加熱ローラが過熱状態になって所定位置から変位したことに起因して、前記加熱源への通電を遮断する遮断手段と、
を備えていることを特徴とする定着装置。 - 前記熱収縮性チューブは、前記定着ベルトにおけるローラ軸方向の両端部にそれぞれ設けられている請求項1に記載の定着装置。
- 前記遮断手段は、加熱ローラが過熱状態になって所定位置から変位した際の温度上昇を感知して前記通電を遮断する請求項1または2に記載の定着装置。
- 前記遮断手段は、加熱ローラが過熱状態になって所定位置から変位した際に該加熱ローラの接触によって前記通電を遮断する請求項1または2に記載の定着装置。
- 前記加熱ローラの軸方向の両端部をそれぞれ径方向からばね力を付勢して、該定着ベルトにおけるローラ幅方向の両端側でのテンションを同等にさせるばね手段を設けてある請求項1〜4のいずれかに記載の定着装置。
- 加熱源による加熱ローラの軸方向での発熱特性は、ローラ軸方向の両端部で同じであり、
前記ローラ軸方向の両端部の発熱パターンがローラ軸の中央部の発熱パターンと同等、または単位長あたりのローラ軸方向の端部の発熱量がローラ軸方向の中央部の発熱量よりも大きくなっている請求項1〜5のいずれかに記載の定着装置。
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ID=42258615
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JP (1) | JP2010096873A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2008
- 2008-10-14 JP JP2008265795A patent/JP2010096873A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US9659250B2 (en) | 2011-08-31 | 2017-05-23 | Hitachi Power Solutions Co., Ltd. | Facility state monitoring method and device for same |
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