JP2010093054A - 電子部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 内部電極と誘電体層とが交互に積層してあり、誘電体層がCZ系、CSZT系の誘電体セラミックを主成分とした電子部品を、デジタルカメラにより撮影した画像のコンピュータ処理により外観検査する際に、内部電極をクラックと誤認して良品を除外してしまうエラーを低減すること。
【解決手段】 内部電極と誘電体層とが交互に積層してある電子部品であって、
前記誘電体層が、
[(CaSr1−x)O][(Zr1−y−zTiHf)O]で示される組成の誘電体酸化物を含む主成分(式中、m、x、yおよびzが、0.96≦m≦1.04、0≦x<1、0≦y≦0.10、0<z≦0.02の関係にある)、
主成分100モル部に対して、Mn酸化物をMnOに換算して0.2〜5モル部、
主成分100モル部に対して、Al酸化物をAlに換算して0.1〜0.5モル部、および
Ni,CoおよびCuからなる群から選択される少なくとも1種の元素またはその酸化物を含む誘電体磁器組成物からなり、
前記電子部品表面の明度(L*、JIS Z 8730準拠)が80以下である電子部品。
【選択図】 なし

Description

本発明は、内部電極と誘電体層とが交互に積層された積層セラミックコンデンサなどの電子部品に関し、さらに詳しくは、カメラを用いた外観検査によって良品と不良品とを高い精度で選別可能な電子部品に関する。
積層セラミックコンデンサは、電子部品として広く利用されており、1台の電子機器の中で使用される個数も多数にのぼる。積層セラミックコンデンサは、通常、内部電極層用のペーストと誘電体層用のペーストとを、シート法や印刷法等により積層し、同時焼成して製造される。このような電子部品では、誘電体層や内部電極の組成や、製造プロセスなどについて種々の提案がなされている(たとえば特許文献1、2等)。
ところで電子部品においては、所定の製造プロセスが終了後に、クラックの有無により良品と不良品とを選別し、不良品については除外し、良品のみを出荷している。多数の部品を選別するため、目視による判定は一般的ではなく、現在ではデジタルカメラにより撮影した画像をコンピュータ処理して、クラックの有無を判定している。
しかし、誘電体セラミック、特にCZ系と呼ばれるCaZrO、CSZT系と呼ばれる(CaSr1−x)(TiZr1−y)OおよびこれらのZrまたはTiの一部がHfにより置換されたセラミック材料は、比較的明度が高く、透明性であるため、電子部品の内部電極が透けてしまうことがあった。このため、撮影した画像にも内部電極が現れてしまい、クラックと誤認されることがあった。この結果、本来クラックの存在しない良品を不良品と誤認して除外しまい、製品の歩留まりが低下する。一方、目視による選別を併用すると、コストの増大を招く。
特許第2997236号公報 WO2004/063119パンフレット
したがって、本発明は、内部電極と誘電体層とが交互に積層してあり、誘電体層がCZ系、CSZT系の誘電体セラミックを主成分とした電子部品を、デジタルカメラにより撮影した画像のコンピュータ処理により外観検査する際に、内部電極をクラックと誤認して良品を除外してしまうエラーを低減することを目的としている。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討したところ、CZ系、CSZT系の誘電体セラミックを誘電体層の主成分とした電子部品において、部品表面の明度を低下させることで、かかるエラーが低減されうるとの着想を得た。しかし、電子部品の基本的物性に影響を与えることなく、部品表面の明度を低下させることは容易ではない。このため、さらに検討を続けた結果、Mnと特定の副成分を併用すると電子部品の基本物性に影響を与えることなく部品が着色し、エラーが防止されるという知見を得て、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題を解決する本発明は、下記事項を要旨として含む。
内部電極と誘電体層とが交互に積層してある電子部品であって、
前記誘電体層が、
[(CaSr1−x)O][(Zr1−y−zTiHf)O]で示される組成の誘電体酸化物を含む主成分(式中、m、x、yおよびzが、
0.96≦m≦1.04、
0≦x<1、
0≦y≦0.10、
0<z≦0.02の関係にある)、
主成分100モル部に対して、Mn酸化物をMnOに換算して0.2〜5モル部、
主成分100モル部に対して、Al酸化物をAlに換算して0.1〜0.5モル部、および
Ni,CoおよびCuからなる群から選択される少なくとも1種の元素またはその酸化物を含む誘電体磁器組成物からなり、
前記電子部品表面の明度(L*、JIS Z 8730準拠)が80以下である電子部品。
本発明によれば、内部電極と誘電体層とが交互に積層してあり、誘電体層がCZ系、CSZT系の誘電体セラミックを主成分とした電子部品を、デジタルカメラにより撮影した画像のコンピュータ処理により外観検査する際に、内部電極をクラックと誤認して良品を除外してしまうエラーを低減することができる。
以下、本発明を、その最良の形態を含めて、図面に示す実施形態を参照し詳細に説明する。
積層セラミックコンデンサ
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る電子部品としての積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層2と内部電極層3とが交互に積層された構成のコンデンサ素子本体10を有する。このコンデンサ素子本体10の両端部には、素子本体10の内部で交互に配置された内部電極層3と各々導通する一対の外部電極4が形成してある。コンデンサ素子本体10の形状に特に制限はないが、通常、直方体状とされる。また、その寸法にも特に制限はなく、用途に応じて適当な寸法とすればよいが、通常、(0.4〜5.6mm)×(0.2〜5.0mm)×(0.2〜1.9mm)程度である。
内部電極層3は、各端面がコンデンサ素子本体10の対向する2端部の表面に交互に露出するように積層してある。一対の外部電極4は、コンデンサ素子本体10の両端部に形成され、交互に配置された内部電極層3の露出端面に接続されて、コンデンサ回路を構成する。
電子部品表面の明度
本発明に係る電子部品の表面の明度(L*)は80以下であり、好ましくは70以下、さらに好ましくは60以下、特に好ましくは55以下である。電子部品表面の明度(L*)は、JIS Z 8730準拠して測定される。電子部品表面の明度(L*)が上記範囲にあると、電子部品表面を観察した際に内部電極が透けて見えてしまうことがない。このため、デジタルカメラにより撮影した画像のコンピュータ処理により外観検査する際に、内部電極をクラックと誤認して良品を除外してしまうエラーを低減することができる。
電子部品の基本的物性に影響を与えることなく、部品表面の明度を低下させることは容易ではないが、下記のような特定組成の誘電体磁器組成物により誘電体層を形成することで、電子部品表面の明度を上記範囲に制御できる。
誘電体層2
(誘電体磁器組成物)
誘電体層2は、[(CaSr1−x)O][(Zr1−y−zTiHf)O]で示される組成の誘電体酸化物を主成分とし、Mnの価数が4価以上のMn酸化物を含む誘電体磁器組成物からなる。
ただし、上式において、組成モル比を示す記号m、x、yおよびzは、
0.96≦m≦1.04、好ましくは0.980≦m≦1.020、
0≦x≦1、好ましくは0≦x≦0.5、
0≦y≦0.10、好ましくは0≦y≦0.05、
0<z≦0.02、好ましくは0<z≦0.01の関係にある。
主成分の組成式中のmの値が小さすぎると、静電容量およびtanδの周波数依存性が大きくなり、またZrOが析出する傾向にあり、大きすぎると、1300℃以下の焼成温度では焼成し難くなる傾向にある。
主成分の組成式中のxの値は特に限定はされないが、大きくなるにしたがい、静電容量およびtanδの周波数依存性が大きくなる傾向にあり、小さくなるにしたがい、焼結性が低下する傾向にある。
また、組成式中のyの値の下限は特に限定はされないが、小さくなるにしたがい、焼結性が低下する傾向にあり、大きすぎると、静電容量およびtanδの周波数依存性が大きくなり、また異相が析出しクラックを誘発する傾向にある。
さらに、組成式中のzの値が小さくなるにしたがい、焼結性が低下する傾向にあり、また静電容量およびtanδの周波数依存性が大きくなる傾向にあり、大きすぎると、異相が析出しクラックを誘発する傾向にある。
誘電体磁器組成物は、上記主成分に加えてMn酸化物を含有する。Mn酸化物の含有量は、前記主成分100モル部に対して、前記Mn酸化物をMnOに換算して好ましくは0.2〜5モル部、さらに好ましくは0.5〜3モル部である。
Mn酸化物は、通常は耐還元性付与剤および焼結助剤として添加され、本発明においてもこれらの作用を発現する。Mn酸化物の添加量が少なすぎると、焼結性が低下し、多すぎると誘電率および静電容量の温度係数の周波数依存性が大きくなると共に、tanδの周波数依存性が大きくなってくる傾向にある。
本発明においては、電子部品表面の明度に影響する誘電体層の着色を促進する元素または酸化物(以下、「副成分」と呼ぶ)を添加する。
副成分としてはNi,CoおよびCuからなる群から選択される少なくとも1種の元素またはその酸化物が用いられ、特にNiO、CoOおよびCuOが好ましく用いられる。
副成分の含有量は、前記主成分100モル部に対して、金属元素に換算して好ましくは0.01〜1.5モル部、さらに好ましくは0.02〜1モル部である。また、副成分(金属換算)とMn(金属換算)とのモル比(副成分:Mn)は、好ましくは1:2〜1:20、さらに好ましくは1:3〜1:15、特に好ましくは1:5〜1:10である。副成分の含有量が少なすぎる場合には、電子部品表面の明度が下がらず、本発明の目的が奏されないことがある。一方、副成分の含有量が多すぎると、電子部品の基本的物性が変化してしまうことがある。
上記の誘電体磁器組成物は、前記主成分、Mn酸化物および副成分に加えて、Alを含む。Alは、前記主成分100モル部に対して、0.1〜0.5モル部、好ましくは0.1〜0.3モル部の割合で含まれる。Alの添加量が少なすぎると、絶縁抵抗および焼結性が低下し、多すぎると誘電体層内または層間にアルミニウム由来の異相が析出し、クラックを誘発することがある。
さらに、上記の誘電体磁器組成物は、ガラス成分を含んでいても良い。好ましくは、前記ガラス成分が、少なくともSiOを主成分として含む。また、ガラス成分は、さらに、BaOとCaOとを含み、一般式[(BaCa1−v)O]SiO(珪酸バリウム/カルシウム)で表される複合酸化物であることが、より好ましい。
上記組成式中のv、wがそれぞれ、0≦v≦1、0.5≦w≦4.0の範囲にあり、前記ガラス成分が、前記主成分100モル部に対して、0.5〜15モル部、さらに好ましくは0.1〜5モル部含有する。さらに好ましくは、ガラス成分の組成式中のv、wは、0.5≦v≦1、0.55≦w≦3.0の範囲である。
ガラス成分の組成式中のvの値が小さすぎると、誘電体層を5μm以下と薄層化したときに、IR加速寿命が短くなってくる傾向にあり、vの値が大きすぎると、焼結性が低下する傾向にある。
ガラス成分は、焼結助剤として添加される。このガラス成分の添加量が少なすぎると、焼結性が低下する傾向にあり、多すぎると、焼結性を阻害する傾向にある。
誘電体磁器組成物は、好ましくは、ScおよびYを含む希土類元素のうちの少なくとも1つを、主成分100モル部に対して、0.02〜1.5モル部、さらに好ましくは0.10〜1.0モル部含む。なお、希土類元素には、Sc、Yの他に、ランタノイド元素で構成される17元素が含まれる。
誘電体磁器組成物は、好ましくは、V、Nb、Mo、Ta、WおよびMgの内の少なくとも1つを、主成分100モル部に対して、0.02〜1.5モル部、さらに好ましくは0.10〜1.0モル部含む。これらの元素は、前記の希土類元素と組み合わせて誘電体磁器組成物中に含有させても良い。その場合には、合計の含有量が、前記主成分100モル部に対して、0.02〜1.5モル部、さらに好ましくは0.10〜1.0モル部であることが好ましい。
これらの元素(希土類元素含む)の酸化物を添加することにより、静電容量の温度係数およびtanδの周波数依存性を抑制することができる。これらの酸化物の添加量が少なすぎると、静電容量の温度係数およびtanδの周波数依存性の抑制効果が得難くなる傾向にあり、添加量が多すぎると、焼結温度が高くなる傾向にある。
なお、図1に示す誘電体層2の積層数や厚み等の諸条件は、目的や用途に応じ適宜決定すればよい。しかしながら、上記の誘電体磁器組成物は、特に誘電体層が薄い場合であってもクラックの発生を抑制しうるため、誘電体層の厚さは1.0〜3.0μm程度であることが好ましい。また、誘電体層2は、結晶グレインと粒界相とで構成され、誘電体層2の結晶グレインの平均粒径は1.0μm以下であることが好ましい。
内部電極層3
内部電極層3に含有される導電材は、特に限定されないが、誘電体層2の構成材料が耐還元性を有するため、卑金属を用いることができる。導電材として用いる卑金属としては、NiまたはNi合金が好ましい。Ni合金としては、Mn,Cr,CoおよびAlから選択される1種以上の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P,Fe,Mg等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。
内部電極層の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよいが、通常、0.5〜5μm、特に1〜2.5μm程度であることが好ましい。
外部電極4
外部電極4に含有される導電材は、特に限定されないが、通常、CuやCu合金あるいはNiやNi合金等を用いる。なお、AgやAg−Pd合金等も、もちろん使用可能である。なお、本実施形態では、安価なNi,Cuや、これらの合金を用いる。外部電極の厚さは用途等に応じて適宜決定されればよいが、通常、10〜50μm程度であることが好ましい。
積層セラミックコンデンサの製造方法
本発明の誘電体磁器組成物を用いた積層セラミックコンデンサは、従来の積層セラミックコンデンサと同様に、ペーストを用いた通常の印刷法やシート法によりグリーンチップを作製し、これを焼成した後、外部電極を印刷または転写して焼成することにより製造される。以下、製造方法について具体的に説明する。
まず、誘電体層用ペースト、内部電極用ペースト、外部電極用ペーストをそれぞれ製造する。
誘電体層用ペースト
誘電体層用ペーストは、誘電体原料と有機ビヒクルとを混練した有機系の塗料であってもよく、水系の塗料であってもよい。
誘電体原料には、前述した主成分を構成する各種化合物、マンガン化合物、副成分、ならびに所望により添加される各種成分が含まれる。誘電体原料中の各化合物の配合割合は、目的とする最終組成に応じて適宜に設定され、またこれらの原料粉末は、適宜に粉砕して用いてもよい。
有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものであり、有機ビヒクルに用いられるバインダは、特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等の通常の各種バインダから適宜選択すればよい。また、このとき用いられる有機溶剤も特に限定されず、印刷法やシート法等利用する方法に応じてテルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン等の有機溶剤から適宜選択すればよい。
また、水溶系塗料とは、水に水溶性バインダ、分散剤等を溶解させたものであり、水溶系バインダは、特に限定されず、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性アクリル樹脂、エマルジョン等から適宜選択すればよい。
内部電極用ペースト,外部電極用ペースト
内部電極用ペーストは、上述した各種導電性金属や合金からなる導電材料あるいは焼成後に上述した導電材料となる各種酸化物、有機金属化合物、レジネート等と、上述した有機ビヒクルとを混練して調製される。また、外部電極用ペーストも、この内部電極用ペーストと同様にして調製される。
上述した各ペーストの有機ビヒクルの含有量は、特に限定されず、通常の含有量、たとえば、バインダは1〜5重量%程度、溶剤は10〜50重量%程度とすればよい。また、各ペースト中には必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、絶縁体等から選択される添加物が含有されても良い。
印刷法を用いる場合は、誘電体ペーストおよび内部電極用ペーストをポリエチレンテレフタレート等の基板上に積層印刷し、所定形状に切断したのち基板から剥離することでグリーンチップとする。これに対して、シート法を用いる場合は、誘電体ペーストを用いてグリーンシートを形成し、この上に内部電極ペーストを印刷したのちこれらを積層してグリーンチップとする。
次に、このグリーンチップを脱バインダ処理および焼成する。
脱バインダ処理
脱バインダ処理は、通常の条件で行えばよいが、特に内部電極層の導電材としてNiやNi合金等の卑金属を用いる場合には、空気雰囲気において、昇温速度を5〜300℃/時間、より好ましくは10〜100℃/時間、保持温度を180〜400℃、より好ましくは200〜300℃、温度保持時間を0.5〜24時間、より好ましくは5〜20時間とする。
本焼成
グリーンチップの焼成雰囲気は、内部電極層用ペースト中の導電材の種類に応じて適宜決定すればよいが、導電材としてNiやNi合金等の卑金属を用いる場合には、還元雰囲気とすることが好ましく、焼成雰囲気の酸素分圧を、好ましくは10−10〜1Paとし、より好ましくは10−8〜10-5Pa(10−13〜10−10atm)とする。焼成時の酸素分圧が低すぎると内部電極の導電材が異常焼結を起こして途切れてしまう傾向にあり、酸素分圧が高すぎると内部電極が酸化される傾向にある。
本焼成の保持温度は、前述したように、1150〜1300℃、好ましくは1170〜1270℃、より好ましくは1200〜1250℃である。保持温度が低すぎると緻密化が不充分となる傾向にあり、保持温度が高すぎると内部電極の異常焼結による電極の途切れまたは内部電極材質の拡散により容量温度特性が悪化する傾向にある。
これ以外の焼成条件としては、昇温速度を50〜500℃/時間、より好ましくは200〜300℃/時間、温度保持時間を0.5〜8時間、より好ましくは1〜3時間、冷却速度を50〜500℃/時間、より好ましくは200〜300℃/時間とし、焼成雰囲気は還元性雰囲気とすることが望ましく、雰囲気ガスとしてはたとえば、窒素ガスと水素ガスとの混合ガスを加湿して用いることが望ましい。
還元性雰囲気で焼成した場合は、コンデンサチップの焼結体にアニール(熱処理)を施すことが望ましい。
アニール(熱処理)
アニールは誘電体層を再酸化するための処理であり、これにより絶縁抵抗を増加させることができる。アニール雰囲気の酸素分圧は、好ましくは10−4Pa以上、より好ましくは1〜10−3Pa(10−5〜10−8atm)である。酸素分圧が低すぎると誘電体層2の再酸化が困難となる傾向にあり、酸素分圧が高すぎると内部電極層3が酸化される傾向にある。
アニールの際の保持温度は、1150℃以下、より好ましくは600〜900℃である。保持温度が低すぎると誘電体層の再酸化が不充分となって絶縁抵抗が悪化し、その加速寿命も短くなる傾向がある。また、保持温度が高すぎると内部電極が酸化されて容量が低下するだけでなく、誘電体素地と反応してしまい、容量温度特性、絶縁抵抗およびその加速寿命が悪化する傾向がある。なお、アニールは昇温行程および降温行程のみから構成することもできる。この場合には、温度保持時間はゼロであり、保持温度は最高温度と同義である。
これ以外のアニール条件としては、温度保持時間を0〜10時間、より好ましくは1〜5時間、冷却速度を50〜500℃/時間、より好ましくは100〜300℃/時間とし、アニールの雰囲気ガスとしては、たとえば、窒素ガスを加湿して用いることが望ましい。
なお、上述した焼成と同様に、前記脱バインダ処理およびアニール工程において、窒素ガスや混合ガスを加湿するためには、たとえばウェッター等を用いることができ、この場合の水温は5〜75℃とすることが望ましい。
また、これら脱バインダ処理、焼成およびアニールは連続して行っても互いに独立して行っても良い。これらを連続して行う場合には、脱バインダ処理ののち冷却することなく雰囲気を変更し、続いて焼成の際の保持温度まで昇温して焼成を行い、続いて冷却してアニールの保持温度に達したら雰囲気を変更してアニール処理を行うことがより好ましい。一方、これらを独立して行う場合には、焼成に関しては脱バインダ処理時の保持温度まで窒素ガスあるいは加湿した窒素ガス雰囲気下で昇温したのち、雰囲気を変更してさらに昇温を続けることが好ましく、アニールの保持温度まで冷却したのちは、再び窒素ガスまたは加湿した窒素ガス雰囲気に変更して冷却を続けることが好ましい。また、アニールに関しては窒素ガス雰囲気下で保持温度まで昇温したのち雰囲気を変更しても良く、アニールの全工程を加湿した窒素ガス雰囲気としても良い。
以上のようにして得られたコンデンサ焼成体に、たとえば、バレル研磨やサンドブラストにより端面研磨を施し、外部電極用ペーストを印刷または転写して焼成し、外部電極4を形成する。外部電極用ペーストの焼成条件は、たとえば、加湿した窒素ガスと水素ガスとの混合ガス中で600〜800℃にて10分〜1時間程度とすることが好ましい。そして、必要に応じて外部電極4の表面にメッキ等により被覆層(パッド層)を形成する。
このようにして製造された本実施形態のセラミックコンデンサ1は、はんだ付け等によってプリント基板上に実装され、各種電子機器に用いられる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、上述した実施形態では、本発明に係る電子部品として積層セラミックコンデンサを例示したが、本発明に係る電子部品としては、積層セラミックコンデンサに限定されず、上記組成の誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層を有するものであれば何でも良い。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例および比較例
まず、誘電体材料を作製するための出発原料として、それぞれ平均粒径0.1〜1.5μmの主成分原料(SrCO、CaCO、TiO、ZrO、HfO)、MnCO、Al、および焼結助剤(SiOまたはガラス成分)を用意した。
これらの原料を、焼成後の組成が下記の表1〜3に示す組成となるように秤量した後、この原料に媒体として水を加えて20時間ボールミルで混合し、高分散混合を行った。その後に、この混合物を乾燥させ、その乾燥物を、1250℃および2時間の条件で仮焼した。その後に、得られた仮焼物をボールミルで湿式粉砕して乾燥させた。
このようにして得られた乾燥後の誘電体原料100重量部と、アクリル樹脂4.8重量部と、塩化メチレン40重量部と、酢酸エチル20重量部と、ミネラルスピリット6重量部と、アセトン4重量部とをボールミルで混合してペースト化し、誘電体層用ペーストを得た。
次いで、Ni粒子100重量部と、有機ビヒクル(エチルセルロース8重量部をブチルカルビトール92重量部に溶解したもの)40重量部と、ブチルカルビトール10重量部とを3本ロールにより混練してペースト化し、内部電極層用ペーストを得た。
次いで、Cu粒子100重量部と、有機ビヒクル(エチルセルロース樹脂8重量部をブチルカルビトール92重量部に溶解したもの)35重量部およびブチルカルビトール7重量部とを混練してペースト化し、外部電極用ペーストを得た。
次いで、上記誘電体層用ペーストを用いてPETフィルム上に、厚さ4μmのグリーンシートを形成し、この上に内部電極層用ペーストを印刷したのち、PETフィルムからグリーンシートを剥離した。次いで、これらのグリーンシートと保護用グリーンシート(内部電極層用ペーストを印刷しないもの)とを積層、圧着してグリーンチップを得た。内部電極を有するシートの積層数は300層とした。
次いで、グリーンチップを所定サイズに切断し、脱バインダ処理、焼成およびアニール(熱処理)を行って、積層セラミック焼成体を得た。脱バインダ処理は、昇温速度60℃/時間、保持温度260℃、保持時間8時間、空気雰囲気の条件で行った。また、焼成は、昇温速度200℃/時間、保持温度1230℃、保持時間2時間、冷却速度300℃/時間、加湿したN+H混合ガス雰囲気(酸素分圧は1×10−7Paに調節)の条件で行った。アニールは、保持温度700℃、温度保持時間2時間、冷却速度300℃/時間、加湿したNガス雰囲気(酸素分圧は1Pa)の条件で行った。なお、焼成およびアニールの際の雰囲気ガスの加湿には、水温を35℃としたウェッターを用いた。
次いで、積層セラミック焼成体の端面をサンドブラストにて研磨したのち、外部電極用ペーストを端面に転写し、加湿したN+H雰囲気中において、800℃にて10分間焼成して外部電極を形成し、図1に示す構成の積層セラミックコンデンサのサンプルを得た。
このようにして得られた各サンプルのサイズは、3.2mm×1.6mm×0.6mmであり、内部電極層に挟まれた誘電体層の数は300、その厚さは4μmであり、内部電極層の厚さは1.5μmであった。各サンプルについて下記特性の評価を行った。
カメラ外観によるクラック発生率
上記で得られたサンプルについて目視による外観観察を行い、クラック発生の無いサンプル100個を選択した。
これら100個のサンプルの外観をカメラにより観察し、カメラ観察の結果、クラックが発生していると判定されたサンプル数をカウントし、「カメラ外観によるクラック発生率」を求めた。
表面の明度(L*)
上記で選択した100個のサンプルについて、JIS Z 8730準拠して表面の明度(L*)を測定し、平均値を算出した。明度測定は、日本電色工業製 微小面色差計VSR−400にて、チップの積層方向、及び幅方向のチップ表面で、Ni内部電極と重ならない箇所の明度を測定し、その平均値を算出した。
結果を表1、表2および表3に示す。なお、表中「*」を付したサンプルは本願の比較例である。また、各サンプルの対比を明確にするため、サンプル1,2,3,4,5,7については、重複して記載した。
Figure 2010093054
Figure 2010093054
Figure 2010093054
表1〜3に示すように、本願の範囲を外れるサンプルでは、目視外観により良品とされるクラックの有しないサンプルであっても、カメラ外観では不良品と判定されることがあった。
本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図を示す。
符号の説明
1…積層セラミックコンデンサ
2…誘電体層
3…内部電極層
4…外部電極
10…コンデンサ素子本体

Claims (1)

  1. 内部電極と誘電体層とが交互に積層してある電子部品であって、
    前記誘電体層が、
    [(CaSr1−x)O][(Zr1−y−zTiHf)O]で示される組成の誘電体酸化物を含む主成分(式中、m、x、yおよびzが、
    0.96≦m≦1.04、
    0≦x<1、
    0≦y≦0.10、
    0<z≦0.02の関係にある)、
    主成分100モル部に対して、Mn酸化物をMnOに換算して0.2〜5モル部、
    主成分100モル部に対して、Al酸化物をAlに換算して0.1〜0.5モル部、および
    Ni,CoおよびCuからなる群から選択される少なくとも1種の元素またはその酸化物を含む誘電体磁器組成物からなり、
    前記電子部品表面の明度(L*、JIS Z 8730準拠)が80以下である電子部品。
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