JP2010090566A - 地下水取水施設 - Google Patents

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  • Investigation Of Foundation Soil And Reinforcement Of Foundation Soil By Compacting Or Drainage (AREA)

Abstract

【課題】地下ダムにより地下水を有効に取水可能であり、施工を合理的かつ経済的に行い得る有効適切な地下水取水施設を提供する。
【解決手段】高透水層3の要所に止水壁を構築して地下水を堰き止め、その近傍の難透水層中に底部が高透水層の底部よりもさらに深部に達する立坑8を構築し、高透水層内の底部に集水トンネル7を設けてその下流端部を立坑8の底部に接続し、高透水層内の各所に集水孔6を多数設けてそれらの下流端部を集水トンネル7に接続し、立坑の最底部に地下水を揚水する水中ポンプ9を設置するための吸水槽10を設ける。集水トンネルを高透水層の底部よりさらに下部の難透水層内に設けても良い。集水トンネルを止水壁の長さ方向に沿って設けて集水孔を高透水層に上流側に向けて設ける。あるいは、集水トンネルを止水壁から距離をおいて設ける場合には集水孔を下流側に向けて設ける。
【選択図】図3

Description

本発明は地下水取水施設に関し、特に難透水層上に堆積している高透水層内を流下する地下水を止水壁により堰き止めて取水する構造の地下水取水施設に関する。
この種の地下水取水施設としては、たとえば特許文献1に示されるようないわゆる地下ダムによるものが提案されている。
これは、上面に谷地形を有する難透水層上に堆積している高透水層からの取水を行うものであって、高透水層内の下流側に地下ダムとして機能する止水壁を設けてそこで地下水を堰き止めることによりその上流側に地下水の貯留域を形成し、そこに多数の集水孔と集水トンネル設けるとともにそれらにより集水した地下水を立坑により揚水するようにしたものであり、貯留域に死水域が生じることなくその全域から有効に取水可能なものである。
特開2007−46323号公報
しかし、特許文献1に示される地下水取水施設は立坑を止水壁の上流側の高透水層内に設置していることから、立地条件によってはその施工が不可能であったり、可能であっても非常に困難がある。
すなわち、充分な地下水が存する高透水層に立坑を施工する際には、地盤強度によっては施工時の地盤安定性を確保できない場合があるので大がかりな支保や充分な仮設工事を必要とするばかりでなく、多量の湧水(地下水)が切羽に集中することが不可避であるのでその排水のためにも多大な手間と費用を要する。そのため、この種の施設の施工に際しては特に立坑の施工を合理的かつ経済的に行うことが不可能ないし困難であって、そのことがこの種の施設の普及を阻む一因ともなっていた。
上記事情に鑑み、本発明は地下ダムによって高透水層全域から有効に取水可能であり、かつその施工を合理的かつ経済的に行い得る有効適切な地下水取水施設を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、難透水層の上部に形成されている溝状凹部内に高透水層が堆積している地盤を対象として、前記高透水層内を流下する地下水を集水し取水するための地下水取水施設であって、前記高透水層の要所に地下ダムとして機能する止水壁を構築して該高透水層内を流下する地下水を堰き止めるとともに、該止水壁の近傍の難透水層中に底部が前記高透水層の底部よりもさらに深部に達する立坑を構築し、前記高透水層内の底部に前記立坑に向かって下がり勾配の集水トンネルを設けて該集水トンネルの下流端部を前記立坑の底部に接続するとともに、前記高透水層内の各所に前記集水トンネルに向かって下がり勾配の集水孔を多数設けてそれら集水孔の下流端部を前記集水トンネルに接続することにより、前記高透水層内の各所から前記集水孔および前記集水トンネルを介して前記立坑に地下水を集水可能とし、前記立坑の最底部に、該立坑に集水した地下水を揚水する水中ポンプを設置するための吸水槽を設けてなることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の地下水取水施設において、前記集水トンネルを前記高透水層内の底部に設けることに代えて前記溝状凹部の底部よりさらに下部の難透水層内に設けてなることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明の地下水取水施設において、前記集水トンネルを前記止水壁の上流側近傍位置に該止水壁の長さ方向に沿って設けるとともに、前記集水孔を該集水トンネルから前記高透水層にその上流側斜め上方に向けて設けてなることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1または2記載の発明の地下水取水施設において、前記集水トンネルを前記止水壁の上流側に該止水壁と距離をおいた位置においてその長さ方向に沿って設けるとともに、前記集水孔を該集水トンネルから前記高透水層内にその上流側斜め上方および下流側斜め上方に向けて設けてなることを特徴とする。
本発明によれば、従来のこの種の地下水取水施設と同様に、地下ダムとしての止水壁の上流側の高透水層の全域から地下水を有効に取水可能であることはもとより、立坑を高透水層の側方の難透水層中に設けるので、立坑を高透水層内に設ける従来の場合のように施工時の地盤安定性や湧水処理が大きな問題になることはなく、したがって立坑を含めて施設全体を合理的かつ経済的に施工することが可能となる。
加えて、立坑のみならず集水トンネルも同様に難透水層中に設けることにより、集水トンネルも合理的かつ経済的に施工することができる。
また、集水トンネルは可及的に止水壁近傍に設けることが好ましく、その場合には集水孔を集水トンネルから上流側に向けて設けることで全域から有効に取水可能であるが、集水トンネルを止水壁と距離をおいて設ける場合や、立地条件から距離をおかざるを得ない場合には、集水孔を上流側のみならず下流側(止水壁側)に向けて設けることにより、止水壁近傍の領域に死水域が生じることなくそこからも有効に取水することが可能である。
「第1実施形態」
図1〜図3に本発明の第1実施形態である地下水取水施設を示す。これは、基盤岩からなる難透水層1の上部に形成されている溝状凹部2内に高透水層3が堆積している地盤を対象として、その高透水層3内を海域4に向かって流下する地下水を集水して取水するための施設である。
本実施形態の施設は、高透水層3の下流側の地盤内に地下ダムとして機能する止水壁5を構築して高透水層3内を流下する地下水を堰き止め、その上流側を地下水の貯留域としてそこから集水孔6、集水トンネル7、立坑8を介して地下水を取水することを主眼とするものであり、止水壁5の上流側に死水域(地下水を集水不能な領域)が生じることなくほぼその全域から有効に取水できるものである。
本実施形態の施設においては、集水トンネル7を止水壁5の上流側近傍においてその長さ方向(溝状凹部2の幅方向)に設けており、かつその断面形状を馬蹄形として溝状凹部2の底部からその上部に堆積している高透水層3の底部に跨るように形成している。
そして、その集水トンネル7から高透水層3の上流側の各所に向けて多数の集水孔6を設けるとともに、それら集水孔6を溝状凹部2の底部の傾斜に沿って高透水層3の底部に設けた底部集水孔6aと、それよりも斜め上方に向けられた上部集水孔6bとにより構成して、それら底部集水孔6aと上部集水孔6bをそれぞれ充分に密な間隔で多数設けることにより取水可能な利用水深(止水壁5により確保される地下水面WLから底部集水孔6aの位置までの範囲)を充分に大きく確保し、それにより止水壁5の上流側に死水域が生じることなくその全域から地下水を有効に集水できるものとされている。
本実施形態における上記構成は特許文献1に示される従来の施設とほぼ共通するが、従来の施設においては立坑を高透水層内に設けていたのに対し、本実施形態においては図3に示すように立坑8を高透水層3の側方の安定な難透水層1内に設けており、それによりこの施設の施工を従来より各段に合理化できるものとなっている。
すなわち、従来のように立坑8を高透水層3に設ける場合にはその施工時の地盤安定性の確保と湧水処理が大きな問題になるのであるが、本実施形態では立坑8を難透水層1に設けることでそのような従来の問題を自ずと回避でき、施工時の地盤安定性や湧水処理のための手間や費用を省略ないし大幅に軽減可能である。
勿論、立坑8を難透水層1に設けても、立坑8の底部が溝状凹部2の底部よりも深部に達するように設けて、その最底部に水中ポンプ9を設置するための吸水槽10を設け、かつその吸水槽10には水中ポンプ9が支障なく稼働し得るような充分な有効水深と有効貯水量および砂溜まりを確保しておき、高透水層3の底部に設けた集水トンネル7を立坑8に向かって下がり勾配となるように設けてその下流端部を立坑8の底部に接続することにより、従来と同様に地下水を集水孔6、集水トンネル7を介して立坑8まで有効に集水可能であるし、そこから水中ポンプ9により揚水管11を通して支障なく取水することが可能である。
なお、本実施形態においては集水トンネル7を高透水層3内の底部に設けることから、その施工に際しても地盤安定性確保のための支保や多量の湧水処理が必要となるが、横坑としての集水トンネル7は立坑8に比べて合理的な施工が可能であるので通常は特に問題にはならない。
たとえば集水トンネル7の施工をシールド工法により行うことで確実な支保が可能であるし、集水トンネル7を立坑8から上り勾配で掘進することにより湧水を自然流下させて立坑8を通して容易に排水することが可能であるから、集水トンネル7を高透水層3内に施工することは大きな問題とはならず、通常は集水トンネル7を従来のように高透水層3内に設けることで充分である。
勿論、集水孔6の施工は集水トンネル7内からボーリングを行うことで特に支障なく実施することができる。
以上のように、本実施形態の施設によれば、立坑8を高透水層3近傍の難透水層1に設けることにより、従来のこの種の地下水取水施設と同様に地下ダムとしての止水壁5の上流側の高透水層3の全域から地下水を有効に取水可能であることはもとより、立坑8を高透水層3内に設ける場合のように施工時の地盤安定性や湧水処理が大きな問題になることはなく、したがって立坑8を含めて施設全体を合理的かつ経済的に施工することが可能となり、この種の施設を立地条件に左右されることなく各地に設置することが可能となってその普及を充分に図ることが可能となる。
「第2実施形態」
図4〜図6に本発明の第2実施形態である地下水取水施設を示す。
上記の第1実施形態においては立坑8のみを難透水層1に設置し、集水トンネル7は高透水層3の底部に設けるようにしたが、本第2実施形態では集水トンネル7も難透水層1に設けたものである。
すなわち、上述したように集水トンネル7は高透水層3内に設けることで通常は充分であるが、高透水層3の地盤状況や立地条件によって集水トンネル7を高透水層3内に設け難いような場合、あるいは難透水層1に設けることがより有利な場合には、図6に示すように集水トンネル7を溝状凹部2の底部よりもさらに下部の難透水層1内に設置するようにしたものである。
この場合も、集水トンネル7を止水壁5の上流側近傍において立坑8に向かって下がり勾配で設置し、図4に示すように集水トンネル7から高透水層3の上流側に向けて多数の集水孔6(底部集水孔6aおよび上部集水孔6b)を設けることにより、第1実施形態と同様に高透水層3全域から支障なく集水が可能である。
「第3実施形態」
図7〜図9に本発明の第3実施形態である地下水取水施設を示す。
これは、上記の第2実施形態を基本とするものであるが、集水トンネル7の位置を第2実施形態の場合よりもやや上流側に変更して集水トンネル7を止水壁5との間に距離をおいて設ける場合の適用例である。
この場合は、第1実施形態や第2実施形態と同様に集水孔6を高透水層3の上流側に向けて設けることのみでは止水壁5近傍に死水域が生じるので、本第3実施形態では図7に示すように底部集水孔6aを上流側に向けて設けることに代えて下流側(止水壁5側)に向けて設けており、それにより利用水深を大きく確保できて止水壁5の近傍からも有効に集水可能とされている。
本第3実施形態は、集水トンネル7や立坑8を止水壁5の近傍に設けることができないような立地条件の場合や、高透水層3の底部の傾斜が急勾配であるような場合に好適である。
なお、本第3実施形態においては、上記のように底部集水孔6aを下流側に向けて設けることに加えて、底部集水孔6aを第1、第2実施形態の場合と同様に上流側に向けて設けるようにしても良い。
また、上述した第1、第2実施形態の場合においても、底部集水孔6aを上流側に向けて設けることに加えて、あるいはそれに代えて、本第3実施形態のように底部集水孔6aを下流側に向けて設けても良い。
以上で本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものでは勿論なく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、すなわち止水壁5の上流側で地下水を集水孔6および集水トンネル7により集水し、難透水層1内に設置した立坑8を通して取水する構成とする限りにおいて、適宜の設計的変更や応用が可能である。
たとえば、上記実施形態は立坑8および集水トンネル7を1本づつ設けた場合の例であるが、必要であれば立坑8を高透水層3の片側あるいは両側に複数設けたり、集水トンネル7も設置高さや方向を代えて複数設けることも考えられる。勿論、立坑8や集水トンネル7、集水孔6の位置、規模、断面形状、施工方法は任意であり、立地条件や施設全体の規模その他の諸条件を考慮してそれぞれ最適設計を行えば良い。
また、上記各実施形態のように集水トンネル7は立坑8に向かって下がり勾配で設けることが現実的であるが、高透水層3の底部形状(難透水層1の上部に形成されている溝状凹部2の底部の形状)がたとえば大きな不陸を生じているような場合においては、集水トンネル7をその勾配に合わせて形成することも考えられる。
その場合において集水トンネル7の最深部が立坑8の直下にならない場合、可能であれば集水トンネル7の最深部にも吸水槽を設けてそこに水中ポンプを設置し、立坑8に設けた吸水槽10からの揚水と併せて双方から揚水することが考えられる。
本発明の第1実施形態である地下水取水施設を示す側断面図である。 同、平面図である。 同、正断面図(図2におけるIII−III線視図)である。 本発明の第2実施形態である地下水取水施設を示す側断面図である。 同、平面図である。 同、正断面図(図5におけるVI−VI線視図)である。 本発明の第3実施形態である地下水取水施設を示す側断面図である。 同、平面図である。 同、正断面図(図8におけるIX−IX線視図)である。
符号の説明
1 難透水層
2 溝状凹部
3 高透水層
4 海域
5 止水壁(地下ダム)
6 集水孔
6a 底部集水孔
6b 上部集水孔
7 集水トンネル
8 立坑
9 水中ポンプ
10 吸水槽
11 揚水管

Claims (4)

  1. 難透水層の上部に形成されている溝状凹部内に高透水層が堆積している地盤を対象として、前記高透水層内を流下する地下水を集水し取水するための地下水取水施設であって、
    前記高透水層の要所に地下ダムとして機能する止水壁を構築して該高透水層内を流下する地下水を堰き止めるとともに、該止水壁の近傍の難透水層中に底部が前記高透水層の底部よりもさらに深部に達する立坑を構築し、
    前記高透水層内の底部に前記立坑に向かって下がり勾配の集水トンネルを設けて該集水トンネルの下流端部を前記立坑の底部に接続するとともに、前記高透水層内の各所に前記集水トンネルに向かって下がり勾配の集水孔を多数設けてそれら集水孔の下流端部を前記集水トンネルに接続することにより、前記高透水層内の各所から前記集水孔および前記集水トンネルを介して前記立坑に地下水を集水可能とし、
    前記立坑の最底部に、該立坑に集水した地下水を揚水する水中ポンプを設置するための吸水槽を設けてなることを特徴とする地下水取水施設。
  2. 請求項1記載の地下水取水施設であって、
    前記集水トンネルを前記高透水層内の底部に設けることに代えて前記溝状凹部の底部よりさらに下部の難透水層内に設けてなることを特徴とする地下水取水施設。
  3. 請求項1または2記載の地下水取水施設であって、
    前記集水トンネルを前記止水壁の上流側近傍位置に該止水壁の長さ方向に沿って設けるとともに、前記集水孔を該集水トンネルから前記高透水層にその上流側斜め上方に向けて設けてなることを特徴とする地下水取水施設。
  4. 請求項1または2記載の地下水取水施設であって、
    前記集水トンネルを前記止水壁の上流側に該止水壁と距離をおいた位置においてその長さ方向に沿って設けるとともに、前記集水孔を該集水トンネルから前記高透水層内にその上流側斜め上方および下流側斜め上方に向けて設けてなることを特徴とする地下水取水施設。
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