JP2010090027A - セラミックろう付け用黒鉛治具 - Google Patents

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Tomoo Tokuno
知雄 徳野
Yoshinori Yonemoto
善則 米本
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Abstract

【課題】熱膨張率をセラミック基板等と合わせるとともに、硬度を高め、耐摩耗性を向上させ、さらには耐酸化性に優れたセラミックろう付け用黒鉛治具を提供する。
【解決手段】セラミックろう付け用黒鉛治具は、かさ密度が1.80Mg/m以上であり、623〜723Kでの熱膨張係数が7.0〜7.5×10−6/Kであり、1073〜1123Kでの熱膨張係数が7.5〜8.5×10−6/Kであり、且つ、室温での熱伝導率が60W/(m・K) 以上である。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体のセラミックパッケージの位置決めやリードピン、リードフレームのろう付等に使用されるセラミックろう付け用黒鉛治具に関する。
電子工業部品の多様化と短小軽薄化に伴い、電子工業部品の製作に使用される耐熱性治具の形状は複雑多岐となり、特に黒鉛治具は耐熱性や加工性などが優れているため、その要請に応じて需要が増々高まりつつある。特に半導体のセラミックパッケージのろう付け用黒鉛治具はその性質上、セラミック基板、リードピン、リードフレームなどの多くの電子部品を黒鉛治具本体の表面に精度よく位置決めして載置する必要があるものである。
そのため、従来は黒鉛治具の所定の位置に電子部品の位置決めをするための金属ピンが打ち込まれたり、黒鉛治具本体が精密に機械加工されていた。
しかしながら、従来の黒鉛治具を用いてセラミックパッケージの位置決めやリードピン、リードフレームのろう付けを行った場合、出来上がったセラミックパッケージの製品は寸法不良、特にリードピン、リードフレームのピッチ間隔の不良やリードピン、リードフレームのろう付け部近傍にカーボン粉の付着等が発生したり、極端な場合は、セラミックパッケージと黒鉛製治具とがかみ合って抜き取ることができないなどのトラブルが発生し、生産収率を上げることが出来なかった。
そこで、これらの問題を解決するために、下記特許文献1には、室温〜1273Kまでの平均熱膨張係数が4.5×10−6/K〜8.0×10−6/Kの範囲で、異方比が1.25以下の黒鉛材をセラミックパッケージのろう付け用黒鉛治具として使用することが開示されている。
特許第2608287号
しかしながら、この黒鉛材であっても、熱膨張係数の一致性が十分だとはいえず、ろう付け時に黒鉛治具とリードピン等が接触することがあり、そのため、黒鉛治具の摩耗等が発生していた。また、一般的に、これらセラミックパッケージのろう付けは空気中で行われるため、黒鉛治具が、酸化消耗し、リードピン等の位置決め精度が悪くなるという問題もあった。
そこで、本発明は、熱膨張率をセラミック基板等と合わせるとともに、硬度を高め、耐摩耗性を向上させ、さらには耐酸化性に優れたセラミックろう付け用黒鉛治具を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための本発明のセラミックろう付け用黒鉛治具は、かさ密度が1.80Mg/m3 以上であり、623〜723Kでの熱膨張係数が7.0〜7.5×10−6/Kであり、1073〜1123Kでの熱膨張係数が7.5〜8.5×10−6/Kであり、且つ、室温での熱伝導率が60W/(m・K)以上である。また、本発明のセラミックろう付け用黒鉛治具は、ショア硬度が85以上であることが好ましい。
セラミックろう付け用黒鉛治具を、かさ密度を1.80Mg/m以上、623〜723Kでの熱膨張係数が7.0〜7.5×10−6/K、1073〜1123Kでの熱膨張係数が7.5〜8.5×10−6/K、室温での熱伝導率が60W/(m・K) 以上となるような黒鉛材料で形成することで、ろう付け後にリードピンが抜けなくなるということもなく、また、ピンピッチ等の寸法精度の低下もなくなり、製造効率が大幅に向上する効果を奏する。
本発明における黒鉛治具は、コークス等のフィラー(骨材)と、ピッチ等のバインダー(結合材)とを混合し、これを所定の形状に成形したのち、熱処理によってバインダーを炭素化固結させて形成された黒鉛材より所定の形状に加工されて得られる。そして、骨材の熱的性質及び物理的性質について適切なものを選定することにより酸化消耗率、かさ密度、ショア硬度、熱膨張係数、熱伝導率を所定範囲に収めることができる。
酸化消耗率は、予め質量を測定しておいた黒鉛を、空気中で973Kで5時間熱処理した時の質量変化から算出したものである。一般に、セラミックのろう付けは、セラミック基板を1073〜1273Kに加熱して行われており、このセラミック基板を載置する黒鉛治具の温度はこの温度より高くなることはない。したがって、空気中で973Kで5時間熱処理した時の酸化消耗率が10質量%以下、好ましくは5質量%以下であれば、例えば、1073〜1273Kの温度範囲で処理された場合と同等と考えることができ、ろう付け処理後の寸法精度の低下を抑制することができる。
また、かさ密度を1.80Mg/m以上、好ましくは1.85Mg/m以上とし、ショア硬度を85以上、好ましくは90以上とする。かさ密度を1.80Mg/m3 以上、好ましくは1.85Mg/m以上とすることで、酸化活性点を減少させることができ、耐酸化性を向上させることができる。また、ショア硬度を85以上、好ましくは90以上とすることで、耐摩耗性が向上し、セラミックろう付け時にリードピン等と接触した場合であっても、摩耗することがなく、ピンピッチ等の寸法精度が低下することがない。
623〜723Kでの熱膨張係数が7.0〜7.5×10−6/Kで、且つ、1073〜1123Kでの熱膨張係数が7.5〜8.5×10−6/K、好ましくは7. 8〜8.2×10−6/Kとする。これによって、セラミック基板との熱膨張係数を合わせることができる。ここで、熱膨張係数については、理学電機株式会社製の熱機械分析装置(TMA8310)で求めた。
また、室温での熱伝導率を60W/(m・K)以上、好ましくは70W/(m・K)以上とする。これによって、加熱時及び冷却時において、セラミック基板と黒鉛治具との温度差をなくすことで、前述のように、熱膨張係数を合わせているため、加熱時及び冷却時に黒鉛治具とセラミック基板との温度による伸縮を略同等とすることが可能となる。ここで、熱伝導率については、JISR1611−1991に準じて求めた。
以上のように、酸化消耗率、かさ密度、ショア硬度、熱膨張係数、熱伝導率を所定範囲に収めるようにして黒鉛材を形成し、この黒鉛材より任意の形状に加工することで、長時間使用しても寸法精度に変化のないセラミックろう付け用黒鉛治具として使用することが可能となる。また、セラミックろう付け用黒鉛治具以外にも、優れた酸化消耗率や、高い熱膨張係数、高い熱伝導率等の特性を活かし、セラミック焼成用トレイ等としても使用することが可能である。
骨材の熱的性質及び物理的性質について適切なものを選定することにより実施例1〜5、比較例1〜4の物理特性を有するセラミックろう付け用黒鉛治具を作製した。この治具を用いて、Alからなる基板にリードピンのろう付け作業を行った。黒鉛治具の物理特性とろう付け作業の結果を表1に示す。その結果、実施例1〜5の黒鉛治具は特に問題もなく使用できた。
Figure 2010090027

Claims (2)

  1. かさ密度が1.80Mg/m以上であり、
    623〜723Kでの熱膨張係数が7.0〜7.5×10−6/Kであり、
    1073〜1123Kでの熱膨張係数が7.5〜8.5×10−6/Kであり、且つ、
    室温での熱伝導率が60W/(m・K)以上であることを特徴とするセラミックろう付け用黒鉛治具。
  2. ショア硬度が85以上であることを特徴とする請求項1に記載のセラミックろう付け用黒鉛治具。
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