JP2010089019A - 排液の処理方法と植物の養液栽培装置 - Google Patents

排液の処理方法と植物の養液栽培装置 Download PDF

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Abstract

【課題】排液に含まれる窒素成分とリン酸成分を効率よく除去し、さらに脱色して透明度の高い綺麗な水に処理する。
【解決手段】排液の処理方法は、植物を養液栽培する養液栽培ベッド10の培地12に枯草菌を供給して枯草菌でもって養液栽培ベッド10から排出される排液の窒素成分を除去する第1の分離工程と、第1の分離工程で処理されて養液栽培ベッド10から排出される排液を、処理タンク1に供給して、この処理タンク1でもって汚濁物質を凝集・沈殿して脱色すると共に、含まれるリン酸成分を除去する第2の分離工程と、第2の分離工程で処理された処理水を、微細な空隙に枯草菌を植え付けている多孔質材4を充填している処理槽3に供給して、処理槽3に棲息する枯草菌で排液の窒素成分を除去する第3の分離工程とからなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、主として農業用の排液を綺麗な水に処理して排水する方法と植物の養液栽培装置に関する。
ミョウガなどの植物の養液栽培装置には、多量の水を使用する。たとえば、ミョウガの養液栽培装置は、1000平方メートルの栽培面積に対して、1日に約2トンもの水を給水する必要がある。給水される水の約10%ないし20%が排液として排水されるので、毎日200〜400リットルもの排液が排水される。この排液は、決して綺麗な清水でなく、吸収されなかった肥料成分を含有し、さらに極めて暗い暗色に濁っている。この排液が田畑に排水されて、種々の弊害の原因となっている。養液栽培装置に供給する水量を少なくして、排液量を少なくできる。ただ、養液栽培装置の給水量を少なくすると、栽培される全てのミョウガに均一に給水できなくなる。全てのミョウガに均一に給水することから、排液量を10%ないし20%よりも少なくできない。このため、多量の排液が汚水として田畑に排水されているのが実状である。この弊害を解消するために、養液栽培装置から排水される排液を繰り返し再利用する技術が開発されている。(特許文献1及び2参照)
特許文献1は、光触媒を使用して、農業用排液を浄化する技術を記載する。この特許文献は、光触媒として、金属アルコキシドを含有する光反応性半導体を多孔質基材に塗工し、乾燥凝固させた膜を焼成して、微細孔性の膜を形成した光触媒担持体を用い、かつ、光触媒の光反応用光として太陽光のみを用いて、農業用液体を浄化処理する。
この方法は、光触媒で排液を処理することから、毎日多量に排水される排液を短時間で効果的に処理するのが難しい。また、太陽光のエネルギーを利用して排液を浄化するので、天候に左右され、毎日確実に安定して排液を理想的な状態に処理できない。
特許文献2は、排液を土壌浄化装置とオゾンで殺菌、浄化する。土壌浄化装置による浄化は、多量の排液を処理するために極めて大きな設備を必要とし、設備コストが極めて高くなる。また、オゾンによる殺菌は、オゾン濃度のコントロールが極めて難しく、濃度が低いと殺菌能力が低下し、また濃度が高くなると作業環境を極めて危険な状態として、安定して処理するのが極めて難しい。
本発明者は、これらの欠点を解決することを目的として、多量に排水される排液を速やかに殺菌して、外部に排水していた排液を有効に再利用する植物の養液栽培装置を開発した。この養液栽培装置は、排出される排液に、次亜塩素酸ナトリウムと酸性剤を添加して、排液を次亜塩素酸ナトリウムの添加された酸性排液として殺菌し、殺菌された殺菌排液に原水と肥料とを添加して循環する。さらに、この装置は、殺菌された殺菌排液に、塩素分解剤を添加して塩素濃度を低くすることもできる。
この養液栽培装置は、外部に排水していた排液を殺菌して循環して再利用する。このため、汚水を外部に排水しないことに加えて、栽培に使用する水量を少なくできる特徴がある。ただ、この養液栽培装置は、養液を循環して再利用することから、肥料バランスのコントロールが難しくなる。それは、植物に吸収されない肥料成分が循環して再利用されることから、植物の吸収率の低い肥料成分の濃度が次第に高くなるからである。とくに、排液に含まれる硝酸性窒素とリン酸態リンを除去することが難しく。これらの肥料バランスのコントロールが難しくなる。この弊害は、排液の一部を循環することなく排水して、新鮮な水の使用量を多くして解消できる。排液の使用量を少なくするほど肥料バランスを好ましい状態にコントロールできる。ただ、排液の使用量を少なくすることは、田畑に排水する排液の水量が増加することになって、田畑に悪い影響を与える。
ところで、排液に含まれる汚濁物質とリン酸態リンを除去する方法は開発されている。(特許文献3参照)
この公報は、A液とB液からなる土壌硬化処理剤を記載している。A液は、珪酸ソーダと溶媒水とからなる。B液は、2価又は3価の鉄塩及びアルミニウムの硫酸塩を含有する混合物、又は2価又は3価の鉄塩及びアルミニウムの硫酸塩を含有する混合物に、さらにアルカリ土類金属塩を加えた混合物から選ばれる混合物を主成分とし、該無機塩の混合物を溶媒水に溶解してなる組成物である。さらに、この公報は、土壌にA液を加えて前処理し、ついでB液を加え該土壌を硬化処理する方法も記載している。
A液は珪酸ソーダを溶媒水と混合している。溶媒水の量は珪酸ソーダの当倍量以下とし、珪酸ソーダ(水ガラス)は、珪砂とソーダ灰または珪砂と苛性ソーダを原料として作られる珪酸(SiO2)とアルカリ(Na2O)からなるガラスでNa2O・nSiO2で表わされる。nが1以下のものは結晶性珪酸ソーダと称し、nが1以上のものは非晶質の構造となり、液状である。珪酸ソーダはモル比によって1号、2号、3号、4号とあり、通常3号を用いている。
溶媒水は多量であると大量の薬品が必要となることもあって、等倍量以下としている。土壌硬化剤のB液に用いる2価及び3価の鉄塩は、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第二鉄等で、アルミニウムの硫酸塩としては硫酸アルミニウム〔Al2(SO4)〕、硫酸アルミニウムカリウム〔AlK(SO4)〕等が使用される。
2価及び3価の鉄塩、アルミニウムの硫酸塩にさらに添加されるアルカリ土類金属塩には、塩化マグネシウム(MgCl2・6H2O)、塩化カルシウム(CaCl2・2H2O)等を使用している。この土壌硬化処理剤は、組成物A液と、組成物B液との二液成分系からなる土壌硬化処理剤であって、該A液と該B液との相剰効果により泥土を速やかに凝結する。B液の主要成分である溶媒水は、他の構成成分の合計重量の等倍量以下であることが好ましい。この溶媒水が等倍量以上であると薬品の使用量が多量となり効果的でない。又、B液の他の成分の組成割合は、その処理する土壌の発生源、即ち底泥を構成する土質や粒度構成比、含水率、pH、温度等により適宜選択するが、B液全体に対し、2価又は3価の鉄塩は約65〜40重量%、アルミニウムの硫酸塩は約30〜1重量%、アルカリ土類金属塩は約17〜3重量%とする。土壌硬化処理剤の使用量は、たとえば、A液は土壌(底泥)に対して5〜30重量%であり、そしてB液はA液の約1/2程度とする。
この土壌硬化処理剤を用いての底泥の処理は、土壌に、例えば底泥に一定量の前処理剤であるA液を注入するか、あるいは加えて混合攪拌したあと、組成物B液を注入するか、あるいは添加して混合攪拌することにより土壌を硬化処理する。
以上の土壌硬化処理剤は、二液成分系からなる硬化処理剤であり、底泥等の硬化に使用される。この土壌硬化処理剤の主要成分は、無機系の化学薬品で天然自然物であって、正荷電の無機金属塩であるから、これが負荷電の土壌、土粒子と結合し土粒子の周囲に付着し拘束されていた水分子や自由水は、この硬化処理剤(A液及びB液)との化学反応により、多量の結晶水として固定された水和物が構成されるか、あるいは構造体土粒子の微細な間隔に吸着水、間隙水の全量を包含させて硬化するものと考えられている。そのため処理して得られた土壌は保水性、透水性を有し、土壌として有効に再利用できるものとなる。
特開2004−82095号公報 特開昭64−47324号公報 特開平3−207498号公報
以上の公報に記載される土壌硬化処理剤は、排液に含まれる汚濁物質を凝集して沈殿してリン酸態リンを除去できる。ただ、この公報に記載される土壌硬化処理剤を使用して養液栽培装置の排液を処理すると、排液に含まれる硝酸性窒素を除去できず、また排液を脱色できない欠点がある。農業用の排液は、肥料成分の硝酸性窒素とリン酸態リンとが含まれることから、これ等を効率よく除去することが要求される。たとえば、高知県のJA土佐くろしおミョウガ部会においては、ミョウガ養液栽培の排液処理における目標値として、硝酸性窒素含有量を50ppm以下、リン酸態リンの含有率を8ppm以下と定められている。さらに、飲料水に含まれる硝酸性窒素による種々の弊害が報告されていることから、養液栽培装置の排液に含まれる硝酸性窒素を少なくすることが強く要求されている。養液栽培装置の排液に含まれる硝酸性窒素が、地下水となって飲料水に含まれて健康を害するからである。養液栽培装置の排液に含まれる硝酸性窒素が飲料水に含まれることは、田畑の多い田舎の地下水が都会の地下水よりも濃度が高くなっていることからも明らかにされている。
本発明は、さらにこの欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、排液に含まれる窒素成分とリン酸成分を効率よく除去でき、さらに脱色して透明度の高い綺麗な水に処理できる排液の処理方法と植物の養液栽培装置を提供することにある。
本発明の請求項1に記載する排液の処理方法は、植物を養液栽培する養液栽培ベッド10の培地12に枯草菌を供給して枯草菌でもって養液栽培ベッド10から排出される排液の窒素成分を除去する第1の分離工程と、
この第1の分離工程で処理されて養液栽培ベッド10から排出される排液を、リン酸成分を除去すると共に、汚濁物質を凝集・沈殿して脱色する処理タンク1、101に供給して、この処理タンク1、101でもって汚濁物質を凝集・沈殿して脱色すると共に、含まれるリン酸成分を除去する第2の分離工程と、
第2の分離工程で処理された処理水を、微細な空隙に枯草菌を植え付けている多孔質材4を充填している処理槽3に供給して、処理槽3に棲息する枯草菌で排液の窒素成分を除去する第3の分離工程とからなる。
本発明の請求項2の排液の処理方法は、第2の分離工程において、第1の分離工程で処理されて養液栽培ベッド10から排出される排液を、2価の鉄イオンを含む凝集剤を添加している処理タンク1に供給して、この処理タンク1でもってリン酸成分を除去すると共に、汚濁物質を凝集・沈殿して脱色する。
本発明の請求項3の排液の処理方法は、第2の分離工程において、第1の分離工程で処理されて養液栽培ベッド10から排出される排液を、リン酸成分を分解する枯草菌を添加している処理タンク101に供給すると共に、この処理タンク101に空気をバブリングして、この処理タンク101でもってリン酸成分を除去すると共に、汚濁物質を凝集・沈殿して脱色する。
本発明の請求項4の排液の処理方法は、処理槽3に充填している多孔質材4にゼオライト又は麦飯石を使用している。
本発明の請求項5の排液の処理方法は、処理槽3を、田畑40に設けられた槽としている。さらに、本発明の請求項6の排液の処理方法は、処理槽3を、上方を開口する溝形として田畑40に設けており、処理タンク1、101から供給される排液を枯草菌で処理してオーバーフローして田畑40に排出している。
本発明の請求項7に記載する植物の養液栽培装置は、植物を養液栽培する養液栽培ベッド10と、この養液栽培ベッド10に肥料を添加している養液16を供給する養液供給装置30と、養液栽培ベッド10から排出される排液が供給されて、リン酸成分を除去すると共に、汚濁物質を凝集・沈殿して脱色する処理タンク1、101と、この処理タンク1、101で処理された排液が所定の流量で供給されると共に、微細な空隙に枯草菌を植え付けている多孔質材4を充填している処理槽3とを備えている。養液栽培装置は、養液栽培ベッド10の培地12に枯草菌を添加しており、培地12の枯草菌でもって養液栽培ベッド10から排出される排液に含まれる窒素成分を除去し、養液栽培ベッド10から排出される排液を処理タンク1、101でもってリン酸成分を除去すると共に、汚濁物質を凝集・沈殿して脱色し、さらに処理タンク1、101から排出される排液を、処理槽3の枯草菌でもって含まれる窒素成分を除去している。
本発明の請求項8の植物の養液栽培装置は、処理タンク1に、2価の鉄イオンを含む凝集剤を添加している。また、請求項9の植物の養液栽培装置は、処理タンク101に、リン酸成分を分解する枯草菌を添加して、この処理タンク101に空気をバブリングするバブリング装置105を設けている。
本発明の請求項10の植物の養液栽培装置は、処理槽3を、田畑40に設けられた槽としている。さらに、本発明の請求項11の植物の養液栽培装置は、処理槽3を、上方を開口する溝形として田畑40に設けており、処理タンク1、101から供給される排液を枯草菌で処理してオーバーフローして田畑40に排出している。
本発明の請求項12の植物の養液栽培装置は、処理槽3に充填している多孔質材4をゼオライト又は麦飯石としている。
本発明の排液の処理方法と植物の養液栽培装置は、排液に含まれる窒素成分とリン酸成分を効率よく除去でき、さらに脱色して透明度の高い綺麗な水に処理できる特徴がある。とくに、本発明は、養液栽培ベッドの培地に棲息している枯草菌と、処理槽の多孔質材に棲息している枯草菌の両方で排液の硝酸性窒素を分解する。さらに養液栽培ベッドの培地に棲息させている枯草菌は、その一部が排液と一緒に田畑に排出されて、田畑においてもさらに硝酸性窒素を分解する。処理槽に棲息する枯草菌は、多孔質材の微細な空隙に棲息していることから、排液と一緒に排出される量は少なく、ここに棲息して硝酸性窒素を分解する。したがって、本発明は、養液栽培ベッドから排出される養液の窒素成分の濃度を低くでき、さらに田畑に排出される状態においても、さらに硝酸性窒素を分解して実質的に田畑に浸透される排液の窒素成分をさらに低濃度にできる。養液栽培ベッドの培地に棲息している枯草菌で硝酸性窒素を分解した後、さらに処理槽の多孔質材に棲息する枯草菌でもって硝酸性窒素を分解するからである。とくに、本発明は、養液栽培ベッドの培地を枯草菌を棲息させる培地に併用することで、養液栽培ベッドでもって排液に含まれる硝酸性窒素を分解する。とくに培地に棲息している枯草菌は、時間をかけて硝酸性窒素を分解して排出する。供給される養液によって排出される排液に含まれる硝酸性窒素は、処理槽の多孔質材に棲息する枯草菌で分解され、さらに養液栽培ベッドから排出される排液と一緒に排出される一部の枯草菌によって、田畑に排液された状態でも分解される。
養液栽培ベッドの培地は、多孔質材のように微細な空隙を有するものではないので、棲息している枯草菌の一部は、供給される養液と一緒に排液として排出される。ただ、培地に棲息する枯草菌は、増殖しながら一部が排液と一緒に排出されるので、増殖することで常に培地に棲息して、硝酸性窒素を分解する。たとえば、25℃において世代時期を約30分とする枯草菌は、1日で7×1013倍と著しく増殖する。このため、養液栽培ベッドに多量の養液を供給して、枯草菌の一部を排出しても、増殖するよりも多量の枯草菌が排出されることはなく、枯草菌が減少して硝酸性窒素を分解できなくなることはない。培地に棲息している枯草菌は、一時に多量の養液が供給されても、全ての枯草菌が排液と一緒には流出されず残存する枯草菌が硝酸性窒素を時間をかけて分解する。さらに、多孔質材に棲息している枯草菌は、その微細な空隙に棲息していることから、排液と一緒には排出されず、硝酸性窒素を効率よく分解する。すなわち、本発明は、養液栽培ベッドに棲息する枯草菌で硝酸性窒素を時間をかけて分解し、さらにその後に、処理槽の多孔質材に棲息する枯草菌でもって硝酸性窒素を分解して排出する。さらに、養液栽培ベッドの排液が供給される処理タンクは、2価の鉄イオンや枯草菌でもって、リン酸態リンを分解して除去すると共に、汚濁物質を凝集・沈殿させて脱色して、排液を綺麗にする。
以上の方法で排液を処理する本発明の処理方法と養液栽培装置は、硝酸性窒素とリン酸態リンを効率よく除去でき、さらに脱色して透明度の高い綺麗な水に処理できる。ちなみに、以上の方法で、硝酸性窒素の濃度を211mg/リットル、リン酸態リンの濃度を68.2mg/リットル、吸光度を0.850とする農業用の排液を処理すると、硝酸性窒素の濃度は211mg/リットルから1.61mg/リットルと、約1/130以下に、リン酸態リンの濃度は68.2mg/リットルから2.16mg/リットルと、1/30以下に、吸光度は0.850から0.065と、1/10以下と綺麗な排液となり、高知県のJA土佐くろしおミョウガ部会における排液処理の目標値である、硝酸性窒素50mg/リットル以下、リン酸態リン8mg/リットル以下、吸光度0.10以下を達成できる。また、排液の色も脱色された無色透明な綺麗な水となる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための排液の処理方法と植物の養液栽培装置を例示するものであって、本発明は排液の処理方法と植物の養液栽培装置を以下のものに特定しない。
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
図1ないし図4の養液栽培装置は、ミョウガを養液栽培する具体例を示す。ただし、本発明は、養液栽培装置で栽培する植物をミョウガには特定しない。養液栽培装置は、ミョウガ以外に種々の植物を養液栽培できるからである。図1と図2の養液栽培装置は、ミョウガを養液栽培する栽培ベッドから発生する排液から硝酸性窒素とリン酸態リンを除去し、さらに脱色して綺麗な水に処理して排水する。この図の養液栽培装置は、植物であるミョウガを養液栽培する養液栽培ベッド10と、この養液栽培ベッド10に肥料を添加している養液を供給する養液供給装置30と、養液栽培ベッド10を通過して排水される排液を供給して一時的に蓄える処理タンク1、101と、この処理タンク1、101で処理された排液が所定の流量で供給される処理槽3と、養液栽培ベッド10から排出される排液を処理タンク1、101に供給する排液ポンプ6を備える。図1ないし図3の養液栽培装置は、養液栽培ベッド10を透過する排液を養液栽培ベッド10の下方に配置している排液タンク5に排水している。排液タンク5の排液を、排液ポンプ6で処理タンク1、101に供給している。処理タンク1、101で処理された排液は、処理タンク1、101をオーバーフローして処理槽3に供給される。ただし、処理タンク1、101で処理された排液を供給ポンプ(図示せず)で処理槽3に供給することもできる。
養液供給装置30は、原水供給装置32と、原水供給装置32から供給される原水に肥料を添加する肥料添加装置33とを備えている。原水供給装置32は、養液供給装置30の供給路35に、地下水を吸い上げて供給する原水ポンプ32Aを備える。この原水ポンプ32Aは、所定の流量で原水である地下水を供給路35に供給する。ただし、原水供給装置は、図示しないが、所定量の原水を蓄える原水タンクと、この原水タンクの原水を吸入して、養液供給装置の供給路に供給する原水ポンプとで構成することもできる。この原水タンクは、一度に養液栽培ベッドに供給する水量の原水を蓄える。
肥料添加装置33は、原水供給装置32から供給される原水に、所定の肥料を添加する。この液肥添加装置33は、肥料の水溶液である液肥を蓄える液肥タンク33Aと、この液肥タンク33Aから液肥を吸入して原水に添加する添加ポンプ33Bとを備える。肥料添加装置33は、養液の肥料濃度が設定値となるように液肥を添加する。肥料添加装置33は、原水に添加する液肥量をコントロールして養液の肥料濃度を調整する。図1と図2の肥料添加装置33は、肥料の添加された養液の肥料濃度を濃度センサ34で検出しながら肥料の添加量を制御する。この肥料添加装置33は、濃度センサ34に養液の電気伝導度を検出するセンサを使用する。濃度センサ34は養液の肥料濃度を検出し、検出された肥料濃度で添加ポンプ33Bの流量を制御して、養液の肥料濃度を所定の範囲にコントロールする。図1と図2の養液栽培装置は、2組の肥料添加装置33を有する。2組の肥料添加装置33は、異なる液肥を原水に添加する。各々の肥料添加装置33は、濃度センサ34の信号で添加ポンプ33Bの流量を制御して、養液の肥料濃度を設定濃度にコントロールする。各々の肥料添加装置33は、濃度センサ34で検出する養液の肥料濃度が設定値よりも低いと、添加ポンプ33Bの流量を多くするように制御して肥料濃度を高くし、反対に、濃度センサ34で検出する肥料濃度が高いと、添加ポンプ33Bの流量を少なく制御して肥料濃度を低くして、養液の肥料濃度を設定値にコントロールする。
さらに、養液供給装置は、図示しないが、液肥を添加した養液に、植物の栽培に必要な種々の微量成分、たとえば金属元素等を添加する微量成分添加装置を備えることもできる。この微量成分添加装置は、微量成分を含有する溶液を蓄える溶液タンクと、この溶液タンクに蓄えられる微量成分含有溶液を養液に添加する添加ポンプとを備え、養液栽培ベッドに供給される養液に、所定量の微量成分を添加する。
以上の養液栽培装置は、養液栽培ベッド10と処理槽3の両方に棲息する枯草菌でもって排液に含まれる窒素成分を分解して除去し、処理タンク1、101において汚濁物質を凝集・沈殿して脱色すると共に、含まれるリン酸成分を除去して、綺麗な水として排水する。
図3は、ミョウガの養液栽培ベッド10を示す。この図の養液栽培ベッド10は、ミョウガの根を生育させる所定の厚さと幅を有する培地12と、この培地12を上に載せる栽培トレイ13とを備える。栽培トレイ13は、水平栽培台14の上に水平姿勢に載せられる。水平栽培台14は、所定の間隔で互いに平行に配設している3本又は4本の縦パイプ15を備える。縦パイプ15は水平に配設される。この縦パイプ15の上に栽培トレイ13が水平に載せられる。栽培トレイ13には、培地12が載せられ、この培地12に養液16を供給してミョウガを栽培する。
さらに、図3の養液栽培ベッド10は、培地12の下に積層されて、培地12に植え付けされるミョウガの根が通過するのを阻止して水を通過させる根切りシート17と、この根切りシート17の下に積層されて、培地12に水を供給する保水シート18と、この保水シート18の下に積層している下地フィルム19とを、培地12を載せる栽培トレイ13に敷設している。これらの養液栽培ベッド10は、栽培トレイ13の上に配置している培地12に養液16を供給して培地12でミョウガを栽培する。
培地12は、供給される水分を保水する保水性と、過剰な水分を排水する排水性とが要求される。図の培地12は、所定の厚さのマット状で、根切りシート17の上に載せている。培地12は、ミョウガの生育に最適なものが選択され、たとえば、ヤシガラやバーク等の有機物をプレスして、所定の厚さのマット状に固化したものが使用される。
栽培トレイ13は、図3と図4に示すように、底面の両側縁に沿って上方に突出する一対の側壁20を一体的に成形して設けて、断面形状を溝形としている。この側壁20は、栽培トレイ13の上に載せられる培地12や給水管21から供給される養液16が、栽培トレイ13の外側にこぼれ落ちるのを防止する。したがって、側壁20の高さは、培地12や養液16が外にこぼれるのを防止できる高さに成形する。
さらに、栽培トレイ13は、図3と図4に示すように、上面に3列の排水溝22を設けている。この図の栽培トレイ13は、排水溝22として、両側の側壁20に沿って設けた一対の側溝22Aと、一対の側溝22Aの間に設けた中央溝22Bを設けており、さらに、両側の側溝22Aと中央溝22Bとを連結溝(図示せず)で連結している。
一対の側溝22Aは、一対の側壁20の内側にあって、側壁20に沿って設けている。側溝22Aは、栽培トレイ13の両端面まで延長して設けている。栽培トレイ13は、培地12を透過する排液をこの側溝22Aに案内し、この側溝22Aから栽培トレイ13の外部に排液として排水する。
養液栽培ベッド10は、栽培トレイ13の上に非透水シートの下地フィルム19を敷設する。下地フィルム19は、栽培トレイ13の上に敷設している。この下地フィルム19は、上側に配設される培地12、根切りシート17及び保水シート18と、下側に配設される栽培トレイ13とを区画している。下地フィルム19は非透水シートで、培地12を通過した排液がこれを透過して、栽培トレイ13まで浸透するのを防止している。下地フィルム19は、栽培トレイ13の外形よりも大きく、両側の側壁20の外側面まで延長して配設される。側壁20と下地フィルム19の間から排液が浸入するのを防止するためである。
下地フィルム19は、栽培トレイ13の上面に沿う状態で敷設される。側溝22Aや中央溝22Bに敷設される下地フィルム19は、栽培トレイ13の内面に沿って敷設される。側溝22Aや中央溝22Bの内面に沿って敷設される下地フィルム19は、その内側に形成される溝内を排液が流れる。下地フィルム19は、プラスチックフィルムからなる非透水シートである。
保水シート18は、栽培トレイ13の上面8に位置して、下地フィルム19の上に敷設している。保水シート18は、培地12と根切りシート17を透過した排液を吸水して保水する。
根切りシート17は、防根シートとも呼ばれるシートで、すでに市販されているものを使用する。根切りシート17は、水を透過させて植物の根が成長して通過するのを阻止できる全てのシートを使用することができる。根切りシート17は、培地12の下に積層されて、培地12に植え付けしている植物の根が通過するのを阻止する。
以上の養液栽培ベッド10は、水平栽培台14の上に水平に配置される。図3に示す水平栽培台14は、地面から上に離して配置している載せ台である。このように、載せ台に載置される養液栽培ベッド10は、外部に排水される排液を自然に流下させて効率よく回収できる特長がある。
以上の養液栽培ベッド10は、養液供給装置30から供給される養液16が給水管21から散水されて、植物を植え付けている培地12に養液16が供給される。養液栽培ベッド10は、定量の養液16が連続供給され、あるいは、所定量の養液16が所定の時間間隔で供給される。ミョウガに供給される養液16は、培地12と根切りシート17とを透過して、一部は保水シート18に吸収され、残りは排液として側溝22Aに流入されて外部に排液として排水される。
ミョウガに供給される養液16は、水に肥料を添加した溶液である。したがって、培地12と根切りシート17を透過した排液を処理しないで露地に排水するのは好ましくない。排液に含まれる肥料成分の硝酸性窒素やリン酸態リンによって土壌が汚染され、あるいは、雑草や細菌等の繁殖を促進するからである。養液栽培ベッド10を透過して外部に排水される排液は、図1と図2に示すように、養液栽培ベッド10と処理タンク1、101と処理槽3とで処理して、硝酸性窒素とリン酸態リンを除去し、汚濁物質を凝集・沈殿させると共に脱色して綺麗な水として処理される。
養液栽培ベッド10の培地12には枯草菌を棲息させている。培地12は、枯草菌を含む液体を供給して枯草菌を棲息させる。枯草菌を含む液体には、たとえば、有限会社バイオ化研社(熊本県熊本市鶴羽田町510−3)製のバイオリキッドが使用できる。枯草菌を含む液体であるバイオリキッドの添加量は、栽培面積を1000平方メートルとする養液栽培ベッド10に対して20リットルとする。20リットルのバイオリキッドは水で希釈して、養液栽培ベッド10の培地12に均一に供給する。枯草菌を含む液体の添加量を多くして、硝酸性窒素を効率よく分解できる。ただ、枯草菌を含む液体の添加量を多くするとランニングコストが高くなる。反対に、この液体の添加量を少なくしてランニングコストを低減できるが、硝酸性窒素の分解能率が低下する。したがって、枯草菌を含む液体の添加量は、排出される排液に要求させる窒素成分の濃度を考慮して最適値に設定する。
養液栽培ベッド10の排液は、処理タンク1、101を介して処理槽3に供給されて、処理槽3の枯草菌でさらに硝酸性窒素を分解する。図1と図2の処理槽3は、田畑40に設けられた上方を開口している溝形の槽で、供給される排液を多孔質材4に棲息させている枯草菌で処理して田畑40にオーバーフローして排出する。細長い溝形の処理槽3は、一端部に処理タンク1、101から排出される排液を供給して他端からオーバーフローさせて田畑40に排出する。処理槽3の容積は、好ましくは1日に養液栽培ベッド10から排出される排液を蓄えることができる容積とする。栽培面積を1000平方メートルとするミョウガの養液栽培装置は200リットル〜400リットルの排液を排出するので、処理槽3の容積をこの大きさとして、排液を1日蓄えて、多孔質材4に棲息する枯草菌で硝酸性窒素を分解できる。ただし、処理槽の容積は、一日に排出される排液量の1/5〜2倍とすることができる。処理槽を大きくして、排液を蓄える時間を長く、枯草菌による硝酸性窒素の分解を良くでき、反対に小さくして設備コストを低減できる。
処理槽3は、微細な空隙に枯草菌を植え付けている多孔質材4を充填している。多孔質材4は、砂状ないし粒状のゼオライトである。ゼオライトは表面に極めて微細な凹凸があるので、これを砂状ないし粒状に結合して、無数の空隙を設けることができる。微細な空隙は、枯草菌の快適な棲息環境となる。枯草菌を植え付けする多孔質材4には、ゼオライトに代わって、麦飯石などの多孔質な天然石、発泡させた無機質材、あるいは多孔質な有機質材も使用できる。枯草菌を植え付けしている多孔質材4として、有限会社バイオ化研社(熊本県熊本市鶴羽田町510−3)製のバイオコロニー(登録商標)を使用することができる。
処理槽3に供給される枯草菌を植え付けている多孔質材量のバイオコロニーの供給量は、栽培面積を1000平方メートルとするミョウガの養液栽培装置に対して、好ましくは30kgとする。ただし、多孔質材であるバイオコロニー(登録商標)の供給量は、5kgないし100kgとすることができる。多孔質材の添加量を多くして、硝酸性窒素を効率よく分解できる。ただ、多孔質材の添加量が多くなるとランニングコストが高くなる。反対に多孔質材の添加量を少なくしてランニングコストを低減できるが、硝酸性窒素の分解能率が低下する。したがって、多孔質材4の添加量は、ランニングコストと、排液を養液栽培ベッド10に蓄える日数を考慮して最適値に設定する。
処理槽3は、多孔質材4に棲息させている枯草菌で供給される排液に含まれる硝酸性窒素を分解して排出する。処理槽3の枯草菌は、多孔質材4の空隙に植え付けられるので、排液と一緒に排出されることなく硝酸性窒素を分解する。本発明は、排液に含まれる硝酸性窒素を、処理槽3の枯草菌のみでなく、養液栽培ベッド10の培地12に棲息させている枯草菌と、処理槽3の多孔質材4に棲息させている枯草菌の両方で分解する。養液栽培ベッド10の培地12に棲息する枯草菌は時間をかけて硝酸性窒素を分解する。養液栽培ベッド10の培地12に棲息する枯草菌の一部は、一時に多量に供給される養液16と一緒に排出される。排出される枯草菌は、処理槽3を通過して、排液と一緒に田畑40に排出される。田畑40に排液と一緒に排出される枯草菌は、田畑40でさらに排液に含まれる硝酸性窒素を分解する。処理槽3の多孔質材4に棲息する枯草菌は、養液栽培ベッド10から排出される排液の硝酸性窒素を分解して窒素成分の濃度を低下させる。
処理タンク1、101は、養液栽培ベッド10と処理槽3との間に設けられて、養液栽培ベッド10から供給される排液に含まれるリン酸態リンを除去し、汚濁物質を凝集・沈殿し、さらに脱色して綺麗な水に処理する。このことを実現するために、図1に示す養液栽培装置は、処理タンク1に2価の鉄イオンを含む凝集剤を添加する。処理タンク1は、2価の鉄イオンを含む凝集剤を供給する凝集剤添加装置8を連結している。
凝集剤添加装置8は、処理タンク1に排液が供給される状態で、凝集剤を処理タンク1に供給する添加ポンプ8Bが運転されて排液に凝集剤を添加する。凝集剤添加装置8は、凝集剤の水溶液を蓄える凝集剤タンク8Aと、この凝集剤タンク8Aから凝集剤水溶液を吸入して処理タンク1に供給する添加ポンプ8Bとを備える。凝集剤添加装置8は、2価の鉄イオンの濃度を、たとえば、30ppm以上であって500ppm以下、好ましくは50ppm以上であって300ppm以下、さらに好ましくは約100ppmとなる量の凝集剤を添加する。凝集剤添加装置8は、処理タンク1に添加する凝集剤量をコントロールして処理タンク1の排液の凝集剤濃度を調整する。凝集剤の添加量を多くすると処理タンク1に供給される排液の凝集剤濃度は高くなり、添加量を少なくすると凝集剤濃度は低くなる。処理タンク1の凝集剤濃度が低すぎると、リン酸態リンを十分に除去できず、また汚濁物質を速やかに凝集・沈殿できなくなる。また、凝集剤濃度が高過ぎると、ランニングコストが高くなる。したがって、凝集剤添加装置8は、処理タンク1の排液の汚濁物質を速やかに凝集・沈殿でき、かつ排液に含まれるリン酸態リンの濃度を低くするように、凝集剤の添加量を前述の範囲とする。
凝集剤添加装置8が処理タンク1に供給する凝集剤の添加量は、処理タンク1に供給される排液の流量と、添加ポンプ8Bの流量の比率でコントロールする。処理タンク1に供給される排液の流量は、排液ポンプ6の流量で特定される。排液ポンプ6は所定の流量で排液を処理タンク1に供給するので、添加ポンプ8Bで所定の流量で凝集剤液を処理タンク1に供給して、処理タンク1の2価の鉄イオン濃度、すなわち凝集剤濃度を設定値にコントロールする。処理タンク1は、含有される汚濁物質を凝集・沈殿させて分離し、さらにリン酸態リンを除去し、さらに脱色して、排液を清澄な処理水として外部に排水する。
図2に示す養液栽培装置は、2価の鉄イオンに代わって枯草菌を処理タンク101に添加して、枯草菌でリン酸成分を除去する。この装置は、処理タンク101にリン酸成分を分解する枯草菌を添加している。枯草菌は、ゼオライトや麦飯石などの多孔質材102に植え付けして処理タンク101に添加される。この処理タンク101は、バブリング装置105で底部に空気をバブリングしている。バブリング装置105は、空気を加圧するコンプレッサ103と、このコンプレッサ103で加圧された空気を、処理タンク101の底部から微細な気泡状に噴霧する噴霧器104とを備える。噴霧器104は微細な空隙から加圧された空気を液中に噴射する。液中に噴射される空気は、無数の気泡となって液面に浮上する。この処理タンク101は、バブリングによって処理タンク101の液中に噴射される無数の気泡によって、汚濁物質を凝集・沈殿させて脱色する。さらに、バブリングされる気泡は、枯草菌に酸素を補給して活発にリン酸成分を分解させる。
図1と図2に示す養液栽培装置は、以下のようにして、養液栽培ベッド10から排水される排液を処理する。
[第1の分離工程]
ミョウガの養液栽培ベッド10の培地12に供給している枯草菌は培地12で増殖して、供給される養液16に含まれる硝酸性窒素の一部を分解して排出する。培地12に棲息している枯草菌は、供給される養液16に含まれる硝酸性窒素を時間をかけて分解する。一部の硝酸性窒素の除去された排液は、排液ポンプ6でもって、処理タンク1、101に供給される。培地12に棲息している枯草菌は培地12で増殖して、養液16に含まれる硝酸性窒素を分解するが、養液16に含まれる硝酸性窒素を完全には分解する必要はない。硝酸性窒素が植物の肥料として吸収されるからである。養液栽培ベッド10の培地12は、多孔質材のように微細な空隙に枯草菌を棲息させるものでないから、枯草菌は増殖するが、その一部は排液と一緒に排出される。排液と一緒に増殖した枯草菌の一部が排出されることで、培地12の枯草菌の濃度は所定の状態に保持される。したがって、養液栽培ベッド10の培地12に棲息する枯草菌は、養液として供給される硝酸性窒素を完全には分解することなく、植物に効率よく吸収させながら、排液として排出される硝酸性窒素の濃度を低下させる。すなわち、養液栽培ベッド10から排出される排液に、硝酸性窒素が残存する状態で排出する。排液に残存する硝酸性窒素は、その後に田畑40に設けている処理槽3の多孔質材4に棲息させている枯草菌で分解して低濃度に処理する。すなわち、養液栽培ベッド10の培地12に棲息させる枯草菌は、植物が硝酸性窒素を吸収できる状態に保持しながら、排液として排出される硝酸性窒素の濃度を低下させる。ただ、養液栽培ベッド10の培地12に枯草菌を棲息させることで、ここで枯草菌を増殖して、増殖する枯草菌の一部を排液に含ませて排出する。排液と一緒に排出させる枯草菌は、排液を田畑40に排出する状態で、排液に含まれる硝酸性窒素をさらに分解して窒素成分の濃度を低下させる。
[第2の分離工程]
処理タンク1、101は、養液栽培ベッド10から排出される排液に含まれるリン酸成分を除去すると共に、汚濁物質を凝集・沈殿して脱色する。図1の処理タンク1は、2価の鉄イオンを含む凝集剤を所定の濃度で添加して、この凝集剤でもって、排液に含まれるリン酸態リンを除去し、さらに汚濁物質を凝集・沈殿させて分離する。また、脱色して綺麗な水に処理して外部に排出する。図2の処理タンク101は、リン酸成分を分解する枯草菌を添加すると共に、バブリング装置105で空気をバブリングして、排液に含まれるリン酸成分を除去すると共に、汚濁物質を凝集・沈殿して脱色する。
[第3の分離工程]
処理槽3は、枯草菌が棲息している多孔質材4を充填している。したがって、処理槽3は、処理タンク1、101から供給される処理水に残存している硝酸性窒素を、多孔質材4に棲息している枯草菌で分解して田畑40に排出する。処理槽3の枯草菌は、多孔質材4の微細な空隙に棲息することから、その多くは排液と一緒に排出されない。ただ、養液栽培ベッド10から排出される排液には、培地12で増殖した枯草菌の一部が含まれるので、処理槽3から田畑40に排出される排液には枯草菌が含まれる。排液と一緒に田畑40に排出される枯草菌は、田畑40に棲息して、排液に含まれる硝酸性窒素を分解してさらに窒素成分の濃度を低下させる。
以上の処理方法で、窒素成分とリン酸成分が除去された排液が田畑に排出される。
本発明の排水の処理方法と植物の養液栽培装置は、排液を綺麗に処理して排水でき、排液による田畑の汚染を防止する。
本発明の一実施例にかかる養液栽培装置の概略構成図である。 本発明の他の実施例にかかる養液栽培装置の概略構成図である。 図1に示す養液栽培装置の養液栽培ベッドの一例を示す断面図である。 図3に示す養液栽培ベッドの栽培トレイの一部断面斜視図である。
符号の説明
1…処理タンク
3…処理槽
4…多孔質材
5…排液タンク
6…排液ポンプ
8…凝集剤添加装置 8A…凝集剤タンク
8B…添加ポンプ
10…養液栽培ベッド
12…培地
13…栽培トレイ
14…水平栽培台
15…縦パイプ
16…養液
17…根切りシート
18…保水シート
19…下地フィルム
20…側壁
21…給水管
22…排水溝 22A…側溝
22B…中央溝
30…養液供給装置
32…原水供給装置 32A…原水ポンプ
33…肥料添加装置 33A…液肥タンク
33B…添加ポンプ
34…濃度センサ
35…供給路
40…田畑
101…処理タンク
102…多孔質材
103…コンプレッサ
104…噴霧器
105…バブリング装置

Claims (12)

  1. 植物を養液栽培する養液栽培ベッド(10)の培地(12)に枯草菌を供給して枯草菌でもって養液栽培ベッド(10)から排出される排液の窒素成分を除去する第1の分離工程と、
    この第1の分離工程で処理されて養液栽培ベッド(10)から排出される排液を、リン酸成分を除去すると共に汚濁物質を凝集・沈殿して脱色する処理タンク(1)、(101)に供給して、この処理タンク(1)、(101)でもって汚濁物質を凝集・沈殿して脱色すると共に含まれるリン酸成分を除去する第2の分離工程と、
    第2の分離工程で処理された処理水を、微細な空隙に枯草菌を植え付けている多孔質材(4)を充填している処理槽(3)に供給して、処理槽(3)に棲息する枯草菌で排液の窒素成分を除去する第3の分離工程とからなる排液の処理方法。
  2. 第2の分離工程において、第1の分離工程で処理されて養液栽培ベッド(10)から排出される排液を、2価の鉄イオンを含む凝集剤を添加している処理タンク(1)に供給して、この処理タンク(1)でもってリン酸成分を除去すると共に、汚濁物質を凝集・沈殿して脱色する請求項1に記載される排液の処理方法。
  3. 第2の分離工程において、第1の分離工程で処理されて養液栽培ベッド(10)から排出される排液を、リン酸成分を分解する枯草菌を添加している処理タンク(101)に供給すると共に、この処理タンク(101)に空気をバブリングして、この処理タンク(101)でもってリン酸成分を除去すると共に、汚濁物質を凝集・沈殿して脱色する請求項1に記載される排液の処理方法。
  4. 前記処理槽(3)に充填している多孔質材(4)にゼオライト又は麦飯石を使用する請求項1に記載される排液の処理方法。
  5. 前記処理槽(3)が、田畑(40)に設けられた槽である請求項1に記載される排液の処理方法。
  6. 前記処理槽(3)が上方を開口する溝形として田畑(40)に設けており、前記処理タンク(1)、(101)から供給される排液を枯草菌で処理してオーバーフローして田畑(40)に排出する請求項5に記載される排液の処理方法。
  7. 植物を養液栽培する養液栽培ベッド(10)と、この養液栽培ベッド(10)に肥料を添加している養液(16)を供給する養液供給装置(30)と、養液栽培ベッド(10)から排出される排液が供給されてリン酸成分を除去すると共に汚濁物質を凝集・沈殿して脱色する処理タンク(1)、(101)と、この処理タンク(1)、(101)で処理された排液が所定の流量で供給されると共に、微細な空隙に枯草菌を植え付けている多孔質材(4)を充填している処理槽(3)とを備え、
    前記養液栽培ベッド(10)の培地(12)には枯草菌を添加しており、培地(12)の枯草菌でもって養液栽培ベッド(10)から排出される排液に含まれる窒素成分が除去され、養液栽培ベッド(10)から排出される排液が処理タンク(1)、(101)でもってリン酸成分を除去して汚濁物質を凝集・沈殿して脱色され、さらに処理タンク(1)、(101)から排出される排液が、処理槽(3)の枯草菌でもって含まれる窒素成分が除去されるようにしてなる植物の養液栽培装置。
  8. 前記処理タンク(1)に、2価の鉄イオンを含む凝集剤を添加している請求項7に記載される植物の養液栽培装置。
  9. 前記処理タンク(101)に、リン酸成分を分解する枯草菌を添加しており、さらに、この処理タンク(101)に空気をバブリングするバブリング装置(105)を設けている請求項7に記載される植物の養液栽培装置。
  10. 前記処理槽(3)が、田畑(40)に設けられた槽である請求項7に記載される植物の養液栽培装置。
  11. 前記処理槽(3)が上方を開口する溝形として田畑(40)に設けており、前記処理タンク(1)、(101)から供給される排液を枯草菌で処理してオーバーフローして田畑(40)に排出するようにしてなる請求項10に記載される植物の養液栽培装置。
  12. 前記処理槽(3)に充填している多孔質材(4)がゼオライト又は麦飯石である請求項7に記載される植物の養液栽培装置。
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