JP2010086602A - 磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】走行する非磁性支持体ウェブを塗布ゾーンおよび複数の乾燥ゾーンに順次搬送し、上記塗布ゾーンにおいて強磁性粉末、結合剤および溶剤を含む磁性層形成用塗布液をウェブ上に塗布し塗布膜を形成し、次いで上記乾燥ゾーンにおいて乾燥風を吹き付けることにより塗布膜を乾燥させ磁性層を形成することを含む磁気記録媒体の製造方法。少なくとも最上流の乾燥ゾーンにおいて溶剤ガス濃度が0.01容量%未満である乾燥風を吹き付ける。
【選択図】なし
Description
従来の製造方法では、エネルギー効率向上のため乾燥風として排気ガスを循環させ外気と混合した混合ガスを使用していた(例えば特許文献2参照)。しかし本発明者の検討の結果、塗布膜から蒸発した溶剤ガスを含む排気ガスを乾燥風として利用することが塗膜強度低下の原因となることが新たに判明した。これは、乾燥進行中に溶剤を含んだ乾燥風を再度乾燥に利用すると、一度乾燥した膜が溶剤雰囲気で軟化し、結合剤の固化が遅れ、塗布膜表層で結合剤の厚みが増したり偏在すること、また潤滑剤や界面活性剤等の添加剤が塗膜内に偏在できないことによるものと考えられる。更に、上記のように一度乾燥した膜が溶剤雰囲気で軟化することが、電磁変換特性低下の原因となることも新たに判明した。これは第一には、溶剤雰囲気により塗布膜表面が軟質傾向になり、記録再生時にヘッドへの貼り付きを起こすことが特性の劣化を引き起こすこと、第二には塗布膜が軟質傾向となることにより配向処理によって一方向に整列させた磁化容易軸が再配列を起こし、磁化容易軸が一方向に定まらないため配向性が低下することが原因と推察される。
そこで本発明者らは、上記知見に基づき更に検討を重ねた結果、最も乾燥が進行する領域において、実質的に溶剤を含まない乾燥風を使用することにより、塗膜強度が高く優れた耐久性を有する磁気記録媒体を製造でき、更には磁性体を迅速に配向整列させるとともに磁化容易軸の再配列を抑制することができ、その結果優れた電磁変換特性を示す磁気記録媒体を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
[1]走行する非磁性支持体ウェブを塗布ゾーンおよび複数の乾燥ゾーンに順次搬送し、上記塗布ゾーンにおいて強磁性粉末、結合剤および溶剤を含む磁性層形成用塗布液をウェブ上に塗布し塗布膜を形成し、次いで上記乾燥ゾーンにおいて乾燥風を吹き付けることにより塗布膜を乾燥させ磁性層を形成することを含む磁気記録媒体の製造方法であって、
少なくとも最上流の乾燥ゾーンにおいて溶剤ガス濃度が0.01容量%未満である乾燥風を吹き付けることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
[2]前記最上流の乾燥ゾーンにおいて吹き付ける乾燥風の風量は塗布膜表面1m2あたり0.1〜150Nm3/分の範囲である[1]に記載の磁気記録媒体の製造方法。
[3]形成される磁性層の厚さは10〜300nmの範囲である[1]または[2]に記載の磁気記録媒体の製造方法。
[4]少なくとも前記最上流の乾燥ゾーンにおいて塗布膜中の強磁性粉末に配向磁界を印加する[1]〜[3]のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
[5]前記配向磁界を、塗布膜表面に対して垂直方向または長手方向にのみ印加する[4]に記載の磁気記録媒体の製造方法。
[6]前記強磁性粉末は板状または球状である[1]〜[5]のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
[7]前記強磁性粉末は、六方晶フェライト粉末または窒化鉄粉末である[6]に記載の磁気記録媒体の製造方法。
[8]前記強磁性粉末の平均サイズは35nm未満である[1]〜[7]のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
[9]全乾燥ゾーンにおいて溶剤ガス濃度が0.01容量%未満である乾燥風を吹き付ける[1]〜[8]のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
[10][1]〜[9]のいずれかに記載の方法により製造された磁気記録媒体。
更に本発明によれば、急速乾燥により配向性を向上することができるため、支持体長手方向や垂直方向等の一方向に配向しにくい形状の磁性体を含む磁気記録媒体であっても、所望の配向状態を実現することができる。
上記風量は、非磁性層と磁性層とを同時重層塗布する場合、好ましくは1〜150Nm3/分、より好ましくは5〜100Nm3/分、更に好ましくは10〜90Nm3/分である。一方、単層磁性層を非磁性支持体上に直接塗布する場合および非磁性層と磁性層とを逐次重層塗布する場合は同時重層塗布と比べて乾燥速度が速いため、上記風量の好ましい範囲は、3〜70Nm3/分である。最上流の乾燥ゾーン以外の乾燥ゾーンにおける乾燥風の風量は、最上流の乾燥ゾーンにおける風量と同様としてもよく、乾燥状態等を考慮し適宜変更してもよい。
また、上記強磁性粉末としては、平均サイズが35nm未満のものを使用することが好ましい。平均粒子サイズが35nm未満であれば粒子の大きさに基づくノイズが少なく高密度記録に好適である。ただし、磁性粉末の平均サイズが小さすぎると熱による残留磁化の確保が困難となり、また保磁力が低下し、粒子の分子間引力が増大するため磁性層塗布液中での分散が困難になる。従って強磁性粉末としては、上記の点を考慮し好適な平均粒子サイズを有するものを選択することが好ましい。平均サイズの好ましい範囲については後述する。
強磁性粉末を、日立製透過型電子顕微鏡H−9000型を用いて粒子を撮影倍率100000倍で撮影し、総倍率500000倍になるように印画紙にプリントして粒子写真を得る。粒子写真から目的の磁性体を選びデジタイザーで粉体の輪郭をトレースしカールツァイス製画像解析ソフトKS−400で粒子のサイズを測定する。500個の粒子のサイズを測定する。上記方法により測定される粒子サイズの平均値を強磁性粉末の平均サイズとする。
また、該粉体の平均粉体サイズは、上記粉体サイズの算術平均であり、500個の一次粒子について上記の如く測定を実施して求めたものである。一次粒子とは、凝集のない独立した粉体をいう。
そして、粉体の形状が特定の場合、例えば、上記粉体サイズの定義(1)の場合は、平均粉体サイズを平均長軸長と言い、同定義(2)の場合は平均粉体サイズを平均板径と言い、(最大長径/厚さ乃至高さ)の算術平均を平均板状比という。同定義(3)の場合は平均粉体サイズを平均直径(平均粒径、平均粒子径ともいう)という。
磁性層形成用塗布液は、強磁性粉末、結合剤および任意に使用される添加剤を溶剤中に混合することにより調製される。強磁性粉末としては、強磁性金属粉末、六方晶フェライト粉末、窒化鉄粉末等を挙げることができ、中でも磁性体の微粒子化と高抗磁力化を両立できるという点では六方晶フェライト粉末および窒化鉄粉末が好ましい。以下に、六方晶フェライト粉末および窒化鉄粉末について更に詳細に説明する。
強磁性六方晶フェライト粉末には、例えば、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、鉛フェライト、カルシウムフェライト、それらのCo等の置換体等がある。より具体的には、マグネトプランバイト型のバリウムフェライトおよびストロンチウムフェライト、スピネルで粒子表面を被覆したマグネトプランバイト型フェライト、さらに一部にスピネル相を含有したマグネトプランバイト型のバリウムフェライトおよびストロンチウムフェライト等が挙げられる。その他、所定の原子以外にAl、Si、S、Sc、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、B、Ge、Nbなどの原子を含んでもかまわない。一般には、Co−Zn、Co−Ti、Co−Ti−Zr、Co−Ti−Zn、Ni−Ti−Zn、Nb−Zn−Co、Sb−Zn−Co、Nb−Zn等の元素を添加した物を使用できる。また原料・製法によっては特有の不純物を含有するものもある。好ましいその他の原子およびその含有率は、前記の強磁性金属粉末の場合と同様である。
抗磁力(Hc)は、粒子サイズ(板径・板厚)、含有元素の種類と量、元素の置換サイト、粒子生成反応条件等により制御できる。
本発明における窒化鉄粉末とは、少なくともFe16N2相を含む磁性粉末を意味するが、Fe16N2相以外の窒化鉄の相を含まないことが好ましい。これは、窒化鉄(Fe4NやFe3N相)の結晶磁気異方性は1×105erg/cc(1×10-2J/cc)程度であるのに対し、Fe16N2相は2×106〜7×106erg/cc(2×10-1〜7×10-1J/cc)の高い結晶磁気異方性を有するからである。これにより、微粒子化した際にも高い保磁力を維持することができる。この高い結晶磁気異方性は、Fe16N2相の結晶構造に起因する。結晶構造は、N原子がFeの八面体格子間位置に規則的に入った体心正方晶であり、N原子が格子に入る際の歪が、高い結晶磁気異方性の発生原因と考えられる。Fe16N2相の磁化容易軸は窒化により伸びたC軸である。
結合剤としては従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化系樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物を使用することができる。熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度が−100〜150℃、数平均分子量が1,000〜200,000、好ましくは10,000〜100,000、重合度が約50〜1000程度のものを使用することができる。
磁性層形成用塗布液には、公知の有機溶剤が使用できる。有機溶媒としては、具体的には、任意の比率でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン、等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノールなどのアルコール類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコール等のエステル類、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサンなどのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等を使用することができる。
本発明の磁気記録媒体の製造方法では、非磁性層と磁性層とを有する磁気記録媒体を製造することもできる。非磁性層形成用塗布液は、非磁性粉末、結合剤および任意に使用される各種添加剤を溶剤中で混合することにより調製される。非磁性粉末は、無機物質でも有機物質でもよい。また、カーボンブラック等も使用できる。無機物質としては、例えば金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物などが挙げられる。
非磁性支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリオレフィン類、セルローストリアセテート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、芳香族ポリアミド、ポリベンゾオキサゾールなどの公知のフィルムが使用できる。ガラス転移温度が100℃以上の支持体を用いることが好ましく、ポリエチレンナフタレート、アラミドなどの高強度支持体を用いることが特に好ましい。また必要に応じ、磁性面とベース面の表面粗さを変えるため、特開平3−224127号公報に示されるような積層タイプの支持体を用いることもできる。これらの支持体にはあらかじめコロナ放電処理、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理、などを行ってもよい。
磁気記録媒体の厚み構成は、非磁性支持体の厚みが、好ましくは3〜80μm、より好ましくは3〜50μm、特に好ましくは3〜10μmである。また、非磁性支持体と非磁性層または磁性層の間に下塗り層を設ける場合、下塗り層の厚みは、例えば0.01〜0.8μm、好ましくは0.02〜0.6μmである。
本発明の磁気記録媒体の製造方法では、非磁性支持体の磁性層を有する面とは反対の面にバックコート層を設けることができる。バックコート層には、カーボンブラックと無機粉末が含有されていることが好ましい。バックコート層形成のための結合剤、各種添加剤は、磁性層や非磁性層の処方を適用することができる。バックコート層の厚みは、0.9μm以下が好ましく、0.1〜0.7μmが更に好ましい。表面磁気抵抗は、25℃50%RHで、10-4〜10-7Ω/
in2であることが好ましい。
各層を形成するための塗布液を製造する工程は、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなることができる。個々の工程はそれぞれ2段階以上に分かれていてもかまわない。本発明で用いられる強磁性粉末、非磁性粉末、結合剤、カーボンブラック、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入してもよい。本発明の目的を達成するためには、従来の公知の製造技術を一部の工程として用いることができる。混練工程ではオープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニーダ、エクストルーダなど強い混練力をもつものを使用することが好ましい。これらの混練処理の詳細については特開平1−106338号公報、特開平1−79274号公報に記載されている。また、各層形成用塗布液を分散させるには、ガラスビーズを用いることができる。このようなガラスビーズ以外には、高比重の分散メディアであるジルコニアビーズ、チタニアビーズ、スチールビーズが好適である。これら分散メディアの粒径と充填率は最適化して用いられる。分散機は公知のものを使用することができる。
カレンダー処理には、例えばスーパーカレンダーロールなどが利用される。カレンダー処理によって、表面平滑性が向上するとともに、乾燥時の溶剤の除去によって生じた空孔が消滅し磁性層中の強磁性粉末の充填率が向上するので、電磁変換特性の高い磁気記録媒体を得ることができる。カレンダー処理する工程は、塗布原反の表面の平滑性に応じて、カレンダー処理条件を変化させながら行うことが好ましい。
磁性層の抗磁力(Hc)は、143.2〜318.3kA/m(1800〜4000Oe)が好ましく、159.2〜278.5kA/m(2000〜3500Oe)が更に好ましい。抗磁力の分布は狭い方が好ましく、SFDおよびSFDrは0.8以下、さらに好ましくは0.5以下である。
磁性層塗布液の調製
下記窒化鉄粉末100部を窒素雰囲気下オープンニーダーで10分間粉砕し、フェニルホスホン酸3部をシクロヘキサノン10部と添加し5分混合し、次いでSO3Na含有ポリウレタン溶液(固形分30%、SO3Na含量70μeq/g、重量平均分子量6万)を10部(固形分)加え、更にシクロヘキサノン20部を加えて60分間混練した。
次いで
研磨剤(Al2O3 粒子サイズ0.3μm)ペースト 2部
カーボンブラック(粒子サイズ40nm)ペースト 2部
メチルエチルケトン/トルエン=1/1 200部
を加えてサンドミルで120分間分散した。
これに
2エチルヘキシルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
パルミチン酸 0.3部
メチルエチルケトン 50部
を加え、さらに30分間撹拌混合したあと、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、その後磁性塗料の固形分を溶剤希釈することにより、磁性層塗布液を調製した。
(窒化鉄粉末)
Fe16N2:(Hc:210kA/m、σs:85A・m2/kg、平均粒子径:18nm、粒径の変動係数:15%、平均針状比:1.05、比表面積(SBET):55.1m2/g、組成:Al/Y/V/Fe=7.7/1.9/9.9/100(原子%))
α−Fe2O3(平均粒径0.07μm、SBET 58m2/g、表面処理Al2O3、SiO2、pH5.5〜7.5)100部をオープンニーダーで10分間粉砕しフェニルホスホン酸1部加え更に10分混合粉砕、次いでSO3Na含有ポリウレタン溶液(固形分30%、SO3Na含量70μeq/g、重量平均分子量7万)15部(固形分)を加え、更にシクロヘキサノン28部を加えて60分間混練した。
次いで
メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=6/4 200部
を加えてサンドミルで120分間分散した。
これに
2エチルヘキシルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
メチルエチルケトン 50部
を加え、さらに20分間撹拌混合したあと、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、非磁性層塗布液(非磁性塗料)を調製した。
カーボンブラック(平均粒子径:16m) 95.0部
カーボンブラック(平均粒子径:350nm) 3.0部
硫酸バリウム 2.0部
ニトロセルロース 50部
ポリウレタン樹脂(SO3Na基含有) 52部
シクロヘキサノン 250部
トルエン 200部
メチルエチルケトン 250部
上記成分をサンドミルで滞留時間60分分散した後、ポリイソシアネート12.0部を加え、撹拌ろ過して、バックコート層塗布液を調製した。
塗布乾燥条件
塗布条件:逐次重層塗布、上層塗布量1.0g/m2、下層塗布量4g/m2、塗布幅0.5m
配向条件:第1乾燥ゾーンに2極NN対向磁石478kA/m(6000Oe)(3mm)3基+以降のゾーンにて500Aソレノイド磁石5基(図1中に図示せず)により垂直配向処理
乾燥後バックコート層厚さ:0.1〜1.0μm
乾燥後磁性層厚、非磁性層厚:表1参照
塗布乾燥中の支持体走行速度:100m/分
第1、第2、第3乾燥ゾーン長:各5m
乾燥条件:表1参照(表1中、風量は塗布膜1m2あたりの値を示す。)
表1に示す塗布乾燥条件を使用した点以外は実施例1と同様の方法により磁気テープを作製した。
強磁性粉末として窒化鉄粉末に代えて以下の強磁性六方晶フェライト粉末を用いた点、オープンニーダー処理を空気中で行った点および表1に示す乾燥条件を採用した点以外は実施例1と同様の手順で磁気テープを作製した。
強磁性六方晶フェライト粉末
Hc:175kA/m
σs:52.5A・m2/kg
平均板径:25.0 nm
板径の変動係数:20%
平均板状比:3.8
比表面積(SBET):55.5 m2/g
組成:Ba/Fe/Co/Zn/Nb=8.5/100/1.0/4.5/2.0(原子%)
(1)乾燥点の特定
乾燥工程中の支持体の温度をモニターし、ウエッブの温度が、16〜20℃から22℃以上になる急激な温度上昇が観察されたゾーンを乾燥点として特定した。溶剤の蒸発が進行している間は蒸発潜熱により支持体の温度は大きく変化しないため、急激な温度上昇が観察されたことは、乾燥が実質的に終了したことを意味する。
(2)電磁変換特性
記録ヘッド(MIGギャップ0.15μm、1.8T)と再生用MRヘッドを富士通(株)製F613Aドライブ(3480型1/2インチカートリッジ磁気テープ記録再生装置)に装着し、テープスピード100インチ/秒の磁気記録再生システムを用い、23℃50%RHでサーボ制御を行い、室温下全長100パス走行後に、1トラック(幅20μm)を90m長で再生を行った。測定値の表示は、窒化鉄粉末を使用した実施例および比較例については比較例1を基準0dBにしたときの相対値、強磁性六方晶フェライト粉末を使用した実施例および比較例については実施例10を基準0dBとしたときの相対値で示した。
(3)耐久性(エラー回数)
上記の磁気記録再生システムを用いてデーター記録後、60℃90%RHに1週間保存し、25度50%RHで24時間放置の後、190m長を1000パス走行させ、再生出力落ちが35%以上かつ4ビット以上の長さの信号欠陥をエラーとして発生パス回数を測定した。
(4)垂直方向角型比〈磁気特性〉
磁気テープに、外部磁場0.8mA/m(10kOe)を、磁性層面内垂直方向にかけた後、角型(Br/Bs)を測定した。これらの測定には、東英工業製の試料振動型磁束計VSMを用いた。外部磁界を磁性層面内垂直方向に印加した時、磁性層垂直方向に反磁界が生じるため、特開平7−210852号公報記載の方法によりこの値を補正して、角型比を求めた。
(5)乾燥風の温度および溶剤濃度測定
乾燥風の温度は給気ダクト吹き出し口先端から吹き出すガス温度を測定して求めた。溶剤濃度は、高感度ガス検知器コスモテクター可燃性ガス検知器により磁性層塗布液および非磁性層塗布駅に使用した個々の溶剤のガス濃度を測定し総量に換算して求めた。表1中、溶剤濃度0容量%とは、上記装置(溶剤ガスのLELを100%読み取り値に改造した)の1%検出値(0.01容量%)に満たないことを意味する。
実施例1〜11は、いずれも全乾燥ゾーンにおいて、排気ガスを循環利用せず乾燥装置外から取り込んだ新鮮風を乾燥風として使用したため乾燥風の溶剤濃度は検出限界以下であった。これら実施例は、耐久性、電磁変換特性の評価とも良好な結果を示した。また、実施例において比較例と比べて高角型比を実現できたことから、第1ゾーンの乾燥風として新鮮風を使用することにより、垂直方向に配向磁界を印加する配向処理によって磁性層中の磁性粉末を高度に垂直配向させることができたことがわかる。
これに対し比較例1および2は、第1乾燥ゾーンにおいて排気ガスと新鮮風を混合した混合ガスを乾燥風として使用した例であり、比較例3〜5は全乾燥ゾーンにおいて上記混合ガスを乾燥風として使用した例であり、比較例6および7は第1乾燥ゾーンおよび第2乾燥ゾーンにおいて排気ガスと新鮮ガスを混合したガスを乾燥風として使用した例である。
表1に示すように、第1ゾーンの乾燥風として溶剤ガスを含む乾燥風を使用した比較例では電磁変換特性が著しく劣化した。これは、乾燥が急速に進行する第1ゾーンにおいて溶剤ガス風で乾燥した場合、塗布膜表面は軟質傾向となり、この膜が電磁変換特性評価時に磁気ヘッド表面に付着し特性の劣化を起こしたこと、および、垂直配向処理を施したにもかかわらず、一度垂直配向した磁性体が軟質化した塗布膜内で再配列した結果、磁性体の配向について磁化容易軸が垂直に定まらなくなったことに起因すると考えられる。また比較例における走行耐久性劣化も、同様に塗布膜が軟質傾向となることに起因して発生したと考えられる。
2:非磁性支持体
3:磁性層
4:コーターヘッド
5:第1乾燥ゾーン
6:第2乾燥ゾーン
7:第3乾燥ゾーン
10:磁性層液
11:下層非磁性層液
12:配向用磁石
51,61,71:給気ダクト
52,62,72:排気ダクト
81,82,83:熱源
A1,A2、A3:給気風量
B1,B2,B3:排気風量
97,98,99:回収(再利用)ダクト
91,93,95:取り込み風量調整ダンパー
92,94,96:回収/排風量調整ダンパー
Claims (10)
- 走行する非磁性支持体ウェブを塗布ゾーンおよび複数の乾燥ゾーンに順次搬送し、上記塗布ゾーンにおいて強磁性粉末、結合剤および溶剤を含む磁性層形成用塗布液をウェブ上に塗布し塗布膜を形成し、次いで上記乾燥ゾーンにおいて乾燥風を吹き付けることにより塗布膜を乾燥させ磁性層を形成することを含む磁気記録媒体の製造方法であって、
少なくとも最上流の乾燥ゾーンにおいて溶剤ガス濃度が0.01容量%未満である乾燥風を吹き付けることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 前記最上流の乾燥ゾーンにおいて吹き付ける乾燥風の風量は塗布膜表面1m2あたり0.1〜150Nm3/分の範囲である請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 形成される磁性層の厚さは10〜300nmの範囲である請求項1または2に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 少なくとも前記最上流の乾燥ゾーンにおいて塗布膜中の強磁性粉末に配向磁界を印加する請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記配向磁界を、塗布膜表面に対して垂直方向または長手方向にのみ印加する請求項4に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記強磁性粉末は板状または球状である請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記強磁性粉末は、六方晶フェライト粉末または窒化鉄粉末である請求項6に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記強磁性粉末の平均サイズは35nm未満である請求項1〜7のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 全乾燥ゾーンにおいて溶剤ガス濃度が0.01容量%未満である乾燥風を吹き付ける請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法により製造された磁気記録媒体。
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JP2008077712A (ja) * | 2006-09-19 | 2008-04-03 | Hitachi Maxell Ltd | 磁気記録媒体およびその製造方法 |
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