JP2010085745A - 光源装置及びプロジェクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】 鮮明な画像をスクリーンに投影することのできる光源装置と、当該光源装置を備えたプロジェクタを提供する。
【解決手段】 プロジェクタは、光源装置と、表示素子と、冷却ファンと、前記光源装置からの光を前記表示素子に導光する光源側光学系と、前記表示素子から射出された画像をスクリーンに投影する投影側光学系と、前記光源装置や表示素子を制御するプロジェクタ制御手段と、を備え、この光源装置は、指向性のある励起光を受けて所定の波長帯域光を射出する異なる発光部材が回転制御可能な円形状の基材130の円周方向に隣接して配置される回転板と、前記励起光を前記発光部材に照射する励起光源72と、該励起光源72の光軸上に前記各発光部材同士の間隙138が位置したときに当該励起光源72を消灯させる制御手段を有することとする。
【選択図】 図6

Description

本発明は、光源装置及び当該光源装置を内蔵するプロジェクタに関する。
今日、パーソナルコンピュータの画面やビデオ画像、更にメモリカード等に記憶されている画像データによる画像等をスクリーンに投影する画像投影装置としてのプロジェクタが多用されている。このプロジェクタは、光源から射出された光をDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)と呼ばれるマイクロミラー表示素子、又は、液晶板に集光させ、スクリーン上にカラー画像を表示させるものである。
このようなプロジェクタにおいて、従来は高輝度の放電ランプを光源とするものが主流であったが、近年、光源として赤、緑、青の発光ダイオードや有機EL等の固体発光素子を用いるための開発がなされており多くの提案がなされている。例えば、特開2004−341105号公報(特許文献1)では、固体光源から射出する紫外光を可視光に変換する蛍光体層と基材と固体光源から成る光源装置についての提案がなされている。
しかしながら、特許文献1の提案は、エネルギーの高い紫外光を励起光とする励起光源を用いているため、紫外光が照射される光学部品は損傷を受けやすく、当該光学部品の長期寿命の確保が困難となるといった問題点があった。
そこで、本願出願人が出願した特願2008−127947号(特許文献2)では、紫外光よりもエネルギーの低い可視光を励起光として蛍光体に照射することで所定の波長帯域光を生成し、励起光が照射される光学部品の経年劣化を抑制し、長期間に渡って性能を維持することのできる光源装置についての提案がなされている。
特開2004−341105号公報 特願2008−127947号
特許文献2の提案は、発光部材である蛍光体の層や拡散層が円周方向に隣接して形成された回転板に、青色光などの可視光をレーザー発光器等により指向性のある励起光として照射し、赤色、緑色、青色等の各色を順次生成することができるも、蛍光体の層や拡散層などの発光部材同士の間隙に励起光が照射されると、当該間隙から励起光がそのまま通過し、スクリーンに投影される画像に青色のスポットが形成されてしまうといった問題点があった。又、所定の輝度を得るために励起光源を構成する光源体の数を増加させると、スクリーンに投影される青色のスポットも増加してしまうといった問題点もあった。
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、指向性のある励起光が発光部材に照射されることなく発光部材同士の間隙をそのまま通過して光源装置から射出されることを防止し、鮮明な画像をスクリーンに投影することのできる光源装置と、当該光源装置を備えたプロジェクタを提供することを目的としている。
本発明の光源装置は、指向性のある励起光を受けて所定の波長帯域光を射出する異なる発光部材が回転制御可能な円形状の基材の円周方向に隣接して配置された回転板と、前記励起光を前記発光部材に照射する励起光源と、該励起光源の光軸上に前記各発光部材同士の間隙が位置したときに当該励起光源を消灯させる制御手段を有するものである。
又、前記励起光源は、青色の波長帯域の励起光を射出するものであって、前記回転板は、前記励起光を受けて赤色の波長帯域光を発光する発光部材と、前記励起光を受けて緑色の波長帯域光を発光する発光部材と、入射した前記励起光を拡散させて射出する発光部材と、を備えるものである。
そして、前記励起光源は、青色の波長帯域の励起光と、紫外の波長帯域の励起光と、を射出するものであって、前記回転板は、前記励起光を受けて赤色の波長帯域光を発光する発光部材と、前記励起光を受けて緑色の波長帯域光を発光する発光部材と、前記励起光を受けて青色の波長帯域光を発光する発光部材と、を備えることもある。
更に、前記回転板は、前記各発光部材同士の間隙に励起光を遮光する遮光部材が配置されていることもある。
そして、本発明のプロジェクタは、光源装置と、表示素子と、冷却ファンと、前記光源装置からの光を前記表示素子に導光する光源側光学系と、前記表示素子から射出された画像をスクリーンに投影する投影側光学系と、前記光源装置や表示素子を制御するプロジェクタ制御手段と、を備え、光源装置が前述の光源装置であることを特徴とするものである。
本発明によれば、制御手段によって励起光源の光軸上に各発光部材同士の間隙が位置したときに励起光源を消灯させることができるため、指向性のある励起光が発光部材に照射されることなく発光部材同士の間隙をそのまま通過して光源装置から射出されることを防止し、鮮明な画像をスクリーンに投影することのできる光源装置と、当該光源装置を備えたプロジェクタを提供することができる。更に、発光部材相互の間隙に遮光部材を配置する場合は、より確実に励起光が間隙を通過することを防止できる。
本発明を実施するための最良の形態のプロジェクタ10は、光源装置63と、表示素子51と、冷却ファンと、前記光源装置63からの光を前記表示素子51に導光する光源側光学系61と、前記表示素子51から射出された画像をスクリーンに投影する投影側光学系62と、前記光源装置63や表示素子51を制御するプロジェクタ制御手段と、を備えるものである。
この光源装置63は、指向性のある励起光を受けて所定の波長帯域光を射出する異なる発光部材が回転制御可能な円形状の基材130の円周方向に隣接して配置される回転板と、前記励起光を前記発光部材に照射する励起光源72と、該励起光源72の光軸上に前記各発光部材同士の間隙138が位置したときに当該励起光源72を消灯させる制御手段を有するものである。
又、前記励起光源72は、青色の波長帯域の励起光を射出するレーザー発光器であって、前記回転板は、前記励起光を受けて赤色の波長帯域光を発光する発光部材である蛍光体の層131Rと、前記励起光を受けて緑色の波長帯域光を発光する発光部材である蛍光体の層131Gと、入射した前記励起光を拡散させて射出する発光部材である拡散層135と、を備えるものである。
更に、前記回転板は、前記各発光部材同士の間隙138に励起光を遮光する遮光部材150が配置されているものである。
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳説する。本発明の一つの実施例に係るプロジェクタ10は、図1に示すように、略直方体形状であって、本体ケースの前方の側板とされる前面板12の側方に投影口を覆うレンズカバー19を有すると共に、この前面板12には複数の排気孔17を設けている。
又、本体ケースである上面板11にはキー/インジケータ部37を有するものであり、このキー/インジケータ部37には、電源スイッチキーや電源のオン又はオフを報知するパワーインジケータ、光源装置等が過熱したときに報知をする過熱インジケータ等のキーやインジケータを備えているものである。
更に、本体ケースの背面には、背面板にUSB端子や画像信号入力用のD−SUB端子、S端子、RCA端子等を設ける入出力コネクタ部及び電源アダプタプラグ等の各種端子20、図示しないメモリカードスロット、リモートコントローラからの制御信号を受信するIr受信部を有しているものである。
尚、この背面板、及び、図示しない本体ケースの側板である右側板、及び、図1に示した側板である左側板15の下部近傍には、各々複数の吸気孔18を有しているものである。
そして、このプロジェクタ10のプロジェクタ制御手段は、図2に示すように、制御部38、入出力インターフェース22、画像変換部23、表示エンコーダ24、表示駆動部26等を有するものであって、入出力コネクタ部21から入力された各種規格の画像信号は、入出力インターフェース22、システムバス(SB)を介して画像変換部23で表示に適した所定のフォーマットの画像信号に統一するように変換された後、表示エンコーダ24に送られるものである。
又、表示エンコーダ24は、送られてきた画像信号をビデオRAM25に展開記憶させた上でこのビデオRAM25の記憶内容からビデオ信号を生成して表示駆動部26に出力するものである。
そして、表示エンコーダ24からビデオ信号が入力される表示駆動部26は、送られてくる画像信号に対応して適宜フレームレートで空間的光変調素子(SOM)である表示素子51を駆動するものであり、光源装置63からの光を光源側光学系を形成する照明用ユニットを介して表示素子51に入射することにより、表示素子51の反射光で光像を形成し、投影側光学系を形成する投影ユニットを介して図示しないスクリーンに画像を投影表示するものであり、この投影側光学系の可動レンズ群97は、レンズモータ45によりズーム調整やフォーカス調整のための駆動が行われるものである。
又、画像圧縮伸長部31は、画像信号の輝度信号及び色差信号をADTC及びハフマン符号化等の処理によりデータ圧縮して着脱自在な記録媒体とされるメモリカード32に順次書き込む記録処理や、再生モード時はメモリカード32に記録された画像データを読み出し、一連の動画を構成する個々の画像データを1フレーム単位で伸長して画像変換部23を介して表示エンコーダ24に送り、メモリカード32に記憶された画像データに基づいて動画等の表示を可能とするものである。
そして、制御部38は、プロジェクタ10内の各回路の動作制御を司るものであって、CPUや各種セッティング等の動作プログラムを固定的に記憶したROM及びワークメモリとして使用されるRAM等により構成されている。
又、本体ケースの上面板11に設けられるメインキー及びインジケータ等により構成されるキー/インジケータ部37の操作信号は、直接に制御部38に送出され、リモートコントローラからのキー操作信号は、Ir受信部35で受信され、Ir処理部36で復調されたコード信号が制御部38に送られるものである。
尚、制御部38にはシステムバス(SB)を介して音声処理部47が接続されており、音声処理部47はPCM音源等の音源回路を備え、投影モード及び再生モード時には音声データをアナログ化し、スピーカ48を駆動して拡声放音させることができるものである。
又、この制御部38は、電源制御回路41を制御しており、この電源制御回路41は、電源スイッチキーが操作されると光源装置63を点灯させる。更に、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43も制御しており、この冷却ファン駆動制御回路43は、光源装置63等に設けた複数の温度センサによる温度検出を行わせて、冷却ファンの回転速度を制御させ、又、タイマー等により光源装置63の消灯後も冷却ファンの回転を持続させるものであり、更に、温度センサによる温度検出の結果によっては光源装置63を停止してプロジェクタ本体の電源をOFFにする等の制御も行うものである。
又、このプロジェクタ10の内部構造は、図3に示したように、光源用電源回路ブロック101等を取付けた電源制御回路基板102を右側板14の近傍に配置し、筐体内を区画用隔壁120により背面板13側の吸気側空間室121と前面板12側の排気側空間室122とを気密に形成し、プロジェクタ10の中央近傍にシロッコファンタイプのブロア110を冷却ファンとして配置し、吸気側空間室121にブロア110の吸込み口111を排気側空間室122にブロア110の吐出口113を位置させている。
更に、排気側空間室122内に光源装置63を配置し、左側板15に沿って照明側ブロック78及び画像生成ブロック79並びに投影側ブロック80で構成する光学ユニットブロック77を配置し、光学ユニットブロック77の照明側ブロック78を排気側空間室122に開口連通させて照明側ブロック78に設ける照明用ユニットの一部が排気側空間室122に位置するように配置し、排気側空間室122の前面板12に沿って排気温低減装置114を配置している。
そして、光源装置63等を冷却する冷却ファンとしてのブロア110は、中心部に吸込み口111を有し、吐出口113は略正方形断面であって、区画用隔壁120に接続され、区画用隔壁120によって区画された排気側空間室122にブロア110からの排風を排出するものであって、ブロア110の吸込み口111の近傍には制御回路基板103が配設されるものである。
そして、光学ユニットブロック77は、光源装置63の近傍に配置され、照明用ユニットの一部を備えて光源装置63からの射出光を画像生成ブロック79に向けて射出する照明側ブロック78と、照明用ユニットの一部と表示素子51を備えて照明側ブロック78からの射出光を画像データに合わせて投影側ブロック80に向けて反射する画像生成ブロック79と、投影ユニットを備えて左側板15の近傍に配置され、画像生成ブロック79で反射した光を投影する投影側ブロック80との三つのブロックから構成されているものである。
この照明側ブロック78が備える光源側光学系61を形成する照明用ユニットの一部としては、光源装置63から射出された光を均一な強度分布の光束とする導光装置75等がある。
又、画像生成ブロック79が備える光源側光学系61を形成する照明用ユニットの一部としては、導光装置75から射出された光の向きを変更する反射ミラー74や、この反射ミラー74により反射した光を表示素子51に集光させる集光レンズ群83及びこの集光レンズ群83を透過した光を表示素子51に所定の角度で照射する照射ミラー84がある。そして、画像生成ブロック79は、表示素子51も備えており、表示素子51としてはDMDを採用している。更に、この表示素子51の背面板13側には表示素子51を冷却するための表示素子放熱板53が配置されている。
このDMDは、複数のマイクロミラーがマトリックス状に配置され、正面方向に対して一方向に傾いた入射方向から入射した光を、複数のマイクロミラーの傾き方向の切換えにより正面方向のオン状態光線と斜め方向のオフ状態光線とに分けて反射することにより画像を表示するものであり、一方の傾き方向に傾動されたマイクロミラーに入射した光をこのマイクロミラーにより正面方向に反射してオン状態光線とし、他方の傾き方向に傾動されたマイクロミラーに入射した光をこのマイクロミラーにより斜め方向に反射してオフ状態光線とすると共に、このオフ状態光線を吸光板で吸収し、正面方向への反射による明表示と、斜め方向への反射による暗表示とにより画像を生成するものである。
そして、投影側ブロック80は、画像を形成する明表示の光線束を図示しないスクリーン等に照射する投影側光学系62を形成する固定レンズ群93や可動レンズ群97を有する投影ユニットを備えているものである。そして、これらの投影側光学系62のレンズ群によりズーム機能を備えた可変焦点型レンズとしているものであり、光学ユニットブロック77と左側板15の間に配置された光学系制御基板86により前述したレンズモータ45を制御して可動レンズ群97を光軸に沿って移動させ、ズーム調整やフォーカス調整を可能としているものである。
そして、光源装置63は、指向性のある励起光を受けて各色の波長帯域光を導光装置75に射出する発光ホイール71と、励起光を発光部材に照射する励起光源72と、を備えるものであり、励起光源72が前面板12の近傍において、当該励起光源72の光軸が導光装置75の光軸と略一致し、且つ、発光ホイール71の回転軸と平行となるように、発光ホイール71に対向して配置されるものである。
又、この発光ホイール71は、異なる発光部材が回転制御可能な円盤状の透明材質から成る基材130の円周方向に隣接して配置される回転板が、基材130の中央部に取り付けられるホイールモータ73によって回転可能に配設されているものである。
そして、この光源装置63は、図4及び図5に示すように、励起光源72から励起光が発光ホイール71に照射されると発光部材である蛍光体の層131に含有される蛍光体、或いは、発光部材である拡散層135から所定の波長帯域光が射出され、当該射出光が導光装置75に入射されるように構成されているものである。
発光ホイール71は、円形状の基材130に異なる種類の発光部材を複数有する回転板と、ホイールモータ73とにより構成されるものであり、基材130の中央部にホイールモータ73との接続部である円柱状のロータの形状に対応した円形開口が形成され、該円形開口にロータが挿着されることで一体となるものである。これにより、この発光ホイール71の回転板は、毎秒約120回などの回転速度でプロジェクタ制御手段の制御部38によって駆動制御されるホイールモータ73によって回転することとなる。
この基材130は、複数の扇形形状のセグメント領域を円周方向に隣接して有し、ガラス基材、透明樹脂基材等で形成されるものである。そして、この基材130は、第一乃至第三の三つのセグメント領域141〜143を有し、第一領域141の一方の面には、励起光を受けて原色である赤色(R)の波長帯域光を発光する発光部材である赤色蛍光体の層131Rが固着され、第二領域142の一方の面には、励起光を受けて原色である緑色(G)の波長帯域光を発光する発光部材である緑色蛍光体の層131Gが固着されている。更に、第三領域143には蛍光体の層131が配置されておらず、第一及び第二領域141,142の蛍光体の層131が配置される側の第三領域143の面には、入射した励起光に拡散効果を付与する光学物質が拡散層135として配置されている。
尚、基材130を三つのセグメント領域である第一乃至第三領域141〜143に対応した三つのフィルタ片で形成することもでき、夫々のフィルタ片で蛍光体の層131の固着、及び拡散層135の形成をして、その後、円形状に組み合わせて接着、或いは取付部材等によって一体としてもよい。
又、この蛍光体層131は、蛍光体結晶とバインダから構成されるものであり、拡散層135としては、光学物質である固体物を固着する場合の他、当該基材130の表面にブラスト加工などによる目粗し処理等の光学処理を施すことにより形成してもよい。
そして、この基材130は、発光部材として形成される蛍光体の層131及び拡散層135が配置される側の全面に励起光を透過し、且つ、蛍光体が発する波長帯域光などの励起光以外の他の波長帯域光を反射するダイクロイック層134がコーティングにより形成され、このダイクロイック層134の上に蛍光体層131及び拡散層135が形成されているものである。
尚、本実施例においては、基材130の発光部材の配置される側の全面に励起光を透過し、且つ、他の波長帯域光を反射するダイクロイック層134を形成しているが、各セグメント領域において、異なる特性のダイクロイック層134を形成してもよい。例えば、第一領域141の全面には励起光を含む赤色光以外の他の波長帯域光を透過し、赤色光を反射するコーティングを施し、第二領域142の全面には励起光を含む緑色光以外の他の波長帯域光を透過し、緑色光を反射するコーティングを施し、第三領域143の全面には当該コーティングを施さずダイクロイック層134を形成しないようにしてもよい。
又、この基材130は、発光部材として形成される蛍光体の層131及び拡散層135が配置される側とは反対側の全面に無反射コート層133がコーティングにより形成されている。
そして、励起光源72は、基材130の各セグメント領域に配置される発光部材に指向性のある励起光を照射するものであって、第一領域141や第二領域142の赤色及び緑色蛍光体の層131R,131Gが発する赤色及び緑色の波長帯域光よりも波長の短い可視光である青色の波長帯域光を発するレーザー発光器とするものである。
又、励起光源72からの励起光により、一つの発光部材から射出される単色光の光量を増やし、有効光の利用効率を向上させるために、導光装置75の形状に対応して形成される開口を有する入射マスク136が、励起光源72と発光ホイール71との間に配置されている。
次に、発光ホイール71から射出され導光装置75に入射される射出光について説明する。励起光源72から指向性のある励起光が第一領域141に照射されると、当該励起光は、第一領域141の入射面の無反射コート層133を励起光源72側へほとんど反射されることなく透過して基材130に入射する。そして、基材130を透過した励起光は、ダイクロイック層134を透過して赤色蛍光体の層131Rに照射される。この赤色蛍光体層131Rの蛍光体は、当該励起光を吸収して赤色の波長帯域光を全方位に射出するものである。このうち、導光装置75に向かって射出される赤色光はそのまま導光装置75に入射し、基材130側に射出される赤色光はダイクロイック層134によって反射され、当該反射光の多くが発光ホイール71からの射出光として導光装置75に入射されることとなる。
同様に、励起光源72から指向性のある励起光が第二領域142に照射されると、緑色の波長帯域光を射出光として、緑色光が導光装置75に入射されることとなる。
そして、励起光源72から青色の波長帯域光である励起光が第三領域143に照射されると、当該励起光は、第三領域143の無反射コート層133、基材130、及びダイクロイック層134を透過して拡散層135に照射される。この拡散層135は、第三領域143の拡散層135に入射した光を、第一、第二領域141,142からの射出光と同様な拡散光として射出するものである。したがって、このように第三領域143においては、入射した青色励起光に拡散効果を付与する拡散層135が形成されているため、第三領域143に励起光が照射されると、拡散された青色の波長帯域光が射出光として導光装置75に入射されることとなる。
そして、本実施例における導光装置75は、図5に示すように、中空の略四角錐台形状に形成されたテーパーライトトンネルとするものである。このテーパーライトトンネルは、光軸と垂直な入射面及び出射面を備え、上下左右の面を形成する台形状の4枚の板を有し、各板の稜線近傍でそれぞれを接着固定することにより入射面から出射面にかけて断面積が拡がる略四角錐台形状に形成され、内面を反射面とするものである。そして、このテーパーライトトンネルの入射面の縦幅及び横幅の長さに対して出射面の縦幅及び横幅の長さを約2倍とすることにより、入射した拡散光は出射面から光軸に対して約30度の広がりを持つ光束とすることができる。
尚、導光装置75をテーパーライトトンネルとせずに、入射面及び出射面の縦幅及び横幅の長さを同一なライトトンネルとし、このライトトンネルの入射面側に集光レンズ群を配置して発光ホイール71から射出された拡散光を集光レンズ群により集光させてライトトンネルに入射することとしてもよい。又、導光装置75はライトトンネルに限るものでなく中実のガラスロッドを用いることもある。
これにより、発光ホイール71を回転させると共に励起光源72から指向性のある励起光を射出すると、赤色及び緑色及び青色の波長帯域光が発光ホイール71から導光装置75に順次入射され、励起光源72の照射タイミングに合せてプロジェクタ10の表示素子51であるDMDがデータを時分割表示することにより、スクリーンにカラー画像が生成されることになる。
このように、この光源装置63は、円形状の基材130に異なる発光部材を配置した回転板と、励起光を発光部材に照射する励起光源72とを設け、回転板を回転させた状態で指向性のある青色励起光を発光部材に照射し続けることによって各色の波長帯域光を順次生成することができる。しかしながら、図6(a)に示すように、回転する回転板に励起光源72から青色励起光を照射し続けると、励起光源72の光軸上に、発光部材と発光部材との間に製作上形成される僅かな間隙138が位置したときに、当該間隙138より励起光が導光装置75側にそのまま通過してしまうこととなる。これにより、この間隙138からそのまま通過した励起光が導光装置75に入射し、スクリーンに投影される画像に青色のスポットが形成されてしまう。又、所定の輝度を得るために励起光源72を構成する光源体の数を増加させると、スクリーンに投影される青色のスポットも増加することとなる。
ここで、図6(a)及び後述する図8は、励起光源72の光軸上を回転する回転板の各発光部材が順次位置することを模式的に示した回転板の正面断面図であり、回転移動を右から左への一方向の移動として表している。
そこで、本発明に係る光源装置63は、図6(b)に示すように、励起光源72の光軸上に各発光部材同士の間隙138及び間隙138周辺が位置したときに励起光源72を消灯させる制御手段を備え、励起光が間隙138より導光装置75側にそのまま通過することを防止することとした。尚、この制御手段は、プロジェクタ制御手段の一部に含まれることとしてもよいし、光源装置63に直接的に設けることとしてもよい。ここで、図6(b)は、励起光源72がON状態となる位置及びOFF状態となる位置を模式的に示した回転板の正面断面図である。
これにより、励起光が発光部材である蛍光体の層131及び拡散層135との間に形成される間隙138よりそのまま通過して、導光装置75に入射することがないため、スクリーン上にスポットが形成されることない。したがって、このように、制御手段によって励起光源72の光軸上に発光部材同士の間隙138及び間隙138周辺が位置したときに励起光源72を消灯させ、励起光源72の光軸上に発光部材が位置したときには励起光源72を点灯するように、当該励起光源72を点滅制御することにより、赤色及び緑色及び青色の波長帯域の拡散光のみを導光装置75に順次入射させることができるため、指向性のある励起光が発光部材に照射されることなく発光部材同士の間隙138をそのまま通過して光源装置から射出されることを防止し、この励起光源72の照射タイミングに合せてプロジェクタ10の表示素子51であるDMDがデータを時分割表示することにより、鮮明なカラー画像をスクリーンに投影することのできる光源装置63と、当該光源装置63を備えたプロジェクタ10を提供することができる。
又、基材130をガラス基材とすることにより剛性を持たせることができ、或いは基材130を透明樹脂基材とすることにより軽量化及び低コスト化を図ることもできる。
そして、基材130の発光部材である蛍光体の層131が配置される側の面にダイクロイック層134が形成されているため、基材130側に射出される光を導光装置75側へ反射して導光装置75に入射する光量を増加することができる。更に、基材130の発光部材である蛍光体の層131及び拡散層135の配置される側とは反対側の面に無反射コート層133が形成されているため、励起光源72から照射される励起光の利用効率を向上させることもできる。
そして、励起光源72からの励起光を、各蛍光体の層131が発光する所定の波長帯域光よりも波長の短い青色の波長帯域光とすることで、励起光の照射された各蛍光体の層131の蛍光体によって励起光とは異なる波長帯域の光を生成し単色光源として利用することができると共に、励起光源72から射出される励起光を拡散層135を透過させることによって蛍光体の層131から射出される光と同様の拡散光を拡散層135から射出することができる。これにより、当該励起光源72も一つの単色光源として利用することができるため、比較的高価な蛍光体の層131の設置面積を低減することができ、安価な光源装置63及び当該光源装置63を備えたプロジェクタ10を提供することができる。
尚、励起光源72から照射する所定の波長帯域光と、複数個の蛍光体の層131から射出する所定の波長帯域光との組合せについては、前述した励起光を青色の波長帯域光とし、発光ホイール71からの射出光を原色の波長帯域光とする場合に限ることなく種種の態様を採用することができる。
例えば、各セグメント領域に、原色の波長帯域光を射出する蛍光体の層131に加えて補色である黄色の波長帯域光を射出する蛍光体の層131を配置させてもよい。これにより、光源装置63の輝度を上げて色再現性の向上を図ることができる。又、蛍光体の層131の円周方向に一定配置パターンとして、赤色、緑色、青色、赤色、緑色、青色となるように六つのセグメント領域より三色の波長帯域光を繰り返し射出されるようにしてもよい。これにより、発光ホイール71の回転速度を変えずにカラーブレーキング現象による色分離を防止することができる。
更に、励起光源72から照射する励起光を紫外領域の波長帯域光や紫色の波長帯域光とし、又、拡散層135を配置せずに、赤色、緑色、青色の波長帯域光を発光する蛍光体の層131を発光ホイール71の各セグメント領域に配置する場合もある。
そして、励起光源72は、一種類の波長帯域光を励起光とする場合に限定することなく、複数種類の波長帯域光を励起光として発射可能に構成される場合もある。例えば、この励起光源72は、図7に示すように、青色の波長帯域の励起光を射出する複数個の青色光源体70Bと、紫外の波長帯域の励起光を射出する複数個の紫外光源体70Uと、から構成されて成り、光源体70の各々が対応する発光部材にのみ励起光を照射するものである。
又、発光ホイール71の回転板には、励起光である青色光を受けて赤色(R)の波長帯域光を発光する発光部材である赤色蛍光体の層131Rが第一領域141に固着され、励起光である青色光を受けて緑色(G)の波長帯域光を発光する発光部材である緑色蛍光体の層131Gが第二領域142に固着され、励起光である紫外光を受けて青色(B)の波長帯域光を発光する発光部材である青色蛍光体の層131Bが第三領域143に固着されている。
そして、この励起光源72は、各光源体70の光軸と、導光装置75の光軸と、発光ホイール71の回転軸とが平行となるように配置され、各光源体70の光軸上であって、且つ、発光ホイール71に取付けられる蛍光体の層131に励起光が集光されるように励起光集光レンズ139が配置されているものである。
又、この励起光源72は、前述と同様に、制御手段によって、励起光源72の光軸上に発光部材同士の間隙138及び間隙138周辺が位置したときに励起光源72を消灯させ、励起光源72の光軸上に発光部材が位置したときには励起光源72を点灯するように点滅制御され、且つ、青色光源体70Bから射出される励起光の光路上に回転板の赤色及び緑色蛍光体の層131R,131Gが位置したときにだけ当該青色光源体70Bを点灯し、青色光源体70Bからの射出光の光路上に青色蛍光体の層131Bが位置したときは当該青色光源体70Bを消灯するように制御され、又、紫外光源体70Uから射出される紫外光の光路上に回転板の青色蛍光体の層131Bが位置したときにだけ紫外光源体70Uを点灯し、紫外光源体70Uからの射出光の光路上に赤色及び緑色蛍光体の層131R,131Gが位置したときは紫外光源体70Uを消灯するように制御されるものである。
このように、青色及び紫外光源体70B,70Uを回転する回転板に連動して点滅制御することにより、励起光源72からは二種の異なる波長帯域光が順次切り替えられて発射され、励起光を吸収した蛍光体から赤色、緑色、青色の波長帯域光が順次生成されることとなる。そして、前述と同様に、この励起光源72の照射タイミングに合せてプロジェクタ10の表示素子51であるDMDがデータを時分割表示することにより、スクリーンに鮮明なカラー画像を生成することができる。
又、この光源装置63は、励起光源72を、発光ホイール71の出射面とは逆側に配置させる場合に限定することなく、励起光源72を回転板の出射面側のみに配置してもよい。励起光源72が出射面側に配置される場合、この励起光源72は、基材130の出射面側において、当該励起光源72から射出された励起光が基材130の発光部材に照射されるように、且つ、発光ホイール71から射出され導光装置75へ入射する光を遮ることのないように、導光装置75の光軸から所定の距離だけ離れた位置に所定の角度で配置されるものである。
そして、このように励起光源72を回転板の出射面側にのみ配置する場合、回転板の出射面には励起光を反射させる反射層を形成することがある。したがって、この場合においても、前述と同様に光源装置63の励起光源72を制御手段によって点滅制御することにより、励起光を導光装置75へ入射させることを防止することができる。
又、発光ホイール71の回転板の出射面には、図8に示すように、各発光部材同士の間隙138に励起光を遮光する遮光部材150が配置されていることもある。この遮光部材150は、指向性のある励起光を直接導光装置75に入射させないようにすることができればよいため、遮光部材150を拡散層として形成し、指向性のある励起光を拡散させて出射することとしてもよい。尚、遮光部材150のみを回転板に設置してもよいが、無反射コート層133などを更にコーティングすることにより、凸部を形成させることなく、遮光部材150を配置して回転板の回転に伴う風きり音を抑制させることもできる。
このように、回転板の各発光部材同士の間隙138に励起光を遮光する遮光部材150を配置することで、指向性のある励起光をより確実に導光装置75に入射させることを防止することができる。
尚、この遮光部材150は、図示したように、回転板の発光部材同士の間隙138を覆うように発光部材上に配置する場合に限定することなく、予め間隙138の幅が所定値となるように発光部材を配置して、この所定幅を有する間隙138に僅かな隙間も生じ得ないようにゴム等の高弾力性で可撓性を有する材料で形成される遮光部材150を挟入させてもよい。更に、間隙138の周辺のみならず、発光部材上の全面に拡散層を配置するなど、遮光部材150の材質及び設置位置については種々の態様を採用することができる。
又、本発明は、以上の実施例に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。例えば、基材130を円形状で形成した回転板を回転させた発光ホイール71を用いる場合に限らず、基材130を矩形状に形成し、該基材130を長軸方向に往復移動させる圧電素子を基材130に取付けて成る発光振動板を採用することもある。
この発光振動板は、基材130に矩形状のセグメント領域が形成され、該セグメント領域の一方の面に励起光を受けて所定の波長帯域光を発光する複数個の発光部材が配置されるものであり、この発光振動板には基材130の一端に圧電素子が取付けられている。この圧電素子は、制御回路と接続されており、制御部38の指令によりこの圧電素子に交流電圧が印加されると、圧電素子が周期的に伸縮運動をすることにより、基材130が長軸方向に往復移動することとなる。したがって、この基材の往復移動に合わせて励起光源72を点滅制御させれば、前述と同様に、発光部材同士の間隙138に励起光を照射させることなく、鮮明な画像をスクリーンに投影することができる。
本発明の実施例に係るプロジェクタの外観を示す斜視図。 本発明の実施例に係るプロジェクタの機能回路ブロックを示す図。 本発明の実施例に係るプロジェクタの上面板を取り除いた平面図。 本発明の実施例に係る光源装置の外観を示す斜視図。 本発明の実施例に係る光源装置の平面図及び正面断面図。 本発明の実施例に係る光源装置の発光ホイールが回転する状態を模式的に示す回転板の正面断面図及び光源装置の励起光源がON又はOFF状態となる位置を模式的に示した回転板の正面断面図。 本発明の実施例に係る光源装置の平面図。 本発明の実施例に係る光源装置の発光ホイールが回転する状態を模式的に示す回転板の正面断面図。
符号の説明
10 プロジェクタ 11 上面板
12 前面板 13 背面板
14 右側板 15 左側板
17 排気孔 18 吸気孔
19 レンズカバー 20 各種端子
21 入出力コネクタ部 22 入出力インターフェース
23 画像変換部 24 表示エンコーダ
25 ビデオRAM 26 表示駆動部
31 画像圧縮伸長部 32 メモリカード
35 Ir受信部 36 Ir処理部
37 キー/インジケータ部 38 制御部
41 電源制御回路 43 冷却ファン駆動制御回路
45 レンズモータ 47 音声処理部
48 スピーカ 51 表示素子
53 表示素子放熱板 61 光源側光学系
62 投影側光学系 63 光源装置
70 光源体 70B 青色光源体
70U 紫外光源体 71 発光ホイール
72 励起光源 73 ホイールモータ
74 反射ミラー 75 導光装置
77 光学ユニットブロック 78 照明側ブロック
79 画像生成ブロック 80 投影側ブロック
83 集光レンズ群 84 照射ミラー
86 光学系制御基板 93 固定レンズ群
97 可動レンズ群 101 光源用電源回路ブロック
102 電源制御回路基板 103 制御回路基板
110 ブロア 111 吸込み口
113 吐出口 114 排気温低減装置
120 区画用隔壁 121 吸気側空間室
122 排気側空間室 130 基材
131 蛍光体の層 131R 赤色蛍光体の層
131G 緑色蛍光体の層 131B 青色蛍光体の層
133 無反射コート層 134 ダイクロイック層
135 拡散層 136 入射マスク
138 間隙 139 励起光集光レンズ
141 第一領域 142 第二領域
143 第三領域 150 遮光部材

Claims (5)

  1. 指向性のある励起光を受けて所定の波長帯域光を射出する異なる発光部材が回転制御可能な円形状の基材の円周方向に隣接して配置される回転板と、
    前記励起光を前記発光部材に照射する励起光源と、
    該励起光源の光軸上に前記各発光部材同士の間隙が位置したときに当該励起光源を消灯させる制御手段を有することを特徴とする光源装置。
  2. 前記励起光源は、青色の波長帯域の励起光を射出するものであって、
    前記回転板は、前記励起光を受けて赤色の波長帯域光を発光する発光部材と、前記励起光を受けて緑色の波長帯域光を発光する発光部材と、入射した前記励起光を拡散させて射出する発光部材と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
  3. 前記励起光源は、青色の波長帯域の励起光と、紫外の波長帯域の励起光と、を射出するものであって、
    前記回転板は、前記励起光を受けて赤色の波長帯域光を発光する発光部材と、前記励起光を受けて緑色の波長帯域光を発光する発光部材と、前記励起光を受けて青色の波長帯域光を発光する発光部材と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
  4. 前記回転板は、前記各発光部材同士の間隙に励起光を遮光する遮光部材が配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の光源装置。
  5. 光源装置と、表示素子と、冷却ファンと、前記光源装置からの光を前記表示素子に導光する光源側光学系と、前記表示素子から射出された画像をスクリーンに投影する投影側光学系と、前記光源装置や表示素子を制御するプロジェクタ制御手段と、を備え、
    前記光源装置が、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の光源装置であることを特徴とするプロジェクタ。
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