以下、本発明を実施するための形態について述べる。プロジェクタ10は、光源装置63と、表示素子51と、冷却ファンと、光源装置63からの光を表示素子51に導光する光源側光学系62と、表示素子51から射出された画像をスクリーンに投影する投影側光学系90と、光源装置63や表示素子51を制御するプロジェクタ制御手段と、を備えている。
この光源装置63は、発光板である蛍光ホイール71を有する。蛍光ホイール71は、回転制御可能な基材に互いに隣接する扇形形状のセグメント領域を三つ有する。三つのうち二つのセグメント領域は反射部とされ、該反射部に励起光を受けて緑色の波長帯域光を発する蛍光体の層131G及び赤色の波長帯域光を発する蛍光体の層131Rが形成される。残る一つのセグメント領域は透過部とされ、光を透過させる。
具体的には、励起光を透過させる透過部と反射部とが円周方向に配置され、反射部には異なる波長帯域光を発する複数の蛍光体層131が円周方向に形成されている。光源装置63は、さらに蛍光ホイール71を回転させる駆動装置であるホイールモータ73と、蛍光ホイール71の蛍光体層131に励起光を照射する光源72と、該光源72と蛍光ホイール71との間に配置されて励起光を透過させ且つ蛍光体からの蛍光光を反射するダイクロイックミラーである第一光軸変換ミラー1、及び、蛍光ホイール71の透過部を透過した励起光と第一光軸変換ミラー1で反射された蛍光光とを同一光路上に集光させ且つ同一方向に向けて照射可能とする複数の反射ミラーやダイクロイックミラーを有する。
また、励起光を蛍光ホイール71に照射する光源72は、青色帯域のレーザーを射出するレーザー発光器であり、蛍光体層131を形成する蛍光体は複数であり、上記のごとく赤色帯域光を発する蛍光体と、緑色帯域光を発する蛍光体である。
また、光源装置63は、光源72と蛍光ホイール71との間、及び、蛍光ホイール71から発せられた蛍光光や蛍光ホイール71を透過した光源光の経路に、ダイクロイックミラーなどのミラーと合わせて光を集光させる複数のレンズを配置したレンズとミラーにより形成される集光光学系を有する。
そして、集光光学系は、蛍光ホイール71と光源72との間に配置されて、光源72から射出される光源光の光軸を変化させることなく光源光を透過させ、且つ、蛍光体の層131から射出される蛍光光の光軸の向きを変換させるダイクロイックミラーである第一光軸変換ミラー1と、蛍光ホイール71の拡散層141を透過する光源光の光軸の向きを変換させる通常の反射ミラーである第二光軸変換ミラー2と、第一光軸変換ミラー1により変換された蛍光光の光軸を更に変換させる第三光軸変換ミラー3と、第二光軸変換ミラー2で変換された光源光の光軸を変換させることなく光源光を透過させ、且つ、第三光軸変換ミラー3で変換された蛍光光を更に変換させることにより、蛍光光及び光源光を同一光路上に集光させる第四光軸変換ミラー4と、を有している。
具体的には、第一光軸変換ミラー1は、光源72の光軸上において、蛍光ホイール71と光源72との間に配置され、第二光軸変換ミラー2は、光源72の光軸上において、蛍光ホイール71に対して光源72とは反対側の位置に配置され、第三光軸変換ミラー3は、第一光軸変換ミラー1により変換される蛍光光の光軸上に配置され、第四光軸変換ミラー4は、第二光軸変換ミラー2と第三光軸変換ミラー3に対向して配置される。
この第二乃至第四光軸変換ミラー2〜4は、光源光或いは蛍光光の光軸を変換させる2個の反射ミラーと、光源光の光軸を変換させることなく光源光を透過させ且つ蛍光光の光軸を変換させる1個のダイクロイックミラーと、から構成されている。
そして、第二光軸変換ミラー2は、蛍光ホイール71の拡散層141を透過した光源光の光軸を90度変換させる反射ミラーとされ、第三光軸変換ミラー3は、第一光軸変換ミラー1により変換された蛍光光の光軸を90度変換させる反射ミラーとされ、第四光軸変換ミラー4は、第二光軸変換ミラー2により変換された光源光の光軸を変化させることなく、且つ、第三光軸変換ミラー3により変換された蛍光光の光軸を90度変換させるダイクロイックミラーとされる。
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳説する。図1は、プロジェクタ10の外観斜視図である。尚、本実施例において、左右とは投影方向に対しての左右方向を示し、前後とはプロジェクタ10から射出される光線束の進行方向に対しての前後方向を示す。プロジェクタ10は、図1に示すように、略直方体形状であって、本体ケースの前方の側板とされる正面パネル12の側方に投影口を覆うレンズカバー19を有するとともに、この正面パネル12には複数の排気孔17を設けている。更に、図示しないがリモートコントローラからの制御信号を受信するIr受信部を備えている。
また、本体ケースである上面パネル11にはキー/インジケータ部37が設けられ、このキー/インジケータ部37には、電源スイッチキーや電源のオン又はオフを報知するパワーインジケータ、投影のオン、オフを切りかえる投影スイッチキー、光源装置や表示素子又は制御回路等が過熱したときに報知をする過熱インジケータ等のキーやインジケータが配置されている。
更に、本体ケースの背面には、背面パネルにUSB端子や画像信号入力用のD−SUB端子、S端子、RCA端子等を設ける入出力コネクタ部及び電源アダプタプラグ等の各種端子20が設けられている。尚、図示しない本体ケースの側板である右側パネル14、及び、図1に示した側板である左側パネル15の下部近傍には、各々複数の吸気孔18が形成されている。
次に、プロジェクタ10のプロジェクタ制御手段について図2のブロック図を用いて述べる。プロジェクタ制御手段は、制御部38、入出力インターフェース22、画像変換部23、表示エンコーダ24、表示駆動部26等から構成され、入出力コネクタ部21から入力された各種規格の画像信号は、入出力インターフェース22、システムバス(SB)を介して画像変換部23で表示に適した所定のフォーマットの画像信号に統一するように変換された後、表示エンコーダ24に出力される。
また、表示エンコーダ24は、入力された画像信号をビデオRAM25に展開記憶させた上でこのビデオRAM25の記憶内容からビデオ信号を生成して表示駆動部26に出力する。
表示駆動部26は、表示エンコーダ24から出力された画像信号に対応して適宜フレームレートで空間的光変調素子(SOM)である表示素子51を駆動するものである。そして、光源装置63の光源72が点灯したときに、光源装置63から射出された光線束を光源側光学系を介して表示素子51に入射し、表示駆動部26により制御される表示素子51の反射光で光像を形成することにより、投影側光学系とする投影系レンズ群を介して図示しないスクリーンに画像を投影表示することができる。尚、この投影側光学系の可動レンズ群97は、レンズモータ45によりズーム調整やフォーカス調整のための駆動が行われる。
また、画像圧縮伸長部31は、画像信号の輝度信号及び色差信号をADCT及びハフマン符号化等の処理によりデータ圧縮して着脱自在な記録媒体とされるメモリカード32に順次書き込む記録処理を行なう。更に、画像圧縮伸長部31は、再生モード時にメモリカード32に記録された画像データを読み出し、一連の動画を構成する個々の画像データを1フレーム単位で伸長し、この画像データを画像変換部23を介して表示エンコーダ24に出力し、メモリカード32に記憶された画像データに基づいて動画等の表示を可能とする処理を行なう。
制御部38は、プロジェクタ10内の各回路の動作制御を司るものであって、CPUや各種セッティング等の動作プログラムを固定的に記憶したROM及びワークメモリとして使用されるRAM等により構成されている。
本体ケースの上面パネル11に設けられるメインキー及びインジケータ等により構成されるキー/インジケータ部37の操作信号は、直接に制御部38に送出され、リモートコントローラからのキー操作信号は、Ir受信部35で受信され、Ir処理部36で復調されたコード信号が制御部38に出力される。
尚、制御部38にはシステムバス(SB)を介して音声処理部47が接続されている。この音声処理部47は、PCM音源等の音源回路を備えており、投影モード及び再生モード時には音声データをアナログ化し、スピーカ48を駆動して拡声放音させる。
また、制御部38は、電源制御回路41を制御しており、この電源制御回路41は、電源スイッチキーが操作されると光源装置63の光源72を点灯させる。更に、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43に光源装置63等に設けた複数の温度センサによる温度検出を行わせ、この温度検出の結果から冷却ファンの回転速度を制御させている。また、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43にタイマー等によりプロジェクタ本体の電源OFF後も冷却ファンの回転を持続させ、更に、温度センサによる温度検出の結果によってはプロジェクタ本体の電源をOFFにする等の制御も行う。
次に、このプロジェクタ10の内部構造について述べる。図3は、プロジェクタ10の内部構造を示す平面模式図である。プロジェクタ10は、図3に示すように、右側パネル14の近傍に電源回路ブロック101等を取付けた電源制御回路基板102が配置され、略中央にはシロッコファンタイプのブロア110が配置され、このブロア110の近傍に制御回路基板103が配置され、正面パネル12の近傍には光源装置63が配置され、左側パネル15の近傍には光学系ユニット70が配置されている。また、プロジェクタ10は、筐体内を区画用隔壁120により背面パネル13側の吸気側空間室121と正面パネル12側の排気側空間室122とに気密に区画されており、ブロア110は、吸込み口111が吸気側空間室121に位置し排気側空間室122と吸気側空間室121の境界に吐出口113が位置するように配置されている。
光学系ユニット70は、光源装置63の近傍に位置する照明側ブロック78と、背面パネル13側に位置する画像生成ブロック79と、照明側ブロック78と左側パネル15との間に位置する投影側ブロック80との3つのブロックから構成された略コの字形状である。
この照明側ブロック78は、光源装置63から射出された光を画像生成ブロック79が備える表示素子51に導光する光源側光学系62の一部を備えている。この照明側ブロック78が有する光源側光学系62としては、光源装置63から射出された光線束を均一な強度分布の光束とする導光装置75や、導光装置75を透過した光を集光する集光レンズ等がある。
画像生成ブロック79は、光源側光学系62として、導光装置75から射出された光線束の光軸方向を変更する光軸変更ミラー74と、この光軸変更ミラー74により反射した光を表示素子51に集光させる複数枚の集光レンズと、これらの集光レンズを透過した光線束を表示素子51に所定の角度で照射する照射ミラー84と、を有している。更に、画像生成ブロック79は、表示素子51とするDMDを備え、この表示素子51の背面パネル13側には表示素子51を冷却するための表示素子冷却装置53が配置されて、表示素子51が高温となることを防止している。
投影側ブロック80は、表示素子51で反射されて画像を形成する光をスクリーンに放出する投影側光学系90のレンズ群を有している。この投影側光学系90としては、固定鏡筒に内蔵する固定レンズ群93と可動鏡筒に内蔵する可動レンズ群97とを備えてズーム機能を備えた可変焦点型レンズとされ、レンズモータにより可動レンズ群97を移動させることによりズーム調整やフォーカス調整を可能としている。
また、プロジェクタ10の内部構造において、吸気側空間室121内には光源装置63と比較して低温である部材が配置されるものであり、具体的には、電源制御回路基板102と、ブロア110と、制御回路基板103と、光学系ユニット70の画像生成ブロック79と、光学系ユニット70の投影側ブロック80と、光学系ユニット70の照明側ブロック78における集光レンズと、が配置されている。
一方、排気側空間室122内には、比較的高温となる光源装置63と、光学系ユニット70の照明側ブロック78が備える導光装置75と、排気温低減装置114とが配置されている。
そして、光源装置63は、光が照射されることにより光の三原色である赤色、緑色、青色の波長帯域光を射出する発光板である蛍光ホイール71と、蛍光ホイール71を回転駆動する駆動装置であるホイールモータ73と、青色の波長帯域光を蛍光ホイール71に照射する複数個の光源72と、蛍光ホイール71から発せられる赤色、緑色、青色波長帯域の光を導光装置75に導く複数のミラーと、を備えている。
そして、複数の光源72は、各光源72の光軸が導光装置75の光軸に対して略直交するように配置されている。また、蛍光ホイール71は、正面パネル12の近傍において、光源72と対向するように配置されている。具体的には、光源72の光軸と当該蛍光ホイール71のホイール面とが直交するように配置されている。つまり、蛍光ホイール71を回転させるホイールモータ73の回転軸が、光源72の光軸に対して平行となっている。また、この蛍光ホイール71は、赤色及び緑色の蛍光光を光源72側に射出し、光源72からの青色帯域光を透過するように構成されている。
この発光板である蛍光ホイール71は、図4に示すように、円板形状の基材に扇形形状のセグメント領域を三つ有している。そして、三つのうち二つのセグメント領域は反射部とされ、残る一つのセグメント領域は透過部とされる。具体的には、この蛍光ホイール71は、異なる波長帯域光を発する二種類の蛍光体の層131として赤色蛍光体層131R及び緑色蛍光体層131Gが円周方向に隣接して配置される扇形形状の反射部とされる反射板130と、拡散層141が蛍光体の層131に隣接するように配置される扇形形状の透過部とされる拡散板140とが、ホイールモータ73の回転軸に設けられるモータハブに接着固定されることによって一体的に形成されるものである。また、反射板130と拡散板140との境界面も接着されている。
そして、この蛍光ホイール71は、中央部にホイールモータ73との接続部である円柱状の回転軸の形状に対応した円形開口が形成され、該円形開口に回転軸が挿着されて、モータハブが反射板130及び拡散板140の中央部近傍に接着されることで強固に接続されて一体となるものである。
これにより、この蛍光ホイール71は、毎秒約120回などの回転速度でプロジェクタ制御手段の制御部38によって駆動制御される駆動装置としてのホイールモータ73によって一体的に円周方向に回転することとなる。
この反射部である反射板130は、銅板やアルミニウム等の熱伝導性部材から成る不透明基材から成り、蛍光体層131が取付けられる光源72側の全面に銀蒸着等により光源72からの青色光源光並びに蛍光体で生成される赤色及び緑色波長帯域の蛍光光を反射する反射層が形成され、この反射層の上に蛍光体層131が形成されている。この反射層は、反射板130の一面を鏡面加工すればよいため、容易に形成できる。
そして、半円以上の円弧である優弧を有する扇形形状の反射板130の外周部近傍には、帯状の二種類の蛍光体層131が円周方向に隣接して配置されるようにコーティングによって形成されている。この反射板130には、光源光が照射されることにより当該光源72からの光を励起光として吸収し、励起されることで原色である赤色の波長帯域光を発する蛍光体を含有する赤色蛍光体層131Rが形成され、また、同様に光源72からの光を励起光として吸収して原色である緑色の波長帯域光を発する蛍光体を含有する緑色蛍光体層131Gがこの赤色蛍光体層131Rに隣接するように形成されている。尚、この蛍光体層131は、蛍光体結晶とバインダから構成されるものである。
そして、透過部である拡散板140は、ガラス基材や透明樹脂基材等の透明基材から成り、光源72側の全面に拡散層141を有している。具体的には、拡散板140は、円周の約3分の1の円弧とされた劣弧を有する扇形形状の透明基材の一方の全面にブラスト加工などによる目粗し処理等の光学処理が施されることにより、入射した青色光源光が透過する際に拡散効果を付与する拡散層141が形成されている。
そして、この拡散層141は、拡散板140が反射板130に対して円周方向に隣接して配置されることで、蛍光体層131に隣接するように配置されている。尚、拡散層141としては、当該透明基材の表面に光学処理を施す場合の他、光学物質である帯状の固体物を固着することにより形成してもよい。また、光源72側に拡散層141を形成せずに、反対側の面に拡散層141を形成してもよい。
そして、光源72は、蛍光ホイール71の外周部近傍に配置される蛍光体層131及び拡散層141に光を照射するものであって、赤色及び緑色蛍光体層131R,131Gから発せられる赤色及び緑色の波長帯域光よりも波長の短い可視光である青色の波長帯域の光を射出するレーザー発光器又は青色発光ダイオードとされるものである。
このように、光源72と蛍光体層131及び拡散層141を有する蛍光ホイール71とを対向させて配置させることで、蛍光ホイール71の反射部に形成される蛍光体層131から射出された蛍光光と、蛍光ホイール71の透過部である拡散板140を透過した光源光とを分離することができる。つまり、回転する蛍光ホイール71の蛍光体層131及び拡散層141に順次に青色光源光を照射することで、光源72から射出された光源光が励起光として蛍光ホイール71の蛍光体層131に照射されたときは、光源72側に蛍光光が射出され、光源72から射出された光源光が蛍光ホイール71の透過部の拡散層141に照射されたときは、光源72とは反対側に光源光が拡散透過されることになる。
そして、反射部である反射板130における蛍光体層131の配置する面に反射層が形成されているため、光源72から指向性のある光源光が赤色蛍光体の層131Rに照射されると、赤色蛍光体層131Rの蛍光体が、青色光を励起光として吸収して赤色波長帯域の蛍光光を全方位に射出する。このうち、光源72に向かって射出される赤色蛍光光はミラーを有する集光光学系を介して導光装置75に入射し、不透明基材側に射出される赤色蛍光光は反射層によって反射され、当該反射光の多くが蛍光ホイール71からの射出光としてミラーを有する集光光学系を介して導光装置75に入射されることとなる。
また、赤色蛍光体層131Rの蛍光体に吸収されずに反射層に照射された青色光源光も、反射層により反射されて、再び赤色蛍光体層131R側に射出されて蛍光体を励起させることができるため、青色光源光の利用効率を向上させて、明るく発光させることができる。
そして、反射層により反射されて蛍光体に吸収されずに赤色蛍光体層131Rから光源72側に戻る青色光源光は、赤色蛍光光とともに赤色蛍光体層131Rから光源72側に進行するも、当該青色光源光は、赤色光を反射させ且つ青色光を透過させる光軸変換ミラーであるダイクロイックミラーにより赤色蛍光光と分離される。つまり、蛍光ホイール71から光源72側に射出された光のうち赤色蛍光光だけが、ダイクロイックミラーにより反射されて、集光光学系の他のミラーやレンズを介して導光装置75に入射されることとなる。
また同様に、光源72からの光が緑色蛍光体の層131Gに照射されると、緑色蛍光体から発せられる緑色波長帯域の蛍光光が、赤色蛍光光と同様に明るく発光し、光軸変換ミラーにより反射されて光源72側に戻る青色光源光と分離された後、集光光学系の他のミラーやレンズを介して導光装置75に入射されることとなる。
そして、光源72から青色波長帯域のレーザーなどの光源光が拡散層141に照射されると、拡散層141が入射した青色光源光に拡散効果を付与するため、蛍光体の層131からの射出光(赤色光及び緑色光)と同様な拡散光とされた青色光が拡散層141から射出され、当該青色光はミラーを有する集光光学系を介して導光装置75に入射されることとなる。
これにより、蛍光ホイール71を回転させるとともに光源72から指向性のある光源光を射出すると、赤色及び緑色及び青色の波長帯域光が蛍光ホイール71からミラーを有する集光光学系を介して導光装置75に順次入射され、プロジェクタ10の表示素子51であるDMDがデータに応じて各色の光を時分割表示することにより、スクリーンにカラー画像を生成することができる。
そして、この光源装置63は、図5に示すように、光源72の光軸上における射出側に配置されて光源72からの射出光を平行光に変換するコリメータレンズ150を備える。また、この光源装置63は、蛍光ホイール71から射出される所定の波長帯域光を反射又は透過させて、当該蛍光ホイール71から射出される各色光を同一光路上に集光させる第一乃至第四光軸変換ミラー1〜4と、蛍光ホイール71から射出されて導光装置75へ入射する光線束を集光する複数の凸レンズ等と、により構成される集光光学系を備えている。
以下、本実施例の集光光学系について述べる。この集光光学系は、蛍光ホイール71から異なる方向に射出されて分離された赤色及び緑色蛍光光の光軸と青色光源光の光軸とを一致させて赤色及び緑色光と青色光を同一光路上に集光させるように所定の位置に配置される4個の光軸変換ミラーを備えている。そして、この光軸変換ミラーは、光源72と蛍光ホイール71との間に配置されて励起光を透過させ且つ蛍光体からの蛍光光を反射するダイクロイックミラー、及び、蛍光ホイール71の透過部を透過した励起光とダイクロイックミラーで反射された蛍光光とを同一光路上に集光させ且つ同一方向に向けて光を照射可能とする複数の反射ミラーやダイクロイックミラーから構成される。
具体的には、この集光光学系は、蛍光ホイール71と光源72との間に配置されて、光源72から射出される光源光の光軸を変化させることなく光源光を透過させ、且つ、蛍光体の層131から射出される蛍光光の光軸の向きを変換させるダイクロイックミラーである第一光軸変換ミラー1と、蛍光ホイール71の拡散層141を透過する光源光の光軸の向きを変換させる第二光軸変換ミラー2と、第一光軸変換ミラー1により変換された蛍光光の光軸や第二光軸変換ミラー2で変換された光軸を更に変換させることにより、蛍光光の光軸及び光源光の光軸を一致させて蛍光光及び光源光を同一光路上に集光させる第三及び第四光軸変換ミラー3,4と、を備えているものである。
そして、本実施例において、第一光軸変換ミラー1は、光源72の光軸上において、光源72と蛍光ホイール71との間に配置されて、光源72から射出された青色光源光の光軸を変化させることなく、且つ、蛍光ホイール71から射出された赤色及び緑色蛍光光の光軸を90度変換させるダイクロイックミラーである。つまり、この第一光軸変換ミラー1は、光源72から発せられる励起光としての青色光源光を透過させ、且つ、蛍光ホイール71の蛍光体層131の蛍光体から射出される赤色及び緑色波長帯域の蛍光光を90度の角度で方向を変化させて反射する。
第二光軸変換ミラー2は、光源72の光軸上において、蛍光ホイール71に対して光源72とは反対側の位置に配置されて、蛍光ホイール71の透過部における拡散層141を透過した青色光源光の光軸を90度変換させる通常の反射ミラーである。つまり、この第二光軸変換ミラー2は、蛍光ホイール71から射出された青色帯域光を90度の角度で方向を変化させて反射する。尚、第二光軸変換ミラー2を反射ミラーとせずに青色帯域光を反射可能なダイクロイックミラーとしてもよい。
第三光軸変換ミラー3は、第一光軸変換ミラー1により変換される赤色及び緑色蛍光光の光軸上において、第一光軸変換ミラー1に対向するように配置されて、第一光軸変換ミラー1により変換された蛍光光の光軸を90度変換させる反射ミラーである。つまり、第三光軸変換ミラー3は、第一光軸変換ミラー1によって反射された赤色及び緑色波長帯域の蛍光光を更に90度の角度だけ方向を変化させて反射する。尚、第三光軸変換ミラー3を反射ミラーとせずに赤色及び緑色光を反射可能なダイクロイックミラーとしてもよい。
第四光軸変換ミラー4は、第二光軸変換ミラー2と第三光軸変換ミラー3に対向して配置されて、第二光軸変換ミラー2により変換された青色光源光の光軸を変化させることなく、且つ、第三光軸変換ミラー3により変換された赤色及び緑色蛍光光の光軸を90度変換させるダイクロイックミラーである。つまり、第四光軸変換ミラー4は、第二光軸変換ミラー2によって反射された青色光源光の光軸と第三光軸変換ミラー3によって反射された赤色及び緑色波長帯域の蛍光光の光軸とが交差する位置に配置されて、第二光軸変換ミラー2によって反射された青色光源光を透過させて直進させ、第三光軸変換ミラー3によって反射された赤色及び緑色波長帯域の蛍光光は90度の角度だけ方向を変化させるように反射する。
これにより、第四光軸変換ミラー4を透過した青色光源光と、第四光軸変換ミラー4によって反射された赤色及び緑色蛍光光と、が同一光路上に集光させられるとともに、これら全ての色の光が同一方向に射出される。
このように、集光光学系に4個の光軸変換ミラー1〜4を配置することで、蛍光ホイール71から射出される各色光の光軸を変換させて導光装置75の光軸と一致させることで、各色光を同一光路上に集光させ且つ同一方向に向けて照射可能とされるため、蛍光ホイール71からの各色の射出光を導光装置75に順次入射させることができる。
そして、この集光光学系は、光源72と蛍光ホイール71との間、及び、蛍光ホイール71からの蛍光光や蛍光ホイール71を透過した光源光の経路に、ダイクロイックミラーなどのミラーと合わせて光を集光させる複数のレンズを配置したレンズとミラーにより形成されている。これにより、ミラーで進行方向を変えた光線束をレンズにより集光させて効率よく光を導光装置75に入射させることができる。
具体的には、複数個の光源72から射出された青色光は、光源72が青色発光ダイオードであれば、コリメータレンズ150によって平行光とされ、或いは光源72が青色レーザー発光器であれば、コリメータレンズ150によって指向性を増した平行光とされ、コリメータレンズ150と第一光軸変換ミラー1との間に配置された第一凸レンズ153aによって集光される。また、蛍光ホイール71の表裏両面近傍に夫々集光レンズ群155が配置されることにより、第一凸レンズ153aによって集光された青色帯域光が集光レンズ群155によって更に集光された状態で蛍光ホイール71に照射されるとともに、蛍光ホイール71の表裏両面から射出される各光線束も夫々集光される。
更に、第二光軸変換ミラー2と第四光軸変換ミラー4との間に第二凸レンズ153bが配置され、第一光軸変換ミラー1と第三光軸変換ミラー3との間に第三凸レンズ153cが配置され、第三光軸変換ミラー3と第四光軸変換ミラー4との間に第四凸レンズ153dが配置され、更に、第四光軸変換ミラー4と導光装置75との間に導光装置入射レンズ154が配置されているため、蛍光ホイール71からの射出光は、集光された光線束として導光装置75に入射されることとなる。
したがって、コリメータレンズ150を介して光源72から射出された青色光源光は、第一凸レンズ153aにより集光されて、第一光軸変換ミラー1を透過し、集光レンズ群155により更に集光されて蛍光ホイール71の蛍光体層131或いは拡散層141に照射される。
そして、蛍光ホイール71の透過部とされる拡散板140の拡散層141に光源光が照射された場合には、拡散層141を透過して拡散光となった青色光源光が、蛍光ホイール71の光源72側とは逆方向に配置された集光レンズ群155により集光されて第二光軸変換ミラー2に照射される。また、青色光源光は、第二光軸変換ミラー2により反射されて、第二凸レンズ153bで集光された後、第四光軸変換ミラー4を透過して導光装置入射レンズ154で集光されて導光装置75へと入射する。
そして、蛍光ホイール71の反射部とされる反射板130の蛍光体層131に光源光が照射された場合には、赤色或いは緑色波長帯域の蛍光光が光源72側に射出される。そして、蛍光光は、蛍光ホイール71の光源72側の集光レンズ群155により集光されて第一光軸変換ミラー1に照射される。ここで、蛍光光は、第一光軸変換ミラー1により反射されるが、蛍光体層131の蛍光体に吸収されることなく反射された青色光源光は第一光軸変換ミラー1を透過することとなる。これにより、赤色或いは緑色蛍光光と青色光源光とを分離して、色純度の低下を防止できる。
また、第一光軸変換ミラー1によって反射された蛍光光は、第三凸レンズ153cにより集光されて第三光軸変換ミラー3に照射される。そして、蛍光光は第三光軸変換ミラー3により反射されて第四凸レンズ153dにより集光された後に第四光軸変換ミラー4に照射される。また蛍光光は、更に第四光軸変換ミラー4により反射されて導光装置入射レンズ154により集光されて導光装置75へと入射される。
このように、本発明によれば、特定波長帯域光のみを反射する特殊な反射層を蛍光ホイール71の面に設けることなく、蛍光ホイール71自体を反射板130とするとともに、反射板130の一部に透過部として光源光を透過させて且つ拡散させる拡散層141を具備する拡散板140を設けることで、蛍光ホイール71から射出される光源光と各色蛍光光との射出光路を分離させることができる。これにより、シンプルな構成で製造が容易な光源装置63と、この光源装置63を備えたプロジェクタ10を提供することができる。
また、蛍光ホイール71から射出された光には、赤色或いは緑色蛍光光とともに、蛍光ホイール71から反射された青色光源光も僅かに存在するが、ダイクロイックミラーとされる第一光軸変換ミラー1を光源72と蛍光ホイール71との間に配設することで、赤色或いは緑色波長帯域の蛍光光に混在する蛍光ホイール71により反射された青色光源光をカットできるため、蛍光光に光源光が混在することが確実に防止された色純度の高い各色光を射出することのできる光源装置63と、この光源装置63を備えたプロジェクタ10を提供することができる。
そして、光源72に青色帯域のレーザー発光器を採用することで、蛍光体を効率よく励起させて発光させることができる。また、蛍光ホイール71に、少なくとも赤色帯域光を発する蛍光体と、緑色帯域光を発する蛍光体を有する蛍光体層131を形成することで、原色である赤色及び緑色の波長帯域光を生成することができる。更に、透過部に拡散層141を設けることで、指向性のあるレーザー光を拡散透過させて原色である青色の波長帯域光を蛍光光と同様の拡散光として導光装置75に入射させることができる。
尚、透過部に拡散層141を設けることなく透過部は通常のガラス板又は周囲に枠を形成した透孔としての空間により形成し、拡散板を蛍光ホイール71直近の光源72側、又は、蛍光ホイール71と第二光軸変換ミラー2との間などの青色光源光の光路上に固定配置することもある。また、この光源装置63は、光源72を青色発光ダイオードとする場合には、拡散層141を透過部や青色光源光の光路上に設けない構成とすることもある。
そして、光源装置63の集光光学系に用いられる光軸変換ミラー1〜4の種類及び設置態様は、様々な構成を採用することができる。
以下、光軸変換ミラー1〜4の配置構成の他のバリエーションの実施例について図6及び図7を参照して説明する。
図6(a)は、上記した光源装置63の光学レイアウト(図5参照)において光源72から射出された光源光の光路Lと、光源光を受けて射出される蛍光光の光路Fとを示す模式図である。即ち、図6(a)に示した第一光学レイアウトにおいては、図7に示すように、第一光軸変換ミラー1が青色光源光を透過し、赤色及び緑色蛍光光を反射するダイクロイックミラーとされる。そして、第二光軸変換ミラー2は、青色光源光を反射する反射ミラーである。また、第三光軸変換ミラー3は、赤色及び緑色蛍光光を反射する反射ミラーであり、第四光軸変換ミラー4は、青色光源光を透過し、赤色及び緑色蛍光光を反射するダイクロイックミラーである。
そして、光学レイアウトは、この第一光学レイアウトの第四光軸変換ミラー4を図7に示したように青色光源光を反射して赤色及び緑色蛍光光を透過するダイクロイックミラーとした第二光学レイアウト(図6(b)参照)としてもよい。
更に、第二光軸変換ミラー2が、青色光源光を透過して赤色及び緑色蛍光光を反射するダイクロイックミラーとされ、第四光軸変換ミラー4を反射ミラーとした第三光学レイアウト(図6(c)参照)を採用することもできる。これにより、蛍光光のみが反射を繰り返して光源72の光軸上において光源光と蛍光光とを同一光路上に集光させることができる。
また、第三光学レイアウトにおける第二光軸変換ミラー2を、青色光源光を反射させて赤色及び緑色蛍光光を透過させるダイクロイックミラーとすることで、別の光学レイアウトである第四光学レイアウト(図6(d)参照)を構成することもできる。
更に、この光源装置63の集光光学系には、第二光軸変換ミラー2が、蛍光ホイール71の拡散板140の拡散層141を透過した青色光源光の光軸を90度変換させる反射ミラーとされ、第四光軸変換ミラー4が、第二光軸変換ミラー2により変換された青色光源光の光軸を90度変換させる反射ミラーとされ、第三光軸変換ミラー3が、第一光軸変換ミラー1により変換された赤色及び緑色蛍光光の光軸を変化させることなく、且つ、第四光軸変換ミラー4により変換された青色光源光の光軸を90度変換させるダイクロイックミラーとされる第五光学レイアウト(図6(e)参照)を採用することもできる。
また、この第五光学レイアウトにおける第三光軸変換ミラー3を、青色光源光を透過させて赤色及び緑色蛍光光を反射させるダイクロイックミラーとした別の光学レイアウトである第六光学レイアウト(図6(f)参照)を構成することもできる。
そしてまた、上記のように(図6(a)〜図6(f)参照)第二乃至第四光軸変換ミラー2〜4を、光源光或いは蛍光光の光軸を変換させる2個の反射ミラーと、光源光及び蛍光光の光軸の何れか一方を変換させることなく他方を変換させる1個のダイクロイックミラーと、から構成する場合に限定されることなく、第二乃至第四光軸変換ミラー2〜4が、青色光源光の光軸を変換させる3個の反射ミラーとされた第七光学レイアウト(図6(g)参照)を採用して、主に青色光源光を繰返し反射させることにより、赤色及び緑色蛍光光と青色光源光とを同一光路上に集光させることもできる。
このように、第二乃至第四光軸変換ミラー2〜4の特性を様々な組合せとして、所定位置、角度で配設することで、種々の光学レイアウトを採用することができる。したがって、上述のごとく色純度が高く且つ製造の容易な光源装置63とプロジェクタ10を提供することができるだけでなく、このような光源装置63を実装するプロジェクタ10などの機器に対する配置自由度を高めることができる。
また、本発明は、以上の実施例に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。例えば、反射板130に配置される蛍光体の層131は、赤色及び緑色蛍光体の層131R,131Gを配置する場合に限定されることなく、黄色等の補色とされる波長帯域の光を射出可能とする蛍光体の層131を加えて配置することもできる。
そして、光源装置63に配置させる光軸変換ミラーは、4個に限定されることなく、5個以上配置して分離した光源光と蛍光光とを同一光路上に集光させることもできる。尚、4個の光軸変換ミラー1〜4を設けることにより、シンプルでコンパクトな光源装置63とすることができるため、好適である。
また、上述の実施例では、光軸方向の変換や、光の透過や反射を波長に応じて選択するためにダイクロイックミラーを用いることとしたが、これに限らず、例えばダイクロイックプリズムなどの他の代替手段をもって上述のダイクロイックミラーを置換することとしてもよい。
更に、蛍光ホイール71を円板形状ではなく、矩形状の発光板として形成して固定配置する場合もある。この場合、光源72と発光板との間に光源72からの光の照射方向を変化させる調整装置を配設する、或いは、光源72の位置及び/又は照射方向を変化させるように駆動する光源駆動装置を設けて、光源72からの光の照射スポットを各セグメント領域に順次位置させるようにすることで、各色光を、集光光学系を介して導光装置75に入射させることができる。そして、調整装置としては、例えば、KTN結晶、音響光学素子、MEMSミラー等を用いた光偏光器を採用することができる。