以下、本発明を実施するための形態について述べる。プロジェクタ10は、光源装置63と、表示素子51と、冷却ファンと、光源装置63からの光を表示素子51に導光する光源側光学系62と、表示素子51から射出された画像をスクリーンに投影する投影側光学系90と、光源装置63や表示素子51を制御するプロジェクタ制御手段と、光源装置63の第一光源72及び第二光源82の発光を個別に制御する光源制御手段である光源制御回路41と、を備えている。
そして、この光源装置63は、蛍光ホイール71と、第一光源72及び第二光源82と、集光光学系と、を備える。この蛍光ホイール71は、光を透過させる透明基材を円板状に形成した回転制御可能な光射出体である。また、蛍光ホイール71は、互いに隣接する半円形状のセグメント領域を二つ有している。このセグメント領域は、一方が第一光源72から発光される光を励起光として受けて青色の波長帯域光を発する蛍光体の層131Bを有する蛍光発光部1Bとされ、他方が第一光源72から発光される光を励起光として受けて緑色の波長帯域光を発する蛍光体の層131Gを有する蛍光発光部1Gとされる。つまり、第一光源72からの光が回転する蛍光ホイール71に所定のタイミングで照射されると、光を受けた青色蛍光発光部1Bと緑色蛍光発光部1Gとから、順次青色波長帯域光と緑色波長帯域光とが射出されることとなる。
そして、蛍光ホイール71の透明基材は、ガラス基材又は透明樹脂基材で形成される。また、透明基材における蛍光体の層131が配置される側の面には、第一光源72からの励起光を透過し且つ他の波長帯域光を反射するダイクロイック層132がコーティングにより形成されている。さらに、透明基材における蛍光体の層131が配置される側とは反対側の面には、無反射コート層がコーティングにより形成されている。
第一光源72は、青色蛍光体の層131B及び緑色蛍光体の層131Gから発せられる青色及び緑色の波長帯域光よりも波長の短い紫外領域の光を発光するレーザー発光器である。そして、この第一光源72は、蛍光ホイール71に配される蛍光体層131に光を照射することができるように配置されている。
第二光源82は、蛍光ホイール71の蛍光体層131から射出される青色蛍光光及び緑色蛍光光並びに第一光源72から発光される紫外光と異なる赤色の波長帯域光を発光する発光ダイオードである。
集光光学系は、蛍光ホイール71から射出される光及び第二光源82から発光される光を、同一光路上に集光させる光学系である。この集光光学系は、第一光源72の光軸と第二光源82の光軸とが交差する位置にダイクロイックミラー151が配置されている。このダイクロイックミラー151は、蛍光ホイール71から射出される青色蛍光光及び緑色蛍光光を透過させ、第二光源82からの光を反射させる。そして、このダイクロイックミラー151は、蛍光ホイール71からの光の出射側に配置されて、第二光源82からの光が蛍光ホイール71へ照射されることを防止している。
そして、光源制御手段は、二つのセグメント領域の境界の一方において照射領域7が二つのセグメント領域に跨るように、即ち二つのセグメント領域の境界を通過する期間を含むように第一光源72から光を照射させるときに第二光源82を点灯させる制御を行う。これにより、蛍光ホイール71から射出される青色蛍光光及び緑色蛍光光と第二光源82からの赤色光源光とが合成された白色光を光源装置63から射出できる。
さらに、この光源制御手段は、二つのセグメント領域の境界の他方において照射領域7が二つのセグメント領域に跨るように第一光源72から光が照射されて蛍光ホイール71から二種類(青色及び緑色)の波長帯域の合成光が射出されることを防止するように第一光源72を消灯させるときに第二光源82を点灯させる制御を行う。つまり、二つのセグメント領域の境界を通過する期間を含むように第一光源72を消灯させるときに第二光源82を点灯させることで、第二光源82からの赤色波長帯域光のみを光源装置63から射出することができる。
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳説する。図1は、プロジェクタ10の外観斜視図である。なお、本実施例において、左右とは投影方向に対しての左右方向を示し、前後とはプロジェクタ10から射出される光線束の進行方向に対しての前後方向を示す。プロジェクタ10は、図1に示すように、略直方体形状であって、本体ケースの前方の側板とされる正面パネル12の側方に投影口を覆うレンズカバー19を有するとともに、この正面パネル12には複数の排気孔17を設けている。さらに、図示しないがリモートコントローラからの制御信号を受信するIr受信部を備えている。
また、本体ケースである上面パネル11にはキー/インジケータ部37が設けられ、このキー/インジケータ部37には、電源スイッチキーや電源のオン又はオフを報知するパワーインジケータ、投影のオン、オフを切りかえる投影スイッチキー、光源装置や表示素子又は制御回路等が過熱したときに報知をする過熱インジケータ等のキーやインジケータが配置されている。
さらに、本体ケースの背面には、背面パネルにUSB端子や画像信号入力用のD−SUB端子、S端子、RCA端子等を設ける入出力コネクタ部及び電源アダプタプラグ等の各種端子20が設けられている。なお、図示しない本体ケースの側板である右側パネル14、及び、図1に示した側板である左側パネル15の下部近傍には、各々複数の吸気孔18が形成されている。
次に、プロジェクタ10のプロジェクタ制御手段について図2のブロック図を用いて述べる。プロジェクタ制御手段は、制御部38、入出力インターフェース22、画像変換部23、表示エンコーダ24、表示駆動部26等から構成され、入出力コネクタ部21から入力された各種規格の画像信号は、入出力インターフェース22、システムバス(SB)を介して画像変換部23で表示に適した所定のフォーマットの画像信号に統一するように変換された後、表示エンコーダ24に出力される。
また、表示エンコーダ24は、入力された画像信号をビデオRAM25に展開記憶させた上でこのビデオRAM25の記憶内容からビデオ信号を生成して表示駆動部26に出力する。
表示駆動部26は、表示エンコーダ24から出力された画像信号に対応して適宜フレームレートで空間的光変調素子(SOM)である表示素子51を駆動するものであり、光源装置63から射出された光線束を光源側光学系を介して表示素子51に入射することにより、表示素子51の反射光で光像を形成し、投影側光学系とする投影系レンズ群を介して図示しないスクリーンに画像を投影表示する。なお、この投影側光学系の可動レンズ群97は、レンズモータ45によりズーム調整やフォーカス調整のための駆動が行われる。
また、画像圧縮伸長部31は、画像信号の輝度信号及び色差信号をADCT及びハフマン符号化等の処理によりデータ圧縮して着脱自在な記録媒体とされるメモリカード32に順次書き込む記録処理を行なう。さらに、画像圧縮伸長部31は、再生モード時にメモリカード32に記録された画像データを読み出し、一連の動画を構成する個々の画像データを1フレーム単位で伸長し、この画像データを画像変換部23を介して表示エンコーダ24に出力し、メモリカード32に記憶された画像データに基づいて動画等の表示を可能とする処理を行なう。
制御部38は、プロジェクタ10内の各回路の動作制御を司るものであって、CPUや各種セッティング等の動作プログラムを固定的に記憶したROM及びワークメモリとして使用されるRAM等により構成されている。
本体ケースの上面パネル11に設けられるメインキー及びインジケータ等により構成されるキー/インジケータ部37の操作信号は、直接に制御部38に送出され、リモートコントローラからのキー操作信号は、Ir受信部35で受信され、Ir処理部36で復調されたコード信号が制御部38に出力される。
なお、制御部38にはシステムバス(SB)を介して音声処理部47が接続されている。この音声処理部47は、PCM音源等の音源回路を備えており、投影モード及び再生モード時には音声データをアナログ化し、スピーカ48を駆動して拡声放音させる。
また、制御部38は、光源制御手段である光源制御回路41を制御しており、この光源制御回路41は、画像信号に応じて光源装置63の第一光源及び第二光源の発光を個別に制御する。さらに、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43に光源装置63等に設けた複数の温度センサによる温度検出を行わせ、この温度検出の結果から冷却ファンの回転速度を制御させている。また、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43にタイマー等によりプロジェクタ本体の電源OFF後も冷却ファンの回転を持続させる、或いは、温度センサによる温度検出の結果によってはプロジェクタ本体の電源をOFFにする等の制御も行う。
次に、このプロジェクタ10の内部構造について述べる。図3は、プロジェクタ10の内部構造を示す平面模式図である。プロジェクタ10は、図3に示すように、右側パネル14の近傍に電源回路ブロック101等を取付けた光源制御回路基板102が配置され、略中央にはシロッコファンタイプのブロア110が配置され、このブロア110の近傍に制御回路基板103が配置され、正面パネル12の近傍には光源装置63が配置され、左側パネル15の近傍には光学系ユニット70が配置されている。また、プロジェクタ10は、筐体内を区画用隔壁120により背面パネル13側の吸気側空間室121と正面パネル12側の排気側空間室122とに気密に区画されており、ブロア110は、吸込み口111が吸気側空間室121に位置し排気側空間室122と吸気側空間室121の境界に吐出口113が位置するように配置されている。
光学系ユニット70は、光源装置63の近傍に位置する照明側ブロック78と、背面パネル13側に位置する画像生成ブロック79と、照明側ブロック78と左側パネル15との間に位置する投影側ブロック80との3つのブロックから構成された略コの字形状である。
この照明側ブロック78は、光源装置63から射出された光を画像生成ブロック79が備える表示素子51に導光する光源側光学系62の一部を備えている。この照明側ブロック78が有する光源側光学系62としては、光源装置63から射出された光線束を均一な強度分布の光束とする導光装置75や、導光装置75を透過した光を集光する集光レンズ等がある。
画像生成ブロック79は、光源側光学系62として、導光装置75から射出された光線束の光軸方向を変更する光軸変更ミラー74と、この光軸変更ミラー74により反射した光を表示素子51に集光させる複数枚の集光レンズと、これらの集光レンズを透過した光線束を表示素子51に所定の角度で照射する照射ミラー84と、を有している。さらに、画像生成ブロック79は、表示素子51とするDMDを備え、この表示素子51の背面パネル13側には表示素子51を冷却するための表示素子冷却装置53が配置されて、表示素子51が高温となることを防止している。
投影側ブロック80は、表示素子51で反射されて画像を形成する光をスクリーンに放出する投影側光学系90のレンズ群を有している。この投影側光学系90としては、固定鏡筒に内蔵する固定レンズ群93と可動鏡筒に内蔵する可動レンズ群97とを備えてズーム機能を備えた可変焦点型レンズとされ、レンズモータにより可動レンズ群97を移動させることによりズーム調整やフォーカス調整を可能としている。
また、プロジェクタ10の内部構造において、吸気側空間室121内には光源装置63と比較して低温である部材が配置されるものであり、具体的には、光源制御回路基板102と、ブロア110と、制御回路基板103と、光学系ユニット70の画像生成ブロック79と、光学系ユニット70の投影側ブロック80と、光学系ユニット70の照明側ブロック78における集光レンズと、が配置されている。
一方、排気側空間室122内には、比較的高温となる光源装置63と、光学系ユニット70の照明側ブロック78が備える導光装置75と、排気温低減装置114とが配置されている。
そして、光源装置63は、蛍光ホイール71と、ホイールモータ73と、第一光源72及び第二光源82と、集光光学系と、を備える。この蛍光ホイール71は、第一光源72から発光される所定の波長帯域光を受けて、原色である緑色及び青色の波長帯域光を射出する光射出体である。ホイールモータ73は、プロジェクタ制御手段の制御部38に制御されることにより、蛍光ホイール71を回転駆動する駆動装置である。第一光源72は、紫外領域の光を発光するレーザー発光器であり、蛍光ホイール71の蛍光体の層に光を照射することができるように配置される。第二光源82は、原色である赤色の波長帯域光を発光する発光ダイオードである。
第一光源72及び第二光源82について述べる。第一光源72は、蛍光ホイール71の外周部近傍に形成される蛍光体層に光を照射する。この蛍光体層には、後述する青色及び緑色の波長帯域光を発する蛍光体が含有される。そして、第一光源72は、この蛍光体よりも波長の短い不可視光である紫外領域の光を蛍光体層に照射する。したがって、蛍光体に紫外領域の光を励起光として吸収させて、効率よく蛍光体を発光させることができる。
そして、第二光源82は、蛍光ホイール71の蛍光体層から射出される青色蛍光光及び緑色蛍光光並びに第一光源72から発光される紫外領域の光と異なる赤色波長帯域の光を発光する。このように、発光効率が比較的低い赤色蛍光体の層を設けずに、赤色光源を個別に設けることで、発光効率の比較的高い青色及び緑色蛍光体層からの光の光量に適合した赤色光を得て、画面の輝度向上を図ることができる。
次に、蛍光ホイール71について図4を参照して説明する。この蛍光ホイール71は、蛍光体の層131を備える薄肉円形状の透明基材から成る。この透明基材は、光を透過させるガラス基材又は透明樹脂基材等である。そして、基材の中央部にはホイールモータ73の回転軸の形状に対応した円形開口が形成される。そして、この円形開口に回転軸が挿着されて、モータハブが透明基材の中央部近傍に接着されることで、蛍光ホイール71はホイールモータ73の回転軸に強固に接続される。
したがって、この蛍光ホイール71は、プロジェクタ制御手段の制御部38によって制御されるホイールモータ73により、毎秒約120回などの回転速度で円周方向に回転することとなる。つまり、この蛍光ホイール71は、制御部38によりホイールモータ73を介して回転制御可能とされる。
そして、蛍光ホイール71は、互いに隣接する半円形状のセグメント領域を二つ有している。このセグメント領域は、一方が第一光源72の光を励起光として受けて青色の波長帯域光を発する蛍光体の層131Bを有する青色蛍光発光部1Bとされ、他方が第一光源72の光を励起光として受けて緑色の波長帯域光を発する蛍光体の層131Gを有する緑色蛍光発光部1Gとされる。
そして、透明基材の蛍光発光部1における外周部近傍には、帯状の凹部が形成され、この凹部内に蛍光体層131が形成される。この蛍光体層131B,131Gは、第一光源72からの光を受けて、当該光を励起光として吸収し、励起されることで原色である青色及び緑色の波長帯域光を発する蛍光体を含有する層である。このように蛍光体層131が形成されることで、蛍光ホイール71は青色及び緑色波長帯域の光を発する光射出体として機能する。なお、この蛍光体層131は、蛍光体結晶とバインダとから構成される。
そして、透明基材における蛍光体の層131が配置される部分の面には、第一光源72の光を透過し且つ他の波長帯域光を反射するダイクロイック層132がコーティングにより形成される。つまり、蛍光体層131は、このダイクロイック層132の上に形成される。なお、ダイクロイック層132は、蛍光体層131の部分のみならず、蛍光ホイール71の全面に形成することとしてもよい。また、ダイクロイック層132は、第一光源72と蛍光体層131との間に設けられていればよいため、透明基材における第一光源72側の面に形成してもよい。
さらに、第一光源72側の透明基材の全面には、図示しない無反射コート層がコーティングにより形成される。
なお、蛍光ホイール71は、透明基材を二つのセグメント領域に対応した二つのフィルタ片で形成することもでき、夫々のフィルタ片で蛍光体の層131B,131Gを形成して、その後、円形状に組み合わせて接着、或いは取付部材等によって一体としてもよい。
このように、夫々の蛍光発光部1B,1Gに、帯状の青色蛍光体層131B及び緑色蛍光体層131Gが周方向に隣接して配置されているため、回転する蛍光ホイール71の青色及び緑色蛍光体層131B,131Gに順次に紫外領域の光源光を照射すると、蛍光ホイール71から青色波長帯域の蛍光光と緑色波長帯域の蛍光光とが第一光源72の発光に対応して順次射出されることになる。
そして、この蛍光ホイール71は、上記のごとく透明基材における蛍光体層131を配置する面にダイクロイック層132が形成され、第一光源72側の面に無反射コート層が形成されている。これにより、第一光源72からの光が蛍光ホイール71に照射されると、光源光は入射面の無反射コート層を第一光源72側へほとんど反射されることなく透過して透明基材に入射する。そして、透明基材を透過した光源光はダイクロイック層132を透過して蛍光体層131に照射される。
この蛍光体層131B,131Gの蛍光体は、紫外領域の光源光を励起光として吸収して青色及び緑色波長帯域の蛍光光を全方位に射出する。このうち、第一光源72とは反対側に向かって射出される蛍光光は、後述する集光光学系を介して導光装置75に入射する。また、透明基材側に射出される蛍光光は、ダイクロイック層132によって反射されて、当該反射光の多くが蛍光ホイール71からの射出光として集光光学系を介して導光装置75に入射することとなる。
次に、ダイクロイックミラー151や反射ミラー152、レンズ等を備える集光光学系と、第一光源72及び第二光源82並びに蛍光ホイール71の配置構成について図5を参照して説明する。集光光学系は、蛍光ホイール71から射出される青色蛍光光及び緑色蛍光光並びに第二光源82から発光される赤色光源光を反射又は透過させることで、各色光の光軸を変換させることにより一致させて、各色光を同一光路上に集光させる光学系である。
そして、第一光源72は、当該第一光源72の光軸が導光装置75の光軸に対して略直交するように配置される。また、第二光源82は、当該第二光源82の光軸が導光装置75の光軸に対して略平行となるように配置される。そして、蛍光ホイール71は、第一光源72の光軸と当該蛍光ホイール71のホイール面とが直交するように配置される。つまり、蛍光ホイール71を回転させるホイールモータ73の回転軸が、第一光源72の光軸に対して平行となっている。また、第一光源72の出射側直近には、第一光源72からの光を平行光に変換するコリメータレンズ150が配置される。
そして、この集光光学系は、第一光源72の光軸と第二光源82の光軸とが交差する位置にダイクロイックミラー151が配置される。このダイクロイックミラー151は、蛍光ホイール71から射出される青色蛍光光及び緑色蛍光光を透過させ、第二光源82から発光される赤色光源光を90度の角度で方向を変化させて反射させる。また、このダイクロイックミラー151は、蛍光ホイール71からの光の出射側に配置されて、第二光源82からの光が蛍光ホイール71へ照射されることを防止する。
さらに、集光光学系は、第一光源72の光軸と導光装置75の光軸とが交差する位置に反射ミラー152が配置される。この反射ミラー152は、蛍光ホイール71からの青色蛍光光及び緑色蛍光光並びにダイクロイックミラー151により反射された赤色光源光を導光装置75側に90度の角度で方向を変化させて反射させる。
また、蛍光ホイール71の出射面近傍に集光レンズ群155が配置される。これにより、蛍光ホイール71から射出される光線束は、集光されてダイクロイックミラー151に照射される。同様に、第二光源82の出射面近傍に集光レンズ群155が配置される。これにより、第二光源82から発光される光線束は、集光されてダイクロイックミラー151に照射される。さらに、ダイクロイックミラー151と反射ミラー152との間に導光装置入射レンズ154が配置される。これにより、各色光は、より集光された光線束として導光装置75に入射される。
このように集光光学系を構成することで、後述するように、蛍光ホイール71を回転させるとともに第一光源72及び第二光源82から異なるタイミングで光を発光すると、赤色、緑色及び青色並びに白色の波長帯域光が集光光学系を介して導光装置75に順次入射され、プロジェクタ10の表示素子51であるDMDがデータに応じて各色の光を時分割表示することにより、スクリーンにカラー画像を生成することができる。
次に光源制御手段による第一光源72及び第二光源82の制御について述べる。光源制御手段は、第一光源72及び第二光源82の点滅動作を個別に時分割制御する。そして、この光源制御手段は、二つのセグメント領域の境界の一方において照射領域が二つのセグメント領域に跨るように、即ち二つのセグメント領域の境界を通過する期間を含むように第一光源72から光を照射させるときに第二光源82を点灯させる制御を行う。つまり、光源制御手段が、第一光源72からの光が蛍光ホイール71の隣り合うセグメント領域の境界の一方に照射される期間を含むように、第二光源82を点灯させることで、蛍光ホイール71から発せられる青色及び緑色波長帯域光と第二光源82から発せられる赤色波長帯域光とが合成された白色波長帯域光を光源装置63から射出することができる。
また、この光源制御手段は、二つのセグメント領域の境界の他方において照射領域が二つのセグメント領域に跨るように第一光源72からの光が照射されて蛍光ホイール71から二種類(青色及び緑色)の波長帯域の合成光が射出されることを防止するように第一光源72を消灯させるときに第二光源82を点灯させる制御を行う。つまり、二つのセグメント領域の境界を通過する期間を含むように第一光源72を消灯させるときに第二光源82を点灯させることで、第二光源82からの赤色波長帯域光のみを光源装置63から射出することができる。
以下、上記のような制御を行う有用性について図6乃至図10を参照して説明する。図6は、本発明の実施例に係る第一及び第二光源72,82の点灯範囲を示す蛍光ホイール71の正面模式図である。図7は、第一光源72を常時点灯させた場合の蛍光ホイール71から射出される各色蛍光光の光量比を示す模式図である。図8は、光源制御手段の第一光源72と第二光源82の点滅タイミングを示すタイムチャートである。そして、図9及び図10は、本発明の実施例に係る蛍光ホイール71から射出される各色蛍光光の光量比を示す模式図である。なお、図7、図9及び図10では、定格動作時に対する光量比を示す(つまり、定格動作時の光量比を1とした無次元数で表す)こととして、緑色、青色、赤色波長帯域の光量比の推移を夫々実線、一点鎖線、破線で表す。
図6に示すように、蛍光ホイール71は、青色蛍光発光部1Bと緑色蛍光発光部1Gとが隣接するように配置されている。したがって、仮に第一光源72を点灯した状態で蛍光ホイール71を回転させると、青色及び緑色蛍光発光部1B,1Gの境界において、第一光源72の照射領域7が青色蛍光体層131Bと緑色蛍光体層131Gに跨るため、混色光が生成される。
この混色光の生成される蛍光ホイール71における混色発光範囲は、図示するように青色蛍光発光部1Bと緑色蛍光発光部1Gとの境界に第一光源72光の照射領域7の中心が位置したときの該照射領域7に対する接線Eで囲まれる範囲である。この接線Eは、蛍光ホイール71の所定位置を表す仮想線である。そして、この混色発光範囲は、青色蛍光発光部1B及び緑色蛍光発光部1Bの境界線を中心とする中心角が鋭角とされる扇形の領域である。
つまり、第一光源72が点灯状態にあるときに、蛍光ホイール71が回転して接線E(仮想線)が移動すると、固定される第一光源72の照射領域7の中心に蛍光ホイール71上の接線Eが位置したとき、つまり照射領域7の端に緑色蛍光体層131Gと青色蛍光体層131Bの境界線がかかったときから混色が発生する。そして、回転により移動する蛍光ホイール71上におけるもう一方の接線Eが照射領域7の中心に位置したとき、つまり照射領域7のもう一方の端に緑色及び青色蛍光体層131G,131Bの境界線が位置したときに単色発光に切り替わる。
したがって、第一光源72のみを常時点灯させた状態で、蛍光ホイール71を回転させた場合、図7に示すように、混色発光範囲において青色波長帯域と緑色波長帯域との合成光が蛍光ホイール71から射出されることとなる。そして、この混色発光範囲においては、この合成光を補色であるシアンの波長帯域光として射出して、輝度向上に利用することもできるが、この場合、通常のシアンの波長帯域光としての利用光量に比べて、半分程度の光量しか得ることができない。これは、図示するように、混色発光範囲において、緑色及び青色波長帯域光の光量の平均値が夫々定格動作時の半分となってしまうためである。
そこで、この混色発光範囲を含む例えば1/4の範囲の一方において、第一光源72を消灯して第二光源82のみを点灯させることにより赤色光を射出し、他方において第一及び第二光源72,82を点灯させる制御を光源制御手段に実行させて白色光を生成する。そして、混色発光範囲を含まないその他の1/4の範囲においては、第一光源72のみを点灯させる制御を光源制御手段に実行させて緑色光及び青色光を射出させる。これにより、緑色、赤色、青色、白色帯域光を順次に光源装置63から射出することができる。
具体的には、図6及び図8に示すように、ホイール角45〜135度の1/4の範囲は、第一光源72のみを点灯する第一光源点灯範囲L1として設定され、ホイール角135〜225度の1/4の範囲は、第二光源82のみを点灯する第二光源点灯範囲L2として設定される。また、ホイール角225〜315度の1/4の範囲は、第一光源72のみを点灯する第一光源点灯範囲L1として設定され、ホイール角315〜45度の1/4の範囲は、第一光源72と第二光源82を点灯する第一・第二光源点灯範囲L12として設定される。
ここで、図中のホイール角とは、図6に示した蛍光ホイール71における緑色蛍光発光部1Gと青色蛍光発光部1Bの一方の境界線位置を基準(0度)としたホイール面上の位置(具体的には、照射領域7の中心に配置されるホイール面の位置)を角度で表したものであり、この位置は、蛍光ホイール71の回転とともに移動する。
したがって、ホイール角45〜135度のホイール位置が照射領域7の中心に位置しているときには第一光源72のみが点灯されているため、第一光源72から発光される光は、蛍光ホイール71の緑色蛍光発光部1Gの緑色蛍光体層131Gに照射される。これにより、蛍光ホイール71から発した緑色蛍光光(G)が光源装置63から射出されて導光装置75に入射する。
そして、光源制御手段が、緑色蛍光発光部1Gと青色蛍光発光部1Bとの境界の手前であるホイール角135度のホイール位置が第一光源72の照射領域7の中心に位置したときに、第一光源72を消灯させるとともに第二光源82を点灯させると、第二光源82からの赤色光源光(R)のみが光源装置63から射出されて導光装置75に入射する。
また、蛍光ホイール71が回転してホイール角225度のホイール位置が照射領域7の中心に位置したときに、光源制御手段が第一光源72を点灯させ且つ第二光源82を消灯させる制御を実行することで、第一光源72からの光が蛍光ホイール71の青色蛍光発光部1Bの青色蛍光体層131Bに照射される。これにより、蛍光ホイール71から発した青色蛍光光(B)が光源装置63から射出されて導光装置75に入射する。
そして、ホイール角315〜45度の範囲に第一光源72の照射領域7の中心が位置しているときに、光源制御手段が第一光源72とともに第二光源82を点灯させる制御を実行すると、蛍光ホイール71から射出される緑色及び青色蛍光光と第二光源82から発光される赤色光源光とが合成されて、光源装置63からは白色光(W)が射出される。したがって、光源装置63からは緑色(G)、赤色(R)、青色(B)、白色(W)の波長帯域光が順次射出されることになるため、プロジェクタ10は、データに応じて入射された各色光を表示素子51で時分割表示することにより、スクリーンにカラー画像を生成することができる。
なお、図示しないが、光源制御手段は、第一光源72及び第二光源82の何れの光源も点灯されていない状態となって輝度が低下することを防止するため、ホイール角135度と225度のホイール位置が照射領域7の中心に位置するときに、第一光源72と第二光源82の何れか一方を消灯させる少し前に他方の光源を点灯させるように、第一光源72と第二光源82との点灯及び消灯タイミングを制御している。
そして、第一・第二光源点灯範囲L12(ホイール角315〜45度)において、第二光源82の電流値や負荷を変えることなく射出される赤色光を緑色及び青色光と合成させると、ホイール角315〜45度の範囲における緑色及び青色光の光量が図7に示したように、緑色(G)或いは青色(B)の単色発光範囲の光量に比べて平均値として半分となるため、赤みがかった白色光となってしまう。したがって、第二光源82の光量を半減させるように、第二光源82に対する制御電流値や負荷、発光時間等を調整することが好適である。
図9及び図10を参照して、各色光の平均光量を略等しくした白色光を生成するための第一光源72或いは第二光源82の出力の増減制御について説明する。なお、赤色、緑色、青色波長帯域の光量比を図9及び図10(a)〜図9及び図10(c)に夫々示し、それらを一つに纏めたものを図9(d)及び図10(d)に示す。例えば、図9(a)に示すように、第一・第二光源点灯範囲L12における赤色光の光量が第二光源点灯範囲L2に対して半分となるように、第二光源82の負荷を下げれば、図9(b)及び図9(c)に示すように、緑色及び青色帯域光の光量比を変化させることなく、図9(d)に示すように、第一・第二光源範囲L12における各色光の平均光量が等しくされた白色光を生成することができる。
このように、蛍光ホイール71の回転に合せて、第一光源72及び第二光源82の点灯制御を光源制御手段により実行することで、緑色(G)、赤色(R)、青色(B)、白色(W)を順次に射出して、導光装置75に入射させることができる。また、白色光を射出することで、輝度の向上を図ることができる。
また、第二光源82の負荷を下げずに、代わりに第一光源72の負荷を上げることで、各色光の平均光量が等しくなるように調整することもできる。この場合、図10(b)、(c)に示すように、第一光源点灯範囲L1においては第一光源72を定格負荷にて作動させているのに対し、第一・第二光源点灯範囲L12においては定格時の約2倍等の負荷を掛けて第一光源72を作動させることとすれば、図10(a)に示すように、赤色光の光量比を下げることなく、図10(d)に示すように、明るい白色光を生成して、より輝度の向上を図ることができる。
なお、第一光源72を1/4の範囲において瞬間的に過負荷(定格負荷値以上)となるように出力を上げるも、別の1/4の範囲(第二光源点灯範囲L2)において第一光源消灯範囲があるため、負荷平均は定格値を維持することができる。
このように、本発明によれば、蛍光体を励起させる第一光源72と、発光効率の良好な種類の蛍光体を有する蛍光ホイール71と、発光効率の比較的低い種類の蛍光体として例えば赤色蛍光体を蛍光ホイール71に形成することなく当該低発光効率の蛍光体に対応する赤色の波長帯域光を発光する単色光源である第二光源82と、を備えることで、画面の輝度を向上させることのできる光源装置63と、この光源装置63を備えたプロジェクタ10を提供することができる。
また、蛍光ホイール71の蛍光発光部1B,1Gの境界を跨ぐように、即ち第一光源72からの光が蛍光発光部1B,1Gの境界に照射される期間を含むように第一光源72から光を照射させるときに第二光源82を点灯させて、蛍光ホイール71から発せられる緑色及び青色波長帯域光と第二光源82から発せられる赤色波長帯域光とを合成させることで、白色波長帯域光を生成することができるため、画面の輝度を更に向上させることのできる光源装置63と、この光源装置63を備えたプロジェクタ10を提供することができる。
そして、光源装置63に採用する光源の種類や蛍光ホイール71の構成については、上記した態様に限定されることはない。例えば、第一光源72に発光ダイオードを用いてもよく、第二光源82にレーザー発光器を採用することとしてもよい。なお、励起光源としての第一光源72にレーザー発光器を採用することで、高出力な励起光を発して効率よく蛍光体を励起させることができ、第二光源82に発光ダイオードを採用することで、製品コストを抑えることができる。
また、第一光源72は、紫外領域の波長帯域光を発する光源とする場合に限定されることなく、青色波長帯域の発光ダイオードやレーザー発光器を採用することもできる。以下、青色レーザー発光器を第一光源72に採用した変形例について説明する。
第一光源72に青色波長帯域のレーザー発光器を採用した場合、図11に示すように、蛍光ホイール71は、上記した青色蛍光発光部1B(図4参照)に代えて、当該セグメント領域が青色励起光を吸収することなく透過させる透過部2として形成される。
この透過部2は、第一光源72からの青色波長帯域光を透過し、第一光源72側とは反対側の面に拡散層141を有する半円状の拡散板である。具体的には、この拡散層141は、半円板の透明基材に対してブラスト加工などによる目粗し処理等の光学処理が施されることにより、入射した青色光源光が透過する際に拡散効果を付与する層として形成される。
なお、拡散層141としては、当該透明基材の表面に光学処理を施す場合の他、光学物質である帯状の固体物を固着することにより形成してもよい。また、第一光源72とは反対側の面に拡散層141を形成せずに、第一光源72側の面に拡散層141を形成してもよい。
したがって、第一光源72から青色波長帯域のレーザー光が拡散層141に照射されると、拡散層141が入射した青色光源光に拡散効果を付与するため、緑色蛍光体層131Gからの射出光(緑色蛍光光)と同様な拡散光とされた青色光が拡散層141から射出され、当該青色光は集光光学系を介して導光装置75に入射されることとなる。
このように、蛍光ホイール71を緑色蛍光体の層131Gを有する緑色蛍光発光部1Gと拡散層141を有する透過部2とで形成し、励起光を青色波長帯域光として第一光源72から発する構成とすることでも、上記と同様の光源制御を光源制御手段が実行することにより、同様の効果を奏する。また、第一光源72からの青色光を光源装置63からの射出光としてそのまま利用することができるため、比較的高価な蛍光体の使用を抑えて製品コストを抑制することができる。
また、蛍光ホイール71の蛍光発光部1の基材としては、透明基材に限らず金属基材を用いることもできる。以下、金属基材を用いた蛍光ホイール71について図12を参照して説明する。この蛍光ホイール71は、上記蛍光発光部1の透明基材に代えて金属基材が採用される。
そして、金属基材の第一光源72側の表面には、光を反射させる反射面が形成されている。つまり、この基材は、鏡面加工の施された半円形状の反射板であり、他の半円部分は透明基材とされて拡散層141が形成されている。また、第一光源72は、蛍光体の層131が形成される側に配置される。
したがって、蛍光体層131の蛍光体が、青色光源光を励起光として吸収して緑色波長帯域の蛍光光を全方位に射出した場合、第一光源72側に向かって射出される緑色蛍光光は後述する集光光学系を介して導光装置75に入射する。また、基材側に射出される緑色蛍光光は反射層(図示せず)によって反射されて、当該反射光の多くが蛍光ホイール71からの射出光として集光光学系を介して導光装置75に入射する。
また、蛍光体層131の蛍光体に吸収されずに反射層に照射された青色光源光も、反射層により反射されて、再び蛍光体層131側に射出されて蛍光体を励起させることができるため、青色光源光の利用効率を向上させて、一層明るく発光させることができる。
なお、反射層により反射されて蛍光体に吸収されずに蛍光体層131から第一光源72側に戻る青色光源光は、緑色蛍光光とともに蛍光体層131から第一光源72側に進行するも、当該青色光源光は、緑色光を反射させ且つ青色光を透過させるダイクロイックミラーである第一光軸変換ミラー157aにより緑色蛍光光と分離される。つまり、蛍光ホイール71から第一光源72側に射出された光のうち緑色蛍光光だけが、ダイクロイックミラーにより反射されて、集光光学系の他のミラーやレンズを介して導光装置75に入射する。
基材を反射板とした場合の集光光学系の一例について図13を参照して説明する。この集光光学系は、第一光源72の光軸上に配置されて第一光源72からの光を90度の角度で方向を変化させて反射する反射ミラー群160を備える。また、この集光光学系は、蛍光ホイール71及び第二光源82から射出される所定の波長帯域光を反射又は透過させて、当該蛍光ホイール71からの青色光及び緑色光と第二光源82からの赤色光とを同一光路上に集光させるダイクロイックミラーや反射ミラー、各色波長帯域の光線束を集光するレンズ等と、により構成される。
この集光光学系は、蛍光ホイール71から異なる方向に射出されて分離された緑色蛍光光の光軸及び青色光源光の光軸と、第二光源82から発光された赤色光源光の光軸と、を変換させることにより一致させて、各色の光を同一光路上に集光させるように所定の位置に配置される4個の光軸変換ミラー157を備えている。
具体的には、この集光光学系は、第一光源72と蛍光ホイール71との間に配置されて第一光源72の光を透過させ且つ蛍光体からの蛍光光を反射させるダイクロイックミラーである第一光軸変換ミラー157aを有する。また、この集光光学系は、蛍光ホイール71の透過部2を透過した第一光源72の光と第一光軸変換ミラー157aで反射された蛍光光と第二光源82から発光された光とを同一光路上に集光させ且つ同一方向に向けて射出可能とする複数の反射ミラーやダイクロイックミラーである第二乃至第四光軸変換ミラー157b,157c,157dを有する。
そして、第一光軸変換ミラー157aは、反射ミラー群160により90度の角度で方向が変化された第一光源72の光軸上且つ第二光源82の光軸上において、第一光源72と蛍光ホイール71との間に配置されている。また、第一光軸変換ミラー157aは、反射ミラー群160で反射された青色光源光(励起光)及び第二光源82の光軸を変化させることなく、且つ、蛍光ホイール71から射出された緑色蛍光光の光軸を90度変換させるダイクロイックミラーである。つまり、この第一光軸変換ミラー157aは、第一光源72から発光される励起光としての青色光源光及び第二光源82からの赤色光源光を透過させ、且つ、蛍光ホイール71の蛍光体層131の蛍光体から射出される緑色波長帯域の蛍光光を90度の角度で方向を変化させて反射する。
第二光軸変換ミラー157bは、反射ミラー群160により変換された第一光源72の光軸上において、蛍光ホイール71に対して第一光源72とは反対側の位置に配置されて、蛍光ホイール71の透過部2における拡散層141を透過した青色光源光の光軸を90度変換させる通常の反射ミラーである。つまり、この第二光軸変換ミラー157bは、蛍光ホイール71から射出された青色波長帯域光を90度の角度で方向を変化させて反射する。なお、第二光軸変換ミラー157bを反射ミラーとせずに青色波長帯域光を反射可能なダイクロイックミラーとしてもよい。
第三光軸変換ミラー157cは、第一光軸変換ミラー157aにより変換される緑色蛍光光の光軸上(即ち、第二光源82の光軸上)において、第一光軸変換ミラー157aに対向するように配置されて、第一光軸変換ミラー157aにより変換された蛍光光及び第二光源82の光軸を90度変換させる反射ミラーである。つまり、第三光軸変換ミラー157cは、第一光軸変換ミラー157aによって反射された緑色蛍光光及び第二光源82からの赤色光源光を90度の角度だけ方向を変化させて反射する。なお、第三光軸変換ミラー157cを反射ミラーとせずに緑色光及び赤色光を反射可能なダイクロイックミラーとしてもよい。
第四光軸変換ミラー157dは、第二光軸変換ミラー157bと第三光軸変換ミラー157cに対向して配置されて、第二光軸変換ミラー157bにより変換された青色光源光の光軸を変化させることなく、且つ、第三光軸変換ミラー157cにより変換された赤色光源光及び緑色蛍光光の光軸を更に90度変換させるダイクロイックミラーである。つまり、第四光軸変換ミラー157dは、第二光軸変換ミラー157bによって反射された青色光源光の光軸と第三光軸変換ミラー157cによって反射された緑色蛍光光及び赤色光源光の光軸とが交差する位置に配置されて、第二光軸変換ミラー157bによって反射された青色光源光を透過させて直進させ、第三光軸変換ミラー157cによって反射された赤色及び緑色波長帯域の光は90度の角度だけ方向を変化させるように反射する。
これにより、第四光軸変換ミラー157dを透過した青色光源光と、第四光軸変換ミラー157dによって反射された赤色光源光及び緑色蛍光光と、が同一光路上に集光させられるとともに、これら全ての色の光が同一方向に射出される。
このように、集光光学系に4個の光軸変換ミラー157を配置することで、この光源装置63は、蛍光ホイール71から射出される青色光及び緑色光の光軸と第二光源82から発光される赤色光の光軸とを変換させて導光装置75の光軸と一致させることができる。これにより、各色光を同一光路上に集光させ且つ同一方向に向けて射出することができるため、当該光源装置63から射出される各色の光を導光装置75に順次入射させることができる。
そして、この集光光学系は、上記のごとく第一光源72と蛍光ホイール71との間、及び、蛍光ホイール71からの蛍光光や蛍光ホイール71を透過した光源光の経路に、ダイクロイックミラーなどのミラーと合せて光を集光させる複数のレンズを配置したレンズとミラーにより形成されている。これにより、ミラーで進行方向を変えた光線束をレンズにより集光させて効率よく光を導光装置75に入射させることができる。
具体的には、複数個の第一光源72から発光された青色光は、コリメータレンズ150によって指向性を増した平行光とされ、反射ミラー群160と第一光軸変換ミラー157aとの間に配置された第一凸レンズ153aによって集光される。また、蛍光ホイール71の表裏両面近傍に夫々集光レンズ群155が配置されることにより、第一凸レンズ153aによって集光された青色帯域光が集光レンズ群155によって更に集光された状態で蛍光ホイール71に照射されるとともに、蛍光ホイール71の表裏両面から射出される各光線束も夫々集光される。同様に、第二光源82の出射面近傍に集光レンズ群155が配置されることにより、第二光源82から発光される光線束が集光されて第一光軸変換ミラー157aに照射される。
さらに、第二光軸変換ミラー157bと第四光軸変換ミラー157dとの間に第二凸レンズ153bが配置され、第一光軸変換ミラー157aと第三光軸変換ミラー157cとの間に第三凸レンズ153cが配置され、第三光軸変換ミラー157cと第四光軸変換ミラー157dとの間に第四凸レンズ153dが配置され、更に、第四光軸変換ミラー157dと導光装置75との間に導光装置入射レンズ154が配置されているため、蛍光ホイール71及び第二光源82からの光は、集光された光線束として導光装置75に入射されることとなる。
また、コリメータレンズ150を介して第一光源72から発光された青色光源光は、第一凸レンズ153aにより集光されて、第一光軸変換ミラー157aを透過し、集光レンズ群155により更に集光されて蛍光ホイール71の蛍光体層131或いは拡散層141に照射される。
そして、蛍光ホイール71の透過部2の拡散層141に光源光が照射された場合には、拡散層141を透過して拡散光となった青色光源光が、蛍光ホイール71の第一光源72側とは逆方向に配置された集光レンズ群155により集光されて第二光軸変換ミラー157bに照射される。また、青色光源光は、第二光軸変換ミラー157bにより反射されて、第二凸レンズ153bで集光された後、第四光軸変換ミラー157dを透過して導光装置入射レンズ154で集光されて導光装置75へと入射する。
そして、蛍光ホイール71の蛍光発光部1の蛍光体層131に光源光が照射された場合には、緑色波長帯域の蛍光光が第一光源72側に射出される。そして、蛍光光は、蛍光ホイール71の第一光源72側の集光レンズ群155により集光されて第一光軸変換ミラー157aに照射される。ここで、蛍光光は、第一光軸変換ミラー157aにより反射されるが、蛍光体層131の蛍光体に吸収されることなく反射された青色光源光は第一光軸変換ミラー157aを透過することとなる。これにより、緑色蛍光光と青色光源光とが分離されるため、色純度の低下を防止できる。
また、第一光軸変換ミラー157aによって反射された蛍光光は、第三凸レンズ153cにより集光されて第三光軸変換ミラー157cに照射される。そして、蛍光光は第三光軸変換ミラー157cにより反射されて第四凸レンズ153dにより集光された後に第四光軸変換ミラー157dに照射される。さらにまた、蛍光光は、第四光軸変換ミラー157dにより反射されて導光装置入射レンズ154により集光されて導光装置75へと入射する。
そして、第二光源82から発光されて集光レンズ群155により集光される赤色光源光は、第一光軸変換ミラー157aを透過して、上記した緑色蛍光光と同様に、第三光軸変換ミラー157c及び第四光軸変換ミラー157dを介して導かれる際に、第三凸レンズ153c、第四凸レンズ153d、及び導光装置入射レンズ154により集光されて導光装置75へと入射する。
このように集光光学系を構成することで、蛍光ホイール71から射出された光には、緑色蛍光光とともに、蛍光ホイール71から反射された青色光源光も僅かに存在するが、ダイクロイックミラーとされる第一光軸変換ミラー157aを第一光源72と蛍光ホイール71との間に配設することで、緑色波長帯域の蛍光光に混在する蛍光ホイール71により反射された青色光源光をカットできるため、蛍光光に光源光が混在することが確実に防止された色純度の高い各色光を射出することのできる光源装置63と、この光源装置63を備えたプロジェクタ10を提供することができる。
そして、上記と同様に、蛍光ホイール71を回転させるとともに第一光源72と第二光源82から異なるタイミングで光を発光する光源制御を光源制御手段が実行すると、緑色、赤色、青色及び白色の波長帯域光が集光光学系を介して導光装置75に順次入射され、プロジェクタ10の表示素子51であるDMDがデータに応じて各色の光を時分割表示することにより、スクリーンに明るいカラー画像を生成することができる。
そして、蛍光ホイール71の透過部2に拡散層141を設けることなく透過部2は通常のガラス板又は周囲に枠を形成した透孔としての空間により形成し、拡散効果を付与する光学部品を蛍光ホイール71直近の第一光源72側や、蛍光ホイール71の出射側などのレーザー光の光路上に固定配置することもある。また、この光源装置63は、第一光源72及び第二光源82をともに発光ダイオードとする場合には、拡散層141を透過部2や光路上に設けない構成とすることもある。
このように、基材を反射面を有する金属基材とすることによっても、画面の輝度を向上させることのできる光源装置63と、この光源装置63を備えたプロジェクタ10を提供することができる。また、熱伝導率の高い金属基材を採用することで、蛍光ホイール71を効率よく冷却することができる。
また、本発明は、以上の実施例に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。例えば、光源制御手段は、プロジェクタ10に設けずに、光源装置63に個別に設けることとしてもよい。また、各光学部品のレイアウトも、上記した構成(図5及び図13参照)に限ることなく様々なレイアウトを採用することができる。
このように、光源装置63は、様々な光学レイアウトを採用することができるため、上述のごとく画面の輝度を向上させるだけでなく、このような光源装置63を実装するプロジェクタ10などの機器に対する配置自由度を高めることができる。
また、上述の実施例では、光軸方向の変換や、透過及び反射を波長に応じて選択するためにダイクロイックミラーを用いることとしたが、これに限らず、例えばダイクロイックプリズムなどの他の代替手段をもって上述のダイクロイックミラーを置換することとしてもよい。
さらに、基材に形成されるセグメント領域は、等分となるように形成する場合に限定することなく、不等分であって3つ以上の領域が形成される場合もある。
そして、光源制御手段による第一光源72及び第二光源82の点灯時間も上記した例に限ることなく、各色の射出時間を変えるように第一光源72と第二光源82の点灯時間を自由に変えて、幅広い明るさモードを実行することができる。
また、光源制御手段は、第一光源72と第二光源82の点灯時間を各色光の射出時間が短くなるように制御して、輝度の調整を自由に行うこともできる。また、所定の波長帯域光を射出するときだけ、光源出力を抑えるように光源制御手段が第一光源72或いは第二光源82を制御する構成として、色合いを調整することもできる。
また、蛍光ホイール71を円板形状ではなく、矩形状の光射出体として形成して固定配置する場合もある。この場合、第一光源72と光射出体との間に、第一光源72からの光の照射方向を変化させる調整装置を配設する、或いは、第一光源72の位置及び/又は照射方向を変化させるように駆動する光源駆動装置を設けて、第一光源72からの光の照射スポットを各セグメント領域に順次位置させるようにすることで、各色光を、集光光学系を介して導光装置75に入射させることができる。そして、調整装置としては、例えば、KTN結晶、音響光学素子、MEMSミラー等を用いた光偏光器を採用することができる。