JP2010085364A - コラーゲン線維の萎縮による組織障害の検査のための方法、組成物およびキット - Google Patents

コラーゲン線維の萎縮による組織障害の検査のための方法、組成物およびキット Download PDF

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Abstract

【課題】黄斑円孔などのコラーゲン線維の萎縮による組織障害の検査方法、ならびに該障害の診断に有用な組成物およびキットを提供する。
【解決手段】被験者由来の生体試料中の、配列表の配列番号1〜25で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、その変異体またはその断片のいずれか1つまたは複数を測定することを含む、コラーゲン線維の萎縮による組織障害を検査する方法、ならびに、コラーゲン線維の萎縮による組織障害を診断および/または検出するための組成物またはキット。
【選択図】なし

Description

本発明は、コラーゲン線維の萎縮による組織障害の検査方法に関する。検査方法には判定方法または同定方法も含まれる。
本発明は、また黄斑円孔などのコラーゲン線維の萎縮による組織障害の診断および/または検出に有用な組成物およびキットに関する。
黄斑は、網膜の中で視力に最も関わりが深い部分である。その黄斑部に穴が開く病気を黄斑円孔と呼び、この病気にかかると物が見えにくくなる。この黄斑円孔は目の老化、特に硝子体の加齢による変化が原因とされている。網膜と硝子体皮質は強く接着しているため、加齢による、硝子体コラーゲン線維の萎縮が網膜に対して張力を加え、結果的には前方への牽引力が網膜に亀裂を作り、黄斑部の円孔になると考えられている。本疾患は高齢者に多く、近年の急激な高齢者人口の増加に伴い、患者数も増加の一途をたどっている。
本疾患は視力低下につながる疾患であるため、早期に診断を行うことが非常に重要である。現在、黄斑円孔は光学的干渉断層計にて測定する方法が主に使われているが、患者が検査の前に瞳孔を開くための点眼薬をさすことが必要であり、患者にとっては点眼薬によって瞳孔が開きっぱなしの状態になるため、まぶしくて見えない状態が約3時間程度続くことがあり、一時的ではあるものの患者にとって負担となる。また、光学的干渉断層計での診察は円孔部分を適確に捉えることが必要であり、一人一人の患者について医師または技術者が対応しなければならないために大勢の被験者を扱う集団検診などへの展開が難しい。このように、患者の病態をより客観的および定量的に示すことのできる、患者負担の少ないハイスループットな診断方法が望まれている。
診断マーカーを用いた診断方法は客観的でハイスループットな方法の一つであるが、これまでに黄斑円孔をマーカーを用いて診断する方法は知られていない。近年のゲノム解析またはプロテオーム解析の進歩に伴い、様々な新規のマーカー候補が報告されているにもかかわらず、信頼性の高い黄斑円孔のタンパク質マーカーや、黄斑円孔の血液中のタンパク質マーカーを用いて黄斑円孔を診断する方法については未だ知られていない。黄斑円孔を診断できるマーカー、およびそのマーカーを用いて診断できる方法を創出できれば、皮膚の変質や劣化など、他のコラーゲン萎縮に基づく疾患や病態の診断にも拡大展開できることが期待される。
上記の既存マーカー、およびマーカー候補は特異性および/または感受性に乏しいことや、生体試料からのその効率的な検出方法が確立していないことから一般に臨床上の利用は行われておらず、より特異性および感受性が高い黄斑円孔のマーカーが切望されている。また、患者の病態の進行度合いや術後の経時変化をより客観的および定量的に示すことのできる、患者負担の少ないハイスループットな検査方法が望まれている。
本発明は、黄斑円孔などのコラーゲン線維の萎縮による組織障害の診断に有用な組成物またはキット、および該組成物またはキットを用いた黄斑円孔などのコラーゲン線維の萎縮による組織障害の検査方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、黄斑円孔患者と他の眼疾患患者の硝子体検体をプロテオーム解析することによって、黄斑円孔患者に特異的に検出される生体中タンパク質マーカーを見出し、そのタンパク質マーカーを用いた、黄斑円孔などのコラーゲン線維の萎縮による組織障害の検査方法を発明するに至った。
<発明の概要>
本発明は、以下の特徴を有する。
(1)被験者由来の生体試料中に含まれる配列表の配列番号1〜25で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、その変異体またはその断片のいずれか1つまたは複数を定量的もしくは定性的に測定および/または検出することを含む、コラーゲン線維の萎縮による組織障害の検査方法。
(2)コラーゲン線維の萎縮による組織障害が黄斑円孔である、上記(1)に記載の方法。
(3)上記ポリペプチド、その変異体またはその断片の測定および/または検出を、質量分析法を用いて行う、上記(2)に記載の方法。
(4)上記測定および/または検出を、上記ポリペプチド、その変異体またはその断片と結合可能な物質を用いて行う、上記(3)に記載の方法。
(5)上記結合可能な物質が抗体またはその断片である、上記(4)に記載の方法。
(6)上記抗体またはその断片が、酵素、蛍光物質、色素または放射性同位元素のいずれかで標識されている、上記(5)に記載の方法。
(7)上記抗体またはその断片が、モノクローナルまたはポリクローナルである、上記(5)または(6)に記載の方法。
(8)上記生体試料が、血液、血漿、血清、尿、涙液、硝子体または硝子体液である、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の方法。
(9)配列表の配列番号1〜25で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、その変異体またはその断片の少なくとも1つと特異的に結合する、抗体もしくはその断片またはそれらの化学修飾誘導体、のうちの1つまたは複数を含む、コラーゲン線維の萎縮による組織障害の診断または/および検出のための組成物。
(10)配列表の配列番号1〜25で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、その変異体またはその断片の少なくとも1つと特異的に結合する、抗体もしくはその抗原に結合する断片またはそれらの化学修飾誘導体、のうちの1つまたは複数を含む、コラーゲン線維の萎縮による組織障害の診断および/または検出のためのキット。
<定義>
本明細書中で使用する用語は、以下の定義を有する。
本明細書における配列表の配列番号1〜25で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチドの変異体は、配列表の配列番号1〜25で表されるアミノ酸配列またはその部分配列おいて1もしくは複数、好ましくは1もしくは数個、のアミノ酸の欠失、置換、付加または挿入を含む変異体、あるいは該アミノ酸配列またはその部分配列と約80%以上、約85%以上、好ましくは約90%以上、より好ましくは約95%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる変異体を意味する。
本明細書で使用される「%同一性」という用語は、一般に、2つのアミノ酸配列にギャップを導入して、またはギャップを導入しないで、整列化(アラインメント)したとき、アミノ酸残基または位置の総数に対する、配列が共有する同一のアミノ酸残基または位置の数の割合(%)を意味する。2つのアミノ酸配列の同一性は、数学的アルゴリズムを用いて決定することが可能であり、そのようなアルゴリズムの例は、KarlinおよびAltshul, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1990, 87:2264および、その改良版であるKarlinおよびAltshul, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1993, 90:5873−5877である。この種のアルゴリズムは、BLASTN、BLASTXなどに組み込まれている(Altshulら, J. Mol. Biol. 1990, 215:403)。本発明の配列表の配列番号1〜25で表されるポリペプチドの各アミノ酸配列と相同なアミノ酸配列を得るためには、BLASTの蛋白質検索を、例えばスコア=50、ワード長=3としたBLASTプログラムを用いて実行する。また、ギャップを導入したアラインメントを得るためには、ギャップ導入BLAST(gapped BLAST)(Altshulら, Nucleic Acid Res. 1997, 25:3389)を利用することができる。
本明細書書で使用される「数個」という用語は、10以下のいずれかの整数、すなわち、10、9、8、7、6、5、4、3または2個の整数を指す。
本明細書で使用される「化学修飾誘導体」という用語は、以下のものに限定されないが、例えば、酵素、蛍光物質、色素、放射性同位元素などのラベルによるラベル化誘導体、あるいはビオチン化、アセチル化、グリコシル化、リン酸化、ユビキチン化、硫酸化などの化学修飾を含む誘導体を意味する。
本明細書で使用される「診断および/または検出のための組成物」または「診断および/または検出のためのキット」という用語は、黄斑円孔などのコラーゲン線維の萎縮による組織障害の罹患の有無、罹患の程度もしくは改善の有無や改善の程度を診断および/または検出するために、あるいは黄斑円孔などのコラーゲン線維の萎縮による組織障害の予防、改善または治療に有用な候補物質をスクリーニングするために、直接的または間接的に使用しうるものをいう。
本明細書において検出および/または診断の対象となる「生体試料」とは、黄斑円孔などのコラーゲン線維の萎縮による組織障害の発生にともない出現する標的ポリペプチドを含有する、あるいはその含有が疑われる、生体から採取された試料、例えば細胞、組織(例えば、硝子体など)、体液(例えば、血液、リンパ液、尿、涙液、硝子体液など)の試料をいう。
本明細書において「特異的に結合する」とは、抗体またはその断片が、本発明における黄斑円孔マーカーである標的ポリペプチド、その変異体またはその断片とのみ抗原-抗体複合体を形成し、他のペプチド性またはポリペプチド性物質とは抗原-抗体複合体を実質的に形成しないことを意味する。ここで、「実質的に形成しない」とは、程度は小さいが非特異的な複合体形成が起こり得ることを意味する。
本発明における黄斑円孔などのコラーゲン線維の萎縮による組織障害のマーカーは、黄斑円孔患者の硝子体や血液などの生体試料中に見出されるが、糖尿病黄斑浮腫や増殖性糖尿病網膜症などの他の眼疾患にはほとんど、または全く見出されないため、単に該マーカーの存在または量を指標にすることによって、例えば硝子体や血液を用いて、容易に黄斑円孔を検出することができるという格別の作用効果を有する。
以下に本発明をさらに具体的に説明する。
<コラーゲン線維の萎縮による組織障害マーカー>
本発明の黄斑円孔などのコラーゲン線維の萎縮による組織障害の診断または検出のための組成物またはキットを使用して黄斑円孔を診断および/または検出するためのマーカーは、配列表の配列番号1〜25で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、その変異体またはその断片である。
本発明の、配列表の配列番号1〜25で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチドを、そのタンパク質番号(UniProtKB/Swiss-Prot Release 52.2登録名および登録番号)、ならびにそれらの特性とともに下記の表1に示す。これらのポリペプチドは、黄斑円孔患者硝子体中に特異的に検出され、糖尿病黄斑浮腫および増殖性糖尿病網膜症の患者の硝子体には検出されないか、または黄斑円孔患者硝子体に比べて検出頻度が有意に減少していた。なお、これらのポリペプチドのアミノ酸配列は、UniProtKB/Swiss-Prot等のデータバンクにアクセスすることによって入手可能である。
Figure 2010085364
本発明においてコラーゲン線維の萎縮による組織障害の検出のための上記標的ポリペプチドはいずれも、黄斑円孔患者の硝子体などの生体試料中にしか検出されないか、糖尿病黄斑浮腫および増殖性糖尿病網膜症の患者と比べて黄斑円孔患者において有意にまたは格別に高いことによって特徴付けられる。ここで「有意に」とは、統計学的に有意であることを示し、危険率(p)が0.05未満である場合に使用される用語である。
したがって、被験者(すなわち、検査対象者)の生体試料中に上記黄斑円孔マーカーポリペプチドのいずれか1つ、好ましくは2つまたはそれ以上が上記比較対照と比べて有意のレベルで検出される場合、コラーゲン線維の萎縮による組織障害であると判定することができる。
本発明におけるポリペプチドは、例えば当業界で慣用の技術である化学合成(例えば、ペプチド合成、DNA/RNA自動合成など)またはDNA組換え技術によって作製することができる。手順や精製の簡易さの点で、DNA組換え技術の使用が好ましい。
簡単に説明すると、はじめに、本発明におけるポリペプチドの部分配列をコードするポリヌクレオチド配列を、DNA自動合成装置を用いて化学的に合成する。この合成には一般にホスホアミダイト法が使用され、この方法によって約100塩基までの一本鎖DNAを自動合成することができる。DNA自動合成装置は、例えばPolygen社、ABI社などから市販されている。
得られたポリヌクレオチドをプローブまたはプライマーとして用いて、周知のcDNAクローニングによって、具体的には、標的である上記遺伝子が発現される眼組織などの生体組織から抽出した全RNAをオリゴdTセルロースカラムで処理して得られるポリA(+)RNAからRT−PCR法によってcDNAライブラリーを作製し、このライブラリーからハイブリダイゼーションスクリーニング、発現スクリーニング、抗体スクリーニングなどのスクリーニングによって、目的のcDNAクローンを得る。必要に応じて、cDNAクローンをさらにPCR法によって増幅することもできる。これによって目的の遺伝子に対応するcDNAを得ることができる。
プローブまたはプライマーは、配列表の配列番号1〜25に示されるポリペプチド配列に基づいて、例えば15〜100塩基の範囲の連続する配列の中から選択し、上記のようにして合成しうる。また、cDNAクローニング技術は、例えばSambrook,J.および Russel,D.著、Molecular Cloning, A LABORATORY MANUAL、Cold Spring Harbor Laboratory Press、2001年1月15日発行、の第1巻7.42〜7.45、第2巻8.9〜8.17、Ausubelら, Current Protocols in Molecular Biology, 1994年, John Wiley & Sonsに記載されている。
次に、上記のようにして得られたcDNAクローンを発現ベクターに組み込み、該ベクターによって形質転換またはトランスフェクションされた原核または真核宿主細胞を培養することによって該細胞または培養上清から目的のポリペプチドを得ることができる。このとき、目的の成熟ポリペプチドをコードするDNAの5’末端に、分泌シグナル配列をコードするヌクレオチド配列をフランキングすることによって細胞外に成熟ポリペプチドを分泌させることができる。
ベクターおよび発現系はNovagen社、宝酒造、第一化学薬品、Qiagen社、Stratagene社、Promega社、Roche Diagnositics社、Invitrogen社、Genetics Institute社、Amersham Bioscience社などから入手可能である。宿主細胞としては、細菌などの原核細胞(例えば大腸菌、枯草菌)、酵母(例えばサッカロマイセス・セレビシアエ)、昆虫細胞(例えばSf細胞)、哺乳動物細胞(例えばCOS、CHO、BHK、NIH3T3など)などを用いることができる。ベクターには、該ポリペプチドをコードするDNAの他に、調節エレメント、例えばプロモーター(例えばlacプロモーター、trpプロモーター、Pプロモーター、Pプロモーター、SV40ウイルスプロモーター、3−ホスホグリセレートキナーゼプロモーター、解糖系酵素プロモーターなど)、エンハンサー、ポリアデニル化シグナルおよびリボソーム結合部位、複製開始点、ターミネーター、選択マーカー(例えばアンピシリン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子などの薬剤耐性遺伝子;LEU2、URA3などの栄養要求性相補マーカーなど)などを含むことができる。
また、ポリペプチドの精製を容易にするために、標識ペプチドをポリペプチドのC末端またはN末端に結合させた融合ポリペプチドの形態で発現産物生成させることもできる。代表的な標識ペプチドには、6〜10残基のヒスチジンリピート(Hisタグ)、FLAG、mycペプチド、GFPポリペプチドなどが挙げられるが、標識ペプチドはこれらに限られるものではない。
標識ペプチドを付けずに本発明に係るポリペプチドを生産した場合には、その精製法として例えばイオン交換クロマトグラフィーによる方法を挙げることができる。またこれに加えて、ゲルろ過や疎水性クロマトグラフィー、等電点クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、電気泳動、硫安分画、塩析、限外ろ過、透析などを組み合わせる方法でもよい。さらにまた、該ポリペプチドにヒスチジンリピート、FLAG、myc、GFPといった標識ペプチドを付けている場合には、一般に用いられるそれぞれの標識ペプチドに適したアフィニティークロマトグラフィーによる方法を挙げることができる。この場合、単離・精製が容易となるような発現ベクターを構築するとよい。特にポリペプチドと標識ペプチドとの融合ポリペプチドの形態で発現するように発現ベクターを構築し、遺伝子工学的に当該ポリペプチドを調製すれば、単離・精製も容易である。
核酸の精製は、アガロースゲル電気泳動、DNA結合性樹脂カラムなどを使用した精製法によって行うことができる。また、自動核酸精製装置や核酸精製キットなどが市販されているので、これらを使用して、核酸精製を行うこともできる。
本発明における上記ポリペプチドの変異体は、上記定義のとおり、配列表の配列番号1〜25で表されるアミノ酸配列またはその部分配列おいて1以上、好ましくは1もしくは数個、のアミノ酸の欠失、置換、付加または挿入を含む変異体、あるいは該アミノ酸配列またはその部分配列と約80%以上、約85%以上、好ましくは約90%以上、より好ましくは約95%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上の%同一性を有するアミノ酸配列からなる変異体である。このような変異体には、例えば、ヒトと異なる哺乳動物種のホモログ、同種の哺乳動物(例えば人種)間での多型性変異に基づく変異体、スプライス変異体、突然変異体などの天然変異体が含まれる。
本発明における「被験者」なる用語には、ヒトのみならず、他の哺乳動物も含むことが意図されている。
本発明における上記ポリペプチドの断片は、該ポリペプチドのアミノ酸配列の少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも15個、好ましくは少なくとも20個、少なくとも25個、より好ましくは少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも100個、少なくとも150個、または少なくとも200個から全数までの連続するアミノ酸残基からなり、1個または複数のエピトープを保持する。このような断片は、本発明に関わる抗体またはその断片と免疫特異的に結合することができるものである。上記ポリペプチドが、例えば血液中に存在する場合には、そこに存在するプロテアーゼやペプチダーゼなどの酵素によって切断され断片化されて存在することが想定される。
<コラーゲン線維の萎縮による組織障害の診断または検出のための組成物またはキット>
本発明は、配列表の配列番号1〜25で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、その変異体またはその断片と特異的に結合する、抗体もしくはその断片、またはそれらの化学修飾誘導体、のうちの1つまたは複数、好ましくは3種以上、より好ましくは5種以上、更に好ましくは10種以上、最も好ましくは25種の異なる抗体を含む、コラーゲン線維の萎縮による組織障害の診断および/または検出のための組成物を提供する。
本発明において、組成物なる用語は、複数の抗体の単なる混合のみならず、複数の抗体の組合せも含むことを意図している。
黄斑円孔マーカーであるポリペプチド、その変異体、またはその断片を認識する抗体は、抗体の抗原結合部位を介して、該ポリペプチド、その変異体、またはその断片に特異的に結合し得るものである。本発明で使用しうる抗体は、配列表の配列番号1〜25のアミノ酸配列を含むポリペプチド、その変異体、またはその断片、あるいはその融合ポリペプチドを1または複数の免疫原として使用して慣用の技術によって作製することができる。これらのポリペプチド、断片、変異体または融合ポリペプチドは、抗体形成を引き出すエピトープを含むが、これらエピトープは、直鎖でもよいし、より高次構造(断続的)でもよい。抗体と結合可能なエピトープは、一般に、ポリペプチド構造の親水性表面上に存在すると考えられる。
本発明で使用しうる抗体は、いずれのタイプ、クラス、サブクラスも含まれるものとする。そのような抗体には、例えばIgG、IgE、IgM、IgD、IgA、IgY、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2などが含まれる。
さらにまた、本発明に係るポリペプチドによってあらゆる態様の抗体が誘導される。該ポリペプチドの全部もしくは一部またはエピトープが単離されていれば、慣用技術を用いてポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体のいずれも作製可能である。方法には例えば、Kennetら(監修),Monoclonal Antibodies,Hybridomas: A New Dimension in Biological Analyses,Ple num Press,New York,1980に挙げられた方法がある。
ポリクローナル抗体は、鳥類(例えば、ニワトリなど)、哺乳動物(例えば、ウサギ、ヤギ、ウマ、ヒツジ、ネズミなど)などの動物に本発明に係るポリペプチドを免疫することによって作製することができる。目的の抗体は、免疫された動物の血液から、硫安分画、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどの手法を適宜組み合わせて精製することができる。
モノクローナル抗体は、各ポリペプチドに特異的なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を、慣用技術によってマウスにおいて産生することを含む手法によって得ることができる。こうしたハイブリドーマ細胞株を産生するための1つの方法は、動物を本発明に係るポリペプチドで免疫し、免疫された動物から脾臓細胞を採取し、該脾臓細胞を骨髄腫細胞株に融合させ、それによりハイブリドーマ細胞を生成し、そして該ポリペプチドに結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を同定することを含む。モノクローナル抗体は、慣用技術によって回収可能である。
モノクローナルおよびポリクローナル抗体の作製について以下に詳しく説明する。
A.モノクローナル抗体の作製
(1)免疫および抗体産生細胞の採取
上記のようにして得られた免疫原を、哺乳動物、例えばラット、マウス(例えば近交系マウスのBalb/c)、ウサギなどに投与する。免疫原の1回の投与量は、免疫動物の種類、投与経路などにより適宜決定されるものであるが、動物1匹当たり約50〜200μgとされる。免疫は主として皮下、腹腔内に免疫原を注入することにより行われる。また、免疫の間隔は特に限定されず、初回免疫後、数日から数週間間隔で、好ましくは1〜4週間間隔で、2〜10回、好ましくは3〜4回追加免疫を行う。初回免疫の後、免疫動物の血清中の抗体価の測定をELISA(Enzyme−Linked Immuno Sorbent Assay)法などにより繰り返し行い、抗体価がプラトーに達したときは、免疫原を静脈内または腹腔内に注射し、最終免疫とする。そして、最終免疫の日から2〜5日後、好ましくは3日後に、抗体産生細胞を採取する。抗体産生細胞としては、脾臓細胞、リンパ節細胞、末梢血細胞等が挙げられるが、脾臓細胞または局所リンパ節細胞が好ましい。
(2)細胞融合
各タンパク質に特異的なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株は、慣用的技術によって産生し、そして同定することが可能である。こうしたハイブリドーマ細胞株を産生するための1つの方法は、動物を本発明のポリペプチドで免疫し、免疫された動物から脾臓細胞を採取し、該脾臓細胞を骨髄腫細胞株に融合させ、それによりハイブリドーマ細胞を生成し、そして該酵素に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を同定することを含む。抗体産生細胞と融合させる骨髄腫細胞株としては、マウスなどの動物の一般に入手可能な株化細胞を使用することができる。使用する細胞株としては、薬剤選択性を有し、未融合の状態ではHAT選択培地(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジンを含む)で生存できず、抗体産生細胞と融合した状態でのみ生存できる性質を有するものが好ましい。また株化細胞は、免疫動物と同種系の動物に由来するものが好ましい。骨髄腫細胞株の具体例としては、Balb/cマウス由来のヒポキサンチン・グアニン・ホスホリボシル・トランスフェラーゼ(HGPRT)欠損細胞株であるP3X63−Ag.8株(ATCC TIB9)などが挙げられる。
次に、上記骨髄腫細胞株と抗体産生細胞とを細胞融合させる。細胞融合は、血清を含まないDMEM、RPMI−1640培地などの動物細胞培養用培地中で、抗体産生細胞と骨髄腫細胞株とを約1:1〜20:1の割合で混合し、細胞融合促進剤の存在下にて融合反応を行う。細胞融合促進剤として、平均分子量1500〜4000ダルトンのポリエチレングリコール等を約10〜80%の濃度で使用することができる。また場合によっては、融合効率を高めるために、ジメチルスルホキシドなどの補助剤を併用してもよい。さらに、電気刺激(例えばエレクトロポレーション)を利用した市販の細胞融合装置を用いて抗体産生細胞と骨髄腫細胞株とを融合させることもできる。
(3)ハイブリドーマの選別およびクローニング
細胞融合処理後の細胞から目的とするハイブリドーマを選別する。その方法として、細胞懸濁液を、例えばウシ胎児血清含有RPMI−1640培地などで適当に希釈後、マイクロタイタープレート上に200万個/ウェル程度まき、各ウェルに選択培地を加え、以後適当に選択培地を交換して培養を行う。培養温度は、20〜40℃、好ましくは約37℃である。ミエローマ細胞がHGPRT欠損株またはチミジンキナーゼ欠損株のものである場合には、ヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジンを含む選択培地(HAT培地)を用いることにより、抗体産生能を有する細胞と骨髄腫細胞株のハイブリドーマのみを選択的に培養し、増殖させることができる。その結果、選択培地で培養開始後、約14日前後から生育してくる細胞をハイブリドーマとして得ることができる。
次に、増殖してきたハイブリドーマの培養上清中に、目的とする抗体が存在するか否かをスクリーニングする。ハイブリドーマのスクリーニングは、通常の方法に従えばよく、特に限定されない。例えば、ハイブリドーマとして生育したウェルに含まれる培養上清の一部を採取し、酵素免疫測定法(EIA:Enzyme Immuno Assay、およびELISA)、放射性免疫測定法(RIA:Radio Immuno Assay)等によって行うことができる。融合細胞のクローニングは、限界希釈法等により行い、最終的にモノクローナル抗体産生細胞であるハイブリドーマを樹立する。ハイブリドーマは、RPMI−1640、DMEM等の基本培地中での培養において安定であり、本発明のポリペプチド黄斑円孔マーカーと特異的に反応するモノクローナル抗体を産生、分泌するものである。
(4)抗体の回収
モノクローナル抗体は、慣用的技術によって回収可能である。すなわち樹立したハイブリドーマからモノクローナル抗体を採取する方法として、通常の細胞培養法または腹水形成法等を採用することができる。細胞培養法においては、ハイブリドーマを10% ウシ胎児血清含有RPMI−1640培地、MEM培地または無血清培地等の動物細胞培養培地中で、通常の培養条件(例えば37℃、5%CO濃度)で2〜10日間培養し、その培養上清から抗体を取得する。腹水形成法の場合は、ミエローマ細胞由来の哺乳動物と同種系動物の腹腔内にハイブリドーマを約1000万個投与し、ハイブリドーマを大量に増殖させる。そして、1〜2週間後に腹水または血清を採取する。
上記抗体の採取方法において、抗体の精製が必要とされる場合は、硫安塩析法、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィーなどの公知の方法を適宜に選択して、またはこれらを組み合わせることにより、精製された本発明のモノクローナル抗体を得ることができる。
B.ポリクローナル抗体の作製
ポリクローナル抗体を作製する場合は、前記と同様に動物を免疫し、最終の免疫日から6〜60日後に、酵素免疫測定法(EIAおよびELISA)、放射性免疫測定法(RIA)等で抗体価を測定し、最大の抗体価を示した日に採血し、抗血清を得る。その後は、抗血清中のポリクローナル抗体の反応性をELISA法などで測定する。
また本発明においては、上記抗体の抗原結合断片も使用しうる。慣用的技術によって産生可能な抗原結合断片の例には、FabおよびF(ab’)、Fv、scFv、dsFvなどの断片が含まれるが、これらに限定されない。遺伝子工学技術によって産生可能な抗体断片および誘導体もまた含まれる。そのような抗体には、例えば合成抗体、組換え抗体、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、単鎖抗体などが含まれる。
本発明の抗体は、in vitroおよびin vivoのいずれにおいても、本発明において、ポリペプチドまたはその(ポリ)ペプチド断片の存在を検出するためのアッセイに使用可能である。アッセイにおける特異的検出を可能にするために、モノクローナル抗体の使用が好ましいが、ポリクローナル抗体であっても、精製ポリペプチドを結合したアフィニティーカラムに抗体を結合させることを含む、いわゆる吸収法によって、特異抗体を得ることができる。
したがって、本発明の組成物は、配列表の配列番号1〜25のアミノ酸配列を含むポリペプチド、その変異体、またはその断片と特異的に結合可能な抗体またはその断片を少なくとも1つ含む、好ましくは複数種(2種以上、3種以上など)、より好ましくは全ての種類を含むことができる。
好ましくは、本発明の組成物はキットの形態である。このようなキットにおいては、上記の各ポリペプチドに特異的に結合可能な抗体またはその断片を、それぞれ別個に、あるいは混合物として、収容する容器を含む。抗体またはその断片は、例えばポリスチレン製などのマルチウエルプレート、ラテックスビーズ、磁性ビーズなどの球状担体などの固相担体上に付着または結合させてもよい。
本発明で使用される抗体またはその断片には、必要に応じてラベル、例えば蛍光団、酵素、放射性同位元素などを結合させてもよいし、あるいは二次抗体にこのようなラベルを結合してもよい。
蛍光団には、例えばフレオレセインとその誘導体、ローダミンとその誘導体、ダンシルクロリドとその誘導体、ウンベリフェロンなどが含まれる。
酵素には、例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼなどが含まれる。
放射性同位元素には、例えばヨウ素(131I、125I、123I、121I)、リン(32P)、イオウ(35S)、金属類(例えば68Ga、67Ga、68Ge、54Mn、99Mo、99Tc、133Xeなど)などが含まれる。
その他のラベルには、例えばルミノールなどの発光物質、ルシフェラーゼ、ルシフェリンなどの生物発光物質などが含まれる。
また、必要に応じて、アビジン−ビオチン系またはストレプトアビジン−ビオチン系を利用することも可能であり、この場合、本発明の抗体またはその断片に例えばビオチンを結合することもできる。
本発明の組成物はさらに、配列表の配列番号1〜25で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、その変異体またはその断片の少なくとも1つと特異的に結合する、抗体もしくはその抗原結合断片またはそれらの化学修飾誘導体、のうちの1つまたは複数を含む、コラーゲン線維の萎縮による組織障害の診断または/および検出のためのキットを提供する。
該キットは、例えば、黄斑円孔などのコラーゲン線維の萎縮による組織障害のマーカーを検出するための上記の抗体類または核酸類を個別に、または適宜混合して、収容した異なる容器(例えばバイアルなど)からなる。抗体類は、好ましくは、凍結乾燥形態で容器に収容されうる。
あるいは、本発明のキットは、上記の各ポリペプチドに特異的に結合可能な抗体またはその抗原結合断片を、例えばマルチウエルプレート、アレイ、マイクロタイタープレート、試験片(もしくは、テストストリップ)、ラテックスビーズや磁性ビーズなどの球状担体などの固相担体上に付着または(共有もしくは非共有)結合させたものからなってもよい。
キットにはさらに、本発明の検定方法に使用するためのバッファー、二次抗体、使用説明書などが含まれてもよい。
<コラーゲン線維の萎縮による組織障害の検出>
本発明によれば、上記マーカーと結合可能な物質を用いて、被験者由来の生体試料中の配列表の配列番号1〜25で表されるポリペプチド、その変異体またはその断片、あるいは該ポリペプチド、その変異体またはその断片をコードする核酸、のうちの1つまたは複数について、その量もしくは存在をインビトロで測定ことを含む方法によって、コラーゲン線維の萎縮による組織障害(例えば黄斑円孔、筋肉萎縮、皮膚のしわ、関節拘縮、慢性関節リウマチなど)を検出することができる。本発明の方法によって黄斑円孔マーカーが検出されるか、または対照と比べて遺伝子発現レベルが有意に高いと判定されるときには、被験者はコラーゲン線維の萎縮による組織障害が進行し、黄斑円孔に罹患していると診断しうる。
本発明の方法では、上記黄斑円孔マーカーの検出は、単一のマーカーでもよいが、好ましくは複数、例えば2以上、3以上、4以上、または5以上から25以下のマーカーについて行うのがよい。これは、複数のマーカーを用いることによって疾患の検出精度を向上するためである。
本発明の組成物またはキットは、コラーゲン線維の萎縮による組織障害の診断、判定または検出、すなわち罹患の有無や罹患の程度の診断、のために有用である。黄斑円孔の診断においては、正常な細胞、組織または体液などの陰性対照との比較を行い、被験者の生体試料中の上記黄斑円孔マーカーの存在または量を検出し、その存在または量の差が有意であれば、被験者について黄斑円孔の罹患が疑われる。
本発明方法で用いられる検体試料としては、血液、血清、血漿、尿、涙液または硝子体液などの体液、または硝子体などの組織に代表される生体試料である。
上記黄斑円孔マーカーと結合可能な物質は、上記抗体またはその抗原結合断片の他、例えばアプタマー、Affibody(商標)(Affibody社)、それぞれの黄斑円孔マーカーの受容体、それぞれの黄斑円孔マーカーの特異的作用阻害物質、それぞれの黄斑円孔マーカーの特異的作用活性化物質などを含み、好ましくは抗体もしくはその断片、またはそれらの化学修飾誘導体である。
本発明の実施形態において、測定は、慣用の酵素または蛍光団で必要により標識した抗体または断片と、組織切片またはホモゲナイズした組織または体液とを接触させる工程、抗原−抗体複合体を定性的にまたは定量的に測定する工程を含むことができる。検出は、例えば免疫電顕により標的ポリペプチドの存在とレベルを測定する方法、酵素抗体法(例えばELISA)、蛍光抗体法、放射性免疫測定法、均一法、不均一法、固相法、サンドイッチ法などの慣用法によって標的ポリペプチドの存在またはレベルを測定する方法などによって行うことができる。体液、組織もしくは細胞、好ましくは血液、において、標的ポリペプチドが存在する場合、あるいは陰性対照と比較して標的ポリペプチドのレベルが有意に増大または高い場合、黄斑円孔であると診断する。
免疫学的方法に代わる測定方法として、質量分析法を用いる方法が含まれる。この方法は、具体的には実施例に記載される手法で行うことができる。すなわち、生物試料、例えば血清または血漿をフィルターでろ過して夾雑物を除き、緩衝液(例えばpH約8)で希釈して約10mg/ml〜約15mg/mlの濃度に調整したのち、分子量5万以上のタンパク質を除去可能な中空糸フィルター(下記参考例(1))または遠心型平膜フィルターを通して分子量分画し、画分をプロテアーゼ(例えばトリプシン)で処理してペプチド化し、これを質量分析計(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法、またはエレクトロスプレーイオン化法を利用したタイプ)に掛けて、目的のポリペプチド由来の特定ピークの質量/荷電数と強度に基づいて、黄斑円孔患者と、健常人または他の眼疾患の間における試料中のポリペプチドの存在量の差異を測定することができる。
本発明を以下の実施例によってさらに具体的に説明する。しかし、本発明の範囲は、この実施例によって制限されないものとする。
<参考例>
(1)中空糸フィルターの作製
分画分子量約5万の孔径を膜表面に有するポリスルホン中空糸を100本束ね、中空糸中空部を閉塞しないようにエポキシ系ポッティング剤で両末端をガラス管に固定し、ミニモジュールを作成した。該ミニモジュール(モジュールA)は血清または血漿中の高分子量タンパク質の除去に用いられ、その直径は約7mm、長さは約17cmである。同様に低分子量タンパク質の濃縮に用いられるミニモジュール(モジュールB)を分画分子量約3千の孔径の膜を用いて作成した。ミニモジュールは片端に中空糸内腔に連結する入口があり、反対側の端は出口となる。中空糸入口と出口はシリコンチューブによる閉鎖循環系流路であり、この流路内を液体がペリスタポンプに駆動されて循環する。また、中空糸外套のガラス管には、中空糸から漏出してきた液体を排出するポートを備え、1つモジュールセットが構成される。流路途中にT字のコネクターによって、モジュールを連結し、モジュールA3本と、モジュールB1本をタンデムに連結してひとつの中空糸フィルターとした。この中空糸フィルターを蒸留水にて洗浄し、PBS(0.15mM NaClを含むリン酸緩衝液、pH7.4)水溶液を充填した。分画原料の血清または血漿は該中空糸フィルターの流路入口から注入され、分画・濃縮後に流路出口から排出される。該中空糸フィルターに注入された血清または血漿は、モジュールA毎に分子量約5万で分子篩いがかかり、分子量5万よりも低分子の成分はモジュールBで濃縮され、調製されるようになっている。
<実施例1>
(1)黄斑円孔、糖尿病黄斑浮腫、および増殖性糖尿病網膜症のタンパク質同定
平均年齢61歳の黄斑円孔患者16名、および同年代の糖尿病黄斑浮腫患者16名、増殖性糖尿病網膜症患者16名から硝子体を得て、それぞれについて測定を行った。硝子体を遠心分離して夾雑物質を取り除いた。この硝子体を疾患ごとに、16検体分を1つにまとめた。硝子体サンプルは、さらに300mM重炭酸アンモニウム溶液に希釈し、参考例(1)に示した中空糸フィルターによって分子量による分画を行った。タンパク質は分画操作1回あたり300μgを用い、これを8回繰り返した。8回分の分画回収液は再び1つにまとめた。分画後の硝子体サンプル(分画回収液8回分:全量13.6mL、最大600μgのタンパク質を含む)はAKTA explorer 10s(GEヘルスケア バイオサイエンス株式会社)による逆相クロマトグラフィーで3分画に分離し、それぞれのフラクションを凍結乾燥した後、100mM重炭酸アンモニウムバッファーに再溶解した。このサンプルをDTT/ヨードアセトアミド処理後に、タンパク質の50分の1量のトリプシンで37℃、一晩、消化し、ペプチド化を行った。各分画のペプチドをさらにイオン交換カラムによって8分画化した。その各々の分画を、逆相カラムでさらに分画し、溶出されてきたペプチドについて、オンラインで連結された質量分析計LCQ Deca XP plus(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)を用いて、測定した。
(2)黄斑円孔、糖尿病黄斑浮腫、および増殖性糖尿病網膜症の硝子体のタンパク質発現比較
上記(1)において測定したデータを、タンパク質同定ソフトウェアであるBioworks(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)およびPhenyx(GENE BIO社)を用いて解析することにより、網羅的にタンパク質同定を行った。同定されたタンパク質の中から、2種類のソフトウエアで、共に同定されたタンパク質をリストアップし、各疾患の患者硝子体サンプルから検出されたタンパク質とした。これは、アルゴリズムの異なる二種類のソフトウエアを組み合わせることで、一方のソフトウエアの解析結果に含まれる擬陽性のタンパク質を排除するために行った。しかし、Phenyxは、Bioworksと異なり、同じタンパク質のオルタナティブスプライシングによるアイソフォーム特異的なアミノ酸配列や、翻訳後修飾による質量の変化等を考慮に加えて検索を行うため、Bioworksで同定できないペプチドを同定する場合がある。このような条件で、Phenyxでのみ同定されたタンパク質についても、リストアップした。
各疾患でリストアップされたタンパク質のうち、黄斑円孔患者で検出され、糖尿病黄斑浮腫患者、増殖性糖尿病網膜症患者では全く検出されていないタンパク質を硝子体マーカータンパク質として見いだした。これらのタンパク質は、表1(上記)および配列表に示した配列表の配列番号1〜25で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、故に黄斑円孔マーカーとして黄斑円孔の検出および治療中の診断において有用であることが判明した。
本発明は、特異性および感受性に優れた、黄斑円孔などのコラーゲン線維の萎縮による組織障害の診断のための組成物を提供することができるため、特に製薬および医薬産業上有用である。

Claims (10)

  1. 被験者由来の生体試料中に含まれる配列表の配列番号1〜25で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、その変異体またはその断片のいずれか1つまたは複数を定量的もしくは定性的に測定および/または検出することを含む、コラーゲン線維の萎縮による組織障害の検査方法。
  2. コラーゲン線維の萎縮による組織障害が黄斑円孔である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ポリペプチド、その変異体またはその断片の測定および/または検出を、質量分析法を用いて行う、請求項2に記載の方法。
  4. 前記測定および/または検出を、前記ポリペプチド、その変異体またはその断片と結合可能な物質を用いて行う、請求項3に記載の方法。
  5. 前記結合可能な物質が抗体またはその断片である、請求項4に記載の方法。
  6. 前記抗体またはその断片が、酵素、蛍光物質、色素または放射性同位元素のいずれかで標識されている、請求項5に記載の方法。
  7. 前記抗体またはその断片が、モノクローナルまたはポリクローナルである、請求項5または6に記載の方法。
  8. 前記生体試料が、血液、血漿、血清、尿、涙液、硝子体または硝子体液である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 配列表の配列番号1〜25で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、その変異体またはその断片の少なくとも1つと特異的に結合する、抗体もしくはその断片またはそれらの化学修飾誘導体、のうちの1つまたは複数を含む、コラーゲン線維の萎縮による組織障害の診断または/および検出のための組成物。
  10. 配列表の配列番号1〜25で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、その変異体またはその断片の少なくとも1つと特異的に結合する、抗体もしくはその抗原に結合する断片またはそれらの化学修飾誘導体、のうちの1つまたは複数を含む、コラーゲン線維の萎縮による組織障害の診断および/または検出のためのキット。
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