JP2010085046A - 熱交換器用チューブ及びその製造方法、並びに熱交換器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルミニウム合金製の扁平なチューブ2の片面あるいは両面の外表面に、深さ5〜50μmの凹部11が1mm2当たり0.25〜40000個設けられるとともに、その表面にろう付用フラックス又はろう粉末の少なくとも一方を含むろう付助剤が塗布されている。
【選択図】 図1
Description
エバポレータは、内部に液体の冷媒を通じて気化させ、その気化潜熱を利用して冷熱を生む熱交換器であり、それゆえ表面に結露した凝集水が発生する。この凝集水は、通風の邪魔になって熱交換効率を阻害してその性能を損なう上、滞留が続くと、凝集した水が熟交換器を構成するアルミニウム製の各部材を腐食し貫通孔に至ることがある。このため、凝集水を速やかに排出できることが望まれていた。
また、特許文献1記載の熱交換器では、扁平なチューブが上下方向に向けて配置されるとともに、そのチューブの両側平面部に、長さ方向に延びる凹条が形成され、この凹条により、チューブとフィンとの間に排水部が形成されるようにしている。
また、上記説明ではエバポレータをその対象としているが、本発明は熱交換器表面に付着するあらゆる水滴のぬれを良くして早期に排出させ、他のコンデンサ等に適用しても十分効果があるものを提供することを目的とする。
ここで、ろう付助剤はろう付に必要なフラックスあるいは/及びろう粉末等を含む塗料形態の混合物である。
このように微細な溝による凹凸を付与することにより、結露水のチューブ表面とのぬれ性が向上し、さらに溝に沿って流れ落ちて排出することができる。
この溝は、チューブの幅方向、長さ方向等、任意の方向に形成することができるが、チューブの長手方向と30〜90°の角度をなすように形成すると、熱交換器を設置するときの熱交換器と鉛直方向とのなす角度によっては、より効果的である。
その熱交換器用チューブの製造方法において、前記溝を設ける工程は、前記チューブ素材の長手方向と30〜90°の角度をなすように前記溝を設けるようにするとさらによい効果が得られる。
この実施形態の熱交換器は、自動車熱交換器の一種であるカーエアコンエバポレータである。このエバポレータ1は、図6に示すように、冷媒を通す扁平なチューブ2、そのチューブ2の外表面に接触して冷熱を放散するフィン3、及び冷媒をチューブ2に分配するヘッダ4,5を主要な構成要素としている。これらチューブ2、フィン3、ヘッダ4,5は、アルミニウム合金からなり、各チューブ2が相互間隔をおいて上下方向に平行に並べられるとともに、各チューブ2の間にフィン3が配置され、各チューブ2の両端を個別に連通するように一組のヘッダ4,5が固定され、インレット管6、アウトレット管7が接続された構成とされている。フィン3は例えば波形に形成され、チューブ2の長手方向(図6では上下方向)と直交する方向(図6では水平方向)に空気を流通させるように配置される。これらチューブ2、フィン3、ヘッダ4,5は、ろう付によって一体に組み付けられている。
この熱交換時、熱交換雰囲気中に含まれる水分によりチューブ2表面が結露し易い。チューブ2の表面はドット状の凹部11が分散して、いわゆる梨地状とされていることにより、結露した水分とチューブ2表面とのぬれ性が向上し、さらにその結露凝集水が凹部11を通って流れて排出される。この場合、ドット状の凹部11が分散しているので、凝集水が特定の方向に集まることなく、自由に流れ落ちることができ、排水性にも優れる。
この溝32をチューブ31の長手方向に対して傾斜させることにより、チューブ31が垂直姿勢に設けられる場合でも、熱交換器全体の傾斜によっては水の流れがさらに円滑になり、溝32の傾斜に沿って外部に排出することができる。
また、図3の凹部の数を1mm2当たり0.25〜40000個としたのは、0.25個未満の場合は、凹凸が不足してぬれ性が悪く凝集水の排水効果が十分でなく、また、40000個を超えると、凹部が多過ぎて、実際のローラ表面の加工が困難な上、ドットの間隔が狭すぎて凝集水の排水能力が却って低下するからである。
また、図4又は図5の溝の間隔を5〜2000μmとしたのは、5μm未満の場合は、溝数が多過ぎて、実際のローラ表面の加工が困難な上、溝の山谷の間隔が狭過ぎて凝集水の排水能力が却って低下し、また、2000μmを超えると、山谷の凹凸が不足してぬれ性が悪く凝集水の排水効果が十分でないからである。
まず、その製造装置について説明しておくと、図1には、図3に示すチューブ2を製造する装置を示している。この製造装置41は、押出加工機から押し出されたチューブ素材Tを両面から挟んだ状態で加圧しながら両面に微細な凹凸(凹部11)を形成する成形ローラ42と、この成形ローラ42を経由することにより表面に微細な凹部11が形成されたチューブ2の表面及び裏面にそれぞれろう付助剤Pを塗布する計二組のろう付助剤塗布機43,44とが備えられている。
また、図5に示すチューブ31を製造する場合は、成形ローラの凸条が軸方向に対して傾斜して配置したものを使用すればよい。
凹部をドット状としたものについて、結果を表1に示す。
この表1において、排水性の評価は、アルミニウム材料表面に凹凸加工して後、ろう付用フラックスを塗布し、不活性雰囲気でろう付加熱処理(600℃×3分間)を行った試料の表面に純水の液滴を置いたときの水滴とアルミニウム材とのなす水滴角度αで良否を判断した。水滴角度αがα≦30°のときに○(良好)、30°<α≦45°のとき△、α>45°のとき×(不良)とした。
この表2において、排水性の評価は、アルミニウム材表面に凹凸の溝加工の後、ろう付用フラックスを塗布し、不活性雰囲気でろうをクラッドしたフィンとろう付処理(600℃×3分)を行ったミニ熱交換器を乾燥した状態で水平に置き(チューブは図3〜図5に示す姿勢と同様に押出長手方向が水平方向で幅方向が垂直方向を向く)、そのチューブの一方の上方角部表面に純水の液滴を垂らしたとき、チューブ反対側の下方角部に水滴が現れるまでの時間tの長短で良否を判断した。t≦5秒のとき○(良好)、5秒<t≦10秒のとき△、t>10秒のとき×(不良)とした。
なお、溝形式の最適角度は30〜90°であるが、これを裏返した90〜150°も実質等価であり、本願発明の範囲である。
Mnは、ろう付性を維持しながらチューブに必要な強度と耐食性と被加工性を与える作用があり、必須の元素である。その含有量が0.05%未満であると、その効果が十分でなく、1.5%を超えると、被加工性を損ない所定の形状(押出断面や押出後の加工形状)が得難くなる。
Cu:0.01〜0.50%
Cuは、ろう付性を維持しながらチューブに必要な強度と耐食性と被加工性を与える作用がある。その含有量が0.01%未満であると、その効果が十分でなく、0.50%を超えると、押出など被加工性を損なう傾向にある。
Siは、ろう付性を維持しながらチューブに必要な強度と耐食性と被加工性を与える作用がある。その含有量が0.01%未満であると、その効果が十分でなく、1.0%を超えると、ろう付性を損ない、一部で溶融する可能性がある。
Fe:0. 01〜0.7%
Feは、ろう付性を維持しながらチューブに必要な強度と耐食性と被加工性を与える作用がある。その含有量が0.01%未満であると、その効果が十分でなく、0.7%を超えると、部材の耐食性を損なう傾向にある。
Crは、ろう付性を維持しながらチューブに必要な強度と耐食性と被加工性を与える作用がある。その含有量が0.01%未満であると、その効果が十分でなく、0.30%を超えると、Crが十分アルミニウム地に固溶せず粗大な金属間化合物を形成して、該部材に構造的な欠陥を形成することになり、また、押出加工性を損なう傾向にある。
Mg:0.01〜0.50%
Mgは、ろう付性を維持しながらチューブに必要な強度と耐食性と被加工性を与える作用がある。その含有量が0.01%未満であると、その効果が十分でなく、0.50%を超えると、ろう付性を損ないろう付不可となり、また、押出加工性を損なう傾向にある。
Znは、ろう付性を維持しながらチューブに必要な強度を与える作用がある。その含有量が0.01%未満であると、その効果が十分でなく、0.5%を超えると、耐食性を損なう傾向にある。
Ti:0.01〜0.30%
Tiは、ろう付性を維持しながらチューブに必要な強度を与える作用がある。その含有量が0.01%未満であると、その効果が十分でなく、0.30%を超えると、Tiが十分アルミニウム地に固溶せず粗大な金属間化合物を形成して、該部材に構造的な欠陥を形成することになり、また、押出加工性を損なう傾向にある。
例えば、上記実施形態では、扁平なチューブの両面に凹部又は溝を形成したが、チューブが使用される姿勢等によっては、片面にのみ形成してもよい。また、図3〜図5の各例では、チューブの外表面に連続的に凹部や溝を形成しているが、断続的に形成するものであってもよい。また、チューブの表面にフラックスのみを塗布したが、フラックスのみの代わりにろう粉末のみ、あるいはろう粉末とフラックスの混合塗料を塗布するものであってもよい。
2 チューブ
3 フィン
4,5 ヘッダ
6 インレット管
7 アウトレット管
8 仕切り壁
9 内部流路
11 凹部
21 チューブ
22 溝
31 チューブ
32 溝
41 製造装置
42 成形ローラ
43,44 ろう付助剤塗布機
61 製造装置
62 成形ローラ
T チューブ素材
P ろう付助剤
Claims (7)
- アルミニウム合金製の扁平なチューブの片面あるいは両面の外表面に、深さ5〜50μmの凹部が1mm2当たり0.25〜40000個設けられるとともに、その表面にろう付用フラックス又はろう粉末の少なくとも一方を含むろう付助剤が塗布されていることを特徴とする熱交換器用チューブ。
- アルミニウム合金製の扁平なチューブの片面あるいは両面の外表面に、深さ5〜50μmの溝が5〜2000μmの相互間隔で連続的あるいは断続的に複数設けられるとともに、その表面にろう付用フラックス又はろう粉末の少なくとも一方を含むろう付助剤が塗布されていることを特徴とする熱交換器用チューブ。
- 前記溝は、前記チューブの長手方向に対して30〜90°の角度をなすように形成されていることを特徴とする請求項2記載の熱交換器用チューブ。
- アルミニウム金属製の扁平なチューブ素材を押出成形する工程と、押出された前記チューブ素材を成形ローラで加圧することにより、前記チューブ素材の片面あるいは両面の外表面に深さ5〜50μmの凹部を1mm2当たり0.25〜40000個設ける工程と、前記凹部を形成したチューブの片面あるいは両面の外表面にろう付用フラックス又はろう粉末の少なくとも一方を含むろう付助剤を塗布する工程とを有することを特徴とする熱交換器用チューブの製造方法。
- アルミニウム金属製の扁平なチューブ素材を押出成形する工程と、押出された前記チューブ素材を成形ローラで加圧することにより、前記チューブ素材の片面あるいは両面の外表面に該チューブ素材の長手方向と交差する方向に延びる深さ5〜50μmの溝を5〜2000μmの相互間隔で連続的あるいは断続的に複数設ける工程と、前記溝を形成したチューブの片面あるいは両面の外表面にろう付用フラックス又はろう粉末の少なくとも一方を含むろう付助剤を塗布する工程とを有することを特徴とする熱交換器用チューブの製造方法。
- 前記溝を設ける工程は、前記チューブ素材の長手方向に対して30〜90°の角度をなすように前記溝を設けることを特徴とする請求項5記載の熱交換器用チューブの製造方法。
- 請求項1から3のいずれか一項に記載の熱交換器用チューブと、該チューブの外表面にろう付されたフィンとを有する熱交換器。
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JP2005125379A (ja) * | 2003-10-24 | 2005-05-19 | Furukawa Sky Kk | ろう付け性に優れた自動車熱交換器用樹脂被覆アルミニウム扁平多穴管およびその製造方法 |
JP2007051787A (ja) * | 2005-08-15 | 2007-03-01 | Mitsubishi Alum Co Ltd | 熱交換器用押出チューブ及び熱交換器 |
JP2008101820A (ja) * | 2006-10-18 | 2008-05-01 | Calsonic Kansei Corp | 熱交換器用チューブおよびその製造方法 |
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