JP2010084613A - 燃料噴射装置 - Google Patents

燃料噴射装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2010084613A
JP2010084613A JP2008254175A JP2008254175A JP2010084613A JP 2010084613 A JP2010084613 A JP 2010084613A JP 2008254175 A JP2008254175 A JP 2008254175A JP 2008254175 A JP2008254175 A JP 2008254175A JP 2010084613 A JP2010084613 A JP 2010084613A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fuel
injection
fuel injection
pressure
amount
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008254175A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyuki Yuasa
弘之 湯浅
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2008254175A priority Critical patent/JP2010084613A/ja
Publication of JP2010084613A publication Critical patent/JP2010084613A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Fuel-Injection Apparatus (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

【課題】各気筒における燃料噴射量を予測して燃料噴射弁の噴射終了時期を決定し、正確な燃料噴射量を得られる燃料噴射装置を提供することを課題とする。
【解決手段】燃料噴射装置1Aは、高圧燃料ポンプ3Bによって送り出された燃料を蓄圧状態に貯留するコモンレール4、コモンレール4から分岐した高圧燃料供給通路21を通じて供給される燃料をディーゼルエンジンの気筒ごとに対応して噴射する直動式の燃料噴射弁であるインジェクタ5A、及びインジェクタ5Aから燃料を噴射するための噴射指示信号を出力するECU80Aを備える。そして、コモンレール4寄りの高圧燃料供給通路21内にオリフィス75を設け、オリフィス75の上流側及び下流側の差圧を検出する差圧センサSdPを設ける。ECU80Aは、差圧センサSdPからの信号に基づいて積算噴射量を求め、さらに積算噴射量の増加率に基づいて、噴射終了時期を決定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料蓄圧部に蓄圧状態で貯留された燃料を燃料噴射弁から内燃機関の各気筒の燃焼室へ供給する燃料噴射装置に関する。
従来、各気筒への燃料噴射量は、燃料ポンプによって送り出された燃料を蓄圧状態に貯留する燃料蓄圧部に設けた圧力センサにより検出される圧力と、各気筒の燃料噴射弁への噴射指示による燃料噴射弁の噴射時間、又は噴射回数により算出されていた。しかし、例えば、燃料噴射弁の製造公差により、燃料噴射弁内のノズルニードルのリフト量や、燃料噴射孔の面積にばらつきがあり、燃料噴射量にもばらつきを生じたり、各気筒に対する燃料噴射の圧力反射等により、燃料蓄圧部の圧力に脈動が生じ、燃料噴射弁の噴射時間や噴射回数が各気筒間で同じ場合に、実際の各気筒への燃料噴射量に差を生じたりし、PM(粒子状物質)が増大したり、NOxや燃焼騒音が増大する虞がある。
例えば特許文献1には、燃料ポンプによって送り出された燃料を蓄圧状態に貯留する燃料蓄圧部、燃料蓄圧部から分岐した燃料供給通路を通じて供給される燃料を内燃機関の各気筒の燃焼室へ供給する燃料噴射弁、及び燃料噴射弁から燃料を噴射するための噴射指示信号を出力する制御部を備えた燃料噴射装置において、燃料供給通路に配置されたベンチュリ形狭隘部に、差圧を検出する差圧センサと、を備え、制御部は、差圧センサからの信号に基づいてベンチュリ形狭隘部を通過する実燃料供給量を算出する燃料噴射装置の技術が記載されている。
特開2003−184632号公報(図4、図12、及び段落0051〜0058参照)
しかしながら、前記特許文献1に記載の技術では、ベンチュリ形狭隘部の最小絞り成形に限界があり、滑らかに急激に絞ることが管の絞り加工技術上難しく、又、最小径を十分に小さくできない等、ベンチュリ形狭隘部を高精度に形成することは難しい。また、ベンチュリ形狭隘部の差圧の発生も小さく、燃料噴射弁の燃料噴射時の燃料供給量をベンチュリ形狭隘部の差圧から正確に算出することは困難である。
そのため、制御部が算出する目標噴射量と実際の燃料噴射量に誤差が生じやすく、このような誤差が生じることによって、前記したように、PM(粒子状物質)が増大したり、NOxや燃焼騒音が増大する虞がある。
そこで、本発明は、各気筒における燃料噴射量を予測して燃料噴射弁の噴射終了時期を決定し、正確な燃料噴射量を得られる燃料噴射装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明は、燃料ポンプによって送り出された燃料を蓄圧状態に貯留する燃料蓄圧部と、前記燃料蓄圧部から内燃機関の各気筒に向けて分岐した燃料供給通路を通じて供給される燃料の全量を前記内燃機関の各気筒の燃焼室へ供給する燃料噴射弁と、前記燃料噴射弁が噴射する燃料の目標噴射量を設定する制御部と、を備えた燃料噴射装置とする。そして、前記燃料供給通路に配置されたオリフィスと、前記燃料供給通路内の前記オリフィスの上流側及び下流側の差圧を検出する差圧センサと、を備え、前記制御部は、所定の単位時間あたりの前記燃料噴射弁の燃料噴射量である実燃料噴射率を、前記差圧センサからの信号に基づいて算出し、前記実燃料噴射率を積分した積算噴射量に基づいて算出する予測値が前記目標噴射量と等しくなる時期を、前記燃料噴射弁の噴射終了時期として決定することを特徴とする。
本発明によれば、オリフィスの開口部の径を正確に製作することは容易であり、又、オリフィスの上流側と下流側との間の差圧は、ベンチュリ形狭隘部の上流側と下流側との間の差圧よりも大きなものとなり、流量検出に十分利用できる。
そして、検出するオリフィス差圧に基づいて、燃料噴射弁が噴射する燃料の総量である積算噴射量を正確に算出できる。燃料噴射弁の製造公差があったとしてもその製造公差の影響を反映した積算噴射量を算出できるので、正確な積算噴射量を算出できる。そして、積算噴射量に基づいて算出する予測値が目標噴射量と等しくなる時期を、燃料噴射弁の噴射終了時期として決定できる。したがって、正確な積算噴射量の予測値を用いて燃料噴射弁の噴射終了時期を決定できることから、好適に目標噴射量を確保できる。
また本発明は、燃料ポンプによって送り出された燃料を蓄圧状態に貯留する燃料蓄圧部と、前記燃料蓄圧部から内燃機関の各気筒に向けて分岐した燃料供給通路を通じて供給される燃料の全量を前記内燃機関の各気筒の燃焼室へ供給する燃料噴射弁と、前記燃料噴射弁が噴射する燃料の目標噴射量を設定する制御部と、を備えた燃料噴射装置とする。そして、前記燃料蓄圧部の圧力を検出する蓄圧部圧力センサと、前記燃料供給通路に配置されたオリフィスと、前記燃料供給通路内の前記オリフィスの下流側の圧力を検出する燃料供給通路圧力センサと、を備え、前記制御部は、所定の単位時間あたりの前記燃料噴射弁の燃料噴射量である実燃料噴射率を、前記蓄圧部圧力センサからの信号及び前記燃料供給通路圧力センサからの信号に基づいて算出し、前記実燃料噴射率を積分した積算噴射量に基づいて算出する予測値が前記目標噴射量と等しくなる時期を、前記燃料噴射弁の噴射終了時期として決定することを特徴とする。
本発明によれば、オリフィスの開口部の径を正確に製作することは容易であり、又、オリフィスの上流側の圧力として蓄圧部圧力センサからの信号を用い、オリフィス下流側の圧力として燃料供給通路圧力センサからの信号を用い、その差圧をとると、ベンチュリ形狭隘部の上流側と下流側との間の差圧よりも大きなものとなり、流量検出に十分利用できる。
そして、蓄圧部圧力センサの信号と燃料供給通路圧力センサの信号から、オリフィス差圧は容易に算出され、オリフィス差圧に基づいて、燃料噴射弁が噴射する燃料の総量である積算噴射量を正確に算出できる。燃料噴射弁の製造公差があったとしてもその製造公差の影響を反映した積算噴射量を算出できるので、正確な積算噴射量を算出できる。そして、積算噴射量に基づいて算出する予測値が目標噴射量と等しくなる時期を、燃料噴射弁の噴射終了時期として決定できる。したがって、正確な積算噴射量の予測値を用いて燃料噴射弁の噴射終了時期を決定できることから、好適に目標噴射量を確保できる。
また本発明は、燃料ポンプによって送り出された燃料を蓄圧状態に貯留する燃料蓄圧部と、前記燃料蓄圧部から内燃機関の各気筒に向けて分岐した燃料供給通路を通じて供給される燃料の全量を前記内燃機関の各気筒の燃焼室へ供給する燃料噴射弁と、前記燃料噴射弁が噴射する燃料の目標噴射量を設定する制御部と、を備えた燃料噴射装置とする。そして、前記燃料供給通路に配置されたオリフィスと、前記燃料供給通路内の前記オリフィスの下流側の圧力を検出する燃料供給通路圧力センサと、を備え、前記制御部は、前記燃料供給通路圧力センサからの信号に基づいて前記燃料噴射弁からの燃料の噴射に伴う圧力低下量を検出し、その圧力低下量に基づいて、所定の単位時間あたりの前記燃料噴射弁の燃料噴射量である実燃料噴射率を算出し、前記実燃料噴射率を積分した積算噴射量に基づいて算出する予測値が前記目標噴射量と等しくなる時期を、前記燃料噴射弁の噴射終了時期として決定することを特徴とする。
本発明によれば、オリフィスの開口部径を正確に製作することは容易であり、又、オリフィス下流側の圧力として燃料供給通路圧力センサからの信号を用い、オリフィスにおける差圧は、制御部から燃料噴射弁に噴射指示信号を出力していないタイミング、つまり、オリフィスを燃料が流れていない状態における燃料供給通路圧力センサから出力される信号に基づく圧力をオリフィス上流側の圧力として仮定し、制御部から燃料噴射弁に噴射指示信号が出力された後のその圧力からの圧力低下量をもってオリフィス差圧とすることによって流量検出に十分利用できる。
そして、このオリフィス差圧に基づいて、燃料噴射弁が噴射する燃料の総量である積算噴射量を正確に算出できる。燃料噴射弁の製造公差があったとしてもその製造公差の影響を反映した積算噴射量を算出できるので、正確な積算噴射量を算出できる。そして、積算噴射量に基づいて算出する予測値が目標噴射量と等しくなる時期を、燃料噴射弁の噴射終了時期として決定できる。したがって、正確な積算噴射量の予測値を用いて燃料噴射弁の噴射終了時期を決定できることから、好適に目標噴射量を確保できる。
また本発明は、燃料ポンプによって送り出された燃料を蓄圧状態に貯留する燃料蓄圧部と、前記燃料蓄圧部から内燃機関の各気筒に向けて分岐した燃料供給通路を通じて供給される燃料の一部を戻り燃料配管を介して燃料供給系の低圧部へ排出し、残りを前記内燃機関の各気筒の燃焼室へ供給する燃料噴射弁と、前記燃料噴射弁が噴射する燃料の目標噴射量を設定する制御部と、を備えた燃料噴射装置とする。そして、前記燃料供給通路に配置されたオリフィスと、前記燃料供給通路内の前記オリフィスの上流側及び下流側の差圧を検出する差圧センサと、を備え、前記制御部は、所定の単位時間に燃料が前記オリフィスを通過する実燃料供給率を、前記差圧センサからの信号に基づいて算出するとともに、前記実燃料供給率の内、実際に前記燃料噴射弁から噴射される実燃料噴射率を算出し、前記実燃料噴射率を積分した積算噴射量に基づいて算出する予測値が前記目標噴射量と等しくなる時期を、前記燃料噴射弁の噴射終了時期として決定することを特徴とする。
本発明によれば、いわゆる背圧式の燃料噴射弁を備える燃料噴射装置であっても、直動式の燃料噴射弁を備える燃料噴射装置と同様に、差圧センサが検出するオリフィス差圧に基づいて、燃料噴射弁が噴射する燃料の総量である積算噴射量を正確に算出できる。そして、積算噴射量に基づいて算出する予測値が目標噴射量と等しくなる時期を、燃料噴射弁の噴射終了時期として決定できる。したがって、正確な積算噴射量の予測値を用いて燃料噴射弁の噴射終了時期を決定できることから、好適に目標噴射量を確保できる。
また本発明は、燃料ポンプによって送り出された燃料を蓄圧状態に貯留する燃料蓄圧部と、前記燃料蓄圧部から内燃機関の各気筒に向けて分岐した燃料供給通路を通じて供給される燃料の一部を戻り燃料配管を介して燃料供給系の低圧部へ排出し、残りを前記内燃機関の各気筒の燃焼室へ供給する燃料噴射弁と、前記燃料噴射弁が噴射する燃料の目標噴射量を設定する制御部と、を備えた燃料噴射装置とする。そして、前記燃料蓄圧部の圧力を検出する蓄圧部圧力センサと、前記燃料供給通路に配置されたオリフィスと、前記燃料供給通路内の前記オリフィスの下流側の圧力を検出する燃料供給通路圧力センサと、を備え、前記制御部は、所定の単位時間に燃料が前記オリフィスを通過する実燃料供給率を、前記蓄圧部圧力センサからの信号及び前記燃料供給通路圧力センサからの信号に基づいて算出するとともに、前記実燃料供給率の内、実際に前記燃料噴射弁から噴射される実燃料噴射率を算出し、前記実燃料噴射率を積分した積算噴射量に基づいて算出する予測値が前記目標噴射量と等しくなる時期を、前記燃料噴射弁の噴射終了時期として決定することを特徴とする。
本発明によれば、いわゆる背圧式の燃料噴射弁を備える燃料噴射装置であっても、直動式の燃料噴射弁を備える燃料噴射装置と同様に、蓄圧部圧力センサからの信号と燃料供給通路圧力センサからの信号に基づいてオリフィス差圧を容易に算出できる。そして、このように算出されたオリフィス差圧に基づいて、燃料噴射弁が噴射する燃料の総量である積算噴射量を正確に算出できる。そして、積算噴射量に基づいて算出する予測値が目標噴射量と等しくなる時期を、燃料噴射弁の噴射終了時期として決定できる。したがって、正確な積算噴射量の予測値を用いて燃料噴射弁の噴射終了時期を決定できることから、好適に目標噴射量を確保できる。
また本発明は、燃料ポンプによって送り出された燃料を蓄圧状態に貯留する燃料蓄圧部と、前記燃料蓄圧部から内燃機関の各気筒に向けて分岐した燃料供給通路を通じて供給される燃料の一部を戻り燃料配管を介して燃料供給系の低圧部へ排出し、残りを前記内燃機関の各気筒の燃焼室へ供給する燃料噴射弁と、前記燃料噴射弁が噴射する燃料の目標噴射量を設定する制御部と、を備えた燃料噴射装置とする。そして、前記燃料供給通路に配置されたオリフィスと、前記燃料供給通路内の前記オリフィスの下流側の圧力を検出する燃料供給通路圧力センサと、を備え、前記制御部は、前記燃料供給通路圧力センサからの信号に基づいて前記燃料噴射弁からの燃料の噴射に伴う圧力低下量を検出し、その圧力低下量に基づいて、所定の単位時間に燃料が前記オリフィスを通過する実燃料供給率を算出するとともに、前記実燃料供給率の内、実際に前記燃料噴射弁から噴射される実燃料噴射率を算出し、前記実燃料噴射率を積分した積算噴射量に基づいて算出する予測値が前記目標噴射量と等しくなる時期を、前記燃料噴射弁の噴射終了時期として決定することを特徴とする。
本発明によれば、いわゆる背圧式の燃料噴射弁を備える燃料噴射装置であっても、直動式の燃料噴射弁を備える燃料噴射装置と同様に、燃料供給通路圧力センサから出力される信号に基づいて、オリフィス差圧を算出できる。そして、このように算出されたオリフィス差圧に基づいて、燃料噴射弁が噴射する燃料の総量である積算噴射量を正確に算出できる。そして、積算噴射量に基づいて算出する予測値が目標噴射量と等しくなる時期を、燃料噴射弁の噴射終了時期として決定できる。したがって、正確な積算噴射量の予測値を用いて燃料噴射弁の噴射終了時期を決定できることから、好適に目標噴射量を確保できる。
また本発明は、前記制御部は、前記燃料噴射弁の燃料噴射量(Q)と前記燃料噴射弁に燃料の噴射を指示する噴射時間(T)との関係を示すT−Q特性データを有し、前記目標噴射量に基づいて前記T−Q特性データを参照し、前記燃料噴射弁が燃料を噴射する噴射時間を設定するとともに、前記予測値に基づいて、前記設定した噴射時間を補正し、前記噴射終了時期を決定することを特徴とする。
本発明によれば、制御部は、T−Q特性データに基づいて、燃料噴射弁が燃料を噴射する噴射時間を設定できる。さらに、積算噴射量に基づいて算出する予測値に基づいて、設定した噴射時間を補正して、噴射終了時期を決定できる。積算噴射量の予測値は正確に算出できることから、好適に目標噴射量を確保できるように、設定した噴射時間を補正することができる。
また本発明は、前記制御部は、前記設定した噴射時間の補正量を決定するための補正判定時期を、前記設定した噴射時間の終了前に設定し、前記補正判定時期における前記積算噴射量に基づいて前記予測値を算出し、前記設定した噴射時間の補正量を決定することを特徴とする。
本発明によれば、制御部は、設定した噴射時間の終了前に、噴射時間の補正をする補正判定時期を設定することができる。そして、補正判定時期の積算噴射量に基づいて予測値を算出できる。したがって、制御部は噴射時間の終了前に予測値を算出でき、設定した噴射時間を補正できる。
また本発明は、前記制御部は、前記補正判定時期における、前記積算噴射量の変化率に基づいて前記予測値を算出し、前記設定した噴射時間の補正量を決定することを特徴とする。
本発明によれば、補正判定時期における積算噴射量の変化率、例えば増加率に基づいて予測値を算出できる。したがって、制御部は、補正判定時期において、例えば積算噴射量を外挿して、容易に予測値を算出できる。
また本発明は、前記補正判定時期は、前記実燃料噴射率が一定になった時期であることを特徴とする。
本発明によれば、制御部は、実燃料噴射率が一定になった時期を補正判定時期に設定できる。したがって、実燃料噴射率の積分値である積算噴射量の増加率が一定の時期、すなわち積算噴射量が一次関数的に増加する時期を補正判定時期に設定できる。
そして、制御部は、補正判定時期において、積算噴射量を外挿した予測値を容易に算出できる。
本発明によれば、各気筒における燃料噴射量を予測して燃料噴射弁の噴射終了時期を決定し、正確な燃料噴射量を得られる燃料噴射装置を提供することができる。
《第1の実施形態》
以下に、本発明の第1の実施形態に係る燃料噴射装置について図1、図2を参照しながら詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図であり、図2は、第1の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置に用いられる直動式の燃料噴射弁(インジェクタ)の概念構成図である。
第1の実施形態に係る燃料噴射装置1Aは、エンジン制御装置(制御部)80A(以下ECU80Aと称する)により電子制御されるモータ63で駆動される低圧ポンプ3A(フィードポンプとも呼ばれる)と、エンジンクランク軸から取り出される駆動力で機械的に駆動される高圧ポンプ3B(サプライポンプとも呼ばれる)と、この高圧ポンプ3Bから高圧燃料が供給されるコモンレール(燃料蓄圧部)4と、図示しない内燃機関、例えば、4気筒のディーゼルエンジン(以下、単にエンジンと称する)の各気筒の燃焼室に高圧燃料を噴射供給するインジェクタ(燃料噴射弁)5Aと、インジェクタ5Aに内蔵され、ECU80Aにより電子制御されるアクチュエータ6Aと、を含んで構成される。
ここで、低圧ポンプ3A及び高圧ポンプ3Bは請求項に記載の燃料ポンプに対応する。
ECU80Aは、図示省略するがマイクロコンピュータ、インターフェース回路、アクチュエータ6Aを駆動するアクチュエータ駆動回路等を含む。マイクロコンピュータは、図示省略のエンジン回転速度センサ、気筒判別センサ、クランク角センサ、水温センサ、吸気温度センサ、吸気圧センサ、アクセル(スロットル)開度センサ、温度センサS、圧力センサ(蓄圧部圧力センサ)SPc、差圧センサSdP等の各センサからの信号を用いて、最適な目標噴射量及びインジェクタ5Aの噴射時間を決定してアクチュエータ6Aを電子制御する。
なお、モータ63を駆動するモータ駆動回路を、ECU80Aが含んでもよいし、ECU80Aの外部に別のユニットとして備える構成であってもよい。
以下では、ECU80Aに含まれるマイクロコンピュータで制御される内容を、単にECU80Aの制御として表現する。また、後記する第2から第6の実施形態におけるECU80B(図7参照)〜80F(図14参照)のハード的な構成もECU80Aと同じである。
低圧ポンプ3A及びモータ63は、燃料タンク2内にフィルタ62とともに組み込まれ、低圧燃料供給配管61により燃料タンク2から高圧ポンプ3Bの吸い込み側に燃料を供給する。低圧ポンプ3Aの吐出側と高圧ポンプ3Bの吸い込み側との間の低圧燃料供給配管61にはストレーナ64、逆止弁68を内蔵した流量調整弁69が直列に配置され、ストレーナ64には、図示省略の差圧センサが設けられ、その信号がECU80Aに入力されて、ECU80Aが低圧ポンプ3Aやフィルタ62やストレーナ64の異常(低圧燃料供給量)を検出できるようになっている。
さらに、低圧燃料供給配管61のストレーナ64と流量調整弁69との中間から分岐した戻り配管65が、調圧弁67を経由して低圧ポンプ3Aの過剰な燃料供給を燃料タンク2に戻すようになっている。
高圧ポンプ3Bには、吐出される燃料温度を検出する温度センサSが設けられる。温度センサSは検出した燃料温度を温度信号に変換し、その温度信号をECU80Aに入力する。
高圧ポンプ3Bから吐出配管70に吐出された高圧燃料は、比較的に高い圧力の高圧燃料を蓄圧するサージタンクの一種であるコモンレール4に、蓄圧状態で貯留される。コモンレール4には、コモンレールの圧力(以下、コモンレール圧力Pcと称する)を検出する圧力センサSPcが設けられる。圧力センサSPcは、コモンレール圧力Pcを検出して検出圧信号に変換し、その検出圧信号をECU80Aに入力する。ECU80Aは、入力される検出圧信号に基づいて、コモンレール4と燃料タンク2とを接続する戻り配管71の途中に配置された圧力調整弁72の開度を調整し、コモンレール4の圧力を、エンジン回転速度などの車両の運転状態に応じて、例えば、30MPa〜200MPaの所定の目標圧力に制御する。
また、コモンレール4はインジェクタ5Aと高圧燃料供給通路(燃料供給通路)21を介して連通するように構成されている。4本の高圧燃料供給通路21のコモンレール4寄りには、オリフィス75がそれぞれ設けられ、そのオリフィス75の上流側(コモンレール4側)と下流側(インジェクタ5A側)とから取り出される圧力検出管が、それぞれ差圧センサSdPに接続される。差圧センサSdPは、4本の高圧燃料供給通路21のオリフィス差圧PORをそれぞれ個別に検出し、それぞれ検出したオリフィス差圧PORを差圧信号に変換してECU80Aに入力する。ECU80Aは、入力される差圧信号によって、オリフィス75の上流側と下流側のオリフィス差圧PORを取得することができ、さらに取得したオリフィス差圧PORに基づいて、オリフィス75を通過する燃料流量を算出できる。
なお、このオリフィス75の位置から下流側の高圧燃料供給通路21及びインジェクタ5Aの燃料噴射孔10までの燃料通路(後記するインジェクタ5A内の燃料通路25及び油溜り20(図2参照))を含む燃料通路容積は、1つの気筒における吸気、圧縮、爆発、排気のサイクルのうちの爆発行程のために高圧燃料供給通路21を通じて供給する燃料の最大実燃料供給量、例えば、アクセルが最大限度に踏み込まれて、図示しないエンジンに最大トルクが要求される場合の最大実燃料供給量を超える燃料通路容積とする。
ここで、最大実燃料供給量は、多段噴射の場合はその積分量である。
図示しないエンジンの各気筒のインジェクタ5Aまでの高圧燃料供給通路21の配管長さには、ばらつきが出ることが当然であり、高圧燃料供給通路21にオリフィス75を設ける位置は、前記した燃料通路容積を確保した上で、各気筒が同じ燃料通路容積となるように適宜調節する。
次に、第1の実施形態のインジェクタ5Aの構造を図1及び図2を参照しながら説明する。このインジェクタ5Aは、図示しないエンジンの各気筒に取り付けられている。そして、インジェクタ5Aは、先端部に1個または2個以上の燃料噴射孔10を形成したインジェクタ本体13と、このインジェクタ本体13内に摺動自在に支持されるノズルニードル14と、このノズルニードル14の上端側に連結されてノズルニードル14と一体的に往復変位するピストン16を含んで構成されている。
インジェクタ本体13は、ノズルボディ17、ノズルホルダ19、アクチュエータボディ55等より構成されている。ノズルボディ17の内部には、ノズルニードル14の周囲に常に高圧燃料を充満させるための油溜り20が形成されている。この油溜り20は、燃料通路25及び高圧燃料供給通路21を介してコモンレール4に常に連通している。ノズルボディ17はノズルホルダ19にリテーニングナット22により締め付け固定されている。
ノズルホルダ19は、ピストン16を摺動自在に支持する長孔23を中心部の長手方向に形成したシリンダを構成する。そして、長孔23の上には、アクチュエータボディ55に設けられた、長孔23よりも拡径された作動室56が設けられている。
ノズルニードル14は、アクチュエータ6Aの中心軸と同一軸心上に配設され、ノズルボディ17の内周に摺動自在に支持されている。ノズル開弁時には、ノズルニードル14がリフトアップしてノズルニードル14の先端部とノズルボディ17との間に燃料通路が形成されて油溜り20と燃料噴射孔10とが連通し、図示しないエンジンへの燃料噴射がなされる。また、ノズル閉弁時には、ノズルニードル14の先端部がノズルボディ17のシート面17aに着座して高圧燃料の噴射を終了する。
次に、図2を参照しながらアクチュエータ6Aを説明する。アクチュエータ6Aは、インジェクタ5Aのノズルホルダ19の上端部に液密的に当接した状態でリテーニングナット31によりノズルホルダ19の上端面に締め付け固定されるアクチュエータボディ55と、このアクチュエータボディ55内部に配設された鉄心33と、この鉄心33の収納部に巻装された電磁コイル34と、アクチュエータボディ55内に長孔23よりも拡径された作動室56と、前記したピストン16の上端に設けられたピストンフランジ部16aと、このピストンフランジ部16aの最大リフト量を規制するストッパ36と、ピストン16を閉弁方向に付勢するコイルスプリング37とから構成されている。
リテーニングナット31の図示上端部には、電磁コイル34への給電のための図示しないコネクタが組み付けられている。
鉄心33は、電磁コイル34への通電時に磁化して、ピストンフランジ部16aを上方に吸引し、ピストン16と連結したノズルニードル14を引き上げる。そして、ノズルニードル14はリフトアップし、燃料噴射孔10から燃料が噴射される。
電磁コイル34への通電が停止されると、ピストンフランジ部16aを吸引する磁力が消失し、コイルスプリング37の付勢力によってピストンフランジ部16aが下方に押し下げられ、ピストン16と連結したノズルニードル14がシート面17aに着座する。したがって、燃料噴射孔10からの燃料噴射が止まる。
ここで、図3を参照しながら適宜図1、図2を参照してECU80Aにおける燃料の各気筒への燃料噴射量Qの演算方法について説明する。
図3は、1つの気筒に対する噴射指示信号の出力パターンと高圧燃料供給通路における燃料挙動の時間推移を示す図であり、(a)は噴射指示信号の出力パターンを示す図、(b)はインジェクタからの燃料噴射量の時間推移を示す図、(c)は燃料のオリフィス通過流量の時間推移を示す図、(d)はオリフィスの上下流側の圧力変化の時間推移を示す図である。
図3の(a)では、燃料の噴射指示信号は一つの広幅のパルスで概念的に表してあり、噴射指示信号の立ち上がり開始時期(噴射開始時期)がtであり、噴射指示信号の立下り開始時期(噴射終了時期)がtであり、噴射指示信号の立下り完了時期がt’である。
噴射指示信号は、例えば、ECU80Aから出力されてインジェクタ5Aのアクチュエータ6Aに備わる電磁コイル34に供給される電力であり、ECU80Aの制御によってON/OFFされる。
そして、図1に示すインジェクタ5Aは、噴射指示信号がONのときのみ、燃料噴射孔10から燃料を噴射する。
したがって、ECU80Aは、噴射指示信号がONの時間(噴射時間T)を調整することで、インジェクタ5Aの燃料噴射孔10から噴射される燃料の総量(燃料噴射量Q)を調節できる。
また、噴射指示信号は、ECU80AがONする噴射開始時期tから、所定の傾斜を持って立ち上がる立ち上がり特性を有する。同様に、ECU80AがOFFする噴射終了時期tから所定の傾斜を持って立下がる立下り特性を有する。したがって、ECU80Aは、噴射指示信号の立ち上がり特性と立下り特性を考慮して、噴射指示信号を制御する構成となっている。
図3の(a)に示すように出力される噴射指示信号に対応して、図3の(b)に示すように直動式の燃料噴射弁であるインジェクタ5Aは、噴射開始時期tより少し遅れてtS1で燃料の噴射を開始し、噴射終了時期tより少し遅れたtE1に噴射を終了する。
また、燃料がオリフィス75を通過する量(オリフィス通過流量QOR)は、図3の(c)に示すように、燃料通路25や高圧燃料供給通路21の容積分だけtS1から遅れてtS2で立ち上がる。そして、同様に燃料通路25や高圧燃料供給通路21の容積分だけtE1から遅れてtE2に0に戻る。
なお、噴射開始時期tからtS1やtS2への遅れ、及び噴射終了時期tからtE1やtE2への遅れは燃料噴射装置1Aに固有の値であり、予め実験等で求めておくことができる。したがってECU80Aは、遅れを考慮しながら燃料噴射装置1Aを制御することができ、遅れの影響を吸収して燃料噴射装置1Aを制御できる。
図3の(c)に対応するオリフィス75の上下流側における圧力は、図3の(d)に示すように、コモンレール圧力Pcの変動に伴ってオリフィス上流側圧力が変動しても、差圧センサSdPによりオリフィス差圧PORが検出できるので、ECU80Aは、精度よくオリフィス通過流量QORを算出できる。そして、図3の(c)に示すオリフィス通過流量QORのドットで示した領域の面積は、直動式のインジェクタ5Aの場合、図3の(b)に示す燃料噴射量Qの面積と同じになる。
ちなみに、燃料のオリフィス通過流量QORは次式(1)により、オリフィス差圧PORに基づいて容易に算出できる。
Figure 2010084613
図4の(a)は、噴射指示信号の出力パターンを示す図、(b)は、インジェクタからの燃料噴射量の推移を噴射指示信号に同期して示した図である。
なお、前記したように、EUC80Aは、図3の(a)〜(c)に示される噴射開始時期tからtS1への遅れ、及び噴射終了時期tからtE1への遅れを吸収して燃料噴射装置1Aを制御できることから、図4においては、噴射指示信号の挙動と燃料噴射量Qの挙動を同期して示す。
図4の(a)、(b)に示すように、噴射開始時期tでECU80Aが噴射指示信号をONすると、噴射指示信号に同期してインジェクタ5A(図1参照)による燃料噴射が開始され、燃料噴射量Qが増加していく。このとき、燃料噴射量Qは、燃料噴射装置1A(図1参照)の特性によって決定される特性曲線Q(実線)に沿って増加する。
そして、燃料噴射量Qが目標噴射量Qに達したとき(噴射終了時期t)、ECU80Aは噴射指示信号をOFFする。
噴射指示信号は噴射終了時期tから立下りを開始してt’において立下りが完了する。
噴射指示信号が立下がりを開始すると、インジェクタ5Aの燃料噴射孔10(図1参照)からの燃料噴射が減少し、噴射指示信号の立下がりが完了したときにt’から遅れ、図3の(b)に示すtE1において燃料噴射量Qの増加が止まる。
従来、ECU80A(図1参照)は、スロットル開度等に基づいて、図示しないエンジンの要求トルクを算出し、さらに、エンジンの要求トルクを得るために必要な燃料噴射量を目標噴射量Qとして算出する。
そして、ECU80A(図1参照)は、各気筒における燃料噴射量が目標噴射量Qになるように、噴射指示信号の出力パターンを設定する。
具体的に、ECU80Aは、図4の(b)に示すように、燃料噴射量Qが特性曲線Qに沿って増加するとみなして、インジェクタ5A(図1参照)に燃料の噴射を指示する時間(噴射時間T)を設定する。このとき、ECU80Aは、特性曲線Qの立ち上がり特性、及び立下り特性を考慮して、噴射時間Tを設定する。
このように、ECU80A(図1参照)が噴射時間Tを設定する方法は限定するものではない。例えば、インジェクタ5A(図1参照)における燃料噴射量Qと噴射時間Tの関係を「T−Q特性データ」として予め実験等で求め、ECU80Aに備わる図示しない記憶部に、マップとして記憶しておけばよい。ECU80Aは、算出した目標噴射量Qに基づいてマップを参照し、T−Q特性データに基づいて、インジェクタ5Aの燃料噴射量Qが目標噴射量Qになるように噴射時間Tを設定する。そして、噴射開始時期tから噴射時間Tが経過した時点を噴射終了時期tに決定する。
そして、噴射開始時期tから設定した噴射時間Tが経過した時点、すなわち噴射終了時期tの時点で、ECU80A(図1参照)は噴射指示信号をOFFする。このように、ECU80Aは、設定した噴射指示信号の出力パターンに基づいて噴射指示信号の出力を制御して、各気筒における目標噴射量Qを確保している。
しかしながら、例えば、環境や運転状況の変動、インジェクタ5A(図1参照)の経年変化等によって、インジェクタ5Aからの単位時間あたりに燃料が噴射する噴射量が変化すると、燃料噴射量Qの増加が特性曲線Qからはずれ、例えば破線で示す増加曲線Qに沿って増加する場合がある。このとき、ECU80A(図1参照)が当初の目標噴射量Qに基づいて決定した噴射終了時期tで噴射指示信号をOFFすると、インジェクタ5Aによる燃料の噴射が終了し、燃料噴射量Qが目標噴射量Qに不足する。
また、燃料噴射量Qが、例えば一点鎖線で示される増加曲線Qに沿って増加する場合は、目標噴射量Qより過剰に噴射する。
このような原因によって、目標噴射量Qに対して燃料噴射量Qの過不足が発生すると、例えば、PM(粒子状物質)が増大したり、NOxや燃焼騒音が増大したりする。
そこで、第1の実施形態においては、インジェクタ5A(図1参照)から燃料が噴射している間に、ECU80A(図1参照)が必要に応じて噴射時間Tを補正して、噴射終了時期を決定し、好適に目標噴射量Qを確保する構成とした。
具体的に、ECU80A(図1参照)は、所定の単位時間におけるインジェクタ5Aの燃料噴射量Qに基づいて、単位時間あたりの燃料噴射量Qの増加率を算出する。そして増加率が一定の場合、ECU80Aは燃料噴射量Qを外挿して予測値を算出し、その予測値が目標噴射量Qに達するまでの時間を噴射時間Tとする。そして、噴射開始時期tから噴射時間Tが経過した時点を噴射終了時期と決定する。
このため、第1の実施形態に係るECU80A(図1参照)は、所定の単位時間におけるインジェクタ5Aの燃料噴射量(以下、「実燃料噴射率ΔQ」と称する)を算出することが必要になる。
そこで、ECU80Aは、所定の単位時間に燃料がオリフィス75(図1参照)を通過する流量である「実燃料供給率ΔQOR」に基づいて「実燃料噴射率ΔQ」を算出する構成とした。さらに、「実燃料噴射率ΔQ」を積分して「積算噴射量SQ」を算出する構成とした。
このように算出される積算噴射量SQは、単位時間あたりの燃料噴射量である実燃料噴射率ΔQを積分した値であることから、インジェクタ5A(図1参照)が噴射した燃料の総量、すなわち燃料噴射量Qに相当する。
なお、実燃料供給率ΔQOR、実燃料噴射率ΔQ、積算噴射量SQは、図示しないエンジンの気筒ごとに算出される値である。
また、所定の単位時間が短いほど、ECU80A(図1参照)は精度よく積算噴射量SQを算出できるが、ECU80Aの演算負荷が大きくなる。そこで、ECU80Aの性能や燃料噴射装置1A(図1参照)に要求される精度に基づいて、好適な単位時間を設定すればよい。
一般的には、単位時間は、数百μsecから数十μsecのオーダーであることが好適である。
第1の実施形態に係るインジェクタ5A(図1参照)は、直動式の燃料噴射弁であるので、オリフィス75(図1参照)を単位時間に通過する燃料の流量である実燃料供給率ΔQORは、単位時間におけるインジェクタ5Aの燃料噴射量である実燃料噴射率ΔQに等しくなる。
したがって、ECU80A(図1参照)は、算出する実燃料供給率ΔQORを実燃料噴射率ΔQとみなすことができる。
また、実燃料供給率ΔQORは、式(1)を利用して、オリフィス75(図1参照)のオリフィス差圧PORから算出できる。
そこで第1の実施形態のECU80Aは、差圧センサSdP(図1参照)が検出するオリフィス75(図1参照)のオリフィス差圧PORに基づいて積算噴射量SQの予測値を算出し、さらに、積算噴射量SQの予測値に基づいて、当初設定した噴射時間Tを補正し、噴射終了時期を決定する構成とした。
図5の(a)は、噴射指示信号の出力パターンを示す図、(b)は、積算噴射量(燃料噴射量)の予測を示す図である。図5の(b)に示すように、積算噴射量SQが、燃料噴射装置1A(図1参照)の特性によって決定される特性曲線Qに沿って増加する場合、ECU80A(図1参照)は、算出する目標噴射量Qに基づいて、図5の(a)に実線で示すように噴射時間T及び噴射終了時期tを決定し、噴射指示信号の出力パターンを設定する。
このとき、積算噴射量SQが上昇曲線Qに沿って増加すると、前記したように、ECU80Aが噴射指示信号をOFFする噴射終了時期tにおいて、積算噴射量SQが目標噴射量Qより不足する。
そこで、第1の実施形態に係るECU80Aは、積算噴射量SQの増加率に基づいて、噴射時間Tを補正し、噴射終了時期を決定する構成とした。
具体的に、ECU80A(図1参照)は、任意の時点tにおける積算噴射量SQ(t)を算出する。
さらに、ECU80Aは、tから単位時間が経過したtにおける積算噴射量SQ(t)を算出する。
仮にtからtの間で積算噴射量SQが直線状に増加、すなわち一次関数的に増加する場合、図5の(b)に破線で示すように、tとtの積算噴射量SQを結んだ直線を延長(外挿)することで、ECU80A(図1参照)は、t以降、任意の時点における積算噴射量SQの予測値を算出できる。
すなわち、ECU80Aは、積算噴射量SQに基づいて予測値を算出できる。さらに詳細に、ECU80Aは、積算噴射量SQの変化率に基づいて積算噴射量SQの予測値を算出できる。
そして、ECU80A(図1参照)は、積算噴射量SQの予測値が目標噴射量Qに達するように噴射時間Tを補正することができ、噴射終了時期tを決定できる。
例えば、図5の(a)に一点鎖線で示すように噴射時間Tを延長し、延長した噴射時間Tに対応した噴射終了時期tを決定する。
このように延長した噴射時間Tは、積算噴射量SQの予測値に基づいて算出される、噴射時間Tの予測値であり、予測噴射時間T’と称する。
図6は、ECUが噴射時間を補正する手順(以下、補正手順と称する)を示すフローチャートである。
主に図6を参照して、ECU80A(図1参照)が噴射時間を補正する補正手順を説明する(適宜図1〜図5参照)。
なお、図6に示す補正手順は、例えば、ECU80Aが実行するプログラムにサブルーチンとして組み込まれ、ECU80Aが噴射指示信号をONした時間、すなわち、図5の(a)に示す噴射開始時期t以降に、割り込み処理などによって、所定のサイクルでECU80Aが実行する構成とすればよい。
したがって、目標噴射量Qと噴射時間Tはすでに設定され、噴射指示信号の出力パターンも決定されている状態にある。
また、所定のサイクルは、前記した単位時間であることが好適である。
1サイクル前の補正手順の実行が終了してから所定のサイクル時間が経過したら、ECU80Aは補正手順の実行を開始し、差圧センサSdPが検出するオリフィス75のオリフィス差圧PORが安定しているか否かを判定する(ステップS1)。
オリフィス差圧PORが安定しないとき、すなわちオリフィス差圧PORの変動が急峻で大きく変動するときは、燃料が安定してインジェクタ5Aに供給されず、ECU80Aは、正確な積算噴射量SQを算出できない。
オリフィス差圧PORが安定したと判定するための条件は、燃料噴射装置1Aの特性に依存するものであって限定されるものではないが、例えば、オリフィス差圧PORがある程度緩やかに変動する場合に安定していると判定できる。そして、第1の実施形態においては、オリフィス差圧PORの変動の3階微分が0になるとき、インジェクタ5Aに安定して燃料が供給されるとした。すなわち、ECU80Aは、オリフィス差圧PORの変動の3階微分が0になるとき、オリフィス差圧PORが安定したと判定する構成とした。
なお、ECU80Aがオリフィス差圧PORの変動の3階微分を算出するためには、3サイクル以上、補正手順を実行する必要がある。したがって、ECU80Aが噴射指示信号をONしてから少なくとも3サイクルは、ECU80Aは、オリフィス差圧PORの変動を算出する処理のみを実行することになる。
そして、ECU80Aは、オリフィス差圧PORが安定していないときは(ステップS1→No)、噴射時間Tを補正せずに補正手順を終了する。すなわち、補正手順がサブルーチンで実行されている場合、ECU80Aは、メインルーチンの実行に戻る。
一方、オリフィス差圧PORが安定しているとき(ステップS1→Yes)、ECU80Aは、式(1)を利用して、オリフィス差圧PORに対応する実燃料供給率ΔQORを算出する。前記したように、第1の実施形態に係る実燃料供給率ΔQORは、各気筒の実燃料噴射率ΔQと同値であることから、ECU80Aは実燃料噴射率ΔQを算出することになる(ステップS2)。
さらに、オリフィス差圧PORが安定して以降の実燃料噴射率ΔQを積分して、積算噴射量SQを算出する(ステップS3)。
そして、ECU80Aは、積算噴射量SQの増加率ΔSQを算出する(ステップS4)。すなわち、ECU80Aは、算出した積算噴射量SQから1サイクル前に算出した積算噴射量SQを減算し、その値を積算噴射量SQの増加率ΔSQとする。
ECU80Aは、積算噴射量SQが一定の増加率ΔSQで一次関数的に増加しているか否かを判定する(ステップS5)。
例えば、ECU80Aは、図5の(b)に示すtにおける積算噴射量SQ(t)から1サイクル前のtにおける積算噴射量SQ(t)を減算して、tからtの間の増加率ΔSQ(t)を算出する。
さらに、ECU80Aは、tから1サイクル前のtにおける積算噴射量SQ(t)からtにおける積算噴射量SQ(t)の増加率ΔSQ(t)を算出する。そして、tからtの間の増加率ΔSQ(t)と、tからtの間の増加率ΔSQ(t)が等しいとき、ECU80Aは、積算噴射量SQが一次関数的に増加していると判定する。
また、ECU80Aは、単位時間ごとに算出する積算噴射量SQの1階微分が正の一定値になり、かつ2階微分が0になることで、積算噴射量SQが一次関数的に増加していると判定してもよい。
そして、積算噴射量SQが一次関数的に増加していない場合(ステップS5→No)、ECU80Aは、噴射時間Tを補正せず補正手順を終了する。
一方、積算噴射量SQが一定の増加率ΔSQで一次関数的に増加している場合(ステップS5→Yes)、ECU80Aは、図5の(b)に破線で示すように、積算噴射量SQを外挿して、t以降に一定の増加率ΔSQで増加した場合の積算噴射量SQの予測値を算出する。さらに、ECU80Aは、算出した積算噴射量SQの予測値が目標噴射量Qに達する予測噴射時間T’を算出する(ステップS6)。
なお、ECU80Aが当初設定した噴射時間Tと予測噴射時間T’の差が請求項に記載の補正量になる。
そして、補正量は、積算噴射量SQの増加率ΔSQに基づいて算出されることから、補正量は、積算噴射量SQの変化率に基づいて算出されることになる。
また、積算噴射量SQが一次関数的に増加を始めた時点で予測噴射時間T’を算出することから、積算噴射量SQが一次関数的に増加を始めたことを、ECU80Aが判定した時点が、請求項に記載の補正判定時期になる。積算噴射量SQは、実燃料噴射率ΔQを積分して得られることから、積算噴射量SQが一次関数的に増加する場合、実燃料噴射率ΔQは一定である。したがって、補正判定時期は、実燃料噴射率ΔQが一定になった時期といえる。
ECU80Aは、当初設定した噴射時間Tと算出した予測噴射時間T’が等しい場合(ステップS7→Yes)、すなわち補正量が0の場合、噴射時間Tを補正することなく処理を終了するが、当初設定した噴射時間Tと予測噴射時間T’が等しくない場合(ステップS7→No)、ECU80Aは、当初設定した噴射時間Tを、算出した予測噴射時間T’に置き換える。すなわち、ECU80Aは、噴射時間Tを補正する(ステップS8)。
そして、ECU80Aは、補正した噴射時間Tに基づいて、噴射終了時期を決定する。
例えば、図5の(a)に示すように、噴射時間Tが延長すると、一点鎖線で示すように、噴射指示信号の出力パターンが補正され、新たな噴射終了時期tを決定できる。そしてECU80Aは、噴射終了時期tで、噴射指示信号をOFFできる。
このように、噴射時間Tを補正することで新たな噴射終了時期tを決定できることから、積算噴射量SQの増加率が、燃料噴射装置1Aに固有の特性曲線Qからずれる場合であっても、目標噴射量Qを確保できる。
したがって、環境や運転状況の変動、インジェクタ5Aの経年変化等によって、インジェクタ5Aの実燃料噴射率ΔQが変化した場合であっても、目標噴射量Qを確保できるという優れた効果を奏する。
また、第1の実施形態によれば、オリフィス75(図1参照)の開口部の径を正確に製作することは容易であり、又オリフィス75の上流側と下流側との間のオリフィス差圧PORは、ベンチュリ形狭隘部の上流側と下流側との間の差圧よりも大きなものとなり、ECU80A(図1参照)は、差圧センサSdPが検出するオリフィス差圧PORに基づいて、式(1)を利用して容易に、且つ正確にオリフィス通過流量QORを算出できる。
そして、ECU80Aは、オリフィス差圧PORから単位時間あたりのオリフィス通過流量QORである実燃料供給率ΔQORを算出することによって、インジェクタ5Aの実燃料噴射率ΔQを正確に算出できる。このことによって、ECU80Aは、インジェクタ5Aの各所寸法に製造公差があったとしてもその製造公差の影響を反映した燃料のオリフィス通過流量QOR、つまり、実燃料噴射率ΔQを正確に算出できる。
そして、ECU80A(図1参照)は、算出された実燃料噴射率ΔQに基づいて、積算噴射量SQと、積算噴射量SQの増加率ΔSQを正確に算出できる。
このように、積算噴射量SQの増加率ΔSQを正確に算出できることから、例えば積算噴射量SQを外挿して、積算噴射量SQの予測値を正確に算出できる。したがって、インジェクタ5Aにおける実燃料噴射率ΔQが変化しても、噴射時間Tを好適に補正して新たな噴射終了時期tを決定することができ、目標噴射量Qを確保できるという優れた効果を奏する。
また、前記したように、コモンレール圧力Pcの変動に伴ってオリフィス上流側圧力が変動しても、ECU80A(図1参照)は、差圧センサSdPによりオリフィス差圧PORが検出でき、さらに、オリフィス通過流量QORを算出できる。
このことからECU80Aは、コモンレール圧力Pcが変動する場合であっても、実燃料噴射率ΔQを正確に算出できる。
したがって、コモンレール圧力Pcが変動する場合であっても、必要に応じて噴射時間Tを好適に補正して新たな噴射終了時期tを決定することができ、目標噴射量Qを確保できるという優れた効果を奏する。
また、インジェクタ5A(図1参照)からの燃料噴射は、PM(粒子状物質)の低減、NOxと燃焼騒音の低減、排ガス昇温や還元剤供給による触媒の活性化等の目的で実際は、「パイロット(Pilot)噴射」、「プレ(Pre)噴射」、「アフタ(After)噴射」、「ポスト(Post)噴射」の多段噴射にすることが普通である。
そして、このような多段噴射においては、各気筒が目標噴射量Qを確保できないと、エンジンの排気ガスの規制値(排ガス規制)をクリアできない場合がある。
第1の実施形態に係るECU80A(図1参照)は、目標噴射量Qを確保できることから、エンジンの排気ガスの規制値を常にクリアできる。
例えば、長時間の使用によってインジェクタ5Aの燃料噴射孔10(図2参照)が狭まるなどして、規定量の実燃料噴射率ΔQが確保できなくなった場合であっても、オリフィス差圧PORに基づいて実燃料噴射率ΔQを正確に算出することができるので、ECU80Aは、補正手順の実行で噴射指示信号の噴射時間Tの幅を調整することにより、目標噴射量Qを確保できる。
換言すると、エンジンシステムの個々の部品への寸法公差等のハード仕様に対する要求を緩和しても目標噴射量Qを確保できることから、排ガス規制をクリアし易くなる。特に、インジェクタに対するハード仕様を緩和することができる。ひいては、エンジンシステムの製造コスト低減にも寄与する。
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態について図7を参照しながら詳細に説明する。
図7は、第2の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。
第2の実施形態の燃料噴射装置1Bが、図1に示す燃料噴射装置1Aと異なる点は、(1)エンジンの各気筒に配されたインジェクタ5Aに燃料を供給する高圧燃料供給通路21に設けられたオリフィス75の上下流差圧を検出する差圧センサSdPの代わりに、オリフィス75の下流側の圧力を検出する圧力センサ(燃料供給通路圧力センサ)SPsを設けた点と、(2)ECU80Aの代わりにECU(制御部)80Bとなった点と、(3)ECU80Bにおいて燃料のオリフィス通過流量QORを算出するオリフィス差圧PORの定義を変えた点である。
第1の実施形態に係る燃料噴射装置1Aと同じ構成については同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
図7に示すように4つの圧力センサSPsが検出した圧力信号は、ECU80Bに入力される。
そして、第2の実施形態におけるECU80Bの機能は、基本的に第1の実施形態におけるECU80A(図1参照)と同じであるが、燃料のオリフィス通過流量QORをECU80Bで算出するときに用いる信号が第1の実施形態の場合と異なる。
第1の実施形態では、前記した式(1)を利用し、オリフィス差圧PORに基づいてオリフィス通過流量QORを算出したが、第2の実施形態では、式(1)におけるオリフィス差圧PORを、圧力センサSPcが検出するコモンレール圧力Pcと、圧力センサSPsが検出するオリフィス75の下流側圧力Psとの差圧(Pc−Ps)に置き換える。
各高圧燃料供給通路21のオリフィス75上流側の圧力は、コモンレール圧力Pcと略一致することは明らかであり、第2の実施形態においては、第1の実施形態と同様に、ECU80Bは、式(1)においてオリフィス差圧PORを差圧(Pc−Ps)に置き換えて容易に精度の高い実燃料噴射率ΔQを、気筒ごとに算出できる。そして、第2の実施形態に係るECU80Bは、第1の実施形態に係るECU80Aと同様に、図6に示す補正手順を実行することで、算出された実燃料噴射率ΔQに基づいて、積算噴射量SQと、積算噴射量SQの増加率ΔSQを正確に算出できる。
そしてECU80Bは、算出した増加率ΔSQに基づいて、第1の実施形態と同様に、正確に積算噴射量SQの予測値を算出できることから、積算噴射量SQが、燃料噴射装置1Bに固有の特性曲線Qから外れて増加する場合であっても、ECU80Bは、噴射時間Tを好適に補正して新たな噴射終了時期tを決定することができ、目標噴射量Qを確保できる(適宜図5の(a)、(b)参照)。
《第3の実施形態》
次に、本発明の第3の実施形態に係る燃料噴射装置について図8を参照しながら詳細に説明する。
図8は、第3の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。
第3の実施形態の燃料噴射装置1Cが、図7に示す燃料噴射装置1Bと異なる点は、(1)コモンレール圧力Pcを検出する圧力センサSPcを削除した点と、(2)ECU80Bの代わりにECU(制御部)80Cとなった点と、(3)オリフィス通過流量QORを算出するのに圧力センサSPcの代わりに圧力センサSPsを用いる点と、(4)ECU80Cにおいて燃料のオリフィス通過流量QORを算出する方法を変えた点である。
第2の実施形態に係る燃料噴射装置1Bと同じ構成については同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
図8に示すように4つの圧力センサSPsが検出した圧力信号は、ECU80Cに入力される。
そして、ECU80Cは、圧力センサSPsから入力された圧力信号の高周波成分(高周波ノイズ)をカットするフィルタ処理を行う。
ここでオリフィス75の下流側の圧力Psをフィルタ処理したものを圧力Psfilと称することにする。
第3の実施形態に係るECU80Cは、オリフィス75の下流側の圧力センサSPsが検出してフィルタ処理した圧力Psfilを利用して、燃料の単位時間あたりのオリフィス通過流量QORである実燃料供給率ΔQORを算出する。そして、実燃料供給率ΔQORを、単位時間あたりのインジェクタ5Aからの燃料噴射量である実燃料噴射率ΔQとする。
そして、実燃料噴射率ΔQを積算(積分)して、積算噴射量SQを算出する。
図9は、第3の実施形態で積算噴射量を算出する手順を示すフローチャートである。
なお、図9に示す手順は、ECU80Cが図6に示す補正手順を実行するときに、ステップS1〜S3の代わりに実行して、積算噴射量SQを算出する構成とすればよい。
以下に、主に図9を参照して、第3の実施形態に係るECU80Cが積算噴射量SQを算出する手順を説明する(適宜図8参照)。
ECU80Cは、噴射指示信号をONして最初の実行のとき(ステップS11→Yes)、噴射指示信号の立ち上がりを検出したか否かをチェックし(ステップS12)、検出した場合(ステップS12→Yes)は、制御をステップS13に進め、検出しない場合(ステップS12→No)は、制御をステップS12に戻す。
なお、噴射指示信号の立ち上がりの検出は、例えば、噴射指示信号を時間微分することにより容易に検出できる。
そして、ECU80Cは、Qsum=0.0と初期値をリセットする(ステップS13)。ここで、Qsumは一つの燃料の噴射指示信号に対して時間積分して算出されたオリフィス通過流量QORに対応する。
一方、ステップS11において、噴射指示信号をONして最初の実行ではないとき(ステップS11→No)、ECU80Cは、制御をステップS14に進める。
ECU80Cは、圧力センサSPsで検出されたフィルタ処理された後のオリフィス75の下流側圧力Psfilが所定値Pより低下したか否かを判定し〔(Psfil<P)?〕、下流側圧力Psfilが所定値Pより低下した場合(ステップS14→Yes)は、制御をステップS15に進め、そうでない場合は(ステップS14→No)、処理を終了する。すなわち、ECU80Cは、図6に示す補正手順のステップS4以降を実行する。
なお、この場合、図6に示す補正手順のステップS5で、積算噴射量SQが一次関数的に増加していないことから、補正手順が終了することになる。
ここで、所定値Pは、圧力センサSPsで検出された圧力信号から高周波ノイズ、例えば、高圧ポンプ3Bの充填動作による圧力脈動や、他の気筒のインジェクタ5Aが噴射動作をして、圧力振動を伝播させたことによる圧力脈動や、自気筒のインジェクタ5Aが噴射動作をした後の反射波による圧力脈動等をフィルタ処理して取り除き、その後に残った圧力変動における振動の下限の値を所定値Pと設定する。この値は、実験等により求めることができる。
そして、ECU80Cは、所定値Pから圧力Psfilへの圧力低下量(P−Psfil)を算出し、式(1)のオリフィス差圧PORの代わりに、算出した圧力低下量(P−Psfil)を代入してオリフィス通過流量QORを算出する。
なお、この手順は、図6に示す補正手順に組み込まれて、ECU80Cが実行することから、前記した単位時間間隔で実行されるものであり、算出されるオリフィス通過流量QORは、単位時間当たりのオリフィス通過流量QOR、すなわち実燃料供給率ΔQORになる。
さらに、第3の実施形態に係るインジェクタ5Aは、直動式であるので、実燃料供給率ΔQORは、実燃料噴射率ΔQに等しい。
したがってECU80Cは、実燃料噴射率ΔQを算出することになる(ステップS15)。
さらに、ECU80Cは、Qsum=Qsum+ΔQ×Δtを算出し(ステップS16)、算出したQsumを積算噴射量SQとする(ステップS17)。すなわち、ECU80Cは、積算噴射量SQを算出する。
なお、ステップS16におけるΔtは、単位時間とする。
そして、ECU80Cは、算出した積算噴射量SQに基づいて、図6に示す補正手順のステップS4以降を実行する。
第3の実施形態によれば、コモンレール圧力Pcを検出する圧力センサSPcを削除して、オリフィス75の下流側の圧力Psを検出する圧力センサSPsの検出値を利用して、実燃料噴射率ΔQを算出することができ、コストが低減できる。
また、オリフィス75の下流側の圧力を検出する圧力センサSPsからの圧力信号のみで、オリフィス差圧PORを所定値Pと圧力Psfilの圧力差(P−Psfil)に置き換えた式(1)に基づいて容易に精度の高い燃料の実燃料噴射率ΔQを、気筒ごとに算出できる。そして、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様に、算出された実燃料噴射率ΔQに基づいて、積算噴射量SQと、積算噴射量SQの増加率ΔSQを正確に算出できる。
したがって、算出した増加率ΔSQに基づいて、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様に、正確に積算噴射量SQの予測値を算出できることから、積算噴射量SQが、燃料噴射装置1Cに固有の特性曲線Qから外れて増加する場合であっても、噴射時間Tを好適に補正して新たな噴射終了時期tを決定することができ、目標噴射量Qを確保できるという優れた効果を奏する(図5の(a)、(b)参照)。
《第4の実施形態》
以下に、本発明の第4の実施形態に係る燃料噴射装置について図10、図11を参照しながら詳細に説明する。
図10は、第4の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図であり、図11は、第4の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置に用いられる背圧式の燃料噴射弁(インジェクタ)の概念構成図である。
第4の実施形態における燃料噴射装置1Dは、第1の実施形態と以下の点で異なる。
(1)背圧式の燃料噴射弁であるアクチュエータ6Bを有するインジェクタ5Bが用いられている。(2)それに伴い、各気筒に設けられたインジェクタ5Bには、ドレーン通路9が接続され、それらは戻り燃料配管73に更に接続して、逆止弁74とオリフィス76を並列に接続した流量調整器を介して低圧ポンプ3Aの吐出側の低圧燃料供給配管61に接続している。(3)第4の実施形態の燃料噴射装置1Dは、ECU(制御部)80Dにより電子制御される。
第1の実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
次に、第4の実施形態のインジェクタ5Bの構造を図10及び図11を参照しながら説明する。このインジェクタ5Bは、周知のものであり、エンジンの各気筒に取り付けられている。以下にインジェクタ5Bの概要を説明する。
図11に示すように、インジェクタ5Bは、先端部に1個または2個以上の燃料噴射孔10を形成したインジェクタ本体13と、このインジェクタ本体13内に摺動自在に支持されたノズルニードル14と、このノズルニードル14の上端側にプレッシャピン15を介して連結されてノズルニードル14と一体的に往復変位するピストン16を含んで構成されている。
インジェクタ本体13は、ノズルボディ17及びノズルホルダ19等より構成されている。ノズルボディ17の内部には、ノズルニードル14の周囲に常に高圧燃料を充満させるための油溜り20が形成されている。この油溜り20は、ノズルホルダ19内に形成される燃料通路25及び高圧燃料供給通路21を介してコモンレール4に常に連通している。ノズルボディ17はノズルホルダ19にリテーニングナット22により締め付け固定されている。
ノズルホルダ19は、ピストン16を摺動自在に支持する長孔23を中心部の長手方向に形成したシリンダを構成する。そして、長孔23の上端部には、第1絞り形成部材11の下端面との間に、ノズルホルダ19の上端面で開口する背圧室7が形成されている。そして、ノズルホルダ19内で高圧燃料供給通路21から分岐した燃料通路25は、第1絞り形成部材11に形成された連通路26を介して背圧室7に連通している。
ノズルニードル14は、二方電磁弁で構成されたアクチュエータ6Bの中心軸と同一軸心上に配設されて、ノズルボディ17の内周に摺動自在に支持されている。ノズル開弁時には、ノズルニードル14がリフトアップしてノズルニードル14の先端部とノズルボディ17との間に燃料通路が形成されて油溜り20と燃料噴射孔10とが連通してエンジンへの燃料噴射がなされる。また、ノズル閉弁時には、ノズルニードル14の先端部がノズルボディ17のシート面17aに着座して高圧燃料の噴射を終了する。
プレッシャピン15の大径部とノズルホルダ19との間には、ノズルニードル14を閉弁方向に付勢するコイルスプリング27が装着されている。ピストン16は、アクチュエータ6Bの中心軸と同一軸心上に配設されて、ノズルホルダ19の長孔23の内周面に摺動自在に支持されている。
アクチュエータ6Bは、図11に示すように、バルブボディ32よりも上側に配設された鉄心33と、この鉄心33の収納部に巻装された電磁コイル34と、バルブボディ32内を摺動自在に変位するバルブ35と、このバルブ35の最大リフト量を規制するストッパ36と、バルブ35を閉弁方向に付勢するコイルスプリング37とから構成されている。バルブボディ32、鉄心33、電磁コイル34、バルブ35、ストッパ36は、インジェクタ5Bのノズルホルダ19の上端部にバルブボディ32の下端部を液密的に当接した状態で図示省略のリテーニングナットによりノズルホルダ19の上端面に締め付け固定される。
バルブボディ32は、背圧室7と連通するように開口した凹所39内に第1、第2絞り形成部材11、12が液密的に嵌め込まれている。そして、バルブボディ32内には、凹所39よりも内径の大きい燃料室40が形成されている。この燃料室40は、バルブボディ32等に設けられたドレーン通路9を介して燃料タンク2に連通する戻り燃料配管73に接続している。
鉄心33は、電磁コイル34への通電時に磁化する。バルブ35は、先端側にプレート形状のシール部42を有し、上端側に棒状部43を有している。そして、バルブ35は磁化した鉄心33に吸引されてリフトアップし、バルブ35の棒状部43がストッパ36の先端面に着座する。電磁コイル34への通電が停止されると、バルブ35を吸引する磁力が消失し、コイルスプリング37の下方への付勢力によって、バルブ35のシール部42が第2絞り形成部材12の上端面に着座する。
第1、第2絞り形成部材11、12は、例えば、SCM420等の合金鋼や炭素鋼よりなり、アクチュエータ6Bのバルブ35の中心軸と同一の軸心を中心にした円環板形状に形成されている。そして、第1絞り形成部材11及び第2絞り形成部材12には、オリフィス51、52が燃料通路25及び連通路26の内径よりも小さい内径となるように形成されている。オリフィス51は、第1絞り形成部材11の中心軸より若干連通路26側に中心軸がずれて配置され、オリフィス52は第2絞り形成部材12の中心軸と同一軸心上に形成されている。そして、オリフィス51は、背圧室7とオリフィス52とを連通する第1の通路の通路断面積を絞る。また、オリフィス52は、オリフィス51とドレーン通路9とを連通する第2通路の通路断面積を絞る。そして、オリフィス52は、オリフィス51の内径よりも1.4倍〜1.6倍程度大きい内径を有したバルブシート部材である。
なお、オリフィス51、52の図示下端側は、背圧室7側の内径が大きくなるように形成されている。そして、オリフィス51の出口はオリフィス52の入口のテーパ状通路壁面に対向するように配設されている。
次に、図12を参照しながら適宜図10、図11を参照してECU80Dにおける燃料の各気筒への燃料噴射量Qの演算方法について説明する。
図12は、1つの気筒に対する噴射指示信号と高圧燃料供給通路における燃料挙動の時間推移を示す図であり、(a)は噴射指示信号の出力パターンを示す図、(b)はインジェクタからの燃料噴射量の時間推移を示す図、(c)は燃料のオリフィス通過流量の時間推移を示す図、(d)はオリフィスの上下流側の圧力変化の時間推移を示す図である。
図12の(a)では、燃料の噴射指示信号は一つの広幅のパルスで概念的に表してあり、噴射指示信号の立ち上がり開始時期がtであり、噴射指示信号の立下り開始時期がtであり、噴射指示信号の立下り完了時期がt’である。
これに対応して、背圧式の燃料噴射弁であるインジェクタ5Bにおけるバルブ35(図11参照)のリフトアップにより燃料通路25、連通路26、背圧室7、オリフィス51、52、燃料室40及びドレーン通路9等を経て低圧燃料供給配管61に戻るバックフローが、図12の(b)に曲線bで示すようにtSAで開始する。このバックフローの開始は、前記した噴射指示信号の立ち上がりtより少し遅れて生じる。
このバックフローの発生により背圧室7が油溜り20の圧力よりも低圧となり、ピストン16が上方に引き上げられ、図12の(b)に曲線aで示すように燃料の実噴射がtSBに開始される。
そして、噴射指示信号の立下り時期tにおいて、電磁コイル34(図11参照)への通電が停止されてコイルスプリング37がバルブ35を下方に押し下げ、バックフローの流路を閉じて、図12の(b)に曲線bで示すように、tEAでバックフローが終了する。その結果、背圧室7の圧力が油溜り20の圧力と均衡し、コイルスプリング27の付勢力によりピストン16とともにノズルニードル14が下方に移動してシート面17aに着座し、図12の(b)に曲線aで示すようにtEBで燃料の実噴射が終了する。
燃料がオリフィス75を通過する量(オリフィス通過流量QOR)は、図12の(c)に示すように、燃料通路25や高圧燃料供給通路21の容積分だけバックフロー開始のtSAより遅れてtS2から立ち上がる。そして、同様に燃料通路25や高圧燃料供給通路21の容積分だけ燃料噴射完了のtEBより遅れてtE2にオリフィス通過流量が0に戻る。
図12の(c)に対応するオリフィス75の上下流側における圧力は、図12の(d)に示すように、コモンレール圧力Pcの変動によってオリフィス上流側圧力が変動していても、差圧センサSdPによりオリフィス差圧PORが検出できるので、オリフィス通過流量QORが算出できる。そして、図12の(c)に示すオリフィス通過流量QORのドットで示した領域の面積は、背圧式のインジェクタ5Bの場合、図12の(b)に示すバックフローと燃料噴射量Qの両方を合計した面積と同じになる。
オリフィス差圧PORから燃料のオリフィス通過流量QORは前記した第1の実施形態と同様に式(1)により容易に算出できる。
そして、ECU80Dには、予め、燃料の噴射指示信号の出力パターンに応じて、算出されたオリフィス通過流量QORのうち、実際にインジェクタ5Bから噴射される燃料の量である燃料噴射量Qの割合を示す係数値である実噴射量換算係数γを、例えば、信号パラメータの相関式の形で、ECU80Dの図示しない記憶部に格納している。
燃料の噴射指示信号の出力パターンに応じた実噴射量換算係数γは、例えば、次式(2)に示す相関式のように信号波形面積Aを前記した信号パラメータとし、所定間隔以上時間的に離れた独立の噴射指示信号の場合は、噴射時間Tの幅を反映した独立噴射指示信号の1つの信号波形面積で、又、所定間隔内の時間的に近接した複数の噴射指示信号の場合は、その複数の噴射指示信号の合計信号波形面積に応じて次式(2)のように設定する。
Figure 2010084613
ここで、Mは独立信号波形か、近接した複数の信号波形かを示すパラメータである。
そして、ECU80Dが図12の(a)に示すように噴射指示信号を出力するとき、その出力パターンに応じて、独立信号波形か、近接した複数の信号波形かを判定し、更に信号波形面積Aを演算して、式(2)により実噴射量換算係数γを設定する。
なお、インジェクタ5Bの開閉の応答速度が速い場合、前記した独立信号波形か、近接した複数の信号波形かの区別は不要である。
その後、算出されたオリフィス通過流量QORに実噴射量換算係数γを乗じることにより、燃料噴射量Qが算出される。
なお、オリフィス通過流量QORを所定の単位時間間隔で算出して実噴射量換算係数γを乗じることで、単位時間あたりにインジェクタ5Bから噴射される燃料の量である実燃料噴射率ΔQを算出できる。
したがって、ECU80Dは、第1の実施形態と同様に、図6に示す補正手順を実行することができ、算出された実燃料噴射率ΔQに基づいて、積算噴射量SQと、積算噴射量SQの増加率ΔSQを正確に算出できる。
そして、第1の実施形態と同様に、算出した増加率ΔSQに基づいて正確に積算噴射量SQの予測値を算出できることから、インジェクタ5Bにおける単位時間あたりの実燃料噴射率ΔQが変化した場合であっても、ECU80Dは、噴射時間Tを好適に補正して新たな噴射終了時期tを決定できる。そして、ECU80Dは、決定した噴射終了時期tに噴射指示信号をOFFすることで、目標噴射量Qを確保できる(適宜図5の(a)、(b)参照)。
また、第4の実施形態によれば、オリフィス75(図10参照)の開口部の径を正確に製作することは容易であり、又オリフィス75の上流側と下流側との間のオリフィス差圧PORは、ベンチュリ形狭隘部の上流側と下流側との間の差圧よりも大きなものとなり、ECU80D(図10参照)は、差圧センサSdPが検出するオリフィス差圧PORに基づいて、式(1)を利用し、容易に、かつ正確にオリフィス通過流量QORを算出できる。
そして、ECU80Dは、オリフィス差圧PORから単位時間あたりのオリフィス通過流量QORである実燃料供給率ΔQORを算出することによって、インジェクタ5Bの実燃料噴射率ΔQを正確に算出できる。このことによって、インジェクタ5Bの製造公差により、同一波形の噴射指示信号に対して、単位時間あたりのバックフローと実燃料供給率ΔQORの合計値である実燃料噴射率ΔQ(単位時間あたりのオリフィス通過流量QOR)のばらつきがインジェクタ5B間で存在しても、ECU80Dは、その製造公差の影響を反映した実燃料供給率ΔQORを算出でき、それに応じた実燃料噴射率ΔQを算出できるので、積算噴射量SQと、積算噴射量SQの増加率ΔSQを正確に算出でき、ひいては、積算噴射量SQが、燃料噴射装置1Dに固有の特性曲線Qから外れて増加する場合であっても、噴射時間Tを補正することで新たな噴射終了時期tを決定できる。したがって、目標噴射量Qを確保できるという優れた効果を奏する(適宜図5の(a)、(b)参照)。
また、第1の実施形態と同様に、コモンレール圧力Pcの変動に伴ってオリフィス上流側圧力が変動しても、ECU80D(図10参照)は、差圧センサSdPによりオリフィス差圧PORが検出でき、さらに、オリフィス通過流量QORを算出できる。
このことからECU80Dは、コモンレール圧力Pcが変動する場合であっても、実燃料噴射率ΔQを正確に算出できる。
したがって、コモンレール圧力Pcが変動する場合であっても、噴射時間Tを補正することで新たな噴射終了時期tを決定でき、目標噴射量Qを確保できるという優れた効果を奏する(適宜図5の(a)、(b)参照)。
また、インジェクタ5Bからの燃料噴射は、PM(粒子状物質)の低減、NOxと燃焼騒音の低減、排ガス昇温や還元剤供給による触媒の活性化等の目的で実際は、「パイロット(Pilot)噴射」、「プレ(Pre)噴射」、「アフタ(After)噴射」、「ポスト(Post)噴射」の多段噴射にすることが普通である。
そして、このような多段噴射においては、各気筒が目標噴射量Qを確保できないと、エンジンの排気ガスの規制値をクリアできない場合がある。
例えば、長時間の使用によってインジェクタ5Bの燃料噴射孔10(図11参照)が狭まるなどして、規定量の実燃料噴射率ΔQが確保できなくなった場合であっても、オリフィス差圧PORに基づいて実燃料噴射率ΔQを正確に算出することができるので、ECU80Dは、補正手順の実行で噴射指示信号の噴射時間Tの幅を調整することにより、目標噴射量Qを確保できる。
その結果、エンジンシステムの個々の部品への寸法公差等のハード仕様に対する要求を緩和しても排ガス規制をクリアし易くなる。特に、インジェクタに対するハード仕様を緩和することができる。ひいては、エンジンシステムの製造コスト低減にも寄与する。
なお、第4の実施形態においては、オリフィス通過流量QORから実燃料噴射率ΔQを算出するときに用いる実噴射量換算係数γを可変としたが、近似的に固定値としてもよい。
《第5の実施形態》
次に、本発明の第5の実施形態に係る燃料噴射装置について図13を参照しながら詳細に説明する。
図13は、第5の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。
第5の実施形態の燃料噴射装置1Eが図10に示す燃料噴射装置1Dと異なる点は、(1)エンジンの各気筒に配されたインジェクタ5Bに燃料を供給する高圧燃料供給通路21に設けられたオリフィス75の上下流差圧を検出する差圧センサSdPの代わりに、オリフィス75の下流側の圧力を検出する圧力センサSPsを設けた点と、(2)ECU80Dの代わりにECU(制御部)80Eとなった点と、(3)ECU80Eにおいて燃料のオリフィス通過流量QORを算出するオリフィス差圧PORの定義を変えた点である。
言い換えると、第5の実施形態は、第2の実施形態において直動式の燃料噴射弁であるインジェクタ5A(図7参照)を背圧式の燃料噴射弁であるインジェクタ5Bに変え、インジェクタ5Bに適合するように第2の実施形態を変形したものである。
第4の実施形態に係る燃料噴射装置1Dと同じ構成については同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
図13に示すように4つの圧力センサSPsが検出した圧力信号は、ECU80Eに入力される。
そして、第5の実施形態におけるECU80Eの機能は、基本的に第4の実施形態におけるECU80Dと同じであるが、燃料のオリフィス通過流量QORをECU80Eで算出するときに用いる信号が第4の実施形態の場合と異なる。
第4の実施形態では、前記した式(1)によりオリフィス通過流量QORを算出したが、第5の実施形態では、式(1)におけるオリフィス差圧PORを、圧力センサSPcが検出するコモンレール圧力Pcと、圧力センサSPsが検出するオリフィス75の下流側圧力Psとの差圧(Pc−Ps)に置き換える。
各高圧燃料供給通路21のオリフィス75上流側の圧力は、コモンレール圧力Pcと略一致することは明らかであり、第5の実施形態においては、第4の実施形態と同様に、ECU80Eは、式(1)においてオリフィス差圧PORを差圧(Pc−Ps)に置き換えて容易に精度の高い実燃料供給率ΔQORを、気筒ごとに算出できる。更にECU80Eは、実噴射量換算係数γを噴射指示信号の出力パターンに応じて算出して実燃料供給率ΔQORに乗じることで、気筒ごとの実燃料噴射率ΔQを算出できる。そして、第5の実施形態に係るECU80Eは、第4の実施形態におけるECU80Dと同様に、図6に示す補正手順を実行することで、算出された実燃料噴射率ΔQに基づいて、積算噴射量SQと、積算噴射量SQの増加率ΔSQを正確に算出できる。
なお、実噴射量換算係数γは、第4の実施形態と同様に、例えば、信号パラメータの相関式の形で、ECU80Eの図示しない記憶部に格納しておけばよい。
したがって、算出した増加率ΔSQに基づいて、第1の実施形態と同様に、正確に積算噴射量SQの予測値を算出できることから、積算噴射量SQが、燃料噴射装置1Eに固有の特性曲線Qから外れて増加する場合であっても、噴射時間Tを補正することで新たな噴射終了時期tを決定でき、目標噴射量Qを確保できる(適宜図5の(a)、(b)参照)。
そして、第4の実施形態と同様にエンジンシステムの個々の部品への寸法公差等のハード仕様に対する要求を緩和しても排ガス規制をクリアし易くなる。特に、インジェクタに対するハード仕様を緩和することができる。ひいては、エンジンシステムの製造コスト低減にも寄与する。
《第6の実施形態》
次に、本発明の第6の実施形態に係る燃料噴射装置について図14を参照しながら詳細に説明する。
図14は、第6の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。
第6の実施形態の燃料噴射装置1Fが図13に示す燃料噴射装置1Eと異なる点は、(1)コモンレール圧力Pcを検出する圧力センサSPcを削除した点と、(2)ECU80Eの代わりにECU(制御部)80Fとなった点と、(3)コモンレール圧力Pcを制御するのに圧力センサSPcの代わりに圧力センサSPsを用いる点と、(4)ECU80Fにおいて燃料のオリフィス通過流量QORを算出する方法を変えた点である。
言い換えると、第6の実施形態は、第3の実施形態において直動式の燃料噴射弁であるインジェクタ5A(図8参照)を背圧式の燃料噴射弁であるインジェクタ5Bに変え、インジェクタ5Bに適合するように第3の実施形態を変形したものである。
第5の実施形態に係る燃料噴射装置1Eと同じ構成については同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
図14に示すように4つの圧力センサSPsが検出した圧力信号は、ECU80Fに入力される。
そして、ECU80Fは、圧力センサSPsから入力された圧力信号に含まれる高周波のノイズをカットするフィルタ処理を行う。
ここでオリフィス75の下流側の圧力Psをフィルタ処理したものを圧力Psfilと称することにする。
第6の実施形態に係るECU80Fは、オリフィス75の下流側の圧力センサSPsが検出してフィルタ処理した圧力Psfilを利用して、燃料の単位時間あたりのオリフィス通過流量QORである実燃料噴射率ΔQを算出する。
そして、実燃料噴射率ΔQを積算(積分)して、積算噴射量SQを算出する。
次に、図15を参照しながら第6の実施形態におけるオリフィス75の下流側の圧力センサSPsからの信号のみによって、単位時間における燃料のオリフィス通過流量QORである実燃料供給率ΔQORを算出し、更に実燃料供給率ΔQORに基づいて、実燃料噴射率ΔQを算出する方法を説明する。
図15は、第6の実施形態で積算噴射量を算出する手順を示すフローチャートである。
なお、図15に示す手順は、ECU80Fが図6に示す補正手順を実行するときに、ステップS1〜S3の代わりに実行して、積算噴射量SQを算出する構成とすればよい。
以下に、主に図15を参照して、ECU80Fが積算噴射量SQを算出する手順を説明する(適宜図14参照)。
図15に示すフローチャートにおけるステップS21〜ステップS25の処理は、図9に示したフローチャートにおけるステップS11〜ステップS15の手順と同じである。ただし、図9のフローチャートの説明文中の「ECU80C」は「ECU80F」に、「インジェクタ5A」は「インジェクタ5B」に、それぞれ読み換える。
ECU80Fは、ステップS25まで実行した後、予め設定した噴射指示信号に基づいて図示しない記憶部を参照し、実噴射量換算係数γを取得する(ステップS26)。
なお、実噴射量換算係数γは、第4の実施形態と同様に、例えば、信号パラメータの相関式の形で、ECU80Fの図示しない記憶部に格納しておけばよい。
さらに、ECU80Fは、Qsum=Qsum+(ΔQ×Δt)×γを算出し(ステップS27)、算出したQsumを積算噴射量SQとする(ステップS28)。すなわち、ECU80Fは、積算噴射量SQを算出する。
なお、ステップS27におけるΔtは、単位時間とする。
そして、ECU80Fは、算出した積算噴射量SQに基づいて、図6に示す補正手順のステップS4以降を実行する。
第6の実施形態によれば、コモンレール圧力Pcを検出する圧力センサSPcを削除して、オリフィス75の下流側の圧力Psを検出する圧力センサSPsの検出値を利用して、実燃料噴射率ΔQを算出することができ、コストが低減できる。
また、オリフィス75の下流側の圧力を検出する圧力センサSPsからの圧力信号のみで、オリフィス差圧PORを所定値Pと圧力Psfilの圧力差(P−Psfil)に置き換えた式(1)に基づいて容易に精度の高い燃料の実燃料噴射率ΔQを、気筒ごとに算出できる。そして、第4の実施形態、及び第5の実施形態と同様に、算出された実燃料噴射率ΔQに基づいて、積算噴射量SQと、積算噴射量SQの増加率ΔSQを正確に算出できる。
したがって、算出した増加率ΔSQに基づいて、第1の実施形態〜第5の実施形態と同様に、正確に積算噴射量SQの予測値を算出できることから、積算噴射量SQが、燃料噴射装置1Fに固有の特性曲線Qから外れて増加する場合であっても、噴射時間Tを補正することで新たな噴射終了時期tを決定でき、目標噴射量Qを確保できるという優れた効果を奏する(適宜図5の(a)、(b)参照)。
そして、エンジンシステムの個々の部品への寸法公差等のハード仕様に対する要求を緩和しても排ガス規制をクリアし易くなる。特に、インジェクタに対するハード仕様を緩和することができる。ひいては、エンジンシステムの製造コスト低減にも寄与する。
このように、第4の実施形態から第6の実施形態においては、図11に示すような背圧式の燃料噴射弁であるインジェクタ5Bとし、そのアクチュエータ6Bは電磁コイル34によりバルブ35を駆動して背圧室7の圧力を制御するタイプであるが、それに限定されるものではない。例えば、ピエゾ素子のスタックを用いて三方弁構造の制御弁を動作させて、ノズルニードル14の上方に配置した背圧室7の圧力を制御して燃料噴射、噴射停止をさせる構成のインジェクタでもよい。
以上のように、図1に示す燃料噴射装置1Aに備わる、直動式のインジェクタ5Aに高圧燃料を供給する高圧燃料供給通路21のコモンレール4寄りに、オリフィス75を備える構成の場合、オリフィス75の上流側と下流側の差圧(オリフィス差圧POR)に基づいて、単位時間あたりにオリフィス75を通過する燃料の流量(実燃料供給率ΔQOR)を容易に算出できる。
そして、仮にコモンレール圧力Pcが変動しても、オリフィス差圧PORに基づいて算出される実燃料供給率ΔQORへの影響が小さく、正確に実燃料供給率ΔQORを算出できる。
直動式のインジェクタ5Aの場合、実燃料供給率ΔQORは、単位時間あたりの燃料噴射量(実燃料噴射率ΔQ)と等しいことから、オリフィス差圧PORを検出することによって、正確な実燃料噴射率ΔQを算出できることになる。そして、実燃料噴射率ΔQを積算(積分)することで、インジェクタ5Aから噴射する燃料の総量に相当する積算噴射量SQを算出できる。
したがって、オリフィス75のオリフィス差圧PORを検出することで、インジェクタ5Aから噴射する積算噴射量SQを正確に算出できることになる。
さらに、ECU80Aは、積算噴射量SQの増加率ΔSQを利用して、噴射時間を好適に補正することができる。
したがって、例えば、環境や運転状況の変動、インジェクタ5Aの経年変化等によって、インジェクタ5Aにおける実燃料噴射率ΔQが変化した場合であっても、ECU80Aは、実燃料噴射率ΔQの変化を吸収するように噴射終了時期を決定できる。そして、決定した噴射終了時期に基づいて噴射指示信号の出力パターンを補正できる。
このことによって、ECU80Aは、インジェクタ5Aにおける実燃料噴射率ΔQが変化した場合であっても、積算噴射量SQ(燃料噴射量Q)の過不足の発生を抑制できる。したがって、PM(粒子状物質)が増大したり、NOxや燃焼騒音が増大したりすることを好適に抑制できるという優れた効果を奏する。
また、例えば、製造公差によって、インジェクタ5Aの実燃料噴射率ΔQにばらつきがある場合であっても、ECU80Aは、インジェクタ5Aごとに噴射時間Tを補正できることから、インジェクタ5Aごとに実燃料噴射率ΔQのばらつきを吸収し、安定して目標噴射量Qtを噴射できる燃料噴射装置1Aを得ることができる。
また、インジェクタ5Aにおける燃料噴射量Qと噴射時間Tの関係を示す「T−Q特性データ」を有する構成の場合、ECU80Aは、補正手順で補正した噴射時間Tに基づいて、T−Q特性データを更新する構成としてもよい。
例えば、ECU80Aは、定期的に補正手順を実行し、そのときの噴射時間Tを補正に基づいて、T−Q特性データを更新する構成とすれば、長時間の使用によってインジェクタ5Aの燃料噴射孔10が狭まるなどして、規定量の実燃料噴射率ΔQが確保できなくなった場合に対応したT−Q特性データを得ることができる。
そして、ECU80Aは、更新されたT−Q特性データに基づいて、好適な噴射時間Tを算出できる。ひいては、常に安定して目標噴射量Qtを噴射できる燃料噴射装置1Aを得ることができる。
また、図10に示す燃料噴射装置1Dに備わる、背圧式のインジェクタ5Bに高圧燃料を供給する高圧燃料供給通路21のコモンレール4寄りにオリフィス75を備える構成であっても、単位時間あたりにオリフィス75を通過する実燃料供給率ΔQORに基づいて、インジェクタ5Bが単位時間あたりに噴射する実燃料噴射率ΔQを算出できることから、直動式のインジェクタ5A(図1参照)を備える場合と同じ効果を奏する。
以上のように、本発明は、インジェクタの形式にかかわらず、燃料噴射量に過不足が発生することを好適に抑制することができ、PM(粒子状物質)が増大したり、NOxや燃焼騒音が増大したりすることを好適に抑制できるという優れた効果を奏する。
なお、第1の実施形態から第6の実施形態において、インジェクタ5A,5Bは、直接各気筒の燃焼室内に燃料噴射を行うものとして説明したが、それに限定されるものではない。本発明は、インジェクタ5A,5Bが、各気筒の燃焼室に隣接して形成される副室(予混合空間)に向けて燃料噴射を行う構成や、各気筒の吸気ポートに向けて燃料噴射を行う構成も含む。また、そのような構成においても、第1の実施形態から第6の実施形態における作用効果は同様に得られる。
第1の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。 第1の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置に用いられる直動式の燃料噴射弁(インジェクタ)の概念構成図である。 1つの気筒に対する噴射指示信号の出力パターンと高圧燃料供給通路における燃料挙動の時間推移を示す図であり、(a)は噴射指示信号の出力パターンを示す図、(b)はインジェクタからの燃料噴射量の時間推移を示す図、(c)は燃料のオリフィス通過流量の時間推移を示す図、(d)はオリフィスの上下流側の圧力変化の時間推移を示す図である。 (a)は、噴射指示信号の出力パターンを示す図、(b)は、インジェクタからの燃料噴射量の推移を噴射指示信号に同期して示した図である。 (a)は、噴射指示信号の出力パターンを示す図、(b)は、積算噴射量(燃料噴射量)の予測を示す図である。 ECUが噴射時間を補正する手順を示すフローチャートである。 第2の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。 第3の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。 第3の実施形態で積算噴射量を算出する手順を示すフローチャートである。 第4の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。 第4の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置に用いられる背圧式の燃料噴射弁(インジェクタ)の概念構成図である。 1つの気筒に対する噴射指示信号と高圧燃料供給通路における燃料挙動の時間推移を示す図であり、(a)は噴射指示信号の出力パターンを示す図、(b)はインジェクタからの燃料噴射量の時間推移を示す図、(c)は燃料のオリフィス通過流量の時間推移を示す図、(d)はオリフィスの上下流側の圧力変化の時間推移を示す図である。 第5の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。 第6の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。 第6の実施形態で積算噴射量を算出する手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1A,1B,1C,1D,1E,1F 燃料噴射装置
2 燃料タンク
3A 低圧ポンプ(燃料ポンプ)
3B 高圧ポンプ(燃料ポンプ)
4 コモンレール(燃料蓄圧部)
5A,5B インジェクタ(燃料噴射弁)
21 高圧燃料供給通路(燃料供給通路)
73 戻り燃料配管
75 オリフィス
80A,80B,80C,80D,80E,80F ECU(制御部)
Q 燃料噴射量
dP 差圧センサ
Pc 圧力センサ(蓄圧部圧力センサ)
Ps 圧力センサ(燃料供給通路圧力センサ)
噴射時間

Claims (10)

  1. 燃料ポンプによって送り出された燃料を蓄圧状態に貯留する燃料蓄圧部と、
    前記燃料蓄圧部から内燃機関の各気筒に向けて分岐した燃料供給通路を通じて供給される燃料の全量を前記内燃機関の各気筒の燃焼室へ供給する燃料噴射弁と、
    前記燃料噴射弁が噴射する燃料の目標噴射量を設定する制御部と、を備えた燃料噴射装置において、
    前記燃料供給通路に配置されたオリフィスと、
    前記燃料供給通路内の前記オリフィスの上流側及び下流側の差圧を検出する差圧センサと、を備え、
    前記制御部は、所定の単位時間あたりの前記燃料噴射弁の燃料噴射量である実燃料噴射率を、前記差圧センサからの信号に基づいて算出し、
    前記実燃料噴射率を積分した積算噴射量に基づいて算出する予測値が前記目標噴射量と等しくなる時期を、前記燃料噴射弁の噴射終了時期として決定することを特徴とする燃料噴射装置。
  2. 燃料ポンプによって送り出された燃料を蓄圧状態に貯留する燃料蓄圧部と、
    前記燃料蓄圧部から内燃機関の各気筒に向けて分岐した燃料供給通路を通じて供給される燃料の全量を前記内燃機関の各気筒の燃焼室へ供給する燃料噴射弁と、
    前記燃料噴射弁が噴射する燃料の目標噴射量を設定する制御部と、を備えた燃料噴射装置において、
    前記燃料蓄圧部の圧力を検出する蓄圧部圧力センサと、
    前記燃料供給通路に配置されたオリフィスと、
    前記燃料供給通路内の前記オリフィスの下流側の圧力を検出する燃料供給通路圧力センサと、を備え、
    前記制御部は、所定の単位時間あたりの前記燃料噴射弁の燃料噴射量である実燃料噴射率を、前記蓄圧部圧力センサからの信号及び前記燃料供給通路圧力センサからの信号に基づいて算出し、
    前記実燃料噴射率を積分した積算噴射量に基づいて算出する予測値が前記目標噴射量と等しくなる時期を、前記燃料噴射弁の噴射終了時期として決定することを特徴とする燃料噴射装置。
  3. 燃料ポンプによって送り出された燃料を蓄圧状態に貯留する燃料蓄圧部と、
    前記燃料蓄圧部から内燃機関の各気筒に向けて分岐した燃料供給通路を通じて供給される燃料の全量を前記内燃機関の各気筒の燃焼室へ供給する燃料噴射弁と、
    前記燃料噴射弁が噴射する燃料の目標噴射量を設定する制御部と、を備えた燃料噴射装置において、
    前記燃料供給通路に配置されたオリフィスと、
    前記燃料供給通路内の前記オリフィスの下流側の圧力を検出する燃料供給通路圧力センサと、を備え、
    前記制御部は、前記燃料供給通路圧力センサからの信号に基づいて前記燃料噴射弁からの燃料の噴射に伴う圧力低下量を検出し、その圧力低下量に基づいて、所定の単位時間あたりの前記燃料噴射弁の燃料噴射量である実燃料噴射率を算出し、
    前記実燃料噴射率を積分した積算噴射量に基づいて算出する予測値が前記目標噴射量と等しくなる時期を、前記燃料噴射弁の噴射終了時期として決定することを特徴とする燃料噴射装置。
  4. 燃料ポンプによって送り出された燃料を蓄圧状態に貯留する燃料蓄圧部と、
    前記燃料蓄圧部から内燃機関の各気筒に向けて分岐した燃料供給通路を通じて供給される燃料の一部を戻り燃料配管を介して燃料供給系の低圧部へ排出し、残りを前記内燃機関の各気筒の燃焼室へ供給する燃料噴射弁と、
    前記燃料噴射弁が噴射する燃料の目標噴射量を設定する制御部と、を備えた燃料噴射装置において、
    前記燃料供給通路に配置されたオリフィスと、
    前記燃料供給通路内の前記オリフィスの上流側及び下流側の差圧を検出する差圧センサと、を備え、
    前記制御部は、所定の単位時間に燃料が前記オリフィスを通過する実燃料供給率を、前記差圧センサからの信号に基づいて算出するとともに、前記実燃料供給率の内、実際に前記燃料噴射弁から噴射される実燃料噴射率を算出し、
    前記実燃料噴射率を積分した積算噴射量に基づいて算出する予測値が前記目標噴射量と等しくなる時期を、前記燃料噴射弁の噴射終了時期として決定することを特徴とする燃料噴射装置。
  5. 燃料ポンプによって送り出された燃料を蓄圧状態に貯留する燃料蓄圧部と、
    前記燃料蓄圧部から内燃機関の各気筒に向けて分岐した燃料供給通路を通じて供給される燃料の一部を戻り燃料配管を介して燃料供給系の低圧部へ排出し、残りを前記内燃機関の各気筒の燃焼室へ供給する燃料噴射弁と、
    前記燃料噴射弁が噴射する燃料の目標噴射量を設定する制御部と、を備えた燃料噴射装置において、
    前記燃料蓄圧部の圧力を検出する蓄圧部圧力センサと、
    前記燃料供給通路に配置されたオリフィスと、
    前記燃料供給通路内の前記オリフィスの下流側の圧力を検出する燃料供給通路圧力センサと、を備え、
    前記制御部は、所定の単位時間に燃料が前記オリフィスを通過する実燃料供給率を、前記蓄圧部圧力センサからの信号及び前記燃料供給通路圧力センサからの信号に基づいて算出するとともに、前記実燃料供給率の内、実際に前記燃料噴射弁から噴射される実燃料噴射率を算出し、
    前記実燃料噴射率を積分した積算噴射量に基づいて算出する予測値が前記目標噴射量と等しくなる時期を、前記燃料噴射弁の噴射終了時期として決定することを特徴とする燃料噴射装置。
  6. 燃料ポンプによって送り出された燃料を蓄圧状態に貯留する燃料蓄圧部と、
    前記燃料蓄圧部から内燃機関の各気筒に向けて分岐した燃料供給通路を通じて供給される燃料の一部を戻り燃料配管を介して燃料供給系の低圧部へ排出し、残りを前記内燃機関の各気筒の燃焼室へ供給する燃料噴射弁と、
    前記燃料噴射弁が噴射する燃料の目標噴射量を設定する制御部と、を備えた燃料噴射装置において、
    前記燃料供給通路に配置されたオリフィスと、
    前記燃料供給通路内の前記オリフィスの下流側の圧力を検出する燃料供給通路圧力センサと、を備え、
    前記制御部は、前記燃料供給通路圧力センサからの信号に基づいて前記燃料噴射弁からの燃料の噴射に伴う圧力低下量を検出し、その圧力低下量に基づいて、所定の単位時間に燃料が前記オリフィスを通過する実燃料供給率を算出するとともに、前記実燃料供給率の内、実際に前記燃料噴射弁から噴射される実燃料噴射率を算出し、
    前記実燃料噴射率を積分した積算噴射量に基づいて算出する予測値が前記目標噴射量と等しくなる時期を、前記燃料噴射弁の噴射終了時期として決定することを特徴とする燃料噴射装置。
  7. 前記制御部は、
    前記燃料噴射弁の燃料噴射量(Q)と前記燃料噴射弁に燃料の噴射を指示する噴射時間(T)との関係を示すT−Q特性データを有し、
    前記目標噴射量に基づいて前記T−Q特性データを参照し、前記燃料噴射弁が燃料を噴射する噴射時間を設定するとともに、
    前記予測値に基づいて、前記設定した噴射時間を補正し、前記噴射終了時期を決定することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の燃料噴射装置。
  8. 前記制御部は、
    前記設定した噴射時間の補正量を決定するための補正判定時期を、前記設定した噴射時間の終了前に設定し、前記補正判定時期における前記積算噴射量に基づいて前記予測値を算出し、前記設定した噴射時間の補正量を決定することを特徴とする請求項7に記載の燃料噴射装置。
  9. 前記制御部は、
    前記補正判定時期における、前記積算噴射量の変化率に基づいて前記予測値を算出し、前記設定した噴射時間の補正量を決定することを特徴とする請求項8に記載の燃料噴射装置。
  10. 前記補正判定時期は、
    前記実燃料噴射率が一定になった時期であることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の燃料噴射装置。
JP2008254175A 2008-09-30 2008-09-30 燃料噴射装置 Pending JP2010084613A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008254175A JP2010084613A (ja) 2008-09-30 2008-09-30 燃料噴射装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008254175A JP2010084613A (ja) 2008-09-30 2008-09-30 燃料噴射装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010084613A true JP2010084613A (ja) 2010-04-15

Family

ID=42248825

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008254175A Pending JP2010084613A (ja) 2008-09-30 2008-09-30 燃料噴射装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010084613A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11384704B2 (en) 2020-05-28 2022-07-12 Denso Corporation Injection control device

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11384704B2 (en) 2020-05-28 2022-07-12 Denso Corporation Injection control device

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9588016B2 (en) Fuel injection device and adjustment method thereof
JP4424395B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP4835715B2 (ja) 燃料噴射状態検出装置
JP4737314B2 (ja) 燃料噴射状態検出装置
JP4737315B2 (ja) 燃料噴射状態検出装置
JP4835716B2 (ja) 燃料噴射状態検出装置
JP4582191B2 (ja) 燃料噴射制御装置およびそれを用いた燃料噴射システム
JP4420097B2 (ja) 噴射異常検出装置及び燃料噴射システム
JP4404111B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP5348154B2 (ja) 燃料噴射システムの故障部位判定装置
JP5141723B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP2009057929A (ja) 燃料噴射制御装置
JP2009057924A (ja) 燃料噴射特性検出装置及び燃料噴射指令補正装置
JP3885888B2 (ja) コモンレールシステム
JP2009052414A (ja) 燃料噴射制御装置
JP4605038B2 (ja) 燃料噴射装置
JP2010106756A (ja) 燃料噴射装置
EP1925803A1 (en) Fuel injection device and adjustment method thereof
JP2010101245A (ja) 燃料噴射装置
JP2010007504A (ja) 燃料噴射装置
JP5370348B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP5075095B2 (ja) 燃料噴射装置
WO2011078153A1 (ja) 燃料噴射弁の異常判定装置及び燃料噴射弁の異常判定方法
JP5022336B2 (ja) 燃料噴射装置
JP5817597B2 (ja) 内燃機関の噴射異常判定装置