JP2010084586A - 内燃機関のバルブタイミング制御方法及び内燃機関システム - Google Patents

内燃機関のバルブタイミング制御方法及び内燃機関システム Download PDF

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Abstract

【課題】気筒内を往復動作するピストンの上死点近傍において吸気バルブ及び排気バルブが共に開状態となるオーバーラップ期間を設定するようにしたエンジンのバルブタイミング制御方法において、システム全体の大型化を防止しつつ、高負荷運転状態及び低負荷運転状態の双方において適切なオーバーラップ期間を高い応答性で素早く実現する。
【解決手段】オーバーラップ期間短縮過程における吸気開弁遅角速度をオーバーラップ期間延長過程における吸気開弁進角速度よりも大きくするとともに、両者の差を、オーバーラップ期間短縮過程における排気閉弁遅角速度とオーバーラップ期間延長過程における排気閉弁進角速度との差よりも大きくする。
【選択図】図10

Description

本発明は、気筒内を往復摺動するピストンの上死点近傍において、該気筒の吸気弁及び排気弁が共に開いた状態となるオーバーラップ期間を設けるようにした内燃機関のバルブタイミング制御方法及び内燃機関システムに関する技術分野に属する。
従来より、エンジンのカムシャフトにより開閉駆動される吸排気弁のバルブタイミングを、クランクシャフトに対する該カムシャフトの回転位相を変化させることで可変とした可変バルブタイミング装置は知られている。
例えば、特許文献1に示す可変バルブタイミング装置においては、カムシャフトの回転位相を遅角方向に付勢するコイルバネと、その遅角方向への回転を規制するストッパとが設けられていて、このコイルバネによる付勢力に抗する制動力を電磁ブレーキによって発生させることで、カムシャフトの回転位相を上記ストッパ位置から進角変化させるようになっている。
そして、該可変バルブタイミング装置では、カムシャフトの回転位相をストッパ位置に戻す際に、つまりカムシャフトを遅角させる際にフィードバックゲインを低下させることで、遅角速度を遅くしてストッパの当たり音を低減するようにしている。
この他にも、カムシャフトと同軸に配設された電動モータを用いて、クランクシャフトに対するカムシャフトの回転位相を変化させるようにした可変バルブタイミング機構も知られている。
特開2002−161767号公報
ところで、エンジンの吸気効率を高める観点では、気筒内を往復摺動するピストンの上死点近傍において、吸気弁と排気弁とが共に開くオーバーラップ期間を設けることが好ましく、こうするために、可変バルブタイミング装置を用いて、該吸排気弁の開閉時期を制御することが考えられる。この制御に際しては、要求エンジン負荷が高い領域では、排気の慣性力により吸気を促進するべくオーバーラップ期間を長く設定し、要求エンジン負荷が低い領域では、排気の逆流による燃焼室に残留する既燃ガス量の増大を抑制するべくオーバーラップ期間を短く設定することが好ましい。
そのためには、要求エンジン負荷(要求エンジントルク)が低い状態から高い状態へと変化するオーバーラップ延長要求条件下においては、吸気開弁時期を進角させ且つ排気閉弁時期を遅角させる一方、要求エンジン負荷が高い状態から低い状態へと変化するオーバーラップ短縮条件下においては、吸気開弁時期を遅角させ且つ排気閉弁時期を進角させるよう弁開閉時期制御を行えばよい。
ここで、この吸気開弁時期及び排気閉弁時期の進角/遅角速度が速いほど、エンジン要求負荷変化に対するオーバーラップ期間の短縮/延長制御を高い応答性で実現することができるが、例えば、上記特許文献1に示す如くアクチュエータのゲイン調整により上記進角/遅角速度を速くするようにした場合、アクチュエータの出力限界によって該進角/遅角速度も制限されることとなる。これに対して、アクチュエータを大型化してその出力増大を図ることが考えられるが、エンジンシステムの効率低下を招くという問題がある。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、気筒内を往復動作するピストンの上死点近傍において吸気弁及び排気弁が共に開状態となるオーバーラップ期間を有する内燃機関のバルブ制御方法及び内燃機関システムにおいて、システム全体の大型化を防止しつつ、高負荷運転状態及び低負荷運転状態の双方においてそれぞれ適切なオーバーラップ期間を高い効率でもって実現しようとすることにある。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明では、オーバーラップ短縮要求条件下における吸気開弁遅角速度をオーバーラップ延長要求条件下における吸気開弁進角速度よりも大きくするとともに、両者の差を、オーバーラップ短縮条件下における排気閉弁遅角速度とオーバーラップ延長条件下における排気閉弁進角速度との差よりも大きくするようにした。
具体的には、この発明では、気筒内を往復摺動するピストンの上死点近傍において、該気筒の吸気弁及び排気弁が共に開いた状態となるオーバーラップ期間を設けるべく該排気弁の閉弁時期を該吸気弁の開弁時期よりも遅らせる内燃機関のバルブタイミング制御方法を対象とする。
そして、上記内燃機関の要求トルクが低下するにしたがって、上記吸気弁の開弁時期を所定の吸気開弁遅角速度で遅角させる一方上記排気弁の閉弁時期を所定の排気閉弁進角速度で進角させるオーバーラップ期間短縮工程と、上記内燃機関の要求トルクが増加するにしたがって、上記吸気弁の開弁時期を所定の吸気開弁進角速度で進角させる一方上記排気弁の閉弁時期を所定の排気閉弁遅角速度で遅角させるオーバーラップ期間延長工程とを含み、上記吸気開弁遅角速度を上記吸気開弁進角速度よりも大きくするとともに、両者の差を、上記排気閉弁遅角速度と上記排気閉弁進角速度との差よりも大きくするものとする。
この方法によれば、内燃機関の要求トルクが低下する状況下では、オーバーラップ期間短縮工程にて、吸気弁の開弁時期が所定の吸気開弁遅角速度で遅角される一方排気弁の閉弁時期が所定の排気閉弁進角速度で進角され、この結果、上記オーバーラップ期間が短縮される。また、内燃機関の要求トルクが増加する状況下では、オーバーラップ期間延長工程にて、吸気弁の開弁時期が所定の吸気開弁進角速度で進角される一方排気弁の閉弁時期が所定の排気閉弁遅角速度で遅角される。そして、本発明では、吸気開弁遅角速度を吸気開弁進角速度よりも大きくするようにした。これにより、オーバーラップ期間短縮工程における残留ガス量を低減するためのオーバーラップの短縮を実現する吸気開弁遅角速度と排気閉弁進角速度のうち、遅角側への変化故に必要なエネルギーの小さい吸気開弁遅角速度を大きくして、吸気弁駆動に要するエネルギーを小さくしながら、これと相まって迅速な残留ガス量の低下による燃焼性の向上によるエンジン運転効率の向上を図り、エンジンシステムの運転効率を格段に向上することができる。
ところで、吸排気弁を開閉駆動するカムシャフトには通常、その回転方向とは逆向きの回転抵抗(遅角方向の回転抵抗)が作用しており、このため、リターンスプリング(後述する)を用いない可変バルブタイミング機構により吸排気弁の開閉時期を制御しようとした場合、アクチュエータ出力(モータ出力等)に十分な余裕がない限り、バルブ開閉時期の進角速度の方が遅角速度に比べて低くなる。一方、可変バルブタイミング機構として、カムシャフトを進角方向に常時付勢するリターンスプリングを設けるものが知られており、このものでは、リターンスプリングの付勢力と上記遅角方向の回転抵抗とがバランスするために、バルブ開閉時期の進角速度と遅角速度との差が、上述のリターンスプリングを有さない可変バルブタイミング機構に比べて小さくなる。
したがって、例えば、吸気弁の開閉時期制御に、リターンスプリングを使用しない可変バルブタイミング機構を採用する一方、排気弁の開閉時期制御には、リターンスプリングを使用した可変バブルタイミング機構を採用することで、各可変バルブタイミング機構の速度応答特性にマッチした無理のない構成で(換言すると、アクチュエータの大型化による必要動力の増加を抑制しつつ)、吸気開弁遅角速度を吸気開弁進角速度よりも大きくし且つ両者の差を排気閉弁遅角速度と排気閉弁進角速度との差よりも大きくする本発明のバルブタイミング制御方法を実現することができる。
請求項2の発明では、請求項1の発明において、上記排気閉弁遅角速度と上記排気閉弁進角速度とは略同速度であるものとする。
このように、排気閉弁遅角速度と排気閉弁進角速度とを略同速度とすることで、吸気開弁遅角速度を速くしたにも拘わらず排気閉弁進角速度が必要以上に遅くなって、上記オーバーラップ期間の短縮応答性が低下して、残留ガス増加による燃焼性低下によりエンジン運転効率が低下するのを確実に防止することができる。
請求項3の発明では、クランクシャフトに同期して回転するカムシャフトに連動して開閉駆動される吸気弁及び排気弁が設けられた気筒内を往復動作するピストンの上死点近傍において、該吸気弁及び排気弁が共に開いた状態となるオーバーラップ期間を設定するべく該各弁の開閉時期を変更するバルブタイミング可変手段と、該バルブタイミング可変手段の作動を制御する制御手段とを備えた内燃機関システムを対象とする。
そして、上記制御手段は、上記両可変機構の作動を制御することで、
上記内燃機関の要求トルクが低下するにしたがって、上記吸気弁の開弁時期を所定の吸気開弁遅角速度で遅角させる一方上記排気弁の閉弁時期を所定の排気閉弁進角速度で進角させるオーバーラップ期間短縮制御と、
上記内燃機関の要求トルクが増加するにしたがって、上記吸気弁の開弁時期を所定の吸気開弁進角速度で進角させる一方上記排気弁の閉弁時期を所定の排気閉弁遅角速度で遅角させるオーバーラップ期間延長制御と、
を実行可能に構成されており、上記吸気開弁遅角速度が上記吸気開弁進角速度よりも大きく、且つ、両者の差が上記排気閉弁進角速度と上記排気閉弁遅角速度との差よりも大きいものとする。
この構成によれば、制御手段によりオーバーラップ期間短縮制御及びオーバーラップ期間延長制御を実行するべく上記各可変機構の作動が制御される。すなわち、内燃機関の要求トルクが低下する状況下では、上記制御手段によりオーバーラップ期間短縮制御が実行されて、吸気弁の開弁時期が所定の吸気開弁遅角速度で遅角される一方排気弁の閉弁時期が所定の排気閉弁進角速度で進角される。また、内燃機関の要求トルクが増加する状況下では、上記制御手段によりオーバーラップ期間延長制御が実行されて、吸気弁の開弁時期が所定の吸気開弁進角速度で進角される一方上記排気弁の閉弁時期が所定の排気閉弁遅角速度で遅角される。そして、上記制御手段は、吸気開弁遅角速度を吸気開弁進角速度よりも大きくするとともに、両者の差を、排気閉弁進角速度と排気閉弁遅角速度との差よりも大きくするように構成されている。これにより、請求項1の発明と同様の作用効果を得ることができる。
請求項4の発明では、請求項3の発明において、上記排気弁開閉時期可変機構は、上記排気カムシャフトの回転位相を上記クランクシャフトに対して進角方向に付勢する付勢手段を有しており、上記付勢手段の付勢力が、上記吸気弁開閉時期可変機構の有する、上記吸気カムシャフトの回転位相を上記クランクシャフトに対して進角方向に付勢する付勢力よりも大きいものとする。
この構成によれば、排気弁開閉時期可変機構においては、付勢手段(例えばリターンスプリング)により、排気カムシャフトに作用する遅角方向の付勢力(回転抵抗)と進角方向の付勢力とをバランスさせることができる。一方、吸気弁開閉時期可変機構において、付勢手段を設けないものとすれば(つまり吸気カムシャフトを進角方向に付勢する付勢力を略0とすれば)、吸気カムシャフトに作用する遅角方向の付勢力(回転抵抗)が進角方向の付勢力を大きく上回ることなる。この結果、排気閉弁時期の進角速度と遅角速度との差を、吸気開弁時期の遅角速度と進角速度との差よりも小さくすることができる。また、吸気弁開閉時期可変機構に付勢手段を設けたとしても、本発明ではその付勢力は、排気閉弁時期可変機構が有する付勢手段の付勢力に比べて小さいものとされており、このため、排気閉弁時期の進角速度と遅角速度との差を、吸気開弁時期の遅角速度と進角速度との差よりも小さくすることができる。よって、請求項1の発明と同様の作用効果をより一層確実に得ることができる。
請求項5の発明では、請求項3又は4の発明において、上記排気閉弁遅角速度と上記排気閉弁進角速度とは略同速度であるものとする。
これによれば、排気閉弁時期が必要以上に遅くなるのを防止して、請求項2の発明と同様の作用効果を得ることができる。
以上説明したように、本発明の内燃機関のバルブタイミング制御方法及び内燃機関システムによると、高負荷運転状態及び低負荷運転状態の双方においてそれぞれ適切なオーバーラップ期間を高いエンジンシステム効率でもって実現することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るエンジンシステム(内燃機関システム)の全体構造を示し、このエンジンシステムは、エンジン(内燃機関)1と、このエンジン1に設けられた各種アクチュエータを制御するエンジン制御器100とを有している。
上記エンジン1は、自動車等の車両に搭載される4サイクルの火花点火式内燃機関であって、該車両を推進するべく、その出力軸が変速機を介して駆動輪に連結されている。このエンジン1は、シリンダーブロック12とその上に載置されるシリンダヘッド13とを備えている。このシリンダーブロック12とシリンダヘッド13との内部には複数のシリンダ(気筒)11が形成されている。これらシリンダ11の数は特に限定されるものではないが、例えば4つのシリンダ11が形成されている。また、シリンダーブロック12には、ジャーナル、ベアリングなどによってクランクシャフト14が回転自在に支持されている。
上記各シリンダ11内には、ピストン15がそれぞれ摺動自在に嵌装されており、各ピストン15の上方にはそれぞれ燃焼室17が形成されている。
ここで、本実施形態では、ピストン15が上死点に位置するときの燃焼室17の容積との比であるエンジン1の幾何学的圧縮比がほぼ14に設定されている。もちろん、この幾何学的圧縮比の値は14に限らない。例えば、機関効率の向上といった観点からは該幾何学的圧縮比はより高い方が好ましい。しかしながら、幾何学的圧縮比を高くしていくと、圧縮工程においてシリンダ11内の温度が高くなりすぎてしまい予期せぬタイミングで自着火が生じる可能性が高くなる。このため、エンジン1の幾何学的圧縮比としては13以上16以下が好ましい。
上記シリンダヘッド13には、各燃焼室17に連通する吸気ポート18と2つの排気ポート19とが形成されている。また、シリンダヘッド13には、各吸気ポート18をそれぞれ燃焼室17から遮断するための吸気バルブ(吸気弁)21と、各排気ポート19をそれぞれ燃焼室17から遮断するための排気バルブ(排気弁)22とが設けられている。吸気バルブ21は、後述する吸気弁駆動機構30により駆動されることで、所定のタイミングで各吸気ポート18を開閉する。一方、排気バルブ22は後述する排気弁駆動機構40により駆動されることで、各排気ポート19を所定のタイミングで開閉する。
上記吸気弁駆動機構30及び排気弁駆動機構40は、それぞれ吸気カムシャフト31と排気カムシャフト41とを有している。吸気カムシャフト31および排気カムシャフト41は、周知のチェーン/スプロケット機構等の動力伝達機構を介してクランクシャフト14に連結されている。前記動力伝達機構は、クランクシャフト14が2回転する間に、カムシャフト31,41が1回転するように構成されている。カムシャフト31,41はそれぞれのカム部(不図示)を、各バルブ21、22のカム面に当接させる。各バルブ21、22は、不図示のバルブ用リターンスプリングにより常に閉方向に付勢されていて、カムシャフト31,41の回転動作により往復動作することで各ポート18,19の開閉動作を行う。
また、吸気弁駆動機構30は、動力伝達機構と吸気カムシャフト31との間に設けられた吸気カムシャフト位相可変機構32を有しており、同様に、排気弁駆動機構40は、動力伝達機構と排気カムシャフト41との間に設けられた排気カムシャフト位相可変機構33を有している。
吸気カムシャフト位相可変機構32は、クランクシャフト14に対する吸気カムシャフト31の回転位相を変更することで吸気バルブ21の開閉時期を可変とするものであって、該回転位相変更のための回転力を、電動モータ151(図2参照)により発生させるように構成されている。
具体的には、吸気カムシャフト位相可変機構32は、図2に示すように上記電動モータ151と、電動モータ151の出力軸151aに連結シャフト152を介して回転一体に連結されたロータ153と、ロータ153にギヤ結合されたスプロケット本体154と、同じくロータ153にギヤ結合されたカム一体ギヤ155とを有している。
電動モータ151は、その回転軸心が吸気カムシャフト31の回転軸心に一致するように配設されている。
カム一体ギヤ155は、吸気カムシャフト31の一端部にこれと同軸で、不図示のノックピンを介して回転一体に結合された円板状部材からなる。カム一体ギヤ155における該カムシャフト31とは反対側の面には、円筒状凹部が形成されており、この円筒状凹部の内周面には、ロータボス部162のギヤ部162aに噛合するギヤ部155aが形成されている。
スプロケット本体154は、その外周面に、上記チェーン(図示省略)と噛合するスプロケットギヤ部154aを有する円筒状をなしており、スプロケット本体154の軸心は、モータ151の回転軸心(吸気カムシャフト31の軸心)に一致している。スプロケット本体154の内周面には、ロータ本体161のギヤ部161aに噛合するギヤ部154bが形成されている。
連結シャフト152は、モータ出力軸151aと同軸に回転一体で連結された段付シャフトからなるものであって、大径部152aと小径部152bとで構成されている。
連結シャフト152の小径部152bの外周面には、ロータ153のスプライン凹部153cと噛合するスプライン歯部152cが形成されている。
ロータ153は、外周面にギヤ部161aを有するロータ本体161と、外周面にギヤ部162aを有するロータボス部162とで構成されており、ロータ153の内周面には、上記スプライン凹部153cが形成されている。そして、ロータ153は、該スプライン凹部153cと上記スプライン歯部152cとのスプライン結合によって連結シャフト152と一体で回転するように構成されている。
ロータ153の軸心(ロータ本体161及びロータボス部162の軸心)は、電動モータ151の回転軸心(モータ151の出力軸151aの軸心)に対して所定距離だけ偏心している(この偏心量は僅かであるため図示はされていない)。ロータ本体161のギヤ部161aの歯数は、ギヤ部154bの歯数よりも一歯少なくなっている。同様に、ロータボス部162のギヤ部162aの歯数は、ギヤ部155aの歯数よりも一歯少なくなっている。このことで、ロータ153(ロータ本体161及びロータボス部162)と、スプロケット本体154及びカム一体ギヤ155と、の間で偏心遊星歯車機構が構成されることとなる。
そして、電動モータ151をスプロケット本体154の回転方向(クランクシャフト14の回転方向に一致する方向)と同方向に回転させると、この回転量に応じて、カム一体ギヤ155が同方向に回転して吸気カムシャフト31の回転位相がスプロケット本体154(クランクシャフト14)に対して進角し、電動モータ151をスプロケット本体154の回転方向とは逆向きに回転させると、この回転量に応じて、吸気カムシャフト31の回転位相がクランクシャフト14に対して遅角することとなる。尚、電動モータ151は、エンジン制御器100からの制御信号を受けて作動制御される。
一方、排気カムシャフト位相可変機構33、クランクシャフト14に対する排気カムシャフト41の回転位相を変更することで排気バルブ22の開閉時期を可変とするものであって、この回転移動変更のための回転力を、油圧により発生させるように構成されている。
具体的には、排気カムシャフト位相可変機構33は、図3に示すように、ロータ111と、ロータ111を収容するケースを構成するスプロケット本体112と、蓋部113,114とを備えている。
スプロケット本体112は、吸気カムシャフト位相可変機構32におけるスプロケット本体154と同様にその外周面に、上記チェーンと噛合するスプロケットギヤ部112aを有する円筒状をなしている。
蓋部113、114はそれぞれ、スプロケット本体112の正面側(図の左側)、背面側(図の右側)に装着されて、複数のボルト10aにより一体的に固定されている。
蓋部114は円板状をなしており、その中心部には、排気カムシャフト41が貫通する貫通孔が形成されている。ロータ111は、ボルト115により排気カムシャフト41の一端部に固定されている。
排気カムシャフト41は、エンジン1のシリンダヘッド13と軸受けキャップとの合わせ面に形成された軸受部110に支持されており、軸受部110の内周面には、環状の遅角用溝110a及び進角用溝110bがそれぞれ形成されている。
排気カムシャフト41の内部には、遅角用溝110aと連通する遅角用油路104cと、進角用溝110bと連通する進角用油路104dとが形成されている。また、排気カムシャフト41には、ボルト115が螺合する孔の一部が拡径されて進角用油路104dと連通する進角用油路104eが形成されている。
ロータ111の内部には、遅角用油路104cと連通する遅角用油路111aとが形成されている。さらに、ロータ111には、ボルト115が貫通する孔の一部が拡径されて進角用油路104eと連通する進角用油路111b及び該進角用油路111bに連通した進角用油路111cが形成されている。
ロータ111の正面側の部分には、リターンスプリング116が収納される溝111dが形成されている。本実施形態においては、リターンスプリング116は、つるまきバネである。溝111dの底部近傍には溝111eが設けられており、溝111eにはリターンスプリング116の一端部が挿入されて係合している。リターンスプリング116の他端部は、蓋部113の正面側面に立設されたピン113aに係合されている。リターンスプリング116は、ロータ111を進角方向に常時付勢することにより、該ロータ111に連結された排気カムシャフト41を進角方向に常時付勢する。
図4は、蓋部113及びリターンスプリング116を外した状態での排気カムシャフト位相可変機構33の正面図である。
スプロケット本体112は、半径方向内側に突出した複数の突出部112bを有する。突出部112bは略同形であって、周方向に略等ピッチで設けられており、その先端はロータ111の周面を摺動する。ロータ111は、半径方向外側に突出した突出部111f及び複数の突出部111gを有しており、これらの合計数は突出部112bの数に等しい。突出部111f及び突出部111gは周方向に略等ピッチで設けられているが、突出部111fのみ周方向の幅が幅広となっている。
このため、スプロケット本体112に対して変更可能な位相範囲は、突出部111fにより規定され、突出部111fに位置する突出部112bのうち、同図で左側の突出部112bに突出部111fが当接した位置がロータ111(つまり排気カムシャフト41)の最遅角位置であり、右側の突出部112bに突出部111fが当接した位置がロータ111の最進角位置となる。
突出部111f及び突出部111gと、突出部112bとの間の隙間は、進角用油圧室101、遅角用油圧室102を形成する。進角用油圧室101に作動油を供給するとロータ111がスプロケット本体112に対して相対的に進角方向に回転し、遅角用油圧室102に作動油を供給するとロータ111がスプロケット本体112に対して相対的に遅角方向に回転する。進角用油圧室101には、進角用油路111cが連通し、遅角用油圧室102には遅角用油路111aが連通している。
そうして、進角用油圧室101内の油圧と遅角用油圧室102内の油圧との差圧と、排気カムシャフト41に作用するトルクとをバランスさせることで、スプロケット本体112に対するロータ111の相対的な位相位置関係を維持しながらクランクシャフト14からの動力をチェーンを介して排気カムシャフト41に伝達し、排気カムシャフト41をクランクシャフト14に同期して回転駆動することができる。スプロケット本体112に対するロータ111の相対的な位相位置関係を変更することで、クランクシャフト14に対する排気カムシャフト41の回転位相を変更することができる。
尚、図4中、ピン117aは、ロータ111を最進角位置にロックするためのものであって、圧縮コイルスプリング117bにより常時付勢されて最進角位置にて蓋部114の係合溝114aに係合する。ロックを解除する際には、解除用油圧室117c(図3参照)に作動油を供給すればよく、遅角用油圧室102に作動油を供給することで不図示の油路から該解除用油圧室117cへと作動油が流れてロックが解除されるようになっている。
上記進角用油圧室101及び遅角用油圧室102への作動油の供給は、エンジン制御器100からの制御信号を受けて作動する電磁ソレノイドバルブ130(電磁ソレノイドバルブ130のスプール132)により制御される。
電磁ソレノイドバルブ130は、本実施形態では、3ポート3位置弁からなるものであって、その供給ポート131cがオイルポンプ211に接続され、出力ポート131a,131bがそれぞれ、不図示の油路を介して遅角用溝110a、進角用溝110bに接続されている。尚、図3中、符号134は、スプール132に電磁力を作用させるソレノイドである。
スプール132が中立位置(図3に示す位置)にある状態では、出力ポート131a及び131bのいずれもが閉じられて、進角用油圧室101及び遅角用油圧室102への作動油の供給が遮断される。
スプール132が中立位置から図3における左側に移動すると、供給ポート131cと出力ポート131aとが連通して、この連通度に応じた量の作動油が、オイルポンプ211から遅角用溝110aを介して遅角用油圧室102へと供給される。こうして、作動油が遅角用油圧室102に供給されることでロータ111が遅角方向に回転すると、進角用油圧室101の容積が縮小されることにより進角用油圧室101から作動油が排出されてドレンポート131dを通ってオイルパン201へ戻る。
スプール132が中立位置から図3における右側に移動すると、供給ポート131cと出力ポート131bとが連通して、この連通度に応じた量の作動油が、オイルポンプ211から進角用溝110bを介して進角用油圧室101へと供給される。こうして、作動油が進角用油圧室101に供給されることでロータ111が進角方向に回転すると、遅角用油圧室102の容積が縮小されることにより遅角用油圧室102から作動油が排出されてドレンポート131eを通ってオイルパン201へ戻る。
エンジン制御器100は、電磁ソレノイドバルブ130に対して必要な制御信号を出力することで、そのスプール132の位置を制御して、進角用油圧室101及び遅角用油圧室102への作動油の給排量を制御する。こうして、エンジン制御器100は、各油圧室101,102への作動油の給排量を制御することで、ロータ111の回転位相(延いては排気カムシャフト41の回転位相)を制御する。
上記のように構成された吸気カムシャフト位相可変機構32(吸気弁開閉時期可変機構に相当)は、図5に示すように、エンジン回転数が増加するにしたがって、吸気バルブ21(吸気カムシャフト31)の遅角速度が速くなる一方進角速度が遅くなる特性を有している。これは主に、エンジン回転数が増加するにしたがって、スプロケット本体154に対する吸気カムシャフト31の回転位相を変化させる際の、吸気カムシャフト31の回転速度と電動モーター151の回転速度の相対差が増大することに起因している。そうして、エンジン回転数の増加にしたがって、進角速度と遅角速度との差が増大していくこととなる。
排気カムシャフト位相可変機構33(排気弁開閉時期可変機構に相当)は、図6に示すように、吸気カムシャフト位相可変機構32における場合と同様に、エンジン回転数が増加するにしたがって、排気バルブ22(排気カムシャフト41)の遅角速度が速くなる特性を有している。エンジン回転数の増加に伴って、排気カムシャフト41に対して遅角方向に作用する摩擦抵抗が増大することに起因している。
一方、排気カムシャフト位相可変機構33は、上記吸気カムシャフト位相可変機構32における場合とは異なり、エンジン回転数が増加するにしたがって、排気バルブ22の
進角速度が速くなる特性を有している。これは、排気カムシャフト位相可変機構33が、前述のとおりエンジン1により駆動されるオイルポンプ211が発生する油圧により駆動されることに起因している。すなわち、エンジン回転数の上昇に伴なうオイルポンプ211が発生する油圧の増大が、同じくエンジン回転数の上昇に伴ない増大する排気カムシャフト41に作用する摩擦抵抗に打ち勝つことによる。尚、エンジン回転数が4000(rpm)以上では、エンジン回転数に拘わらず進角/遅角速度が一定となっているが、これはエンジン回転数が4000(rpm)以上になるとオイルポンプのリリーフ弁が開くことに起因している。
図6において、エンジン1の運転負荷状態の違いによる速度特性を比較すると、遅角速度は全負荷運転状態(太破線)の方が無負荷運転状態(太実線)に比べて速くなっている一方、進角速度は全負荷運転状態の方が(細破線)の方が無負荷運転状態(細実線)に比べて遅くなっていることがわかる。これは、排気カムシャフト41の排気カムシャフト可変機構33と反対側の端部には、不図示の燃料ポンプが接続されて排気カムシャフトにより駆動され負荷状態に応じた量の燃料を燃料システム54に圧送することによる。すなわち、エンジン1が全負荷運転状態にある方が無負荷運転状態にある場合に比べて、燃料ポンプの吐出量が大きいために、排気カムシャフト41を遅角方向に付勢する付勢力(回転抵抗)が大きくなることによる。また、図示していないが、エンジン1が全負荷運転状態と無負荷運転状態との中間の中負荷運転状態にあるときには、進角速度と遅角速度とが同速度になる。いずれにせよ、排気バルブ22の進角速度と遅角速度との差は、吸気バルブ21の進角速度と遅角速度との差に比して十分に小さく(図5及び図6参照)、排気バルブ22の進角速度と遅角速度とは略同速度であると言える。
上記エンジン制御器100は、周知のマイクロコンピュータをベースとするコントローラで構成されていて、プログラムを実行するためのCPUと、RAMやROMからなりプログラムを格納するメモリと、各種信号の入出力を行うI/Oバスとを備えている。
エンジン制御器100には、上記I/Oバスを介して、エアフローメータ71により検出された吸入空気量AF、吸気圧センサにより検出された吸気マニホールド55内の空気圧力MAP、クランクアングルセンサ73により検出されたクランク角パルス信号、酸素濃度センサ74により検出された排ガスの酸素濃度EGO、アクセル開度センサ75により検出された自動車のドライバーによるアクセルペダルの踏込み量α、車速センサ76により検出された車速VSPといった各種の情報が入力される。
そして、このエンジン制御器100は、上記各種入力情報に基づいて、シリンダ11内へ導入される空気量すなわちシリンダ11内の空気充填量(吸気効率)や点火時期等が運転条件に応じて適切な値になるように、各種アクチュエータに対する指令値を計算する。例えば、スロットル開度TVO、燃料噴射量FP、点火時期SA、吸気バルブタイミング、排気バルブタイミング等の指令値を計算し、それらを、スロットルアクチュエータ58、燃料システム54、吸気カムシャフト位相可変機構32(電動モータ151)、排気カムシャフト位相可変機構33(電磁ソレノイドバルブ130)等に出力する。
次に、エンジン制御器100における具体的な演算手順を図7のフローチャートを基に説明する。
先ず最初のステップステップS1では、上記アクセルペダルの踏込み量α等の各種信号を読み込む。
ステップS2では、アクセルペダルの踏込み量α、上記クランク角パルス信号から算出されるエンジン1の回転数NENG及び上記車速VSPに基づき要求エンジントルクTQを算出する。
ステップS3では、ステップS2で算出した要求エンジントルクTQ及びエンジン回転数NENGに基づき、燃料噴射量FP、目標空気充填量(シリンダ11内の空気充填量CEの目標値)CE及び点火時期SAを算出する。
ステップS4では、ステップS3で算出した目標空気充填量CEと回転数NENGとに基づき、吸気バルブ21の開弁時期IVOの目標値θIVO_Dを算出する。
ステップS5では、ステップS3で算出した目標空気充填量CEと回転数NENGとに基づき、排気バルブ22の閉弁時期EVCの目標値θEVC_Dを算出する。
尚、ステップS4及びステップS5における、吸気バルブ21の開弁時期IVO及び排気バルブ22の閉弁時期EVCの目標値の算出方法の詳細については後述する
ステップS6では、テップS3で算出した目標空気充填量CEと回転数NENGとに基づき、上記スロットル弁57の開度TVOの目標値である目標スロットル開度TVOを算出する。
ステップS7では、算出した燃料噴射量FP、点火時期SA、吸気バルブ21の開弁時期IVOの目標値θIVO_D、排気バルブ22の閉弁時期EVCの目標値θEVC_D、スロットル弁57の開度TVOの目標値TVOに基づき、これらの目標値が満足されるように各アクチュエータを駆動する。
具体的には、例えば、信号θIVO_Dを、吸気カムシャフト位相可変機構32(電動モータ151)に出力することで、吸気カムシャフト31のクランクシャフト14に対する回転位相がθIVO_Dに対応した値となるように、吸気カムシャフト位相可変機構32が作動する。また、信号θEVC_Dを、排気カムシャフト位相可変機構33(電磁ソレノイドバルブ130)に出力することで、排気カムシャフト41のクランクシャフト14に対する回転位相がθEVC_Dに対応した値となるように、排気カムシャフト位相可変機構33が作動する。
次に、上記ステップS6及びステップS7における上記吸気バルブ21の開弁時期IVOの目標値θIVO_D、上記排気バルブ22の閉弁時期EVCの目標値θEVC_Dの具体的な算出方法すなわち吸気バルブ21、排気バルブ22の具体的な制御方法について説明する。
エンジン制御器100は、吸排気バルブ21,22の開閉時期を制御するに際して、ピストン15の上死点(TDC)近傍で、吸気バルブ21及び排気バルブ22が共に開いた状態となるオーバーラップ期間(図8参照)を形成するように該各バルブ21,22を制御する。具体的には、エンジン制御器100により排気バルブ22の閉弁時期(以下、排気閉弁時期という)を吸気バルブ21の開弁時期(以下、吸気開弁時期という)よりも遅らせることでオーバーラップ期間が形成される。
エンジン制御器100は、エンジンの負荷状態によって吸気効率を最良とするオーバーラップ期間を設定するようになっていて、本実施形態では、エンジン負荷(要求エンジントルクTQ)が高くなるほどオーバーラップ期間を長くし、負荷が低くなるほどオーバーラップ期間を短くする(図8参照)。
具体的には、エンジン制御器100は、エンジン負荷が増加する状況下(図10における時刻t1<t≦2))においては、オーバーラップ期間を延長するべく、排気閉弁時期を遅角させ且つ吸気開弁時期を進角させるオーバーラップ期間延長制御を実行する一方、エンジン負荷が減少する状況下(時刻t4<t≦t5)においては、オーバーラップ期間を短縮するべく、排気閉弁時期を進角させ且つ吸気開弁時期を遅角させるオーバーラップ期間短縮制御を実行する。尚、以下の説明において、上記オーバーラップ期間延長制御実行時における、排気閉弁時期を遅角させる際の遅角速度を「排気閉弁遅角速度」と呼び、吸気開弁時期を進角させる際の進角速度を「吸気開弁進角速度」と呼ぶ。また、上記オーバーラップ期間短縮制御実行時における、排気閉弁時期を進角させる際の進角速度を「排気閉弁進角速度」と呼び、吸気開弁時期を遅角させる際の遅角速度を「吸気開弁遅角速度」と呼ぶものとする。これらの進角/遅角速度は、吸気カムシャフト位相可変機構32の電動モータ151の最大出力や、排気カムシャフト位相可変機構33にて発生し得る油圧の最高圧力、及び機械系の許容振動等から決まる上限速度以下の範囲内で予め設定される。
図10に示すように、本実施形態では、上記吸気開弁遅角速度(ラインL2の傾きの絶対値に相当)が上記吸気開弁進角速度(ラインL1の傾きの絶対値に相当)よりも大きく、且つ、上記排気閉弁遅角速度(ラインL3の傾きの絶対値に相当)と上記排気閉弁進角速度(ラインL4の傾きの絶対値に相当)とが略同速度となっている。また、吸気開弁進角速度(図中のラインL1参照)と排気閉弁遅角速度(図中のラインL3参照)とは略同速度となっている。
エンジン制御器100は、エンジン負荷の増加傾向が終了した後にエンジン負荷が一定になっても(図10における時刻t2<t≦t4の区間においても)、吸気開弁時期及び排気閉弁時期がそれぞれ、該エンジン負荷に応じた目標値θIVO_D(=TI2)及び目標値θEVC_D(=TE1)に達するまでは、吸気開弁時期の進角制御及び排気閉弁時期の遅角制御を続行する。
同様に、エンジン制御器100は、エンジン負荷の減少傾向が終了した後にエンジン負荷が一定になっても(図10における時刻t5<tの区間においても)、吸気開弁時期及び排気閉弁時期がそれぞれ、該エンジン負荷に応じた目標値θIVO_D(=TI1)及び目標値θEVC_D(=TE2)に達するまでは、吸気開弁時期の遅角制御及び排気閉弁時期の進角制御を続行する。
また、エンジン制御器100は、吸気開弁時期及び排気閉弁時期がそれぞれの目標値θIVO_D及び目標値θEVC_D時期に達した後は、エンジン負荷Lが一定である限り(図10における時刻t3<t≦t4の区間、及び、時刻t6<tの区間においては)、吸気開弁時期及び排気開弁時期を共に一定に保つように構成されている。
以上の如く上記実施形態では、エンジン制御器100により各バルブ21,22の開閉時期制御を行うことで、ピストンの上死点(TDC)近傍でオーバーラップ期間を設けるようするとともに、エンジン負荷が増加するにしたがって、このオーバーラップ期間を長くするようにしたから、要求エンジントルクTQが高い領域(高負荷運転領域)では、比較的長いオーバーラップ期間を設定して排気の慣性力により吸気を促進することができ、要求エンジントルクTQが低い領域(低負荷運転領域)では、比較的短いオーバーラップ期間を設定して排気の逆流による燃焼室に残留する既燃ガス量の増大を抑制することができて、高負荷及び低負荷運転領域の双方でエンジン1の運転効率を可及的に高めることが可能となる。
また、上記実施形態では、上記吸気開弁遅角速度(図10のラインL2参照)を上記吸気開弁進角速度(図10のラインL1参照)よりも速くしたから、オーバーラップ期間の短縮を高い応答性で素早く実行して、エンジン1が低負荷運転状態にあるときおける残留ガス量を確実に抑制することができる。
また、上記実施形態では、吸気バルブ21の開閉時期制御に、リターンスプリング116を使用しないモータ式の可変バルブタイミング機構32(吸気カムシャフト位相可変機構32)を採用する一方、排気バルブ22の開閉時期制御には、リターンスプリング116を使用した油圧式の可変バブルタイミング機構33(排気カムシャフト位相可変機構33)を採用するようにしたから、各可変バルブタイミング機構32,33の速度応答特性にマッチした無理のない構成で(換言すると、オイルポンプ211や電動モータ151の大型化による必要動力の増加を抑制しつつ)、上記オーバーラップ短縮制御及びオーバーラップ延長制御を実行することができる。
(他の実施形態)
本発明の構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、それ以外の種々の構成を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、排気閉弁遅角速度(図10のラインL3参照)を吸気開弁進角速度(図10のラインL1参照)と略同速度としているが、これに限ったものではなく、排気閉弁遅角速度を吸気開弁進角速度よりも速くしてもよい。こうすることで、オーバーラップ期間の短縮/延長応答性をより一層高めることができる。
また、上記実施形態では、排気閉弁遅角速度と排気閉弁進角速度とが略同速度とされているが、これに限ったものではなく、例えば、上記吸気開弁遅角速度と上記吸気開弁進角速度との差が、上記排気閉弁遅角速度と上記排気閉弁進角速度との差よりも大きくなる関係を有していればよい。
また、上記実施形態では、吸気カムシャフト位相可変機構32は、吸気カムシャフト31を進角側に付勢するリターンスプリングを有さない構成とされているが、リターンスプリングを設けるようにしてもよい。この場合、このリターンスプリングの付勢力を、排気カムシャフト位相可変機構33が有するリターンスプリング116の付勢力よりも小さくすればよい。
本発明は、気筒内を往復摺動するピストンの上死点近傍において、該気筒の吸気弁及び排気弁が共に開いた状態となるオーバーラップ期間を設けるようにした内燃機関のバルブタイミング制御方法に有用であり、特に、低負荷運転時における運転効率の向上を図る場合に有用である。
本発明の実施形態に係るバルブタイミング制御方法が適用されるエンジンシステムの全体構成を示すブロック図である。 吸気カムシャフト位相可変機構を示す、横断面図である。 排気カムシャフト位相可変機構及び電磁ソレノイドバルブを示す、横断面図である。 蓋部及びリターンスプリングを外した状態での排気カムシャフト位相可変機構の正面図である。 吸気カムシャフト位相可変機構の応答速度特性を示すグラフである。 排気カムシャフト位相可変機構の応答速度特性を示すグラフである。 エンジン制御器におけるバルブタイミング制御処理を示すフローチャートである。 エンジン要求負荷に応じた、オーバーラップ期間の大小を示す模式図である。 ピストンの上死点付近における吸気バルブ及び排気バルブの開閉時期を示す図である。 吸気バルブ及び排気バルブのバルブタイミング制御(開閉時期制御)を示すタイムチャートである。
符号の説明
1 エンジン(内燃機関)
11 シリンダ(気筒)
14 クランクシャフト
15 ピストン
21 吸気バルブ(吸気弁)
22 排気バルブ(排気弁)
31 吸気カムシャフト
32 吸気カムシャフト位相可変機構(吸気弁開閉時期可変機構、
バルブタイミング可変手段)
33 排気カムシャフト位相可変機構(排気弁開閉時期可変機構、
バルブタイミング可変手段))
41 排気カムシャフト
100 エンジン制御器(制御手段)
116 リターンスプリング(付勢手段)

Claims (5)

  1. 気筒内を往復摺動するピストンの上死点近傍において、該気筒の吸気弁及び排気弁が共に開いた状態となるオーバラップ期間を設けるべく該排気弁の閉弁時期を該吸気弁の開弁時期よりも遅らせる内燃機関のバルブタイミング制御方法であって、
    上記内燃機関の要求トルクが低下するにしたがって、上記吸気弁の開弁時期を所定の吸気開弁遅角速度で遅角させる一方上記排気弁の閉弁時期を所定の排気閉弁進角速度で進角させるオーバラップ期間短縮工程と、
    上記内燃機関の要求トルクが増加するにしたがって、上記吸気弁の開弁時期を所定の吸気開弁進角速度で進角させる一方上記排気弁の閉弁時期を所定の排気閉弁遅角速度で遅角させるオーバラップ期間延長工程とを含み、
    上記吸気開弁遅角速度が上記吸気開弁進角速度よりも大きく、且つ、両者の差が上記排気閉弁遅角速度と上記排気閉弁進角速度との差よりも大きいことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御方法。
  2. 請求項1記載の内燃機関のバルブタイミング制御方法において、
    上記排気閉弁遅角速度と上記排気閉弁進角速度とは略同速度であることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御方法。
  3. クランクシャフトに同期して回転するカムシャフトに連動して開閉駆動される吸気弁及び排気弁が設けられた気筒内を往復動作するピストンの上死点近傍において、該吸気弁及び排気弁が共に開いた状態となるオーバーラップ期間を設定するべく該各弁の開閉時期を変更するバルブタイミング可変手段と、該バルブタイミング可変手段の作動を制御する制御手段とを備えた内燃機関システムであって、
    上記バルブタイミング可変手段は、
    上記吸気弁に連動する吸気カムシャフトの上記クランクシャフトに対する回転位相を変更することで、該吸気弁の開閉時期を可変とする吸気弁開閉時期可変機構と、
    上記排気弁に連動する排気カムシャフトの上記クランクシャフトに対する回転位相を変更することで、該排気弁の開閉時期を可変とする排気弁開閉時期可変機構とを含んでおり、
    上記制御手段は、上記両可変機構の作動を制御することで、
    上記内燃機関の要求トルクが低下するにしたがって、上記吸気弁の開弁時期を所定の吸気開弁遅角速度で遅角させる一方上記排気弁の閉弁時期を所定の排気閉弁進角速度で進角させるオーバーラップ期間短縮制御と、
    上記内燃機関の要求トルクが増加するにしたがって、上記吸気弁の開弁時期を所定の吸気開弁進角速度で進角させる一方上記排気弁の閉弁時期を所定の排気閉弁遅角速度で遅角させるオーバーラップ期間延長制御と、
    を実行可能に構成されており、
    上記吸気開弁遅角速度が上記吸気開弁進角速度よりも大きく、且つ、両者の差が上記排気閉弁進角速度と上記排気閉弁遅角速度との差よりも大きいことを特徴とする内燃機関システム。
  4. 請求項3記載の内燃機関システムにおいて、
    上記排気弁開閉時期可変機構は、上記排気カムシャフトの回転位相を上記クランクシャフトに対して進角方向に付勢する付勢手段を有しており、
    上記付勢手段の付勢力が、上記吸気弁開閉時期可変機構の有する、上記吸気カムシャフトの回転位相を上記クランクシャフトに対して進角方向に付勢する付勢力よりも大きいことを特徴とする内燃機関システム。
  5. 請求項3又は4記載の内燃機関システムにおいて、
    上記排気閉弁遅角速度と上記排気閉弁進角速度とは略同速度であることを特徴とする内燃機関システム。
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