JP2010083917A - 膜形成用組成物、膜形成用組成物から得られた絶縁膜、および絶縁膜を有する電子デバイス - Google Patents

膜形成用組成物、膜形成用組成物から得られた絶縁膜、および絶縁膜を有する電子デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】低誘電性で、かつ高耐熱性を示す膜を形成することができる膜形成用組成物、膜形成用組成物から得られる絶縁膜、および、絶縁膜を有する電子デバイスを提供する。
【解決手段】炭素-炭素不飽和結合を含む基を有するケイ素化合物(A)と、カゴ型シルセスキオキサン構造を有する化合物とを含む膜形成用組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は膜形成用組成物に関し、さらに詳しくは電子デバイスなどに用いられる、誘電率、機械強度、耐熱性などの膜特性が良好な膜を形成できる膜形成用組成物に関し、さらには、この組成物を用いて得られる絶縁膜を有する電子デバイスに関する。
近年、電子材料分野においては、高集積化、多機能化、高性能化の進行に伴い、回路抵抗や配線間のコンデンサー容量が増大し、消費電力や遅延時間の増大を招いている。中でも、遅延時間の増大は、デバイスの信号スピードの低下やクロストークの発生の大きな要因となる。そのため、この遅延時間を減少させてデバイスの高速化を図るべく、寄生抵抗や寄生容量の低減が求められている。この寄生容量を低減するための具体策の一つとして、配線の周辺を低誘電性の層間絶縁膜で被覆することが試みられている。また、層間絶縁膜には、実装基板製造時の薄膜形成工程やチップ接続、ピン付け等の後工程に耐え得る優れた耐熱性やウェットプロセスに耐え得る耐薬品性が求められている。さらに、近年は、Al配線から低抵抗のCu配線が導入されつつあり、これに伴い、CMP(ケミカルメカニカルポリッシング)による平坦化が一般的となっており、このプロセスに耐え得る高い機械強度が求められている。
配線周辺を被覆する絶縁膜として、従来は二酸化ケイ素(SiO、誘電率k=3.9)が適用されてきたが、現在は、絶縁膜の低誘電率化に向け、比較的膜構造を制御し易いスピン絶縁膜の適用が検討されている。この絶縁膜を形成するための絶縁膜形成用材料の例としては、例えば、特許文献1〜5に開示される材料などが挙げられる。
特開2003−176352号公報 米国特許第5965679号明細書 特開2006−233128号公報 特開2006−265513号公報 特開2007−119706号公報
一方で、半導体デバイスで使用される絶縁膜には、高耐熱性が求められる。例えば、絶縁膜形成後の加熱プロセス工程にて絶縁膜が膜減りしてしまうと、製造される半導体デバイスの性能に悪影響を及ぼすので好ましくない。上述の特許文献1〜5に開示される絶縁膜形成用材料から得られる絶縁膜では、膜特性、特に耐熱性が必ずしも満足できるものではなく、さらなる改良が必要とされていた。
そこで、本発明は、上記の実情に鑑みて、低誘電性で、かつ高耐熱性を示す膜を形成することができる膜形成用組成物、この膜形成用組成物から得られる絶縁膜、および、この絶縁膜を有する電子デバイスを提供することを目的とする。
本発明者は上記課題に対し鋭意検討した結果、下記膜形成用組成物を用いることによって上記問題を解決できることを見出して目的を達成するに至った。
<1> 炭素-炭素不飽和結合を含む基を有するケイ素化合物(A)と、カゴ型シルセスキオキサン構造を有する化合物とを含む膜形成用組成物。
<2> 前記ケイ素化合物(A)が、炭素-炭素二重結合を含む基を2個以上有する化合物、または炭素-炭素三重結合を2個以上有する化合物である<1>に記載の膜形成用組成物。
<3> 前記ケイ素化合物(A)が、一般式(A−I)で表される化合物、一般式(A−II)で表される化合物、および一般式(A−III)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種である、<1>または<2>に記載の膜形成用組成物。
Figure 2010083917
(一般式(A−I)中、Rは、それぞれ独立に、非加水分解性基を表す。Rのうち、少なくとも2つは炭素-炭素不飽和結合を含む基を表す。
一般式(A−II)中、Rは、それぞれ独立に、非加水分解性基を表す。Rのうち、少なくとも2つは炭素-炭素不飽和結合を含む基を表す。mは、0〜10の整数を表す。Xは、−O−、−NR−、アルキレン基またはフェニレン基を表し、Rは水素原子または置換基を表す。
一般式(A−III)中、Rは、それぞれ独立に、非加水分解性基を表す。Rのうち、少なくとも2つは炭素-炭素不飽和結合を含む基を表す。nは、2〜16の整数を表す。Xは、−O−、−NR−、アルキレン基またはフェニレン基を表し、Rは水素原子または置換基を表す。なお、*は**と結合して環構造を形成する。)
<4> 前記カゴ型シルセスキオキサン構造を有する化合物が、カゴ型シルセスキオキサン構造を有するモノマーの重合体である<1>〜<3>のいずれかに記載の膜形成用組成物。
<5> 前記カゴ型シルセスキオキサン構造を有するモノマーが、下記一般式(Q−1)〜一般式(Q−6)のいずれかで表される化合物である<4>に記載の膜形成用組成物。
Figure 2010083917
Figure 2010083917
(一般式(Q−1)〜一般式(Q−6)中、Rは、それぞれ独立して、非加水分解性基を表す。一般式(Q−1)〜一般式(Q−6)のそれぞれにおいて、Rのうち少なくとも2つは、ビニル基またはエチニル基を含む基を表す。)
<6> さらに有機溶剤を含む<1>〜<5>のいずれかに記載の膜形成用組成物。
<7> 絶縁膜の形成に用いられる<1>〜<6>のいずれかに記載の膜形成用組成物。
<8> <7>に記載の膜形成用組成物を用いて形成した絶縁膜。
<9> <8>に記載の絶縁膜を有する電子デバイス。
本発明によれば、低誘電性で、かつ高耐熱性を示す膜を形成することができる膜形成用組成物、この膜形成用組成物から得られる絶縁膜、および、この絶縁膜を有する電子デバイスを提供することができる。
以下に、本発明に係る膜形成用組成物、この膜形成用組成物より得られる絶縁膜、および、この絶縁膜を有する電子デバイスについて詳細に説明する。
本発明の膜形成用組成物は、炭素-炭素不飽和結合を含む基を有するケイ素化合物(A)とカゴ型シルセスキオキサン構造を有する化合物とを含有する。
以下に、各構成成分について説明する。
<炭素-炭素不飽和結合を含む基を有するケイ素化合物(A)>
本発明の膜形成用組成物は、分子内に炭素-炭素不飽和結合を含む基を有するケイ素化合物(A)を含有する。この化合物を含有することにより、低誘電性および高耐熱性を示す膜を作製することができる。
炭素-炭素不飽和結合を含む基を有するケイ素化合物(A)(以下、単に、ケイ素化合物(A)とも記す。)は、分子内に、ケイ素原子を少なくとも1つ有し、かつ、炭素-炭素不飽和結合を含む基を有する化合物であれば、特に限定されない。
炭素-炭素不飽和結合を含む基とは、例えば、炭素-炭素二重結合または炭素-炭素三重結合を含む基をさす。炭素-炭素二重結合としては、例えば、ビニル基を含む基などが挙げられる。また、炭素-炭素三重結合としては、例えば、エチニル基を含む基などが挙げられる。
炭素-炭素不飽和結合を含む基の好ましい例としては、ビニル基またはエチニルを含む基が挙げられる。
より具体的に、ビニル基またはエチニル基を含む基とは、ビニル基、エチニル基、または以下一般式(1)で表される基が好ましい。なかでも、分子量制御のしやすさの観点より、ビニル基、エチニル基が好ましい。
一般式(1)
*―L−R20
(一般式(1)中、Lは、アルキレン基、−O−、−S−、−Si(R21)(R22)−、−N(R23)−、−O−Si(R24)(R25)−または、これらを組み合わせた2価の連結基を表す。R21〜R25は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、またはフェニル基を表す。R20は、ビニル基またはエチニル基を表す。*は結合位置を表す。)
一般式(1)中、Lは、アルキレン基、−O−、−S−、−Si(R21)(R22)−、−N(R23)−、−O−Si(R24)(R25)−または、これらを組み合わせた2価の連結基を表す。なかでも、好ましくは−Si(R21)(R22)−、−O−Si(R24)(R25)である。
一般式(1)中、R21〜R25は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、またはフェニル基を表す。なかでも、好ましくはメチル基、エチル基である。
<一般式(A−I)>
ケイ素化合物(A)の好ましい例の一つとして、一般式(A−I)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2010083917
(一般式(A−I)中、Rは、それぞれ独立に、非加水分解性基を表す。Rのうち、少なくとも2つは炭素-炭素不飽和結合を含む基を表す。)
一般式(A−I)中、Rは、それぞれ独立に、非加水分解性基を表す。非加水分解性基とは室温で1当量の中性水と1時間接触させた場合に95%以上残存する基であり、この条件で99%以上残存していることが好ましい。具体的には、置換または無置換の炭化水素基、ケイ素原子含有基、およびそれらを組み合わせた基が挙げられる。炭化水素基とは、脂肪族炭化水素基やアリール基をさす。脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基がある。複数のRは、同一でも異なっていてもよい。
アルキル基は、特に限定されず、直鎖、分岐鎖、または環状でもよい。炭素数1〜6が好ましく、さらに炭素数1〜2が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ペンチル基などが挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基などが挙げられる。
アルケニル基は、特に限定されず、直鎖、分岐鎖、または環状でもよい。炭素数1〜6が好ましく、さらに炭素数1〜2が好ましい。具体的には、ビニル基、アリル基などが挙げられ、好ましくはビニル基である。
アルキニル基は、特に限定されず、直鎖、分岐鎖、または環状でもよく、炭素数1〜6が好ましく、さらに炭素数1〜2が好ましい。具体的には、エチニル基などが挙げられる。
アリール基は、芳香族性を有する環であれば特に制限されるものではないが、炭素数1〜10が好ましく、さらに炭素数1〜6が好ましい。アリール基は、置換基を有していてもよい。アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基などが挙げられ、好ましくはフェニル基である。
ケイ素原子含有基としては、ケイ素が含有されていれば特に制限されないが、一般式(2)で表される基が好ましい。
一般式(2)
*−L−Si−(R30
(一般式(2)中、Lはアルキレン基、−O−、−S−、−Si(R31)(R32)−、−N(R33)−、または、これらを組み合わせた2価の連結基を表す。R31、R32、R33およびR30は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、または、アルキニル基を表す。*は、ケイ素原子との結合位置を表す。)
一般式(2)中、Lはアルキレン基、−O−、−S−、−Si(R31)(R32)−、−N(R33)−、または、これらを組み合わせた2価の連結基を表す。なかでも、アルキレン基、−O−、または、これらを組み合わせた2価の連結基が好ましい。アルキレン基としては、炭素数1〜6が好ましく、炭素数1〜2がより好ましい。
一般式(2)中、R31、R32、R33およびR30で表されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基の定義は、上述の一般式(A−I)中のRで説明した各基と同じであり、好ましくは メチル基、ビニル基、エチニル基などが挙げられる。
一般式(A−I)中、Rのうち、少なくとも2つは炭素-炭素不飽和結合を含む基を表す。なかでも、Rのうち3つ以上が炭素-炭素不飽和結合を含む基であることが好ましく、Rの全部が炭素-炭素不飽和結合を含む基であることがより好ましい。
なお、Rで表される炭素-炭素不飽和結合を含む基は、上述のケイ素化合物(A)で説明した炭素-炭素不飽和結合を含む基と同義であり、好ましい範囲も同じである。
<一般式(A−II)>
ケイ素化合物(A)の好ましい例の一つとして、一般式(A−II)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2010083917
(一般式(A−II)中、Rは、それぞれ独立に、非加水分解性基を表す。Rのうち、少なくとも2つは炭素-炭素不飽和結合を含む基を表す。mは、0〜10の整数を表す。Xは、−O−、−NR−、アルキレン基またはフェニレン基を表し、Rは水素原子または置換基を表す。)
一般式(A−II)中、Rは、それぞれ独立に、非加水分解性基を表す。一般式(A−II)中のRは、上述した一般式(A−I)中のRと同義であり、好ましい範囲も同じである。
Rのうち、少なくとも2つは炭素-炭素不飽和結合を含む基を表す。なかでも、Rのうち2〜6つが炭素-炭素不飽和結合を含む基であることが好ましく、Rの全部が炭素-炭素不飽和結合を含む基であることがより好ましい。
なお、Rで表される炭素-炭素不飽和結合を含む基は、上述のケイ素化合物(A)で説明した炭素-炭素不飽和結合を含む基と同義であり、好ましい範囲も同じである。
Xは、−O−、−NR−、アルキレン基またはフェニレン基などの連結基を表す。なかでも、好ましくは−O−、アルキレン基である。アルキレン基としては、炭素数1〜3が好ましく、例えば、エチレン基、プロピレン基などが挙げられる。
は、水素原子または置換基を表す。置換基としては、特に限定されず、例えば、アルキル基、アリール基などが挙げられる。
一般式(A−II)中、mは0〜10の整数で表し、なかでも1〜8が好ましく、2〜6がより好ましい。
<一般式(A−III)>
ケイ素化合物(A)の好ましい例の一つとして、一般式(A−III)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2010083917
(一般式(A−III)中、Rは、それぞれ独立に、非加水分解性基を表す。Rのうち、少なくとも2つは炭素-炭素不飽和結合を含む基である。nは、2〜16の整数を表す。Xは、−O−、−NR−、アルキレン基またはフェニレン基を表し、Rは水素原子または置換基を表す。なお、*は**と結合して環構造を形成する。)
一般式(A−III)中、Rは、それぞれ独立に、非加水分解性基を表す。一般式(A−III)中のRは、上述した一般式(A−I)中のRと同義であり、好ましい範囲も同じである。
Rのうち、少なくとも2つは炭素-炭素不飽和結合を含む基を表す。なかでも、Rのうち2〜6つが炭素-炭素不飽和結合を含む基であることが好ましく、Rの全部が炭素-炭素不飽和結合を含む基であることがより好ましい。
なお、Rで表される炭素-炭素不飽和結合を含む基は、上述のケイ素化合物(A)で説明した炭素-炭素不飽和結合を含む基と同義であり、好ましい範囲も同じである。
Xは、−O−、−NR−、アルキレン基またはフェニレン基などの連結基を表す。なかでも、好ましくは−O−、アルキレン基である。一般式(A−III)中のXは、一般式(A−II)中のXと同義であり、好ましい範囲も同じである。
一般式(A−III)中、nは2〜16の整数を表し、なかでも2〜12が好ましくは、3〜8がより好ましい。
一般式(A−III)中、*は、他の繰り返し単位の**と結合して環状構造を有する化合物を形成する。
以下に、炭素-炭素不飽和結合を含む基を有するケイ素化合物(A)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2010083917
Figure 2010083917
Figure 2010083917
炭素-炭素不飽和結合を含む基を有するケイ素化合物(A)は、公知の方法で合成してもよいし、一般に市販されているものを使用してもよい。例えば、信越シリコーン社製テトラビニルシラン、メチルトリビニルシラン、Gelest製テトラアリルシラン、ヘキサビニルジシロキサン、1,1,3,3−テトラビニルジメチルジシロキサン 、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンなどを挙げることができる。
本発明において、炭素-炭素不飽和結合を含む基を有するケイ素化合物(A)は一種のみ、または二種以上を混合して用いてもよい。
本発明の膜形成用組成物における炭素-炭素不飽和結合を含む基を有するケイ素化合物(A)の含有割合は、任意に設定でき、特に限定されるものではないが、組成物を構成する全固形成分に対して、0.1〜30.0質量%であることが好ましく、より好ましくは1.0〜20.0質量%、最も好ましくは5.0〜15.0質量%である。なお、固形分とは、この膜形成用組成物を塗布して得られる膜を構成する全固形分に相当するものである。なお、有機溶媒のような膜形成後に膜中に残らないものは固形分に含めない。
<カゴ型シルセスキオキサン構造を有する化合物>
本発明における膜形成用組成物に含有されるカゴ型シルセスキオキサン構造を有する化合物としては、特に限定されないが、ビニル基やエチニル基などの炭素-炭素不飽和結合を有することが好ましく、より好ましくは2つ以上の炭素-炭素不飽和結合を有することが好ましい。なお、ここでカゴ型構造とは、共有結合した原子で形成された複数の環によって容積が定まり、容積内に位置する点は環を通過せずには容積から離れることができないような構造を指す。
カゴ型シルセスキオキサン構造を有する化合物としては、m個のRSi(O0.5ユニット(mは8〜16の整数を表す。Rはそれぞれ独立して非加水分解性基を表すが、少なくとも2つはビニル基またはエチニル基を含む基を示すことが好ましい。)が、その酸素原子を共有しながら他のRSi(O0.5ユニットと互いに連結することで形成されるカゴ型構造を有する化合物、およびその重合体を好適に使用することができる。このようなシロキサン結合の環状構造を有するカゴ型構造の化合物(モノマー)は、カゴ型シルセスキオキサン化合物とも称される。なお、シルセスキオキサンとは、各ケイ素原子が3個の酸素原子と結合し、各酸素原子が2個のケイ素原子と結合している構造(ケイ素原子数に対する酸素原子数が1.5)である化合物の総称である。
また、本発明で使用されるカゴ型シルセスキオキサン構造を有する化合物としては、低分子量化合物および高分子量化合物が含まれる。
上述のカゴ型シルセスキオキサン構造を有する化合物の好ましい態様として、一般式(Q−1)〜一般式(Q−6)で表される化合物(モノマー)およびその重合体が挙げられる。なかでも、入手し易さや重合制御の容易さの観点から、一般式(Q−6)で表される化合物が好ましい。
Figure 2010083917
Figure 2010083917
(一般式(Q−1)〜一般式(Q−6)中、Rはそれぞれ独立に、非加水分解性基を表す。一般式(Q−1)〜一般式(Q−6)のそれぞれにおいて、Rのうち少なくとも2つはビニル基またはエチニル基を含む基を表す。)
一般式(Q−1)〜一般式(Q−6)中、Rは、それぞれ独立に、非加水分解性基を表す。一般式(Q−1)〜一般式(Q−6)中のRで表される非加水分解性基は、上述した一般式(A−I)中のRで表される非加水分解性基と同義であり、好ましい範囲も同じである。
一般式(Q−1)〜一般式(Q−6)中、Rのうち少なくとも2つは、ビニル基またはエチニル基を含む基を示す。
なお、一般式(Q−1)〜一般式(Q−6)中でのビニル基またはエチニル基を含む基は、上述のケイ素化合物(A)で説明したビニル基またはエチニル基を含む基と同義であり、好ましい範囲も同じである。
カゴ型シルセスキオキサン構造を有する化合物(モノマー)の具体例としては、例えば、下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2010083917
Figure 2010083917
Figure 2010083917
カゴ型シルセスキオキサン構造を有する化合物(モノマー)は、市販のものを使用してもよいし、公知の方法で合成してもよい。
<重合体>
本発明における膜形成用組成物には、複数の異なったカゴ型シルセスキオキサン構造を有するモノマーの重合体が含まれていてもよい。その場合、複数の異なったカゴ型シルセスキオキサン構造を有するモノマーからなる共重合体であってもよいし、ホモポリマーの混合物であってもよい。本発明の膜形成用組成物が、複数の異なったカゴ型シルセスキオキサン構造を有するモノマーからなる共重合体を含む場合、一般式(Q−1)で表される化合物、一般式(Q−2)で表される化合物、一般式(Q−3)で表される化合物、および一般式(Q−6)で表される化合物から選ばれる2種以上のカゴ型シルセスキオキサン構造を有するモノマーの混合物の共重合体であることが好ましい。
また、カゴ型シルセスキオキサン構造を有するモノマーと別のモノマーとの共重合物を、高分子化合物として用いることもできる。その場合に用いられる別のモノマーとしては、重合性炭素−炭素不飽和結合を複数有する化合物が好ましい。その例としては、ビニルシラン類、ビニルシロキサン類、フェニルアセチレン類のモノマーを適用できる。
カゴ型シルセスキオキサン構造を有するモノマーより構成される重合体を合成するための方法としては、上記モノマーを溶媒に溶解させ、重合開始剤を添加してビニル基などを反応させることが好ましい。重合反応としてはどのような重合反応でもよいが、例えば、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、開環重合、重縮合、重付加、付加縮合、遷移金属触媒重合などが挙げられる。
カゴ型シルセスキオキサン構造を有するモノマーの重合反応は、非金属の重合開始剤の存在下で行うことが好ましい。例えば、加熱によって炭素ラジカルや酸素ラジカルなどの遊離ラジカルを発生して活性を示す重合開始剤の存在下で、カゴ型シルセスキオキサン構造を有するモノマーを重合することが出来る。
重合開始剤としては、有機過酸化物または有機アゾ系化合物が好ましく用いられるが、特に有機過酸化物が好ましい。
有機過酸化物としては、日本油脂株式会社より市販されているパーヘキサH等のケトンパーオキサイド類、パーヘキサTMH等のパーオキシケタール類、パーブチルH−69等のハイドロパーオキサイド類、パークミルD、パーブチルC、パーブチルD等のジアルキルパーオキサイド類、ナイパーBW等のジアシルパーオキサイド類、パーブチルZ、パーブチルL等のパーオキシエステル類、パーロイルTCP等のパーオキシジカーボネート、アルケマ吉冨社より市販されているルペロックス11等が好ましく用いられる。
有機アゾ系化合物としては和光純薬工業株式会社で市販されているV−30、V−40、V−59、V−60、V−65、V−70等のアゾニトリル化合物類、VA−080、VA−085、VA−086、VF−096、VAm−110、VAm−111等のアゾアミド化合物類、VA−044、VA−061等の環状アゾアミジン化合物類、V−50、VA−057等のアゾアミジン化合物類等が好ましく用いられる。
カゴ型シルセスキオキサン構造を有するモノマーの重合反応に使用する重合開始剤は、1種のみ、または2種以上を混合して用いてもよい。
その使用量はモノマー1モルに対して、好ましくは0.001〜2.0モル、より好ましくは0.01〜1.0モル、特に好ましくは0.05〜0.5モルである。
カゴ型シルセスキオキサン構造を有するモノマーの重合反応で使用する溶媒は、モノマーが必要な濃度で溶解可能であり、かつ得られる重合体から形成する膜の特性に悪影響を与えないものであれば、どのようなものを使用してもよい。例えば、水や、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、メチルベンゾエート等のエステル系溶剤、ジブチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、トルエン、キシレン、メシチレン、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン、ペンタメチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン、1,4−ジ−t−ブチルベンゼン、1,3,5−トリエチルベンゼン、1,3,5−トリ−t−ブチルベンゼン、4−t−ブチル−オルトキシレン、1−メチルナフタレン、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、四塩化炭素、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン等のハロゲン系溶剤、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤などが利用できる。
これらの中でより好ましい溶剤はアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、アニソール、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、メシチレン、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン、1,4−ジ−t−ブチルベンゼン、1,3,5−トリ−t−ブチルベンゼン、4−t−ブチル−オルトキシレン、1−メチルナフタレン、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼンであり、より好ましくはテトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、アニソール、トルエン、キシレン、メシチレン、イソプロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン、1,3,5−トリ−t−ブチルベンゼン、1−メチルナフタレン、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼンであり、特に好ましくはγ−ブチロラクトン、アニソール、メシチレン、t−ブチルベンゼン、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼンである。これらは、単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
反応液中のモノマー濃度は、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以下であり、最も好ましくは0.5質量%以下である。重合時のモノマーの濃度が低い程、重量平均分子量および数平均分子量が大きく、有機溶剤に可溶な組成物を合成することができる。
カゴ型シルセスキオキサン構造を有するモノマーの重合反応の最適な条件は、重合開始剤、モノマー、溶媒の種類、濃度等によって異なるが、好ましくは内温0〜200℃、より好ましくは40〜170℃、特に好ましくは70〜150℃で、好ましくは1〜50時間、より好ましくは2〜20時間、特に好ましくは3〜10時間の範囲である。
また、酸素による重合開始剤の不活性化を抑制するために、不活性ガス雰囲気下(例えば、窒素、アルゴン等)で反応させることが好ましい。反応時の酸素濃度は好ましくは、100ppm以下、より好ましくは50ppm以下、特に好ましくは20ppm以下である。
重合して得られるポリマーの重量平均分子量(Mw)の好ましい範囲は、1000〜1000000、より好ましくは2000〜500000、特に好ましくは3000〜100000である。
カゴ型シルセスキオキサン構造を有するモノマーの重合体は、有機溶媒に可溶であることが好ましい。ここで、有機溶媒に可溶であるとは、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルおよびγ−ブチロラクトンから選ばれる溶媒に、25℃で、5質量%以上溶解することを指すが、10質量%以上溶解することが好ましく、20質量%以上溶解することがより好ましい。
GPCチャートから計算した、カゴ型シルセスキオキサン構造を有するモノマーより構成される重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、1.0〜15が好ましく、1.0〜10がより好ましく、1.0〜5.0が最も好ましい。Mwが同じであった場合、分子量分布が小さいほうが、密度、屈折率および誘電率の低い膜を形成することができる。
上述した物性を有する重合体を製造する方法としては、例えば、カゴ型シルセスキオキサン構造を有するモノマーを重合させる際に、高希釈条件を用いる、連鎖移動剤を添加する、反応溶剤を最適化する、重合開始剤を連続添加する、モノマーを連続添加する、ラジカルトラップ剤を添加するなどの方法が挙げられる。
また、カゴ型シルセスキオキサン構造を有するモノマーを重合させた後、不溶物をろ過する、カラムクロマトグラフィーを用いて精製する、再沈殿処理により精製する、などの方法を用いることも可能である。
ここで、再沈殿処理とは、必要に応じて反応溶媒を留去した反応液に、貧溶媒(本発明の重合体を実質的に溶解しない溶媒)を加える、または、必要に応じて反応溶媒を留去した反応液を、貧溶媒に滴下することにより、本発明の組成物を析出させ、これをろ取することである。貧溶媒としては、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール)などが好ましい。貧溶媒として、本発明の組成物の等質量〜200倍質量を用いることが好ましく、2倍質量〜50倍質用いることがより好ましい。
カゴ型シルセスキオキサン構造を有するモノマーの重合体を使用する場合、重合に用いた反応溶媒を留去することにより、重合体を濃縮して用いることが好ましい。また、再沈殿処理を行った後に用いることが好ましい。
濃縮する方法としては、ロータリーエバポレーター、蒸留装置または重合反応を行った反応装置などを用いて、反応液を加熱および/または減圧することによって行うことが好ましい。濃縮時の反応液の温度は、一般的には0〜180℃であり、10〜140℃が好ましく、20〜100℃がより好ましく、30〜60℃が最も好ましい。濃縮時の圧力は、一般的に0.001〜760トールであり、好ましくは0.01〜100トールであり、より好ましくは0.01〜10トールである。
反応液を濃縮する際は、反応液中の固形分含量が10質量%以上になるように濃縮することが好ましく、30質量%以上になるまで濃縮することがより好ましく、50質量%以上になるまで濃縮することが最も好ましい。
本発明における膜形成用組成物には、上述のような高分子化合物を単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の膜形成用組成物中におけるカゴ型シルセスキオキサン構造を有する化合物(例えば、一般式(Q−1)〜一般式(Q−6)で表されるモノマーの重合体)の含有量は、特に限定されないが、組成物を構成する全固形成分に対して、70〜99.9質量%が好ましく、85〜95質量%がより好ましい。
<膜形成用組成物>
本発明にかかる膜形成用組成物には、上述の炭素-炭素不飽和結合を含む基を有するケイ素化合物(A)とカゴ型シルセスキオキサン構造を有する化合物とが含まれる。
更に、本発明の膜形成用組成物には、得られる絶縁膜の特性(耐熱性、誘電率、機械強度、塗布性、密着性等)を損なわない範囲で、ラジカル発生剤、コロイド状シリカ、界面活性剤、シランカップリング剤、密着剤、空孔形成剤などの添加剤を含有していてもよい。
ラジカル発生剤とは、熱または光エネルギーの照射によって、炭素、酸素、窒素等の原子のラジカルを発生する化合物を指し、硬膜反応を促進する機能を有するものである。
本発明の膜形成用組成物は、発明の目的を損なわない範囲で、いかなるコロイド状シリカを含有してもよい。例えば、高純度の無水ケイ酸を親水性有機溶媒または水に分散した分散液であり、通常、平均粒径5〜30nm、好ましくは10〜20nm、固形分濃度が5〜40質量%程度のものである。
本発明の膜形成用組成物は、発明の目的を損なわない範囲で、いかなる界面活性剤を含有してもよい。例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤などが挙げられ、さらにシリコーン系界面活性剤、含フッ素系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、アクリル系界面活性剤が挙げられる。本発明で使用する界面活性剤は、一種類でもよいし、二種類以上でもよい。界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、含フッ素系界面活性剤、アクリル系界面活性剤が好ましく、特にシリコーン系界面活性剤が好ましい。
本発明で使用する界面活性剤の含有量は、膜形成塗布液の全量に対して、0.01〜1質量%であることが好ましく、0.1〜0.5質量%であることが更に好ましい。
本発明において、シリコーン系界面活性剤とは、少なくとも1原子のSi原子を含む界面活性剤である。本発明に使用するシリコーン系界面活性剤としては、いかなるシリコーン系界面活性剤でもよく、アルキレンオキシドおよびジメチルシロキサンを含む構造であることが好ましい。下記化学式を含む構造であることが更に好ましい。
Figure 2010083917
式中Rは、水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基であり、xは1〜20の整数であり、a、bはそれぞれ独立に2〜100の整数である。複数のRは、同じでも異なっていてもよい。
本発明に使用するシリコーン系界面活性剤としては、例えば、BYK306、BYK307(ビックケミー社製)、SH7PA、SH21PA、SH28PA、SH30PA(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、TroysolS366(トロイケミカル社製)等が挙げられる。
本発明に使用するノニオン系界面活性剤としては、発明の目的を損なわない範囲で、いかなるノニオン系界面活性剤でもよい。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアリールエーテル類、ポリオキシエチレンジアルキルエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリオキシエチレン類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体等が挙げられる。
本発明に使用する含フッ素系界面活性剤としては、発明の目的を損なわない範囲で、いかなる含フッ素系界面活性剤でもよい。例えば、パーフルオルオクチルポリエチレンオキシド、パーフルオルデシルポリエチレンオキシド、パーフルオルドデシルポリエチレンオキシド等が挙げられる。
本発明に使用するアクリル系界面活性剤としては、発明の目的を損なわない範囲で、いかなるアクリル系界面活性剤でもよい。例えば、(メタ)アクリル酸系共重合体等が挙げられる。
本発明では、発明の目的を損なわない範囲で、いかなるシランカップリング剤を使用してもよい。例えば、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノグリシジロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルメチルジメトキシシラン、1−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。本発明で使用するシランカップリング剤は、一種類でもよいし、二種類以上でもよい。
本発明では、発明の目的を損なわない範囲で、いかなる密着促進剤を使用してもよい。例えば、トリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、トリメトキシビニルシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、アルミニウムモノエチルアセトアセテートジイソプロピレート、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルジフェニルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,N’−ビス(トリメチルシリル)ウレア、ジメチルトリメチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾール、ビニルトリクロロシラン、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、インダゾール、イミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、ウラゾール、チオウラシル、メルカプトイミダゾール、メルカプトピリミジン、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、チオ尿素化合物等を挙げることができる。
官能性シランカップリング剤が、密着促進剤として好ましい。密着促進剤の好ましい使用量は、全固形分100質量部に対して、10質量部以下、特に0.05〜5.0質量部であることが好ましい。
本発明の膜形成用組成物は、空孔形成因子(空孔形成剤)を含有してもよい。得られる膜の機械強度の許す範囲内で、空孔形成因子を使用して、膜を多孔質化し、低誘電率化を図ることができる。
空孔形成剤としては、特に限定はされないが、非金属化合物が好適に用いられ、膜形成用塗布液で使用される溶剤との溶解性、重合体との相溶性を同時に満たすことが必要である。また、この空孔形成剤の沸点または分解温度は、好ましくは100〜500℃、より好ましくは200〜450℃、特に好ましくは250〜400℃である。分子量としては、200〜50000であることが好ましく、より好ましくは300〜10000、特に好ましくは400〜5000である。添加量は、膜を形成する重合体に対して、好ましくは0.5〜75質量%、より好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは1〜20質量%である。また、空孔形成剤として、重合体の中に分解性基を含んでいてもよく、その分解温度は好ましくは100〜500℃、より好ましくは200〜450℃、特に好ましくは250〜400℃である。分解性基の含有率は膜を形成する重合体に対して、0.5〜75モル%、より好ましくは0.5〜30モル%、特に好ましくは1〜20モル%である。
本発明の膜形成用組成物には、不純物としての金属含量が充分に少ないことが好ましい。膜形成用組成物の金属濃度は、ICP−MS法にて高感度に測定可能であり、遷移金属以外の金属含有量は好ましくは30ppm以下、より好ましくは3ppm以下、特に好ましくは300ppb以下である。
また、遷移金属に関しては酸化を促進する触媒能が高く、プリベーク、熱硬化プロセスにおいて酸化反応によって本発明で得られた膜の誘電率を上げてしまう場合があり、その含有量がより少ないほうがよく、好ましくは10ppm以下、より好ましくは1ppm以下、特に好ましくは100ppb以下である。
膜形成用組成物の金属濃度は、本発明の膜形成用組成物を用いて得た膜に対して全反射蛍光X線測定を行うことによっても評価できる。X線源としてW線を用いた場合、金属元素としてK、Ca、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Pdが観測可能であり、それぞれ100×1010cm−2以下が好ましく、より好ましくは50×1010cm−2以下、特に好ましくは10×1010cm−2以下である。また、ハロゲンであるBrも観測可能であり、残存量は10000×1010cm−2以下が好ましく、より好ましくは1000×1010cm−2以下、特に好ましくは400×1010cm−2以下である。また、ハロゲンとしてClも観測可能であるが、CVD装置、エッチング装置等へダメージを与えるという観点から残存量は100×1010cm−2以下が好ましく、より好ましくは50×1010cm−2以下、特に好ましくは10×1010cm−2以下である。
本発明の膜形成用組成物は、溶剤(塗布溶剤)を含有してもよい。塗布溶剤は特に限定はされないが、例えば、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−エトキシメタノール、3−メトキシプロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール等のアルコール系溶剤、アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶剤、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルプロピルエーテル、アニソール、フェネトール、ベラトロール等のエーテル系溶剤、メシチレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、プロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤などが挙げられ、これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
より好ましい塗布溶剤は、1−メトキシ−2−プロパノール、プロパノール、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、アニソール、メシチレン、t−ブチルベンゼンであり、特に好ましくは1−メトキシ−2−プロパノール、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、t−ブチルベンゼン、アニソールである。
塗布溶剤を使用した場合の本発明にかかる膜形成用組成物の固形分濃度は、好ましくは1.0〜50質量%であり、より好ましくは2.0〜15質量%であり、特に好ましくは3.0〜10質量%である。
上述の膜形成用組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、炭素-炭素不飽和結合を含む基を有するケイ素化合物(A)、カゴ型シルセスキオキサン構造を有する化合物、各種有機溶媒、ならびに必要に応じて上記各任意成分を入れ、混合ミキサーなどのかくはん機を用いて十分にかくはんする方法を用いることができる。
<膜の製造方法>
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は、膜形成用組成物をスピンコーティング法、ローラーコーティング法、ディップコーティング法、スキャン法等の任意の方法により基板に塗布した後、溶剤を加熱処理で除去することにより形成することができる。基板に塗布する方法としては、スピンコーティング法、スキャン法によるものが好ましい。特に好ましくは、スピンコーティング法によるものである。スピンコーティングについては、市販の装置を使用できる。例えば、クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン製)、D−スピンシリーズ(大日本スクリーン製)、SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業製)等が好ましく使用できる。スピンコート条件としては、いずれの回転速度でもよいが、膜の面内均一性の観点より、300mmシリコン基板においては1300rpm程度の回転速度が好ましい。
また、組成物溶液の吐出方法においては、回転する基板上に組成物溶液を吐出する動的吐出、静止した基板上へ組成物溶液を吐出する静的吐出のいずれでもよいが、膜の面内均一性の観点より、動的吐出が好ましい。また、組成物の消費量を抑制する観点より、予備的に組成物の主溶剤のみを基板上に吐出して液膜を形成した後、その上から組成物を吐出するという方法を用いることもできる。スピンコート時間については特に制限はないが、スループットの観点から180秒以内が好ましい。また、基板の搬送の観点より、基板エッジ部の膜を残存させないための処理(エッジリンス、バックリンス)をすることも好ましい。
溶媒除去などのための熱処理の方法は、特に限定されないが、一般的に使用されているホットプレート加熱、ファーネス炉を使用した加熱方法、RTP(Rapid Thermal Processor)等によるキセノンランプを使用した光照射加熱等を適用することができる。好ましくは、ホットプレート加熱、ファーネスを使用した加熱方法である。ホットプレートとしては市販の装置を好ましく使用でき、クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン製)、D−スピンシリーズ(大日本スクリーン製)、SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業製)等が好ましく使用できる。ファーネスとしては、αシリーズ(東京エレクトロン製)等が好ましく使用できる。
使用される基板としては、特に限定されず、例えば、シリコンウエハー、SiO2ウエハー、SiNウエハー、ガラス基板、セラミックス基板、プラスチック基板などが使用目的に応じて選択される。特に、金属配線を有する基板、例えば、銅を含有する配線を有する半導体集積回路が好ましい。
本発明の膜形成用組成物は、基板上に塗布して塗膜を形成後に、加熱処理することによって硬化させることが好ましい。例えば、膜形成用組成物に含まれる重合体に残存する炭素−炭素三重結合を、後加熱時の重合反応に利用できる。この後加熱処理の条件は、好ましくは100〜450℃、より好ましくは200〜420℃、特に好ましくは350〜400℃で、好ましくは1分〜2時間、より好ましくは10分〜1.5時間、特に好ましくは30分〜1.0時間の範囲である。後加熱処理は数回に分けて行ってもよい。また、この後加熱は、酸素による熱酸化を防ぐために窒素雰囲気下で行うことが特に好ましい。
また、本発明では加熱処理ではなく高エネルギー線を照射することで、重合体中に残存する炭素−炭素三重結合などの重合反応を利用して、塗膜を硬化させてもよい。高エネルギー線とは、電子線、紫外線、X線などが挙げられるが、特にこれらの方法に限定されるものではない。
高エネルギー線として、電子線を使用した場合のエネルギーは0〜50keVが好ましく、より好ましくは0〜30keV、特に好ましくは0〜20keVである。電子線の総ドーズ量は、好ましくは0〜5.0μC/cm 2 、より好ましくは0〜2.0μC/cm 2 、特に好ましくは0〜1.0μC/cm 2である。電子線を照射する際の基板温度は、0〜450℃が好ましく、より好ましくは0〜400℃、特に好ましくは0〜350℃である。圧力は、好ましくは0〜133kPa、より好ましくは0〜60kPa、特に好ましくは0〜20kPaである。本発明の重合物の酸化を防止するという観点から、基板周囲の雰囲気は、Ar、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、電子線との相互作用で発生するプラズマ、電磁波、化学種との反応を目的に、酸素、炭化水素、アンモニアなどのガスを添加してもよい。本発明における電子線照射は複数回行ってもよく、この場合は電子線照射条件を毎回同じにする必要はなく、毎回異なる条件で行ってもよい。
高エネルギー線として紫外線を用いてもよい。紫外線を用いる際の照射波長領域は190〜400nmが好ましく、その出力は基板直上において0.1〜2000mWcm−2が好ましい。紫外線照射時の基板温度は、250〜450℃が好ましく、より好ましくは250〜400℃、特に好ましくは250〜350℃である。本発明の重合物の酸化を防止するという観点から、基板周囲の雰囲気は、Ar、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、その際の圧力は0〜133kPaが好ましい。
なお、加熱処理と高エネルギー線の照射処理を同時に行ってもよい。
<用途>
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は、絶縁膜(特に、半導体用層間絶縁膜)などに好適に使用することができる。また、本発明の絶縁膜は、電子デバイスなどに好適に使用できる。電子デバイスとは、半導体装置(半導体デバイス)や、磁気記録ヘッドなどを含めた広範な電子機器を意味する。
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は、半導体用層間絶縁膜として使用する際、その配線構造において、配線側面にはメタルマイグレーションを防ぐためのバリア層があってもよく、また、配線や層間絶縁膜の上面底面にはCMPでの剥離を防ぐキャップ層、層間密着層の他、エッチングストッパー層等があってもよく、更には層間絶縁膜の層を必要に応じて他種材料で複数層に分けてもよい。
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は、銅配線あるいはその他の目的でエッチング加工をすることができる。エッチングとしては、ウエットエッチング、ドライエッチングのいずれでもよいが、ドライエッチングが好ましい。ドライエッチングは、アンモニア系プラズマ、フルオロカーボン系プラズマのいずれもが適宜使用できる。これらプラズマにはArだけでなく、酸素、窒素、水素、ヘリウム等のガスを用いることができる。また、エッチング加工後に、加工に使用したフォトレジスト等を除く目的でアッシングすることもでき、さらにはアッシング時の残渣を除くため、洗浄することもできる。
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は、銅配線加工後に、銅めっき部を平坦化するためCMP(化学的機械的研磨)をすることができる。CMPスラリー(薬液)としては、市販のスラリー(例えば、フジミ製、ロデールニッタ製、JSR製、日立化成製等)を適宜使用できる。また、CMP装置としては市販の装置(アプライドマテリアル社製、荏原製作所製等)を適宜使用することができる。さらに、CMP後のスラリー残渣除去のため、洗浄することができる。
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は、多様の目的に使用することが出来る。例えば、LSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAM等の半導体装置、マルチチップモジュール多層配線板等の電子部品における絶縁皮膜として好適であり、半導体用層間絶縁膜、エッチングストッパー膜、表面保護膜、バッファーコート膜の他、LSIにおけるパッシベーション膜、α線遮断膜、フレキソ印刷版のカバーレイフィルム、オーバーコート膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜等として使用することが出来る。
さらに、別の用途として本発明の膜に電子ドナーまたはアクセプターをドープすることによって導電性を付与し、導電性膜として使用することも出来る。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により制約されるものではない。
以下のGPC測定は、Waters2695およびShodex製GPCカラムKF−805Lを使用し、カラム温度40℃で、溶出溶媒としてテトラヒドロフランを毎分1mlの流量で測定を行い、Mw、MnおよびMz+1は標準ポリスチレンを用いて作製した検量線を用いて計算した。
<合成例1>
上記のカゴ型シルセスキオキサン構造を有する化合物で説明した例示化合物(I−d)(アルドリッチ社製)1gを、酢酸ブチル80gに加えた。窒素気流中で、加熱還流しながら(内温127℃)、重合開始剤として和光純薬工業社製V−601(10時間半減温度66℃)5mgを酢酸ブチル4mlで希釈した液を、2時間かけて反応液に滴下し、滴下終了後、1時間加熱還流した。重合禁止剤として4−メトキシフェノール20mgを加えた後、室温まで冷却し、液重量2gまで減圧濃縮した。その後、メタノール20mlを加え、1時間攪拌した後、固形物をろ取、乾燥した。これをテトラヒドロフラン10mlに溶解し、攪拌しながら水1.8mlを滴下した。1時間攪拌した後、デカンテーションで上澄みを捨て、メタノール10mlを加えた。固形分をろ取、乾燥し固形分0.49gの重合体Aを得た。
固形分をGPCで分析すると、例示化合物(I−d)より分子量が大きい成分は、Mw=15.8万、Mz+1=31万、Mn=8.9万であった。固形物中に含まれる未反応の例示化合物(I−d)は、3質量%以下であった。分子量300万以上の成分は含まれなかった。重クロロホルムを測定溶媒として、固形分のH−NMRスペクトルを測定したところ、ビニル基が重合してできたアルキル基由来のプロトンピークと、残存したビニル基由来のプロトンピークが48:52の積分比率で観察され、ビニル基同士が重合していることがわかった。
Figure 2010083917
<合成例2>
例示化合物(I−d)(アルドリッチ社製)1gを、酢酸ブチル26.4gに加えた。窒素気流中で、加熱還流しながら(内温127℃)、重合開始剤として和光純薬工業製V−601(10時間半減温度66℃)1.8mgを酢酸ブチル2mlで希釈した液を、2時間かけて反応液に滴下し、滴下終了後、1時間加熱還流した。重合禁止剤として4−メトキシフェノール20mgを加えた後、室温まで冷却し、液重量2gまで減圧濃縮した。その後、メタノール20mlを加え、1時間攪拌した後、固形物をろ取、乾燥した。これをテトラヒドロフラン15mlに溶解し、攪拌しながら水5mlを滴下した。1時間攪拌した後、デカンテーションで上澄みを捨て、メタノール10mlを加えた。固形分をろ取、乾燥し、固形分0.60gの重合体Bを得た。
固形分をGPCで分析すると、化合物(I−d)より分子量が大きい部分は、Mw=11.8万、Mz+1=27万、Mn=3.1万であった。固形物中に含まれる未反応の例示化合物(I−d)は、3質量%以下であった。分子量300万以上の成分は含まれなかった。重クロロホルムを測定溶媒として、固形分のH−NMRスペクトルを測定したところ、ビニル基が重合してできたアルキル基由来のプロトンピークと、残存したビニル基由来のプロトンピークが42:58の積分比率で観察され、ビニル基同士が重合していることがわかった。
<合成例3>
例示化合物(I−d)(アルドリッチ社製)1gを、酢酸ブチル13.2gに加えた。窒素気流中で、加熱還流しながら(内温127℃)、重合開始剤として和光純薬工業製V−40(10時間半減温度88℃)1mgを酢酸ブチル1mlで希釈した液を、4時間かけて反応液に滴下し、滴下終了後、1時間加熱還流した。重合禁止剤として4−メトキシフェノール20mgを加えた後、室温まで冷却し、液重量2gまで減圧濃縮した。その後、メタノール20mlを加え、1時間攪拌した後、固形物をろ取、乾燥した。これをテトラヒドロフラン10mlに溶解し、攪拌しながら水1.8mlを滴下した。1時間攪拌した後、デカンテーションで上澄みを捨て、メタノール10mlを加えた。固形分をろ取、乾燥し固形分0.41gの重合体Cを得た。
固形分をGPCで分析すると、化合物(I−d)より分子量が大きい成分は、Mw=12.8万、Mz+1=38万、Mn=3.3万であった。固形物中に含まれる未反応の例示化合物(I−d)は、3質量%以下であった。分子量300万以上の成分は含まれなかった。重クロロホルムを測定溶媒として、固形分のH−NMRスペクトルを測定したところ、ビニル基が重合してできたアルキル基由来のプロトンピークと、残存したビニル基由来のプロトンピークが53:47の積分比率で観察され、ビニル基同士が重合していることがわかった。
<合成例4>
合成例1で使用した例示化合物(I−d)の代わりに、例示化合物(I−a)を使用する以外は上記の合成例1と同様の方法にて重合体Dを得た。
固形分をGPCで分析すると、化合物(I−a)より分子量が大きい成分は、Mw=11.2万、Mz+1=26.8万、Mn=5.8万であった。固形物中に含まれる未反応の例示化合物(I−a)は、3質量%以下であった。分子量300万以上の成分は含まれなかった。重クロロホルムを測定溶媒として、固形分のH−NMRスペクトルを測定したところ、ビニル基が重合してできたアルキル基由来のプロトンピークと、残存したビニル基由来のプロトンピークが5:3の積分比率で観察され、ビニル基同士が重合していることがわかった。
Figure 2010083917
<実施例1〜16、比較例1>
(膜形成用組成物の調製)
上記合成例にて得られた各重合体(0.2g)と下記表1に示す炭素-炭素不飽和結合を含む基を有するケイ素化合物(A)とを、溶剤(6.0g)に完全溶解させることで膜形成用組成物を調製した。
なお、ケイ素化合物(A)の使用量は、表1中の「添加量wt%」に示される。表1中の「添加量(wt%)」は、使用されたケイ素化合物(A)の全固形分(重合体およびケイ素化合物(A))に対する質量%を表す。
<膜誘電率の測定>
上述の要領にて調整した塗布液(膜形成用組成物)を、東京エレクトロン製スピンコーターACT−8 SODを用いて基板抵抗値7Ω/cmの8インチベアシリコンウェハー上にスピン塗布した。塗布後の膜を110℃で60秒間、続いて200℃で60秒ベークを行った後、窒素置換した400℃のクリーンオーブン内にて1時間焼成することで膜厚100nmの絶縁膜を得た。得られた膜の比誘電率をフォーディメンジョンズ製水銀プローバおよび横河ヒューレットパッカード製のHP4285A LCR meterを用いて1MHzにおける電気容量値から算出した。
<膜形成後の耐熱性の評価>
上述の要領にて各塗布液から得られた膜について、耐熱性の評価は、得られた膜を空気中400℃で30秒加熱し、膜厚変化(%)を測定することによって行った。値が0に近い値である塗膜ほど、耐熱性が良いといえる。結果をまとめて表1に示す。
Figure 2010083917
表1中に略記された化合物(A)の詳細を下記に示す。
(A-I-a) 信越シリコーン製テトラビニルシラン
(A-I-b) 信越シリコーン製メチルトリビニルシラン
(A-I-d) Gelest製テトラアリルシラン
(A-II-a) Gelest製ヘキサビニルジシロキサン
(A-II-c) Gelest製1,1,3,3−テトラビニルジメチルジシロキサン
(A-III-b) Gelest製1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン
表1中に略記された溶剤の詳細を下記に示す。
(α) シクロヘキサノン (関東化学(株)製ELグレード)
(β) プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート (関東化学(株)製ELグレード)
(γ) 2−ヘプタノン (関東化学(株)製ELグレード)
上記表1に示すとおり、本発明の膜形成用組成物を用いた実施例1〜16では、低誘電率かつ高耐熱性を示す絶縁膜が得られたことが分かった。一方、比較例1では、膜厚減少量が大きく、耐熱性に劣っていることがわかった。

Claims (9)

  1. 炭素-炭素不飽和結合を含む基を有するケイ素化合物(A)と、カゴ型シルセスキオキサン構造を有する化合物とを含む膜形成用組成物。
  2. 前記ケイ素化合物(A)が、炭素-炭素二重結合を含む基を2個以上有する化合物、または炭素-炭素三重結合を2個以上有する化合物である、請求項1に記載の膜形成用組成物。
  3. 前記ケイ素化合物(A)が、一般式(A−I)で表される化合物、一般式(A−II)で表される化合物、および一般式(A−III)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1または2に記載の膜形成用組成物。
    Figure 2010083917
    (一般式(A−I)中、Rは、それぞれ独立に、非加水分解性基を表す。Rのうち、少なくとも2つは炭素-炭素不飽和結合を含む基を表す。
    一般式(A−II)中、Rは、それぞれ独立に、非加水分解性基を表す。Rのうち、少なくとも2つは炭素-炭素不飽和結合を含む基を表す。mは、0〜10の整数を表す。Xは、−O−、−NR−、アルキレン基またはフェニレン基を表し、Rは水素原子または置換基を表す。
    一般式(A−III)中、Rは、それぞれ独立に、非加水分解性基を表す。Rのうち、少なくとも2つは炭素-炭素不飽和結合を含む基を表す。nは、2〜16の整数を表す。Xは、−O−、−NR−、アルキレン基またはフェニレン基を表し、Rは水素原子または置換基を表す。なお、*は**と結合して環構造を形成する。)
  4. 前記カゴ型シルセスキオキサン構造を有する化合物が、カゴ型シルセスキオキサン構造を有するモノマーの重合体である請求項1〜3のいずれかに記載の膜形成用組成物。
  5. 前記カゴ型シルセスキオキサン構造を有するモノマーが、下記一般式(Q−1)〜一般式(Q−6)のいずれかで表される化合物である請求項4に記載の膜形成用組成物。
    Figure 2010083917
    Figure 2010083917
    (一般式(Q−1)〜一般式(Q−6)中、Rは、それぞれ独立して、非加水分解性基を表す。一般式(Q−1)〜一般式(Q−6)のそれぞれにおいて、Rのうち少なくとも2つは、ビニル基またはエチニル基を含む基を表す。)
  6. さらに、有機溶剤を含む請求項1〜5のいずれかに記載の膜形成用組成物。
  7. 絶縁膜の形成に用いられる請求項1〜6のいずれかに記載の膜形成用組成物。
  8. 請求項7に記載の膜形成用組成物を用いて形成した絶縁膜。
  9. 請求項8に記載の絶縁膜を有する電子デバイス。
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